説明

信号処理装置及び方法

【課題】 複数の輝度信号生成方式のそれぞれの方式の利点を生かし、高品質の輝度信号を得ること。
【解決手段】 ベイヤー配列のカラーフィルタを有する撮像素子により撮像して得られた画像信号を処理する信号処理装置(4)であって、入力した3色の画像信号から各画素位置の各色の画像信号を生成し、1色の画像信号に他の2色よりも大きな重み付けを行って各色の画像信号の加算処理を行うことにより、各画素位置に対応する第1の輝度信号を生成する第1の輝度信号生成手段(5)と、入力した3色の画像信号を各色の輝度信号とみなすことにより3色の画像信号の画素位置に対応する第2の輝度信号を生成する第2の輝度信号生成手段(6)と、入力した画像信号に基づいて、当該画像信号が白黒画像を示すか、カラー画像を示すかを判別する判別手段(7)と、当該判別結果に応じて、第1の輝度信号及び前2の輝度信号を混合して出力する混合手段(9)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号処理装置、特に複数のカラーフィルタを有する撮像素子からの出力信号から輝度信号を作成する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、固体撮像素子からの出力色信号をもとに輝度信号を作成する方法として、SwitchY方式やOutofGreen方式が知られている。以下、固体撮像素子が図12のような原色ベイヤー配列のカラーフィルタにより覆われている場合を例にして、これらの方式を説明する。
【0003】
SwitchY方式は、固体撮像素子からの出力信号をA/D変換した後、ホワイトバランス(以下、WB)処理した信号を、そのまま輝度信号Yとみなす方式である。図13は、得られた輝度信号Yの概念を示す図で、Yの後の数字は画素の位置を示す。また、通常、サンプリングによるキャリアの発生を抑えるため、ナイキスト周波数で出力0となるローパスフィルタ(以下、LPF)を水平垂直それぞれに適用した結果をベース信号とする。例えば、上記LPFのフィルタ係数を水平、垂直とも[1 2 1]とすると、Y22の画素のLPFからの出力Y22’は、
Y22' = (Y11 + 2 × Y12 + Y13 + 2 × Y21 + 4 × Y22 + 2 × Y23
+ Y31 + 2×Y32 + Y33) / 16 …(1)
【0004】
のように求めることができる。
さらに、ベース信号から高域強調信号を作り、元のベース信号を足しこむことにより、高域が補償された信号を得ることが可能である。
【0005】
図14は、周波数空間におけるキャリアの位置と帯域を示す図で、(a)は白黒画像、(b)はカラー画像を撮影した場合をそれぞれ示す。図14(a)及び(b)において、fsはサンプリング周波数を示す。SwitchY方式は、被写体が白黒の場合には図14(a)の×で示した位置にキャリアが発生し、実線で囲んだエリアの帯域を活用できる方式であるため、有利である。しかしながら、被写体がカラーになった場合には、図14(b)の×で示した位置にキャリアが発生してしまうため、図14(b)の実線のように帯域が狭く、比較的低周波で折りかえしが発生してしまうため、好ましくない。
【0006】
一方、OutofGreen方式は、レッド、グリーン、ブルーの各信号を独立に処理し、特にグリーン信号を中心に輝度を作成する方式である。例えば、レッド信号を処理する場合には、レッド以外の画素に0挿入しておき、上記LPFを適用する。グリーン信号、ブルー信号に関しても同様に処理しておき、輝度Yを、例えば、次式(2)を用いて求める。
Y = 0.3R + 0.59G + 0.11B …(2)
【0007】
さらに、グリーン信号のみから高域強調信号を作成し、Yに足しこむ。
OutofGreen方式は、グリーン信号を中心に輝度信号を作成する方式であるため、サンプリングがオフセットサンプリングとなり、白黒画像の場合、図14(a)の○で示した位置にキャリアが発生する。したがって破線で示した領域の帯域が利用できる。また、カラー画像に対しても、図14(b)に示したように白黒の場合と同じ帯域を確保できる方式であるため、白黒、カラーを問わず安定して利用することが可能である。しかしながら白黒画像の場合、SwitchY方式の帯域に比べて斜め方向が狭く、斜め方向からの折りかえりによりジャギーが発生するという問題を持っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002-010289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように、例えばSwitchY方式のような、入力した3色の画像信号を各色の輝度信号とみなすことにより3色の画像信号の画素位置に対応する輝度信号を生成する方式では、白黒の被写体に対しては強いがカラーの被写体に対しては弱く、例えばOutofGreen方式のような、入力した3色の画像信号のうち1色の画像信号に大きな重み付けを行って隣接する3色の画像信号の加算処理を行うことにより3色の画像信号の画素位置に対応する輝度信号を生成する方式では、白黒、カラーを問わず一定の水準を持つがジャギーが発生するという問題があり、いずれの方式においても、画像に弊害が発生してしまう。
【0010】
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、複数の輝度信号生成方式のそれぞれの方式の利点を生かし、高品質の輝度信号を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、ベイヤー配列のカラーフィルタを有する撮像素子により撮像して得られた画像信号を処理する本発明の信号処理装置は、入力した3色の画像信号から各画素位置の各色の画像信号を生成し、1色の画像信号に他の2色よりも大きな重み付けを行って、前記生成した各色の画像信号の加算処理を行うことにより、前記入力した画像信号の画素位置に対応する第1の輝度信号を生成する第1の輝度信号生成手段と、前記入力した3色の画像信号を各色の輝度信号とみなすことにより前記3色の画像信号の画素位置に対応する第2の輝度信号を生成する第2の輝度信号生成手段と、前記入力した画像信号に基づいて、当該画像信号が白黒画像を示すか、カラー画像を示すかを判別する判別手段と、前記判別手段による判別結果に応じて、前記第1の輝度信号及び前記第2の輝度信号を混合して出力する混合手段と、を有する。
【発明の効果】
【0012】
上記の通り本発明によれば、複数の輝度信号生成方式のそれぞれの方式の利点を生かすことができるため、高品質の輝度信号を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態における撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1の信号処理装置の全体動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施形態における白黒カラー判別処理動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態における白黒カラー判別信号と彩度信号との関係を示す図である。
【図5】図1の斜め線検出回路の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における斜め線検出処理動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態における斜め線判別信号とBPF出力との関係を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態における斜め線判別信号とLPF出力との関係を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態における輝度信号混合処理動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第1の実施形態における別の輝度信号混合処理動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施形態における信号処理装置の概略を示すブロック図である。
【図12】原色ベイヤー配列を示した図である。
【図13】SwitchY方式の説明図である。
【図14】輝度信号の各作成方式における、キャリアの発生位置と帯域を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
本第1の実施形態では、図12に示したR(赤)、G(緑)、B(青)の3色からなる原色ベイヤー配列のカラーフィルタにより覆われた単板撮像素子からの信号を用いて、輝度信号を得る場合について説明する。
【0016】
図1は本発明の第1の実施形態における撮像装置の概略構成を示すブロック図である。撮像装置は、例えば、デジタルスチルカメラ、デジタルカメラ、スキャナ、コピー機、ファクシミリを含むが、これに限るものではなく、入射する光学像を光電変換により電気的な画像として取得するものであれば、本発明を適用することが可能である。
【0017】
図1において、1は、入射する光を光電変換して、電気信号を出力するCCDなどの撮像素子(以下、CCD)、2はA/D変換回路、3はホワイトバランス(WB)回路、4は信号処理装置である。上記構成において、CCD1より出力される信号をA/D変換回路2によりデジタル信号に変換し、WB回路3により公知のホワイトバランス処理を施した信号を信号処理装置4に入力する。
【0018】
信号処理装置4は、OutofGreen輝度回路5、SwitchY輝度回路6、白黒カラー判別回路7、斜め線検出回路8、輝度混合回路9を有する。OutofGreen輝度回路5は、例えば、従来技術で述べたOutofGreen方式を採用するが、画像に適応的に補間方法を切り替える方式を採用しても良い。また、SwitchY輝度回路6も、例えば、従来技術で述べたSwitchY方式を採用する。このSwitchY方式は、レッド(R)信号、グリーン(G)信号、ブルー(B)信号をそのまま輝度信号とみなす方式であり、本第1の実施形態で採用している原色ベイヤー配列の撮像素子の場合、輝度の色構成比は、R:G:B=1:2:1である。
【0019】
次に、図2〜図9を参照して、上記構成を有する信号処理装置4の動作について詳細に説明する。
【0020】
図2は、信号処理装置4における処理の概略を示すフローチャートである。図2において、WB回路3からWB処理された信号を受け取った信号処理装置4は(ステップS11)、OutofGreen輝度回路5において、OutofGreen方式による輝度信号1を作成する(ステップS12)。また、SwitchY輝度回路6において、SwitchY方式による輝度信号2を作成する(ステップS12)。さらに、白黒カラー判別回路7において、被写体が白黒かカラーかを判別し、判別結果を示す白黒カラー判別信号を生成し(ステップS13)、斜め線検出回路8において、被写体画像中の斜め線を検出し、斜め線の有無を示す斜め線判定信号を生成する(ステップS14)。そして、これらの白黒カラー判別信号及び斜め線判定信号を基にして、輝度混合回路9は輝度信号1と輝度信号2を混合する(ステップS15)。なお、ステップS12〜S14の処理を行う順番は上記に限るものではなく、異なる順番で行っても、また、処理の一部又は全部を同時に行うようにしても良い。
【0021】
ステップS13で行われる白黒カラー判別処理について、図3のフローチャートを参照しながら説明する。白黒カラー判別回路7では、まずステップS21において、ホワイトバランス後の信号から例えば次の式(3)に従って彩度信号Cを算出する。
【0022】

【0023】
次に、あるレベルの閾値Th1と比較して彩度信号Cが小さい時には(ステップS22でYES)、入力された信号が白黒画像を示すと判定し、白黒カラー判別信号DBCとして1を設定する(ステップS23)。彩度信号Cが閾値Th1以上である場合(ステップS22でNO)、ステップS24で閾値Th1よりも大きい閾値Th2と比較し、彩度信号Cが閾値Th2より大きい場合には(ステップS24でYES)カラー画像と判定し、判別信号DBCとして0を設定する(ステップS25)。彩度信号Cが閾値Th1と閾値Th2の間にある場合には(ステップS24でNO)、判別信号DBCは、閾値Th1およびTh2からの距離に応じて線形的に1から0の間の数値をとるように構成する(ステップS26)。上記処理における彩度信号Cと閾値Th1及びTh2、及び判別信号DBCとの関係を図示したものが図4である。
【0024】
なお、白黒カラーの判別のエリアを調整するため、彩度信号Cに対して、例えば3×3の最大値フィルタを適用して判別領域を拡大したり、明るさで正規化するように構成して暗い部分も検出されるようにしてもよい。明るさでの正規化は、例えば、彩度を輝度Yで除算することで行うことができる。
【0025】
次に、図2のステップS14で行われる斜め線検出処理について、図5及び図6を参照しながら説明する。図5は斜め線検出回路8の内部構成例を示すブロック図であり、WB後のすべての色信号を用いて、バンドパスフィルタ(BPF)A回路10、BPFB回路11およびローパスフィルタ(LPF)A回路12、LPFB回路13によりジャギーが発生する領域を抽出する。
【0026】
バンドパスフィルタとしては、例えば、フィルタ係数を垂直に[1 −4 6 −4 1]、水平に[−1 0 2 0 −1]のデジタルフィルタを適用するBPFA回路10と、水平に[1 −4 6 −4 1]、垂直に[−1 0 2 0 −1]のデジタルフィルタを適用するBPFB回路11を用いる。ローパスフィルタとしては、例えば、フィルタ係数を水平に[1 4 6 4 1]、垂直に[1 −2 2 −2 1]のデジタルフィルタを適用するLPFA回路12と、垂直に[1 4 6 4 1]、水平に[1 −2 2 −2 1]のデジタルフィルタを適用するLPFB回路13を用いる。
【0027】
BPFA回路10からの信号とBPFB回路11からの信号をそれぞれ絶対値化回路14により絶対値化し、加算器15で加算する(ステップS31)。その加算信号SBPFと閾値Th3とを比較し、加算信号SBPFの方が小さい時には(ステップS32でYES)斜め線でないと判別し、BPF検出信号DBPFとして0を設定する(ステップS33)。加算信号SBPFが閾値Th3以上の時には(ステップS32でNO)、閾値Th3よりも大きい閾値Th4と比較する。加算信号SBPFの方が大きい場合には(ステップS34でYES)斜め線と判別し、BPF検出信号DBPFとして1を設定する(ステップS35)。加算信号SBPFが閾値Th3と閾値Th4の間にある場合には(ステップS34でNO)、BPF検出信号DBPFは、閾値Th3およびTh4からの距離に応じて線形的に0から1の間の数値をとるように設定する(ステップS36)。上記処理における加算信号SBPFと閾値Th3及びTh4、及びBPF検出信号DBPFとの関係を図示したものが図7である。
【0028】
一方、LPF回路の方は、BPF回路で斜め線として検出されたエリアから低周波のエリアを除外することが目的である。すなわち、BPF回路のみでは、余分な低域信号まで斜め線として検出してしまう場合があるので、その余分な部分を検出対象から外すようにLPF回路を構成する。
【0029】
LPFA回路12からの信号とLPFB回路13からの信号をそれぞれ絶対値化回路14により絶対値化し、加算器15で加算する(ステップS37)。その加算信号SLPFと閾値Th5とを比較し、加算信号SLPFの方が小さい時には(ステップS38でYES)、斜め線検出対象から外さないようLPF検出信号DLPFとして1を設定する(ステップS39)。加算信号SLPFが閾値Th6以下の時には(ステップS38でNO)、閾値Th5よりも大きい閾値Th6と比較する。加算信号SLPFの方が大きい場合には(ステップS40でYES)、斜め線検出対象から外すためLPF検出信号DLPFとして0を設定する(ステップS41)。加算信号SLPFが閾値Th5と閾値Th6の間にある場合には、LPF検出信号DLPFは、閾値Th5およびTh6からの距離に応じて線形的に0から1の間の数値をとるように設定する(ステップS42)。上記処理における加算信号SLPFと閾値Th5及びTh6、及びLPF検出信号DLPFとの関係を図示したものが図8である。
【0030】
なお、図5に示す例ではバンドパスフィルタ及びローパスフィルタを用いた構成を示したが、これに限るものではなく、例えばバンドパスフィルタの代わりにハイパスフィルタで構成したり、またローパスフィルタを用いずに、バンドパスフィルタ又はハイパスフィルタで構成してもよい。
【0031】
次に、上記のBPF検出信号DBPFとLPF検出信号DLPFを用いて、乗算器17により積を取った結果を、最終的な斜め線検出信号DDとする(ステップS43)。
【0032】
斜め線検出回路8において、より検出精度を増すため、BPF回路やLPF回路の数を増やしても良いし、検出領域を調整するため、最大値フィルタや明るさによる正規化などを行っても良い。
【0033】
また、図6において、ステップS37〜S42の処理をステップS31〜S36の処理より先に行うようにしても、平行して行うようにしても良い。
【0034】
次に、図2のステップS15で行われる輝度信号混合処理について、図9のフローチャートを参照しながら説明する。輝度混合回路9では、上述したようにして得た白黒カラー検出信号DBCと斜め線検出信号DDを用いて、輝度信号1および輝度信号2を混合する。
【0035】
ここでは、入力した信号が白黒画像を示し、かつ斜め線であると判別された部分、すなわち白黒カラー判別信号DBCと斜め線検出信号DDが共に1である場合(ステップS51でYES)、輝度信号2(SwitchY方式)を選択し(ステップS52)、その他の部分である場合に(ステップS51でNO)輝度信号1(OutofGreen方式)を選択する(ステップS53)。すなわち、図14(a)、(b)における2の部分のみ、SwitchY方式の輝度信号を採用し、その他の部分1,3,4は、OutofGreen信号を採用するように構成する。このようにすることで、ジャギーを解消し、また、カラーの被写体に対しても低域における折り返しノイズを発生させず、良好な信号を得ることが可能となる。
【0036】
なお、ステップS51で行う判定方法の一例として、白黒カラー判別信号DBCと斜め線検出信号DDの積を取り、得られた積が1であるかどうかを判定するように構成することもできる。この場合、得られた積が1である場合に輝度信号2を選択し、それ以外の場合に輝度信号1を選択する。
【0037】
また、デフォルトとして輝度信号1を選択するようにし、白黒カラー判別信号DBCと斜め線検出信号DDが共に1(又は積が1)である場合に、輝度信号2に置き換えるように構成しても良い。
【0038】
また、輝度信号1又は2のいずれか一方を選択するだけではなく、白黒カラー判別信号DBC及び/又は斜め線検出信号DDが0と1の中間値を示す場合に輝度信号1又は2を混合して、最終的な輝度信号としても良い。その場合の輝度信号混合処理を図10のフローチャートを参照して説明する。
【0039】
上述したように積が1であるなど、入力した信号が白黒画像を示し、かつ斜め線であると判別された部分であれば(ステップS61でYES)、輝度信号2を選択し(ステップS62)、積が0となる場合(ステップS63でYES)に輝度信号1を選択し(ステップS64)、また、0と1の間の値αになる場合には(ステップS63でNO)、切り替えを滑らかにするため、次の式(4)に示すようにして輝度信号1と2を混合する(ステップS65)。
[輝度] = α×[輝度信号2] +(1-α)×[輝度信号1] …(4)
【0040】
なお、上記例では、信号処理装置4は白黒カラー判別回路7及び斜め線検出回路8の両方を有する構成について説明したが、いずれか一方のみを有する構成にしても良い。具体的には、白黒カラー判別回路7のみを有する場合、輝度混合回路9は、図9に示す処理のステップS51で白黒画像か否かのみの判別を行う以外は上記と同様の処理を行う。また、図10に示す処理ではステップS61で白黒カラー判別信号DBCが1どうかの判別を行い、ステップS63で白黒カラー判別信号DBCが0であるかどうかの判別を行い、ステップS65では白黒カラー判別信号DBCをαとして用いる。それ以外は上記と同様の処理を行う。
【0041】
一方、斜め線検出回路8のみを有する場合、輝度混合回路9は、図9に示す処理のステップS51で斜め線かどうかのみの判定を行う以外は上記と同様の処理を行う。また、図10に示す処理ではステップS61で斜め線検出信号DDが1かどうかの判別を行い、ステップS63で斜め線検出信号DDが0かどうかの判別を行い、ステップS65では斜め線検出信号DDをαとして用いる。それ以外は上記と同様の処理を行う。
【0042】
上記の通り本第1の実施形態によれば、OutofGreen輝度回路及びSwitchY輝度回路を用いて、それぞれの利点のみを活用して輝度信号を得ることが可能であり、従来斜め線に発生した折り返し信号や、色信号の折りかえりによるノイズが発生することなく、良好な輝度信号を得ることが可能である。
【0043】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。図11は、第2の実施形態における撮像装置の構成を示すブロック図であり、図1と同様の構成には同じ参照番号を付して説明を省略する。図11において、24は信号処理装置、25はOutofGreen輝度回路、26はSwitchY輝度回路、27は白黒カラー判別回路、28は斜め線検出回路、29輝度混合回路は、30は高域強調回路である。高域強調回路30を除き、各回路は図1に示すものと同様な動作を行うため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0044】
第1の実施形態におけるOutofGreen輝度回路5およびSwitchY輝度回路6には、通常、高域強調信号をベース信号に足しこむ回路(不図示)がそれぞれ含まれているが、本第2の実施形態では、OutofGreen輝度回路25およびSwitchY輝度回路26は通常それぞれ含まれる高域強調回路を含まず、その代わりに共通の高域強調回路30を設けた構成をしている。
【0045】
高域強調回路30は輝度混合回路29の後に設けられ、輝度混合回路29から出力される輝度信号にバンドパスフィルタを適用して高域信号を取り出し、元の輝度信号に足しこむ。
【0046】
このように構成することで、第1の実施形態に比べて、高域強調回路を一つに減らすことが可能である。
【0047】
(他の実施形態)
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インターフェイス機器、スキャナ、ビデオカメラなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、デジタルカメラ、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0048】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。ここでプログラムコードを記憶する記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、CD−ROM、CD−R、DVD、光ディスク、光磁気ディスク、MOなどが考えられる。
【0049】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0050】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明した図2、図3、図6、及び図9または図11に示すフローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【符号の説明】
【0051】
1 撮像素子(CCD)
2 A/D変換回路
3 WB回路
4、24 信号処理装置
5、25 OutofGreen輝度回路
6、26 SwitchY輝度回路
7、27 白黒カラー判別回路
8、28 斜め線検出回路
9、29 輝度混合回路
10 バンドパスフィルタA回路
11 バンドパスフィルタB回路
12 ローパスフィルタA回路
13 ローパスフィルタB回路
14 絶対値化回路
15 加算器
16 判別信号生成回路
17 乗算器
30 高域強調回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベイヤー配列のカラーフィルタを有する撮像素子により撮像して得られた画像信号を処理する信号処理装置であって、
入力した3色の画像信号から各画素位置の各色の画像信号を生成し、1色の画像信号に他の2色よりも大きな重み付けを行って、前記生成した各色の画像信号の加算処理を行うことにより、前記入力した画像信号の画素位置に対応する第1の輝度信号を生成する第1の輝度信号生成手段と、
前記入力した3色の画像信号を各色の輝度信号とみなすことにより前記3色の画像信号の画素位置に対応する第2の輝度信号を生成する第2の輝度信号生成手段と、
前記入力した画像信号に基づいて、当該画像信号が白黒画像を示すか、カラー画像を示すかを判別する判別手段と、
前記判別手段による判別結果に応じて、前記第1の輝度信号及び前記第2の輝度信号を混合して出力する混合手段と、
を有することを特徴とする信号処理装置。
【請求項2】
前記判別手段は、白黒画像、カラー画像又はそれらの中間を示す信号を出力し、前記中間を示す信号が出力された場合、前記混合手段は出力された信号値に基づく割合で、前記第1の輝度信号及び前記第2の輝度信号を混合することを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記判別手段は、前記入力した画像信号から彩度信号を生成し、当該彩度信号に基づいて判別を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記入力した画像信号に基づいて、当該画像信号が示す画像中の斜め線を示す部分を検出する検出手段を更に有し、
前記混合手段は、前記判別手段による判別結果及び前記検出手段による検出結果に応じて、前記第1の輝度信号及び前記第2の輝度信号を混合することを特徴とする請求項1または2に記載の信号処理装置。
【請求項5】
ベイヤー配列のカラーフィルタを有する撮像素子により撮像して得られた画像信号を処理する信号処理装置であって、
入力した3色の画像信号から各画素位置の各色の画像信号を生成し、1色の画像信号に他の2色よりも大きな重み付けを行って、前記生成した各色の画像信号の加算処理を行うことにより、前記入力した画像信号の画素位置に対応する第1の輝度信号を生成する第1の輝度信号生成手段と、
前記入力した3色の画像信号を各色の輝度信号とみなすことにより前記3色の画像信号の画素位置に対応する第2の輝度信号を生成する第2の輝度信号生成手段と、
前記入力した画像信号に基づいて、当該画像信号が示す画像中の斜め線を示す部分を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出結果に応じて、前記第1の輝度信号及び前記第2の輝度信号を混合して出力する混合手段と、
を有することを特徴とする信号処理装置。
【請求項6】
前記検出手段は、斜め線であることの確率を示す信号を出力し、当該信号が中間値を示す場合、前記混合手段は出力された信号値に基づく割合で、前記第1の輝度信号及び前記第2の輝度信号を混合することを特徴とする請求項5に記載の信号処理装置。
【請求項7】
前記検出手段は、斜め方向のエッジを抽出する少なくとも1つ以上のバンドパスフィルタまたはハイパスフィルタを有し、その出力結果に基づいて検出を行うことを特徴とする請求項5又は6に記載の信号処理装置。
【請求項8】
前記検出手段は、斜め方向のエッジを抽出する少なくとも1つ以上のバンドパスフィルタまたはハイパスフィルタと、少なくとも1つ以上のローパスフィルタとを有し、その出力結果に基づいて検出を行うことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の信号処理装置。
【請求項9】
ベイヤー配列のカラーフィルタを有する撮像素子により撮像して得られた画像信号を処理する信号処理方法であって、
入力した3色の画像信号から各画素位置の各色の画像信号を生成し、1色の画像信号に他の2色よりも大きな重み付けを行って、前記生成した各色の画像信号の加算処理を行うことにより、前記入力した画像信号の画素位置に対応する第1の輝度信号を生成する第1の輝度信号生成工程と、
前記入力した3色の画像信号を各色の輝度信号とみなすことにより前記3色の画像信号の画素位置に対応する第2の輝度信号を生成する第2の輝度信号生成工程と、
前記入力した画像信号に基づいて、当該画像信号が白黒画像を示すか、カラー画像を示すかを判別する判別工程と、
前記判別工程による判別結果に応じて、前記第1の輝度信号及び前記第2の輝度信号を混合して出力する混合工程と、
を有することを特徴とする信号処理方法。
【請求項10】
ベイヤー配列のカラーフィルタを有する撮像素子により撮像して得られた画像信号を処理する信号処理方法であって、
入力した3色の画像信号から各画素位置の各色の画像信号を生成し、1色の画像信号に他の2色よりも大きな重み付けを行って、前記生成した各色の画像信号の加算処理を行うことにより、前記入力した画像信号の画素位置に対応する第1の輝度信号を生成する第1の輝度信号生成工程と、
前記入力した3色の画像信号を各色の輝度信号とみなすことにより前記3色の画像信号の画素位置に対応する第2の輝度信号を生成する第2の輝度信号生成工程と、
前記入力した画像信号に基づいて、当該画像信号が示す画像中の斜め線を示す部分を検出する検出工程と、
前記検出工程による検出結果に応じて、前記第1の輝度信号及び前記第2の輝度信号を混合して出力する混合工程と、
を有することを特徴とする信号処理方法。
【請求項11】
情報処理装置に、請求項9または10に記載の信号処理方法の各工程を実行させるためプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムを格納したことを特徴とする情報処理装置が読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−105977(P2009−105977A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27729(P2009−27729)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【分割の表示】特願2002−156003(P2002−156003)の分割
【原出願日】平成14年5月29日(2002.5.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】