信号振幅測定装置及び信号振幅測定方法
【課題】回路規模の削減を図ることができる信号振幅測定装置及び信号振幅測定方法を提供すること
【解決手段】本発明にかかる信号振幅測定装置は、連続して得られる第1乃至第3のサンプル点の信号値が、第2のサンプル点の信号値が第1及び当該第3のサンプル点の信号値以上となる関係を満たすサンプル点を取得するデータ検出回路204と、第1及び第3のサンプル点の信号値の差分の絶対値を算出する差分絶対値検出回路205と、第2及び第1のサンプル点の信号値の差分の絶対値と前記第2及び第3のサンプル点の信号値の差分の絶対値のうち小さいほうの絶対値を選択する最小値選択回路208と、差分絶対値検出回路205により算出された絶対値と最小値選択回路208により算出された絶対値に基づいて前記デジタル信号の振幅値を特定する最大値選択回路213と、を備えるものである。
【解決手段】本発明にかかる信号振幅測定装置は、連続して得られる第1乃至第3のサンプル点の信号値が、第2のサンプル点の信号値が第1及び当該第3のサンプル点の信号値以上となる関係を満たすサンプル点を取得するデータ検出回路204と、第1及び第3のサンプル点の信号値の差分の絶対値を算出する差分絶対値検出回路205と、第2及び第1のサンプル点の信号値の差分の絶対値と前記第2及び第3のサンプル点の信号値の差分の絶対値のうち小さいほうの絶対値を選択する最小値選択回路208と、差分絶対値検出回路205により算出された絶対値と最小値選択回路208により算出された絶対値に基づいて前記デジタル信号の振幅値を特定する最大値選択回路213と、を備えるものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は信号振幅測定装置及び信号振幅測定方法に関し、特に振幅最大値検出に関する。
【背景技術】
【0002】
DVD(Digital Versatile Disk)に代表される光ディスクからの再生波形は、一般的にアシンメトリのないアイの開いた状態が性能の良い状態である。アシンメトリがあるとマークとスペースのバランスが崩れていることに相当し、また、アイが開いていなければジッタが多く、共に再生性能に影響する。再生波形をオシロスコープで確認すると幾つかの振幅レベルに開いている。再生波形の振幅中心レベルに対し、マーク側の長マーク振幅レベル、最短マーク振幅レベル、その間の幾つかの振幅レベルと、スペース側の長スペース振幅レベル、最短スペース振幅レベル、その間の幾つかの振幅レベルがそれぞれ同じ比率で開いている状態が良い。また、最短マーク/最短スペースは記録再生性能に大きく関わるので、その振幅レベルが振幅中心レベル近傍ではなく開いている状態が良い。
【0003】
これらを自動的に測定するには、再生波形からそれぞれの振幅レベルの振幅値を求めれば良い。振幅値の測定下限を0とすれば、長マーク/長スペースがほぼ最大振幅値/最小振幅値をとる。振幅中心レベルは全サンプル値の平均を算出すれば求まる。しかし、最短マーク/最短スペースの振幅値は単純には求められない。最短マーク/最短スペースの判定が難しいからである。
【0004】
DVD、CD(Compact Disk)の場合、最短マーク/最短スペースは3T(T:記録チャネルビット)である。近年はPRML(Partial Response Most Likelihood)処理方式による波形再生が主流になってきており、これを用いることで3Tの検出が可能である。しかし、PRML処理後ではデジタル処理された整形波形であって、実際の光ディスクからの再生波形ではない為、その結果を基に3Tマーク/3Tスペースの振幅値を定義しても本来の振幅値とは異なってしまう。よって、PRML処理される前のA/D(Analog/Digital)変換後のRF(Radio Frequency)信号から3Tマーク/3Tスペースを検出し、その振幅値を求めるのが良い。しかし、その時点では3Tマーク/3Tスペースの検出は難しい為、A/D変換後のRF信号を一時的にバッファリングしておき、PRML処理後の3Tマーク/3Tスペース検出情報を基に、バッファリングデータの中から3Tマーク/3Tスペース振幅値を検出する方法がある。以下に、特許文献1について図11を用いて説明する。
【0005】
光ディスクから読み出した信号をA/D変換器4でデジタルRF信号に変換し、一時的にバッファ回路8に格納する。そして、PRML処理の等化回路5、複合回路6により2値データに変換して検出回路7で特定のデータパターンを検出し、その間の演算処理時間分バッファ回路8に格納しておいたRF信号から、特定のデータパターンに対応するRF信号を抽出する構成である。この特定データパターンが3Tマーク/3Tスペースであれば、その際の振幅値を取得できる。更には、ディジタルサンプリング情報がマーク/スペースの最大値となるとは限らないことから、補間回路9で真の最大値を求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−276839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の構成では、A/D変換後のRF信号を一時的に格納しておくバッファ回路が必要となる。PRML処理には数十サンプルから百以上のサンプルをバッファリングするメモリが必要となり、回路規模が増加してしまう。さらに、特定のデータパターン検出が必要であり、最短マーク/最短スペースを検出するためには、DVD、CDであれば3Tマーク/3Tスペース検出回路が必要でありさらに回路が増加することとなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様にかかる信号振幅測定装置は、複数のサンプル点を含むデジタル信号から連続して得られる第1のサンプル点と第2のサンプル点と第3のサンプル点の信号値が、当該第2のサンプル点の信号値が当該第1のサンプル点と当該第3のサンプル点の信号値以上となる関係又は当該第2のサンプル点の信号値が当該第1のサンプル点と当該第3のサンプル点の信号値以下となる関係を満たすサンプル点を取得するサンプル点取得部と、前記第1のサンプル点の信号値と前記第3のサンプル点の信号値の差分の絶対値を算出する第1の演算部と、前記第2のサンプル点の信号値と前記第1のサンプル点の信号値の差分の絶対値と前記第2のサンプル点の信号値と前記第3のサンプル点の信号値の差分の絶対値のうち小さいほうの絶対値を選択する第2の演算部と、前記第1の演算部により算出された絶対値と前記第2の演算部により算出された絶対値に基づいて前記デジタル信号の振幅値を特定する振幅値特定部と、を備えるものである。
【0009】
また、本発明の第2の態様にかかる信号振幅測定方法は、複数のサンプル点を含むデジタル信号から連続して得られる第1のサンプル点と第2のサンプル点と第3のサンプル点の信号値が、当該第2のサンプル点の信号値が当該第1のサンプル点と当該第3のサンプル点の信号値以上となる関係又は当該第2のサンプル点の信号値が当該第1のサンプル点と当該第3のサンプル点の信号値以下となる関係を満たすサンプル点を取得するステップと、前記第1のサンプル点の信号値と前記第3のサンプル点の信号値の差分の絶対値を算出するステップと、前記第2のサンプル点の信号値と前記第1のサンプル点の信号値の差分の絶対値と前記第2のサンプル点の信号値と前記第3のサンプル点の信号値の差分の絶対値のうち小さいほうの絶対値を選択するステップと、前記絶対値を算出するステップにより算出された絶対値と、前記絶対値を選択するステップにより選択された絶対値に基づいて前記デジタル信号の振幅値を特定するステップと、を備えることである。
【0010】
振幅値が特定の関係を満たすサンプル点を抽出することにより、デジタル信号の振幅値を求めることが可能となる。これより、回路規模を増大させることなくデジタル信号の振幅値を求めることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、回路規模の削減を図ることができる信号振幅測定装置及び信号振幅測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1にかかる信号振幅測定装置の構成図である。
【図2】実施の形態1にかかる最短マーク/最短スペース振幅値検出回路の構成図である。
【図3】実施の形態1にかかるチャネルクロックと信号値を示すグラフである。
【図4】実施の形態1にかかるチャネルクロックと信号値を示すグラフである。
【図5】実施の形態1にかかるチャネルクロックと信号値を示すグラフである。
【図6】実施の形態1にかかるチャネルクロックと信号値の大小関係を示す図である。
【図7】実施の形態1にかかる振幅最大値の算出に用いるパラメータを示す図である。
【図8】実施の形態2にかかるチャネルクロックと信号値を示すグラフである。
【図9】実施の形態2にかかる振幅最大値の算出に用いるパラメータを示す図である。
【図10】実施の形態1と2にかかる振幅最大値の算出処理を示すフローチャートである。
【図11】従来の信号振幅測定装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の実施の形態1にかかる信号振幅測定装置の構成を示す図である。
【0014】
信号振幅測定装置は、A/D変換回路50、マーク/スペース振幅最大値検出回路100と、最短マーク/最短スペース振幅値検出回路200と、全信号振幅平均演算回路300と、記録パワー/記録ストラテジ反映回路400とを備えている。
【0015】
A/D変換回路50は、DVD等の光ディスクから再生されたRF信号波形を取得する。A/D変換回路50は、取得したRF信号波形をデジタル信号に変換する。変換したデジタル信号は、マーク/スペース振幅最大値検出回路100と、最短マーク/最短スペース振幅値検出回路200と、全信号振幅平均演算回路300に出力される。
【0016】
マーク/スペース振幅最大値検出回路100は、DVD等の光ディスクに情報が記録されているマークから得られる再生信号の振幅最大値を検出する。また、マークとマークの間のスペースから得られる再生信号についても、振幅最大値を検出する。振幅最大値は、所定の期間内の極大点における振幅値を示す。検出した振幅最大値は、記録パワー/記録ストラテジ反映回路400に出力される。
【0017】
最短マーク/最短スペース振幅値検出回路200は、DVD等の光ディスクに情報が記録されているマークのうち最短マーク長のマークから得られる再生信号の振幅最大値を検出する。また、マークとマークの間のスペースのうち、最短スペース長のスペースから得られる再生信号の振幅最大値を検出する。最短マーク/最短スペース振幅値検出回路200における振幅最大値の検出処理は後に詳述する。検出した最短マーク/最短スペース振幅値は、記録パワー/記録ストラテジ反映回路400に出力される。
【0018】
全信号振幅平均演算回路300は、全デジタル信号のサンプル点における信号値の平均値を演算することにより、全信号の振幅平均値を算出する。振幅平均値は、所定の期間内において取得したデジタル信号のサンプル点における信号値から算出する。検出した全信号振幅平均値は、記録パワー/記録ストラテジ反映回路400に出力される。
【0019】
記録パワー/記録ストラテジ反映回路400は、マーク/スペース振幅最大値検出回路100と、最短マーク/最短スペース振幅値検出回路200と、全信号振幅平均演算回路300から取得した振幅値に基づいて、最短マーク/最短スペースにおける振幅値が全信号の平均振幅値、マーク/スペース振幅最大値検出回路100の振幅値と比較して所望の振幅値を有しているか否かを判断する。所望の振幅値とは、アイパターンによる信号評価を行った場合に、十分な大きさの振幅値を有する、いわゆるアイが開いている状態となる振幅値を示している。このようにして得られた振幅値の情報に基づいて、記録再生品質を向上すべく記録パワーを変化させ、高い記録品質を得られる記録ストラテジを設定する。
【0020】
次に、図2を用いて本発明の実施の形態1にかかる最短マーク/最短スペース振幅値検出回路200の構成例について説明を行う。
【0021】
最短マーク/最短スペース振幅値検出回路200は、遅延素子(D)201乃至203と、データ検出回路204と、差分絶対値検出回路205と、減算回路206、207、210と、最小値選択回路208と、大小比較回路209と、最大値検出回路211と、最大値推定回路212と、最大値選択回路213を備えている。ここで、遅延素子201乃至203とデータ検出回路204は、サンプル点取得部に対応し、差分絶対値検出回路205は、第1の演算部に対応し、減算回路206乃至207と最小値選択回路208は、第2の演算部に対応し、大小比較回路209と減算回路210と最大値検出回路211と最大値推定回路212と最大値選択回路213は、振幅値特定部に対応する。
【0022】
遅延素子201乃至203は、A/D変換回路50から連続して入力されたデジタル信号のサンプル点を、1クロックずつ遅延させて取得する。これにより、遅延素子201の有するサンプル点は遅延素子203の有するサンプル点に対して2クロック分遅延することとなる。
【0023】
データ検出回路204は、遅延素子201から取得したサンプル点を右点のサンプル点とし、遅延素子202から取得したサンプル点を中点のサンプル点とし、遅延素子203から取得したサンプル点を左点のサンプル点とする。データ検出回路204は、それぞれ取得したサンプル点の信号値を比較する。比較した結果、中点の信号値≧左点の信号値、かつ、中点の信号値≧右点の信号値、の関係を満たす3点を検出した場合に検出結果を最大値選択回路213に出力する。
【0024】
差分絶対値検出回路205は、遅延素子203と遅延素子201から出力されるサンプル点を取得する。遅延素子201から取得したサンプル点は、遅延素子203から取得したサンプル点に対して2クロック分遅延している状態である。差分絶対値検出回路205は、取得したサンプル点の信号差分値の絶対値を算出する。差分絶対値検出回路205によって算出された値を(A)とする。算出された値(A)は、大小比較回路209及び減算回路210に出力される。
【0025】
減算回路206は、遅延素子202と遅延素子201から出力されるサンプル点を取得する。遅延素子201から取得したサンプル点は、遅延素子202から取得したサンプル点に対して1クロック分遅延している状態である。減算回路206は、遅延素子202より取得したサンプル点の信号値から遅延素子201より取得したサンプル点の信号値を減算する。減算回路206により算出された値は、最小値選択回路208に出力される。
【0026】
減算回路207も同様に、遅延素子203と遅延素子202から出力されるサンプル点を取得する。遅延素子202から取得したサンプル点は、遅延素子203から取得したサンプル点に対して1クロック分遅延している状態である。減算回路207は、遅延素子202より取得したサンプル点の信号値から遅延素子203より取得したサンプル点の信号値を減算する。減算回路207により算出された値は、最小値選択回路208に出力される。
【0027】
最小値選択回路208は、減算回路206及び207から取得した演算結果を比較し、小さいほうの値を選択する。ここで選択された値を(B)とする。選択された値(B)は、大小比較回路209及び減算回路210に出力される。
【0028】
大小比較回路209は、(A)と(B)の値を比較する。(A)≦(B)という関係の場合、最大値検出回路211において、遅延素子202から取得したサンプル点における信号値を振幅最大値として検出する。(A)>(B)という関係の場合、最大値推定回路212において、遅延素子202から取得したサンプル点における信号値と減算回路210から取得した(A)−(B)の値に基づいて、振幅最大値を推定する。振幅最大値の推定方法については、後に詳述する。最大値検出回路211によって検出された振幅最大値と最大値推定回路212によって推定された振幅最大値は、最大値選択回路213に出力される。
【0029】
最大値選択回路において、データ検出回路204から、中点の信号値≧左点の信号値、かつ、中点の信号値≧右点の信号値、の関係を満たす3点であるとする検出結果を取得した場合に、大小比較回路209で(A)≦(B)のときは最大値検出回路211にて検出した結果を振幅最大値として選択し、(A)>(B)のときは最大値推定回路212で推定した結果を振幅最大値として選択する。このようにして選択された振幅最大値は、記録パワー/記録ストラテジ反映回路400に出力される。
【0030】
次に、図3乃至図5を用いて、最短マーク/最短スペースの振幅値の特定方法について、具体的に説明を行う。図3は前述したように、チャネルクロック毎の信号値を示している。図3のグラフにおいては、3Tで信号値の正負が切り替わっていることから、3Tでマークとスペースが切り替わっていることを示している。ここでは、信号値が正の値を示す区間をマークから得られた再生信号とし、信号値が負の値を示す区間をスペースから得られた再生信号とする。信号値は、0Tから6Tにおいて、0、43、43、0、−43、−43、0と推移している。各チャネルクロックにおける信号値については、図7を用いて後に詳述する。0T乃至6T位置における信号値の最大値は43であり、最小値は−43である。しかし、図3の波形から分かるように、実際には2Tと3Tの間に信号値が最大となる値が存在しており、4Tと5Tの間に信号値が最小となる値が存在している。
【0031】
次に、サンプリング位置を0.5Tずらした波形を図4に示す。波形そのものは図3と同じであるが、サンプリング位置をずらしたことにより、信号値の真の最大値及び最小値を取得することができる。この場合、信号値の最大値は49で最小値は−49となる。
【0032】
このように、サンプリング位置により信号値が真の最大値になる場合もあれば、ならない場合もある。信号値が真の最大値にならない場合は、取得した信号値を最大値として振幅最大値を特定すると、信号値が真の最大値のときよりも振幅が小さくなってしまい、正しい結果を反映することができない。よって、このような場合は信号値を補間することにより信号値の真の最大値の推定値を算出し、その値を振幅最大値として扱うことでほぼ正しい結果を返すことができる。検出した信号値の最大値をそのまま用いるか、それとも推定値を算出して用いるかは、大小比較回路209により判断される。上述したように(A)≦(B)の場合は、図4のように左点と右点がほぼ同じ信号値ということであり、取得した中点が信号値の最大値に相当する。(A)>(B)の場合は、図3のように中点と右点(或いは中点と左点)がほぼ同じ信号値ということであり、その間に信号値の真の最大値が存在することから、信号値の真の最大値を求めるため推定値を算出する必要がある。
【0033】
(A)>(B)の場合、中点の信号値が一番高いものの、真の最大値ではないため、補間値を演算により求め、求められた補間値をその不足分として中点に加算する。加算する値は((A)−(B))×補正係数、とする。ここで、図7を用いて、図3乃至4のグラフの信号値と、振幅最大値をまとめた関係について説明する。
【0034】
サンプリングは1T単位であるが、0.1T刻みの信号値の推移を縦方向に示す。そのため、サンプリングは0Tの次は1T、その次は2Tとなる。同様に、先頭のサンプリングが0.1Tの場合、次のサンプリングは1.1T、その次は2.1Tとなる。先頭のサンプリングが0.2Tの場合も同様に、0.2T、1.2T、2.2Tとサンプリングされる。各サンプリングにより取得した信号値をチャネルクロックの右側に示す。チャネルクロックが0Tのときの信号値は0であり、チャネルクロックが0.1Tのときの信号値は5.19である。これら信号値の整数部分だけを抜き出した値を、左点、中点、右点の列に示す。サンプルクロック0T、1T、2Tについて示したものが図3である。また、サンプルクロック0.5T、1.5T、2.5Tについて示したものが図4である。図4からさらにサンプルクロックを0.5Tずらしたものが図5となるが、この場合は図3と同様のグラフとなる。
【0035】
さらに、図7の(A)、(B)、(A)−(B)の列に、それぞれのチャネルクロックの場合における(A)、(B)、(A)−(B)の値を記載する。この時、演算に用いる値は、左点、中点、右点の列に示される整数の数値を用いる。中点のチャネルクロックが1.4T乃至1.6Tの範囲では、(A)≦(B)となるため、中点の信号値49が振幅最大値となる。その他の範囲は(A)>(B)となるため、中点がそのまま振幅最大値とはならない。そのため、補正係数を1/8として、((A)−(B))×1/8により求めた値を中点の信号値に加算した値を振幅最大値の列に記載する。この結果、サンプルクロックが1T乃至1.3Tと1.7T乃至2Tの範囲で振幅最大値が48となり、中点のサンプルクロックが1.4T乃至1.6Tの範囲の振幅最大値49とほぼ同等となる。これにより、どの範囲においても適切な振幅最大値を求めることができるようになる。なお、補正係数は、演算の容易性を考えて2のべき乗値とすることが好ましい。これにより、ビットシフトと加算器だけで乗算することができる。
【0036】
上記のように、(A)、(B)の値、さらには必要により補正係数を用いて信号推定値を算出することにより、マークから得られる再生信号の振幅最大値を求めることができるようになる。ここで、中点を最大値に持つ左点、中点、右点の3点はマーク長が3Tの場合のみではなく、マーク長が4T、5T、更には、10T以上の波形においても局所的に存在する。これより、どの振幅最大値が、マーク長が最短の3Tの場合の振幅最大値かは判定できない。そこで、マーク長を3Tとする振幅最大値は、振幅最大値として求めた値における最小値と設定する。この場合、最大値選択回路213は、最大値検出回路211もしくは最大値推定回路212から取得した所定の時間における振幅最大値の中から最小値を選択する。最大値選択回路213は、選択した値をマーク長が3Tの振幅最大値として記録パワー/記録ストラテジ反映回路400に出力する。
【0037】
図6に各チャネルクロックの振幅のイメージを示す。振幅最大値を見ると、3Tは4Tよりも小さく、4Tは5Tよりも小さい。更に、マーク長が長い波形になってくると、振幅最大値はほぼ同等となり振幅最大値での平坦部が長いか短いかの違いとなる。これより、全体の中での最小の振幅最大値を示すものがマーク長を3Tとする振幅最大値とすることができる。
【0038】
ここで、最短マークの他の振幅最大値特定方法として、前述した方法により求めた振幅最大値が、保持している振幅最大値の中の最小値よりも小さかったらその値を、マーク長を3Tとする振幅最大値として更新し保持する。さらに、ある一定のクロック数毎や、振幅値の推移からマークを検出する毎等に保持している値にある値を加算した値を更新し、保持していくこともできる。これにより求まる結果は、ほぼマーク長を3Tとする振幅の平均値に相当することとなる。
【0039】
また、信号値からマーク長が3Tと4Tとなる振幅最大値を切り分けることができる場合、その境界以下の信号値をマーク長3Tの振幅最大値としてもよい。具体的には、マーク長が3Tとなる信号値の最大値はある信号値以下であり、マーク長が4Tとなる信号値の最大値はある信号値以上である場合に、ある信号値以下の信号の最大値を、マーク長を3Tとする振幅最大値としてもよい。ここで、時間軸からマーク長の3Tと4Tを切り分けることができるなら、マーク長を3Tとする再生信号を取得している時間の場合は、その時間に得られた振幅最大値は、マーク長3Tの振幅最大値とすることもできる。
【0040】
また、データ検出回路204は、所定の関係を満たす3点のサンプル点を抽出した場合に、取得した3点のサンプル点を差分絶対値検出回路205と、減算回路206と、減算回路207に出力してもよい。この場合、差分絶対値検出回路205と、減算回路206と、減算回路207は、データ検出回路204から取得した値を基に演算を行う。これにより、所定の関係を満たすサンプル点のみ振幅最大値を算出するための演算に用いることが可能となり、信号振幅測定装置全体の処理負荷を低減させることが可能である。
【0041】
上記は主にマークから得られる再生信号の振幅最大値の検出方法について記載したが、スペースから得られる再生信号の振幅最大値の検出方法についても同様にして検出可能である。マークから得られる再生信号とスペースから得られる再生信号は逆極性の波形を有するため、データ検出回路204においては、中点の信号値が左点の信号値以下でありかつ右点の信号値以下である関係を満たすサンプル点を抽出する。また、スペース長を3Tとする振幅最大値は、振幅最大値として求めた値における最大値と設定する。この場合、最大値選択回路213は、最大値検出回路211もしくは最大値推定回路212から取得した所定の時間における振幅最大値の中から最大値を選択する。それ以外の処理はマークから得られる再生信号の振幅最大値の検出方法と同様である。
【0042】
(実施の形態2)
実施の形態1においては、再生サンプリングクロック=記録チャネルクロックとした場合について説明した。ここで、再生サンプリングクロックは記録チャネルクロックよりも低い周波数としてもよい。再生サンプリングクロックは周波数が高いほど、より多くの情報が得られるのでRF信号から得られる情報量も多くなる。これにより、振幅最大値として検出した値がほぼそのまま振幅最大値になるため、振幅最大値を求めるには好ましい。しかし、再生サンプリングクロックの周波数が高いと消費電力が高くなり、特に近年のDVD等の光ディスクの動作においては高倍速動作を行わせることが多いため、クロック周波数は低くして動作させることが望ましい。
【0043】
図8の例では、再生サンプリングクロック間隔を1.8Tとしている。ここで、再生サンプリングクロック間隔を1.8Tとしてマークから得られる再生信号の振幅最大値を求める場合に、スペースから得られる再生信号の振幅値も用いることとなる。このような場合においては、抽出するデジタル信号の3点のうち、中点がマークから得られる再生信号として用いることにより、マークから得られる再生信号の振幅最大値を求めることが可能である。再生サンプリングクロック間隔を1.8Tとした場合の振幅最大値を算出したものが図9となる。図8においては、チャネルクロックを0T以上の値を示しているが、説明の便宜上図9では、チャネルクロックを−1.2T以上の値を示している。補正係数を1/4として、図7と同様に振幅最大値を求めた場合に、振幅最大値は45〜49の値を示すこととなる。
【0044】
これにより、再生サンプリングクロック間隔を1Tとした場合よりも振幅最大値の精度は低下するが、少ない情報量で振幅最大値を得ることにより、消費電力の低下を実現することができる。
【0045】
ところで、上述した信号振幅測定装置が行う各処理(例えば、減算回路206、207、210における減算処理、差分絶対値検出回路205における右点−左点の絶対値の算出処理、最小値選択回路208における最小値の選択処理、大小比較回路209における差分絶対値検出回路205と最小値選択回路208から取得した値の比較処理、最大値選択回路213における振幅最大値選択処理等)は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等を含むコンピュータにプログラムを実行させることによって実現してもよい。
【0046】
一例として、実施の形態1で説明した大小比較回路209の処理内容をコンピュータに実行させるための手順について説明する。図10は、振幅最大値を特定するための手順を示すフローチャートである。ステップS1では、コンピュータは、差分絶対値検出回路205から値(A)と最小値選択回路208から値(B)を取得する。ステップS2では、コンピュータは、値(A)と値(B)の大小を比較する。(A)≦(B)の関係を満たす場合は、遅延素子202から取得した信号値を振幅最大値として特定する(S3)。(A)≦(B)の関係を満たさない場合は、遅延素子202から取得した信号値に補間値を加算した値を振幅最大値として特定する(S4)。
【0047】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
50 A/D変換回路
100 マーク/スペース振幅最大値検出回路
200 最短マーク/最短スペース振幅値検出回路
201〜203 遅延素子
204 データ検出回路
205 差分絶対値検出回路
206〜207、210 減算回路
208 最小値選択回路
209 大小比較回路
211 最大値検出回路
212 最大値推定回路
213 最大値選択回路
300 全信号振幅平均演算回路
400 記録パワー/記録ストラテジ反映回路
【技術分野】
【0001】
本発明は信号振幅測定装置及び信号振幅測定方法に関し、特に振幅最大値検出に関する。
【背景技術】
【0002】
DVD(Digital Versatile Disk)に代表される光ディスクからの再生波形は、一般的にアシンメトリのないアイの開いた状態が性能の良い状態である。アシンメトリがあるとマークとスペースのバランスが崩れていることに相当し、また、アイが開いていなければジッタが多く、共に再生性能に影響する。再生波形をオシロスコープで確認すると幾つかの振幅レベルに開いている。再生波形の振幅中心レベルに対し、マーク側の長マーク振幅レベル、最短マーク振幅レベル、その間の幾つかの振幅レベルと、スペース側の長スペース振幅レベル、最短スペース振幅レベル、その間の幾つかの振幅レベルがそれぞれ同じ比率で開いている状態が良い。また、最短マーク/最短スペースは記録再生性能に大きく関わるので、その振幅レベルが振幅中心レベル近傍ではなく開いている状態が良い。
【0003】
これらを自動的に測定するには、再生波形からそれぞれの振幅レベルの振幅値を求めれば良い。振幅値の測定下限を0とすれば、長マーク/長スペースがほぼ最大振幅値/最小振幅値をとる。振幅中心レベルは全サンプル値の平均を算出すれば求まる。しかし、最短マーク/最短スペースの振幅値は単純には求められない。最短マーク/最短スペースの判定が難しいからである。
【0004】
DVD、CD(Compact Disk)の場合、最短マーク/最短スペースは3T(T:記録チャネルビット)である。近年はPRML(Partial Response Most Likelihood)処理方式による波形再生が主流になってきており、これを用いることで3Tの検出が可能である。しかし、PRML処理後ではデジタル処理された整形波形であって、実際の光ディスクからの再生波形ではない為、その結果を基に3Tマーク/3Tスペースの振幅値を定義しても本来の振幅値とは異なってしまう。よって、PRML処理される前のA/D(Analog/Digital)変換後のRF(Radio Frequency)信号から3Tマーク/3Tスペースを検出し、その振幅値を求めるのが良い。しかし、その時点では3Tマーク/3Tスペースの検出は難しい為、A/D変換後のRF信号を一時的にバッファリングしておき、PRML処理後の3Tマーク/3Tスペース検出情報を基に、バッファリングデータの中から3Tマーク/3Tスペース振幅値を検出する方法がある。以下に、特許文献1について図11を用いて説明する。
【0005】
光ディスクから読み出した信号をA/D変換器4でデジタルRF信号に変換し、一時的にバッファ回路8に格納する。そして、PRML処理の等化回路5、複合回路6により2値データに変換して検出回路7で特定のデータパターンを検出し、その間の演算処理時間分バッファ回路8に格納しておいたRF信号から、特定のデータパターンに対応するRF信号を抽出する構成である。この特定データパターンが3Tマーク/3Tスペースであれば、その際の振幅値を取得できる。更には、ディジタルサンプリング情報がマーク/スペースの最大値となるとは限らないことから、補間回路9で真の最大値を求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−276839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の構成では、A/D変換後のRF信号を一時的に格納しておくバッファ回路が必要となる。PRML処理には数十サンプルから百以上のサンプルをバッファリングするメモリが必要となり、回路規模が増加してしまう。さらに、特定のデータパターン検出が必要であり、最短マーク/最短スペースを検出するためには、DVD、CDであれば3Tマーク/3Tスペース検出回路が必要でありさらに回路が増加することとなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様にかかる信号振幅測定装置は、複数のサンプル点を含むデジタル信号から連続して得られる第1のサンプル点と第2のサンプル点と第3のサンプル点の信号値が、当該第2のサンプル点の信号値が当該第1のサンプル点と当該第3のサンプル点の信号値以上となる関係又は当該第2のサンプル点の信号値が当該第1のサンプル点と当該第3のサンプル点の信号値以下となる関係を満たすサンプル点を取得するサンプル点取得部と、前記第1のサンプル点の信号値と前記第3のサンプル点の信号値の差分の絶対値を算出する第1の演算部と、前記第2のサンプル点の信号値と前記第1のサンプル点の信号値の差分の絶対値と前記第2のサンプル点の信号値と前記第3のサンプル点の信号値の差分の絶対値のうち小さいほうの絶対値を選択する第2の演算部と、前記第1の演算部により算出された絶対値と前記第2の演算部により算出された絶対値に基づいて前記デジタル信号の振幅値を特定する振幅値特定部と、を備えるものである。
【0009】
また、本発明の第2の態様にかかる信号振幅測定方法は、複数のサンプル点を含むデジタル信号から連続して得られる第1のサンプル点と第2のサンプル点と第3のサンプル点の信号値が、当該第2のサンプル点の信号値が当該第1のサンプル点と当該第3のサンプル点の信号値以上となる関係又は当該第2のサンプル点の信号値が当該第1のサンプル点と当該第3のサンプル点の信号値以下となる関係を満たすサンプル点を取得するステップと、前記第1のサンプル点の信号値と前記第3のサンプル点の信号値の差分の絶対値を算出するステップと、前記第2のサンプル点の信号値と前記第1のサンプル点の信号値の差分の絶対値と前記第2のサンプル点の信号値と前記第3のサンプル点の信号値の差分の絶対値のうち小さいほうの絶対値を選択するステップと、前記絶対値を算出するステップにより算出された絶対値と、前記絶対値を選択するステップにより選択された絶対値に基づいて前記デジタル信号の振幅値を特定するステップと、を備えることである。
【0010】
振幅値が特定の関係を満たすサンプル点を抽出することにより、デジタル信号の振幅値を求めることが可能となる。これより、回路規模を増大させることなくデジタル信号の振幅値を求めることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、回路規模の削減を図ることができる信号振幅測定装置及び信号振幅測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1にかかる信号振幅測定装置の構成図である。
【図2】実施の形態1にかかる最短マーク/最短スペース振幅値検出回路の構成図である。
【図3】実施の形態1にかかるチャネルクロックと信号値を示すグラフである。
【図4】実施の形態1にかかるチャネルクロックと信号値を示すグラフである。
【図5】実施の形態1にかかるチャネルクロックと信号値を示すグラフである。
【図6】実施の形態1にかかるチャネルクロックと信号値の大小関係を示す図である。
【図7】実施の形態1にかかる振幅最大値の算出に用いるパラメータを示す図である。
【図8】実施の形態2にかかるチャネルクロックと信号値を示すグラフである。
【図9】実施の形態2にかかる振幅最大値の算出に用いるパラメータを示す図である。
【図10】実施の形態1と2にかかる振幅最大値の算出処理を示すフローチャートである。
【図11】従来の信号振幅測定装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の実施の形態1にかかる信号振幅測定装置の構成を示す図である。
【0014】
信号振幅測定装置は、A/D変換回路50、マーク/スペース振幅最大値検出回路100と、最短マーク/最短スペース振幅値検出回路200と、全信号振幅平均演算回路300と、記録パワー/記録ストラテジ反映回路400とを備えている。
【0015】
A/D変換回路50は、DVD等の光ディスクから再生されたRF信号波形を取得する。A/D変換回路50は、取得したRF信号波形をデジタル信号に変換する。変換したデジタル信号は、マーク/スペース振幅最大値検出回路100と、最短マーク/最短スペース振幅値検出回路200と、全信号振幅平均演算回路300に出力される。
【0016】
マーク/スペース振幅最大値検出回路100は、DVD等の光ディスクに情報が記録されているマークから得られる再生信号の振幅最大値を検出する。また、マークとマークの間のスペースから得られる再生信号についても、振幅最大値を検出する。振幅最大値は、所定の期間内の極大点における振幅値を示す。検出した振幅最大値は、記録パワー/記録ストラテジ反映回路400に出力される。
【0017】
最短マーク/最短スペース振幅値検出回路200は、DVD等の光ディスクに情報が記録されているマークのうち最短マーク長のマークから得られる再生信号の振幅最大値を検出する。また、マークとマークの間のスペースのうち、最短スペース長のスペースから得られる再生信号の振幅最大値を検出する。最短マーク/最短スペース振幅値検出回路200における振幅最大値の検出処理は後に詳述する。検出した最短マーク/最短スペース振幅値は、記録パワー/記録ストラテジ反映回路400に出力される。
【0018】
全信号振幅平均演算回路300は、全デジタル信号のサンプル点における信号値の平均値を演算することにより、全信号の振幅平均値を算出する。振幅平均値は、所定の期間内において取得したデジタル信号のサンプル点における信号値から算出する。検出した全信号振幅平均値は、記録パワー/記録ストラテジ反映回路400に出力される。
【0019】
記録パワー/記録ストラテジ反映回路400は、マーク/スペース振幅最大値検出回路100と、最短マーク/最短スペース振幅値検出回路200と、全信号振幅平均演算回路300から取得した振幅値に基づいて、最短マーク/最短スペースにおける振幅値が全信号の平均振幅値、マーク/スペース振幅最大値検出回路100の振幅値と比較して所望の振幅値を有しているか否かを判断する。所望の振幅値とは、アイパターンによる信号評価を行った場合に、十分な大きさの振幅値を有する、いわゆるアイが開いている状態となる振幅値を示している。このようにして得られた振幅値の情報に基づいて、記録再生品質を向上すべく記録パワーを変化させ、高い記録品質を得られる記録ストラテジを設定する。
【0020】
次に、図2を用いて本発明の実施の形態1にかかる最短マーク/最短スペース振幅値検出回路200の構成例について説明を行う。
【0021】
最短マーク/最短スペース振幅値検出回路200は、遅延素子(D)201乃至203と、データ検出回路204と、差分絶対値検出回路205と、減算回路206、207、210と、最小値選択回路208と、大小比較回路209と、最大値検出回路211と、最大値推定回路212と、最大値選択回路213を備えている。ここで、遅延素子201乃至203とデータ検出回路204は、サンプル点取得部に対応し、差分絶対値検出回路205は、第1の演算部に対応し、減算回路206乃至207と最小値選択回路208は、第2の演算部に対応し、大小比較回路209と減算回路210と最大値検出回路211と最大値推定回路212と最大値選択回路213は、振幅値特定部に対応する。
【0022】
遅延素子201乃至203は、A/D変換回路50から連続して入力されたデジタル信号のサンプル点を、1クロックずつ遅延させて取得する。これにより、遅延素子201の有するサンプル点は遅延素子203の有するサンプル点に対して2クロック分遅延することとなる。
【0023】
データ検出回路204は、遅延素子201から取得したサンプル点を右点のサンプル点とし、遅延素子202から取得したサンプル点を中点のサンプル点とし、遅延素子203から取得したサンプル点を左点のサンプル点とする。データ検出回路204は、それぞれ取得したサンプル点の信号値を比較する。比較した結果、中点の信号値≧左点の信号値、かつ、中点の信号値≧右点の信号値、の関係を満たす3点を検出した場合に検出結果を最大値選択回路213に出力する。
【0024】
差分絶対値検出回路205は、遅延素子203と遅延素子201から出力されるサンプル点を取得する。遅延素子201から取得したサンプル点は、遅延素子203から取得したサンプル点に対して2クロック分遅延している状態である。差分絶対値検出回路205は、取得したサンプル点の信号差分値の絶対値を算出する。差分絶対値検出回路205によって算出された値を(A)とする。算出された値(A)は、大小比較回路209及び減算回路210に出力される。
【0025】
減算回路206は、遅延素子202と遅延素子201から出力されるサンプル点を取得する。遅延素子201から取得したサンプル点は、遅延素子202から取得したサンプル点に対して1クロック分遅延している状態である。減算回路206は、遅延素子202より取得したサンプル点の信号値から遅延素子201より取得したサンプル点の信号値を減算する。減算回路206により算出された値は、最小値選択回路208に出力される。
【0026】
減算回路207も同様に、遅延素子203と遅延素子202から出力されるサンプル点を取得する。遅延素子202から取得したサンプル点は、遅延素子203から取得したサンプル点に対して1クロック分遅延している状態である。減算回路207は、遅延素子202より取得したサンプル点の信号値から遅延素子203より取得したサンプル点の信号値を減算する。減算回路207により算出された値は、最小値選択回路208に出力される。
【0027】
最小値選択回路208は、減算回路206及び207から取得した演算結果を比較し、小さいほうの値を選択する。ここで選択された値を(B)とする。選択された値(B)は、大小比較回路209及び減算回路210に出力される。
【0028】
大小比較回路209は、(A)と(B)の値を比較する。(A)≦(B)という関係の場合、最大値検出回路211において、遅延素子202から取得したサンプル点における信号値を振幅最大値として検出する。(A)>(B)という関係の場合、最大値推定回路212において、遅延素子202から取得したサンプル点における信号値と減算回路210から取得した(A)−(B)の値に基づいて、振幅最大値を推定する。振幅最大値の推定方法については、後に詳述する。最大値検出回路211によって検出された振幅最大値と最大値推定回路212によって推定された振幅最大値は、最大値選択回路213に出力される。
【0029】
最大値選択回路において、データ検出回路204から、中点の信号値≧左点の信号値、かつ、中点の信号値≧右点の信号値、の関係を満たす3点であるとする検出結果を取得した場合に、大小比較回路209で(A)≦(B)のときは最大値検出回路211にて検出した結果を振幅最大値として選択し、(A)>(B)のときは最大値推定回路212で推定した結果を振幅最大値として選択する。このようにして選択された振幅最大値は、記録パワー/記録ストラテジ反映回路400に出力される。
【0030】
次に、図3乃至図5を用いて、最短マーク/最短スペースの振幅値の特定方法について、具体的に説明を行う。図3は前述したように、チャネルクロック毎の信号値を示している。図3のグラフにおいては、3Tで信号値の正負が切り替わっていることから、3Tでマークとスペースが切り替わっていることを示している。ここでは、信号値が正の値を示す区間をマークから得られた再生信号とし、信号値が負の値を示す区間をスペースから得られた再生信号とする。信号値は、0Tから6Tにおいて、0、43、43、0、−43、−43、0と推移している。各チャネルクロックにおける信号値については、図7を用いて後に詳述する。0T乃至6T位置における信号値の最大値は43であり、最小値は−43である。しかし、図3の波形から分かるように、実際には2Tと3Tの間に信号値が最大となる値が存在しており、4Tと5Tの間に信号値が最小となる値が存在している。
【0031】
次に、サンプリング位置を0.5Tずらした波形を図4に示す。波形そのものは図3と同じであるが、サンプリング位置をずらしたことにより、信号値の真の最大値及び最小値を取得することができる。この場合、信号値の最大値は49で最小値は−49となる。
【0032】
このように、サンプリング位置により信号値が真の最大値になる場合もあれば、ならない場合もある。信号値が真の最大値にならない場合は、取得した信号値を最大値として振幅最大値を特定すると、信号値が真の最大値のときよりも振幅が小さくなってしまい、正しい結果を反映することができない。よって、このような場合は信号値を補間することにより信号値の真の最大値の推定値を算出し、その値を振幅最大値として扱うことでほぼ正しい結果を返すことができる。検出した信号値の最大値をそのまま用いるか、それとも推定値を算出して用いるかは、大小比較回路209により判断される。上述したように(A)≦(B)の場合は、図4のように左点と右点がほぼ同じ信号値ということであり、取得した中点が信号値の最大値に相当する。(A)>(B)の場合は、図3のように中点と右点(或いは中点と左点)がほぼ同じ信号値ということであり、その間に信号値の真の最大値が存在することから、信号値の真の最大値を求めるため推定値を算出する必要がある。
【0033】
(A)>(B)の場合、中点の信号値が一番高いものの、真の最大値ではないため、補間値を演算により求め、求められた補間値をその不足分として中点に加算する。加算する値は((A)−(B))×補正係数、とする。ここで、図7を用いて、図3乃至4のグラフの信号値と、振幅最大値をまとめた関係について説明する。
【0034】
サンプリングは1T単位であるが、0.1T刻みの信号値の推移を縦方向に示す。そのため、サンプリングは0Tの次は1T、その次は2Tとなる。同様に、先頭のサンプリングが0.1Tの場合、次のサンプリングは1.1T、その次は2.1Tとなる。先頭のサンプリングが0.2Tの場合も同様に、0.2T、1.2T、2.2Tとサンプリングされる。各サンプリングにより取得した信号値をチャネルクロックの右側に示す。チャネルクロックが0Tのときの信号値は0であり、チャネルクロックが0.1Tのときの信号値は5.19である。これら信号値の整数部分だけを抜き出した値を、左点、中点、右点の列に示す。サンプルクロック0T、1T、2Tについて示したものが図3である。また、サンプルクロック0.5T、1.5T、2.5Tについて示したものが図4である。図4からさらにサンプルクロックを0.5Tずらしたものが図5となるが、この場合は図3と同様のグラフとなる。
【0035】
さらに、図7の(A)、(B)、(A)−(B)の列に、それぞれのチャネルクロックの場合における(A)、(B)、(A)−(B)の値を記載する。この時、演算に用いる値は、左点、中点、右点の列に示される整数の数値を用いる。中点のチャネルクロックが1.4T乃至1.6Tの範囲では、(A)≦(B)となるため、中点の信号値49が振幅最大値となる。その他の範囲は(A)>(B)となるため、中点がそのまま振幅最大値とはならない。そのため、補正係数を1/8として、((A)−(B))×1/8により求めた値を中点の信号値に加算した値を振幅最大値の列に記載する。この結果、サンプルクロックが1T乃至1.3Tと1.7T乃至2Tの範囲で振幅最大値が48となり、中点のサンプルクロックが1.4T乃至1.6Tの範囲の振幅最大値49とほぼ同等となる。これにより、どの範囲においても適切な振幅最大値を求めることができるようになる。なお、補正係数は、演算の容易性を考えて2のべき乗値とすることが好ましい。これにより、ビットシフトと加算器だけで乗算することができる。
【0036】
上記のように、(A)、(B)の値、さらには必要により補正係数を用いて信号推定値を算出することにより、マークから得られる再生信号の振幅最大値を求めることができるようになる。ここで、中点を最大値に持つ左点、中点、右点の3点はマーク長が3Tの場合のみではなく、マーク長が4T、5T、更には、10T以上の波形においても局所的に存在する。これより、どの振幅最大値が、マーク長が最短の3Tの場合の振幅最大値かは判定できない。そこで、マーク長を3Tとする振幅最大値は、振幅最大値として求めた値における最小値と設定する。この場合、最大値選択回路213は、最大値検出回路211もしくは最大値推定回路212から取得した所定の時間における振幅最大値の中から最小値を選択する。最大値選択回路213は、選択した値をマーク長が3Tの振幅最大値として記録パワー/記録ストラテジ反映回路400に出力する。
【0037】
図6に各チャネルクロックの振幅のイメージを示す。振幅最大値を見ると、3Tは4Tよりも小さく、4Tは5Tよりも小さい。更に、マーク長が長い波形になってくると、振幅最大値はほぼ同等となり振幅最大値での平坦部が長いか短いかの違いとなる。これより、全体の中での最小の振幅最大値を示すものがマーク長を3Tとする振幅最大値とすることができる。
【0038】
ここで、最短マークの他の振幅最大値特定方法として、前述した方法により求めた振幅最大値が、保持している振幅最大値の中の最小値よりも小さかったらその値を、マーク長を3Tとする振幅最大値として更新し保持する。さらに、ある一定のクロック数毎や、振幅値の推移からマークを検出する毎等に保持している値にある値を加算した値を更新し、保持していくこともできる。これにより求まる結果は、ほぼマーク長を3Tとする振幅の平均値に相当することとなる。
【0039】
また、信号値からマーク長が3Tと4Tとなる振幅最大値を切り分けることができる場合、その境界以下の信号値をマーク長3Tの振幅最大値としてもよい。具体的には、マーク長が3Tとなる信号値の最大値はある信号値以下であり、マーク長が4Tとなる信号値の最大値はある信号値以上である場合に、ある信号値以下の信号の最大値を、マーク長を3Tとする振幅最大値としてもよい。ここで、時間軸からマーク長の3Tと4Tを切り分けることができるなら、マーク長を3Tとする再生信号を取得している時間の場合は、その時間に得られた振幅最大値は、マーク長3Tの振幅最大値とすることもできる。
【0040】
また、データ検出回路204は、所定の関係を満たす3点のサンプル点を抽出した場合に、取得した3点のサンプル点を差分絶対値検出回路205と、減算回路206と、減算回路207に出力してもよい。この場合、差分絶対値検出回路205と、減算回路206と、減算回路207は、データ検出回路204から取得した値を基に演算を行う。これにより、所定の関係を満たすサンプル点のみ振幅最大値を算出するための演算に用いることが可能となり、信号振幅測定装置全体の処理負荷を低減させることが可能である。
【0041】
上記は主にマークから得られる再生信号の振幅最大値の検出方法について記載したが、スペースから得られる再生信号の振幅最大値の検出方法についても同様にして検出可能である。マークから得られる再生信号とスペースから得られる再生信号は逆極性の波形を有するため、データ検出回路204においては、中点の信号値が左点の信号値以下でありかつ右点の信号値以下である関係を満たすサンプル点を抽出する。また、スペース長を3Tとする振幅最大値は、振幅最大値として求めた値における最大値と設定する。この場合、最大値選択回路213は、最大値検出回路211もしくは最大値推定回路212から取得した所定の時間における振幅最大値の中から最大値を選択する。それ以外の処理はマークから得られる再生信号の振幅最大値の検出方法と同様である。
【0042】
(実施の形態2)
実施の形態1においては、再生サンプリングクロック=記録チャネルクロックとした場合について説明した。ここで、再生サンプリングクロックは記録チャネルクロックよりも低い周波数としてもよい。再生サンプリングクロックは周波数が高いほど、より多くの情報が得られるのでRF信号から得られる情報量も多くなる。これにより、振幅最大値として検出した値がほぼそのまま振幅最大値になるため、振幅最大値を求めるには好ましい。しかし、再生サンプリングクロックの周波数が高いと消費電力が高くなり、特に近年のDVD等の光ディスクの動作においては高倍速動作を行わせることが多いため、クロック周波数は低くして動作させることが望ましい。
【0043】
図8の例では、再生サンプリングクロック間隔を1.8Tとしている。ここで、再生サンプリングクロック間隔を1.8Tとしてマークから得られる再生信号の振幅最大値を求める場合に、スペースから得られる再生信号の振幅値も用いることとなる。このような場合においては、抽出するデジタル信号の3点のうち、中点がマークから得られる再生信号として用いることにより、マークから得られる再生信号の振幅最大値を求めることが可能である。再生サンプリングクロック間隔を1.8Tとした場合の振幅最大値を算出したものが図9となる。図8においては、チャネルクロックを0T以上の値を示しているが、説明の便宜上図9では、チャネルクロックを−1.2T以上の値を示している。補正係数を1/4として、図7と同様に振幅最大値を求めた場合に、振幅最大値は45〜49の値を示すこととなる。
【0044】
これにより、再生サンプリングクロック間隔を1Tとした場合よりも振幅最大値の精度は低下するが、少ない情報量で振幅最大値を得ることにより、消費電力の低下を実現することができる。
【0045】
ところで、上述した信号振幅測定装置が行う各処理(例えば、減算回路206、207、210における減算処理、差分絶対値検出回路205における右点−左点の絶対値の算出処理、最小値選択回路208における最小値の選択処理、大小比較回路209における差分絶対値検出回路205と最小値選択回路208から取得した値の比較処理、最大値選択回路213における振幅最大値選択処理等)は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等を含むコンピュータにプログラムを実行させることによって実現してもよい。
【0046】
一例として、実施の形態1で説明した大小比較回路209の処理内容をコンピュータに実行させるための手順について説明する。図10は、振幅最大値を特定するための手順を示すフローチャートである。ステップS1では、コンピュータは、差分絶対値検出回路205から値(A)と最小値選択回路208から値(B)を取得する。ステップS2では、コンピュータは、値(A)と値(B)の大小を比較する。(A)≦(B)の関係を満たす場合は、遅延素子202から取得した信号値を振幅最大値として特定する(S3)。(A)≦(B)の関係を満たさない場合は、遅延素子202から取得した信号値に補間値を加算した値を振幅最大値として特定する(S4)。
【0047】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
50 A/D変換回路
100 マーク/スペース振幅最大値検出回路
200 最短マーク/最短スペース振幅値検出回路
201〜203 遅延素子
204 データ検出回路
205 差分絶対値検出回路
206〜207、210 減算回路
208 最小値選択回路
209 大小比較回路
211 最大値検出回路
212 最大値推定回路
213 最大値選択回路
300 全信号振幅平均演算回路
400 記録パワー/記録ストラテジ反映回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサンプル点を含むデジタル信号から連続して得られる第1のサンプル点と第2のサンプル点と第3のサンプル点の信号値が、当該第2のサンプル点の信号値が当該第1のサンプル点と当該第3のサンプル点の信号値以上となる関係又は当該第2のサンプル点の信号値が当該第1のサンプル点と当該第3のサンプル点の信号値以下となる関係を満たすサンプル点を取得するサンプル点取得部と、
前記第1のサンプル点の信号値と前記第3のサンプル点の信号値の差分の絶対値を算出する第1の演算部と、
前記第2のサンプル点の信号値と前記第1のサンプル点の信号値の差分の絶対値と前記第2のサンプル点の信号値と前記第3のサンプル点の信号値の差分の絶対値のうち小さいほうの絶対値を選択する第2の演算部と、
前記第1の演算部により算出された絶対値と前記第2の演算部により算出された絶対値に基づいて前記デジタル信号の振幅値を特定する振幅値特定部と、を備える信号振幅測定装置。
【請求項2】
前記振幅値特定部は、前記第1の演算部により算出された絶対値が前記第2の演算部により算出された絶対値よりも小さい場合に、前記第2のサンプル点の信号値を振幅値として特定することを特徴とする請求項1記載の信号振幅測定装置。
【請求項3】
前記振幅値特定部は、前記第1の演算部により算出された絶対値が前記第2の演算部により算出された絶対値よりも大きい場合に、前記第2のサンプル点の信号値と予め定められた補正値に基づいて振幅値を特定することを特徴とする請求項1記載の信号振幅測定装置。
【請求項4】
前記振幅値特定部は、前記第2のサンプル点の信号値が前記第1のサンプル点と前記第3のサンプル点の信号値以上となる関係の時は所定の期間内に特定した複数の振幅値の中で最小の値を示す振幅値を最小のビット長を有するデジタル信号の振幅値として特定し、前記第2のサンプル点の信号値が前記第1のサンプル点と前記第3のサンプル点の信号値以下となる関係の時は所定の期間内に特定した複数の振幅値の中で最大の値を示す振幅値を最小のビット長を有するデジタル信号の振幅値として特定することを特徴とする請求項2又は3記載の信号振幅測定装置。
【請求項5】
前記デジタル信号は、情報記録媒体に記録されているマークとスペースの2値信号から取得した再生信号をデジタル変換することにより取得した信号であることを特徴とする請求項1乃至4記載のいずれか1項に記載の信号振幅測定装置。
【請求項6】
複数のサンプル点を含むデジタル信号から連続して得られる第1のサンプル点と第2のサンプル点と第3のサンプル点の信号値が、当該第2のサンプル点の信号値が当該第1のサンプル点と当該第3のサンプル点の信号値以上となる関係又は当該第2のサンプル点の信号値が当該第1のサンプル点と当該第3のサンプル点の信号値以下となる関係を満たすサンプル点を取得するステップと、
前記第1のサンプル点の信号値と前記第3のサンプル点の信号値の差分の絶対値を算出するステップと、
前記第2のサンプル点の信号値と前記第1のサンプル点の信号値の差分の絶対値と前記第2のサンプル点の信号値と前記第3のサンプル点の信号値の差分の絶対値のうち小さいほうの絶対値を選択するステップと、
前記絶対値を算出するステップにより算出された絶対値と、前記絶対値を選択するステップにより選択された絶対値に基づいて前記デジタル信号の振幅値を特定するステップと、を備える信号振幅測定方法。
【請求項1】
複数のサンプル点を含むデジタル信号から連続して得られる第1のサンプル点と第2のサンプル点と第3のサンプル点の信号値が、当該第2のサンプル点の信号値が当該第1のサンプル点と当該第3のサンプル点の信号値以上となる関係又は当該第2のサンプル点の信号値が当該第1のサンプル点と当該第3のサンプル点の信号値以下となる関係を満たすサンプル点を取得するサンプル点取得部と、
前記第1のサンプル点の信号値と前記第3のサンプル点の信号値の差分の絶対値を算出する第1の演算部と、
前記第2のサンプル点の信号値と前記第1のサンプル点の信号値の差分の絶対値と前記第2のサンプル点の信号値と前記第3のサンプル点の信号値の差分の絶対値のうち小さいほうの絶対値を選択する第2の演算部と、
前記第1の演算部により算出された絶対値と前記第2の演算部により算出された絶対値に基づいて前記デジタル信号の振幅値を特定する振幅値特定部と、を備える信号振幅測定装置。
【請求項2】
前記振幅値特定部は、前記第1の演算部により算出された絶対値が前記第2の演算部により算出された絶対値よりも小さい場合に、前記第2のサンプル点の信号値を振幅値として特定することを特徴とする請求項1記載の信号振幅測定装置。
【請求項3】
前記振幅値特定部は、前記第1の演算部により算出された絶対値が前記第2の演算部により算出された絶対値よりも大きい場合に、前記第2のサンプル点の信号値と予め定められた補正値に基づいて振幅値を特定することを特徴とする請求項1記載の信号振幅測定装置。
【請求項4】
前記振幅値特定部は、前記第2のサンプル点の信号値が前記第1のサンプル点と前記第3のサンプル点の信号値以上となる関係の時は所定の期間内に特定した複数の振幅値の中で最小の値を示す振幅値を最小のビット長を有するデジタル信号の振幅値として特定し、前記第2のサンプル点の信号値が前記第1のサンプル点と前記第3のサンプル点の信号値以下となる関係の時は所定の期間内に特定した複数の振幅値の中で最大の値を示す振幅値を最小のビット長を有するデジタル信号の振幅値として特定することを特徴とする請求項2又は3記載の信号振幅測定装置。
【請求項5】
前記デジタル信号は、情報記録媒体に記録されているマークとスペースの2値信号から取得した再生信号をデジタル変換することにより取得した信号であることを特徴とする請求項1乃至4記載のいずれか1項に記載の信号振幅測定装置。
【請求項6】
複数のサンプル点を含むデジタル信号から連続して得られる第1のサンプル点と第2のサンプル点と第3のサンプル点の信号値が、当該第2のサンプル点の信号値が当該第1のサンプル点と当該第3のサンプル点の信号値以上となる関係又は当該第2のサンプル点の信号値が当該第1のサンプル点と当該第3のサンプル点の信号値以下となる関係を満たすサンプル点を取得するステップと、
前記第1のサンプル点の信号値と前記第3のサンプル点の信号値の差分の絶対値を算出するステップと、
前記第2のサンプル点の信号値と前記第1のサンプル点の信号値の差分の絶対値と前記第2のサンプル点の信号値と前記第3のサンプル点の信号値の差分の絶対値のうち小さいほうの絶対値を選択するステップと、
前記絶対値を算出するステップにより算出された絶対値と、前記絶対値を選択するステップにより選択された絶対値に基づいて前記デジタル信号の振幅値を特定するステップと、を備える信号振幅測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−257514(P2010−257514A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104831(P2009−104831)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
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