説明

保護素子

【課題】従来に比べて大きな電流を流すことを可能とする。
【解決手段】保護素子10は、正極22及び負極24と、発熱片38と、接合材40と、圧縮コイルバネ34とを備える。正極22及び負極24は互いに対向するよう配置される。発熱片38は、正極22と負極24との間にまたがって配置される。発熱片38は電流が流れると発熱する。接合材40は、発熱片38を正極22及び負極24それぞれへ接合する。弾性体34が発熱片38に分離力を加える。接合材40の接合強度が所定の温度で所定の強さを下回る。保護素子10は、遮蔽用絶縁体42と、磁場発生部50とをさらに備える。遮蔽用絶縁体42は、正極22から見て負極24を遮るように正極22と負極24との間に配置される。磁場発生部50は、正極22及び負極24の間に予め磁力を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護素子に関し、特に、二次電池の過電流、過充電、及び、過放電から回路を適確に保護し得る高容量の保護素子に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)を用いる場合、過電流、過充電、及び、過放電のいずれかが生じた場合にはその二次電池を負荷又は充電電源から遮断することが要求される。
【0003】
図7は公知の二次電池保護回路の一例を示している。図7に示す二次電池保護回路は、負荷130と、充電電源132と、スイッチ134と、制御素子136と、保護素子138とを備える。周知のトランジスターはスイッチ134として利用できる素子の一種である。制御素子136は二次電池139の過充電もしくは過放電を検知する。制御素子136は、それらのうち少なくとも1つを検知するとスイッチ134へスイッチオン信号を発信する。スイッチ134は、スイッチオン信号を受信すると「オン」状態となる。これにより、スイッチ134を経て電流が流れることとなる。保護素子138は、過電流、過充電、及び、過放電のいずれかが生じた場合に二次電池139を負荷130もしくは充電電源132から遮断する。
【0004】
図8は公知の保護素子138を示す斜視図である。図8において保護素子138は分解された状態で示されている。この保護素子138は、絶縁基台20と、正極22と、負極24と、電極固定材26と、リード用端子28と、抵抗器30と、抵抗用絶縁体32と、圧縮コイルバネ34と、リード用絶縁体36と、発熱片38と、ケース210とを備える。絶縁基台20は台として用いられる部材である。絶縁基台20は耐熱性を有する。正極22は上述した二次電池139に接続される。負極24は上述した負荷130もしくは充電電源132に接続される。正極22と負極24とは絶縁基台20に固定される。絶縁基台20に固定されることにより、正極22と負極24とは互いに対向するように配置される。電極固定材26は正極22と負極24とを絶縁基台20に固定する。電極固定材26は耐熱性を有する。リード用端子28は後述する負極側リード導体60に接続されている。これによりリード用端子28から負極側リード導体60に電流が流れる。リード用端子28が上述したスイッチ134に接続される。抵抗器30は、正極22と負極24とに挟まれるように配置される。抵抗器30は電流が流れると発熱する。これにより抵抗器30は熱源の役割を果たす。抵抗器30の両端には負極側リード導体60と正極側リード導体62とが取り付けられている。抵抗用絶縁体32は圧縮コイルバネ34が抵抗器30に直接接触することを防止する。これにより圧縮コイルバネ34と抵抗器30との間は絶縁される。圧縮コイルバネ34は次の要件を満たす位置に配置される。第1の要件は発熱片38と抵抗器30との間であるという要件である。第2の要件は正極22と負極24との間であるという要件である。圧縮コイルバネ34は正極22及び負極24から離れる方向の力を発熱片38に加える。このため、過電流、過充電、及び、過放電のいずれかが生じるまで、圧縮コイルバネ34は圧縮された状態である。なお、圧縮コイルバネ34はステンレス製(すなわち導体製)である。正極側リード導体62は圧縮コイルバネ34を貫通する。リード用絶縁体36は、正極側リード導体62が圧縮コイルバネ34及び発熱片38へ直接接触することを防止する。これにより正極側リード導体62と圧縮コイルバネ34との間は絶縁される。正極側リード導体62と発熱片38との間も絶縁される。正極側リード導体62はリード用絶縁体36も貫通する。発熱片38は正極22と負極24とにまたがって配置される。すなわち、保護素子138を組み立てたとき、発熱片38は正極22の先端にも負極24の先端にも接合される。発熱片38は低融点合金によって正極22及び負極24のそれぞれへ接合される。この低融点合金は図8に示されていない。正極側リード導体62は発熱片38も貫通している。正極側リード導体62と発熱片38とは低融点合金を介して接合されている。この低融点合金も図8に示されていない。ケース210は、正極22と、負極24と、電極固定材26と、抵抗器30と、抵抗用絶縁体32と、圧縮コイルバネ34と、リード用絶縁体36と、発熱片38と、負極側リード導体60と、正極側リード導体62とを覆う。
【0005】
二次電池139に過電流が流れると保護素子138の発熱片38にも過電流が流れる。電流が流れると発熱片38が発熱する。発熱片38が発熱すると低融点合金はその熱を受ける。熱を受けると低融点合金は所定の温度に到達する。所定の温度に到達したその低融点合金は溶ける。低融点合金が溶けると圧縮コイルバネ34は発熱片38を正極22及び負極24から離す。これにより、負荷130と二次電池139との間が遮断される。
【0006】
二次電池139が過放電状態になると、制御素子136はスイッチ134へスイッチオン信号を発信する。スイッチ134はスイッチオン信号を受信すると「オン」状態となる。スイッチ134が「オン」状態になると保護素子138の抵抗器30に電流が流れる。電流が流れると抵抗器30は発熱する。抵抗器30が発熱すると低融点合金はその熱を受ける。熱を受けると低融点合金は所定の温度に到達する。所定の温度に到達したその低融点合金は溶ける。低融点合金が溶けると圧縮コイルバネ34は発熱片38を正極22及び負極24から離す。これにより、負荷130と二次電池139との間が遮断される。
【0007】
二次電池139が過充電状態になると、制御素子136はスイッチ134へスイッチオン信号を発信する。スイッチ134はスイッチオン信号を受信すると「オン」状態となる。スイッチ134が「オン」状態になると保護素子138の抵抗器30が発熱する。抵抗器30が発熱すると低融点合金はその熱を受ける。熱を受けると低融点合金は所定の温度に到達する。所定の温度に到達したその低融点合金は溶ける。低融点合金が溶けると圧縮コイルバネ34は発熱片38を正極22及び負極24から離す。これにより、充電電源132と二次電池139との間が遮断される。
【0008】
特許文献1は、上述した保護素子138にかかる発明を開示する。特許文献1にかかる保護素子は、一対のピン電極と抵抗器とを備える。抵抗器の両端にリード導体が取り付けられている。抵抗器はピン電極に並ぶように設けられている。ピン電極間には発熱片が設けられる。発熱片は一対のピン電極間にまたがる。発熱片は過電流の通電により発熱される。抵抗器の一方のリード導体が発熱片を貫通している。各ピン電極と発熱片との間が低融点可溶材で接合されている。発熱片と抵抗器との間において抵抗器の一方のリード導体が圧縮コイルバネを貫通している。特許文献1にかかる保護素子は、絶縁体を備える。その絶縁体は、リード導体とバネ及び発熱片との間並びにバネと抵抗器端面との間の直接接触を防止する。抵抗器の両リード導体間に抵抗器通電発熱回路が接続される。抵抗器通電発熱回路は、被保護機器の異常時に抵抗器本体を発熱させる。これにより低融点可溶材が溶ける。
【0009】
特許文献1に開示された保護素子において、電流は主としてピン電極の一方から発熱片へ直接流れる。その電流は主として発熱片からピン電極の他方へ直接流れる。低融点可溶材に流れる電流はかなり少ない。電流が少ないので、低融点可溶材の素材が合金であっても、その合金のマイグレーションをよく排除できる。マイグレーションをよく排除できるので、これに基づく誤動作を排除できる。誤動作を排除できるので過電流を適確に遮断できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−238719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に開示された保護素子には、大きな電流を流し難いという問題点がある。大きな電流が流れている状態で、動作時、発熱片がピン電極から離れた直後から、保護素子の内部で発生したアークが持続することがある。アークが持続すると、絶縁を維持するために開放された圧縮コイルバネの破損によって起こる再導通や、構造体の焼損などを引き起して生じた炭化物によって導通経路が再形成され、過電流を遮断できないことがある。特許文献1に開示された保護素子が大きな電流を流し難い理由は以上である。本発明は、このような問題を解決するためになされたものである。本発明の目的は、従来に比べて大きな電流を流すことが可能な保護素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
図面を参照し本発明の保護素子を説明する。なおこの欄で図中の符号を使用したのは発明の内容の理解を助けるためであって内容を図示した範囲に限定する意図ではない。
【0013】
上述した課題を解決するために、本発明のある局面に従うと、保護素子10,12,14は、一対の電極22,24と、発熱片38と、接合材40と、弾性体34とを備える。一対の電極22,24は互いに対向するよう配置される。発熱片38は、一対の電極22,24間にまたがって配置される。発熱片38は電流が流れると発熱する。接合材40は、発熱片38を一対の電極22,24それぞれへ接合する。弾性体34は、一対の電極22,24の間に配置される。弾性体34が発熱片38に分離力を加える。分離力は発熱片38が一対の電極22,24から離れる方向の力である。接合材40の強度が所定の温度で所定の強さを下回る。その所定の温度は発熱片38の発熱によって到達する温度である。所定の強さは分離力に耐える強さである。保護素子10,12,14は、遮蔽用絶縁体42と、磁場発生部50,52,54とをさらに備える。遮蔽用絶縁体42は、一対の電極22,24の一方から見て他方を遮るように一対の電極22,24間に配置される。磁場発生部50,52,54は、一対の電極22,24の間に予め磁力を発生させる。
【0014】
過電流が流れると発熱片38が発熱する。発熱片38の発熱により接合材40が所定の温度に到達すると接合材40の接合強度は所定の強さを下回る。接合材40の接合強度が所定の強さを下回ると接合材40は分離力に耐えられなくなる。分離力に耐えられなくなるので、弾性体34によって発熱片38は電極22,24から離される。これにより電極22,24間の電流は遮断される。電流が遮断された後、電極22,24間にアークが発生すると、磁場発生部50,52,54が発生させる磁力によってアークはローレンツ力を受ける。ローレンツ力を受けることによりアークは延びる。また、一対の電極22,24の一方から見ると、他方は遮蔽用絶縁体42によって遮られている。遮蔽用絶縁体42によって遮られているので、一対の電極22,24の一方から出たアークは遮蔽用絶縁体42を避けた上で電極22,24の他方に到達する。遮蔽用絶縁体42を避けるので、アークは延びる。ローレンツ力とアークが遮蔽用絶縁体42を避けたこととによってアークが延びると、延びない場合に比べ、アーク電圧が上昇する。また、アークは延ばされることで冷却される。アーク電圧の上昇とアークの冷却との相乗効果によってアークは持続し難くなる。その結果、大きな電流を流すことが可能になる。
【0015】
また、上述した遮蔽用絶縁体42が、電極間部140と、突出部142とを有していることが望ましい。電極間部140は、一対の電極22,24に挟まれるように配置される。突出部142は、一対の電極22,24に挟まれる空間から見て一対の電極22,24の端より突出している。
【0016】
遮蔽用絶縁体42が電極間部140と突出部142とを有していると、電極22,24の一方の端と他方の端との間のアークは、電極間部140と突出部142とのうち少なくとも一方が設けられていない場合に比べ、延びる。アークが延びるので、アーク電圧が上昇し、アークは持続し難くなる。その結果、大きな電流を流すことが可能になる。
【0017】
もしくは、上述した突出部142が曲面150を有することが望ましい。曲面150は一対の電極22,24のうち一方の端160,162から他方の端160,162へわたっている。曲面150は一対の電極22,24に挟まれる空間から見て一対の電極22,24の端より突出している。
【0018】
次に述べる2つの要件が満たされている場合、曲面150によって互いに通じている電極22,24の端160,162同士の間では、曲面150に沿ってアークが生じることがある。その第1の要件は、一対の電極22,24の端より曲面150が突出しているという要件である。第2の要件は、曲面150が一対の電極22,24の一方の端160,162から他方の端160,162へわたっているという要件である。曲面150に沿ってアークが生じた場合、電極22,24の一方の端160,162から他方の端160,162までまっすぐなアークが生じる場合に比べ、アークは延びる。アークが延びるので、アーク電圧が上昇し、アークは持続し難くなる。その結果、大きな電流を流すことが可能になる。
【0019】
もしくは、上述した磁場発生部52,54が、磁石70,72,74,76の対を有していることが望ましい。この場合、磁石70,72,74,76の対は、一対の電極22,24の間を挟んでN極とS極とが対向するよう配置される。
【0020】
曲面150に沿ってアークが生じた場合、そのアークの少なくとも一部において、そのアークの方向は、電極22,24の一方の端160,162から他方の端160,162へまっすぐ向かう方向に対して傾いている。曲面150に沿って生じるアークの向きがそのように傾いているので、磁石70,72,74,76の対が一対の電極22,24を挟んで対向していても、アークがローレンツ力を受ける。ローレンツ力を受けるので、アークが延びる。アークが延びるので、アーク電圧が上昇し、アークは持続し難くなる。その結果、大きな電流を流すことが可能になる。
【0021】
もしくは、上述した磁石70,72の対の一方が、N極面100を有することが望ましい。N極面100は、一対の電極22,24のうち一方の端から他方の端へわたって配置される。この場合、磁石70,72の対の他方が、S極面102を有する。S極面102は、一対の電極22,24のうち一方の端160,162から他方の端160,162へわたって配置される。S極面102は、一対の電極22,24の間を挟んでN極面100に対向する。
【0022】
この場合、磁石70,72の対の磁力に基づいてアークが受けるローレンツ力の方向は一定である。一定方向のローレンツ力を受けることで、ローレンツ力の向きが変化する場合に比べ、アークを延ばすことができる。ローレンツ力の向きが変化する場合に比べて一定方向のローレンツ力を受ける場合にアークが延びるのは、ローレンツ力の向きが変化する際にいったんアークがローレンツ力を受けなくなってしまうためである。アークが延びるので、アーク電圧が上昇し、アークは持続し難くなる。その結果、大きな電流を流すことが可能になる。
【0023】
また、上述した磁場発生部50,52,54が永久磁石50,70,72,74,76を有することが望ましい。永久磁石50,70,72,74,76を有していると、制御を行わなくても磁力を発生する。制御が不要なので、取り扱いが容易になる。
【0024】
また、上述した接合材40が金属であることが望ましい。その金属は上述した所定の温度を融点とする。接合材40がそのような金属であると、所定の温度で接合材40が溶けることになる。所定の温度で溶けるので、接合強度が所定の強さを下回る温度について誤差が大きいものを接合材40として用いる場合に比べ、発熱片38が一対の電極22,24から離れることに関する信頼性が高くなる。
【0025】
また、上述した保護素子10,12,14が、熱源30をさらに備えることが望ましい。この場合、熱源は一対の電極22,24に挟まれるように配置される。弾性体34が、一対の電極22,24の間であることに加え、発熱片38と熱源30との間である位置に配置される。熱源30の発熱によって接合材40が到達する温度が所定の温度以上である。遮蔽用絶縁体42が電極間部140を有する。電極間部140は、一対の電極22,24の少なくとも一方に熱源30の熱を伝達する。
【0026】
電極間部140が電極22,24の少なくとも一方に熱源30の熱を伝達すると、電極間部140が熱を伝達しない場合に比べ、電極22,24の少なくとも一方がその熱を接合材40によく伝えることになる。これにより、電極間部140が設けられていない場合に比べ、熱源30が生じさせた熱はよく伝わる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、従来に比べて大きな電流を流すことが可能という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる保護素子の、一部が除去された状態での斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる保護素子の、断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる保護素子の、電極部分の拡大図である。
【図4】本発明の第1実施形態において電子が受ける力を示す概念図である。
【図5】本発明の第2実施形態にかかる保護素子の断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態にかかる保護素子の断面図である。
【図7】公知の二次電池保護回路の一例を示す図である。
【図8】公知の保護素子の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明について図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0030】
<第1実施形態>
[構成の説明]
図1は、本実施形態にかかる保護素子10の斜視図である。図1において保護素子10は組み立てられた状態で示されている。この図において、保護素子10の一部は取り除かれている。図2は、本実施形態にかかる保護素子10の、断面図である。図1と図2とを参照しつつ、本実施形態にかかる保護素子10の構成を説明する。
【0031】
本実施形態にかかる保護素子10は、絶縁基台20と、正極22と、負極24と、電極固定材26と、リード用端子28と、抵抗器30と、抵抗用絶縁体32と、圧縮コイルバネ34と、リード用絶縁体36と、発熱片38と、接合材40と、遮蔽用絶縁体42と、ケース44と、ブロック状永久磁石50とを備える。
【0032】
保護素子10において、絶縁基台20、正極22、負極24、電極固定材26、リード用端子28、抵抗器30、抵抗用絶縁体32、圧縮コイルバネ34、リード用絶縁体36、及び、発熱片38は、上述した保護素子138の、絶縁基台20、正極22、負極24、電極固定材26、リード用端子28、抵抗器30、抵抗用絶縁体32、圧縮コイルバネ34、リード用絶縁体36、及び、発熱片38と同一物である。それらの配置も同一である。従って、ここではその詳細な説明を繰り返さない。
【0033】
本実施形態の場合、接合材40は発熱片38を正極22に接合する。本実施形態の場合、別の接合材40は発熱片38を負極24に接合する。本実施形態の場合、さらに別の接合材40が発熱片38を正極側リード導体62に接合する。接合材40の接合強度は、所定の温度で所定の強さを下回る。本実施形態の場合、その「所定の温度」とは、発熱片38及び抵抗器30の少なくとも一方の発熱によって到達する温度である。本実施形態の場合、その「所定の強さ」とは、分離力に耐える強さである。本実施形態の場合、「分離力」とは、正極22及び負極24に接合されている発熱片38がそれらの正極22及び負極24から離れる方向の力である。本実施形態の場合、この分離力は圧縮コイルバネ34によって加えられる。本実施形態の場合、接合材40は上述した「所定の温度」を融点とする合金である。
【0034】
本実施形態の場合、遮蔽用絶縁体42は、正極22と負極24との間に配置される。これにより、正極22及び負極24の一方から見た他方は遮蔽用絶縁体42によって遮られる。本実施形態の場合、遮蔽用絶縁体42は耐熱性を有する。すなわち、本実施形態の場合、遮蔽用絶縁体42は、正極22、負極24、及び、抵抗器30が発熱しても変質しない。また、本実施形態の場合、遮蔽用絶縁体42は抵抗器30を保護する。
【0035】
ケース44は、絶縁基台20と、正極22と、負極24と、電極固定材26と、リード用端子28の一部と、抵抗器30と、抵抗用絶縁体32と、圧縮コイルバネ34と、リード用絶縁体36と、発熱片38と、接合材40と、遮蔽用絶縁体42とを覆う。ケース44は、ブロック状永久磁石50を所定の位置に固定するための部品でもある。ケース44の素材は絶縁体である。ケース44は、磁石収容部80を有する。磁石収容部80にブロック状永久磁石50が収容される。
【0036】
本実施形態の場合、磁場発生部はブロック状永久磁石50のみにより構成されている。ブロック状永久磁石50は磁力を発生させる。その磁力が発生している空間は正極22と負極24との間を含んでいる。従って、正極22と負極24との間には磁力が生じている。本実施形態の場合、このブロック状永久磁石50のS極が、正極22及び負極24に、隔壁90を介して対向している。
【0037】
図3は、本実施形態にかかる保護素子10の、電極部分の拡大図である。図3を参照しつつ、本実施形態にかかる遮蔽用絶縁体42の構成を説明する。本実施形態にかかる遮蔽用絶縁体42は、電極間部140と、突出部142とを有している。
【0038】
電極間部140は、正極22と負極24とに挟まれるように配置される。電極間部140は抵抗器30が発熱するとその抵抗器30が放出した熱を正極22及び負極24に伝達する。これにより、接合材40がその熱によって溶ける。突出部142は、正極22と負極24とに挟まれる空間から見て正極電極端160(正極電極端160は正極22の端である。)及び負極電極端162(負極電極端162は負極24の端である。)より突出している。
【0039】
突出部142は曲面150を有する。曲面150は正極電極端160から負極電極端162へ及んでいる。曲面150は正極22と負極24とに挟まれる空間から見て正極電極端160及び負極電極端162より突出している。
【0040】
本実施形態の場合についてより具体的に述べる。本実施形態の場合、遮蔽用絶縁体42のうち正極22と負極24との間に充填されている部分が電極間部140である。電極間部140は、電極固定材26から抵抗用絶縁体32までにわたっている。図3に示されている遮蔽用絶縁体42はその一部が取り除かれたものである。遮蔽用絶縁体42のうち正極22と負極24との間に充填されている部分が電極間部140なので、抵抗器30は電極間部140に取囲まれていることとなる。遮蔽用絶縁体42の一部は正極電極端160と負極電極端162との間より突出している。本実施形態の場合、「正極電極端160と負極電極端162との間」は2箇所ある。その双方から遮蔽用絶縁体42の一部が突出している。これら突出している遮蔽用絶縁体42の一部が突出部142である。突出部142の表面が曲面150である。本実施形態の場合、曲面150の形状は円筒の表面と同様である。
【0041】
[使用方法の説明]
本実施形態にかかる保護素子10の使用方法は上述した保護素子138と同様である。従って、ここではその詳細な説明は繰り返さない。
【0042】
[電子の動きの説明]
図4は、本実施形態において電子120が受ける力を示す概念図である。便宜上、図4では、保護素子10の部品については、正極22、負極24、抵抗器30、正極側リード導体62、抵抗用絶縁体32、及び、ブロック状永久磁石50のみを示す。図4を参照しつつ、本実施形態における電子120の動きを説明する。なお、負極24から多数の電子120が放出されることで電子120の流れが形成される。その流れがアークである。電子120の流れがアークなので、電子120の動きを説明するとアークの軌跡を説明することができる。
【0043】
接合材40が溶けると圧縮コイルバネ34が発熱片38を正極22及び負極24から離すまでは上述した保護素子138と同様である。その際、負極24からのアーク放電が発生する。
【0044】
本実施形態の場合、ブロック状永久磁石50のS極が、正極22、負極24、及び、遮蔽用絶縁体42に対向している。従って、磁力124の向きは、正極22、負極24、及び、遮蔽用絶縁体42からブロック状永久磁石50へ向かう向きである。本実施形態の場合、アークが生じる際には負極24から正極22へ電子120が放出される。電子120が放出される際、電子120は曲面150上を通る。電子120が曲面150上を通るのは、絶縁破壊が生じている場合、そこに電子120の通路が形成されるためである。電子120の進行方向は曲面150の接線方向となる。電流122の向きは電子120の進行方向とは逆になる。電流122は磁力124に直交する成分180とその他の成分とに分解できる。磁場の中を電子120が移動するので、電子120にローレンツ力126が働く。本実施形態の場合、ローレンツ力126の向きは、図4における下向きである。これにより、電子120の描く軌跡は曲がる。電子120の描く軌跡が曲がるので、アークの軌跡も曲がる。
【0045】
[効果の説明]
以上のようにして、本実施形態にかかる保護素子10において、アークの軌跡は曲がる。軌跡が曲がると、曲がらない場合に比べて、アークは延びる。アークが延びるとそれが延びない場合に比べてアークが発生する電圧(アーク電圧)が高くなる。また、アークは延ばされ、絶縁材料からなる構造体(本実施形態の場合、ケース44が「絶縁材料からなる構造体」にあたる)に接触することで冷却される。アーク電圧の上昇とアークの冷却との相乗効果によってアークが持続し難くなる。アークが持続し難くなるので、アークが生じやすい場合に比べ、大きな電流を流すことができる。その結果、本実施形態にかかる保護素子10は従来に比べて大きな電流を流すことができる。
【0046】
<第2実施形態>
[構成の説明]
図5は、本実施形態にかかる保護素子12の断面図である。図5を参照しつつ、本実施形態にかかる保護素子12の構成を説明する。本実施形態にかかる保護素子12は、絶縁基台20と、正極22と、負極24と、電極固定材26と、リード用端子28と、抵抗器30と、抵抗用絶縁体32と、圧縮コイルバネ34と、リード用絶縁体36と、発熱片38と、接合材40と、遮蔽用絶縁体42と、ケース46と、磁場発生部52とを備える。
【0047】
保護素子12において、絶縁基台20、正極22、負極24、電極固定材26、リード用端子28、抵抗器30、抵抗用絶縁体32、圧縮コイルバネ34、リード用絶縁体36、及び、発熱片38は、上述した保護素子138の、絶縁基台20、正極22、負極24、電極固定材26、リード用端子28、抵抗器30、抵抗用絶縁体32、圧縮コイルバネ34、リード用絶縁体36、及び、発熱片38と同一物である。それらの配置も同一である。保護素子12において、接合材40及び遮蔽用絶縁体42は、第1実施形態にかかる接合材40及び遮蔽用絶縁体42と同一物である。それらの配置も同一である。従って、ここではそれらの詳細な説明を繰り返さない。
【0048】
ケース46は、上述したケース210及びケース44と同様に、絶縁基台20と、正極22と、負極24と、電極固定材26と、リード用端子28の一部と、抵抗器30と、抵抗用絶縁体32と、圧縮コイルバネ34と、リード用絶縁体36と、発熱片38と、接合材40と、遮蔽用絶縁体42とを覆う。ケース46は、磁場発生部52を所定の位置に固定するための部品でもある。ケース46の素材は絶縁体である。ケース46は、第1磁石収容部82と第2磁石収容部84とを有する。これらは、正極22と負極24との間の空間を挟んで対向するように配置される。
【0049】
磁場発生部52は、正極22と負極24との間に磁力を発生させる。本実施形態の場合、磁場発生部52は、磁石の対を有している。それらの磁石の一方は第1板状永久磁石70である。それらの磁石の他方は第2板状永久磁石72である。本実施形態の場合、第1板状永久磁石70及び第2板状永久磁石72は、第1実施形態にかかるブロック状永久磁石50と同じ強さの磁力を持つ。第1板状永久磁石70はケース46の第1磁石収容部82に収容される。第2板状永久磁石72はケース46の第2磁石収容部84に収容される。上述したように、第1磁石収容部82と第2磁石収容部84とは、正極22と負極24との間の空間を挟んで対向するように配置される。これにより、磁場発生部52が有する磁石の対もまた、正極22と負極24との間の空間を挟んで対向するように配置される。
【0050】
第1板状永久磁石70はS極面102を有する。第2板状永久磁石72はN極面100を有する。N極面100は第2板状永久磁石72のN極である。N極面100は、正極22と負極24との間の空間に対向する。ただし、その空間とN極面100との間には隔壁94が設けられている。その隔壁94は第2磁石収容部84を構成する。N極面100は、正極22及び負極24の一方から他方にわたっている。S極面102は第1板状永久磁石70のS極である。S極面102も、正極22と負極24との間の空間に対向する。ただし、その空間とS極面102との間にも隔壁92が設けられている。その隔壁92は第1磁石収容部82を構成する。S極面102も、正極22及び負極24の一方から他方にわたっている。
【0051】
上述したように、磁場発生部52が有する磁石の対は、正極22と負極24との間の空間を挟んで対向するよう配置されている。N極面100もS極面102もその空間に対向する。これにより、第1板状永久磁石70と第2板状永久磁石72との対は、正極22と負極24との間の空間を挟んでN極とS極とが対向するよう配置されることとなる。
【0052】
[使用方法の説明]
本実施形態にかかる保護素子12の使用方法は上述した保護素子138及び保護素子10と同様である。従って、ここではその詳細な説明は繰り返さない。
【0053】
[電子の動きの説明]
本実施形態にかかる電子120の動きは第1実施形態にかかる保護素子10と同様である。ただし、本実施形態の場合、第1板状永久磁石70と第2板状永久磁石72との対は、正極22と負極24との間の空間を挟んでN極とS極とが対向するように配置される。正極22と負極24との間の空間の同一箇所における磁力の強さを比較すると、本実施形態にかかる磁場発生部52の磁力は第1実施形態にかかる磁場発生部(ブロック状永久磁石50)の磁力以上である。これは、ブロック状永久磁石50が第1板状永久磁石70及び第2板状永久磁石72より少々強力であったとしても同様である。磁力が強いので、本実施形態にかかる保護素子12においてアークが生じるとすれば、そのアークは、第1実施形態にかかる保護素子10において生じるはずのアークに比べてよく延びる。しかも、本実施形態の場合、第1板状永久磁石70と第2板状永久磁石72との対の磁力に基づいてアークが受けるローレンツ力の方向は一定である。一定方向のローレンツ力を受けることで、ローレンツ力の向きが変化する場合に比べ、アークを延ばすことができる。ローレンツ力の向きが変化する場合に比べて一定方向のローレンツ力を受ける場合にアークが延びるのは、ローレンツ力の向きが変化する際にいったんアークがローレンツ力を受けなくなってしまうためである。
【0054】
[効果の説明]
以上のようにして、本実施形態にかかる保護素子12において、アークはよく延びる。アークがよく延びるので、アーク電圧の上昇とアークの冷却との相乗効果によって、アークを持続し難くすることができる。その結果、本実施形態にかかる保護素子12は、従来に比べて大きな電流を流すことができる。
【0055】
しかも、本実施形態にかかる保護素子12において、正極22から負極24にわたり、単一の磁石によって磁力を発生させる場合よりも大きな磁力が発生している。磁力が大きくなると、アークが受けるローレンツ力は大きくなる。正極22から負極24にわたりローレンツ力が大きくなると、正極22から負極24までの空間の一部においてローレンツ力が大きい場合に比べ、アークは持続し難くなる。その結果、大きな電流を流すことが可能になる。
【0056】
しかも、本実施形態にかかる保護素子12は、第1板状永久磁石70と第2板状永久磁石72との対の磁力に基づいてアークが受けるローレンツ力の向きが変化する場合に比べ、アークを延ばすことができる。その結果、本実施形態にかかる保護素子12は、従来に比べて大きな電流を流すことができる。
【0057】
<第3実施形態>
[構成の説明]
図6は、本実施形態にかかる保護素子14の断面図である。図6を参照しつつ、本実施形態にかかる保護素子14の構成を説明する。本実施形態にかかる保護素子14は、絶縁基台20と、正極22と、負極24と、電極固定材26と、リード用端子28と、抵抗器30と、抵抗用絶縁体32と、圧縮コイルバネ34と、リード用絶縁体36と、発熱片38と、接合材40と、遮蔽用絶縁体42と、ケース48と、磁場発生部54とを備える。
【0058】
保護素子14において、絶縁基台20、正極22、負極24、電極固定材26、リード用端子28、抵抗器30、抵抗用絶縁体32、圧縮コイルバネ34、リード用絶縁体36、及び、発熱片38は、上述した保護素子138の、絶縁基台20、正極22、負極24、電極固定材26、リード用端子28、抵抗器30、抵抗用絶縁体32、圧縮コイルバネ34、リード用絶縁体36、及び、発熱片38と同一物である。それらの配置も同一である。保護素子14において、接合材40及び遮蔽用絶縁体42は、第1実施形態にかかる接合材40及び遮蔽用絶縁体42と同一物である。それらの配置も同一である。従って、ここではそれらの詳細な説明を繰り返さない。
【0059】
ケース48は、上述したケース210、ケース44、及び、ケース46と同様に、絶縁基台20と、正極22と、負極24と、電極固定材26と、リード用端子28の一部と、抵抗器30と、抵抗用絶縁体32と、圧縮コイルバネ34と、リード用絶縁体36と、発熱片38と、接合材40と、遮蔽用絶縁体42とを覆う。ケース48は、磁場発生部54を所定の位置に固定するための部品でもある。ケース48の素材は絶縁体である。ケース48は、第1磁石収容部86と第2磁石収容部88とを有する。これらは、正極22と負極24とを挟んで対向するよう配置される。
【0060】
磁場発生部54は、正極22と負極24との間に磁力を発生させる。本実施形態の場合、磁場発生部54は、磁石の対を有している。それらの磁石の一方は第1板状永久磁石76である。それらの磁石の他方は第2板状永久磁石74である。本実施形態の場合、第1板状永久磁石76及び第2板状永久磁石74は、第1実施形態にかかるブロック状永久磁石50と同じ強さの磁力を持つ。第1板状永久磁石76はケース48の第1磁石収容部86に収容される。第2板状永久磁石74はケース48の第2磁石収容部88に収容される。上述したように、第1磁石収容部86と第2磁石収容部88とは、正極22と負極24とを挟んで対向するように配置される。
【0061】
第1板状永久磁石76はS極面106を有する。第2板状永久磁石74はN極面104を有する。N極面104は第2板状永久磁石74のN極である。N極面104は負極24に対向する。ただし、負極24とN極面104との間には隔壁96が設けられている。その隔壁96は第2磁石収容部88を構成する。図6から明らかなように、N極面104は、負極24の一端から他端にわたっている。すなわち、N極面104の範囲は、負極24の一端から他端までの範囲に及んでいる。S極面106は第1板状永久磁石76のS極である。S極面106は正極22に対向する。正極22とS極面102との間には隔壁98が設けられている。その隔壁98は第1磁石収容部86を構成する。S極面106も、正極22の一端から他端にわたっている。
【0062】
図6及び上述の説明から明らかなように、磁場発生部54が有する磁石の対は、正極22と負極24とを挟んで対向するように配置される。これにより、第1板状永久磁石76と第2板状永久磁石74との対は、正極22と負極24との間の空間を挟んでN極とS極とが対向するよう配置されることとなる。
【0063】
[使用方法の説明]
本実施形態にかかる保護素子14の使用方法は上述した保護素子138、保護素子10、及び、保護素子12と同様である。従って、ここではその詳細な説明は繰り返さない。
【0064】
[電子の動きの説明]
本実施形態の場合、N極面104は負極24に対向する。S極面106は正極22に対向する。従って、正極22と負極24との間における磁力の向きは、図6における左側から右側へ向かう向きである。本実施形態の場合、アークが生じる際には負極24から正極22へ電子が放出される。電子が放出される際、電子は曲面150上を通る。電子の進行方向は曲面150の接線方向となる。電流の向きは電子の進行方向とは逆になる。電流は磁力に直交する成分とその他の成分とに分解できる。磁力に直交する成分の向きは、電子が曲面150上を進む間に変化する。負極24から放出された直後の磁力に直交する成分の向きと、正極22に到達する直前の磁力に直交する成分の向きとは、逆である。磁場の中を電子が移動するので、電子にローレンツ力が働く。上述した通り、電流のうち磁力に直交する成分の向きが変化するので、ローレンツ力の向きも変化することになる。向きが変化するものの、電子にローレンツ力が働くことにより、電子の描く軌跡は曲がる。電子の描く軌跡が曲がるので、アークの軌跡も曲がる。
【0065】
ただし、本実施形態の場合、磁場発生部54が有する磁石の対は、正極22と負極24とを挟んで対向するように配置される。正極22と負極24との間の空間の同一箇所における磁力の強さを比較すると、本実施形態にかかる磁場発生部54の磁力は単一の磁石(第1板状永久磁石76又は第2板状永久磁石74と同一のもの)による磁力以上である。磁力が強いので、本実施形態にかかる保護素子14においてアークが生じるとすれば、そのアークは、上述した単一の磁石を用いた場合に生じるはずのアークに比べてよく延びる。
【0066】
[効果の説明]
以上のようにして、本実施形態にかかる保護素子14において、アークはよく延びる。アークがよく延びるので、アーク電圧の上昇とアークの冷却との相乗効果によって、アークを持続し難くすることができる。その結果、本実施形態にかかる保護素子14は、従来に比べて大きな電流を流すことができる。
【0067】
〈変形例の説明〉
上述した保護素子10,12,14は、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものである。上述した保護素子10,12,14は、本発明の技術的思想の範囲内において種々の変更を加え得るものである。
【0068】
例えば、磁石の個数及び配置は上述したものに限定されない。また、磁場を発生させるための要素すなわち磁石は永久磁石に限定されない。永久磁石以外の磁石の例には電磁石がある。また、永久磁石の種類は特に限定されない。永久磁石の種類の例には、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石、フェライト磁石、及び、アルニコ磁石がある。
【0069】
また、上述したケース46,48は、第1実施形態にかかるケース44と同様に、アークがローレンツ力によって延びた場合にそのアークを接触させるための部品として用いてもよい。そのためには、ローレンツ力によって延びたアークがケース46,48に接触するようにケース46,48を配置するとよい。上述したケース46,48は絶縁体であり固体である。一般的に、固体は気体より熱伝導率が高い。熱伝導率が高いので、ケース46,48にアークを接触させることにより、空間によって冷却する場合に比べ、アーク及びその周りを効率よく冷却することができる。
【0070】
また、絶縁基台20の素材は特に限定されない。例えばフェノール樹脂がその素材として利用できる。一対の電極である正極22及び負極24の素材も特に限定されない。例えば銅と錫めっき真鍮とがその素材として利用できる。電極固定材26の素材も特に限定されない。発熱片38の素材も特に限定されない。抵抗器30の構造も特に限定されない。例えば、抵抗器30は、巻線型(負極側リード導体60が取り付けられた負極と正極側リード導体62が取り付けられた正極とがセラミックスコアの両端に装着され、そのセラミックスコアに抵抗線が巻き付けられ、その抵抗線の両端が正極と負極とに接合されているもの)でも、酸化金属皮膜型(コアに酸化金属皮膜を形成したもの)でもよい。保護素子10,12,14は、抵抗器30とは異なる種類の熱源を備えていてもよい。ただしその熱源は接合材40をその融点以上の温度に到達させるものであることが必要である。保護素子10,12,14は抵抗器30に代わる熱源を備えていなくともよい。
【0071】
また、接合材40の素材は特に限定されない。その素材の例には、合金の他、純金属、熱可塑性樹脂、及び、導電性接着剤がある。
【0072】
また、リード用絶縁体36を備える代わりに発熱片38の表面に絶縁膜を形成してもよい。
【0073】
また、保護素子10,12,14は、圧縮コイルバネ34の代わりに、別の弾性体を備えてもよい。
【0074】
また、突出部142は電極間部140の一端にのみ設けられてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10,12,14,138 保護素子
20 絶縁基台
22 正極
24 負極
26 電極固定材
28 リード用端子
30 抵抗器
32 抵抗用絶縁体
34 圧縮コイルバネ
36 リード用絶縁体
38 発熱片
40 接合材
42 遮蔽用絶縁体
44,46,48,210 ケース
50 ブロック状永久磁石
52,54 磁場発生部
60 負極側リード導体
62 正極側リード導体
70,76 第1板状永久磁石
72,74 第2板状永久磁石
80 磁石収容部
82,86 第1磁石収容部
84,88 第2磁石収容部
90,92,94,96,98 隔壁
100,104 N極面
102,106 S極面
120 電子
130 負荷
132 充電電源
134 スイッチ
136 制御素子
139 二次電池
140 電極間部
142 突出部
150 曲面
160 正極電極端
162 負極電極端
180 成分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向するよう配置される一対の電極と、
前記一対の電極間にまたがって配置され、かつ、電流が流れると発熱する発熱片と、
前記発熱片を前記一対の電極それぞれへ接合する接合材と、
前記一対の電極の間に配置され、かつ、前記発熱片に分離力を加える弾性体とを備え、
前記分離力は前記発熱片が前記一対の電極から離れる方向の力であり、
前記接合材の接合強度が所定の温度で所定の強さを下回り、
前記所定の温度が前記発熱片の発熱によって到達する温度であり、
前記所定の強さは前記分離力に耐える強さである保護素子であって、
前記一対の電極の一方から見て他方を遮るように前記一対の電極間に配置される遮蔽用絶縁体と、
前記一対の電極の間に予め磁力を発生させる磁場発生部とをさらに備えることを特徴とする保護素子。
【請求項2】
前記遮蔽用絶縁体が、
前記一対の電極に挟まれるように配置される電極間部と、
前記一対の電極に挟まれる空間から見て前記一対の電極の端より突出している突出部とを有していることを特徴とする請求項1に記載の保護素子。
【請求項3】
前記突出部が、前記一対の電極のうち一方の端から他方の端へわたっており、かつ、前記一対の電極に挟まれる空間から見て前記一対の電極の端より突出している曲面を有することを特徴とする請求項2に記載の保護素子。
【請求項4】
前記磁場発生部が、前記一対の電極の間を挟んでN極とS極とが対向するよう配置される磁石の対を有することを特徴とする請求項3に記載の保護素子。
【請求項5】
前記磁石の対の一方が、前記一対の電極のうち一方の端から他方の端へわたって配置されるN極面を有し、
前記磁石の対の他方が、前記一対の電極のうち一方の端から他方の端へわたって配置され、かつ、前記一対の電極の間を挟んで前記N極面に対向するS極面を有することを特徴とする請求項4に記載の保護素子。
【請求項6】
前記磁場発生部が永久磁石を有することを特徴とする請求項1に記載の保護素子。
【請求項7】
前記接合材が前記所定の温度を融点とする金属であることを特徴とする請求項1に記載の保護素子。
【請求項8】
前記保護素子が、前記一対の電極に挟まれるように配置される熱源をさらに備え、
前記弾性体が、前記一対の電極の間であることに加え、前記発熱片と前記熱源との間である位置に配置され、
前記熱源の発熱によって前記接合材が到達する温度が前記所定の温度以上の温度であり、前記遮蔽用絶縁体が、前記一対の電極に挟まれるように配置され、かつ、前記一対の電極の少なくとも一方に前記熱源の熱を伝達する電極間部を有することを特徴とする請求項1に記載の保護素子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−98134(P2013−98134A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242596(P2011−242596)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000225337)内橋エステック株式会社 (115)
【Fターム(参考)】