説明

信号を記録するための方法及び装置

【課題】MHPビデオ及び関連するアプリケーションを記録する場合の性能及び機能を増大させること。
【解決手段】本発明は、信号を記録するためのシステムに関する。レコーダは、NPTタイムラインのような関連する第1の再生時間情報を持つソース信号を受信するための受信器を有する。受信器は記録コントローラに結合され、記録コントローラはソース信号から記録信号を生成する。記録信号は、例えば或る時間間隔で一時停止された記録により生じた、ソース信号に対する記録の不連続を有する。記録コントローラは、記憶媒体に結合される。レコーダは更に、第1の再生時間情報及び記録の不連続に応じて、記録信号についての第2の時間情報を生成する時間プロセッサを有する。第2の時間情報は、補償されたNPTタイムラインであっても良く、又は記録信号に対応するように修正された時間指標を持つイベント記述子若しくはストリームイベントであっても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号を記録するための方法及び装置に関し、より詳細には、記録の不連続を有する信号を記録するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
過去10年間、ラジオ又はテレビジョン信号のようなコンテンツ信号の放送のためのディジタル手法の利用の著しい増大が見られた。例えば、過去10年間、ディジタルオーディオ放送(DAB)として知られる、ディジタルラジオの放送のための規格が開発されてきた。同様に、ディジタルビデオ放送(DVB)規格として知られる、テレビジョンの放送のための新たな規格が開発されてきた。
【0003】
ディジタル放送手法の利用は、例えば送信される信号と関連するアプリケーションを有するインタラクティブTVを含む、新たな機能を可能とした。
【0004】
付加的な機能を提供し、関連するアプリケーションを実現することを目的とする規格の例は、マルチメディア・ホーム・プラットフォーム(MHP)規格として知られている。MHPは、インタラクティブなディジタルアプリケーションと、該アプリケーションが動作する端末との間の、汎用的なインタフェースを定義している。該インタフェースは、別のMHP端末の実装の特定のハードウェア及びソフトウェアの詳細から、別のプロバイダのアプリケーションを分離する。このことは、ディジタルコンテンツのプロバイダが、ローエンドのセットトップボックスからハイエンドのセットトップボックスまでに亘る全てのタイプの端末、統合されたディジタルTVセット、及びマルチメディアPCに対応することを可能とする。MHPは、衛星、ケーブル、地上波及びマイクロ波システムを含む全ての伝送ネットワークにおける放送及びインタラクティブサービスのための、既存の普及したDVBオープン規格を拡張する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、MHPは放送の目的のために開発されてきたものであり、関連するMHPアプリケーションを持つ番組又は信号の記録に関連する多くの不利点に帰着してきた。従って、MHPビデオ及び関連するアプリケーションを記録する場合の性能及び機能を増大させることを目的とする、MHPに対する規格の拡張の試みが現在行われている。
【0006】
MHP規格は放送のために設計されたものであるため、保存に関連する問題の多くは考慮に入れられていない。かような問題の1つは、例えばビデオストリームにおけるイベントに関連するタイミング情報に関する。イベントは例えば、映画における新しい場面であっても良い。
【0007】
MHPにおいて利用されるタイミング情報は、MHPにおいてはNPT(Normal Play Time)と呼ばれる再生時間から成る。NPTは、ビデオシーケンス(例えばテレビジョン番組)の継続時間に亘って信号に関連する、連続的なタイムライン(time line)である。NPTは従って、ビデオシーケンスの継続時間の全体に亘るリアルタイムの指標(indication)である。NPTは番組の再生の実際の時間における進行を示すものであるから、例えば通常の速度の2倍での再生(早送りの間)は、通常の速度の2倍の速度でのNPTの進行に帰着する。
【0008】
通常の放送の間、再生速度は変化せず、ビデオのセクションにおける別の位置へジャンプすることは不可能である。しかしながら、信号が記録された場合には、ランダム的な態様でビデオシーケンスにアクセスすることが可能となる。例えば、番組の特定の時間にジャンプしたり、コマーシャルの間スキップしたり、又はスポーツイベントにおいてリプレイを観ることが望ましい場合がある。
【0009】
しかしながらMHPは、NPT時間における相対ジャンプを実行することにより、再生時間に対するジャンプの機能を提供するに過ぎない。従って番組は、例えば現在の再生位置に対して25分だけ先にジャンプし得るが、番組開始1時間後といった絶対位置にジャンプすることができない。このことは、NPTがビデオシーケンスに亘る連続的なタイムラインであるような多くの場合には許容可能である。しかしながら、記録されたビデオシーケンスが記録においてギャップを有する場合には、前記記録されたビデオシーケンスのNPTは、元のビデオシーケンスのNPTから逸脱する。
【0010】
例えば、ビデオシーケンスが、それぞれが10分の継続時間を持つ3つのセクションを有する場合、第3のセクションは20分のNPTにおいて開始する。しかしながら、第1のセクションと第3のセクションとのみが記録された場合、記録された前記第3のセクションは、20分のNPTではなく、10分のNPTにおいて開始する。かくして、MHPアプリケーションが、前記第1のセクションの途中で前記第3のセクションへのジャンプを有する場合には、相対ジャンプが15分に設定される。しかしながら、該相対ジャンプは、前記アプリケーションを、前記記録された第3のセクションの先頭ではなく末尾へジャンプさせてしまう。かくしてMHPは、記録における不連続に適していない。かような不連続は例えば、記録における一時停止、又はビデオシーケンスの編集に起因し得る。
【0011】
MHPは更に、Java(登録商標)プラットフォームに基づく。Java(登録商標)は、実行時にインタープリトされ、完全なマルチメディアアプリケーションを開発するためのプラットフォーム非依存のライブラリの完全なセットを提供する、プログラミング言語である。
【0012】
Java(登録商標)におけるオーディオ及びビデオ再生制御は、Java(登録商標)メディアフレームワーク(Java Media Framework)に基づく。該フレームワークは、オーディオ及びビデオの再生及び取り込みのプラットフォーム非依存の制御を可能とする機能のライブラリである。保存がMHPに追加される場合、再生の制御はJava(登録商標)メディアフレームワークを通して実行される。MHPのためのJava(登録商標)メディアフレームワークの実装は、オーディオ及びビデオの再生のための線形のタイムベースとして、MHPのNPTを利用する。
【0013】
Java(登録商標)メディアフレームワークは、オーディオ又はビデオシーケンスにおける或る位置へアプリケーションがジャンプすることを可能とする、幾つかの機能を持つ。これらの機能は全て、コンテンツの再生時間(NPT時間)における位置に基づく。それ故、これらの機能は、ソース信号(source signal)のNPTと記録信号(記録される信号、recorded signal)のNPTとの間に差を生じる不連続を記録が有する場合に、以上に示した問題と同じ問題に苦慮し得る。
【0014】
更なる例として、MHPは、コンテンツ中の特定のイベントに応答するMHPアプリケーションのための機能をも有する。例えば、MHPアプリケーションは、時事問題番組におけるニュース項目の変化、又はスポーツの試合におけるゴールに応答するように設計され得る。かようなイベントが発生した場合にアプリケーションを起動するために利用されるメカニズムは、ビデオ中のイベントに関連する情報及びイベントのタイミングに関連する情報を担持する記述子であるストリームイベントの利用に基づく。時間の指標は、NPTに基づく。例えば、ストリームイベントは、ビデオシーケンス開始後25分に対応するNPTの値を有することにより、試合開始25分後に発生したゴールを示しても良い(該ビデオシーケンスが試合開始時に開始すると仮定する)。従って、ストリームイベントを利用するアプリケーションもまた、元のビデオシーケンスと記録されるビデオシーケンスとの間で異なるNPTに帰着する記録の不連続に対して敏感である。
【0015】
それ故、記録のための改善されたシステムが有利となる。
【0016】
従って本発明は好ましくは、1以上の上述した不利点を個々に又はいずれかの組み合わせで緩和し、軽減し又は除去することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
第1の態様によれば、関連する第1の再生時間情報を持つソース信号を受信する手段と、前記ソース信号から前記ソース信号に対して記録の不連続を有する記録信号を生成する手段と、前記第1の再生時間情報及び前記記録の不連続に応じて前記記録信号についての第2の時間情報を生成する手段とを有する、記録のための装置が提供される。
【0018】
本発明は特に、記録信号についてのタイミング情報に依存するアプリケーション及び機能のために適切な第2の時間情報を可能とする。前記第2の時間情報は、記録の不連続に関連するタイミングのギャップを補償することにより、適切な時間情報が第1の再生時間情報から生成されることを可能とする。本発明はかくして、タイミング情報が記録の不連続に影響されても、タイミング情報を必要とするアプリケーション及び動作を可能とし及び/又は容易化する。特に本発明は、前記第1の再生時間情報に関連するタイミング指標又はイベントが、前記記録信号についてのタイミング情報に適切に参照されることを可能とする。かくして本発明は、タイミング情報に依存するアルゴリズム及び機能を混乱させたり又は許容不可能な程に影響を与えたりすることなく、記録の不連続が記録処理に導入されることを可能とする。
【0019】
前記記録信号及び/又はソース信号は好ましくは、ビデオ、オーディオ及び/又はマルチメディアデータストリームを有する。前記記録信号及び/又はソース信号は更に、前記信号のコンテンツ信号に関連するアプリケーションデータ又は記述データを含む付加的なデータを有しても良い。
【0020】
本発明は例えば、放送されたソース信号の記録、又は既に保存された信号の編集処理に適用され得る。編集処理においては、保存されたソース信号が編集されても良く、結果の信号は、元の保存された信号に加えて保存(又は記録)されても良いし、又は元の保存された信号の代わりに保存(又は記録)されても良い。前記第2の時間情報は、前記信号のコンテンツストリームと別個に保存されても良いし、又は共に保存されても良い。例えば、前記第2の時間情報は、別個のファイルに保存されても良いし、又は例えばビデオデータストリーム中に埋め込まれても良い。
【0021】
本発明の特徴によれば、前記第2の時間情報は、前記記録信号におけるイベントを示すマーカを有する。マーカは、例えば、ソース信号のコンテンツ信号における出現を、前記記録信号についての時間指標に関連付ける指標であっても良い。例えば、ビデオシーケンスの新たな場面は、前記記録信号についての特定のNPTに関連付けられても良い。前記マーカは好ましくは、前記記録信号と共に保存されても良い、別個のファイルに保存される。このことは、タイミングとイベントとを関連付ける非常に柔軟且つ単純な方法を可能とし、このことは再生の間に前記記録信号に対して実行されるアプリケーション及び機能による利用のために適している。前記マーカは、例えばコンテンツ信号のコンテンツ分析によって、又はコンテンツ信号の特性における変化(例えば場面変化)の検出によって、決定されても良い。
【0022】
本発明の他の特徴によれば、前記第2の時間情報は、前記マーカを有するプレイリストを有する。プレイリストは、前記記録信号についてのタイミング情報がアプリケーション及び機能によって容易に且つ柔軟に利用され得る、とりわけ適切な実装を可能とする。
【0023】
本発明の他の特徴によれば、前記第2の時間情報は、イベント記述子を有する。イベント記述子は例えば、ストリームイベントを有しても良いし、又はストリームイベント中に存しても良い。イベント記述子は、ソース信号に関連するイベントと時間指標との間の関連を有しても良い。例えば、アプリケーションが所定の時点に実行されるべきであることを示すイベント記述子は、前記アプリケーションの識別子と、該アプリケーションが実行されるべき前記記録信号のNPTの指標とを有しても良い。このことは、記録信号がソース信号に対して記録の不連続を有するにもかかわらず、アプリケーション及び機能が、時間を決められた動作を該記録信号に対して実行することを可能とする、単純且つ柔軟な実装を可能とする。
【0024】
本発明の他の特徴によれば、前記第2の時間情報を生成する手段は、前記ソース信号に関連するイベント記述子の時間情報を修正することにより、前記イベント記述子の時間情報を生成するように動作可能である。
【0025】
しばしば、コンテンツ信号を有するソース信号は、アプリケーション及び埋め込まれた関連する実行時間の指標のようなイベント記述子をも有する。これらのストリームイベントは有利にも、対応するイベント記述子を生成することにより、第2のタイミング情報に含められても良い。このとき実行時間は、記録信号の対応するタイミングに変更される。このことは、記録が記録の不連続を有するにもかかわらず、ソース信号におけるイベント記述子に関連する機能が、記録信号について維持されることを可能とする。
【0026】
本発明の他の特徴によれば、前記第2の時間情報を生成する手段は、前記記録の不連続に関連する時間ギャップにより前記ソース信号に関連するイベント記述子の時間情報を補償することにより、前記イベント記述子の時間情報を生成するように動作可能である。
【0027】
例えば、記録の不連続に後続するイベントに関連付けられたいずれのタイミング指標もが、該記録の不連続の時間ギャップに等しい値だけ単純に減少させられても良い。このことは、とりわけ低い複雑さを実現し、実装を容易化する。
【0028】
本発明の他の特徴によれば、前記イベント記述子の時間情報は、再生タイムラインに関連する相対時間情報を有する。それ故本発明は、相対時間指標を有するイベント記述子が、記録の不連続を持つ記録信号に転送されることを可能とする。
【0029】
本発明の他の特徴によれば、前記記録のための装置は、前記ソース信号を有する伝送信号から、前記ソース信号に関連するイベント記述子を抽出する手段を更に有する。このことは、ソース信号のイベント記述子が、記録信号について保持される実装を可能とする。
【0030】
本発明の他の特徴によれば、前記イベント記述子は、アプリケーションを起動するための情報を有するストリームイベントを有する。このことは、記録の不連続を持つ記録信号が、適切な時点におけるアプリケーションの起動を維持することを可能とする。
【0031】
本発明の他の特徴によれば、前記第1の再生時間情報は、第1の再生タイムラインを有し、前記第2の時間情報を生成する手段は、前記記録信号に関連し、前記記録の不連続に対応する時間の不連続を持つ不連続な再生タイムラインを生成するように動作可能である。
【0032】
具体的には、第1の再生タイムライン及び不連続な再生タイムラインは、NPTタイムラインのような、リアルタイムの再生タイムラインであっても良い。不連続な再生タイムラインは、前記第1の再生タイムラインに関連する全ての相対時間指標及び絶対時間指標が、記録信号についての不連続な再生タイムラインにまさに適切であることを実現する。それ故、既存の時間リファレンスが、記録の不連続を持つ記録信号のために利用されても良い。不連続な再生時間は単に、記録の不連続に関連する時間ギャップに対応するギャップを有しても良い。
【0033】
好ましくは、ソース信号及び記録信号は、マルチメディア・ホーム・プラットフォーム(MHP)データ及び/又はディジタルビデオ放送(DVB)データを有する。
【0034】
本発明の特徴の第2の態様によれば、関連する第1の再生時間情報を持つソース信号を受信するステップと、前記ソース信号から前記ソース信号に対して記録の不連続を有する記録信号を生成するステップと、前記第1の再生時間情報及び前記記録の不連続に応じて前記記録信号についての第2の時間情報を生成するステップとを有する、記録の方法が提供される。
【0035】
本発明のこれらの及び他の態様、特徴及び利点は、以下に記載される実施例を参照しながら説明され明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】TV番組を有するDVBソース信号101を示す。
【図2】本発明の実施例による記録のための装置のブロック図を示す。
【図3】本発明の実施例による記録信号の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の実施例は、図を参照しながら、単に例として説明される。
【0038】
以下の説明は、マルチメディア・ホーム・プラットフォーム(MHP)データ及びディジタルビデオ放送(DVB)ビデオデータを有するソース信号を記録するためのレコーダに適用可能な、本発明の実施例に焦点を合わせたものである。しかしながら、本発明はこの例に限定されるものではなく、例えば米国のDASE規格のような多くの他の信号及び規格に適用されても良いことは理解されるであろう。
【0039】
以下、好適な実施例が、DVB規格に従って放送されるテレビジョン番組の形のビデオシーケンスを有するソース信号の例を参照しながら説明される。図1は、TV番組を有するDVBソース信号101を示す。図示された例においては、ソース信号101は、4つの連続するセクション103、105、107及び109を有する。例えば前記TV番組は、それぞれのセクションが1つの試合を有する、4つのフットボールの試合のハイライトを示すスポーツ番組であっても良い。
【0040】
前記ソース信号は、NPT(Normal Play Time)111の形の関連する再生時間情報を持つ。該NPTは、前記番組の継続時間に亘る連続的なタイムラインである。従って、例のセクション1(103)は0:00(時間:分の形式)のNPTに開始し、セクション2(105)は0:10のNPTに開始し、セクション3(107)は0:20のNPTに開始し、セクション4(109)は0:30のNPTに開始し、前記番組は0:40のNPTに終了する。
【0041】
図2は、本発明の実施例による記録のための装置のブロック図を示す。
【0042】
レコーダ200は、ソース信号101を受信する受信器201を有する。好適な実施例においては、受信器201は、DVB規格に従って放送を受信するように動作可能なDVB無線受信器である。DVB受信器の実装は本分野においては良く知られており、簡潔さ及び明瞭さのため更に詳細には説明されない。
【0043】
他の実施例においては、受信器201は他の手段からソース信号101を受信するように動作可能であり、具体的には、受信器201はローカル又はリモートの記憶手段からソース信号101を受信するように動作可能であっても良い。幾つかの実施例においては、受信器201は、記録信号を保存するために利用される同一の記憶手段からソース信号101を受信するように動作可能であっても良い。レコーダ200は従って編集装置であっても良い。
【0044】
受信器201は、レコーダ200を制御しとりわけ記録処理を制御する記録コントローラ203に結合される。
【0045】
記録コントローラ203は、記録される信号を保存するように動作可能な記憶媒体205に結合される。記憶媒体205は、例えば固体メモリ、(記録可能なコンパクトディスク又はディジタルバーサタイルディスクのような)光記憶媒体又は磁気記憶手段を含む、信号を保存するために適切ないずれの手段であっても良い。好適な実施例においては、記憶媒体205は、ディジタルデータを保存するように動作可能なハードディスクとして実装される。
【0046】
記録コントローラ203は更に、レコーダ200のユーザがレコーダ200の機能を制御できるようにするユーザ入力207に結合される。
【0047】
記録コントローラ203は、ユーザ入力に応答して、ソース信号101から記録信号を生成するように動作可能である。単純な実施例においては、前記ユーザ入力は、単に記録の開始、一時停止及び停止から成る。この場合、記録コントローラ203は、ユーザが記録を開始したときに、ソース信号と同様の前記記録信号を生成する。ユーザが記録を一時停止した場合、記録コントローラ203は、前記記録信号に更なるデータを追加しない。前記一時停止が終了させられると、ソース信号101のうちの現在受信されている部分が、既存の記録信号に追加される。かくして、前記記録信号は記録の不連続を有し得る。好適な実施例においては、前記記録信号は、記録コントローラ203の制御の下、記憶媒体205に連続的に送られる。かくして前記記録信号は、記録処理の間に連続的に保存される。
【0048】
より複雑な実施例においては、前記記録処理は、ユーザからの入力無く、又は限られた入力のみで、記録コントローラ203により自動的に又は半自動的に制御されても良い。例えば、ユーザは所望の記録処理のため幾つかのパラメータ及び特性を規定し、記録コントローラ203がこれらのパラメータに適合するように記録を自動的に制御しても良い。幾つかの実施例においては、より高度な処理及びユーザ制御が、記録処理の一部として実装される。例えば、記録コントローラ203は、保存された信号が取得され、変更され、再保存(記録)されることを可能とする完全な編集機能を実装しても良い。かくして記録処理は、記録信号が例えばセクションの除去又は挿入によって生成されることを可能とする機能を有しても良い。このことは当然、ソース信号101と前記記録信号との間にNPTの差を生じる記録の不連続に帰着する。
【0049】
記録の不連続に帰着する記録処理の具体例として、ユーザは図1のソース信号101の記録を起動する。しかしながら、前記ユーザは2試合目のハイライトには関心が無く、従って前記ソース信号のセクション2(105)の間、記録を一時停止する。図3は、この操作に起因する記録信号301を示す。図示されたように、セクション1(103)はセクション3(107)によって直ぐに後続され、セクション3(107)はセクション4(109)によって後続される。かくして、前記記録信号については、セクション1(103)が0:00のNPTに開始し、セクション3(107)が0:10のNPTに開始し、セクション4(109)が0:20のNPTに開始し、前記番組が0:30のNPTに終了する。
【0050】
本発明の発明者は、記録の不連続により不利点が生じることを認識した。例えば、再生の間にユーザ又はMHPアプリケーションが他のセクションにジャンプしようとする場合、システムは当該セクションへのジャンプのために時間リファレンスとしてNPTを利用するであろう。例えば、MHPアプリケーションが、セクション1の途中でセクション3の先頭にジャンプする機能を有する場合、該機能は15分(即ちNPT0:05から0:30まで)の相対ジャンプとして実装されるであろう。元のソース信号(即ち記録の不連続を持たない記録信号)については、このことはセクション3の先頭へのジャンプに帰着する。しかしながら、前記アプリケーションが前記記録信号に対して実行される場合、結果のNPTはセクション3の先頭には対応せず、セクション4の先頭に一致する。従って前記MHPアプリケーションは誤動作する。
【0051】
この問題は、相対時間ジャンプについてのみ生じるものではなく、例えばソース番組に関連するストリームイベントについても生じる。これらのストリームイベントは、イベントが発生する、又はMHPアプリケーションが実行されるべき時点であるNPTを示し得る。しかしながら、ソース信号101のNPTと記録信号301のNPTとは異なるため、これらの時間指標は記録信号301については不適切であり、従って前記ストリームイベントに関連する全ての機能が不正になる。
【0052】
好適な実施例によれば、レコーダ200は更に、記録コントローラ203に結合された時間プロセッサ209を有する。時間プロセッサ209は、再生時間情報及び記録の不連続に応じて前記記録信号についての第2の時間情報を生成するように動作可能である。かくしてレコーダ200は、ソース信号101と記録信号301との間のタイミング差が補償されることを可能とする、第2のタイミング情報を生成する。前記第2の時間情報は、ソース信号101に関連するアプリケーション及び機能が、記録信号301と共に利用されることを可能とする。かくして、ソース信号101に対して利用可能である機能は、記録信号301に対しても利用可能となり、記録信号の異なる要素に対するアクセス可能性のため、全く付加的な機能も可能となり得る。
【0053】
好適な実施例においては、時間プロセッサ209は更に記憶媒体205に結合され、記録信号301と共に前記第2の時間情報を保存するように動作可能である。前記第2の時間情報は例えば、別個のファイルに保存されても良いし、又は前記記録信号に埋め込まれても良い。
【0054】
本発明の幾つかの実施例においては、前記第2の時間情報は、前記記録信号中のイベントを示すマーカを有する。
【0055】
かような実施例の1つにおいては、記録コントローラ203が前記ソース信号及び/又は前記記録信号の特性を検出し、これらの特性を時間プロセッサ209に供給する。これに応じて時間プロセッサ209は、前記記録信号の特性とNPTの時間との間の関連を有するマーカを生成する。
【0056】
例えば、記録コントローラ203は、ビデオシーケンス中の全ての場面変化を検出し、前記ソース信号の対応するNPT時間を時間プロセッサ209に通知する。時間プロセッサ209は更に、いずれの記録の不連続のタイミングに関する情報を供給され、次いで該情報に応じてマーカのタイミングを生成する。かくして時間プロセッサ209は、記録がNPT0:10と0:20との間で一時停止されたという情報を供給される。従って、時間プロセッサ209が前記ソース信号のNPT0:25において生じた場面変化の情報を受信すると、該場面変化が前記記録信号のNPT0:15において生じたことを示すマーカを生成する。
【0057】
本実施例において、前記生成されたマーカを編集することにより、プレイリストが生成される。再生の間、前記プレイリストのマーカを利用して、ナビゲーション(navigation)及びジャンプが実行され得る。それ故、記録が一時停止されても、コンテンツ内のジャンプは依然として整合性を持つ。
【0058】
幾つかの実施例において、記録コントローラ203は受信された信号のコンテンツ分析を実行しても良く、マーカは該コンテンツ分析に応じて生成されても良い。例えば、何回かのリプレイに後続される、観客のノイズの突然の増大によって、フットボールの試合のゴールが検出されても良い。ゴールの検出は時間プロセッサ209に送られ、時間プロセッサ209が前記ゴールが発生した前記記録信号のNPTを示すマーカを生成しても良い。
【0059】
前記マーカは好ましくは、前記記録信号を有するファイルと関連する別個のファイルに保存される。しかしながら、前記マーカは前記記録信号と同じファイルに含められても良く、前記記録信号に埋め込まれても良い。
【0060】
幾つかの実施例において、第1の再生時間情報は第1の再生タイムラインを有する。前記第1の再生タイムラインは具体的には、上述したようなNPTタイムラインであっても良い。これらの実施例の幾つかにおいては、時間プロセッサ209は、前記記録信号に関連する再生タイムラインであって、前記記録の不連続に対応する時間の不連続を持つ不連続な再生タイムラインを生成するように動作可能である。
【0061】
具体的には、時間プロセッサ209は、いずれの記録の不連続の時間ギャップにも対応する不連続を持つ記録信号についてのNPTを生成するように動作可能であっても良い。かくして、生成されたNPTタイムラインは、元のソース信号と同じコンテンツに対しては同じNPTを持つが、記録ギャップに対応するNPTの一部が失われている。
【0062】
図3に示された具体例においては、時間プロセッサ209は、0:00:00(時間:分:秒の形式)から、0:09:59に亘るNPTを生成する。しかしながら、NPTは次いで0:09:59から0:20:00へとジャンプし、そこから継続する。従って、記録ギャップがいつ生じても、対応する不連続が前記記録信号のNPTに導入される。不連続なNPTは、前記記録信号とは別に保存されても良いし、又は前記記録信号と共に保存されても良い。
【0063】
前記元のソース信号のNPTに関連するいずれのアプリケーション及び機能も、前記記録信号と共に直接利用されても良い。例えばアプリケーションがセクション1(103)の途中でセクション3(107)にジャンプする上述の例において、計算されたNPT0:30は、ここでは前記記録信号の開始後30分を指しているが、依然として適切である。
【0064】
好適な実施例においては、前記第2の時間情報はイベント記述子を有する。これらのイベント記述子はイベントを識別し、関連する時間指標を持つ。前記イベント記述子は、前記時間指標が前記記録信号のNPTに関連するように、時間プロセッサ209によって生成される。
【0065】
しばしば、ソース信号が幾つかのイベント記述子を有する。例えば放送されるDVB信号は、イベントがいつ発生するか(例えばいつ番組の新たなセクションが開始するか)、又はイベントがいつ発生すべきか(例えばいつMHPアプリケーションが開始されるべきか)についての情報を有する幾つかのストリームイベントを有しても良い。前記ソース信号のストリームイベントの時間指標は、前記ソース信号のNPTを指す。
【0066】
好適な実施例においては、記録コントローラ203は、ソース信号を有する伝送信号から、前記ソース信号に関連するイベント記述子を抽出する。前記伝送信号は前記ソース信号と同一であっても良いし、前記ソース信号を有するデータストリームであっても良い。前記抽出されたストリームイベントは、時間プロセッサ209に送られる。
【0067】
時間プロセッサ209は、前記ソース信号に関連するイベント記述子の時間情報を修正することにより、前記イベント記述子の時間情報を生成するように動作可能である。時間プロセッサ209はかくして、前記抽出されたイベント記述子の時間指標を読み取り、前記記録信号のNPTに対応するように前記時間指標を変更する。
【0068】
具体的には、時間プロセッサ209は、前記記録の不連続に関連する時間ギャップにより、前記ソース信号に関連するイベント記述子の時間情報を補償することによって、前記イベント記述子の時間情報を生成する。
【0069】
単純な実施例においては、時間プロセッサ209は、前記ソース信号に対して、前記記録信号のいずれの除去された又は追加されたセクションの対応する時間間隔をも単に加算又は減算する。図3の例においては、セクション1(103)に関連する全てのイベント記述子は従って変更されない。一方セクション3又は4に関連する全てのイベント記述子は、ソース信号101の対応するイベント記述子の時間指標から10分を減算することにより生成される。新たなセクションを追加する編集操作の場合には、該追加されるセクションに後続するセクションに関連する全てのイベント記述子の時間指標が、前記追加されるセクションの継続時間に対応する量だけ単に増加させられる。
【0070】
前記第2の時間情報の前記生成されたイベント記述子は例えば、別個の情報ファイルに保存されても良いし、前記記録信号に埋め込まれても良い。
【0071】
具体例として、図1のソース信号は、セクション1において、セクション4の先頭、即ち0:30のNPTにおいて特定のMHPアプリケーションが起動されるべきであることを示すストリームイベントを有する。前記ストリームイベントはセクション1の先頭に含められ、前記MHPアプリケーションが前記ストリームイベントの出現の30分後に開始されるべきであることを示す相対時間指標を有する。
【0072】
前記ストリームイベントはソース信号101から抽出され、時間プロセッサ209に送られる。時間プロセッサ209は更に、10分の記録ギャップが導入されたという情報を供給されている。該ストリームイベントは記録ギャップの後の時間を指しているため、時間プロセッサ209は、元の時間指標から10分を減算することにより、新たな時間指標を算出する。かくして、前記MHPアプリケーションが前記ストリームイベントの出現の20分後に起動されるべきであることを示すストリームイベントが生成され、前記ストリームイベントがセクション1の先頭において前記記録信号301に挿入される。
【0073】
従って前記記録信号の再生の間、前記MHPアプリケーションは、再生機能又は機器に対する変更の必要なく、セクション4の先頭において正しく開始される。
【0074】
かくして、タイミング情報に依存するアルゴリズム及び機能を妨害したり又は許容不可能な程に影響を与えることなく、記録の不連続が記録処理に導入されることを可能とするレコーダが提供される。
【0075】
第2の時間情報を生成するための他のアプローチが単独で、又はいずれかの組み合わせ若しくは置換により、利用されても良いことは理解されるであろう。
【0076】
本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらのいずれかの組み合わせを含む、いずれの適切な形態で実装されても良い。しかしながら好ましくは、本発明は、1以上のデータプロセッサ及び/又はディジタル信号プロセッサ上で動作するコンピュータソフトウェアとして実装される。本発明の実施例の構成要素は、いずれの適切な方法で、物理的、機能的及び論理的に実装されても良い。更に、機能は単一のユニットの形で実装されても良いし、複数のユニットの形で実装されても良いし、又は他の機能ユニットの一部として実装されても良い。従って、本発明は単一のユニットの形で実装されても良いし、異なるユニット及びプロセッサ間で物理的及び機能的に分散されても良い。
【0077】
本発明は好適な実施例に関連して説明されたが、ここで示された特定の形態に限定されることを意図したものではない。むしろ、本発明の範囲は、添付する請求項によってのみ限定される。請求項において、「有する(comprising)」なる語は、他の要素又はステップの存在を除外するものではない。更に、個別的に列記されていても、複数の手段、要素又は方法ステップは、例えば単一のユニット又はプロセッサによって実装されても良い。加えて、個々の特徴が異なる請求項に含められ得るが、これら特徴はことによると有利に組み合わせられても良く、異なる請求項に含められていることは、これら特徴の組み合わせが利用可能でない及び/又は有利でないということを示すものではない。加えて、単数形の表示は複数を除外するものではない。従って「1つの(a、an、first、second等)」という表示は複数を除外するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
関連する第1の再生時間情報を持つソース信号を受信する手段と、前記ソース信号から前記ソース信号に対して記録の不連続を有する記録されるべき信号を生成する手段と、前記第1の再生時間情報及び前記記録の不連続に応じて前記記録されるべき信号についての第2の時間情報を生成する手段とを有する、記録のための装置。
【請求項2】
前記第2の時間情報は、前記記録されるべき信号におけるイベントを示すマーカを有する、請求項1に記載の記録のための装置。
【請求項3】
前記第2の時間情報は、前記マーカを有するプレイリストを有する、請求項2に記載の記録のための装置。
【請求項4】
前記第2の時間情報は、イベント記述子を有する、請求項1に記載の記録のための装置。
【請求項5】
前記第2の時間情報を生成する手段は、前記ソース信号に関連するイベント記述子の時間情報を修正することにより、前記イベント記述子の時間情報を生成するように動作可能である、請求項4に記載の記録のための装置。
【請求項6】
前記第2の時間情報を生成する手段は、前記記録の不連続に関連する時間ギャップにより前記ソース信号に関連するイベント記述子の時間情報を補償することにより、前記イベント記述子の時間情報を生成するように動作可能である、請求項5に記載の記録のための装置。
【請求項7】
前記イベント記述子の時間情報は、再生タイムラインに関連する相対時間情報を有する、請求項5に記載の記録のための装置。
【請求項8】
前記ソース信号を有する伝送信号から、前記ソース信号に関連するイベント記述子を抽出する手段を更に有する、請求項5に記載の記録のための装置。
【請求項9】
前記イベント記述子は、アプリケーションを起動するための情報を有するストリームイベントを有する、請求項4に記載の記録のための装置。
【請求項10】
前記第1の再生時間情報は、第1の再生タイムラインを有し、前記第2の時間情報を生成する手段は、前記記録されるべき信号に関連し、前記記録の不連続に対応する時間の不連続を持つ不連続な再生タイムラインを生成するように動作可能である、請求項1に記載の記録のための装置。
【請求項11】
前記ソース信号及び前記記録されるべき信号は、マルチメディア・ホーム・プラットフォームデータを有する、請求項1に記載の記録のための装置。
【請求項12】
前記ソース信号及び前記記録されるべき信号は、ディジタルビデオ放送データを有する、請求項1に記載の記録のための装置。
【請求項13】
関連する第1の再生時間情報を持つソース信号を受信するステップと、前記ソース信号から前記ソース信号に対して記録の不連続を有する記録されるべき信号を生成するステップと、前記第1の再生時間情報及び前記記録の不連続に応じて前記記録されるべき信号についての第2の時間情報を生成するステップとを有する、記録の方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法の実行を可能とするコンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラムを有する記録担体。
【請求項16】
請求項13に記載の方法を実行するようにプログラムされたコンピュータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−45132(P2011−45132A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−244245(P2010−244245)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【分割の表示】特願2006−520066(P2006−520066)の分割
【原出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】