説明

修飾タンパク質

化学的修飾により糖タンパク質をコンジュゲートさせる方法、並びに新規の修飾された糖タンパク質が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された薬剤の調製、特に改善された薬力学的及び薬物動態学的特性を有する修飾された糖タンパク質の調製に関する。
【背景技術】
【0002】
生体由来のタンパク質は、高度な効能とその天然リガンドに対する高度な選択性を有していることが多いために治療剤としての期待が高い。生物は明確な排出メカニズムとその排出のための代謝経路を既に有しているために、生体由来であることは、それらが無毒性であり、一般的な低分子薬剤よりも使用が安全である蓋然性が増すことになる。このことを、現在タンパク質は様々な異なる発現系中において組換えDNA技術により生産でき、大規模生産が可能であるという事実と併せると、タンパク質は理想的な薬剤候補になる。しかしながら、治療的に関心のあるタンパク質、例えばホルモン、可溶性レセプター、サイトカイン、酵素等は、体内での循環半減期が短いことが多く、これが一般的にその治療的有用性を低下させる。
【0003】
治療用タンパク質は多くの経路で循環から排除される。いくつかの薬理活性タンパク質では、循環からの排除を媒介する特異的レセプターが存在している。グリコシル化されるタンパク質は、肝臓において、その分子の糖鎖に対してのみ特異性を示すレクチン様レセプターにより除去されうる。約50kDa以下のタンパク質及びペプチド(特に非グリコシル化タンパク質及びペプチド)の腎臓による非特異的クリアランスについても文献化されている。アシアロ糖タンパク質が、天然糖タンパク質又はグリコシル化を欠くタンパク質よりも、肝臓によってより素早く除去されることが記載されている(Bocci (1990) Advanced Drug Delivery Reviews 4: 149)。また治療用タンパク質は、アミノ酸配列又は3次元構造における小さな変化でさえ治療用タンパク質を免疫原性にしうるので、それらが自己タンパク質と完全には同一ではない場合に、免疫系によって循環から排除される。さらに治療用タンパク質により誘導される免疫応答は、循環からの除去促進とは別に、様々な所望されない効果を有するおそれがある:抗体は、治療用タンパク質の結合部位への接近を立体的に阻害することによって治療効果を妨害するか又はブロックし、誘導された抗体が自己タンパク質と交差反応し得、それによって自己免疫反応を生じるおそれがある。また、治療用タンパク質を、ある種の細胞、器官又は組織を標的にするように修飾することにも関心が寄せられている。特殊化細胞又は組織中に存在する分子に対して高い親和性を有するリガンド分子へのタンパク質のコンジュゲート又は融合は、この効果を達成する既知の一方法である。
【0004】
よって、長時間にわたる血清半減期及び/又は低減した免疫原性及び/又は改善された薬理学的性質を示す修飾された(治療用)タンパク質の調製方法の提供に対して一般的必要性がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、可溶性糖タンパク質誘導体の循環半減期の延長をもたらし、よって治療又は予防のための循環糖タンパク質の治療的有効レベルの維持に必要な注入頻度及び注射物質の量を減少させる。ある種の治療的に活性な糖タンパク質ではインビボ血漿半減期が短いことは、治療又は予防に必要とされるであろう可溶性タンパク質の量及び頻度のために望ましいことではない。本発明は、糖タンパク質構造に対する有効な変化を有し、生物活性が実質的に維持された糖タンパク質の循環半減期を延長させる手段を提供する。
【0006】
本発明は、ポリマー部分のオキシムが糖タンパク質のグリコシル基に導入され、該修飾された糖タンパク質が、出発糖タンパク質と比較して改善された薬理学的性質を有する糖タンパク質誘導体を調製する簡便な方法を提供する。
【0007】
よって、本発明は、一般構造
(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'-M') (式I)
[上式中、M及び場合によってはM'は、独立して、修飾された糖タンパク質の分子量を増加させるためのポリマー部分であり、L及びL'は、独立して二価リンカーを表し、Pは該糖タンパク質の一又は複数の酸化グルカン末端を有する糖タンパク質を表し、O、N、C及びHは、それぞれ酸素、窒素、炭素及び水素原子を表し、nは1−10であり、mは0−50である]
を有する修飾された糖タンパク質の調製方法に関し、該方法は、
a)糖タンパク質Pに存在する少なくとも一のグリカン末端を過ヨウ素酸イオンで酸化させ、ここでPは、一又は複数のアルデヒド基を含む糖タンパク質P-(CHO)n+mを得るための複数のグリコフォームを表し、
b)P-(CHO)n+mをM-L-O-NHと反応させて、構造(M-L-O-N=CH)-P-(CHO)の修飾糖タンパク質を得、
c)場合によっては、構造(M-L-O-N=CH)-P-(CHO)の糖タンパク質中の任意の未反応アルデヒド基をM'-L'-O-NHと反応させて、構造(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'=M')の修飾糖タンパク質を得る;
工程を含み、ここで前記過ヨウ素酸イオンは、糖タンパク質に存在する非還元グリカン末端の数に対して、50当量未満の量で存在しており、該修飾糖タンパク質は、出発糖タンパク質Pと比較して改善された薬理学的性質を有し、その機能活性は維持している。
【0008】
P-(CHO)n+m中のアルデヒド基又はアルデヒド基群は、そのジェミナルなジオール型として、又はヘミアセタール(類)として一過的に存在し得ることが理解される。
また、P-及び-P-とは、糖タンパク質が、前記糖タンパク質の一又は複数の酸化グルカン末端を有し、化学結合が該一又は複数のグルカン末端でなされていることが理解される。
【0009】
さらに本発明は、本発明の方法により得ることができる修飾された糖タンパク質に関する。
よって、本発明は、一般構造
(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'-M') (式I)
[上式中、M及び場合によってはM'は、独立して、修飾された糖タンパク質の分子量を増加させるためのポリマー部分であり、L及びL'は、独立して二価リンカーを表し、Pは該糖タンパク質の一又は複数の酸化グルカン末端を有する糖タンパク質を表し、O、N、C及びHは、それぞれ酸素、窒素、炭素及び水素原子を表し、nは1−10であり、mは0−50である]
を有する修飾された糖タンパク質に関し、該修飾された糖タンパク質は、出発糖タンパク質Pと比較して改善された薬理学的性質を有し、その機能活性は維持されている。
また本発明は、一般構造
(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'-M') (式I)
[上式中、M及び場合によってはM'は、独立して、修飾された糖タンパク質の分子量を増加させるためのポリマー部分であり、L及びL'は、独立して二価のリンカーを表し、Pは該糖タンパク質の一又は複数の酸化グルカン末端を有する糖タンパク質を表し、O、N、C及びHは、それぞれ酸素、窒素、炭素及び水素原子を表し、nは1−10であり、mは0−50である]
を有する複数の修飾された糖タンパク質を含む調製物に関し、該修飾された糖タンパク質は、出発糖タンパク質Pと比較して改善された薬理学的性質を有し、その機能活性は維持されている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
「複数の修飾された糖タンパク質」とは、調製物内の個々の修飾された糖タンパク質分子が、厳密に同一の化学構造を有しておらず、個々の糖タンパク質分子内でかなり多様であることと理解される。出発糖タンパク質Pは、典型的には異なるグリコフォームで存在する。「グリコフォーム」とは、翻訳後修飾又は共翻訳修飾のいずれかにより、それらに異なった多糖類が結合した同一タンパク質のタンパク質アイソフォームを意味する。調製に伴ういくつかの分子は、全く修飾されていなくてもよく、またいくつかの分子は、一以上のポリマー部分で修飾されていてもよく、これがまた各個々の糖タンパク質の異なるグリカン末端で修飾されてもよい。よって、Pは複数のタンパク質Pグリコフォームであると考えられる。
【0011】
「非還元グリカン末端」又は「非還元グリカン末端群」なる用語は、フェーリング液又はトレンス試薬等を使用して、これらの試薬で酸化されるオリゴ糖の還元末端と対照的に、還元されないオリゴ糖の末端又は末端群を意味する。糖タンパク質では、オリゴ糖は、通常はグリコシド-又はグリコサミノ結合を介してその還元末端にてタンパク質に結合している。オリゴ糖の非還元末端には、例示であって限定するものではないが、複合N-及びO-グリカン上の末端シアル酸残基;ハイブリッドN-グリカン上の末端シアル酸残基;高マンノースN-グリカン上の末端マンノース残基;複合N-及びO-グリカン上の末端ガラクトース残基;ハイブリッドN-グリカン上の末端ガラクトース残基;複合N-及びO-グリカン上の末端N-アセチルガラクトース残基;ハイブリッドN-グリカン上の末端N-アセチルガラクトース残基;複合N-及びO-グリカン上の末端N-アセチルグルコサミン残基;ハイブリッドN-グリカン上の末端N-アセチルグルコサミン残基;完全又は部分的に露出したトリマンノースコア残基上の末端マンノース残基;コアフコース残基を含む末端フコース残基;末端グルコース及びキシロース残基が含まれる。
【0012】
出発糖タンパク質Pは、特定の末端グリカン部分が過ヨウ素酸反応に対して好ましいものであるならば、場合によってはシアリダーゼ、ガラクトシダーゼ、N-アセチルグルコサミンダーゼ、マンノシダーゼ又はフコシダーゼでトリミングされてもよい。また、グリカン部分は、シアリルトランスフェラーゼ、ガラクトシルトランスフェラーゼ、N-アセチルグルコサミノシルトランスフェラーゼ;N-アセチルガラクトサミノシルトランスフェラーゼ;マンノシルトランスフェラーゼ、及びそれぞれの糖供与体、例えばCMP-Sia;UDP-Gal;GDP-Fuc等を使用し、リモデリングされてもよい。
【0013】
糖タンパク質のグリカン末端を酸化するための過ヨウ素酸塩の使用はよく文献化されており、タンパク質コンジュゲートを調製する一般的な方法として使用されている。公開番号WO 06/071801の国際特許出願には、フォン・ヴィレブランド因子のグリカン末端の酸化、及びタンパク質のペグ化型を調製するためのその応用について記載されている。公開番号WO 00/23114を有する国際特許出願には、インターフェロン-β-1aのペグ化型を調製するための方法が記載されており、公開番号WO 92/16555を有する国際特許出願には、タンパク質にPEG部分をコンジュゲートするためのいくつかの方法が記載されており、そこには、過ヨウ素酸塩を使用するグリカン末端上でのアルデヒド官能基の形成が記載されている。
【0014】
糖部分におけるジオールの開裂の他に、過ヨウ素酸塩は、メチオニン等のアミノ酸側鎖を酸化させ、セリン及びスレオニン等のアミノアルコール部分を含むN末端アミノ酸を開裂させることが知られている。ある場合には、メチオニンの側鎖の酸化により、タンパク質の生物学的プロファイルの変化が、特に生物活性の変化がもたらされうる。Kornfelt, T; Persson, E.及びPalm, L.; Archives of Biochemistry and Biophysics Vol. 363 , No. 1 pp. 43-54 (1999)に述べられているように、組換え第FVII凝固因子(例えば、 FVIIa)の活性化型は、メチオニン酸化に対して非常に感受性であることが証明されている。過酸化水素を用いてメチオニン298及び306を酸化させた後では、解離定数が3倍に増加していることに見られるように、可溶型組織因子(TF)へのFVIIaの結合はさらに弱化している。また、可溶型TFとの複合体におけるメチオニン酸化FVIIaのアミド分解活性は、天然のFVIIa-TF複合体のものと比較して80%しかない。
【0015】
驚くことではないが、これらの知見と一致して、我々は、文献に一般的に記載されており、上述された過ヨウ素酸塩媒介コンジュゲート法を使用する場合、既知のペプチド基質を開裂させる能力により測定されるFVIIaのペプチド分解活性の有意で、ある場合には完全な消失が観察されることを見出した。よって、PEG部分等の過ヨウ素酸塩媒介性コンジュゲーションのための既知の方法は、酸化に対して高度に敏感な糖タンパク質で作業をする場合に、その使用が非常に制限される。この発明は、この問題を解消する一般的な方法を記載しており、よって、保持された機能活性を有するオキシムコンジュゲート糖タンパク質の調製を可能にする初めての方法を開示している。
【0016】
当量に関し、低濃度を適用する場合−糖タンパク質に存在する非還元グリカン末端の数に対する過ヨウ素酸塩の化学量論量が近い場合、生物活性は保存可能である。驚くべきことに、化学量論量の過ヨウ素酸イオンを用いた酸化、続くコンジュゲート化学は、許容されるタイムフレーム内で続行され、中程度から良好な収率で、高純度の生物学的機能を有するタンパク質コンジュゲートが提供される。
【0017】
一実施態様では、本発明は、修飾された糖タンパク質を調製する方法に関し、ここで該糖タンパク質は、N-グリコシル化及び/又はO-グリコシル化されており、及び/又はシアル酸部分を含む。
【0018】
さらなる実施態様では、本発明は、修飾された糖タンパク質を調製する方法に関し、ここで該方法は、修飾された糖タンパク質が出発糖タンパク質と比較して改善された薬理学的性質を有していることを確認するさらなる工程を含む。
【0019】
一実施態様では、改善された薬理学的性質は、生物学的利用能の増加、機能的インビボ半減期の増加、インビボ血漿半減期の増加、免疫原性の低下、プロテアーゼ耐性の増加、アルブミンに対する親和性の増加、レセプターに対する親和性の改善、保存安定性の増加、機能的インビボ半減期の低減、インビボ血漿半減期の低減からなる群から選択される。
【0020】
一実施態様では、半減期の増加は、M及び/又はM'を、腎クリアランスが低減され又は消失されるように分子量を増加させる基にするか、及び/又はM及び/又はM'を肝臓レセプターに対する結合パートナーをマスクする基にすることにより得られる。
一実施態様では、免疫原性の低下は、M及び/又はM'を免疫原性部位に結合する抗体をブロックする基にすることにより得られる。
一実施態様では、アルブミンに対する親和性の改善は、M及び/又はM'をアルブミンに対して高い親和性を有する基にすることにより得られる。
一実施態様では、レセプターに対する親和性の改善は、M及び/又はM'を標的細胞における表面レセプターに特異的に結合する基にすることにより得られる。
【0021】
さらなる実施態様では、本発明は、一般構造
(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'-M') (式I)
[上式中、M及び/又はM'は、一又は複数のカルボン酸、アミン類、スルホン酸、ホスホン酸又はその組合せを含有してよい低分子量の有機荷電基;低分子量の中性親水性分子、例えばシクロデキストリン、又は場合によっては分枝状のポリエチレン鎖;低分子量の疎水性分子、例えば脂肪酸又はコール酸又はその誘導体;2−40kDaの平均分子量を有するポリエチレングリコール;十分に定義された精密ポリマー、例えば700Da〜20kDaの範囲の正確な分子量を有するデンドリマー;実質的に非免疫原性のポリペプチド、例えばアルブミン、抗体又はFcドメインを含んでいてもよい抗体の一部;及び高分子量の有機ポリマーからなる群から選択される]
を有する修飾された糖タンパク質を調製する方法に関する。
【0022】
さらなる実施態様では、本発明は、一般構造
(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'-M') (式I)
[上式中、M及び/又はM'は、デンドリマー、ポリアルキレングリコール(PAG)を含むポリアルキレンオキシド(PAO)、例えばポリエチレングリコール(PEG)及びポリプロピレングリコール(PPG)、分枝状PEG、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボキシレート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン・無水マレイン酸コポリマー、ポリスチレン・無水マレイン酸コポリマー、デキストラン、カルボキシメチル-デキストランからなる群から選択される]
を有する修飾された糖タンパク質を調製する方法に関する。
【0023】
さらなる実施態様では、M及び/又はM'は、ヒドロキシアルキルデンプン(HAS)及びヒドロキシエチルデンプン(HES)、例えば Clin Pharmacokinet 2005; 44 (7): 681-699に記載され、WO2006094810A2に開示されている化合物から選択される;HESの適切に活性化された形態は、出典明示によりここに導入されるWO2005092369A2に開示されている。
さらなる実施態様では、M及び/又はM'は、ポリ(1-ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)(PHF)又は類似の分解デキストラン類、例えば出典明示によりここに含まれるWO2006094810A2に記載されているものであり、そこでは、ポリマーの適切に活性化された形態が開示されている。
さらなる実施態様では、M及び/又はM'は、双性イオン性ポリマー、例えば出典明示によりここに含まれるWO03062290A1に開示されているものから選択される。特定の実施態様では、ポリマーは2-メタクリロイルオキシ-2'-エチルトリメチルアンモニウムホスフェート内塩(MPC)である。
【0024】
さらなる実施態様では、本発明は、一般構造
(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'-M') (式I)
[上式中、M及び/又はM'は、血清タンパク質結合リガンド、及び生理学条件下にて帯電特性を変化させる部分を有する小有機分子、グリカンのレセプターへの結合を阻害する構造、及びグリカン特異的認識を防止する中性置換基からなる群から選択される]
を有する修飾された糖タンパク質を調製する方法に関する。
【0025】
さらなる実施態様では、本発明は、一般構造
(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'-M') (式I)
[上式中、Pは、FVII、FVIII、FIX、FX、FII、FV、プロテインC、プロテインS、tPA、PAI-1、組織因子、FXI、FXII、FXIII、並びにその配列変異体;免疫グロブリン、サイトカイン、例えばインターロイキン、α-、β-、及びγ-インターフェロン、コロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、ホスホリパーゼ活性化タンパク質(PUP)、インスリン、植物タンパク質、例えばレクチン及びリシン、腫瘍壊死因子及び関連する対立遺伝子、腫瘍壊死因子レセプターの可溶型、インターロイキンレセプター及びインターロイキンレセプターの可溶型、増殖因子、例えば組織増殖因子、例えばTGFa’s又はTGFps、及び表皮増殖因子、ホルモン、ソマトメジン、エリスロポエチン、色素性ホルモン、視床下部放出因子、抗利尿ホルモン類、プロラクチン、絨毛性ゴナドトロピン、卵胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、組織プラスミノーゲンアクチベータ、及び免疫グロブリン、例えばIgG、IgE、IgM、IgA、及びIgD、及びその断片、又は上述のタンパク質又はその断片の任意のものを含む任意の融合タンパク質から選択される]
を有する修飾された糖タンパク質を調製する方法に関する。
【0026】
さらなる実施態様では、本発明は、一般構造
(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'-M') (式I)
[上式中、糖タンパク質は第VII因子ポリペプチドである]
を有する修飾された糖タンパク質を調製する方法に関する。
さらなる実施態様では、本発明は、一般構造
(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'-M') (式I)
[上式中、糖タンパク質は野生型ヒト第VII因子のアミノ酸配列を有する]
を有する修飾された糖タンパク質を調製する方法に関する。
さらなる実施態様では、本発明は、一般構造
(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'-M') (式I)
[上式中、糖タンパク質は第VIII因子ポリペプチドである]
を有する修飾された糖タンパク質を調製する方法に関する。
ここで使用される場合、「第VIII因子」又は「FVIIIポリペプチド」には、FVIII:FVIIIのC、B-ドメイン欠失型、アミノ酸変異体及びその組合せが含まれる。
【0027】
さらなる実施態様では、本発明は、一般構造
(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'-M') (式I)
を有する修飾された糖タンパク質を調製する方法に関し、ここで修飾された糖タンパク質は、本明細書に記載されるような凝固アッセイ、タンパク質分解アッセイ、又はTF結合アッセイの一又は複数で試験された場合、未修飾の第VII因子ポリペプチドの特定の活性の、少なくとも約10%、例えば少なくとも約20%、例えば少なくとも約40%、例えば少なくとも約60%、少なくとも約80%、例えば少なくとも約100%を示す。
【0028】
さらなる実施態様では、本発明は、一般構造
(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'-M') (式I)
を有する修飾された糖タンパク質を調製する方法に関し、ここで修飾された糖タンパク質は、未修飾の糖タンパク質の生物学的利用能の少なくとも約110%、例えば少なくとも約120%、約130%、又は未修飾の糖タンパク質の生物学的利用能の少なくとも約140%の生物学的利用能を示す。
【0029】
さらなる実施態様では、本発明は、一般構造
(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'-M') (式I)
を有する修飾された糖タンパク質を調製する方法に関し、ここで修飾された糖タンパク質は、未修飾の糖タンパク質の半減期の少なくとも約125%、例えば約150%、約200%、又は未修飾の糖タンパク質の半減期の少なくとも約250%の血清半減期を示す。
【0030】
さらなる実施態様では、本発明は、一般構造
(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'-M') (式I)
を有する修飾された糖タンパク質を調製する方法に関し、ここで過ヨウ素酸イオンは、糖タンパク質に存在する非還元グリカン末端の数に対して、20当量未満、例えば10当量未満、例えば5当量未満、例えば1当量未満、例えば糖タンパク質に存在する非還元グリカン末端の数に対して、0.1−20当量の範囲、例えば0.1−10当量の範囲、例えば0.1-5当量の範囲、例えば0.1−1当量の範囲の量で存在している。
【0031】
よって、一実施態様では、過ヨウ素酸イオンの数は、糖タンパク質に存在する非還元グリカン末端の数に対して、10−20当量の量で存在している。他の実施態様では、過ヨウ素酸イオンの数は、糖タンパク質に存在する非還元グリカン末端の数に対して、5−10当量の量で存在している。他の実施態様では、過ヨウ素酸イオンの数は、糖タンパク質に存在する非還元グリカン末端の数に対して、2−5当量の量で存在している。他の実施態様では、過ヨウ素酸イオンの数は、糖タンパク質に存在する非還元グリカン末端の数と実質的に等しい当量の量で存在している。他の実施態様では、過ヨウ素酸イオンの数は、糖タンパク質に存在する非還元グリカン末端の数に対して、0.1−0.9当量の量で存在している。
【0032】
他の実施態様では、準化学量論的な量の過ヨウ素酸塩が、糖タンパク質に存在する非還元グリカン末端の数に対して使用される。
本明細書及び特許請求の範囲において、「ポリペプチド」なる用語は、ペプチド結合アミノ酸残基からなる直鎖状の単鎖分子である。よって、本用語は、ペプチド(2−10のアミノ酸残基)、オリゴペプチド(11−100のアミノ酸残基)及び本来のポリペプチド(100を越えるアミノ酸残基)を包含する。よって、ポリペプチドは、生物学的に活性な構造単位であるが、機能を欠いている場合もある。本明細書において「タンパク質」は、少なくとも一のポリペプチドを含む機能的又は非機能的分子又は複合体であり、モノマーとは別に、該用語には、ポリマー分子、例えばホモ-及びヘテロ多量体が含まれる。タンパク質は補欠分子族(接合団)を含んでいてよく、様々なグリコシル化及び脂質化パターンを含みうる。ここで使用される「糖タンパク質」とは、何らかの方法でグリコシル化されたタンパク質のことである。本発明のいくつかの実施態様では、糖タンパク質は、N-グリコシル化及び/又はO-グリコシル化され、及び/又はシアル酸部分で修飾される。
【0033】
他の実施態様では、修飾されたグリコシル化分子を生産する方法は、修飾された糖タンパク質が、グリコシル化出発分子と比較して改善された薬理学的性質を有していることを確認するさらなる工程を含む。
典型的には、改善された薬理学的性質は、生物学的利用能の増加、機能的インビボ半減期の増加、インビボ血漿半減期の増加、免疫原性の低下、プロテアーゼ耐性の増加、アルブミンに対する親和性の増加、レセプターに対する親和性の改善、保存安定性の増加からなる群から選択される。
【0034】
「機能的インビボ半減期」なる用語は、その通常の意味で使用される。すなわち、修飾された糖タンパク質又は参照分子の生物学的活性の50%が体/標的器官になお存在している時間、又は修飾された糖タンパク質又は参照分子の活性がそのピーク値の50%まで低下するのにかかる時間である。機能的インビボ半減期を測定するための代替として、「インビボ血漿半減期」、すなわち、排除される前に、修飾された糖タンパク質又は参照分子の50%が、血漿又は血流を循環している時間を測定してもよい。血漿半減期の測定は、多くの場合、機能的半減期を測定するよりも簡単で、血漿半減期の大きさは、通常、機能的インビボ半減期の大きさの良好な目安となる。血漿半減期の代替用語には、血清半減期、循環半減期(circulating half-life)、循環性半減期(circulatory half-life)、血清クリアランス、血漿クリアランス、及びクリアランス半減期が含まれる。保持される機能は、通常、凝血原、タンパク質分解、共因子(co-factor)結合、レセプター結合活性、又は特定のタンパク質に関連した他のタイプの生物学的活性から選択される。
【0035】
機能的インビボ半減期又は血漿半減期に関連して使用される「増加」なる用語は、修飾された糖タンパク質の関連半減期が、本発明の方法を受けていない他の同一の糖タンパク質等の参照分子のものと比較して統計的に有意に増加していることを示す。よって、半減期は比較できる条件下で測定される。例えば関連半減期は、少なくとも約25%、例えば少なくとも約50%、例えば少なくとも約100%、150%、200%、250%、又は500%増加していてもよい。いくつかの実施態様では、本発明の修飾された糖タンパク質は、未修飾の糖タンパク質の半減期に対し、少なくとも約0.25時間、好ましくは少なくとも約0.5時間、より好ましくは少なくとも約1時間、最も好ましくは少なくとも約2時間の半減期の増加を示す。
【0036】
生物学的インビボ半減期の測定は、文献に記載されている多くの方法により実施することができる。rFVIIa及びその変異体のインビボ半減期を測定するためのアッセイに修飾されたFVIIa(第VIIa凝固因子)を使用する例は、FDA参照番号96-0597に記載されている。簡単に述べると、FVIIa凝固活性は、修飾された糖タンパク質の投与前、及び投与後24時間の間に採取された血漿において測定される。定常状態での分布のメジアン見かけ体積を測定し、メジアンクリアランスを測定する。
【0037】
「生物学的利用能」とは、投与後の予め決められた時間に血漿中で検出可能な複合糖質の投与量の割合を意味する。典型的には、生物学的利用能は、約25−250μg/kgの用量の調製物を投与し;投与後の予め決められた時間に血漿サンプルを得;適切なバイオアッセイ、又は免疫アッセイ、又は等価なアッセイを使用して、試料中の糖タンパク質の含有量を測定することにより、試験動物で測定される。データは、典型的には[糖タンパク質]対時間としてグラフに示され、生物学的利用能は、曲線下の面積(AUC)として表される。試験調製物の相対的生物学的利用能は、試験調製物のAUCと未修飾の糖タンパク質のAUCとの間の比率を意味する。
【0038】
いくつかの実施態様では、本発明の調製物は、対応する未修飾の糖タンパク質の生物学的利用能の少なくとも約110%、好ましくは少なくとも約120%、より好ましくは少なくとも約130%、最も好ましくは少なくとも約140%の相対的生物学的利用能を示す。生物学的利用能は、任意の哺乳動物種、好ましくはイヌで測定することができ、AUCを算出するために使用される予め決められた時間は、10分−8時間の異なる増分を含みうる。例えば、生物学的利用能は、次のようにして、イヌモデルにおいて測定されうる:4グループに分けた12匹のビーグル犬で四肢交差研究として実験を実施する。全ての動物には、塩化ナトリウム(2.92mg/ml)、塩化カルシウム二水和物(1.47mg/ml)、マンニトール(30mg/ml)、及びポリソルベート80を含むグリシルグリシン(pH5.5)等の適切なバッファーに入った約90μg/kgの用量の試験調製物Aと参照調製物Bを投与する。最初の投与から10、30、及び60分、2、3、4、6及び8時間後に血液試料を採血する。試料から血漿を得、ELISAにより糖タンパク質を定量する。
【0039】
調製物の「免疫原性」なる用語は、ヒトに投与された場合、体液性、細胞性又はその双方であってもなくても、有害な免疫応答を誘発する調製物の能力を意味する。任意のヒト亜母集団においては、特定の投与されたタンパク質に対して感受性を示す個体が存在し得る。免疫原性は、当該分野で知られている一般的な方法を使用して、感受性の個体における糖タンパク質反応性T細胞及び/又は抗糖タンパク質抗体の存在を定量することにより測定することができる。ある実施態様では、本発明の修飾された糖タンパク質は、感受性の個体における免疫原性を、未修飾の糖タンパク質の個体に対する免疫原性に対して、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約40%、最も好ましくは少なくとも約50%の低下を示す。
【0040】
薬剤に対する免疫原性は、タンパク質様剤が非感受性の被験者において免疫原性になり得るという事実に関連しており、薬剤の繰り返し投与は、薬剤に対する免疫応答の連続ブーストに至ることを意味する。これは、免疫応答が薬剤の活性を阻害するため、ほとんどの場合所望されず、よって、治療効果をもたらすためには、経時的に増加した用量の薬剤を投与することが必要となる。ある実施態様では、本発明の修飾された糖タンパク質は、個々の未修飾の糖タンパク質の免疫原性に対して、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約40%、最も好ましくは少なくとも約50%の非感受性の被験者における免疫原性低下を示す。
【0041】
糖タンパク質に対してここで使用される「プロテアーゼ保護」なる用語は、血漿ペプチダーゼ又はプロテアーゼに対する耐性を該化合物に付与するために化学的に修飾された糖タンパク質を意味する。血漿中のプロテアーゼは、いくつかのペプチドホルモンの分解に関与し、より大きなタンパク質の分解における役割も担っていることが知られている。
【0042】
例えばジペプチジルアミノペプチダーゼIV(DPPIV)による分解に対する糖タンパク質の耐性は、次の分解アッセイにより測定される:0.1Mのトリエチルアミン-HClバッファー100μL、pH7.4中の5mU酵素活性に相当する1μLの精製ジペプチジルアミノペプチダーゼIVと共に糖タンパク質のアリコート(5nmol)を37℃で10−180分インキュベートする。10%のトリフルオロ酢酸5μLを添加することにより酵素反応を終結させ、ペプチド分解産物を分離し、HPLC分析を使用して定量する。この分析を実施するための一方法は次の通りである:混合物をVydac C18ワイドポア(widepore)(30nmの孔、5μmの粒子)250×4.6mmのカラムに適用し、Siegelら, Regul. Pept. 1999;79;93-103及びMentleinら, Eur. J. Biochem. 1993;214:829-35に従い、0.1%のトリフルオロ酢酸に線形の段階的勾配をつけてアセトニトリルが入ったもの(3分間は0%のアセトニトリル、17分間は0-24%のアセトニトリル、1分間は24-48%のアセトニトリル)を、1ml/分の流量で溶出させる。ペプチドとその分解生成物を、220nm(ペプチド結合)又は280nm(芳香族アミノ酸)の吸光度をモニターし、標準に対するそれらのピーク面積を積分することにより定量される。ジペプチジルアミノペプチダーゼIVによるペプチドの加水分解速度は、10%未満のペプチドが加水分解されるインキュベート時間で概算される。
【0043】
哺乳動物種の循環血液中に最も豊富なタンパク質成分は血清アルブミンであり、全血100ミリリットル当たり約3から4.5グラムの濃度で通常存在している。血清アルブミンは約70000ダルトンの血液タンパク質であり、循環系においていくつかの重要な機能をもたらす。例えば、それは、血液中に見出される多様な有機分子のトランスポーターとして、種々の代謝産物、例えば脂肪酸やビリルビンの血液を介する主要なトランスポーターとして、また多量にあるために、循環血液の浸透圧調節物質として機能する。血清アルブミンは1週間以上の半減期を有しており、ペプチドの血漿半減期を増加させるための一アプローチは、血清アルブミンに結合する化学実体でペプチドを誘導体化することである。「アルブミンバインダー」なる用語は、アルブミン等の血漿タンパク質に結合することが知られているこのような化学実体のことを指す。アルブミン結合特性は、出典明示によりここに導入されるJ.Med.Chem, 43, 2000, 1986-1992に記載されているようにして測定されうる。アルブミン結合部分には、脂肪酸誘導体、有機スルファテート化されたポリアロメート、例えばチバクロン、並びに40未満のアミノ酸残基を有するペプチド、例えば出典明示によりここに援用されるJ. Biol Chem. 277, 38 (2002) 35035-35043に開示されている部分が含まれる。
【0044】
本発明に従って調製される糖タンパク質は、未修飾の糖タンパク質と比較して改善された機能特性を示す。改善された機能特性には、限定されるものではないが、a)物理的特性、例えば保存安定性の改善;b)薬物動態学的特性の改善、例えば生物学的利用能及び半減期の増加;及びc)ヒトにおける免疫原性の低下が含まれる。
糖タンパク質の保存安定性は、(a)乾燥粉末として25℃で保存した場合、調製物の生物学的利用能の20%が崩壊するのに必要な時間、及び/又は(b)調製物において、凝集物等、予め決められた分解産物の割合が倍になるのに必要な時間を測定することにより評価されうる。
【0045】
ある実施態様では、本発明の修飾された糖タンパク質は、該糖タンパク質を含有する調製物を乾燥粉末として25℃で保存した場合、未修飾の糖タンパク質に対して必要とされる時間に対し、生物学的利用能の20%が崩壊するのに必要な時間が、少なくとも約30%、好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも100%増加することが示される。
【0046】
生物活性の測定は、特定のタンパク質に関連したある種の生物活性に準じて行われる;例えば凝固因子の場合では、生物活性は、凝固アッセイ、タンパク質分解アッセイ、TF結合アッセイ、又はTF独立性トロンビン生成アッセイの任意のものを使用して測定されうる。
【0047】
ある実施態様では、本発明の調製物は、参照調製物と比較すると、双方の調製物を乾燥粉末として25℃で保存した場合、凝集体等、予め決められた分解産物が倍になるのに必要な時間が、少なくとも約30%、好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約100%の増加を示す。凝集体の量は、例えばゲル浸透HPLC、また他のタイプのよく知られているクロマトグラフィー法により測定されうる。凝固因子の場合、凝集体は、次のように、プロテイン・パック300SWカラム(7.5×300mm)(Waters, 80013)でのゲル浸透HPLCにより測定されうる。カラムは溶離剤A(0.2Mの硫酸アンモニウム、5%のイソプロパノール、リン酸でpH2.5に調節、その後、トリエチルアミンでpH7.0に調節)で平衡にされた後、25μgの試料がカラムに充填される。溶出は、30分、0.5ml/分の流量の溶離剤Aを用いてなされ、検出は215nmでの吸光度を測定することにより達成される。凝集体の量は、凝固因子凝集体のピーク面積/凝固因子のピークの全面積(モノマー及び凝集体)として算出される。
【0048】
二価リンカーL及びL':
L及びL'は同一でも異なっていてもよい二価の化学的リンカーを表す。
一実施態様では、L及びL'は独立して結合又は次のものを表す。

【0049】
(置換基M及びM')
以下において、置換基M及びM'を考察する。
本発明の一実施態様では、半減期の増加は、M及び/又はM'を、腎クリアランスが低減され又は消失されるように分子量を増加させる基にするか、及び/又はM及び/又はM'を肝臓レセプターに対する結合パートナーをマスクする基にすることにより得られる。他の実施態様では、免疫原性の低下は、M及び/又はM'を免疫原性部位に結合する抗体をブロックする基にすることにより得られる。さらに他の実施態様では、アルブミンに対する親和性の改善は、M及び/又はM'をアルブミンに対して高い親和性を有する基にすることにより得られる。さらに他の実施態様では、レセプターに対する親和性の改善は、M及び/又はM'を標的細胞における表面レセプターに特異的に結合する基にすることにより得られる。
置換基M及び/又はM'は、任意の官能性改善基、例えば「延長(プロトラクター(protractor))基」とすることができる。ここで使用される場合、これは、未修飾のタンパク質又はペプチドと比較した場合、タンパク質又はペプチドにコンジュゲートした際に、該タンパク質又はペプチドの循環半減期を増加させる基を意味する。延長効果の背後にある特定の原理は、サイズの増加、ペプチダーゼ又は抗体により認識可能なペプチド配列の保護、例えば肝臓又はマクロファージ中に存在するグリカン特異性レセプターにより認識されない形でのグリカンのマスキング、クリアランスの防止又は低減に起因している。また延長基の延長効果は、例えば、アルブミン等の血中成分への結合、又は血管組織への特異的又は非特異的結合に起因する場合もある。コンジュゲートした糖タンパク質は、未修飾の糖タンパク質の生物学的活性を実質的に維持しているべきである。
【0050】
他の可能性には、例えば、糖タンパク質が非常に高い局所的濃度でその効果を発揮しなければならないならば興味深いように、M及び/又はM'が、修飾された糖タンパク質を、所定のタイプの細胞又は組織に標的化する基である場合が含まれる。またさらなる可能性には、M及び/又はM'が、それだけで有効活性成分、例えば放射性核種又は毒性物質であるものが含まれ−これは、例えば、未修飾の糖タンパク質が悪性組織におけるレセプターに対して高い親和性を有しており、よって修飾された分子における標的化部分として機能する場合に都合がよい。
【0051】
本発明の一実施態様では、M及び/又はM'は、
− 一又は複数のカルボン酸、アミン、スルホン酸、ホスホン酸、又はその組合せを含みうる低分子量の有機荷電基(15−1000Da)、
− 低分子量(15−1000Da)の中性親水性分子、例えばシクロデキストリン、又は場合によっては分枝していてもよいポリエチレン鎖、
− 低分子量(15−1000Da)の疎水性分子、例えば脂肪酸又はコール酸又はその誘導体、
− 2−40kDaの平均分子量のポリエチレングリコール、
− 十分に定義された精密ポリマー、例えば700Da〜20000Da、より好ましくは700−10000Daの範囲の正確な分子量を有するデンドリマー、
− 実質的に非免疫原性の糖タンパク質、例えばアルブミン、又は抗体もしくは場合によってはFcドメインを含んでいてもよい抗体の一部、及び
− 高分子量の有機ポリマー、例えばデキストラン、
からなる群から選択される。
【0052】
本発明の一実施態様では、ポリマー分子は、デンドリマー(例えば、700−10000Daの範囲の分子量を有するもの、又は国際特許出願WO200514049に開示されているデンドリマー)、ポリアルキレングリコール(PAG)を含むポリアルキレンオキシド(PAO)、例えばポリエチレングリコール(PEG)及びポリプロピレングリコール(PPG)、分枝状PEG、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボキシレート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン・無水マレイン酸コポリマー、ポリスチレン・無水マレイン酸コポリマー、デキストラン、例えばカルボキシメチル-デキストラン、HES、PHF又はMPCからなる群から選択される。本発明の一実施態様では、ポリマー分子はPEG基である。本発明の一実施態様では、ポリマー分子はデンドリマーである。
【0053】
本発明の一実施態様では、M及び/又はM'は、血清タンパク質結合リガンド、例えばアルブミンに結合する化合物、例えば脂肪酸、C5-C24脂肪酸、脂肪族の二酸(例えばC5-C24)、グリカンのレセプター(例えばアシアロ糖タンパク質レセプター及びマンノースレセプター)への結合を阻害する構造(例えば、シアル酸誘導体又は模倣剤)、生理学的条件下で帯電特性を変化させる部分を有する小有機分子、例えばカルボン酸又はアミン類、又はグリカン特異性認識を防止する中性置換基、例えばより小さいアルキル置換基(例えば、C1-C5アルキル)、一又は複数のカルボン酸、アミン類、スルホン酸、ホスホン酸、又はその組合せを含みうる低分子量の有機荷電基(例えば、C1-C25);低分子量の中性親水性分子(例えば、C1-C25)、例えばシクロデキストリン、又は場合によっては分枝していてもよいポリエチレン鎖;2−40kDaの平均分子量を有するポリエチレングリコール;十分に定義された精密ポリマー、例えば700Da〜20000Da、より好ましくは700−10000Daの範囲の正確な分子量を有するデンドリマー;実質的に非免疫原性の糖タンパク質、例えばアルブミン、抗体又は場合によってはFcドメインを含んでいてもよい抗体の一部からなる群から選択される延長基である。
【0054】
一実施態様では、M及び/又はM'は独立して以下のものから選択される:


【0055】
一実施態様では、M及び/又はM'は独立して以下のものから選択される:

上表中、Qは、10−20、10−30、10−40、20−30、20−40、30−40、例えば10、20又は30の整数を表す。

【0056】
一実施態様では、 M-L-ONH2及び/又はM'-L'-ONH2は以下のものである:


【0057】
一実施態様では、 M-L-ONH2及び/又はM'-L'-ONH2は独立して、以下のものから選択される:


【0058】
一実施態様では、 M-L-ONH2及び/又はM'-L'-ONH2は独立して、以下のものから選択される:


【0059】
一実施態様では、 M-L-ONH2及び/又はM'-L'-ONH2は独立して、以下のものから選択される:


【0060】
M及び/又はM'は、以下の群:
− 直鎖状、分枝状及び/又は環状のC1-30アルキル、C2-30アルケニル、C2-30アルキニル、C1-30ヘテロアルキル、C2-30ヘテロアルケニル、C2-30ヘテロアルキニルで、一又は複数の同素環芳香族化合物のビラジカル、又は複素環化合物のビラジカルが挿入されていてもよく、該C1-30又はC2-30基は、-COH、-SOH、-POOH、-SONH、-NH、-OH、-SH、ハロゲン、又はアリールから選択される一又は複数の置換基で置換されていてもよく、該アリールは-COH、-SOH、-POOH、-SONH、-NH、-OH、-SH、又はハロゲンで置換されていてもよいもの;ステロイド基;脂質基;
− 多糖類基、例えばデキストラン類;α-、β-、又はγ-シクロデキストリン、ポリアミド基、例えばポリアミノ酸基;PVP基;PVA基;ポリ(1-3-ジオキサラン);ポリ(1,3,6-トリオキサン);エチレン/無水マレイン酸ポリマー;
− チバクロン染料、例えばチバクロンブルー3GA、及び出典明示によりここに援用されるWO 00/12587に開示されている特定長さのポリアミド鎖;
− 実質的に非免疫原性のタンパク質残基、例えばアルブミニル誘導体のような血液成分、又は抗体又はそのドメイン、例えばヒト正常IgG1由来のFcドメインで、Kan, SKら, The Journal of Immunology 2001, 166(2), 1320-1326、又はStevenson, GT, The Journal of Immunology 1997, 158, 2242-2250に記載されているようなもの;
− ポリエチレングリコール(PEG)又はメトキシポリエチレングリコール(mPEG)基、及びそのアミノ誘導体で、平均分子量が500〜100000Da、例えば500〜60000Da、例えば1000〜40000Da、例えば5000〜40000Daであってよいもの;
− アルブミン等の血漿タンパク質に結合することが知られている部分で、アルブミン結合特性が、出典明示によりここに援用されるJ.Med.Chem, 43, 2000, 1986-1992に記載されているようにして測定されてよいもの、又はアルブミン結合部分、例えば40未満のアミノ酸残基を有するペプチド、例えば出典明示によりここに援用されるJ. Biol Chem. 277, 38(2002)35035-35043に開示されている部分;
の一つから選択される有機基でありうる。
【0061】
他の実施態様では、M及び/又はM'はC1-20-アルキル、例えばC1-18-アルキルである。特に、特定の荷電基、極性基、及び/又はハロゲンで置換されていてもよいC14-、C16-及びC18-アルキルを挙げることができる。このような置換基の例には、-COH、テトラゾール及びハロゲンが含まれる。特定の実施態様では、C1-20-アルキルにおける全ての水素は、フルオロで置換されて、ペルフルオロアルキルを形成する。
特定の実施態様では、M'はMとは異なる。特定の実施態様では、M'は、Mよりも実質的に低い分子量を有する。特定の一実施態様では、M'はメトキシルアミン(MeONH)である。
【0062】
出発分子P
以下、置換基Pを考察する。
糖タンパク質Pは、過ヨウ素酸塩により酸化反応する、グリカン末端を有する。
よって、Pの反応性基は、炭水化物の一部であるか、又はグリコシル化された糖タンパク質のN-又はO-グリカン類に見出されるもの等の、炭水化物残基から誘導される。また糖タンパク質Pの反応性基は、シアル酸残基であってもよい。
【0063】
一実施態様では、Pは、FVII、FVIII、FIX、FX、FII、FV、プロテインC、プロテインS、tPA、PAI-1、組織因子、FXI、FXII、FXIII、並びにその配列変異体;免疫グロブリン、サイトカイン類、例えばインターロイキン、α-、β-、及びγ-インターフェロン、コロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、ホスホリパーゼ活性化タンパク質(PUP)から選択される。またPは、一般的に生物学的及び治療的に関心のある任意の他のタンパク質及びペプチドとすることもでき、インスリン、植物タンパク質、例えばレクチン類及びリシン類、腫瘍壊死因子及び関連する対立遺伝子、腫瘍壊死因子レセプターの可溶型、インターロイキンレセプター及びインターロイキンレセプターの可溶型、増殖因子、例えば組織増殖因子、例えばTGFa’s又はTGFps、及び表皮増殖因子、ホルモン、ソマトメジン、エリスロポエチン、色素性ホルモン類、視床下部放出因子、抗利尿ホルモン、プロラクチン、絨毛性ゴナドトロピン、卵胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、組織プラスミノーゲンアクチベータ、及び免疫グロブリン、例えばIgG、IgE、IgM、IgA、及びIgDを含む。
【0064】
グリカン末端を含まないペプチド及びタンパク質は、グリコシルトランスフェラーゼを使用し、Li Shaoら Glycobiology 12(11)762-770(2002)に記載されているようにして、酵素的にグリコシル化されるか、又は例えば標準的なペプチド化学及びグリコシル化アミノ酸成分、例えばN-ガラクトシル化アスパラギンを使用し、化学的に合成することもできる。
【0065】
また、グリコシル化部位は、インビボでは通常はその非グリコシル化形態で生成されるタンパク質又はペプチドに操作されうる。例えば、EGF反復にコンセンサス配列Cys-XXX-Ser-XXX−Pro-Cysを挿入すると、UDP-グルコース及びグリコシルトランスフェラーゼを使用するセリンの選択的O-グリコシル化が可能になる(Li Shaoら Glycobiology 12(11)762-770(2002))が、コンセンサス配列Asn-XXX-Ser/Thrを挿入するとN-グリコシル化が可能となる(R.A. Dwek, Chem. Rev. 1996, 96, 683-720)。また、スレオニン又はセリンを含むペプチド配列は、配列依存的な形で、UDP-GalNAc:ポリペプチドN-アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ及UDP-GalNAcの存在下でグリコシル化を受ける(例えば、B.C. O'Connell, F.K.Hagen及びL.A. Tabak, J. Biol. Chem. 267(35), 25010-25018(1992)を参照)。また、システイン変異を導入する部位特異的突然変異誘発は、D.P. Gamblinら Angew. Chem.Int. Ed., 43, 828(2004)に記載されているようにして、混合ジスルフィド形成を介して、ガラクトース、又はガラクトース含有糖構造の導入に使用することができる。さらに、ガラクトース又はN-アセチルガラクトサミン含有ペプチド及びタンパク質は、例えばP.G. Schultz, J.Am.Chem.Soc, 125, 1702(2003)により記載されている方法等、非生体ハンドルを含むタンパク質又はペプチドにコンジュゲートさせることにより、又はトリクロロアセトアミジルガラクトシド等、グリコシル供与体基質を使用し、ペプチドを直接グリコシル化することにより非特異的に、作製することができる。発酵培養物へグリコシターゼインヒビターを添加し、US4925796A/US5272066A1に記載されているような、切断型グリカン構造を有する糖タンパク質を製造することにより、ガラクトース又はN-アセチルガラクトサミン含有タンパク質の入手、並びにTGaseを使用するグルタミン残基の酵素的修飾が可能となる(例えば、M. Satoら Angew. Chem. Int. Ed. 43, 1516-1520,(2004)を参照)。
【0066】
N-グリコシル化タンパク質の生産は、哺乳動物宿主細胞、例えばCHO又はBHK細胞を使用することに限定されず、昆虫細胞、酵母、又はM. Wackerら Science, 298, 1790-1793(2002)に記載されているようにして、細菌細胞を使用して、実施することもできる。本発明の一実施態様では、ペプチドはアプロチニン、組織因子経路インヒビター、又は他のプロテアーゼインヒビター、インスリン又はインスリン前駆体、ヒト又はウシの成長ホルモン、インターロイキン、グルカゴン、オキシントモジュリン、GLP-1、GLP-2、IGF-I、IGF-II、組織プラスミノーゲンアクチベータ、形質転換増殖因子γ又はβ、血小板由来増殖因子、GRF(成長ホルモン放出因子)、ヒト成長因子、免疫グロブリン、EPO、TPA、プロテインC、血液凝固因子、例えばFVII、FVIII、FIX、FX、FII、FV、プロテインC、プロテインS、PAI-1、組織因子、FXI、FXII、及びFXIII、エキセンディン-3、エキセンディン-4、及び酵素又はその機能的アナログである。本明細書において「機能的アナログ」なる用語は、天然タンパク質と同様な機能を有するタンパク質を示すことを意味する。タンパク質は天然タンパク質と構造的に類似していてもよく、天然タンパク質のC及びN末端の一方又は双方に、一又は複数のアミノ酸が付加され、天然アミノ酸配列の一つ又は多くの異なる部位で一又は複数のアミノ酸が置換され、天然タンパク質の一端又は両端、もしくはアミノ酸配列内の一つ又はいくつかの部位が欠失され、又は天然アミノ酸配列の一又は複数の部位に、一又は複数のアミノ酸が挿入されることにより、天然タンパク質から誘導されうる。さらに、タンパク質は、一又は複数の位置でアシル化され得、例えばWO 98/08871には、GLP-1及びそのアナログのアシル化が開示されており、WO 98/08872には、GLP-2及びそのアナログのアシル化が開示されている。アシル化GLP-1誘導体の例は、Lys26(Nε-テトラデカノイル)-GLP-1(7−37)であり、ここでGLP−1(7−37)は、26位のLys残基のεアミノ基がテトラデカノイル化されているものである。
【0067】
タンパク質又はその部分は、当業者に公知の技術、例えば組織培養、動物源からの抽出、又は組換えDNA法を使用し、調製し又は単離することができる。タンパク質、ペプチド、アミノ酸配列等のトランスジェニック源もまた考えられる。このような物質はトランスジェニック動物、すなわちマウス、ブタ、ウシ等から得られ、タンパク質は、ミルク、血液又は組織で発現する。また、トランスジェニック昆虫及びバキュロウイルス発現系もまた供給源として考慮される。さらに、タンパク質の変異型、例えば変異TNF及び/又は変異インターフェロンも本発明の範疇に入る。関心ある他のタンパク質は、アレルゲンタンパク質、例えばブタクサ、抗原E、ミツバチ毒、ダニアレルゲン等である。
【0068】
以上は、本発明の延長基とのコンジュゲートに適した生物学的に活性なペプチドの例である。特に記載しないが適切なペプチドを有しているそれらの生物学的に活性な物質もまた意図しており、本発明の範疇に入ることが理解される。
一実施態様では、糖タンパク質はFVIIポリペプチドである。一実施態様では、ポリペプチドは野生型第VIIa因子である。
【0069】
ここで使用される場合、「第VII因子ポリペプチド」又は「FVIIポリペプチド」なる用語は、野生型ヒト第VIIa因子(すなわち、米国特許第4,784,950号に開示されているアミノ酸配列を有するポリペプチド)、並びにその変異体のアミノ酸配列1−406を含む任意のタンパク質を意味する。
「第VII因子」なる用語は、それらの未切断(チモーゲン)型の第VII因子ポリペプチド、並びにタンパク分解的にプロセシングされて第VIIa因子と命名されうるそれぞれの生物活性型を生じるものを含むものである。典型的には、第VII因子は残基152と153の間が切断されて第VIIa因子を生じる。第VII因子のこのような変異体は、安定性、リン脂質結合性、特定の活性の改変等を含む、ヒト第VII因子とは異なる特性を示しうる。
ここで使用される場合、「野生型ヒトFVIIa」とは、米国特許第4,784,950号に開示されているアミノ酸配列を有するポリペプチドである。
【0070】
第VII因子変異体の非限定的例には、S52A-FVIIa、S60A-FVIIa( Linoら, Arch. Biochem. Biophys. 352: 182-192, 1998); 米国特許第5,580,560号に開示されているような増加したタンパク分解安定性を示すFVIIa;残基290と291の間、又は残基315と316の間が、タンパク分解的に切断された第VIIa因子(Mollerupら, Biotechnol. Bioeng. 48:501-505, 1995);第VIIa因子の酸化型(Kornfeltら, Arch. Biochem. Biophys. 363:43-54, 1999);PCT/DK02/00189(WO 02/077218に相当)に開示されているFVII変異体;WO 02/38162に開示されているような増加したタンパク分解安定性を示すFVII変異体(Scripps Research Institute);WO 99/20767、US特許US 6017882 及びUS 6747003、US特許出願20030100506(ミネソタ大学)及びWO 00/66753、US特許出願US 20010018414、US 2004220106、及びUS 200131005、US特許US 6762286及びUS 6693075(ミネソタ大学)に開示されたような、高められた膜結合性を示し、修飾されたGla-ドメインを有するFVII変異体;及びWO 01/58935、US特許US 6806063、US特許出願20030096338(Maxygen ApS)、WO 03/93465(Maxygen ApS)、WO 04/029091(Maxygen ApS)、WO 04/083361(Maxygen ApS)、及びWO 04/111242(Maxygen ApS)、並びにWO 04/108763(Canadian Blood Services)に開示されているようなFVII変異体が含まれる。
【0071】
野生型FVIIaと比較して増加した生物活性を有するFVII変異体の非限定的例には、WO 01/83725、WO 02/22776、WO 02/077218、PCT/DK02/00635(WO 03/027147に相当)、デンマーク特許出願PA 2002 01423(WO 04/029090に相当)、デンマーク特許出願PA 2001 01627(WO 03/027147に相当); WO 02/38162(Scripps Research Institute)に開示されているようなFVII変異体;及びJP2001061479(Chemo-Sero-Therapeutic Res Inst.)に開示されているような高められた活性を有するFVIIa変異体が含まれる。
【0072】
第VII因子の変異体の例は、限定されるものではないが、L305V-FVII、L305V/M306D/D309S-FVII、L305I-FVII、L305T-FVII、F374P-FVII、V158T/M298Q-FVII、V158D/E296V/M298Q-FVII、K337A-FVII、M298Q-FVII、V158D/M298Q-FVII、L305V/K337A-FVII、V158D/E296V/M298Q/L305V-FVII、V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、V158D/E296V/M298Q/L305V/K337A-FVII、K157A-FVII、E296V-FVII、E296V/M298Q-FVII、V158D/E296V-FVII、V158D/M298K-FVII、及びS336G-FVII、L305V/K337A-FVII、L305V/V158D-FVII、L305V/E296V-FVII、L305V/M298Q-FVII、L305V/V158T-FVII、L305V/K337A/V158T-FVII、L305V/K337A/M298Q-FVII、L305V/K337A/E296V-FVII、L305V/K337A/V158D-FVII、L305V/V158D/M298Q-FVII、L305V/V158D/E296V-FVII、L305V/V158T/M298Q-FVII、L305V/V158T/E296V-FVII、L305V/E296V/M298Q-FVII、L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII、L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII、L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII、L305V/V158T/E296V/K337A-FVII、L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII、L305V/V158D/E296V/K337A-FVII、L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII、S314E/K316H-FVII、S314E/K316Q-FVII、S314E/L305V-FVII、S314E/K337A-FVII、S314E/V158D-FVII、S314E/E296V-FVII、S314E/M298Q-FVII、S314E/V158T-FVII、K316H/L305V-FVII、K316H/K337A-FVII、K316H/V158D-FVII、K316H/E296V-FVII、K316H/M298Q-FVII、K316H/V158T-FVII、K316Q/L305V-FVII、K316Q/K337A-FVII、K316Q/V158D-FVII、K316Q/E296V-FVII、K316Q/M298Q-FVII、K316Q/V158T-FVII、S314E/L305V/K337A-FVII、S314E/L305V/V158D-FVII、S314E/L305V/E296V-FVII、S314E/L305V/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158T-FVII、S314E/L305V/K337A/V158T-FVII、S314E/L305V/K337A/M298Q-FVII、S314E/L305V/K337A/E296V-FVII、S314E/L305V/K337A/V158D-FVII、S314E/L305V/V158D/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158D/E296V-FVII、S314E/L305V/V158T/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158T/E296V-FVII、S314E/L305V/E296V/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII、S314E/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII、S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII、K316H/L305V/K337A-FVII、K316H/L305V/V158D-FVII、K316H/L305V/E296V-FVII、K316H/L305V/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158T-FVII、K316H/L305V/K337A/V158T-FVII、K316H/L305V/K337A/M298Q-FVII、K316H/L305V/K337A/E296V-FVII、K316H/L305V/K337A/V158D-FVII、K316H/L305V/V158D/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158D/E296V-FVII、K316H/L305V/V158T/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158T/E296V-FVII、K316H/L305V/E296V/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII、K316H/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII、K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII、K316Q/L305V/K337A-FVII、K316Q/L305V/V158D-FVII、K316Q/L305V/E296V-FVII、K316Q/L305V/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158T-FVII、K316Q/L305V/K337A/V158T-FVII、K316Q/L305V/K337A/M298Q-FVII、K316Q/L305V/K337A/E296V-FVII、K316Q/L305V/K337A/V158D-FVII、K316Q/L305V/V158D/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158D/E296V-FVII、K316Q/L305V/V158T/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158T/E296V-FVII、K316Q/L305V/E296V/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII、K316Q/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII、K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII、F374Y/K337A-FVII、F374Y/V158D-FVII、F374Y/E296V-FVII、F374Y/M298Q-FVII、F374Y/V158T-FVII、F374Y/S314E-FVII、F374Y/L305V-FVII、F374Y/L305V/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158D-FVII、F374Y/L305V/E296V-FVII、F374Y/L305V/M298Q-FVII、F374Y/L305V/V158T-FVII、F374Y/L305V/S314E-FVII、F374Y/K337A/S314E-FVII、F374Y/K337A/V158T-FVII、F374Y/K337A/M298Q-FVII、F374Y/K337A/E296V-FVII、F374Y/K337A/V158D-FVII、F374Y/V158D/S314E-FVII、F374Y/V158D/M298Q-FVII、F374Y/V158D/E296V-FVII、F374Y/V158T/S314E-FVII、F374Y/V158T/M298Q-FVII、F374Y/V158T/E296V-FVII、F374Y/E296V/S314E-FVII、F374Y/S314E/M298Q-FVII、F374Y/E296V/M298Q-FVII、F374Y/L305V/K337A/V158D-FVII、F374Y/L305V/K337A/E296V-FVII、F374Y/L305V/K337A/M298Q-FVII、F374Y/L305V/K337A/V158T-FVII、F374Y/L305V/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V-FVII、F374Y/L305V/V158D/M298Q-FVII、F374Y/L305V/V158D/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q-FVII、F374Y/L305V/E296V/V158T-FVII、F374Y/L305V/E296V/S314E-FVII、F374Y/L305V/M298Q/V158T-FVII、F374Y/L305V/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158T/S314E-FVII、F374Y/K337A/S314E/V158T-FVII、F374Y/K337A/S314E/M298Q-FVII、F374Y/K337A/S314E/E296V-FVII、F374Y/K337A/S314E/V158D-FVII、F374Y/K337A/V158T/M298Q-FVII、F374Y/K337A/V158T/E296V-FVII、F374Y/K337A/M298Q/E296V-FVII、F374Y/K337A/M298Q/V158D-FVII、F374Y/K337A/E296V/V158D-FVII、F374Y/V158D/S314E/M298Q-FVII、F374Y/V158D/S314E/E296V-FVII、F374Y/V158D/M298Q/E296V-FVII、F374Y/V158T/S314E/E296V-FVII、F374Y/V158T/S314E/M298Q-FVII、F374Y/V158T/M298Q/E296V-FVII、F374Y/E296V/S314E/M298Q-FVII、F374Y/L305V/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/K337A/S314E-FVII、F374Y/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q/S314E-FVII、F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、F374Y/V158D/E296V/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/K337A/S314E-FVII、F374Y/V158D/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/V158D/E296V/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII、F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158D/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/S314E-FV
II、F374Y/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII、F374Y/V158T/E296V/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158T/K337A/S314E-FVII、F374Y/V158T/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/V158T/E296V/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII、F374Y/L305V/V158T/M298Q/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158T/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158T/E296V/S314E-FVII、F374Y/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII、F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q/V158T/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T-FVII、F374Y/L305V/E296V/K337A/V158T/S314E-FVII、F374Y/L305V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII、S52A-VII因子、S60A-VII因子;R152E-VII因子、S344A-VII因子、T106N-FVII、K143N/N145T-FVII、V253N-FVII、R290N/A292T-FVII、G291N-FVII、R315N/V317T-FVII、K143N/N145T/R315N/V317T-FVII;及び233Thrから240Asnのアミノ酸配列に、置換、付加又は欠失を有するFVII;304Argから329Cysのアミノ酸配列に、置換、付加又は欠失を有するFVII;153Ileから223Argのアミノ酸配列に、置換、付加又は欠失を有するFVIIが含まれる。
一実施態様では、糖タンパク質はFVIIIポリペプチドである。一実施態様では、糖タンパク質はFIXポリペプチドである。
【0073】
発明の他の態様
また本発明は、一般構造
(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'-M') (式I)
[上式中、M及び場合によってはM'は独立して、修飾された糖タンパク質の分子量を増加させるためのポリマー部分であり、L及びL'は、独立して二価のリンカーを表し、Pは糖タンパク質の一又は複数の酸化グルカン末端を有する糖タンパク質を表し、O、N、C及びHは、それぞれ酸素、窒素、炭素及び水素原子を表し、nは1−10であり、mは0−50である]
を有する新規の修飾された糖タンパク質に関し、該修飾された糖タンパク質は、出発糖タンパク質Pと比較して改善された薬理学的性質を有し、その機能活性は維持されている。
【0074】
本発明のある実施態様では、このような修飾された糖タンパク質は、修飾されたFVII、FVIII、FIX、FX、FII、FV、プロテインC、プロテインS、tPA、PAI-1、組織因子、FXI、FXII、FXIII、並びにその配列変異体;免疫グロブリン、サイトカイン類、例えばインターロイキン、α-、β-、及びγ-インターフェロン、コロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、及びホスホリパーゼ活性化タンパク質(PUP)から選択される。
【0075】
他の修飾された糖タンパク質は、一般的に生物学的及び治療的に関心のある修飾タンパク質及びペプチドであり、例えばインスリン、植物タンパク質、例えばレクチン類及びリシン類、腫瘍壊死因子及び関連する対立遺伝子、腫瘍壊死因子レセプターの可溶型、インターロイキンレセプター及びインターロイキンレセプターの可溶型、増殖因子、例えば組織増殖因子、例えばTGFa’s又はTGFps、及び表皮増殖因子、ホルモン、ソマトメジン、エリスロポエチン、色素性ホルモン、視床下部放出因子、抗利尿ホルモン、プロラクチン、絨毛性ゴナドトロピン、卵胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、組織プラスミノーゲンアクチベータ、及び免疫グロブリン、例えばIgG、IgE、IgM、IgA、及びIgD、及びその断片を含む。
本発明の一実施態様では、修飾された糖タンパク質はN-グリコシル化及び/又はO-グリコシル化されており、及び/又はシアル酸部分を含む。
【0076】
本発明の一実施態様では、修飾された糖タンパク質は、生物学的利用能の増加、機能的インビボ半減期の増加、インビボ血漿半減期の増加、免疫原性の低下、プロテアーゼ耐性の増加、アルブミンに対する親和性の増加、レセプターに対する親和性の改善、保存安定性の増加、機能的インビボ半減期の低減、インビボ血漿半減期の低減からなる群から選択される改善された薬理学的性質を有する。一実施態様では、半減期の増加は、Mを、腎クリアランスが低減され又は消失されるように分子量を増加させる基にするか、及び/又はMを肝臓レセプターに対する結合パートナーをマスクする基にすることにより得られる。一実施態様では、免疫原性の低下は、Mを免疫原性部位に結合する抗体をブロックする基にすることにより得られる。一実施態様では、アルブミンに対する親和性の改善は、Mをアルブミンに対して高い親和性を有する基にすることにより得られる。一実施態様では、レセプターに対する親和性の改善は、Mを標的細胞における表面レセプターに特異的に結合する基にすることにより得られる。
【0077】
本発明の一実施態様では、修飾された糖タンパク質は、Mが、一又は複数のカルボン酸、アミン類、スルホン酸、ホスホン酸、又はその組合せを含有してよい低分子量の有機荷電基;低分子量の中性親水性分子、例えばシクロデキストリン、又は場合によっては分枝状のポリエチレン鎖;低分子量の疎水性分子、例えば脂肪酸又はコール酸又はその誘導体;2−40kDaの平均分子量を有するポリエチレングリコール;十分に定義された精密ポリマー、例えば700Da〜20kDaの範囲の正確な分子量を有するデンドリマー;実質的な非免疫原性ポリペプチド、例えばアルブミン、抗体又は場合によってはFcドメインを含んでいてもよい抗体の一部;及び高分子量の有機ポリマーからなる群から選択されるものである。
【0078】
本発明の一実施態様では、修飾された糖タンパク質は、Mが、デンドリマー、ポリアルキレングリコール(PAG)を含むポリアルキレンオキシド(PAO)、例えばポリエチレングリコール(PEG)及びポリプロピレングリコール(PPG)、分枝状PEG、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボキシレート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン・無水マレイン酸コポリマー、ポリスチレン・無水マレイン酸コポリマー、デキストラン、カルボキシメチル-デキストラン、HES、MPC又はPHFからなる群から選択されるものである。
【0079】
本発明の一実施態様では、修飾された糖タンパク質は、Mが、血清タンパク質結合リガンド、生理学的条件下で帯電特性を変化させる部分を有する小有機分子、グリカンのレセプターへの結合を阻害する構造、及びグリカン特異性認識を防止する中性置換基からなる群から選択されるものである。
【0080】
一実施態様では、本発明の修飾された糖タンパク質は、Pが、FVII、FVIII、FIX、FX、FII、FV、プロテインC、プロテインS、tPA、PAI-1、組織因子、FXI、FXII、FXIII、並びにその配列変異体;免疫グロブリン、サイトカイン類、例えばインターロイキン、α-、β-、及びγ-インターフェロン、コロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、ホスホリパーゼ活性化タンパク質(PUP)、インスリン、植物タンパク質、例えばレクチン及びリシン、腫瘍壊死因子及び関連する対立遺伝子、腫瘍壊死因子レセプターの可溶型、インターロイキンレセプター及びインターロイキンレセプターの可溶型、増殖因子、例えば組織増殖因子、例えばTGFa’s又はTGFps、及び表皮増殖因子、ホルモン類、ソマトメジン類、エリスロポエチン、色素性ホルモン、視床下部放出因子、抗利尿ホルモン、プロラクチン、絨毛性ゴナドトロピン、卵胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、組織プラスミノーゲンアクチベータ、及び免疫グロブリン、例えばIgG、IgE、IgM、IgA、及びIgD、及びその断片、又は上述のタンパク質又はその断片の任意のものを含有する任意の融合タンパク質から選択されるものである。
【0081】
一実施態様では、本発明の修飾された糖タンパク質は、糖タンパク質が第VII因子ポリペプチドであるものである。
一実施態様では、本発明の修飾された糖タンパク質は、糖タンパク質が、野生型ヒト第VII因子のアミノ酸配列を有しているものである。
【0082】
一実施態様では、本発明の修飾された糖タンパク質は、該修飾された糖タンパク質が、本明細書に記載される凝固アッセイ、タンパク質分解アッセイ、又はTF結合アッセイの一又は複数で試験された場合、未修飾の第VII因子ポリペプチドの特定の活性の、少なくとも約10%、例えば少なくとも約20%、例えば少なくとも約40%、例えば少なくとも約60%、例えば少なくとも約80%、例えば少なくとも約100%を示すものである。
【0083】
一実施態様では、本発明の修飾された糖タンパク質は、該修飾された糖タンパク質が、未修飾の糖タンパク質の生物学的利用能の少なくとも約110%、例えば少なくとも約120%、約130%、又は未修飾の糖タンパク質の生物学的利用能の少なくとも約140%の生物学的利用能を示すものである。
【0084】
一実施態様では、本発明の修飾された糖タンパク質は、該修飾された糖タンパク質は、未修飾の糖タンパク質の半減期の少なくとも約125%、例えば約150%、約200%、又は未修飾の糖タンパク質の半減期の少なくとも約250%の血清半減期を示すものである。
一実施態様では、修飾されたグリコシル化分子を生成する方法は、医薬組成物として、該グリコシル化分子を処方するさらなる工程を含む。
【0085】
本発明の一実施態様では、一般構造(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'-M')を有する修飾された糖タンパク質におけるmは、0−50、例えば0−20、例えば0−10、例えば0−5、例えば0−3の範囲にある。
一般構造(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'-M')を有する修飾された糖タンパク質において、nは、特定の糖タンパク質の非還元グリカン末端の数により制限される。よって、本発明の一実施態様では、一般構造(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'-M')を有する修飾された糖タンパク質におけるnは、糖タンパク質に存在する非還元グリカン末端の数に等しい。本発明の他の実施態様では、一般構造(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'-M')を有する修飾された糖タンパク質におけるnは、1−10、例えば1−5、例えば1−3、例えば1−2、例えば1、例えば2、例えば3の範囲にある。
【0086】
一実施態様では、一般構造(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'-M')(式I)を有する修飾された糖タンパク質は、次のものからなるリストから選択される。

【0087】
医薬組成物
本発明の他の目的は、10−12mg/ml〜200mg/ml、例えば10−10mg/ml〜5mg/mlの濃度で存在する修飾された糖タンパク質を含有する医薬組成物を提供することであり、ここで、該組成物は2.0〜10.0のpHを有する。該組成物はバッファー系、保存料、等張化剤、キレート剤、安定剤及び界面活性剤をさらに含有しうる。本発明の一実施態様では、医薬組成物は水性組成物、すなわち水を含有する組成物である。このような組成物は、典型的には溶液又は懸濁液である。本発明のさらなる実施態様では、医薬組成物は水溶液である。「水性組成物」なる用語は、少なくとも50%w/wの水分を含有する組成物と定義される。同様に「水溶液」なる用語も、少なくとも50%w/wの水分を含有する溶液と定義され、「水性懸濁液」なる用語は、少なくとも50%w/wの水分を含有する懸濁液と定義される。
【0088】
他の実施態様では、医薬組成物は凍結乾燥された組成物であり、医師又は患者は、使用前に溶媒及び/又は希釈剤を添加する。他の実施態様では、医薬組成物は事前の溶解の必要がない使用準備が整った乾燥組成物(例えば凍結乾燥又はスプレードライ)である。
【0089】
さらなる態様において、本発明は、修飾された糖タンパク質とバッファーの水溶液を含有する医薬組成物に関し、ここで該修飾された糖タンパク質は0.1−100mg/ml又はそれ以上の濃度で存在しており、該組成物は約2.0〜10.0のpHを有する。
【0090】
本発明の他の実施態様では、組成物のpHは、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、及び10.0からなる列挙から選択される。
【0091】
本発明のさらなる実施態様では、バッファーは、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸塩、グリシルグリシン、ヒスチジン、グリシン、リジン、アルギニン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、及びトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、ビシン、トリシン、リンゴ酸、コハク酸塩、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、アスパラギン酸又はそれらの混合物からなる群から選択される。これらの特定のバッファーの各一が本発明の別の実施態様を構成する。
【0092】
本発明のさらなる実施態様では、組成物は薬学的に許容可能な保存料をさらに含有する。本発明のさらなる実施態様では、保存料は、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、2-フェノキシエタノール、p-ヒドロキシ安息香酸ブチル、2-フェニルエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、チメロサール、ブロノポール、安息香酸、イミド尿素、クロロヘキシジン、デヒドロ酢酸ナトリウム、クロロクレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸エチル、塩化ベンゼトニウム、クロロフェネシン(3p-クロルフェノキシプロパン-1,2-ジオール)又はそれらの混合物からなる群から選択される。本発明の更なる実施態様では、保存料は、0.1mg/mlから20mg/mlの濃度で存在する。本発明の更なる実施態様では、保存料は、0.1mg/mlから5mg/mlの濃度で存在する。本発明の更なる実施態様では、保存料は、5mg/mlから10mg/mlの濃度で存在する。本発明の更なる実施態様では、保存料は、10mg/mlから20mg/mlの濃度で存在する。これら特定の保存料の各一が本発明の別の実施態様を構成する。薬学的組成物中における保存料の使用は当業者によく知られている。簡便には、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20版, 2000が参照される。
【0093】
本発明の更なる実施態様では、組成物は等張剤を更に含有する。本発明の更なる実施態様では、等張剤は、塩(例えば塩化ナトリウム)、糖又は糖アルコール、アミノ酸(例えばL-グリシン、L-ヒスチジン、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、スレオニン)、アルジトール(例えばグリセロール(グリセリン)、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール)、ポリエチレングリコール(例えばPEG400)、又はそれらの混合物からなる群から選択されうる。例えばフルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンブン、ヒドロキシエチルデンプン、カルボキシメチルセルロース-Naを含む単糖類、二糖類、又は多糖類、又は水溶性グルカン類のような任意の糖を使用することができる。一実施態様では、糖添加剤はスクロースである。糖アルコールは少なくとも一つの-OH基を有するC4−C8炭化水素として定義され、例えばマンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクチトール、ズルシトール、キシリトール、アラビトールを含む。一実施態様では、糖アルコール添加剤はマンニトールである。上述の糖類又は糖アルコールは個々に又は組み合わせて使用することができる。糖又は糖アルコールが液体調製物中で可溶性であり、本発明の方法を使用して達成される安定化効果に悪影響を及ぼさない限り、使用される量に決まった制限はない。一実施態様では、糖又は糖アルコール濃度は約1mg/mlと約150mg/mlの間である。本発明の更なる実施態様では、等張剤は1mg/mlから50mg/mlの濃度で存在する。本発明の更なる実施態様では、等張剤は1mg/mlから7mg/mlの濃度で存在する。本発明の更なる実施態様では、等張剤は8mg/mlから24mg/mlの濃度で存在する。本発明の更なる実施態様では、等張剤は25mg/mlから50mg/mlの濃度で存在する。これらの特定の等張剤の各一は本発明の別の実施態様を構成する。薬学的組成物中における等張剤の使用は当業者によく知られている。簡便には、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20版, 2000が参照される。
【0094】
本発明の更なる実施態様では、組成物はキレート剤を更に含有する。本発明の更なる実施態様では、キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸、及びアスパラギン酸の塩、及びそれらの混合物から選択されうる。本発明の更なる実施態様では、キレート剤は0.1mg/mlから5mg/mlの濃度で存在する。本発明の更なる実施態様では、キレート剤は0.1mg/mlから2mg/mlの濃度で存在する。本発明の更なる実施態様では、キレート剤は2mg/mlから5mg/mlの濃度で存在する。これらの特定のキレート剤の各一は本発明の別の実施態様を構成する。薬学的組成物中におけるキレート剤の使用は当業者によく知られている。簡便には、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20版, 2000が参照される。
【0095】
本発明のさらなる実施態様では、組成物は安定剤をさらに含有する。医薬組成物における安定剤の使用は当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第20版, 2000が参照される。
【0096】
より詳細には、本発明の組成物は、液体薬学的製剤として貯蔵中に凝集体形成を示すおそれのあるタンパク質がその治療的に活性な成分に含まれる安定化された液体医薬組成物である。「凝集体形成」とは、可溶性のままでありうるオリゴマーか、溶液から沈殿する大きな目視できる凝集体の形成を生じるポリペプチド分子間の物理的相互作用のことである。「貯蔵中」とは、ひとたび調製された液体医薬組成物又は組成物が直ぐには患者に投与されないことを意図する。むしろ調製後に、液体形態、凍結状態、又は液体形態もしくは患者への投与に適した他の形態へ後で再構成するための乾燥形態の何れかで貯蔵のために包装される。「乾燥形態」とは、液体医薬組成物又は組成物が、フリーズドライ(つまり凍結乾燥;例えばWilliams及びPolli (1984) J. Parenteral Sci. Technol. 38:48-59)、スプレードライ(Masters (1991), Spray-Drying Handbook (5版; Longman Scientific and Technical, Essez, U.K.), pp.491-676;Broadhead等 (1992) Drug Devel. Ind. Pharm. 18:1169-1206;及びMumenthaler等 (1994) Pharm. Res. 11:12-20を参照)又はエアードライ(Carpenter及びCrowe (1988) Cryobiology 25:459-470;及びRoser (1991) Biopharm. 4:47-53)の何れかによって乾燥されていることを意図する。液体医薬組成物の貯蔵中におけるタンパク質による凝集体形成はそのタンパク質の生物学的活性に悪影響を及ぼし得、医薬組成物の治療効果を損なわしめる。更に、凝集体形成は、そのタンパク質含有薬学的組成物を、注入系を使用して投与する場合、チューブ、膜、又はポンプの詰まりのような他の問題を生じうる。
【0097】
本発明の医薬組成物は組成物の貯蔵の間におけるタンパク質の凝集体形成を減少させるのに十分な量のアミノ酸塩基を更に含みうる。「アミノ酸塩基」とは、アミノ酸又はアミノ酸の組合せのことであり、任意の与えられたアミノ酸はその遊離塩基形態又はその塩形態で存在する。アミノ酸の組合せが使用される場合、アミノ酸の全てがその遊離塩基形態で存在し得、全てはその塩形態で存在し得、あるいは幾つかがその遊離塩基形態で存在し得る一方、他のものはその塩形態で存在する。一実施態様では、本発明の組成物を調製する際に使用するアミノ酸は、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸のような荷電側鎖を担持しているものである。特定のアミノ酸(例えばメチオニン、ヒスチジン、イミダゾール、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、スレオニン及びそれらの混合物)の任意の立体異性体(つまりL、D、又はその混合体)又はこれら立体異性体の組み合わせは、特定のアミノ酸がその遊離塩基形態又はその塩形態の何れかで存在している限り、本発明の医薬組成物中に存在しうる。一実施態様では、アミノ酸のL立体異性体が使用される。一実施態様では、D立体異性体が使用される。本発明の組成物はまたこれらのアミノ酸のアナログと共に製剤化されうる。「アミノ酸アナログ」とは、本発明の液体医薬組成物の貯蔵中にタンパク質による凝集体形成を減少させるという所望の効果をもたらす天然に生じるアミノ酸の誘導体のことである。適切なアルギニンアナログには、例えばアミノグアニジン、オルニチン及びN-モノエチルL-アルギニンが含まれ、適切なメチオニンアナログには、エチオニン及びブチオニンが含まれ、適切なシステインアナログにはS-メチル-Lシステインが含まれる。他のアミノ酸の場合と同様に、アミノ酸アナログはその遊離の塩基形態又はその塩形態で組成物中に導入される。本発明の更なる実施態様では、アミノ酸又はアミノ酸アナログは、タンパク質の凝集を防止又は遅延させるのに十分な濃度で使用される。
【0098】
本発明の更なる実施態様では、治療剤として作用するタンパク質が酸化を受けやすい少なくとも一のメチオニン残基を含むタンパク質である場合、メチオニン(又は他の含硫アミノ酸又はアミノ酸アナログ)を添加してメチオニン残基がメチオニンスルホキシドへ酸化するのを阻害することができる。「阻害する」とは、メチオニンが酸化された種の経時的な蓄積の最小化のことである。メチオニンの酸化を阻害することはポリペプチドをその正しい分子形態に、より維持することとなる。メチオニンの任意の立体異性体(L又はD異性体)又はその組み合わせを使用することができる。添加される量は、メチオニンスルホキシドの量が規制機関に受け入れられるようにメチオニン残基の酸化を阻害するのに十分な量でなければならない。典型的には、これは、組成物が約10%以下から約30%以下のメチオニンスルホキシドしか含まないことを意味する。一般に、これは、メチオニン残基に加えられるメチオニンの比が約1:1から約1000:1、例えば10:1から約100:1の範囲であるようにメチオニンを添加することによって達成することができる。
【0099】
本発明の更なる実施態様では、組成物は高分子量ポリマー又は低分子化合物の群から選択される安定剤を更に含有する。本発明の更なる実施態様では、安定剤はポリエチレングリコール(例えばPEG3350)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、カルボキシ/ヒドロキシセルロース又はその誘導体(例えばHPC、HPC-SL、HPC-L、HPMC)、シクロデキストリン、モノチオグリセロール、チオグリコール酸及び2-メチルチオエタノールのような硫黄含有物質、及び異なった塩(例えば塩化ナトリウム)から選択される。これらの特定の安定剤の各一が本発明の他の実施態様を構成する。
【0100】
医薬組成物はまたその中の治療的に活性なポリペプチドの安定性を更に向上させる更なる安定剤を含有しうる。本発明にとって特に興味がある安定剤には、限定するものではないが、メチオニンの酸化からポリペプチドを保護するメチオニン及びEDTAと、凍結融解又は機械的せん断に伴う凝集からポリペプチドを保護する非イオン性界面活性剤が含まれる。
【0101】
本発明の更なる実施態様では、組成物は界面活性剤を更に含有する。本発明の更なる実施態様では、界面活性剤は、洗浄剤、エトキシル化ヒマシ油、ポリグリコール化グリセリド、アセチル化モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレンブロックポリマー(例えばプルロニック(登録商標)F68、ポロキサマー188及び407、トリトンX-100のようなポロキサマー類)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン及びポリエチレン誘導体、例えばアルキル化及びアルコキシル化誘導体(トゥイーン類、例えばTween-20、Tween-40、Tween-80及びBrij-35)、そのモノグリセリド又はそのエトキシル化誘導体、ジグリセリド又はそのポリオキシエチレン誘導体、アルコール、グリセロール、レクチン及びリン脂質(例えばホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ジホスファチジルグリセロール、スフィンゴミエリン)、リン脂質誘導体(例えばジパルミトイルホスファチジン酸)及びリゾリン脂質誘導体(例えばパルミトイルリゾホスファチジル-L-セリン及びエタノールアミン、コリン、セリンもしくはスレオニンの1-アシル-sn-グリセロ-3-ホスフェートエステル)並びにリゾホスファチジル及びホスファチジルコリンのアルキル、アルコキシル(アルキルエステル)、アルコキシ(アルキルエーテル)誘導体、例えばリゾホスファチジルコリンのラウロイル及びミリストイル誘導体、ジパルミトイルホスファチジルコリン、及び極性頭部基、つまり、コリン、エタノールアミン、ホスファチジン酸、セリン、スレオニン、グリセロール、イノシトール、正荷電DODAC、DOTMA、DCP、BISHOP、リゾホスファチジルセリン及びリゾホスファチジルスレオニンの修飾体、及びグリセロリン脂質(例えばケファリン)、グリセロ糖脂質(例えばガラクトピラノシド)、スフィンゴ糖脂質(例えばセラミド、ガングリオシド)、ドデシルホスホコリン、ニワトリ卵白リゾレシチン、フシジン酸誘導体(例えばタウロ-ジヒドロフシジン酸ナトリウム等々)、長鎖脂肪酸及びその塩C-C12(例えばオレイン酸及びカプリル酸)、アシルカルニチン及び誘導体、リジン、アルギニン又はヒスチジンのNα-アシル化誘導体、又はリジンもしくはアルギニンの側鎖アシル化誘導体、リジン、アルギニン又はヒスチジンと中性又は酸性アミノ酸の任意の組合せを含むジペプチドのNα-アシル化誘導体、中性アミノ酸と二つの荷電アミノ酸の任意の組合せを含むトリペプチドのNα-アシル化誘導体、DSS(ドキュセート・ナトリウム、CAS登録番号[577-11-7])、ドキュセート・カルシウム、CAS登録番号[128-49-4]、ドキュセート・カリウム、CAS登録番号[7491-09-0]、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム又はラウリル硫酸ナトリウム)、カプリル酸ナトリウム、コール酸又はその誘導体、胆汁酸及びその塩及びグリシンもしくはタウリンコンジュゲート、ウルソデオキシコール酸、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、N-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート、アニオン性(アルキル-アリール-スルホネート)一価界面活性剤、両性イオン性界面活性剤(例えばN-アルキル-N,N-ジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホネート類、3-コールアミド-1-プロピルジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホネート、カチオン性界面活性剤(第4級アンモニウム塩基)(例えば臭化セチル-トリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム)、非イオン性界面活性剤(例えばドデシルβ-D-グルコピラノシド)、エチレンジアミンへプロピレンオキシド及びエチレンオキシドを連続添加して誘導される四官能性ブロックコポリマーであるポロキサミン(例えばテトロニックス(Tetronic's))から選択することができ、あるいは該界面活性剤はイミダゾリン誘導体又はその混合物の群から選択されうる。これらの特定の界面活性剤の各一は本発明の別の実施態様を構成する。
医薬組成物中における界面活性剤の使用は当業者によく知られている。簡便には、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20版, 2000が参照される。
【0102】
その他の成分が本発明の医薬組成物中に存在することもありうる。そのような更なる成分には、湿潤剤、乳化剤、抗酸化剤、充填剤、張度調節剤、キレート剤、金属イオン、油性媒体、タンパク質(例えばヒト血清アルブミン、ゼラチン又はタンパク質)及び双性イオン(例えばベタイン、タウリン、アルギニン、グリシン、リジン、ヒスチジンのようなアミノ酸)が含まれる。そのような更なる成分は、当然ながら、本発明の医薬組成物の全体の安定性に悪影響を及ぼしてはならない。
【0103】
本発明の修飾された糖タンパク質を含む医薬組成物は、そのような治療を必要とする患者のいくつかの部位に投与され得、例えば局所的部位、例えば皮膚及び粘膜部位、吸収をバイパスする部位、例えば動脈、静脈、心臓への投与、及び吸収を含む部位、例えば皮膚、皮下、筋肉又は腹部への投与である。
【0104】
本発明の医薬組成物の投与は、いくつかの投与経路、例えば舌、舌下、頬、口、経口、胃及び腸、鼻、肺を介して、例えば細気管支及び肺胞及び/又はそれらを組合せたもの、表皮、真皮、経皮、膣、直腸、眼を介して、例えば結膜、尿管、及び非経口を介して、そのような治療を必要としている患者に投与されうる。
【0105】
本発明の組成物は、いくつかの投薬形態、例えば溶液、懸濁液、エマルション、マイクロエマルション、多相エマルション、フォーム、膏薬、ペースト、プラスター、軟膏、錠剤、コート錠剤、リンス、カプセル、例えば硬質ゼラチンカプセル及び軟質ゼラチンカプセル、坐薬、直腸用カプセル、ドロップ、ゲル、スプレー、パウダー、エアゾール、吸入剤、点眼剤、眼軟膏、眼用リンス、膣用ペッサリー、膣用リング、膣用軟膏、注射液、インサイツ形質転換溶液、例えばインサイツゲル化、インサイツ硬化、インサイツ沈殿、インサイツ結晶化のもの、輸液、及び移植片として投与されうる。
【0106】
本発明の組成物は、修飾された糖タンパク質の安定性をさらに高め、生物学的利用能を増加させ、溶解度を高め、副作用を低減させ、当業者によく知られている時間療法を達成し、また患者のコンプライアンスを高め、又はそれらの任意の組合せのために、例えば共有的、疎水的及び静電気的相互作用を介して、薬剤担体、薬剤デリバリー系及び先端薬剤デリバリー系にさらに配合され、又は結合されうる。担体、薬剤デリバリー系及び先進薬剤デリバリー系の例には、限定されるものではないが、ポリマー、例えばセルロース及び誘導体、多糖類、例えばデキストラン及び誘導体、デンプン及び誘導体、ポリ(ビニルアルコール)、アクリレート及びメタクリレートポリマー、ポリ乳酸及びポリグリコール酸及びそれらのブロックコポリマー、ポリエチレングリコール、担体タンパク質、例えばアルブミン、ゲル、例えばサーモゲル化系、例えば当業者によく知られているブロックコポリマー系、ミセル、リポソーム、ミクロスフィア、ナノ粒子、液晶及びそれらの分散液、脂質-水系における相挙動の当業者によく知られているL2相とそのディスパージョン、ポリマーミセル、多相エマルション、自己乳化、自己-マイクロ乳化、シクロデキストリン及びその誘導体、及びデンドリマーが含まれる。
【0107】
本発明の組成物は、全ての装置が当業者によく知られたものである例えば定量吸入器、乾燥パウダー吸入器及びネブライザーを使用し、修飾された糖タンパク質を肺に投与するための固形物、半固形物、パウダー及び溶液の組成物に有用である。
【0108】
本発明の組成物は、制御された徐放性、持続性、遅延及び持続放出薬物デリバリー系の組成物に特に有用である。より詳細には、限定されるものではないが、組成物は、当業者によく知られている非経口用の制御放出及び徐放系(双方の系は、投与数を何倍も低下させる)組成物に有用である。さらにより好ましくは、皮下投与される制御放出及び徐放系である。本発明の範囲を限定するものではないが、有用な制御放出系及び組成物の有用な例は、ヒドロゲル、油性ゲル、液晶、ポリマーミセル、ミクロスフィア、ナノ粒子である。
【0109】
本発明の組成物に有用な徐放系の製造方法は、限定されるものではないが、結晶化、凝縮、共結晶化、沈殿、共沈殿、乳化、分散、高圧ホモジナイズ、カプセル化、噴霧乾燥、マイクロカプセル化、コアセルベーション、相分離、ミクロスフィアを製造するための溶媒蒸発、押出及び超臨界プロセスを含む。一般的には、Handbook of Pharmaceutical Controlled Release(Wise, D.L.編 Marcel Dekker, New York, 2000)及びDrug and the Pharmaceutical Sciences vol.99:Protein Composition and Delivery(MacNally, E.J.編 Marcel Dekker, New York, 2000)を参照。
非経口投与は、シリンジ、場合によってはペン状シリンジによる皮下、筋肉内、腹膜内又は静脈内注射によって実施することができる。あるいは、非経口投与は輸液ポンプにより実施することができる。さらなる選択肢は、鼻用又は肺用スプレーの形態で修飾された糖タンパク質を投与するための溶液又は懸濁液であってもよい組成物にある。さらなる選択肢としては、本発明の修飾された糖タンパク質を含む医薬組成物を、例えば針のない注射、又はイオン導入パッチであってよいパッチによる経皮投与、又は頬等の経粘膜投与用に適合させることもできる。
【0110】
「安定化された組成物」なる用語は、物理的な安定性が増し、化学的な安定性が増し、又は物理的及び化学的安定性が増した組成物を意味する。
ここで使用されるタンパク質組成物の「物理的安定性」という用語は、熱機械的ストレスへのタンパク質の暴露及び/又は疎水性表面及び界面のような不安定化している界面及び表面との相互作用の結果としてのタンパク質の生物学的に不活性な及び/又は不溶性の凝集体を形成するタンパク質の傾向を意味する。タンパク質水性組成物の物理的安定性は、適切な容器(例えばカートリッジ又はバイアル)中に満たした組成物を機械的/物理的ストレス(例えば攪拌)に様々な時間の間、異なった温度で暴露した後に視覚検査及び/又は濁度測定によって評価される。組成物の視覚検査は暗い背景中において鋭く集光された光下で実施される。組成物の濁りは例えば濁度を0から3の尺度(濁りを示さない組成物が視覚スコア0に相当し、昼光で可視できる濁りを示す組成物は視覚スコア3に相当する)でランク付けすることにより特徴付けされる。組成物は、昼光下で可視できる濁りを示す場合にタンパク質凝集に対して物理的に不安定であると分類される。あるいは、組成物の濁りは当業者によく知られている簡単な濁度測定によって評価することができる。タンパク質水性組成物の物理的安定性はタンパク質の立体構造状態の分光学的薬剤又はプローブを使用してまた評価することができる。プローブは好ましくはタンパク質の非天然配座異性体に優先的に結合する小分子である。タンパク質構造の小分子分光学的プローブの一例はチオフラビンTである。チオフラビンTはアミロイド線維の検出に広く使用されている蛍光染料である。線維と、おそらくは他のタンパク質立体配置もまた存在すると、チオフラビンTが約450nmで新たな励起極大を引き起こし、線維タンパク質形態に結合したとき約482nmで増強した発光を生じる。未結合のチオフラビンTは本質的にはその波長で非蛍光である。
【0111】
天然から非天然状態までのタンパク質構造における変化のプローブとして、他の小分子を使用することができる。例えば、タンパク質の露出した疎水性パッチに優先的に結合する「疎水性パッチ」プローブである。疎水性パッチは、一般には、その天然状態のタンパク質の3次構造内に埋められているが、タンパク質がアンフォールドされ又は変性が始まると、露出するようになる。これらの小分子の分光学的プローブは、芳香族の疎水性染料、例えばアントラセン、アクリジン、フェナントロリン等である。他の分光学的プローブは金属-アミノ酸錯体、例えば疎水性アミノ酸、例えばフェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、及びバリン等のコバルト金属錯体である。
【0112】
ここで使用されるタンパク質組成物の「化学的安定性」なる用語は、天然タンパク質構造と比較して潜在的に少ない生物学的効力及び/又は潜在的に増加した免疫原性を持つ化学的変性産物の形成に至るタンパク質構造中の化学共有結合変化を意味する。天然タンパク質のタイプと性質及びタンパク質がさらされる環境に応じて、様々な化学的変性産物が形成されうる。最も可能性が高いことは化学的変性は完全には避けることができないことであり、当業者にはよく知られているように、化学的変性産物の量の増加がタンパク質組成物の貯蔵や使用中にしばしば見られる。殆どのタンパク質は、脱アミド化を受ける傾向があり、これはグルタミニル又はアスパラギニル残基の側鎖アミド基が加水分解されて遊離のカルボン酸を形成するプロセスである。他の変性経路は、アミド基転移及び/又はジスルフィド相互作用を通して二以上のタンパク質分子が互いに共有結合し、共有結合した二量体、オリゴマー及び多量体変性産物の形成に至る高分子量転換産物の形成を含む(Stability of Protein Pharmaceuticals, Ahern. T. J. & Manning M. C., Plenum Press, New York 1992)。(例えばメチオニン残基の)酸化は化学的変性の他の変形例として挙げることができる。タンパク質組成物の化学的安定性は、異なった環境条件への暴露後に様々な時点において化学的変性産物の量を測定することによって評価することができる(変性産物の形成は例えば温度上昇によってしばしば加速され得る)。それぞれ個々の変性産物の量は、様々なクロマトグラフィー法(例えばSEC-HPLC及び/又はRP-HPLC)を使用して分子サイズ及び/又は電荷に応じて変性産物を分離することにより決定されることが多い。
【0113】
よって、上に概説したように、「安定化された組成物」とは増加した物理的安定性、増加した化学的安定性、又は増加した物理的及び化学的安定性を有する組成物を意味する。一般に、組成物は、有効期限に達するまで(推奨された使用及び貯蔵条件に応じて)使用及び貯蔵中に安定でなければならない。
本発明の一実施態様では、修飾された糖タンパク質を含有する医薬組成物は、6週間を越える使用の間、また3年を越える貯蔵の間、安定している。
本発明の他の実施態様では、修飾された糖タンパク質を含有する医薬組成物は、4週間を越える使用の間、また3年を越える貯蔵の間、安定している。
本発明のさらなる実施態様では、修飾された糖タンパク質を含有する医薬組成物は、4週間を越える使用の間、また2年を越える貯蔵の間、安定している。
本発明のさらなる実施態様では、修飾された糖タンパク質を含有する医薬組成物は、2週間を越える使用の間、また2年を越える貯蔵の間、安定している。
【0114】
ここに引用された刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての文献は、本明細書の他の箇所で特定の文献が別個に援用されているかどうかにかかわらず、あたかも各文献が個々にかつ特に出典明示により援用され、その全体がここに記載されているかの如く、ここに出典明示によりその全体が同じ程度に援用される(法律により許容される最大範囲)。
本発明で記述する場合における「a」及び「an」及び「the」及び類似の指示対象の使用は、ここに特段の定義が示されたり、明瞭に内容に矛盾が生じていない限り、単数形と複数形の双方をカバーしていると解釈される。
【0115】
特段の定義が示されない限り、ここで提供される全ての正確な値は、対応する近似値を代表する(例えば、特定の因子又は測定に対して提供される全ての正確な例示値は、適切な場合には「約」により修飾される、対応する近似測定値をまた提供すると考えることができる)。
要素又は要素群に関して「含有する」、「持つ」、「有する」、又は「含む」のような用語を使用する任意の態様又は本発明の態様のここに記載した説明は、特段の定義が示されないか又は明瞭に内容が矛盾しない限り、その特定の要素又は要素群「からなる」、「から本質的になる」、「含む」又は「含める」態様又は本発明の態様に対して裏付けを提供するものである(例えば、特定の成分を含有するここに記載の組成物は、特段の定義が示されないか又は明瞭に内容が矛盾しない限り、その成分からなる組成物を記述するものと理解されなければならない)。
【0116】
全ての表題及び副題は便宜のためのみにここで使用され、決して本発明を限定するものと解釈してはいけない。
本明細書における任意のかつ全ての例、又は例を示す表現(例えば「等」)の使用は、発明をより良好に例証するためだけのものであり、特段示されていない限り、本発明の範囲に対する限定をもたらすものではない。明細書中の如何なる表現も、請求項に記載していない要素が発明の実施に必須であることを示していると解釈してはいけない。
ここでの特許文献の引用及び援用は便宜のためにのみなすもので、そのような特許文献の有効性、特許性及び/又は権利行使可能性についての見解を何ら反映するものではない。
【実施例】
【0117】
略語:
SDS-PAGE:ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
FVIIa:第VIIa因子
FVIII:第VIII因子
FIX:第IX因子
【0118】
材料、装置及び方法
精製:
イオン交換カラム(HiTrap Q HP, Amersham Bioscience)又はサイズ排除カラム(XK26/60 HiLoad Superdex 200, Amersham Bioscience)でのタンパク質精製を、FC-950フラクション収集器を具備するAkta FPLCを使用して実施した。溶出用バッファー、カラム及びフラクション収集器を5℃で温度調節した。
SDS-PAGE:
Invitrogenの標準的なプロトコルに従い、プレキャストされた4−12%のビス-トリスゲル、NuPAGE MES SDSランニングバッファー、 Mark 12 標準体、及びNUPAGE LDSサンプルバッファーと共にInvitrogenTMのXcell SurelockTMMinI-Cellシステムを使用して、SDS-PAGEを実施した。Invitrogenの標準的なプロトコルに従い、ゲルをSimpleBlueTMで染色した。
バッファー溶液
GlyGlyバッファー:25mMのGly-Gly、50mMのNaCl、25mMのCaCl2、pH6.0
CaCl2フリーのGlyGlyバッファー:25mMのGly-Gly、50mMのNaCl、pH6.0
Hepesバッファー:50mMのHepes、100mMのNaCl、5mMのCaCl2、0,01%のトゥイーン80、pH=7.4
【0119】
実施例
FVIIaのNaIO処理及びS2288活性
NaIOと残留ペプチド分解(peptiodlytical activity)活性との相関研究→非自明な関係
【0120】
アッセイI
FVIIaに対するペプチド分解活性の測定:
ペプチド分解活性を、Chromogenix, Molndal, Swedenからの発色基質S-2288(H-D-Ile-Pro-Arg-P-ニトロアニリン)を使用して測定した。次のプロトコルを適用した:Hepesバッファーに入った10mMのS2288保存液を調製した。同様に、Hepesバッファーに入った200nMの組織因子保存液を調製した。試験体と参照化合物(例えば野生型FVIIa)の200nM保存液を、Hepesバッファーにて調製した。化合物を、ELISAウェルで3回試験した。典型的な実験では、10ulの200nM試験体溶液、50ulの200nM組織因子保存液、及び135μlのHepesバッファーを、ウェルに添加した。5ulの200nM S2288保存液を添加することにより、反応を開始させた。室温で15分間、ELISA-リーダー(405nmでの吸光度)でウェルを連続的に分析した。開始速度から相対的活性を算出し、野生型FVIIaの速度と比較した。修飾されたFVIIaアナログに対する活性を、野生型FVIIaの活性のパーセントとして報告した。
【実施例1】
【0121】
10K PEG-ONH2:10K-SMB-PEG(1.00g;0.1mmol;Nektar Inc)を、DCM(10ml)に溶解させた。4-(N-T-ブトキシカルボニルアミノオキシ)ブチルアミン(0.20g、1mmol、WO 2005014049 A2に記載されたようにして調製)を添加し、混合物を室温で16時間攪拌した。ジエチルエーテル(90ml)を添加し、白色沈殿物を濾過した。DCM(10ml)に沈殿物を再溶解させ、ジエチルエーテル(90ml)を添加することにより、該プロセスを繰り返した。ついで、沈殿した物質をDCM(6ml)に再溶解させ、Amberlyst 15イオン交換樹脂(2.0g;予めDCM及びDCMに10%のEtOHが入ったもので洗浄)を添加した。混合物を室温で30分攪拌し、ついで樹脂を濾過し、DCMで広範囲に洗浄した。組合せたDCM溶液を、ロータリーエバポレータにて最小容量になるまで濃縮し、ついでジエチルエチル(90ml)を添加し、生成物を沈殿させた。生成物をDCM(6ml)に溶解させ、TFA(6ml)を添加した。混合物を室温で0.5時間攪拌した。生成物をジエチルエーテル(100ml)で沈殿させ、濾過した。生成物をDCM(5ml)に再溶解させ、トリエチルアミン(1ml)を添加した。混合物を5分攪拌し、ついで、生成物をジエチルエーテル(100ml)で再度沈殿させた。沈殿物を濾過し、ジエチルエーテルで2回洗浄し、真空オーブンで一晩乾燥させた。収量:475mg(46%)。
H-NMR(CDCl;選択ピーク):δ1.25ppm(d,3H);1.50−1.75(m,6H);1.82(m,1H);3.38(s,3H);3,45−3,90(m,ca.900H)。
【実施例2】
【0122】
モノ 10K-PEG-FVIIa(0128-0000-1018-1A):
10mlの25mM Gly-Gly、50mMのNaCl、25mMのCaCl2、pH6.0(GlyGlyバッファー)に溶解させた第VIIa因子(14mg、0.28umol)を、CaClフリーのGlyGlyバッファーに20mMのNaIOを溶解させた100ulの溶液及びGlyGlyバッファーに10K-PEG-ONH(実施例1、42mg;4.2umol;第VIIa因子に対して15当量)を溶解させた1000ulの溶液に添加した。時折振揺させつつ、混合物を2時間氷上に配した。ついで、GlyGlyバッファーにMeONH・HCl(17mg;0.21mmol)を溶解させた溶液500ul(1MのNaOHでpHを6.0に調節)を反応混合物に添加した。氷上にさらに10分混合物を放置した。ついで、反応混合物を、pH9.0以下に維持しつつ、100mMの二塩基EDTA(4.5ml)の冷溶液に添加した。ついで、1NのHCl水100ulでpHを8.0に調節した。
【0123】
イオン交換クロマトグラフィー:
過剰のPEG-ONH2をイオン交換クロマトグラフィーにより除去した。冷却した反応混合物を、25mMのGlyGly、50mMのNaCl、pH8.0で予め平衡にした5mlのHiTrap Qイオン交換カラム(Amersham Bioscience)に充填した。一定の流量(1ml/分)及び温度(5℃)にて、25mMのGlyGly、50mMのNaCl、pH8.0(バッファーA)、10cvで、ついで25mMのGlyGly、50mMのNaCl、25mMのCaCl、pH8.0(バッファーB)、15cvで、カラムを溶出させた。280nmの吸光度により溶出物をモニターした。
【0124】
サイズ排除クロマトグラフィー:
5℃で操作されるFrac-950を具備するAKTA FPLC(Amersham Bioscience)を使用し、Superdex 200でのサイズ排除クロマトグラフィーにより、HiTrap Qからプール化フラクションとして回収されたグリコペグ化FVIIa変異体から非ペグ化FVIIaを除去した。XK26/60 HiLoad Superdex 200カラム(320ml cv)を予め平衡にしておき(10cv)、充填後、25mMのGlyGly、50mMのNaCl、25mMのCaCl2、pH6.0を用い、流量2.5ml/分で溶出させた。280nmの吸光度により溶出物をモニターした。10mlのフラクションを収集した。Invitrogenにより記載されたようにし、Simple Blueで染色されたSDS-PAGE(4-12%のビス-トリスNuPAGEゲル)でフラクションを分析した。純粋なモノペグ化FVIIaを含むフラクションをプール化し、4000rpm、10℃で、13.5分、Amicon UltraTM-15(10K MWCO)遠心分離フィルターを介して濾過することにより濃縮して、最終容量4.1mlが得られた。
【0125】
タンパク質濃度はUV測定(E280nm=1.32ml/mg/cmを使用)で0.29mg/mlであると決定され、これは0.35mg/mlのFVIIA-10K PEGと等しい。ペプチド分解活性(S2288アッセイ)は野生型FVIIaに対して79%であった。
【実施例3】
【0126】
高置換(HS)及び低置換(LS)10K-PEG-FVIIaの調製
10mlの25mM Gly-Gly、50mMのNaCl、25mMのCaCl2、pH6.0(GlyGlyバッファー)に溶解させた第VIIa因子(14mg、0.28umol)を、CaClフリーのGlyGlyバッファーに20mMのNaIOを溶解させた100ulの溶液、及びGlyGlyバッファーに10K-PEG-ONH(実施例1、42mg;4.2umol;第VIIa因子に対して15当量)を溶解させた1000ulの溶液に添加した。時折振揺させつつ、混合物を24時間4℃に配した。ついで、GlyGlyバッファーにMeONH.HCl(17mg;0.21mmol)を溶解させた溶液500ul(1MのNaOHでpHを6.0に調節)を反応混合物に添加した。氷上にさらに10分混合物を放置した。ついで、反応混合物をpH9.0以下に維持しつつ、100mMの二塩基EDTA(4.5ml)の冷溶液に添加した。ついで、1NのHCl水60ulでpHを8.0に調節した。
【0127】
イオン交換クロマトグラフィー:
過剰のPEG-ONH2をイオン交換クロマトグラフィーにより除去した。冷却した反応混合物を、25mMのGlyGly、50mMのNaCl、pH8.0で予め平衡にされた5mlのHiTrap Qイオン交換カラム(Amersham Bioscience)に充填した。一定の流量(1ml/分)及び温度(5℃)にて、25mMのGlyGly、50mMのNaCl、pH8.0(バッファーA)、10cvで、ついで25mMのGlyGly、50mMのNaCl、25mMのCaCl、pH8.0(バッファーB)、15cvで、カラムを溶出させた。280nmの吸光度により溶出物をモニターした。
【0128】
サイズ排除クロマトグラフィー:
5℃で操作されるFrac-950を具備するAKTA FPLC(Amersham Bioscience)を使用し、Superdex 200でのサイズ排除クロマトグラフィーにより、HiTrap Qからプール化フラクションとして回収されたグリコペグ化FVIIa変異体から非ペグ化FVIIaを除去した。XK26/60 HiLoad Superdex 200カラム(320ml cv)を予め平衡にしておき(10cv)、充填後、25mMのGlyGly、50mMのNaCl、25mMのCaCl2、pH6.0を用い、流量2.5ml/分で溶出させた。280nmの吸光度により溶出物をモニターした。10mlのフラクションを収集した。Invitrogenにより記載されたようにし、Simple Blueで染色されたSDS-PAGE(4-12%のビス-トリスNuPAGEゲル)でフラクションを分析した。PEG置換レベルに従ってフラクションをプール化し、4000rpm、10℃、Amicon UltraTM-15(10K MWCO)遠心分離フィルターを介して濾過することにより濃縮した。
HS(トリ/テトラ10K PEG)FVIIa:0.92mgのタンパク質(UV280nm)/ml、全量=1.6ml。
HS(ジ/トリ10K PEG)FVIIa:0.63mgのタンパク質(UV280nm)/ml、全量=1.4ml。
LS(モノ/ジ10K PEG)FVIIa:1.2mgのタンパク質(UV280nm)/ml、全量=1.4ml。
モノ10K PEG FVIIa:0.7mgのタンパク質(UV280nm)/ml、全量=2.3ml。
【実施例4】
【0129】
高置換(HS)及び低置換(LS)40K-PEG-FVIIaの調製
15mlの25mM Gly-Gly、50mMのNaCl、25mMのCaCl2、pH6.0(GlyGlyバッファー)に溶解させた第VIIa因子(14mg、0.28umol)を、CaClフリーのGlyGlyバッファーに20mMのNaIOを溶解させた溶液50ul、及びGlyGlyバッファーに40K-PEG-ONH((20K PEG)OCH(20K PEG)OCHCHOC(=O)O-CHCHONH;WO 2006042847、112mg;2.8umol;第VIIa因子に対して10当量)を溶解させた溶液1500ulに添加した。時折振揺させつつ、混合物を48時間4℃に配した。ついで、GlyGlyバッファーにMeONH.HCl(17mg;0.21mmol)を溶解させた500ulの溶液を反応混合物に添加し、続いて1NのNaOHを用い、pHを6.0に調節した。氷上に10分混合物を放置した。ついで、反応混合物を、pH9.0以下に維持しつつ、100mMの二塩基EDTA(4.5ml)の冷溶液に添加した。ついで、1NのHCl水60ulでpHを8.0に調節した。
【0130】
イオン交換クロマトグラフィー:
過剰のPEG-ONH2をイオン交換クロマトグラフィーにより除去した。冷却した反応混合物を、25mMのGlyGly、50mMのNaCl、pH8.0で予め平衡にされた、5mlのHiTrap Qイオン交換カラム(Amersham Bioscience)に充填した。一定の流量(1ml/分)及び温度(5℃)にて、25mMのGlyGly、50mMのNaCl、pH8.0(バッファーA)、10cvで、ついで25mMのGlyGly、50mMのNaCl、25mMのCaCl、pH8.0(バッファーB)、15cvで、カラムを溶出させた。280nmの吸光度により溶出物をモニターした。フラクションをプール化し、1NのHClでpHを6.0に調節した。
【0131】
サイズ排除クロマトグラフィー:
5℃で操作されるFrac-950を具備するAKTA FPLC(Amersham Bioscience)を使用し、Superdex 200でのサイズ排除クロマトグラフィーにより、HiTrap Qからプール化フラクションとして回収されたグリコペグ化FVIIa変異体から非ペグ化FVIIaを除去した。XK26/60 HiLoad Superdex 200カラム(320ml cv)を予め平衡にしておき(10cv)、充填後、25mMのGlyGly、50mMのNaCl、25mMのCaCl2、pH6.0を用い、流量2.5ml/分で溶出させた。280nmの吸光度により溶出物をモニターした。10mlのフラクションを収集した。Invitrogenにより記載されたようにし、Simple Blueで染色されたSDS-PAGE(4-12%のビス-トリスNuPAGEゲル)で、UV活性(280nm)を含むフラクションを分析した。PEG置換レベルに従ってフラクションをプール化し、4000rpm、10℃、Amicon UltraTM-15(10K MWCO)遠心分離フィルターを介して濾過することにより濃縮した。
HS(ジ/トリ40K PEG)FVIIa:0.46mgのタンパク質(UV280nm)/ml、全量=3.0ml。
LS(モノ/ジ40K PEG)FVIIa:0.75mgのタンパク質(UV280nm)/ml、全量=3.7ml。
モノ40K PEG FVIIa:0.53mgのタンパク質(UV280nm)/ml、全量=4.5ml。
【実施例5】
【0132】
高置換(HS)及び低置換(LS)5K-PEG-FVIIaの調製
−過ヨウ素酸塩濃度及び最終の化合物のペプチド分解活性に対する影響
次の保存液を調製した:
2.8mMのPEG保存液:5K-PEG-ONH(4.03mg;0.8umol、実施例1に記載したようにして、5K-PEG-NHSエステルから調製)を、CaClフリーのGlyGlyバッファー(25mMのGly-Gly、50mMのNaCl、pH6.0)281ulに溶解。20mMのNaIO保存液:NaIO(426mg;2mmol)を、CaClフリーのGlyGlyバッファー(25mMのGly-Gly、50mMのNaCl、pH6.0)100mlに入れたもの。100mMのEDTA溶液:10mlの水にEDTA-二ナトリウム塩(292mg)を入れたもの。1MのCaCl溶液:10mlの水にCaCl2(1.12g)を入れたもの(0.45umのフィルターで濾過)。12.8uMの第VIIa因子溶液:1.0mlの25mM Gly-Gly、50mMのNaCl、25mMのCaCl、pH6.0(GlyGlyバッファー)に(1.4mg、0.028umol)を溶解させたものを、100mMのEDTA溶液95ul、続いてCaClフリーのGlyGlyバッファー1.095mlに添加したもの(最終的なFVIIa濃度=0.64mg/ml)。保存液を以下のスキームに従い混合した。

【0133】
全ての反応混合物を、室温で2時間、ゆっくりと振揺した。ついで、各バイアルに、25ulの1M CaCl溶液を添加した。ついで、アッセイのセクションに記載されたようにして、ペプチド分解活性についてサンプルを分析した。

*FVIIaにおけるシアル酸の平均数は、以下の実施例8に記載するノイラミニダーゼ-ガラクトースオキシダーゼアッセイにより測定して、4.5に等しい。
全ての場合において、Invitrogenにより記載されたようにして、SilverQuestで染色されたSDS-PAGE(4-12%のビス-トリスNuPAGEゲル)で分析して、モノ-、ジ-及びトリペグ化産物の同一混合物が得られた。
【実施例6】
【0134】
高置換(HS)及び低置換(LS)10K-PEG-FIXの調製
これらの物質は、実施例3に記載したプロトコルを使用して調製する。
【実施例7】
【0135】
高置換(HS)及び低置換(LS)40K-PEG-FIXの調製
第IX因子(BeneFix)を、次の手順に従って賦形剤から精製した:凍結乾燥した材料(1000IU)を、滅菌水(4ml)で再構築させ、EDTA(200ul、0.25Mの水溶液、pH6)に添加した。5℃で10分後、サンプルを、25mMのGlyGly、100mMのNaCl、pH6.0で予め平衡にされた1mlのResource Qカラム(Amersham Bioscience)に充填した。カラムを1ml/分の流量で操作した。一定の流量(1ml/分)及び温度(5℃)にて、25mMのGlyGly、100mMのNaCl、pH6.0(バッファーA)、30cvで、ついで25mMのGlyGly、100mMのNaCl、10mMのCaCl、pH6.0(バッファーB)、15cvで、カラムを溶出させた。280nmの吸光度により溶出物をモニターした。4.2mlのフラクションを収集し、タンパク質濃度を吸光度により測定し(1.32/mg/ml)、0.52mg/mlであった。
【0136】
ペグ化反応:
25mMのGlyGly、100mMのNaCl、pH6.0(2ml;1.04mg;18.54mmol)に精製したBenefixが入ったものを、80ul(1mMのNaIO4、80nmol、BeneFixにおけるシアル酸含有量に対して1当量)添加した。室温で2時間、混合物を攪拌し、ついで、25mMのGlyGly、100mMのNaCl、pH6.0に40K-PEG-ONH((20K PEG)OCH(20K PEG)OCHCHOC(=O)O-CHCHONH; WO 2006042847;926ul;500uM;25×)が溶解した溶液を添加した。混合物を、室温で48時間放置した。メチオニン(100ul、25mMのGlyGly、100mMのNaCl、pH6.0に5mM)、続いてMeONH2(100ul、25mMのGlyGly、100mMのNaCl、pH6.0に5mM)を添加した。混合物を室温で30分放置し、ついで、さらに精製するまで、−80℃で凍結した。
【0137】
イオン交換クロマトグラフィー:
過剰のPEG-ONH2試薬と非ペグ化FIXを、Frac-950を具備するAKTA FPLCにおいて操作される1mlのResource Qカラム(全てAmersham Bioscience)を使用するイオン交換クロマトグラフィーにより、グリコペグ化FIXから除去した。280nmの吸光度により溶出物をモニターした。1000ulのフラクションを収集し、プロセス中、流量を1ml/分に維持した。凍結された反応混合物をゆっくりと解凍し、EDTA(400ul、0.25Mの水溶液、pH6)に添加した。水を添加することにより、混合物の伝導率を9.3mSに調節した。ついで、混合物を、20cvの10mM ヒスチジン、50mMのNaCl、10mMのEDTA、0.01%のトゥイーン80、pH6.0で予め平衡にされたResource Qカラムに適用した。カラムを、15cvの10mM ヒスチジン、50mMのNaCl、10mMのEDTA、0.01%のトゥイーン80、pH6.0、続いて15cvの10mM ヒスチジン、50mMのNaCl、0.01%のトゥイーン80、pH6.0(バッファーA)で洗浄した。ついで、10mMのヒスチジン、50mMのMgCl2、0.01%のトゥイーン80、pH6.0(バッファーB)、15cvで、続いて100%のバッファーBで20cvで増加する勾配(0-80%)を用いて、カラムを溶出させた。Invitrogenにより記載されたようにして、Simple Blueで染色されたSDS-PAGE(4-12%のビス-トリスNuPAGEゲル)でフラクションを分析した。PEG置換レベルに従ってフラクションをプール化した。
LS(モノ/ジ40K PEG)FIX:34.3ugのタンパク質(UV280nm)/ml、全量=3ml。
モノ40K-PEG-FIX:70.7ugのタンパク質(UV280nm)/ml、全量=3ml。
【実施例8】
【0138】
FVIIaのシアル酸含有量の定量
WO 2005014035 A2に記載されたようにして、Molecular Probes Inc.(29851 Willow Creek Road, Eugene, OR 97402)からのAmplex Red Neuraminidase(Sialidase)アッセイキット(A-22178)を使用し、シアル酸含有量を測定した。
【実施例9】
【0139】
過ヨウ素酸塩媒介性FVIIIの40Kペグ化
NaCl(36mg/ml);サッカロース(12mg/ml);L-ヒスチジン(6mg/ml);KCl(1mg/ml);ポリソルベート80(0.4mg/ml)を含有する1mlの分散バッファーに、第VIII因子(Refacto; WyetH、2000 IE)を溶解させた。ついで、400IE(200ulの構成バッファー中)を、Amiconultra 15,10K MWCOを使用するスピンフィルター(3x12分、13.000rpm)により、20mMのGlyGly、0.15MのNaCl;10mMのCaCl2;0.02%のトゥイーン80、pH7.3においてバッファー交換した。このFVIII溶液が30ulになるまで、20mMのGlyGly、0.15MのNaCl;10mMのCaCl2;0.02%のトゥイーン80、pH7.3に500uMの40K-PEG-ONH2(SunBrightgL2-400CA;20mg/ml)が入ったものを10ul、続いて3ulの100uM NaIO4水、及び12ulの20mM GlyGly、0.15MのNaCl;10mMのCaCl2;0.02%のトゥイーン80、pH7.3溶液を添加した。反応物を4℃で16時間インキュベートし、ついでSDS-ゲル(7%のトリスアセタートゲル150V/70分)で分析し、Invitrogenに記載されたようにして、SilverQuestで銀染色した。
【0140】
(発明の例示的な実施態様及び特徴)
ここに記載された本発明をよりよく例証するために、本発明の例示的な実施態様及び特徴のいくつかの非限定的列挙をここに提供する:
1.一般構造
(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'-M') (式I)
[上式中、M及び場合によってはM'は、独立して修飾された糖タンパク質の分子量を増加させるためのポリマー部分であり、L及びL'は、独立して二価リンカーを表し、Pは糖タンパク質の一又は複数の酸化グルカン末端を有する糖タンパク質を表し、O、N、C及びHは、それぞれ酸素、窒素、炭素及び水素原子を表し、nは1−10であり、mは0−50である]
を有する修飾された糖タンパク質を調製する方法であって、
a)糖タンパク質Pに存在する少なくとも一のグリカン末端を過ヨウ素酸イオンで酸化させ、ここで、Pは一又は複数のアルデヒド基を含む糖タンパク質P-(CHO)n+mを得るための複数のグリコフォームを表し、
b)P-(CHO)n+mをM-L-O-NHと反応させて構造(M-L-O-N=CH)-P-(CHO)の修飾された糖タンパク質を得、
c)場合によっては、構造(M-L-O-N=CH)-P-(CHO)の糖タンパク質中の任意の未反応アルデヒド基をM'-L'-O-NHと反応させて構造(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'=M')の修飾された糖タンパク質を得る
工程を含み、ここで、該過ヨウ素酸イオンは、糖タンパク質に存在する非還元グリカン末端の数に対して50当量未満の量で存在しており、該修飾された糖タンパク質は、出発糖タンパク質Pと比較して改善された薬理学的性質を有し、その機能活性は維持されている方法。
【0141】
2.前記糖タンパク質が、N-グリコシル化及び/又はO-グリコシル化されており、及び/又はシアル酸部分を含む、実施態様1の方法。
3.修飾された糖タンパク質が出発糖タンパク質と比較して改善された薬理学的性質を有していることを確認するさらなる工程を含む先の実施態様のいずれか一つの方法。
4.改善された薬理学的性質が、生物学的利用能の増加、機能的インビボ半減期の増加、インビボ血漿半減期の増加、免疫原性の低下、プロテアーゼ耐性の増加、アルブミンに対する親和性の増加、レセプターに対する親和性の改善、保存安定性の増加、機能的インビボ半減期の低減、インビボ血漿半減期の低減からなる群から選択される、先の実施態様のいずれか一つの方法。
【0142】
5.半減期の増加が、M及び/又はM'を、腎クリアランスが低減され又は消失されるように分子量を増加させる基にするか、及び/又はMを肝臓レセプターに対する結合パートナーをマスクする基にすることにより得られる実施態様4の方法。
6.免疫原性の低下が、M及び/又はM'を免疫原性部位に結合する抗体をブロックする基にすることにより得られる実施態様4の方法。
7.アルブミンに対する親和性の改善が、M及び/又はM'をアルブミンに対して高い親和性を有する基にすることにより得られる実施態様4の方法。
8.レセプターに対する親和性の改善が、M及び/又はM'を標的細胞上の表面レセプターに特異的に結合する基にすることにより得られる実施態様4の方法。
【0143】
9.M及び/又はM'が、一又は複数のカルボン酸、アミン類、スルホン酸、ホスホン酸、又はその組合せを含みうる低分子量の有機荷電基;低分子量の中性親水性分子、例えばシクロデキストリン、又は分枝していてもよいポリエチレン鎖;低分子量の疎水性分子、例えば脂肪酸又はコール酸又はその誘導体;2−40kDaの平均分子量を有するポリエチレングリコール;十分に定義された精密ポリマー、例えば700Da〜20kDaの範囲の正確な分子量を有するデンドリマー;実質的に非免疫原性のポリペプチド、例えばアルブミン、抗体又は場合によってはFcドメインを含む抗体の一部;及び高分子量の有機ポリマーからなる群から選択される先の実施態様のいずれか一つの方法。
【0144】
10.M及び/又はM'が、デンドリマー、ポリアルキレングリコール(PAG)を含むポリアルキレンオキシド(PAO)、例えばポリエチレングリコール(PEG)及びポリプロピレングリコール(PPG)、分枝状PEG、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボキシレート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン-コ-無水マレイン酸、ポリスチレン-コ-無水マレイン酸、デキストラン、カルボキシメチル-デキストラン、HES、MPC及びPHFからなる群から選択される先の実施態様のいずれか一つの方法。
11.M及び/又はM'が、血清タンパク質結合リガンド、生理的条件下で荷電特性を変化させる部分を含む低有機分子、グリカンのレセプターへの結合を阻害する構造、及びグリカン特異的認識を防止する中性置換基からなる群から選択される先の実施態様のいずれか一つの方法。
【0145】
12.Pが、FVII、FVIII、FIX、FX、FII、FV、プロテインC、プロテインS、tPA、PAI-1、組織因子、FXI、FXII、FXIII、並びにその配列変異体;免疫グロブリン、サイトカイン類、例えばインターロイキン、α-、β-、及びγ-インターフェロン、顆粒球コロニー刺激因子を含むコロニー刺激因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、ホスホリパーゼ活性化タンパク質(PUP)、インスリン、植物タンパク質、例えばレクチン及びリシン、腫瘍壊死因子及び関連する対立遺伝子、腫瘍壊死因子レセプターの可溶型、インターロイキンレセプター及びインターロイキンレセプターの可溶型、増殖因子、例えば組織増殖因子、例えばTGFa’s又はTGFps、及び表皮増殖因子、ホルモン、ソマトメジン、エリスロポエチン、色素性ホルモン、視床下部放出因子、抗利尿ホルモン、プロラクチン、絨毛性ゴナドトロピン、卵胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、組織プラスミノーゲンアクチベータ、及び免疫グロブリン、例えばIgG、IgE、IgM、IgA、及びIgD、及びその断片、又は上述のタンパク質又はその断片の任意のものを含む任意の融合タンパク質から選択される先の実施態様のいずれか一つの方法。
【0146】
13.糖タンパク質が第VII因子ポリペプチドである実施態様1−12のいずれか一つの方法。
14.糖タンパク質が、野生型ヒト第VII因子のアミノ酸配列を有している実施態様1−12のいずれか一つの方法。
【0147】
15.修飾された糖タンパク質が、本明細書に記載されるような凝固アッセイ、タンパク質分解アッセイ、又はTF結合アッセイの一又は複数で試験した場合、未修飾の第VII因子ポリペプチドの特定の活性の、少なくとも約10%、例えば少なくとも約20%、例えば少なくとも約40%、例えば少なくとも約60%、例えば少なくとも約80%、例えば少なくとも約100%を示す実施態様13−14のいずれか一つの方法。
16.修飾された糖タンパク質が、未修飾の糖タンパク質の生物学的利用能の少なくとも約110%、例えば少なくとも約120%、約130%、又は未修飾の糖タンパク質の生物学的利用能の少なくとも約140%の生物学的利用能を示す実施態様1−15のいずれか一つの方法。
17.修飾された糖タンパク質が、未修飾の糖タンパク質の半減期の少なくとも約125%、例えば約150%、約200%、又は未修飾の糖タンパク質の半減期の少なくとも約250%の血清半減期を示す実施態様1−15のいずれか一つの方法。
【0148】
18.過ヨウ素酸イオンが、糖タンパク質に存在する非還元グリカン末端の数に対して、20当量未満、例えば10当量未満、例えば5当量未満、例えば1当量未満、例えば糖タンパク質に存在する非還元グリカン末端の数に対して、0.1−20当量の範囲、例えば0.1−10当量の範囲、例えば0.1−5当量の範囲、例えば0.1−1当量の範囲の量で存在している実施態様1−17のいずれか一つの方法。
【0149】
19.一般構造
(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'-M') (式I)
[上式中、M及び場合によってはM'は、独立して、修飾された糖タンパク質の分子量を増加させるためのポリマー部分であり、L及びL'は、独立して二価リンカーを表し、Pは糖タンパク質の一又は複数の酸化グルカン末端を有する糖タンパク質を表し、O、N、C及びHは、それぞれ酸素、窒素、炭素及び水素原子を表し、nは1−10であり、mは0−50である]
を有する修飾された糖タンパク質であって、出発糖タンパク質Pと比較して改善された薬理学的性質を有し、その機能活性が維持されている修飾された糖タンパク質。
【0150】
20.前記糖タンパク質が、N-グリコシル化及び/又はO-グリコシル化されており、及び/又はシアル酸部分を含む実施態様19の修飾された糖タンパク質。
21.改善された薬理学的性質が、生物学的利用能の増加、機能的インビボ半減期の増加、インビボ血漿半減期の増加、免疫原性の低下、プロテアーゼ耐性の増加、アルブミンに対する親和性の増加、レセプターに対する親和性の改善、保存安定性の増加、機能的インビボ半減期の低減、インビボ血漿半減期の低減からなる群から選択される、実施態様19−20のいずれか一つの修飾された糖タンパク質。
【0151】
22.半減期の増加が、M及び/又はM'を、腎クリアランスが低減され又は消失されるように分子量を増加させる基にするか、及び/又はM'を肝臓レセプターに対する結合パートナーをマスクする基にすることにより得られる実施態様21の修飾された糖タンパク質。
23.免疫原性の低下が、M及び/又はM'を免疫原性部位に結合する抗体をブロックする基にすることにより得られる実施態様21の修飾された糖タンパク質。
24.アルブミンに対する親和性の改善が、M及び/又はM'をアルブミンに対して高い親和性を有する基にすることにより得られる実施態様21の修飾された糖タンパク質。
25.レセプターに対する親和性の改善が、M及び/又はM'を標的細胞における表面レセプターに特異的に結合する基にすることにより得られる実施態様21の修飾された糖タンパク質。
【0152】
26.M及び/又はM'が、一又は複数のカルボン酸、アミン、スルホン酸、ホスホン酸、又はその組合せを含みうる低分子量の有機荷電基;低分子量の中性親水性分子、例えばシクロデキストリン、又は分枝していてもよいポリエチレン鎖;低分子量の疎水性分子、例えば脂肪酸又はコール酸又はその誘導体;2−40kDaの平均分子量を有するポリエチレングリコール;十分に定義された精密ポリマー、例えば700Da〜20kDaの範囲の正確な分子量を有するデンドリマー;実質的に非免疫原性のポリペプチド、例えばアルブミン、抗体又は場合によってはFcドメインを含む抗体の一部;及び高分子量の有機ポリマーからなる群から選択される実施態様19−25のいずれか一つの修飾された糖タンパク質。
【0153】
27.M及び/又はM'が、デンドリマー、ポリアルキレングリコール(PAG)を含むポリアルキレンオキシド(PAO)、例えばポリエチレングリコール(PEG)及びポリプロピレングリコール(PPG)、分枝状PEG、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボキシレート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン・無水マレイン酸コポリマー、ポリスチレン・無水マレイン酸コポリマー、デキストラン、カルボキシメチル-デキストラン、HES、MPC及びPHFからなる群から選択される実施態様19−26のいずれか一つの修飾された糖タンパク質。
28.M及び/又はM'が、血清タンパク質結合リガンド、生理条件下で帯電特性を変化させる部分を有する低有機分子、グリカンのレセプターへの結合を阻害する構造、及びグリカン特異性認識を防止する中性置換基からなる群から選択される実施態様19−26のいずれか一つの修飾された糖タンパク質。
【0154】
29.Pが、FVII、FVIII、FIX、FX、FII、FV、プロテインC、プロテインS、tPA、PAI-1、組織因子、FXI、FXII、FXIII、並びにその配列変異体;免疫グロブリン、サイトカイン、例えばインターロイキン、α-、β-、及びγ-インターフェロン、顆粒球コロニー刺激因子を含むコロニー刺激因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、ホスホリパーゼ活性化タンパク質(PUP)、インスリン、植物タンパク質、例えばレクチン類及びリシン類、腫瘍壊死因子及び関連する対立遺伝子、腫瘍壊死因子レセプターの可溶型、インターロイキンレセプター及びインターロイキンレセプターの可溶型、増殖因子、例えば組織増殖因子、例えばTGFa’s又はTGFps、及び表皮増殖因子、ホルモン、ソマトメジン、エリスロポエチン、色素性ホルモン、視床下部放出因子、抗利尿ホルモン、プロラクチン、絨毛性ゴナドトロピン、卵胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、組織プラスミノーゲンアクチベータ、及び免疫グロブリン、例えばIgG、IgE、IgM、IgA、及びIgD、及びその断片、又は上述のタンパク質又はその断片の任意のものを含む任意の融合タンパク質から選択される実施態様19−28のいずれか一つの修飾された糖タンパク質。
【0155】
30.糖タンパク質が第VII因子ポリペプチドである実施態様19−29のいずれか一つの修飾された糖タンパク質。
31.糖タンパク質が、野生型ヒト第VII因子のアミノ酸配列を有している実施態様19−29のいずれか一つの修飾された糖タンパク質。
【0156】
32.修飾された糖タンパク質が、本明細書に記載された凝固アッセイ、タンパク質分解アッセイ、又はTF結合アッセイの一又は複数で試験した場合、未修飾の第VII因子ポリペプチドの特定の活性の、少なくとも約10%、例えば少なくとも約20%、例えば少なくとも約40%、例えば少なくとも約60%、例えば少なくとも約80%、例えば少なくとも約100%を示す実施態様30−31のいずれか一つの修飾された糖タンパク質。
33.修飾された糖タンパク質が、未修飾の糖タンパク質の生物学的利用能の少なくとも約110%、例えば少なくとも約120%、約130%、又は未修飾の糖タンパク質の生物学的利用能の少なくとも約140%の生物学的利用能を示す実施態様19−32のいずれか一つの修飾された糖タンパク質。
34.修飾された糖タンパク質が、未修飾の糖タンパク質の半減期の少なくとも約125%、例えば約150%、約200%、又は未修飾の糖タンパク質の半減期の少なくとも約250%の血清半減期を示す実施態様19−33のいずれか一つの方法。
【0157】
35.一般構造
(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'-M') (式I)
[上式中、M及び場合によってはM'は、独立して、修飾された糖タンパク質の分子量を増加させるためのポリマー部分であり、L及びL'は、独立して二価のリンカーを表し、Pは糖タンパク質の一又は複数の酸化グルカン末端を有する糖タンパク質を表し、O、N、C及びHは、それぞれ酸素、窒素、炭素及び水素原子を表し、nは1−10であり、mは0−50である]
を有する修飾された糖タンパク質であって、出発糖タンパク質Pと比較して改善された薬理学的性質を有し、その機能活性が維持され、実施態様1−12のいずれか一つの方法で得られる修飾された糖タンパク質。
【0158】
36.実施態様19−35のいずれか一つの修飾された糖タンパク質を複数含有する調製物。
37.製薬的に許容可能な担体、希釈剤、ビヒクル又は賦形剤と混合して、実施態様19−36のいずれか一つの修飾された糖タンパク質を含有する医薬組成物。
38.治療における使用のための実施態様19−36のいずれか一つの修飾された糖タンパク質。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般構造
(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'-M') (式I)
[上式中、M及び場合によってはM'は、独立して、修飾された糖タンパク質の分子量を増加させるためのポリマー部分であり、L及びL'は、独立して二価リンカーを表し、Pは糖タンパク質の一又は複数の酸化グルカン末端を有する糖タンパク質を表し、O、N、C及びHは、それぞれ酸素、窒素、炭素及び水素原子を表し、nは1−10であり、mは0−50である]
を有する修飾された糖タンパク質を調製する方法であって、
a)糖タンパク質Pに存在する少なくとも一のグリカン末端を過ヨウ素酸イオンで酸化させ、ここでPは一又は複数のアルデヒド基を含む糖タンパク質P-(CHO)n+mを得るための複数のグリコフォームを表し、
b)P-(CHO)n+mをM-L-O-NHと反応させて構造(M-L-O-N=CH)-P-(CHO)の修飾された糖タンパク質を得、
c)場合によっては、構造(M-L-O-N=CH)-P-(CHO)を有する糖タンパク質中の任意の未反応アルデヒド基をM'-L'-O-NHと反応させて構造(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'=M')の修飾された糖タンパク質を得る
工程を含み、ここで、該過ヨウ素酸イオンは、糖タンパク質に存在する非還元グリカン末端の数に対して50当量未満の量で存在しており、該修飾された糖タンパク質は、出発糖タンパク質Pと比較して改善された薬理学的性質を有し、その機能活性は維持されている方法。
【請求項2】
M及び/又はM'が、一又は複数のカルボン酸、アミン、スルホン酸、ホスホン酸、又はその組合せを含みうる低分子量の有機荷電基;低分子量の中性親水性分子、例えばシクロデキストリン、又は分枝していてもよいポリエチレン鎖;低分子量の疎水性分子、例えば脂肪酸又はコール酸又はその誘導体;2−40kDaの平均分子量を有するポリエチレングリコール;詳細が明らかな精密ポリマー、例えば700Da〜20kDaの範囲の正確な分子量のデンドリマー;実質的に非免疫原性のポリペプチド、例えばアルブミン、抗体又は場合によってはFcドメインを含んでいる抗体の一部;及び高分子量の有機ポリマーからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
M及び/又はM'が、デンドリマー、ポリアルキレングリコール(PAG)を含むポリアルキレンオキシド(PAO)、例えばポリエチレングリコール(PEG)及びポリプロピレングリコール(PPG)、分枝状PEG、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボキシレート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン・無水マレイン酸コポリマー、ポリスチレン・無水マレイン酸コポリマー、デキストラン、カルボキシメチル-デキストラン、HES、MPC、及びPHFからなる群から選択される請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
Pが、FVII、FVIII、FIX、FX、FII、FV、プロテインC、プロテインS、tPA、PAI-1、組織因子、FXI、FXII、FXIII、並びにその配列変異体;免疫グロブリン、サイトカイン、例えばインターロイキン、α-、β-、及びγ-インターフェロン、顆粒球コロニー刺激因子を含むコロニー刺激因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、ホスホリパーゼ活性化タンパク質(PUP)、インスリン、植物タンパク質、例えばレクチン及びリシン、腫瘍壊死因子及び関連する対立遺伝子、腫瘍壊死因子レセプターの可溶型、インターロイキンレセプター及びインターロイキンレセプターの可溶型、増殖因子、例えば組織増殖因子、例えばTGFa’s又はTGFps、及び表皮増殖因子、ホルモン、ソマトメジン、エリスロポエチン、色素性ホルモン、視床下部放出因子、抗利尿ホルモン、プロラクチン、絨毛性ゴナドトロピン、卵胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、組織プラスミノーゲンアクチベータ、及び免疫グロブリン、例えばIgG、IgE、IgM、IgA、及びIgD、及びその断片、又は上述のタンパク質又はその断片の任意のものを含む任意の融合タンパク質から選択される請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
糖タンパク質が第VII因子ポリペプチドである請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
修飾された糖タンパク質が、未修飾の糖タンパク質の生物学的利用能の少なくとも約110%、例えば少なくとも約120%、約130%、又は未修飾の糖タンパク質の生物学的利用能の少なくとも約140%の生物学的利用能を示す請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
過ヨウ素酸イオンが、糖タンパク質に存在する非還元グリカン末端の数に対して、20当量未満、例えば10当量未満、例えば5当量未満、例えば1当量未満、例えば糖タンパク質に存在する非還元グリカン末端の数に対して、0.1−20当量の範囲、例えば0.1−10当量の範囲、例えば0.1−5当量の範囲、例えば0.1−1当量の範囲の量で存在する請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
一般構造
(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'-M') (式I)
[上式中、M及び場合によってはM'は、独立して、修飾された糖タンパク質の分子量を増加させるためのポリマー部分であり、L及びL'は、独立して二価リンカーを表し、Pは糖タンパク質の一又は複数の酸化グルカン末端を有する糖タンパク質を表し、O、N、C及びHは、それぞれ酸素、窒素、炭素及び水素原子を表し、nは1−10であり、mは0−50である]
を有する修飾された糖タンパク質であって、出発糖タンパク質Pと比較して改善された薬理学的性質を有し、その機能活性が維持されている修飾された糖タンパク質。
【請求項9】
M及び/又はM'が、一又は複数のカルボン酸、アミン類、スルホン酸、ホスホン酸、又はその組合せを含有してよい低分子量の有機荷電基;低分子量の中性親水性分子、例えばシクロデキストリン、又は場合によっては分枝状のポリエチレン鎖;低分子量の疎水性分子、例えば脂肪酸又はコール酸又はその誘導体;2−40kDaの平均分子量を有するポリエチレングリコール;詳細が明らかな精密ポリマー、例えば700Da〜20kDaの範囲の正確な分子量を有するデンドリマー;実質的に非免疫原性のポリペプチド、例えばアルブミン、抗体又は場合によってはFcドメインを含んでいる抗体の一部;及び高分子量の有機ポリマーからなる群から選択される請求項8に記載の修飾された糖タンパク質。
【請求項10】
M及び/又はM'が、デンドリマー、ポリアルキレングリコール(PAG)を含むポリアルキレンオキシド(PAO)、例えばポリエチレングリコール(PEG)及びポリプロピレングリコール(PPG)、分枝状PEG、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボキシレート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン・無水マレイン酸コポリマー、ポリスチレン・無水マレイン酸コポリマー、デキストラン、カルボキシメチル-デキストラン、HES、MPC及びPHFからなる群から選択される請求項8又は9に記載の修飾された糖タンパク質。
【請求項11】
Pが、FVII、FVIII、FIX、FX、FII、FV、プロテインC、プロテインS、tPA、PAI-1、組織因子、FXI、FXII、FXIII、並びにその配列変異体;免疫グロブリン、サイトカイン類、例えばインターロイキン、α-、β-、及びγ-インターフェロン、顆粒球コロニー刺激因子を含むコロニー刺激因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、ホスホリパーゼ活性化タンパク質(PUP)、インスリン、植物タンパク質、例えばレクチン類及びリシン類、腫瘍壊死因子及び関連する対立遺伝子、腫瘍壊死因子レセプターの可溶型、インターロイキンレセプター及びインターロイキンレセプターの可溶型、増殖因子、例えば組織増殖因子、例えばTGFa’s又はTGFps、及び表皮増殖因子、ホルモン、ソマトメジン、エリスロポエチン、色素性ホルモン、視床下部放出因子、抗利尿ホルモン、プロラクチン、絨毛性ゴナドトロピン、卵胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、組織プラスミノーゲンアクチベータ、及び免疫グロブリン、例えばIgG、IgE、IgM、IgA、及びIgD、及びその断片、又は上述のタンパク質又はその断片の任意のものを含む任意の融合タンパク質から選択される請求項8から10のいずれか一項に記載の修飾された糖タンパク質。
【請求項12】
糖タンパク質が第VII因子ポリペプチドである請求項8から11のいずれか一項に記載の修飾された糖タンパク質。
【請求項13】
修飾された糖タンパク質が、未修飾の糖タンパク質の生物学的利用能の少なくとも約110%、例えば少なくとも約120%、約130%、又は未修飾の糖タンパク質の生物学的利用能の少なくとも約140%の生物学的利用能を示す、請求項8から12のいずれか一項に記載の修飾された糖タンパク質。
【請求項14】
一般構造
(M-L-O-N=CH)-P-(CH=N-O-L'-M') (式I)
[上式中、M及び場合によってはM'は、独立して、修飾された糖タンパク質の分子量を増加させるためのポリマー部分であり、L及びL'は、独立して二価リンカーを表し、Pは糖タンパク質の一又は複数の酸化グルカン末端を有する糖タンパク質を表し、O、N、C及びHは、それぞれ酸素、窒素、炭素及び水素原子を表し、nは1−10であり、mは0−50である]
を有する修飾された糖タンパク質であって、出発糖タンパク質Pと比較して改善された薬理学的性質を有し、その機能活性が維持され、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法で得ることができる修飾された糖タンパク質。
【請求項15】
製薬的に許容可能な担体、希釈剤、ビヒクル又は賦形剤と混合して、請求項8から14のいずれか一項に記載の修飾された糖タンパク質を含有する医薬組成物。

【公表番号】特表2010−501638(P2010−501638A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526124(P2009−526124)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/059180
【国際公開番号】WO2008/025856
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(507383862)ノボ ノルディスク ヘルス ケア アーゲー (42)
【Fターム(参考)】