説明

信号灯器の清掃機構

【課題】 光源カバーに付着した塵埃を効率よく容易に除去することができると共に、清掃作業コストの低減を図ることのできる信号灯器の清掃機構を提供する。
【解決手段】 信号灯器1の清掃機構は、少なくとも光源体2とレンズ体3とを設け、前記光源体2が所定時間毎に点灯するように制御された信号灯器1に、前記レンズ体3の外表面に接触して前記レンズ体3を清掃する清掃体5を、電動機等の駆動体6、11により可動自在に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源体の光源を拡大するレンズ体を清掃する清掃機構を備えた信号灯器の清掃機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、信号灯器の光源カバーは自動車の排気ガス等によって汚れることから定期的に清掃作業を行っている。この清掃作業は、作業員を乗せたクレーン車が信号灯器の高さまで上げられ、作業員が雑巾等によって手作業で光源カバーを清掃するものであった。この作業は、高所作業であることから危険であった。また、長時間信号灯器を消灯させて手信号によって交通整理を行わなければならないものでもあった。
そこで、この信号灯器の光源カバーの清掃を容易にするために、光源カバーの表面に光触媒の作用を生じさせる物質をコーティングしたものが、発明されている(特許文献1〜4)。
【0003】
【特許文献1】特開平09−231499号公報
【特許文献2】特開平10−19890号公報
【特許文献3】特開2000−207684号公報
【特許文献4】特開平10−105887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1〜4の信号灯器では、散水等によって光源カバーに付着した塵埃を洗い落とす作業が必要となることから、散水設備を搭載した作業車が必要となり、コスト高となっていた。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、光源カバーに付着した塵埃を効率よく容易に除去することができると共に、清掃作業コストの低減を図ることのできる信号灯器の清掃機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明では、少なくとも光源体とレンズ体とを設け、前記光源体が所定時間毎に点灯するように制御された信号灯器に、前記レンズ体の外表面に接触して前記レンズ体を清掃する清掃体を、電動機等の駆動体により可動自在に設けたことを特徴としている。したがって、清掃体が駆動体によって自動でレンズ体を清掃することができるので、駆動体の制御をリモートコントロールすることができるように構成すれば、従来のように作業者がクレーンに乗って高所作業をすることを無くすことができる。また、清掃体の不使用時に、該清掃体をフロントケースに収納しておけば、外部から見えないので、信号機の視認性を遮断することがない。また、交通量の少ない夜間等に作業を行うことも可能であり、交通渋滞を招くこともない。
【0007】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、非清掃時において、清掃体をレンズ体の視認可能範囲外に移動するようにしたことを特徴としている。したがって、レンズ体全体が外部から視認できることによって、清掃体が邪魔することがない。
【0008】
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明において、光源体の稼動時間を積算するタイマーを備え、前記タイマーによる積算結果に応じて、清掃体を稼動させることを特徴としている。したがって、定期的に清掃体を稼動させて、常にレンズ体が外部から視認し易い状態としておくことができる。
【0009】
請求項4の発明では、請求項1〜3のいずれかの発明において、任意で清掃体を稼動させる制御モードを設定したことを特徴としている。したがって、台風や黄砂などの影響でレンズ体が汚れた場合には、任意の時間帯に地上からリモコン操作等により臨時に清掃作業が行え、その都度清掃体を稼動させて汚れを落とすことができる。
【0010】
請求項5の発明では、請求項1〜4のいずれかの発明において、非点灯時に清掃体を稼動させることを特徴としている。したがって、信号灯器を清掃する為に稼動を停止する必要がないので、交通を遮断することなく清掃作業を行うことができる。
【0011】
請求項6の発明では、少なくとも光源体と、レンズ体と、空洞部とを有する庇を設け、前記光源体が所定時間毎に点灯するように制御された信号灯器に、前記レンズ体の外表面に接触して前記レンズ体を清掃する清掃体を電動機等の駆動体により可動自在に設けると共に、非清掃時に前記清掃体を前記庇の前記空洞部に収納したことを特徴としている。したがって、清掃体が庇の空洞部に収納されるので、外部からレンズ体を視認し易く、清掃体が邪魔することがない。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の信号灯器の清掃機構の発明では、自動でレンズ体を清掃することができることから、清掃作業を安全で容易なものとすることができると共に、清掃作業のコスト低減を図ることができる。また、請求項2の信号灯器の清掃機構の発明では、清掃体の稼動停止時にレンズ体の外側に清掃体を位置させるようにしたので、外部からの視認性を悪くすることがない。また、請求項3の信号灯器の清掃機構の発明では、定期的にレンズ体を清掃することができる。また、請求項4の信号灯器の清掃機構の発明では、レンズ体の汚れがひどい時に任意で清掃を行うことができる。また、請求項5の信号灯器の清掃機構の発明では、信号灯器を清掃する為に稼動を停止する必要がないので、交通を遮断することなく清掃作業を行うことができる。さらに、請求項6の信号灯器の清掃機構の発明では、庇の空洞部に清掃体を収納することによって、レンズ体を外部から視認し易くできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1(a)は、本発明の第1の実施形態を示す説明図である。図1(b)はA−A断面図である。これらの図に示すように、信号灯器1は、信号灯器本体10に、光源体2と、レンズ体3と、庇4と、清掃体5とを備えている。また、光源体2は、所定時間毎に点灯するように制御されている。そして、清掃時には、駆動モーター6が回転することによって、清掃体5の可動アーム7に取り付けられているギア8が回転し、庇4と略平行な状態から約90度回転して駆動モーター6の回転が止まるようになっている。この状態で清掃体5の清掃片9は、レンズ体3の外表面に接触している。次に、信号灯器本体10に設置されている清掃モーター11によって、フレキシブルワイヤー12を回転させ、このフレキシブルワイヤー12の先端が固定されている清掃片9がレンズ体3の外表面上で回転することによってレンズ体3の掃除が行われるのである。
【0014】
図2は、本発明の第2の実施形態を示す説明図である。清掃機構は、上述した第1の実施形態と異なり、信号灯器本体20において、駆動モーター13が回転することによって、清掃体15の可動アーム17に取り付けられているギア18がベルト19を介して回転し、庇14と略平行な状態から約90度回転して駆動モーター13の回転が止まるようになっている。この状態で清掃体15の清掃片9は、レンズ体3の外表面に接触している。次に、可動アーム17に取り付けられている清掃モーター21を回転させ、この清掃モーター21と連動している清掃片9がレンズ体3の外表面上で回転することによってレンズ体3の掃除が行われるのである。
【0015】
図3は、本発明の第3の実施形態を示す説明図であり、図4は、第3の実施形態の内部機構を示す説明図である。この第3の実施形態では、信号灯器本体30に、駆動モーター51に減速ギア32が取り付けられており、この減速ギア32と噛合う減速ギア33が軸受け34a,34bに軸支された軸体35に回転可能に固定されている。そして、軸体35が回転することによって、可動アーム保持体36を介して可動アーム27が約90度回転して、駆動モーター51の回転が止まるようになっている。次に、可動アーム27に取り付けられている清掃モーター31を回転させ、この清掃モーター31と連動している清掃片9がレンズ体3の外表面上で回転することによってレンズ体3の掃除が行われるのである。
【0016】
図5は、本発明の信号灯器の清掃機構における制御機構の一例を示す説明図である。この図に示すように、制御体40は、LED又は電燈からなるランプ41、42、43を各々所定時間毎に交互に点灯させるようになっている。そして、ランプ41、42、43の非点灯時に駆動モーター6、13、51を回転させることによって、可動アーム7、17、27が約90度回転し、清掃体5、15の清掃片9は、レンズ体3の外表面に接触するのである。次に、清掃モーター11、21、31が所定時間回転することによって、レンズ体3の清掃が行われる。清掃が終了すると、駆動モーター6、13、51を先ほどとは逆方向に回転させることによって、可動アーム7、17、27が約90度逆回転し、清掃体5、15をレンズ体3の外側(庇4側)に移動させるのである。
【0017】
このように、非清掃時において、清掃体5、15をレンズ体3の視認可能範囲外に移動するようにしたので、レンズ体3全体が外部から視認できることによって、清掃体5、15が邪魔することがないのである。尚、上記説明では、ランプ41、42、43の非点灯時に清掃体5、15を稼動させる制御モードを示したが、任意で清掃体5、15を稼動させる制御モードを設定できるようにしてもよい。このような構成とすることによって、台風や黄砂などの影響でレンズ体が汚れた場合には、その都度清掃体を稼動させて汚れを落とすことができる。
【0018】
尚、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の実施形態をとることができることは言うまでもない。例えば、光源体の稼動時間を積算するタイマーを設けて、このタイマーによる積算結果に応じて、清掃体を稼動させるようにしてもよい。このような構成とすることによって、定期的に清掃体を稼動させて、常にレンズ体が外部から視認し易い状態としておくことができる。また、庇に空洞部を設けて、非清掃時に清掃体を庇の空洞部に収納する構成としてもよい。このような構成とすることによって、レンズ体を外部から視認し易くできる。さらにまた、洗浄液等を吹きつけながら清掃体で拭き取る等、洗浄液を清掃に利用した構成も採用できる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の信号灯器の清掃機構は、自動車、電車、船舶、飛行機等の乗物と歩行者等の交通整理を行う信号灯器に使用する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態を示す説明図。
【図2】第2の実施形態を示す説明図。
【図3】第3の実施形態を示す説明図。
【図4】第3の実施形態の内部機構を示す説明図。
【図5】本発明の信号灯器の清掃機構における制御機構の一例を示す説明図。
【符号の説明】
【0021】
1、1a、1b 信号灯器
2 光源体
3 レンズ体
4 庇
5、15 清掃体
6、13、51 駆動モーター
7、17、27 可動アーム
8、18 ギア
9 清掃片
10、20、30 信号灯器本体
11、21、31 清掃モーター
12 フレキシブルワイヤー
19 ベルト
32、33 減速ギア
34a、34b 軸受け
35 軸体
36 可動アーム保持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも光源体とレンズ体とを設け、前記光源体が所定時間毎に点灯するように制御された信号灯器に、前記レンズ体の外表面に接触して前記レンズ体を清掃する清掃体を、電動機等の駆動体により可動自在に設けたことを特徴とする信号灯器の清掃機構。
【請求項2】
非清掃時において、清掃体をレンズ体の視認可能範囲外に移動するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の信号灯器の清掃機構。
【請求項3】
光源体の稼動時間を積算するタイマーを備え、前記タイマーによる積算結果に応じて、清掃体を稼動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の信号灯器の清掃機構。
【請求項4】
任意で清掃体を稼動させる制御モードを設定したことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の信号灯器の清掃機構。
【請求項5】
非点灯時に清掃体を稼動させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の信号灯器の清掃機構。
【請求項6】
少なくとも光源体と、レンズ体と、空洞部とを有する庇を設け、前記光源体が所定時間毎に点灯するように制御された信号灯器に、前記レンズ体の外表面に接触して前記レンズ体を清掃する清掃体を電動機等の駆動体により可動自在に設けると共に、非清掃時に前記清掃体を前記庇の前記空洞部に収納したことを特徴とする信号灯器の清掃機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−152779(P2010−152779A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331900(P2008−331900)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】