説明

倒立用ポンプディスペンサー

【課題】シンプルな構造であり、且つ液漏れを防止できる倒立用のポンプディスペンサーを提供すること。
【解決手段】本発明は、ノズル口6aを下向きにした状態で液体Wを吐出するポンプディスペンサー100であって、ハウジング2と、ハウジング2の内壁を摺動可能なピストン3と、ハウジング2内の液体Wを吐出するためのノズル部6と、ハウジング2を覆うように嵌合されたハウジングカバー20と、を備え、ハウジングカバー20には流路部20aが設けられており、ノズル部6のノズル口6aを下向きにして該ノズル部6を押圧することにより、液体Wが流路部20aの流入口20cから流入し、流路部20a内を流通してハウジング2内に供給されるようになっている倒立用ポンプディスペンサー100である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、倒立用ポンプディスペンサーに関し、更に詳しくは、シンプルな構造であり、且つ液漏れを防止できる倒立用ポンプディスペンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
容器内の液体を吐出する装置としてディスペンサーが知られている。
このディスペンサーは、一般にノズル部の押し込みに連動したピストンの往復運動により、容器内からハウジング内に吸引充填される液を、ピストンで加圧してノズル部のノズル口から外部に吐出させる構造を有している。
ところで、ディスペンサーには、正立状態だけでなく、ノズル口を下向きにした状態、すなわち倒立させた状態で液体を吐出させるタイプのものもある。
【0003】
例えば、正立状態や倒立状態でも容器内の液体を吐出させるポンプディスペンサーとしては、液体の収納された容器の口部に装着され、ノズルヘッドの押し込みに連動したピストンの往復動により正立・倒立兼用バルブを介して容器内の液体をシリンダに吸上げ、加圧して流出させる手動式ディスペンサーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
なお、かかる手動式ディスペンサーにおいて、正立時には、サクションチューブを介して容器内の液体を吸上げている。
【0004】
また、同様に他にも正立・倒立両用のトリガー式ポンプディスペンサーが知られている(例えば、特許文献2〜4参照)が、これらはいずれも正立状態には、チューブから液体を吸上げ、倒立状態には、別に設けた孔等から液体を吸上げる構造を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−332423号公報
【特許文献2】特開平9−164350号公報
【特許文献3】特開2000−117164号公報
【特許文献4】特開2001−79461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1〜4に記載のポンプディスペンサーにおいては、正立状態でも倒立状態でも使用される構造となっているため、複数の球弁を使う必要がある上、総じて構造が複雑となり、部品点数が増える欠点がある。また、同時に正立又は倒立させて使用できる構造であるため、輸送時等に不用意にも液漏れが生じるおそれがある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、シンプルな構造であり、且つ確実に液漏れを防止できる倒立用ポンプディスペンサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、倒立状態で使用するようにし、ハウジングに、流路部が設けられた簡単な構造のハウジングカバーを取り付けることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、(1)ノズル口を下向きにした状態で液体を吐出するポンプディスペンサーであって、ハウジングと、ハウジングの内壁を摺動可能なピストンと、ハウジング内の液体を吐出するためのノズル部と、ハウジングを覆うように嵌合されたハウジングカバーと、を備え、ハウジングカバーには流路部が設けられており、ノズル部のノズル口を下向きにして該ノズル部を押圧することにより、液体が流路部の流入口から流入し、流路部内を流通してハウジング内に供給されるようになっているポンプディスペンサーに存する。
【0010】
本発明は、(2)容器に取り付けるためのキャップ部を備え、流路部の流入口がキャップ部に近設されている上記(1)記載のポンプディスペンサーに存する。
【0011】
本発明は、(3)ハウジング及びハウジングカバーには、共通に、ハウジング内に通じる負圧穴が設けられている上記(1)又は(2)に記載のポンプディスペンサーに存する。
【0012】
本発明は、(4)負圧穴が、流入口よりも上方、且つ流入口の反対側に設けられている上記(3)記載のポンプディスペンサーに存する。
【0013】
本発明は、(5)ノズル部が指当て部を備える上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載のポンプディスペンサーに存する。
【0014】
本発明は、(6)ハウジングカバーが着脱可能となっている上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載のポンプディスペンサーに存する。
【発明の効果】
【0015】
本発明のポンプディスペンサーによれば、ハウジングにハウジングカバーを設け、ハウジングカバーの流路部からハウジング内に液体を流通させることにより、倒立させた状態での液体の吐出が可能となる。
したがって、上記ポンプディスペンサーは、シンプルな構造でありながら、倒立用のポンプティスペンサーとして用いることが可能となる。
また、上記ポンプディスペンサーは、ハウジングカバーを設けた状態で倒立用のポンプディスペンサーとなるため、正立状態では液体が吐出されない。
したがって、輸送時等における液漏れを確実に防止できる。
【0016】
本発明のポンプディスペンサーによれば、流路部の流入口がキャップ部に近設されている場合、容器内の液体を最後まで吐出させることが可能となる。
【0017】
本発明のポンプディスペンサーにおいて、ハウジング及びハウジングカバーに共通に、ハウジング内に通じる負圧穴が設けられている場合、負圧穴により、容器内に生じる負圧が解消される。
これにより、ハウジングとハウジングカバーの間に空気が引き込まれること(以下「エアかみ」ともいう。)が抑制される。
なお、負圧穴が、流入口よりも上方に設けられ、しかも流入口の反対側に設けられていると、より確実にエアかみを抑制できる。
【0018】
本発明のポンプディスペンサーによれば、ノズル部が指当て部を備えると、取り扱い性が優れる。
例えば、ポンプディスペンサーを下向きにし、容器を手で持つと共に、指を指当て部にあて、指当て部を押圧することにより、容器内の液体を吐出させることが可能となる。
【0019】
本発明のポンプディスペンサーは、ハウジングカバーが着脱可能となっている場合、正立・倒立両用とすることができる。
例えば、ハウジングカバーを外し、ハウジングの下部にチューブ等を取り付けることにより、正立用のポンプディスペンサーとして用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明に係るポンプディスペンサーの一実施形態を示す断面図である。
【図2】図2の(a)は、図1のA−A線での断面図であり、(b)は、図1のB−B線での断面図である。
【図3】図3は、本実施形態に係るポンプディスペンサーにおけるバルブ部を示す斜視図である。
【図4】図4の(a)は、本実施形態に係るポンプディスペンサーにおけるノズル部を示す断面図であり、(b)は、その下面図である。
【図5】図5は、本実施形態に係るポンプディスペンサーのノズル部の固定状態を示す断面図である。
【図6】図6は、図1に示すポンプディスペンサーのノズル部を押圧した後の状態を示す断面図である。
【図7】図7の(a)は、他の実施形態に係るポンプディスペンサーにストッパーを取り付けた状態を示す断面図であり、(b)は、ストッパーの上面図である。
【図8】図8は、他の実施形態に係るポンプディスペンサーを示す断面図である。
【図9】図9の(a)は、他の実施形態に係るポンプディスペンサーにおけるバルブ部を示す断面図であり、(b)はその上面図であり、(c)はその下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0022】
本発明に係る倒立用ポンプディスペンサー(以下単に「ポンプディスペンサー」という。)は、略円筒状のハウジングと、ハウジングの内壁を摺動可能なピストンと、ハウジング内の液体を吐出するためのノズル部と、ハウジングを覆うように嵌合されたハウジングカバーと、を備える。
上記ポンプディスペンサーにおいては、ピストンの摺動によりハウジング内の液体Wがノズル部から吐出され、同時にハウジングカバーに設けられた流路部内を通じてハウジング内に液体が補填されるようになっている。
【0023】
図1は、本発明に係るポンプディスペンサーの一実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るポンプディスペンサー100は、容器50に取り付けるためのキャップ部1と、キャップ部1に取り付けられている円筒状のハウジング2と、ハウジング2の内壁(以下場合によっては「シリンダ壁」ともいう)を摺動するピストン3と、ピストン3を下降移動させるステム4と、ピストン3を上昇移動させるピストンシャフト5と、ピストンシャフト5の下端に取り付けられたノズル部6と、ハウジング2の開口部2aに設けられたバルブ部7と、ハウジング2を覆うように嵌合されたハウジングカバー20と、を備える。
【0024】
ポンプディスペンサー100においては、ステム4の下方にピストンシャフト5が外挿圧入により取り付けられ、また該ピストンシャフト5の下方にはノズル部6が外挿されて取り付けられている。
ピストン3はステム4の外側に遊挿されている。
そして、ステム4、ピストンシャフト5及びノズル部6は、一体となって昇降移動するようになっている。
【0025】
例えば、降下する場合、ピストン3はステム4によって押し下げられ、上昇する場合、ピストン3はピストンシャフト5によって押し上げられる。
なお、ステム4、ピストンシャフト5、及びノズル部6は円筒形状である。
また、ピストンシャフト5は、ハウジング2下端に取り付けたチャプリット9を介してハウジング2内に摺動自在に案内されている。
すなわち、ステム4は、ピストンシャフト5と一体になってハウジング2内に摺動自在に案内されている。
【0026】
図2の(a)は、図1のA−A線での断面図であり、(b)は、図1のB−B線での断面図である。
図2の(a)及び(b)に示すように、円筒状のハウジングカバー20は、円筒状のハウジング2に嵌合される嵌合部20bと、該嵌合部20bに隣接された流路部20aと、を有する。
嵌合部20bの形状は、ハウジング2の外観と略同形状となっており、該嵌合部20bにハウジング2が圧入されるようになっている。
流路部20aは、嵌合部20bの外壁面に沿って上下方向に形成され、内部に流路Rが形成されており、該流路Rを液体Wが流通するようになっている。
【0027】
図1に戻り、ポンプディスペンサー100においては、ハウジングカバー20をハウジング2に外挿圧入して取り付けた状態で、ハウジング2及びハウジングカバー20を共通して貫通する負圧穴10が設けられている。
通常、負圧穴10は、ピストン3の上下の舌片の間に位置して封止されている。
すなわち、ピストン3の移動により負圧穴10が開通され、外気に通じることとなる。そのため容器内に生じた負圧が解消されて容器の歪みは発生しない。
ここで、負圧穴10は、後述する流入口よりも上方に設けられ、しかも流入口の反対側に設けられている。
このため、負圧解消のための外気(気泡)が流入口に流れ込む現象、すなわち「エアかみ」がより確実に抑制できる。
【0028】
なお、ポンプディスペンサー100においては、ハウジング2に外挿圧入されたハウジングカバー20を外し、ハウジング2の下部にチューブ等を取り付けることにより、正立用のポンプディスペンサーとして用いることも可能ではある。
【0029】
ポンプディスペンサー100において、ハウジングカバー20の流路部20aは、下端に流入口20cを有する。
したがって、容器内の液体Wは、まず、流路部20aの流入口20cから侵入する。
そして流路部20a内の流路Rを上方に流れ、上端の開口部2aからハウジング2に入り、下方に流れバルブ部7を介してノズル部6に供給されるようになっている。
このとき、流入口20cは、キャップ部1に、極力、近設されている。
すなわち、流入口20cはキャップ部1が取り付けられる容器50の口部51内にまで入り込んだ位置とする。この場合、容器50内の液体Wを極力最後まで吐出させることが可能となる。
【0030】
図3は、本実施形態に係るポンプディスペンサーにおけるバルブ部を示す斜視図である。
図3に示すように、バルブ部7はハウジング2内への液体Wの流入を規制する。
ハウジング2の開口部2aにおいて、上方のFバルブ7aと、該Fバルブ7aが着座する弁座7d(これはハウジング2の内周壁に形成されている)と、Fバルブ7aの移動を制限するFバルブストッパー7cと、下降するFバルブ7aを下方から弁座7dに付勢するFバルブスプリング7bと、からなる。
【0031】
図1に戻り、バルブ部7においては、バネSの復帰力によりノズル部6が下降して同時にピストン3が下がり、ハウジング2内が負圧になると、容器内の液体Wが流路部20a内からハウジング2内に侵入する。
このとき、Fバルブ7aは、弁座7dから乖離する。
ちなみに、このFバルブ7aと弁座7dとの間隙は、バルブ7aの下端がFバルブストッパー7cに当接した状態で最大となる。
そして、ハウジング2内の負圧が解消されると、Fバルブ7aは、Fバルブスプリング7bにより、押し戻され、弁座7dに着座することにより、ハウジング2の開口部2aが封止される。
【0032】
図4の(a)は、本実施形態に係るポンプディスペンサーにおけるノズル部を示す断面図であり、(b)は、その下面図である。
図4の(a)及び(b)に示すように、ノズル部6は、液体Wが吐出されるノズル口6aと、指で押すための指当て部6bとを備える。
ノズル口6aは、容器50内の液体Wを真っ直ぐ下方向に吐出するようになっている。
指当て部6bは、略円盤状であり、円周に沿って僅かに波状の形状となっている。
【0033】
ポンプディスペンサー100においては、指当て部6bを備えるので、ノズル部6を押圧し易い。
すなわち、ポンプディスペンサー100を下向きにし、容器50を手の平で持つと共に、中指と人差し指とを指当て部6bにあて、指当て部6bを押圧する(すなわち指を引き込む)ことにより、容器50内の液体W(詳しくはハウジング2のシリンダ壁内の液体W)が外部に吐出される。
【0034】
本実施形態に係るポンプディスペンサー100において、例えば、輸送時等に液体Wが吐出するのを回避させたい場合、ノズル部6を固定する手段としてノズル部6をチャプリット9にロックしてもよい。
図5は、本実施形態に係るポンプディスペンサーのノズル部の固定状態を示す断面図である。
図5に示すように、ノズル部に凸部9aを設け、これと螺合可能となるようにチャプリット9に凹部9bを設ければよい。
そして、凸部9aと凹部9bとを螺合させることにより、ノズル部が固定されることになる。
【0035】
このように、ポンプディスペンサー100が、ノズル部6をチャプリット9にロックさせるネジロック手段を用いることにより、ノズル部6を固定することが可能となる。
ノズル部6を固定することにより、ポンプディスペンサー100は、昇降移動が不可能となり、液漏れを確実に防止できる。
【0036】
次に、ポンプディスペンサー100の作用について説明する。
本実施形態に係るポンプディスペンサー100は、容器50の口部51にキャップ部1を螺着することにより、容器50に固定される。
【0037】
図6は、図1に示すポンプディスペンサーのノズル部を押圧した後の状態を示す断面図である。
ポンプディスペンサー100は、ノズル部6のノズル口6aを下向きにした状態、すなわち倒立状態で使用する。
倒立状態で、容器を掴んで指で指当て部6bを押圧すると、まず、ノズル部6と一体となったピストンシャフト5が上昇し、すぐその上端がピストン3に当たり、次いで、ピストンシャフト5と共にピストン3が引き上げられる。
これにより、ハウジング2内に充填された液体Wがピストン3で加圧され、ピストンシャフト5内を通ってノズル部6のノズル口6aから外部に吐出されることになる。
なお、このとき、Fバルブ7aは、ハウジング2の開口部2aを封止している。
【0038】
図6に示すように、ノズル部6を上方に上げ切った状態(すなわち上死点)では、完全にハウジング2内の液体は外部に吐出されている。
その後、指を放すとピストンシャフト5は、バネSの復帰力により、ノズル部6及びステム4と共に下降し、ステム4がピストン3を押し下げる。
そうすると、ハウジング2が負圧化し、容器50内の液体Wがハウジングカバー20の流路部20a、及びハウジング2の開口部2aを通ってハウジング2内に入ってくる。
このとき、Fバルブ7aは、弁座7dから離れてハウジング2の開口部2aを開放することになる。
【0039】
容器内の液体Wが少なくなることで、容器内が負圧化するが、ハウジング2及びハウジングカバー20を貫通する負圧穴10が設けられているので、ハウジング2とピストンシャフト5間の間隙を通じて大気に開放され、ここから容器内に外気が入り込み、負圧が解消される。
【0040】
図1に示すように、ノズル部6が下げ切った位置(すなわち下死点)では、完全に負圧は解消されており、しかも負圧穴10の位置までピストン3が下がっている。
そのため負圧穴10は封止され、この状態では液漏れは生じない。
【0041】
本実施形態に係るポンプディスペンサー100においては、ハウジング2にハウジングカバー20を設け、ハウジングカバー20の流路部20aからハウジング2内に液体を流通させることにより、倒立させた状態での液体Wの吐出が可能となる。
したがって、ポンプディスペンサー100は、球弁等も使わずハウジングカバー20の形も簡単なのでシンプルな構造となり倒立用のポンプティスペンサーとして有用である。
また、上記ポンプディスペンサー100は、ハウジングカバー20を設けた状態では、倒立用のポンプディスペンサーとなるため、正立状態では液体が吐出されない。
またFバルブ7aもFバルブストッパー7cにより閉状態に圧着されているので不必要な漏れが無く、当然、ノズル漏れも生じない。
更に輸送時等における液漏れを確実に防止できる。
【0042】
上記ポンプディスペンサー100は、例えば、食器洗用液体洗剤、洗濯用液体洗剤、食品用ケチャップ、食品用マヨネーズ等の用途に好適に用いられる。
【0043】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0044】
例えば、本実施形態に係るポンプディスペンサー100においては、ノズル部6を固定する手段としてネジロック手段を用いているが、これに限定されず、ストッパーを装着してもよい。
図7の(a)は、他の実施形態に係るポンプディスペンサーにストッパーを取り付けた状態を示す断面図であり、(b)は、ストッパーの上面図である。
図7の(a)及び(b)に示すように、ストッパー8は、ピストンシャフト5に固定可能な断面C字状の固定部8aと、該固定部8aに連結された平板状の取っ手部8bとからなる。
【0045】
ストッパー8は、固定部8aをピストンシャフト5に取り付けることにより、下端がノズル部6の指当て部6bに当接され、上端がチャプリット9に当接される。
これにより、ノズル部6が固定され、昇降移動が不可能となる。
したがって、ストッパー8を取り付けることにより、液漏れが確実に防止される。
【0046】
本実施形態に係るポンプディスペンサー100におけるハウジングカバー20は、略円筒状であるが、これに限定されるものではない。
図8は、他の実施形態に係るポンプディスペンサーを示す断面図である。
図8に示すように、ポンプディスペンサー101のハウジングカバー21は、先端を水平方向に延伸させることにより、パッキン部21aを有していてもよい。
これにより、ハウジングカバー21は、パッキンを兼ねることも可能となる。
すなわち、ハウジングカバー21とパッキン部21aとは一体となっていてもよい。
この場合、ハウジングカバー21の落下を抑制でき、且つ部品数も1点減るという利点がある。
なお、かかるハウジングカバーを製造する際には、材料の異なる2種類の合成樹脂を使った多色射出成形を採用するとよい。
【0047】
本実施形態に係るポンプディスペンサー100におけるバルブ部7の構造は、これに限定されるものではない。
図9の(a)は、他の実施形態に係るポンプディスペンサーにおけるバルブ部を示す断面図であり、(b)はその上面図であり、(c)はその下面図である。
図8及び図9の(a)〜(c)に示すように、本体部17aと、本体部17aに対し上下移動可能となるように連結された弁部17bとを備えるバルブ部17を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明のポンプディスペンサーは、ノズル部を昇降移動させることにより、容器内の液体を吐出する倒立用のポンプディスペンサーとして好適に用いられる。
本発明のポンプディスペンサーは、シンプルな構造であり、且つ液漏れを確実に防止できる。
【符号の説明】
【0049】
1・・・キャップ部
2・・・ハウジング
2a・・・開口部
3・・・ピストン
4・・・ステム
5・・・ピストンシャフト
6・・・ノズル部
6a・・・ノズル口
6b・・・指当て部
7,17・・・バルブ部
7a・・・Fバルブ
7b・・・Fバルブスプリング
7c・・・Fバルブストッパー
7d・・・弁座
8・・・ストッパー
8a・・・固定部
8b・・・取っ手部
9・・・チャプリット
9a・・・凸部
9b・・・凹部
10・・・負圧穴
17a・・・本体部
17b・・・弁部
20,21・・・ハウジングカバー
20a・・・流路部
20b・・・嵌合部
20c・・・流入口
21a・・・パッキン部
50・・・容器
51・・・口部
100,101・・・ポンプディスペンサー
R・・・流路
S・・・バネ
W・・・液体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル口を下向きにした状態で液体を吐出するポンプディスペンサーであって、
ハウジングと、
前記ハウジングの内壁を摺動可能なピストンと、
前記ハウジング内の液体を吐出するためのノズル部と、
前記ハウジングを覆うように嵌合されたハウジングカバーと、を備え、
前記ハウジングカバーには流路部が設けられており、
前記ノズル部のノズル口を下向きにして該ノズル部を押圧することにより、前記液体が前記流路部の流入口から流入し、前記流路部内を流通して前記ハウジング内に供給されるようになっているポンプディスペンサー。
【請求項2】
容器に取り付けるためのキャップ部を備え、
前記流路部の前記流入口が前記キャップ部に近設されている請求項1記載のポンプディスペンサー。
【請求項3】
前記ハウジング及び前記ハウジングカバーには、共通に、前記ハウジング内に通じる負圧穴が設けられている請求項1又は2に記載のポンプディスペンサー。
【請求項4】
前記負圧穴が、前記流入口よりも上方、且つ前記流入口の反対側に設けられている請求項3記載のポンプディスペンサー。
【請求項5】
前記ノズル部が指当て部を備える請求項1〜4のいずれか一項に記載のポンプディスペンサー。
【請求項6】
前記ハウジングカバーが着脱可能となっている請求項1〜5のいずれか一項に記載のポンプディスペンサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−101801(P2012−101801A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249162(P2010−249162)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(390028196)キャニヨン株式会社 (42)
【Fターム(参考)】