説明

偏光光照射装置

【課題】グリッド偏光素子を用いた偏光光照射装置において、光照射領域での偏光軸のばらつきを、できるだけ小さくすること
【解決手段】光照射部20は棒状ランプ1と、棒状ランプ1からの光をワークに向けて反射する樋状の反射ミラー2を備える。光照射部20の光出射側には、グリッド偏光素子10が設けられ、棒状ランプ1からの光は、グリッド偏光素子10により偏光され、ワーク30に照射され光配向処理が行われる。反射ミラー2は、断面が放物線状の樋状のミラーであり、棒状ランプの中心は、上記断面が放物線である反射ミラーの第1焦点と頂点を結ぶ直線上であって、上記第1焦点より上記グリッド偏光素子10側に配置される。棒状ランプの中心を反射ミラーの第1焦点よりグリッド偏光素子10側に配置しているので、偏光軸のばらつきを第1焦点に配置した場合より小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶素子の配向膜や、視野角補償フィルムの配向層などに所定の波長の偏光光を照射して配向を行う偏光光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶パネルを始めとする液晶表示素子の配向膜や、視野角補償フィルムの配向層などの配向処理に関し、紫外線領域の波長の偏光光を照射し配向を行なう、光配向と呼ばれる技術が採用されるようになってきた。以下、光により配向を行う配向膜や、配向層を設けたフィルムなど、光により配向特性が生じる膜や層を総称して光配向膜と呼ぶ。
光配向膜は、液晶パネルの大型化と共に、例えば一辺が2000mm以上の四角形というように大面積化している。
上記のような大面積の光配向膜に対して光配向を行うために、棒状のランプとワイヤーグリッド状のグリッドを有する偏光素子(以下グリッド偏光素子という)を組み合わせた偏光光照射装置が提案されている(例えば特許文献1や特許文献2参照)。
【0003】
光配向膜用の偏光光照射装置において棒状ランプは、発光長が比較的長いものを作ることができる。そのため、配向膜の幅に応じた発光長を備えた棒状ランプを使用し、該ランプからの光を照射しながら、配向膜をランプの長手方向に直交する方向に移動させれば、広い面積の配向膜を比較的短時間で光配向処理を行なうことができる。
図7に、線状の光源である棒状ランプとグリッド偏光素子を組み合わせた偏光光照射装置の構成例を示す。
同図において、光配向膜であるワーク30は、例えば視野角補償フィルムのような帯状の長尺ワークであり、送り出しロールR1から送り出され、図中矢印方向に搬送され、後述するように偏光光照射により光配向処理され、巻き取りロールR2により巻き取られる。
偏光光照射装置の光照射部20は、光配向処理に必要な波長の光(紫外線)を放射する棒状ランプ21、例えば高圧水銀ランプや水銀に他の金属を加えたメタルハライドランプと、棒状ランプ21からの紫外線をワーク30に向けて反射する断面が楕円形の樋状の反射ミラー22を備える。上記のように、棒状ランプ21の長さは、発光部が、ワーク30の搬送方向に直交する方向の幅に対応する長さを備えたものを使用し、上記棒状ランプ21は上記楕円形状の反射ミラー22の第1焦点に位置するように配置される。
光照射部20は、ランプ21の長手方向がワーク30の幅方向(搬送方向に対して直交方向)になるように配置する。
【0004】
光照射部20の光出射側には、偏光素子であるグリッド偏光素子10が設けられ、上記楕円形状の反射ミラー22の第2焦点には、ワーク30が配置される。
光照射部20からの光はグリッド偏光素子10により偏光され、光照射部20の下を搬送されるワーク30に照射され、光配向処理が行われる。
グリッド偏光素子(ワイヤーグリッド型の偏光素子)については、例えば特許文献3や特許文献4に詳細が示されている。
光路中にこの偏光素子を挿入すると、グリッドの長手方向に平行な偏光成分は大部分反射され、直交する偏光成分は通過する。したがって、グリッド偏光素子を通過した光は、偏光素子のグリッドの長手方向に直交する方向の偏光軸を有する偏光光となる。
【0005】
従来、光配向膜用の偏光光照射装置として、線状の光源である棒状ランプにグリッド偏光素子を組み合わせることが行われていたのは次のような理由からである。
棒状ランプからの光は発散光であり、ランプの出射側に偏光素子を配置して偏光光を得ようとしても、偏光素子にはさまざまな角度の光が入射する。
偏光素子としては、蒸着膜やブリュースタ角を利用したものが知られている。
しかし、これらの偏光素子は、偏光素子に決まった角度で入射する光しか偏光することができず、それ以外の角度で入射した光は、ほとんど偏光せずに通過してしまう。そのため、光源が発散光の場合、蒸着膜やブリュースタ角を利用した偏光素子を使用すると、偏光素子に入射する光を平行光にして入射角度をそろえた場合に比べると、得られる偏光光の消光比が悪くなる。
また、有機膜を利用した偏光素子もあるが、これは、光配向のために使用される紫外域の光を長時間照射すると特性が劣化するので、工業的に使用することは難しい。
【0006】
これに対して、グリッド偏光素子は、偏光素子に入射する光の角度に対する出射する偏光光の消光比の依存性が小さい。そのため、棒状ランプから出射する光のような発散光であっても、入射角度が±45°の範囲であれば、光が照射される領域全体にわたって、比較的良好な消光比の偏光光が得られる。
そのため、棒状ランプの長さを、光配向膜の幅に対応させて設け、光配向膜を偏光光照射装置に対して相対的に一方向に移動させれば、原理的には1本のランプで、広い面積の光配向膜の配向処理を行うことができる。
したがって、棒状ランプにグリッド偏光素子を組み合わせれば、1本のランプで、広い面積の光配向膜の配向処理を行うことができ、装置全体を安価に製作することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−126464号公報
【特許文献2】特開2009−265290号公報
【特許文献3】特開2002−328234号公報
【特許文献4】特表2003−508813号公報
【特許文献5】特開2006−184747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記したように、グリッド偏光素子は、入射角度依存性が小さく、斜めに入射する光についても偏光することができる。しかし、われわれが実験したところ、偏光素子に斜めに入射した光による偏光光は、垂直かそれに近い角度で入射した光による偏光光に比べると、偏光軸が回転し、偏光軸のずれ(以下軸ずれと呼ぶ)を生じることが分かった。偏光光に軸ずれが生じると、光照射領域において偏光軸のばらつきが生じる。
偏光軸がばらついた偏光光により光配向処理を行うと、処理された配向膜を使って作られた液晶表示素子のコントラストが場所により異なり、むらとして目に映るといった問題が生じる。このため、光照射領域での偏光軸のばらつきをできるだけ小さくすることが要求される。
【0009】
特許文献5には、光照射領域での偏光軸のばらつきは、グリッド偏光子に入射する光の角度が大きくなるほど、偏光子から出射する偏光光の偏光軸の回転量が大きくなり、光照射領域での偏光軸のばらつきが大きくなることが示されている。
前記図7に示した偏光光照射装置は、断面が楕円形の樋状の反射ミラー22を用い、棒状ランプ21を上記楕円形状の反射ミラー22の第1焦点に位置するように配置し、楕円形状の反射ミラー22の第2焦点には、ワーク30を配置している。このため、偏光素子に斜めに入射する光が比較的多くなり、偏光軸のばらつきが大きくなる。
以上のように従来の偏光光照射装置では、偏光軸のばらつきをできるだけ小さくするといった要望に充分応えることはできなかった。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、本発明の目的は、線状の光源と、この光源からの光を反射する樋状の反射ミラーと、上記光源と上記反射ミラーで反射された光を偏光するグリッド偏光素子とを備えた偏光光照射装置において、光照射領域での偏光軸のばらつきを、できるだけ小さくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
光照射領域での偏光軸のばらつきが小さくなるようにするには、グリッド偏光素子に入射する光の角度を小さくする(偏光素子への入射角を0°に近づける)ことが望ましいと考えられる。
そこで、棒状ランプからの紫外線をワークに向けて反射する樋状の反射ミラーとして、従来用いられていた断面が楕円形状のものに代えて、断面が放物線状のものを用いることが考えられる。
表1は反射ミラーの断面が楕円形状の場合と放物線状の場合の偏光軸むらを示したものである。なお、同表は計算により求めた結果を示している。表1の(a)は棒状ランプのアーク径がφ10mmの場合であって、断面が放物線状(パラボラ)で第1焦点F1の位置が20mm(反射ミラーの放物線の頂点と焦点との距離、以下同じ)の反射ミラー、断面が楕円形状(楕円)で第1焦点F1の位置が20mm、第2焦点F2の位置が100mmの反射ミラー、および断面が楕円形状(楕円)で第1焦点F1の位置が20mm、第2焦点F2の位置が200mmの反射ミラーを用い、第1焦点F1の位置にランプのアークの中心を配置した場合の軸むら(±[deg])を示す。なお、断面が放物線状の反射ミラーは、第2焦点F2はないが、ここではF2=無限大として示している。
また、表1の(b)は棒状ランプのアーク径が32.5mmの場合であって、断面が放物線状(パラボラ)で第1焦点F1の位置が25mmの反射ミラー、断面が楕円形状(楕円)で第1焦点F1の位置が25mm、第2焦点F2の位置が100mmの反射ミラー、および断面が楕円形状(楕円)で第1焦点F1の位置が25mm、第2焦点F2の位置が200mmの反射ミラーを用い、第1焦点F1の位置にランプのアークの中心を配置した場合の軸むら(±[deg])を示す。
【0011】
【表1】

【0012】
同表から明らかなように、断面が放物線(パラボラ)の反射ミラーを用いた場合の軸むらに対して断面が楕円形状の反射ミラーを用いた場合の軸むらは2〜3倍となり、断面が放物線(パラボラ)の反射ミラーを用いることにより、偏光軸の軸むらを大幅に減少させることができる。
以上のように、断面が放物線状の反射ミラーを用い、ランプの中心をこの反射ミラーの放物線の第1焦点に配置することで、反射ミラーの反射光は平行光となり、グリッド偏光素子に小さな入射角度(垂直かそれに近い角度)で入射し、光照射領域での偏光軸のばらつきが小さくなる。
【0013】
しかし、グリッド偏光素子には、ランプからの直射光も入射する。ランプから放射される光は発散光であり、グリッド偏光素子に対して大きな入射角度で入射する成分もある。 したがって、線状の光源からの光を反射する反射ミラーとして、断面が放物線状の樋状の反射ミラーを用いても、光照射領域での偏光軸のばらつきを完全になくすことはできないことがわかった。
上記問題を解決するために、種々検討した結果、反射ミラーとして断面が放物線状の反射ミラーを用いるとともに、ランプの中心(発光部)を該反射ミラーの第1焦点よりもやや偏光素子側に移動した方が、光照射領域での偏光軸のばらつきが、より小さくなることがわかった。
詳しくは、ランプの中心を、断面が放物線である反射ミラーの第1焦点と頂点を結ぶ直線上であって、第1焦点とグリッド偏光素子の間に配置する。このような位置にランプを配置することで、ランプを第1焦点に配置した場合よりも、光照射領域での偏光軸のばらつきを小さくすることができた。
ただし、ランプの中心が第1焦点から離れすぎると、偏光軸のばらつきは再び大きくなる。そのため、ランプの中心を第1焦点から偏光素子の方向に移動させる距離は、反射ミラーの焦点距離の1/2程度の距離までであることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、棒状ランプからの紫外線をワークに向けて反射する樋状の反射ミラーとして断面が放物線状のものを用い、上記ランプの中心を、上記反射ミラーの第1焦点とグリッド偏光素子の間に配置したので、従来のように断面が楕円形状の樋状の反射ミラーを用いる場合に比べ、光照射領域での偏光軸のばらつきを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例の偏光光照射装置の構成を示す図である。
【図2】本発明において、反射ミラーとランプとワイヤーグリッド偏光素子の配置を説明する図である。
【図3】第1焦点(F1)と放物線の頂点を結ぶ直線上を移動した場合の、光照射領域の偏光軸のばらつきの変化を示す図(1)である。
【図4】第1焦点(F1)と放物線の頂点を結ぶ直線上を移動した場合の、光照射領域の偏光軸のばらつきの変化を示す図(2)である。
【図5】第1焦点(F1)と放物線の頂点を結ぶ直線上を移動した場合の、光照射領域の偏光軸のばらつきの変化を示す図(3)である。
【図6】偏光軸のバラつきを説明する図である。
【図7】棒状ランプ、反射ミラーと、グリッド偏光素子とを用いた偏光光照射装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1(a)に本発明の実施例の樋状の反射ミラーと線状の光源である棒状ランプとグリッド偏光素子を組み合わせた偏光光照射装置の構成例を示し、同図(b)(c)に反射ミラーと棒状ランプの拡大図を示す。また、同図(d)にランプの断面形状を示す。
同図(a)において、光配向膜であるワーク30は、前述したように例えば視野角補償フィルムのような帯状の長尺ワークであり、送り出しロールR1から送り出され、図中矢印方向に搬送され、後述するように偏光光照射により光配向処理され、巻き取りロールR2により巻き取られる。
偏光光照射装置の光照射部20は、光配向処理に必要な波長の光(紫外線)を放射する棒状ランプ1、例えば高圧水銀ランプや水銀に他の金属を加えたメタルハライドランプと、棒状ランプ1からの紫外線をワーク30に向けて反射する樋状の反射ミラー2を備える。
【0017】
棒状ランプ1の長さは、発光部が、ワーク30の搬送方向に直交する方向の幅に対応する長さを備えたものを使用する。光照射部20は、ランプ1の長手方向がワーク30の幅方向(搬送方向に対して直交方向)になるように配置する。
光照射部20の光出射側には、偏光素子であるグリッド偏光素子10が設けられる。
棒状ランプ1からの光は、直接グリッド偏光素子10に入射するとともに、反射ミラー2で反射してグリッド偏光素子10に入射し、グリッド偏光素子10により偏光され、光照射部20の下を搬送されるワーク30に照射され、光配向処理が行われる。
【0018】
図1(b)は上記反射ミラー2の斜視図、図1(c)は棒状ランプ1の斜視図、図1(d)は棒状ランプを管軸に垂直な平面で切った断面図である。
反射ミラー2の内側がランプから放射される光を反射する反射面であり、この反射ミラー2の内側に、長手方向を合わせて棒状ランプが配置される。
反射ミラー2は、前記したように断面が放物線状の樋状のミラーであり、棒状ランプ1の長手方向が上記樋状の反射ミラー2の長手方向に平行に配置される。そして、棒状ランプの中心(棒状ランプを管軸に垂直な平面で切ったときの断面における中心位置、すなわち光源の中心)は、上記断面が放物線である反射ミラーの第1焦点と放物線の頂点を結ぶ直線上であって、上記第1焦点より上記グリッド偏光素子10側に配置される。
【0019】
ここで、反射ミラー2の「断面が放物線状」とは、この樋状の反射ミラー2の長手方向に対して直交する方向の断面の反射面の形状が、放物線状であるということである。反射ミラー2は、実際には、同図に示すように頂部に通風孔などの開口が形成されている場合があるが、その場合でも「断面が放物線状」という。
また、反射ミラー2は樋状であるので、反射ミラー2の第1焦点は、反射ミラー2の長手方向に沿って連続的に存在する。そこで、ここでは、第1焦点の集合体である直線のことを、「樋状のミラーの第1焦点」と呼ぶ
さらに、反射ミラー2の第1焦点とランプ1の中心を一致させるとは、反射ミラー2の第1焦点の集合体である直線と、ランプの中心線を一致させるということを意味する。
ランプの中心線とは、図1(d)に示す断面図における棒状のランプ1の円環状の封体(ガラス管)1aの内径の中心(アークの中心)点のランプ長手方向の集合体である。すなわち、棒状ランプを管軸に垂直な平面で切ったときの断面における内径の中心点の集合体であるランプの長手方向に沿った直線であり、光源の中心に相当する。
なお、ランプは内部に電極を有する有電極ランプと内部に電極を有さない無電極ランプがあるが、いずれの場合も、封体の円環の軸のことをランプの中心と呼ぶ。
【0020】
上記本発明の実施例の樋状で断面が放物線状の反射ミラーと棒状のランプ、及びグリッド偏光素子を組み合わせた偏光光照射装置におけるランプの位置と偏光軸のばらつきの関係を調べた。
図2に示すように、ランプ1を、断面が放物線状である反射ミラー2の第1焦点(F1)と、ミラー2の放物線の頂点Pとを結ぶ直線上を平行移動させた。すなわち、ランプ1の中心と焦点F1の距離d(位置ずれ量)を変えて偏光軸のばらつきを調べた。なお、上記したように反射ミラー2の頂部には開口が形成されていることがあるが、そのような場合、頂点Pは放物線の一部を形成する反射ミラー2の断面を外挿して求める。
放物線状の反射ミラー2は、焦点距離が異なるものについて3種(f=18mm,20mm,25mm)、また棒状ランプ1は封体の管径(内径)が異なるものを複数準備し、それぞれ組み合わせて調べた。
ランプ1の管径は、現在一般に使用される代表的な棒状ランプの管径である。ランプの管径は、細い方が輝度は高くなり、したがって高いピーク照度を得ることができる。しかし、ランプの長さが長くなると、強度を保つために太くなる傾向がある。
【0021】
図3は、樋状で断面が放物線状の反射ミラーの焦点距離が18mmの場合において、管の内径が9mm,18mm,23.4mmの棒状ランプが、それぞれ第1焦点(F1)と放物線の頂点を結ぶ直線上を移動した場合の、光照射領域の偏光軸のばらつきの変化を示す。同図において、横軸は第1焦点からランプの中心までの距離、縦軸は偏光軸のばらつき(軸むら)の大きさである。
なお、偏光軸とは、光照射領域のある点における偏光方向を方位角で示したものである。また、偏光軸のばらつき(軸むら)の大きさは図6に示すように、偏光光が照射されている領域の中心位置の偏光軸の方向を基準とし、光照射領域の四隅の偏光軸の方向を測定し、何度回転しているかを、開き角θとして±θ/2で表したものである。
【0022】
図3に戻り、横軸の0の位置は第1焦点(F1)の位置であり、ずれ量がプラス側(0より右側)は、ランプを第1焦点(F1)からグリッド偏光子側に移動させた場合であり、ずれ量がマイナス側(0より左側)は、ランプを第1焦点(F1)からグリッド偏光子とは反対側に移動させた場合である。
図4は、樋状で断面が放物線状の反射ミラーの焦点距離が20mmの場合において、管の内径が10mm,20mm,26mmの棒状ランプを用いた場合である。
図5は、樋状で断面が放物線状の反射ミラーの焦点距離が25mmの場合において、管の内径が12.5mm,25mm,32.5mmの棒状ランプを用いた場合である。
【0023】
図3,4,5より、次のような知見を導くことができる。
ランプを、第1焦点(F1)に対してグリッド偏光子とは反対側に移動させると、偏光軸のばらつき(軸むら)は大きくなる。
しかし、反射ミラーの第1焦点(F1)の位置が異なっても、ランプの管の大小によらず、ランプの中心を第1焦点(F1)に配置した場合の偏光軸のばらつき(軸むら)よりも、ランプの中心を、第1焦点(F1)から偏光子側に移動させたほうが偏光軸のばらつき(軸むら)が小さくなる。
したがって、線状の光源と、この光源からの光を反射する樋状で断面が放物線状の反射ミラーと、この光源と反射ミラーで反射された華を偏光するグリッド偏光素子とを備えた偏光光照射装置において、偏光軸のばらつき(軸むら)を小さくするためには、ランプ(の中心)を、反射ミラーの第1焦点と頂点を結ぶ直線上であって、第1焦点と偏光素子の間に配置にするのが良い。
【0024】
しかし、第1焦点(F1)からランプまでの距離が、ある程度以上になると、偏光軸のばらつき(軸むら)は増加に転じる。そのため、偏光軸のばらつき(軸むら)が最も小さくなるランプの位置は、反射ミラーの焦点距離とランプの内径に応じて、あらかじめ実験等で求めておく必要がある。
上記のように、ランプの中心が第1焦点から離れすぎると、偏光軸のばらつきは再び大きくなる。そのため、ランプの中心を第1焦点から偏光素子の方向に移動させる距離は、反射ミラーの焦点距離の1/2程度の距離、例えば、焦点距離が18mmのミラーの場合は9mm、20mmのミラーの場合は10mm、25mmのミラーの場合は12.5mmまでであることが望ましい。
ランプの中心を第1焦点(F1)から偏光子側に移動させたとき、ランプの管の内径は小さい方が、偏光軸のばらつき(軸むら)はより改善される。
【符号の説明】
【0025】
1 棒状ランプ
2 反射ミラー
10 グリッド偏光素子
20 光照射部
30 ワーク
R1 送り出しロール
R2 巻き取りロール


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配向膜に偏光光を照射して光配向を行う偏光光照射装置であって、
拡散光を放射する線状の光源と、該光源からの光を反射する樋状で断面が放物線状の反射ミラーと、
上記光源と上記反射ミラーで反射された光を偏光するグリッド偏光素子とを備え、
上記光源の中心を、上記断面が放物線である反射ミラーの第1焦点と該反射ミラーの放物線の頂点を結ぶ直線上であって、上記第1焦点より上記グリッド偏光素子側に配置した
ことを特徴とする偏光光照射装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−145381(P2011−145381A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4805(P2010−4805)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】