個別噴射電圧調整回路
複数の液滴噴射デバイス、電源、およびコントローラを有する装置。各々の液滴噴射デバイスが噴射ノズルを有する流体チャンバー、流体チャンバーに関連する電気駆動式圧排デバイス、およびスイッチを有している。スイッチは電源に接続された入力、電気駆動式圧排デバイスに接続された出力、およびコントローラによって制御され入力(従って、電源)と出力(従って、電気駆動式圧排デバイス)との接続制御を行う制御信号入力を有している。電気駆動式圧排デバイスに付随するキャパシタンス要素が駆動状態と非駆動状態との間を変化するのに応じて流体チャンバーの容積が変化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液滴噴射デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット・プリンターは液滴噴射デバイスを採用した装置の1つである。インクジェット・プリンターの中には、印刷を施す基体の移動方向に対し直角に配された複数の線状インクジェット印刷ヘッド・デバイスからインク滴を供給するものがある。各々の印刷ヘッド・デバイスが上面に(各々がそれぞれの液滴噴射デバイスに対応する)複数のポンプ・チャンバーを画成し、その上部に平面圧電アクチュエーターを有するモノリシック体に形成された複数の液滴噴射デバイスを有している。電圧パルスが圧電アクチュエーターに供給されてその形状が変形することによって、各々の液滴噴射デバイスが駆動され、印刷ヘッド・デバイスを通過する基体の動きに同期して所望の時期に液滴が噴射される。
【0003】
各々の液滴噴射デバイスは個別にアドレス指定でき、別の液滴噴射デバイスとタイミングを図りオンデマンドで駆動することにより画像を印刷できる。印刷は印刷サイクルに基づいて行われる。各々の印刷サイクルにおいて、(例えば、150Vの)噴射パルスをすべての液滴噴射デバイスに同時に加え、当該印刷サイクルにおいてインクを噴射する液滴噴射デバイスにのみ信号を送ることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は複数の液滴噴射デバイス、電源、およびコントローラを有する装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
各々の液滴噴射デバイスは、噴射ノズルを有する流体チャンバー、流体チャンバーに関連する電気駆動式圧排デバイス、並びに電源に接続された入力、電気駆動式圧排デバイスに接続された出力、およびコントローラによって制御され前記入力(従って、電源)と前記出力(従って、電気駆動式デバイス)との接続制御を行う制御信号入力を有するスイッチを備えている。付随するキャパシタンス要素が駆動状態と非駆動状態との間を変化するのに応じて電気駆動式圧排デバイスが変位位置と非変位位置との間を移動し流体チャンバーの容積を変化させる。各々のスイッチが電気信号を各々の電気駆動式圧排デバイスに接続している時間によって、各々のキャパシタンス要素の充電の変更幅を制御する各々の充電制御信号がコントローラから各々の制御信号入力に供給される。
【0006】
本発明のそれぞれの実施の形態は以下に記載する1つ以上の特徴を有している。
【0007】
電気駆動式圧排デバイスの駆動状態は充電状態に対応し、非駆動状態は非充電状態に対応している。コントローラの制御に基づき各々のスイッチが電気信号を各々の電気駆動式圧排デバイスに接続している時間によって、各々のキャパシタンス要素の充電量が制御される。また、各々の電気駆動式圧排デバイスは、放電電気ターミナルに接続された第2入力、電気駆動式圧排デバイスに接続された第2出力、および第2入力と第2出力との接続/切離しを行うための第2制御信号入力を有する第2スイッチを備えることができ、各々の放電制御信号がコントローラから各々の第2制御信号入力に供給されることにより充電された各々のキャパシタンス要素の電荷の放電が制御される。
【0008】
各々の液滴噴射デバイスは電源と電気駆動式圧排デバイスとの間に第1抵抗体を有することができる。また、放電電気ターミナルと電気駆動式圧排デバイスとの間に第2抵抗体を有することができる。
【0009】
第1抵抗体は電気駆動式圧排デバイスから第2スイッチに至る電気路の外部において、電源と電気駆動式圧排デバイスとの間に配することができ、第2抵抗体は電気駆動式圧排デバイスから放電電気ターミナルに至る電気路に含めることができる。別の方法として、1つの抵抗体を用いて各々のキャパシタンス要素を充放電できる。複数の抵抗体、電圧、およびスイッチを各々の電気駆動式圧排デバイスに接続し、コントローラの制御により、キャパシタンス要素の充電量を変更できる。放電電気ターミナルを接地電位とすることができる。電気信号は被制御電圧信号、非制御電流信号、または定電流であってよい。
【0010】
第1制御信号が定電圧の場合、電気駆動式圧排デバイスの充電量が定電圧より低い所定の値に達したとき、定電圧の供給を断つことができる。電気駆動式圧排デバイスは圧電アクチュエーターであってよい。
【0011】
制御信号を制御することにより、複数の液滴噴射デバイスに一様な体積の液滴を噴射させるか、または一様な速度で液滴を噴射させることができる。制御信号を制御することにより、複数の液滴噴射デバイスにそれぞれ異なる所定の体積の液滴を噴射させるか、またはそれぞれ異なる速度で液滴を噴射させることによりグレー・スケールの調整ができる。前記第1および第2制御信号を制御することにより、各々の電気駆動式圧排デバイスにそれぞれ所定の時間電気信号を供給できる。制御信号を制御することにより、各々の電気駆動式圧排デバイスがそれぞれ所定の充電電圧に達するまで電気信号を供給できる。制御信号を制御することにより、液滴の噴射には不十分であるが液滴噴射デバイスの噴射ノズルの液体メニスカスを移動させるのには十分な電圧を供給できる。制御信号を制御することにより、ノイズを混入させて印刷画像を印刷パターンおよびバンディングに分割できる。制御信号を制御することにより、液滴噴射デバイスからの第1液滴とそれに続く液滴とが調和するよう電気駆動式圧排デバイスの充電振幅および充電時間を変更できる。
【0012】
各々の実施の形態において、隣接する圧排デバイスが同時に噴射する場合、コントローラによって一方の噴射パルスを遅延させることができる。遅延させないデバイスの噴射パルスの前縁に対し遅延させるデバイスの噴射パルスの前縁が一定時間遅延される。
【0013】
前記装置はインクジェット・プリンターのヘッドであってよい。前記コントローラはポンプ・チャンバーが形成されているモノリシック体に取り付けられた回路基板にフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイを有することができる。コントローラによって前記第1スイッチを液滴の噴射頻度に応じて変化させることにより、頻度に応じた液滴体積の変更量を低減できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のそれぞれの実施の形態は以下に記載する効果を1つ以上有している。アクチュエーターを所望の値まで充電した後電源を切り離すことにより、アクチュエーターに所定の電圧を供給し続ける場合と比較して節電効果がある。アクチュエーターの充電、充電スロープ、並びに放電のタイミングおよびスロープを個別に調整できるため、一様な液滴体積、または一様な噴射速度、およびグレー・スケール調整のような様々な効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下添付図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明の特徴、目的、および効果は以下の説明および添付図面、並びに特許請求の範囲によって明らかになる。
【0016】
図1に示すように、印刷ヘッド12の128個の液滴噴射デバイス10が、供給線14および15によって供給され、各々の液滴噴射デバイス10の噴射を制御するオンボード制御回路19によって分配される定電圧によって駆動される。外部コントローラ20により線14および15を介して前記電圧が供給されると共に、別の線16を介してオンボード制御回路19に制御データ、ロジック・パワー、およびタイミングが送られる。各々の噴射デバイス10のインクジェットにより、印刷ヘッド12の下を通過する基体18に印刷ライン17を形成できる。図では基体18がシングル・パス・モードにおいて静止印刷ヘッド12の下を通過するように示してあるが、別の方法として、印刷ヘッド12をスキャン・モードで基体上を移動させることもできる。
【0017】
図2において、各々の液滴噴射デバイス10は印刷ヘッド12の半導体ブロック21の上面に細長いポンプ・チャンバー30を有している。ポンプ・チャンバー30は入口32(側面に沿ったインク源34)から、ブロック21の上面22から下部層29のノズル開口部28に下降している下降路36のノズル流路まで延びている。各々のポンプ・チャンバー30を覆っている平面圧電アクチュエーター38は、線14によって供給され、オンボード制御回路19から供給される制御信号によってオンオフされることにより平面圧電アクチュエーターを変形させ、ポンプ・チャンバー30の容積を変化させる電圧によって駆動され、印刷ヘッド・デバイス12を通過する基体18の相対移動に同期して所望の時期に液滴を噴射する。各々のポンプ・チャンバー30の入口32に流量絞り40が設けられている。
【0018】
図3は各々の液滴噴射デバイス10の電気部品を示す図である。各々のデバイス10の電気回路は充電制御スイッチ50、および線14の直流充電電圧Xvdcと圧電アクチュエーター38の電極との間に接続されている充電抵抗52を有している。圧電アクチュエーター38の電極はコンデンサの1つのプレートを成すものであり、接地または別の電圧に接続されているコンデンサの他方のプレートを成す付近の電極の一部と相互作用する。コンデンサを形成する2つの電極はそれぞれ圧電材料の対向する面に配されていても、同一面上に平行に配されていてもよい。各々のデバイス10の電気回路は更に放電制御スイッチ54、および線15の直流放電電圧Ydc(接地であってもよい)と圧電アクチュエーター38の同一側との間に接続されている放電抵抗56を有している。スイッチ50は制御線60の“スイッチ制御充電”信号によってオンオフされ、スイッチ54は制御線62の“スイッチ制御放電”信号によってオンオフされる。
【0019】
図3および4において、圧電アクチュエーター38はコンデンサとして機能するため、線60のスイッチ充電パルス64に反応してスイッチ50が閉じると圧電アクチュエーター38の両端の電圧がVpzt_スタートから徐々に上昇する。パルス64の終端においてスイッチ50が開放され、電圧の上昇がVpzt_フィニッシュ(Xvdcより低い電圧)で停止する。この場合、(コンデンサとして機能する)圧電アクチュエーター38は、一般に線62のスイッチ放電パルス66に反応して放電制御スイッチ54が閉じ低電圧Ydcに接続されることによって放電されるまで電圧Vpzt_フィニッシュを維持する(図4に示すように僅かに低下する)。電圧の上昇および下降速度は線14、15の電圧、および圧電アクチュエーター38のキャパシタンスと抵抗体52、56の電気抵抗とによる時定数によって決まる。印刷サイクル68の始めと終わりが図4に示してある。図示のように、パルス64、66は圧電アクチュエーター38の電圧が所望の時間維持されるよう互いに時間調整されると共に、基体18の移動および別の噴射デバイス10からの液滴の噴射に関連して所望の時期に液滴が噴射されるよう印刷サイクル68に関連して互いに時間調整される。パルス64の長さによってVpztの大きさが制御されると共に、パルス64と66との間の圧電アクチュエーター38の電圧幅、並びに液滴の体積および速度が制御される。Yvdcまで放電させる場合には、出力電圧が所望の電圧Yvdcにできるだけ近づくようパルス66の幅を充分長くする必要があり、中間の電圧まで放電する場合にはその中間の電圧に達する長さにセットする必要がある。
【0020】
図5において、オンボード回路19は線14、15からの定電圧XvdcおよびYdcを受ける入力、D0〜D7データ入力70、(液滴の噴射を基体18と印刷ヘッド12との相対移動に同期させる)ロジック・レベル・噴射パルス・トリガー72、ロジック・パワー74、および任意のプログラミング・ポート76を有している。回路19はレシーバー78、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)80、トランジスタ・スイッチ・アレイ82、抵抗アレイ84、水晶86、およびメモリ88を更に有している。
【0021】
各々のトランジスタ・スイッチ・アレイ82は64個の液滴噴射デバイス10に対応する充電および放電制御スイッチ50、54を有している。
【0022】
各々のFPGA80は所望の時期に各々の圧電アクチュエーターにパルス64、66を供給するロジックを有している。D0〜D7データ入力70はFPGA80のそれぞれのスイッチ50、54のタイミング調整に用いられ、印刷サイクル68における所望の時期にパルスが開始および終了するよう調整される。終始同じ大きさの液滴が噴射デバイスから噴射される場合には、印刷開始前に、D0〜D7入力を通してこのタイミング情報を1度入力するだけでよい。液滴の大きさが噴射毎に異なる場合、例えば、グレー・スケール調整を行う場合には、各々の印刷サイクルの開始当初、D0〜D7入力を通してこのタイミング情報をFPGAにパスしてアップデートする必要がある。印刷中、入力D0単独によるシリアル・ビット・ストリームによって、印刷サイクルにおいてどの噴射デバイス10を動作させるかを示す噴射情報が供給される。FPGAの代わりにディスクリート・ロジックやマイクロプロセッサのような別のロジック・デバイスを用いることができる。
【0023】
抵抗アレイ84は各々の液滴噴射デバイス10の抵抗体52、56を有している。アレイ84によって制御される64個の噴射デバイスの各々に対し2つの入力と1つの出力を有している。
【0024】
D0〜D7データ入力70の代わりに、プログラミング・ポート76によってデータを入力しFPGA80をセットアップできる。メモリ88を用いてFPGA80のタイミング情報をバッファ、即ち、事前に格納できる。
【0025】
通常の印刷モードにおける動作において、各々の液滴噴射デバイス10を較正することにより、各々のデバイス10のパルス64、66の適切なタイミングを決定できるため、各々のデバイスが所望の体積を有する液滴を所望の速度で噴射すると共に、この情報を用いてFPGA80をプログラムできる。前記動作において適切なタイミングが設定されている限り較正の必要はない。各々の印刷サイクルにおいて、印刷ジョブを指定するデータがデータ入力70のD0端子を通してシリアル転送され、それによりFPGAのロジックが制御されパルス64、66がトリガーされることにより、印刷ジョブの印刷が特定のデバイスに指定される。
【0026】
グレー・スケール印刷モード、即ち、噴射毎に液滴が異なる動作において、各々の印刷サイクルの始めにデータ入力70の8つすべての端子D0〜D7を通して各々のデバイス10のタイミングをセットする情報がパスされるため、当該印刷サイクルにおいて各々のデバイスに所望の体積を有する液滴を噴射させることができる。
また、FPGA80はタイミング情報を受信して、液滴の噴射には不十分であるが、まれにしか使用されない噴射デバイスのメニスカスを移動して乾燥を防止する所謂ティックル電圧パルスを供給できる。
【0027】
また、FPGA80はタイミング情報を受信して、ノイズを混入させ液滴噴射情報を印刷パターンおよびバンディングに分割できる。
【0028】
更に、FPGA80はタイミング情報を受信して、振幅(即ち、Vpzt_フィニッシュ)および幅(充電パルス64と放電パルス66との間の時間)を変更することにより、例えば、噴射デバイス10の最初と次の噴射における速度および液滴の体積を変更できる。
【0029】
充電および放電用として別の2つの抵抗体52、56を用いることにより、圧電アクチュエーター38の電圧の上昇および下降スロープを個別に調整できる。別の方法として、スイッチ50、54の出力側を結んで、圧電アクチュエーター38に接続されている共通の抵抗体に接続するか、または別の場所に圧電アクチュエーター38と直列に電気抵抗を配することにより、圧電アクチュエーター38に直接接続できる。
【0030】
圧電アクチュエーター38を所望の電圧(Vpzt_フィニッシュ)まで充電し、供給電圧Xvdcを切断しアクチュエーター38のキャパシタンス要素によってその電圧を維持することにより、噴射パルスが与えられる間アクチュエーターをXvdcに近い電圧に保持する場合と比較して印刷ヘッドの消費電力が少なくて済む。
本発明の別の実施の形態は特許請求の範囲の各請求項に記載されている。例えば、スイッチおよび抵抗体をオンオフされる電流源に置換できる。また、共通回路(例えば、スイッチおよび抵抗体)によって複数の液滴噴射デバイスを駆動できる。また、駆動パルスのパラメータを液滴の噴射頻度に応じて変化させることにより、頻度に応じた液滴体積の変更量を低減できる。また、第3のスイッチを各々のポンプ・チャンバーに関連付け、例えば非噴射時に、圧電アクチュエーター38の電極を接地できると共に、前記第2スイッチを用いて圧電アクチュエーター38の電極を接地電位より低い電圧に接続することにより放電を加速できる。
【0031】
更に複雑な波形を生成することもできる。例えば、スイッチ50を閉じて電圧をV1まで上昇させ、次に一定時間開放してその電圧を保持し、再度閉じることによりV2まで上昇させることができる。スイッチ50、54を適切に閉じることにより複雑な波形を生成できる。
【0032】
図6および7に示すように、1つの液滴噴射デバイス対し多数の抵抗体、電圧、およびスイッチを用いることにより異なる幾つかのスルー・レートを得ることができる。図6は多数(この場合は2つ)の充電制御スイッチ102、104および関連する充電抵抗106、108によって圧電アクチュエーターのキャパシタンス要素110を充電し、多数(この場合は2つ)の放電制御スイッチ112、114および関連する放電抵抗116、118によってキャパシタンス要素を放電させる噴射デバイスの別の制御回路100を示す図である。図7は前記構成に基づくキャパシタンス要素の充電電圧を示す図である。上昇カーブ120はスイッチ102を閉じ、別のスイッチを開放したときのものである。上昇カーブ122はスイッチ104を閉じ、別のスイッチを開放したときのものである。下降カーブ124はスイッチ112を閉じ、別のスイッチを開放したときのものである。下降カーブ126はスイッチ114を閉じ、別のスイッチを開放したときのものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】インクジェット・プリンターのコンポーネントを示す概略図。
【図2】印刷ヘッドの1つの液滴噴射デバイスのポンプ・チャンバーを画成する半導体ボディーおよび関連圧電アクチュエーターを示す、図1のインクジェット・プリンターの印刷ヘッドの一部の縦断面図(図1の2−2線断面図)。
【図3】1つの液滴噴射デバイスに関連する電気部品を示す概略図。
【図4】図3の電気部品の動作タイミング・チャート。
【図5】図1のプリンターの印刷ヘッドの回路ブロック図。
【図6】1つの液滴噴射デバイスに関連する電気部品の別の実施の形態を示す概略図。
【図7】図6の電気部品の動作によるアクチュエーターのキャパシタンス要素の充電電圧を示すタイミング・チャート。
【符号の説明】
【0034】
10 液滴噴射デバイス
12 印刷ヘッド
17 印刷ライン
18 基体
19 オンボード制御回路
20 外部コントローラ
21 半導体ブロック
28 ノズル開口部
30 ポンプ・チャンバー
32 入口
34 インク源
36 下降路
38 圧電アクチュエーター
40 流量絞り
【技術分野】
【0001】
本発明は液滴噴射デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット・プリンターは液滴噴射デバイスを採用した装置の1つである。インクジェット・プリンターの中には、印刷を施す基体の移動方向に対し直角に配された複数の線状インクジェット印刷ヘッド・デバイスからインク滴を供給するものがある。各々の印刷ヘッド・デバイスが上面に(各々がそれぞれの液滴噴射デバイスに対応する)複数のポンプ・チャンバーを画成し、その上部に平面圧電アクチュエーターを有するモノリシック体に形成された複数の液滴噴射デバイスを有している。電圧パルスが圧電アクチュエーターに供給されてその形状が変形することによって、各々の液滴噴射デバイスが駆動され、印刷ヘッド・デバイスを通過する基体の動きに同期して所望の時期に液滴が噴射される。
【0003】
各々の液滴噴射デバイスは個別にアドレス指定でき、別の液滴噴射デバイスとタイミングを図りオンデマンドで駆動することにより画像を印刷できる。印刷は印刷サイクルに基づいて行われる。各々の印刷サイクルにおいて、(例えば、150Vの)噴射パルスをすべての液滴噴射デバイスに同時に加え、当該印刷サイクルにおいてインクを噴射する液滴噴射デバイスにのみ信号を送ることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は複数の液滴噴射デバイス、電源、およびコントローラを有する装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
各々の液滴噴射デバイスは、噴射ノズルを有する流体チャンバー、流体チャンバーに関連する電気駆動式圧排デバイス、並びに電源に接続された入力、電気駆動式圧排デバイスに接続された出力、およびコントローラによって制御され前記入力(従って、電源)と前記出力(従って、電気駆動式デバイス)との接続制御を行う制御信号入力を有するスイッチを備えている。付随するキャパシタンス要素が駆動状態と非駆動状態との間を変化するのに応じて電気駆動式圧排デバイスが変位位置と非変位位置との間を移動し流体チャンバーの容積を変化させる。各々のスイッチが電気信号を各々の電気駆動式圧排デバイスに接続している時間によって、各々のキャパシタンス要素の充電の変更幅を制御する各々の充電制御信号がコントローラから各々の制御信号入力に供給される。
【0006】
本発明のそれぞれの実施の形態は以下に記載する1つ以上の特徴を有している。
【0007】
電気駆動式圧排デバイスの駆動状態は充電状態に対応し、非駆動状態は非充電状態に対応している。コントローラの制御に基づき各々のスイッチが電気信号を各々の電気駆動式圧排デバイスに接続している時間によって、各々のキャパシタンス要素の充電量が制御される。また、各々の電気駆動式圧排デバイスは、放電電気ターミナルに接続された第2入力、電気駆動式圧排デバイスに接続された第2出力、および第2入力と第2出力との接続/切離しを行うための第2制御信号入力を有する第2スイッチを備えることができ、各々の放電制御信号がコントローラから各々の第2制御信号入力に供給されることにより充電された各々のキャパシタンス要素の電荷の放電が制御される。
【0008】
各々の液滴噴射デバイスは電源と電気駆動式圧排デバイスとの間に第1抵抗体を有することができる。また、放電電気ターミナルと電気駆動式圧排デバイスとの間に第2抵抗体を有することができる。
【0009】
第1抵抗体は電気駆動式圧排デバイスから第2スイッチに至る電気路の外部において、電源と電気駆動式圧排デバイスとの間に配することができ、第2抵抗体は電気駆動式圧排デバイスから放電電気ターミナルに至る電気路に含めることができる。別の方法として、1つの抵抗体を用いて各々のキャパシタンス要素を充放電できる。複数の抵抗体、電圧、およびスイッチを各々の電気駆動式圧排デバイスに接続し、コントローラの制御により、キャパシタンス要素の充電量を変更できる。放電電気ターミナルを接地電位とすることができる。電気信号は被制御電圧信号、非制御電流信号、または定電流であってよい。
【0010】
第1制御信号が定電圧の場合、電気駆動式圧排デバイスの充電量が定電圧より低い所定の値に達したとき、定電圧の供給を断つことができる。電気駆動式圧排デバイスは圧電アクチュエーターであってよい。
【0011】
制御信号を制御することにより、複数の液滴噴射デバイスに一様な体積の液滴を噴射させるか、または一様な速度で液滴を噴射させることができる。制御信号を制御することにより、複数の液滴噴射デバイスにそれぞれ異なる所定の体積の液滴を噴射させるか、またはそれぞれ異なる速度で液滴を噴射させることによりグレー・スケールの調整ができる。前記第1および第2制御信号を制御することにより、各々の電気駆動式圧排デバイスにそれぞれ所定の時間電気信号を供給できる。制御信号を制御することにより、各々の電気駆動式圧排デバイスがそれぞれ所定の充電電圧に達するまで電気信号を供給できる。制御信号を制御することにより、液滴の噴射には不十分であるが液滴噴射デバイスの噴射ノズルの液体メニスカスを移動させるのには十分な電圧を供給できる。制御信号を制御することにより、ノイズを混入させて印刷画像を印刷パターンおよびバンディングに分割できる。制御信号を制御することにより、液滴噴射デバイスからの第1液滴とそれに続く液滴とが調和するよう電気駆動式圧排デバイスの充電振幅および充電時間を変更できる。
【0012】
各々の実施の形態において、隣接する圧排デバイスが同時に噴射する場合、コントローラによって一方の噴射パルスを遅延させることができる。遅延させないデバイスの噴射パルスの前縁に対し遅延させるデバイスの噴射パルスの前縁が一定時間遅延される。
【0013】
前記装置はインクジェット・プリンターのヘッドであってよい。前記コントローラはポンプ・チャンバーが形成されているモノリシック体に取り付けられた回路基板にフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイを有することができる。コントローラによって前記第1スイッチを液滴の噴射頻度に応じて変化させることにより、頻度に応じた液滴体積の変更量を低減できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のそれぞれの実施の形態は以下に記載する効果を1つ以上有している。アクチュエーターを所望の値まで充電した後電源を切り離すことにより、アクチュエーターに所定の電圧を供給し続ける場合と比較して節電効果がある。アクチュエーターの充電、充電スロープ、並びに放電のタイミングおよびスロープを個別に調整できるため、一様な液滴体積、または一様な噴射速度、およびグレー・スケール調整のような様々な効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下添付図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明の特徴、目的、および効果は以下の説明および添付図面、並びに特許請求の範囲によって明らかになる。
【0016】
図1に示すように、印刷ヘッド12の128個の液滴噴射デバイス10が、供給線14および15によって供給され、各々の液滴噴射デバイス10の噴射を制御するオンボード制御回路19によって分配される定電圧によって駆動される。外部コントローラ20により線14および15を介して前記電圧が供給されると共に、別の線16を介してオンボード制御回路19に制御データ、ロジック・パワー、およびタイミングが送られる。各々の噴射デバイス10のインクジェットにより、印刷ヘッド12の下を通過する基体18に印刷ライン17を形成できる。図では基体18がシングル・パス・モードにおいて静止印刷ヘッド12の下を通過するように示してあるが、別の方法として、印刷ヘッド12をスキャン・モードで基体上を移動させることもできる。
【0017】
図2において、各々の液滴噴射デバイス10は印刷ヘッド12の半導体ブロック21の上面に細長いポンプ・チャンバー30を有している。ポンプ・チャンバー30は入口32(側面に沿ったインク源34)から、ブロック21の上面22から下部層29のノズル開口部28に下降している下降路36のノズル流路まで延びている。各々のポンプ・チャンバー30を覆っている平面圧電アクチュエーター38は、線14によって供給され、オンボード制御回路19から供給される制御信号によってオンオフされることにより平面圧電アクチュエーターを変形させ、ポンプ・チャンバー30の容積を変化させる電圧によって駆動され、印刷ヘッド・デバイス12を通過する基体18の相対移動に同期して所望の時期に液滴を噴射する。各々のポンプ・チャンバー30の入口32に流量絞り40が設けられている。
【0018】
図3は各々の液滴噴射デバイス10の電気部品を示す図である。各々のデバイス10の電気回路は充電制御スイッチ50、および線14の直流充電電圧Xvdcと圧電アクチュエーター38の電極との間に接続されている充電抵抗52を有している。圧電アクチュエーター38の電極はコンデンサの1つのプレートを成すものであり、接地または別の電圧に接続されているコンデンサの他方のプレートを成す付近の電極の一部と相互作用する。コンデンサを形成する2つの電極はそれぞれ圧電材料の対向する面に配されていても、同一面上に平行に配されていてもよい。各々のデバイス10の電気回路は更に放電制御スイッチ54、および線15の直流放電電圧Ydc(接地であってもよい)と圧電アクチュエーター38の同一側との間に接続されている放電抵抗56を有している。スイッチ50は制御線60の“スイッチ制御充電”信号によってオンオフされ、スイッチ54は制御線62の“スイッチ制御放電”信号によってオンオフされる。
【0019】
図3および4において、圧電アクチュエーター38はコンデンサとして機能するため、線60のスイッチ充電パルス64に反応してスイッチ50が閉じると圧電アクチュエーター38の両端の電圧がVpzt_スタートから徐々に上昇する。パルス64の終端においてスイッチ50が開放され、電圧の上昇がVpzt_フィニッシュ(Xvdcより低い電圧)で停止する。この場合、(コンデンサとして機能する)圧電アクチュエーター38は、一般に線62のスイッチ放電パルス66に反応して放電制御スイッチ54が閉じ低電圧Ydcに接続されることによって放電されるまで電圧Vpzt_フィニッシュを維持する(図4に示すように僅かに低下する)。電圧の上昇および下降速度は線14、15の電圧、および圧電アクチュエーター38のキャパシタンスと抵抗体52、56の電気抵抗とによる時定数によって決まる。印刷サイクル68の始めと終わりが図4に示してある。図示のように、パルス64、66は圧電アクチュエーター38の電圧が所望の時間維持されるよう互いに時間調整されると共に、基体18の移動および別の噴射デバイス10からの液滴の噴射に関連して所望の時期に液滴が噴射されるよう印刷サイクル68に関連して互いに時間調整される。パルス64の長さによってVpztの大きさが制御されると共に、パルス64と66との間の圧電アクチュエーター38の電圧幅、並びに液滴の体積および速度が制御される。Yvdcまで放電させる場合には、出力電圧が所望の電圧Yvdcにできるだけ近づくようパルス66の幅を充分長くする必要があり、中間の電圧まで放電する場合にはその中間の電圧に達する長さにセットする必要がある。
【0020】
図5において、オンボード回路19は線14、15からの定電圧XvdcおよびYdcを受ける入力、D0〜D7データ入力70、(液滴の噴射を基体18と印刷ヘッド12との相対移動に同期させる)ロジック・レベル・噴射パルス・トリガー72、ロジック・パワー74、および任意のプログラミング・ポート76を有している。回路19はレシーバー78、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)80、トランジスタ・スイッチ・アレイ82、抵抗アレイ84、水晶86、およびメモリ88を更に有している。
【0021】
各々のトランジスタ・スイッチ・アレイ82は64個の液滴噴射デバイス10に対応する充電および放電制御スイッチ50、54を有している。
【0022】
各々のFPGA80は所望の時期に各々の圧電アクチュエーターにパルス64、66を供給するロジックを有している。D0〜D7データ入力70はFPGA80のそれぞれのスイッチ50、54のタイミング調整に用いられ、印刷サイクル68における所望の時期にパルスが開始および終了するよう調整される。終始同じ大きさの液滴が噴射デバイスから噴射される場合には、印刷開始前に、D0〜D7入力を通してこのタイミング情報を1度入力するだけでよい。液滴の大きさが噴射毎に異なる場合、例えば、グレー・スケール調整を行う場合には、各々の印刷サイクルの開始当初、D0〜D7入力を通してこのタイミング情報をFPGAにパスしてアップデートする必要がある。印刷中、入力D0単独によるシリアル・ビット・ストリームによって、印刷サイクルにおいてどの噴射デバイス10を動作させるかを示す噴射情報が供給される。FPGAの代わりにディスクリート・ロジックやマイクロプロセッサのような別のロジック・デバイスを用いることができる。
【0023】
抵抗アレイ84は各々の液滴噴射デバイス10の抵抗体52、56を有している。アレイ84によって制御される64個の噴射デバイスの各々に対し2つの入力と1つの出力を有している。
【0024】
D0〜D7データ入力70の代わりに、プログラミング・ポート76によってデータを入力しFPGA80をセットアップできる。メモリ88を用いてFPGA80のタイミング情報をバッファ、即ち、事前に格納できる。
【0025】
通常の印刷モードにおける動作において、各々の液滴噴射デバイス10を較正することにより、各々のデバイス10のパルス64、66の適切なタイミングを決定できるため、各々のデバイスが所望の体積を有する液滴を所望の速度で噴射すると共に、この情報を用いてFPGA80をプログラムできる。前記動作において適切なタイミングが設定されている限り較正の必要はない。各々の印刷サイクルにおいて、印刷ジョブを指定するデータがデータ入力70のD0端子を通してシリアル転送され、それによりFPGAのロジックが制御されパルス64、66がトリガーされることにより、印刷ジョブの印刷が特定のデバイスに指定される。
【0026】
グレー・スケール印刷モード、即ち、噴射毎に液滴が異なる動作において、各々の印刷サイクルの始めにデータ入力70の8つすべての端子D0〜D7を通して各々のデバイス10のタイミングをセットする情報がパスされるため、当該印刷サイクルにおいて各々のデバイスに所望の体積を有する液滴を噴射させることができる。
また、FPGA80はタイミング情報を受信して、液滴の噴射には不十分であるが、まれにしか使用されない噴射デバイスのメニスカスを移動して乾燥を防止する所謂ティックル電圧パルスを供給できる。
【0027】
また、FPGA80はタイミング情報を受信して、ノイズを混入させ液滴噴射情報を印刷パターンおよびバンディングに分割できる。
【0028】
更に、FPGA80はタイミング情報を受信して、振幅(即ち、Vpzt_フィニッシュ)および幅(充電パルス64と放電パルス66との間の時間)を変更することにより、例えば、噴射デバイス10の最初と次の噴射における速度および液滴の体積を変更できる。
【0029】
充電および放電用として別の2つの抵抗体52、56を用いることにより、圧電アクチュエーター38の電圧の上昇および下降スロープを個別に調整できる。別の方法として、スイッチ50、54の出力側を結んで、圧電アクチュエーター38に接続されている共通の抵抗体に接続するか、または別の場所に圧電アクチュエーター38と直列に電気抵抗を配することにより、圧電アクチュエーター38に直接接続できる。
【0030】
圧電アクチュエーター38を所望の電圧(Vpzt_フィニッシュ)まで充電し、供給電圧Xvdcを切断しアクチュエーター38のキャパシタンス要素によってその電圧を維持することにより、噴射パルスが与えられる間アクチュエーターをXvdcに近い電圧に保持する場合と比較して印刷ヘッドの消費電力が少なくて済む。
本発明の別の実施の形態は特許請求の範囲の各請求項に記載されている。例えば、スイッチおよび抵抗体をオンオフされる電流源に置換できる。また、共通回路(例えば、スイッチおよび抵抗体)によって複数の液滴噴射デバイスを駆動できる。また、駆動パルスのパラメータを液滴の噴射頻度に応じて変化させることにより、頻度に応じた液滴体積の変更量を低減できる。また、第3のスイッチを各々のポンプ・チャンバーに関連付け、例えば非噴射時に、圧電アクチュエーター38の電極を接地できると共に、前記第2スイッチを用いて圧電アクチュエーター38の電極を接地電位より低い電圧に接続することにより放電を加速できる。
【0031】
更に複雑な波形を生成することもできる。例えば、スイッチ50を閉じて電圧をV1まで上昇させ、次に一定時間開放してその電圧を保持し、再度閉じることによりV2まで上昇させることができる。スイッチ50、54を適切に閉じることにより複雑な波形を生成できる。
【0032】
図6および7に示すように、1つの液滴噴射デバイス対し多数の抵抗体、電圧、およびスイッチを用いることにより異なる幾つかのスルー・レートを得ることができる。図6は多数(この場合は2つ)の充電制御スイッチ102、104および関連する充電抵抗106、108によって圧電アクチュエーターのキャパシタンス要素110を充電し、多数(この場合は2つ)の放電制御スイッチ112、114および関連する放電抵抗116、118によってキャパシタンス要素を放電させる噴射デバイスの別の制御回路100を示す図である。図7は前記構成に基づくキャパシタンス要素の充電電圧を示す図である。上昇カーブ120はスイッチ102を閉じ、別のスイッチを開放したときのものである。上昇カーブ122はスイッチ104を閉じ、別のスイッチを開放したときのものである。下降カーブ124はスイッチ112を閉じ、別のスイッチを開放したときのものである。下降カーブ126はスイッチ114を閉じ、別のスイッチを開放したときのものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】インクジェット・プリンターのコンポーネントを示す概略図。
【図2】印刷ヘッドの1つの液滴噴射デバイスのポンプ・チャンバーを画成する半導体ボディーおよび関連圧電アクチュエーターを示す、図1のインクジェット・プリンターの印刷ヘッドの一部の縦断面図(図1の2−2線断面図)。
【図3】1つの液滴噴射デバイスに関連する電気部品を示す概略図。
【図4】図3の電気部品の動作タイミング・チャート。
【図5】図1のプリンターの印刷ヘッドの回路ブロック図。
【図6】1つの液滴噴射デバイスに関連する電気部品の別の実施の形態を示す概略図。
【図7】図6の電気部品の動作によるアクチュエーターのキャパシタンス要素の充電電圧を示すタイミング・チャート。
【符号の説明】
【0034】
10 液滴噴射デバイス
12 印刷ヘッド
17 印刷ライン
18 基体
19 オンボード制御回路
20 外部コントローラ
21 半導体ブロック
28 ノズル開口部
30 ポンプ・チャンバー
32 入口
34 インク源
36 下降路
38 圧電アクチュエーター
40 流量絞り
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が、容積および噴射ノズルを有する流体チャンバー、付随するキャパシタンス要素が駆動状態と非駆動状態との間を変化するのに応じて変位位置と非変位位置との間を移動し前記チャンバーの容積を変化させる電気駆動式圧排デバイス、並びに電源ターミナルに接続された第1入力、前記電気駆動式圧排デバイスに接続された第1出力、および該第1入力と該第1出力との接続/切離しを行うための第1制御信号入力を有する第1スイッチを有して成る複数の液滴噴射デバイス、
前記複数の液滴噴射デバイスの前記第1入力に接続され電気信号を供給する電源、および
前記各々の第1スイッチが前記電気信号を前記各々の電気駆動式圧排デバイスに接続している時間によって、前記各々のキャパシタンス要素の充電の変更幅を制御する各々の充電制御信号を前記各々の第1制御信号入力に供給するコントローラ
を有して成ることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記電気駆動式圧排デバイスが、付随するキャパシタンス要素が充電駆動状態と非充電非駆動状態との間を変化するのに応じて変位位置と非変位位置との間を移動し、
前記各々の第1スイッチが前記電気信号を前記各々の電気駆動式圧排デバイスに接続している時間によって、前記各々のキャパシタンス要素の充電量を制御する各々の充電制御信号が前記コントローラから前記各々の第1制御信号入に供給される
ことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記各々の液滴噴射デバイスが、放電電気ターミナルに接続された第2入力、前記電気駆動式圧排デバイスに接続された第2出力、および該第2入力と該第2出力との接続/切離しを行うための第2制御信号入力を有する第2スイッチを更に有して成り、
充電された前記各々のキャパシタンス要素の電荷の放電を制御する各々の放電制御信号が前記コントローラから前記各々の第2制御信号入力に供給される
ことを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記各々の液滴噴射デバイスが、前記電源と前記電気駆動式圧排デバイスとの間に第1抵抗体を有して成ることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記各々の液滴噴射デバイスが、前記放電電気ターミナルと前記電気駆動式圧排デバイスとの間に第2抵抗体を有して成ることを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項6】
前記各々の液滴噴射デバイスが、前記電気駆動式圧排デバイスから前記第2スイッチに至る電気路の外部において、前記電源と前記電気駆動式圧排デバイスとの間に第1抵抗体を有し、前記電気駆動式圧排デバイスから前記第2スイッチに至る前記電気路内に第2抵抗体を更に有して成ることを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項7】
1つの抵抗体を用いて前記各々のキャパシタンス要素を充放電することを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項8】
複数の抵抗体、電圧、およびスイッチが前記各々の電気駆動式圧排デバイスに接続され、前記コントローラの制御によって前記キャパシタンス要素の充電量が変更されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記放電電気ターミナルが接地電位にあることを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項10】
前記電気信号が被制御電圧信号であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記電気信号が被制御電流信号であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項12】
前記電気信号が定電流であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項13】
各々が、容積および噴射ノズルを有する流体チャンバー、付随するキャパシタンス要素が充電駆動状態と非充電非駆動状態との間を変化するのに応じて変位位置と非変位位置との間を移動し前記チャンバーの容積を変化させる電気駆動式圧排デバイス、並びに電圧源ターミナルに接続された第1入力、前記電気駆動式圧排デバイスに接続された第1出力、および該第1入力と該第1出力との接続/切離しを行うための第1制御信号入力を有する第1スイッチを有して成る複数の液滴噴射デバイス、
前記複数の液滴噴射デバイスの前記第1入力に定電圧電気信号を供給する電源、および
前記各々の第1スイッチが前記電気信号を前記各々の電気駆動式圧排デバイスに接続している時間によって、前記各々のキャパシタンス要素の充電量を制御する各々の充電制御信号を前記各々の第1制御信号入力に供給するコントローラ
を有して成ることを特徴とする装置。
【請求項14】
前記電気駆動式圧排デバイスの充電量が前記定電圧より低い所定の値に達したとき、前記第1制御信号によって該定電圧の供給が断たれることを特徴とする請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記各々の液滴噴射デバイスが、放電電気ターミナルに接続された第2入力、前記電気駆動式圧排デバイスに接続された第2出力、および該第2入力と該第2出力との接続/切離しを行うための第2制御信号入力を有する第2スイッチを更に有して成り、
充電された前記各々のキャパシタンス要素の電荷の放電を制御する各々の放電制御信号が前記コントローラから前記各々の第2制御信号入力に供給される
ことを特徴とする請求項13記載の装置。
【請求項16】
前記電気駆動式圧排デバイスが圧電アクチュエーターであることを特徴とする請求項1または13記載の装置。
【請求項17】
前記第1制御信号が前記複数の液滴噴射デバイスから一様の体積の液滴が噴射されるか、または一様な速度で液滴が噴射されるよう制御されることを特徴とする請求項1または13記載の装置。
【請求項18】
前記第1制御信号が前記各々の液滴噴射デバイスからそれぞれ所定の異なる体積の液滴が噴射されるか、または所定の異なる速度で液滴が噴射されることによりグレー・スケール調整ができるよう制御されることを特徴とする請求項1または13記載の装置。
【請求項19】
前記第1および第2制御信号が前記各々の液滴噴射デバイスからそれぞれ所定の異なる体積の液滴が噴射されるか、または所定の異なる速度で液滴が噴射されることによりグレー・スケール調整ができるよう制御されることを特徴とする請求項3または15記載の装置。
【請求項20】
前記第1および第2制御信号が前記各々の電気駆動式圧排デバイスに前記電気信号がそれぞれ所定の時間接続されるよう制御されることを特徴とする請求項3または15記載の装置。
【請求項21】
前記各々の第1制御信号が前記各々の電気駆動式圧排デバイスがそれぞれ所定の充電電圧に達するまで前記電気信号が接続されるよう制御されることを特徴とする請求項1または13記載の装置。
【請求項22】
前記第1制御信号が前記液滴噴射デバイスの液滴噴射には不十分であるが、該デバイスの噴射ノズルの液体メニスカスを移動させるのには十分な電圧が供給されるよう制御されることを特徴とする請求項1または13記載の装置。
【請求項23】
前記第1および第2制御信号が前記液滴噴射デバイスの液滴噴射には不十分であるが、該デバイスの噴射ノズルの液体メニスカスを移動させるのには十分な電圧が供給されるよう制御されることを特徴とする請求項3または15記載の装置。
【請求項24】
前記第1制御信号がノイズを混入させることにより印刷画像が印刷パターンおよびバンディングに分割されるよう制御されることを特徴とする請求項1または13記載の装置。
【請求項25】
前記第1および第2制御信号がノイズを混入させることにより印刷画像が印刷パターンおよびバンディングに分割されるよう制御されることを特徴とする請求項3または15記載の装置。
【請求項26】
前記第1および第2制御信号が前記電気駆動式圧排デバイスの充電振幅および充電時間を変更することにより、前記液滴噴射デバイスからの第1液滴とそれに続く液滴とが調和するよう制御されることを特徴とする請求項3または15記載の装置。
【請求項27】
インクジェット印刷ヘッドであることを特徴とする請求項1または13記載の装置。
【請求項28】
前記コントローラが前記ポンプ・チャンバーを形成して成るモノリシック体に取り付けられた回路基板にフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイを有して成ることを特徴とする請求項1または13記載の装置。
【請求項29】
前記コントローラが液滴の噴射頻度に応じて前記第1スイッチを制御することにより、頻度に応じた液滴体積の変化量が低減されることを特徴とする請求項1または13記載の装置。
【請求項1】
各々が、容積および噴射ノズルを有する流体チャンバー、付随するキャパシタンス要素が駆動状態と非駆動状態との間を変化するのに応じて変位位置と非変位位置との間を移動し前記チャンバーの容積を変化させる電気駆動式圧排デバイス、並びに電源ターミナルに接続された第1入力、前記電気駆動式圧排デバイスに接続された第1出力、および該第1入力と該第1出力との接続/切離しを行うための第1制御信号入力を有する第1スイッチを有して成る複数の液滴噴射デバイス、
前記複数の液滴噴射デバイスの前記第1入力に接続され電気信号を供給する電源、および
前記各々の第1スイッチが前記電気信号を前記各々の電気駆動式圧排デバイスに接続している時間によって、前記各々のキャパシタンス要素の充電の変更幅を制御する各々の充電制御信号を前記各々の第1制御信号入力に供給するコントローラ
を有して成ることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記電気駆動式圧排デバイスが、付随するキャパシタンス要素が充電駆動状態と非充電非駆動状態との間を変化するのに応じて変位位置と非変位位置との間を移動し、
前記各々の第1スイッチが前記電気信号を前記各々の電気駆動式圧排デバイスに接続している時間によって、前記各々のキャパシタンス要素の充電量を制御する各々の充電制御信号が前記コントローラから前記各々の第1制御信号入に供給される
ことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記各々の液滴噴射デバイスが、放電電気ターミナルに接続された第2入力、前記電気駆動式圧排デバイスに接続された第2出力、および該第2入力と該第2出力との接続/切離しを行うための第2制御信号入力を有する第2スイッチを更に有して成り、
充電された前記各々のキャパシタンス要素の電荷の放電を制御する各々の放電制御信号が前記コントローラから前記各々の第2制御信号入力に供給される
ことを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記各々の液滴噴射デバイスが、前記電源と前記電気駆動式圧排デバイスとの間に第1抵抗体を有して成ることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記各々の液滴噴射デバイスが、前記放電電気ターミナルと前記電気駆動式圧排デバイスとの間に第2抵抗体を有して成ることを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項6】
前記各々の液滴噴射デバイスが、前記電気駆動式圧排デバイスから前記第2スイッチに至る電気路の外部において、前記電源と前記電気駆動式圧排デバイスとの間に第1抵抗体を有し、前記電気駆動式圧排デバイスから前記第2スイッチに至る前記電気路内に第2抵抗体を更に有して成ることを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項7】
1つの抵抗体を用いて前記各々のキャパシタンス要素を充放電することを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項8】
複数の抵抗体、電圧、およびスイッチが前記各々の電気駆動式圧排デバイスに接続され、前記コントローラの制御によって前記キャパシタンス要素の充電量が変更されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記放電電気ターミナルが接地電位にあることを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項10】
前記電気信号が被制御電圧信号であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記電気信号が被制御電流信号であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項12】
前記電気信号が定電流であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項13】
各々が、容積および噴射ノズルを有する流体チャンバー、付随するキャパシタンス要素が充電駆動状態と非充電非駆動状態との間を変化するのに応じて変位位置と非変位位置との間を移動し前記チャンバーの容積を変化させる電気駆動式圧排デバイス、並びに電圧源ターミナルに接続された第1入力、前記電気駆動式圧排デバイスに接続された第1出力、および該第1入力と該第1出力との接続/切離しを行うための第1制御信号入力を有する第1スイッチを有して成る複数の液滴噴射デバイス、
前記複数の液滴噴射デバイスの前記第1入力に定電圧電気信号を供給する電源、および
前記各々の第1スイッチが前記電気信号を前記各々の電気駆動式圧排デバイスに接続している時間によって、前記各々のキャパシタンス要素の充電量を制御する各々の充電制御信号を前記各々の第1制御信号入力に供給するコントローラ
を有して成ることを特徴とする装置。
【請求項14】
前記電気駆動式圧排デバイスの充電量が前記定電圧より低い所定の値に達したとき、前記第1制御信号によって該定電圧の供給が断たれることを特徴とする請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記各々の液滴噴射デバイスが、放電電気ターミナルに接続された第2入力、前記電気駆動式圧排デバイスに接続された第2出力、および該第2入力と該第2出力との接続/切離しを行うための第2制御信号入力を有する第2スイッチを更に有して成り、
充電された前記各々のキャパシタンス要素の電荷の放電を制御する各々の放電制御信号が前記コントローラから前記各々の第2制御信号入力に供給される
ことを特徴とする請求項13記載の装置。
【請求項16】
前記電気駆動式圧排デバイスが圧電アクチュエーターであることを特徴とする請求項1または13記載の装置。
【請求項17】
前記第1制御信号が前記複数の液滴噴射デバイスから一様の体積の液滴が噴射されるか、または一様な速度で液滴が噴射されるよう制御されることを特徴とする請求項1または13記載の装置。
【請求項18】
前記第1制御信号が前記各々の液滴噴射デバイスからそれぞれ所定の異なる体積の液滴が噴射されるか、または所定の異なる速度で液滴が噴射されることによりグレー・スケール調整ができるよう制御されることを特徴とする請求項1または13記載の装置。
【請求項19】
前記第1および第2制御信号が前記各々の液滴噴射デバイスからそれぞれ所定の異なる体積の液滴が噴射されるか、または所定の異なる速度で液滴が噴射されることによりグレー・スケール調整ができるよう制御されることを特徴とする請求項3または15記載の装置。
【請求項20】
前記第1および第2制御信号が前記各々の電気駆動式圧排デバイスに前記電気信号がそれぞれ所定の時間接続されるよう制御されることを特徴とする請求項3または15記載の装置。
【請求項21】
前記各々の第1制御信号が前記各々の電気駆動式圧排デバイスがそれぞれ所定の充電電圧に達するまで前記電気信号が接続されるよう制御されることを特徴とする請求項1または13記載の装置。
【請求項22】
前記第1制御信号が前記液滴噴射デバイスの液滴噴射には不十分であるが、該デバイスの噴射ノズルの液体メニスカスを移動させるのには十分な電圧が供給されるよう制御されることを特徴とする請求項1または13記載の装置。
【請求項23】
前記第1および第2制御信号が前記液滴噴射デバイスの液滴噴射には不十分であるが、該デバイスの噴射ノズルの液体メニスカスを移動させるのには十分な電圧が供給されるよう制御されることを特徴とする請求項3または15記載の装置。
【請求項24】
前記第1制御信号がノイズを混入させることにより印刷画像が印刷パターンおよびバンディングに分割されるよう制御されることを特徴とする請求項1または13記載の装置。
【請求項25】
前記第1および第2制御信号がノイズを混入させることにより印刷画像が印刷パターンおよびバンディングに分割されるよう制御されることを特徴とする請求項3または15記載の装置。
【請求項26】
前記第1および第2制御信号が前記電気駆動式圧排デバイスの充電振幅および充電時間を変更することにより、前記液滴噴射デバイスからの第1液滴とそれに続く液滴とが調和するよう制御されることを特徴とする請求項3または15記載の装置。
【請求項27】
インクジェット印刷ヘッドであることを特徴とする請求項1または13記載の装置。
【請求項28】
前記コントローラが前記ポンプ・チャンバーを形成して成るモノリシック体に取り付けられた回路基板にフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイを有して成ることを特徴とする請求項1または13記載の装置。
【請求項29】
前記コントローラが液滴の噴射頻度に応じて前記第1スイッチを制御することにより、頻度に応じた液滴体積の変化量が低減されることを特徴とする請求項1または13記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2007−502731(P2007−502731A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524051(P2006−524051)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/026964
【国際公開番号】WO2005/018940
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(505456458)フジフィルム ディマティックス,インコーポレイテッド (33)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/026964
【国際公開番号】WO2005/018940
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(505456458)フジフィルム ディマティックス,インコーポレイテッド (33)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]