説明

個体識別処理方法

【課題】
個体に貼付された電子タグからIDを確実に読み取ろうとする場合、複数の電子タグを貼付することが考えられる。しかし、本技術では、無駄な読取り動作を行うことが発生するとの課題があった。
【解決手段】
そこで、本発明では、まず、個体に複数の電子タグを貼付しておく。その上で、電子タグからの読取りが成功した場合、他の電子タグの読み取りを、次の個体がコンベア上を流れてくるまで抑止するものである。より詳細には、まず、前提として、電子タグのそれぞれには、互いに異なるIDが格納されている(電子タグ製造時にROMとして記録される)。その上で、貼付位置を読取り順序に対応させて、IDと対応付けて記憶しておく。そして、読み取ったIDについて、読取り順序(貼付位置)の早い順として記録されたデータ(ID)と突合せ処理を行う。なお、読取り順序とは、個体をコンベアにおいた場合に、その流れる方向から読み取られる(であろう)順序を示すものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子タグを用いて個体識別を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動認識技術(個体識別)として、電子タグを用いた技術が注目されている。例えば、特許文献1では、物品移動空間を移動する管理対象物品に設けられている電子タグに記録されている情報を、リーダアンテナ装置のリーダアンテナでもって、安定して状態で読み取ることができるコンベア装置についての開示がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-67497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1により業務効率化、オートメーション化が見込めるが、実際には読み取り場所の環境(周りに金属や水分があり電波の反射等)や電子タグ自体の認識率の問題(通信距離、被付着対象の材質により読み取り率が著しく悪化するケースがある。また、現在、無駄な電波出力や電力使用は極力抑えるなどの環境問題などが社会背景としてあり、具体的な「個体の認識率の向上」及び「環境への配慮」が同時に求められている。
【0005】
読み取りを確実に行うためには、複数の電子タグを個体に添付しておき、1つ(もしくは複数の)電子タグのIDについて読取りエラーが発生しても、いずれかの電子タグのIDで読取りできることにする技術が考えられる。しかし、この技術では、本来読み取りできた後には、他の電子タグについては、その読取り動作が不要になるにも係わらず、それを行う必要がある。つまり、無駄な読取り動作=無駄な電波出力が発生してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明では、以下の構成を採用した。まず、個体に複数の電子タグを貼付しておく。その上で、電子タグからの読取りが成功した場合、他の電子タグの読み取りを、次の個体がコンベア上を流れてくるまで抑止するものである。
【0007】
また、本発明の他の態様として、以下のものも含まれる。まず、前提として、電子タグのそれぞれには、互いに異なるIDが格納されている(電子タグ製造時にROMとして記録される)。その上で、貼付位置を読取り順序に対応させて、IDと対応付けて記憶しておく。そして、読み取ったIDについて、読取り順序(貼付位置)の早い順として記録されたデータ(ID)と突合せ処理を行う。なお、読取り順序とは、個体をコンベアにおいた場合に、その流れる方向から読み取られる(であろう)順序を示すものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、より確実な電子タグの読み取りを、無駄な読取り動作を抑止しつつ可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態のシステム概要図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるデータベースの内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態では、ベルトコンベア00002上に流れる個体00001を電子タグ001〜004とリーダライタ0003及びリーダアンテナ01〜04を用いて識別することを前提とする。また、リーダライタ0003にはリーダアンテナ01〜04が接続されており、リーダライタ0003はリーダアンテナ01〜04を電波出力のタイミングといったような制御をする。さらに、リーダライタ00003はPC00004に接続されておりリーダライタ00003を制御する。本システムにおいては、個体00001の読み取り認識率向上と同時にその際に効率的なリーダライタの制御、アンテナの制御、及びデータベースを検索する処理を含めて、データベース処理の検索として一度認識した固体の電子タグ001〜004が格納されたテーブルの重複読み込みを抑止するよう制御することで、効率的な処理を行う。その詳細を以下に示す。
【0011】
まず、ベルトコンベア00002を個体00001が一つずつ次々に流れてくる。ベルトコンベア00002の進行方向は図1に示すとおりである。また、ベルトコンベア00002には、図1に示されるように両側及び前後に複数のリーダライタアンテナ01〜04が設置されている。
【0012】
そして、該当個体00001に格納IDが異なる電子タグが複数個(本例では001〜004の4つ)付着されており、電子タグ001〜004の図1及び図2.に示される付着箇所(全面、上部、後部等)、及びコンベアの進行方向側から後方側にかけて想定される読み取り順番がデータベースに格納されている。この場合、想定される読み取り順序は、関しては図2に示すとおりの順序となる。このため、個体(特に箱)を決められた方向に、コンテナ上で設置することが望ましい。
【0013】
また、リーダアンテナ01〜04が接続されたリーダライタ00003がPC00004に接続されており、該当PC00004が前記リーダライタ01〜04を制御(電波出力タイミングのインターバルなど)を行う。その内容は、下記のとおりである。
【0014】
該当個体00001に、格納IDが異なる電子タグ001〜004を複数個貼付する。この場合、格納IDは、それぞれ異なることが望ましいが、同一としても構わない。また、それぞれ異なるようにするために、電子タグの製造段階で書き込むROM型のものを用いることが好適である。
【0015】
このような電子タグが貼付された個体00001がコンベア00002上を流れてくると、リーダアンテナ01〜04が、個体00001に付着した最初に電子タグを読み込んだタイミング(例えば今回001を想定)で、図2.に示されるデータ格納データベースに電子タグ格納IDを問合せ(突合せ)し、該当個体が何か(図2.でいうところの製品名A:洗濯機、B:テレビ、C:扇風機、D:冷蔵庫のいずれか)を、図2.に示される想定される読み取り順番を優先に判定(データベース00005に該当IDが格納されているか否か、格納されているとすればそのIDはどの製品(A〜D)なのか、及び該当IDの貼り付け位置は図2.の1〜4(1.正面、2.上、3.下、4.後ろのいずれか)との突合せ)を行う(製品名A〜Dのいずれなのかの判定)。
【0016】
例えば、本実施形態の例の場合はリーダアンテナ01が読み取った電子タグ001としてリーダアンテナ01が接続されたリーダライタ00003を制御するPC00004が、ベルトコンベア00002上を流れる製品が図2.のデータベースより製品名A:洗濯機と判定する。
【0017】
その後にリーダライタアンテナ02〜04が接続されたリーダライタ00003が接続されたPC00004が該当個体00001に付着した電子タグ002〜003の格納IDを読み込んでもデータベース00005の問合せといった検索処理をしない設定にPC00004がリーダライタ00003を切替える。
【0018】
この切替は、次の個体の電子タグID(例えば図2.の個体005)を01〜04のいずれかのアンテナが読み取るまでとする。例えば、タイマ機能を用いて一定時間そのモードを維持したり、図示しないセンサで次の個体の投入を検知するようにしてもよい。
【0019】
上記のように次々と異なる個体がベルトコンベア上を流れる場合、上記処理を繰り返すことになり、効率的な個体認識処理が実現される。
【符号の説明】
【0020】
01、02、03、04…リーダアンテナ、001、002、0003、004…電子タグ、00001…個体、00002…(ベルト)コンベア、0003…リーダライタ、00004…PC、00005…データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体に貼付された複数の電子タグであって、それぞれ異なるIDであり前記個体に関するIDが記録された電子タグから、当該IDを読み取る個体識別処理方法において、
予め、前記IDのそれぞれを電子タグの貼付位置であって、読取り順序に対応した貼付位置および個体に関する情報に関連付けてデータベースに記憶しておき、
前記個体がコンベア上の移動に伴って、複数のリーダアンテナのいずれかから、前記複数の電子タグのいずれかからIDを読取り、
読み取ったIDと前記データベースに格納されたデータの突き合せ処理を実行し、
前記突き合せ処理で、対応するIDが存在した場合、前記複数のリーダアンテナでの読取り動作を、次の個体が前記コンベアで流されるまで抑止することを特徴とする個体識別処理方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−253330(P2011−253330A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126427(P2010−126427)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】