説明

保冷庫

【課題】 着霜検知専用のセンサーを用いることなく、既存のセンサー等を用いて、低コストで的確な着霜検知を行い得るようにする。
【解決手段】 保冷庫において、蓄冷剤温度検出手段28により検出された蓄冷剤温度Tfが所定温度より低い時における保冷庫本体1の扉2の開扉時間を積算し、該開扉積算時間に基づいて蓄冷器14への着霜量を推定する第1の着霜検知手段を付設して、扉2が開かれている時間と蓄冷器14への着霜の進行とに相対関係があることに着目し、扉2が開かれている開扉時間を積算し、該開扉積算時間に基づいて蓄冷器14への着霜量を推定することにより、着霜検知を行うようにしている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、トラック等に積載して輸送される保冷庫に関し、さらに詳しくはこの種の保冷庫における着霜検知に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、トラック等に積載して輸送される保冷庫は、例えば冷凍装置と、該冷凍装置により冷却蓄冷される蓄冷器とを備えており、前記冷凍装置は、配送ターミナルの保管倉庫においてのみ運転され、輸送時においては冷凍装置の運転を行わず、蓄冷器に蓄冷された冷熱により保冷庫内に収納された荷物の保冷を行うこととなっている。
【0003】そして、上記構成の保冷庫における蓄冷器は、保冷庫本体の上部に設置して自然対流により保冷庫本体内を保冷する目的から、冷凍装置における蒸発器として作用する冷却管と、該冷却管に隣接するように配置された蓄冷剤とによって構成されている。
【0004】ところで、上記構造の保冷庫の場合、保冷庫内に荷物を運び入れ、当該荷物を蓄冷器で保冷しながらトラック等に積載して目的地まで輸送し、目的地においては荷物を保冷庫から運び出しという作業がなされる。つまり、荷物の運び入れ、運び出しの際には、保冷庫の扉が開閉操作されることとなるのである。比較的保冷温度の高い冷蔵モード(例えば、庫内温度=3℃±3)の場合には着霜が生じることは殆どないが、保冷温度の低い冷凍モード(例えば、庫内温度=−18℃以下)の場合には、保冷庫内への外気の侵入により蓄冷器へ霜が付着することとなる。
【0005】上記のような蓄冷器への着霜は、保冷運転中においては蓄冷器の保冷能力を著しく損なうし、蓄冷器を保冷庫内における保冷室の上部に配設する自然循環式保冷庫の場合、空輸送時等において霜が解けて水滴となって保冷室内に落下するという不具合が発生する。
【0006】上記不具合を解消するための対策としては、蓄冷器への着霜の有無をユーザが目視により確認し、保冷性能に悪影響を及ぼすおそれのある着霜量であると判断すれば、保冷室内の洗浄と同時に蓄冷器をも洗浄することにより着霜を除去する霜取り作業を実施しているのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記したように着霜状況をユーザが扉を開けて目視により確認する方法の場合、人による確認作業であるためチェック漏れが生じるおそれがあるとともに、個人差が生じやすくバラツキの多い非効率的な方法となっていた。
【0008】また、蓄冷器に着霜検知専用のセンサーを付設して、該センサーの出力により着霜の有無を判断する方法も考えられるが、特別なセンサーが必要となり、コストアップにつながるという新たな不具合が生ずる。
【0009】本願発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、着霜検知専用のセンサーを用いることなく、既存のセンサー等を用いて、低コストで的確な着霜検知を行い得るようにすることを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明では、上記課題を解決するための手段として、保冷庫本体1内を保冷するための蓄冷剤を備えた蓄冷器14と、前記保冷庫本体1内の庫内温度Tiを検出する庫内温度検出手段36と、前記蓄冷器14における蓄冷剤温度Tfを検出する蓄冷剤温度検出手段28とを備えた保冷庫において、前記蓄冷剤温度検出手段28により検出された蓄冷剤温度Tfが所定温度より低い時における前記保冷庫本体1の扉2の開扉時間を積算し、該開扉積算時間に基づいて前記蓄冷器14への着霜量を推定する第1の着霜検知手段を付設している。
【0011】上記のように構成したことにより、次のような作用効果が得られる。
【0012】蓄冷剤温度Tfが所定温度より低い時に扉2が開かれると、外気の庫内への侵入により蓄冷器14に霜が付着するという現象が起こるので、扉2が開かれている時間と蓄冷器14への着霜の進行とは相対関係にある。そこで、扉2が開かれている開扉時間を積算し、該開扉積算時間に基づいて前記蓄冷器14への着霜量を推定するようにしている。従って、着霜検知専用のセンサーを用いることなく、蓄冷器14への着霜検知を的確且つ低コストで行うことができる。
【0013】請求項2の発明におけるように、請求項1記載の保冷庫において、前記開扉積算時間を、前記庫内温度検出手段36により検出された庫内温度Tiと前記蓄冷剤温度検出手段28により検出された蓄冷剤温度Tfとの温度差が所定値以上となっている時間の積算値とした場合、既存の庫内温度検出手段36および蓄冷剤温度検出手段28からの検出温度Ti,Tfの差が所定値以上となっている時間を積算して得られた積算値を、保冷庫本体1の扉2の開扉積算時間とすることができるため、着霜検知専用のセンサーを用いることなく、蓄冷器14への着霜検知を的確且つ低コストで行うことができる。
【0014】請求項3の発明では、上記課題を解決するための手段として、保冷庫本体1内を保冷するための蓄冷剤を内蔵した蓄冷器14を備えた保冷庫において、前記蓄冷器14による冷凍モードでの連続保冷運転回数Nに基づいて前記蓄冷器14への着霜量を推定する第2の着霜検知手段を付設している。
【0015】上記のように構成したことにより、次のような作用効果が得られる。
【0016】冷凍モードでの保冷運転を連続して行うと、保冷運転回数Nが多くなるに従って蓄冷器14への着霜が進行する。そこで、冷凍モードでの連続保冷運転回数Nに基づいて前記蓄冷器14への着霜量を推定するようにしている。従って、着霜検知専用のセンサーを用いることなく、蓄冷器14への着霜検知を的確且つ低コストで行うことができる。
【0017】請求項4の発明におけるように、請求項1、2および3のいずれか一項記載の保冷庫において、前記第1あるいは第2の着霜検知手段によって着霜量が所定量以上であると推定された時に霜取り時期の到来を知らせる霜取り時期表示手段34を付設した場合、蓄冷器14への着霜量が多くなって霜取り時期が到来したことを霜取り時期表示手段34によりユーザが確認できることとなり、霜取り時期を看過するということがなくなる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、添付の図面を参照して、本願発明の好適な実施の形態について詳述する。
【0019】この保冷庫は、トラック等に積載して輸送されるものであり、図1および図2に示すように、断熱構造の保冷庫本体1と、該保冷庫本体1の開口部4を開閉する扉2と、前記保冷庫本体1に配設された冷凍装置3とを備えて構成されている。
【0020】前記保冷庫本体1は、前面に荷物を出し入れするための開口部4を有する縦長直方体の箱形状とされており、荷物を収納するための保冷室5と該保冷室5の天板上方に区画形成され且つ蓋カバー7により覆われた機械室6とを備えている。符号8は機械室6へ空気を吸い込むための空気吸込口、9は機械室6から空気を吹き出すための空気吹出口、10は保冷庫を移動させるためのキャスタである。
【0021】前記保冷庫本体1における保冷室5の外壁は、合成樹脂製(例えば、FRP製)の内外板間に断熱材を充填してなる断熱構造とされている。
【0022】また、前記扉2は、閉操作時に保冷庫本体1の開口部4にはめ込まれる構成とされており、前記保冷庫本体1と同様に合成樹脂製(例えば、FRP製)の内外板間に断熱材を充填してなる断熱構造とされている。そして、この扉2は、前記開口部4の右側口縁に対してヒンジ11,11により開閉自在に枢支されている。また、この扉2の閉止状態を保持するためのロック装置12は、前記開口部4における上下口縁と扉2の上下端部とに設けられている。
【0023】前記冷凍装置3は、図3に示すように、圧縮機15、凝縮器16、減圧機構として作用する膨張弁17および蓄冷器14を順次冷媒配管を介して接続して構成されている。符号18は凝縮器16を冷却する冷却ファン、19はドレンパンである。
【0024】前記冷凍装置3には、圧縮機15の過熱を防止する手段として、凝縮器16の出口側の液冷媒を圧縮機15の中間ポート15aへインジェクションするリキッドインジェクション回路25が設けられており、該リキッドインジェクション回路15には、電磁弁26およびキャピラリチューブ27が介設されている。
【0025】そして、前記冷凍装置3においては、圧縮機15で圧縮された冷媒を凝縮器16で凝縮液化し、膨張弁17により減圧した後、蓄冷器14で蒸発させ、このときの蒸発潜熱により前記蓄冷器14の蓄冷剤を冷却することにより蓄冷することとなっている。符号28は蓄冷器14における蓄冷剤の温度Tfを検出するための蓄冷剤温度検出手段として作用する蓄冷剤温度センサーである。なお、この冷凍装置13の運転は、配送ターミナルにおける保管倉庫においてのみ行われ、輸送時においては冷凍装置3の運転を行わず、蓄冷器14に蓄冷された冷熱により保冷庫内に収納された荷物の保冷を行うこととなっている。
【0026】前記保冷庫本体1における保冷室5の外壁には、上下方向に3段に分けて両側面から背面にかけて連続する補強用突部20,20,20が形成されている。
【0027】また、前記扉2にも、前記保冷庫本体1側の補強用突部20,20,20とそれぞれ連続する補強用突部21,21,21が形成されている。
【0028】さらに、前記保冷庫本体1側の補強用突部20,20,20のうちの中段に位置する補強用突部20には、前記開口部4の口縁部となる部位の角部および保冷庫本体1の背面両側となる部位の角部には、保冷庫を移動させる際に把持される把手22がそれぞれ設けられている。
【0029】また、本実施の形態においては、前記保冷庫本体1の外壁および扉2には、上段側の補強用突部20,21および下段側の補強用突出20,21の下側に隣接するようにして該補強用突部20,21より外方に突出する緩衝ゴム23,24が取り付けられている。
【0030】上記構成の保冷庫における機械室6の蓋カバー7の前面には、操作銘板29が設けられている。該操作銘板29には、図4に示すように、冷蔵モードでの保冷運転中であることを表示する冷蔵モード表示部30、冷凍モードでの保冷運転中であることを表示する冷凍モード表示部31、凍結中であることを表示する凍結中表示部32、凍結完了状態にあることを表示する凍結完了表示部33、霜取時期であることを表示する霜取時期表示部34および温度表示を行う温度表示部35が設けられている。
【0031】また、上記構成の保冷庫には、図5に示すように、庫内温度検出手段として作用する庫内温度センサー36および蓄冷剤温度センサー28からの検出温度Ti,Tfが入力され、各種の演算処理を行って、制御信号を霜取時期表示手段である霜取時期表示部34に出力するコントローラ37が付設されている。
【0032】前記コントローラ37は、例えばマイクロコンピュータユニットからなっており、前記蓄冷剤温度センサー28により検出された蓄冷剤温度Tfが所定温度(例えば、−3℃)より低い時における前記庫内温度センサー36により検出された庫内温度Tiと前記蓄冷剤温度センサー28により検出された蓄冷剤温度Tfとの温度差(Ti−Tf)が所定値(例えば、6℃あるいは8℃)以上となっている時間fa(n)の積算値fb(n)(換言すれば、前記保冷庫本体1の扉2の開扉時間を積算して得られる開扉積算時間)に基づいて前記蓄冷器14への着霜量を推定する第1の着霜検知手段としての機能と、前記蓄冷器14による冷凍モードでの連続保冷運転回数Nに基づいて前記蓄冷器14への着霜量を推定する第2の着霜検知手段としての機能と、前記第1あるいは第2の着霜検知手段によって着霜量が所定量以上であると推定された時に霜取り時期の到来を知らせるべく霜取り時期表示手段として作用する霜取り時期表示部34に表示信号を出力する手段としての機能とを有している。
【0033】ついで、図6ないし図8に示すフローチャートを参照して、本実施の形態にかかる保冷庫における着霜検知制御について詳述する。
【0034】(I) 第1の着霜検知制御(図6のフローチャート参照)
ステップS1において蓄冷剤温度センサー28および庫内温度センサー36からの蓄冷剤温度Tfおよび庫内温度Tiがコントローラ37に500ms毎に入力されると、ステップS2において蓄冷剤温度Tfと第1の所定温度(例えば、−3℃)との比較がなされる。ここで、Tf<−3℃と判定された場合には、ステップS3に進み、蓄冷剤温度Tfと第2の所定温度(例えば、−7℃)との比較がなされる。ここで、Tf<−7℃と判定された場合には、ステップS4に進み、庫内温度Tiと蓄冷剤温度Tfとの温度差が6℃を超えている時間の1倍が今回の時間fa(n)として算出される。一方、ステップS3においてTf≧−7℃と判定された場合には、ステップS5に進み、庫内温度Tiと蓄冷剤温度Tfとの温度差が8℃を超えている時間の0.6倍が今回の時間fa(n)として算出される。
【0035】上記したように、蓄冷剤温度Tfが−7℃より低い場合には、蓄冷器14への着霜が起こり易いため庫内温度Tiと蓄冷剤温度Tfとの温度差が6℃を超えている時間fa(n)を扉2が開かれて庫内温度Tiが上昇した時間として捕らえ、蓄冷剤温度Tfが−7℃以上であって−3℃より低い場合には、蓄冷器14への着霜が起こり難いため庫内温度Tiと蓄冷剤温度Tfとの温度差が8℃を超えている時間の0.6倍であるfa(n)を扉2が開かれて庫内温度Tiが上昇した時間として捕らえている。なお、fa(n)<0の場合には、fa(n)=0とする。
【0036】上記のようにしてステップS4およびステップS5において求められた時間fa(n)は、ステップS6において前回までの積算値fb(n−1)に加算されて今回の積算値fb(n)とされる。ちなみに、5月31日6時から6月2日0時までの庫内温度Tiおよび蓄冷剤温度Tfの変化を調べたところ、図9にしめすように、扉2が開閉された時刻(即ち、5月31日12時から5月31日18時まで、6月1日9時、6月1日18時)においてTi−Tf>6℃となっており、上記のようにして得られた積算値fb(n)は、図9における斜線部分の面積となるのである。なお、ステップS2においてTf≧−3℃と判定された場合には、蓄冷器14への着霜が生じないので、ステップS7に進み、積算値fb(n)を0にされる(リセットされる)。
【0037】ステップS8においては積算値fb(n)と所定値(例えば、1800000)との比較がなされ、ここで、fb(n)<1800000と判定された場合には、ステップS9において着霜検知フラッグF0=0のままとされるが、fb(n)≧1800000と判定された場合には、ステップS10において着霜検知フラッグF0=1とされる。つまり、蓄冷器14への着霜検知がなされるのである。
【0038】上記着霜検知においては、庫内温度と蓄冷剤温度との温度差が所定値以上となっている時間の積算値を扉が開かれている時間の積算値に置き換えているが、扉が実際に開かれている時間を測定し、その積算値に基づいて着霜検知を行うようにしてもよい。また、上記説明では、開扉積算時間に基づいて着霜量を推定するようにしているが、開扉積算時間が所定時間を超えた時点で霜取り時期の到来を判断するようにしてもよい。
【0039】(II) 第2の着霜検知制御(図7のフローチャート参照)
ステップS1において蓄冷運転中ではないと判定され、ステップS2において保冷運転開始から3時間が経過したと判定され、ステップS3において保冷運転が冷凍モードで行われたと判定されると、ステップS4において保冷回数Nが1回加算される。ステップS5においては保冷回数Nと所定値(例えば、10回)との比較がなされ、ここで、N≧10と判定された場合には、ステップS6に進み、霜取り警告フラッグFを生成する。ついで、ステップS7において蓄冷剤温度センサー28からの蓄冷剤温度Tfがコントローラ37に入力され、ステップS8において蓄冷剤温度Tfと設定温度(例えば、3℃)との比較がなされる。ここで、Tf≧3℃と判定された場合には、蓄冷器14が洗浄されて霜取りが行われたことを示しているので、ステップS9に進み、保冷回数Nを0とされるとともに、霜取り警告フラッグFがリセットされ、その後ステップS1へリターンされる。
【0040】また、ステップS1において肯定判定され、ステップS2、S3およびS5において否定判定された場合には、ステップS7に進み、その後の制御が繰り返される。さらに、ステップS8において否定判定された場合にもそのままステップS1へリターンされる。
【0041】つまり、保冷回数Nが10回に到達した時点で霜取り警告フラッグFが生成されることとなるのである。
【0042】上記着霜検知においては、蓄冷器14による冷凍モードでの連続保冷運転回数Nに基づいて蓄冷器14への着霜量を推定するようにしているが、連続保冷運転回数がN所定値(例えば、10回)以上となった時点で霜取り時期の到来と判断してもよい。
【0043】(III) 霜取り警告フラッグの生成(図8のフローチャート参照)
ステップS1において霜取り表示が無効(換言すれば、霜取り表示の必要がない)か否かの判定がなされ、ここで否定判定された場合には、ステップS2に進み、第2の着霜検知制御における保冷回数Nと所定値(例えば、10回)との比較がなされ、ここでN≧10と判定された場合には、ステップS6において霜取り警告フラッグF=1とされ、ステップS7において霜取り警告表示灯(即ち、霜取り時期表示部34)が点灯され、その後ステップS1へリターンされる。
【0044】一方、ステップS2においてN<10と判定された場合には、ステップS3に進み、第1の着霜検知制御における着霜検知フラッグF0=1であるか否かの判定がなされ、ここで肯定判定されると、ステップS6に進んで、上記と同様な制御が行われるが、否定判定された場合には、ステップS4に進み、霜取り警告フラッグF=0とされ、ステップS5において霜取り警告表示灯(即ち、霜取り時期表示部34)が消灯され、その後ステップS1へリターンされる。なお、ステップS1において肯定判定された場合にも、ステップS4に直接進み、以後の制御が実行される。
【0045】つまり、第2の着霜検知制御において保冷回数Nが10回以上になるが、第1の着霜検知制御において着霜検知フラッグF0が1となるかすると、霜取り警告フラッグFが生成され、霜取り警告表示灯(即ち、霜取り時期表示部34)が点灯されて、霜取り時期が知らされることとなるのである。
【0046】上記したように、本実施の形態においては、次のような作用効果が得られるのである。
【0047】第1の着霜検知制御においては、蓄冷剤温度Tfが所定温度−3℃(あるいは、−7℃)より低い時に扉2が開かれると、外気の庫内への侵入により蓄冷器14に霜が付着するという現象が起こるので、扉2が開かれている時間と蓄冷器14への着霜の進行との間には相対関係が存することに着目し、既存の庫内温度センサー34および蓄冷剤温度センサー28からの検出温度Ti,Tfの差が所定値以上となっている時間fa(n)を積算して得られた積算値fb(n)を、保冷庫本体1の扉2の開扉積算時間とし、該積算値fb(n)が所定値(例えば、1800000)に達した時点で前記蓄冷器14への着霜が限界に達したと判断するようにしている。従って、着霜検知専用のセンサーを用いることなく、蓄冷器14への着霜検知を的確且つ低コストで行うことができる。
【0048】一方、第2の着霜検知制御においては、冷凍モードでの保冷運転を連続して行うと、保冷運転回数Nが多くなるに従って蓄冷器14への着霜が進行するBSI着目し、冷凍モードでの連続保冷運転回数Nが所定値(例えば、10回)以上となった時点で前記蓄冷器14への着霜が限界に達したと判断するようにしている。従って、着霜検知専用のセンサーを用いることなく、蓄冷器14への着霜検知を的確且つ低コストで行うことができる。
【0049】しかも、蓄冷器14への着霜が限界に達して霜取り時期が到来したことを霜取り時期表示手段34によりユーザが確認できるようになっているので、霜取り時期を看過するということがなくなる。
【0050】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、保冷庫本体1内を保冷するための蓄冷剤を備えた蓄冷器14と、前記保冷庫本体1内の庫内温度Tiを検出する庫内温度検出手段36と、前記蓄冷器14における蓄冷剤温度Tfを検出する蓄冷剤温度検出手段28とを備えた保冷庫において、前記蓄冷剤温度検出手段28により検出された蓄冷剤温度Tfが所定温度より低い時における前記保冷庫本体1の扉2の開扉時間を積算し、該開扉積算時間に基づいて前記蓄冷器14への着霜量を推定する第1の着霜検知手段を付設して、扉2が開かれている時間と蓄冷器14への着霜の進行とに相対関係があることに着目し、扉2が開かれている開扉時間を積算し、該開扉積算時間に基づいて蓄冷器14への着霜量を推定するようにしているので、着霜検知専用のセンサーを用いることなく、蓄冷器14への着霜検知を的確且つ低コストで行うことができるという効果がある。
【0051】請求項2の発明におけるように、請求項1記載の保冷庫において、前記開扉積算時間を、前記庫内温度検出手段36により検出された庫内温度Tiと前記蓄冷剤温度検出手段28により検出された蓄冷剤温度Tfとの温度差が所定値以上となっている時間の積算値とした場合、既存の庫内温度検出手段36および蓄冷剤温度検出手段28からの検出温度Ti,Tfの差が所定値以上となっている時間を積算して得られた積算値を、保冷庫本体1の扉2の開扉積算時間とすることができるため、着霜検知専用のセンサーを用いることなく、蓄冷器14への着霜検知を的確且つ低コストで行うことができる。
【0052】請求項3の発明によれば、保冷庫本体1内を保冷するための蓄冷剤を内蔵した蓄冷器14を備えた保冷庫において、前記蓄冷器14による冷凍モードでの連続保冷運転回数Nに基づいて前記蓄冷器14への着霜量を推定する第2の着霜検知手段を付設して、冷凍モードでの保冷運転を連続して行うと、保冷運転回数Nが多くなるに従って蓄冷器14への着霜が進行することに着目し、冷凍モードでの連続保冷運転回数Nに基づいて蓄冷器14への着霜量を推定するようにしているので、着霜検知専用のセンサーを用いることなく、蓄冷器14への着霜検知を的確且つ低コストで行うことができるという効果がある。
【0053】請求項4の発明におけるように、請求項1、2および3のいずれか一項記載の保冷庫において、前記第1あるいは第2の着霜検知手段によって着霜量が所定量以上であると推定された時に霜取り時期の到来を知らせる霜取り時期表示手段34を付設した場合、蓄冷器14への着霜量の増大によって霜取り時期が到来したことを霜取り時期表示手段34によりユーザが確認できることとなり、霜取り時期を看過するということがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施の形態にかかる保冷庫の側面図である。
【図2】本願発明の実施の形態にかかる保冷庫の正面図である。
【図3】本願発明の実施の形態にかかる保冷庫における冷凍装置の冷媒系統図である。
【図4】本願発明の実施の形態にかかる保冷庫における操作銘板の拡大正面図である。
【図5】本願発明の実施の形態にかかる保冷庫における制御系のブロック図である。
【図6】本願発明の実施の形態にかかる保冷庫における第1の着霜検知制御の内容を示すフローチャートである。
【図7】本願発明の実施の形態にかかる保冷庫における第2の着霜検知制御の内容を示すフローチャートである。
【図8】本願発明の実施の形態にかかる保冷庫における霜取り警告フラッグの生成過程を示すフローチャートである。
【図9】本願発明の実施の形態にかかる保冷庫における庫内温度と蓄冷剤温度との経時変化を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1は保冷庫本体、2は扉、14は蓄冷器、28は蓄冷剤温度検出手段(蓄冷剤温度センサー)、34は霜取り時期表示部(霜取り警告表示灯)、36は庫内温度検出手段(庫内温度センサー)、Nは連続保冷運転回数、Tiは庫内温度、Tfは蓄冷剤温度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 保冷庫本体(1)内を保冷するための蓄冷剤を備えた蓄冷器(14)と、前記保冷庫本体(1)内の庫内温度(Ti)を検出する庫内温度検出手段(36)と、前記蓄冷器(14)における蓄冷剤温度(Tf)を検出する蓄冷剤温度検出手段(28)とを備えた保冷庫であって、前記蓄冷剤温度検出手段(28)により検出された蓄冷剤温度(Tf)が所定温度より低い時における前記保冷庫本体(1)の扉(2)の開扉時間を積算し、該開扉積算時間に基づいて前記蓄冷器(14)への着霜量を推定する第1の着霜検知手段を付設したことを特徴とする保冷庫。
【請求項2】 前記開扉積算時間を、前記庫内温度検出手段(36)により検出された庫内温度(Ti)と前記蓄冷剤温度検出手段(28)により検出された蓄冷剤温度(Tf)との温度差が所定値以上となっている時間の積算値としたことを特徴とする前記請求項1記載の保冷庫。
【請求項3】 保冷庫本体(1)内を保冷するための蓄冷剤を内蔵した蓄冷器(14)を備えた保冷庫であって、前記蓄冷器(14)による冷凍モードでの連続保冷運転回数(N)に基づいて前記蓄冷器(14)への着霜量を推定する第2の着霜検知手段を付設したことを特徴とする保冷庫。
【請求項4】 前記第1あるいは第2の着霜検知手段によって着霜量が所定量以上であると推定された時に霜取り時期の到来を知らせる霜取り時期表示手段(34)を付設したことを特徴とする前記請求項1、2および3のいずれか一項記載の保冷庫。

【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図9】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2002−130917(P2002−130917A)
【公開日】平成14年5月9日(2002.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−325834(P2000−325834)
【出願日】平成12年10月25日(2000.10.25)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】