個人認証装置
【課題】 本人拒絶率の評価に加えて他人受入率を明示的に評価して認識精度を向上させた個人認証装置を提供する。
【解決手段】 身体的特徴を登録するために予め取得した登録者の画像データから真のテンプレート及び偽のテンプレートを作成するテンプレート作成部1と、真のテンプレート及び偽のテンプレートを記憶する記憶部2と、利用者の顔の特徴データを取得する顔画像データ生成部3と、記憶部2から読み出した真のテンプレートと顔画像データ生成部3から入力した顔の特徴データとを照合して利用者が登録者本人である類似度を算定する第1の類似度算定部4と、記憶部から読み出した偽のテンプレートと顔画像データ生成部3から入力した顔の特徴データとを照合して利用者が登録者本人でない類似度を算定する第2の類似度算定部5と、両方の類似度に基づいて利用者が登録者本人であるか否かを判定する判定部6とを備えて構成とした。
【解決手段】 身体的特徴を登録するために予め取得した登録者の画像データから真のテンプレート及び偽のテンプレートを作成するテンプレート作成部1と、真のテンプレート及び偽のテンプレートを記憶する記憶部2と、利用者の顔の特徴データを取得する顔画像データ生成部3と、記憶部2から読み出した真のテンプレートと顔画像データ生成部3から入力した顔の特徴データとを照合して利用者が登録者本人である類似度を算定する第1の類似度算定部4と、記憶部から読み出した偽のテンプレートと顔画像データ生成部3から入力した顔の特徴データとを照合して利用者が登録者本人でない類似度を算定する第2の類似度算定部5と、両方の類似度に基づいて利用者が登録者本人であるか否かを判定する判定部6とを備えて構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体的特徴を用いて個人を認証する個人認証装置に関し、特に、本人拒絶率の評価に加えて他人受入率を明示的に評価して認識精度を向上させた個人認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人の身体的特徴を用いて利用者が事前に登録された登録者本人か否かを判断する方法として、一般に、スーパーインポーズ法(例えば、非特許文献1参照)と呼ばれる方法が利用される。このスーパーインポーズ法によれば、予め登録されたテンプレートと呼ばれる参照用データと入力データが一致するか否かにより、利用者が登録者本人か否かを判断する。この場合、例えば顔認識においては、顔画像登録時と顔画像入力時とで顔の傾きが異なるときには、登録者本人であると正しく認識できないことがあり、登録時と入力時との撮像条件を一致させなければならない問題がある。これに対しては、入力される顔の表情や傾きの異なる複数のテンプレートを準備しておき、顔画像データの傾きを補正する方法もある。また、撮像条件を緩和するために、登録された顔画像データに基づいて複数の部分的な特徴を抽出し、この特徴量の類似度の程度により登録者本人か否かを判断する方法もある。しかし、上記いずれの方法によっても、類似度に対する判断の閾値を甘くすると他人を登録者本人であると誤って判断する割合(他人受入率)が増加し、逆に、閾値を厳しくすると登録者本人を本人でないと誤って判断する割合(本人拒絶率)が増加する問題がある。
【0003】
このような問題に対処するため、顔画像上に複数の基準点を設定し、基準点を対応する偏移量で偏移させて画像を変形させ、偏移量を組替え操作により変更することにより、顔の表情や向きが変化しても識別率を低下させず、また、目や口の位置を誤検出しても識別率の低下が少なくなることを期待した個人認証装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【非特許文献1】Austin Smith,D and Maples,W.R,J.Forensic Sci.,39,1994
【特許文献1】特開2000−113197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような従来の個人認証装置においては、登録者本人の様々なテンプレートを利用することにより、閾値を厳しくしても本人拒絶率の増加が抑制され、且つ他人受入率が減少することを期待するものであるが、いずれも登録者本人を定義つける真のテンプレートを用いて登録者本人か否かを判定するだけものであって、他人を定義付ける偽のテンプレートも用いて登録者本人ではなく他人であるとの判定も行おうとするものではない。したがって、上記従来の個人認証装置においては、他人受入率の減少を確認することは困難である。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に着目してなされたもので、本人拒絶率の評価に加えて他人受入率を明示的に評価して認識精度を向上させた個人認証装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このために、請求項1の発明は、身体的特徴を用いて個人を認証する個人認証装置であって、前記身体的特徴について、事前に登録された登録者本人であることを確認するために予め生成した真のテンプレート及び登録者本人でないことを確認するために予め生成した偽のテンプレートと、取得した利用者の身体的特徴データとを照合してそれぞれ類似度を算定し、両方の類似度に基づいて前記利用者が前記登録者本人か否かを判定する構成とした。
【0007】
このような構成により、身体的特徴について事前に登録された登録者本人であること確認するための真のテンプレートと登録者本人でないことを確認するための偽のテンプレートとを予め作成し、該各テンプレートと利用者から取得した身体的特徴データとを照合してそれぞれ類似度を算定し、両方の類似度に基づいて利用者が登録者本人か否かを判定する。
【0008】
この場合、前記偽のテンプレートは、請求項2のように前記真のテンプレートを加工して生成するとよい。
【0009】
請求項3の構成の場合には、前記登録者本人か否かの判定は、前記真のテンプレートを用いて算定した登録者本人である類似度と、前記偽のテンプレートを用いて算定した登録者本人でない類似度とに基づいて行い、登録者本人である類似度が大きく、且つ登録者本人でない類似度が小さいときに本人と判定し、登録者本人である類似度が小さく、且つ登録者本人でない類似度が大きいときに他人と判定する構成とした。この場合、請求項4のように、登録者本人である類似度及び登録者本人でない類似度の双方が大きいとき、又は登録者本人である類似度及び登録者本人でない類似度の双方が小さいときには、前記身体的特徴データの再取得を行って再判定し、登録者本人であると確定できないときには他人と判定する構成とするとよい。
【0010】
また、請求項5の構成においては、前記身体的特徴は顔であり、前記真のテンプレートは、顔の各構成要素及び顔全体に対する各構成要素の配置の少なくとも一方について作成されたものであり、前記登録者本人である類似度は、前記顔の各構成要素及び顔全体に対する各構成要素の配置の少なくとも一方に関する身体的特徴データと該身体的特徴データに対応する真のテンプレートとの類似度を求め、その最小値により算定する構成とした。この場合、請求項6のように、前記偽のテンプレートは、顔の各構成要素及び顔全体に対する各構成要素の配置の少なくとも一方について作成されたものであり、前記登録者本人でない類似度は、前記顔の各構成要素及び顔全体に対する各構成要素の配置の少なくとも一方に関する身体的特徴データと該身体的特徴データに対応する偽のテンプレートとの類似度を求め、その最大値により算定する構成とするとよい。
【0011】
本発明の個人認証装置は、具体的には請求項7のように、身体的特徴を登録するために予め取得した登録者の画像データから前記真のテンプレート及び前記偽のテンプレートを作成するテンプレート作成部と、前記真のテンプレート及び偽のテンプレートを記憶する記憶部と、利用者の前記身体的特徴データを取得する身体的特徴データ生成部と、前記記憶部から読み出した前記真のテンプレートと前記身体的特徴データ生成部から入力した前記身体的特徴データとを照合して前記利用者が前記登録者本人である類似度を算定する第1の類似度算定部と、前記記憶部から読み出した前記偽のテンプレートと前記身体的特徴データ生成部から入力した前記身体的特徴データとを照合して前記利用者が前記登録者本人でない類似度を算定する第2の類似度算定部と、前記両方の類似度に基づいて前記利用者が前記登録者本人であるか否かを判定する判定部とを備えて構成とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明の個人認証装置によれば、登録者本人であると確認するための真のテンプレートを用いて利用者が登録者本人であるか否かを判定すると共に、登録者本人でないと確認するための偽のテンプレートを用いて他人であるか否かの判定を行って個人認証をするようにしたことにより、本人拒絶率の評価と他人受入率の評価の両方を行うことができる。したがって、真のテンプレートに対する類似度の閾値を甘くしても他人受入率を低下させることができ、従来技術におけるような真のテンプレートを用いて登録者本人か否かを判定するだけのものに比べて認識精度を向上することができる。
【0013】
また、偽のテンプレートを、真のテンプレートを加工して生成するようにすれば、登録者本人以外の他人の身体的特徴データを容易に作成することができる。
【0014】
さらに、登録者本人か否かの判定の結果、登録者本人である類似度及び登録者本人でない類似度の双方が大きいとき、又は登録者本人である類似度及び登録者本人でない類似度の双方が小さいときには、身体的特徴データの再取得を行って再判定するようにすれば、1回目の判定で登録者本人か他人かの判断ができない場合にも再判定して登録者本人か否かを判断することができ、外乱等の影響による誤認判定を抑制することができる。従って、認識精度をより向上することができる。この場合、再判定の結果、登録者本人であると確定できないときには他人と判定するようにすれば、他人受入率をより減少することができる。
【0015】
また、身体的特徴を顔とし、登録者本人である類似度を、少なくとも顔の各構成要素又は顔全体に対する各構成要素の配置のいずれかについてそれぞれ作成した真のテンプレートと顔の各構成要素又は顔全体に対する各構成要素の配置に関する身体的特徴データとの類似度を求めてその最小値により算定し、該類似度を用いて登録者本人か否かを判定するようにすれば、該類似度に基づいて登録者本人と判定されたときの本人である確度はより高くなる。
【0016】
そして、登録者本人でない類似度を、少なくとも顔の各構成要素又は顔全体に対する各構成要素の配置のいずれかについてそれぞれ作成した偽のテンプレートと顔の各構成要素又は顔全体に対する各構成要素の配置に関する身体的特徴データとの類似度を求めてその最大値により算定し、該類似度を用いて登録者本人か否かを判定するようにすれば、該類似度に基づいて登録者本人でない(他人)と判定されたときの他人である確度はより高くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1に、本発明に係る個人認証装置の実施形態のブロック図を示す。
図1において、本実施形態の個人認証装置は、身体的特徴を用いて個人を認証するものであり、テンプレート作成部1と、記憶部2と、身体的特徴データ生成部としての顔画像データ生成部3と、第1の類似度算定部4と、第2の類似度算定部5と、判定部6とを備えて構成する。以下、身体的特徴として顔を用いた例を説明する。
【0018】
テンプレート作成部1は、顔の情報を登録するために予め取得した登録者本人の画像データから登録者本人であることを確認するための真のテンプレート及び登録者本人でないことを確認するための偽のテンプレートを作成するものであり、例えば顔の各構成要素の形や傾き等或は顔全体に対する各構成要素の配置関係等について数値化した複数のテンプレートを作成する。なお、本実施形態においては、構成要素毎に2種類の偽のテンプレートを備えた場合について説明する。
【0019】
ここで、上記偽のテンプレートは、上記真のテンプレートを加工して作成する。例えば、目の偽のテンプレートは、目の真のテンプレートが図2(b)に示すように目尻と目頭を結ぶ線が水平であるときには、同図(a)に示すように例えば目尻をhだけ上げた偽のテンプレートと、同図(c)に示すように目尻をhだけ下げた偽のテンプレートとを作成する。また、上唇の線については、真のテンプレートが図3(b)に示すように三角状切込みdが中程度のときには同図(a)に示すように切込みdの深い偽のテンプレートと、同図(c)に示しように切込みdの浅い偽のテンプレートとを作成する。さらに、口の形については、真のテンプレートが図4(b)に示すように直線状のときには、同図(a)に示すように口の両端を下げた凸型の偽のテンプレートと、同図(c)に示すように口の両端を上げた凹型の偽のテンプレートとを作成する。そして、顔全体に対する各構成要素の相対位置については、図5に示しように真のテンプレートの、例えば左右の目頭の間隔A、鼻と目の間隔α、鼻と口の間隔β等をそれぞれΔX広げた偽のテンプレートと、ΔX狭めた偽のテンプレートとを作成する。なお、図5の場合、全体的には顔の各構成要素について登録者本人の特徴を保持しながら、上記間隔Aに変化を加えて偽のテンプレートを作成するものである。以下、各構成要素及び顔全体についての上記2種類の偽のテンプレートを第1及び第2の偽のテンプレートと記載する。
【0020】
記憶部2は、上記テンプレート作成部1において作成された真のテンプレートと偽のテンプレートとを登録者毎に分類して記憶するものであり、登録者に認められたアクセス権に関する登録情報(例えば、ID情報)を含んだ個人登録情報が予め記憶された例えば情報記憶媒体を備える。
【0021】
顔画像データ生成部3は、例えば、利用者の顔画像を撮像するカメラ7と、カメラ7で撮像された画像を取り込む画像入力部8と、画像入力部8に取り込まれた顔画像を基に利用者の顔に対応する画像部分を検出する顔検出部9と、顔検出部9によって検出された顔画像を基に利用者の顔特徴量データを作成し、作成したデータを第1及び第2の類似度算定部4,5に送る特徴量作成部10とを有する。
【0022】
カメラ7は、予め設定された撮像領域を有し、利用者の顔を撮像することが可能な撮像装置であって、撮像した画像を画像入力部8及び表示部11にそれぞれ出力する。このカメラ7の撮像領域としては、画角を狭くし利用者の顔が大きく撮れるようにして正確な認証処理が可能になるように設計した固定の領域が設定される。尚、カメラ7は、固定された撮像領域内を適切に撮像するための機能(例えば、オートフォーカス等)を備えていてもよい。
【0023】
画像入力部8は、カメラ7から送られてくる画像データを一時的に蓄積して顔検出部9に出力する。顔検出部9は、画像入力部8の画像データを用いて、カメラ7の撮像領域内に利用者の顔に対応する画像部分が存在するか否かを周知の画像処理技術を用いて判断する。利用者の顔に対応する画像部分が存在する場合には、その顔画像を特徴量作成部10に送る。
【0024】
特徴量作成部10は、顔検出部9を介して送られてくる顔画像を用いて、テンプレートに対応する利用者の顔全体に対する各構成要素(目、鼻、口等)の位置関係、各構成要素の形、大きさ等に関する情報を抽出し、利用者の顔特徴量データとして第1及び第2の類似度算定部4,5に出力する。
【0025】
第1の類似度算定部4は、利用者が提示した例えばIDカードからID情報を図示省略の読取装置により読み取り、該ID情報に対応する登録者の顔画像に関する真のテンプレートを記憶部2から読み出して顔画像データ生成部3から入力した利用者の顔特徴量データと照合し、登録者本人である類似度を算定するものであり、図6に示すように、各構成要素及び顔全体に関する各真のテンプレートに対する類似度PA1,PA2…PAn,PAallを算定する類似度算定部4A1,4A2〜4An,4Aallと、類似度PA1,PA2…PAn,PAallのうち、最小の類似度PAのみを選択して出力する最小値回路12とを備えている。
【0026】
第2の類似度算定部5は、上記ID情報に対応する登録者の顔画像に関する偽のテンプレートを記憶部2から読み出して顔画像データ生成部3から入力した利用者の顔特徴量データと照合し、登録者本人でない類似度を算定するものであり、図7に示すように、各構成要素及び顔全体についてそれぞれ第1の偽のテンプレートに対する類似度QA1-1…QAn-1,QAall-1を算定する類似度算定部5A1〜5An,5Aallと、第2の偽のテンプレートに対する類似度QA1-2…QAn-2,QAall-2を算定する類似度算定部5B1〜5Bn,5Ballと、上記類似度QA1-1とQA1-2,…QAn-1とQAn-2,QAall-1とQAall-2のうち大きい方の類似度QA1〜QAallを選択して出力する最大値回路13A1〜13Aallと、各最大値回路13A1〜13Aallから出力する類似度QA1〜QAallのうち更にその最大の類似度QAのみを選択して出力する最大値回路13Bとを備えている。
【0027】
判定部6は、第1の類似度算定部4から入力した登録者本人である類似度PAと第2の類似度算定部5から入力した登録者本人でない類似度QAとに基づいて登録者本人か否かを判定するものであり、登録者本人である類似度PAが大きく、且つ登録者本人でない類似度QAが小さいときに利用者を登録者本人と判定し、登録者本人である類似度PAが小さく、且つ登録者本人でない類似度QAが大きいときに利用者を登録者本人でないと判定するようになっている。なお、登録者本人である類似度PA及び登録者本人でない類似度QAの双方が大きいとき、又は登録者本人である類似度PA及び登録者本人でない類似度QAの双方が小さいときには、判定部6は、顔画像データ生成部3に対して顔画像データの再取得を行わせて再判定をする。その結果、登録者本人であると確定できないときには他人と判定する。
【0028】
次に、本発明に係る個人認証装置の動作を、図8及び図9を参照して説明する。
先ず、図8を参照してテンプレートを作成する段階を説明する。
上記個人認証装置を備えてセキュリティー保護された領域にアクセスしようとする者は、アクセス権に関する例えば、ID情報を含んだ個人登録情報を事前に登録しておく必要がある。
【0029】
この場合、ステップ1(図8中S1で示し、以下同様とする)において、登録者本人の顔に関する情報として例えば顔特徴量データを登録するために図示省略のカメラで撮像して顔の登録画像データを取得する。
【0030】
次に、ステップ2においては、ステップ1で取得した顔の登録画像データを基に顔を例えば目、鼻、口等の各構成要素に分解し、構成要素毎に登録者本人である類似度を確認するための真のテンプレートを作成する。同時に、各構成要素の顔全体に対する相対位置についての真のテンプレートを作成する。
【0031】
ステップ3においては、ステップ2で作成した真のテンプレートを基に、それぞれ変形を加えて登録者本人でないことを確認するための第1及び第2の偽のテンプレートを作成する。例えば、目の偽のテンプレートとしては、図2(a)に示すような第1の偽のテンプレートと、同図(c)に示すような第2の偽のテンプレートとを作成する。また、上唇の線の偽のテンプレートとしては、図3(a)に示すような第1の偽のテンプレートと、同図(c)に示しような第2の偽のテンプレートとを作成する。さらに、口の形の偽のテンプレートとしては、図4(a)に示すような第1の偽のテンプレートと、同図(c)に示すような第2の偽のテンプレートとを作成する。そして、顔全体に対する各構成要素の相対位置の偽のテンプレートとしては、図5に示しように左右の目頭の間隔A、鼻と目の間隔α、鼻と口の間隔β等についてそれぞれΔX広げた第1の偽のテンプレートと、ΔX狭めた第2の偽のテンプレートとを作成する。
【0032】
そして、ステップ4においては、上記真のテンプレートと偽のテンプレートとを登録者の例えばID情報と関連付けて例えばハードディスク等の情報記憶媒体を備える記憶部2に格納する。
【0033】
次に、図9を参照して利用者が登録者本人か否かを判定する個人認証動作を説明する。
先ず、ステップ11においては、利用者が例えばID情報を記録したIDカード等を図示省略の読取装置に提示すると、該読取装置の出力を受けて顔画像データ生成部3が起動してカメラ7で利用者の顔画像を撮像する。この場合、利用者がカメラ7の正面に立つ(或いは座る)と、カメラ7による利用者の撮像が開始される。このとき、表示部11に利用者の画像が表示されるため、利用者は表示部11の画面を見て顔が移るように姿勢を調整できる。なお、顔検出部9で顔が検出されない場合は、表示部11により利用者に対して姿勢の調整を促す案内を表示して顔画像が正しく撮像できるようにする。
【0034】
ステップ12において、カメラ7で撮像された画像は画像データ処理部に入力される。さらに、顔検出部9では、画像入力部8の出力に基づいて入力画像から顔が検出されたか否かを判定し、顔が検出された場合には特徴量作成部10において、利用者の顔全体に対する各構成要素(目、鼻、口等)の位置関係、各構成要素の形、大きさ等に関する情報を抽出し、利用者の顔特徴量データを作成する。そして、作成された顔特徴量データは第1及び第2の類似度算定部4,5に送られる。
【0035】
ステップ13においては、上記読取装置により読み取ったID情報に基づいて、該ID情報に関連付けて予め格納された登録者の真のテンプレート及び偽のテンプレートを記憶部2から読み出して、真のテンプレートを第1の類似度算定部4に送り、偽のテンプレートを第2の類似度算定部5に送る。
【0036】
ステップ14においては、第1の類似度算定部4で上記顔特徴量データと上記真のテンプレートとに基づいて登録者本人である類似度PAを算定する。この場合、上記顔特徴量データと真のテンプレートとは、それぞれ、例えば大きさで正規化されて照合される。ここで、類似度PAの算定は、先ず、図6に示す類似度算定部4A1〜4Aallで構成要素毎に上記顔特徴量データと真のテンプレートとを照合し類似度PA1〜PAallを算定する。例えば、左右の目頭の間隔Aについて真の類似度を算定する場合には、正規化した顔特徴量データから間隔Aが図10に示すa1とa2の間にあるときには、真のテンプレートに対する類似度は“1”となり、間隔Aが(a0+ΔX)以上又は(a0−ΔX)以下のときには、真の類似度は“0”となる。また、上記間隔Aが図10に示す(a0−ΔX)とa1との間、又はa2と(a0+ΔX)との間にあるときには、同図に示す真の類似度を算定する折れ線の傾斜部における類似度から求める。例えば、間隔Aが同図に示すaXのときには、真のテンプレートに対する類似度は“0.75”と算定される。次に、最小値回路12において入力した上記各構成要素の類似度PA1〜PAallのうちから登録者本人である類似度の最小値PAを選択して出力する。
【0037】
ステップ15においては、第2の類似度算定部5で上記顔特徴量データと上記偽のテンプレートとに基づいて本人でない類似度QAを算定する。この場合、先ず、類似度算定部5A1〜5Aall,5B1〜5Ballで構成要素毎に上記顔特徴量データと第1及び第2の偽のテンプレートとを参照し、類似度QA1-1,QA1-2,QA2-1,QA2-2…QAn-1,QAn-2,QAall-1,QAall-2を算定する。例えば、左右の目頭の間隔Aについて偽の類似度を算定する場合には、正規化した顔特徴量データから間隔Aが図10に示す(a0+ΔX)以上又は(a0−ΔX)以下のときには、偽のテンプレートに対する類似度は“1”となり、a1とa2の間にあるときには、偽のテンプレートに対する類似度は“0”となる。また、上記間隔Aが図10に示す(a0−ΔX)とa1との間、又はa2と(a0+ΔX)との間にあるときには、同図に示す偽の類似度を算定する折れ線の傾斜部における類似度から求める。例えば、間隔AがaXのときには、偽のテンプレートに対する類似度は“0.25”と算定される。次に、最大値回路13A1において、入力した類似度QA1-1,QA1-2のうちから類似度の大きい方の値QA1を選択して出力する。以下同様にして、最大値回路13Anにおいて、入力した類似度QAn-1,QAn-2のうちから類似度の大きい方の値QAnを選択して出力すると共に、最大値回路13Aallにおいては入力した類似度QAall-1,QAall-2のうちから類似度の大きい方の値QAallを選択して出力する。更に、最大値回路13においては、入力した各構成要素の上記大きい方の値QA1〜QAallのうちから登録者本人でない類似度の最大値QAを選択して出力する。
【0038】
次に、ステップ16においては、ステップ14で算定した登録者本人である類似度PAとステップ15で算定した登録者本人でない類似度QAの大小をそれぞれ個別に判断する。この場合、類似度PA及び類似度QAの大小の判断は、例えば、図11に示す関数に基づいて行う。具体的には、図11に示すように類似度PA又はQAが“0.75”よりも大きいときには、“大”と判断される度合は“1”となり、“小”と判断される度合は“0”となる。また、例えば類似度PA又はQAが“0.5”のときには、“大”と判断される度合及び“小”と判断される度合は共に“0.5”となる。さらに、類似度PA又はQAが“0.25”よりも小さいときには、“大”と判断される度合は“0”となり、“小”と判断される度合は“1”となる。したがって、類似度PA及び類似度QAの大小の判断は、各類似度の値に対応する“大”と判断される度合及び“小”と判断される度合を比較して行う。
【0039】
そして、ステップ17においては、類似度PA及びQAが共に“大”であるか又は共に“小”であるか否かを判定する。ここで、“NO”判定となるとステップ18に進み、ステップ18において、更に類似度PAが“大”であり、且つ類似度QAが“小”であるか否かを判定する。ここで、“YES”判定の場合には、図12の真偽の判断例に示すようにステップ19において本人と判定し、“NO”判定の場合には、類似度PAが“小”であり、且つ類似度QAが“大”であることから、図12の判断例に示すようにステップ20において他人と判定する。
【0040】
一方、ステップ17において、“YES”判定となるとステップ21に進む。この場合、類似度PA及びQAが共に“大”のときには、真のテンプレートと偽のテンプレートとのオーバーラップが大きいか、撮像した画像データが外乱の影響を受けているためであり、この判断は、図12に示すように矛盾を意味する。また、類似度PA及びQAが共に“小”のときには、撮像した画像データが外乱の影響を受けているか、登録時に想定した登録者本人でないことを確認するための偽のテンプレートから漏れている他人であるため、図12の判断例に示すように不明を意味する。
【0041】
ステップ21においては、ステップ17の判定は、顔画像データを再取得して行った2回目の判定であったか否かを判定する。ここで、“NO”判定の場合には、ステップ11に戻って、ステップ11〜17を再度実行することになる。また、ステップ21において、“YES”判定となった場合には、ステップ11〜17を再度実行した結果、ステップ17で再び類似度PA及びQAが共に“大”であるか又は共に“小”であると判定されたものであり、この場合には顔画像データの再取得をすることなくステップ19に進んで他人と判断する。なお、ステップ21における判定回数は、2回に限られず、適宜設定してもよい。
【0042】
このように、本発明の個人認証装置によれば、登録者本人であると確認するための真のテンプレートを用いて利用者が登録者本人であるか否かを判定すると共に、登録者本人でない(他人である)と確認するための偽のテンプレートを用いて他人であるか否かを判定して個人認証をするようにしたことにより、本人拒否率の評価と同時に他人受入率の評価も行うことができる。したがって、真のテンプレートに対する類似度の閾値を甘くしても偽のテンプレートにより他人を拒絶して他人受入率を低下させることができる。これにより、従来技術におけるような真のテンプレートを用いて登録者本人か否かを判定するだけのものに比べて認識精度を向上することができる。
【0043】
さらに、本人である類似度PAが大で且つ本人でない類似度QAが大となったときには矛盾と判定し、本人である類似度PAが小で且つ本人でない類似度QAが小となったときには不明と判定して顔画像データを再取得して再判定を行うようにしたことにより、外乱等の影響による誤認判定を抑制することができる。
【0044】
なお、上記実施形態においては、登録画像データにより作成した真のテンプレートと偽のテンプレートとを記憶部2に格納する場合を例に説明してきたが、これに限らず、真のテンプレートと偽のテンプレートとを記録した情報記憶カードを使用してもよい。この場合、利用者が上記情報記憶カードを個人認識装置の図示省略の読取装置にかざすことにより、情報記憶カードの例えばID情報に基づいて予め登録された登録者か否かを判定すると同時に、該情報記憶カードに記録された真のテンプレートと偽のテンプレートとを上記装置に取りこみ、該各テンプレートと撮像した利用者の顔画像の顔特徴量データとを照合して個人を認識する。この場合、個々の個人認証装置には、ID情報等の登録者を確認する情報のみを記憶しておけばよく、上記真のテンプレート及び偽のテンプレートの作成は、別個に備えた上記情報記憶カードを発行するカード発行装置により作成して該情報記憶カードに記憶すればよい。したがって、個人認証装置は、登録者の登録画像データを取得し、該登録画像データに基づいて真のテンプレート及び偽のテンプレートを作成して記憶する手段を必要とせず、装置の構成を簡素化できる。
【0045】
また、本発明の個人認証装置において、個人認証に使用する身体的特徴は、顔に限られず、指紋や網膜等の他の身体的特徴であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明による個人認証装置の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】目について、偽のテンプレートの作成例を示す説明図である。
【図3】上唇の線について、偽のテンプレートの作成例を示す説明図である。
【図4】口の形について、偽のテンプレートの作成例を示す説明図である。
【図5】顔全体に対する構成要素の配置について、偽のテンプレートを作成する例を示す説明図である。
【図6】上記個人認証装置における第1の類似度算定部の構成を示すブロック図である。
【図7】上記個人認証装置における第2の類似度算定部の構成を示すブロック図である。
【図8】テンプレートを作成する段階を説明するフローチャートである。
【図9】個人認証方法を説明するフローチャートである。
【図10】類似度を算定する方法の一例を示す説明図である。
【図11】類似度の大及び小を判定する方法の一例を示す説明図である。
【図12】類似度から本人又は他人を判断する判断例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1…テンプレート作成部
2…記憶部
3…顔画像データ生成部(身体的特徴データ生成部)
4…第1の類似度算定部
5…第2の類似度算定部
6…判定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体的特徴を用いて個人を認証する個人認証装置に関し、特に、本人拒絶率の評価に加えて他人受入率を明示的に評価して認識精度を向上させた個人認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人の身体的特徴を用いて利用者が事前に登録された登録者本人か否かを判断する方法として、一般に、スーパーインポーズ法(例えば、非特許文献1参照)と呼ばれる方法が利用される。このスーパーインポーズ法によれば、予め登録されたテンプレートと呼ばれる参照用データと入力データが一致するか否かにより、利用者が登録者本人か否かを判断する。この場合、例えば顔認識においては、顔画像登録時と顔画像入力時とで顔の傾きが異なるときには、登録者本人であると正しく認識できないことがあり、登録時と入力時との撮像条件を一致させなければならない問題がある。これに対しては、入力される顔の表情や傾きの異なる複数のテンプレートを準備しておき、顔画像データの傾きを補正する方法もある。また、撮像条件を緩和するために、登録された顔画像データに基づいて複数の部分的な特徴を抽出し、この特徴量の類似度の程度により登録者本人か否かを判断する方法もある。しかし、上記いずれの方法によっても、類似度に対する判断の閾値を甘くすると他人を登録者本人であると誤って判断する割合(他人受入率)が増加し、逆に、閾値を厳しくすると登録者本人を本人でないと誤って判断する割合(本人拒絶率)が増加する問題がある。
【0003】
このような問題に対処するため、顔画像上に複数の基準点を設定し、基準点を対応する偏移量で偏移させて画像を変形させ、偏移量を組替え操作により変更することにより、顔の表情や向きが変化しても識別率を低下させず、また、目や口の位置を誤検出しても識別率の低下が少なくなることを期待した個人認証装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【非特許文献1】Austin Smith,D and Maples,W.R,J.Forensic Sci.,39,1994
【特許文献1】特開2000−113197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような従来の個人認証装置においては、登録者本人の様々なテンプレートを利用することにより、閾値を厳しくしても本人拒絶率の増加が抑制され、且つ他人受入率が減少することを期待するものであるが、いずれも登録者本人を定義つける真のテンプレートを用いて登録者本人か否かを判定するだけものであって、他人を定義付ける偽のテンプレートも用いて登録者本人ではなく他人であるとの判定も行おうとするものではない。したがって、上記従来の個人認証装置においては、他人受入率の減少を確認することは困難である。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に着目してなされたもので、本人拒絶率の評価に加えて他人受入率を明示的に評価して認識精度を向上させた個人認証装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このために、請求項1の発明は、身体的特徴を用いて個人を認証する個人認証装置であって、前記身体的特徴について、事前に登録された登録者本人であることを確認するために予め生成した真のテンプレート及び登録者本人でないことを確認するために予め生成した偽のテンプレートと、取得した利用者の身体的特徴データとを照合してそれぞれ類似度を算定し、両方の類似度に基づいて前記利用者が前記登録者本人か否かを判定する構成とした。
【0007】
このような構成により、身体的特徴について事前に登録された登録者本人であること確認するための真のテンプレートと登録者本人でないことを確認するための偽のテンプレートとを予め作成し、該各テンプレートと利用者から取得した身体的特徴データとを照合してそれぞれ類似度を算定し、両方の類似度に基づいて利用者が登録者本人か否かを判定する。
【0008】
この場合、前記偽のテンプレートは、請求項2のように前記真のテンプレートを加工して生成するとよい。
【0009】
請求項3の構成の場合には、前記登録者本人か否かの判定は、前記真のテンプレートを用いて算定した登録者本人である類似度と、前記偽のテンプレートを用いて算定した登録者本人でない類似度とに基づいて行い、登録者本人である類似度が大きく、且つ登録者本人でない類似度が小さいときに本人と判定し、登録者本人である類似度が小さく、且つ登録者本人でない類似度が大きいときに他人と判定する構成とした。この場合、請求項4のように、登録者本人である類似度及び登録者本人でない類似度の双方が大きいとき、又は登録者本人である類似度及び登録者本人でない類似度の双方が小さいときには、前記身体的特徴データの再取得を行って再判定し、登録者本人であると確定できないときには他人と判定する構成とするとよい。
【0010】
また、請求項5の構成においては、前記身体的特徴は顔であり、前記真のテンプレートは、顔の各構成要素及び顔全体に対する各構成要素の配置の少なくとも一方について作成されたものであり、前記登録者本人である類似度は、前記顔の各構成要素及び顔全体に対する各構成要素の配置の少なくとも一方に関する身体的特徴データと該身体的特徴データに対応する真のテンプレートとの類似度を求め、その最小値により算定する構成とした。この場合、請求項6のように、前記偽のテンプレートは、顔の各構成要素及び顔全体に対する各構成要素の配置の少なくとも一方について作成されたものであり、前記登録者本人でない類似度は、前記顔の各構成要素及び顔全体に対する各構成要素の配置の少なくとも一方に関する身体的特徴データと該身体的特徴データに対応する偽のテンプレートとの類似度を求め、その最大値により算定する構成とするとよい。
【0011】
本発明の個人認証装置は、具体的には請求項7のように、身体的特徴を登録するために予め取得した登録者の画像データから前記真のテンプレート及び前記偽のテンプレートを作成するテンプレート作成部と、前記真のテンプレート及び偽のテンプレートを記憶する記憶部と、利用者の前記身体的特徴データを取得する身体的特徴データ生成部と、前記記憶部から読み出した前記真のテンプレートと前記身体的特徴データ生成部から入力した前記身体的特徴データとを照合して前記利用者が前記登録者本人である類似度を算定する第1の類似度算定部と、前記記憶部から読み出した前記偽のテンプレートと前記身体的特徴データ生成部から入力した前記身体的特徴データとを照合して前記利用者が前記登録者本人でない類似度を算定する第2の類似度算定部と、前記両方の類似度に基づいて前記利用者が前記登録者本人であるか否かを判定する判定部とを備えて構成とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明の個人認証装置によれば、登録者本人であると確認するための真のテンプレートを用いて利用者が登録者本人であるか否かを判定すると共に、登録者本人でないと確認するための偽のテンプレートを用いて他人であるか否かの判定を行って個人認証をするようにしたことにより、本人拒絶率の評価と他人受入率の評価の両方を行うことができる。したがって、真のテンプレートに対する類似度の閾値を甘くしても他人受入率を低下させることができ、従来技術におけるような真のテンプレートを用いて登録者本人か否かを判定するだけのものに比べて認識精度を向上することができる。
【0013】
また、偽のテンプレートを、真のテンプレートを加工して生成するようにすれば、登録者本人以外の他人の身体的特徴データを容易に作成することができる。
【0014】
さらに、登録者本人か否かの判定の結果、登録者本人である類似度及び登録者本人でない類似度の双方が大きいとき、又は登録者本人である類似度及び登録者本人でない類似度の双方が小さいときには、身体的特徴データの再取得を行って再判定するようにすれば、1回目の判定で登録者本人か他人かの判断ができない場合にも再判定して登録者本人か否かを判断することができ、外乱等の影響による誤認判定を抑制することができる。従って、認識精度をより向上することができる。この場合、再判定の結果、登録者本人であると確定できないときには他人と判定するようにすれば、他人受入率をより減少することができる。
【0015】
また、身体的特徴を顔とし、登録者本人である類似度を、少なくとも顔の各構成要素又は顔全体に対する各構成要素の配置のいずれかについてそれぞれ作成した真のテンプレートと顔の各構成要素又は顔全体に対する各構成要素の配置に関する身体的特徴データとの類似度を求めてその最小値により算定し、該類似度を用いて登録者本人か否かを判定するようにすれば、該類似度に基づいて登録者本人と判定されたときの本人である確度はより高くなる。
【0016】
そして、登録者本人でない類似度を、少なくとも顔の各構成要素又は顔全体に対する各構成要素の配置のいずれかについてそれぞれ作成した偽のテンプレートと顔の各構成要素又は顔全体に対する各構成要素の配置に関する身体的特徴データとの類似度を求めてその最大値により算定し、該類似度を用いて登録者本人か否かを判定するようにすれば、該類似度に基づいて登録者本人でない(他人)と判定されたときの他人である確度はより高くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1に、本発明に係る個人認証装置の実施形態のブロック図を示す。
図1において、本実施形態の個人認証装置は、身体的特徴を用いて個人を認証するものであり、テンプレート作成部1と、記憶部2と、身体的特徴データ生成部としての顔画像データ生成部3と、第1の類似度算定部4と、第2の類似度算定部5と、判定部6とを備えて構成する。以下、身体的特徴として顔を用いた例を説明する。
【0018】
テンプレート作成部1は、顔の情報を登録するために予め取得した登録者本人の画像データから登録者本人であることを確認するための真のテンプレート及び登録者本人でないことを確認するための偽のテンプレートを作成するものであり、例えば顔の各構成要素の形や傾き等或は顔全体に対する各構成要素の配置関係等について数値化した複数のテンプレートを作成する。なお、本実施形態においては、構成要素毎に2種類の偽のテンプレートを備えた場合について説明する。
【0019】
ここで、上記偽のテンプレートは、上記真のテンプレートを加工して作成する。例えば、目の偽のテンプレートは、目の真のテンプレートが図2(b)に示すように目尻と目頭を結ぶ線が水平であるときには、同図(a)に示すように例えば目尻をhだけ上げた偽のテンプレートと、同図(c)に示すように目尻をhだけ下げた偽のテンプレートとを作成する。また、上唇の線については、真のテンプレートが図3(b)に示すように三角状切込みdが中程度のときには同図(a)に示すように切込みdの深い偽のテンプレートと、同図(c)に示しように切込みdの浅い偽のテンプレートとを作成する。さらに、口の形については、真のテンプレートが図4(b)に示すように直線状のときには、同図(a)に示すように口の両端を下げた凸型の偽のテンプレートと、同図(c)に示すように口の両端を上げた凹型の偽のテンプレートとを作成する。そして、顔全体に対する各構成要素の相対位置については、図5に示しように真のテンプレートの、例えば左右の目頭の間隔A、鼻と目の間隔α、鼻と口の間隔β等をそれぞれΔX広げた偽のテンプレートと、ΔX狭めた偽のテンプレートとを作成する。なお、図5の場合、全体的には顔の各構成要素について登録者本人の特徴を保持しながら、上記間隔Aに変化を加えて偽のテンプレートを作成するものである。以下、各構成要素及び顔全体についての上記2種類の偽のテンプレートを第1及び第2の偽のテンプレートと記載する。
【0020】
記憶部2は、上記テンプレート作成部1において作成された真のテンプレートと偽のテンプレートとを登録者毎に分類して記憶するものであり、登録者に認められたアクセス権に関する登録情報(例えば、ID情報)を含んだ個人登録情報が予め記憶された例えば情報記憶媒体を備える。
【0021】
顔画像データ生成部3は、例えば、利用者の顔画像を撮像するカメラ7と、カメラ7で撮像された画像を取り込む画像入力部8と、画像入力部8に取り込まれた顔画像を基に利用者の顔に対応する画像部分を検出する顔検出部9と、顔検出部9によって検出された顔画像を基に利用者の顔特徴量データを作成し、作成したデータを第1及び第2の類似度算定部4,5に送る特徴量作成部10とを有する。
【0022】
カメラ7は、予め設定された撮像領域を有し、利用者の顔を撮像することが可能な撮像装置であって、撮像した画像を画像入力部8及び表示部11にそれぞれ出力する。このカメラ7の撮像領域としては、画角を狭くし利用者の顔が大きく撮れるようにして正確な認証処理が可能になるように設計した固定の領域が設定される。尚、カメラ7は、固定された撮像領域内を適切に撮像するための機能(例えば、オートフォーカス等)を備えていてもよい。
【0023】
画像入力部8は、カメラ7から送られてくる画像データを一時的に蓄積して顔検出部9に出力する。顔検出部9は、画像入力部8の画像データを用いて、カメラ7の撮像領域内に利用者の顔に対応する画像部分が存在するか否かを周知の画像処理技術を用いて判断する。利用者の顔に対応する画像部分が存在する場合には、その顔画像を特徴量作成部10に送る。
【0024】
特徴量作成部10は、顔検出部9を介して送られてくる顔画像を用いて、テンプレートに対応する利用者の顔全体に対する各構成要素(目、鼻、口等)の位置関係、各構成要素の形、大きさ等に関する情報を抽出し、利用者の顔特徴量データとして第1及び第2の類似度算定部4,5に出力する。
【0025】
第1の類似度算定部4は、利用者が提示した例えばIDカードからID情報を図示省略の読取装置により読み取り、該ID情報に対応する登録者の顔画像に関する真のテンプレートを記憶部2から読み出して顔画像データ生成部3から入力した利用者の顔特徴量データと照合し、登録者本人である類似度を算定するものであり、図6に示すように、各構成要素及び顔全体に関する各真のテンプレートに対する類似度PA1,PA2…PAn,PAallを算定する類似度算定部4A1,4A2〜4An,4Aallと、類似度PA1,PA2…PAn,PAallのうち、最小の類似度PAのみを選択して出力する最小値回路12とを備えている。
【0026】
第2の類似度算定部5は、上記ID情報に対応する登録者の顔画像に関する偽のテンプレートを記憶部2から読み出して顔画像データ生成部3から入力した利用者の顔特徴量データと照合し、登録者本人でない類似度を算定するものであり、図7に示すように、各構成要素及び顔全体についてそれぞれ第1の偽のテンプレートに対する類似度QA1-1…QAn-1,QAall-1を算定する類似度算定部5A1〜5An,5Aallと、第2の偽のテンプレートに対する類似度QA1-2…QAn-2,QAall-2を算定する類似度算定部5B1〜5Bn,5Ballと、上記類似度QA1-1とQA1-2,…QAn-1とQAn-2,QAall-1とQAall-2のうち大きい方の類似度QA1〜QAallを選択して出力する最大値回路13A1〜13Aallと、各最大値回路13A1〜13Aallから出力する類似度QA1〜QAallのうち更にその最大の類似度QAのみを選択して出力する最大値回路13Bとを備えている。
【0027】
判定部6は、第1の類似度算定部4から入力した登録者本人である類似度PAと第2の類似度算定部5から入力した登録者本人でない類似度QAとに基づいて登録者本人か否かを判定するものであり、登録者本人である類似度PAが大きく、且つ登録者本人でない類似度QAが小さいときに利用者を登録者本人と判定し、登録者本人である類似度PAが小さく、且つ登録者本人でない類似度QAが大きいときに利用者を登録者本人でないと判定するようになっている。なお、登録者本人である類似度PA及び登録者本人でない類似度QAの双方が大きいとき、又は登録者本人である類似度PA及び登録者本人でない類似度QAの双方が小さいときには、判定部6は、顔画像データ生成部3に対して顔画像データの再取得を行わせて再判定をする。その結果、登録者本人であると確定できないときには他人と判定する。
【0028】
次に、本発明に係る個人認証装置の動作を、図8及び図9を参照して説明する。
先ず、図8を参照してテンプレートを作成する段階を説明する。
上記個人認証装置を備えてセキュリティー保護された領域にアクセスしようとする者は、アクセス権に関する例えば、ID情報を含んだ個人登録情報を事前に登録しておく必要がある。
【0029】
この場合、ステップ1(図8中S1で示し、以下同様とする)において、登録者本人の顔に関する情報として例えば顔特徴量データを登録するために図示省略のカメラで撮像して顔の登録画像データを取得する。
【0030】
次に、ステップ2においては、ステップ1で取得した顔の登録画像データを基に顔を例えば目、鼻、口等の各構成要素に分解し、構成要素毎に登録者本人である類似度を確認するための真のテンプレートを作成する。同時に、各構成要素の顔全体に対する相対位置についての真のテンプレートを作成する。
【0031】
ステップ3においては、ステップ2で作成した真のテンプレートを基に、それぞれ変形を加えて登録者本人でないことを確認するための第1及び第2の偽のテンプレートを作成する。例えば、目の偽のテンプレートとしては、図2(a)に示すような第1の偽のテンプレートと、同図(c)に示すような第2の偽のテンプレートとを作成する。また、上唇の線の偽のテンプレートとしては、図3(a)に示すような第1の偽のテンプレートと、同図(c)に示しような第2の偽のテンプレートとを作成する。さらに、口の形の偽のテンプレートとしては、図4(a)に示すような第1の偽のテンプレートと、同図(c)に示すような第2の偽のテンプレートとを作成する。そして、顔全体に対する各構成要素の相対位置の偽のテンプレートとしては、図5に示しように左右の目頭の間隔A、鼻と目の間隔α、鼻と口の間隔β等についてそれぞれΔX広げた第1の偽のテンプレートと、ΔX狭めた第2の偽のテンプレートとを作成する。
【0032】
そして、ステップ4においては、上記真のテンプレートと偽のテンプレートとを登録者の例えばID情報と関連付けて例えばハードディスク等の情報記憶媒体を備える記憶部2に格納する。
【0033】
次に、図9を参照して利用者が登録者本人か否かを判定する個人認証動作を説明する。
先ず、ステップ11においては、利用者が例えばID情報を記録したIDカード等を図示省略の読取装置に提示すると、該読取装置の出力を受けて顔画像データ生成部3が起動してカメラ7で利用者の顔画像を撮像する。この場合、利用者がカメラ7の正面に立つ(或いは座る)と、カメラ7による利用者の撮像が開始される。このとき、表示部11に利用者の画像が表示されるため、利用者は表示部11の画面を見て顔が移るように姿勢を調整できる。なお、顔検出部9で顔が検出されない場合は、表示部11により利用者に対して姿勢の調整を促す案内を表示して顔画像が正しく撮像できるようにする。
【0034】
ステップ12において、カメラ7で撮像された画像は画像データ処理部に入力される。さらに、顔検出部9では、画像入力部8の出力に基づいて入力画像から顔が検出されたか否かを判定し、顔が検出された場合には特徴量作成部10において、利用者の顔全体に対する各構成要素(目、鼻、口等)の位置関係、各構成要素の形、大きさ等に関する情報を抽出し、利用者の顔特徴量データを作成する。そして、作成された顔特徴量データは第1及び第2の類似度算定部4,5に送られる。
【0035】
ステップ13においては、上記読取装置により読み取ったID情報に基づいて、該ID情報に関連付けて予め格納された登録者の真のテンプレート及び偽のテンプレートを記憶部2から読み出して、真のテンプレートを第1の類似度算定部4に送り、偽のテンプレートを第2の類似度算定部5に送る。
【0036】
ステップ14においては、第1の類似度算定部4で上記顔特徴量データと上記真のテンプレートとに基づいて登録者本人である類似度PAを算定する。この場合、上記顔特徴量データと真のテンプレートとは、それぞれ、例えば大きさで正規化されて照合される。ここで、類似度PAの算定は、先ず、図6に示す類似度算定部4A1〜4Aallで構成要素毎に上記顔特徴量データと真のテンプレートとを照合し類似度PA1〜PAallを算定する。例えば、左右の目頭の間隔Aについて真の類似度を算定する場合には、正規化した顔特徴量データから間隔Aが図10に示すa1とa2の間にあるときには、真のテンプレートに対する類似度は“1”となり、間隔Aが(a0+ΔX)以上又は(a0−ΔX)以下のときには、真の類似度は“0”となる。また、上記間隔Aが図10に示す(a0−ΔX)とa1との間、又はa2と(a0+ΔX)との間にあるときには、同図に示す真の類似度を算定する折れ線の傾斜部における類似度から求める。例えば、間隔Aが同図に示すaXのときには、真のテンプレートに対する類似度は“0.75”と算定される。次に、最小値回路12において入力した上記各構成要素の類似度PA1〜PAallのうちから登録者本人である類似度の最小値PAを選択して出力する。
【0037】
ステップ15においては、第2の類似度算定部5で上記顔特徴量データと上記偽のテンプレートとに基づいて本人でない類似度QAを算定する。この場合、先ず、類似度算定部5A1〜5Aall,5B1〜5Ballで構成要素毎に上記顔特徴量データと第1及び第2の偽のテンプレートとを参照し、類似度QA1-1,QA1-2,QA2-1,QA2-2…QAn-1,QAn-2,QAall-1,QAall-2を算定する。例えば、左右の目頭の間隔Aについて偽の類似度を算定する場合には、正規化した顔特徴量データから間隔Aが図10に示す(a0+ΔX)以上又は(a0−ΔX)以下のときには、偽のテンプレートに対する類似度は“1”となり、a1とa2の間にあるときには、偽のテンプレートに対する類似度は“0”となる。また、上記間隔Aが図10に示す(a0−ΔX)とa1との間、又はa2と(a0+ΔX)との間にあるときには、同図に示す偽の類似度を算定する折れ線の傾斜部における類似度から求める。例えば、間隔AがaXのときには、偽のテンプレートに対する類似度は“0.25”と算定される。次に、最大値回路13A1において、入力した類似度QA1-1,QA1-2のうちから類似度の大きい方の値QA1を選択して出力する。以下同様にして、最大値回路13Anにおいて、入力した類似度QAn-1,QAn-2のうちから類似度の大きい方の値QAnを選択して出力すると共に、最大値回路13Aallにおいては入力した類似度QAall-1,QAall-2のうちから類似度の大きい方の値QAallを選択して出力する。更に、最大値回路13においては、入力した各構成要素の上記大きい方の値QA1〜QAallのうちから登録者本人でない類似度の最大値QAを選択して出力する。
【0038】
次に、ステップ16においては、ステップ14で算定した登録者本人である類似度PAとステップ15で算定した登録者本人でない類似度QAの大小をそれぞれ個別に判断する。この場合、類似度PA及び類似度QAの大小の判断は、例えば、図11に示す関数に基づいて行う。具体的には、図11に示すように類似度PA又はQAが“0.75”よりも大きいときには、“大”と判断される度合は“1”となり、“小”と判断される度合は“0”となる。また、例えば類似度PA又はQAが“0.5”のときには、“大”と判断される度合及び“小”と判断される度合は共に“0.5”となる。さらに、類似度PA又はQAが“0.25”よりも小さいときには、“大”と判断される度合は“0”となり、“小”と判断される度合は“1”となる。したがって、類似度PA及び類似度QAの大小の判断は、各類似度の値に対応する“大”と判断される度合及び“小”と判断される度合を比較して行う。
【0039】
そして、ステップ17においては、類似度PA及びQAが共に“大”であるか又は共に“小”であるか否かを判定する。ここで、“NO”判定となるとステップ18に進み、ステップ18において、更に類似度PAが“大”であり、且つ類似度QAが“小”であるか否かを判定する。ここで、“YES”判定の場合には、図12の真偽の判断例に示すようにステップ19において本人と判定し、“NO”判定の場合には、類似度PAが“小”であり、且つ類似度QAが“大”であることから、図12の判断例に示すようにステップ20において他人と判定する。
【0040】
一方、ステップ17において、“YES”判定となるとステップ21に進む。この場合、類似度PA及びQAが共に“大”のときには、真のテンプレートと偽のテンプレートとのオーバーラップが大きいか、撮像した画像データが外乱の影響を受けているためであり、この判断は、図12に示すように矛盾を意味する。また、類似度PA及びQAが共に“小”のときには、撮像した画像データが外乱の影響を受けているか、登録時に想定した登録者本人でないことを確認するための偽のテンプレートから漏れている他人であるため、図12の判断例に示すように不明を意味する。
【0041】
ステップ21においては、ステップ17の判定は、顔画像データを再取得して行った2回目の判定であったか否かを判定する。ここで、“NO”判定の場合には、ステップ11に戻って、ステップ11〜17を再度実行することになる。また、ステップ21において、“YES”判定となった場合には、ステップ11〜17を再度実行した結果、ステップ17で再び類似度PA及びQAが共に“大”であるか又は共に“小”であると判定されたものであり、この場合には顔画像データの再取得をすることなくステップ19に進んで他人と判断する。なお、ステップ21における判定回数は、2回に限られず、適宜設定してもよい。
【0042】
このように、本発明の個人認証装置によれば、登録者本人であると確認するための真のテンプレートを用いて利用者が登録者本人であるか否かを判定すると共に、登録者本人でない(他人である)と確認するための偽のテンプレートを用いて他人であるか否かを判定して個人認証をするようにしたことにより、本人拒否率の評価と同時に他人受入率の評価も行うことができる。したがって、真のテンプレートに対する類似度の閾値を甘くしても偽のテンプレートにより他人を拒絶して他人受入率を低下させることができる。これにより、従来技術におけるような真のテンプレートを用いて登録者本人か否かを判定するだけのものに比べて認識精度を向上することができる。
【0043】
さらに、本人である類似度PAが大で且つ本人でない類似度QAが大となったときには矛盾と判定し、本人である類似度PAが小で且つ本人でない類似度QAが小となったときには不明と判定して顔画像データを再取得して再判定を行うようにしたことにより、外乱等の影響による誤認判定を抑制することができる。
【0044】
なお、上記実施形態においては、登録画像データにより作成した真のテンプレートと偽のテンプレートとを記憶部2に格納する場合を例に説明してきたが、これに限らず、真のテンプレートと偽のテンプレートとを記録した情報記憶カードを使用してもよい。この場合、利用者が上記情報記憶カードを個人認識装置の図示省略の読取装置にかざすことにより、情報記憶カードの例えばID情報に基づいて予め登録された登録者か否かを判定すると同時に、該情報記憶カードに記録された真のテンプレートと偽のテンプレートとを上記装置に取りこみ、該各テンプレートと撮像した利用者の顔画像の顔特徴量データとを照合して個人を認識する。この場合、個々の個人認証装置には、ID情報等の登録者を確認する情報のみを記憶しておけばよく、上記真のテンプレート及び偽のテンプレートの作成は、別個に備えた上記情報記憶カードを発行するカード発行装置により作成して該情報記憶カードに記憶すればよい。したがって、個人認証装置は、登録者の登録画像データを取得し、該登録画像データに基づいて真のテンプレート及び偽のテンプレートを作成して記憶する手段を必要とせず、装置の構成を簡素化できる。
【0045】
また、本発明の個人認証装置において、個人認証に使用する身体的特徴は、顔に限られず、指紋や網膜等の他の身体的特徴であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明による個人認証装置の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】目について、偽のテンプレートの作成例を示す説明図である。
【図3】上唇の線について、偽のテンプレートの作成例を示す説明図である。
【図4】口の形について、偽のテンプレートの作成例を示す説明図である。
【図5】顔全体に対する構成要素の配置について、偽のテンプレートを作成する例を示す説明図である。
【図6】上記個人認証装置における第1の類似度算定部の構成を示すブロック図である。
【図7】上記個人認証装置における第2の類似度算定部の構成を示すブロック図である。
【図8】テンプレートを作成する段階を説明するフローチャートである。
【図9】個人認証方法を説明するフローチャートである。
【図10】類似度を算定する方法の一例を示す説明図である。
【図11】類似度の大及び小を判定する方法の一例を示す説明図である。
【図12】類似度から本人又は他人を判断する判断例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1…テンプレート作成部
2…記憶部
3…顔画像データ生成部(身体的特徴データ生成部)
4…第1の類似度算定部
5…第2の類似度算定部
6…判定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体的特徴を用いて個人を認証する個人認証装置であって、
前記身体的特徴について、事前に登録された登録者本人であることを確認するために予め生成した真のテンプレート及び登録者本人でないことを確認するために予め生成した偽のテンプレートと、取得した利用者の身体的特徴データとを照合してそれぞれ類似度を算定し、両方の類似度に基づいて前記利用者が前記登録者本人か否かを判定する構成としたことを特徴とする個人認証装置。
【請求項2】
前記偽のテンプレートは、前記真のテンプレートを加工して生成することを特徴とする請求項1に記載の個人認証装置。
【請求項3】
前記登録者本人か否かの判定は、前記真のテンプレートを用いて算定した登録者本人である類似度と、前記偽のテンプレートを用いて算定した登録者本人でない類似度とに基づいて行い、登録者本人である類似度が大きく、且つ登録者本人でない類似度が小さいときに本人と判定し、登録者本人である類似度が小さく、且つ登録者本人でない類似度が大きいときに他人と判定する構成としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の個人認証装置。
【請求項4】
登録者本人である類似度及び登録者本人でない類似度の双方が大きいとき、又は登録者本人である類似度及び登録者本人でない類似度の双方が小さいときには、前記身体的特徴データの再取得を行って再判定し、登録者本人であると確定できないときには他人と判定する構成としたことを特徴とする請求項3に記載の個人認証装置。
【請求項5】
前記身体的特徴は顔であり、前記真のテンプレートは、顔の各構成要素及び顔全体に対する各構成要素の配置の少なくとも一方について作成されたものであり、前記登録者本人である類似度は、前記顔の各構成要素及び顔全体に対する各構成要素の配置の少なくとも一方に関する身体的特徴データと該身体的特徴データに対応する真のテンプレートとの類似度を求め、その最小値により算定する構成としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の個人認証装置。
【請求項6】
前記偽のテンプレートは、顔の各構成要素及び顔全体に対する各構成要素の配置の少なくとも一方についてそれぞれ作成されたものであり、前記登録者本人でない類似度は、前記顔の各構成要素及び顔全体に対する各構成要素の配置の少なくとも一方に関する身体的特徴データと該身体的特徴データに対応する偽のテンプレートとの類似度を求め、その最大値により算定する構成としたことを特徴とする請求項5に記載の個人認証装置。
【請求項7】
身体的特徴を登録するために予め取得した登録者の画像データから前記真のテンプレート及び前記偽のテンプレートを作成するテンプレート作成部と、
前記真のテンプレート及び偽のテンプレートを記憶する記憶部と、
利用者の前記身体的特徴データを取得する身体的特徴データ生成部と、
前記記憶部から読み出した前記真のテンプレートと前記身体的特徴データ生成部から入力した前記身体的特徴データとを照合して前記利用者が前記登録者本人である類似度を算定する第1の類似度算定部と、
前記記憶部から読み出した前記偽のテンプレートと前記身体的特徴データ生成部から入力した前記身体的特徴データとを照合して前記利用者が前記登録者本人でない類似度を算定する第2の類似度算定部と、
前記両方の類似度に基づいて前記利用者が前記登録者本人であるか否かを判定する判定部と、
を備えて構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の個人認証装置。
【請求項1】
身体的特徴を用いて個人を認証する個人認証装置であって、
前記身体的特徴について、事前に登録された登録者本人であることを確認するために予め生成した真のテンプレート及び登録者本人でないことを確認するために予め生成した偽のテンプレートと、取得した利用者の身体的特徴データとを照合してそれぞれ類似度を算定し、両方の類似度に基づいて前記利用者が前記登録者本人か否かを判定する構成としたことを特徴とする個人認証装置。
【請求項2】
前記偽のテンプレートは、前記真のテンプレートを加工して生成することを特徴とする請求項1に記載の個人認証装置。
【請求項3】
前記登録者本人か否かの判定は、前記真のテンプレートを用いて算定した登録者本人である類似度と、前記偽のテンプレートを用いて算定した登録者本人でない類似度とに基づいて行い、登録者本人である類似度が大きく、且つ登録者本人でない類似度が小さいときに本人と判定し、登録者本人である類似度が小さく、且つ登録者本人でない類似度が大きいときに他人と判定する構成としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の個人認証装置。
【請求項4】
登録者本人である類似度及び登録者本人でない類似度の双方が大きいとき、又は登録者本人である類似度及び登録者本人でない類似度の双方が小さいときには、前記身体的特徴データの再取得を行って再判定し、登録者本人であると確定できないときには他人と判定する構成としたことを特徴とする請求項3に記載の個人認証装置。
【請求項5】
前記身体的特徴は顔であり、前記真のテンプレートは、顔の各構成要素及び顔全体に対する各構成要素の配置の少なくとも一方について作成されたものであり、前記登録者本人である類似度は、前記顔の各構成要素及び顔全体に対する各構成要素の配置の少なくとも一方に関する身体的特徴データと該身体的特徴データに対応する真のテンプレートとの類似度を求め、その最小値により算定する構成としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の個人認証装置。
【請求項6】
前記偽のテンプレートは、顔の各構成要素及び顔全体に対する各構成要素の配置の少なくとも一方についてそれぞれ作成されたものであり、前記登録者本人でない類似度は、前記顔の各構成要素及び顔全体に対する各構成要素の配置の少なくとも一方に関する身体的特徴データと該身体的特徴データに対応する偽のテンプレートとの類似度を求め、その最大値により算定する構成としたことを特徴とする請求項5に記載の個人認証装置。
【請求項7】
身体的特徴を登録するために予め取得した登録者の画像データから前記真のテンプレート及び前記偽のテンプレートを作成するテンプレート作成部と、
前記真のテンプレート及び偽のテンプレートを記憶する記憶部と、
利用者の前記身体的特徴データを取得する身体的特徴データ生成部と、
前記記憶部から読み出した前記真のテンプレートと前記身体的特徴データ生成部から入力した前記身体的特徴データとを照合して前記利用者が前記登録者本人である類似度を算定する第1の類似度算定部と、
前記記憶部から読み出した前記偽のテンプレートと前記身体的特徴データ生成部から入力した前記身体的特徴データとを照合して前記利用者が前記登録者本人でない類似度を算定する第2の類似度算定部と、
前記両方の類似度に基づいて前記利用者が前記登録者本人であるか否かを判定する判定部と、
を備えて構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の個人認証装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−18578(P2006−18578A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195628(P2004−195628)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】
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