説明

信号シフト装置、シフトレジスタ、電子機器及び信号シフト装置の駆動方法

【課題】信号シフト装置、シフトレジスタ及び電子機器において、安定した動作制御を行う。
【解決手段】シフト回路21_kは、電圧適正化回路22を備える。閾値電圧検出部32は、トランジスタT14のゲート閾値電圧Vthを検出し、閾値電圧保持部33は、このゲート閾値電圧Vthを保持する。電圧加算部34は、(N+1)端子に供給されたS(N+1)信号によってコンデンサC21,C22の容量に応じた電圧をゲート閾値電圧Vthに加算してトランジスタT14がオンするためのゲート電位を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号シフト装置、シフトレジスタ、電子機器及び信号シフト装置の駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
TFTを利用したゲートドライバ用シフトレジスタによって,LCDや有機EL素子をアクティブ駆動し、表示する表示装置が実用化されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−103226号公報(第8頁、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のアモルファスシリコンTFTによって構成されたシフトレジスタでは、長時間駆動させると、この駆動動作による劣化が生じ、特に出力段に設けられた出力トランジスタが劣化する。このため、ゲートドライバとしての駆動能力、特に、ハイ(High)レベルの信号出力時のオン抵抗、ロー(Low)レベルの信号出力時のオン抵抗の低下が生じる。
【0005】
この駆動劣化は,主にTFTの閾値電圧Vthの経時的シフトに起因するものであり、特にローレベルの信号の出力を担うトランジスタは、他のトランジスタと比較して動作状態が長く、閾値電圧Vthのシフト量も大きくなる。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、安定した動作制御が可能な信号シフト装置、シフトレジスタ、電子機器及び信号シフト装置の駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る信号シフト装置は、
第1の制御端と第1の電流路とを有し、前段から供給された第1の電位のシフト信号に基づいて生成された第1のオン信号が前記第1の制御端に供給されてオンし、前記第1の電流路の一端に供給されたクロック信号を前記シフト信号として前記第1の電流路の他端から出力する第1のトランジスタと、
第2の制御端と第2の電流路とを有し、前記第2の電流路の一端が前記第1のトランジスタの前記第1の電流路の他端に接続され、前記第2の制御端に第2のオン信号が供給されてオンし、前記第1の電流路の他端の電位を、前記第1の電位と異なる第2の電位に変位する第2のトランジスタと、
前記第2のトランジスタの前記第2の制御端の閾値電圧に相当する電圧を検出し、当該電圧に、所定の電圧を加算して前記第2のトランジスタの前記第2の制御端に印加する電圧適正化回路と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0008】
前記電圧適正化回路は、
前記第2のトランジスタの閾値電圧に相当する電圧を検出する閾値電圧検出部と、
前記閾値電圧検出部が検出した前記第2のトランジスタの閾値電圧に相当する電圧を保持する閾値電圧保持部と、
前記閾値電圧保持部が保持した前記第2のトランジスタの閾値電圧に相当する電圧に所定の電圧を加算する電圧加算部と、を備えてもよい。
また、前記電圧適正化回路は、
第3の制御端と第3の電流路とを有し、前記第3の制御端が前記第2の制御端に接続され、前記第3の電流路の一端が前記第2の電流路の他端に接続された閾値電圧検出トランジスタと、
一端が前記第3の制御端に接続され、他端が前記第3の電流路の他端に接続され、前段からのシフト信号の信号レベルに従ってオン、オフする短絡トランジスタと、
一端が前記閾値電圧検出トランジスタの前記第3の制御端に接続され、他端に前記第2の電位が印加される閾値電圧保持コンデンサと、
一端に1つ後段からのシフト信号が供給され、他端が前記閾値電圧保持コンデンサの前記一端に接続された電圧加算コンデンサと、を備えてもよい。
また、1つ後段からのシフト信号を、前記電圧加算コンデンサの前記一端に供給する加算トランジスタと、
前々段からのシフト信号を、前記短絡トランジスタの前記一端に供給する閾値検出用電圧供給トランジスタと、
前々段からのシフト信号に応じて前記電圧加算コンデンサの前記一端の電圧をリセットするリセットトランジスタと、を備えてもよい。
そして、前記第1のトランジスタの前記第1の制御端の閾値電圧に相当する電圧を検出し、当該電圧に、所定の電圧を加算して前記第1のトランジスタの前記第1の制御端に印加する第1のトランジスタ電圧適正化回路を備えてもよい。
【0009】
本発明の第2の観点に係るシフトレジスタは、
上述の複数の信号シフト装置を備え、前記複数の信号シフト装置が直列に接続されて、前記シフト信号を、順次、シフトすることを特徴とする。
【0010】
本発明の第3の観点に係る電子機器は、
表示素子を備えて行列配置された複数の画素回路と、
上述のシフトレジスタを有し、スタート信号がシフト信号として、前記シフトレジスタの第1段目の信号シフト装置に供給され、順次、シフトしたシフト信号を、行を選択する行選択信号として各行毎に供給し、前記複数の画素回路を行毎に選択する行選択ドライバと、
前記スタート信号を前記行選択ドライバに供給して動作を開始させる制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の第4の観点に係る信号シフト装置の駆動方法は、
信号シフト装置の駆動方法において、
前記信号シフト装置は、
第1の制御端と第1の電流路とを有し、前段から供給された第1の電位のシフト信号に基づいて生成された第1のオン信号が前記第1の制御端に供給されてオンし、前記第1の電流路の一端に供給されたクロック信号を前記シフト信号として前記第1の電流路の他端から出力する第1のトランジスタと、
第2の制御端と第2の電流路とを有し、前記第2の電流路の一端が前記第1のトランジスタの前記第1の電流路の他端に接続され、前記第2の制御端に第2のオン信号が供給されてオンし、前記第1の電流路の他端の電位を、前記第1の電位と異なる第2の電位に変位する第2のトランジスタと、を備え、
前記第2のトランジスタの前記第2の制御端の閾値電圧に相当する電圧を検出し、
当該電圧に、所定の電圧を加算して前記第2のトランジスタの前記第2の制御端に印加する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、安定した動作制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る電子機器を図面を参照して説明する。尚、本実施形態では、電子機器を、TFT−OLED(Thin Film Transistor−Organic light-emitting diode)として説明する。
(実施形態1)
実施形態1に係るTFT−OLEDの構成を図1に示す。
実施形態1に係るTFT−OLED1は、図1(a)に示すように、n行、m列の複数の画素回路11(i,j)(i=1〜m、j=1〜n、m,nは、それぞれ、自然数)と、ゲートドライバ12と、データドライバ13と、コントローラ14と、を有する。
【0014】
画素回路11(i,j)は、画像の各画素に対応するものであり、行列配置される。この画素回路11(i,j)は、図1(b)に示すように、トランジスタT1、トランジスタT2、容量C1、及びEL素子Eを有する。
【0015】
容量C1は、トランジスタT2のゲート−ソース間に設けられた容量である。
【0016】
EL素子Eは、画素電極、複数のキャリア輸送層からなる有機EL層、対向電極が積層された構造であり、対向電極には基準電位Vssが印加されている。
【0017】
トランジスタT1は、容量C1の一端に信号電圧Vsigを印加するためのトランジスタであり、nチャンネル型のFET(Field Effect Transistor;電界効果トランジスタ)によって構成されたポリシリコンまたはアモルファスシリコン薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)である。
【0018】
画素回路11(i,j)では、トランジスタT1のソースは、トランジスタT2のゲート及び容量C1の一端に接続されている。画素回路11(i,1),・・・,11(i,n)のトランジスタT1のドレインは、それぞれ、データラインLdiに接続される。
【0019】
画素回路11(1,j),・・・,11(m,j)の各トランジスタT1のゲートは、それぞれ、ゲートラインLgjに接続される。そして、それぞれ、ゲートラインLg1,・・・,LgnにHiレベルの信号が出力されると、画素回路11(1,j),・・・,11(m,j)の各トランジスタT1はオンし、データラインLd1,・・・,Ldmにそれぞれ入力された信号電圧VsigをトランジスタT2のゲート及び容量C1の一端に出力する。
【0020】
各トランジスタT2は、ゲートがトランジスタT1のソース及び容量C1の一端に接続され、ドレインに電源電位Vddが印加され、ソースが容量C1の他端及びEL素子Eの画素電極に接続されている。
【0021】
ゲートドライバ12は、コントローラ14から供給されたスタート信号ST,PST、クロック信号ck1,ck2に従って、行を選択するために生成した出力信号OUT(1)〜(n)を順次、画素回路11(i,j)に出力して、画素回路11(i,j)を行毎に選択するためのドライバである。
【0022】
スタート信号ST,PSTは、ゲートドライバ12の動作を開始させるための信号であり、クロック信号ck1,ck2は、互いに位相が180°異なる信号である。
【0023】
このゲートドライバ12は、図2に示すようなシフトレジスタを有する。なお、ゲートドライバ12は、シフトレジスタの出力端にバッファが設けられてもよい。このシフトレジスタは、コントローラ14から供給されたスタート信号ST,PSTによって動作を開始し、出力信号を出力するとともに順次転送させるものである。
【0024】
シフトレジスタは、n段のシフト回路21_1〜21_n(n;偶数)を備え、シフト回路21_1〜21_nが直列に接続されている。
【0025】
シフト回路21_1〜21_nは、それぞれのタイミングに応じて供給されたS(N-1)信号、S(N-2)信号(スタート信号ST,PSTを含む)、S(N+1)信号、クロック信号CK1(又はCK2)、END信号に従ってS(Nout)信号をシフトして安定したハイレベル及びローレベルの矩形波を出力するものである。
【0026】
図3に示すように、シフト回路21_k(k=1〜n)は、(N−2)端子と、(N−1)端子と、(N+1)端子と、Nout端子と、クロック端子Pckと、を有している。
【0027】
(N−2)端子は、2つ前のシフト回路21_(k−2)のNout端子に接続され、シフト回路21_(k−2)から出力されたS(Nout)信号がS(N-2)信号として供給される端子である。
【0028】
尚、シフト回路21_1の(N−2)端子には、コントローラ14から、S(N-2)信号として、電位VddをHighレベル、電位Vssを電位Vddよりも低いLowレベルとするスタート信号PSTが供給され、またシフト回路21_2の(N−2)端子には、コントローラ14から、S(N-2)信号として、電位VddをHighレベル、電位Vssを電位Vddよりも低いLowレベルとするスタート信号STが供給される。
【0029】
(N−1)端子は、1つ前のシフト回路21_(k−1)のNout端子に接続され、シフト回路21_(k−1)から出力されたS(Nout)信号がS(N-1)信号として供給される端子である。
【0030】
尚、シフト回路21_1の(N−1)端子には、コントローラ14から、S(N-1)信号として、電位VddをHighレベル、電位VssをLowレベルとするスタート信号STが供給される。
【0031】
(N+1)端子は、1つ後のシフト回路21_(k+1)のNout端子に接続され、シフト回路21_(k+1)から出力されたS(Nout)信号がS(N+1)信号として供給される端子である。
【0032】
尚、シフト回路21_nの(N+1)端子には、コントローラ14から、S(N+1)信号として、END信号が供給される。また、ゲートドライバ12を複数のフレーム期間にわたって連続して動作する場合、1段目のシフト回路21_1のNout端子を最終段のシフト回路21_nの(N+1)端子に接続して、第gフレーム期間の1段目のシフト回路21_1のNout端子からのS(Nout)信号を、その直前の第(g−1)フレーム期間の最終段のシフト回路21_nの(N+1)端子にEND信号として入力してもよい。この場合、最終フレーム期間のみ、コントローラ14が最終段のシフト回路21_nの(N+1)端子にEND信号を出力すればよい。
【0033】
同様に、ゲートドライバ12を複数のフレーム期間にわたって連続して動作する場合、シフト回路21_(n−1)のNout端子を1段目のシフト回路21_1の(N−2)端子に接続して、シフト回路21_(n−1)のNout端子からのS(Nout)信号をスタート信号PSTとして出力させ、シフト回路21_nのNout端子を1段目のシフト回路21_1の(N−1)端子及び2段目のシフト回路21_2の(N−2)端子に接続して、シフト回路21_nのNout端子からのS(Nout)信号をそれぞれスタート信号STとして出力させてもよい。
【0034】
Nout端子は、出力信号OUT(k)を出力する端子であり、ゲートラインLgkに接続されている。
【0035】
ゲートドライバ12は、シフト回路21_1〜21_nのS(Nout)信号を、それぞれ、OUT(1)〜OUT(n)信号として、ゲートラインLg1〜Lgnに出力する。
【0036】
クロック端子Pckは、クロック信号CK1又はCK2が供給される端子であり、奇数段であるシフト回路21_kのクロック端子Pckには、コントローラ14から、クロック信号CK1が供給される。また、偶数段であるシフト回路21_(k+1)のクロック端子Pckには、コントローラ14から、クロック信号CK2が供給される。
【0037】
このシフト回路21_kは、図3に示すように、トランジスタT11〜T14と、容量成分C2と、電圧適正化回路22と、を有する。
【0038】
トランジスタT11〜T14は、nチャンネル型のFETによって構成されたものである。このトランジスタT11〜T14は、画素回路11(i,j)と一体に構成されるためにポリシリコンTFT、アモルファスシリコンTFT、又は結晶グレインサイズがμmオーダーのマイクロクリスタルシリコンTFTによって構成されることが好ましい。
【0039】
トランジスタT11は、(N−1)端子に供給されたS(N-1)信号の信号レベルに従って、ノードAの電位VAをコントロールするためのトランジスタである。このトランジスタT11のドレインとゲートとは、(N−1)端子に接続され、ソースは、ノードAに接続される。なお、トランジスタT11のドレインは、(N−1)端子に接続される代わりに電源電位Vddが印加されていてもよい。
【0040】
トランジスタT12は、(N+1)端子に供給されたS(N+1)信号の信号レベルに従って、ノードAの電位VAをコントロールするためのトランジスタである。
【0041】
このトランジスタT12のゲートは、(N+1)端子に接続され、ドレインは、トランジスタT11のソースとノードAとに接続され、ソースには、電位Vssが印加される。
【0042】
トランジスタT13は、ゲートに印加されたノードAの電位VAに従ってオン、オフし、オン時にクロック信号CK1(又はCK2)をS(Nout)信号として出力する出力トランジスタである。トランジスタT13のゲートは、ノードAに接続され、前段からのシフト信号としてS(N-1)信号に基づいた信号が供給される。このS(N-1)信号のHighレベルは、電位Vddとなる。
【0043】
トランジスタT13のドレインは、クロック端子Pckに接続され、ソースはNout端子に接続される。
【0044】
容量成分C2は、トランジスタT13のゲートとソースとの間に存在する寄生容量成分である。この寄生容量成分はトランジスタT13のゲート−ソース間の構造による寄生容量成分だけでもよいし、トランジスタT13以外に別途設けられた寄生容量成分であってもよいし、トランジスタT13の寄生容量成分及びトランジスタT13以外の寄生容量成分によって混成された構造のものであってもよい。
【0045】
トランジスタT14は、後述するノードB2の電位VBに従ってオン、オフされ、オンして、トランジスタT13のソースの電位をLowレベルに固定して、HighレベルのS(Nout)信号の出力をLowレベルに切り替える出力トランジスタである。トランジスタT14のドレインは、トランジスタT13のソースとNout端子とに接続され、ソースには、電位Vssが印加される。
【0046】
このトランジスタT14は、LowレベルのS(Nout)信号の出力がされている間、オンして長時間駆動されることになる。このため、各ゲートラインLg1,Lg2,・・・,Lgnのそれぞれのduty比が約1/nの場合、1フレーム期間の間の約(n−1)/nが、トランジスタT14のゲートに、高電圧である電位Vddが印加される。
【0047】
このため、トランジスタT14のゲート閾値電圧Vth(トランジスタT14のドレイン−ソース間に電流が流れはじめる(或いは流れなくなる)ときのトランジスタT14のゲート−ソース間電圧)は、徐々により高電位側にシフトし、劣化することになる。ここで、トランジスタT14のゲートに印加される電位が定電位であると、徐々に電流が流れにくくなり、Lowレベルが十分に低くならない恐れがある。
【0048】
電圧適正化回路22は、このトランジスタT14の劣化が生じてもトランジスタT14のゲートの閾値電圧のシフト量に応じて自動的に適正な電位を発生させ、この電位の信号を、トランジスタT14をオンさせるオン信号として、トランジスタT14のゲート端子に供給することによってトランジスタT14を定常的に動作させるための回路である。
【0049】
電圧適正化回路22は、リセット部31と、閾値電圧検出部32と、閾値電圧保持部33と、電圧加算部34と、を有する。
【0050】
リセット部31は、後述するノードB1の電位を電位Vssにリセットするものである。
【0051】
閾値電圧検出部32は、リセット部31のリセット解除後に、トランジスタT14のゲートの閾値電圧Vthに相当する電圧を検出するものである。
【0052】
閾値電圧保持部33は、閾値電圧検出部32が検出したトランジスタT14のゲートの閾値電圧Vthに相当する電圧を保持するものである。
【0053】
この電圧適正化回路22は、例えば、図4に示すように、トランジスタT21〜T26と、コンデンサC21,C22を有する。
【0054】
電圧加算部34は、コンデンサC21,C22の各容量に応じて設定された電圧を、閾値電圧保持部33が保持しているトランジスタT14のゲートの閾値電圧Vthに相当する電圧に加算してトランジスタT14がオンするためゲート電位を生成するものである。
【0055】
トランジスタT21は、1つ後段のシフト回路21_(k+1)から、S(N+1)信号が供給され、供給されたS(N+1)信号をコンデンサC21の一端に供給するトランジスタである。トランジスタT21のソースはコンデンサC21の一端に接続され、ゲートとドレインとが接続され、S(N+1)信号が供給されて、トランジスタT21はダイオード動作する。
【0056】
コンデンサC21とコンデンサC22とは、トランジスタT21を介して供給されたS(N+1)信号の電位Vdd(Highレベル)を分圧するためのコンデンサであり、分圧された電圧は、電圧加算部34が加算して出力する電圧に相当する。
【0057】
コンデンサC21の一端はトランジスタT21のソースに接続される。コンデンサC22の一端は、コンデンサC21の他端に接続され、コンデンサC22の他端には、電位Vssが印加される。このコンデンサC21の一端をノードB1、コンデンサC21の他端とコンデンサC22の一端との接続点をノードB2とする。
【0058】
トランジスタT22は、S(N-2)信号の信号レベルに従って、ノードB2の電位をコントロールするためのトランジスタである。トランジスタT22のソースは、ノードB2に接続され、ゲートとドレインとが接続されて、S(N-2)信号が供給され、トランジスタT22はダイオード動作する。
【0059】
トランジスタT23は、S(N-2)信号の信号レベルに従って、ノードB1の電位をコントロールするためのトランジスタである。トランジスタT23のドレインは、ノードB1に接続され、ソースには電位Vssが印加される。そして、ゲートにはS(N-2)信号が供給される。
【0060】
トランジスタT24は、ハイ(High)レベルのS(N-1)信号が供給されてオンし、ノードB2の電位がトランジスタT25のゲート閾値電圧Vthに収束するまでトランジスタT25に電流を供給することによってトランジスタT25のゲート閾値電圧Vthを検出する閾値電圧検出部32として機能する。トランジスタT24のドレインは、ノードB2に接続され、ソースがトランジスタT25のドレインに接続され、ゲートにS(N+1)信号が供給される。
【0061】
トランジスタT25のドレインは、トランジスタT24のソースに接続され、ゲートは、ノードB2に接続され、ソースには電位Vssが印加される。トランジスタT26のドレインは、トランジスタT13のゲートに接続され、ゲートは、ノードB2に接続され、ソースには電位Vssが印加される。
【0062】
トランジスタT25、T26は、そのゲート、ソースが、それぞれ、トランジスタT14のゲート、ソースと共通化されて、トランジスタT14とほぼ同じバイアス関係を有するものである。従って、トランジスタT25、T26のゲート閾値電圧Vth及びそれらの経時的変化は、トランジスタT14のゲート閾値電圧Vth及びその経時的変化とほぼ同じになる。
【0063】
トランジスタT23は、図3に示すリセット部31を構成し、オンしてノードB1の電位を電位Vssにリセットする。
【0064】
トランジスタT22は、ノードB2に、トランジスタT14、T25、T26のゲート閾値電圧Vthを十分越える電圧である電源電位VddをトランジスタT25のゲートに出力し、トランジスタT24は、トランジスタT22によって出力された電源電位VddをトランジスタT25のドレインに供給する。
【0065】
トランジスタT25は、電源電位Vddによってドレイン−ソース間に電流を流すことになり、この電流は、トランジスタT25のゲート電圧(ゲート−ソース間電位差)をトランジスタT25のゲート閾値電圧Vth25に低下することによって停止する。
【0066】
トランジスタT22、トランジスタT24及びトランジスタT25は、トランジスタT25のゲート閾値電圧Vth25、つまり、トランジスタT14のゲート閾値電圧Vth14に相当する電圧を検出する閾値電圧検出部32を構成する。
【0067】
トランジスタT26は、後述する図6の時刻t21〜t23を除く期間に、ノードAの電位を電位Vssに保持することによってノードAをフローティングにせずにでき、この間、トランジスタT13の挙動を不安定にする要因を除いている。
【0068】
コンデンサC22は、閾値電圧保持部33を構成し、検出されたトランジスタT14のゲート閾値電圧Vthに相当する電圧を保持する。
【0069】
トランジスタT21とコンデンサC21とは、電圧加算部34を構成する。S(N+1)信号がコンデンサC21の一端に供給されて、トランジスタT14のゲート閾値電圧Vthに相当する電圧に保持されているノードB2の電位は、S(N+1)信号となる電位Vddと電位Vssとの電位差をコンデンサC21,C22で分圧した電位差だけ上昇(加算)する。
【0070】
図1に戻り、データドライバ13は、画像データが供給され、供給された画像データに基づく表示信号の信号電圧Vsigを、それぞれ、データラインLd1〜Ldmを介して、さらに、ゲートドライバ12が選択した行の画素回路11(i,j)の各トランジスタT1を介して、画素電極に印加(供給)するドライバである。
【0071】
データドライバ13は、コントローラ14から、スタート信号start2及び表示データ信号Data、所定の周波数のクロック信号等が供給されて、表示データ信号Dataから各画素に対応して抽出され、階調を設定する信号電圧Vsigを、ゲートラインLgiの選択期間に、データラインLdjを介して画素回路11(i,j)に印加する。
【0072】
コントローラ14は、ゲートドライバ12、データドライバ13を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)、等を備える(いずれも図示せず)。
【0073】
コントローラ14は、動作を開始させるスタート信号PST,STと、クロック信号CK1,CK2と、をゲートドライバ12の初段のシフト回路21_1に供給することにより、ゲートドライバ12に動作を開始させる。
【0074】
次に実施形態1に係るTFT−OLED1の動作を説明する。
図5に示すように、時刻t10において、コントローラ14は、クロック信号CK1の電位を立ち上げ、クロック信号CK2の電位を立ち下げ、Highレベルのスタート信号PSTをゲートドライバ12に供給する。
【0075】
このHighレベルのスタート信号PSTは、S(N-2)信号として1段目のシフト回路21_1の(N−2)端子に供給される。
【0076】
図5に示すように、時刻t11になると、コントローラ14は、ゲートドライバ12に供給するスタート信号PSTをLowレベルに立ち下げ、スタート信号STの電位を立ち上げるとともに、クロック信号CK1の電位を立ち下げ、クロック信号CK2の電位を立ち上げるように位相が180°異なるクロック信号CK1,CK2を供給する。
【0077】
このHighレベルのスタート信号STは、それぞれ、S(N-1)信号としてシフト回路21_1の(N−1)端子に、2段目のS(N-2)信号としてシフト回路21_2の(N−2)端子に供給される。
【0078】
シフト回路21_1では、(N−1)端子に供給されたS(N-1)信号がHighレベルになると、図3に示すトランジスタT11はオンし、ノードAの電圧がHighレベルになって、トランジスタT13がオンする。
【0079】
トランジスタT13がオンしているため、時刻t12になって、クロック信号CK1が立ち上がると、シフト回路21_1は、Nout端子からHighレベルのS(Nout)信号を出力する。
【0080】
このシフト回路21_1のS(Nout)信号は、それぞれ、シフト回路21_2のS(N-1)信号としてシフト回路21_2の(N−1)端子に、シフト回路21_3のS(N-2)信号としてシフト回路21_3の(N−2)端子に供給される。
【0081】
図5に示すように、時刻t13になり、クロック信号CK1が立ち下がり、クロック信号CK2の立ち上がると、シフト回路21_2は、Nout端子からHighレベルのS(Nout)信号を出力する。
【0082】
このシフト回路21_2のS(Nout)信号は、それぞれ、S(N+1)信号としてシフト回路21_1の(N+1)端子に、3段目のS(N-1)信号としてシフト回路21_3の(N−1)端子に、4段目のS(N-2)信号としてシフト回路21_4の(N−2)端子に供給される。
【0083】
時刻t14において、クロック信号CK1が立ち上がり、クロック信号CK2の立ち下がると、シフト回路21_3は、HighレベルのS(Nout)信号をNout端子から出力する。
【0084】
シフト回路21_3のS(Nout)信号は、それぞれ、S(N+1)信号としてシフト回路21_2の(N+1)端子に、S(N-1)信号としてシフト回路21_4の(N−1)端子に、S(N-2)信号として5段目のシフト回路21_5の(N−2)端子に供給される。
【0085】
このようにして、各シフト回路21_1〜21_nは、順次、スタート信号STをシフトする。
【0086】
そして、時刻t12から、クロック信号CK1のn/2周期目である時刻t16において、シフト回路21_nのS(Nout)信号の立ち下がりのタイミングで、コントローラ14は、ゲートドライバ12にEND信号を供給する。
【0087】
このEND信号は、S(N+1)信号としてシフト回路21_nの(N+1)端子に供給される。
【0088】
最終段目のシフト回路21_nの(N+1)端子にS(N+1)信号が供給されると、シフト回路21_nのノードAの電圧は、電位Vssとなり、トランジスタT13はオフする。そして、ノードB1の電位上昇の影響を受けてノードB2の電位が上昇してトランジスタT14がオンし、ゲートラインLgnからのOUT(n)信号が、HighレベルからLowレベルに変位すると、繰り返し1段目のシフト回路21_1からシフトが行われる。
【0089】
ゲートドライバ12は、時刻t10〜t11,t11〜12,・・・において、シフト回路21_1,21_2,・・・,21_nのHighレベルのS(Nout)信号を、それぞれ、OUT(1)信号,OUT(2)信号,・・・,OUT(n)信号として、順次、ゲートラインLg1,Lg2,・・・,Lgnに出力する。
【0090】
ゲートラインLg1,Lg2,・・・,Lgnに、順次、HighレベルのOUT(1)信号が出力されると、画素回路11(1,1)〜11(m,1),11(1,2)〜11(m,2),・・・,11(1,n)〜11(m,n)が選択される。
【0091】
データドライバ13は、供給された画像データに基づく電圧Vsigを、それぞれ、データラインLd1〜Ldmに印加する。
【0092】
次に、電圧適正化回路22の動作について説明する。
図6に示すように、時刻t20〜t21において、シフト回路21_(k−2)からシフト回路21_kの(N−2)端子に、HighレベルのS(N-2)信号が供給されると、図7(a)に示すように、トランジスタT23,T22がオンする。
【0093】
尚、シフト回路21_1の場合、(N−2)端子には、HighレベルのS(N-2)信号として、コントローラ14から電位Vddのスタート信号PSTが供給される。また、シフト回路21_2の場合、(N−2)端子には、HighレベルのS(N-2)信号として、コントローラ14から電位Vddのスタート信号STが供給される。
【0094】
トランジスタT23がオンすると、コンデンサC21の一端が電位Vssのラインに接続される。トランジスタT22がオンすると、電流Isは、シフト回路21_kの(N−2)端子から、トランジスタT22のドレイン−ソース間を流れ、ノードB2の電位が電位Vddまで上昇する。
【0095】
電流Isがこのように流れると、コンデンサC21,C22は電位差(Vdd−Vss)で充電され、図6に示すように、ノードB1の電圧V(B1)、ノードB2の電位V(B2)は、それぞれ、Lowレベル、Highレベルに設定される。
【0096】
時刻t21において、シフト回路21_(k−2)からシフト回路21_kの(N−2)端子に、LowレベルのS(N-2)信号が供給されると、図7(b)に示すように、トランジスタT23,T22がオフする。
【0097】
また、時刻t21〜t22において、シフト回路21_(k−1)からシフト回路21_kの(N−1)端子にHighレベルのS(N-1)信号が供給されると、図7(b)に示すように、トランジスタT24がオンする。
【0098】
トランジスタT23,T22がオフし、トランジスタT24がオンすると、コンデンサC21,22が放電し、電流Isが、ノードB2から、トランジスタT25のドレイン−ソースを経由して電位Vssのラインへと流れる。
【0099】
電流Isがこのように流れると、図6に示すように、ノードB2の電圧V(B2)は、低下する。電圧V(B2)がトランジスタT25のゲート閾値電圧Vth25まで低下すると、電流Isが流れなくなり、このゲート閾値電圧Vth25が検出される。検出されたゲート閾値電圧Vth25は、時刻t23の直前までコンデンサC22の両端に保持される。
【0100】
前述の通り、トランジスタT25のゲート、ソースが、それぞれ、トランジスタT14のゲート、ソースと共通化されているため、トランジスタT14及びトランジスタT25のゲート閾値電圧の経時的変化は同等になり、トランジスタT14のゲート閾値電圧をVth14として、ゲート閾値電圧Vth25とゲート閾値電圧Vth14とはほぼ等しくなる。このため、コンデンサC22に保持されたゲート閾値電圧Vth25は、ゲート閾値電圧Vth14に相当する。
【0101】
図6に示すように、時刻t22になると、シフト回路21_kの(N−1)端子に供給されるS(N-1)信号はLowレベルになり、トランジスタT24がオフする。また、シフト回路21_kはNout端子からHighレベルのS(Nout)信号を出力する。
【0102】
時刻t23になると、シフト回路21_kはNout端子からLowレベルのS(Nout)信号を出力し、シフト回路21_(k+1)からシフト回路21_kの(N+1)端子にHighレベルのS(N+1)信号が供給される。
【0103】
尚、シフト回路21_nの場合、(N+1)端子には、HighレベルのS(N+1)信号として、コントローラ14からEND信号が供給される。
【0104】
(N+1)端子にHighレベルのS(N+1)信号が供給されると、図7(c)に示すように、トランジスタT21がオンする。
【0105】
このため、電流Isは、トランジスタT21のドレイン−ソースを流れ、さらに、コンデンサC21の一端に接続されたノードB1の電位を上昇させる。
【0106】
コンデンサC21の一端に接続されたノードB1の電位上昇に引きずられて、コンデンサC21の一端に接続されたノードB2の電位が、コンデンサC21,C22の容量に応じて上昇する。コンデンサC21,C22の容量を、それぞれ、c21,c22とすると、ノードB2の電位上昇分ΔVは、次の式(1)で表される。
ΔV=(Vdd−Vss)×c1/(c1+c2) ・・・(1)
【0107】
このためノードB2、つまりトランジスタT14、T25、T26のゲートの電位V(B2)は、次の式(2)で表される。
V(B2)=(Vdd−Vss)×c1/(c1+c2)+Vth25
・・・(2)
【0108】
トランジスタT25のゲート閾値電圧Vth25は、トランジスタT14のゲート閾値電圧Vth14に等しいので、電位V(B2)は、次の式(3)で表される。
V(B2)=(Vdd−Vss)×c1/(c1+c2)+Vth14
・・・(3)
【0109】
したがって、トランジスタT14のゲート閾値電圧Vth14が経時的に高電位にシフトしても、時刻t21〜22の間に、ノードB2の電位が自動的にトランジスタT14のゲート閾値電圧Vth14或いはそれにほぼ近似した値に設定される。
【0110】
このため、その後閉じこめられた電荷によるノードB2の電位は、時刻t23以降、コンデンサC21の一端の電位の上昇に伴ってトランジスタT14のゲート閾値電圧Vth14を十分超えた値となる。
【0111】
そして、トランジスタT14が出力信号OUT(k)をLowレベル(電位Vss)にするとともに、トランジスタT26が、ノードAの電位をLowレベル(電位Vss)にして、トランジスタT13をオフ状態にする。
【0112】
以上説明したように、本実施形態1によれば、シフト回路21_kは、電圧適正化回路22を備え、電圧適正化回路22は、トランジスタT14の閾値電圧Vth14を検出し、保持する。
【0113】
さらに、電圧適正化回路22は、トランジスタT14のゲート電位を、(N+1)端子に供給されたS(N+1)信号によって、コンデンサC21,C22の容量によって予め設定された電圧分だけ上昇させるようにした。
【0114】
また、トランジスタT14のゲート閾値電圧Vth14が経時変化しても、その時々に応じたトランジスタT14のゲート閾値電圧Vth14(ゲート−ソース間のバイアス)を適正に保持することができるので、確実にトランジスタT14を動作制御できる。
【0115】
また,従来、トランジスタT14を長時間駆動しても、閾値電圧Vthがシフトしても、特性を維持するためにトランジスタT14のサイズを他のトランジスタと比べて大きくしていたのが、その必要はなくなり、従来と比較して、サイズを縮小することもできる。
【0116】
なお、電圧適正化回路22において、トランジスタT26を省略しても、トランジスタT13のゲート電位が、フローティングの際に他の信号によって若干変位するが、ノードAとの間の寄生容量を減らせば正常に動作することができる。
【0117】
(実施形態2)
実施形態2は、シフト回路のシフト信号を出力する側にも電圧適正化回路を備えるようにしたものである。
【0118】
図3に示すシフト回路21_kのシフト信号を出力する側としてノードA側のトランジスタT13も、駆動によって閾値電圧Vthがシフトする。トランジスタT13をトランジスタT14と同様にバイアス電圧を適正に保持することにより、トランジスタT13は正常に動作できる。
【0119】
実施形態2に係るシフト回路21_kの構成を図8に示す。
かかるシフト回路21_kは、端子として、実施形態1の端子の他に、さらに、(N−3)端子を有している。この(N−3)端子には、シフト回路21_(k−3)のNout端子から出力信号S(Nout)がS(N-1)信号として供給される。
【0120】
また、シフト回路21_kは、電圧適正化回路22Aと電圧適正化回路22Bとを備える。
【0121】
電圧適正化回路22Aは、シフト信号を出力する側の回路であり、実施形態1の電圧適正化回路22のトランジスタT21〜T25と同様のトランジスタT21a〜T25aを備える。
【0122】
トランジスタT21aのドレインには、トランジスタT11を介して、(N−1)端子からS(N-1)信号が供給される。トランジスタT23aのゲートには、(N+1)端子からS(N+1)信号が供給される。
【0123】
電圧適正化回路22Bは、実施形態1の電圧適正化回路22のトランジスタT21〜T25と同様のトランジスタT21b〜T25bを備える。
【0124】
トランジスタT21bのドレインには、(N+1)端子からS(N+1)信号が供給される。トランジスタT23bのゲートには、(N−2)端子からS(N-2)信号が供給される。
【0125】
尚、電圧適正化回路22AのコンデンサC21aの一端をノードA1、コンデンサC21aの他端とコンデンサC22の一端との接続点をノードA2とし、ノードA1,A2は、それぞれ、電圧適正化回路22BのノードB1,B2に対応する。
【0126】
このように、電圧適正化回路22Aを備えることにより、トランジスタT13を連続駆動しても駆動能力は低下せず、バイアスを安定化させることができ、シフト回路21_kの駆動能力を一定に保持することができる。
【0127】
また、実施形態1と同様に、シフト回路21_kの性能を確保することができるため、回路構成を増大する必要もなくなる。
【0128】
尚、本発明を実施するにあたっては、種々の形態が考えられ、上記実施形態に限られるものではない。
例えば、上記実施形態では、電子機器を発光素子としての有機EL素子を備えたTFT−OLEDとして説明した。しかし、電子機器は、TFT−LCD(Thin Film Transistor−Liquid Crystal Display)であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明の実施形態1に係るTFT−OLEDの構成を示すブロック図であり、(a)は、TFT−OLEDの全体構成を示し、(b)は、各画素の構成を示す。
【図2】図1に示すゲートドライバの構成を示す図である。
【図3】図2に示すシフト回路の構成を示す図である。
【図4】図3に示す電圧適正化回路の構成例を示す回路図である。
【図5】図1に示すTFT−OLEDの動作を示すタイミングチャートである。
【図6】図4に示す電圧適正化回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図7】図4に示す電圧適正化回路の動作状態を示す図であり、(a)は、シフト回路の(N−2)端子にHighレベルのS(N-2)信号が供給されたときの動作状態を示し、(b)は、(N−1)端子にHighレベルのS(N-1)信号が供給されたときの動作状態を示し、(c)は、(N+1)端子にHighレベルのS(N+1)信号が供給されたときの動作状態を示す。
【図8】本発明の実施形態2に係るTFT−OLEDとして、電圧適正化回路を2つ備えたシフト回路の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0130】
1・・・TFT−OLED、12・・・ゲートドライバ、13・・・データドライバ、14・・・コントローラ、22,22A,22B・・・電圧適正化回路、31・・・リセット部、32・・・閾値電圧検出部、33・・・閾値電圧保持部、34・・・電圧加算部、T11〜T14,T21〜T26,T21a〜T25a,T21b〜T25b・・・トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の制御端と第1の電流路とを有し、前段から供給された第1の電位のシフト信号に基づいて生成された第1のオン信号が前記第1の制御端に供給されてオンし、前記第1の電流路の一端に供給されたクロック信号を前記シフト信号として前記第1の電流路の他端から出力する第1のトランジスタと、
第2の制御端と第2の電流路とを有し、前記第2の電流路の一端が前記第1のトランジスタの前記第1の電流路の他端に接続され、前記第2の制御端に第2のオン信号が供給されてオンし、前記第1の電流路の他端の電位を、前記第1の電位と異なる第2の電位に変位する第2のトランジスタと、
前記第2のトランジスタの前記第2の制御端の閾値電圧に相当する電圧を検出し、当該電圧に、所定の電圧を加算して前記第2のトランジスタの前記第2の制御端に印加する電圧適正化回路と、を備えた、
ことを特徴とする信号シフト装置。
【請求項2】
前記電圧適正化回路は、
前記第2のトランジスタの閾値電圧に相当する電圧を検出する閾値電圧検出部と、
前記閾値電圧検出部が検出した前記第2のトランジスタの閾値電圧に相当する電圧を保持する閾値電圧保持部と、
前記閾値電圧保持部が保持した前記第2のトランジスタの閾値電圧に相当する電圧に所定の電圧を加算する電圧加算部と、を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の信号シフト装置。
【請求項3】
前記電圧適正化回路は、
第3の制御端と第3の電流路とを有し、前記第3の制御端が前記第2の制御端に接続され、前記第3の電流路の一端が前記第2の電流路の他端に接続された閾値電圧検出トランジスタと、
一端が前記第3の制御端に接続され、他端が前記第3の電流路の他端に接続され、前段からのシフト信号の信号レベルに従ってオン、オフする短絡トランジスタと、
一端が前記閾値電圧検出トランジスタの前記第3の制御端に接続され、他端に前記第2の電位が印加される閾値電圧保持コンデンサと、
一端に1つ後段からのシフト信号が供給され、他端が前記閾値電圧保持コンデンサの前記一端に接続された電圧加算コンデンサと、を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の信号シフト装置。
【請求項4】
1つ後段からのシフト信号を、前記電圧加算コンデンサの前記一端に供給する加算トランジスタと、
前々段からのシフト信号を、前記短絡トランジスタの前記一端に供給する閾値検出用電圧供給トランジスタと、
前々段からのシフト信号に応じて前記電圧加算コンデンサの前記一端の電圧をリセットするリセットトランジスタと、を備える、
ことを特徴とする請求項3に記載の信号シフト装置。
【請求項5】
前記第1のトランジスタの前記第1の制御端の閾値電圧に相当する電圧を検出し、当該電圧に、所定の電圧を加算して前記第1のトランジスタの前記第1の制御端に印加する第1のトランジスタ電圧適正化回路を備える、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の信号シフト装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の複数の信号シフト装置を備え、前記複数の信号シフト装置が直列に接続されて、前記シフト信号を、順次、シフトする、
ことを特徴とするシフトレジスタ。
【請求項7】
表示素子を備えて行列配置された複数の画素回路と、
請求項6に記載のシフトレジスタを有し、スタート信号がシフト信号として、前記シフトレジスタの第1段目の信号シフト装置に供給され、順次、シフトしたシフト信号を、行を選択する行選択信号として各行毎に供給し、前記複数の画素回路を行毎に選択する行選択ドライバと、
前記スタート信号を前記行選択ドライバに供給して動作を開始させる制御部と、を備えた、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
信号シフト装置の駆動方法において、
前記信号シフト装置は、
第1の制御端と第1の電流路とを有し、前段から供給された第1の電位のシフト信号に基づいて生成された第1のオン信号が前記第1の制御端に供給されてオンし、前記第1の電流路の一端に供給されたクロック信号を前記シフト信号として前記第1の電流路の他端から出力する第1のトランジスタと、
第2の制御端と第2の電流路とを有し、前記第2の電流路の一端が前記第1のトランジスタの前記第1の電流路の他端に接続され、前記第2の制御端に第2のオン信号が供給されてオンし、前記第1の電流路の他端の電位を、前記第1の電位と異なる第2の電位に変位する第2のトランジスタと、を備え、
前記第2のトランジスタの前記第2の制御端の閾値電圧に相当する電圧を検出し、
当該電圧に、所定の電圧を加算して前記第2のトランジスタの前記第2の制御端に印加する、
ことを特徴とする信号シフト装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−81110(P2010−81110A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244935(P2008−244935)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】