説明

保護されたアミジンの製造方法

本発明は、式(I)


[式中、Rは、例えば、C1−10アルキル(置換されていてもよい)、アリール、C1−3アルキルアリールまたはC1−3アルキルオキシアリールを表す]
の保護されたアミジン基の調製方法であって、式(III):HS−R−C(O)−Z[式中、Zは−(1−4C)アルキル、−OH、−O−(1−4C)アルキル、−SH、−S(1−4C)アルキル、−NH、−NH(1−4C)アルキルまたは−N[(1−4C)アルキル]であり;Rは、(1−2C)アルキル(置換されていてもよい)であり;または、ZおよびRyは連結して、式(IV)


{式中、Xは、−CH−、−O−、−NH−または−N(1−4C)アルキルであり;pは、1または2であり;mは1または2であり;および、Rzは、H、(1−4C)アルキル、ハロおよびアミノから独立に選択される}の5または6員環を形成する]のチオ−ケト活性化剤の存在下、ニトリル含有化合物を式(II):RONH[式中、Rは(I)について既に定義したとおりである]のオキシアミンと反応させることを含む前記方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、特定の保護されたアミジン(例えばアルコキシアミジンなど)のニトリルからの新たな製造方法に関する。当該方法は、例えば、電子供与基または電子吸引基を有するベンゾニトリルを用いて行われてもよく、例えば、トロンビン阻害剤の製造に使用するための、例えば中間体の製造において有用である。当該方法は、そのような化合物の別の製造方法と比較して、改善されており有利である。
【0002】
アミジン部分は、トリプシン様プロテアーゼ(トロンビンなど)の新たな拮抗阻害剤の治療活性において重要である。メラガトランなどのアミジンの直接的トロンビン阻害剤の経口でのバイオアベイラビリティーの改善のために、アミジン基は、例えば、ヒドロキシアミジン基(キシメラガトランなどにおいて)またはアルコキシアミジン基として、保護されてもよい。投与されれば、当該ヒドロキシ−またはアルコキシ−アミジンは、「生体内で」アミジン基に還元される。
【0003】
トリプシン様プロテアーゼ(トロンビンなど)の拮抗阻害剤である、または代謝されて当該化合物となる、メラガトラン以外の化合物の例は、国際特許出願番号PCT/SE01/02657(WO02/44145)に記載されている。この出願は、例えば、式IA:
【0004】
【化1】

【0005】
[式中、
は、1以上のフルオロ置換基により置換されたC1−2アルキルを表し;
は、C1−2アルキルを表し;および
nは、0、1または2を表す]
の化合物を開示し;および以下の2つの化合物:
(a)Ph(3−Cl)(5−OCHF)−(R)CH(OH)C(O)−(S)Aze−Pab(OMe):
【0006】
【化2】

【0007】
(当該化合物は、以下、化合物Aとして言及される);
(b)Ph(3−Cl)(5−OCHF)−(R)CH(OH)C(O)−(S)Aze−Pab(2,6−ジF)(OMe):
【0008】
【化3】

【0009】
(当該化合物は、以下、化合物Bとして言及される)
もまた開示する。
メトキシアミジンなどのアルコキシアミジンは、一般に多段階合成により調製され、最初にニトリルをアミジンまたはヒドロキシアミジンに変換し、その後、例えば、メトキシアミン塩酸塩を使用して、メトキシアミジンに変換する。しかし、この化学的手法は、ほとんどの基質において、特段満足できるものではなかった(例えば、収率または反応時間において)。したがって、アルコキシアミジンなどの保護されたアミジンの、より簡単でより効率的な製造方法が求められている。本発明の方法は、ニトリルから1工程でこの変換を行う点において有利である。当該方法はまた、酸に感受性の、または酸に感受性の基を有する、アルコキシアミジンなどの保護されたアミジンの製造に特に有用である。
【0010】
アミジンの製造は、例えば、WO98/09950に記載されており、そこでは、チオカルボン酸の存在下、ニトリルを、アンモニア、アルキルアミンまたはヒドラジンと反応させている。
【0011】
ニトリルからのヒドロキシアミジンの製造は、ヒドロキシアミンを使用して行うことができる。当該ヒドロキシアミジンのアルコキシアミジンへの変換には、大規模な製造の目的にはあまり適さないアルキル化の化学手法がさらに必要となる。
【0012】
メトキシアミジンなどのアルコキシアミジンの、アミジンからの合成は、例えば、メトキシアミンを使用して行うことができる。しかし、当該化学手法は、そもそもアミジン部分の変換を必要とする。保護された(例えばアルコキシ)アミジンの直接的なニトリルからの製造は知られていない。
【0013】
さらに、置換されていてもよいベンゾニトリルは、当該ニトリルで反応させるためには、一般に、塩酸などの強酸、またはトリメチルアルミニウムなどのなどのルイス酸により活性化させる必要がある。
【0014】
本発明の方法はこれらの問題を解決し、良好な収率で、塩酸などの強酸またはトリメチルアルミニウムなどのルイス酸を必要とせず、ニトリルから直接的に保護されたアミジンを調製する手法を提供する。以下説明するとおり、存在されると考えられ得る唯一の酸はチオカルボン酸であるが、この酸の酸性は当該反応を行うために必要ではない(当該反応は、エチル メルカプトアセテートを用いてほぼ同程度でおこることが示されている−実施例1を参照)。
【0015】
本発明の方法は特に、WO02/44145に記載された化合物、すなわち式IB
【0016】
【化4】

【0017】
[式中、R3aは、式I(i)またはI(ii)
【0018】
【化5】

【0019】
の構造断片を表し;
ここで、Rは−ORであり、Rは、C1−10アルキル、C1−3アルキルアリールまたはC1−3アルキルオキシアリール(後ろ2つの基の当該アルキル部分は、1以上の酸素原子が挿入されていてもよく、後ろ2つの基の当該アリール部分は、ハロ、フェニル、メチルまたはメトキシ(後ろ3つの基もまた1以上のハロ置換基により置換されていてもよい)から選択される1以上の置換基により置換されていてもよい)を表し;および
は、−OHまたは−CHOHを表し;
は、1以上の任意のハロ置換基を表し;
は、1または2のC1−3アルコキシ置換基を表し、当該置換基のアルキル部分は、それ自体1以上のフルオロ置換基により置換されており;
Yは、−CH−または−(CH−を表し;
は、Hまたは1以上のフルオロ置換基を表し;および
、X、XおよびXの1または2は−N−を表し、その他は−CH−を表す]
の化合物などの、化合物の調製に適用可能である。
【0020】
そこで、本発明は、式(I):
【0021】
【化6】

【0022】
[式中、Rは、C1−10アルキル(ハロ、C1−4アルコキシ、ニトロ、C1−4アルキルアミンおよびジ−(C1−4アルキル)アミンから独立に選択される1以上の置換基により置換されていてもよい)、アリール、C1−3アルキルアリールまたはC1−3アルキルオキシアリール(後ろ2つの基の当該アルキル部分は、1以上の酸素原子が挿入されていてもよく、後ろ2つの基の当該アリール部分は、ハロ、フェニル、メチルまたはメトキシ(後ろ3つの基もまた1以上のハロ置換基により置換されていてもよい)から選択される1以上の置換基により置換されていてもよい)を表す]
の保護されたアミジン基の調製方法であり、
式(III)
HS−R−C(O)−Z (III)
[式中、Zは−(1−4C)アルキル、−OH、−O−(1−4C)アルキル、−SH、−S(1−4C)アルキル、−NH、−NH(1−4C)アルキルまたは−N[(1−4C)アルキル]であり;
は、(1−2C)アルキル(当該基は、(1−4C)アルキル、ハロ、アミノおよびアセチルアミノから独立に選択される3までの置換基により置換されていてもよい)であり;または
ZおよびRyは連結して、式(IV)
【0023】
【化7】

【0024】
{式中、Xは、−CH−、−O−、−NH−または−N(1−4C)アルキルであり;pは、1または2であり;mは1または2であり;および
Rzは、H、(1−4C)アルキル、ハロおよびアミノから独立に選択される}
の5または6員環を形成する]
のチオ−ケト活性化剤の存在下、ニトリル含有化合物を式(II)
ONH (II)
[式中、Rは(I)について既に定義したとおりである]
のオキシアミンと反応させることを含む前記方法を提供する。
【0025】
保護されたアミジンにより、我々は、式(I)
【0026】
【化8】

【0027】
[式中、Rは、C1−10アルキル(ハロ、C1−4アルコキシ、ニトロ、C1−4アルキルアミンおよびジ−(C1−4アルキル)アミンから独立に選択される1以上の置換基により置換されていてもよい)、アリール、C1−3アルキルアリールまたはC1−3アルキルオキシアリール(後ろ2つの基の当該アルキル部分は、1以上の酸素原子が挿入されていてもよく、後ろ2つの基の当該アリール部分は、ハロ、フェニル、メチルまたはメトキシ(後ろ3つの基もまた1以上のハロ置換基により置換されていてもよい)から選択される1以上の置換基により置換されていてもよい)を表す]
のアミジン部分を意味する。
【0028】
よって、オキシアミンは、式(II)
ONH (II)
[式中、Rは(I)について既に定義したとおりである]
の化合物である。
【0029】
が表しうるアルキルオキシアリール基は、酸素原子により連結するアルキルおよびアリール基を含む。アルキルアリール(例えば、ベンジル)およびアルキルオキシアリール基は、分子の残りの部分とそれらの基のアルキル部分を介して連結し、当該アルキル部分は分枝鎖であってもよい(十分な数(すなわち3)の炭素原子が存在する場合)。Rが表しうる、または置換されうる、アリール、およびアルキルアリールおよびアルキルオキシアリール基のアリール部分は、例えば、フェニル、ナフチル、ピリジニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアジアゾリル、インドリルおよびベンゾフラニルなどの炭素環およびヘテロ環芳香族基を含む。
【0030】
が表しうるアルキル基は直鎖であってもよく、または十分な数(すなわち、少なくとも3)の炭素原子がある場合は、直鎖であってもよく、および/または環状であってもよい。さらに、十分な数(すなわち、少なくとも4)の炭素原子がある場合は、当該アルキル基は部分的に環状/非環状であってもよい。当該アルキル基はまた、飽和であってもよく、または十分な数(すなわち、少なくとも2)の炭素原子がある場合は、不飽和であってもよい。
【0031】
が置換されうるハロ基には、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードが含まれ、特にFまたはClである。
の特定に意義は、C1−4アルキル、とりわけメチルおよびエチル、およびフェニルである。
【0032】
ニトリル含有化合物には、保護されたアミジン基が導入される最終分子の全体、または一部を形成する、ニトリル基を含む任意の分子が含まれる。好適なニトリル含有化合物には、芳香族ニトリル(例えば、置換されていてもよいシアノ−ベンゼン化合物など)、ヘテロ芳香族ニトリル、ヘテロ環状ニトリル、アルキルニトリル(例えば、置換されていてもよい(1−4C)アルキル鎖、例えば、置換されていてもよいベンジルニトリル)および環状アルキルニトリル(例えば、置換されていてもよい(3−5C)シクロアルキル環)が含まれる。
【0033】
ヘテロ芳香族ニトリルには、N、OおよびSから独立に選択される1〜3のヘテロ原子を含む芳香族環系が含まれる。ヘテロ環状ニトリルには、N、OおよびSから独立に選択される1〜3のヘテロ原子を含む非芳香族環が含まれる。
【0034】
ニトリル含有化合物における任意の環は、調製される最終分子の部分を形成する他の基(複数でもよい)により置換されていてもよく、例えば、利用可能な炭素原子上を、ハロ、(1−4C)アルキルおよび(1−4C)アルコキシから独立に選択される3まで(好ましくは1)の置換基により置換されていてもよい。
【0035】
チオ−ケト活性化剤は、式(III)
HS−R−C(O)−Z (III)
[式中、Zは、 −(1−4C)アルキル、−OH、−O−(1−4C)アルキル、−SH、−S(1−4C)アルキル、−NH、−NH(1−4C)アルキルまたは−N[(1−4C)アルキル]であり;
は、(1−2C)アルキル(当該基は、(1−4C)アルキル、ハロ、アミノおよびアセチルアミノから独立に選択される3までの置換基により置換されていてもよい)であり;または
ZおよびRyは連結して、式(IV)
【0036】
【化9】

【0037】
{式中、
Xは、−CH−、−O−、−NH−または−N(1−4C)アルキルであり;pは、1または2であり;mは、1または2であり、および
Rzは、H、(1−4C)アルキル、ハロおよびアミノから独立に選択される}
の5または6員環を形成する]
である。
【0038】
式(III)または(IV)のチオ−ケト活性化剤はニトリル基を活性化すると考えられ、ケトおよびチオールの官能性の間の水素結合がこの点において重要であると思われる。チオ−ケト活性化剤は、一般に、当量(すなわち、ニトリル化合物とほぼ同じモル数)で使用されるが、ニトリル化合物:チオ−ケト活性化剤のモル比がより低い(例えば、1:0.5)およびより高い(例えば、1:1.5)であっても、反応は十分に進行する。
【0039】
式(III)のチオ−ケト活性化剤には、(α)−チオカルボン酸、等価のエステル(例えば、メチルまたはエチルエステル)、およびシステイン(両性イオン性)などのアミノ酸またはN−アセチルシステインが含まれる。好ましいチオ−ケト活性化剤は、Zが−OHまたは−O−(1−4C)アルキルである式(III)の化合物、特にメルカプト酢酸である。
【0040】
式(III)または(IV)の特定のチオ−ケト活性化剤はまた、適当な塩の形態で使用されうる。
この出願に開示される特定の試薬および生成物は互変異性を示しうる。全ての互変異性体およびその混合物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0041】
本発明の方法は、任意の好適な溶媒、例えば、アルコール(メタノールまたはエタノールまたはn−ブタノールなど)、アセテート(酢酸エチルなど)、水または当該溶媒の混合液などの中で行われる。利用可能な別の溶媒は、芳香族溶媒、含クロロ溶媒および含酸素溶媒(エーテルなど)である。
【0042】
本発明の方法は、任意の好適な温度、例えば、反応混合物の還流温度で行われる。
本発明の製造方法の最中に不純物/副生成物を形成させる場合がある金属イオン不純物(鉄イオンなど)をキレート化させるために、金属キレート剤(例えば、EDTA)を加えてもよい。
【0043】
NaOH、トリエチルアミンまたはN−メチルモルホリンなどの塩基は、例えば、本発明の製造方法の最中にオキシアミンの塩形態を脱保護するために使用されうる。
特定のニトリル含有化合物および/または特定のチオ−ケト活性化剤において、本発明の製造方法の最中に保護が必要な場合がある基(例えば、アミノ基)が存在しうることは了解されるべきである。当該基は、適切な場合は、保護されたアミジン官能性の形成後に脱保護されうる。よって、例えば、アミノ基は、Boc、メシレート、トシレートまたはベンジルなどの標準的な保護基を使用して保護されてもよい。当該基は標準的技術を使用して除去されうる。
【0044】
本発明の方法の具体的な説明を、ベンゾニトリルについての以下のスキーム1に示す(他の基質および試薬も使用されうる):
【0045】
【化10】

【0046】
R=置換されていてもよい(1−10C)アルキル、フェニルまたはベンジル;
R’=Hまたは(1−10C)アルキル;
n=0、1、2または3;
=H、ハロゲン、置換されていてもよい(1−4C)アルキル、芳香族基、または保護されたアミジン基が存在する(存在することになる)化合物全体または一部を形成する任意の基(または基の組み合わせ)。
【0047】
RおよびR’は、同一でも異なっていてもよく;nが2または3の場合、各Rは同一でも異なっていてもよい。
スキーム1のR基の例には、以下の式II
【0048】
【化11】

【0049】
[式中、R2は、例えば、H、Bocまたは式III
【0050】
【化12】

【0051】
の基である]
の基が含まれる。
nが1の場合、好ましい反応は、化合物Aの調製における使用に好適な以下の生成物(ここで、Rはメチル(化合物の命名中ではMe)またはエチルである)を製造する反応である。
(a) Pab(OMe)
【0052】
【化13】

【0053】
(b) Boc−Pab(OMe)
【0054】
【化14】

【0055】
(c) Aze−Pab(OMe)
【0056】
【化15】

【0057】
(d) Boc−Aze−Pab(OMe)
【0058】
【化16】

【0059】
nが3の場合、好ましい反応は、化合物Bの調製における使用に好適な以下の生成物(ここで、Rはメチル(化合物の命名中ではMe)またはエチルである)を製造する反応である。
(a) (2,6−ジF)Pab(OMe)
【0060】
【化17】

【0061】
(b) Boc−(2,6−ジF)Pab(OMe)
【0062】
【化18】

【0063】
(c) Aze−(2,6−ジF)Pab(OMe)
【0064】
【化19】

【0065】
(d) Boc−Aze−(2,6−ジF)Pab(OMe)
【0066】
【化20】

【0067】
化合物AおよびBの調製のために、Aze−Pab(OMe)およびAze−(2,6−ジF)Pab(OMe)は、各々、3−クロロ−5−ジフルオロメトキシマンデル酸(当該化合物自体は、例えば、以下のスキームAに従って調製されうるものであり、ここで、当業者である化学者は関連する変換を行うことができるであろう。目的のキラルなマンデル酸は、例えば、キラル/ラセミ混合物からの分割により入手されうる。)と(標準的な条件を使用して)カップリングされうる。
【0068】
【化21】

【0069】
実施例
本発明を、以下の非限定的実施例により説明する。ここで、
Aze=(S)−アゼチジン−2−カルボキシレート(他に特定がなければ)
Boc=tert−ブトキシカルボニル
CBA=para−シアノベンジルアミン
Pab=para−アミジノベンジルアミノ
EDC=1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
TBTU=[N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウム テトラフルオロボレート]
TCTU=N−[(1H−6−クロロベンズトリアゾール−1−イル) (ジメチルアミノ)メチレン]−N−メチルメタンアミニウム テトラフルオロボレート N−オキシド
HBTU=N−[(1H−ベンズトリアゾール−1−イル) (ジメチルアミノ)メチレン]−N−メチルメタンアミニウム ヘキサフルオロホスフェート N−オキシド
HCTU=N−[(1H−6−クロロベンズトリアゾール−1−イル) (ジメチルアミノ)メチレン]−N−メチルメタンアミニウム ヘキサフルオロホスフェート N−オキシド
PyBOP=ベンゾトリアゾール−1−イル−N−オキシ−トリス(ピロリジノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート
実施例1
メトキシアミン塩酸塩(0.88g、10.4mmol)を、エタノール(20ml)中でトリエチルアミン(1.45ml、10.4mmol;またはメトキシアミン塩酸塩に対してわずかに過剰のトリエチルアミンを使用してもよい)と混合した。3,5−ジフルオロベンゾニトリル(0.5ml、4.9mmol)およびメルカプト酢酸(0.34ml、4.9mmol)を加え、混合物を加熱還流し、約6〜12時間そのままにした。反応を冷却し、減圧下濃縮した。
【0070】
その他のN’−メトキシアリールアミジンは、N’−メトキシベンズアミジンの合成についての上記記載に類似する方法により調製した。それらを表1に示す。
実施例1での全ての反応についてのワークアップの一般的方法:
残渣を酢酸エチルに溶解させ、5%w/wのNaCO水溶液で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、濃縮し、シリカカラムにかけた。生成物を、ジクロロメタンおよびメタノール、エタノールまたは酢酸エチルの混合液で抽出した。溶媒の留去の後に、粗精製のN’−メトキシアリールアミジンを油状物または固体の残渣として得た。
【0071】
収率は、精製前の反応混合物中の予想される生成物のGC面積%による変換率として示す。ただし、例外として、Boc−Aze−(2,6−ジF)CBAおよび Boc−Aze−CBAではHPLCを使用した。構造は、GC−もしくはLC−MSおよび/またはNMRのいずれかにより、実施例1に記載の一般的精製方法により得た単離した物質について確認した。
【0072】
【表1】

【0073】
本発明の方法を使用して、Boc−CBAのBoc−Pab(OMe)への変換は、エタノール(実施例2)中で行われ、Boc−Aze−CBAのBoc−Aze−Pab(OMe)への変換は、メタノールまたはエタノール(実施例3)のいずれかを溶媒として行われる。両方の基質を用いた場合に、メルカプト酢酸触媒を使用して良好な変換率が得られた。
【0074】
【化22】

【0075】
実施例2
Pab(OMe)は以下に示すとおりCBA.HClから調製した。
【0076】
【化23】

【0077】
工程1:CBA HCl塩のtert−ブトキシカルボニル化(Boc−CBAを与える)
4−シアノベンジルアミン塩酸塩(CBA HCl)(200g、1.19mol)を、マントルヒ―ターの温度を25℃とした5L反応容器中で、1.25Lの蒸留した脱イオン水(6.25volumes(vol))に溶解させた。25℃で、15分以内に当該溶液は透明になった。透明な溶液に400mLの水中の52g(1.1eq)のNaOHの溶液を加えた。当該溶液は10〜15mL/分の速度で加えた。少しの温度上昇(〜3℃)が観測された。添加中に多量の析出物(遊離のアミン)が生じた。添加後、混合物のpHは>12であった。
【0078】
MeOH(200ml)中のBocO(285g、1.30mol、1.1eq.)を、当該白色の懸濁液に〜10mL/分の平均速度で滴下して加えた。添加中に二酸化炭素の発生と少しの温度上昇(30分間で5℃)が観測された。添加を継続すると、不溶のアミンが不溶のBocで保護されたアミンに変換されるのに伴って、スラリー/懸濁液の稠度が変化した。
【0079】
反応後、反応容器の上澄みからサンプルを採取し、出発物質のキャリブレーション用曲線と出発物質のピーク面積を比較した(HPLCカラム:Symmetry Shield RP8、3.5μm、50mm;205および230nm−より詳細は実施例3を参照のこと)。
【0080】
BocOの添加の完了後6時間で98%の変換率となった。反応を一晩そのままとし、99%の変換率となった。スラリーを濾過し、固体を水(2×500ml)で洗浄した。当該物質を減圧下40℃で乾燥し、Boc−CBAを得た(265g、収率97%、純度98.7%、実施例3と同様のHPLC、BocOは検出されなかった)。
【0081】
工程2:Boc−CBAのメトキシアミジン化(Boc−Pab(OMe)を与える)
5L反応容器にNを吹き込み、EtOH(1.75L、7vol)を加えた.
以下の添加を行う間、Nを反応容器内に吹き込むようにした。Boc−CBA(250g、1.08 mol)をEtOHに加え、温度を55℃まで上昇させた。ほぼ完全に溶解した後に、トリエチルアミン(525mL、3.5eq)を加え、その後、NHOMe塩酸塩の30%w/w水溶液(599g、2eq.)を〜20mL/分の速度で滴下した(使用したNHOMe塩溶液は5重量%の過剰のHClをその中に有し、そのため当該試薬中の全てのHClを中和するためには3eq.の塩基が必要であった)。少しの発熱が観測され、添加の間は溶液は透明であった。
【0082】
α−メルカプト酢酸(77mL、1eq.)を加え、合計量〜3Lの少し不透明な混合物とした。マントルヒーターを注意深く90℃まで加熱し、還流状態(内部温度=78℃)となったとき、Nを止め、反応を一晩攪拌した。
【0083】
還流下21時間攪拌した後に、反応は変換率96%であった(HPLCカラム:Symmetry Shield RP8、3.5μm、50mm;230nm−より詳細は実施例3を参照のこと)。その後、反応混合物を40℃まで冷却し、アセトン(160ml、2eq.)を1分間かけて加えた。残存するNHOMeをクエンチするために、混合物を1時間放置した。その後、混合物を丸底フラスコに注ぎ、減圧下40℃でロータリーエバポレーターにより溶媒を除去した。残った残渣を、nBuOAc:HO(2:1)の混合物(3L)に溶解させ、25℃の反応容器(合計量=4.5L)に入れ、層を効率よく混合するために10分間攪拌した。
【0084】
放置して層が分離した後に、水層(2L、pH6)を除去した。有機層を1Lの水で洗浄し、水層を除去した(pH=4)。この後に、1Lの水中のKCO(297g、2eq.)の溶液で洗浄した(これは、メルカプト酢酸の除去に役立つ)。塩基性の水層を除去し、1Lの水による最後の洗浄を行った。水層を除去した後に、反応容器から有機層を取り出し、一晩保存した(合計量〜2.3L)。
【0085】
有機層を、ロータリーエバポレーターでnBuOAcの約半量(925mL)を除去することにより、共沸的に乾燥した。得られた混合物を反応容器(マントルヒーターの温度=30℃)に入れ、425mLのnBuOAcを加えた(nBuOAcの合計量=2L−0.925+0.425=1.5L=6vol)。この後に、440ml(1.75vol.)のEtOHを加えた。混合物を30℃に加熱し、Boc−Pab(OMe)の溶液を得た。
【0086】
上記反応は、エタノールの代わりに溶媒としてn−ブタノールを使用しても同様に行うことができる。
上記の工程1の反応により得られるBoc−CBAはまた、単離や精製をせずに、工程2のメトキシアミド化反応に使用することができる。
【0087】
工程3:Pab(OMe)の二塩酸塩を与えるtert−ブトキシカルボニルの脱保護
上記のBoc−Pab(OMe)のnBuOAc/EtOH溶液を撹拌し、濃HCl水溶液(12M、360mL、4eq.、工程2の収率100%に基づく)を、20分かけて滴下して加えた。添加の間に、ガスが発生し、温度がわずかに上昇した。懸濁液を35℃まで加熱し、4時間後、97%の変換率となって(HPLCカラム:Symmetry Shield RP8、3.5μm、50mm;230nm−より詳細は実施例3を参照のこと)、流動性のスラリーが形成した。混合物を1時間0℃に冷却し、その後さらに1時間0℃で冷却した。その後、物質を濾過し、結晶をnBuOAcおよびEtOH(それぞれ、690ml(2.3vol.)および210ml(0.7vol.))の混合液で洗浄し、その後nBuOAcを洗い落とすために900mL(3vol.)のEtOAcで洗浄した。生成物を減圧下40℃で乾燥し、237gのBoc−Aze−CBAの二塩酸塩(0.94mol、2工程で収率87%、実施例3と類似の方法によるHPLCにより、純度98.9%)を得た。
【0088】
上記脱保護は、HCl水溶液の代わりにHClガスを使用しても同様に行うことができる。
実施例2にしたがって調製したPab(OMe)は、その後、化合物Aを得るために、Ph(3−Cl)(5−OCHF)−(R)CH(OH)C(O)−Aze−Hとカップリングさせてもよい。
【0089】
実施例3
実施例2にしたがって調製したPab(OMe)はまた、Boc−Aze−Pab(OMe)を得るために、Boc−Azeとカップリングさせてもよい。あるいは、Boc−Aze−Pab(OMe)およびAze−Pab(OMe)は、以下のように調製してもよい。
【0090】
Boc−Aze−Pab(OMe)
Boc−Aze−CBA(2.02g、6.34mmol)を周囲温度でEtOH(14mL)に溶解させた。当該フラスコに、トリエチルアミン(3.1mL、3.5eq.)、30%MeONHxHCl(aq)(3.5g、2eq.)およびメルカプト酢酸(0.45mL、1eq.)を加えた。溶液を加熱還流し、そのまま一晩おいた。22時間還流後、反応は変換率97%(HPLC)であった。その後、混合物を40℃に冷却し、アセトン(0.95mL、2eq.)を加えた。混合物を30分間おいて、残ったMeONHをクエンチした。溶媒の量を減圧下ロータリーエバポレーターにより減少させた。残った残渣をn−BuOAc(16mL)およびEtOH(6mL)に溶解させた。さらなるエバポレーションの後に、水(15mL)を加え、層を分離した。有機層を、2M KCO溶液で二度(2×20mL)、および水で二度(2×20mL)洗浄した。生成物の溶液をNaSOで乾燥させ、乾固するまで濃縮した。残渣をn−BuOAc(11.2mL)およびEtOH(3.5mL)に溶解させ、次の工程で使用した。
【0091】
Aze−Pab(OMe)×2HCl
前の工程で得たBoc−Aze−Pab(OMe)の上記n−BuOAc/EtOH溶液に、濃HCl水溶液(12M、2.1mL、4eq.)を滴下して加えた。反応混合物を35℃まで加熱した。約3時間後、得られたスラリーをサンプリングし、HPLCにより分析し、変換率<99%であることを確認した。混合物を徐々に0℃まで冷却し、その後、少なくとも1時間0℃のままとした。その後、物質を濾過し、結晶を、n−BuOAc(5.3mL)およびEtOH(1.6mL)の混合液、その後、EtOAc(6.9mL)で洗浄した。生成物を減圧下40℃で乾燥し、1.50gのAze−Pab(OMe)の二塩酸塩(4.47mmol、2工程で収率70.6%、HPLCで純度99.0%)を得た。
【0092】
この2工程の反応を、最初の工程をMeOH中でも行い、24時間後の変換率が約90%、48時間後が95%であった。2工程後の単離収率は67%であった。
変換についてのHPLC:
反応は、Symmetry Shield RP8、50×4.6mm、3.5μmカラムを使用して観察した。移動相A(50mM NHPO−バッファーpH3)および移動相B(CHCN/50mM NHPO−バッファーpH3 70/30)。グラジエント100%A(10分間)、0〜100%B(10分間)、100%B(1分間)、0%A(4分間)。流速1.5mL/分、230nm。
【0093】
Pab(OMe)x2HClの純度についてのHPLC:
単離した生成物をThermoHypersil Aquasil 100x4.6mm、3μmを使用して分析した。移動相A(25mM NHPO−バッファーpH3)および移動相B(CHCN/25mM NHPO−バッファーpH3 80/20)。グラジエント0〜30%B(15分間)、30〜100%B(10分間)、100%B(5分間)、0%B(10分間)。流速1.0mL/分、235nm。
【0094】
Aze−Pab(OMe)x2HClの純度についてのHPLC
単離した生成物を、ThermoHypersil Aquasil 100x4.6mm、3μmを使用して分析した。移動相A(25mM NHPO−バッファーpH3)および移動相B(CHCN/25mM NHPO−バッファーpH3 70/30)。グラジエント0〜30%B(30分間)、30〜100%B(10分間)、100%B(5分間)、0%B(10分間)。流速1.0mL/分、235nm。
【0095】
その後、Aze−Pab(OMe)は、3−クロロ−5−ジフルオロメトキシマンデル酸とカップリングさせ、化合物Aを得てもよい。Aze−Pab(OMe)は、その他のマンデル酸ともカップリングさせて、WO02/44145(当該公報の関連する内容は参照することにより本明細書に援用される)に記載された化合物などの化合物を得てもよい。種々の異なるカップリング条件およびカップリング試薬(例えば、脱水剤として作用することによりカップリングを促進する試薬)は当該技術分野においてよく知られており、この反応を行う(好ましくは、高収率で、およびキラルなマンデル酸の限定的なラセミかを伴って)ために使用されうる。好適なカップリング試薬はEDC、TBTU、TCTU、HBTU、HCTUおよびPBOPであり、これらは、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)と共に使用してもよい。好ましくは、50%までの濃度の水溶液中で、HOBtは3級アミン塩、例えば、N−メチルモルホリン.HOBt(NMM.HOBt)として使用される。HOBt3級アミン塩(または、HOBtおよびNMMなどの3級アミン塩の水性混合物)の水溶液の使用は、大規模の場合の試薬などの取り扱いに関して有利である。
【0096】
あるいは、本発明の方法をPh(3−Cl)(5−OCHF)−(R)CH(OH)C(O)−Aze−CBAに適用して、化合物Aを得ることができる。
実施例4−A
以下のように、本発明の方法を3,5−ジフルオロシアノベンゼンに適用して、3,5−ジフルオロ−N−メチル−ベンズアミドキシムを得た。
【0097】
【化24】

【0098】
不活性雰囲気下で、メタノール(7vol)中の3,5−ジフルオロシアノベンゼン(1eq)の撹拌中の溶液に、EDTA(0.02%w/w、メトキシアミン塩酸塩の量に基づいて計算)、トリエチルアミン(4.5eq)、メルカプト酢酸(1eq)およびメトキシアミン塩酸塩(30%水溶液、2eq)を加えた。添加は温度を25℃未満に制御しつつ行い、その後、反応混合物を加熱還流(65℃)して、一晩そのままにした。その後、反応混合物を約35℃に冷却し、過剰のメトキシアミンのクエンチのために、アセトン(1.3eq)を加えた。60分後、減圧下混合物を元の量の半分(約3.5vol)まで濃縮し、酢酸イソプロピルを元の量になるまで加えた。濃縮の手法を再度繰り返し、酢酸イソプロピルを元の量まで再び加えた。得られた二相性の溶液から水層を分離し、その後、酢酸イソプロピルで2度再抽出した。
【0099】
合わせた有機層を、NaCO飽和水溶液(2.5 vol)およびNaCl飽和水溶液で連続して洗浄した。減圧下での溶媒の除去の後、油性の物質をシリカに吸着させ、酢酸エチルで溶出した。減圧下での溶媒の除去により、固体の黄色物質を約97%の収率、GCおよびLCによる98面積%の純度で得た。
【0100】
実施例4−B:HCl塩の単離
3,5−ジフルオロ−N−メチル−ベンズアミドキシムのHCl塩は、以下のように、高収率および非常に高純度で単離した。当該HCl塩は、3,5−ジフルオロ−N−メチル−ベンズアミドキシム生成物の単離および精製の両方を容易にする。
【0101】
不活性雰囲気下メタノール(140ml、7vol)中の3,5−ジフルオロシアノベンゼン(20.0g、144mmol)の撹拌中の溶液に、EDTA(16.8mg、0.02%w/w、メトキシアミン塩酸塩の量に基づいて計算)、トリエチルアミン(90.2ml、647mmol)、メルカプト酢酸(11.0ml、158mmol)およびメトキシアミン塩酸塩(80,0g、288mmol、30%水溶液)を加えた。添加は温度を25℃未満に制御しながら行い、その後、反応混合物を加熱還流(65℃)し、一晩そのままにした。その後、反応混合物を40℃未満に冷却し、過剰のメトキシアミンをクエンチするためにアセトン(1.3eq)を加えた。40℃で1時間後、混合物を元の量の約半分まで減圧下で濃縮し、その後、酢酸イソプロピルを元の量になるまで加えた。当該濃縮の手法をもう一度繰り返し、酢酸イソプロピルを元の量になるまで再度加えた。有機層を除去し、混合物をさらに2回酢酸イソプロピル(2×40mL)で抽出した。
【0102】
合わせた有機層をNaCO飽和水溶液(2×40ml)およびNaCl飽和水溶液(40mL)で連続的に洗浄し、その後、MgSOで乾燥した。濾過後、溶液を10℃まで冷却した。4M HCl/1,4−ジオキサン(39.5mL、158mmol)をゆっくりと添加すると、固体が析出した。添加完了後、懸濁液を20分間撹拌し、その後、濾別した。残渣を酢酸イソプロピルで洗浄し、減圧下乾燥して、3,5−ジフルオロ−N−メチル−ベンズアミドキシム・HClを91%の収率で得た(27.5g、131mmol、LCにより99.4面積%)。
【0103】
反応は、Genesis AQ 100×4.6mm、4μmカラムを使用して、HPLCにより観察した。移動相A(CHCN/25mM NaPO−バッファーpH3.0 5/95)および移動相B(CHCN/25mM NaPO−バッファーpH3.0 60/40)。グラジエント0〜100%B(8分間)、100%B(1分間)、100〜0%B(0.1分間)、100%A(2.9分間)。流速2.0ml/分、230/220nm)。
【0104】
室温で、THF(140ml)中の3,5−ジフルオロ−N−メチル−ベンズアミドキシム・HCl(20.0g、89.8mmol)の撹拌中の懸濁液に、EtN(18.8ml、135mmol)をゆっくりと加えた。牛乳のような懸濁液を5時間攪拌し、その後、EtNHClを濾別した。濾過された塊を小分けしてTHF(合計100mL)洗浄した後に、溶液を次の工程にそのまま使用するか、または溶媒を減圧下除去して、3,5−ジフルオロ−N−メチル−ベンズアミドキシムを淡黄色固体として96%の収率で得た(16.1g、86.4mmol、GCにより98.2面積%)。
【0105】
実施例4と類似の手法により、(2,6−ジF)Pab(OMe)を、(2,6−ジF)CBAから調製してもよい(例えば、Boc保護基を使用しての、アミン官能基の適当な保護、およびその後の脱保護が必要となるであろう)。その後、当該(2,6−ジF)Pab(OMe)を、Ph(3−Cl)(5−OCHF)−(R)CH(OH)C(O)−Aze−Hとカップリングさせて化合物Bを得てもよい。
【0106】
実施例5
以下の通り、本発明の製造方法をBoc−Aze−(2,6−ジF)CBAに適用した。
【0107】
【化25】

【0108】
室温、窒素雰囲気下で、メタノール(7vol)中のBoc−Aze−(2,6−ジF)CBA(1eq)の溶液に、EDTA(0.02%w/w、メトキシアミン塩酸塩の量に基づき計算)、トリエチルアミン(4.5eq)およびメルカプト酢酸(1eq)を加えた。混合物にメトキシアミン塩酸塩(30%水溶液、2eq)を加えた。添加完了後、温度が4℃上昇し25℃となった。反応混合物を63℃(油浴70℃)に加熱し、一晩そのままにした。HPLC分析を行い、変換率>99%を確認した。反応混合物を50℃未満に冷却し、過剰のメトキシアミン(1.2eq)のクエンチのために、アセトンを加えた。30分反応後(40〜50℃)、混合物を元の量の半分(約3.5vol)まで減圧下濃縮し、元の量になるまで酢酸イソプロピルを加えた。濃縮の手法をもう一度繰り返し、元の量まで酢酸イソプロピルを再度加えた。有機層を水(2×2vol)で洗浄し、水層(pH約5)を分離した。有機層をさらにKCO飽和水溶液(2M、2×1vol)および最後に食塩水(20%w/w、1vol)で洗浄した。HPLC分析の後、更なる精製をせずに当該有機層を直接次の工程、脱Boc化の手順に使用した。平均収率は約90%(HPLCにより計算)で、HPLC純度は93〜96%であった
反応は、Genesis AQ 100×4.6mm、4μmカラムを使用するHPLCにより観察した。移動相A(CHCN/25mM NaPO−バッファーpH3.0 5/95)および移動相B(CHCN/25mM NaPO−バッファーpH3.0 60/40)。グラジエント0〜100%B(8分間)、100%B(1分間)、100〜0%B(0.1分間)、100%A(2.9分間)。流速2.0ml/分、230/220nm)。
【0109】
その後、Aze−(2,6−ジF)Pab(OMe)を、マンデル酸 3−クロロ−5−ジフルオロメトキシマンデル酸とカップリングさせて、化合物Bを得てもよい。
あるいは、本発明の方法をPh(3−Cl)(5−OCHF)−(R)CH(OH)C(O)−Aze−(2,6−ジF)CBAに適用して化合物Bを得てもよい。
【0110】
Aze−(2,6−ジF)Pab(OMe)はまた、WO02/44145(当該公報の関連する内容は、参照することにより本明細書に援用される)に記載された化合物などの化合物を得るために、その他のマンデル酸とカップリングさせてもよい。
【0111】
実施例6
以下の通り、本発明の方法をさらなる基質において評価した。
実施例6−A
4−クロロベンジルニトリルを、実施例4−Bにおいて使用した方法と類似の手法により、対応するメトキシアミジンに変換した。
【0112】
【化26】

【0113】
生成物はH/13C−NMRおよびLCMS(ES+、m/z199)により同定した。
実施例6−Bおよび6−B
以下の2つの基質を、実施例4−Aにおいて使用した方法と類似の手法により反応させた。
【0114】
実施例6−B
【0115】
【化27】

【0116】
生成物はH/13C−NMRおよびLCMS(ES+、m/z204)により同定した。
実施例6−C
【0117】
【化28】

【0118】
生成物はH/13C−NMRおよびLCMS(ES+、m/z179)により同定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、Rは、C1−10アルキル(ハロ、C1−4アルコキシ、ニトロ、C1−4アルキルアミンおよびジ−(C1−4アルキル)アミンから独立に選択される1以上の置換基により置換されていてもよい)、アリール、C1−3アルキルアリールまたはC1−3アルキルオキシアリールを表し、後ろ2つの基の当該アルキル部分は、1以上の酸素原子が挿入されていてもよく、後ろ3つの基の当該アリール部分は、ハロ、フェニル、メチルまたはメトキシ(後ろ3つの当該基は、1以上のハロ置換基により置換されていてもよい)から選択される1以上の置換基により置換されていてもよい]
の保護されたアミジン基の調製方法であって、
式(III)
HS−R−C(O)−Z (III)
[式中、Zは−(1−4C)アルキル、−OH、−O−(1−4C)アルキル、−SH、−S(1−4C)アルキル、−NH、−NH(1−4C)アルキルまたは−N[(1−4C)アルキル]であり;
は、(1−2C)アルキル(当該基は、(1−4C)アルキル、ハロ、アミノおよびアセチルアミノから独立に選択される3までの置換基により置換されていてもよい)であり;または
ZおよびRyは連結して、式(IV)
【化2】

{式中、Xは、−CH−、−O−、−NH−または−N(1−4C)アルキルであり;pは、1または2であり;mは1または2であり;および
Rzは、H、(1−4C)アルキル、ハロおよびアミノから独立に選択される}
の5または6員環を形成する]
のチオ−ケト活性化剤の存在下、ニトリル含有化合物を式(II)
ONH (II)
[式中、Rは(I)について既に定義したとおりである]
のオキシアミンと反応させることを含む前記方法。
【請求項2】
が、C1−10アルキル(好ましくはC1−4アルキル)、アリール(好ましくはフェニル)またはベンジルを表す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
がメチルを表す、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
チオ−ケト活性化剤が当量(すなわち、ニトリル化合物とほぼ同じモル数)で使用される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
チオ−ケト活性化剤がメルカプト酢酸である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ニトリル含有化合物が、ニトリル基が芳香環またはヘテロ芳香環に結合する化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ニトリル含有化合物が、ニトリル基がアルキル鎖またはシクロアルキル環に結合する化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ニトリル含有化合物が、保護されていてもよい、para−シアノ−ベンジルアミン、4−((S)−アゼチジン−2−カルボキシアミノメチル)−シアノベンゼン、para−シアノ−(2,6−ジF)ベンジルアミンまたは4−((S)−アゼチジン−2−カルボキシアミノメチル)−(3,5−ジF)シアノベンゼンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ニトリル含有化合物がtert−ブトキシカルボニル基で保護されている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
式(III)
HS−R−C(O)−Z (III)
[式中、Zは−(1−4C)アルキル、−OH、−O−(1−4C)アルキル、−SH、−S(1−4C)アルキル、−NH、−NH(1−4C)アルキルまたは−N[(1−4C)アルキル]であり;
は、(1−2C)アルキル(当該基は、(1−4C)アルキル、ハロ、アミノおよびアセチルアミノから独立に選択される3までの置換基により置換されていてもよい)であり;または
ZおよびRyは連結して、式(IV)
【化3】

{式中、Xは、−CH−、−O−、−NH−または−N(1−4C)アルキルであり;pは、1または2であり;mは1または2であり;および
Rzは、H、(1−4C)アルキル、ハロおよびアミノから独立に選択される}
の5または6員環を形成する]
のチオ−ケト活性化剤の、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法における使用。

【公表番号】特表2008−531535(P2008−531535A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556659(P2007−556659)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【国際出願番号】PCT/GB2006/000635
【国際公開番号】WO2006/090153
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】