倉庫設備
【課題】コスト面で有利で、しかも、円滑な保守作業ができる倉庫設備を提供すること。
【解決手段】天井S側から吊り下げ支持された状態で設定走行領域Kを走行自在な物品搬送用の天井搬送車2の設定走行領域Kに平面視で近接する状態で床面F側に設置されて、複数の物品を縦横に並べた状態で収納自在な倉庫本体と、倉庫本体の外壁4Sに設けられた保守作業者進入用の上層用の進入口11Hに対して作業者が床面Fから上り下りするために用いられる昇降具とが備えられ、昇降具が、倉庫本体の外壁4Sに対して着脱自在に、かつ、移動用の車輪21を備えて人為操作により床面F上を移動自在な昇降用台車20にて構成され、かつ、上端部20Tの床上高さH3が設定走行領域Kの下限高さH2よりも低く構成されている。
【解決手段】天井S側から吊り下げ支持された状態で設定走行領域Kを走行自在な物品搬送用の天井搬送車2の設定走行領域Kに平面視で近接する状態で床面F側に設置されて、複数の物品を縦横に並べた状態で収納自在な倉庫本体と、倉庫本体の外壁4Sに設けられた保守作業者進入用の上層用の進入口11Hに対して作業者が床面Fから上り下りするために用いられる昇降具とが備えられ、昇降具が、倉庫本体の外壁4Sに対して着脱自在に、かつ、移動用の車輪21を備えて人為操作により床面F上を移動自在な昇降用台車20にて構成され、かつ、上端部20Tの床上高さH3が設定走行領域Kの下限高さH2よりも低く構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井側から吊り下げ支持された状態で設定走行領域を走行自在な物品搬送用の天井搬送車の前記設定走行領域に平面視で隣接する状態で床面側に設置されて複数の物品を縦横に並べた状態で収納自在な倉庫本体と、前記倉庫本体の外壁において上下方向で前記設定走行領域と少なくとも一部が重なる高さに設けられた保守作業者進入用の進入口に対して作業者が床面から上り下りするために用いられる昇降具とが備えられた倉庫設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記倉庫設備は、例えば、半導体基板製造工場において、天井搬送車にて搬送される基板収納容器を物品として収納するために、天井搬送車の設定走行領域に沿った複数の設置箇所に設置されるものである。
【0003】
上記倉庫設備における倉庫本体の内部には、物品を収納する収納部を縦横に並べて構成した収納棚と、この収納棚における各収納部に対して物品の移載を自動で行う物品搬送装置とが設けられている。そのため、倉庫本体は平面視形状が矩形状の直方体形状となっている場合が多く、設置スペースの都合上、平面視で長辺側を天井搬送車の設置走行領域に沿わせた状態で配置される場合が多い。なお、倉庫本体には、天井搬送車との間で物品を授受自在に構成されたものや、天井搬送車との間では物品の授受を行わず、床面側に設けられた別の移載手段や作業者との間で物品を授受自在に構成されたものがある。
【0004】
このような倉庫本体の保守作業は、作業者が倉庫本体の内部に進入して行われるが、収納棚の上層部分に対する保守作業を行う場合には、倉庫本体の内部において上層作業用の高さに作業用の内部足場を形成して保守作業を行うようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
倉庫本体の外壁には、保守作業を行う作業者が内部に進入するための進入口が設けられている。進入口としては、床面付近に設けられる下層用進入口のほか、作業用の内部足場が形成される高さに合わせて設けられる上層用進入口がある。作業用の内部足場の高さの都合上、上層用の進入口は、上下方向で設定走行領域と少なくとも一部が重なる高さに位置することになる。倉庫本体が平面視で長辺側を天井搬送車の設置走行領域に沿わせた状態で配置されることを考慮して、上層用の進入口は平面視で短辺側の外壁に設けられることが多い。
【0006】
作業者は、倉庫本体の外部に設けられた昇降具を使って上層用の進入口まで上ることで進入口から倉庫本体の内部に設置された作業用の内部足場に搭乗するようになっている。そして、従来では、特許文献1のように、作業者が上層用の進入口まで上るために用いる昇降具は、倉庫本体の外壁に固定状態の梯子にて構成されていた。
【0007】
ちなみに、特許文献1のものでは、倉庫本体の内部において作業用の内部足場が昇降自在に設けられており、作業者は、昇降具にて上層用の進入口の高さまで上った後、内部に進入する前に、倉庫本体の外壁に設けられた外部作業台に搭乗した状態で、手動式の昇降装置を操作することにより倉庫本体の上部に位置している作業用の内部足場を上層作業用の高さに下降させてから内部に進入するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−73627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の倉庫設備では、昇降具が倉庫本体の外壁に固定状態で設けられた梯子にて構成されているため、設置する倉庫本体の数だけ昇降具が必要である。特に特許文献1のように、倉庫本体の外壁に外部作業台を設ける場合、これについても設置する倉庫本体の数だけ必要である。したがって、倉庫本体を工場内に複数台配置する場合、複数の倉庫本体の夫々に昇降具が備えられることになり、コスト面で不利な倉庫設備であった。
【0010】
また、倉庫本体に固定状態で設けられた梯子に代えて、移動自在な梯子や脚立等の一般的な持ち運び式の昇降具を用いると、倉庫本体の内部に進入する前に昇降具に搭乗したままの状態で何らかの作業(例えば、上述のような作業用の内部足場の昇降操作や、上層用の進入口に設けられた扉の開閉作業)を行うと、足場が不安定なために作業が行い難いだけでなく、倉庫本体の保守作業中も天井搬送車の走行を継続させる運用の場合、用いる昇降具の高さによっては、その昇降具の運搬・設置作業及び設置後の倉庫本体の保守作業時において、走行する天井搬送車との干渉に多大な注意を払いながら作業を行う必要があり、円滑な保守作業ができないおそれがある。
【0011】
本発明は上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、コスト面で有利で、しかも、円滑な保守作業ができる倉庫設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するために、本発明に係る倉庫設備の第1特徴構成は、天井側から吊り下げ支持された状態で設定走行領域を走行自在な物品搬送用の天井搬送車の前記設定走行領域に平面視で近接する状態で床面側に設置されて、複数の物品を縦横に並べた状態で収納自在な倉庫本体と、前記倉庫本体の外壁において上下方向で前記設定走行領域と少なくとも一部が重なる高さに設けられた保守作業者進入用の上層用の進入口に対して作業者が床面から上り下りするために用いられる昇降具とが備えられたものにおいて、
前記昇降具が、前記倉庫本体の外壁に対して着脱自在に、かつ、移動用の車輪を備えて人為操作により床面上を移動自在な昇降用台車にて構成され、かつ、上端部の床上高さが前記天井搬送車の前記設定走行領域の下限高さよりも低く構成されている点にある。
【0013】
本特徴構成によれば、昇降具は、倉庫本体の外壁に対して着脱自在に備えられているので、昇降具を倉庫本体から離脱させることができる。また、昇降具は、移動用の車輪を備えて人為操作により床面上を移動自在な昇降用台車にて構成されているので、人手による押し引き操作により床面上を安定良く移動させることができる。そのため、倉庫本体が複数設置される場合、一つの昇降具としての昇降用台車をある倉庫本体から離脱させた状態で、他の倉庫本体まで移動させて当該他の倉庫本体の外壁に装着することで、当該他の倉庫本体の保守作業時に昇降具として使用することができる。したがって、複数の倉庫本体の夫々に昇降具を備える必要がなく、コスト面で有利な倉庫設備となる。
【0014】
また、昇降具の床上高さが天井搬送車の設定走行領域の下限高さよりも低く構成されているので、昇降具としての昇降用台車を床面上において移動させる場合に天井搬送車と干渉することがない。そのため、昇降用台車を移動操作する作業者は、天井搬送車との干渉に多大な注意を払う必要がなく、倉庫本体の保守作業を円滑に進めることができる。
【0015】
このように、コスト面で有利で、しかも、円滑な保守作業ができる倉庫設備を得るに至った。
【0016】
本発明に係る倉庫設備の第2特徴構成は、水平方向に沿った板状の横向き保護カバーが、前記昇降用台車の上端部に固定状態で備えられ、鉛直方向に沿って上端部より上方に突出する板状の縦向き保護カバーが、前記昇降用台車の上端部に着脱自在に備えられ、前記進入口が、前記設定走行領域と交差する向きの外壁に設けられ、前記昇降用台車は、前記外壁の前面側に位置する状態で前記倉庫本体に装着されるように構成され、前記横向き保護カバーは、前記昇降用台車が前記倉庫本体の前記外壁に対して装着された状態において、前記進入口が設けられている外壁の前面側でかつ前記昇降用台車の上端部の高さで、前記設定走行領域に沿う姿勢にて前記天井搬送車の前記設定走行領域の存在空間とその下方の空間とを仕切るように構成され、前記縦向き保護カバーは、前記倉庫本体の前記外壁に対して装着された前記昇降用台車に装着された状態において、前記進入口が設けられている外壁の前面側でかつ前記昇降用台車の上端部よりも上方で、前記設定走行領域に沿う姿勢にて前記天井搬送車の前記設定走行領域の存在空間と前記倉庫本体の存在空間とを仕切るように構成されている点にある。
【0017】
本特徴構成によれば、横向き保護カバーは、水平方向に沿った板状に形成されており、昇降用台車の上端部に固定状態で備えられているので、昇降用台車を移動操作するときには、昇降用台車の上端部の高さは、設定走行領域の下限高さよりも低いことに変わりないから、横向き保護カバーを備えたものであっても、昇降用台車を床面上において移動させる場合に横向き保護カバーが天井搬送車と干渉することはない。
【0018】
また、縦向き保護カバーは、鉛直方向に沿って上端部より上方に突出する板状に形成さているが、昇降用台車の上端部に着脱自在に備えられているので、昇降用台車を移動操作するときには、縦向き保護カバーを昇降用台車の上端部から離脱させておくことで、昇降用台車の上端部の高さを、天井搬送車の設定走行領域の下限高さよりも低くすることができる。したがって、縦向き保護カバーを備えたものであっても、昇降用台車を床面上において移動させる場合に天井搬送車と干渉することはない。
【0019】
このように、昇降用台車には、横向き保護カバー及び縦向き保護カバーが備えられるが、昇降用台車を床面上において移動させる場合に、昇降用台車と天井搬送車とが干渉することはなく、昇降用台車を問題なく床面上において移動させることができる。
【0020】
横向き保護カバーは、昇降用台車が倉庫本体の外壁の前面側に位置する状態で装着された状態において、進入口が設けられている外壁の前面側でかつ昇降用台車の上端部の高さで、設定走行領域に沿う姿勢にて天井搬送車の設定走行領域の存在空間と倉庫本体の存在空間とを仕切るので、昇降用台車を移動操作して倉庫本体の外壁に対して装着することで、進入口が設けられている外壁の前面側でかつ昇降用台車の上端部の高さにおいて、設定走行領域の存在空間とそれより下方の空間とを板状の横向き保護カバーにて仕切ることができる。したがって、外壁の前面側において天井搬送車の設定走行領域内に下方から進入することを横向き保護カバーにより阻止できるので、外壁の前面に昇降用台車を装着することで、この昇降用台車を使って進入口まで上ろうとする作業者の頭部等が天井搬送車の設定走行領域内に下方から進入することを阻止できる。これにより、天井搬送車に作業者が下方から接触することを防止できる。
【0021】
縦向き保護カバーは、倉庫本体の外壁の前面側に位置する状態で装着された昇降用台車に装着された状態において、進入口が設けられている外壁の前面側でかつ昇降用台車の上端部よりも上方で、設定走行領域に沿う姿勢にて天井搬送車の設定走行領域の存在空間と倉庫本体の存在空間とを仕切るので、昇降用台車を移動操作して倉庫本体の外壁に対して装着して縦向き保護カバーを昇降用台車に装着することで、進入口が設けられている外壁の前面側でかつ昇降用台車の上端部よりも上方において、設定走行領域の存在空間と倉庫本体の存在空間とを縦向き保護カバーにて仕切ることができる。したがって、外壁の前面側において天井搬送車の設定走行領域内に横方向から進入することを縦向き保護カバーにより阻止できるので、倉庫本体の外壁に対して装着された昇降用台車に装着することで、この昇降用台車を使って進入口まで上ろうとする作業者の腕等が天井搬送車の設定走行領域内に側方から進入することを阻止できる。これにより、天井搬送車に作業者が側方から接触することを防止できる。
【0022】
このように、天井搬送車の設定走行領域と交差する向きの外壁に進入口が設けられ、その外壁の前面側に位置する状態で昇降用台車が倉庫本体に装着された場合に、横向き保護カバー及び縦向き保護カバーを備えることにより、昇降用台車を使って進入口まで上ろうとする作業者が天井搬送車に接触することを防止できる。しかも、これらの保護カバーを備えても、上述の通り昇降用台車と天井搬送車とが干渉することはなく昇降用台車を問題なく床面上において移動させることができるので、昇降用台車を移動操作する場合の支障とならない。
【0023】
本発明に係る倉庫設備の第3特徴構成は、前記昇降用台車は、上下方向の中間高さに水平方向に沿った作業足場を備えて構成され、前記作業足場は、前記昇降用台車が移動操作されるときには、前記昇降用台車から離脱された前記縦向き保護カバーを水平方向に沿った姿勢で載置支持自在に構成されている点にある。
【0024】
本特徴構成によれば、昇降用台車には上下方向の中間高さに水平方向に沿った作業足場があるので、昇降用台車を倉庫本体の外壁に対して装着した状態で昇降用台車を使用する作業者は、進入口に入るに当たって一旦作業足場にて起立姿勢で、例えば、縦向き保護カバーの装着作業や、内部作業台の昇降操作や、進入口に設けられた扉の開閉操作をすることができるので、作業性がよい。また、保守作業終了後に行う縦向き保護カバーの離脱作業等に関しても作業足場にて起立姿勢で行うことができるので、作業性が良い。
【0025】
さらに、昇降用台車を床面上において移動操作するに当たって、着脱自在な縦向き保護カバーを昇降用台車から離脱させるが、その離脱させた縦向き保護カバーをそのまま作業足場に水平方向に沿った姿勢にて載置しておけばよいので、離脱後の縦向き保護カバーの処理に手間取ることがなく、その後の移動処理に迅速に移行でき、作業性が良い。
【0026】
しかも、昇降用台車に作業足場があれば、従来にように倉庫本体に外部足場を設けなくても倉庫外部における上層部での作業が行い易いので、コスト面でも一層有利である。
【0027】
本発明に係る倉庫設備の第4特徴構成は、前記昇降用台車は、床面と前記作業足場との間を上り下りするための第1梯子及び前記作業足場と前記進入口との間を上り下りする第2梯子を着脱自在に備えて構成され、前記第1梯子は、下端が床面に接地して上端が前記作業足場に連結された傾斜姿勢となる使用状態と、下端が床面から浮上して上端が前記作業足場よりも上方で前記昇降用台車の上端部より下方の高さに突出する状態で長手方向の中間部に設定された被係支部が前記昇降用台車側に設けられた係支部に係合して鉛直方向に沿って支持される格納状態とに切り換え自在に構成され、前記第2梯子は、下端が前記作業足場に接地して上端が前記進入口の下部において前記外壁に連結された傾斜姿勢となる使用状態と、前記作業足場に水平方向に沿った姿勢で載置される格納状態とに切り換え自在に構成されている点にある。
【0028】
本特徴構成によれば、床面と作業足場との間を上り下りするための第1梯子及び作業足場と進入口との間を上り下りする第2梯子を着脱自在に備えているので、第1梯子と第2梯子を装着状態にすることで、中間高さの作業足場に水平面部分を利用して、床面と進入口との間を2段階に分けて上り下りすることができるので、梯子を踏み外し難く、作業者は上り下りし易い。
【0029】
また、第1梯子は使用状態では、下端が床面に接地して上端が作業足場に連結された傾斜姿勢となるので、作業者の荷重を床面にて確実に受け止めることができ、しかも作業足場に連結されて第1梯子の移動が規制されることで、第1梯子を上り下りするときの作業者の足場が安定する。第1梯子は格納状態では、下端が床面から浮上して上端が作業足場よりも上方で昇降用台車の上端部より下方の高さに突出する状態で長手方向の中間部に設定された被係支部が昇降用台車側に設けられた係支部に係合して鉛直方向に沿って支持されるので、離脱後の第1梯子の処理に手間取ることがなく、しかも、昇降用台車を移動操作する際には第1梯子を格納状態にすることで、第1梯子の下端が床面に引っかかって昇降用台車の移動操作が行い難いといった不都合がなく、また、物品搬送状態の天井搬送車と干渉することがない。
【0030】
さらに、第2梯子は使用状態では、下端が作業足場に接地して上端が進入口の下部において外壁に連結されるので、作業者の荷重を作業足場にて確実に受け止めることができ、しかも倉庫本体の外壁に連結されて第2梯子の移動が規制されることで、第2梯子を上り下りするときの作業者の足場が安定する。第2梯子は格納状態では、作業足場に水平方向に沿った姿勢で載置されるので、作業者は、作業足場にて第2梯子を昇降用台車から離脱させる作業をした後は、そのまま作業足場に第2梯子を載置すればよいので、離脱後の第2梯子の処理に手間取ることがなく、その後の作業に迅速に移行でき、作業性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】倉庫設備を示す正面図
【図2】倉庫本体の概観斜視図
【図3】倉庫本体の平面図
【図4】第1梯子の使用状態(実線)と格納状態(仮想線)とを示す正面図
【図5】昇降用台車と倉庫本体との連結箇所を示す拡大側面図
【図6】図4における第1梯子の上部拡大正面図
【図7】縦向き保護カバーを装着した状態を示す正面図
【図8】縦向き保護カバーの取り付け構造を示す拡大正面図
【図9】倉庫本体に装着状態の昇降用台車を示す正面図
【図10】第2梯子の使用状態を示す側面図
【図11】第2梯子と倉庫本体との連結箇所を示す拡大側面図
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明に係る倉庫設備を半導体基板製造工場に適用した実施形態について図面に基づいて説明する。工場内には、天井から吊り下げ支持された走行レール1が設けられ、この走行レール1にて案内支持されて天井S側から吊り下げ支持された状態で、走行レール1に沿って走行自在な物品搬送用の天井搬送車2が複数設けられている。天井搬送車2は、半導体基板を複数収納するFOUPと呼ばれる基板搬送用の容器3を物品として搬送する。天井搬送車2は、図外の把持部にて容器3の上部を吊り下げ支持した状態で容器3を搬送するが、このように容器3を吊り下げ支持した状態で走行移動するときの天井搬送車2及び容器3の通過領域が天井搬送車2の設定走行領域Kである。
【0033】
工場内には、容器3に収納されている基板に対して加工・洗浄・検査などの処理を行う図外の基板処理装置及び複数の容器3を保管するストッカ4(本願発明の倉庫本体に相当する。)が、天井搬送車2の設定走行領域Kに沿って適宜箇所に分散して設定された複数の設置箇所に設置されている。つまり、ストッカ4は、天井搬送車2の設定走行領域Kに平面視で近接する状態で床面側に設置されている。そして、天井搬送車2が、複数の基板処理装置及び複数のストッカ4との間で容器3を搬送する。
【0034】
ストッカ4には、天井搬送車2との間で容器3を授受自在に構成されたもののほか、天井搬送車2との間では容器3の授受を行わず、床面F側に設けられた別の移載手段や作業者Pとの間で容器3を授受自在に構成されたものが設置されている。図2及び図3に示すように、本実施形態では、ストッカ4の一例として、作業者Pが人為作業により容器3を搬入及び搬出するタイプのものを例に以下の説明をする。
【0035】
図2及び図3に示すように、本実施形態のストッカ4は、物品収納用の収納部5が棚上下方向並びに棚横幅方向に並設された物品収納棚6と、その物品収納棚6の前方の移動空間7を棚上下方向に昇降移動する昇降式内部足場8と、収納部5と物品搬出入部9との間で物品を搬送する搬送装置10とを備えて構成されている。
【0036】
物品収納棚6は、物品出し入れ方向が互いに対向する状態で配置された一対の収納棚部分6a・6bにて構成されており、この一対の収納棚部分の間に移動空間7が形成されている。そして、収納部5のうち、床面F側で容器3の搬出入作業を行う作業者の作業高さに位置する収納部5を利用して複数の物品搬入出部9が棚横幅方向に並設されている。
【0037】
図1及び図2に示すように、ストッカ4の正面の外壁4Sには、保守作業を行う作業者Pが内部に進入するための進入口11が設けられている。進入口11としては、床面Fに位置する作業者が移動空間7に出入りするために床面F付近に設けられる下層用進入口11Lのほか、昇降式内部足場8が設置される上層作業用の高さに合わせて設けられる上層用進入口11Hが設けられている。そして、下層用進入口11Lを開閉する縦軸心周りの揺動操作により開閉操作自在な下層用メンテナンス扉12Lと、上層用進入口11Hを開閉する縦軸心周りの揺動操作により開閉操作自在な上層用メンテナンス扉12Hとが備えられている。
【0038】
上層用進入口11Hは、天井搬送車2の設定走行領域Kと上下方向で少なくとも一部が重なる高さに位置している。本実施形態では、天井搬送車2の設定走行領域Kの上下方向の全範囲が、上層用進入口11Hの上下方向の範囲内に位置しており、上層用進入口11Hの下端高さH1は、天井搬送車2の設定走行領域Kの下端高さH2よりも低くなっている。
【0039】
また、ストッカ4は、平面視で長辺側の外壁4Lを天井搬送車2の設置走行領域Kに沿わせた状態で配置されるため、下層用進入口11L及び上層用進入口11Hはストッカ4の平面視で短辺側の外壁4Sに設けている。つまり、平面視で矩形状のストッカ4には、移動空間7における棚横幅方向の両側を覆う一対の外壁4Sの一方に作業用高さに位置する昇降式足場8に対して搭乗するための上層用進入口11Hが形成され、上層用進入口11Hが、設定走行領域Kと交差する向きの外壁4Sに設けられている。
【0040】
昇降式内部足場8は、図1及び図2に示すウィンチ13を回転操作することにより、ストッカ4の天井付近に設定された格納用高さと、ストッカ4の中間高さに設定された作業用高さとの間で昇降操作自在に構成されている。昇降式内部足場8を昇降させる機構の詳しい説明は省略するが、ウィンチ13を回転操作すると操作ワイヤ14が巻き取り及び繰り出し操作され、これにより回転体15が回転操作されることで、昇降式内部足場8を吊り下げ支持している吊り下げワイヤ16を巻き取り及び繰り出し操作することができるようになっている。ウィンチ13は、上層用進入口11Hが形成されている外壁4Sにおいて上層用進入口11Hの下方側の横脇に設けられており、昇降具としての後述する昇降用台車20に搭乗した作業者Pにより手動操作される。なお、図1等に示すように、上層用メンテナンス扉12Hには確認窓17が設けられており、作業者Pは、昇降式内部足場8の昇降位置を確認しながらウィンチ13を回転操作して、昇降式内部足場8を作業用高さに設置できるようになっている。
【0041】
作業者Pは、図1、図4、図7、及び、図9に示す昇降用台車20を使って上層用進入口11Hまで上ることで上層用進入口11Hからストッカ4の内部に設置された昇降式内部足場8に搭乗することができるようになっている。詳しくは後述するが、作業者Pは、昇降用台車20をストッカ4の平面視で短辺側に位置する外壁4Sの前面に位置させた状態で、第1梯子31、第2梯子32等を装着することで、昇降用台車20を使用して床面Fと上層用進入口11Hとの間を上り下りすることができるようになっている。以下、昇降用台車20の構成について説明する。なお、以下の説明では、図1の紙面左方向を昇降用台車20の前方向、同紙面右方向を昇降用台車20の後方向、同紙面奥方向を昇降用台車20の右方向、同紙面手前方向を昇降用台車20の左方向として前後左右の各方向を規定している。
【0042】
昇降用台車20は、ストッカ4に対して着脱自在に構成され、かつ、底部に車輪としてのロック機能付きキャスタ21を備えて床面F上を人為操作により移動自在に構成されている。そのため、作業者Pは、ストッカ4の外壁4Sの前面側に位置する状態ストッカ4に装着されている昇降用台車20を当該ストッカ4から離脱させて、押し引き操作することにより、昇降用台車20を他のストッカ4の外壁4Sの前面側に位置する状態で当該他のストッカ4に装着することができる。したがって、複数のストッカ4の夫々に昇降具を備える必要がなくコスト面で有利な倉庫設備となっている。
【0043】
図1に示すように、上層用進入口11Hが設けられた外壁4Sには、係支部としての前側固定ピン19及び後側固定ピン18が設けられており、昇降用台車20の右側に位置する前後の支柱23・24には、被係支部としての前側固定フック27及び後側固定フック28が設けられている。
【0044】
前側固定フック27は、図5に示すように、前側固定ピン19に対して係合する切り欠き27bか形成されており、軸心27a回りに回転操作自在に、左右一対の前側支柱23のうち右側の前側支柱23に連結されている。図示は省略するが、後側固定フック28も同様に後側固定ピン18に対して係合する切り欠きを備えて、横軸心回りに回転操作自在に、左右一対の後側支柱24のうち右側の後側支柱24に連結されている。
【0045】
そして、前側固定フック27及び後側固定フック28を、図5において実線で示すような解除姿勢にした状態で、昇降用台車20を押し引き操作して移動操作して、図4等に示すように、外壁4Sの前面側に位置させた後、前側固定フック27及び後側固定フック28を回動操作して、前側固定ピン19及び後側固定ピン18に前側固定フック27及び後側固定フック28の切り欠きを係合させて、図5において仮想線で示すようなロック姿勢に切り換えるとともに、ロック機能付きキャスタ21をロック状態に切り換えることで、昇降用台車20がストッカ4に対して位置保持される。このように、昇降用台車20をストッカ4に対して位置保持する昇降用台車固定手段として、前後の固定フック27・28及び前後の固定ピン19・18並びに複数のロック機能付きキャスタ21を備えている。
【0046】
図1に示すように、昇降用台車20は、その上端部20Tの床上高さH3が、天井搬送車2の設定走行領域Kの下限高さH2よりも低く設定されている。これにより、作業者Pが昇降用台車20を押し引き操作して床面F上を移動操作する場合に、昇降用台車20と天井搬送車2とが干渉することがないので、作業者Pは、昇降用台車20と天井搬送車2との干渉に多大な注意を払う必要がなく、昇降用台車20を円滑に移動させることができ、複数のストッカ4の保守作業を円滑に進めることができる。
【0047】
昇降用台車20は、上下方向の中間高さに水平方向に沿った作業足場22を備え、床面Fと作業足場22との間を上り下りするための第1梯子31及び作業足場22と上層用進入口11Hとの間を上り下りする第2梯子32を着脱自在に備えて構成されている。
【0048】
作業足場22は、左右一対の前側支柱23及び左右一対の後側支柱24にて支持されており、上面には、作業足場22から作業者Pが落下することを防止する前側安全柵25及び後側安全柵26が設けられている。
【0049】
前記第1梯子の上端には、図6に示すように、第1フック47及び第2フック48が、上下に間隔をおいて梯子の幅方向に並ぶ状態で左右一対備えられている。第1フック47及び第2フック48は台座36に固定されており、第1梯子31の幅に相当する長さのフック取り付けプレート38に、梯子の幅方向に並ぶ状態で台座36を左右一対設けて、このフック取り付けプレート38が、第1梯子本体31aの上端部に、ブラケット37を介して第1梯子本体31aの上端部に固定されている。
【0050】
第1梯子31は、図4における実線や図6(b)に示すように、下端が床面Fに接地して上端が作業足場22に連結された傾斜姿勢となる使用状態と、図4における仮想線や図6(a)に示すように、下端が床面Fから浮上して上端が作業足場22よりも上方で上端部20Tより下方の高さに突出する状態で、第1梯子31の長手方向の中間部において側部外方に突出する被係支部としてのピン30が昇降用台車20の前側支柱23に設けられた係支部としてのホルダ29に係合して鉛直方向に沿って支持される格納状態とに切り換え自在に構成されている。
【0051】
第2梯子32は、図9及び図10に示すように、下端が作業足場22の上面に接地して上端が上層用進入口11Hの下部において外壁4Sに連結された傾斜姿勢となる使用状態と、図1、図4及び図7に示すように、作業足場22上に水平方向に沿った姿勢で載置される格納状態とに切り換え自在に構成されている。
【0052】
第2梯子32の上端部には、図11に示すように、連結用のフック46が梯子の幅方向で左右一対設けられている。ストッカ4の外壁4Sには、上層用進入口11Hの下端部において、第2梯子32の上端部が連結される穴付き連結ブラケット45が設けられており、この穴付き連結ブラケット45の穴に第2梯子32の連結用のフック46を係合させることで、第2梯子32を使用状態にすることができるようになっている。
【0053】
図1、図4、図7、及び、図9に示すように、水平方向に沿った板状の横向き保護カバー35が、昇降用台車20の上端部20Tに固定状態で備えられている。
【0054】
横向き保護カバー35は、昇降用台車20がストッカ4の上層用進入口11Hが設けられている外壁4Sに対して装着された状態において、当該外壁4Sの前面側でかつ昇降用台車20の上端部20Tの高さで、天井搬送車2の設定走行領域Kに沿う姿勢にて設定走行領域Kの存在空間とその下方の空間とを仕切るように構成されている。
【0055】
横向き保護カバー35は、水平方向に沿った板状に形成されており、昇降用台車20の上端部20Tに固定状態で備えられているので、昇降用台車20を移動操作するときには、昇降用台車20の上端部20Tの高さは、設定走行経路Kの下限高さよりも低いことに変わりないから、横向き保護カバー35を備えていても、昇降用台車20を床面F上において移動させる場合に横向き保護カバー35が天井搬送車2と干渉することはない。
【0056】
昇降用台車20を移動操作してストッカ4の上層用進入口11Hが設けられている外壁4Sに対して装着することで、外壁4Sの前面側でかつ昇降用台車20の上端部20Tの高さにおいて、設定走行領域Kの存在空間とそれより下方の空間とを板状の横向き保護カバー35にて仕切ることができる。したがって、上層用進入口11Hが設けられている外壁4Sの前面側において天井搬送車2の設定走行領域K内に下方から進入することを横向き保護カバー35により阻止できるので、外壁4Sの前面に昇降用台車20を装着することで、この昇降用台車20を使って上層用進入口11Hまで上ろうとする作業者Pの頭部等が天井搬送車2の設定走行領域K内に下方から進入することを阻止できる。これにより、天井搬送車2に作業者Pが下方から接触することを防止できる。
【0057】
図7、及び、図9に示すように、鉛直方向に沿って上端部20Tより上方に突出する板状の縦向き保護カバーとしての前カバー33及び後カバー34が、昇降用台車20の上端部20Tに着脱自在に設けられている。昇降用台車20から離脱された前カバー33及び後カバー34は、図1、及び、図3に示すように、前述の作業足場22上に保管できるようになっている。つまり、作業足場22は、昇降用台車20が移動操作されるときには、昇降用台車20から離脱された前カバー33及び後カバー34を水平方向に沿った姿勢で載置支持自在に構成されている。
【0058】
前カバー33及び後カバー34の装着構造について、前カバー33を例に説明する。図8に示すように、前カバー33は、カバー支持棒40に固定部材39にて固定されている。昇降用台車20の作業足場22に設けられた前側安全柵25の縦フレーム部分に、カバー支持棒40を挿抜自在な上面及びカバー支持棒40の下端を支持自在な下面を備えたコの字ブラケット41が、取り付け高さが調節自在な上下一対の取り付け部材42にて固定されている。コの字ブラケット41の内面側には、カバー支持棒40の下端側をローレットねじ44にて固定するためのねじ受け43が取り付けられている。そして、カバー支持棒40をコの字ブラケット41の上面から挿入してカバー支持棒40支持棒の下端をコの字ブラケット41の下面に当て付け、ローレットねじ44を締め付けて、前カバー33を前側安全柵25に固定して装着する。離脱は装着と逆の要領で行えばよい。
【0059】
前カバー33及び後カバー34は、鉛直方向に沿って昇降用台車20の上端部20Tより上方に突出する板状に形成さているが、昇降用台車20の上端部20Tに着脱自在に備えられているので、昇降用台車20を移動操作するときには、前カバー33及び後カバー34を昇降用台車20の上端部20Tから離脱させておくことで、昇降用台車20の上端部20Tの高さを、天井搬送車2の設定走行領域Kの下限高さよりも低くすることができる。したがって、前カバー33及び後カバー34を縦向き保護カバーとして備えたものであっても、昇降用台車20を床面F上において移動させる場合に天井搬送車2と干渉することはない。
【0060】
図7〜図9に示すように、ストッカ4の上層用進入口11Hが設けられている外壁4Sに対して装着された昇降用台車20に対して、前カバー33及び後カバー34を装着することで、上層用進入口11Hが設けられている外壁4Sの前面側でかつ昇降用台車20の上端部20Tよりも上方で、設定走行領域Kに沿う姿勢にて天井搬送車2の設定走行領域Kの存在空間とストッカ4の存在空間とを仕切ることができる。したがって、外壁4Sの前面側において天井搬送車2の設定走行領域K内に横方向から進入することを前カバー33及び後カバー34により阻止できるので、昇降用台車20を使って上層用進入口11Hまで上ろうとする作業者Pの腕等が天井搬送車2の設定走行領域K内に側方から進入することを阻止できる。これにより、天井搬送車2に作業者Pが側方から接触することを防止できる。
【0061】
次に、昇降用台車20の使用方法について説明する。
【0062】
作業者Pは、第1梯子31が格納状態であり、かつ、第2梯子32、前カバー33及び後カバー34が作業足場22上に保管された状態の昇降用台車20(図1参照)を移動操作して保守作業対象のストッカ4の外壁4Sに対して位置させる。そして、昇降用台車固定手段としての前後の固定フック27・28及び前後の固定ピン19・18並びに複数のロック機能付きキャスタ21にて昇降用台車20をストッカ4に固定する(図5参照)。
【0063】
第1梯子31を掛け直して使用状態して(図4参照)、第1梯子31を上って作業足場22に搭乗する。そして、作業足場22に保管されている前カバー33及び後カバー34を上述の取り付け要領で昇降用台車20の安全柵25・26に装着する(図7参照)。そして、作業足場22に保管されている第2梯子32をストッカ4の外壁4Sに連結して昇降用台車20の装着作業が完了する。
【0064】
第2梯子32を上って、確認窓17からストッカ4の内部を目視にて確認しながら、ウィンチ13を回転操作して昇降式内部足場8を所定の作業用高さまで下降させて設置する。そして、閉じ状態の上層用メンテナンス扉12Hを開き操作して、上層用進入口11Hからストッカ4の内部に進入して昇降式内部足場8に搭乗して、必要な保守作業を行う。
【0065】
保守作業終了後は、上層用進入口11Hからストッカ4の外部に出て、上層用メンテナンス扉12Hを閉じ操作して、ウィンチ13を回転操作して昇降式内部足場8を格納用高さまで上昇させて格納する。そして、第2梯子32を使って作業足場22まで下りて、作業足場22上で、まず、第2梯子32を取り外して作業足場22上に載置する。続いて、前後の保護カバー33・34を取り外して作業足場22上に第2梯子32の上に重ねて載置する。
【0066】
その後、第1梯子31を使って床面Fまで下りて、第1梯子31を掛け直して、使用状態から格納状態にする。そして、前後の固定フック27・28を揺動操作して、固定ピン19・18との係合を外し、複数のロック機能付きキャスタ21のロックを解除して昇降用台車20のストッカ4に対する固定を解除する。
【0067】
そして、昇降用台車固定手段による固定が解除されて移動可能な状態となった昇降用台車20を、上端部20Tよりも上方に突出するものがないが故に天井搬送車2との干渉のおそれのない状態で押し引き操作して、次の保守作業対象のストッカ4があれば、そのストッカ4における上層用進入口11Hが設けられた外壁4Sまで移動させて上述のような装着作業を行う。保守作業が終了すれば、所定の台車保管位置まで昇降用台車20を移動させる。
【0068】
〔別の実施形態〕
以下、本発明の別実施形態について説明する。
【0069】
(1)上記実施形態では、天井搬送車2の設定走行経路Kが、ストッカ4の平面視で長辺側の外壁4Lの両側に位置するものを例示したが、天井搬送車2の設定走行経路Kのストッカ4に対する位置は、これに限らず、例えば、ストッカ4の平面視で長辺側の外壁4Lの片側に位置するものや、ストッカ4の平面視で短辺側の外壁4S片側に位置するものであってもよい。また、設定走行経路Kが上下に複数配置されたものであってもよい。
【0070】
(2)上記実施形態では、下層用進入口11L及びこれを開閉する下層用メンテナンス扉12Lを備えたストッカ4を例示したが、下層用進入口11L及び下層用メンテナンス扉12Lを備えず、上層用進入口11H及び上層用メンテナンス扉12Hがストッカ4の中間高さに位置するものでもあってもよい。
【0071】
(3)上記実施形態では、昇降用台車20が、第1梯子31及び第2梯子32を備えて構成されたものを例示したが、単一の梯子又は3つ以上の梯子を備えて構成されたものであってもよい。
【0072】
(4)上記実施形態では、取り外した第2梯子32、前カバー33、及び、後カバー34を作業足場22上に保管した状態で昇降用台車20を押し引き操作するものを例示したが、これに代えて、取り外した第2梯子32、前カバー33、及び、後カバー34の全部又は一部を床面Fまで降ろして、作業足場22上に取り外した部材を保管しない又は取り外した部材の一部の部材のみ保管する状態で昇降用台車20を押し引き操作するものであってもよい。
【符号の説明】
【0073】
F 床面
S 天井
K 設定走行領域
P 作業者
2 天井搬送車
4 倉庫本体
4S 外壁
11H 上層用の進入口
18、19 係支部
20 昇降用台車
20T 上端部
21 車輪
22 作業足場
27、28 被係支部
31 第1梯子
32 第2梯子
33、34 縦向き保護カバー
35 横向き保護カバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井側から吊り下げ支持された状態で設定走行領域を走行自在な物品搬送用の天井搬送車の前記設定走行領域に平面視で隣接する状態で床面側に設置されて複数の物品を縦横に並べた状態で収納自在な倉庫本体と、前記倉庫本体の外壁において上下方向で前記設定走行領域と少なくとも一部が重なる高さに設けられた保守作業者進入用の進入口に対して作業者が床面から上り下りするために用いられる昇降具とが備えられた倉庫設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記倉庫設備は、例えば、半導体基板製造工場において、天井搬送車にて搬送される基板収納容器を物品として収納するために、天井搬送車の設定走行領域に沿った複数の設置箇所に設置されるものである。
【0003】
上記倉庫設備における倉庫本体の内部には、物品を収納する収納部を縦横に並べて構成した収納棚と、この収納棚における各収納部に対して物品の移載を自動で行う物品搬送装置とが設けられている。そのため、倉庫本体は平面視形状が矩形状の直方体形状となっている場合が多く、設置スペースの都合上、平面視で長辺側を天井搬送車の設置走行領域に沿わせた状態で配置される場合が多い。なお、倉庫本体には、天井搬送車との間で物品を授受自在に構成されたものや、天井搬送車との間では物品の授受を行わず、床面側に設けられた別の移載手段や作業者との間で物品を授受自在に構成されたものがある。
【0004】
このような倉庫本体の保守作業は、作業者が倉庫本体の内部に進入して行われるが、収納棚の上層部分に対する保守作業を行う場合には、倉庫本体の内部において上層作業用の高さに作業用の内部足場を形成して保守作業を行うようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
倉庫本体の外壁には、保守作業を行う作業者が内部に進入するための進入口が設けられている。進入口としては、床面付近に設けられる下層用進入口のほか、作業用の内部足場が形成される高さに合わせて設けられる上層用進入口がある。作業用の内部足場の高さの都合上、上層用の進入口は、上下方向で設定走行領域と少なくとも一部が重なる高さに位置することになる。倉庫本体が平面視で長辺側を天井搬送車の設置走行領域に沿わせた状態で配置されることを考慮して、上層用の進入口は平面視で短辺側の外壁に設けられることが多い。
【0006】
作業者は、倉庫本体の外部に設けられた昇降具を使って上層用の進入口まで上ることで進入口から倉庫本体の内部に設置された作業用の内部足場に搭乗するようになっている。そして、従来では、特許文献1のように、作業者が上層用の進入口まで上るために用いる昇降具は、倉庫本体の外壁に固定状態の梯子にて構成されていた。
【0007】
ちなみに、特許文献1のものでは、倉庫本体の内部において作業用の内部足場が昇降自在に設けられており、作業者は、昇降具にて上層用の進入口の高さまで上った後、内部に進入する前に、倉庫本体の外壁に設けられた外部作業台に搭乗した状態で、手動式の昇降装置を操作することにより倉庫本体の上部に位置している作業用の内部足場を上層作業用の高さに下降させてから内部に進入するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−73627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の倉庫設備では、昇降具が倉庫本体の外壁に固定状態で設けられた梯子にて構成されているため、設置する倉庫本体の数だけ昇降具が必要である。特に特許文献1のように、倉庫本体の外壁に外部作業台を設ける場合、これについても設置する倉庫本体の数だけ必要である。したがって、倉庫本体を工場内に複数台配置する場合、複数の倉庫本体の夫々に昇降具が備えられることになり、コスト面で不利な倉庫設備であった。
【0010】
また、倉庫本体に固定状態で設けられた梯子に代えて、移動自在な梯子や脚立等の一般的な持ち運び式の昇降具を用いると、倉庫本体の内部に進入する前に昇降具に搭乗したままの状態で何らかの作業(例えば、上述のような作業用の内部足場の昇降操作や、上層用の進入口に設けられた扉の開閉作業)を行うと、足場が不安定なために作業が行い難いだけでなく、倉庫本体の保守作業中も天井搬送車の走行を継続させる運用の場合、用いる昇降具の高さによっては、その昇降具の運搬・設置作業及び設置後の倉庫本体の保守作業時において、走行する天井搬送車との干渉に多大な注意を払いながら作業を行う必要があり、円滑な保守作業ができないおそれがある。
【0011】
本発明は上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、コスト面で有利で、しかも、円滑な保守作業ができる倉庫設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するために、本発明に係る倉庫設備の第1特徴構成は、天井側から吊り下げ支持された状態で設定走行領域を走行自在な物品搬送用の天井搬送車の前記設定走行領域に平面視で近接する状態で床面側に設置されて、複数の物品を縦横に並べた状態で収納自在な倉庫本体と、前記倉庫本体の外壁において上下方向で前記設定走行領域と少なくとも一部が重なる高さに設けられた保守作業者進入用の上層用の進入口に対して作業者が床面から上り下りするために用いられる昇降具とが備えられたものにおいて、
前記昇降具が、前記倉庫本体の外壁に対して着脱自在に、かつ、移動用の車輪を備えて人為操作により床面上を移動自在な昇降用台車にて構成され、かつ、上端部の床上高さが前記天井搬送車の前記設定走行領域の下限高さよりも低く構成されている点にある。
【0013】
本特徴構成によれば、昇降具は、倉庫本体の外壁に対して着脱自在に備えられているので、昇降具を倉庫本体から離脱させることができる。また、昇降具は、移動用の車輪を備えて人為操作により床面上を移動自在な昇降用台車にて構成されているので、人手による押し引き操作により床面上を安定良く移動させることができる。そのため、倉庫本体が複数設置される場合、一つの昇降具としての昇降用台車をある倉庫本体から離脱させた状態で、他の倉庫本体まで移動させて当該他の倉庫本体の外壁に装着することで、当該他の倉庫本体の保守作業時に昇降具として使用することができる。したがって、複数の倉庫本体の夫々に昇降具を備える必要がなく、コスト面で有利な倉庫設備となる。
【0014】
また、昇降具の床上高さが天井搬送車の設定走行領域の下限高さよりも低く構成されているので、昇降具としての昇降用台車を床面上において移動させる場合に天井搬送車と干渉することがない。そのため、昇降用台車を移動操作する作業者は、天井搬送車との干渉に多大な注意を払う必要がなく、倉庫本体の保守作業を円滑に進めることができる。
【0015】
このように、コスト面で有利で、しかも、円滑な保守作業ができる倉庫設備を得るに至った。
【0016】
本発明に係る倉庫設備の第2特徴構成は、水平方向に沿った板状の横向き保護カバーが、前記昇降用台車の上端部に固定状態で備えられ、鉛直方向に沿って上端部より上方に突出する板状の縦向き保護カバーが、前記昇降用台車の上端部に着脱自在に備えられ、前記進入口が、前記設定走行領域と交差する向きの外壁に設けられ、前記昇降用台車は、前記外壁の前面側に位置する状態で前記倉庫本体に装着されるように構成され、前記横向き保護カバーは、前記昇降用台車が前記倉庫本体の前記外壁に対して装着された状態において、前記進入口が設けられている外壁の前面側でかつ前記昇降用台車の上端部の高さで、前記設定走行領域に沿う姿勢にて前記天井搬送車の前記設定走行領域の存在空間とその下方の空間とを仕切るように構成され、前記縦向き保護カバーは、前記倉庫本体の前記外壁に対して装着された前記昇降用台車に装着された状態において、前記進入口が設けられている外壁の前面側でかつ前記昇降用台車の上端部よりも上方で、前記設定走行領域に沿う姿勢にて前記天井搬送車の前記設定走行領域の存在空間と前記倉庫本体の存在空間とを仕切るように構成されている点にある。
【0017】
本特徴構成によれば、横向き保護カバーは、水平方向に沿った板状に形成されており、昇降用台車の上端部に固定状態で備えられているので、昇降用台車を移動操作するときには、昇降用台車の上端部の高さは、設定走行領域の下限高さよりも低いことに変わりないから、横向き保護カバーを備えたものであっても、昇降用台車を床面上において移動させる場合に横向き保護カバーが天井搬送車と干渉することはない。
【0018】
また、縦向き保護カバーは、鉛直方向に沿って上端部より上方に突出する板状に形成さているが、昇降用台車の上端部に着脱自在に備えられているので、昇降用台車を移動操作するときには、縦向き保護カバーを昇降用台車の上端部から離脱させておくことで、昇降用台車の上端部の高さを、天井搬送車の設定走行領域の下限高さよりも低くすることができる。したがって、縦向き保護カバーを備えたものであっても、昇降用台車を床面上において移動させる場合に天井搬送車と干渉することはない。
【0019】
このように、昇降用台車には、横向き保護カバー及び縦向き保護カバーが備えられるが、昇降用台車を床面上において移動させる場合に、昇降用台車と天井搬送車とが干渉することはなく、昇降用台車を問題なく床面上において移動させることができる。
【0020】
横向き保護カバーは、昇降用台車が倉庫本体の外壁の前面側に位置する状態で装着された状態において、進入口が設けられている外壁の前面側でかつ昇降用台車の上端部の高さで、設定走行領域に沿う姿勢にて天井搬送車の設定走行領域の存在空間と倉庫本体の存在空間とを仕切るので、昇降用台車を移動操作して倉庫本体の外壁に対して装着することで、進入口が設けられている外壁の前面側でかつ昇降用台車の上端部の高さにおいて、設定走行領域の存在空間とそれより下方の空間とを板状の横向き保護カバーにて仕切ることができる。したがって、外壁の前面側において天井搬送車の設定走行領域内に下方から進入することを横向き保護カバーにより阻止できるので、外壁の前面に昇降用台車を装着することで、この昇降用台車を使って進入口まで上ろうとする作業者の頭部等が天井搬送車の設定走行領域内に下方から進入することを阻止できる。これにより、天井搬送車に作業者が下方から接触することを防止できる。
【0021】
縦向き保護カバーは、倉庫本体の外壁の前面側に位置する状態で装着された昇降用台車に装着された状態において、進入口が設けられている外壁の前面側でかつ昇降用台車の上端部よりも上方で、設定走行領域に沿う姿勢にて天井搬送車の設定走行領域の存在空間と倉庫本体の存在空間とを仕切るので、昇降用台車を移動操作して倉庫本体の外壁に対して装着して縦向き保護カバーを昇降用台車に装着することで、進入口が設けられている外壁の前面側でかつ昇降用台車の上端部よりも上方において、設定走行領域の存在空間と倉庫本体の存在空間とを縦向き保護カバーにて仕切ることができる。したがって、外壁の前面側において天井搬送車の設定走行領域内に横方向から進入することを縦向き保護カバーにより阻止できるので、倉庫本体の外壁に対して装着された昇降用台車に装着することで、この昇降用台車を使って進入口まで上ろうとする作業者の腕等が天井搬送車の設定走行領域内に側方から進入することを阻止できる。これにより、天井搬送車に作業者が側方から接触することを防止できる。
【0022】
このように、天井搬送車の設定走行領域と交差する向きの外壁に進入口が設けられ、その外壁の前面側に位置する状態で昇降用台車が倉庫本体に装着された場合に、横向き保護カバー及び縦向き保護カバーを備えることにより、昇降用台車を使って進入口まで上ろうとする作業者が天井搬送車に接触することを防止できる。しかも、これらの保護カバーを備えても、上述の通り昇降用台車と天井搬送車とが干渉することはなく昇降用台車を問題なく床面上において移動させることができるので、昇降用台車を移動操作する場合の支障とならない。
【0023】
本発明に係る倉庫設備の第3特徴構成は、前記昇降用台車は、上下方向の中間高さに水平方向に沿った作業足場を備えて構成され、前記作業足場は、前記昇降用台車が移動操作されるときには、前記昇降用台車から離脱された前記縦向き保護カバーを水平方向に沿った姿勢で載置支持自在に構成されている点にある。
【0024】
本特徴構成によれば、昇降用台車には上下方向の中間高さに水平方向に沿った作業足場があるので、昇降用台車を倉庫本体の外壁に対して装着した状態で昇降用台車を使用する作業者は、進入口に入るに当たって一旦作業足場にて起立姿勢で、例えば、縦向き保護カバーの装着作業や、内部作業台の昇降操作や、進入口に設けられた扉の開閉操作をすることができるので、作業性がよい。また、保守作業終了後に行う縦向き保護カバーの離脱作業等に関しても作業足場にて起立姿勢で行うことができるので、作業性が良い。
【0025】
さらに、昇降用台車を床面上において移動操作するに当たって、着脱自在な縦向き保護カバーを昇降用台車から離脱させるが、その離脱させた縦向き保護カバーをそのまま作業足場に水平方向に沿った姿勢にて載置しておけばよいので、離脱後の縦向き保護カバーの処理に手間取ることがなく、その後の移動処理に迅速に移行でき、作業性が良い。
【0026】
しかも、昇降用台車に作業足場があれば、従来にように倉庫本体に外部足場を設けなくても倉庫外部における上層部での作業が行い易いので、コスト面でも一層有利である。
【0027】
本発明に係る倉庫設備の第4特徴構成は、前記昇降用台車は、床面と前記作業足場との間を上り下りするための第1梯子及び前記作業足場と前記進入口との間を上り下りする第2梯子を着脱自在に備えて構成され、前記第1梯子は、下端が床面に接地して上端が前記作業足場に連結された傾斜姿勢となる使用状態と、下端が床面から浮上して上端が前記作業足場よりも上方で前記昇降用台車の上端部より下方の高さに突出する状態で長手方向の中間部に設定された被係支部が前記昇降用台車側に設けられた係支部に係合して鉛直方向に沿って支持される格納状態とに切り換え自在に構成され、前記第2梯子は、下端が前記作業足場に接地して上端が前記進入口の下部において前記外壁に連結された傾斜姿勢となる使用状態と、前記作業足場に水平方向に沿った姿勢で載置される格納状態とに切り換え自在に構成されている点にある。
【0028】
本特徴構成によれば、床面と作業足場との間を上り下りするための第1梯子及び作業足場と進入口との間を上り下りする第2梯子を着脱自在に備えているので、第1梯子と第2梯子を装着状態にすることで、中間高さの作業足場に水平面部分を利用して、床面と進入口との間を2段階に分けて上り下りすることができるので、梯子を踏み外し難く、作業者は上り下りし易い。
【0029】
また、第1梯子は使用状態では、下端が床面に接地して上端が作業足場に連結された傾斜姿勢となるので、作業者の荷重を床面にて確実に受け止めることができ、しかも作業足場に連結されて第1梯子の移動が規制されることで、第1梯子を上り下りするときの作業者の足場が安定する。第1梯子は格納状態では、下端が床面から浮上して上端が作業足場よりも上方で昇降用台車の上端部より下方の高さに突出する状態で長手方向の中間部に設定された被係支部が昇降用台車側に設けられた係支部に係合して鉛直方向に沿って支持されるので、離脱後の第1梯子の処理に手間取ることがなく、しかも、昇降用台車を移動操作する際には第1梯子を格納状態にすることで、第1梯子の下端が床面に引っかかって昇降用台車の移動操作が行い難いといった不都合がなく、また、物品搬送状態の天井搬送車と干渉することがない。
【0030】
さらに、第2梯子は使用状態では、下端が作業足場に接地して上端が進入口の下部において外壁に連結されるので、作業者の荷重を作業足場にて確実に受け止めることができ、しかも倉庫本体の外壁に連結されて第2梯子の移動が規制されることで、第2梯子を上り下りするときの作業者の足場が安定する。第2梯子は格納状態では、作業足場に水平方向に沿った姿勢で載置されるので、作業者は、作業足場にて第2梯子を昇降用台車から離脱させる作業をした後は、そのまま作業足場に第2梯子を載置すればよいので、離脱後の第2梯子の処理に手間取ることがなく、その後の作業に迅速に移行でき、作業性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】倉庫設備を示す正面図
【図2】倉庫本体の概観斜視図
【図3】倉庫本体の平面図
【図4】第1梯子の使用状態(実線)と格納状態(仮想線)とを示す正面図
【図5】昇降用台車と倉庫本体との連結箇所を示す拡大側面図
【図6】図4における第1梯子の上部拡大正面図
【図7】縦向き保護カバーを装着した状態を示す正面図
【図8】縦向き保護カバーの取り付け構造を示す拡大正面図
【図9】倉庫本体に装着状態の昇降用台車を示す正面図
【図10】第2梯子の使用状態を示す側面図
【図11】第2梯子と倉庫本体との連結箇所を示す拡大側面図
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明に係る倉庫設備を半導体基板製造工場に適用した実施形態について図面に基づいて説明する。工場内には、天井から吊り下げ支持された走行レール1が設けられ、この走行レール1にて案内支持されて天井S側から吊り下げ支持された状態で、走行レール1に沿って走行自在な物品搬送用の天井搬送車2が複数設けられている。天井搬送車2は、半導体基板を複数収納するFOUPと呼ばれる基板搬送用の容器3を物品として搬送する。天井搬送車2は、図外の把持部にて容器3の上部を吊り下げ支持した状態で容器3を搬送するが、このように容器3を吊り下げ支持した状態で走行移動するときの天井搬送車2及び容器3の通過領域が天井搬送車2の設定走行領域Kである。
【0033】
工場内には、容器3に収納されている基板に対して加工・洗浄・検査などの処理を行う図外の基板処理装置及び複数の容器3を保管するストッカ4(本願発明の倉庫本体に相当する。)が、天井搬送車2の設定走行領域Kに沿って適宜箇所に分散して設定された複数の設置箇所に設置されている。つまり、ストッカ4は、天井搬送車2の設定走行領域Kに平面視で近接する状態で床面側に設置されている。そして、天井搬送車2が、複数の基板処理装置及び複数のストッカ4との間で容器3を搬送する。
【0034】
ストッカ4には、天井搬送車2との間で容器3を授受自在に構成されたもののほか、天井搬送車2との間では容器3の授受を行わず、床面F側に設けられた別の移載手段や作業者Pとの間で容器3を授受自在に構成されたものが設置されている。図2及び図3に示すように、本実施形態では、ストッカ4の一例として、作業者Pが人為作業により容器3を搬入及び搬出するタイプのものを例に以下の説明をする。
【0035】
図2及び図3に示すように、本実施形態のストッカ4は、物品収納用の収納部5が棚上下方向並びに棚横幅方向に並設された物品収納棚6と、その物品収納棚6の前方の移動空間7を棚上下方向に昇降移動する昇降式内部足場8と、収納部5と物品搬出入部9との間で物品を搬送する搬送装置10とを備えて構成されている。
【0036】
物品収納棚6は、物品出し入れ方向が互いに対向する状態で配置された一対の収納棚部分6a・6bにて構成されており、この一対の収納棚部分の間に移動空間7が形成されている。そして、収納部5のうち、床面F側で容器3の搬出入作業を行う作業者の作業高さに位置する収納部5を利用して複数の物品搬入出部9が棚横幅方向に並設されている。
【0037】
図1及び図2に示すように、ストッカ4の正面の外壁4Sには、保守作業を行う作業者Pが内部に進入するための進入口11が設けられている。進入口11としては、床面Fに位置する作業者が移動空間7に出入りするために床面F付近に設けられる下層用進入口11Lのほか、昇降式内部足場8が設置される上層作業用の高さに合わせて設けられる上層用進入口11Hが設けられている。そして、下層用進入口11Lを開閉する縦軸心周りの揺動操作により開閉操作自在な下層用メンテナンス扉12Lと、上層用進入口11Hを開閉する縦軸心周りの揺動操作により開閉操作自在な上層用メンテナンス扉12Hとが備えられている。
【0038】
上層用進入口11Hは、天井搬送車2の設定走行領域Kと上下方向で少なくとも一部が重なる高さに位置している。本実施形態では、天井搬送車2の設定走行領域Kの上下方向の全範囲が、上層用進入口11Hの上下方向の範囲内に位置しており、上層用進入口11Hの下端高さH1は、天井搬送車2の設定走行領域Kの下端高さH2よりも低くなっている。
【0039】
また、ストッカ4は、平面視で長辺側の外壁4Lを天井搬送車2の設置走行領域Kに沿わせた状態で配置されるため、下層用進入口11L及び上層用進入口11Hはストッカ4の平面視で短辺側の外壁4Sに設けている。つまり、平面視で矩形状のストッカ4には、移動空間7における棚横幅方向の両側を覆う一対の外壁4Sの一方に作業用高さに位置する昇降式足場8に対して搭乗するための上層用進入口11Hが形成され、上層用進入口11Hが、設定走行領域Kと交差する向きの外壁4Sに設けられている。
【0040】
昇降式内部足場8は、図1及び図2に示すウィンチ13を回転操作することにより、ストッカ4の天井付近に設定された格納用高さと、ストッカ4の中間高さに設定された作業用高さとの間で昇降操作自在に構成されている。昇降式内部足場8を昇降させる機構の詳しい説明は省略するが、ウィンチ13を回転操作すると操作ワイヤ14が巻き取り及び繰り出し操作され、これにより回転体15が回転操作されることで、昇降式内部足場8を吊り下げ支持している吊り下げワイヤ16を巻き取り及び繰り出し操作することができるようになっている。ウィンチ13は、上層用進入口11Hが形成されている外壁4Sにおいて上層用進入口11Hの下方側の横脇に設けられており、昇降具としての後述する昇降用台車20に搭乗した作業者Pにより手動操作される。なお、図1等に示すように、上層用メンテナンス扉12Hには確認窓17が設けられており、作業者Pは、昇降式内部足場8の昇降位置を確認しながらウィンチ13を回転操作して、昇降式内部足場8を作業用高さに設置できるようになっている。
【0041】
作業者Pは、図1、図4、図7、及び、図9に示す昇降用台車20を使って上層用進入口11Hまで上ることで上層用進入口11Hからストッカ4の内部に設置された昇降式内部足場8に搭乗することができるようになっている。詳しくは後述するが、作業者Pは、昇降用台車20をストッカ4の平面視で短辺側に位置する外壁4Sの前面に位置させた状態で、第1梯子31、第2梯子32等を装着することで、昇降用台車20を使用して床面Fと上層用進入口11Hとの間を上り下りすることができるようになっている。以下、昇降用台車20の構成について説明する。なお、以下の説明では、図1の紙面左方向を昇降用台車20の前方向、同紙面右方向を昇降用台車20の後方向、同紙面奥方向を昇降用台車20の右方向、同紙面手前方向を昇降用台車20の左方向として前後左右の各方向を規定している。
【0042】
昇降用台車20は、ストッカ4に対して着脱自在に構成され、かつ、底部に車輪としてのロック機能付きキャスタ21を備えて床面F上を人為操作により移動自在に構成されている。そのため、作業者Pは、ストッカ4の外壁4Sの前面側に位置する状態ストッカ4に装着されている昇降用台車20を当該ストッカ4から離脱させて、押し引き操作することにより、昇降用台車20を他のストッカ4の外壁4Sの前面側に位置する状態で当該他のストッカ4に装着することができる。したがって、複数のストッカ4の夫々に昇降具を備える必要がなくコスト面で有利な倉庫設備となっている。
【0043】
図1に示すように、上層用進入口11Hが設けられた外壁4Sには、係支部としての前側固定ピン19及び後側固定ピン18が設けられており、昇降用台車20の右側に位置する前後の支柱23・24には、被係支部としての前側固定フック27及び後側固定フック28が設けられている。
【0044】
前側固定フック27は、図5に示すように、前側固定ピン19に対して係合する切り欠き27bか形成されており、軸心27a回りに回転操作自在に、左右一対の前側支柱23のうち右側の前側支柱23に連結されている。図示は省略するが、後側固定フック28も同様に後側固定ピン18に対して係合する切り欠きを備えて、横軸心回りに回転操作自在に、左右一対の後側支柱24のうち右側の後側支柱24に連結されている。
【0045】
そして、前側固定フック27及び後側固定フック28を、図5において実線で示すような解除姿勢にした状態で、昇降用台車20を押し引き操作して移動操作して、図4等に示すように、外壁4Sの前面側に位置させた後、前側固定フック27及び後側固定フック28を回動操作して、前側固定ピン19及び後側固定ピン18に前側固定フック27及び後側固定フック28の切り欠きを係合させて、図5において仮想線で示すようなロック姿勢に切り換えるとともに、ロック機能付きキャスタ21をロック状態に切り換えることで、昇降用台車20がストッカ4に対して位置保持される。このように、昇降用台車20をストッカ4に対して位置保持する昇降用台車固定手段として、前後の固定フック27・28及び前後の固定ピン19・18並びに複数のロック機能付きキャスタ21を備えている。
【0046】
図1に示すように、昇降用台車20は、その上端部20Tの床上高さH3が、天井搬送車2の設定走行領域Kの下限高さH2よりも低く設定されている。これにより、作業者Pが昇降用台車20を押し引き操作して床面F上を移動操作する場合に、昇降用台車20と天井搬送車2とが干渉することがないので、作業者Pは、昇降用台車20と天井搬送車2との干渉に多大な注意を払う必要がなく、昇降用台車20を円滑に移動させることができ、複数のストッカ4の保守作業を円滑に進めることができる。
【0047】
昇降用台車20は、上下方向の中間高さに水平方向に沿った作業足場22を備え、床面Fと作業足場22との間を上り下りするための第1梯子31及び作業足場22と上層用進入口11Hとの間を上り下りする第2梯子32を着脱自在に備えて構成されている。
【0048】
作業足場22は、左右一対の前側支柱23及び左右一対の後側支柱24にて支持されており、上面には、作業足場22から作業者Pが落下することを防止する前側安全柵25及び後側安全柵26が設けられている。
【0049】
前記第1梯子の上端には、図6に示すように、第1フック47及び第2フック48が、上下に間隔をおいて梯子の幅方向に並ぶ状態で左右一対備えられている。第1フック47及び第2フック48は台座36に固定されており、第1梯子31の幅に相当する長さのフック取り付けプレート38に、梯子の幅方向に並ぶ状態で台座36を左右一対設けて、このフック取り付けプレート38が、第1梯子本体31aの上端部に、ブラケット37を介して第1梯子本体31aの上端部に固定されている。
【0050】
第1梯子31は、図4における実線や図6(b)に示すように、下端が床面Fに接地して上端が作業足場22に連結された傾斜姿勢となる使用状態と、図4における仮想線や図6(a)に示すように、下端が床面Fから浮上して上端が作業足場22よりも上方で上端部20Tより下方の高さに突出する状態で、第1梯子31の長手方向の中間部において側部外方に突出する被係支部としてのピン30が昇降用台車20の前側支柱23に設けられた係支部としてのホルダ29に係合して鉛直方向に沿って支持される格納状態とに切り換え自在に構成されている。
【0051】
第2梯子32は、図9及び図10に示すように、下端が作業足場22の上面に接地して上端が上層用進入口11Hの下部において外壁4Sに連結された傾斜姿勢となる使用状態と、図1、図4及び図7に示すように、作業足場22上に水平方向に沿った姿勢で載置される格納状態とに切り換え自在に構成されている。
【0052】
第2梯子32の上端部には、図11に示すように、連結用のフック46が梯子の幅方向で左右一対設けられている。ストッカ4の外壁4Sには、上層用進入口11Hの下端部において、第2梯子32の上端部が連結される穴付き連結ブラケット45が設けられており、この穴付き連結ブラケット45の穴に第2梯子32の連結用のフック46を係合させることで、第2梯子32を使用状態にすることができるようになっている。
【0053】
図1、図4、図7、及び、図9に示すように、水平方向に沿った板状の横向き保護カバー35が、昇降用台車20の上端部20Tに固定状態で備えられている。
【0054】
横向き保護カバー35は、昇降用台車20がストッカ4の上層用進入口11Hが設けられている外壁4Sに対して装着された状態において、当該外壁4Sの前面側でかつ昇降用台車20の上端部20Tの高さで、天井搬送車2の設定走行領域Kに沿う姿勢にて設定走行領域Kの存在空間とその下方の空間とを仕切るように構成されている。
【0055】
横向き保護カバー35は、水平方向に沿った板状に形成されており、昇降用台車20の上端部20Tに固定状態で備えられているので、昇降用台車20を移動操作するときには、昇降用台車20の上端部20Tの高さは、設定走行経路Kの下限高さよりも低いことに変わりないから、横向き保護カバー35を備えていても、昇降用台車20を床面F上において移動させる場合に横向き保護カバー35が天井搬送車2と干渉することはない。
【0056】
昇降用台車20を移動操作してストッカ4の上層用進入口11Hが設けられている外壁4Sに対して装着することで、外壁4Sの前面側でかつ昇降用台車20の上端部20Tの高さにおいて、設定走行領域Kの存在空間とそれより下方の空間とを板状の横向き保護カバー35にて仕切ることができる。したがって、上層用進入口11Hが設けられている外壁4Sの前面側において天井搬送車2の設定走行領域K内に下方から進入することを横向き保護カバー35により阻止できるので、外壁4Sの前面に昇降用台車20を装着することで、この昇降用台車20を使って上層用進入口11Hまで上ろうとする作業者Pの頭部等が天井搬送車2の設定走行領域K内に下方から進入することを阻止できる。これにより、天井搬送車2に作業者Pが下方から接触することを防止できる。
【0057】
図7、及び、図9に示すように、鉛直方向に沿って上端部20Tより上方に突出する板状の縦向き保護カバーとしての前カバー33及び後カバー34が、昇降用台車20の上端部20Tに着脱自在に設けられている。昇降用台車20から離脱された前カバー33及び後カバー34は、図1、及び、図3に示すように、前述の作業足場22上に保管できるようになっている。つまり、作業足場22は、昇降用台車20が移動操作されるときには、昇降用台車20から離脱された前カバー33及び後カバー34を水平方向に沿った姿勢で載置支持自在に構成されている。
【0058】
前カバー33及び後カバー34の装着構造について、前カバー33を例に説明する。図8に示すように、前カバー33は、カバー支持棒40に固定部材39にて固定されている。昇降用台車20の作業足場22に設けられた前側安全柵25の縦フレーム部分に、カバー支持棒40を挿抜自在な上面及びカバー支持棒40の下端を支持自在な下面を備えたコの字ブラケット41が、取り付け高さが調節自在な上下一対の取り付け部材42にて固定されている。コの字ブラケット41の内面側には、カバー支持棒40の下端側をローレットねじ44にて固定するためのねじ受け43が取り付けられている。そして、カバー支持棒40をコの字ブラケット41の上面から挿入してカバー支持棒40支持棒の下端をコの字ブラケット41の下面に当て付け、ローレットねじ44を締め付けて、前カバー33を前側安全柵25に固定して装着する。離脱は装着と逆の要領で行えばよい。
【0059】
前カバー33及び後カバー34は、鉛直方向に沿って昇降用台車20の上端部20Tより上方に突出する板状に形成さているが、昇降用台車20の上端部20Tに着脱自在に備えられているので、昇降用台車20を移動操作するときには、前カバー33及び後カバー34を昇降用台車20の上端部20Tから離脱させておくことで、昇降用台車20の上端部20Tの高さを、天井搬送車2の設定走行領域Kの下限高さよりも低くすることができる。したがって、前カバー33及び後カバー34を縦向き保護カバーとして備えたものであっても、昇降用台車20を床面F上において移動させる場合に天井搬送車2と干渉することはない。
【0060】
図7〜図9に示すように、ストッカ4の上層用進入口11Hが設けられている外壁4Sに対して装着された昇降用台車20に対して、前カバー33及び後カバー34を装着することで、上層用進入口11Hが設けられている外壁4Sの前面側でかつ昇降用台車20の上端部20Tよりも上方で、設定走行領域Kに沿う姿勢にて天井搬送車2の設定走行領域Kの存在空間とストッカ4の存在空間とを仕切ることができる。したがって、外壁4Sの前面側において天井搬送車2の設定走行領域K内に横方向から進入することを前カバー33及び後カバー34により阻止できるので、昇降用台車20を使って上層用進入口11Hまで上ろうとする作業者Pの腕等が天井搬送車2の設定走行領域K内に側方から進入することを阻止できる。これにより、天井搬送車2に作業者Pが側方から接触することを防止できる。
【0061】
次に、昇降用台車20の使用方法について説明する。
【0062】
作業者Pは、第1梯子31が格納状態であり、かつ、第2梯子32、前カバー33及び後カバー34が作業足場22上に保管された状態の昇降用台車20(図1参照)を移動操作して保守作業対象のストッカ4の外壁4Sに対して位置させる。そして、昇降用台車固定手段としての前後の固定フック27・28及び前後の固定ピン19・18並びに複数のロック機能付きキャスタ21にて昇降用台車20をストッカ4に固定する(図5参照)。
【0063】
第1梯子31を掛け直して使用状態して(図4参照)、第1梯子31を上って作業足場22に搭乗する。そして、作業足場22に保管されている前カバー33及び後カバー34を上述の取り付け要領で昇降用台車20の安全柵25・26に装着する(図7参照)。そして、作業足場22に保管されている第2梯子32をストッカ4の外壁4Sに連結して昇降用台車20の装着作業が完了する。
【0064】
第2梯子32を上って、確認窓17からストッカ4の内部を目視にて確認しながら、ウィンチ13を回転操作して昇降式内部足場8を所定の作業用高さまで下降させて設置する。そして、閉じ状態の上層用メンテナンス扉12Hを開き操作して、上層用進入口11Hからストッカ4の内部に進入して昇降式内部足場8に搭乗して、必要な保守作業を行う。
【0065】
保守作業終了後は、上層用進入口11Hからストッカ4の外部に出て、上層用メンテナンス扉12Hを閉じ操作して、ウィンチ13を回転操作して昇降式内部足場8を格納用高さまで上昇させて格納する。そして、第2梯子32を使って作業足場22まで下りて、作業足場22上で、まず、第2梯子32を取り外して作業足場22上に載置する。続いて、前後の保護カバー33・34を取り外して作業足場22上に第2梯子32の上に重ねて載置する。
【0066】
その後、第1梯子31を使って床面Fまで下りて、第1梯子31を掛け直して、使用状態から格納状態にする。そして、前後の固定フック27・28を揺動操作して、固定ピン19・18との係合を外し、複数のロック機能付きキャスタ21のロックを解除して昇降用台車20のストッカ4に対する固定を解除する。
【0067】
そして、昇降用台車固定手段による固定が解除されて移動可能な状態となった昇降用台車20を、上端部20Tよりも上方に突出するものがないが故に天井搬送車2との干渉のおそれのない状態で押し引き操作して、次の保守作業対象のストッカ4があれば、そのストッカ4における上層用進入口11Hが設けられた外壁4Sまで移動させて上述のような装着作業を行う。保守作業が終了すれば、所定の台車保管位置まで昇降用台車20を移動させる。
【0068】
〔別の実施形態〕
以下、本発明の別実施形態について説明する。
【0069】
(1)上記実施形態では、天井搬送車2の設定走行経路Kが、ストッカ4の平面視で長辺側の外壁4Lの両側に位置するものを例示したが、天井搬送車2の設定走行経路Kのストッカ4に対する位置は、これに限らず、例えば、ストッカ4の平面視で長辺側の外壁4Lの片側に位置するものや、ストッカ4の平面視で短辺側の外壁4S片側に位置するものであってもよい。また、設定走行経路Kが上下に複数配置されたものであってもよい。
【0070】
(2)上記実施形態では、下層用進入口11L及びこれを開閉する下層用メンテナンス扉12Lを備えたストッカ4を例示したが、下層用進入口11L及び下層用メンテナンス扉12Lを備えず、上層用進入口11H及び上層用メンテナンス扉12Hがストッカ4の中間高さに位置するものでもあってもよい。
【0071】
(3)上記実施形態では、昇降用台車20が、第1梯子31及び第2梯子32を備えて構成されたものを例示したが、単一の梯子又は3つ以上の梯子を備えて構成されたものであってもよい。
【0072】
(4)上記実施形態では、取り外した第2梯子32、前カバー33、及び、後カバー34を作業足場22上に保管した状態で昇降用台車20を押し引き操作するものを例示したが、これに代えて、取り外した第2梯子32、前カバー33、及び、後カバー34の全部又は一部を床面Fまで降ろして、作業足場22上に取り外した部材を保管しない又は取り外した部材の一部の部材のみ保管する状態で昇降用台車20を押し引き操作するものであってもよい。
【符号の説明】
【0073】
F 床面
S 天井
K 設定走行領域
P 作業者
2 天井搬送車
4 倉庫本体
4S 外壁
11H 上層用の進入口
18、19 係支部
20 昇降用台車
20T 上端部
21 車輪
22 作業足場
27、28 被係支部
31 第1梯子
32 第2梯子
33、34 縦向き保護カバー
35 横向き保護カバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井側から吊り下げ支持された状態で設定走行領域を走行自在な物品搬送用の天井搬送車の前記設定走行領域に平面視で近接する状態で床面側に設置されて、複数の物品を縦横に並べた状態で収納自在な倉庫本体と、
前記倉庫本体の外壁において上下方向で前記設定走行領域と少なくとも一部が重なる高さに設けられた保守作業者進入用の上層用の進入口に対して作業者が床面から上り下りするために用いられる昇降具とが備えられた倉庫設備であって、
前記昇降具が、前記倉庫本体の外壁に対して着脱自在に、かつ、移動用の車輪を備えて人為操作により床面上を移動自在な昇降用台車にて構成され、かつ、上端部の床上高さが前記天井搬送車の前記設定走行領域の下限高さよりも低く構成されている倉庫設備。
【請求項2】
水平方向に沿った板状の横向き保護カバーが、前記昇降用台車の上端部に固定状態で備えられ、
鉛直方向に沿って上端部より上方に突出する板状の縦向き保護カバーが、前記昇降用台車の上端部に着脱自在に備えられ、
前記進入口が、前記設定走行領域と交差する向きの外壁に設けられ、
前記昇降用台車は、前記外壁の前面側に位置する状態で前記倉庫本体に装着されるように構成され、
前記横向き保護カバーは、前記昇降用台車が前記倉庫本体の前記外壁に対して装着された状態において、前記進入口が設けられている外壁の前面側でかつ前記昇降用台車の上端部の高さで、前記設定走行領域に沿う姿勢にて前記天井搬送車の前記設定走行領域の存在空間とその下方の空間とを仕切るように構成され、
前記縦向き保護カバーは、前記倉庫本体の前記外壁に対して装着された前記昇降用台車に装着された状態において、前記進入口が設けられている外壁の前面側でかつ前記昇降用台車の上端部よりも上方で、前記設定走行領域に沿う姿勢にて前記天井搬送車の前記設定走行領域の存在空間と前記倉庫本体の存在空間とを仕切るように構成されている請求項1記載の倉庫設備。
【請求項3】
前記昇降用台車は、上下方向の中間高さに水平方向に沿った作業足場を備えて構成され、
前記作業足場は、前記昇降用台車が移動操作されるときには、前記昇降用台車から離脱された前記縦向き保護カバーを水平方向に沿った姿勢で載置支持自在に構成されている請求項2記載の倉庫設備。
【請求項4】
前記昇降用台車は、床面と前記作業足場との間を上り下りするための第1梯子及び前記作業足場と前記進入口との間を上り下りする第2梯子を着脱自在に備えて構成され、
前記第1梯子は、下端が床面に接地して上端が前記作業足場に連結された傾斜姿勢となる使用状態と、下端が床面から浮上して上端が前記作業足場よりも上方で前記昇降用台車の上端部より下方の高さに突出する状態で長手方向の中間部に設定された被係支部が前記昇降用台車側に設けられた係支部に係合して鉛直方向に沿って支持される格納状態とに切り換え自在に構成され、
前記第2梯子は、下端が前記作業足場に接地して上端が前記進入口の下部において前記外壁に連結された傾斜姿勢となる使用状態と、前記作業足場に水平方向に沿った姿勢で載置される格納状態とに切り換え自在に構成されている請求項3記載の倉庫設備。
【請求項1】
天井側から吊り下げ支持された状態で設定走行領域を走行自在な物品搬送用の天井搬送車の前記設定走行領域に平面視で近接する状態で床面側に設置されて、複数の物品を縦横に並べた状態で収納自在な倉庫本体と、
前記倉庫本体の外壁において上下方向で前記設定走行領域と少なくとも一部が重なる高さに設けられた保守作業者進入用の上層用の進入口に対して作業者が床面から上り下りするために用いられる昇降具とが備えられた倉庫設備であって、
前記昇降具が、前記倉庫本体の外壁に対して着脱自在に、かつ、移動用の車輪を備えて人為操作により床面上を移動自在な昇降用台車にて構成され、かつ、上端部の床上高さが前記天井搬送車の前記設定走行領域の下限高さよりも低く構成されている倉庫設備。
【請求項2】
水平方向に沿った板状の横向き保護カバーが、前記昇降用台車の上端部に固定状態で備えられ、
鉛直方向に沿って上端部より上方に突出する板状の縦向き保護カバーが、前記昇降用台車の上端部に着脱自在に備えられ、
前記進入口が、前記設定走行領域と交差する向きの外壁に設けられ、
前記昇降用台車は、前記外壁の前面側に位置する状態で前記倉庫本体に装着されるように構成され、
前記横向き保護カバーは、前記昇降用台車が前記倉庫本体の前記外壁に対して装着された状態において、前記進入口が設けられている外壁の前面側でかつ前記昇降用台車の上端部の高さで、前記設定走行領域に沿う姿勢にて前記天井搬送車の前記設定走行領域の存在空間とその下方の空間とを仕切るように構成され、
前記縦向き保護カバーは、前記倉庫本体の前記外壁に対して装着された前記昇降用台車に装着された状態において、前記進入口が設けられている外壁の前面側でかつ前記昇降用台車の上端部よりも上方で、前記設定走行領域に沿う姿勢にて前記天井搬送車の前記設定走行領域の存在空間と前記倉庫本体の存在空間とを仕切るように構成されている請求項1記載の倉庫設備。
【請求項3】
前記昇降用台車は、上下方向の中間高さに水平方向に沿った作業足場を備えて構成され、
前記作業足場は、前記昇降用台車が移動操作されるときには、前記昇降用台車から離脱された前記縦向き保護カバーを水平方向に沿った姿勢で載置支持自在に構成されている請求項2記載の倉庫設備。
【請求項4】
前記昇降用台車は、床面と前記作業足場との間を上り下りするための第1梯子及び前記作業足場と前記進入口との間を上り下りする第2梯子を着脱自在に備えて構成され、
前記第1梯子は、下端が床面に接地して上端が前記作業足場に連結された傾斜姿勢となる使用状態と、下端が床面から浮上して上端が前記作業足場よりも上方で前記昇降用台車の上端部より下方の高さに突出する状態で長手方向の中間部に設定された被係支部が前記昇降用台車側に設けられた係支部に係合して鉛直方向に沿って支持される格納状態とに切り換え自在に構成され、
前記第2梯子は、下端が前記作業足場に接地して上端が前記進入口の下部において前記外壁に連結された傾斜姿勢となる使用状態と、前記作業足場に水平方向に沿った姿勢で載置される格納状態とに切り換え自在に構成されている請求項3記載の倉庫設備。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−157185(P2011−157185A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20597(P2010−20597)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】
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