説明

停滞燃料による断熱システム

【課題】燃料を保持する航空機の燃料タンク内のフルードラインの周囲に配置される構造体を有する、航空機のフルードライン断熱システムを提供する。
【解決手段】1つの構造体220を備える方法と装置である。この構造体220は、流体を保持するコンテナ204内においてフルードライン224の周囲に配置されるように構成されている。この構造体220は、さらに、構造体の容積内の流体214の流れを減らすことにより、この容積内の流体214がフルードライン224を断熱するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して断熱システムに関し、具体的には航空機のフルードラインの断熱に関する。さらに具体的には、本発明は、航空機の燃料タンク内部のフルードライン内の作動油を断熱するための方法と装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
航空機は、多数の異なるシステムを含む複雑な構造である。例えば、航空機は様々なシステムを支持する機体を含む。このようなシステムには、例えば、限定されないが、推進システム、電気システム、環境システム、油圧システム、燃料システム、及び他の適切な種類のシステムが含まれる。さらに、航空機内には、上記システム及び他のシステムのための多数の送電線とフルードラインも存在する。例えば、航空機は数マイルにも及ぶ送電線とフルードラインとを有しうる。
【0003】
一実施例では、油圧システムのフルードラインは作動油を運搬する。このフルードラインは、航空機の翼全体に延びて、操縦翼面のような航空機の様々なコンポーネントに作動油を供給する。例えば、作動油を使用して、フラップ及び補助翼といった操縦翼面、及びランディングギヤのような他のコンポーネント、並びにその他適切な種類のコンポーネントを操作することができる。
【0004】
航空機内において異なるフルードラインによって運搬される流体には、燃料、作動油、水、及びその他適切な流体が含まれる。これら様々な種類の流体は、動作に望ましい様々な温度範囲を有している。例えば、油圧システム内において作動油により様々なデバイスを動作させるためには、作動油が所望のレベルの圧力で油圧システムのフルードラインを流れることが必要である。作動油の温度が所望の範囲を逸脱する場合、作動油は所望のレベルの圧力で及び/又は所望の流量でフルードラインを流れない。
【0005】
航空機のフルードラインを流れる様々な流体の所望の温度範囲を維持するために、断熱システムを航空機に加えることができる。異なる種類の断熱システムは、複雑性、又はコストを増すか、或いは必要以上に使用が難しい場合がある。
【0006】
それゆえに、上述した問題の少なくとも一部と、起こりうるその他の問題とを考慮する方法と装置を有することが有利である。
【発明の概要】
【0007】
有利な一実施形態では、装置は1つの構造体を備えている。この構造体は、流体を保持するコンテナ内のフルードラインの周囲に配置されるように構成されている。この構造体は、さらに、構造体の容積内の流体流を減らすことにより、この容積内の流体がフルードラインを断熱するように構成されている。
【0008】
別の有利な実施形態では、航空機のフルードライン断熱システムは1つの構造体を備えている。この構造体は、燃料を保持する航空機の燃料タンク内のフルードラインの周囲に配置されるように構成されている。この構造体は、さらに、構造体内部の容積内の流体流を減らすことにより、フルードライン内の流体と、構造体外部の燃料タンク内の燃料との間での熱の伝達を減らすように構成されている。
【0009】
さらに別の有利な実施形態では、フルードラインの断熱方法が提供される。1つの構造体がフルードラインの周囲に配置される。この構造体は、構造体の容積内に流体を保持するように構成されている。流体の流れを構造体の容積内で減らすことにより、構造体の容積内の流体によりフルードラインが断熱される。
【0010】
本発明の一態様によれば、流体を保持するコンテナ内のフルードラインの周囲に配置される構造体を有する装置が提供される。この構造体は、構造体の容積内の流体の流れを減らすことにより、容積内の流体によりフルードラインを断熱するように構成されている。有利には、構造体は、コンテナ内の流体に少なくとも部分的に浸っているとき、構造体の容積内に流体を保持するように構成されており、コンテナ内の流体のレベルが下がると、構造体の容積内に保持されていた流体は構造体の容積から流出し、その結果、構造体の、流体に満たされている容積が低減する。有利には、この装置は、フルードラインの周囲に構造体を保持するように構成された保持システムをさらに備えている。好適には、この保持システムは、フルードラインの周囲に構造体を保持するように構成されたカバーをさらに備えている。好適には、この保持システムは、フルードラインに沿った構造体の移動を低減するように構成された任意の数のクランプをさらに備えている。
【0011】
有利には、流体流の減少は、コンテナ内の流体内の対流性流れによって引き起こされる。有利には、構造体は、容積を画定する多孔質材料をさらに含み、この多孔質材料は流体流を減少させるように構成することができる。好適には、多孔質材料は発泡材の形態をとる。好適には、発泡材は、1インチ当たり約45個の気泡を有し、その空隙率は約93%である。好適には、発泡材の厚みは約0.2インチである。有利には、この構造は、フルードラインの周囲に配置されるように構成された管をさらに備えている。有利には、フルードラインは作動油を運搬し、コンテナは燃料タンクであり、コンテナ内の流体は燃料である。有利には、構造体は、コンテナ内の流体の温度が華氏約−40度であるとき、流体に望ましい温度を維持するように構成されている。有利には、装置はコンテナ及びフルードラインをさらに備えている。有利には、フルードライン及びコンテナは、移動プラットフォーム、固定プラットフォーム、陸上ベース構造体、水上ベース構造体、宇宙ベース構造体、航空機、無人航空ビークル、ヘリコプター、潜水艦、バス、人員運搬車、戦車、列車、自動車、宇宙船、宇宙ステーション、衛星、水上艦、発電所、ダム、製造工場、設備機器、及び建造物から選択された1つのプラットフォームに配置される。
【0012】
本発明の別の態様によれば、燃料を保持する航空機の燃料タンク内のフルードラインの周囲に配置される構造体を有する、航空機のフルードライン断熱システムが提供される。この構造体は、構造体内部の容積内の燃料の流れを減少させることにより、フルードライン内の流体と構造体外部の燃料タンク内の燃料との間での熱の伝達を減少させるように構成されている。有利には、この構造体は、発泡材であり、フルードラインの周囲に発泡材を保持するように構成された保持システムをさらに含む。
【0013】
本発明のまた別の態様によれば、フルードラインの断熱方法が提供される。この方法は、フルードラインの周囲に、容積内の流体を保持するように構成された構造体を配置することと、構造体の容積内の流体の流れを減少させて、構造体の容積内の流体によりフルードラインを断熱することとを含む。有利には、この方法は、構造体と、燃料タンク内に位置するフルードラインとをさらに含み、この構造体は、フルードラインの周囲に配置されるときフルードラインと接触するように構成されている。有利には、燃料タンクは航空機内に位置する。
【0014】
上述のフィーチャ、機能及び利点は、本発明の様々な実施形態において独立に実現されるか、又は他の実施形態において組み合わせることができる。これら実施形態について、後述の説明及び添付図面を参照してさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
新規のフィーチャと考えられる有利な実施形態の特徴は、特許請求の範囲に明記される。しかしながら、有利な実施形態と、好ましい使用モードと、さらにはその目的及び利点とは、添付図面を参照して本発明の有利な一実施形態の後述の詳細な説明を読むことにより最もよく理解されるであろう。
【0016】
【図1】有利な一実施形態による航空機を示している。
【図2】有利な一実施形態による断熱システムのブロック図である。
【図3】有利な一実施形態によるフルードラインの断熱システムを示している。
【図4】有利な一実施形態による別の種類の断熱システムを示している。
【図5】有利な一実施形態による別の断熱システムを示している。
【図6】有利な一実施形態による燃料タンクの内部ビューを示している。
【図7】有利な一実施形態による別の燃料タンクの内部ビューを示している。
【図8】有利な一実施形態によるコンテナ内部の流体のレベルの変化を示す図である。
【図9】有利な一実施形態によるコンテナ内部の流体のレベルの変化を示す別の図である。
【図10】有利な一実施形態によるコンテナ内部の流体のレベルの変化を示すまた別の図である。
【図11】有利な一実施形態によるフルードラインの断熱プロセスを示す図である。
【図12】有利な一実施形態によるフルードラインの断熱プロセスを示す別の図である。
【図13】有利な一実施形態によるフルードラインの断熱プロセスを示すまた別の図である。
【図14】有利な一実施形態によるフルードラインの断熱プロセスを示すまた別の図である。
【図15】有利な一実施形態によるフルードラインの断熱プロセスを示すフロー図である。
【図16】有利な一実施形態による航空機の製造及び保守方法を示している。
【図17】有利な一実施形態が実装されうる航空機を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
種々の有利な実施形態は、一又は複数の異なる検討事項を認識し、且つ考慮している。例えば、種々の有利な実施形態は、航空機において、特定のシステムのフルードラインが他のシステムを通って延びている場合があることを認識し、且つ考慮している。例えば、限定しないが、作動油を運搬するフルードラインが航空機の翼に延びていることがありうる。このフルードラインは、翼に関連する様々なコンポーネントに接続することができる。これらのコンポーネントには、例えば、補助翼、フラップ、ランディングギヤアセンブリ、及び他の適切なコンポーネントが含まれる。
【0018】
種々の有利な実施形態は、フルードラインが航空機の燃料タンクにも延びている場合があることを認識し、且つ考慮している。種々の有利な実施形態は、飛行中、又は燃料タンク内に一晩入っていたとき、燃料タンク内の燃料の温度が約−40度まで低下しうることを認識し、且つ考慮している。種々の有利な実施形態は、油圧系内の作動油の温度が低下しすぎると、作動油が所望の流れを有さない場合があることを認識し、且つ考慮している。
【0019】
加えて、種々の有利な実施形態は、1つの解決法が、直径の大きなフルードラインの使用であることを認識し、且つ考慮している。種々の有利な実施形態は、さらに、別の解決法が、流体を充填すると絶縁体となる構造体であることを認識し、且つ考慮している。これらの実施例では、流体は燃料タンク内の燃料とすることができる。しかしながら、種々の有利な実施形態は、直径の大きなフルードラインの使用、及び/又は燃料を充填可能な構造体により、燃料タンク内部に保持される燃料の使用可能な量が減少しうることを認識し、且つ考慮している。
【0020】
したがって、種々の有利な実施形態は、フルードラインを断熱するための方法及び装置を提供する。有利な一実施形態では、装置は、フルードラインの周囲に配置される構造体を備えている。この構造体は、構造体内部で容積内の流体流を減少させるように構成されている。流体の流れのこのような減少は、容積内の流体によりフルードラインが断熱されるように行われる。
【0021】
具体的には、流体の流れがこのように減少することにより、フルードラインの周囲で流体内の対流性流れが減少する。流体内のこのような対流性流れの減少により、フルードライン内を流れる第2の流体からフルードラインの外側の流体への熱の伝達が減少する。
【実施例】
【0022】
ここで図面を参照する。特に図1には、有利な一実施形態による航空機が示されている。この実施例では、航空機100は、種々の有利な実施形態が実施されうる1つのプラットフォームの一例である。図示のように、航空機100は、胴体106に取り付けられた翼102、及び翼104を有する。航空機100は、翼搭載エンジン108、翼搭載エンジン110、及び尾部112を含む。
【0023】
さらに、この実施例では、航空機100は油圧システム114及び燃料システム116を有する。燃料システム116は、翼102及び翼104内部に位置する燃料タンク118と、翼102及び翼104内部の燃料ライン120とを含んでいる。油圧システム114は、やはり翼102及び翼104内部に作動油ライン122を含んでいる。図示のように、作動油ライン122は燃料タンク118を通って延びている。
【0024】
この実施例では、燃料タンク118は航空機100の燃料を保持している。燃料タンク118内の燃料の温度は、作動油ライン122を流れる作動油の温度とは異なっている。例えば、燃料の温度は華氏約−40度である。この結果、燃料タンク118内の燃料により作動油の温度が変化する。有利な一実施形態では、油圧システム114内の作動油ライン122を絶縁するために使用可能な断熱システムが提供される。具体的には、このような絶縁システムは、作動油ライン122内の作動油と、燃料タンク118内の燃料との間での熱伝達を減少させる。この種の絶縁は断熱と呼ばれる。
【0025】
次に図2を参照する。図2は、有利な一実施形態による断熱システムのブロック図である。このような実施例において、断熱システム200は、任意の数のフルードライン202の断熱に使用することができる。本明細書で使用する「任意の数のアイテム」は、一又は複数のアイテムを意味する。例えば、任意の数のフルードラインは一又は複数のフルードラインを意味する。
【0026】
一実施例では、任意の数のフルードライン202はコンテナ204の内部に位置している。任意の数のフルードライン202及びコンテナ204は、プラットフォーム206内に位置している。これらの実施例において、プラットフォーム206は航空機208の形態をとる。さらに、一実施例では、任意の数のフルードライン202は航空機208の油圧システム210に実装される。図1の航空機100の油圧システム114は、航空機208の油圧システム210の一実装態様の一例である。
【0027】
図示のように、任意の数のフルードライン202は、第1の流体212を運搬する。任意の数のフルードライン202が油圧システム210内にあるとき、第1の流体212は作動油211の形態をとる。他の実施例では、第1の流体212は、水、空気、ガス、冷却材、又は他の何らかの適切な種類の流体の形態をとることができる。
【0028】
さらに、コンテナ204は第2の流体214を保持する。一実施例では、コンテナ204は、航空機208の燃料タンク216の形態をとることができる。図1の燃料タンク118は、燃料タンク216の一実装態様の一例である。コンテナ204が燃料タンク216であるとき、第2の流体214は燃料218の形態をとる。
【0029】
これらの実施例において、断熱システム200は、コンテナ204内部の任意の数のフルードライン202を断熱する。図示のように、断熱システム200は、構造体220と保持システム222のうちの少なくとも一方を含む。
【0030】
本明細書において、列挙されたアイテムと共に使用される「〜のうちの少なくとも1つ」という表現は、列挙されたアイテムの一又は複数の様々な組み合わせが使用可能であり、且つ列挙されたアイテムのいずれかが一つだけあればよいということを意味する。例えば、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも1つ」は、例えば、限定しないが、「アイテムA」、又は「アイテムAとアイテムB」を含む。この例は、「アイテムAとアイテムBとアイテムC」、又は「アイテムBとアイテムC」も含む。
【0031】
構造体220は、任意の数のフルードライン202のうちの一又は複数の周囲に配置される。例えば、フルードライン224は、コンテナ204内の任意の数のフルードライン202のうちの1つの一例である。一実施例では、構造体220は、コンテナ204内のフルードライン224の周囲に配置される。
【0032】
コンテナ204内に第2の流体214が存在するとき、コンテナ204内部の第2の流体214のレベルによっては、構造体220が第2の流体214に浸っている場合がある。構造体220が少なくとも部分的にコンテナ204内で第2の流体214に浸っているとき、構造体220は第2の流体214を保持している。具体的には、構造体220は構造体220の容積226内に第2の流体214を保持している。
【0033】
このような実施例では、構造体220は、構造体220の容積226内部の第2の流体214の少なくとも一部、及び/又は構造体220の少なくとも一部が、フルードライン224と直接接触するような形状を有している。このような直接の接触は、構造体220がフルードライン224の周囲に配置されて、コンテナ204内で第2の流体214に少なくとも部分的に浸るときに起こる。
【0034】
さらに、構造体220の容積226内部に第2の流体214が存在するとき、第2の流体214はフルードライン224を断熱する。このようにして、第2の流体214は、コンテナ204内において、その主要目的の他に二次的な目的を有することができる。
【0035】
例えば、第2の流体214が燃料218の形態をとるとき、第2の流体214の主要目的は、航空機208の運航のための追加燃料となることである。構造体220は、コンテナ204内部における第2の流体214の存在を利用し、フルードライン224を絶縁するという二次的な目的のために第2の流体214を使用することができる。
【0036】
例えば、コンテナ204内の第2の流体214が、華氏約−40度の温度を有する燃料218であるとき、構造体220は、この構造体220の容積226内の第2の流体214によってフルードライン224が断熱されてフルードライン224に所望の温度が維持されるように、容積226内に第2の流体214を保持するように構成される。
【0037】
加えて、構造体220は、コンテナ204内の第2の流体214のレベルが低下すると、第2の流体214が容積226から流出するように構成される。このようにして、構造体220がコンテナ204内の第2の流体214にもはや浸っていないとき、第2の流体214のほぼすべてが構造体220の容積226から流出する。その結果、容積226の第2の流体214はその主要目的のために使用可能となる。
【0038】
一実施例として、第2の流体214が、航空機208内部の燃料タンク216の形態のコンテナ204内部の燃料218であるとき、燃料タンク216の燃料補給が行われている間に燃料218は構造体220の容積226内へ流入する。さらに、燃料218は、航空機208の運航中、容積226内部に保持される。航空機208の運行中に燃料タンク216内部において燃料218のレベルが低下すると、容積226の燃料218は、構造体220の容積226から流出して燃料タンク216内の燃料218の残りに流入する。
【0039】
このようにして、構造体220の容量226内部に保持される燃料218は、フルードライン224の断熱と航空機208の運航の両方に使用される。その結果、フルードライン224を断熱する目的で航空機208の燃料タンク216に燃料218の追加量を追加する必要がない。
【0040】
構造体220は、第2の流体214がフルードライン224を断熱するように、構造体220の容積226内の第2の流体214の一部分を包囲及び/又は捕獲するように構成される。さらに、構造体220は、構造体220の容積226内の第2の流体214のこの部分の流れを減少させることができる。このような流れは、例えば、流量として測定することができる。容積226内の第2の流体214の流れは、コンテナ204内の第2の流体214中の対流性流れによって引き起こされる。具体的には、構造体220の容積226内の第2の流体214の流れは、フルードライン224の周囲の容積226内の第2の流体214が所望のレベルの断熱225を提供するように、減少させることができる。
【0041】
一実施例では、このような流れの減少は、第2の流体214の流れが実質的に停滞するように行われる。このような実施例では、流体が実質的に停滞すると、流体流の流れがほぼ無くなる、及び/又はフルードライン224に所望のレベルの断熱225を達成するのに十分に低速となる。例えば、容積226内部の第2の流体214の流れが減少すると、フルードライン224内の第1の流体212と構造体220の外側の第2の流体214との間での熱の伝達も減少する。
【0042】
このような実施例では、容積226内の第2の流体214の流れが減少すると、フルードライン224の周囲の構造体220内の容積226内の第2の流体214が、第1の流体212から、コンテナ204内部の構造体220の外側の第2の流体214への熱の伝達を減少させる。言うまでもなく、他の実施例では、第2の流体214の流れの減少は、フルードライン224の周囲の構造体220内の容積226内の第2の流体214が、コンテナ204内部の構造体202の外側の第2の流体214からフルードライン224内部の第1の流体212への熱の伝達を減少させるように、行われてもよい。
【0043】
構造体220は、このような実施例では、任意の数の異なる形態をとることができる。例えば、一実施例では、構造体220は多孔質材料230の形態をとることができる。多孔質材料230は、多孔質材料230の容積226内に第2の流体214を保持するように構成された任意の材料とすることができる。多孔質材料230は、第2の流体214のような流体を充填可能な気泡から構成することができる。具体的には、多孔質材料230が第2の流体214に少なくとも部分的に浸っているとき、第2の流体214は多孔質材料230内の容積226の少なくとも一部を満たすことができる。
【0044】
加えて、多孔質材料230は、第2の流体214の流れがフルードライン224に所望のレベルの断熱225を行うのに十分低速となるように、容積226内の第2の流体214を保持するように構成できる。例えば、多孔質材料230の容積226内の第2の流体214は、実質的に停滞していると考えることができる。このようにして、多孔質材料230の容積226内の第2の流体214内の対流性流れは低減及び/又は排除されて、フルードライン224に所望のレベルの断熱225が達成される。
【0045】
幾つかの実施例では、対流性流れは、フルードライン224に所望のレベルの断熱225が行われるように調整される。換言すれば、使用される多孔質材料230の種類、多孔質材料230に選択される容積226、及び/又は他のパラメータは、第2の流体214内の対流性流れが、フルードライン224に所望のレベルの断熱225を達成するのに十分に低速となるように選択される。
【0046】
さらに、これらの実施例では、多孔質材料230は、多孔質材料230の容積226から第2の流体214が流出できるように構成される。例えば、コンテナ204内の第2の流体214のレベルが低下すると、多孔質材料230の第2の流体214に浸る部分が小さくなる。その結果、第2の流体214は、コンテナ204内の第2の流体214のレベルが低下するにつれて、多孔質材料230の容積226から流出する。
【0047】
一実施例では、多孔質材料230は発泡材232の形態をとることができる。発泡材232は、第2の流体214が発泡材232へ流入し、発泡材232の容積226を満たし、発泡材232から流出することを可能にする気泡からなるマトリックス構造を有する。航空機208の油圧システム210に使用されるとき、発泡材232は、1インチ当たり約45個の気泡を有する連続気泡構造を有することができ、その空隙率は約93%である。さらに、この実施例では、発泡材232の厚みは約0.2インチである。
【0048】
このような実施例では、多孔質材料230は、第2の流体214が多孔質材料230の容積226に流入し、多孔質材料230の容積226内に保持され、そして多孔質材料230の容積226から流出することを可能にする任意の材料から構成することができる。例えば、多孔質材料230は、発泡ポリウレタン、ポリスルフィド、エポキシプラスチック、金属メッシュスクリーン、プラスチックエキスパンダブルメッシュ、織物、及び他の適切な種類の材料から選択される少なくとも1つの材料から構成することができる。
【0049】
加えて、他の実施例では、構造体220は管234の形態をとることができる。管234は、フルードライン224の周囲に配置される。一実施例として、管234は形状236を有し、チャネル238を画定する。形状236は、流体224がチャネル238内部にぴったりと嵌合するように選択される。
【0050】
一実施例では、形状236は、C形状、U形状、又はチャネル238が管234の表面の外側に形成されるような他の何らかの適切な形状とすることができる。例えば、管234の表面の一部を管234の内側に湾曲させて、内部にフルードライン224を受けることができるチャネル238を形成することができる。例えば、チャネル238は、フルードライン224のガイドとして機能する。
【0051】
具体的には、この種の形状を有する管234は、フルードライン224の周囲で滑らせる必要なくフルードライン224の周囲に管234を配置できるような柔軟な材料から構成することができる。例えば、管234の材料と管234の形状236とは、管234が、例えば、フルードライン224に管234をクリップ留め又は他の方法で取り付けることができるように選択される。
【0052】
加えて、この種の形状により、管234は、内部に流体通路240も有する。流体通路240は、第2の流体214が流体通路240内部の容積226に流入できるように構成される。管234の端部における流体通路240への開口は、流体通路240内の容積226内の第2の流体214が、所望のレベルの断熱225を行うのに十分に低速の流れを有することができるように、少なくとも部分的に閉鎖及び/又はブロック可能である。
【0053】
別の実施例では、管234は、フルードライン224の端部からフルードライン224の周囲に配置可能な形状236を有する。この場合、管234は、フルードライン224の長さに沿ってスライドしてフルードライン224上に位置決めされ、フルードライン224に所望のレベルの断熱225を達成することができる。
【0054】
幾つかの実施例では、構造体220は、保持システム222を用いてフルードライン224に対して位置決めすることができる。保持システム222は、例えば、カバー242を含むことができる。カバー242は、フルードライン224周囲の所望の位置に構造体220を保持するように構成された任意の構造又は材料とすることができる。
【0055】
例えば、カバー242は、多孔質材料230がフルードライン224の周囲に配置された後で多孔質材料230の周囲に巻きつけることができるプラスチック外板の形態をとることができる。このようなプラスチック外板は、フルードライン224の周囲のほぼ同じ位置に多孔質材料230を保持することができる。
【0056】
別の実施例では、保持システム222は任意の数のクランプ244を含むことができる。任意の数のクランプ244は、フルードライン224の周囲に構造体220を保持することができる。例えば、任意の数のクランプ244は、構造体220の周囲の所定の位置に多孔質材料230を保持することができる。幾つかの実施例では、任意の数のクランプ244は、フルードライン224の周囲に配置されて、構造体220がフルードライン224の長さに沿って移動することを概ね防ぐことができる。
【0057】
このような実施例では、燃料218の形態の第2の流体214は、所望の熱伝導率246を有している。所望の熱伝導率246は、フルードライン224内の第1の流体212と構造体220の容積226内の第2の流体214との間での熱の伝達が低減及び/又は排除されるように、十分に低くすることができる。言うまでもなく、他の実施例では、第2の流体214は、第2の流体214の熱伝導率が所望の熱伝導率246であるように選択された他の何らかの適切な種類の流体でもよい。第2の流体214は、その熱伝導率によりフルードライン224に所望のレベルの断熱225が達成されるよに選択することができる。
【0058】
図2に示す断熱システム200は、有利な実施形態を実施できる方法に対する物理的又はアーキテクチャ的な制限を示唆することを意図していない。図示されたコンポーネントに加えて及び/又は代えて、他のコンポーネントを使用することができる。幾つかのコンポーネントは不必要になることもある。また、ブロックは、幾つかの機能的なコンポーネントを示すために提示されている。有利な実施形態において実施される場合、これらのブロックの一又は複数を、異なるブロックに統合及び/又は分割することができる。
【0059】
例えば、他の実施例では、断熱システム200は、コンテナ204内の任意の数のフルードライン202を断熱するための構造体220に加えて、及び/又は代えて、追加の構造を含むことができる。幾つかの実施例では、構造体220は、任意の数のフルードライン202のうちの複数のフルードラインを断熱することができる。例えば、構造体220は、フルードライン224及び別のフルードラインの周囲と、これら2つのフルードラインの間の接合部の周囲にと配置することができる。
【0060】
さらに、プラットフォーム206は、航空機208以外外の形態をとってもよい。例えば、プラットフォーム206は、移動プラットフォーム、固定プラットフォーム、陸上ベース構造体、水上ベース構造体、宇宙ベース構造体、航空機、無人航空ビークル、ヘリコプター、潜水艦、バス、人員運搬車、戦車、列車、自動車、宇宙船、宇宙ステーション、衛星、水上艦、発電所、ダム、製造工場、設備機器、建造物、及び/又は他の何らかの適切な種類のプラットフォームから選択された1つとすることができる。
【0061】
具体的には、プラットフォーム206は、第2の種類の流体内に任意の数のフルードラインが浸漬したときに、熱の影響から任意の数のフルードライン内の第1の種類の流体を断熱することが必要なあらゆるプラットフォームとすることができる。例えば、プラットフォーム206は、フルードラインが用いられる設備機器又は機械類の任意の部分とすることができる。
【0062】
図1及び3〜14に示される種々のコンポーネントを、図2のコンポーネントと組み合わせるか、図2のコンポーネントに使用するか、又はそれら2つの場合を組み合わせることができる。加えて、図1及び3〜14のコンポーネントの一部は、図2のブロック図に示されたコンポーネントをどのようにして物理的構造として実装できるかの実施例である。
【0063】
図3は、有利な一実施形態によるフルードラインの断熱システムを示している。この実施例では、断熱システム300は、フルードライン302を断熱するように構成されている。フルードライン302は、図2のフルードライン224の一実装態様の一例である。フルードライン302は、図2の第1の流体212のような流体を運搬するように構成されたチャネル304を有している。
【0064】
断熱システム300は、図2の断熱システム200の一実装態様の一例である。図示のように、断熱システム300は、構造体306及び保持システム308を含む。この実施例では、構造体306は発泡材310の形態をとっている。発泡材310は、図2の発泡材232の一実装態様の一例である。
【0065】
発泡材310は、フルードライン302とほぼ共形の形状を有している。具体的には、発泡材310の内表面311がフルードライン302とほぼ共形である。換言すれば、発泡材310がフルードライン302の周囲に配置されると、発泡材310の内表面311のほぼすべてがフルードライン302と接触する。
【0066】
加えて、発泡材310は、図2の第2の流体214のような流体が発泡材310に流入し、発泡材310の気泡内部に保持されることを可能にする多孔質材料である。発泡材310がフルードライン302の周囲に配置されて発泡材310の内表面311がフルードライン302に接触すると、発泡材310の気泡内部に保持された流体の少なくとも一部もフルードライン302と接触する。
【0067】
この実施例では、保持システム308は支持構造312の形態をとる。この実施例の支持構造312は、発泡材310の周囲に巻かれる螺旋状のプラスチック製の構造体である。具体的には、支持構造312は発泡材310をフルードライン302の周囲に巻かれた状態に維持する。さらに、支持構造312は、フルードライン302の周囲の現在の位置に発泡材310を保持する。
【0068】
次に図4を参照する。図4は、有利な一実施形態による別の種類の断熱システムを示している。この実施例では、断熱システム400は構造体401を含む。構造体401は管402の形態をとる。管402は、図2の管234の一実装態様の一例である。
【0069】
図示のように、管402は形状404を有している。この実例では、形状404はC形状である。管402の形状404は、チャネル406と流体通路408とを形成している。チャネル406は、図3のフルードライン302のようなフルードラインを受けるように構成されている。例えば、管402は、フルードラインの周囲への配置を可能にする柔軟な材料から構成することができる。具体的には、チャネル406は開口412からフルードラインを受ける。図示のように、管402がフルードラインの周囲に配置されると、チャネル406の内表面413がフルードラインに接触する。
【0070】
さらに、流体通路408が管402の内部に位置している。流体通路408は、図2の第2の流体214のような流体を運搬する。一実施例として、管402が燃料内でフルードラインの周囲に配置されるとき、燃料タンク内の燃料が流体通路408に流入することが可能である。この実施例では、管402がフルードラインの周囲に配置されると、燃料の流れが減少してフルードラインに所望のレベルの断熱が達成されるように、端部414及び/又は416が少なくとも部分的に閉鎖又はブロックされる。
【0071】
ここで図5を参照する。図5は、有利な一実施形態による断熱システムを示している。この実施例では、断熱システム500は構造体502を含む。この実施例では、構造体502は管502の形態をとる。管504は、図2の管234の一実装態様の一例である。
【0072】
図示のように、管504は形状506を有している。形状506は、図3のフルードライン302のようなフルードラインを管504のチャネル508内部に配置することができるように構成されている。例えば、管504の端部510又は端部512をフルードラインの一端に配置して、フルードラインの長さに沿って所望の位置までスライドさせる。
【0073】
この実施例では、管504はコイル形状514を有している。コイル形状514は、管504内に一連のコイル又は折り畳みを有している。コイル形状514は、管504に柔軟性を付与する。このようにして、管504を、フルードラインの周囲に配置し、フルードラインの屈曲及び/又は折り返しの周囲を、フルードラインの長さに沿ってスライドさせることができる。
【0074】
管504がフルードラインの周囲に配置されると、管504の内表面とフルードラインとの間に容積が形成される。一実施例では、管504が燃料内でフルードラインの周囲に配置されると、この容積内に燃料タンク内の燃料が流入可能となる。この実施例では、管504がフルードラインの周囲に配置されると、燃料の流れが減少してフルードラインに所望のレベルの断熱が達成されるように、端部510及び/又は512を少なくとも部分的にブロックすることができる。しかしながら、端部510及び/又は端部512は、燃料の容積への流入及び容積からの流出が可能であるように、少なくとも部分的に開放されたままにすることもできる。
【0075】
図3に示す断熱システム300、図4に示す断熱システム400、及び図5に示す断熱システム500は、有利な実施形態を実施可能な方式に対する物理的又はアーキテクチャ的な限定であることを意図していない。例えば、他の実施例では、異なる種類の保持システムを使用して、図3の発泡材310をフルードライン302の周囲の所定の位置に保持することができる。例えば、保持システム308は、支持構造312の代わりにプラスチックカバーの形態を取ることができる。
【0076】
ここで図6を参照する。図6は、有利な一実施形態による燃料タンクの内部ビューを示している。この実施例では、燃料タンク600の内部ビューが示されている。燃料タンク600は、図2の燃料タンク216の一実装態様の一例である。燃料タンク600は、図2の航空機208のような航空機の燃料を保持するように構成されている。
【0077】
図示のように、油圧システム602の一部は、燃料タンク600の内部に位置している。具体的には、油圧システム602のフルードライン604及びフルードライン606は、燃料タンク600内部に位置している。フルードライン604及びフルードライン606は、作動油を運搬するように構成されている。
【0078】
この実施例では、断熱システム608はフルードライン606の部分609の周囲に配置されている。図示のように、断熱システム608は、構造体610及び保持システム612を含む。この実施例では、構造体610は発泡材614の形態をとる。図示のように、発泡材はフルードライン606の部分609を覆い、この中にはカプリング611が含まれている。このようにして、発泡材614はフルードライン606の部分609を断熱する。
【0079】
図示のように、保持システム612は螺旋構造616及びクランプ618を含んでいる。螺旋構造616は、フルードライン606の周囲の所定の位置に発泡材614を保持するように構成されている。さらに、クランプ618は、発泡材614が、フルードライン606の周囲で矢印620の方向に移動することを防止する。このようにして、保持システム612は、フルードライン606の部分609の周囲の所定の位置に発泡材614を保持することにより、フルードライン606の部分609の周囲で所望のレベルの断熱を達成する。
【0080】
この実施例では断熱システム608がフルードライン606の部分609の周囲にしか配置されていないが、構造体610のような追加的構造体をフルードライン606の他の部分の周囲に配置して、フルードライン606のこのような他の部分を断熱することができる。さらに、構造体610に類似の構造体をフルードライン604の周囲に配置することもできる。
【0081】
ここで図7を参照する。図7は、有利な一実施形態による別の燃料タンクの内部ビューを示している。この実施例では、燃料タンク700の内部ビューが示されている。燃料タンク700は、図2の燃料タンク216の一実装態様の一例である。燃料タンク700は、図2の航空機208のような航空機の燃料を保持するように構成されている。
【0082】
図示のように、油圧システム702の一部は、燃料タンク700の内部に位置している。油圧システム702内のフルードライン704は、燃料タンク700の内部に位置している。フルードライン704は作動油を運搬するように構成されている。
【0083】
この実施例では、断熱システム706はフルードライン704の周囲に配置されている。図示のように、断熱システム706は、管708、710、712、714、716、及び718を含む。これらの管は、図4の形状404に類似の形状を有することができる。
【0084】
この実施例では、フルードライン704のすべてが管708、710、712、714、716、及び718によって覆われるわけではない。燃料タンク700内に存在しうる燃料は、フルードライン704の露出部分において、管708、710、712、714、716、及び718内部の流体通路(図示しない)に流入することができる。フルードライン704のすべてが管708、710、712、714、716、及び718によって覆われているわけではないが、これらの管により、フルードライン704に所望のレベルの断熱が達成される。
【0085】
図示のように、クランプ720、722、及び724がフルードライン704の周囲に配置されている。幾つかの実施例では、これらのクランプは断熱システム704の一部である。例えば、クランプ720、722、及び724は、管708、710、712、714、716、及び718がフルードライン704の長さに沿って移動することを防ぐ保持システムの一部としてもよい。他の実施例では、クランプ720、722、及び724は油圧システム702の一部とすることができる。これらのクランプが油圧システム702の一部であるとき、管708、710、712、714、716、及び718の長さはこれらのクランプ間に適合する。
【0086】
図8〜10は、有利な一実施形態による、コンテナ内部の流体のレベルの変化を示している。このような実施例では、コンテナ800は、図2のコンテナ204の一実装態様の一例である。コンテナ800は流体802を保持している。流体802は、図2の第2の流体214の一実装態様の一例である。
【0087】
図8に示すように、フルードライン804はコンテナ800内部に位置している。フルードライン804は、作動油などの流体を運搬する。断熱システム806はフルードライン804を断熱するためにフルードライン804の周囲に配置されている。この実施例では、断熱システム806は、図3の断熱システム300を用いて実施される。具体的には、断熱システム806は、発泡材808及び支持構造810を含む。
【0088】
図示のように、コンテナ800内の流体802は、レベル812を有している。流体802がレベル812にあるとき、発泡材808は流体802内に完全に浸っている。発泡材808が流体802内にこのように浸漬している場合、コンテナ800内の流体802の一部は発泡材808の気泡に流入する。このようにして、流体802は発泡材808の容積の少なくとも一部を満たす。さらに、発泡材808が流体802を保持して発泡材808の容積内の流体802の流れを減少させることにより、フルードライン804に所望のレベルの断熱が達成される。
【0089】
次に図9を参照する。図9では、コンテナ800内の流体802のレベルは、図8のレベル812からレベル900まで低下している。流体802がレベル900にあるとき、発泡材808はコンテナ800内の流体802内に部分的にしか浸っていない。このような実施例では、コンテナ800内の流体802のレベルが図8のレベル812から図9のレベル900に低下しているので、発泡材808の流体802に浸っていない部分が増大している。
【0090】
発泡材808の流体802に浸っていない部分が増大すると、発泡材808に保持されていた流体802が発泡材808から流出する。具体的には、発泡材808の、コンテナ800内の流体802にもはや浸っていない上部に保持されていた流体802が、発泡材808の下部に流入する、及び/又は発泡材808から流出して、コンテナ800内の流体802に流入する。発泡材808から流体802に流入する流体802は、流体802の主要目的のために使用可能なままとなる。
【0091】
ここで図10を参照する。図10では、コンテナ800内の流体802のレベルが、図9のレベル900からレベル1000まで低下している。流体802がレベル1000にあるとき、発泡材808はコンテナ800内の流体802内にもはや浸っていない。その結果、発泡材808内部に保持されたままの流体802はすべて発泡材808からコンテナ800内の流体802へと流出する。このようにして、発泡材808に流入する流体802のほぼすべてが、その主要目的のために使用可能のままとなる。
【0092】
図11〜14は、有利な一実施形態によるフルードラインの断熱プロセスを示している。これらのステップは、図2の断熱システム200のような断熱システムを使用して、図2のフルードライン224のようなフルードラインを断熱するために実施される。
【0093】
図11は、有利な実施形態に従ってフルードラインの断熱に使用されるコンポーネントを示している。この実施例では、フルードライン1100は、発泡材1102、カバー1104、クランプ1106、及びクランプ1108を用いて断熱される。
【0094】
発泡材1102は、図2の発泡材232の一実装態様の一例である。カバー1104は、図2のカバー242の一実装態様の一例である。さらに、クランプ1106及びクランプ1108は、図2の任意の数のクランプ244の一実装態様の一例である。組み立てると、発泡材1102、カバー1104、クランプ1106、及びクランプ1108は、フルードライン1100の断熱システムを形成する。
【0095】
図12では、発泡材1102はフルードライン1100の周囲に配置されている。図示のように、発泡材1102には、フォーム1102をフルードライン1100の周囲に配置することを可能にするスリット1200が設けられている。例えば、発泡材1102は、スリット1200を介してフルードライン1100を受けることができる。
【0096】
図13では、カバー1104の一部が発泡材1102の周囲に巻かれている。図示のように、カバー1104は螺旋形状1300を有している。カバー1104の螺旋形状1300により、カバー1104は発泡材1102の周囲に巻きつけることができる。カバー1104は、発泡材1102の周囲に巻きつけられて、フルードライン1100の周囲の所定の位置に発泡材1102を保持する。さらに、カバー1104は、フルードライン1100がスリット1200から滑り落ちないように、発泡材1102の周囲に巻きつけられる。
【0097】
図14では、カバー1104が発泡材1102の周囲に完全に巻きつけられている。さらに、クランプ1106及びクランプ1108が、発泡材1102のそれぞれ端部1400及び端部1402において、フルードライン1100の周囲に配置されている。クランプ1106及びクランプ1108は、フルードライン1100の長さに沿って移動しないように、発泡材1102をフルードライン1100の周囲の所定の位置に保持する。
【0098】
次に図15を参照する。図15は、有利な実施形態による、フルードラインの断熱プロセスのフロー図である。図15に示されたプロセスは、図2の断熱システム200を用いて実施可能である。例えば、断熱システム200を使用して、図2のフルードライン224を断熱することができる。
【0099】
このプロセスは、フルードラインを取り囲む構造体の容積内部の流体を集めることにより開始される。構造体内の流体は、フルードラインが位置しているコンテナ内の流体から集めることができる。この流体は、例えば燃料である。構造体は、流体を構造体の容積に流入させることにより、流体を集めることができる。
【0100】
次に、このプロセスは、構造体の容積内の流体がフルードラインを断熱するように同流体の流れを減少させ(工程1502)、その後終了する。工程1502では、フルードラインに所望のレベルの断熱が達成されるように、構造体の容積内の流体の流れを減少させる。例えば、幾つかの事例では、流体が構造体の容積内部で実質的に停滞するように、構造体の容積内の流体の流れを減少させる。
【0101】
種々の実施形態のフロー図及びブロック図は、有利な一実施形態の装置及び方法に可能な幾つかの実装態様のアーキテクチャ、機能性、及び工程を示している。これに関し、フロー図又はブロック図の各ブロックは、1つの工程又はステップの1つのモジュール、セグメント、機能及び/又は部分を表わすことができる。例えば、ブロックの一又は複数は、ハードウェア内のプログラムコードとして、又はプログラムコードとハードウェアの組合せとして実施可能である。ハードウェアにおいて実施されるとき、ハードウェアは、例えば、フロー図又はブロック図の一又は複数の工程を実施するように製造又は構成された集積回路の形態をとることができる。
【0102】
有利な一実施形態の幾つかの他の実装態様では、ブロックに記載された一又は複数の機能は、図に記載の順序を逸脱して行われてよい。例えば、場合によっては、連続して示されている2つのブロックが、ほぼ同時に実行されても、又は時には含まれる機能によっては逆の順番で実施されてもよい。また、フロー図又はブロック図に示されているブロックに加えて他のブロックが追加されてもよい。
【0103】
種々の有利な実施形態を参照して、構造体を使用したときのフルードライン内の第1の流体とフルードライン外の第2の流体との間での熱伝達の低減の一実施例について後述する。この実施例では、作動油211が図2のフルードラインを通って流れている。フルードライン224は、燃料タンク216内に位置し、図2の燃料218に完全に浸っている。
【0104】
この実施例では、以下のように仮定する。
L=0.375in=0.375インチ
=−40°F=華氏−40度
ls =0°F=華氏0度
ここで、Lはフルードライン224の外径であり、T は燃料218の温度であり、Tls はフルードライン224の外表面の温度である。
【0105】
さらに、燃料218の特徴について下記のように仮定する。
燃料の特徴:
=.4BTU/lbm−°F=.4英熱量/ポンド質量華氏度
k=.078BTU/hr−ft−°F=.078英熱量/時フィート華氏度
v=.221ft /hr=.221平方フィート/時
β=.000516/°F=.000516/華氏度
ρ=53.2lbm/ft =53.2ポンド質量/立方フィート
ここで、燃料218の、それぞれC は比熱であり、kは熱伝導率であり、vは動粘度であり、βは膨張の容量係数であり、ρは質量密度である。
【0106】
フルードライン224の外表面から燃料タンク216内の燃料218への熱損失は、フルードライン224の外表面における対流性流れに応答して発生する。フルードライン224の長さ1フィート当たりの熱損失量は、以下の等式により与えられる:
Q=h(T −T )πd (1)ここで、
h=Nu(k/d) (2)
Nu=.53(GrPr).25 (3)
Pr=C vρ/k (4)
Grd=[L gβρ (T −T )]/μ (5)
ここで、Qは熱損失であり、hは境膜係数であり、Nuはヌッセルト式であり、πは番号piであり、dは燃料タンク216内の燃料218内の対流性流れの直径であり、Grはグラスホフ数であり、Prはプラントル数であり、gは重力であり、T は燃料タンク216内の燃料218の対流性流れの表面温度であり、μは燃料218の粘度である。この場合、dはフルードライン224の外径Lであり、T はフルードライン224の外表面の温度Tls である。
【0107】
上記に列挙したように仮定すると、フルードライン224の外表面から燃料218への熱損失は、フルードライン224の長さ1フィート当たり、約126英熱量/時フィート(BTU/hr−ft)である。換言すれば、フルードライン224の長さ各1フィートについて、毎時約126英熱量の熱が、フルードライン224の外表面から燃料タンク216内の燃料218へ伝達される。
【0108】
しかしながら、図2の構造体220がフルードライン224の周囲に配置されると、この熱損失は低減する。具体的には、構造体220がフルードライン224の外表面における燃料218内の対流性流れを減少させ、それにより燃料タンク216内の燃料218に伝達される熱が減少する。
【0109】
例えば、構造体220により、燃料218は、構造体220の容積226内に保持される。容量226内の燃料218は、フルードライン224の周囲に燃料218のプールを形成し、このプール内の燃料218の流れが減少する。換言すれば、構造体220は、この実施例において、容量226内の燃料218が実質的に停滞するように構成されている。フルードライン224の周囲の構造体220の容量226内の燃料218が減少すると、フルードライン224の周囲の燃料218内の対流性流れも減少する。その結果、フルードライン224の外表面から構造体220の容積226内の燃料218への熱伝達量が減少する。このようにして、フルードライン224の外表面から構造体220の外側の燃料タンク216内の燃料218への熱伝達も減少する。
【0110】
具体的には、フルードライン224の外表面から構造体220を通して起こる熱損失は、以下の等式によって与えられる:
Q=2πL(ΔT)k/ln(OD/ID) (6)
ここで、Qは熱損失であり、ΔTはフルードライン224の外表面における温度と構造体220の外表面との差であり、ODは構造体220の外径であり、IDは構造体220の内径である。この実施例では、構造体220の内径は、フルードライン224の外径Lとほぼ同じである。
【0111】
等式(6)においてQを解くとき、フルードライン224の外表面の温度を推定する。上記のように仮定すると、フルードライン224の外表面の温度は、フルードライン224の外表面の温度である華氏約0度から、燃料タンク216内の燃料218の温度である華氏約−40度の間になるはずである。
【0112】
このように推定された温度を使用して、等式(6)のQと、等式(1)のQを解く。ここで、等式(1)において、dは構造体220の外径ODであり、Tsは構造体220の外表面の温度である。さらに、推定される温度は、dが構造体220の外径ODであり、Tsが構造体220の外表面の温度であるとき、等式(6)のQについて計算される値が、選択された許容誤差範囲内で等式(1)のQについて計算される値とほぼ同じになるまで調整される。
【0113】
この実施例で行われるように様々に仮定すると、構造体220を使用したときにフルードライン224の表面から燃料タンク216内の燃料218へと起こる熱損失は、約23.7英熱量/時フィート(BTU/hr−ft)である。このようにして、構造体220を使用してフルードライン224の断熱を行うことにより、フルードライン224の外表面から燃料タンク216内の燃料への熱伝達が約81%減少する。
【0114】
本発明の有利な実施形態は、図16に示す航空機の製造及び保守方法1600、及び図17に示す航空機1700の観点から説明することができる。まず図16に注目すると、有利な一実施形態による航空機の製造及び保守の方法が示されている。製造前の段階では、航空機の製造及び保守方法1600は、図17の航空機1700の仕様及び設計1602と材料調達1604とを含む。航空機1700は、図2の航空機208の一実装態様の一例とすることができる。
【0115】
製造段階では、図17の航空機1700のコンポーネント及びサブアセンブリの製造1606と、システムインテグレーション1608とが行われる。その後、図17の航空機1700は認可及び納品1610を経て運航1612に供される。
【0116】
顧客により運航1612される間に、図17の航空機1700は、定期的な整備及び保守1614(改造、再構成、改修、及びその他の整備又は保守を含みうる)を受ける。このような実施例では、図2の断熱システム200を使用して、コンポーネント及びサブアセンブリの製造1606、システムインテグレーション1608、並びに整備及び保守1614のうちの少なくとも1つの間に、航空機1700の油圧システムのフルードラインを断熱することができる。
【0117】
航空機の製造及び保守方法1600の各プロセスは、システムインテグレーター、第三者、及び/又はオペレータによって実施又は実行されうる。これらの実施例では、オペレータは顧客であってもよい。本明細書の目的のために、システムインテグレーターは、限定しないが、任意の数の航空機製造者、及び主要システムの下請業者を含むことができ、第三者は、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含むことができ、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などでありうる。
【0118】
図17は、有利な実施形態を実装しうる航空機を示している。この実施例では、航空機1700は、図16の航空機の製造及び保守方法1600によって製造されたものであり、複数のシステム1704及び内装1706を有する機体1702を含みうる。システム1704の例は、推進システム1708、電気システム1710、油圧システム1712、及び環境システム1714のうちの一又は複数を含む。任意の数の他のシステムが含まれてもよい。航空宇宙産業の例を示したが、自動車産業などの他の産業に種々の有利な実施形態を適用することができる。
【0119】
本明細書で具現化した装置及び方法は、図16の航空機の製造及び保守方法1600の一又は複数の段階で使用可能である。
【0120】
一実施例では、図16のコンポーネント及びサブアセンブリの製造1606において製造されるコンポーネント又はサブアセンブリは、航空機1700の図16の運航中1612に製造されるコンポーネント又はサブアセンブリと同様の方法で作製又は製造される。
【0121】
さらに別の実施例では、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせを、図16のコンポーネント及びサブアセンブリの製造1606並びにシステムインテグレーション1608などの製造段階で利用することができる。一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせを、航空機1700が図16における運航1612、及び/又は整備及び保守1614の間に、利用することができる。任意の数の種々の有利な実施形態の利用により、航空機1700の組立てを実質的に効率化することができる、及び/又はコストを削減することができる。
【0122】
このように、種々の有利な実施形態は、フルードラインを断熱するための方法及び装置を提供する。有利な一実施形態では、装置は、フルードラインの周囲に配置される構造体を備えている。この構造体は、構造体において容積内の流体流を減少させるように構成されている。流体の流れのこのような減少は、フルードラインに隣接して流体のほぼ停滞するプールを生む。このようなほぼ停滞した流体のプールはフルードラインを断熱する。
【0123】
このようにして、種々の有利な実施形態により、航空機に望ましくない重量の増加を伴わずに、航空機の油圧システム内のフルードラインを断熱するシステムが提供される。さらに、これらのフルードラインを断熱するために、航空機の燃料タンク内に既存の燃料を使用することにより、そのために重量及び/又はコストの有意な増大を伴うことなく、フルードラインに所望のレベルの断熱が達成される。
【0124】
種々の有利な実施形態の説明は、例示及び説明を目的として提示されているものであり、網羅的な説明であること、又は開示された形態に実施形態を限定することを意図していない。当業者には、多数の修正例及び変形例が明らかであろう。さらに、種々の有利な実施形態は、他の有利な実施形態とは異なる利点を提供することができる。選択された一又は複数の実施形態は、実施形態の原理、実際の用途を最もよく説明するため、及び他の当業者に対し、様々な実施形態の開示と、考慮される特定の用途に適した様々な修正との理解を促すために選択及び記述されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体(214)を保持するコンテナ(204)内のフルードライン(224)の周囲に配置される構造体(220)であって、構造体(220)の容積(226)内の流体(214)がフルードライン(224)を断熱するように、容積(226)内の流体(214)の流れを減少させるように構成された構造体(220)を備える装置。
【請求項2】
構造体(220)は、コンテナ(204)内の流体(214)に少なくとも部分的に浸っているとき、構造体(220)の容積(226)内部に流体(214)を保持するように構成されており、コンテナ(204)内の流体(214)のレベルが低下して、その結果構造体(220)の流体(214)に満たされている容積(226)が低減すると、構造体(220)の容積(226)内に保持された流体(214)が構造体(220)の容積(226)から流出する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
フルードライン(224)の周囲に構造体(220)を保持する保持システム(222)と、フルードライン(224)の周囲に構造体(220)を保持するカバー(242)と、フルードライン(224)に沿った構造体(220)の運動を低減する任意の数のクランプ(244)とをさらに備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
減少させる流体(214)の流れは、コンテナ(204)内の流体(214)中の対流性流れにより引き起こされる、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
構造体(220)が、容積(226)を画定する多孔質材料(230)を備えており、多孔質材料(230)が流体(214)の流れを減少させるように構成されている、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
多孔質材料(230)が発泡材(232)の形態をとり、発泡材が1インチ当たり約45個の気泡を有し、発泡材の空隙率が約93%である、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
発泡材(232)の厚みが約0.2インチである、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
構造体(220)が、フルードライン(224)の周囲に配置される管(234)
を備えている、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
フルードライン(224)は作動油(211)を運搬し、コンテナ(204)は燃料タンク(216)であり、コンテナ(204)内の流体(214)は燃料(218)である、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
構造体(220)は、コンテナ(204)内の流体(214)の温度が華氏約−40度であるとき、フルードライン(224)に望ましい温度を維持するように構成されている、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
コンテナ(204)と、
フルードライン(224)と
をさらに備えている、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
フルードライン(224)及びコンテナ(204)が、移動プラットフォーム、固定プラットフォーム、陸上ベース構造体、水上ベース構造体、宇宙ベース構造体、航空機(208)、無人航空ビークル、ヘリコプター、潜水艦、バス、人員運搬車、戦車、列車、自動車、宇宙船、宇宙ステーション、衛星、水上艦、発電所、ダム、製造工場、設備機器、及び建造物から選択された1つのプラットフォームに配置される、請求項1ないし11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
フルードライン(224)の断熱方法であって、
フルードライン(224)の周囲に構造体(220)を配置するステップであって、構造体(220)が構造体(220)の容積(226)内に流体(214)を保持するように構成されているステップと、
構造体(220)の容積(226)内で流体(214)の流れを低減することにより、構造体(220)の容積(226)内の流体(214)によりフルードライン(214)を断熱するステップと
を含む方法。
【請求項14】
構造体(220)及びフルードライン(224)が燃料タンク(216)内に位置しており、構造体(220)が、フルードライン(224)の周囲に配置されるとフルードライン(224)と接触し、且つ燃料タンク(216)が航空機(208)内にある、請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−44433(P2013−44433A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−185297(P2012−185297)
【出願日】平成24年8月24日(2012.8.24)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】