説明

偏光膜保護フィルムの製造方法、偏光膜保護フィルム、偏光板及びそれを用いた液晶表示装置

【課題】高延伸倍率で延伸しても明暗ムラを抑えられる光拡散性の偏光膜保護フィルムの製造方法と偏光膜保護フィルム、当該偏光膜保護フィルムが具備された偏光板及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】少なくとも二種の樹脂を含有するドープを流延してウェブを形成する製膜工程と、該ウェブを延伸する延伸工程とを有する偏光膜保護フィルムの製造方法であって、該ウェブが海を形成する連続相と島を形成する独立相からなる海島構造を有し、延伸前の該ウェブにおいて該海を形成する樹脂の、延伸温度における弾性率と、該ウェブにおいて該島を形成する樹脂の前記延伸温度における弾性率が特定の範囲にあることを特徴とする偏光膜保護フィルムの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光膜保護フィルムの製造方法、偏光膜保護フィルム、偏光板、及びそれを用いた液晶表示装置に関し、さらに詳しくは、高延伸倍率で延伸され、かつ液晶表示装置の経時による明暗ムラを抑えられる偏光膜保護フィルムの製造方法と、その製造方法により製造された偏光膜保護フィルム、及び当該偏光膜保護フィルムが具備された偏光板及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(以下、「LCD」ともいう。)は、バックライトユニット、液晶セル及び偏光板を含む。偏光板は通常、液晶セルを挟んで視認側と背面側(バックライト側)に配置されており、各々の偏光板は、偏光膜保護フィルム(「偏光板用保護フィルム又は偏光板保護フィルム」ともいう。)と偏光膜(「偏光子」ともいう。)とからなる。偏光膜としては、ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素にて染色し、延伸を行ったものがよく用いられており、その両面が偏光膜保護フィルムで覆われている。偏光膜保護フィルムとしては、優れた透湿性があり偏光膜との接着性に優れたセルローストリアセテート(TAC)フィルムが多く用いられている。
【0003】
液晶表示装置は、CRTに比べて低消費電力・薄型化が可能なことから、表示装置として普及し、需要も拡大している。近年では、大型化が進行しており、そのため、液晶表示装置を構成する偏光膜保護フィルムに関しても広幅面積(幅2000mm以上)のものが求められている。偏光膜保護フィルムは溶液又は溶融状態の樹脂をベルト上に流延し、それを延伸して製造されるのが一般的である。そのため、広幅化を行うためには、一般的には延伸倍率を大きくする手法が採られるが、延伸倍率を大きくすると、従来の製品では見られなかったスリット不良などの問題が発生する。その際の課題に関して種々の方法で改善がなされている。例えば、特許文献1には、延伸後のフィルムに対して破断点伸度や引き裂き強度を規定することで、機械強度などを改善させている。
【0004】
また、近年は、TVを壁に掛けて使用する用途も増え、薄型化が進行している。そのため、バックライトとパネル背面の距離が近くなっている。また、液晶表示装置が薄くなることから、光源と視認側の光出射位置は近くなるため、背面側偏光板のバックライト側偏光膜保護フィルムに光拡散性を付与し、光源ムラを消去する要望も高まっている。
【0005】
また、セルに使用されるガラス又は樹脂基板も薄くなることで、パネルはより反りやすくなってきている。ここで、延伸倍率の大きいフィルムを使用すると、熱収縮率が大きいので、液晶パネルの反りが防止できず、経時により明暗ムラが発生する。特に、背面側偏光板のうち、接着剤を介して基板と接着しないバックライト側偏光膜保護フィルムには、一層の熱収縮制御が求められている。
【0006】
また、液晶表示装置の薄型化により、パネル発光位置と光出射位置が近くなることから光源ムラを消す要望も高まっている。
【0007】
特許文献1の光学フィルムは、高延伸倍率で延伸することによる広幅の光学フィルムについて、ヘイズの抑制、スリット適性の改善、またこの光学フィルムを用いた偏光板の寸法変化、反り、色むらの抑制を目的としたものであるが、熱収縮制御についての改善課題については触れられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−1383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、高延伸倍率で延伸されても熱収縮率が小さい偏光膜保護フィルムの製造方法と当該製造方法により製造される偏光膜保護フィルムを提供することである。また、当該偏光膜保護フィルムが具備された偏光板及び液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、海島構造を有する光拡散性フィルムの製造において、海を形成する樹脂と島を形成する樹脂の延伸温度におけるそれぞれの弾性率に着目して延伸条件を設定することによって、幅2000mm以上の広幅フィルムを作製できることを見いだし本発明に至った。
【0011】
本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも二種の樹脂を含有するドープを流延してウェブを形成する製膜工程と、該ウェブを延伸する延伸工程とを有する偏光膜保護フィルムの製造方法であって、該ウェブが海を形成する連続相と島を形成する独立相からなる海島構造を有し、延伸前の該ウェブにおいて該海を形成する樹脂の、延伸温度における弾性率をA、該ウェブにおいて該島を形成する樹脂の前記延伸温度における弾性率をBとしたときに、前記Aと前記Bが、下記式(1)と式(2)を満たし、前記延伸工程において該ウェブを延伸前に比べて40%以上幅方向に延伸することを特徴とする偏光膜保護フィルムの製造方法。
式(1):A≦1000MPa
式(2):500MPa≦(B−A)≦1500MPa
2.前記延伸工程において、延伸することによって幅2000mm以上とすることを特徴とする第1項に記載の偏光膜保護フィルムの製造方法。
3.第1項又は第2項に記載の製造方法で作製された偏光膜保護フィルムを、80℃の温水中に10秒間浸漬したときの最大加熱収縮率を示す方向の収縮率が、20%以下であることを特徴とする偏光膜保護フィルム。
4.前記偏光膜保護フィルムの内部ヘイズ値が、15%以下であることを特徴とする第3項に記載の偏光膜保護フィルム。
5.前記海と前記島を形成する樹脂が、セルロースエステル樹脂を含有することを特徴とする第3項又は第4項に記載の偏光膜保護フィルム。
6.前記島を形成する樹脂が、セルロースエステル樹脂を含有し、前記海を形成する樹脂が、アクリル樹脂を含有することを特徴とする第3項又は第4項に記載の偏光膜保護フィルム。
7.前記偏光膜保護フィルムが可塑剤を含有し、前記海を形成する樹脂のSP値と該可塑剤のSP値との差の絶対値が、1.5(MPa)1/2以下であることを特徴とする第3項から第6項のいずれか一項に記載の偏光膜保護フィルム。
8.前記偏光膜保護フィルムの一方の表面ヘイズ値と内部ヘイズ値の合計が、30〜45%の範囲内であることを特徴とする第3項から第7項のいずれか一項に記載の偏光膜保護フィルム。
9.第3項から第8項のいずれか一項に記載の偏光膜保護フィルムが、具備されていることを特徴とする偏光板。
10.第9項に記載の偏光板が、具備されていることを特徴とする液晶表示装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明の上記手段により、高延伸倍率で延伸しても熱収縮率を抑えられたフィルムを得ることができるため、液晶表示装置の経時による明暗ムラを抑えられる光拡散性の偏光膜保護フィルムを提供することができる。また、当該偏光膜保護フィルムが具備された偏光板、液晶表示装置を提供することができる。
【0013】
本発明の効果の発現機構については明確ではないが、以下のように推察している。
【0014】
液晶表示装置では、画像表示の際、常にバックライトが点灯しており、偏光板によって光透過を無くして黒表示を行っている。偏光膜保護フィルムに熱収縮がかかると、基板と接着している方の偏光膜保護フィルムに応力がかかり、光弾性による複屈折が発生して不必要な偏光変化が生じ、視認側の偏光板の吸収軸と偏光がずれ、光漏れが生じる。すなわち、黒表示なのに光が抜ける現象が発生する。面内での応力のかかり方は場所によって異なり、そのため面内での光抜け度合も異なるため、明暗ムラが発生する。
【0015】
本発明の製造方法によって作製された偏光膜保護フィルムでは、上記の条件で海島相分離したフィルムを延伸すると、延伸時に島領域は変形させず、海領域のみを延伸させることができるため、熱により収縮しようとしても、島領域が変形しないので、収縮を抑制することができる。すなわち、弾性率が、1000MPaを超えると延伸時に延伸応力が大きくなるので、海島構造を形成していても、熱収縮を抑制することができなくなってしまい、前述の弾性率Bと弾性率Aの差(B−A)が500MPaより小さいと海樹脂と共に島樹脂にも延伸応力が大きくかかり、熱がかかった際に島領域も収縮が生じてしまうので、熱収縮抑制が起こらなくなり、1500MPaより大きいと延伸中に海島界面でクラックが生じ、内部反射の増加に伴う透過率の低下が生じ、液晶表示装置に組み込んだ際に正面輝度の低下が生じてしまう。
【0016】
本発明の上記手段により、高延伸倍率で延伸しても熱収縮率を抑えられたフィルムを得ることができるため、液晶表示装置の経時による明暗ムラを抑えられる偏光膜保護フィルム、ないしその製造方法を提供することができる。また、当該偏光膜保護フィルムが具備された偏光板、液晶表示装置を提供することができる。また本発明の偏光板保護フィルムでは、光拡散性を付与することができるという効果も得られた。この偏光板保護フィルムを光源側に設置すれば、熱収縮率の小さい光拡散保護フィルムとして使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】溶液流延製膜方法のドープ調製工程、流延工程及び乾燥工程の一例を模式的に示した図
【図2】従来の液晶表示装置の構成の例を模式的に示した図
【図3】本発明の液晶表示装置の構成の例を模式的に示した図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の偏光膜保護フィルムの製造方法は、少なくとも二種の樹脂を含有するドープを流延してウェブを形成する製膜工程と、該ウェブを延伸する延伸工程とを有する偏光膜保護フィルムの製造方法であって、該ウェブが海を形成する連続相と島を形成する独立相からなる海島構造を有し、延伸前の該ウェブにおいて該海を形成する樹脂の、延伸温度における弾性率をA、該ウェブにおいて該島を形成する樹脂の前記延伸温度における弾性率をBとしたときに、前記Aと前記Bが、前記式(1)と式(2)を満たし、前記延伸工程において該ウェブを延伸前に比べて40%以上幅方向に延伸することを特徴とする。
【0019】
この特徴は、請求項1から請求項10までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
【0020】
本発明の実施態様として、延伸工程において、延伸することによって幅2000mm以上とすることで、広幅の偏光膜保護フィルムが得られるので好ましい。
【0021】
また、請求項1又は請求項2の製造方法で作製された偏光膜保護フィルムを、80℃の温水中に10秒間浸漬したときの最大加熱収縮率を示す方向の収縮率が、20%以下である偏光膜保護フィルムであることが、バックライトの熱などの影響を受けにくいので液晶表示装置に用いた時に経時での明暗ムラの発生を抑えられるので好ましい。
【0022】
また、前記偏光膜保護フィルムの内部ヘイズ値が、15%以下であることが、明暗ムラと液晶表示装置の正面輝度を抑える効果があり好ましい。
【0023】
また、前記海と前記島を形成する樹脂が、セルロースエステル系樹脂を含有すると延伸時の抵抗を減らすことができ、より収縮を抑制できる効果があり好ましい。
【0024】
また、前記島を形成する樹脂がセルロースエステル樹脂を含有し、前記海を形成する樹脂がアクリル樹脂を含有すると、偏光膜保護フィルムとして適度に透湿性を下げられ、かつ内部ヘイズ値を適度に高い値にできるので、表面ヘイズのムラを補うことができ、フィルムの透過光散乱性を均一にできる効果が得られるので好ましい。
【0025】
また、前記偏光膜保護フィルムが可塑剤を含有し、前記海を形成する樹脂のSP値と該可塑剤のSP値との差の絶対値が、1.5(MPa)1/2以下であると樹脂との相溶性がよいのでドープ形成時に可塑化効果が得られるので好ましい。海を形成する樹脂のSP値と該可塑剤のSP値との差の絶対値が近いほど、すなわち0〜1.5(MPa)1/2の範囲内であると本発明の効果がより得られやすい。「SP値(溶解度パラメーター:Solubility Parameter)」とは、分子凝集エネルギーの平方根で表される値で、単位は(MPa)1/2であり、25℃における値を指す。
【0026】
また、前記偏光膜保護フィルムの一方の表面ヘイズ値と内部ヘイズ値の合計が、30〜45%であることが、液晶表示装置に組み込んだ際の光源イメージ消去が効果的に行われるので好ましい。
【0027】
本発明の偏光膜保護フィルムは偏光板、及び液晶表示装置に好適に具備され得る。これにより、経時による明暗ムラの発生を抑えた液晶表示装置を得ることができる。
【0028】
本発明において明暗ムラとは、液晶表示装置の局所的な明暗の差(ムラ)が発生する現象をいう。この明暗ムラは、偏光膜保護フィルムの熱収縮率が大きいことによって発生する液晶表示装置の反りによって生じ、特に経時によって発生する。
【0029】
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
【0030】
(本発明の偏光膜保護フィルムの製造方法の概要)
本発明の偏光膜保護フィルムの製造方法は、少なくとも二種の樹脂を含有するドープを流延してウェブを形成する製膜工程と、該ウェブを延伸する延伸工程とを有する偏光膜保護フィルムの製造方法であって、該ウェブが海を形成する連続相と島を形成する独立相からなる海島構造を有し、延伸前の該ウェブにおいて該海を形成する樹脂の、延伸温度における弾性率をA、該ウェブにおいて該島を形成する樹脂の前記延伸温度における弾性率をBとしたときに、前記Aと前記Bが、前記式(1)と式(2)を満たすものであり、前記延伸工程において該ウェブを延伸前に比べて40%以上幅方向に延伸することを特徴とする。
【0031】
本発明の製造方法によれば、高倍率延伸により2000mm以上の広幅の偏光膜保護フィルムであって、かつ液晶表示装置の偏光膜保護フィルムとして用いた時に、経時による明暗ムラを抑えることができる光拡散性の偏光膜保護フィルムの製造方法と当該製造方法により製造される偏光膜保護フィルムを提供することができる。
【0032】
本発明によれば、高延伸倍率で広幅にする際に、海を形成する樹脂の、延伸温度における弾性率Aが1000MPa以下であると、延伸時に島領域は変形させず、海領域のみを延伸させることができるため、熱により収縮しようとしても、島領域が変形しないので、収縮を抑制することができる。一方、海を形成する樹脂の、延伸温度における弾性率Aが1000MPaを超えると延伸時に延伸応力が大きくなるので、海島構造を形成していても、熱収縮を抑制することができなくなってしまう。また、海を形成する樹脂の、延伸温度における弾性率Aと島を形成する樹脂の、延伸温度における弾性率Bとの差(B−A)が、500〜1500MPaの範囲内であると収縮を抑制する効果が得られるが、500MPa未満では、海樹脂と共に島樹脂にも延伸応力が大きくかかり、熱がかかった際に島領域も収縮が生じてしまうので、熱収縮抑制が起こらなくなり、1500MPaより大きいと延伸中に海島界面でクラックが生じ、内部反射の増加に伴う透過率の低下が生じ、液晶表示装置に組み込んだ際に正面輝度の低下が生じてしまう。
【0033】
本発明においては、上記条件下で40%以上延伸を行うことにより2000mm以上の広幅フィルムでも熱収縮率の小さい偏光膜保護フィルムを効率よく得ることができる。
【0034】
本発明において、海を形成する樹脂の、延伸温度における弾性率Aと島を形成する樹脂の、延伸温度における弾性率Bが前記式(1)、式(2)を満たすと、延伸工程においてウェブを延伸したときに島部分の延伸はされないので、島構造の粒状が楕円でなく真円形に近い状態を保ったまま海を形成する樹脂を延伸することができる。従って、島構造の突出状態をコントロールすることができ、透過率の低下を招くことなく、十分な光拡散性を付与することができる。また、熱収縮を抑制できるので、延伸及び熱収縮でクラックが発生したり、正面輝度に影響を及ぼすことがない。また、本発明の偏光膜保護フィルムは選択樹脂の屈折率差や製膜条件や延伸条件により表面粗さを制御することができ、光拡散特性を付与することができるので、光源ムラの消去性に関しても活用できる。
【0035】
なお、本願において、「海島構造」とは、相互に非相溶性の複数(例えば二種)の樹脂成分を混合した場合、混合物の高次構造として、樹脂成分の片方が連続する相の中に、もう一方が島状あるいは粒子状に分散している構造をいう。すなわち、一方の樹脂が海に相当する連続相(マトリクス)となり、他方が島に相当する独立層(分散相)となることで形成される構造をいう。
【0036】
本発明の製造方法によって製造された偏光膜保護フィルムは、海領域と島領域からなる海島相分離構造からなり、最大加熱収縮率を示す方向の収縮率が20%以下であることを特徴とする。この収縮率が20%より大きいと、バックライト熱などによるフィルム収縮の影響が発生し、液晶表示装置の経時での明暗ムラの抑制が十分に行われない。
【0037】
また、偏光膜保護フィルムの一形態としては、内部ヘイズ値が、15%以下の範囲であることが好ましい。内部ヘイズが上記範囲内にあると、明暗ムラを効果的に抑制できるほか、液晶表示装置の正面輝度の抑制もできる。また、内部ヘイズ値は、モアレ縞の抑制、正面輝度の低下防止の観点から、0.15〜15%の範囲内にあることが好ましい。内部ヘイズ値のより好ましい範囲は、0.5〜15%である。
【0038】
また、上記の範囲に内部ヘイズ値を調整するにあたり、使用する樹脂としては海領域と島領域共にセルロースエステル系の樹脂を用いることが好ましい。
【0039】
また、海領域樹脂と可塑剤のSP値の差の絶対値が1.5(MPa)1/2以内の可塑剤を含むことが好ましい。上記範囲の可塑剤を含むことで、可塑化効果により、樹脂の弾性率が低下し、延伸時の抵抗を減らすことができるので、内部歪みの少ない膜とすることができるので、より収縮を抑制でき、経時の明暗ムラをより抑えることができる。SP値差の絶対値が1.5(MPa)1/2より大きいものを使用すると、樹脂との相溶性が低いため、明暗ムラが改善されないばかりか、不相溶の異物となって存在してしまい、液晶表示装置に組み込んだ際に、正面輝度が低下してしまう。
【0040】
また、本発明においては、偏光膜保護フィルムの一方の表面ヘイズ値と内部ヘイズ値の合計の範囲が30〜45%であることが好ましい。上述の範囲であると、液晶表示装置に組み込んだ際の光源イメージ消去が効果的に行われる。45%より大きいと、正面輝度が低下してしまう。また、30%未満だと光源イメージ消去が不十分である。ここで、「一方の表面ヘイズ値と内部ヘイズ値の合計」について以下に説明する。
【0041】
本発明の偏光膜保護フィルムは、海島構造による両面凹凸形状を有するものであり、両面の凹凸と内部の海島構造の効果で光拡散性効果を発揮するが、偏光板としたときには、偏光膜と粘着剤を介して接着される。そのため粘着剤の効果で粘着剤と接する面の偏光膜保護フィルムの光拡散性効果は失われてしまう。従って、本発明の偏光膜保護フィルムを偏光板に用いた時の光拡散性を評価するためには、偏光膜保護フィルムの一方の面の光拡散効果を無くして測定する必要がある。本発明では、偏光膜保護フィルムの一方の面にグリセリンを塗布することで、一方の面の光拡散効果を無くした状態のヘイズ値を測定し、光拡散効果の尺度とした。
【0042】
また、上記の簡易に内部ヘイズを調整するにあたり、使用する樹脂としては海領域にアクリル系の樹脂、島領域にセルロースエステル系の樹脂を用いることが好ましい。
【0043】
偏光膜保護フィルムの「収縮率」、「一方の表面ヘイズ値と内部ヘイズ値の合計」、「内部ヘイズ値」の測定は下記に示す方法で求められる。
【0044】
(収縮率の測定法)
収縮率は、偏光膜保護フィルムを10cmピースに切り出し、80℃の温水槽に10秒間浸漬した後、寸法を測定し、浸漬前の原寸に対する最大収縮方向の収縮量の比率を%で算出して求められる。
【0045】
(一方の表面ヘイズ値と内部ヘイズ値の合計の測定法)
一方の表面ヘイズ値と内部ヘイズの合計は、フィルムサンプルを6cmピースに切り出し、片面にグリセリンを塗布し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S9111、MATSUNAMI製)に屈折率1.47のグリセリンを介して貼りつけ、一方の表面の光学特性を除去した状態でJIS K7136に準じて、ヘイズを測定し、別途測定したガラス板のみのヘイズ値を引いた値をフィルムの一方の表面ヘイズ値と内部ヘイズ値の合計として求められる。なお、ヘイズ値の測定はヘイズメーター(NDH2000型、日本電色工業(株)製)を用いて測定できる。
【0046】
(内部ヘイズ値の測定法)
内部ヘイズは、フィルムサンプルを6cmピースに切り出し、両面に屈折率1.47のグリセリンを塗布し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて表裏より挟んで、完全に2枚のガラス板とフィルムを光学的に密着させることによって、表面の凹凸による影響が出ないような状態にして、フィルム内部の海島構造によるヘイズのみを測定できるようにして、JIS K7136に準じてヘイズ値を測定する。次いで、別途測定したガラス板2枚の間にグリセリンのみを挟みこんで測定したヘイズ値を引いた値をフィルムの内部ヘイズ値として算出し、求められる。なお、ヘイズ値の測定はヘイズメーター(NDH2000型、日本電色工業(株)製)を用いて測定できる。
【0047】
(樹脂)
本発明に使用できる樹脂は、例えば、セルロースエステル樹脂(以下、「セルロースエステル」ともいう)、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン系樹脂(脂環式オレフィン系樹脂を含む)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(2,6−キシレノールの重合体など)、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ゴム又はエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン系ゴム、スチレ−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど)などから適当に組み合わせて選択できる。なかでも、一種にセルロースエステル樹脂を用いることが好ましい。また、総アシル置換度や置換基の異なる異種のセルロースエステルを組み合わせてもよいし、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類などのセルロース誘導体をセルロースエステルと組み合わせて使用することも好ましい。
【0048】
セルロースエステルとしては、例えば、脂肪族有機酸エステル(セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート;セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのC1−6有機酸エステルなど)、芳香族有機酸エステル(セルロースフタレート、セルロースベンゾエートなどのC7−12芳香族カルボン酸エステル)などが挙げられる。
【0049】
スチレン系樹脂には、スチレン系単量体の単独又は共重合体(ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体など)、スチレン系単量体と他の重合性単量体((メタ)アクリル系単量体、無水マレイン酸、マレイミド系単量体、ジエン類など)との共重合体などが含まれる。スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレンと(メタ)アクリル系単量体との共重合体[スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体など]、スチレン−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。好ましいスチレン系樹脂には、ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル系単量体との共重合体[スチレン−メタクリル酸メチル共重合体などのスチレンとメタクリル酸メチルを主成分とする共重合体]、AS樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体などが含まれる。
【0050】
(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体、(メタ)アクリル系単量体と共重合性単量体との共重合体が使用できる。(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸C1−10アルキル;(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリール;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル;トリシクロデカンなどの脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートなどが例示できる。共重合性単量体には、前記スチレン系単量体、ビニルエステル系単量体、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸などが例示できる。これらの単量体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0051】
(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが挙げられる。好ましい(メタ)アクリル系樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキル、特にメタクリル酸メチルを主成分(50〜100質量%、好ましくは70〜100質量%程度)とするメタクリル酸メチル系樹脂が挙げられる。
【0052】
ビニルエステル系樹脂としては、ビニルエステル系単量体の単独又は共重合体(ポリ酢酸ビニル、ポリプロピオン酸ビニルなど)、ビニルエステル系単量体と共重合性単量体と共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)又はそれらの誘導体が挙げられる。ビニルエステル系樹脂の誘導体には、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール樹脂などが含まれる。
【0053】
ビニルエーテル系樹脂としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルt−ブチルエーテルなどのビニルC1−10アルキルエーテルの単独又は共重合体、ビニルC1−10アルキルエーテルと共重合性単量体との共重合体(ビニルアルキルエーテル−無水マレイン酸共重合体など)が挙げられる。
【0054】
ハロゲン含有樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
【0055】
オレフィン系樹脂には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィンの単独重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などの共重合体が挙げられる。脂環式オレフィン系樹脂としては、環状オレフィン(ノルボルネン、ジシクロペンタジエンなど)の単独又は共重合体(例えば、立体的に剛直なトリシクロデカンなどの脂環式炭化水素基を有する重合体など)、前記環状オレフィンと共重合性単量体との共重合体(エチレン−ノルボルネン共重合体、プロピレン−ノルボルネン共重合体など)などが例示できる。脂環式オレフィン系樹脂は、例えば、商品名「アートン(ARTON)」、商品名「ゼオネックス(ZEONEX)」などとして入手できる。
【0056】
ポリカーボネート系樹脂には、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートなどが含まれる。
【0057】
ポリエステル系樹脂には、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸を用いた芳香族ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリC2−4アルキレンテレフタレートやポリC2−4アルキレンナフタレートなどのホモポリエステル、C2−4アルキレンアリレート単位(C2−4アルキレンテレフタレート及び/又はC2−4アルキレンナフタレート単位)を主成分(例えば、50質量%以上)として含むコポリエステルなど)が例示できる。コポリエステルとしては、ポリC2−4アルキレンアリレートの構成単位のうち、C2−4アルキレングリコールの一部を、ポリオキシC2−4アルキレングリコール、C6−10アルキレングリコール、脂環式ジオール(シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなど)、芳香環を有するジオール(フルオレノン側鎖を有する9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、ビスフェノールA、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体など)などで置換したコポリエステル、芳香族ジカルボン酸の一部を、フタル酸、イソフタル酸などの非対称芳香族ジカルボン酸、アジピン酸などの脂肪族C6−12ジカルボン酸などで置換したコポリエステルが含まれる。ポリエステル系樹脂には、ポリアリレート系樹脂、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸を用いた脂肪族ポリエステル、ε−カプロラクトンなどのラクトンの単独又は共重合体も含まれる。好ましいポリエステル系樹脂は、通常、非結晶性コポリエステル(例えば、C2−4アルキレンアリレート系コポリエステルなど)などのように非結晶性である。
【0058】
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド、ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸など)とジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン)とから得られるポリアミドなどが挙げられる。ポリアミド系樹脂には、ε−カプロラクタムなどのラクタムの単独又は共重合体であってもよく、ホモポリアミドに限らずコポリアミドであってもよい。
【0059】
本発明においては、セルロースエステルとセルロース誘導体を組み合わせて混合してもよく、セルロース誘導体のうちセルロースエステル類としては、例えば、脂肪族有機酸エステル(セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート;セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのC1−6有機酸エステルなど)、芳香族有機酸エステル(セルロースフタレート、セルロースベンゾエートなどのC7−12芳香族カルボン酸エステル)、無機酸エステル類(例えば、リン酸セルロース、硫酸セルロースなど)例示でき、酢酸・硝酸セルロースエステルなどの混合酸エステルであってもよい。セルロース誘導体には、セルロースカーバメート類(例えば、セルロースフェニルカーバメートなど)、セルロースエーテル類(例えば、シアノエチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシC2−4アルキルセルロース;メチルセルロース、エチルセルロースなどのC1−6アルキルセルロース;カルボキシメチルセルロース又はその塩、ベンジルセルロース、アセチルアルキルセルロースなど)も含まれる。
【0060】
好ましい樹脂には、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂、及びゴム又はエラストマーなどが含まれる。通常、非結晶性であり、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーを溶解可能な共通溶媒)に可溶な樹脂が使用される。特に、製膜性や透明性の高い樹脂、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類)などが好ましい。
【0061】
海を形成する樹脂のガラス転移温度は、例えば、−100〜250℃、好ましくは−50〜230℃、さらに好ましくは0〜200℃程度(例えば、50〜180℃程度)の範囲から選択できる。なお、本発明において、島を形成する樹脂としては、ガラス転移温度が150℃以上であるものを用いることが好ましい。
【0062】
島を形成する樹脂と海を形成する樹脂との割合は、例えば、(島を形成する樹脂)/(海を形成する樹脂)=10/90〜50/50(質量比)、好ましくは15/85〜45/55(質量比)、更に好ましくは20/80〜40/60(質量比)程度の範囲から選択できる。
【0063】
本発明において、島を形成する樹脂と海を形成する樹脂の少なくともいずれか一方の重量平均分子量(Mw)が180000以上であることが好ましい。島を形成する樹脂と海を形成する樹脂の少なくともいずれか一方の重量平均分子量(Mw)がこの範囲であれば、フィルムの脆性を改良することができるので好ましい。
【0064】
(可塑剤)
本発明においては、組成物の流動性や柔軟性を向上するために可塑剤を併用することも可能である。可塑剤としては、フタル酸エステル系、脂肪酸エステル系、トリメリット酸エステル系、リン酸エステル系、ポリエステル系、エポキシ系、あるいは糖エステル化合物等が挙げられる。
【0065】
この中で、ポリエステル系とフタル酸エステル系の可塑剤が好ましく用いられる。ポリエステル系可塑剤は、フタル酸ジオクチルなどのフタル酸エステル系の可塑剤に比べて非移行性や耐抽出性に優れるが、可塑化効果や相溶性にはやや劣る。
【0066】
従って、用途に応じてこれらの可塑剤を選択、あるいは併用することによって、広範囲の用途に適用できる。
【0067】
ポリエステル系可塑剤は、一価ないし四価のカルボン酸と一価ないし六価のアルコールとの反応物であるが、主に二価カルボン酸とグリコールとを反応させて得られたものが用いられる。代表的な二価カルボン酸としては、グルタル酸、イタコン酸、アジピン酸、フタル酸、アゼライン酸、セバシン酸などが挙げられる。
【0068】
特に、アジピン酸、フタル酸などを用いると可塑化特性に優れたものが得られる。グリコールとしてはエチレン、プロピレン、1,3−ブチレン、1,4−ブチレン、1,6−ヘキサメチレン、ネオペンチレン、ジエチレン、トリエチレン、ジプロピレンなどのグリコールが挙げられる。これらの二価カルボン酸及びグリコールはそれぞれ単独で、あるいは混合して使用してもよい。
【0069】
このエステル系の可塑剤はエステル、オリゴエステル、ポリエステルの型のいずれでもよく、分子量は100〜10000の範囲が良いが、好ましくは600〜3000の範囲が、可塑化効果が大きい。
【0070】
また、可塑剤の粘度は分子構造や分子量と相関があるが、アジピン酸系可塑剤の場合相溶性、可塑化効率の関係から200〜5000MPa・s(25℃)の範囲が良い。さらに、いくつかのポリエステル系可塑剤を併用してもかまわない。
【0071】
本発明に用いられる可塑剤としては、海を形成する樹脂のSP値との差の絶対値が、1.5(MPa)1/2である可塑剤が、延伸時のフィルムの内部歪みを小さくする効果があり好ましい。
【0072】
可塑剤は本発明の偏光膜保護フィルムを形成する樹脂100質量部に対して、0.5〜30質量部を添加するのが好ましい。可塑剤の添加量が30質量部を越えると、表面がべとつくので、実用上好ましくない。
【0073】
(紫外線吸収剤)
本発明の偏光膜保護フィルムは、紫外線吸収剤を含有することも好ましく、用いられる紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、2−ヒドロキシベンゾフェノン系又はサリチル酸フェニルエステル系のもの等が挙げられる。例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類を例示することができる。
【0074】
ここで、紫外線吸収剤のうちでも、分子量が400以上の紫外線吸収剤は、高沸点で揮発しにくく、高温成形時にも飛散しにくいため、比較的少量の添加で効果的に耐候性を改良することができる。
【0075】
分子量が400以上の紫外線吸収剤としては、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系、さらには2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の分子内にヒンダードフェノールとヒンダードアミンの構造を共に有するハイブリッド系のものが挙げられ、これらは単独で、あるいは二種以上を併用して使用することができる。これらのうちでも、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾールや2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が特に好ましい。
【0076】
(その他添加剤)
本発明の偏光膜保護フィルムには、目的に応じて種々の化合物等を添加剤として含有させることができる。例えば、可塑剤、酸化防止剤、酸捕捉剤、光安定剤、光学異方性制御剤、帯電防止剤、剥離剤、等を含有させることができる。
【0077】
〈弾性率の測定〉
各樹脂の弾性率は、まず各樹脂単体でのドープを作製・流延し、延伸部分を幅保持(0%延伸)にして作製し、それを用いて、各延伸温度、55%RHの環境下で、JIS K7127に記載の方法に準じて、引っ張り試験器オリエンテック(株)製テンシロンRTA−100を使用し、試験速度は10mm/分、チャック間距離30mmの条件で試験片の形状は、長手方向(MD方向)及び幅方向(TD方向)にそれぞれ長さ70mm、幅20mmの短冊状に切り出して試験片とし、測定して求められる。
【0078】
〈SP値の測定〉
本願でいう「SP値(溶解度パラメーター:Solubility Parameter)」とは、分子凝集エネルギーの平方根で表される値で、単位は(MPa)1/2であり、25℃における値を指す。「コーティングの基礎科学」原崎勇次著 槇書店 P54−57を参考にし、Fedors法を用いて算出して求められる。
【0079】
<偏光膜保護フィルムの製造方法>
1.ドープの作製
本発明の偏光膜保護フィルムの製造方法を図1に従って説明する。
【0080】
本発明におけるドープとは、海領域と島領域を形成する少なくとも二種類以上の樹脂と該樹脂に対する溶媒を含む溶液を意味する。ドープ中には、前記したその他添加剤等を適宜加えることができる。光散乱性を付与するため、良溶媒と貧溶媒の比率を適宜選択することが好ましい。
【0081】
また、ドープを支持体上に流延するために、粘度調整(固形分及び溶媒の比率)を適宜調整することができる。
【0082】
(良溶媒)
本発明の偏光膜保護フィルムの製造方法において、ドープの作製に用いられる良溶媒とは、使用されるセルロースエステルに対し、40℃での溶解度が15質量%以上の溶媒を意味する。
【0083】
良溶媒としては、使用されるセルロースエステルの種類に応じて適宜選択することになるが、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン等のC3−5ジアルキルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(ギ酸エチル等のギ酸C1−4アルキルエステル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸C1−4アルキルエステル、プロピオン酸エチル、乳酸エチル等)、エーテル類(1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン等の環状又は鎖状C4−6エーテル)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のC1−4アルキル−セロソルブ)、セロソルブアセテート類(メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のC1−4アルキル−セロソルブアセテート)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレン、塩化エチレン等)、アミド類(ホルムアミド、アセトアミド等のアシルアミド類、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のモノ又はジC1−4アシルアミド類)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等のジC1−3アルキルスルホキシド)、ニトリル類(アセトニトリル、クロロアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等C1−6アルキルニトリル、ベンゾニトリル等)、有機酸類(ギ酸、酢酸、プロピオン酸等)、有機酸無水物(無水マレイン酸、無水酢酸等)、及びこれらの混合物から選択できる。
【0084】
より具体的には、ハロゲン化炭化水素、メチルエチルケトン等のC3−5ジアルキルケトン類(特にアセトン、メチルエチルケトン)、酢酸エチル等の酢酸C1−4アルキルエステル類(特に酢酸メチル、酢酸エチル)、ジオキサン、ジメトキシエタン等の環状又は鎖状C4−6エーテル類、メチルセロソルブ等のC1−4アルキル−セロソルブ類(特にメチルセロソルブ、エチルセロソルブ)、メチルセロソルブアセテート等のC1−4アルキル−セロソルブアセテート類(特にメチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート)及びこれらの混合溶媒等が含まれる。特に好ましい良溶媒には少なくともハロゲン化炭化水素類(中でも塩化メチレン)を含む溶媒が含まれる。
【0085】
(貧溶媒)
本発明の偏光膜保護フィルムの製造方法において、ドープの作製に用いられる貧溶媒とは、使用されるセルロースエステルに対する溶解性がないか、又は40℃での溶解度が15質量%未満の溶媒を意味する。
【0086】
貧溶媒としては、使用されるセルロースエステルの種類に応じて適宜選択することになるが、例えば、エステル類(ギ酸アミル、ギ酸イソアミル等のギ酸C5−8アルキルエステル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ヘキシル、酢酸オクチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸3−エトキシブチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸3−メトキシブチル等のC1−4アルコキシ基を有していてもよいC2−4脂肪族カルボン酸C3−10アルキルエステル(例えば、C1−4アルコキシ基を有していてもよい酢酸C4−10アルキルエステル)、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル等の安息香酸C1−4アルキルエステル類)、アルコール類(エタノール、イソプロピルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ジメチルシクロヘキサノール、シクロオクタノール等のC1−4アルキル基が置換していてもよいC4−8シクロアルカノール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキシルアルコール等のC5−8アルコール類、2−ブトキシエタノール、3−ブトキシプロパノール等のC2−6アルコキシ−C1−4アルコール類、フルフリルアルコール等の複素環式アルコール等)、ケトン類(メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン等のC3−10ジアルキルケトン(特にC6−10ジアルキルケトン)、アセトニルアセトン、アセトフェノン等)、エーテル類(メチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ジブチルエーテル、ベンジルエチルエーテル等のC7−10エーテル)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、オクタン、ノナン、デカン等のC5−20脂肪族炭化水素類)及びこれらの混合物が例示できる。
【0087】
本発明の偏光膜保護フィルムの製造方法においては、良溶媒及び貧溶媒の種類、樹脂種類、その他添加剤等により条件は変化させてよい。
【0088】
一つの好ましい態様として、貧溶媒としてエタノール、良溶媒としてメチレンクロライドを選択し、貧溶媒及び良溶媒の比率は1:99〜40:60の間に調整するのが好ましい。
【0089】
ドープ中の総樹脂の濃度は17〜35質量%が好ましく、特に20〜30質量%が好ましい。濃度が高過ぎると流延時に均一に適下されず、膜厚にむらが生じ、薄過ぎると偏光膜保護フィルムの膜厚が十分に得られないことや製造上溶媒乾燥に時間が掛かる等の課題が出る場合がある。
2.流延工程(製膜工程)
流延工程とは、ドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)5を通して加圧ダイ30に送液し、無限に移送する無端の金属支持体31、例えばステンレスベルト、あるいは回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。
【0090】
加圧ダイ30の口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイ30には、コートハンガーダイやTダイ等があり、いずれも好ましく用いられる。金属支持体31の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイ30を金属支持体31上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。あるいは複数のドープを同時に流延する共流延法によって積層構造のフィルムを得ることも好ましい。
【0091】
本発明の偏光膜保護フィルムを流延する場合の温度は、良溶媒の沸点−30℃〜良溶媒の沸点−5℃が好ましい。上記範囲より小さい値だと溶媒蒸発に時間が掛かり、生産に時間が掛かってしまう。また、大きい値だと、溶媒蒸発が急激となり、気泡が多数入り込んでしまい、後方散乱が増え、液晶表示装置に組み込んだ際に正面輝度の低下を起こしてしまう。
【0092】
流延製膜は、平滑な金属支持体31上に行う方法や溶媒や熱により侵されない高分子フィルム上に流延する等の手法を取ることができる。
3.乾燥工程
乾燥工程とは、ウェブ32(流延用支持体上にドープを流延し、形成されたドープ膜を「ウェブ」と呼ぶ。)を流延用支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させる工程である。
【0093】
流延後の乾燥は、均一なサイズの海島構造を引き起こすために制御することが好ましい。乾燥の手段としては、例えば乾燥空気を流延ドープへ吹き当てる方法がある。風圧は、溶媒蒸発の均一性等を考慮し、30〜5000Paであることが好ましい。溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法及び/又は支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱方法が乾燥効率が良く好ましい。また、それらを組み合わせる方法も好ましく用いられる。
【0094】
乾燥工程の温度は、ウェブ中の溶媒が十分に揮発する条件を適宜設定することができる。乾燥工程の温度は、構成樹脂のTg以下とすることが好ましい。後の剥離工程での残留溶媒量を調整するためには、この溶媒蒸発工程での支持体裏面に接触させる液体温度、支持体との接触時間等を適宜調整すればよい。
【0095】
偏光膜保護フィルムの光散乱性を付与若しくは機械強度を上げる観点から、乾燥工程中に二軸テンター等を用いてフィルムを把持、若しくは延伸を行い乾燥することも好ましい。
4.延伸工程
剥離後、ウェブを乾燥装置内に複数配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置35、及び/又はクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター延伸装置34を用いて、ウェブを乾燥する。
【0096】
乾燥手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウェーブを当てて加熱する手段もある。余り急激な乾燥は出来上がりのフィルムの平面性を損ね易い。高温による乾燥は残留溶媒が8質量%以下くらいから行うのがよい。全体を通し、乾燥はおおむね40〜250℃で行われる。
【0097】
テンター延伸装置を用いる場合は、テンターの左右把持手段によってフィルムの把持長(把持開始から把持終了までの距離)を左右で独立に制御できる装置を用いることが好ましい。また、テンター工程において、平面性を改善するため意図的に異なる温度を持つ区画を作ることも好ましい。
【0098】
また、異なる温度区画の間にそれぞれの区画が干渉を起こさないように、ニュートラルゾーンを設けることも好ましい。
【0099】
なお、延伸操作は多段階に分割して実施してもよく、流延方向、幅手方向に二軸延伸を実施することも好ましい。また、二軸延伸を行う場合には同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。
【0100】
この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。即ち、例えば、次のような延伸ステップも可能である。
【0101】
・流延方向に延伸−幅手方向に延伸−流延方向に延伸−流延方向に延伸
・幅手方向に延伸−幅手方向に延伸−流延方向に延伸−流延方向に延伸
また、同時二軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を、張力を緩和して収縮させる場合も含まれる。
【0102】
テンター延伸を行う場合の乾燥温度は、30〜200℃以内が好ましく、100〜200℃以内が更に好ましい。
【0103】
本発明の偏光膜保護フィルムの製造方法においては、延伸前のウェブにおいて海を形成する樹脂の、延伸温度における弾性率Aが島を形成する樹脂の延伸温度における弾性率Bが前述の式(1)、式(2)を満たす延伸温度で、延伸前に比べて40%以上延伸することによって行われる。海の弾性率が大きすぎると海島構造であっても収縮率が大きくなってしまう。また、海島の弾性率差がないと、島も延伸されてしまうので収縮率が大きくなる。また、海島の弾性率差が大きすぎると、延伸時に界面でクラック発生し、内部ヘイズが上昇して、液晶表示装置に組み込んだ際に正面輝度が低下してしまう。
【0104】
また、本発明においては、下記式(I)であらわされる延伸速度が、20〜300%/分以内であることが好ましい。
【0105】
式(I):延伸速度(%/分)={(延伸後幅手寸法/延伸前幅手寸法)−1}×100(%)/延伸にかかる時間(分)
延伸速度が生産性や品質の観点から設定することができるが、20%/分以上であれば、生産性に支障がなく、300%/分以下であれば、延伸時にクラック等の故障が発生しにくくなるので好ましい。
【0106】
テンター工程において、雰囲気の幅手方向の温度分布が少ないことが、フィルムの均一性を高める観点から好ましく、テンター工程での幅手方向の温度分布は、±5℃以内が好ましく、±2℃以内がより好ましく、±1℃以内が最も好ましい。
5.巻き取り工程
ウェブ中の残留溶媒量が2質量%以下となってからフィルムとして巻き取り機37により巻き取る工程であり、残留溶媒量を0.4質量%以下にすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることができる。特に0.00〜0.10質量%で巻き取ることが好ましい。
【0107】
巻き取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使いわければよい。
【0108】
本発明の方法で製造されたフィルムは、長尺フィルムであることが好ましく、具体的には、100m〜5000m程度のものを示し、通常、ロール状で提供される形態のものである。また、フィルム幅は2.0〜4mであることが好ましい。
【0109】
また、本発明の方法で製造されたフィルムは、厚さが20μm以上であることが好ましい。より好ましくは30μm以上である。厚さの上限は限定されるものではないが、溶液製膜法でフィルム化する場合には、塗布性、発泡、溶媒乾燥等の観点から、上限は250μm程度である。好ましくは125μm以下、より好ましくは60μm以下である。
【0110】
(算術表面粗さRa)
本発明の方法で製造された偏光膜保護フィルムは、少なくとも一方の面におけるJIS B0601−2001に基づく算術表面粗さRaが、0.08〜2.0μmの範囲内であることが好ましい。Raの値が、0.08μm以上であると十分な散乱効果を得ることができ、モアレ縞を解消できる。Raが2.0μm以下であれば、表示装置化したときに正面輝度が低下するのを効果的に抑制することができる。
【0111】
算術表面粗さRaは、JIS B0601−2001に準じた測定器、例えば、オリンパス(株)製、3Dレーザー顕微鏡LEXT OLS4000や、小坂研究所(株)製、サーフコーダー MODEL SE−3500などを用いて測定することができる。
【0112】
(偏光板)
上記本発明の偏光膜保護フィルムを用いる場合、偏光板は一般的な方法で作製することができる。本発明の偏光膜保護フィルムの裏面側に粘着層を設け、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、貼り合わせることが好ましい。
【0113】
もう一方の面には本発明の偏光膜保護フィルムを用いても、別の偏光膜保護フィルムを用いてもよい。例えば、市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC8UE、KC4UE、KC4FR−3、KC4FR−4、KC4HR−1、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、以上コニカミノルタオプト(株)製)等が好ましく用いられる。
【0114】
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。
【0115】
偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。
【0116】
上記粘着層に用いられる粘着剤としては、粘着層の少なくとも一部分において25℃での貯蔵弾性率が1.0×10〜1.0×10Paの範囲である粘着剤が用いられていることが好ましく、粘着剤を塗布し、貼り合わせた後に種々の化学反応により高分子量体又は架橋構造を形成する硬化型粘着剤が好適に用いられる。
【0117】
具体例としては、例えば、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、水性高分子−イソシアネート系粘着剤、熱硬化型アクリル粘着剤等の硬化型粘着剤、湿気硬化ウレタン粘着剤、ポリエーテルメタクリレート型、エステル系メタクリレート型、酸化型ポリエーテルメタクリレート等の嫌気性粘着剤、シアノアクリレート系の瞬間粘着剤、アクリレートとペルオキシド系の二液型瞬間粘着剤等が挙げられる。
【0118】
上記粘着剤としては一液型であっても良いし、使用前に二液以上を混合して使用する型であっても良い。
【0119】
また、上記粘着剤は有機溶剤を媒体とする溶剤系であってもよいし、水を主成分とする媒体であるエマルジョン型、コロイド分散液型、水溶液型などの水系であってもよいし、無溶剤型であってもよい。上記粘着剤液の濃度は、粘着後の膜厚、塗布方法、塗布条件等により適宜決定されれば良く、通常は0.1〜50質量%である。
【0120】
(液晶表示装置)
従来の液晶表示装置の構成の例としては、直下型では、図2(a)に示すように、光源側から、〔光源1a/拡散板3a/集光シート4a(プリズムシートなど)/上拡散シート5a/液晶パネル12a(偏光膜10a/保護フィルム(位相差フィルムなど)9a/基板8a/液晶セル7a/保護フィルム11a)〕となっており、主にテレビ等大型LCDに用いられている構成である。一方、サイドライト型の構成は、図2(b)に示すように、光源1aが発光光源2a及び導光板13aで構成されており、主にモニタ、モバイル用途などの小型LCDに用いられている。
【0121】
下拡散シートは主にバックライトユニット(BLU)6aの面内輝度ムラを低減するための光拡散性の強い光学シートであり、集光シートは拡散光を液晶表示装置の正面方向(表示装置平面の法線方向)に集光させるための光学シートであり、上拡散シートは集光シートであるプリズムシートや液晶セル中の画素など周期的構造により発生するモアレを低減するための、及び下拡散シートで除去しきれない面内輝度ムラをさらに低減するために用いられる光学シートである。
【0122】
本発明の液晶表示装置においては、図3(a)及び(b)に示すように、上拡散シートの代わりに、背面側偏光板の偏光膜保護フィルムに光拡散性を付与し(フィルム14a)、上拡散シートと同様以上の性能を発揮させるものであり、このような構成とすることで、正面輝度を低下させることなくモアレ縞を抑制することができる。さらに本発明の偏光膜保護フィルムを塗布工程や複雑な工程を必要とせずに製造できること、また、このように上拡散シートを除去した構成とすることで、液晶表示装置全体のコストダウンを実現できる。
【0123】
本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板を用い、本発明の偏光膜保護フィルム、又は本発明の偏光膜保護フィルムの製造方法で得られた偏光膜保護フィルムが液晶パネルに対して外側の偏光板、すなわち背面側に配置されている偏光板に用いられる。背面側偏光板とは、図2において、液晶パネル12aの両側の偏光板のうち、バックライト側の偏光板をいう。
【0124】
液晶表示装置は、典型的には視認側と背面側の2枚の偏光板により液晶パネルを挟んだ配置をとる。本発明の偏光膜保護フィルムを備えた背面側偏光板を用い、偏光板と液晶パネルを接着する際、本発明の偏光膜保護フィルムを空気界面側(液晶パネルに対して外側)となるように配置し、液晶表示装置を作ることによって、経時の明暗ムラを抑えられ、かつ光源の均一化が行われる。
【実施例】
【0125】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0126】
〔ドープの調製〕
(ドープ液組成)
島領域樹脂(島を形成する樹脂) 表1参照
海領域樹脂(海を形成する樹脂) 表1参照
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 50質量部
可塑剤 10質量部
上記組成物を密閉容器に投入し、攪拌しながら溶解してドープ液No.101〜113を調製した。使用した樹脂の種類と質量部は表1に示す。
【0127】
【表1】

CE1:セルローストリアセテート(重量平均分子量140000、アセチル置換度2.89、ガラス転移温度182℃)
CE2:セルロースジアセテート(重量平均分子量150000、アセチル置換度2.41、ガラス転移温度189℃)
CE3:セルロースアセテートプロピオネート(重量平均分子量150000、アセチル置換度0.19、プロピオニル置換度2.58、ガラス転移温度147℃)
CE4:セルロースアセテートプロピオネート(重量平均分子量132000、アセチル置換度1.56、プロピオニル置換度0.9、ガラス転移温度178℃)
CE5:セルロースジアセテート(重量平均分子量140000、アセチル置換度2.37、ガラス転移温度193℃)
PMMA:ポリメタクリル酸メチル(VB−7103、三菱レイヨン社製、重量平均分子量300000、ガラス転移温度105℃)
TPX:メチルペンテンポリマー(三井化学株式会社製)
添加剤A:トリフェニルホスフェイト
添加剤B:アクリル系化合物(UMM−1001、綜研化学株式会社製)
添加剤C:ポリエステル系化合物
添加剤D:糖エステル化合物A
添加剤E:フタル酸ジブチル
【化1】

粒子A:架橋アクリル粒子5μm(ケミスノーMRシリーズ、綜研化学株式会社製)
〈SP値の測定〉
SP値(Solubility Parameter:溶解性パラメータ)は、分子凝集エネルギーの平方根で表される値で、単位は(MPa)1/2であり、25℃における値を指し、「コーティングの基礎科学」原崎勇次著 槇書店 P54−57を参考にし、Fedors法を用いて算出して求めた。
【0128】
(偏光膜保護フィルムの製膜)
上記作製したドープ液No.101を、無端ベルト流延装置を用い、ドープ液を温度33℃、2000mm幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は30℃に制御した。
【0129】
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力130N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。
【0130】
剥離したウェブを35℃で溶媒を蒸発させ、1.5m幅にスリットし、その後、テンターで幅方向に表2に記載の温度、延伸倍率で延伸し、120℃の乾燥温度で乾燥させた。
【0131】
テンターで延伸後、120℃で5分間緩和を行った後、100℃、110℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、2.1m幅のフィルムを得た。このフィルムを1.8m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm高さ5μmのナーリング加工を施し、初期張力220N/m、終張力110N/mで内径15.24cmコアに巻き取り、偏光膜保護フィルムNo.101を得た。
【0132】
ドープ液、延伸温度、延伸倍率を表2のように変えた以外はNo.101と同様にして、偏光膜保護フィルムNo.102〜119を作製した。
【0133】
(偏光膜保護フィルムの評価)
〈弾性率の測定〉
各樹脂の弾性率は、まず各樹脂単体でのドープを作製し、延伸部分を幅保持(0%延伸)にした以外は上記と同様にフィルムを作製し、それを用いて、各延伸温度、55%RHの環境下で、JIS K7127に記載の方法に準じて、引っ張り試験器オリエンテック(株)製テンシロンRTA−100を使用し、試験片の形状は1号形試験片で、試験速度は10mm/分の条件で測定して求めた。
【0134】
〈偏光膜保護フィルムの一方の表面ヘイズ値と内部ヘイズ値の合計の測定〉
偏光膜保護フィルムの一方の表面ヘイズ値と内部ヘイズ値の合計の測定は、フィルムサンプルを6cmピースに切り出し、片面にグリセリンを塗布し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S9111、MATSUNAMI製)にグリセリンを介して貼りつけ、片表面の光学特性を除去した状態でJIS K7136に準じて、ヘイズを測定し、別途測定したガラス板のみのヘイズ値を引いた値をフィルムの一方の表面ヘイズ値と内部ヘイズ値の合計として算出した。なお、ヘイズの測定はヘイズメーター(NDH2000型、日本電色工業(株)製)を用いて測定した。
【0135】
〈偏光膜保護フィルムの内部ヘイズ値の測定〉
一方の表面ヘイズ値と内部ヘイズ値の合計の測定と同様に、フィルムサンプルを6cmピースに切り出し、両面にグリセリンを塗布し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて表裏より挟んで、完全に2枚のガラス板とフィルムを光学的に密着させ、JIS K7136に準じてヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にグリセリンのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ値として算出した。なお、ヘイズの測定はヘイズメーター(NDH2000型、日本電色工業(株)製)を用いて測定した。
【0136】
〈偏光膜保護フィルムの収縮率の測定〉
偏光膜保護フィルムの収縮率の測定は、偏光膜保護フィルムを10cmピースに切り出し、80℃の温水槽に10秒間浸漬した後、寸法を測定し、浸漬前の原寸に対する最大収縮方向の収縮量の比率を%で算出した。
【0137】
以上の測定結果を表2に示した。
【0138】
【表2】

表2の結果から分かるように本発明の偏光膜保護フィルムは、海領域樹脂の弾性率が1000MPaより小さく、かつ海領域樹脂と島領域樹脂の弾性率差が500MPa以上の際に、熱収縮率を低減できている。また、海領域樹脂と島領域樹脂の弾性率差が1500MPa以下の際に、内部ヘイズ値の上昇を防げている。また、海領域樹脂のSP値と該可塑剤のSP値との差の絶対値が、1.5(MPa)1/2以下である可塑剤を使用した際に、一方の表面ヘイズ値と内部ヘイズ値の合計値の上昇を防げている結果になっており、偏光膜保護フィルムとして好ましい特性を有している。
【0139】
(偏光板の作製)
作製した偏光膜保護フィルムNo.101〜119と、コニカミノルタオプト(株)製KC6UA−SWを50℃2NのKOH水溶液を用いて60秒間ケン化処理を行い、水洗、乾燥させ、以下のようにして偏光板加工を行った。
【0140】
厚さ、75μmのポリビニルアルコールフィルムを、35℃の水で膨潤させこれをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム3g、ホウ酸7.5g、水100gからなる45℃の水溶液に浸漬し一軸延伸(温度55℃、延伸倍率5倍)した。これを水洗、乾燥し偏光膜を得た。
【0141】
次いで、前記偏光膜の両側に前記ケン化済み保護膜(KC6UA−SWと偏光膜保護フィルムNo.101)を、水糊を用いて、両保護膜で偏光膜をサンドイッチする形にして圧力20〜30N/cm、搬送スピードは約10m/分で貼合し、70℃で約2分間、次いで60℃で約2分の乾燥処理を行い、偏光板No.101を作製した。偏光膜保護フィルムNo.101の代わりに偏光膜保護フィルムNo.102〜119を用いた以外は偏光板No.101と同様にして、偏光板No.102〜119を作製した。
【0142】
(液晶表示装置の作製)
作製した偏光板No.101〜119を、42インチ液晶カラーテレビ(レグザ42R1、株式会社 東芝製)のバックライトユニットの最表部にある偏光分離シートを除去し、代わりにプリズムシート(BEF II 90/50、3M社製)を2枚、プリズム列が平行になるように配置させ、本発明の偏光板が背面側、さらに、本発明の偏光膜保護フィルムがバックライト側に来るように液晶パネルを配置し、液晶表示装置No.101〜119を作製した。
【0143】
(液晶表示装置の評価)
〈正面輝度〉
作製した液晶表示装置を用いて、バックライトを点灯させた状態で白表示を画面で表示させ、分光放射輝度計(CS2000、コニカミノルタセンシング株式会社製)を用いて、50cmの距離から0.1°視野の条件で正面輝度を測定した。作製した偏光板の偏光膜保護フィルムの代わりにKC6UY(コニカミノルタオプト(株)製)を積層した偏光板の状態からの、各偏光板での正面輝度低下率から、下記基準に従って正面輝度の評価を行った。
【0144】
正面輝度低下率={(サンプルの測定値−KC6UYでの測定値)/KC6UYでの測定値}×100(%)
◎:正面輝度低下率が−3%以上
○:正面輝度低下率が−3%より小さく、−5%以上
△:正面輝度低下率が−5%より小さく−10%以上
×:正面輝度低下−10%より小さい
〈明暗ムラの測定〉
作製した液晶表示装置を、黒表示させ、60℃、湿度95%RHの環境下で48時間放置し、処理後、そのまま25℃、60%RHの暗室環境に移し、下記基準に従って明暗ムラを評価した。
【0145】
◎:明暗ムラが全く見えない
○:明暗ムラが若干見える
×:明暗ムラがはっきり見える
〈光源イメージ消去性〉
作製した液晶表示装置のバックライトユニットに搭載されているプリズムシート2枚と拡散板を外し、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp:冷陰極管)が直接見える状態にして、同様に液晶パネルを配置させ、この状態で画面を白表示させ、その際の画面の見え方から、下記基準に従って光源イメージ消去性を評価した。
【0146】
◎:光源の形状が全く見えない
○:光源の形状がほとんど見えない
×:光源の形状がはっきり見える
各評価結果を表3に示す。
【0147】
【表3】

表3に示した結果から明らかなように、本発明の偏光膜保護フィルムの製造方法により、高延伸倍率に延伸されても液晶表示装置の経時による明暗ムラを抑えられ、かつ正面輝度や光源イメージ消去性にも優れた偏光膜保護フィルム、偏光板、液晶表示装置を提供できる。
【符号の説明】
【0148】
1 溶解釜
3、6、12、15 濾過器
4、13 ストックタンク
5、14 送液ポンプ
8、16 導管
10 紫外線吸収剤仕込釜
20 合流管
21 混合機
30 ダイ
31 金属支持体(金属ベルト)
32 ウェブ
33 剥離位置
34 テンター装置
35 ロール乾燥装置
41 粒子仕込釜
42 ストックタンク
43 ポンプ
44 濾過器
1a 光源
2a 発光光源
3a 下拡散シート(又は拡散板)
4a 集光シート(プリズムシート、レンズシート)
5a 上拡散シート
6a バックライトユニット
7a 液晶セル
8a 透明基板(ガラス、プラスチック)
9a 保護フィルム(又は位相差フィルム)
10a 偏光膜
11a 保護フィルム
12a 液晶パネル
13a 導光板
14a 本発明の偏光膜保護フィルム(光拡散性)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二種の樹脂を含有するドープを流延してウェブを形成する製膜工程と、該ウェブを延伸する延伸工程とを有する偏光膜保護フィルムの製造方法であって、該ウェブが海を形成する連続相と島を形成する独立相からなる海島構造を有し、延伸前の該ウェブにおいて該海を形成する樹脂の、延伸温度における弾性率をA、該ウェブにおいて該島を形成する樹脂の前記延伸温度における弾性率をBとしたときに、前記Aと前記Bが、下記式(1)と式(2)を満たし、前記延伸工程において該ウェブを延伸前に比べて40%以上幅方向に延伸することを特徴とする偏光膜保護フィルムの製造方法。
式(1):A≦1000MPa
式(2):500MPa≦(B−A)≦1500MPa
【請求項2】
前記延伸工程において、延伸することによって幅2000mm以上とすることを特徴とする請求項1に記載の偏光膜保護フィルムの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の製造方法で作製された偏光膜保護フィルムを、80℃の温水中に10秒間浸漬したときの最大加熱収縮率を示す方向の収縮率が、20%以下であることを特徴とする偏光膜保護フィルム。
【請求項4】
前記偏光膜保護フィルムの内部ヘイズ値が、15%以下であることを特徴とする請求項3に記載の偏光膜保護フィルム。
【請求項5】
前記海と前記島を形成する樹脂が、セルロースエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の偏光膜保護フィルム。
【請求項6】
前記島を形成する樹脂が、セルロースエステル樹脂を含有し、前記海を形成する樹脂が、アクリル樹脂を含有することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の偏光膜保護フィルム。
【請求項7】
前記偏光膜保護フィルムが可塑剤を含有し、前記海を形成する樹脂のSP値と該可塑剤のSP値との差の絶対値が、1.5(MPa)1/2以下であることを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の偏光膜保護フィルム。
【請求項8】
前記偏光膜保護フィルムの一方の表面ヘイズ値と内部ヘイズ値の合計が、30〜45%の範囲内であることを特徴とする請求項3から請求項7のいずれか一項に記載の偏光膜保護フィルム。
【請求項9】
請求項3から請求項8のいずれか一項に記載の偏光膜保護フィルムが、具備されていることを特徴とする偏光板。
【請求項10】
請求項9に記載の偏光板が、具備されていることを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−109116(P2013−109116A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253447(P2011−253447)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】