説明

信号伝送回路及び電力変換装置

【課題】磁界変化に伴うノイズの影響を除去し伝送信号の伝送精度を向上させる。
【解決手段】セット信号S102のパルスが通過した時点から規定時間閉状態となるセットパルスゲート回路12aを設けて、規定時間よりも短い間隔でセット信号S102のパルスがNチャンネル電界効果トランジスタTr1に伝達されることを回避してセット用絶縁トランスTL1の励磁コイルの励磁間隔を制限する。セット信号S102のパルスが通過した直後から、リセット信号S103のパルスが通過するまでの間、開状態となるリセットパルスゲート回路12cを設け、セット信号S102に対応するリセット信号S103のパルスを確実に通過させつつ、リセット信号S103のパルスが通過した後、ノイズ等が、誤ってリセット信号S103のパルスとしてNチャンネル電界効果トランジスタTr2に伝達されることを回避する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスを用いて信号伝送を行なう信号伝送回路及び電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両機器では、高効率化および省エネ対策を図るために、駆動力を生む電動機の駆動システムに、昇降圧コンバータ及びインバータが搭載されている。
図5は、昇降圧コンバータ及びインバータを用いた車両駆動システムの概略構成を示すブロック図である。
図5において、車両駆動システムには、昇降圧コンバータ1102に電力を供給する直流電源1101、電圧の昇降圧を行う昇降圧コンバータ1102、昇降圧コンバータ1102から出力された電圧を3相電圧に変換するインバータ1103及び車両を駆動する電動機1104が設けられている。
【0003】
なお、直流電源1101は、架線からの給電電圧、又は直列接続されたバッテリーから構成することができる。
そして、車両駆動時には、昇降圧コンバータ1102は、直流電源1101の電圧(例えば280V)を電動機1104の駆動に適した電圧(例えば750V)に昇圧し、インバータ1103に供給する。そして、インバータ1103のスイッチング素子をオン/オフ制御することにより、昇降圧コンバータ1102にて昇圧された電圧を3相電圧に変換して、電動機1104の各相に電流を流し、スイッチング周波数を制御することで車両の速度を変化させる。
【0004】
一方、車両の制動時には、インバータ1103は、電動機1104の各相に生じる電圧に同期してスイッチング素子をオン/オフ制御することにより整流動作を行い、直流電圧に変換してから、昇降圧コンバータ1102に供給する。そして、昇降圧コンバータ1102は、電動機1104から生じる電圧(例えば750V)を直流電源1101の電圧(例えば280V)に降圧して電力の回生動作を行う。
【0005】
図6は、図5の昇降圧コンバータ1102及びインバータ1103の概略構成を示すブロック図である。
図6において、昇降圧コンバータ1102には、エネルギーの蓄積を行うリアクトルL、電荷の蓄積を行うコンデンサC、インバータ1103に流入する電流を通電及び遮断するスイッチング素子SW1、SW2、スイッチング素子SW1、SW2の導通及び非導通を指示する制御信号を生成する制御回路1111が接続されている。
【0006】
そして、スイッチング素子SW1、SW2は直列に接続されると共に、スイッチング素子SW1、SW2の接続点には、リアクトルLを介して直流電源1101が接続されている。
ここで、スイッチング素子SW1には、制御回路1111からの制御信号に従ってスイッチング動作を行うIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)1105が設けられ、IGBT1105に流れる電流と逆方向に電流を流すフライホイールダイオードD1がIGBT1105に並列に接続されている。
【0007】
また、スイッチング素子SW2には、制御回路1111からの制御信号に従ってスイッチング動作を行うIGBT1106が設けられ、IGBT1106に流れる電流と逆方向に電流を流すフライホイールダイオードD2がIGBT1106に並列に接続されている。そして、IGBT1106のコレクタは、コンデンサCおよびインバータ1103の双方に接続されている。
【0008】
一方、インバータ1103は、昇降圧コンバータ1102のスイッチングSW1及びSW2と同一構成を有するスイッチング素子SW11、SW21が直列に接続された第1のアームA1と、同様に、スイッチング素子SW1、SW2と同一構成を有するスイッチング素子SW12、SW22が直列に接続された第2のアームA2と、スイッチング素子SW1、SW2と同一構成を有するスイッチング素子SW13、SW23が直列に接続された第3のアームA3とを有し、これらアームA1〜A3が並列に接続されて構成される。そして、各アームA1〜A3のスイッチング素子どうしの接続点が、3相の電動機1104の各リアクトルに接続されている。
なお、各スイッチング素子SW11〜SW23の、各IGBTのゲート端子は、制御回路1112に接続され、各IGBTは、制御回路1112からの制御信号に応じて動作し、これによりスイッチング素子SW11〜SW23の導通及び非導通が制御される。
【0009】
図7は、昇圧動作時に図6の昇降圧コンバータ1102のリアクトルLに流れる電流の波形を示す図である。
図7において、昇圧動作では、スイッチング素子SW1のIGBT1105がオン(導通)すると、IGBT1105を介してリアクトルLに電流Iが流れ、LI2/2のエネルギーがリアクトルLに蓄積される。
次に、スイッチング素子SW1のIGBT1105がオフ(非導通)すると、スイッチング素子SW2のフライホイールダイオードD2に電流が流れ、リアクトルLに蓄えられたエネルギーがコンデンサCに送られる。
【0010】
一方、降圧動作では、スイッチング素子SW2のIGBT1106がオン(導通)すると、IGBT1106を介してリアクトルLに電流Iが流れ、LI2/2のエネルギーがリアクトルLに蓄積される。
次に、スイッチング素子SW2のIGBT1106がオフ(非導通)すると、スイッチング素子SW1のフライホイールダイオードD1に電流が流れ、リアクトルLに蓄えられたエネルギーが直流電源1101へ回生される。
【0011】
ここで、フライホイールダイオードD2(昇圧動作の場合)又はスイッチング素子SW2のIGBT1106(降圧動作の場合)のオン時比率(ON Duty)を変更することで、昇降圧の電圧を調整することが可能であり、概略の電圧値は以下の(1)式にて求めることができる。
VL/VH=ON Duty ……(1)
ただし、VLは直流電源1101の電圧、VHはコンデンサCの電圧、ON DutyはフライホイールダイオードD2(昇圧動作の場合)又はスイッチング素子SW2(降圧動作の場合)のスイッチング周期に対する導通期間の割合である。
【0012】
ここで、実際には負荷の変動、電源電圧VLの変動などがあるので、電圧VH、VLを監視し、昇降圧された電圧が目標値となるように、オン時比率(ON Duty)の制御が行われている。
図5、図6に示すような昇降圧コンバータ1102に対し、絶縁トランスを用いて信号を伝送するパワーエレクトロニクス機器を適用することが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0013】
図8は、そのようなパワーエレクトロニクス機器の一つであるIPM(Inteligent Power Module)及びその周辺回路を含めた概略構成を示すブロック図である。
スイッチング素子SW1、SW2、およびこれらスイッチング素子SW1、SW2の導通及び非導通を指示する制御信号を生成する制御回路1111は、車体筐体に設置される。
【0014】
制御回路1111は、中央演算処理IC、或いは論理IC及び中央演算処理IC、等が搭載されたLSIなどで構成されるCPU1111aを備えている。このCPU1111a側は低圧系であり、スイッチング素子SW1、SW2に接続されるアーム側は高圧系となる。このため、スイッチング素子SW1、SW2の破壊などの事故が発生しても、人体が危険に晒されることがないようにするために、絶縁トランスやフォトカプラ等、を用いて電気的に絶縁しながら、CPU1111a側とアーム側との間で信号の授受が行われる。
【0015】
このCPU1111aでは、スイッチング素子SW1、SW2の導通及び非導通を指示する制御信号として両者に対するPWM信号をそれぞれ生成する。
また、スイッチング素子SW1、SW2は、それぞれ下アーム用、上アーム用として動作する。
そして、上アーム用のスイッチング素子SW2を構成するIGBT1106が形成されたチップには、チップの温度変化に起因するフライホイールダイオードD2のVF(順方向電圧)変化を測定原理として用いた温度センサ、及び抵抗RU1、RU2を介してIGBT1106の電流センス用エミッタからの電流の大きさを検出することにより主回路電流の大きさを検出する電流センサが設けられている(電流センス用エミッタからの電流の大きさと主回路電流の大きさの比は一定である。)。
【0016】
同様に、下アーム用のスイッチング素子SW1を構成するIGBT1105が形成されたチップには、チップの温度変化に起因するフライホイールダイオードD1のVF変化を測定原理として用いた温度センサ、及びIGBT1105の電流センス用エミッタからの電流の大きさを抵抗RD1、RD2を介して検出することにより主回路電流の大きさを検出する電流センサが設けられている。
【0017】
そして、上アーム側には、温度センサからの過熱検知信号SU6及び電流センサからの過電流検知信号SU5を監視しながら、IGBT1106の制御端子を駆動するためのゲート信号SU4を生成する保護機能付きゲートドライバIC1115Uが設けられると共に、IGBT1106の温度に対応したPWM信号を生成するアナログ−PWM変換器CUが設けられている。なお、保護機能付きゲートドライバIC1115Uには、スイッチング素子SW2の状態信号を生成する自己診断回路を設けることができる。
【0018】
同様に、下アーム側には、温度センサからの過熱検知信号SD6及び電流センサからの過電流検知信号SD5を監視しながら、IGBT1105の制御端子を駆動するためのゲート信号SD4を生成する保護機能付きゲートドライバIC1115Dが設けられると共に、IGBT1105の温度に対応したPWM信号を生成するアナログ−PWM変換器CDが設けられている。なお、保護機能付きゲートドライバIC1115Dには、スイッチング素子SW1の状態信号を生成する自己診断回路を設けることができる。
【0019】
また、制御回路1111は、CPU1111aから出力されたPWM信号を、保護機能付きゲートドライバIC1115U及び1115Dに伝送すると共に、保護機能付きゲートドライバIC1115U、1115Dでのスイッチング素子SW1、SW2の過電流を検出したことを通知するためのアラーム信号SU2、SD2、或いは、アナログ−PWM変換器CU、CDからのチップが過熱状態であることを検出したことを通知するためのアラーム信号SU3、SD3を、電気的に絶縁したままCPU1111aに絶縁伝送するための絶縁トランスを用いた信号伝送部1117を備えている。
CPU1111aは、保護機能付きゲートドライバIC1115U、1115D或いは、アナログ−PWM変換器CU、CDからのアラーム信号SU2、SD2、SU3、SD3が通知されたときには、PWM信号の生成を停止する。
【0020】
また、保護機能付きゲートドライバIC1115U、1115D、或いは、アナログ−PWM変換器CU,CDでは、それぞれ温度センサ或いは電流センサの出力信号が、IGBT1105、1106が破壊されることのない閾値を下回り、且つこの状態が一定時間経過した後に、アラーム信号を解除する。また、さらに細かい監視を行なう場合には、温度センサの出力信号のアナログ値をPWM変換によりデジタル信号にし、これを、絶縁トランスを介して信号伝送を行なう信号伝送部1117を介してCPU1111aに絶縁伝送し、CPU1111aで、伝送されたPWM信号からIGBTのチップ温度を算出し、予め設けられた複数段階の閾値に応じて、スイッチング周波数の段階的な低下及びスイッチングの停止を行なう。
ここで、前記信号伝送部1117は、図8に示すように、絶縁トランスにより信号伝送を行なう信号伝送回路TUを複数備えており、この信号伝送回路TUは信号線毎に設けられている。
【0021】
図9(a)は、絶縁トランスの構成を示す断面図、図9(b)は、絶縁トランスの概略構成の一例を示す平面図である。
図9において、半導体基板2011には引き出し配線層2012が埋め込まれると共に、半導体基板2011上には1次巻線パターン2014が形成されている。引き出し配線層2012と1次巻線パターン2014は接続導体2013により接続されている。そして、1次巻線パターン2014上には平坦化膜2015が形成され、平坦化膜2015上には、2次巻線パターン2017が形成され、2次巻線パターン2017は保護膜2018にて覆われている。そして、保護膜2018には、2次巻線パターン2017の中心を露出させる開口部2019が形成され、開口部2019を介して2次巻線パターン2017の中心にボンディングワイヤを接続することにより、2次巻線パターン2017からの引き出しを行なうことができる。
【0022】
なお、例えば、1次巻線パターン2014および2次巻線パターン2017の巻線幅は5〜10μm、厚みは4〜5μm、巻線の最外径は500μmとすることができる。
そして、1次巻線パターン2014に印加された電流により生成された磁束φ=L1*I1の大部分が2次巻線パターン2017の鎖交磁束となり、2次巻線パターン2017の両端には、dφ/dTに比例するM21*dI1/dTの電圧が得られる。ただし、L1は1次巻線パターン2014の自己インダクタンス、I1は1次巻線パターン2014に流れる電流、M21は1次巻線パターン2014と2次巻線パターン2017の相互インダクタンスである。
【0023】
このように、絶縁トランスによる信号伝送では、1次巻線に流れる電流の微分に相当する電圧が得られるので、ロジック信号を伝送する場合には、キャリア信号伝送方式または状態遷移信号伝送方式による信号処理が行われる。
ここで、キャリア信号伝送方式では、伝送されるロジック信号の論理に基づいて振幅変調された高周波キャリア信号にて1次巻線を励磁し、2次巻線の出力電圧をローパスフィルタにて平滑してロジック信号が取り出される。
【0024】
状態遷移信号伝送方式では、伝送されるロジック信号の状態遷移(ロジック信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジ)を検出し、ロジック信号の立ち上がりでパルスを伝送するセット用絶縁トランスから得られるパルス信号でフリップフロップをセットし、ロジック信号の立ち下がりでパルスを伝送するリセット用絶縁トランスから得られるパルス信号でフリップフロップをリセットすることで、ロジック信号の状態が取り出される。
【0025】
一方、微細加工技術を適用して形成された絶縁トランスは、銅線を用いた巻線型トランスに比べて、巻線の導体断面積が小さく、許容直流電流は遥かに少ない。この許容直流電流は、電流が流れることによって巻線の導体抵抗により発生する消費電力に起因して発生するジュール熱に応じて規定されている。このため、微細加工技術を適用して形成された絶縁トランスを用いる場合、絶縁トランスに電流を流す期間を短くして電流を流すことにより、平均電流を許容直流電流以下にする必要がある。
ここで、キャリア信号伝送方式では、ロジック信号がハイレベルの期間に常にキャリア信号にて絶縁トランスが励磁され、絶縁トランスの巻線抵抗による発熱を抑えることができない。このため、微細加工技術を適用して形成された絶縁トランスによる信号伝送では状態遷移信号伝送方式を用いることが提案されている。
【0026】
図10は、絶縁トランスによる信号伝送回路TUの概略構成を示す回路図、図11は信号伝送回路TUの各部の信号波形を示す図である。
信号伝送回路TUは、入力信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを検出する変換回路KU0、入力信号の立ち上がりエッジに応じたパルス電流を伝送するセット用絶縁トランスTL1及びパルス信号の立ち下がりエッジに応じたパルス電流を伝送するリセット用絶縁トランスTL2を備えている。これらセット用絶縁トランスTL1及びリセット用絶縁トランスTL2は、図9に示すような半導体技術によって作られた絶縁トランスや空芯型絶縁トランスなどで構成される。
【0027】
そして、変換回路KU0において、抵抗R1の一端はコンデンサC1を介して接地されるとともに、排他的論理和回路U1Aの一方の入力端子に接続され、抵抗R1の他端は信号源Gに接続されている。また、排他的論理和回路U1Aの他方の入力端子には信号源Gが接続される。また、否定論理積回路U3Aの一方の入力端子には、排他的論理和回路U1Aの出力端子が接続されるとともに、否定論理積回路U3Aの他方の入力端子には信号源Gが接続されている。さらに、否定論理積回路U3Bの一方の入力端子には、排他的論理和回路U1Aの出力端子が接続されるとともに、否定論理積回路U3Bの他方の入力端子には、インバータU2Bを介して信号源Gが接続されている。
【0028】
また、セット用絶縁トランスTL1には1次巻線M1及び2次巻線M2が設けられ、リセット用絶縁トランスTL2には1次巻線M3及び2次巻線M4が設けられている。
そして、セット用絶縁トランスTL1の1次巻線M1の両端はダイオードD1を介して接続されるとともに、セット用絶縁トランスTL1の1次巻線M1の一端は、Nチャンネル電界効果型トランジスタTr1のドレインに接続され、セット用絶縁トランスTL1の1次巻線M1の他端は電源電位Vcc1に接続されている。
【0029】
また、リセット用絶縁トランスTL2の1次巻線M3の両端はダイオードD2を介して接続されるとともに、リセット用絶縁トランスTL2の1次巻線M3の一端は、Nチャンネル電界効果型トランジスタTr2のドレインに接続され、リセット用絶縁トランスTL2の1次巻線M3の他端は電源電位Vcc1に接続されている。
そして、否定論理積回路U3Aの出力端子はインバータU2Cを介してNチャンネル電界効果型トランジスタTr1のゲートに接続され、否定論理積回路U3Bの出力端子はインバータU2Dを介してNチャンネル電界効果型トランジスタTr2のゲートに接続されている。
【0030】
一方、セット用絶縁トランスTL1の2次巻線M2の一端は、抵抗R3を介して電源電位Vcc2に接続されると共に、演算増幅器U4Aの反転入力端子に接続され、セット用絶縁トランスTL1の2次巻線M2の他端は、抵抗R2を介して接地されると共に、演算増幅器U4Aの非反転入力端子に接続される。
また、リセット用絶縁トランスTL2の2次巻線M4の一端は、抵抗R5を介して電源電位Vcc2に接続されると共に、演算増幅器U4Bの非反転入力端子に接続され、リセット用絶縁トランスTL2の2次巻線M4の他端は、抵抗R4を介して接地されると共に、演算増幅器U4Bの反転入力端子に接続される。
【0031】
演算増幅器U4Aの出力端子はフリップフロップU5Aのクロック端子CLKに接続され、演算増幅器U4Bの出力端子はフリップフロップU5Aのリセット端子CLRに接続されている。また、フリップフロップU5Aの入力端子Dは電源電位Vcc2に接続されるとともに、フリップフロップU5Aの非反転出力端子Qは抵抗R6を介して接地されている。
【0032】
そして、信号源Gにて生成された入力信号S1(図11(a))が変換回路KU0に入力されると、抵抗R1およびコンデンサC1からなる遅延回路にて遅延させられ、入力信号S1と、この入力信号S1を遅延させた信号とが排他的論理和回路U1Aに入力される。そして、排他的論理和回路U1Aにてこれらの信号の排他論理和がとられることにより、入力信号S1のLOWレベルからHIGHレベルへの立ち上がりエッジまたはHIGHレベルからLOWレベルへの立ち下がりエッジに同期したエッジ信号S3が抽出される(図11(b))。そして、このエッジ信号S3は否定論理積回路U3A、U3Bに入力されるとともに、否定論理積回路U3Aには入力信号S1が入力され、否定論理積回路U3BにはインバータU2Bを介して入力信号S1が入力される。
【0033】
そして、時刻t01、t03において、否定論理積回路U3Aにてエッジ信号S3と入力信号S1との否定論理積がとられ、さらにインバータU2Cにより反転されることにより、立ち上がりエッジパルスS4が生成されるとともに(図11(c))、時刻t02、t04において、論理積回路U3Bにてエッジ信号S3と入力信号S1の反転信号との否定論理積がとられ、さらにインバータU2Dにより反転されることにより、立ち下がりエッジパルスS5が生成される(図11(d))。
【0034】
そして、否定論理積回路U3AおよびインバータU2Cにて生成された立ち上がりエッジパルスS4はNチャンネル電界効果型トランジスタTr1のゲートに入力され、一方、否定論理積回路U3BおよびインバータU2Dにて生成された立ち下がりエッジパルスS5はNチャンネル電界効果型トランジスタTr2のゲートに入力される。これにより、入力信号S1の立ち上がりと立ち下がりとで、セット用絶縁トランスTL1の1次巻線M1およびリセット用絶縁トランスTL2の1次巻線M3に流れるパルス電流のタイミングが互いに異なるような動作を行うことができる。
【0035】
そして、立ち上がりエッジパルスS4がNチャンネル電界効果型トランジスタTr1のゲートに入力されると、Nチャンネル電界効果型トランジスタTr1がオンし、セット用絶縁トランスTL1の1次巻線M1が励磁される。また、立ち下がりエッジパルスS5がNチャンネル電界効果型トランジスタTr2のゲートに入力されると、Nチャンネル電界効果型トランジスタTr2がオンし、リセット用絶縁トランスTL2の1次巻線M3が励磁される。
【0036】
そして、セット用絶縁トランスTL1の1次巻線M1が励磁されると、セット用絶縁トランスTL1の2次巻線M2に起電力が発生し、セット用絶縁トランスTL1の2次巻線M2に発生した起電力は、演算増幅器U4Aに導かれる。また、リセット用絶縁トランスTL2の1次巻線M3が励磁されると、リセット用絶縁トランスTL2の2次巻線M4に起電力が発生し、リセット用絶縁トランスTL2の2次巻線M4に発生した起電力は、演算増幅器U4Bに導かれる。
【0037】
そして、入力信号S1の立ち上がりエッジでは、セット用絶縁トランスTL1の2次巻線M2の端子電圧のレベルの変化に伴って、演算増幅器U4AからパルスS14が送出され(図11(e))、入力信号S1の立ち下がりエッジでは、リセット用絶縁トランスTL2の2次巻線M4の端子電圧のレベルの変化に伴って、演算増幅器U4BからパルスS15が送出される(図11(f))。そして、これらのパルスS14、S15がフリップフロップU5Aに入力されると、演算増幅器U4AからのパルスS14にてフリップフロップU5Aがセット(厳密にはデータ端子Dから電源電位Vcc2、すなわちHIGHレベルが読み込まれる。)されるとともに、演算増幅器U4BからのパルスS15にてフリップフロップU5Aがリセットされ、送信側の入力信号S1が復元された出力信号S16がフリップフロップU5Aの出力端子Qから出力される(図11(g))。
【0038】
また、特許文献2には、パルストランスを用いて、正パルス及び負パルスの信号を交互に伝送するようにした送受信装置において、正パルス又は負パルスの何れか一方のパルス信号が出力されたときに、タイマにより他方のパルス信号を一定時間無効とすることにより、アンダーシュートによる誤出力を防止する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【特許文献1】特開2008−17653号公報
【特許文献2】特開平2−141017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0040】
ところで、上述の昇降圧コンバータに適用される、昇降圧コンバータ用インテリジェントモジュールは、例えば図12の実装状態を示す断面図のように構成されている。
図12において、放熱の役割を行う銅ベース71上には、絶縁用セラミックス基板72を介して、IGBTチップ73aおよびFWD(フライホイールダイオード)チップ73bが実装されている。そして、IGBTチップ73aおよびFWDチップ73bは、ボンディングワイヤ74a〜74cを介して互いに接続されるとともに、主回路電流の取り出しを行う主端子77、78に接続されている。また、IGBTチップ73aおよびFWDチップ73b上には、IGBTのゲート駆動および監視を行う回路基板75が配置され、IGBTチップ73a、FWDチップ73bおよび回路基板75はモールド樹脂76にて封止されている。ここで、IGBTチップ73aおよびFWDチップ73bは、負荷へ流入する電流を通電および遮断するスイッチング素子を構成することができ、上アーム用および下アーム用として動作するようにスイッチング素子を直列に接続することができる。また、回路基板75には、スイッチング素子の導通および非導通を指示する制御信号を生成する制御回路を設けることができる。
【0041】
そして、主回路電流は、主端子77、78のみならず、主端子77、78とIGBTチップ73aおよびFWDチップ73bを接続するボンディングワイヤ74a〜74cにも流れるが、ボンディングワイヤ74a〜74cは回路基板75の直近に配置されるので、ボンディングワイヤ74a〜74cを流れる主回路電流で生成される磁界による影響が問題となる。この主回路電流は、通常動作では、最高でも250A程度であるが、例えば発進時あるいは、空転後の負荷等では、900A以上流れる場合が有る。
このような大電流を伴うスイッチングによる磁界変化に起因するノイズが図10の信号伝送回路TUの入力信号S1に重畳された場合には、昇降圧コンバータの誤動作を引き起こし、さらに、これが重なると絶縁トランスが励起される回数および絶縁トランスに流れる電流が増大するという問題が生じる。
【0042】
図13は、主回路電流の変化によって誘導されたノイズが、入力信号S1に重畳された伝送信号波形を示す図である。
図13において、下アーム側のIGBT1105が導通してIGBT1105に流れる電流Icが0Aから600Aに変化している間に、この電流Icの変化の時間微分に相当する電圧波形がノイズ(グリッチノイズ)として信号伝送回路TUの入力信号S1に重畳しているのが判る(領域AR1)。なお、図中のVceはIGBT1105のコレクタ・エミッタ間電圧である。
【0043】
このように入力信号S1にノイズが重畳された場合、特に、短期間で多数のパルスが重畳された場合には、結果的にセット用絶縁トランスTL1、リセット用絶縁トランスTL2が、短期間で多数回励磁されることになり、特にセット用絶縁トランスTL1、リセット用絶縁トランスTL2が微細構造の場合には、励磁頻度によっては、励磁コイルが焼損する等、損傷する可能性がある。
【0044】
また、特許文献2に開示されている誤出力を防止する方法では、セット信号を検出すると一定時間リセット信号を無効にしてしまうので、リセット信号を検出しそこなう危険性がある。リセット信号の検出を失敗するとIGBTに電流が流れ続けてしまい、大きな問題となる。
そこで、この発明は、上記従来の未解決の問題点に着目してなされたものであり、外部からの磁界変化によるノイズの影響を低減しつつ絶縁状態で信号授受を行なうことの可能な、信号伝送回路及び電力変換装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0045】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る信号伝送回路は、トランス手段と、入力信号の立ち上がり及び立ち下がりエッジに同期したパルス信号を生成するパルス信号生成手段と、を有し、前記パルス信号生成手段で生成した前記パルス信号を前記トランス手段の1次巻線側に入力し、前記トランス手段の2次巻線側に生成されたパルス信号に基づき前記入力信号を復元するようにした信号伝送回路において、第1の入力信号とその次に入力される第2の入力信号とのパルス間隔が、予め設定した規定時間よりも短いとき、前記第2の入力信号の前記立ち上がり及び立ち下がりエッジに同期したパルス信号の前記トランス手段の一次巻線への入力を禁止する励磁阻止手段、を備えることを特徴としている。
【0046】
また、請求項2に係る信号伝送回路は、前記パルス間隔は、前記第1の入力信号と前記第2の入力信号との間の、立ち上がりエッジ間隔又は立ち下がりエッジ間隔であることを特徴としている。
また、請求項3に係る信号伝送回路は、前記トランス手段は、前記立ち上がりエッジに同期した立ち上がりパルス信号を伝送するセット用トランスと、前記立ち下がりエッジに同期した立ち下がりパルス信号を伝送するリセット用トランスと、を有し、前記励磁阻止手段は、前記立ち上がりパルス信号が生成された時点から前記規定時間が経過するまでの間に生成される他の立ち上がりパルス信号を無効とする第1の阻止手段と、前記立ち下がりパルス信号が生成された時点からこれ以後前記立ち上がりパルス信号が生成されるまでの間に生成される他の立ち下がりパルス信号を無効とする第2の阻止手段と、を備えることを特徴としている。
【0047】
また、請求項4に係る信号伝送回路は、前記励磁阻止手段は、コンデンサと、前記コンデンサへの充電及び放電を行なう充放電制御手段と、を備え、前記コンデンサの両端電圧を利用して前記規定時間を計測することを特徴としている。
また、請求項5に係る信号伝送回路は、前記充放電制御手段は、定電流を前記コンデンサに流入させることを特徴としている。
【0048】
また、請求項6に係る信号伝送回路は、前記充放電制御手段は、高抵抗を介して前記コンデンサに定電圧を印加することにより前記コンデンサに電流を流入させることを特徴としている。
また、本発明の請求項7に係る信号伝送回路は、クロック信号を生成するクロック信号生成回路を有し、前記励磁阻止手段は、前記クロック信号を計数するクロック信号計数手段を有し、前記クロック信号計数手段の計数値を利用して前記規定時間を計測することを特徴としている。
【0049】
さらに、本発明の請求項8に係る電力変換装置は、負荷へ流入する電流を通電及び遮断するスイッチング素子と、前記スイッチング素子の導通及び非導通を指示する制御信号を生成する制御回路と、前記制御信号に基づいて前記スイッチング素子の制御端子を駆動する駆動回路と、前記制御回路で生成した前記制御信号を前記駆動回路に伝送する信号伝送部と、を備え、前記請求項1から請求項7の何れかに記載の信号伝送回路を、前記信号伝送部として利用したことを特徴としている。
さらにまた、請求項9に係る電力変換装置は、車両を駆動する電動機をPWM制御するようにした車両駆動システムに適用され、前記電動機を前記負荷とし、前記PWM制御用のPWM信号を前記入力信号として、前記駆動回路を駆動する電力変換装置であって、前記規定時間が87μs以下であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、入力信号の立ち上がり及び立ち下がりエッジに同期したパルス信号の、トランス手段の一次巻線への入力間隔が規定時間よりも長くなるようにしたため、大電流のスイッチングにより発生するノイズに起因する誤動作を抑制できるとともに、一次巻線の励磁間隔が規定時間よりも短くなることに起因して一次巻線が損傷することを回避することができる。
【0051】
特に、請求項3に係る発明によれば、立ち上がりパルス信号が生成された時点から前記規定時間が経過するまでの間に生成される他の立ち上がりパルス信号を無効とする第1の阻止手段を設けたため、立ち上がりパルス信号を伝送するセット用トランスの一次巻線に入力される立ち上がりパルス信号の間隔を的確に監視し、一次巻線の損傷を的確に回避することができる。さらに、立ち下がりパルス信号が生成された時点からこれ以後立ち上がりパルス信号が生成されるまでの間に生成される他の立ち下がりパルス信号を無効とする第2の阻止手段を設けたため、立ち上がりパルス信号と対をなす立ち下がりパルス信号を的確に伝送することができると共に、ノイズ等によるパルス信号が、誤って伝送されることを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態に係る信号伝送回路の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の信号伝送回路の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【図3】信号伝送回路のより詳細な構成を示す回路図である。
【図4】電動機の制御方式と、各制御方式におけるPWM信号の電圧波形と、変調率との対応を表す図である。
【図5】昇降圧コンバータ及びインバータを用いた車両駆動システムの概略を示す構成図である。
【図6】昇降圧コンバータ及びインバータの概略構成を示すブロック図である。
【図7】昇圧動作時に昇降圧コンバータのリアクトルに流れる電流の波形を示す図である。
【図8】本発明を適用した信号伝送回路が適用される昇降圧コンバータ用インテリジェントパワーモジュール及びその周辺回路を含めた概略構成を示すブロック図である。
【図9】図9(a)は、絶縁トランスの概略構成の一例を示す断面図、図9(b)は、絶縁トランスの概略構成の一例を示す平面図である。
【図10】従来の信号伝送回路の回路構成を示す図である。
【図11】図10の信号伝送回路の各部の信号波形を示す図である。
【図12】昇降圧コンバータ用インテリジェントパワーモジュールの実装状態を示す断面図である。
【図13】主回路電流の変化によって誘導されたノイズが重畳された信号伝送波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明を適用した信号伝送回路TUの構成を示すブロック図であって、昇降圧コンバータ用のインテリジェントモジュール(IPM:Inteligent Power Module)に適用したものである。また、図2は、信号伝送回路TUの各部の信号波形を示す図である。
本発明に係る信号伝送回路TUは、図10に示す従来の信号伝送回路TUにおいて、変換回路KU0に替えて変換回路KU1を設けたものであり、同一部には同一符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
本発明における変換回路KU1は、セット・リセット信号生成回路11と、ゲート回路12と、セット側ゲート信号生成回路13と、リセット側ゲート信号生成回路14と、を備える。
【0054】
セット・リセット信号生成回路11は、入力信号S101の立ち上がりエッジに同期した所定のパルス幅を有するセット信号S102を生成するセットパルス生成回路11aと、入力信号S101の立ち下がりエッジに同期した所定のパルス幅を有するリセット信号S103を生成するリセットパルス生成回路11bと、を備える。セットパルス生成回路11aで生成したセット信号S102及びリセットパルス生成回路11bで生成したリセット信号S103はゲート回路12に入力される。
【0055】
ゲート回路12は、セットパルス生成回路11aからのセット信号S102の、後段への供給を遮断するセットパルスゲート回路12aと、セットパルスゲート回路12aの出力信号を反転する反転回路12bと、リセットパルス生成回路11bからのリセット信号S103の後段への供給を遮断するリセットパルスゲート回路12cと、リセットパルスゲート回路12cの出力信号を反転する反転回路12dと、を備える。
【0056】
セットパルスゲート回路12aは、セットパルス生成回路11aからのセット信号S102及びセット側ゲート信号生成回路13からのセットパルスゲート信号S111を入力とし、セットパルスゲート信号S111がHIGHレベル(論理値”1”)であるときにはセット信号S102の反転信号を反転回路12bに出力し、LOWレベル(論理値”0”)であるときにはセット信号S102を反転回路12bに伝達しない。
【0057】
反転回路12bはセットパルスゲート回路12aから出力される信号S104を反転し、これをゲート化セット信号S105として出力する。このゲート化セット信号S105は、セット用絶縁トランスTL1の1次巻線励磁用のNチャンネル電界効果型トランジスタTr1のゲートに入力される。
リセットパルスゲート回路12cは、リセットパルス生成回路11bからのリセット信号S103及びリセット側ゲート信号生成回路14からのリセットパルスゲート信号S113を入力とし、リセットパルスゲート信号S113がHIGHレベルであるときには、リセット信号S103の反転信号を反転回路12dに出力し、LOWレベルであるときには、リセット信号S103を反転回路12dに伝達しない。
【0058】
反転回路12dはリセットパルスゲート回路12cから入力される信号S106を反転し、これをゲート化リセット信号S107として出力する。このゲート化リセット信号S107は、リセット用絶縁トランスTL2の1次巻線励磁用のNチャンネル電界効果型トランジスタTr2のゲートに入力される。
セット側ゲート信号生成回路13は、単パルス生成回路13aと、遅延単パルス生成回路13bと、D型フリップフロップ13cと、積分回路13dと、D型フリップフロップ13eと、を備える。
【0059】
単パルス生成回路13aは、セットパルスゲート回路12aの出力信号S104の立ち上がりエッジに同期した、セット側ゲート信号生成回路13全体をクリア(リセット)するための、所定のパルス幅を有する単パルスS108を生成し、これを、遅延単パルス生成回路13bと、D型フリップフロップ13cと、積分回路13dと、D型フリップフロップ13eとに出力する。
遅延単パルス生成回路13bは、単パルス生成回路13aからの単パルスS108を所定時間だけ遅延して反転した遅延単パルスS109を生成し、これをD型フリップフロップ13cに出力する。
【0060】
D型フリップフロップ13cは、遅延単パルスS109をクロック端子CLKに入力し、単パルス生成回路13aからの単パルスS108をクリア端子に入力し、遅延単パルスS109の立ち上がりで出力信号をHIGHレベルに切り替え、単パルスS108の立ち上がりでD型フリップフロップ13cをクリアして出力信号をLOWレベルに切り替える。
積分回路13dは、D型フリップフロップ13cの出力信号及び単パルス生成回路13aからの単パルスS108を入力とし、D型フリップフロップ13cの出力信号を積分し、積分結果を積分出力S110として出力すると共に、単パルスS108の立ち上がりで積分値をリセットする。
【0061】
D型フリップフロップ13eは、積分回路13dからの積分出力S110をクロック端子CLKに入力し、単パルス生成回路13aからの単パルスS108をクリア端子に入力し、積分出力S110が規定値を上回ったとき出力信号をHIGHレベルに切り替え、単パルスS108の立ち上がりでD型フリップフロップ13cをクリアして出力信号をLOWレベルに切り替える。D型フリップフロップ13eの出力は、セットパルスゲート信号S111としてセットパルスゲート回路12aに入力される。
【0062】
リセット側ゲート信号生成回路14は、単パルス生成回路14aと、D型フリップフロップ14bと、を備える。
単パルス生成回路14aは、リセットパルスゲート回路12cの出力信号S106を入力とし、この出力信号S106の立ち上がりエッジに同期した、リセット側ゲート信号生成回路14全体をクリアするための単パルスS112を生成し、これをD型フリップフロップ14bに出力する。
【0063】
D型フリップフロップ14bは、セットパルスゲート回路12aの出力信号S104をクロック端子CLKに入力し、単パルス生成回路14aからの単パルスS112をクリア端子に入力し、セットパルスゲート回路12aの出力信号S104の立ち上がりで出力信号をHIGHレベルに切り替え、単パルスS112の立ち上がりでD型フリップフロップ14bをクリアして出力信号をLOWレベルに切り替える。そして、D型フリップフロップ14bの出力信号は、リセットパルスゲート信号S113として、リセットパルスゲート回路12cに入力される。
【0064】
そして、入力信号S101(図2(a))が変換回路KU1に入力されると、入力信号S101は、セットパルス生成回路11a及びリセットパルス生成回路11bに入力され、セットパルス生成回路11aにおいて、時刻t11、時刻t17、時刻t21での入力信号S101のLOWレベルからHIGHレベルへの立ち上がりエッジに同期したセット信号S102(図2(b))が抽出され、リセットパルス生成回路11bにおいて、時刻t14、時刻t18、時刻t24での入力信号S101のHIGHレベルからLOWレベルへの立ち下がりエッジに同期したリセット信号S103が抽出される(図2(c))。
【0065】
時刻t11で生成されたセット信号S102はセットパルスゲート回路12aで反転されて出力信号S104として反転回路12bに出力され、ここで反転されてゲート化セット信号S105としてセット用絶縁トランスTL1の励磁用のNチャンネル電界効果型トランジスタTr1に供給される。これによって、セット用絶縁トランスTL1の1次巻線M1が励磁され、セット信号S102が2次巻線M2に伝達されることになる。
【0066】
また、セットパルスゲート回路12aにおいて時刻t11で生成された出力信号S104は、セット側ゲート信号生成回路13の単パルス生成回路13aに入力され、単パルス生成回路13aでは、時刻t12での出力信号S104の立ち上がりでHIGHレベルとなる単パルスS108を生成する(図2(f))。)
この単パルスS108はセット側ゲート信号生成回路13全体をクリアする信号であるため、セット側ゲート信号生成回路13の各部がクリアされ積分回路13dの積分出力S110もクリアされる(図2(h))。このため、積分出力S110が図2(h)の破線で示す規定値を下回り、その結果D型フリップフロップ13eの出力信号(セットパルスゲート信号S111)がLOWレベルとなり、すなわち、セットパルスゲート信号S111がLOWレベルとなるため(図2(i))、セットパルスゲート回路12aは、入力されるセット信号S102を伝達しないゲート閉状態となる。
【0067】
そして、単パルス生成回路13aで生成された単パルスS108を所定時間だけ遅延させて反転した遅延単パルスS109が、時刻t13で立ち上がると(図2(g))、この時点でD型フリップフロップ13cの出力がHIGHレベルとなり、これが積分回路13dで積分されるため、その積分出力S110は時間の経過に比例して上昇する(図2(h))。積分出力S110が規定値を下回る間は、D型フリップフロップ13eの出力はLOWレベルを維持し、すなわちセットパルスゲート信号S111がLOWレベルを維持するため、セットパルスゲート回路12aはゲート閉状態を維持する。積分出力S110が規定値に達する時刻t19までの間は、D型フリップフロップ13eの出力はLOWレベルを維持するため、時刻t19までの間は、セットパルスゲート信号S111はLOWレベルを維持し、この間、セットパルスゲート回路12aはゲート閉状態を維持することになる。
【0068】
このため、入力信号S101が時刻t17で立ち上がり、その立ち上がりエッジが検出されセット信号S102が出力された場合、この時点では、セットパルスゲート回路12aはゲート閉状態となっているため、セット信号S102は伝達されない。このため、セットパルスゲート回路12aから出力信号S104が出力されない。つまり出力信号S104はHIGHレベルを維持するため、ゲート化セット信号S105もLOWレベルを維持し、すなわちセット用絶縁トランスTL1が励磁されることはない。
【0069】
一方、セットパルスゲート回路12aの出力信号S104が時刻t12で立ち上がると、リセット側ゲート信号生成回路14のD型フリップフロップ14bは、クロック端子への入力信号が立ち上がるため、出力信号をHIGHレベルに切り替える。すなわちリセットパルスゲート信号S113がHIGHレベルとなるため(図2(k))、リセットパルスゲート回路12cは、ゲート開状態となる。すなわち、リセットパルスゲート回路12cはその入力信号S103を出力信号S106に伝達する。
【0070】
このため、時刻t14で、入力信号S101が立ち下がり、この立ち下がりでリセット信号S103が立ち上がると、この時点で、リセットパルスゲート回路12cはゲート開状態であるため、リセット信号S103はリセットパルスゲート回路12cで反転されて出力信号S106として出力される。この出力信号S106は反転回路12dを介してゲート化リセット信号S107として、リセット用絶縁トランスTL2の励磁用のNチャンネル電界効果型トランジスタTr2に供給される。これによって、リセット用絶縁トランスTL2の1次巻線M3が励磁され、リセット信号S103が2次巻線M4に伝達されることになる。
【0071】
一方、リセット側ゲート信号生成回路14の単パルス生成回路14aでは、出力信号S106が時刻t15で立ち上がるタイミングで単パルスS112が生成される。このため、時刻t15でD型フリップフロップ14bはクリアされ、その出力信号であるリセットパルスゲート信号S113はLOWレベルに切り替わる。これにより、この時点で、リセットパルスゲート回路12cは、ゲート閉状態に切り替わる。
【0072】
このため、時刻t17で立ち上がった入力信号S101が時刻t18で立ち下がり、これに応じてリセットパルス生成回路11bにおいて、リセット信号S103が発生された場合、この時点で、リセットパルスゲート信号S113はLOWレベルであって、リセットパルスゲート回路12cはゲート閉状態であるため、時刻t18で生じたリセット信号S103はリセットパルスゲート回路12cでブロックされ、出力信号S106に伝達されない。したがって、ゲート化リセット信号S107が出力されないため、リセット用絶縁トランスTL2の励磁は行なわれない。
【0073】
そして、時刻t19で、積分回路13dの積分出力S110が規定値を上回ると、この時点でD型フリップフロップ13eの出力信号がHIGHレベルに切り替わり、すなわちセットパルスゲート信号S111がHIGHレベルとなるため、セットパルスゲート回路12aはゲート開状態に切り替わる。
このため、時刻t21で、入力信号S101が立ち上がり、セット信号S102が生成されると、この時点でセットパルスゲート回路12aは、ゲート開状態であるため、セット信号S102に応じた出力信号S104が反転回路12bを介してゲート化セット信号S105として、セット用絶縁トランスTL1用のNチャンネル電界効果型トランジスタTr1に供給され、セット信号S102の伝達が行なわれることになる。
【0074】
そして、セットパルスゲート回路12aを通過した出力信号S104の時刻t22での立ち上がりのタイミングで単パルス生成回路13aにおいて単パルスS108が生成され、D型フリップフロップ13eがクリアされるため、セットパルスゲート信号S111がLOWレベルに切り替わり、この時点で、セットパルスゲート回路12aがゲート閉状態に切り替わる。そして、以後、上記と同様に、時刻t22の単パルスS108の立ち上がりタイミングから所定時間だけ遅延させた遅延単パルスS109の時刻t23での立ち上がりタイミングで積分回路13dでの積分が開始され、積分出力S110が規定値に達したとき、セットパルスゲート信号S111がHIGHレベルに切り替わり、これによりセットパルスゲート回路12aがゲート開状態に切り替わる。
【0075】
一方、時刻t22で、セットパルスゲート回路12aの出力信号S104が立ち上がると、このタイミングでD型フリップフロップ14bの出力信号がHIGHレベルに切り替わり、すなわちリセットパルスゲート信号S113がHIGHレベルとなるため、リセットパルスゲート回路12cがゲート開状態に切り替わる。このため、時刻t24で入力信号S101が立ち下がると、リセット信号S103はリセットパルスゲート回路12c、反転回路12dを介してゲート化リセット信号S107としてリセット用絶縁トランスTL2用のNチャンネル電界効果型トランジスタTr2に供給され、リセット信号S103の伝達が行なわれることになる。
【0076】
そして、リセット信号S103から生成されたリセットパルスゲート回路12cの出力信号S106が時刻t25で立ち上がるタイミングで、単パルスS112が生成され、これによりD型フリップフロップ14bがクリアされ、リセットパルスゲート信号S113がLOWレベルに切り替わるため、リセットパルスゲート回路12cはゲート閉状態に切り替わる。
【0077】
このように、セット信号S102のパルスがセットパルスゲート回路12aを通過した時点で、セットパルスゲート回路12aをゲート閉状態に切り替えて以後のセット信号S102のパルスの通過を阻止するようにし、所定の経過時間(以下、規定時間という。)が経過した時点で、セットパルスゲート回路12aをゲート開状態に切り替える構成としたため、規定時間よりも短い間隔でセット用絶縁トランスTL1が励磁されることを回避することができる。
【0078】
また、セット信号S102のパルスがセットパルスゲート回路12aを通過した時点で、リセットパルスゲート回路12cをゲート開状態に切り替え、リセット信号S103のパルスがリセットパルスゲート回路12cを通過した時点でリセットパルスゲート回路12cをゲート閉状態に切り替える構成とし、一度リセット信号S103のパルスがリセットパルスゲート回路12cを通過すると、その後はセット信号S102のパルスが発生するまでリセット信号S103を無効化するため、セット信号S102のパルス(つまり立ち上がりエッジ)と対をなすリセット信号S103のパルス(つまり立ち下がりエッジ)を除くリセット信号S103に生じたパルス、つまりノイズ等に基づいてリセット用絶縁トランスTL2が励磁されることを回避することができる。
【0079】
このように、規定時間よりも短い間隔でセット用絶縁トランスTL1が励磁されることを回避することができるため、リセット用絶縁トランスTL2についても、規定値よりも短い間隔で励磁されることを回避することができ、セット用絶縁トランスTL1、及びリセット用絶縁トランスTL2の励磁間隔が短いことに起因して、これらセット用絶縁トランスTL1及びリセット用絶縁トランスTL2の励磁コイルが損傷することを回避することができる。
【0080】
また、リセットパルスゲート回路12cは、所定のパルス幅を有するセット信号S102の立ち下がりに相当する、セットパルスゲート回路12aの出力信号S104の立ち上がりでゲート開状態となるように構成している。このため、入力信号S101の立ち上がりエッジが検出された直後にゲート開状態となって、入力信号の立ち下がりエッジがいつ検出されても、この立ち下がりエッジに同期したリセット信号S103のパルスの通過を許容する状態となる。したがって、立ち上がりエッジと対をなす立ち下がりエッジに対応するパルスの通過を阻止することなく確実に通過させることができる。特に、本実施形態では、立ち上がりエッジのタイミングでIGBT1105又は1106を導通状態とし、立ち下がりのタイミングでIGBT1105又は1106を非導通状態に制御している。このため、立ち下がりエッジに対応するパルスを的確に伝送することができなかった場合には、IGBTが導通状態のままに維持されることになる。しかしながら、上述のように、真の立ち下がりエッジに対応するパルスの通過を阻止することなく的確に通過させることができるため、信頼性をより向上させることができる。
【0081】
また、リセットパルスゲート回路12cは、リセット信号S103の立ち下がりに相当する単パルスS112の立ち上がりでゲート閉状態となるように構成している。このため、入力信号の立ち下がりエッジに対応するパルスが通過した直後にゲート閉状態となり、立ち上がりエッジと対をなす立ち下がりエッジに対応するパルスではなく、ノイズ等によるパルスが通過することを阻止することができる。したがって、入力信号S101に重畳されたノイズだけでなく、リセットパルスゲート信号S113に重畳されたノイズも除去することができる。
【0082】
図3は、図1の変換回路KU1の詳細構成を示す回路図である。
セット・リセット信号生成回路11において、抵抗R11の一端は、インバータ111を介して入力信号S101の信号源Gに接続される。抵抗R11の他端は、コンデンサC11を介して接地されるとともに、排他的論理和回路112の一方の入力端子に接続される。また、排他的論理和回路112の他方の入力端子には信号源Gが接続される。
【0083】
排他的論理和回路112の出力はインバータ113Aを介して否定論理積回路114Aの一方の入力端子に接続されると共に、インバータ113Aを介して否定論理積回路114Bの一方の入力端子に接続される。否定論理積回路114Aの他方の入力端子には信号源Gが接続される。また、否定論理積回路114Bの他方の入力端子には信号源Gがインバータ113Bを介して接続される。
【0084】
否定論理積回路114Aの出力はインバータ115Aを介して、セット信号S102として出力される。否定論理積回路114Bの出力はインバータ115Bを介して、リセット信号S103として出力される。
つまり、信号源Gの入力信号S101は、インバータ111で反転された後、抵抗R11及びコンデンサC11からなる積分回路で遅延された後、排他的論理和回路112に入力され、ここで、入力信号S101の遅延信号と入力信号S101との排他的論理和(Exclusive OR)がとられる。この排他的論理和をインバータ113Aで反転した信号と入力信号S101との否定論理積(NAND)が否定論理積回路114Aでとられて、入力信号S101の立ち上がりエッジに同期した信号が生成され、これがインバータ115Aで反転されてセット信号S102が生成される。
【0085】
また、排他的論理和回路112で演算された排他的論理和をインバータ113Aで反転した信号と、入力信号S101をインバータ113Bで反転した信号との否定論理積が否定論理積回路114Bでとられて、入力信号S101の立ち下がりエッジに同期した信号が生成され、これがインバータ115Bで反転されてリセット信号S103が生成される。
【0086】
図3において、インバータ111、抵抗R11、コンデンサC11、排他的論理和回路112、インバータ113A、否定論理積回路114A、インバータ115Aによりセットパルス生成回路11aを構成している。また、インバータ111、抵抗R11、コンデンサC11、排他的論理和回路112、インバータ113A、113B、否定論理積回路114B、インバータ115Bによりリセットパルス生成回路11bを構成している。
次に、ゲート回路12は、セットパルスゲート回路12aを構成する否定論理積回路121Aと、リセットパルスゲート回路12cを構成する否定論理積回路121Bと、反転回路12bを構成するインバータ122Aと、反転回路12dを構成するインバータ122Bとを備える。
【0087】
否定論理積回路121Aの一方の入力端子には、セット信号S102が入力され、他方の入力端子には、セット側ゲート信号生成回路13からのセットパルスゲート信号S111が入力される。そして、これらの否定論理積(S104)が、インバータ122Aを介してゲート化セット信号S105として出力される。
否定論理積回路121Bの一方の入力端子には、リセット信号S103が入力され、他方の入力端子には、リセット側ゲート信号生成回路14からのリセットパルスゲート信号S113が入力される。そして、これらの否定論理積(S106)が、インバータ122Bを介してゲート化リセット信号S107として出力される。
【0088】
次に、セット側ゲート信号生成回路13において、ゲート回路12の否定論理積回路121A、すなわちセットパルスゲート回路12aの出力信号S104は、D型フリップフロップ131のクロック端子CLKに入力される。D型フリップフロップ131の入力端子Dには電源電位Vcc1が印加され、出力端子QはコンデンサC21及び抵抗R21を介して接地されると共にコンデンサC21及びインバータ132を介して否定論理積回路133の一方の入力端子に接続される。D型フリップフロップ131、コンデンサC21、抵抗R21、インバータ132及び否定論理積回路133により微分回路に基づく単パルス生成回路13aを構成している。
【0089】
否定論理積回路133の他方の入力端子には、後述の電源リセット回路15からの電源リセット信号S120が入力される。否定論理積回路133の出力が単パルスS108となり、この単パルスS108は、抵抗R23を介してNチャンネル電界効果型トランジスタ134のゲート端子に入力されると共に、インバータ135を介してD型フリップフロップ13cとしてのD型フリップフロップ136のクリア端子に入力される。
【0090】
また、インバータ135の出力はD型フリップフロップ13eとしてのD型フリップフロップ137のクリア端子に入力されると共に、D型フリップフロップ131のクリア端子に入力され、さらに、D型フリップフロップ138のクロック端子CLKに入力される。
D型フリップフロップ138の入力端子Dには、電源電位Vcc1が印加され、出力端子Qは、コンデンサC22及び抵抗R25を介して接地されると共に、コンデンサC22及びインバータ139を介して否定論理積回路140の一方の入力端子に接続される。D型フリップフロップ138、コンデンサC22、抵抗R25、否定論理積回路140及び後述のインバータ141により微分回路に基づく遅延単パルス生成回路13bを構成している。
【0091】
否定論理積回路140の他方の入力端子には、後述の電源リセット回路15の電源リセット信号S121が入力される。否定論理積回路140の出力はインバータ141に入力され、インバータ141の出力が遅延単パルスS109として、D型フリップフロップ136のクロック端子CLKに入力されると共に、D型フリップフロップ138のクリア端子CLRに入力される。
【0092】
D型フリップフロップ136の入力端子Dには電源電位Vcc1が印加され、出力端子Qは抵抗R29及びコンデンサC23を介して接地されると共に、抵抗R29を介してNチャンネル電界効果型トランジスタ134のドレインに接続され、さらに抵抗R29を介してD型フリップフロップ137のクロック端子CLKに入力される。
Nチャンネル電界効果型トランジスタ134のソースは、接地される。
【0093】
そして、D型フリップフロップ137の入力端子Dには電源電位Vcc1が印加され、出力端子Qは、ゲート回路12の否定論理積回路121Aの一方の入力端子に接続され、D型フリップフロップ137の出力が、D型フリップフロップ13eの出力信号(セットパルスゲート信号S111)として、セットパルスゲート回路12a(否定論理積回路121A)に供給される。
【0094】
以上の構成により、セットパルスゲート回路12a(否定論理積回路121A)の出力信号S104が立ち上がると、D型フリップフロップ131、コンデンサC21、抵抗R21、インバータ132及び否定論理積回路133からなる単パルス生成回路13aによりパルス幅が一定のパルス信号が生成され、これが単パルスS108としてNチャンネル電界効果型トランジスタ134のゲートに供給される。このため、単パルスS108の立ち上がりで、Nチャンネル電界効果型トランジスタ134が導通状態となり、タイマの役割を果たす抵抗R29及びコンデンサC23からなる積分回路の、コンデンサC23の電荷を放電させる。これにより、積分回路13dの積分値がリセットされたことと同等となる。
【0095】
また、単パルスS108がインバータ135で反転されてD型フリップフロップ131、D型フリップフロップ136、D型フリップフロップ137のクリア端子に入力されることにより、単パルスS108の立ち上がりで、これらD型フリップフロップ131.136、137がリセットされ、D型フリップフロップ137がクリアされることにより、D型フリップフロップ13eの出力信号(セットパルスゲート信号S111)がLOWレベルに切り替わるため、セットパルスゲート回路12aの否定論理積回路121Aの出力は、セットパルス生成回路11aの出力であるインバータ115Aの出力(セット信号S102)に関わらず固定され、すなわち、セットパルスゲート回路12aが閉ゲート状態に切り替わることと同等となる。このため、セットパルス生成回路11aの出力信号(セット信号S102)のパルスの伝達が阻止される。また、単パルスS108がインバータ135で反転されてD型フリップフロップ138のクロックCLKに入力され、D型フリップフロップ138とコンデンサC22と抵抗R25とからなる微分回路を経ることにより、単パルスS108の立ち下がりのタイミングで、単パルスS108のパルス幅相当だけ遅延したパルスが生成され、これが、インバータ139で成形された後、否定論理積回路140、インバータ141を経て遅延単パルスS109として、D型フリップフロップ136のクロック端子CLKに入力される。
【0096】
このため、遅延単パルスS109の立ち上がりで、D型フリップフロップ136の出力がHIGHレベルに切り替わり、抵抗R29及びコンデンサC23からなる積分回路による積分が開始されコンデンサC23への充電が開始される。
コンデンサC23の両端の電圧、すなわち積分出力S110が後段のD型フリップフロップ137のクロック端子CLKの閾値電圧に到達するまで充電されると、D型フリップフロップ137の出力がHIGHレベルに切り替わり、すなわちセットパルスゲート信号S111がHIGHレベルとなる。そして、これがセットパルスゲート回路12aの否定論理積回路121Aに入力されるため、セットパルスゲート回路12aはゲート開状態に切り替わる。これにより、セットパルス生成回路11aからのセット信号S102のパルスの伝達が可能となる。ここで、入力信号S101が立ち上がってから積分出力S110が後段のD型フリップフロップ137のクロック端子CLKの閾値電圧に到達するまでの時間が、上述の規定時間となる。
【0097】
次に、リセット側ゲート信号生成回路14において、ゲート回路12のセットパルスゲート回路12a(否定論理積回路121A)の出力信号S104は、D型フリップフロップ13eとしてのD型フリップフロップ151のクロック端子CLKに入力される。D型フリップフロップ151の入力端子Dには電源電位Vcc1が印加され、出力端子Qはゲート回路12の否定論理積回路121Bに入力される。またD型フリップフロップ151のクリア端子CLRには後述のインバータ155からの単パルスS112が入力される。
【0098】
一方、ゲート回路12のリセットパルスゲート回路12b(否定論理積回路121B)の出力信号S106はD型フリップフロップ152のクロック端子CLKに入力される。
D型フリップフロップ152の入力端子Dには電源電位Vcc1が印加され、出力端子QはコンデンサC41及び抵抗R42を介して接地されると共に、コンデンサC41及びインバータ153を介して否定論理積回路154の一方の入力端子に入力される。
否定論理積回路154の他方の入力端子には、電源リセット信号S120が入力され、否定論理積回路154の出力はインバータ155を経て単パルスS112としてD型フリップフロップ151及び152のクリア端子に入力される。
【0099】
以上の構成により、セットパルスゲート回路12a(否定論理積回路121A)を通過したセット信号S102の立ち下がりで、セットパルスゲート回路12aの出力信号S104が立ち下がると、D型フリップフロップ151の出力であるリセットパルスゲート信号S113がHIGHレベルとなり、否定論理積回路121Bの一方の入力端子への入力がHIGHレベルとなるため、リセットパルスゲート回路12c(否定論理積回路121B)はゲート開状態となる。
【0100】
そして、リセット信号S103のパルスがリセットパルスゲート回路12c(否定論理積回路121B)を通過し、否定論理積回路121Bの出力S106が立ち上がると、D型フリップフロップ152、コンデンサC41、抵抗R42とからなる微分回路を経ることにより単パルスS112が生成され、この単パルスS112によりD型フリップフロップ151がクリアされその出力であるリセットパルスゲート信号S113がLOWレベルに切り替わる。このため、否定論理積回路121Bへの一方の入力がLOWレベルとなるため、リセットパルスゲート回路12c(否定論理積回路121B)はゲート閉状態となる。
【0101】
次に、電源リセット回路15において、抵抗R51の一端が電源電圧Vcc1に接続され他端はコンデンサC51を介して接地されると共に、スイッチSW51を介して接地される。このスイッチSW51は、昇降圧コンバータ用インテリジェントモジュールの電源のオン/オフに応じて動作し、電源オンとなったときには遮断状態となり、電源オフとなったときに導通状態となる。
【0102】
さらに抵抗R51とコンデンサC51との接続点の電位がインバータ161、162を経て電源リセット信号S120として、セット側ゲート信号生成回路13の否定論理積回路133及びリセット側ゲート信号生成回路14の否定論理積回路154の一方の入力端子に入力される。また、インバータ162の出力端子は、インバータ163、インバータ164を介して抵抗R52の一端に接続され、抵抗R52の他端は、セット側ゲート信号生成回路13の否定論理積回路140の一方の入力端子に入力されると共に、抵抗C52を介して接地されている。
【0103】
以上の構成により、昇降圧コンバータ用インテリジェントモジュールが電源オンとなったときに、電源リセット信号S120がHIGHレベルとなった後、電源リセット信号S120に遅れて電源リセット信号S121がHIGHレベルとなる。これにより、最初にセット側ゲート信号生成回路13の否定論理積回路133及びリセット側ゲート信号生成回路14の否定論理積回路154、そして、これらに遅れて否定論理積回路140が一方の入力端子への入力に応じた信号を出力するよう固定される。また、昇降圧コンバータ用インテリジェントモジュールが電源オフとなったときに、電源リセット信号S120、及びこれに遅れて電源リセット信号S121がLOWレベルとなって、これら否定論理積回路133、140及び154の出力は所定の遅延時間をもってHIGHレベルに固定される。
【0104】
否定論理積回路133、140及び154の出力がHIGHレベルとなると、D型フリップフロップ131、137、138、151、152がクリアされてこれらの出力がLOWレベルとなるので、信号伝送回路TU全体がリセットされて、セット信号103、リセット信号S103も、セットパルスゲート12a、リセットパルスゲート12cを通過できなくなる。
【0105】
昇降圧コンバータ用インテリジェントモジュールの電源オンとなった直後はこの状態であり、その後、抵抗R51、コンデンサC51およびインバータ161の閾値により決まる時間が経過すると、セット側ゲート信号生成回路13の遅延単パルス生成回路13bを除く信号伝送回路TU全体のリセットが外れる。そして、さらに抵抗R52、コンデンサC52および否定論理積回路140の閾値で決まる時間が経過すると、遅延単パルス生成回路13bのリセットも外れることになる。遅延単パルス生成回路13bのリセット解除を遅くしたのは、D型フリップフロップ138のクロック入力のタイミングとクリア入力が外れるタイミングが重ならないようにするためである。
【0106】
次に、積分回路13dにおける規定値に相当する、セットパルスゲート回路12aを閉状態に維持する規定時間の設定方法を説明する。
ここで、図1から図3では、昇降圧コンバータ1102用のインテリジェントモジュールの制御回路1111における信号伝送回路TUについて説明したが、インバータ1103の制御回路1112も同様に構成されている。すなわち、図8に示す昇降圧コンバータ1102用の制御回路1111と同様に、インバータ1103の各IGBTそれぞれに保護機能付きゲートドライバICが設けられると共にアナログ−PWM変換器が設けられ、これらとCPUとの間の信号の伝達が絶縁トランスを備えた1117と同様の信号伝送部を介して行なわれる。
【0107】
そして、昇降圧コンバータ1102のセットパルスゲート回路12aの規定時間は、インバータ1103における、セットパルスゲート回路の規定時間と同一に設定している。
このインバータ1103における、セットパルスゲート回路の規定時間は、次の手順で設定する。
ここで、インバータ1103の制御回路1112では、インバータ1103における電力変換を行なう際には、図4に示すように、正弦波PWM制御方式、過変調PWM制御方式、矩形波制御方式の3つの制御方式を切り替えて使用する。
【0108】
まず、正弦波PWM制御方式は、一般的なPWM制御として用いられるものであり、各相アームにおけるスイッチング素子のオン・オフを、正弦波状の電圧指令値と搬送波(代表的には、三角波)との電圧比較に従って制御する。この結果、上アーム素子のオン期間に対応するHIGHレベル期間と、下アーム素子のオン期間に対応するLOWレベル期間との集合について、一定期間内でその基本波成分が正弦波となるようにデューティ比が制御される。この正弦波PWM制御方式では、この基本波成分振幅をインバータの電圧の0.61倍までしか高めることができない。
【0109】
一方、矩形波制御方式では、上記一定期間内で、HIGHレベル期間及びLOWレベル期間の比が1:1の矩形波1パルス分を電動機1104に印加する。これにより変調率は、0.78まで高められる。
次に、過変調PWM制御方式は、搬送波の振幅を縮小するように歪ませた上で、上記正弦波PWM制御方式と同様のPWM制御を行なうものである。この結果、基本波成分を歪ませることができ、変調率を0.61〜0.78の範囲まで高めることができる。
【0110】
そして、制御回路1112では、電動機1104の回転速度に応じてこれら制御方式を切り替え、電動機1104の回転速度が遅い領域では、滑らかに回転をさせることが可能な正弦波PWM制御方式を用い、中程度の回転速度の領域では過変調PWM制御方式を用い、高回転速度の領域では矩形波制御方式を用いることにより、直流電源1101の電圧利用率を向上させるようにしている。これは、IGBT1105、1106などの高パワー素子のスイッチング速度は、概ね10kHzが限界となっているためであり、制御方式を切り替えることで、電動機1104を低回転から高回転まで駆動している。
【0111】
表1は、正弦波PWM制御方式を用いた場合の、パルス間隔がどのような範囲にあるかを演算した結果である。インバータ1103のインバータ周波数が1kHzであり且つPWM基本周波数が10kHzの場合には、PWMパルス信号のパルス間隔は、87〜201μsの範囲にある。また、インバータ周波数が50Hzであり且つPWM基本周波数が10kHzの場合には、PWMパルス信号のパルス間隔は、99〜200μsの範囲にあることがわかる。
【0112】
【表1】

【0113】
つまり、インバータ1103のPWMパルス信号のパルス間隔は、87μs以上であるとみなすことができる。したがって、パルス間隔が87μsよりも短い間隔で発生するパルスは、ノイズによるものとみなすことができる。このため、このインバータ1103のPWMパルス信号が通常とり得るパルス間隔87μsよりも短い値を、規定時間として設定する。ここでは、余裕代(マージン)を確保して、50μs程度とする。この値は、表1を実現するインバータにおいて、大電流を伴うスイッチングによる磁界変化に起因するノイズを防ぐには十分であり、かつ正規のパルスをマスクして見逃してしまうことがない値となっている。
【0114】
規定時間は、図1のセット側ゲート信号生成回路13の積分回路13dのタイマ時間、すなわち、図3の抵抗R29,コンデンサC23およびD型フリップフロップ137のクロック端子CLKの閾値電圧で決定されるため、タイマ時間が、50μs程度となるように、これらの抵抗値及び容量を決定する。
以上により、インバータ1103の規定時間が設定される。そして、昇降圧コンバータ1102の規定時間として、インバータ1103の規定時間と同一値を設定する。
【0115】
ここで、図5に示すような車両駆動システムの場合、昇降圧コンバータ1102におけるPWM信号のパルス間隔は、一般に、インバータ1103のPWM信号のパルス間隔よりも長い。
したがって、昇降圧コンバータ1102における規定時間として、インバータ1103の規定時間を設定した場合であっても、ノイズではない、真のパルスの伝達が阻止されることはなく、ノイズの伝達を阻止し励磁コイルを保護しつつ、真に必要なパルスの伝達を確実に行なうことができる。
【0116】
なお、ここでは、昇降圧コンバータ1102における規定時間として、インバータ1103の規定時間を設定した場合について説明したが、これに限るものではない。
昇降圧コンバータ1102においても、PWM信号がとり得るパルス間隔の最小値を検出し、真のパルスの通過を阻止しない時間を規定時間として設定してもよい。このように設定することによって、ノイズの通過をできるだけ除去することができる。
【0117】
また、上記実施の形態においては、昇降圧コンバータ1102及びインバータ1103の規定時間を、インバータ1103のPWM信号が通常とり得るパルス間隔の最小値に基づき設定する場合について説明したが、これに限るものではない。要は、絶縁トランスの励磁コイルが損傷に至ることのない間隔であり、且つ、昇降圧コンバータ1102、或いはインバータ1103のそれぞれにおけるPWM信号に応じた真のパルスの伝達を阻止することのない時間に設定すればよい。
【0118】
また、上記実施の形態においては、セット側ゲート信号生成回路13では、抵抗R29とコンデンサC23とからなる積分回路と、D型フリップフロップ136と、Nチャンネル電界効果型トランジスタ134とで充放電回路を構成し、Nチャンネル電界効果型トランジスタ134によりコンデンサC23を放電させた後、抵抗R29にHIGHレベルの電圧を印加することによりコンデンサC23に電流を流入させて充電する構成とした場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば、コンデンサC23に定電流を流入させる構成としてもよい。また、コンデンサC23の両端電圧をもとに所定時間を計測する構成とする場合に限るものではなく、例えば、信号伝送回路TU内に定周期のクロック信号を生成するクロック信号生成回路を設けるとともに、セット側ゲート信号生成回路13内にそのクロック信号を計数するクロック信号計数手段を設け、この計数値が規定時間相当となったか否かにより規定時間が経過したか否かを判断する構成とすることも可能である。
【0119】
また、上記実施の形態においては、本発明による信号伝送回路TUを、車両機器用の電力変換装置に適用した場合について説明したが、これに限るものではなく、絶縁トランスを用いて信号伝送を行なうようにした電力変換装置であれば適用することができる。
また、空芯型のトランスに適用した場合について説明したが、鉄心を有するトランスであっても適用することができる。
【0120】
また、上記実施の形態においては、入力信号の立ち上がりエッジに基づいて、セット信号S102及びリセット信号S103によるセット用絶縁トランスTL1、リセット用絶縁トランスTL2の励磁を制限する場合について説明したが、入力信号の立ち下がりエッジに基づいてセット用絶縁トランスTL1、リセット用絶縁トランスTL2の励磁を制限するように構成することも可能である。
【0121】
ここで、上記実施の形態において、セット用絶縁トランスTL1が特許請求の範囲のセット用トランスに対応し、リセット用絶縁トランスTL2がリセット用トランスに対応し、これらセット用絶縁トランスTL1及びリセット用絶縁トランスTL2がトランス手段に対応し、セット・リセット信号生成回路11がパルス信号生成手段に対応し、セットパルスゲート回路12aが第1の阻止手段に対応し、リセットパルスゲート回路12cが第2の阻止手段に対応し、セットパルスゲート回路12a及びリセットパルスゲート回路12cが励磁阻止手段に対応している。
【0122】
また、Nチャンネル電界効果型トランジスタ134、抵抗R29、コンデンサC23及びD型フリップフロップ136が充放電制御手段に対応している。
さらに、スイッチング素子SW1、SW2、SW11〜SW23がスイッチング素子に対応し、制御回路1111及び制御回路1112が制御回路に対応し、保護機能付きゲートドライバIC1115U、1115Dが駆動回路に対応し、信号伝送回路1117が信号伝送部に対応している。
【符号の説明】
【0123】
11 セット・リセット信号生成回路
11a セットパルス生成回路
11b リセットパルス生成回路
12 ゲート回路
12a セットパルスゲート回路
12c リセットパルスゲート回路
13 セット側ゲート信号生成回路
13a 単パルス生成回路
13b 遅延単パルス生成回路
13c D型フリップフロップ
13d 積分回路
13e D型フリップフロップ
14 リセット側ゲート信号生成回路
14a 単パルス生成回路
14b D型フリップフロップ
15 電源リセット回路
1102 昇降圧コンバータ
1103 インバータ
1105、1106 IGBT
1111、1112 制御回路
1111a CPU
1115U、1115D 保護機能付きゲートドライバIC
1117 信号伝送部
S101 入力信号
S102 セット信号
S103 リセット信号
S104 セットパルスゲート回路12aの出力信号
S105 ゲート化セット信号
S106 リセットパルスゲート回路12cの出力信号
S107 ゲート化リセット信号
S108 単パルス
S109 遅延単パルス
S110 積分出力
S111 セットパルスゲート信号
S112 単パルス
S113 リセットパルスゲート信号
S120、S121 電源リセット信号
SW1、SW2、SW11〜SW23 スイッチング素子
TL1 セット用絶縁トランス
TL2 リセット用絶縁トランス
Tr1、Tr2 Nチャンネル電界効果型トランジスタ
TU 信号伝送回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランス手段と、
入力信号の立ち上がり及び立ち下がりエッジに同期したパルス信号を生成するパルス信号生成手段と、を有し、
前記パルス信号生成手段で生成した前記パルス信号を前記トランス手段の1次巻線側に入力し、
前記トランス手段の2次巻線側に生成されたパルス信号に基づき前記入力信号を復元するようにした信号伝送回路において、
第1の入力信号とその次に入力される第2の入力信号とのパルス間隔が、予め設定した規定時間よりも短いとき、前記第2の入力信号の前記立ち上がり及び立ち下がりエッジに同期したパルス信号の前記トランス手段の一次巻線への入力を禁止する励磁阻止手段、を備えることを特徴とする信号伝送回路。
【請求項2】
前記パルス間隔は、前記第1の入力信号と前記第2の入力信号との間の、立ち上がりエッジ間隔又は立ち下がりエッジ間隔であることを特徴とする請求項1記載の信号伝送回路。
【請求項3】
前記トランス手段は、前記立ち上がりエッジに同期した立ち上がりパルス信号を伝送するセット用トランスと、前記立ち下がりエッジに同期した立ち下がりパルス信号を伝送するリセット用トランスと、を有し、
前記励磁阻止手段は、前記立ち上がりパルス信号が生成された時点から前記規定時間が経過するまでの間に生成される他の立ち上がりパルス信号を無効とする第1の阻止手段と、
前記立ち下がりパルス信号が生成された時点からこれ以後前記立ち上がりパルス信号が生成されるまでの間に生成される他の立ち下がりパルス信号を無効とする第2の阻止手段と、を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の信号伝送回路。
【請求項4】
前記励磁阻止手段は、
コンデンサと、前記コンデンサへの充電及び放電を行なう充放電制御手段と、を備え、
前記コンデンサの両端電圧を利用して前記規定時間を計測することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の信号伝送回路。
【請求項5】
前記充放電制御手段は、定電流を前記コンデンサに流入させることを特徴とする請求項4記載の信号伝送回路。
【請求項6】
前記充放電制御手段は、高抵抗を介して前記コンデンサに定電圧を印加することにより前記コンデンサに電流を流入させることを特徴とする請求項4記載の信号伝送回路。
【請求項7】
クロック信号を生成するクロック信号生成回路を有し、
前記励磁阻止手段は、前記クロック信号を計数するクロック信号計数手段を有し、
前記クロック信号計数手段の計数値を利用して前記規定時間を計測することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の信号伝送回路。
【請求項8】
負荷へ流入する電流を通電及び遮断するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子の導通及び非導通を指示する制御信号を生成する制御回路と、
前記制御信号に基づいて前記スイッチング素子の制御端子を駆動する駆動回路と、
前記制御回路で生成した前記制御信号を前記駆動回路に伝送する信号伝送部と、を備え、
前記請求項1から請求項7の何れかに記載の信号伝送回路を、前記信号伝送部として利用したことを特徴とする電力変換装置。
【請求項9】
車両を駆動する電動機をPWM制御するようにした車両駆動システムに適用され、前記電動機を前記負荷とし、前記PWM制御用のPWM信号を前記入力信号として、前記駆動回路を駆動する電力変換装置であって、
前記規定時間が87μs以下であることを特徴とする請求項8記載の電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−252421(P2010−252421A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96192(P2009−96192)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】