説明

偏波モード分散補償方法及び偏波モード分散補償装置

【課題】被補償光信号の時間波形を歪ませること無く、かつ短時間で、PMDを補償する方法及びPMD補償装置を提供する。
【解決手段】主光信号補償部304は、第1偏波面コントローラ310と第1DGD補償器 312とを具えている。補償信号生成部306は、第2偏波面コントローラ314と、第2DGD補償器 316と、偏波解析器318と、制御信号生成部320とを具えている。モニター光信号303bは、第2偏波面コントローラ及び第2DGD補償器 によって、PMD補償モニター光信号317に変換される。偏波解析器は、PMD補償モニター光信号のストークスパラメータ信号319を生成して出力する。制御信号生成部は、第1補償パラメータ信号321a及び第2補償パラメータ信号321bを生成して、それぞれ第1偏波面コントローラ及び第1DGD補償器 に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光伝送システムにおいて、偏波モード分散に起因して生じる光パルスの時間波形の歪みを除去する、偏波モード分散補償方法及び偏波モード分散補償装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光伝送システムにおいて伝送速度が高速になる程、偏波モード分散(PMD: Polarization Mode Dispersion)に起因して発生する光パルスの時間波形の歪が伝送品質に与える影響が大きくなり、PMDを補償する必要性が高まる。PMDは、光伝送路を構成する光ファイバに加えられる曲げ応力、温度変化、あるいは光ファイバの製造過程においてコアの断面形状が僅かに楕円形状となる等の影響によって、光ファイバに複屈折性が発現することに起因する。図1(A)から(C)を参照して、このPMDによって、この光ファイバを伝播する光パルスの時間波形が歪む現象を説明する。
【0003】
図1(A)から(C)は、複屈折性を有する光ファイバを光パルスが伝播する前と後におけるその時間波形の変化の様子を示す図である。図1(A)は、光伝送路10を伝播する前の光パルスのx及びy軸方向の偏波成分についての時間波形と、光伝送路10を伝播した後のx及びy軸方向の偏波成分についての時間波形とを示している。図1(B)は、光伝送路10を伝播する前の光パルスのx及びy軸方向の偏波成分を合成した時間波形を示す図である。図1(C)は、光伝送路10を伝播した後の光パルスのx及びy軸方向の偏波成分を合成した時間波形を示す図である。図1(A)から(C)において、時間波形は横軸方向に時間軸をとって、その光強度を模式的に示してある。
【0004】
光伝送路10を伝播する前の光パルス20のx及びy軸方向の偏波成分(以後、固有偏光モードということもある)は、時間軸上でそのピーク位置が一致している。従って、伝送前の信号を構成する光パルス20の時間波形は、x及びy軸方向の偏波成分を合成したものであるから、図1(B)に示すように単峰性のパルス波形である。光パルス20が光伝送路10を伝播すると、光伝送路10の有する複屈折性に起因して、光パルス20のxとy軸方向の偏波成分の間に伝播時間差、すなわち群遅延差(DGD:Differential Group Delay)が生じる。この現象がPMDである。PMDによって、光伝送路10から出力される伝送後の信号を構成する光パルス22の時間波形は、図2(C)に示すように、単峰性ではなく双峰性のピークを複数持つ歪んだ光パルスとなる。
【0005】
伝送によって生じる光パルスの時間波形の歪量を少なくするための偏波モード分散補償装置(以後、PMD補償装置ということもある)には、従来、光段補償方法と電気段補償方法の2通りの方法が知られている。光段補償方法として、偏光度(DOP: Degree of Polarization)をモニターして、DGDを補償する方法(例えば、特許文献1、2、及び非特許文献1参照)、あるいはスペクトルホールバーンニング(SHB: Spectrum Hole Burning)をモニターしてDGDを補償する方法(非特許文献1参照)が知られている。
【0006】
DOPをモニターしてDGDを補償する方法は、波形歪みの補償の対象である光信号の伝送ビットレートに依存せずに実行できること、及び任意のRZ(Return to Zero)フォーマットの光信号に対しても適用が可能であるという特長を有している。この方法を実施するための、PMD補償装置は、偏波面コントローラ、群遅延差補償器(以後、DGD補償器ということもある)、偏光計、及びこれらを制御するための制御装置を具えて構成される。このPMD補償装置を用いるPMD補償方法には、DOPが最大となるように、偏波面コントローラ及びDGD補償器を適応的に制御し、PMDによる光パルスの時間波形歪を補償するアルゴリズムが利用されている。
【0007】
図2を参照して、従来のPMD補償装置の構成及びその動作を説明する。図2は、従来のPMD補償装置の概略的ブロック構成図である。光信号の通路を太線で示し、電気信号の通路を細線で示してある。
【0008】
PMD補償装置100は、偏波面コントローラ102、DGD補償器104、制御信号生成部106、光カプラ108、及び偏光計110を具えて構成されている。偏波面コントローラ102は、制御信号生成部106から供給される制御信号107aに応じて、入力光信号101の偏光状態を任意に変換することができる。DGD補償器104は、制御信号生成部106から供給される制御信号107bに応じて、偏波面コントローラ102から出力される光信号103の固有偏光モードの一方の偏光モード成分に対して群遅延量を任意に付与することができる。
【0009】
PMD補償装置100においては、入力光信号101に対して以下の第1から第3ステップから成るPMD補償方法が実施される。
【0010】
第1ステップは、入力光信号101に対して、この入力光信号101の2つの固有偏光モードのうちPMD補償装置100に先に到達した固有偏光モード成分の偏波方向と、DGD補償器の遅相軸(Slow axis)の方向とが合致するように、偏波面コントローラ102が制御されるステップである。
【0011】
DGD補償器から出力される光信号105は、光カプラ108で一部分岐されて、光信号109bとして偏光計110に入力される。第2ステップは、この偏光計110において、光信号109bのストークスパラメータを抽出して、DOPを算出するステップである。
【0012】
第3ステップは、制御信号生成部106において、偏光計110から出力されるDOP信号111に基づいて、上述の偏光計110で算出されたDOPが最大と成るように、偏波面コントローラ102及びDGD補償器104へ供給すべき制御信号107a及び107bを算出するステップである。PMDに起因する光パルスの時間波形歪は、DOPが最大のときに最小となることが知られている(例えば、非特許文献1を参照)。
【0013】
上述の第1から第3ステップを繰り返して、フィードバック制御を行うことによって、PMD補償装置100において、光パルスの時間波形歪の補償が実行される。
【0014】
また、光学部品の部品点数を削減し、短時間でPMDを補償する方法として、偏波面コントローラを制御しながら、2つの固有偏波モードを偏光ビームスプリッタで分離して、両偏波成分の強度値に対してアナログ/デジタル変換を行い、電気的な手法に基づき両者の相関値を算出し、この相関値を大きくすべく偏波面コントローラを適応的に制御する方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0015】
光パルスの時間波形歪の補償作業は、光伝送路の外部環境変化に伴うPMDの時間変動に対して、光パルスの時間波形歪量が最小となる最適制御点に収束する時間が短いほど望ましい。これは、光パルスの時間波形歪の補償作業中は、伝送品質が低下するためである。また、更に進んで、最適制御点に収束させる補償作業中も、入力光信号の伝播姿態に影響を与えない方法で、光パルスの時間波形歪の補償動作が実行されることが望ましい。
【特許文献1】特表2006-527386号公報
【特許文献2】特開2006-211507号公報
【特許文献3】特表2005-512455号公報
【非特許文献1】磯村章彦、石川丈二「自動偏波モード分散補償技術の現状と課題」OPTRONICS、2003年、No.10、pp.126〜129.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、従来のDOPをモニターしてDGDを補償する方法に基づくPMD補償装置は、以下の(1)から(3)に記載する問題点があった。
【0017】
(1)被補償光信号である外部から入力された入力光信号に対して、その偏波状態あるいは位相に変化を加えることによって最適制御点を探索する方法であるので、最適制御点に収束するまでの間入力光信号に波形歪が生じ伝送品質が低下する。これは、DOP等を算出するために必要な歪パラメータ(ストークスパラメータ等)を取得するには、上述したように、偏波面コントローラ及びDGD補償器を操作する必要があり、この操作に伴って、被補償光信号の時間波形が歪むからである。
【0018】
(2)被補償光信号の時間波形に影響を与えつつ、DOP等を算出するために必要な歪パラメータを取得する動作を行うので、この影響はできる限り小さく止めることが望まれる。そのため、DOP等を算出するために必要な歪パラメータを取得する動作に係る時間が長くなる手法が取られている。
【0019】
例えば、被補償光信号の偏光状態を確定するパラメータに僅かな変更を加える手法である、ディザリング検索等の手法が利用されることもある(例えば、非特許文献1参照)。このディザリング検索によれば、ディザリング振幅が小さい場合には、最適制御点に収束するまでの過程で一時的な波形歪が抑制される反面、最適制御点に収束するまでの時間が長くなる。一方、ディザリング振幅が大きい場合には、最適制御点に収束するまでの時間は短縮されるが、被補償光信号の時間波形に歪が顕著に現れる。すなわち、最適制御点に収束するまでの時間と、被補償光信号の時間波形に現れる歪量とは、トレードオフの関係にある。
【0020】
(3)被補償光信号の偏光状態が、短時間で大きく変動する状況下では、最適制御点に収束するまでの時間が長くなる可能性がある。また、偏波面コントローラ及びDGD補償器を制御することによるPMD補償方法において、最適制御点に収束するまでの時間よりも、被補償光信号の偏光状態の方が短時間で変動するという事態にもなり得る。このような場合には、被補償光信号のPMD補償は行えないことになる。
【0021】
すなわち、従来のPMD補償方法では、被補償光信号の時間波形を歪ませること無く、被補償光信号の時間波形の歪量が最小となる、最適制御点に短時間で収束させることが困難であった。
【0022】
そこで、この発明の目的は、被補償光信号の時間波形を歪ませること無く、DOPが最大となる歪補正パラメータを検出することが可能であり、かつ短時間でPMDを補償する方法及びこの方法を実現するためのPMD補償装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上述の目的を達成するため、この発明のPMD補償装置は、光分岐器と、主光信号補償部と、補償信号生成部とを具えて構成される。主光信号補償部は、第1偏波面コントローラと第1DGD補償器とを具えている。
【0024】
光分岐器は、外部から入力された入力光信号を主光信号とモニター光信号とに分岐して出力する。補償信号生成部は、モニター光信号から、第1補償パラメータ信号及び第2補償パラメータ信号を生成して、それぞれ第1偏波面コントローラ及び第1DGD補償器に供給する。
【0025】
第1補償パラメータ信号は、第1偏波面コントローラに対して、主光信号の偏波面の回転量を指示する信号であり、第2補償パラメータ信号は、第1DGD補償器に対して、偏波面制御主光信号のDGDを指示する信号である。
【0026】
第1偏波面コントローラは、第1補償パラメータ信号に基づいて主光信号の偏波面を回転制御して、偏波面制御主光信号を生成して出力する。第1DGD補償器は、第2補償パラメータ信号に基づいて偏波面制御主光信号のDGDを減少させて、偏波モード分散補償主光信号(以後、PMD補償主光信号ということもある)を生成して出力する。
【0027】
補償信号生成部は、例えば、以下のとおり構成することが可能である。すなわち、補償信号生成部は、第2偏波面コントローラと、第2DGD補償器と、偏波解析器と、制御信号生成部とを具えて構成される。
【0028】
第2偏波面コントローラは、モニター光信号の偏波面を回転制御して、偏波面制御モニター光信号を生成して出力する。第2DGD補償器は、偏波面制御モニター光信号のDGDを減少させて、偏波モード分散補償モニター光信号(以後、PMD補償モニター光信号ということもある)を生成して出力する。偏波解析器は、PMD補償モニター光信号のストークスパラメータを算出し、該ストークスパラメータを電気信号であるストークスパラメータ信号に変換して出力する。制御信号生成部は、ストークスパラメータ信号から、主光信号の偏波面の回転量を指示する第1補償パラメータ信号、及び偏波面制御主光信号のDGDを指示する第2補償パラメータ信号を生成して、第1偏波面コントローラ及び第1DGD補償器にそれぞれ出力する。
【0029】
また、上述の目的を達成するため、この発明のPMD補償方法は、光分岐ステップと、補償信号生成ステップと、第1偏波面制御ステップと、第1群遅延差補償ステップとを具えて構成される。
【0030】
光分岐ステップは、外部から入力された入力光信号を主光信号とモニター光信号とに分岐して出力するステップである。補償信号生成ステップは、モニター光信号から、主光信号の偏波面の回転量を指示する第1補償パラメータ信号、及び偏波面制御主光信号のDGDを指示する第2補償パラメータ信号を生成して出力するステップである。第1偏波面制御ステップは、第1補償パラメータ信号に基づいて、主光信号の偏波面を回転制御して、偏波面制御主光信号を生成して出力するステップである。第1DGD補償ステップは、第2補償パラメータ信号に基づいて、偏波面制御主光信号のDGDを減少させて、PMD補償主光信号を生成して出力するステップである。
【0031】
上述のこの発明のPMD補償方法は、この発明のPMD補償装置を用いて実施することが可能である。この場合、補償信号生成ステップとして次に示すステップを具えるのが好適である。すなわち、この発明のPMD補償装置を用いたPMD補償方法は、上述のPMD補償方法において、補償信号生成ステップが、偏波面回転角度算出ステップと、DGD算出ステップと、DOP比較ステップと、補償パラメータ信号供給ステップと、PMD補償値設定ステップとを具えて構成される。
【0032】
偏波面回転角度算出ステップは、モニター光信号の偏波面を、第2偏波面コントローラの光軸の向きを回転させつつ、偏波面制御モニター光信号のDOPを測定し、当該DOPが最大となるモニター光信号の偏波面の回転角度を算出するステップである。
【0033】
DGD算出ステップは、モニター光信号の偏波面の回転角度を、偏波面回転角度算出ステップで算出された偏波面の回転角度に固定して、第2DGD補償器によって、偏波面制御モニター光信号のDGDを変化させつつ、PMD補償モニター光信号のDOPを測定し、当該DOPが最大となるPMD補償モニター光信号のDGDを算出するステップである。
【0034】
DOP比較ステップは、算出されたDGDを第2DGD補償器に設定して、PMD補償モニター光信号のDOPを測定し、当該DOPが、予め設定しておいたDOPの最小基準値である、基準DOPを超えているか否かを判定するステップである。
【0035】
補償パラメータ信号供給ステップは、第1補償パラメータ信号を生成して出力すると共に、第2補償パラメータ信号を生成して出力するステップである。第1補償パラメータ信号は、DOP比較ステップで測定されたDOPが、基準DOPを超えている場合における、モニター光信号の偏波面の回転角度を、主光信号の偏波面の回転角度量として指示する信号である。第2補償パラメータ信号は、DOP比較ステップで測定されたDOPが、基準DOPを超えている場合における、偏波面制御モニター光信号のDGDを、偏波面制御主光信号のDGDとして指示する信号である。
【0036】
PMD補償値設定ステップは、第1補償パラメータ信号によって、主光信号の偏波面の回転角度を設定し、かつ第2補償パラメータ信号によって、偏波面制御主光信号のDGDを設定するステップである。
【0037】
また、上述のこの発明のPMD補償方法は、以下に示すステップS10からステップS34を具えて構成し、この発明のPMD補償装置を用いて実施することが可能である。
【0038】
ステップS10は、第2DGD補償器から出力されるPMD補償モニター光信号のDOPの最小基準値である基準DOPを定める基準DOP設定ステップである。
【0039】
ステップS12は、第2偏波面コントローラから出力される偏波面制御モニター光信号のDOPを、第2偏波面コントローラの相異なる複数とおりの回転角度に対して、それぞれDOPを測定する第1 DOP測定ステップである。
【0040】
ステップS14は、ステップS12において取得した、相異なる複数とおりの回転角度に対するDOPの値から、最大のDOPを与える回転角度を算出する回転量算出ステップである。
【0041】
ステップS16は、第2偏波面コントローラをステップS14で求めた回転量だけ回転させて固定する回転ステップである。
【0042】
ステップS22は、第2DGD補償器から出力されるPMD補償モニター光信号のDOPを、第2DGD補償器の相異なる複数とおりの群遅延量に対して、それぞれDOPを測定する第2 DOP測定ステップである。
【0043】
ステップS24は、ステップS22において取得した、相異なる複数とおりの群遅延量に対するDOPの値から、最大のDOPを与える群遅延量を算出する遅延量算出ステップである。
【0044】
ステップS26は、第2DGD補償器にステップS24で求めた群遅延量を設定して固定する群遅延量設定ステップである。
【0045】
ステップS28は、第2偏波面コントローラを、ステップS16において固定された状態のまま、かつ第2DGD補償器を、ステップS26において固定された状態のままで、第2DGD補償器から出力されるPMD補償モニター光信号のDOPを計測するDOP計測ステップである。
【0046】
ステップS30は、ステップS28で計測された前記DOPが、基準DOPを超えているか否かを判定するDOP比較ステップである。
【0047】
ステップS30で否と判定された場合にはステップS12に戻り、基準DOPを超えている場合には、以下のステップS32及びステップS34を実行する。
【0048】
ステップS32は、ステップS14で算出た回転量を与える回転角度を、主光信号の偏波面の回転量を指示する第1補償パラメータ信号として生成して出力すると共に、ステップS24で算出されたDGDを、偏波面制御主光信号のDGDを指示する第2補償パラメータ信号として生成して出力するステップである。
【0049】
ステップS34は、第1補償パラメータ信号によって、主光信号の偏波面の回転角度を設定し、かつ第2補償パラメータ信号によって、偏波面制御主光信号のDGDを設定するPMD補償ステップである。
【0050】
上記ステップS10とステップS12との間に、以下のステップを具えるのがよい。すなわち、ステップS10に引き続いて、第2DGD補償器から出力されるPMD補償モニター光信号のDOPを計測する、通常DOP計測ステップ(ステップS100)と、ステップS100で計測されたDOPが、基準DOPを超えているか否かを判定するDOP比較ステップ(ステップS102)である。ステップS102において、ステップS100で計測されたDOPが基準DOPを超えていると判定された場合にはステップS10に戻り、基準DOPを超えていないと判定された場合には、ステップS12に進む構成とするのが良い。
【発明の効果】
【0051】
この発明のPMD補償装置によれば、光分岐器によって、外部から入力される入力光信号が主光信号とモニター光信号とに分岐される。そして、入力光信号のDOPの計測は、モニター光信号を用いて行われ、DOPの計測中は主光信号には何らの影響も与えない。主光信号は、その時間波形が歪んでいる可能性のある被補償光信号であるから、被補償光信号の時間波形を歪ませること無く、モニター光信号のDOPが計測される。モニター光信号は、入力光信号が分岐されることによって生成された光信号であるから、モニター光信号のDOPは、同様に入力光信号が分岐されることによって生成された主光信号のDOPと等しい。
【0052】
従って、モニター光信号を用いて主光信号のDOPが計測されることとなる。主光信号のDOPが計測されると、後述するように、このDOPの値を基にして、DOPが最大となる歪補正パラメータを検出することが可能である。
【0053】
DOPが最大となる歪補正パラメータが検出されれば、この歪パラメータに基づいて、主光信号のPMDを短時間に補償することが可能である。すなわち主光信号は、上述のDOPの計測中は全く利用されず、主光信号のDOPが最大となる歪補正パラメータの検出は、モニター光信号によって実行されているので、DOPが最大となる歪補正パラメータが検出されれば、このパラメータによって、主光信号のPMDを1回の制御動作のみで、補償することが可能となる。すなわち、主光信号のPMDの補償が短時間で実行することが可能となる。
【0054】
上述のDOPが最大となる歪補正パラメータの検出は、例えば、第2偏波面コントローラと、第2DGD補償器と、偏波解析器と、制御信号生成部とを具えた補償信号生成部によって実施することが可能である。
【0055】
偏波解析器によって、PMD補償モニター光信号のストークスパラメータが算出されるので、このストークスパラメータからDOPが算出される。一方、第2偏波面コントローラによって、モニター光信号の偏波面を回転制御することで、PMD補償モニター光信号の偏波面の回転量に対するDOPの関係を検出することができる。また、第2DGD補償器によって、PMD補償モニター光信号のDGDに対するDOPの関係を検出することができる。
【0056】
すなわち、PMD補償モニター光信号の偏波面の回転量及びDGDに対するDOPの関係から、DOPを最大にするPMD補償モニター光信号の偏波面の回転量及びDGDが、制御信号生成部において算出される。このDOPを最大にする条件を、第1偏波面コントローラ及び第1DGD補償器にそれぞれ出力し、両者を制御することで、PMDが補償された光信号を生成することが可能となる。DOPを最大にする条件を第1偏波面コントローラ及び第1DGD補償器に設定することは、従来の方法において、主光信号からDOPを最大にする条件を見出す時間に比べて、短時間で可能である。
【0057】
また、この発明のPMD補償方法によれば、補償信号生成ステップにおいて、主光信号によることなくモニター光信号によって、光信号の偏波面の回転量を指示する第1補償パラメータ信号、及び偏波面制御主光信号のDGDを指示する第2補償パラメータ信号が生成される。これら第1及び第2パラメータ信号生成ステップが実行されている間、主光信号には何らの影響も与えることがない。第1補償パラメータ信号に基づいて主光信号の偏波面が回転制御され、第2補償パラメータ信号に基づいて偏波面制御主光信号のDGDを減少させることが可能である。
【0058】
この発明のPMD補償装置を用いて、この発明のPMD補償方法を実施することによって、偏波面回転角度算出ステップと、DGD算出ステップと、DOP比較ステップと、補償パラメータ信号供給ステップと、PMD補償値設定ステップとを具えて構成される補償信号生成ステップが実現される。
【0059】
偏波面回転角度算出ステップ及び、DGD算出ステップによって、PMD補償光信号のDOPが最大となるモニター光信号の偏波面の回転角度及び偏波面制御モニター光信号のDGDが算出される。DOP比較ステップによって、このときのDOPが、基準DOPを超えているか否かが判定され、超えていると判断された時点で、第1及び第2補償パラメータ信号が生成される。PMD補償値設定ステップによって、この第1及び第2補償パラメータ信号に基づき、それぞれ主光信号の偏波面の回転角度及び、偏波面制御主光信号のDGDが設定される。
【0060】
また、上述のステップS10からステップS34を具えて構成されるPMD補償方法によれば、ステップS12、S14、S16、S22、S24、S26、S28、及びS30によって、第2偏波面コントローラ及び第2DGD補償器の、PMD補償モニター光信号のDOPが最大となる第2偏波面コントローラ及び第2DGD補償器の設定状態が確定される。そして、ステップS32において、第1及び第2補償パラメータ信号が生成され、ステップS34において、主光信号の偏波面の回転角度及び偏波面制御主光信号のDGDが設定される。
【0061】
以上説明した様に、この発明のPMD補償方法によれば、PMD補償モニター光信号のDOPが最大となる条件が確定されるまでは、主光信号そのものが利用されることはない。従って、被補償光信号である主光信号の時間波形を歪ませること無く、DOPが最大となる歪補正パラメータである、第1及び第2パラメータ信号を検出することが可能となる。
【0062】
また、DOPを最大にする条件を与える、第1及び第2パラメータ信号に基づいてそれぞれ、第1偏波面コントローラ及び第1DGD補償器の状態を設定することは、従来の方法において、主光信号からDOPを最大にする条件を見出す時間に比べて、短時間で可能である。
【0063】
また、ステップS100とステップS102とを具えることによって、モニター光信号を用いて、主光信号すなわち入力光信号のDOPが常に監視される。ステップS102において、PMD補償モニター光信号すなわち入力光信号のDOPが、基準DOPを下回るという非常事態が感知されたならば、ステップS12が実行されることによって、直ちにこの発明のPMD補償方法が開始される。
【0064】
上述のモニター光信号のDOPの常時観測においては、入力光信号の偏光状態には一切の影響が及ばない。そして、入力光信号の偏光状態に基準DOPを下回るという非常事態が感知された段階で、この発明のPMD補償方法が開始される。このことによって、上述のように、入力光信号の時間波形を歪ませること無く、かつ短時間で入力光信号の偏光状態が補償されるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態につき説明する。なお、各図は、この発明に係る一構成例を図示するものであり、この発明が理解できる程度に各構成要素の配置関係などを概略的に示しているに過ぎず、この発明を図示例に限定するものではない。また、以下の説明において、特定の素子および動作条件などを取り上げることがあるが、これら素子および動作条件は好適例の一つに過ぎず、したがって、何らこれらに限定されない。また、各図において同様の構成要素については、同一の番号を付して示し、その重複する説明を省略することもある。
【0066】
<PMD補償装置の構成>
図3を参照して、この発明のPMD補償装置の構成について説明する。図3は、この発明のPMD補償装置の概略的ブロック構成図である。光信号の通路を太線で示し、電気信号の通路を細線で示してある。
【0067】
PMD補償装置300は、光分岐器302と、主光信号補償部304と、補償信号生成部306とを具えて構成される。主光信号補償部304は、第1偏波面コントローラ310と第1DGD補償器312とを具えている。
【0068】
光分岐器302は、外部から入力された入力光信号301を主光信号303aとモニター光信号303bとに分岐して出力する。光分岐器302としては、市販の光ファイバ型光カプラ等を適宜利用できる。
【0069】
補償信号生成部306は、モニター光信号303bから、第1補償パラメータ信号321a及び第2補償パラメータ信号321bを生成して、それぞれ第1偏波面コントローラ310及び第1DGD補償器312に供給する。
【0070】
第1補償パラメータ信号321aは、第1偏波面コントローラ310に対して、主光信号303aの偏波面の回転量を指示する信号であり、第2補償パラメータ信号321bは、第1DGD補償器312に対して、偏波面制御主光信号311のDGDを指示する信号である。
【0071】
第1偏波面コントローラ310は、第1補償パラメータ信号321aに基づいて主光信号303aの偏波面を回転制御して、偏波面制御主光信号311を生成して出力する。第1DGD補償器312は、第2補償パラメータ信号321bに基づいて偏波面制御主光信号311のDGDを減少させて、PMD補償主光信号313を生成して出力する。
【0072】
補償信号生成部306は、第2偏波面コントローラ314と、第2DGD補償器316と、偏波解析器318と、制御信号生成部320とを具えて構成される。
【0073】
第2偏波面コントローラ314は、モニター光信号303bの偏波面を回転制御して、偏波面制御モニター光信号315を生成して出力する。第2DGD補償器316は、偏波面制御モニター光信号315のDGDを減少させて、PMD補償モニター光信号317を生成して出力する。偏波解析器318は、PMD補償モニター光信号317のストークスパラメータを算出し、このストークスパラメータを電気信号であるストークスパラメータ信号319に変換して出力する。制御信号生成部320は、ストークスパラメータ信号319から、主光信号303aの偏波面の回転量を指示する第1補償パラメータ信号321a、及び偏波面制御主光信号311のDGDを指示する第2補償パラメータ信号321bを生成して、第1偏波面コントローラ310及び第1DGD補償器312にそれぞれ出力する。
【0074】
また、制御信号生成部320は、モニター光信号303bから第1補償パラメータ信号321a及び第2補償パラメータ信号321bを生成する動作が実行される過程で、モニター光信号303bの偏波面の回転量を指示する第1補償サブパラメータ信号321c、及び偏波面制御モニター光信号315のDGDを指示する第2補償サブパラメータ信号321dを生成して、第2偏波面コントローラ314及び第2DGD補償器316にそれぞれ出力する。
【0075】
DGDとは、よく知られているように、全光強度中の完全偏光成分の強度の割合として定義される値であるので、ストークスパラメータ(S0, S1, S2, S3)によって次式(1)で与えられる。
DGD={S12+S22+S32}1/2/S0 (1)
従って、ストークスパラメータが算出されれば、DGDは式(1)で容易に算出される。
【0076】
第1偏波面コントローラ310及び第2偏波面コントローラ314は、原理的には、1/2波長板及び1/4波長板を組み合わせて構成することが可能であり、偏波面コントローラ等の名称で市販されている装置を適宜利用することが可能である。また、第1DGD補償器312及び第2DGD補償器316は、電圧等の制御信号に従って光ファイバのコアにストレスを与え、DGDの値を制御する装置が市販されているので、これらの装置を適宜利用することが可能である。
【0077】
ここでは、第1偏波面コントローラ310、第2偏波面コントローラ314、第1DGD補償器312及び第2DGD補償器316として、偏波面コントローラとしての機能とDGD補償器としての機能とを合わせて具えている、ジェネラルフォトニクス社(General Photonics Corporation)製のPMDエミュレータPMDE-301を使用した。このPMDエミュレータによれば、入力光に対して、外部からの制御信号に従って、その偏光面を回転制御しかつDGDを制御して出力することが可能である。すなわち、このPMDエミュレータPMDE-301は、外部からの制御信号に従って、入力光の偏波面の方向及びDGDを調整して出力する仕様で形成されている。
【0078】
具体的には、PMDエミュレータPMDE-301に対して、PMDエミュレータPMDE-301が具えているI/O接続端子にパーソナルコンピュータ等のロジック制御回路を接続し、TTLレベルの信号を供給することによって、入力光の偏波面の方向及びDGDを調整して出力させることが可能である。
【0079】
偏波解析器318には、ジェネラルフォトニクス社のDOP計測器POD-101Aを利用した。DOP計測器POD-101Aから出力されるストークスパラメータ信号319は、USBインターフェース(図示を省略してある。)を介して、制御信号生成部320に供給される。制御信号生成部320は、ストークスパラメータからDOPを算出するプログラムがインストールされているパーソナルコンピュータを利用した。すなわち、このパーソナルコンピュータによって、DOP計測器POD-101Aから出力されるストークスパラメータ信号319から、DOPを算出した。
【0080】
<PMD補償装置の動作>
上述したこの発明のPMD補償装置によれば、以下に説明するこの発明のPMD補償方法が実施可能である。この発明のPMD補償方法は、光分岐ステップと、補償信号生成ステップと、第1偏波面制御ステップと、第1群遅延差補償ステップとを具えて構成される。
【0081】
外部から入力された入力光信号301を主光信号303aとモニター光信号303bとに分岐して出力する光分岐ステップは、光分岐器302によって実行される。モニター光信号303bから、主光信号303aの偏波面の回転量を指示する第1補償パラメータ信号321a、及び偏波面制御主光信号311のDGDを指示する第2補償パラメータ信号321bを生成して出力する補償信号生成ステップは、補償信号生成部306によって実行される。
【0082】
第1補償パラメータ信号321aに基づいて、主光信号303aの偏波面を回転制御して、偏波面制御主光信号311を生成して出力する第1偏波面制御ステップは、第1偏波面コントローラ310で実行される。また、第2補償パラメータ信号321bに基づいて、偏波面制御主光信号311のDGDを減少させて、PMD補償主光信号313を生成して出力する第1DGD補償ステップは、第1DGD補償器312で実行される。
【0083】
PMDエミュレータPMDE-301は、第1偏波面コントローラ310及び第1DGD補償器312を具えているので、上述の第1偏波面制御ステップ及び第1DGD補償ステップは、PMDエミュレータPMDE-301に対して、第1補償パラメータ信号321a及び第2補償パラメータ信号321bを供給することによって実行される。
【0084】
補償信号生成部306によって実行される補償信号生成ステップは、具体的には、偏波面回転角度算出ステップと、DGD算出ステップと、DOP比較ステップと、補償パラメータ信号供給ステップと、PMD補償値設定ステップとを具えて構成される。
【0085】
偏波面回転角度算出ステップでは、モニター光信号303bの偏波面を、第2偏波面コントローラ314の光軸の向きを回転させつつ、偏波面制御モニター光信号315のDOPを測定し、このDOPが最大となるモニター光信号の偏波面の回転角度が算出される。
【0086】
DGD算出ステップは、モニター光信号303bの偏波面の回転角度を、偏波面回転角度算出ステップで算出された偏波面の回転角度に固定して、第2DGD補償器316によって、偏波面制御モニター光信号315のDGDを変化させつつ、PMD補償モニター光信号317のDOPを測定し、このDOPが最大となるPMD補償モニター光信号317のDGDを算出するステップである。
【0087】
DOP比較ステップは、DGD算出ステップで算出されたDGDを第2DGD補償器316に設定して、PMD補償モニター光信号317のDOPを測定し、このDOPが、予め設定しておいた基準DOPを超えているか否かを判定するステップである。
【0088】
補償パラメータ信号供給ステップは、第1補償パラメータ信号321aを生成して出力すると共に、第2補償パラメータ信号321bを生成して出力するステップである。第1補償パラメータ信号321aは、DOP比較ステップで測定されたDOPが、基準DOPを超えている場合における、モニター光信号の偏波面の回転角度を、主光信号の偏波面の回転角度量として指示する信号である。第2補償パラメータ信号321bは、DOP比較ステップで測定されたDOPが、基準DOPを超えている場合における、偏波面制御モニター光信号315のDGDを、偏波面制御主光信号311のDGDとして指示する信号である。
【0089】
PMD補償値設定ステップは、第1補償パラメータ信号321aによって、主光信号303aの偏波面の回転角度を設定し、かつ第2補償パラメータ信号321bによって、偏波面制御主光信号311のDGDを設定するステップである。
【0090】
ステップS10は、第2DGD補償器316から出力されるPMD補償モニター光信号317のDOPの最小基準値である基準DOPを定める基準DOP設定ステップである。光通信システムにおいて、光パルスの時間波形の歪が最大どの程度まで許されるかが設計上明らかであるから、まず、この発明のPMD補償装置が利用される光通信システムに応じてDOPを設定する。光通信システムの伝送レートが高いほど、光信号を構成する光パルスの時間波形の歪の影響が大きい。従って、この発明のPMD補償装置が利用される光通信システムの伝送レートに応じて、基準DOPが設定される。
【0091】
光通信システムにおいて通常の通信が実行されている間は、この光通信システムに入力される入力光信号のDOPは、基準DOPを頻繁に下回ることはない。従って、DOPを常時観測して、基準DOPを下回ったことが観測された時点で、この発明のPMD補償方法が実行されることになる。
【0092】
図4を参照して、入力光信号のDOPの常時監視について説明する。図4は、入力光信号のDOPの常時監視ステップの説明のためのフローチャートである。
【0093】
図4に示すフローチャートでは、ステップS10において基準DOPが設定され、その後、光通信システムが動作を開始することを想定している。従って、光通信システムが稼動を開始した時点で、入力光信号のDOPの常時観測が始められる。入力光信号のDOPの常時観測は、以下に示す通常DOP計測ステップであるステップS100、及びDOP比較ステップであるステップS102によって実行される。
【0094】
ステップS100は、第2DGD補償器316から出力されるPMD補償モニター光信号317のDOPを偏波解析器318によって測定するステップである。ステップS102は、ステップS100で測定されたDOPが、基準DOP以上であるか否かを判定するステップである。ステップS100で測定されたDOPが基準DOP以上である限り、ステップS100が実行され、恒常的にPMD補償モニター光信号317のDOPが監視され続けられる。
【0095】
一方、ステップS102において、ステップS100で測定されたDOPが基準DOPを下回ったと判定された場合は、この発明のPMD補償方法が実行される。そのために、ステップS12が実行される。
【0096】
次に、ステップS100で測定されたDOPが基準DOPを下回ったと判定されたものとして、図5を参照して、より具体的にこの発明のPMD補償方法について説明する。図5は、この発明のPMD補償方法を説明するためのフローチャートである。図5においては、ステップS10とステップS12との間の、入力光信号のDOPの常時監視ステップを構成するステップS100及びステップS102を省略して示してある。
【0097】
上述したように、DOPの常時観測においてDOPが基準DOPを下回ったことが観測されると、この発明のPMD補償方法のステップS12が実行される。
【0098】
ステップS12は、第2DGD補償器316から出力されるPMD補償モニター光信号317のDOPを、第2偏波面コントローラ314の相異なる複数とおりの回転角度に対して、それぞれDOPを測定する第1 DOP測定ステップである。第2偏波面コントローラ314の相異なる複数とおりの回転角度とは、例えば、2π/5ラジアン、4π/5ラジアン、πラジアンの3点を選択して、それぞれの回転量に対するPMD補償モニター光信号317のDOPを、偏波解析器318によって計測する。この際、第2DGD補償器316に設定されているDGDは、任意の値に固定されている。第2DGD補償器316に設定するDGDは、後述するステップS24で変化が与えられる。
【0099】
ステップS14は、ステップS12において取得した、第2偏波面コントローラ314の相異なる複数とおりの回転に対するDOPの値から、最大のDOPを与える回転角度を算出する回転量算出ステップである。ここでの回転量算出ステップは、例えば、後述する二次補間法等が利用される。
【0100】
ステップS16は、第2偏波面コントローラ316を、ステップS14で求めた回転角度に固定する回転ステップである。ステップS16が終了した時点で、第2偏波面コントローラの回転角度が暫定的に確定される。第2偏波面コントローラをこの状態に固定した状態で、以下に説明するステップS22以降のステップが実行される。
【0101】
ステップS22は、第2DGD補償器316から出力されるPMD補償モニター光信号317のDOPを、第2DGD補償器316の相異なる複数とおりの群遅延量に対して、それぞれDOPを測定する第2 DOP測定ステップである。
【0102】
ステップS24は、ステップS22において取得した、相異なる複数とおりの群遅延量に対するDOPの値から、最大のDOPを与える群遅延量を算出する遅延量算出ステップである。遅延量算出ステップにおいても、上述の回転量計算ステップの場合と同様に、二次補間法等を利用して実行される。
【0103】
ステップS26は、第2DGD補償器316にステップS24で求めた群遅延量を設定して固定する群遅延量設定ステップである。すなわち、第2DGD補償器316にステップS24で求めた群遅延量が設定される。
【0104】
ステップS28は、第2偏波面コントローラ314を、ステップS16において固定された状態のままとし、かつ第2DGD補償器316を、ステップS26において固定された状態のままで、第2DGD補償器316から出力されるPMD補償モニター光信号317のDOPを計測するDOP計測ステップである。このステップは、偏波解析器318によって実行される。偏波解析器318は、PMD補償モニター光信号317のストークスパラメータを算出し、このストークスパラメータを電気信号であるストークスパラメータ信号319に変換して出力し、制御信号生成部320に供給する。
【0105】
ステップS30は、ステップS28で計測された前記DOPが、基準DOPを超えているか否かを判定するDOP比較ステップである。すなわち、制御信号生成部320において、ストークスパラメータ信号319から、第1補償パラメータ信号321a及び第2補償パラメータ信号321bが生成され、第1偏波面コントローラ310及び第1DGD補償器312にそれぞれに供給される。
【0106】
後述するステップS30において、ステップS12に戻る判定がされる場合に備えて、第1補償パラメータ信号321aと同一の信号である第1補償サブパラメータ信号321cを第2偏波面コントローラ314に供給する。また、第2補償パラメータ信号321bと同一の信号である第2補償サブパラメータ信号321dを第2DGD補償器316に供給する。
【0107】
ステップS30で、ステップS28で計測された前記DOPが基準DOPを超えていないと判定された場合にはステップS12に戻り、基準DOPを超えている場合には、以下のステップS32及びステップS34を実行する。
【0108】
ステップS32は、ステップS14で算出された回転量を与える回転角度を、主光信号303aの偏波面の回転量を指示する第1補償パラメータ信号321aとして生成して出力すると共に、ステップS24で算出されたDGDを、偏波面制御主光信号311のDGDを指示する第2補償パラメータ信号321bとして生成して出力するステップである。
【0109】
ステップS34は、第1補償パラメータ信号321aによって、主光信号303aの偏波面の回転角度を設定し、かつ第2補償パラメータ信号321bによって、偏波面制御主光信号311のDGDを設定するPMD補償ステップである。
【0110】
以上説明した様に、ステップS34が終了した時点で、PMD補償主光信号313のDOPは、基準DOPを超えている状態となる。すなわち、上述のステップS12からステップS34が実行されることによって、基準DOPを下回る状態であったPMD補償主光信号313は、基準DOPを超えている状態に補償がなされたことになる。
【0111】
図6(A)及び(B)を参照して、この発明のPMD補償装置による場合と従来のPMD補償装置による場合における、PMD補償動作中におけるPMD補償主光信号313のDOPの時間変動について説明する。図6(A)及び(B)は、PMD補償主光信号のDOPの時間変動の説明に供する図である。図6(A)は、この発明のPMD補償装置によるPMD補償動作中における光信号のDOPの時間変動の様子を示す図であり、図6(B)は、従来のPMD補償装置によるPMD補償動作中における光信号のDOPの時間変動の様子を示す図である。横軸は任意スケールで目盛った時間軸であり、縦軸はDOPを%で示してある。
【0112】
図6(A)に示すように、この発明のPMD補償装置によれば、光伝送路の特性が急激に変化した時刻、すなわち入力光信号のDOPが急激に低下した場合、上述のステップS12からステップS34が終了するまでの間、入力光信号のDOPは低下した状態で一定値になっている。そして、ステップS34が終了した時点で、急峻に入力光信号のDOPが大きくなり、入力光信号のPMDが補償されている。
【0113】
一方、図6(B)に示すように、従来のPMD補償装置によれば、入力光信号のDOPが急激に低下した時点で、入力光信号そのものが使われてPMD補償動作が行われるため、徐々に入力光信号のDOPは低下して、徐々に上昇して基準DOPに達するという変化が起こる。入力光信号のDOPが急激に低下した時点から、基準DOPに達するまでに回復する時間を短くするには、図6(B)に示す入力光信号のDOPの変化曲線の最小値が小さくなり、入力光信号の光パルスの時間波形が一時的に非常に大きく歪む時間帯が存在することになる。また、入力光信号の光パルスの時間波形を大きく歪ませないためには、入力光信号のDOPが急激に低下した時点から、基準DOPに達するまでに回復する時間を長くしなければならない。
【0114】
図6(A)に示すこの発明のPMD補償装置における、入力光信号のDOPが低下している時間帯を短くするには、ステップS12からステップS34が終了するまでの時間を短くする必要があるが、これは、偏波解析器318あるいは制御信号生成部320を高速動作する装置に改良すれば解決する。一方、図6(B)に示す従来のPMD補償装置における入力光信号のDOPが低下している時間帯を短くすることは、原理的に、入力光信号の光パルスの時間波形が一時的に非常に大きく歪む時間帯が存在することを容認する必要がある。
【0115】
図7を参照して、二次補間法による主光信号のDOPの最大を与える第1偏波面コントローラの回転角度の決定方法について説明する。図7は、二次補間法による光信号のDOPの最大を与える偏波面コントローラの回転角度の決定方法の説明に供する図である。横軸に偏波面コントローラの回転角をラジアン(rad)単位で目盛って示してあり、縦軸に光信号のDOPを%単位で目盛って示してある。
【0116】
図7に示す曲線は、第2DGD補償器316から出力されるPMD補償モニター光信号317のDOPを、第2偏波面コントローラ314の2π/5ラジアン、4π/5ラジアン、πラジアンの3点の回転角度に対して、それぞれDOPを測定した結果を示している。観測して得られたDOPについては、下向きの矢印で示してある。この3点から、第2偏波面コントローラ314の回転角度φと、回転角度φの関数としての偏光度関数DOP(φ)の関係が判明する。図7によれば、DOP(2π/5)=90%、DOP(4π/5)=40%、DOP(π)=0%である。そこで、φとDOP(φ)の関係がDOP(φ)=Aφ2+Bφ+Cで与えられるものとすれば、上述のφ=2π/5、4π/5及びπにおけるそれぞれのDOP(φ)の値から係数A、B及びCが求まる。このようにして決定された係数A、B及びCによって与えられる二次曲線DOP(φ)を図7の破線で示してある。
【0117】
一方、黒丸で示すDOPの値は、実際に測定して得られた値であり、図7では、これら黒丸で示す点を実線でつないで示してある。両者の一致は極めてよいことが分かる。
【0118】
図7に示す上述の係数A、B及びCによって与えられる二次曲線DOP(φ)に基づいて、最大のDOPを与える回転角度は、二分検索法によって求めた。図7に示す例では、最大のDOPを与える回転角度として、φ=0.2π(=π/5)が算出された。すなわち、上述のステップS14において、最大のDOPを与える回転角度を算出するために二次補間法及び二分検索法を利用することが有効であることが確かめられた。また、同様に上述のステップS24において、最大のDOPを与える群遅延量を算出するために二次補間法を利用することが有効であることが確かめられた。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】複屈折性を有する光ファイバを光パルスが伝播する前と後におけるその時間波形の変化の様子を示す図であり、(A)は、光伝送路10を伝播する前の光パルスのx及びy軸方向の偏波成分についての時間波形と、光伝送路10を伝播した後のx及びy軸方向の偏波成分についての時間波形とを示し、(B)は、光伝送路10を伝播する前の光パルスのx及びy軸方向の偏波成分を合成した時間波形を示し、(C)は、光伝送路10を伝播した後の光パルスのx及びy軸方向の偏波成分を合成した時間波形を示す図である。
【図2】従来のPMD補償装置の概略的ブロック構成図である。
【図3】この発明のPMD補償装置の概略的ブロック構成図である。
【図4】入力光信号のDOPの常時監視ステップの説明のためのフローチャートである。
【図5】この発明のPMD補償方法を説明するためのフローチャートである。
【図6】PMD補償主光信号のDOPの時間変動の説明に供する図であり、(A)はこの発明のPMD補償装置によるPMD補償動作中における光信号のDOPの時間変動の様子を示し、(B)は従来のPMD補償装置によるPMD補償動作中における光信号のDOPの時間変動の様子を示す。
【図7】二次補間法による主光信号のDOPの最大を与える第1偏波面コントローラの回転角度の決定方法の説明に供する図である。
【符号の説明】
【0120】
10:光伝送路
100、300:PMD補償装置
102:偏波面コントローラ
104:DGD補償器
106:制御信号生成部
108:光カプラ
110:偏光計
302:光分岐器
304:主光信号補償部
306:補償信号生成部
310:第1偏波面コントローラ
312:第1DGD補償器
314:第2偏波面コントローラ
316:第2DGD補償器
318:偏波解析器
320:制御信号生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光分岐器と、主光信号補償部と、補償信号生成部とを具え、
前記主光信号補償部は、第1偏波面コントローラと第1群遅延差補償器とを具えており、
前記光分岐器は、外部から入力された入力光信号を主光信号とモニター光信号とに分岐して出力し、
前記補償信号生成部は、前記モニター光信号から、前記主光信号の偏波面の回転量を指示する第1補償パラメータ信号、及び偏波面制御主光信号の群遅延差を指示する第2補償パラメータ信号を生成して、前記第1補償パラメータ信号を前記第1偏波面コントローラに供給し、前記第2補償パラメータ信号を前記第1群遅延差補償器に供給し、
前記第1偏波面コントローラは、前記第1補償パラメータ信号に基づいて前記主光信号の偏波面を回転制御して、前記偏波面制御主光信号を生成して出力し、
前記第1群遅延差補償器は、前記第2補償パラメータ信号に基づいて前記偏波面制御主光信号の群遅延差を減少させて、偏波モード分散補償主光信号を生成して出力する
ことを特徴とする偏波モード分散補償装置。
【請求項2】
前記補償信号生成部が、
前記モニター光信号の偏波面を回転制御して、偏波面制御モニター光信号を生成して出力する第2偏波面コントローラと、
前記偏波面制御モニター光信号の群遅延差を減少させて、偏波モード分散補償モニター光信号を生成して出力する第2群遅延差補償器と、
前記偏波モード分散補償モニター光信号のストークスパラメータを算出し、該ストークスパラメータを、電気信号であるストークスパラメータ信号に変換して出力する偏波解析器と、
前記ストークスパラメータ信号から、前記主光信号の偏波面の回転量を指示する前記第1補償パラメータ信号、及び前記偏波面制御主光信号の群遅延差を指示する前記第2補償パラメータ信号を生成して、前記第1偏波面コントローラ及び前記第1群遅延差補償器にそれぞれ出力する制御信号生成部と
を具えることを特徴とする請求項1に記載の偏波モード分散補償装置。
【請求項3】
外部から入力された入力光信号を主光信号とモニター光信号とに分岐して出力する光分岐ステップと、
前記モニター光信号から、前記主光信号の偏波面の回転量を指示する第1補償パラメータ信号、及び偏波面制御主光信号の群遅延差を指示する第2補償パラメータ信号を生成して出力する補償信号生成ステップと、
前記第1補償パラメータ信号に基づいて、前記主光信号の偏波面を回転制御して、前記偏波面制御主光信号を生成して出力する第1偏波面制御ステップと、
前記第2補償パラメータ信号に基づいて、前記偏波面制御主光信号の群遅延差を減少させて、偏波モード分散補償主光信号を生成して出力する第1群遅延差補償ステップと、
を具えることを特徴とする偏波モード分散補償方法。
【請求項4】
請求項2に記載の偏波モード分散補償装置を用いる偏波モード分散補償方法であって、
外部から入力された前記入力光信号を前記主光信号と前記モニター光信号とに分岐して出力する光分岐ステップと、
前記モニター光信号から、前記主光信号の偏波面の回転量を指示する前記第1補償パラメータ信号、及び前記偏波面制御主光信号の群遅延差を指示する前記第2補償パラメータ信号を生成して出力する補償信号生成ステップと、
前記第1補償パラメータ信号に基づいて、前記主光信号の偏波面を回転制御して、前記偏波面制御主光信号を生成して出力する第1偏波面制御ステップと、
前記第2補償パラメータ信号に基づいて、前記偏波面制御主光信号の群遅延差を減少させて、前記偏波モード分散補償主光信号を生成して出力する第1群遅延差補償ステップと
を具え、
前記補償信号生成ステップが、
前記第2偏波面コントローラの光軸の向きを回転させつつ、前記偏波面制御モニター光信号の偏光度を測定し、当該偏光度が最大となる前記モニター光信号の偏波面の回転角度を算出する偏波面回転角度算出ステップと、
前記モニター光信号の偏波面の回転角度を、前記偏波面回転角度算出ステップで算出された偏波面の回転角度に固定して、前記第2群遅延差補償器によって、前記偏波面制御モニター光信号の群遅延差を変化させつつ、前記偏波モード分散補償モニター光信号の偏光度を測定し、当該偏光度が最大となる前記偏波面制御モニター光信号の群遅延差を算出する群遅延差算出ステップと、
算出された該群遅延差を前記第2群遅延差補償器に設定して、前記偏波モード分散補償モニター光信号の偏光度を測定し、当該偏光度が、予め設定しておいた偏光度の最小基準値である、基準偏光度の値を超えているか否かを判定する偏光度比較ステップと、
前記偏光度比較ステップで測定された偏光度が、前記基準偏光度を超えている場合における、前記モニター光信号の偏波面の回転角度を、前記主光信号の偏波面の回転角度量として指示する、前記第1補償パラメータ信号を生成して出力すると共に、
前記偏光度比較ステップで測定された偏光度が、前記基準偏光度を超えている場合における、前記偏波面制御モニター光信号の群遅延差を、前記偏波面制御主光信号の群遅延差として指示する、前記第2補償パラメータ信号を生成して出力する補償パラメータ信号供給ステップと、
前記第1補償パラメータ信号によって、前記主光信号の偏波面の回転角度を設定し、かつ前記第2補償パラメータ信号によって、前記偏波面制御主光信号の群遅延差を設定する偏波モード分散補償値設定ステップと
を具えることを特徴とする偏波モード分散補償方法。
【請求項5】
請求項2に記載の偏波モード分散補償装置を用いる偏波モード分散補償方法であって、
前記第2群遅延差補償器から出力される偏波モード分散補償モニター光信号の偏光度の最小基準値である基準偏光度を定める基準偏光度設定ステップ(ステップS10)と、
前記第2偏波面コントローラから出力される前記偏波面制御モニター光信号の偏光度を、前記第2偏波面コントローラの相異なる複数とおりの回転角度に対して、それぞれ測定する第1偏光度測定ステップ(ステップS12)と、
前記ステップS12において取得した、相異なる複数とおりの回転角度に対する偏光度の値から、最大の偏光度を与える回転角度を算出する回転量算出ステップ(ステップS14)と、
前記第2偏波面コントローラを前記ステップS14で求めた回転量だけ回転させて固定する、回転ステップ(ステップS16)と、
前記第2群遅延差補償器から出力される前記偏波モード分散補償モニター光信号の偏光度を、前記第2群遅延差補償器の相異なる複数とおりの群遅延量に対して、それぞれ偏光度を測定する第2偏光度測定ステップ(ステップS22)と、
前記ステップS22において取得した、相異なる複数とおりの群遅延量に対する偏光度の値から、最大の偏光度を与える群遅延量を算出する遅延量算出ステップ(ステップS24)と、
前記第2群遅延差補償器に前記ステップS24で求めた群遅延量を設定して固定する、群遅延量設定ステップ(ステップS26)と、
前記第2偏波面コントローラを、前記ステップS16において固定された状態のまま、かつ前記第2群遅延差補償器を、前記ステップS26において固定された状態のままで、前記第2群遅延差補償器から出力される前記偏波モード分散補償モニター光信号の偏光度を計測する、偏光度計測ステップ(ステップS28)と、
前記ステップS28で計測された前記偏光度が、前記基準偏光度を超えているか否かを判定する偏光度比較ステップ(ステップS30)と、
前記ステップS14で算出された回転量を与える回転角度を、前記主光信号の偏波面の回転量を指示する前記第1補償パラメータ信号として生成して出力すると共に、前記ステップS24で算出された群遅延差を、前記偏波面制御主光信号の群遅延差を指示する前記第2補償パラメータ信号として生成して出力する補償パラメータ信号供給ステップ(ステップS32)と、
前記ステップS32で生成された前記第1補償パラメータ信号によって、前記主光信号の偏波面の回転角度を設定し、かつ前記ステップS32で生成された前記第2補償パラメータ信号によって、前記偏波面制御主光信号の群遅延差を設定する偏波モード分散補償ステップ(ステップS34)と
を具え、
前記ステップS30において、前記基準偏光度を超えていないと判定された場合には前記ステップS12に戻り、前記基準偏光度を超えていると判定された場合には、前記ステップS32及び前記ステップS34を実行する
ことを特徴とする偏波モード分散補償方法。
【請求項6】
請求項5に記載の偏波モード分散補償方法であって、更に、
前記第2群遅延差補償器から出力される前記偏波モード分散補償モニター光信号の偏光度を計測する、通常偏光度計測ステップ(ステップS100)と、
前記ステップS100で計測された偏光度が、前記基準偏光度を超えているか否かを判定する偏光度比較ステップ(ステップS102)と
を具え、
前記ステップS10に引き続いて、前記ステップS100及び前記ステップS102を実行し、
前記ステップS102において、前記ステップS100で計測された偏光度が前記基準偏光度を超えていると判定された場合には前記ステップS10に戻り、
前記ステップS102において、前記ステップS100で計測された偏光度が前記基準偏光度を超えていないと判定された場合には、前記ステップS12に進む
ことを特徴とする偏波モード分散補償方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−17084(P2009−17084A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174960(P2007−174960)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】