説明

信号切替装置

【課題】現用系/代替系/予備系などに信号経路の3系統化を図る上で、障害の発生状況に応じて信号の経路を安全にかつ確実に切り替える。
【解決手段】この信号切替装置は、制御部から入力された切替制御信号により、入力された複数の主信号のうち一つを現用系の第1経路へ、他の一つを代替系の第1経路へ出力する第1信号切替器と、切替制御信号の入力で、入力された副信号のうち一つを現用系の第2経路へ、他の一つを代替系の第2経路へ出力する第2信号切替器と、切替制御信号の入力で、現用系の第1経路から入力された主信号と現用系の第2経路から入力された副信号のいずれか一方を現用系の出力先へ出力する一方、代替系の第1経路から入力された主信号と代替系の第2経路から入力された副信号のいずれか一方を代替系の出力先へ出力する第3信号切替器とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばテレビ放送を行う放送システムなどに用いられる信号切替装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばテレビ放送を行う放送システムのように、システム障害による社会への影響が大きいシステムを導入している放送団体または組織では、システム内の一つの機器や系統に障害が発生した場合に、放送に影響がでないよう、主に映像信号を送る現用系統(現用系の機器群)の他に、代替用(バックアップ用)の機器群(予備系統)を備えており、現用系統に障害が発生したときや現用系統の保守などの際に、信号の流れを現用系統から予備系統へ切り替えてシステムの継続的な運用を行えるようにしている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−281004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の放送システムは、上述したように現用系統/予備系統の2系統システムで運用してきたが、近年、システムが複雑化し構成機器が増えたこともあり、現用系/代替系/予備系などの3系統化を図ることが試みられている。
【0005】
しかしながら、システムの3系統化には、障害の発生状況が複雑化するなどの問題があり、障害発生時に放送を止めないように信号の経路を確実に切り替えて運用する仕組みが完全ではなく、運用者による系統切り替えが必要になる。運用者が系統を切り替える場合、障害発生箇所を特定し、その障害発生箇所を通らないような信号経路を的確に判断し、信号の経路を確実に切り替える必要がある。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、現用系/代替系/予備系などといったような信号経路の3系統化を図る上で、障害の発生状況に応じて信号の経路を安全にかつ確実に切り替えることができる信号切替装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の信号切替装置は、放送用の信号を現用系の主信号と副信号に分けて送出する第1信号送出部と、前記放送用の信号を前記現用系に対する代替系としての主信号と副信号に分けて送出する第2信号送出部と、前記放送用の信号を前記現用系および代替系に対する予備系としての主信号と副信号に分けて送出する第3信号送出部と、前記第1信号送出部乃至第3信号送出部の障害を検知する障害検知部と、前記障害検知部により前記第1信号送出部乃至第3信号送出部のうちのどの送出部に障害が検知されたかによって、予め設定された出力先へ切替制御信号を出力する制御部と、前記現用系、前記代替系および前記予備系の各主信号が入力され、前記切替制御信号の入力で、入力された主信号のうち一つを前記現用系の第1経路へ、他の一つを前記代替系の第1経路へ出力する第1信号切替器と、前記現用系、前記代替系および前記予備系の各副信号が入力され、前記切替制御信号の入力で、入力された副信号のうち一つを前記現用系の第2経路へ、他の一つを前記代替系の第2経路へ出力する第2信号切替器と、前記切替制御信号の入力で、前記現用系の第1経路から入力された主信号と前記現用系の第2経路から入力された副信号のいずれか一方を後段の出力先へ出力する第1選択部と、前記切替制御信号の入力で、前記代替系の第1経路から入力された主信号と前記代替系の第2経路から入力された副信号のいずれか一方を後段の出力先へ出力する第2選択部とを有する第3信号切替器とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、現用系/代替系/予備系などといったような信号経路の3系統化を図る上で、障害の発生状況に応じて信号の経路を安全にかつ確実に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態の放送システムの構成を示す図である。
【図2】放送システムにおいて、1系システムの障害で4対2切替器を切り替えたときの信号経路を示す図である。
【図3】放送システムにおいて、1系システムに障害が発生したときにシステム外部で現用系出力から代替系出力を利用するように切り替えたときの信号経路を示す図である。
【図4】放送システムにおいて、1系システムと2系システムの障害で3対2切替器(A系)を切り替えたときの信号経路を示す図である。
【図5】放送システムにおいて、1系システムと2系システムと3対2切替器(A系)の障害で3対2切替器(B系)と4対2切替器を切り替えたときの信号経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、信号切替装置の一つの実施の形態である放送システムについて詳細に説明する。
【0011】
図1に示すように、この実施形態の放送システムは、1系システム121、2系システム122、3系システム123、4対2切替器103、この4対2切替器103の前段に配置された複数(2つ)の3対2切替器(3対2切替器(A系)101、3対2切替器(B系)102)、制御装置111、障害検知器141を備えている。各切替器の内部には連動式の接点が設けられており、切替制御信号の入力で、各接点が同時に切り替えられ、信号の経路が開放または導通する。
【0012】
1系システム121は、放送用の信号を第1系(現用系)の主信号と副信号に分けて送出する第1信号送出部である。この例では、放送用の信号は、例えば放送対象の映像信号(音声を含むデジタルビデオ信号など)である。主信号と副信号は共に同じ信号であり同じ系から分岐させただけのものである。2系システム122は、放送用の信号を第2系(現用系に対する代替系)の主信号と副信号に分けて送出する第2信号送出部である。3系システム123は、放送用の信号を第3系(現用系、代替系に対する予備系)の主信号と副信号に分けて送出する第3信号送出部である。
【0013】
制御装置111は、1系システム121、2系システム122および3系システム123からの信号のうち異なる系の信号を選択し出力するための切替制御信号を各切替器へ出力する制御部である。
【0014】
制御装置111が切替制御信号を出力するタイミングとしては、例えば障害検知器141により1系システム121、2系システム122および3系システム123に障害が発生したことが検知され、その検知信号が入力されたときである。
【0015】
制御装置111は、障害検知器141により1系システム121、2系システム122および3系システム123のうちのどのシステムに障害が検知されたかによって、予め設定された出力先へ切替制御信号を出力する。なお、オペレータ(運用者)の手操作によって、各切替器が切り替えられる場合もある。
【0016】
3対2切替器(A系)101には、1系システム121、2系システム122および3系システム123から送出される各主信号が入力される。3対2切替器(A系)101は、切替制御信号の入力で、入力された主信号のうち一つを現用系の第1経路(以下「現用列201」と称す)へ、他の一つを代替系の第1経路(以下「代替列202」と称す)へ出力する第1信号切替器である。
【0017】
3対2切替器(B系)102には、1系システム121、2系システム122および3系システム123から送出される各副信号が入力される。3対2切替器(B系)102は、切替制御信号の入力で、入力された副信号のうち一つを現用系の第2経路(以下「現用列204」と称す)へ、他の一つを代替系の第2経路(以下「代替列203」と称す)へ出力する第2信号切替器である。
【0018】
4対2切替器103は、第3信号切替器である。この4対2切替器103は、2つの信号切替器(第1選択部205と第2選択部206)を有している。第1選択部205は、切替制御信号の入力で、現用列201から入力された主信号(A系)と代替列203から入力された副信号(B系)のいずれか一方を選択し現用系出力端子131から次段の現用系信号の出力先、つまり放送信号の出力段(図示せず)へ出力する2対1切替器である。
【0019】
第2選択部206は、制御装置111からの切替制御信号の入力で、代替列202から入力された主信号(A系)と代替列203から入力された副信号(B系)のいずれか一方を選択し代替系出力端子132から次段の代替系信号の処理部(図示せず)、つまり放送信号の出力段へ出力する2対1切替器である。
すなわち、4対2切替器103は、異なる切替器から入力された現用系A系と現用系B系と、異なる切替器から入力された予備系A系と予備系B系の4つの信号のうち、系統の異なる2つの信号を選択し、次の出力先へ出力する。
【0020】
3対2切替器(A系)101は、現用列201、代替列202に接続される。また3対2切替器(B系)102は、代替列203、現用列204に接続される。これら2つの3対2切替器101,102は同じスイッチ構成とされており、制御装置111からの切替制御信号の入力で同じ切り替え動作を行う。
【0021】
3対2切替器(A系)101により現用列201・代替列202のうち一つの経路が選択されて1系システム121、2系システム122および3系システム123からの主信号が出力される。3対2切替器(B系)102により代替列203・現用列204のうち一つの経路が選択されて1系システム121、2系システム122および3系システム123からの副信号が出力される。このとき、現用列201、204と代替列202、203では、同じ系を選択しないように切替器の制御が行われる。
【0022】
このシステムでは、例えば現用列で、代替列と同じ系統を選択した場合は、自動的に他の系(それまで現用系が選択していた系など)を選択するように動作する。
【0023】
通常運用時での1系システム121、2系システム122および3系システム123のうちのいずれかへの切り替えは、3対2切替器(A系)101と3対2切替器(B系)102とで行う。
【0024】
後段の4対2切替器103においては、現用系の信号を出力する第1選択部(2対1切替器)205は、3対2切替器(A系)101から現用列201を通じて入力される主信号と、3対2切替器(B系)102から現用列204を通じて入力される副信号とを切り替えるように信号経路がクロスして接続されている。
【0025】
代替系の信号を出力する第2選択部(2対1切替器)206は、3対2切替器(B系)102から代替列203を通じて入力される副信号と、3対2切替器(A系)101から代替列202を通じて入力される主信号とを切り替えるように信号経路がクロスして接続されている。
初期状態では、現用系出力端子131へ出力するよう、また代替系出力端子132へ出力するようスイッチが切り替えられている。
【0026】
一般には、前段に同じ構成の2つの3対1切替器(A系)および3対1切替器(B系)とその後段に1つの2対1切替器とを配置するシステム構成が考えられるが、この場合、3対1切替器が選択している1系/2系/3系のいずれか一つの系統に障害が生じていた場合、2対1切替器での切り替えだけでは、障害が生じている同じ系統を選ぶ可能性がある。これでは、障害を回避できず、3対1切替器の側で手動操作による系統切替が必要となるため、障害復旧に遅れが生じるばかりか、人手の作業のため、誤操作を招くこともある。
【0027】
一般に想定される3系統システムの場合、3系統の放送信号のうち一つを選択する3対1の切り替え方式になるが、単純に3対1切替器で切り替えるのではなく、切り替え時のシステムの安定性および安全性の面で3対1切替器と2対1切替器とを組み合わせてシステムを構成し2段階での切り替えを行うことがよい。
【0028】
2段階の切り替えを行うシステムの場合、まず、前段に2つ配置した3対1切替器で3つの放送信号から現用系統のものを1つ選択し、次にその後段の2対1切替器で、2つの3対1切替器から入力される2つの放送信号のうちのどちらか一つを現用系(送出対象の信号)として選ぶ方法がとられる。
【0029】
これは、3対1の切替器にショックレスの機能を持たせて切り替え時のショックを軽減しており、計画的な通常のシステム切り替えは、ショックレス切り替えを3対2切替器で行い、切り替えノイズの発生などの影響をシステムが受けないようにするためである。
【0030】
2つの3対1切替器は、2系統システムと同等と考えられるため、2つの3対1切替器は、同じシステム系統(信号の流れ方が同じ)を構成し、いずれか一方の3対1切替器に障害が発生したときに2対1切替器を他方へ切り替えるようにするのが一般的である。
【0031】
また、信号系統を切り替えることを想定した放送システムには、通常、信号系統の障害を検知する障害検知装置を設け、システム内の信号経路の各ポイントにおいて信号の伝送状況が常に監視される。障害検知装置は、障害を検知すると、切替制御装置に通知し、切替制御装置は、切替器に制御信号を出し、信号の流れを正常な方へ自動的に切り替え、障害を復旧するようにする。
【0032】
ところで、障害の発生状況によっては自動復旧が行えず、運用者が障害を復旧させなければならない場合がある。この場合、故障箇所の特定に時間がかかるため、現用系から代替系へシステム切り替えを行うなど、運用者に対して、予め決められた初期対応を行うようマニュアル化がなされている場合が多い。
【0033】
2対1切替器は、2つある3対1切替器から入力された放送信号のうちいずれか一方を選択するので、いずれか一方の3対1切替器が故障している場合には障害を回避できる。
【0034】
しかし、3対1切替器が選択している1系/2系/3系のいずれか一つの系統に障害が生じていた場合、2対1切替器での切り替えだけでは障害のある同じ系統を選ぶ可能性がある。これでは、障害を回避できず、3対1切替器の側で手動操作による系統切替が必要となる。
【0035】
そこで、この実施形態の放送システムでは、2つの3対2切替器(A系)101,3対2切替器(B系)102を前段に設けると共に、その後段には1つの4対2切替器103を設ける。そして、1系/2系/3系それぞれの系統の障害が検知されたとき、制御装置111が、その障害発生状況に応じて切り替えが必要な該当切替器101,102,103へ切替制御信号を出力する。このため、制御装置111は、検知した障害発生元に応じて切替制御信号を出力するための切替制御テーブルを有している。
【0036】
切替制御テーブルには、例えば図1の各切替器101,102,103の接点状態を初期状態とすると、この状態から例えば1系システム121だけに障害が発生した場合、4対2切替器103だけに切替制御信号を出力する、1系システム121と2系システム122の障害の場合、3対2切替器101に切替制御信号を出力する、1系システム121と2系システム122と3対2切替器101の障害の場合、3対2切替器102と4対2切替器103に切替制御信号を出力する、などととった情報が設定されている。
【0037】
以下、図1乃至図5を参照してこの実施形態の放送システムの動作を説明する。
通常、図1に示すように、3対2切替器(A系)101の接点が、1系システム121からの主信号を後段の出力先へ出力するように切り替えられている場合、1系システム121からの主信号(1系)が、現用列201を通じて4対2切替器103のA系端子へ入力される。
【0038】
4対2切替器103では、第1選択部205が、2つのルートで入力される現用系の主信号と副信号のうちのいずれか一つ、この場合、主信号を現用系出力端子131へ出力している(図1の太線経路)。
【0039】
ここで、障害検知器141によって1系システム121やその経路上に障害が検知されると、障害検知器141から障害検知信号が制御装置111へ出力される。
【0040】
障害検知信号を受けた制御装置111は、障害検知信号に含まれる1系システム121の障害を示す情報を抽出し、抽出した情報に従って、まず、切替制御信号を4対2切替器103へ出力する。
【0041】
切替制御信号が4対2切替器103に入力されると、4対2切替器103では、第1選択部205、第2選択部206が、それぞれ接点を他方へ切り替える。これにより、図2の太線で示される信号経路になる。
【0042】
この場合、2系システム122からの副信号が3対2切替器102および現用列204を通じて4対2切替器103(第1選択部205)のB系入力端子に入力され、接点が切り替えられた第1選択部205により、2系システム122からの副信号が現用系出力端子131から出力されるようになる。
【0043】
すなわち、通常運用時に1系システム121の主信号を、4対2切替器103の現用系出力端子131から出力していたときに、1系システム121に障害が発生した場合に、1系システム121とその後段の3対2切替器(A系)101を利用しない経路で他の系の信号(この例では2系システム122の副信号)を4対2切替器103のB系入力端子に入力させるようにする。
【0044】
つまり、4対2切替器103の接点を他方へ切り替えることで、切り替え前の系(1系システム)とは異なる系(2系システム)でかつ切り替え前とは異なる信号(現用系:1系システムの主信号から2系システムの副信号、代替系:2系システムの主信号から1系システムの副信号)を選択するように回路全体が動作するため、2つの3対2切替器(A系)101および3対2切替器(B系)102を切り替えることが1系システム121、2系システム122、3系システム123をも切り替えることになる。
【0045】
このことは、障害発生が1系システム121ではなくその配下の3対2切替器(A系)101であったとしても同じ切り替え動作で障害を回避できること意味する。これにより、障害発生時に自動ではなく人手での切り替え操作を行ったとしても誤りを起こすことなく、生きている信号を確実に後段へ出力することができる。
【0046】
次に、障害発生時に現用系出力端子131から代替系出力端子132に信号の利用をシステム外部で切り替えた場合について説明する。「システム外部で切り替え」とは、現用系出力端子131から出力される信号を用いていた状態から、代替系出力端子132から出力される信号を用いる状態へ切り替えることである。
【0047】
通常運用時(図1に示した各切替器の状態)で1系システム121の主信号を4対2切替器103(現用系の第1選択部205)の現用系出力端子から出力していたときに、1系システム121に障害が発生した場合、3対2切替器(A系)101および3対2切替器(B系)102と、4対2切替器103とを切り替えられない状態であったとしても、この例では、図3に示すように、代替系の第2選択部206の代替系出力端子132からは2系システム122からの副信号が出力されており、代替系出力端子132から出力される映像信号を利用することで上記の場合と同様に障害を回避することができる。
【0048】
なお、3系システム123からの信号については、主信号の3対2切替器(A系)101と、副信号の3対2切替器(B系)102とは共に、初期状態で、接点が開放されており、信号を出力するようにはされていない。
【0049】
また、通常運用時(図1に示した各切替器の状態)で、図4に示すように、1系システム121と2系システム122に共に障害が発生した場合は、図2のような4対2切替器103での切り替えでは対処できない。この場合、制御装置111は、3系システム123からの主信号が入力されている3対2切替器(A系)101へ切替制御信号を出力し、3対2切替器(A系)101を切り替える。
【0050】
この場合、3系システム123からの主信号が3対2切替器(A系)101に入力されているので、3系システム123からの主信号が3対2切替器(A系)101を通じて4対2切替器103へ入力され、現用系出力端子131から出力されるようになる。
したがって、1系システム121と2系システム122の2系統に障害が発生したとしても、放送を止めることなく信号を出力することができる。
【0051】
また、図5に示すように、1系システム121と2系システム122の障害に加えて、さらに3対2切替器(A系)101にも障害が発生した場合、制御装置111は、3系システム123からの副信号が入力されている3対2切替器(B系)102と4対2切替器103へそれぞれ切替制御信号を出力し、3対2切替器(A系)102と4対2切替器103を切り替える。
【0052】
これにより、3系システム123からの副信号が3対2切替器(B系)102を通じて4対2切替器103へ入力し、3系システム123からの副信号が現用系出力端子131から出力されるようになる。
したがって、1系システム121と2系システム122の2系統と3対2切替器(A系)101に障害が発生したとしても、放送を止めることなく信号を出力することができる。
【0053】
このようにこの実施形態の放送システムによれば、2つの3対2切替器(A系)101および3対2切替器(B系)102とその後段に4対2切替器103とを配置し、4対2切替器103の現用系2対1切替器である第1選択部205へはA系現用系の主信号とB系代替系の副信号を流し、代替系2対1切替器である第2選択部206へはB系現用系の副信号とA系代替系の主信号を流すように接続し、障害が検知された系統に応じて切替制御信号をそれぞれの切替器へ出力することで、信号の経路を安全にかつ確実に切り替えることができる。
【0054】
例えば1系システム121に障害が発生したときは、切替制御信号を4対2切替器103に出力することで、異なる系(1系から2系)でしかも異なる信号(主信号から副信号)を選択し現用系出力端子131から出力するように信号の経路が切り替えられる。
この結果、現用系/代替系/予備系などといった信号経路の3系統化を図る上で、各系統の障害の検知状況に応じて障害を回避するように信号の経路を安全にかつ確実に切り替えることができる。
【0055】
なお、本願発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形してもよい。例えば各構成要素を、コンピュータのハードディスク装置などのストレージにインストールしたプログラムで実現してもよく、また上記プログラムを、コンピュータ読取可能なCD−ROMなどの記憶媒体に記憶しておき、プログラムを記憶媒体からコンピュータに読み取らせることで実現してもよい。さらに、ネットワークを介して接続した異なるコンピュータに構成要素を分散して記憶し、各構成要素を機能させたコンピュータ間で通信することで実現してもよい。
【符号の説明】
【0056】
101,102…3対2切替器、103…4対2切替器、111…制御装置、121…1系システム、122…2系システム、123…3系システム、131…現用系出力端子、132…代替系出力端子、141…障害検知器、201,204…現用列、202,203…代替列、205…第1選択器、206…第2選択部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送用の信号を現用系の主信号と副信号に分けて送出する第1信号送出部と、
前記放送用の信号を前記現用系に対する代替系としての主信号と副信号に分けて送出する第2信号送出部と、
前記放送用の信号を前記現用系および代替系に対する予備系としての主信号と副信号に分けて送出する第3信号送出部と、
前記第1信号送出部乃至第3信号送出部の障害を検知する障害検知部と、
前記障害検知部により前記第1信号送出部乃至第3信号送出部のうちのどの送出部に検障害が検知されたかによって、予め設定された出力先へ切替制御信号を出力する制御部と、
前記現用系、前記代替系および前記予備系の各主信号が入力され、前記切替制御信号の入力で、入力された主信号のうち一つを現用系の第1経路へ、他の一つを代替系の第1経路へ出力する第1信号切替器と、
前記現用系、前記代替系および前記予備系の各副信号が入力され、前記切替制御信号の入力で、入力された副信号のうち一つを前記現用系の第2経路へ、他の一つを前記代替系の第2経路へ出力する第2信号切替器と、
前記切替制御信号の入力で、前記現用系の第1経路から入力された主信号と前記現用系の第2経路から入力された副信号のいずれか一方を後段の出力先へ出力する第1選択部と、前記切替制御信号の入力で、前記代替系の第1経路から入力された主信号と前記代替系の第2経路から入力された副信号のいずれか一方を後段の出力先へ出力する第2選択部とを有する第3信号切替器と
を具備することを特徴とする信号切替装置。
【請求項2】
前記第3信号切替器は、
前記現用系の第1経路から入力された主信号を前記現用系の出力先へ出力していた場合、前記切替制御信号の入力で、前記代替系の第2経路から入力された副信号を現用系の出力段へ出力することを特徴とする請求項1記載の信号切替装置。
【請求項3】
前記第3信号切替器は、
前記現用系の第1経路から入力された主信号を前記現用系の出力先へ出力していた場合、前記切替制御信号の入力で、前記代替系の第1経路から入力された主信号を代替系の出力先へ出力することを特徴とする請求項1記載の信号切替装置。
【請求項4】
前記第1信号切替器は、
前記切替制御信号の入力で、前記第3信号送出部からの主信号を前記現用系の第1経路出力することを特徴とする請求項1記載の信号切替装置。
【請求項5】
前記第2信号切替器は、
前記切替制御信号の入力で、前記第3信号送出部からの副信号を前記現用系の第2経路へ出力することを特徴とする請求項1記載の信号切替装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−187174(P2010−187174A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29487(P2009−29487)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】