説明

保護制御装置

【課題】 本発明の実施形態は、端子台の位置を移動し調節できる構造にし、端子台の作業性および操作性を向上できる保護制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の実施形態における保護制御装置は、複数のケーブルが接続された端子台と、前記端子台が取り付けられた端子台取付具とを備える。
さらに、この保護制御装置の前記端子台は、前記端子台取付具における複数の異なる位置に取り付け可能であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、保護制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
保護制御装置は、電力系統を構成する発変電設備の機器を保護および制御することを目的として、変電所、開閉所、発電所に設置される。
【0003】
保護装置は入力情報として電力系統の電圧および電流、遮断器や断路器のオンオフ状態等を取り込み、それら入力情報を元に保護対象とする設備、たとえば送電線、母線、変圧器等に系統事故が発生したことを検出し、それら保護対象を保護するための遮断指令を出力する。
【0004】
制御装置は入力情報として電力系統の電圧および電流、遮断器や断路器のオンオフ状態等を取り込み、それら入力情報の表示を行うとともに、運用者による系統操作指令に従って制御対象である遮断器や断路器等の機器に対して遮断指令または投入指令を出力する。
【0005】
これら保護制御装置が与えられた責務を果たすためには、遮断器および開閉器の入切状態を認識するための接点情報、系統に設置された電圧および電流変成器を介して系統の電圧および電流のアナログ情報などの入力情報の取り込みが必要であり、また保護制御装置の出力である各機器に対する遮断および投入指令を各対象機器へ接続する必要がある。これら入出力情報は、当該機器から電気所構内に布設したケーブルによって、保護制御装置を設置する屋内に引き込まれ、保護制御装置の下部(以下、架下と称する)に取り付けた架下端子台(以下、端子台と称する)に接続される。
【0006】
なお、保護制御装置の構成の一例について図5を用いて説明する。図5に示す保護制御装置1は、上部銘板1a、電源装置1b、補助リレー部1c、ディジタルリレーユニット1d、スイッチ部1e、トリップTT1g、VT用TT1h、CT用TT1i、フレームサポート1j、架下端子台部2(以下、端子台部2と称する)等を備えている。ここで、TTとはテストターミナル(Test Terminal)の略であり、保護制御装置の分野では一般的な用語の一つである。この基本的な構造、寸法は、電力用規格B−402に準拠しており、幅700mmまたは350mm、高さ2300mm、奥行450mm以下である。
【0007】
ここで、端子台部2に設置される端子台の取付位置には調節機構が設けられていないのが通常であり、保護制御装置の盤幅寸法、端子台の実装点数によっては、端子台部のスペースが減少し、ケーブル接続およびメンテナンスなどの作業性が著しく低下する。一般に、この端子台へのケーブルの接続作業等は保護制御装置の裏面から行われる。
【0008】
図6は、従来の保護制御装置の端子台部2の構造の一例である。同図(a)は上から見た図(断面図)、同図(b)は裏面から水平に見た図(側面図)を示している。通常、端子台3は縦置きに複数列配置され、入出力情報の受け渡しに必要な端子台3を確保している。同図の例では端子台3を端子台取付金具4に取り付けている。端子台取付金具4は、器具取付金具5に固定されている。
【0009】
ここで、端子台3に接続する図示しないケーブルは、保護制御装置1下方に設けた図示しないケーブルピットから立ち上げ、端子台3に接続する。ケーブルの立ち上げのためのスペースが必要となるため、端子台3の列と列の間は適度なスペースを確保する必要がある。
【0010】
そのため、図6(a)に示すように、ケーブル立上げスペースを予め見込んだ位置で端子台3を固定する構造としている。この場合、奥に配置した端子台3aにケーブル接続を行う際には、作業者は奥まった狭いスペースで不自然な体制で作業することになる。加えて、奥まったスペースのため手元が暗く作業性が悪い。
【0011】
また、図6(b)に示すように、裏面から見ると手前の端子台3cが奥側の端子台3a、3bに重なる配置となっている。ケーブル接続作業は奥側に配置した端子台3aから優先して接続できれば理想であるが、必ずしもそうとは限らない。
【0012】
図7に、端子台3を端子台取付金具4に取り付けた状態の一例を示す。端子台取付金具4にネジ穴7を設けておき、端子台3をネジ穴7の位置にあてがってネジ8にて固定する。端子台3の取付位置はネジ穴7の位置によって決まる。
【0013】
図8に端子台に外部ケーブルを接続したイメージ図を示す。端子台3にケーブル6を接続する際は、装置裏面側に設けられた開口部から作業を行うことが多い。そのため、折り重なった端子台3のうち、装置裏面側の端子台3cにケーブル6cを接続すると、装置正面側の端子台3a、3bとケーブル6a、6bとを接続するための作業スペースが塞がれることになる。つまり、先に装置裏面側の端子台3cにケーブル6cを接続した後にその装置正面側の端子台3a、3bにケーブル接続を行う場合には、先に接続した装置裏面側の端子台3cのケーブルが装置正面側の端子台3a、3bでの接続作業を邪魔する格好となり、ケーブル6a、6bの接続作業が非常にやりづらい。ケーブル6の接続作業が全て完了し保護制御装置を運用開始した後にケーブル6のメンテナンスを行う場合においても、装置正面側の端子台3a、3b列に関しては作業性が悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平10−208794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の実施形態は、端子台の位置を移動し調節できる構造にし、端子台の作業性および操作性を向上できる保護制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の実施形態における保護制御装置は、複数のケーブルが接続された端子台と、前記端子台が取り付けられた端子台取付具とを備える。
【0017】
さらに、この保護制御装置の前記端子台は、前記端子台取付具における複数の異なる位置に取り付け可能であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態の保護制御装置における端子台と端子台取付金具の構成を示す図。
【図2】第2の実施形態の保護制御装置における端子台と端子台取付金具の構成を示す図。(a)正面図、(b)側面図
【図3】第3の実施形態の保護制御装置における端子台と端子台取付金具の構成を示す図。(a)正面図、(b)側面図
【図4】第4の実施形態の保護制御装置における架下端子台部の構成を示す図。
【図5】従来の保護制御装置の構成を示す図。(a)正面図、(b)側面図
【図6】従来の保護制御装置の架下端子台部の構成を示す図。(a)断面図、(b)側面図
【図7】従来の保護制御装置における端子台と端子台取付金具の構成を示す図。
【図8】従来の保護制御装置のケーブル接続後の架下端子台部の構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態の保護制御装置について、図面を参照して説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の保護制御装置の構成について図1を用いて説明する。図1は、保護制御装置の端子台と端子台取付金具の構成を示す図である。全体の構成は従来の保護制御装置の構成を示す図5と同様であるので説明は省略する。
【0021】
端子台取付金具4は、図示しない器具取付金具に固定され、複数のネジ穴7が設けられている。また、同様の構成を持つ2つの端子台取付金具4が端子台3の長手寸法の間隔を開けて併設している。破線で示す端子台3の両端部は、端子台取付金具4に設けられたネジ穴7に図示しないネジによって固定される。
【0022】
端子台3の取付位置を変更する場合は、両端に設置された図示しないネジを取り外し、端子台3を水平移動させる。さらに、端子台3の両端を移動先のネジ穴7に、図示しないネジにて固定する。
【0023】
本実施形態によれば、端子台取付金具4にネジ穴7を複数個設けることにより、端子台3を固定する位置を変更することが可能である。すなわち、端子台3に接続するケーブルの本数や、ケーブルの接続作業に必要なスペース等を考慮して、端子台3の取付位置を調節することが可能である。つまり、ケーブル取付時は、作業スペースが広い位置に端子台3を固定し、作業完了後は、他の端子台3の作業がし易い位置に移動する等の調節が可能である。
【0024】
なお、ネジ穴7はタップを設けたものでなくても良く、ワッシャおよびナットを用いて端子台3を端子台取付金具4に固定しても良い。
【0025】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の保護制御装置の構成について図2を用いて説明する。図2は、保護制御装置の端子台と端子台取付金具の構成を示す図であり、同図(a)は正面から見た図(正面図)、同図(b)は横から見た図(側面図)を示している。
【0026】
本実施形態の構成が第1の実施形態の構成と異なる点は、端子台取付金具4には、複数のネジ穴7に代えて、長孔9を設けた点である。図2(a)に示すように、この長孔9は、端子台取付金具4の長手方向に長く形成されている。また、図2(b)に示すように、端子台3には端子台固定金具10が設置され、この端子台固定金具10が端子台取付金具4に、ネジ8および角ナット11により固定されている。
【0027】
端子台3の取付位置を変更する場合は、ネジ8および角ナット11を取り外し、端子台3を水平移動させる。さらに、移動先にて端子台3および端子台固定金具10をネジ8および角ナット11にて固定する。
【0028】
本実施形態によれば、第1の実施形態の効果と同様に、端子台取付金具4に長孔9を設けることにより、端子台3を固定する位置を変更することが可能である。さらに、第1の実施形態の効果に加え、端子台3を固定する位置は無段階に調整することが可能であり、よりスペースによる制限が厳しい保護制御装置においても、上述した効果を得ることが可能である。
【0029】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の保護制御装置の構成について図3を用いて説明する。図3は、保護制御装置の端子台と端子台取付金具の構成を示す図であり、同図(a)は正面から見た図(正面図)、同図(b)は横から見た図(側面図)を示している。
【0030】
本実施形態の構成が第1の実施形態の構成と異なる点は、端子台取付金具4には、複数のネジ穴7に代えて、複数の切り欠き12を設け、端子台3に掛け金具13を設けた点である。図3(a)に示すように、切り欠き12は、端子台取付金具4の鉛直方向上部に所定の間隔をあけて設けられている、また、図2(b)に示すように、端子台3には、切り欠き12と係合する係合部13aを備えた掛け金具13が設けられている。この切り欠き12と係合部13aが係合することにより、端子台3の位置が固定される。
【0031】
端子台3の取付位置を変更する場合は、端子台3を鉛直方向上方向に移動させ、切り欠き12と係合部13aとの係合を取り外す。さらに、端子台3を水平移動させ、移動先の切り欠き12と係合部13aを係合させる。
【0032】
本実施形態によれば、第1の実施形態の効果と同様に、端子台取付金具4に複数の切り欠き12を設けることにより、端子台3を固定する位置を変更することが可能である。さらに、第1の実施形態の効果に加え、端子台3の位置を変更する際には、ネジ等を用いないため、ドライバー等の工具を使用することがなく、容易に端子台3の位置を変更することが可能である。
【0033】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の保護制御装置の構成について図4を用いて説明する。図4は、保護制御装置の端子台、端子台取付金具、器具取付金具の構成を示す図である。
【0034】
本実施形態の構成が第1の実施形態と異なる点は、端子台取付金具4が取り付けられた器具取付金具5にスライドレール14を設置した点である。このスライドレール14は、器具取付金具5と摺動可能に構成されており、器具取付金具5を装置裏面から引き出せる。
【0035】
本実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、端子台取付金具4が取り付けられた器具取付金具5にスライドレール14を設けているため、装置裏面から器具取付金具5を引き出すことが可能である。そのため、よりスペースによる制限が厳しい保護制御装置においても、端子台3の位置を変更することが可能である。
【0036】
なお、スライドレール14と器具取付金具5との摺動を止めるストッパーを設け、作業時以外はこのストッパーによりスライドレール14と器具取付金具5との摺動を防止することで、不要な動作を抑制することが可能である。
【0037】

本発明に係る実施形態によれば、端子台の位置を任意に移動し調節できる構造にし、端子台の作業性および操作性を向上できる保護制御装置を提供することを目的とする。
【0038】

以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1…保護制御装置
2…端子台部
3…端子台
4…端子台取付金具
5…器具取付金具
6…外部ケーブル
7…ネジ穴
8…ネジ
9…長孔
10…端子台固定金具
11…角ナット
12…切り欠き
13…掛け金具
13a…係合部
14…スライドレール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のケーブルを接続する端子台と、前記端子台が取り付けられた端子台取付具と、を備える保護制御装置において、
前記端子台取付具は前記端子台を複数の異なる位置に取り付け可能な構成である
保護制御装置。
【請求項2】
前記端子台取付具は複数の孔を備え、
前記端子台は、前記孔に締結具により取り付けられた
請求項1に記載の保護制御装置。
【請求項3】
前記端子台取付具は長孔を備え、
前記端子台は、前記長孔に締結具により取り付けられた
請求項1に記載の保護制御装置。
【請求項4】
前記端子台取付具に設けられた複数の第1の係合部と、
前記端子台に設けられた第2の係合部と、を備え、
前記第1の係合部に前記第2の係合部が係合し、取り付けられた
請求項1に記載の保護制御装置。
【請求項5】
前記端子台が取り付けられた前記端子台取付具が、複数取り付けられた器具取付具と、
前記器具取付具と摺動可能に保持されたスライド機構と、を備える
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の保護制御装置。
【請求項6】
前記器具取付具および前記スライド機構との摺動を止めるストッパ機構を備える請求項5に記載の保護制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−4426(P2013−4426A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136778(P2011−136778)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000221096)東芝システムテクノロジー株式会社 (117)
【Fターム(参考)】