説明

保護キャップを備えた手動式ディスペンサ

【課題】保護キャップを備えて使い易い手動式ディスペンサを提供する。
【解決手段】手動式ディスペンサのポンプヘッド2は、スプレイ散布器として設計された出口開口部4を有するノズル形状の鼻腔用アダプタ3を備えた分配部分と、鼻腔用アダプタ3から横方向に突出してポンプヘッド2を操作するために役に立つグリップ表面5、6とを有する。手動式ディスペンサは、開くことができて形状的に鼻腔用アダプタ3に関して一致する2個のウィング11、12を有する保護キャップ10を有する。グリップ表面5、6は、各対向側に端縁部を有し、端縁部はそれぞれのばね付き蝶番13、14を介して保護キャップ10のウィング11、12に単一部片として連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給チャンバを有する容器及びこの容器に固定可能なポンプヘッドを有する、流動可能な媒体のための手動式ディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、使用しないときには鼻腔用アダプタを汚れや破損から保護するための保護キャップを備えた手動式ディスペンサを開示している。この保護キャップは、ウィングとして固定される2個の保護キャップ半体を備え、これらの保護キャップ半体は、形状的に蝶番を介して鼻腔用アダプタのノズル状の分配部分に一致する。ウィングは、折り畳まれていない状態ではポンプヘッドを操作するためのグリップ表面を形成する。この形式のディスペンサは、ほっそりした構造形状を呈するという利点がある。しかし、ウィングを介する動作圧のポンプヘッドへの伝達は安定した支持要素を必要とすることになり、この結果ディスペンサはより重くなり、したがって必然的に使い難くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1132143号明細書(EP1132143A2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、保護キャップを備えて使い易い請求項1の事前特徴記載節に記載のディスペンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴記載部分の特色によって達成される。
本発明は、開くことも折り畳んで閉じることもできる保護キャップを有するディスペンサを提供する。保護キャップは、2個の保護キャップ半体を備えると共にディスペンサヘッドに束縛的に固定されている。保護キャップ半体は、形状的に一致するウィングとして設計されており、グリップ表面の端縁部においてばね付き蝶番を介してポンプヘッドに連結されている。ばね付き蝶番の使用は、長い使用寿命を保証するのみならず、軽量の保護キャップを提供するという可能性も作り出す。その上、グリップ表面の端縁部に保護キャップ半体を結合することによって、保護キャップを、ディスペンサのヘッド側全体の形状的に合った覆いの形で設計することができる。
【0006】
さらに又、開くことができる保護キャップがポンプヘッドの設計において実質的な変化を何ら必要としないことは有利である。保護キャップは簡単に取り付けできる。分配部分及び保護キャップは、射出成形によって1つの部品とすることもできる。
保護キャップの半体すなわちウィングは、ばね付き蝶番によって端部位置に固定されている。これに関してリブなどの補助手段を不要にすることができる。保護キャップ半体の上に閉塞ウェッジを備えることができ、この閉塞ウェッジはグリップ部分を通じて下降することができ、ロックピンを偏向させることができる。閉じた保護キャップによって保護することができるポンプヘッドは、同時に閉塞可能にすることもできる。
本発明のさらなる詳細は、下記の説明と従属請求項から集めることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る手動式ディスペンサによれば、保護キャップを構成するウィングを介さずにポンプヘッドを操作できて、使いやすい手動式ディスペンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】保護キャップを閉じたディスペンサの概略側面図である。
【図2】保護キャップを開いたディスペンサの概略側面図である。
【図3】ディスペンサの概略平面図である。
【図4】閉塞手段の領域における小区分を有する保護キャップを閉じたディスペンサの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を以下に、添付の図面に図解された例示的な実施形態を参照してさらに詳細に説明する。
図1及び図2は、供給チャンバを有する容器1とこれに固定可能なポンプヘッド2とを有する、流動可能な媒体のための手動式ディスペンサを示す。ポンプヘッド2は、ノズル形状の鼻腔用アダプタ3を備えた分配部分を備えている。鼻腔用アダプタ3は、ヘッド端部においてスプレイ散布器として設計された出口開口部4を有する。鼻腔用アダプタ3から横方向に突出するグリップ表面5、6が各対向側部に延在している。グリップ表面5,6は、中央部分7を介して連結することができる。
【0010】
鼻腔用アダプタ3は、容器1に固定されている滑りプランジャポンプ9のプランジャ8に組み立てられる。1回又はそれ以上で一投入量を分配するために、鼻腔用アダプタ3及び容器1は、グリップ表面5、6の上に少なくとも1本の指を置くことによって互いに移動する。
ポンプヘッド2はさらに、2個の半体を備えると共に2個のウィング11、12を有する保護キャップ10を具備している。これら2個のウィング11、12は開くことができ、形状的に一致する。ウィング11、12をポンプヘッド2に固定するために、グリップ表面5、6は各対向側部に端縁部を有し、端縁部はそれぞれのばね付き蝶番13、14を介して保護キャップ10のウィング11、12に単一部片として連結されている。この目的のために、ウィング11、12は、保護キャップ10が閉じているときにはグリップ表面5、6を覆う基部表面15、16を有する。
【0011】
ばね付き蝶番13、14によって、ウィング11、12を開くこと及び折り畳んで閉じることができ、この結果、保護キャップ10を開閉することができる。開いた状態では、ウィング11、12はポンプヘッド2に連結されたままであり、この結果ウィング11、12を紛失することはない。保護キャップ10を、グリップ表面5、6と共に射出成形して1つの部品にすることが好ましい。ここでは保護キャップ10を薄壁の設計にすることができる。
各ウィング11、12は、ウィング11、12が折り畳まれて閉じているとき、すなわち保護キャップ10が閉じているとき、ポンプヘッド2の上に配置されたロックピン23、24を偏向させる閉塞ウェッジ21、22を有することが好ましい(図3及び4を参照)。この目的のために、閉塞ウェッジ21、22は凹部25、26を通ってグリップ表面5、6の中に下降する。
【0012】
ウィング11、12は折り畳み閉鎖状態では、例えば横又はヘッド端部クリップファスナもしくはスナップ型ファスナ27を介して固定可能にすることができる。さらに又、ウィング11、12は、保護キャップ10が閉じているときにそれぞれ他のウィング11、12に整列係合するためのウィング支承表面28、29上に溝/ばね30、31を有することができる。
最後に、グリップ表面5、6は突出する滑り止め要素32を備えることができ、この滑り止め要素32は、保護キャップ10が閉じているときにはウィング11、12の基部表面の領域における凹部の中に下降することができる。
【符号の説明】
【0013】
1 容器
2 ポンプヘッド
3 鼻腔用アダプタ
4 出口開口部
5、6 グリップ表面
8 プランジャ
9 プランジャポンプ
10 保護キャップ
11、12 ウィング
13、14 ばね付き蝶番
15、16 基部表面
21、22 閉塞ウェッジ
23 ロックピン
25、26 凹部
27 スナップ型ファスナ
28、29 ウィング支承表面
30、31 ばね
32 滑り止め要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給チャンバを有する容器と、該容器に固定可能なポンプヘッドとを有する、流動可能な媒体のための手動式ディスペンサであって、前記ポンプヘッドが、スプレイ散布器として設計された出口開口部を有するノズル形状の鼻腔用アダプタを備えた分配部分と、前記鼻腔用アダプタから横方向に突出して前記ポンプヘッドを操作するために役に立つグリップ表面とを有し、開くことができて形状的に前記鼻腔用アダプタに関して一致する2個のウィングを有する保護キャップを有する手動式ディスペンサにおいて、
前記グリップ表面(5、6)が各対向側に端縁部を有し、前記端縁部はそれぞれのばね付き蝶番(13、14)を介して前記保護キャップ(10)のウィング(11、12)に単一部片として連結され、
前記ウィング(11、12)は、折り畳み状態において前記グリップ表面(5、6)に重なる基部表面(15、16)と、前記基部表面(5、6)と一体的に形成されて前記基部表面(5、6)から実質的に垂直に突出するとともに、前記ウィング(11、12)が折り畳まれて閉じている状態において形状的に前記鼻腔用アダプタ(3)に関して一致する残余部分とを有し、
前記ウィング(11、12)が折り畳まれていない状態において、前記基部表面(15、16)は前記グリップ表面(5、6)に重ならないとともに、前記残余部分は前記容器の底部に向けて外側に開くことを特徴とする手動式ディスペンサ。
【請求項2】
前記ばね付き蝶番(13、14)は、前記ウィング(11、12)の端部位置を固定するために設けられていることを特徴とする請求項1記載の手動式ディスペンサ。
【請求項3】
前記ウィング(11、12)がそれぞれ閉鎖くさび(21、22)を有し、該閉鎖くさび(21、22)は前記ウィング(11、12)が折り畳まれて閉じているときには前記ポンプヘッド(2)の上に配置されたロックピン(23、24)を偏向させることを特徴とする請求項1又は2記載の手動式ディスペンサ。
【請求項4】
前記ウィング(11、12)は、スナップ型ファスナ(27)を介して折り畳み閉鎖状態に固定できることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の手動式ディスペンサ。
【請求項5】
前記グリップ表面(5、6)は突出する滑り止め要素832)を有し、該滑り止め要素(32)は、前記保護キャップ(10)が閉じているときにはウィング(11、12)の基部表面の領域における凹部の中に下降することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の手動式ディスペンサ。
【請求項6】
前記ウィング(11、12)が、前記保護キャップ(10)が閉じているときにそれぞれの他のウィング(11、12)に整列係合するための溝及びばね(30、31)を備えたウィング支承表面(28、29)を有することを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の手動式ディスペンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−212448(P2011−212448A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117215(P2011−117215)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【分割の表示】特願2007−511947(P2007−511947)の分割
【原出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(506371349)ミートヴェストバーコ カルマー ゲーエムベーハー (4)
【氏名又は名称原語表記】MEADWESTVACO CALMAR GMBH
【Fターム(参考)】