説明

偏光状態安定化方法及び装置、光信号処理システム

【課題】光通信技術に関し、主に光通信に用いられる信号光に対して光の偏光状態を安定化させる技術に関し、光の偏光変動速度に関わらず、複雑な電子回路や制御回路など不要で、多波長の光の偏光状態を一括して安定化する技術を実現する。
【解決手段】102は、入力光を互いに直交する2つの偏光光に分離しかつ異なる経路1,2に導く。107は、経路2上で、偏光を概ね90度回転させる。106は、経路2上で、経路1,2の光路長の差が概略で零になるように調整する。103は、経路1上で、経路1,2の光路長の差が入力光の波長のほぼ整数倍となるように調整する、例えば液晶光変調器である。105は、経路2上で、経路1,2の伝搬損失が同程度となるように調整する。108は、経路1,2を伝搬した2つの偏光光を結合し出力光として出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
光通信技術に関し、主に光通信に用いられる信号光に対して光の偏光状態を安定化させる技術、それを実現する光回路、及び光信号処理への応用技術に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信で用いられる光は偏光度が高く、光ファイバなどにおける気温変化等の環境変化に起因する伝送路条件の変化により、その偏光状態は変動する。そのため、光信号処理素子を含む、光通信に用いられる光素子や光部品などには、信号光の偏光状態に依存せずに動作する偏光無依存動作が求められる。
【0003】
現状、信号光の偏光状態にその動作が依存する光素子/光部品は多い。偏光依存性のある光素子/光部品を適切に動作させるには、光素子/光部品に入力する信号光の偏光をその動作に適切な状態に設定することが不可欠になる。
【0004】
これを実現する主な手法は2通りある。第1の偏光制御手法は、光の偏光状態を能動的に制御し、所望の偏光状態に変換後、光素子/光部品に入力する手法である。第2の偏光制御手法は、いわゆる偏光ダイバーシティと呼ばれるもので、この手法では、光素子/光部品が2つ用意され、任意の偏光状態の光が直交する2つの成分に分離され、それぞれの偏光成分が最適な偏光状態で光素子/光部品に入力され、出力された2つの直交する偏光成分が再び結合させられる。
【0005】
上述の第1の偏光制御手法である、任意の偏光状態をある特定の偏光状態に能動的に制御する従来技術としては、数々のものが提案されている。
第1の偏光制御手法としての基本的な従来技術では、まず、ポラリメータで光の偏光状態がモニターされ、偏光制御器を介して、その偏光状態が所望の状態に変換され出力される。これを具体的に実現するための技術として、下記の第1及び第2の従来技術が知られている。
【0006】
第1の従来技術では、偏光制御器の後段にポラリメータが接続された構成を有し、出力される光の偏光状態がポラリメータでモニターされ、偏光制御器で光の偏光状態が制御され、所望の出力偏光状態に収束させられる。
【0007】
図17に示される第2の従来技術では、λ/4波長板1704を含むポラリメータ1701の後段にピエゾ素子1705を含む偏光制御器1702が接続された構成を有し、ポラリメータ1701で光の偏光状態がモニターされて解析され、ストークスパラメータが抽出される。次に、制御回路1703にて、所望の出力偏光状態に変換するためのジョーンズ行列が算出される。そして、偏光制御器1702が、そのジョーンズ行列の変換処理を実行し、偏光状態を変換する。
【0008】
このような手法に基づく製品の例を次に示す。
・Thorlabs社製(米国)
:Deterministic Polarization Controller - DPC5500
・General Photonics社製(米国)
:RESET-FREE POLARIZATION STABILIZER PolaStay(米国登録商標)
次に、前述した第2の偏光制御手法である偏光ダイバーシティ技術では、図18に示されるように、偏波ビームスプリッタ1801で入力光が直交する2つの偏光成分に分離され、それぞれの偏光成分に対して、偏光依存性のある光部品1802及び1803が2つ
用意され、それぞれが適当な偏光に設定されて各偏光光成分が入力される。そして、出力段にて、2つの光部品1802及び1803から出力される各光が結合され出力される。
【特許文献1】特開2007−264319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上述の第1の偏光制御手法としての第1の従来技術では、偏光状態を追い込むために要する時間が高速応答性を制限するという問題点を有していた。
また、前述の第1の偏光制御手法としての第2の従来技術では、偏光状態がジョーンズ行列に基づき変換されるので、前述の第1の従来技術において必要であった偏光状態を追い込む時間は不要になるため、高速動作が可能になる。第2の従来技術における高速化動作のための主な制限は、ジョーンズ行列の算出に要する時間である。出力偏光状態の精度にも依存するが、この応答時間はミリ秒程度を要し、これ以上の高速動作は難しい。また、第2の従来技術では、能動制御を行うために、制御回路や偏波制御器1702が必要で、構成が複雑になるという問題点を有していた。更に、第2の従来技術は、ポラリメータ1701、偏光制御器1702共に、1波長の光しか制御できないため、異なる波長の光の偏光状態を一括して所望の偏光状態に変換することは原理的にできず、波長分割多重光通信方式(WDM:Wavelength Division Multiplexing)等への適用ができないという問題点を有していた。
【0010】
一方、前述の第2の偏光制御手法としての偏光ダイバーシティ技術では、光素子もしくは光部品(図18の1802、1803)が多波長の光に対して動作するものであれば、多波長の光を同時に扱うことが可能になる。また、前述の第1の偏光制御手法における能動制御方式とは異なり、高速応答制限はない。しかしながら、偏光ダイバーシティ技術では、光素子もしくは光部品が2つ必要になる上、構成が複雑になり又は大型化するといった問題点を有していた。
【0011】
以上、偏光依存性のある光素子/光部品を任意の偏光状態の光に対して動作させる2通りの従来技術について説明したが、偏光ダイバーシティ構成では、基本的に光素子/光部品が2つ必要になる上、装置構成が複雑になる課題があるため、一般に光素子/光部品が高額であることも考慮すると、光素子/光部品の前段で入力光の偏光を所望の状態に変換する手法が有効であり、簡単な構成で、偏光状態の変動速度に依存せず、かつ、多波長の光の偏光状態を一括して制御できる手法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
課題は、光の偏光変動速度に関わらず、複雑な電子回路や制御回路など不要で、多波長の光の偏光状態を一括して安定化する手法、それを実現する光回路ならびに光信号処理などへのシステム応用技術を提供することにある。
【0013】
以下に示す第1の態様は、入力光の偏光状態を安定化させ、その入力光の偏光状態に無依存に一定の偏光状態を有する出力光を出力するための装置を前提とする。入力光は、互いに異なる偏光状態の複数の異なる波長の偏光成分を含むことができる。
【0014】
分離素子(102)は、入力光を互いに直交する2つの偏光光に分離しかつ異なる2つの経路に導く。この分離素子は例えば、1つの直角プリズムの斜面に誘電体多層膜又は金属薄膜のコーティングを施し、その斜面と他の1つの直角プリズムの斜面とを有機系接着剤で張り合わせた光素子である。
【0015】
偏光回転素子(107)は、2つの経路のうちの1つにおいて、偏光を概ね90度回転させる。この偏光回転素子は例えば、半波長板又はファラデー回転子である。
第1の光路長調整器(106)は、2つの経路のうちの少なくとも一方において、2つの経路における各光路長の差が概略で零になるように調整する。この第1の光路長調整器は例えば、回転可能な平行ガラス板であり、その平行ガラス板を回転させられてその平行ガラス板内を透過する光の伝搬距離を変化させられることにより、2つの経路における各光路長の差が概略で零になるように調整される。あるいは、この第1の光路長調整器は、くさび形の形状のガラス部材であり、そのガラス部材における光の通過位置が調整されることにより、2つの経路における各光路長の差が概略で零になるように調整される。
【0016】
第2の光路長調整器(103)は、2つの経路のうちの少なくとも一方において、2つの経路における各光路長の差が入力光の波長のほぼ整数倍となるように調整する。この第2の光路長調整器は例えば、透明電極を取り付けた2つのガラス板で複数の液晶分子を挟み、その2つの電極に交流電圧を印加することにより、液晶の配向面を回転させ実効屈折率を変化させることにより光の伝搬する実効長を調整し、かつ光の偏光状態を変化させない液晶光変調器である。
【0017】
光減衰器(105)は、2つの経路のうちの少なくとも一方において、2つの経路における各伝搬損失が同程度となるように調整する。この光減衰器は例えば、くさび形の形状を有し、透過する長さに応じてその透過率が大きく変化するように純度を下げたガラス部材であり、そのガラス部材における光の通過位置が調整されることにより、2つの経路における各伝搬損失が同程度となるように調整される。
【0018】
出力素子(108)は、2つの経路を伝搬した2つの偏光光を結合し出力光として出力する。この出力素子は例えば、直角プリズムの斜面にコーティングしたもので2つの経路の方向から2つの光を入力し、その2つの光の半分程度を結合して出力する偏光無依存ビームコンバイナ素子である。
【0019】
上述の態様において、出力素子の後段に設置され、出力光を単一の偏光状態にする偏光子(112)を更に含むように構成することができる。或いは、出力光が出力される光ファイバ上に偏光子を設置することにより、出力光を単一の偏光状態にするように構成されてもよい。
【0020】
上述の態様において、2つの経路の温度を一定に保つ温度調整器(601、602、603)を更に含むように構成することができる。
上述の態様において、出力光の光強度をモニターする出力光強度監視器(701、702、1101、1209)と、そのモニターされる強度の値に基づいて、第2の光路長調整素子における調整を制御する制御器(701、702、1101、1209、110、901、1208)を更に含むように構成することができる。
【0021】
次に、以下に示す第2の態様は、第1の態様の構成を有する偏光状態安定化装置を含む光信号処理システムとして構成される。
偏光状態安定化装置は、任意の偏光状態の単一又は複数の波長を有する入力光の偏光状態を安定化させる。
【0022】
光信号処理装置は、その結果得られる入力光の偏光状態に無依存に一定の偏光状態を有する出力光に対して、特定の光の偏光状態に対してのみ動作する光信号処理を実行する。この光信号処理装置は例えば、非線形媒質を用いて光の波形を整形する光信号処理を行う。また、この光信号処理装置は例えば、非線形媒質を用いて光の波長を変換する光信号処理を行う。更に、光信号処理装置は例えば、局発光と入力信号光とを干渉させてその入力信号光に含まれるデータを受信する光信号処理を行う。
【発明の効果】
【0023】
安定な空間又は光ファイバを光導波路として用い、高精度に光の光路長を調整できる液晶光変調器を用いた構成で、直交する2つの偏光成分に分離し、一方の偏光成分の偏光状態を偏光回転素子で90°程度回転させ、他方の偏光成分の偏光状態と同一の偏光状態に変換する手法により、複雑な制御回路などが不要になり、また、光の偏光状態の変動速度に無依存に動作し、異なる波長の光に対しても動作する偏光安定化を実現でき、偏光依存性のある光素子/光部品全般の偏光無依存動作が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、最良の実施形態について詳細に説明する。
第1の実施形態
図1は、第1の実施形態の構成図である。
【0025】
入力用光ファイバ付きコリメータレンズ101で光モジュール111内の空間に出力された光は、光モジュール111内に配置された光部品に導かれ、出力用光ファイバ付きコリメータレンズ109で再び集光され、光ファイバ内に戻される。
【0026】
光モジュール111内には、偏光ビームスプリッタ(PBS)102、液晶光変調器(LCM)103、#1と#2の2つの全反射ミラー104、光減衰器105、光路長調整器106、偏光回転素子107、偏光無依存ビームコンバイナ(BC)108が設置されている。
【0027】
図1の構成の動作を以下に示す。
光ファイバから出力される光は、入力用光ファイバ付きコリメータレンズ101で平行光線に変換され、光モジュール111内に展開される。
【0028】
偏光ビームスプリッタ102は、入力光をTM偏光成分とTE偏光成分の2つに分離し、異なる2つの経路に導く。偏光ビームスプリッタ102は、直角プリズムの斜面に誘電体多層膜や金属薄膜のコーティングを施し、もう一方の直角プリズムの斜面とを有機系接着剤で張り合わせることで実現できる。
【0029】
ここで、偏光ビームスプリッタ102が用いられているが、必ずしも偏光ビームスプリッタである必要はなく、例えば、一軸性複屈折結晶など、2つの直交する偏光に分離する機能を実現するものであれば、他の物でもよい。
【0030】
図1内の上の経路を経路1、経路1に導かれる光をTM偏光とし、下の経路を経路2、経路2に導かれる光をTE偏光として、以下、説明する。
経路1では、まず、液晶光変調器103が、TM偏光について、その光の伝搬する長さをナノメータ程度の精度で微調整する。この動作原理については、後述する。
【0031】
次に、液晶光変調器103から出力された光は、全反射ミラー104(#1)で反射後、TM偏光のまま偏光無依存ビームコンバイナ108を経由して、出力用光ファイバ付きコリメーレンズ109に導かれる。全反射ミラー104は、ガラス基盤上にアルミニウムなどの金属を蒸着させた金属ミラーや、誘電体膜をコーティングしたものなどで実現できる。
【0032】
経路2に導かれたTE偏光は、光減衰器105で光パワーが調整され、全反射ミラー104(#2)で反射された後、光路長調整器106でその光の伝搬する長さの粗調整が行われ、偏光回転素子107でTE偏光からTM偏光に変換され、偏光無依存ビームコンバイナ108で経路1を伝搬した光と結合されて、出力用光ファイバ付きコリメータレンズ109に出力される。
【0033】
偏光無依存ビームコンバイナ108で経路1と経路2をそれぞれ伝搬した光が結合される際に、両者の光の振幅と位相を等しく(同相に)する必要がある。振幅が等しくないと、図2に示されるように、入力する光の偏光状態に応じて、出力される光の振幅が変わり、偏光依存性の損失が発生してしまう。同相でないと、出力される光の振幅が小さくなり、位相が90°ずれている逆相の場合、光が出力されなくなる。
【0034】
経路1と経路2の出力光の振幅を等しくするために、光減衰器105の減衰量が調整されて、経路2の伝搬損失が経路1の伝搬損失と等しくなるように調整される。図1では、経路2に光減衰器105が配置されているが、光減衰器105がない場合の経路2の伝搬損失が経路1のそれよりも大きい場合は、光減衰器105は経路1上に配置し、経路1の伝搬損失を大きくし、経路2の伝搬損失に一致するようにすればよい。光減衰器105は、図1に示すようなくさび形状の石英に不純物が添加されたガラスで構成され、その機能は、ガラス内を光が伝搬する長さを調整すれことで実現できる。
【0035】
2つの経路の長さは、必ずしも等しくする必要はない。入力する光により求められる精度は異なり、例えば10Gb/s(ギガビット/秒)の伝送速度を有し、NRZ(non-return-to-zero)信号で変調された光では、信号間隔が100ps(ピコ秒)であり、空間では30mm(ミリメートル)程度になるので、この長さに対して十分短くなるように調整されればよい。この条件が満たされれば、図3(a)に示されるような入力信号光に対して、経路差が完全に零でなくてもほぼ零であれば、出力信号光は図3(b)に示されるような状態になり、情報が失われることはない。この程度の調整は経路2に設置している光路長調整器106としてのガラス板を光の経路に対する角度を調整し、光が伝搬するガラス板の長さを変更することで実現できる。必ずしも角度を調整して光の実効的な伝搬距離を調整するものである必要はないし、長さ調整機能は、経路1に設置しても良い。例えば、光路長調整器106は、くさび形の形状のガラス部材で構成され、そのガラス部材における光の通過位置が調整されることにより、2つの経路における各光路長の差が概略で零になるように調整される。
【0036】
一方で、偏光無依存ビームコンバイナ108で光が結合される際には、光の干渉によって結合後の光が弱め合わないように、図4(a)に示されるように、光の位相の精度で2つの経路差が波長の整数倍になるように精密に制御する必要がある。極端な例として、図4(b)に示されるように、経路差が半波長の奇数倍になった場合、即ち、各経路の光が逆相で干渉した場合には、それらを合成した出力はほとんどゼロになってしまう。そこで、図4(a)に示されるように、各経路の光が同相で干渉して合成出力が強くないようにする必要がある。
【0037】
この制御は、液晶光変調器103で実現できる。液晶光変調器103は、液晶分子の配列状態が外部から印加する電界により変化するという電気光学効果を応用したものであり、従来、液晶ディスプレイに代表される表示装置、平面上に複数の液晶制御用電極を設置した空間光変調器、光の波形制御や高速並列処理を特徴とする光学情報処理に用いられていたものである。例えば、下記非特許文献に開示されているが、本実施形態のように光の実効伝搬距離を調整し光の結合を制御する目的で用いられることはなかった。

Programmable femtosecond pulse shaping by use of a multielement liquid-crystal phase modulator: A. M. Weiner, pp.326-328, Optics Letters, Vol. 15, No.16, 1990
【0038】
液晶分子をガラス基盤で挟み、ガラス基盤に取り付けた透明電極に交流源110より出
力される交流電圧を印加すると、印加する電圧振幅に応じて液晶分子の配向面が回転して、液晶光変調器103の実効屈折率が変化し、その結果、光の実効的な経路長が変化する。屈折率変化が光の偏光面に対して垂直に生じるように配向したネマティック液晶を用いると、低損失で光の偏光状態を変えることなく、波長の精度(ナノメートル)で実効長を制御できる。
【0039】
経路2においてTE偏光からTM偏光に偏光状態を変化させる偏光回転素子107は、直線偏光を90°程度回転させる素子で、例えば、いわゆる半波長板と呼ばれる複屈折結晶の薄い板、ファラデー回転子等を使用することができる。
【0040】
出力用光ファイバ付きコリメータレンズ109は、偏光保持型の光ファイバを付けることにより、出力偏光状態を光ファイバ内で一定に保ってもよい。また、2つの経路を伝搬し結合された各光の偏光状態が必ずしも同一でない場合であっても、例えば図5に示されるように、偏光無依存ビームコンバイナ108の後段に偏光子112を設置することにより、単一の偏光状態で光信号を出力できる。
【0041】
なお、偏光子は、光モジュール111内の偏光無依存ビームコンバイナ108の後段ではなく、出力用光ファイバ付きコリメータレンズ109が接続される光ファイバの先に独立して設置されてもよい。
【0042】
以上説明した動作で、任意の偏光状態の光をTM偏光に変換することができる。一度、光減衰器105、液晶光変調器103、光路長調整器106を調整し、その条件を安定に実現すると、入力する光の偏光変動速度に無依存に出力の偏光状態を安定化できる。また、波長依存性の少ない光部品を用いれば、異なる波長の光もしくは複数の異なる波長の光の偏光状態を一括して安定化させることも可能になる。図1及び図5は、原理・動作の説明のために示したものであり、要は、入力光を2つの直交する偏光成分に分離し、一方の偏光成分の偏光方向を90°回転後、同強度、同位相で再び結合することが重要であり、図示した液晶光変調器103、光減衰器105、光路長調整器106、偏光回転素子107の配置場所は、それを実現するような配置であればどのような配置であってもよい。
【0043】
第2の実施形態
図6は、第2の実施形態の構成図である。第1の実施形態における図1の構成と同じ番号が付された部分は、第1の実施形態の場合と同じ動作をする。
【0044】
2つの経路1及び2の長さの経路長の差を波長精度で一定に保持することが重要であることは前述の通りだが、それが光モジュール111の温度など周辺環境変化により変動することも考えられる。
【0045】
第2の実施形態では、この様な環境変化に起因する影響を避ける手段として、図6に示されるように、光モジュール111内の温度を一定に保つ機能を付加する。
具体的には、光モジュール111の底面などにペルチェ601とサーミスタ602を取り付け、サーミスタ602で光モジュール111の温度を監視し、その温度が一定になるようにペルチェ601に流す電流を温度調整器603で制御すれば、光モジュールの温度を安定化でき、環境温度が変動して光回路を安定に動作させることができる。
【0046】
第3の実施形態
図7は、第3の実施形態の構成図である。第1の実施形態における図1の構成と同じ番号が付された部分は、第1の実施形態の場合と同じ動作をする。
【0047】
第3の実施形態は、偏光状態を更に安定に制御するための構成例である。
図7において、光分岐器701が、出力用光ファイバ付きコリメータレンズ109から出力される光のパワーの一部を分岐し、電源コントローラ702が、そのパワーを監視する。
【0048】
経路差が逆相の場合は出力光が零になることは図4(b)にて前述したが、光出力は経路差が光の波長を1周期として周期的に変化し、その大きさは正弦関数になる。そのため、時間変動する監視パワーの時間微分係数を電源コントローラ702で計算し、その時間微分係数が零になるように交流電圧源110から出力される電圧の大きさを制御すれば、出力パワーが最大になり、偏光無依存ビームコンバイナ108で同相条件(図4(a)参照)を常に実現できる。
【0049】
図8は、図7の電源コントローラ702の具体的な構成例を示す図である。図8において、電源コントローラ702は、光分岐器701から得られる光のパワーを検出する光パワーメータ801と、パソコンの機能として実現され光パワーメータ801が出力するパワー信号からパワー変動を検出するパワー変動モニタ部802、及び同じくパソコンの機能として実現されパワー変動モニタ部802が出力するパワー変動を微分して出力する微分出力部803とから構成される。そして、微分出力部803が出力する微分出力信号が、交流電圧源110の出力振幅を制御する。
【0050】
図9は、図8の構成の変形例を示す図である。図9において、微分出力部803から出力される微分出力信号は、電気可変減衰器901に供給される。そして、この電気可変減衰器901が、交流電圧源110から出力される一定振幅の交流電圧の振幅を制御する。
【0051】
図10は、図8及び図9のさらなる変形例を示す図である。図10において、フォトディテクタ1001は、光分岐器701から得られる光信号を電気信号に変換する。微分電子回路1002は、フォトディテクタ1001から出力される電気信号に対して微分演算を実行する。この微分電子回路1002から出力される微分出力信号は、電気可変減衰器901に供給され、ここで、交流電圧源110から出力される一定振幅の交流電圧の振幅が制御される。微分電子回路1002は、1001−1又は1001−2として示されるように、抵抗とコンデンサ、又は抵抗とコンデンサとオペ(OP)アンプとの組合せによって簡単に実現することができる。
【0052】
上述の図8〜図10の構成において、電源コントローラ702が検出すべき光出力信号のパワー変動は、光出力信号自身の伝送速度等には関係なく経路差に対応する低い周波数変動であるため、電源コントローラ702を構成する検出機構には高速応答性は要求されず、低コストで実現することができる。
【0053】
第4の実施形態
図11は、第4の実施形態の構成図である。第1の実施形態における図1の構成及び第3の実施形態における図7の構成と同じ番号が付された部分は、第1及び第3の実施形態の場合と同じ動作をする。また、図8〜図10の構成も、図11の電源コントローラ702に図7の場合と同様に適用される。
【0054】
偏光無依存ビームコンバイナ108では、足し合わされた光の半分は、図8上で下方向に出力される。そこで、この光を第2の出力用光ファイバ付きコリメータレンズ801にて取り出し、電源コントローラ702がその光パワーを監視し安定化を行う。
この場合、出力用光ファイバ付きコリメータレンズ109の後段で光を分岐する必要がなくなるため、光の損失を低減できる。
【0055】
第5の実施形態
図12は、第5の実施形態の構成図である。第1〜第4の実施形態では、光ファイバから入力用光ファイバ付きコリメータレンズ101に入力した光信号は、出力用光ファイバ付きコリメータレンズ109から再び光ファイバに出力されるまで、光モジュール111内の空間を伝送されるが、第5の実施形態では、光ファイバから偏光ビームスプリッタ1201に入力した光信号は、2つの経路に分離させられた後も、各経路を構成する光ファイバ結合の光学部品を通過する。
【0056】
具体的には、入力側の光ファイバに結合している偏光ビームスプリッタ1201は、入力光をTM偏光成分とTE偏光成分の2つに分離し、異なる2つの経路に導く。
図1の場合と同様に、図12内の上の経路を経路1、経路1に導かれる光をTM偏光とし、下の経路を経路2、経路2に導かれる光をTE偏光とする。
【0057】
経路1では、まず、図1の液晶光変調器103と同等の動作をする液晶光変調器1202が、TM偏光について、その光の伝搬する長さをナノメータ程度の精度で微調整する。液晶光変調器1202から出力された光は、光ファイバ内を伝送されて、光カプラ1206にて、経路2を伝搬した光と結合され、出力側の光ファイバに出力される。
【0058】
経路2に導かれたTE偏光は、偏光制御器1203で偏光が90°回転させられてTE偏光からTM偏光に変換され、光減衰器1204で光パワーが調整され、光ディレイ1205でその光の伝搬する長さの粗調整が行われ、光カプラ1206で経路1を伝搬した光と結合される。
【0059】
電源コントローラ1209は、光カプラ1206から分岐して出力される光のパワーを監視し、第3の実施形態の場合と同様に、時間変動する監視パワーの時間微分係数を計算し、その時間微分係数が零になるように交流電圧源1208から出力される電圧の大きさを制御することにより、光カプラ1206において結合される経路1と経路2の各光の同相条件(図4(a)参照)を実現する。
【0060】
上記構成を有する第5の実施形態の基本的な動作原理は、第1の実施形態等の場合と同じであるが、1201〜1206の各光部品間を結合する光ファイバはできるだけ短いことが望ましい。
第5の実施形態では、第1〜第4の実施形態において必要であった#1と#2の2枚の全反射ミラー104が不要になるというメリットがある。
【0061】
第6の実施形態
図13は、図12に示される第5の実施形態の構成の変形例を示す第6の実施形態の構成図である。
第6の実施形態では、経路2だけではなく、経路1上にも、偏光制御器1301、光減衰器1302が挿入され、経路1と経路2の光条件に幅広く対応することができる。
【0062】
第7の実施形態
ある特定の光の偏光状態に対してしか動作しない光信号処理であっても、その前段に第1〜第6の実施形態の何れかの構成を有する偏光安定化回路を配置することにより、任意の偏光状態の単一もしくは複数の波長の光に対しその光信号処理を動作させることが可能になる。偏光依存性のある光信号処理は様々ある、以下にいくつかの信号処理を例として取り上げその概要を第7〜第9の実施形態として示すが、応用例はこれらに限定されるものではない。
【0063】
図14は、第7の実施形態の構成図である。
電気信号に変換することなく光のまま信号光の波形を整形することは重要な技術である
が、光波形整形は偏光依存動作をすることが多い。偏光依存性がある場合でも、第1〜第6の実施形態の何れかの構成を有する偏光安定化回路を光波形整形の前段に設置し、任意の偏光状態の信号光をある特定の偏光状態に安定化させることで、偏光無依存動作を実現できる。
【0064】
図14に示される例は、ゲルマニウムを添加した石英系の高非線形ファイバ、カルコゲナイドガラスなどの非線形媒質内で発生する非線形効果である光カー効果を利用した光波形整形で、第1〜第6の実施形態の何れかの構成を有する偏光安定化回路1401で偏光安定化された入力信号光と、偏光制御器1404を介して入力される励起光1403とが光カプラ1402で結合され、非線形媒質光ファイバ1405内で励起光より入力信号光にエネルギーが移動する割合が入力信号光のパワーに依存する現象を利用して入力信号光の波形が整形され、光フィルタ1406で励起光が除去されて、出力信号光として出力される。
【0065】
このような光波形整形では、非線形媒質光ファイバ1405に入力される入力信号光と励起光との偏光状態が同一であることが必要要件となるため、第1〜第6の実施形態の何れかの構成を有する偏光安定化回路1401は、非常に有効に機能する。
【0066】
第8の実施形態
図15は、第8の実施形態の構成図である。
別の光信号処理である光波長変換も、図15に示されるように、図14の第7の実施形態の旺盛と同様の回路構成で実現できる。
【0067】
今日の光ファイバ通信では伝送容量を増大させるため、複数の波長の光を用い、波長領域で信号を多重するWDM(Wavelength Division Multiplexing)通信方式が広く用いられている。また、柔軟なフォトニックネットワークを実現するために、信号光の波長を変換することが有効であり、効率的な波長変換が求められている。
【0068】
電子回路を用いた場合、WDM信号の波長変換には、まず、一波長ずつ分離後、それぞれの波長に光信号を電気信号に変換するためのフォトディテクタが必要であり、光信号に戻すために異なる波長の光源とデータ変調する機能が不可欠である。これらを再び1つのファイバ内に結合することで、WDM信号の波長変換を実現する必要がある。
【0069】
一方、光信号処理では、非線形媒質内で発生する非線形効果を用いて光のまま一括して波長を変換することができる。ただし、一般に、この非線形効果の発生効率は信号光の偏光状態に依存する。そのため、多波長の信号光の偏光状態を一括して有る特定の状態に変換できると、複雑な偏光ダイバーシティ構造が不要になり、簡単な構成になる。
【0070】
そこで、図15に示されるように、光波長変換のための非線形媒質光ファイバ1405の前段に、第1〜第6の実施形態の何れかの構成を有する偏光安定化回路1401が配置される構成が、きわめて有効である。
【0071】
第9の実施形態
図16は、第9の実施形態の構成図である。
図16に示されるように、入力信号光の受信時に、偏光制御器1604を介して入力する局発光1603を光カプラ1602にて入力信号光と干渉させ、フォトディテクタ1605を介して受信回路1606にてコヒーレント受信を行う場合、入力信号光と局発光が干渉するように、両者の偏光状態を常に同じにする必要がある。入力信号光は、常に安定な偏光状態とは限らないので、一般に、局発光の偏光状態が入力信号光の偏光状態と同じくなるように、偏光の追従機能や、偏光ダイバーシティ構成が必要になる。
【0072】
そこで、図16に示されるように、光カプラ1602の前段に、第1〜第6の実施形態の何れかの構成を有する偏光安定化回路1601が配置することにより、入力信号光の偏光状態を常に一定の状態に保てるので、偏光追従機能や偏光ダイバーシティも不要になる。WDM信号光に対しても本手法は有効である。
【0073】
第1〜第9の実施形態に対する補足
その他、光多重分離や光サンプリングなどの光信号処理があるが、個別の説明は省くが、上述の手法により、処理自体に偏光依存性があっても、第1〜第6の実施形態の何れかの構成を有する偏光安定化回路をその前段に設置することで、偏光無依存動作を実現することが可能になる。
【0074】
以上の第1〜第9の実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
入力光の偏光状態に無依存に一定の偏光状態を有する出力光を出力するための方法であって、
前記入力光を互いに直交する2つの偏光光に分離しかつ異なる2つの経路に導く分離ステップと、
前記2つの経路のうちの1つにおいて、偏光を概ね90度回転させる偏光回転ステップと、
前記2つの経路のうちの少なくとも一方において、前記2つの経路における各光路長の差が概略で零になるように調整する第1の光路長調整ステップと、
前記2つの経路のうちの少なくとも一方において、前記2つの経路における各光路長の差が前記入力光の波長のほぼ整数倍となるように調整する第2の光路長調整ステップと、
前記2つの経路のうちの少なくとも一方において、前記2つの経路における各伝搬損失が同程度となるように調整する伝搬損失調整ステップと、
前記2つの経路を伝搬した2つの前記偏光光を結合し前記出力光として出力する出力ステップと、
を含むことを特徴する偏光状態安定化方法。
(付記2)
前記2つの経路の温度を一定に保つ温度調整ステップを更に含む、
ことを特徴とする付記1に記載の偏光状態安定化方法。
(付記3)
前記出力光の光強度をモニターする出力光強度監視ステップと、
該モニターされる強度の値に基づいて、前記第2の光路長調整ステップにおける調整を制御する制御ステップと、
を更に含むことを特徴とする付記1又は2の何れか1項に記載の偏光状態安定化方法。(付記4)
前記入力光は、互いに異なる偏光状態の複数の異なる波長の偏光成分を含む、
ことを特徴とする付記1乃至3の何れか1項に記載の偏光状態安定化方法。
(付記5)
付記1乃至4の何れか1項に記載の偏光状態安定化方法によって、任意の偏光状態の単一又は複数の波長を有する入力光の偏光状態を安定化させるステップと、
その結果得られる該入力光の偏光状態に無依存に一定の偏光状態を有する出力光に対して、特定の光の偏光状態に対してのみ動作する光信号処理を実行するステップと、
を含むことを特徴とする光信号処理方法。
(付記6)
入力光の偏光状態に無依存に一定の偏光状態を有する出力光を出力するための装置であって、
前記入力光を互いに直交する2つの偏光光に分離しかつ異なる2つの経路に導く分離素
子と、
前記2つの経路のうちの1つにおいて、偏光を概ね90度回転させる偏光回転素子と、
前記2つの経路のうちの少なくとも一方において、前記2つの経路における各光路長の差が概略で零になるように調整する第1の光路長調整器と、
前記2つの経路のうちの少なくとも一方において、前記2つの経路における各光路長の差が前記入力光の波長のほぼ整数倍となるように調整する第2の光路長調整器と、
前記2つの経路のうちの少なくとも一方において、前記2つの経路における各伝搬損失が同程度となるように調整する光減衰器と、
前記2つの経路を伝搬した2つの前記偏光光を結合し前記出力光として出力する出力素子と、
を含むことを特徴する偏光状態安定化装置。
(付記7)
前記分離素子は、1つの直角プリズムの斜面に誘電体多層膜又は金属薄膜のコーティングを施し、該斜面と他の1つの直角プリズムの斜面とを有機系接着剤で張り合わせた光素子である、
ことを特徴する付記6に記載の偏光状態安定化装置。
(付記8)
前記第2の光路長調整器は、透明電極を取り付けた2つのガラス板で複数の液晶分子を挟み、該2つの電極に交流電圧を印加することにより、液晶の配向面を回転させ実効屈折率を変化させることにより光の伝搬する実効長を調整し、かつ光の偏光状態を変化させない液晶光変調器である、
ことを特徴する付記6又は7の何れか1項に記載の偏光状態安定化装置。
(付記9)
前記偏光回転素子は、半波長板又はファラデー回転子である、
ことを特徴する付記6乃至8の何れか1項に記載の偏光状態安定化装置。
(付記10)
前記第1の光路長調整器は、回転可能な平行ガラス板であり、
該平行ガラス板を回転させて該平行ガラス板内を透過する光の伝搬距離を変化させることにより、前記2つの経路における各光路長の差が概略で零になるように調整する、
ことを特徴する付記6乃至9の何れか1項に記載の偏光状態安定化装置。
(付記11)
前記第1の光路長調整器は、くさび形の形状のガラス部材であり、
該ガラス部材における光の通過位置を調整することにより、前記2つの経路における各光路長の差が概略で零になるように調整する、
ことを特徴する付記6乃至9の何れか1項に記載の偏光状態安定化装置。
(付記12)
前記光減衰器は、くさび形の形状を有し、透過する長さに応じてその透過率が大きく変化するように純度を下げたガラス部材であり、
該ガラス部材における光の通過位置を調整することにより、前記2つの経路における各伝搬損失が同程度となるように調整する、
ことを特徴する付記6乃至11の何れか1項に記載の偏光状態安定化装置。
(付記13)
前記出力素子は、直角プリズムの斜面にコーティングしたもので前記2つの経路の方向から2つの光を入力し、該2つの光の半分程度を結合して出力する偏光無依存ビームコンバイナ素子である、
ことを特徴する付記6乃至12の何れか1項に記載の偏光状態安定化装置。
(付記14)
前記出力素子の後段に設置され、前記出力光を単一の偏光状態にする偏光子を更に含む、
ことを特徴する付記6乃至13の何れか1項に記載の偏光状態安定化装置。
(付記15)
前記出力光が出力される光ファイバ上に偏光子を設置することにより、前記出力光を単一の偏光状態にする、
ことを特徴する付記6乃至13の何れか1項に記載の偏光状態安定化装置。
(付記16)
前記2つの経路の温度を一定に保つ温度調整器を更に含む、
ことを特徴する付記6乃至15の何れか1項に記載の偏光状態安定化装置。
(付記17)
前記出力光の光強度をモニターする出力光強度監視器と、
該モニターされる強度の値に基づいて、前記第2の光路長調整素子における調整を制御する制御器と、
を更に含むことを特徴する付記6乃至16の何れか1項に記載の偏光状態安定化装置。(付記18)
前記入力光は、互いに異なる偏光状態の複数の異なる波長の偏光成分を含む、
ことを特徴とする付記6乃至17の何れか1項に記載の偏光状態安定化装置。
(付記19)
任意の偏光状態の単一又は複数の波長を有する入力光の偏光状態を安定化させる付記6乃至18の何れか1項に記載の偏光状態安定化装置と、
その結果得られる前記入力光の偏光状態に無依存に一定の偏光状態を有する出力光に対して、特定の光の偏光状態に対してのみ動作する光信号処理を実行する光信号処理装置と、
を含むことを特徴とする光信号処理システム。
(付記20)
前記光信号処理装置は、非線形媒質を用いて光の波形を整形する光信号処理を行う、
ことを特徴とする付記19に記載の光信号処理システム。
(付記21)
前記光信号処理装置は、非線形媒質を用いて光の波長を変換する光信号処理を行う、
ことを特徴とする付記19に記載の光信号処理システム。
(付記22)
前記光信号処理装置は、局発光と入力信号光とを干渉させて該入力信号光に含まれるデータを受信する光信号処理を行う、
ことを特徴とする付記19に記載の光信号処理システム。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】第1の実施形態の構成図である。
【図2】第1の実施形態の動作説明図(その1)である。
【図3】第1の実施形態の動作説明図(その2)である。
【図4】第1の実施形態の動作説明図(その3)である。
【図5】第1の実施形態の変形例の構成図である。
【図6】第2の実施形態の構成図である。
【図7】第3の実施形態の構成図である。
【図8】電源コントローラ702の具体的な構成例を示す図である。
【図9】図8の変形例を示す図である。
【図10】図8及び図9のさらなる変形例を示す図である。
【図11】第4の実施形態の構成図である。
【図12】第5の実施形態の構成図である。
【図13】第6の実施形態の構成図である。
【図14】第7の実施形態の構成図である。
【図15】第8の実施形態の構成図である。
【図16】第9の実施形態の構成図である。
【図17】第2の従来技術の構成図である。
【図18】偏光ダイバーシティに関する従来技術の構成図である。
【符号の説明】
【0076】
101 入力用光ファイバ付きコリメータレンズ
102、1201 偏光ビームスプリッタ(PBS)
103、1202 液晶光変調器(LCM)
104 全反射ミラー
105、1204、1302 光減衰器
106 光路長調整器
107 偏光回転素子
108 偏光無依存ビームコンバイナ(BC)
109 出力用光ファイバ付きコリメータレンズ
110、1208 交流電圧源
111 光モジュール
112 偏光子
601 ペルチェ
602 サーミスタ
603 温度調整器
701 光分岐器
702、1209 電源コントローラ
801 光パワーメータ
802 パワー変動モニタ部
803 微分出力部
901 電気可変減衰器
1001 フォトディテクタ
1002 微分電子回路
1101 第2の出力用光ファイバ付きコリメータ109
1203、1301、1404、1604 偏光制御器
1205 光ディレイ
1206、1402、1602 光カプラ
1401、1601 第1〜第6の実施形態の何れかの構成を有する偏光安定化回路1405 非線形媒質光ファイバ
1406 光フィルタ
1403 励起光
1603 局発光
1605 フォトディテクタ
1606 受信回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力光の偏光状態に無依存に一定の偏光状態を有する出力光を出力するための方法であって、
前記入力光を互いに直交する2つの偏光光に分離しかつ異なる2つの経路に導く分離ステップと、
前記2つの経路のうちの1つにおいて、偏光を概ね90度回転させる偏光回転ステップと、
前記2つの経路のうちの少なくとも一方において、前記2つの経路における各光路長の差が概略で零になるように調整する第1の光路長調整ステップと、
前記2つの経路のうちの少なくとも一方において、前記2つの経路における各光路長の差が前記入力光の波長のほぼ整数倍となるように調整する第2の光路長調整ステップと、
前記2つの経路のうちの少なくとも一方において、前記2つの経路における各伝搬損失が同程度となるように調整する伝搬損失調整ステップと、
前記2つの経路を伝搬した2つの前記偏光光を結合し前記出力光として出力する出力ステップと、
を含むことを特徴する偏光状態安定化方法。
【請求項2】
入力光の偏光状態に無依存に一定の偏光状態を有する出力光を出力するための装置であって、
前記入力光を互いに直交する2つの偏光光に分離しかつ異なる2つの経路に導く分離素子と、
前記2つの経路のうちの1つにおいて、偏光を概ね90度回転させる偏光回転素子と、
前記2つの経路のうちの少なくとも一方において、前記2つの経路における各光路長の差が概略で零になるように調整する第1の光路長調整器と、
前記2つの経路のうちの少なくとも一方において、前記2つの経路における各光路長の差が前記入力光の波長のほぼ整数倍となるように調整する第2の光路長調整器と、
前記2つの経路のうちの少なくとも一方において、前記2つの経路における各伝搬損失が同程度となるように調整する光減衰器と、
前記2つの経路を伝搬した2つの前記偏光光を結合し前記出力光として出力する出力素子と、
を含むことを特徴する偏光状態安定化装置。
【請求項3】
前記第2の光路長調整器は、透明電極を取り付けた2つのガラス板で複数の液晶分子を挟み、該2つの電極に交流電圧を印加することにより、液晶の配向面を回転させ実効屈折率を変化させることにより光の伝搬する実効長を調整し、かつ光の偏光状態を変化させない液晶光変調器である、
ことを特徴する請求項2に記載の偏光状態安定化装置。
【請求項4】
前記2つの経路の温度を一定に保つ温度調整器を更に含む、
ことを特徴する請求項2又は3の何れか1項に記載の偏光状態安定化装置。
【請求項5】
前記出力光の光強度をモニターする出力光強度監視器と、
該モニターされる強度の値に基づいて、前記第2の光路長調整素子における調整を制御する制御器と、
を更に含むことを特徴する請求項2乃至4の何れか1項に記載の偏光状態安定化装置。
【請求項6】
前記入力光は、互いに異なる偏光状態の複数の異なる波長の偏光成分を含む、
ことを特徴とする請求項2乃至5の何れか1項に記載の偏光状態安定化装置。
【請求項7】
任意の偏光状態の単一又は複数の波長を有する入力光の偏光状態を安定化させる請求項2乃至6の何れか1項に記載の偏光状態安定化装置と、
その結果得られる前記入力光の偏光状態に無依存に一定の偏光状態を有する出力光に対して、特定の光の偏光状態に対してのみ動作する光信号処理を実行する光信号処理装置と、
を含むことを特徴とする光信号処理システム。
【請求項8】
前記光信号処理装置は、非線形媒質を用いて光の波形を整形する光信号処理を行う、
ことを特徴とする請求項7に記載の光信号処理システム。
【請求項9】
前記光信号処理装置は、非線形媒質を用いて光の波長を変換する光信号処理を行う、
ことを特徴とする請求項7に記載の光信号処理システム。
【請求項10】
前記光信号処理装置は、局発光と入力信号光とを干渉させて該入力信号光に含まれるデータを受信する光信号処理を行う、
ことを特徴とする請求項7に記載の光信号処理システム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−60656(P2010−60656A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223905(P2008−223905)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】