説明

信号灯

【課題】コストを抑えることができ余分なスペースを取ることもなく、情報を確実に視認させることができ、しかも、夜間における全体の輪郭の把握が判り易くなり、存在自体を確実に知らしめることができ、装飾的な効果にも優れた信号灯を提供する。
【解決手段】車両や通行人に通行許可ないし停止指示その他の交通規制情報を視認させるための信号灯10において、灯本体11と、該灯本体11に設けられ前記交通規制情報を表す各灯色にそれぞれ点灯するLEDユニット20とを有し、灯本体11の前面側が、LEDユニット20以外の発光手段30により複数色に発光可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両や通行人に通行許可ないし停止指示その他の交通規制情報を視認させるための信号灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の信号灯としては、例えば、横方向あるいは縦方向に青、黄、赤の各色のユニットを備え、どの色が点灯しているかを、色覚情報(各灯色)もしくは位置情報(点灯箇所)により識別させる車両用交通信号灯が一般的である。ここで、色の見え方や感じ方は人それぞれ異なるものであり、各灯色による交通規制情報の視認性を向上させる技術として、様々な信号灯が既に提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、青色表示灯、黄色表示灯、赤色表示灯が円形、三角形、×形にそれぞれ表示され、表示灯の色情報の他に、表示灯の形情報を得ることができるものが開示されている。また、特許文献2には、主となる信号機に棒状の補助信号機を併設して、該補助信号機により、主となる信号機における各点灯色の切り替わり時間を予測可能に表示するものが開示されている。
【0004】
【特許文献1】実開昭55−174699号公報
【特許文献2】特開2003−308595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述したような従来の技術では、特許文献1に開示された信号灯においては、相互に形状を異ならせた新たな表示灯が必要になることで、コストが嵩み、また、特許文献2に開示された信号灯においては、補助信号機が新たに必要になることで、やはりコストが嵩むという問題があった。
【0006】
また、前記何れの特許文献1,2に開示された信号灯においても、信号灯本体は塗装して彩色しているため、信号灯自体の中で発光するのは表示灯(ユニット)だけであり、夜間では、信号灯全体の輪郭が判りにくくなり、ひいては信号灯の存在自体の認識も難しい場合があり、安全面において問題があった。
【0007】
本発明は、以上のような従来技術が有する問題点に着目してなされたものであり、余分な補助信号機等を必要とせず、構造および設置が簡単でコストを抑えることができ、余分なスペースを取ることもなく、交通規制情報あるいは信号補助情報を確実に視認させることができ、しかも、夜間における信号灯全体の輪郭の把握が判り易くなり、信号灯の存在自体を確実に知らしめることができ、さらに、装飾的な効果にも優れた信号灯を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
[1]車両や通行人に通行許可ないし停止指示その他の交通規制情報を視認させるための信号灯(10)において、
灯本体(11)と、該灯本体(11)に設けられ前記交通規制情報を表す各灯色にそれぞれ点灯するユニット(20)とを有し、
前記灯本体(11)の前面側が、前記ユニット(20)の点灯とは別に複数色に発光可能であることを特徴とする信号灯(10)。
【0009】
[2]前記灯本体(11)の前面側は、透光性材質から成る前面カバー(12)から成り、前記各ユニット(20)を前方に開放する開口部(13)が形成され、
前記灯本体(11)内に、前記前面カバー(12)を透過させるよう複数色に発光可能であり、前記前面カバー(12)の内側にて前記各ユニット(20)の正面に被らない位置に発光手段(30)を設けたことを特徴とする[1]に記載の信号灯(10)。
【0010】
[3]前記前面カバー(12)は、拡散性を有する合成樹脂から成形することを特徴とする[1]または[2]に記載の信号灯(10)。
【0011】
[4]前記発光手段(30)は、光の3原色である青色、赤色、緑色の数多のLED(31)を基板(32)上に密に混在させて配置して成り、発光時に各色LED(31)の点灯ないし消灯により、全体的ないし部分的に色相および/または明度を段階的に調整できることを特徴とする[1],[2]または[3]に記載の信号灯(10)。
【0012】
[5]前記灯本体(11)の前面側の前記発光手段(30)による発光は、その発光形態により装飾以外にも前記交通規制情報に関連した信号補助情報を表すことを特徴とする[1],[2],[3]または[4]に記載の信号灯(10)。
【0013】
[6]前記信号補助情報には、前記各ユニット(20)の点灯に関する経過時間を少なくとも含むことを特徴とする[1],[2],[3],[4]または[5]に記載の信号灯(10)。
【0014】
[7]前記灯本体(11)の前面側の前記発光手段(30)による発光は、季節や時間帯に応じて色相および/または明度を変化させることを特徴とする[1],[2],[3],[4],[5]または[6]に記載の信号灯(10)。
【0015】
前記本発明は次のように作用する。
前記[1]に記載の信号灯(10)は、例えば道路上に設置され、各ユニット(20)が点灯した灯色の表示により、車両や通行人に通行許可ないし停止指示その他の交通規制情報を視認させて円滑かつ安全な運行を期する。しかも、前記各ユニット(20)ごとの発光のみならず、灯本体(11)の前面側は、ユニット(20)の点灯とは別に複数色に発光可能である。
【0016】
これにより、余分な補助信号機等を必要とせず、灯本体(11)における前面側の発光、特にその発光色の変化により、夜間においても遠くから興味を引いて、夜間における信号灯(10)全体の輪郭の把握が判り易くなり、信号灯(10)の存在自体を確実に知らしめることができる。また、色覚異常者に対しても、信号灯(10)の輪郭を把握させることで、青黄赤の点灯状態を位置情報として伝えることができる。
【0017】
また、前記[2]に記載の信号灯(10)によれば、灯本体(11)の前面側は、透光性材質から成る前面カバー(12)から成り、各ユニット(20)を前方に開放する開口部(13)が形成され、この前面カバー(12)を透過させるよう複数色に発光可能な発光手段(30)を、前面カバー(12)の内側にて各ユニット(20)の正面に被らない位置に設ける。
【0018】
これにより、前面カバー(12)や発光手段(30)の存在によって、各ユニット(20)の点灯の視認性が何ら妨げられることはなく、信号灯(10)として重要な各ユニット(20)の点灯色は鮮明となり、一方、前面カバー(12)は内側から発光手段(30)により照らされて、発光手段(30)による発光色が前面カバー(12)を透過することになり、灯本体(11)の前面側の発光色は、透光性材質を透過した優しい光で表現される。
【0019】
ここで具体的には、前記[3]に記載したように、前記前面カバー(12)を、拡散性を有する合成樹脂から成形することにより、灯本体(11)の前面側における発光色が混ざり、色のはっきりした境目を隠すことができる。
【0020】
また、前記発光手段(30)としては、具体的には前記[4]に記載したように、光の3原色である青色、赤色、緑色の数多のLED(31)を基板(32)上に密に混在させて配置して成り、発光時に各色LED(31)の点灯ないし消灯により、全体的ないし部分的に色相および/または明度を段階的に調整できるものとすることで、灯本体(11)の前面側を多彩な発光色に変化させることができる。
【0021】
また、前記発光手段(30)による灯本体(11)の前面側の発光色は、単なるイルミネーションとしての装飾的な効果だけにとどまることなく、前記[5]に記載したように、発光形態により交通規制情報に関連した信号補助情報を表すこともできる。
【0022】
ここで信号補助情報とは、例えば前記[6]に記載したように、各ユニット(20)の点灯に関する経過時間等が該当し、灯本体(11)の前面側の発光形態、すなわち、発光色や発光箇所等の経時的な変化を、各ユニット(20)の点灯時間と連動させることにより、赤信号時の待ち時間や青信号時の残り時間を含めた信号補助情報を視覚的に判り易く表現することができ、ドライバーや通行人に心理的な安心感を与えることができる。
【0023】
さらにまた、前記[7]に記載したように、灯本体(11)の前面側の発光手段(30)による発光を、季節や時間帯に応じて色相および/または明度を変化させるようにすれば、信号灯(10)を設置してある場所において、優れたイルミネーションとしての装飾的な効果を発揮させることも可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る信号灯によれば、灯本体の前面側が、ユニット以外の発光手段により複数色に発光可能であるから、余分な補助信号機等を必要とせず、構造および設置が簡単でコストを抑えることができ、余分なスペースを取ることもなく、交通規制情報あるいは信号補助情報を確実に視認させることができ、しかも、夜間における信号灯全体の輪郭の把握が判り易くなり、信号灯の存在自体を確実に知らしめることができ、さらに装飾的な効果にも優れる。また、色覚異常者に対しても、信号灯の輪郭を把握させることで、青黄赤の点灯状態を位置情報として伝えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面に基づき本発明の好適な実施の形態を説明する。
図1〜図8は、本発明の一実施の形態を示している。
本実施の形態に係る信号灯10は、車両や通行人に通行許可ないし停止指示その他の交通規制情報を視認させるためのものである。以下、青色、黄色、赤色が点灯・消灯する交通信号灯として用いられる場合を例に説明する。
【0026】
図1は、信号灯10を分解した状態を模式的に示す斜視図であり、図2は、信号灯10の正面図であり、図3は、信号灯10の縦断面図である。信号灯10は、ケース状の灯本体11と、該灯本体11に設けられ交通規制情報を表す各灯色にそれぞれ点灯するユニットであるLEDユニット20とを有している。
【0027】
各LEDユニット20は、図1の正面視において左から順に、青色LEDユニット20a、黄色LEDユニット20b、赤色LEDユニット20cを組み合わせて成る。各LEDユニット20は、何れも色相が異なるのみで同一の構成をしており、具体的には、それぞれの灯色に点灯するLED21を多数備えた信号表示基板22と、その前面に配置するフィルターレンズ23とから構成されている。
【0028】
各LEDユニット20は、灯本体11に収まるように設けられており、灯本体11は、各LEDユニット20の前側に位置する前面カバー12と、背面側を成す筐体15とを組み合わせて成る。前面カバー12は、灯本体11の前面側を成しており、各LEDユニット20以外の後述する発光手段30により内側から複数色に発光可能である。前面カバー12は、発光手段30の光を透過させることができるように透光性材質からなり、特に、拡散性を有する合成樹脂から成形するとよい。拡散性を有する合成樹脂とは、具体的には例えば、透光性のある合成樹脂中に光を乱反射させるガラスビーズ等を混入させたものである。
【0029】
前面カバー12には、各LEDユニット20を前方に開放する開口部13が3つ形成されており、各開口部13の上方には、フード14(図2,3参照)が装着されている。フード14も、前記前面カバー12と同様に拡散性を有する合成樹脂から成形するとよい。LEDユニット20のフィルターレンズ23は、開口部13に嵌るように固定されている。
【0030】
また、前面カバー12がネジ等の結合手段により一体に合わさる筐体15は、その内部に前記各LEDユニット20の後方に配置する発光手段30と、各LEDユニット20および発光手段30の表示制御を行うための制御基板40(図3参照)とを収納できる内部空間を有している。なお、制御基板40は、灯本体11の外部に設けてもかまわない。
【0031】
発光手段30は、前記前面カバー12を透過させるよう複数色に発光可能であり、前面カバー12の内側にて前記各LEDユニット20の正面に被らない位置に配置される。発光手段30は、光の3原色である青色、赤色、緑色の数多のLED31を基板32上に密に混在させて配置して成り(図3参照)、発光時に各色LED31の点灯ないし消灯により、全体的ないし部分的に色相および/または明度を段階的に調整できるものである。
【0032】
詳しく言えば発光手段30は、青色、赤色、緑色のLEDを1組にまとめたものを密にマトリクス状に配置して成るマルチカラーユニット33を単位とし、このマルチカラーユニット33を、前面カバー12の正面側に対応する面積および形状となるように、さらに縦横に複数ずつ組み合わせて構成される。発光手段30は、前記各LEDユニット20の背面側に重なる状態に配置され、前記各LEDユニット20に接続するハーネス(図示せず)を挿通させる挿通口部34が3つ形成されている。
【0033】
前面カバー12における発光手段30による発光は、前記マルチカラーユニット33における各LED31ごとの点灯ないし消灯により、様々な色相や明度を段階的に調整できる他、色相や明度の経時的な変化をグラデーションで演出することもできる。また、発光形態によって、単なる装飾的な効果以外にも、交通規制情報に関連した信号補助情報を表すように設定することもできる。ここで信号補助情報には、各LEDユニット20の点灯に関する経過時間が少なくとも含まれている。
【0034】
前記経過時間としては、青色LEDユニット20aが点灯している間は、該青色LEDユニット20aが消灯するまでの残り時間と、赤色LEDユニット20cが点灯している間は、該赤色LEDユニット20cが消灯するまでの待ち時間とがある。さらに、前面カバー12における発光手段30による発光は、季節や時間帯に応じて色相および/または明度を変化させることができるように設定されている。
【0035】
このような発光手段30の発光形態の制御は、前記制御基板40に予め設定された所定のプログラムによって実行することができるようになっている。具体的な各種の発光形態については後述する。なお、信号灯10には、必要な電力や各種制御信号等を外部より供給するため配線等が接続されることになる。
【0036】
次に作用を説明する。
本実施の形態に係る信号灯10は、例えば道路上に設置され、各LEDユニット20が点灯した灯色の表示により、車両や通行人に通行許可ないし停止指示その他の交通規制情報を視認させて円滑かつ安全な運行を期する。しかも、灯本体11の前面カバー12は、LEDユニット20の点灯とは別に発光手段30により複数色に発光可能である。以下に先ず、発光手段30による前面カバー12の発光形態によって、交通規制情報に関連した信号補助情報として各LEDユニット20の経過時間を表す例を説明する。
【0037】
図4において、同図(a)に示すように、各LEDユニット20のうち青色LEDユニット20aが点灯した場合、通行許可となるが、この青色点灯と連動する発光手段30の発光により、前面カバー12が全体的に青色に発光する。同図(b)〜(c)に示すように、時間経過に伴い前面カバー12は、赤色LEDユニット20c側の一端より次第に青色から白色へと変化し、青色LEDユニット20aの方へ向かって白色の領域が広がっていく。そして、同図(d)に示すように、青色LEDユニット20aの点灯(青信号)が終了すると共に、前面カバー12全体が白色の発光に変わる。
【0038】
図5において、同図(a)に示すように、各LEDユニット20のうち黄色LEDユニット20bが点灯した場合、この点灯と連動する発光手段30の発光により、前面カバー12が全体的に黄色に発光する。同図(b)〜(c)に示すように、時間経過に伴い前面カバー12は、赤色と青色のLEDユニット20a,20c側、すなわち両端より次第に黄色から白色へと変化し、中央にある黄色LEDユニット20bへ向かって白色の領域が広がっていく。そして、同図(d)に示すように、黄色LEDユニット20bの点灯(黄信号)が終了すると共に、前面カバー12全体が白色の発光に変わる。
【0039】
図6において、同図(a)に示すように、各LEDユニット20のうち赤色LEDユニット20cが点灯した場合、通行不可となるが、この赤色点灯と連動する発光手段30の発光により、前面カバー12が全体的に赤色に発光する。同図(b)〜(c)に示すように、時間経過に伴い前面カバー12は、青色LEDユニット20a側の一端より次第に赤色から白色へと変化し、赤色LEDユニット20cの方へ向かって白色の領域が広がっていく。そして、同図(d)に示すように、赤色LEDユニット20cの点灯(赤信号)が終了すると共に、前面カバー12全体が白色の発光に変わる。
【0040】
以上のように、各LEDユニット20が点灯している時には、各LEDユニット20の周囲の前面カバー12も点灯色と同色に発光するので、現在どのLEDユニット20が点灯しているのかを明確に知ることができる。また、各LEDユニット20の点灯時間の経過に伴う前面カバー12の発光色の変化により、単なるイルミネーションの効果にとどまらず、赤信号時の待ち時間や青信号時の残り時間を含めた経過時間等を視覚的に判り易く表現することができ、通行人やドライバーに安心感を与えることができる。
【0041】
しかも、前面カバー12における色の変化の方向により、色覚異常者であっても、点灯しているLEDユニット20の位置(灯色の種類)を容易に知ることができる。さらに、本信号灯10においては、余分な補助信号機等を必要とせず、灯本体11における前面カバー12の発光、特にその発光色の変化により、夜間においても遠くから興味を引いて、夜間における信号灯10全体の輪郭の把握が判り易くなり、信号灯10の存在自体を確実に知らしめることができる。また、色覚異常者に対しても、信号灯10の輪郭を把握させることで、青黄赤の点灯状態を位置情報として伝えることができる。
【0042】
また、図1に示すように、前面カバー12は透光性材質から成り、各LEDユニット20を前方に開放する開口部13が形成されているので、前面カバー12や発光手段30の存在によって、各LEDユニット20の点灯の視認性が何ら妨げられることはなく、信号灯10として重要な各LEDユニット20の点灯色は鮮明となる。
【0043】
前面カバー12は、その内側から発光手段30により照らされて、発光手段30による発光色が前面カバー12を透過することになり、灯本体11の前面側の発光色は透光性材質を透過した優しい光で表現される。特に前面カバー12は、拡散性を有する合成樹脂から成形したので、灯本体11の前面側における発光色が混ざり、色のはっきりした境目を隠すことができ、滑らかな光を演出することができる。
【0044】
また、前面カバー12の発光手段30による発光は、前述した図4〜図6に示した具体例のほか、マルチカラーユニット33の各LED31ごとの点灯ないし消灯により、様々な色相や明度を段階的に調整でき、色相や明度の変化をグラデーションとして演出したり、例えば、右側から紫・青・緑・黄・橙・赤といった虹色に発光させることも容易に可能となる。
【0045】
さらに具体的には例えば、前面カバー12の発光手段30による発光を、時間帯や季節に応じて色相および/または明度を変化させるようにすれば、信号灯10を設置してある場所において、優れたイルミネーションとしての装飾的な効果を発揮させることも可能となる。図7は、一日の時間帯によって前面カバー12の色を変化させる例を示し、図8は、季節によって前面カバー12の色を変化させる例を示している。このような発光形態により、心理的な心地良さをもたらすことが可能であり、停車したり立ち止まっている時の苛々感を緩和することもできる。
【0046】
図7においては、同図(a)に示すように、朝の時間帯には、発光手段30により前面カバー12全体を清涼感のある薄い水色に発光させる。また、同図(b)に示すように、昼の時間帯には、発光手段30により前面カバー12全体を明るい白色に発光させる。また、同図(c)に示すように、夜の時間帯には、発光手段30により前面カバー12全体を暗闇でも視認性のよい薄い黄色に発光させるとよい。
【0047】
また、図8においては、同図(a)に示すように、春の季節には、発光手段30により前面カバー12全体を、桜を連想させるようなピンク色に発光させる。また、同図(b)に示すように、夏の季節には、発光手段30により前面カバー12全体を、生い茂る木々を連想させる深い緑色に発光させる。また、同図(c)に示すように、秋の季節には、発光手段30により前面カバー12全体を、夕焼けを連想させるオレンジ色に発光させるとよい。
【0048】
以上のような発光手段30による前面カバー12の発光形態の制御は、各LEDユニット20および発光手段30の表示制御を行うための制御基板40(図3参照)、あるいは信号灯10の外部に設けた制御装置における所定のプログラムにより、簡便に実現することが可能である。
【0049】
なお、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は前述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、前記実施の形態では、信号灯10の灯本体11の前面側である前面カバー12だけを、発光手段30により複数色に発光可能に構成したが、他に例えば、筐体15の側面や背面側も同じく発光手段30により複数色に発光可能に構成してもよい。
【0050】
また、前記実施の形態では、発光手段30の発光による前面カバー12の発光形態により、交通規制情報に関連した信号補助情報として、赤信号時の待ち時間や青信号時の残り時間を含む経過時間を表現する例を示したが、前面カバー12の発光形態により表現できる信号補助情報は経過時間に限られるものではなく、他に例えば、渋滞情報等の様々な情報を所定の色相ないし明度やこれらの変化に対応付けて表現するようにしてもよい。
【0051】
また、前記実施の形態では、発光手段30を、青色、赤色、緑色のLEDを1組にまとめたものを密にマトリクス状に配置して成るマルチカラーユニット33を単位として構成したが、他に例えば、有機EL(エレクトロルミネッセンス)、あるいは液晶表示装置により構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態に係る信号灯を分解した状態を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る信号灯を示す正面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る信号灯の縦断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る信号灯において青信号時の前面カバーの発光形態の変化を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る信号灯において黄信号時の前面カバーの発光形態の変化を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る信号灯において赤信号時の前面カバーの発光形態の変化を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る信号灯において一日の時間帯によって前面カバーの色を変化させる例を示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る信号灯において季節によって前面カバーの色を変化させる例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0053】
10…信号灯
11…灯本体
12…前面カバー
13…開口部
14…フード
15…筐体
20…LEDユニット(ユニット)
20a…青色LEDユニット
20b…黄色LEDユニット
20c…赤色LEDユニット
21…LED
22…信号表示基板
23…フィルターレンズ
30…発光手段
31…LED
32…基板
33…マルチカラーユニット
34…挿通口部
40…制御基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両や通行人に通行許可ないし停止指示その他の交通規制情報を視認させるための信号灯において、
灯本体と、該灯本体に設けられ前記交通規制情報を表す各灯色にそれぞれ点灯するユニットとを有し、
前記灯本体の前面側が、前記ユニットの点灯とは別に複数色に発光可能であることを特徴とする信号灯。
【請求項2】
前記灯本体の前面側は、透光性材質から成る前面カバーから成り、前記各ユニットを前方に開放する開口部が形成され、
前記灯本体内に、前記前面カバーを透過させるよう複数色に発光可能であり、前記前面カバーの内側にて前記各ユニットの正面に被らない位置に発光手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の信号灯。
【請求項3】
前記前面カバーは、拡散性を有する合成樹脂から成形することを特徴とする請求項1または2に記載の信号灯。
【請求項4】
前記発光手段は、光の3原色である青色、赤色、緑色の数多のLEDを基板上に密に混在させて配置して成り、発光時に各色LEDの点灯ないし消灯により、全体的ないし部分的に色相および/または明度を段階的に調整できることを特徴とする請求項1,2または3に記載の信号灯。
【請求項5】
前記灯本体の前面側の前記発光手段による発光は、その発光形態により装飾以外にも前記交通規制情報に関連した信号補助情報を表すことを特徴とする請求項1,2,3または4に記載の信号灯。
【請求項6】
前記信号補助情報には、前記各ユニットの点灯に関する経過時間を少なくとも含むことを特徴とする請求項1,2,3,4または5に記載の信号灯。
【請求項7】
前記灯本体の前面側の前記発光手段による発光は、季節や時間帯に応じて色相および/または明度を変化させることを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6に記載の信号灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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