説明

停留所装置、車載装置、運行管理装置、及び運行管理システム

【課題】利用者の利便性に優れ、適切で効率的なバスの運行を可能にするバス運行システムを提供する。
【解決手段】バス運行管理システムは、運行管理装置と、停留所に設置される停留所装置と、路線バスに搭載される車載装置を備える。停留所装置は、第1のネットワークで運行管理装置と通信する第1の停留所通信手段と、乗車予約を受付ける乗車予約受付手段と、乗車予約を第1のネットワークで運行管理装置に通知する乗車予約通知手段を備える。運行管理装置は、第1のネットワークで停留所装置及び車載装置と通信する第1の通信手段と、乗車予約通知を車載装置に転送する乗車予約転送手段を備える。車載装置は、第1のネットワークで運行管理装置と通信する第1の車載通信手段と、乗客の降車予約を受付ける降車予約受付手段と、乗車予約通知を受付ける乗車予約通知受付手段と、降車予約及び乗車予約通知に基き停留所への停車を判断する停車判断手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路線バス等の運行管理システム並びに運行管理システムを構成する停留所装置、車載装置、及び運行管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているような、路線バスの現在地を停留所の待ち客に知らせるバスロケーションシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−264875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来のバスロケーションシステムは、バスの現在地の情報をバス待ち客に提供するものの、バスの運行状況(例えば、「満員のために停留所を通過する」、「10分後に出発予定の臨時便を配車中」等)に関する情報を待ち客に提供することができなかった。そのため、バスが満員のために停留所に停車せずに通過してしまった場合、待ち客はバスが停車しない理由を知り得ないため、乗務員が看過したとの誤解を待ち客に与えて、待ち客を不愉快にさせる恐れがあった。また、間もなく臨時便が到着することを知らずに、待ち客が次のバスの到着を待たずに、タクシー等の他の交通機関の利用に切り替えてしまうこともあった。
【0005】
また、従来のバスロケーションシステムは、待ち客の有無等の停留所の状況に関する情報をバス営業所や運行中のバスに通知することができなかった。そのため、待ち客が停留所から少し離れた位置で待っていた場合には、乗務員が待ち客を看過してしまう恐れがあった。また、複数の路線が兼用する停留所においては、乗務員は待ち客の利用したい路線を知ることができないため、他の路線の待ち客しかいない場合であっても必ず停車してそのバスの路線の待ち客の有無を直接確認する必要があった。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、停留所や路線バスの状況に関する情報を利用して、より適切かつ効率的なバスの運行を可能にするバス運行システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に従って、運行管理装置及び路線バスに搭載される車載装置と共にバス運行管理システムを形成し、路線バスの停留所に設置される停留所装置が提供される。本発明の実施形態に係る停留所装置は、第1のネットワークを介して運行管理装置と通信する第1の停留所通信手段と、乗車予約を受け付ける乗車予約受付手段と、乗車予約を第1のネットワークを介して運行管理装置に通知する乗車予約通知手段と、を備えている。
【0008】
このような停留所装置の構成により、運行管理装置において待ち客の状況(例えば、待ち客の有無や人数、待ち時間など)を把握することができ、待ち客の状況に応じた路線バスの適切な運行管理が可能になる。
【0009】
乗車予約受付手段は、停留所を経由する複数の路線から乗車予約する路線を選択するための路線選択手段を備えていてもよい。この構成により、複数の路線が経由する停留所における待ち客の状況を路線毎に正確に把握することが可能になる。
【0010】
乗車予約受付手段は、定期券データ、回数券データ、又は乗車履歴情報を含むプリペイドカードデータが記録されたICカードを読み取り可能なICカード読取装置を備えていてもよい。この場合、乗車予約受付手段は、ICカードを読み取ると、定期券データ、定回数券データ、又は乗車履歴情報に基づいて乗車予約を受け付けるように構成されることが望ましい。この構成により、乗客は面倒なボタン操作をせずに的確に乗車予約をすることができる。
【0011】
本発明の実施形態に係る停留所装置は、乗車予約の取消しを受け付ける乗車予約取消受付手段を更に備えていることが望ましい。この構成により、誤った乗車予約の訂正や、路線バスの運行状況に応じた利用客の予定変更への柔軟な対応が可能になり、利便性に優れた乗車予約システムが提供される。
【0012】
本発明の実施形態に係る停留所装置は、路線毎に乗車予約客数を計数する乗車予約客数計数手段を更に備えていることが望ましい。この場合、乗車予約通知手段は、乗車予約又は乗車予約の取消しが受け付けられると、受け付け後の乗車予約客数を通知するように構成されることが望ましい。このような構成により、乗車予約の有無だけでなく、乗車予約客数の把握が可能になり、全ての待ち客が乗車できない場合にも待ち客への案内や路線バスの運行を適切に行うことが可能になる。
【0013】
本発明の実施形態に係る停留所装置は、手前の近隣区間を走行中の路線バスがあるときに乗車予約又は乗車予約の取消しを受け付けると、第1のネットワークを介してその路線バスの車載装置に乗車予約通知等を直接送信するように構成されていてもよい。路線バスが停留所に接近している場合には、乗車予約等を迅速に路線バスの車載装置に伝える必要がある。しかし、伝送容量が低いネットワークを使用する場合には、運行管理装置を中継して車載装置へ乗車予約通知等を転送すると、車載装置への乗車予約通知等の到達が遅れ(例えば、停留所を通過した後に乗車予約が届く)、路線バスの運行管理に乗車予約等を反映させることが難しくなる。そのような場合には、上記のように路線バスに乗車予約通知等を直接送信する構成にすれば、乗車予約通知を運行管理に効果的に活用することが可能になる。
【0014】
本発明の実施形態に係る停留所装置は、第2のネットワークを介して無線通信するための第2の停留所通信手段、あるいは第3のネットワークを介して無線通信するための第3の停留所通信手段を更に備えていてもよい。また、第1のネットワークは例えば公衆移動通信網であり、第2のネットワークは例えば無線LANであり、第3のネットワークは例えばBluetooth方式の通信ネットワークである。
【0015】
乗車予約受付手段は、第2又は第3のネットワークを介して、携帯端末による乗車予約を受け付けるように構成されてもよい。携帯端末からワイヤレスで乗車予約ができれば、待ち客の長い行列ができているような場合に、乗車予約をするために行列の先頭まで足を運ぶ必要がなく、快適に乗車予約をすることができる。
【0016】
本発明の実施形態に係る停留所装置は、乗車予約をした待ち客を識別する乗車予約客識別手段を更に備えていることが望ましい。また、本発明の実施形態に係る停留所装置は、停留所の周囲に待機している乗車予約客を検出する予約客検出手段と、予約客検出手段が乗車予約客を検出しないときに、運行管理装置に予約客の不在を通知する予約客不在通知手段と、を更に備えていてもよい。このような構成により、いたずらによる虚偽の乗車予約を防止し、また虚偽の乗車予約が運行に与える影響を排除することができる。また、待ち時間等の待ち客の詳細な状況が把握され、木目細かな運行管理が可能になる。
【0017】
本発明の実施形態に係る停留所装置は、停留所の周囲を撮影するカメラを更に備えていてもよい。この場合、乗車予約客識別手段はカメラが取得した映像データに基づく特徴点解析により、乗車予約をした待ち客を識別するように構成されることが望ましい。
【0018】
乗車予約客識別手段は、待ち客が携帯端末を使用して第2又は第3のネットワークを介して乗車予約をしたときは、携帯端末からの無線信号に含まれる識別情報に基づいて待ち客を識別するように構成されることが望ましい。携帯端末により遠隔操作で乗車予約をした場合には、カメラ画像の解析では予約者を特定することができないが、携帯端末の識別情報(BluetoothアドレスやMACアドレス等)を利用することにより、このような場合でも的確に乗車予約客を識別することができる。
【0019】
本発明の実施形態に係る停留所装置は、停留所の周囲を撮影するカメラと、カメラが取得した映像データに基づいて停留所の周囲の異常を検出する停留所周囲異常検出手段と、 停留所の周囲の異常が検出されたときに運行管理装置に異常の検出を通知する停留所周囲異常通知手段と、を更に備えていてもよい。このような構成により、停留所の防犯が実現される。
【0020】
本発明の実施形態に係る停留所装置は、停留所の周囲を撮影するカメラと、カメラが取得した映像データを蓄積する記憶手段と、運行管理装置の要求に応じて、カメラが取得した映像データを第1のネットワークを介して運行管理装置に転送する映像転送手段と、を更に備えていることが望ましい。この構成により、運行管理者が随時停留所の状況を詳細に把握することが可能になる。
【0021】
本発明の実施形態に従って、運行管理装置及び停留所に設置される停留所装置と共にバス運行管理システムを形成し、路線バスに搭載される車載装置が提供される。本発明の実施形態に係る車載装置は、第1のネットワークを介して運行管理装置と通信する第1の車載通信手段と、乗客の降車予約を受け付ける降車予約受付手段と、停留所装置からの乗車予約通知を受け付ける乗車予約通知受付手段と、降車予約及び乗車予約通知に基づいて停留所への停車を判断する停車判断手段と、を備えている。
【0022】
この構成により、乗客の降車予定に基づいて路線バスの運行管理を行うことが可能になり、路線バスの運行が効率化される。
【0023】
第1の通信手段は、第1のネットワークを介して停留所装置とも通信可能であり、停留所を出発又は通過したときに、第1のネットワークを介して、次の停留所の停留所装置へ出発又は通過を直接通知するように構成されてもよい。この構成により、第1のネットワークの伝送容量が低い場合でも、路線バスの接近を停留所へ適時に通知することが可能になる。
【0024】
第1の通信手段は第1のネットワークを介して他の路線バスに搭載された車載装置とも通信可能であり、本発明の実施形態に係る車載装置は、同一区間を走行中の他の路線バスがある場合に、路線バスが停留所を出発又は通過したとき、又は降車予約若しくは乗車予約通知を受け付けたときは、第1の通信手段を介して、他の路線バスに出発又は通過を直接通知するように構成されていてもよい。この場合、乗車率や次の停留所での停車予定を併せて通知することが望ましい。このような構成により、近隣を走行中の他の路線バスの運行状況に応じて停車予定等を判断することができ、路線バスの効率的な運行が実現する。
【0025】
本発明の実施形態に係る車載装置は、第2のネットワークを介して通信するための第2の車載通信手段と、停留所装置からの第2のネットワークの無線信号の検出により、停留所装置が設置された停留所への到着又は通過を検知する停留所検知手段とを更に備えていてもよい。また車載装置は、停留所検知手段が停留所を検知したときに、第1のネットワークを介して運行管理装置に停留所への到着・通過を通知する到着・通過通知手段を更に備えていてもよい。
【0026】
本発明の実施形態に係る車載装置は、路線バスの内部及び周囲を撮影するカメラと、 カメラが取得した映像データに基づいて路線バスの内部及び周囲の異常を検出する路線バス異常検出手段と、路線バスの内部又は周囲の異常が検出されたときに第1のネットワークを介して運行管理装置に異常の検出を通知する路線バス異常通知手段と、を更に備えていてもよい。この構成により、車内の異常発生が自動的かつ迅速に検出され、運行管理者に通知されるため、車内の安全が高い水準で確保される。
【0027】
本発明の実施形態に従って、路線バスに搭載された車載装置及び停留所に設置された停留所装置と共にバス運行管理システムを形成する運行管理装置が提供される。本発明の実施形態に係る運行管理装置は、第1のネットワークを介して停留所装置及び車載装置と通信する第1の通信手段と、第1のネットワークを介して停留所装置又は車載装置から受信した路線バスの運行に関する情報である運行情報を、他の停留所装置又は車載装置に転送する運行情報転送手段と、を備えている。
【0028】
この構成により、停留所及び路線バスの状況が把握され、停留所及び路線バスの状況を反映した効率的な運行管理及び乗客への質の高いサービス提供が可能になる。
【0029】
本発明の実施形態に係る運行管理装置は、停留所装置又は車載装置に対して停留所装置又は車載装置が撮影した映像データの送信を要求する映像データ要求手段と、この要求に応じて停留所装置又は車載装置が送信した映像データを取得して画面表示する表示手段と、を更に備えていてもよい。
【0030】
また、本発明の実施形態に従って、上記の停留所装置、車載装置、及び運行管理装置を備えたバス運行管理システムが提供される。
【発明の効果】
【0031】
本発明の実施形態に係る停留所装置を使用したバス運行管理システムによれば、停留所の状況に応じた効率的な運行管理が可能になり、また停留所の待ち客に詳細な運行情況を案内することが可能になるため、利用客に快適なサービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るバス運行管理システムの構成図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に係る停留所装置の正面図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態に係る停留所装置のブロック図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態に係る車載装置のブロック図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態に係る運行管理装置のブロック図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態に係る停留所装置が実行する処理を説明するフローチャートである。
【図7】図7は、本発明の実施形態に係る停留所装置が実行する乗車予約受付処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の実施形態に係る停留所装置が実行する乗車予約取消処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図9】図9は、本発明の実施形態に係る停留所装置が実行するバス到着/通過処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図10】図10は、本発明の実施形態に係る停留所装置が実行する周辺状況確認処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図11】図11は、本発明の実施形態に係る車載装置が実行する処理を説明するフローチャートである。
【図12】図12は、本発明の実施形態に係る車載装置が実行する降車予約受付処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図13】図13は、本発明の実施形態に係る車載装置が実行する停留所近接処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図14】図14は、本発明の実施形態に係る車載装置が実行する停留所到着・通過処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図15】図15は、本発明の実施形態に係る車載装置が実行する次停留所停車判断処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図16】図16は、本発明の実施形態に係る車載装置が実行する異常状況対応処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図17】図17は、本発明の実施形態に係る車載装置が実行する営業所データ処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図18】図18は、本発明の実施形態に係る運行管理装置が実行する処理を説明するフローチャートである。
【図19】図19は、本発明の実施形態に係る運行管理装置が実行する異常運行情況通知対応処理の詳細を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係るバス運行管理システム1の概略構成図である。バス運行管理システム1は、路線バスの運行システムに本発明を適用したものである。
【0034】
図1に示されるように、路線バス運行管理システム1は、停留所装置100及び100’、車載装置200及び200’、並びに運行管理装置300等から構成される。本実施形態における停留所装置100及び100’は、それぞれバス路線R1(不図示)上の停留所BS及びBS’に配置されている停留所標識10及び10’に搭載された情報処理装置である。なお、バス路線R1は、停留所BS及びBS’を含む一部の区間を別のバス路線R2〜R4(不図示)と共有しており、停留所BS及びBS’はバス路線R2〜R4の停留所も兼ねている。
【0035】
車載装置200及び200’は、バス路線R1を運行する路線バス20及び路線バス20’にそれぞれ搭載された情報処理装置である。また、運行管理装置300は、バス路線R1〜R4の運行を管理する営業所30に設置された情報処理装置である。
【0036】
なお、停留所装置100’及び車載装置200’の構成は、それぞれ停留所装置100及び車載装置200の構成と共通するため、停留所装置100’及び車載装置200’の構成については詳細な説明を省略する。
【0037】
後述するように、停留所装置100及び車載装置200は、ネットワーク50にアクセスするための無線通信手段を備えており、光アクセス網を介してネットワーク50に接続された運行管理装置300と通信可能になっている。なお、本実施形態においては、ネットワーク50は公衆移動通信網(いわゆる携帯電話網)510及びインターネット520から構成される。本発明の実施形態に係るバス運行管理システム1は、ネットワーク50を介して各停留所及び路線バスの状況に関する情報をリアルタイムで取得して、取得した情報を乗務員、乗客及び待ち客に提供すると共に、取得した情報に基づいて運行計画を修正して、効率的かつ利用客が快適に利用できる旅客輸送サービスを実現する。
【0038】
次に停留所装置100の詳細を説明する。停留所装置100の正面図を図2に、概略構成を示すブロック図を図3に示す。停留所装置100は、制御ユニット101、乗車予約受付ユニット110、ICカードリーダ120、メインディスプレイ130、カメラユニット140、音声処理ユニット150、通信ユニット160、GPSユニット170、及び記憶装置180を備えている。制御ユニット101は上記の各機能ユニットと接続されている。制御ユニット101は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random-Access Memory)、及びEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)を備えたメインボードであり、EPROMに記録されたプログラムに基づいて停留所装置100を構成する各機能ユニットの動作を統制する。
【0039】
音声処理ユニット150は、音声の入出力を行う機能ユニットであり、スピーカー152及びマイク154を備えている。
【0040】
乗車予約受付ユニット110は、利用客の乗車予約を受け付ける機能ユニットであり、停留所BSを経由するバス路線毎にサブユニットが設けられている。本実施形態の乗車予約受付ユニット110には、停留所BSを共用する4つのバス路線R1〜R4にそれぞれ対応するサブユニット110a〜110dが設けられている(図2)。各サブユニット110a〜110dは、ディスプレイ112、乗車予約ボタン114、及び予約取消ボタン116を備えている。ディスプレイ112には、各サブユニットに対応する路線を識別するための行き先、路線名、及び/又は系統番号等が表示される。図2においては、サブユニット110a〜110dの各ディスプレイ112には、各サブユニットに対応するバス路線R1〜R4の行き先、すなわち「市民病院行き」、「臨海空港行き」、「中央駅行き」、及び「営業所行き」がそれぞれ表示されている。
【0041】
乗車予約ボタン114は、利用客の乗車予約(停車要求)を受け付けるためのボタンである。複数のバス路線が停留所BSを共用する場合には、上述のようにバス路線毎に設けられた乗車予約ボタン114を利用客が選択して押すことにより、複数のバス路線の中から乗車を予約するバス路線を選択して指定することができる。すなわち、乗車予約ボタン114は乗車予約するバス路線を指定する手段としても機能する。
【0042】
利用客が、乗車予定のバス路線(例えばバス路線R1)の行き先等がディスプレイ112に表示されたサブユニット110aの乗車予約ボタン114を押すと、当該バス路線への乗車予約が受け付けられる。乗車予約が受け付けられると、予約内容を確認するために、サブユニット110aの乗車予約ボタン114の内蔵ランプが点灯し、サブユニット110aのディスプレイ112の表示が強調表示(例えば太枠表示、太字表示、表示色変化等)に変わると共に、スピーカー152から「市民病院行きの乗車予約を受け付けました」という音声が出力される。受け付けられた乗車予約が誤っていた場合には、サブユニット110aの予約取消ボタン116を押すと乗車予約を取り消すことができる。
【0043】
また、乗車予約受付ユニット110にはICカードリーダ120が接続されている。ICカードリーダ120は、非接触型ICカードに記録された定期券データ、回数券データ、あるいはプリペイドカードデータ(電子マネーデータ)を読み取る装置である。ICカードリーダ120は、データ読み取り用アンテナが埋め込まれたICカード読取部122、読み取ったICカードに関する情報等を表示するディスプレイ124、及びデータの読み取りを取り消すための取消ボタン126を備えている(図2)。利用者が非接触型ICカードをICカード読取部122にかざすと、ICカード読取部122は自動的に非接触型ICカードに記録されたデータを読み取る。非接触型ICカードに停留所BSを含む区間の定期券データ又は回数券データが記録されていれば、その区間(例えばバス路線R1の「図書館−市民病院」区間)がディスプレイ124に表示される。また、乗車予約受付ユニット110は、利用者が非接触型ICカードに記録された定期券又は回数券を利用して乗車する(すなわち、その定期券又は回数券の路線及び区間を利用する)ものと判断して、スピーカー152から「市民病院行きの乗車予約を受け付けました」という音声を出力する。なお、非接触型ICカードに複数のデータが記録されている場合には、定期券データ、回数券データ、プリペイドカードデータの優先順位で使用するデータが決定される。受け付けられた乗車予約が利用客の希望と異なる場合には、予約取消ボタン126を押すと乗車予約が取り消され、次の優先順位のデータ(例えば回数券データ)に基づいて利用路線が改めて決定され、乗車予約が受け付けられる。
【0044】
非接触型ICカードにプリペイドカードデータのみが記録されている場合には、プリペイドカードの残高がディスプレイ124に表示される。残高が少ない場合には、利用者はバスを待つ間に運賃の現金払いの準備(又はプリペイドカードのチャージ)をすることができる。また、停留所装置100がプリペイドカードのチャージ機能を備えていてもよい。この場合、停留所装置100には現金処理部が設けられる。また、ICカードリーダ120に代えて、データの読み取り及び書き込みが可能なICカードリーダライタが使用される。
【0045】
また、非接触型ICカードにプリペイドカードデータのみが記録されている場合には、非接触型ICカードに記録された過去の乗車履歴が読み取られ、停留所BSを通るバス路線のうち最も利用頻度の高い路線及び乗車区間が抽出されて、ディスプレイ124に表示され、音声案内と共に乗車予約が登録される。乗車予約が取り消されると、次に利用頻度の高い路線及び乗車区間について乗車予約が登録される。また、停留所BSを含む区間の乗車履歴が無い場合は、「ご利用路線の乗車予約ボタンを押してください」という音声案内がスピーカー152から出力される。
【0046】
メインディスプレイ130は、屋外での視認性に優れた反射型液晶ディスプレイ装置であり、制御ユニット101が出力する映像信号に基づいて停留所BSを通るバス路線R1〜R4の運行に関する情報等を画面表示する。図2に示されるように、メインディスプレイ130は、行き先表示部132及び広告・情報表示部134から構成される。行き先表示部132は、次に停車予定の(又は現在停車中の)路線バスに関する情報、具体的には、行き先、路線名、系統名、及び/又は出発予定時刻等を表示する。また、広告・情報表示部134は、図2に示されるような広告表示の他、停留所BSを通るバス路線の時刻表、運行状況の詳細(例えば次の便の到着予定時刻、各停留所までの所要時間、現在運行中の各路線バスの乗車率、工事や事故による経路変更に関する情報等)、バス運行会社からの告知、及び/又はニュース等を表示する。本実施形態においては、時刻表画面、運行情報画面、告知画面、広告画面、及びニュース画面が定期的に、また利用者の操作に応じて、切り替えられる。例えば、乗車予約が受け付けられた直後には、予約が受け付けられた路線の時刻表、到着予定時刻、及び/又はその路線の沿線にある商店の広告が広告・情報表示部134に表示される。また、メインディスプレイ130の右下には、時刻表画面に表示を切り替えるための時刻表表示ボタン136が配置されている。利用者が時刻表表示ボタン136を押すと、広告・情報表示部134の画面表示が時刻表画面に切り替わる。
【0047】
通信ユニット160は、外部機器とデータ通信及び音声通信を行う機能を停留所装置100に提供する機能ユニットである。本実施形態の停留所装置100は、移動通信網、無線LAN(local area network)、及びBluetooth(登録商標)により外部機器と通信可能に構成されており、通信ユニット160に設けられた移動通信部162、無線LAN通信部164、及びBluetooth通信部166により各方式の無線通信が行われる。移動通信部162、無線LAN通信部164、及びBluetooth通信部166は、無線信号の送受信を行うためのアンテナ162a、164a、及び166aをそれぞれ備えている。
【0048】
移動通信部162は、移動通信網510を介した通信に必要な処理を行う。具体的には、移動通信部162は、移動通信網510の基地局512との無線接続を介して移動通信網510にアクセスしてデータ通信及び音声通信を行う。また、移動通信網510はインターネット520に接続されており、移動通信部162はインターネット520に接続された営業所30の運行管理装置300とのデータ通信も可能である。
【0049】
無線LAN通信部164は、アクセスポイントとしてバス20の車載装置200や利用者が所持する携帯端末40との間でIEEE802.11規格に準拠した無線通信を行う。後述するように、携帯端末40との無線LAN通信によっても乗車予約が行われる。なお、携帯端末40と停留所装置100との無線LAN通信は、予め携帯端末40にインストールされた、バス運行会社のサーバ600が配信する専用アプリケーションを使用して行われる。
【0050】
Bluetooth通信部166は、Bluetooth通信機能が実装された利用者の携帯端末40との間で近距離無線通信(以下「Bluetooth通信」という。)を行う。Bluetooth通信により、待ち客の携帯端末40から問い合わせを受けた路線に関する運行状況(例えば、次の便の停留所BSの出発予定時刻、各停留所までの所要時間、現在の乗車率、工事や事故による路線変更に関する情報等)が、停留所装置100から携帯端末40に送信される。また、後述するように、携帯端末40とのBluetooth通信によっても乗車予約が行われる。なお、携帯端末40と停留所装置100とのBluetooth通信は、予め携帯端末40にインストールされた、バス運行会社のサーバ600が配信する専用アプリケーションを使用して行われる。
【0051】
GPSユニット170は、アンテナ170aにより受信した複数のGPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号に基づいて停留所装置100の位置を測位して、測位結果を制御ユニット101に供給する。GPSユニット170による測位結果(座標データ)は、営業所30に設置された運行管理装置300からの要求に応じて、制御ユニット101からネットワーク50を介して運行管理装置300に送信され、停留所装置100の管理に使用される。運行管理装置300は、停留所装置100から取得した座標データ及び運行管理装置300が保有する地図データから、停留所装置100の正確な位置を地図上に表示することができる。これにより、停留所装置100と配置場所(停留所BS)との紐付けを自動的に行うことができる。運行管理装置300は、この紐付けの結果に基づいて停留所装置100に表示すべきデータ(停留所名、時刻表、路線名、運行状況に関するデータ等)を自動で停留所装置100に送信する。すなわち、本実施形態のバス運行管理システム1によれば、停留所標識10の行き先、路線名、時刻表等の表示を遠隔地から自動的に設定・変更することができるため、停留所標識10の管理に要するコストが大幅に軽減される。
【0052】
カメラユニット140は、撮像素子を備えたデジタルカメラであり、待ち客及び停留所BS周辺を撮影した映像データを制御ユニット101に供給する。
【0053】
記憶装置180は大容量のHDD(Hard Disk Drive)であり、記憶装置180には運行情報DB182及び映像DB184が格納されている。運行情報DB182及び映像DB184は、停留所BSを経由する路線毎に設けられている。運行情報DB182は、停留所BSを経由する各路線の運行に関する情報を管理するデータベースであり、例えば各路線の時刻表、到着予定時刻(遅延情報)、経路変更情報、停留所別の乗車予約数、乗車率(及びその履歴)、停留所別の乗降客数(及びその履歴)、停留所別の到着・出発・通過時刻履歴等の情報を蓄積している。また、メインディスプレイ130の広告・情報表示部134に表示するための広告データや告知データも記憶装置180に記録される。映像DB184はカメラユニット140が撮影した映像データを管理するデータベースである。映像DB184は、カメラユニット140が連続的又は断続的に撮影した映像データを一定期間(例えば日単位、週単位、あるいは月単位で)保持し、運行管理装置300からの要求に応じて、又は運行管理装置300により設定された時間間隔で、ネットワーク50を介して運行管理装置300へ映像データを送信する。また、映像DB184に蓄積された映像データは、無線LAN通信により路線バス20の車載装置200が回収し、無線LAN通信又はメモリカードにより車載装置200から営業所30の運行管理装置300に転送することもできる。また、記憶装置180は、暗号化処理回路を備えており、入力されたデータを暗号化して記録し、読み出したデータを復号して出力する。
【0054】
次に車載装置200の詳細を説明する。車載装置200の概略構成を示すブロック図を図4に示す。車載装置200は、制御ユニット210、降車予約受付ユニット220、ICカードリーダライタ230、映像処理ユニット240、音声処理ユニット250、通信ユニット260、GPSユニット270、及び記憶装置280を備えている。制御ユニット210は上記の各機能ユニットと接続されている。制御ユニット210は、図示しないCPU、EEPROM、及びRAMを備えたメインボードであり、EPROMに記録されたプログラムに基づいて車載装置200を構成する各機能ユニットの動作を統制する。
【0055】
降車予約受付ユニット220は、利用客の降車予約を受け付ける機能ユニットであり、各客席に設けられた降車ボタン222を備えている。乗客が降車ボタン222を押すことにより、降車予約受付ユニット220は次の停留所での降車予約を受け付ける。
【0056】
ICカードリーダライタ230は、非接触型ICカードに記録された定期券データ、回数券データ、あるいはプリペイドカードデータの読み取り及び書き込みを行う装置であり、運賃箱290に取り付けられている。ICカードリーダライタ230によって読み取られたデータは、運賃箱290において運賃清算に使用されるとともに、車載装置200に送信されて運行管理に使用される。
【0057】
映像処理ユニット240は、映像の入出力を行う機能ユニットであり、乗務員席ディスプレイ242、客室ディスプレイ244、客室カメラユニット246、車外カメラユニット248を備えている。乗務員席ディスプレイ242は、乗務員に提供すべき情報を画面表示するディスプレイ装置であり、乗務員席に設置されている。乗務員席ディスプレイ242には、地図情報に路線バス20の経路情報及び現在地情報(測位結果)が重畳された地図表示、路線バス20の行き先、路線名、系統番号、乗車率、次の停留所名、次の停留所での乗車予約者数、各停留所までの予定所要時間(又は到着予定時刻)、各区間の状況(渋滞、事故、工事、交通規制や経路変更に関する情報等)、運行管理者からの連絡・指示事項、同一路線(及び一部区間を共有する別路線)の他のバスからの連絡事項等を表示することができる。また、乗務員席ディスプレイ242はタッチパネルであり、乗務員は乗務員席ディスプレイ242上の表示を触れることにより車載装置に対する入力操作をすることができる。客室ディスプレイ244は、乗客に提供すべき情報を画面表示するディスプレイ装置であり、全ての乗客が表示を見ることができるように客室に一つ以上が設置されている。客室ディスプレイ244は、路線バス20の行き先、路線名、系統番号、次の停留所名、次の停留所での停車・通過の予定、各停留所までの予定所要時間(又は到着予定時刻)、各区間の状況、バス運行会社からの告知、広告、ニュース等を表示することができる。
【0058】
音声処理ユニット250は、音声の入出力を行う機能ユニットであり、乗務員席スピーカー252、マイク254、及び客室スピーカー256を備えている。乗務員席スピーカー252及びマイク254は乗務員席に設置されており、例えば乗務員と運行管理者との音声による通信に使用される。なお、乗務員席スピーカー252及びマイク254に代えて、ヘッドセットを使用することもできる。また、客室スピーカー256は、乗客への音声案内に使用され、全ての乗客が音声を聞き取れるように客室に一つ以上が配置されている。
【0059】
通信ユニット260は、外部機器とデータ通信及び音声通信を行う機能を車載装置200に提供する機能ユニットである。本実施形態の車載装置200は、移動通信網及び無線LANにより外部機器と通信可能に構成されており、通信ユニット260に設けられた移動通信部262及び無線LAN通信部264により各方式の通信が行われる。移動通信部262及び無線LAN通信部264は、それぞれ無線信号の送受信を行うためのアンテナ262a及び264aを備えている。
【0060】
移動通信部262は、停留所装置100の移動通信部162と同様の機能ユニットであり、移動通信網510を介して、営業所30の運行管理装置300と音声通信及びデータ通信を行う。
【0061】
無線LAN通信部264は、クライアントとして、アクセスポイントである停留所装置100の無線LAN通信部164や、後述する運行管理装置300の無線LAN通信部364との間で、IEEE802.11規格に準拠した無線通信を行う。
【0062】
GPSユニット270は、停留所装置100のGPSユニット170と同様のGPS測位を行う機能ユニットであり、GPS信号を受信するためのGPSアンテナ270aを備えている。GPSユニット270は、複数のGPS衛星からの信号に基づいて路線バス20の位置を測位して、測位結果を制御ユニット210に提供する。制御ユニット210に送られた測位結果は、移動通信部262を介して営業所30の運行管理装置300に送信されると共に、後述する記憶装置280に格納された地図情報及び経路情報と共に処理されて乗務員席ディスプレイ242に図示される。すなわち、乗務員席ディスプレイ242には、測位結果である車載装置200の現在地を示すマークが重畳された地図が表示される。また、営業所30の運行管理装置300に送信された測位結果は、路線バス20の運行管理(運行状況の監視及び記録)に使用される。
【0063】
記憶装置280は大容量のHDDであり、記憶装置280には運行情報DB282、映像DB284、及び地図情報DB286が格納されている。運行情報DB282は、路線バス20が運行するバス路線R1の運行に関する情報を管理するデータベースであり、例えばバス路線R1の経路情報(経路変更情報)、時刻表、各停留所の乗車予約情報、並びに路線バス20及び現在運行中の他の路線バスの各停留所への到着予定時刻(遅延情報)、乗車率、及び降車予約情報等を保持している。また、運行情報DB282には、バス路線R1の過去の運行履歴(例えば各区間の乗車率、各停留所での乗降客数、到着・出発・通過時刻等の履歴)が時間帯及び区間(又は停留所)別に記録されている。更に、運行情報DB282には、客室ディスプレイ244に表示するための広告データや告知データ、及び客室スピーカー256から音声案内を出力するための音声データも記録される。運行情報DB282に記録される情報は、無線LAN又はメモリカードを介して営業所30の運行管理装置300から提供され、またネットワーク50を介して運行管理装置300及び停留所装置100から受信する運行情報に基づいて更新される。地図情報DB286は、乗務員席ディスプレイ242に地図を表示するための地図情報を管理するデータベースである。地図情報DB286に記録される地図情報は、例えばDVD−ROM等の光ディスクにより提供される。また、記憶装置280は、暗号化処理回路を備えており、入力されたデータを暗号化して記録し、読み出したデータを復号して出力する。
【0064】
次に営業所30に設置される運行管理装置300について説明する。運行管理装置300の概略構成を示すブロック図を図5に示す。運行管理装置300は、制御ユニット310、入力ユニット320、映像処理ユニット340、音声処理ユニット350、通信ユニット360、及び記憶装置380を備えている。制御ユニット310は上記の各機能ユニットと接続されている。制御ユニット310は、図示しないCPU、RAM、及びEEPROMを備えたメインボードであり、EPROMに記録されたプログラムに基づいて運行管理装置300を構成する各機能ユニットの動作を統制する。
【0065】
入力ユニット320は、入力ユニット320に接続された入力装置を介したユーザ入力を受け付ける機能ユニットであり、キーボード322及びマウス324を備えている。
【0066】
映像処理ユニット340は、映像出力を行う機能ユニットであり、ディスプレイ342を備えている。ディスプレイ342には、営業所30が運行管理するバス路線(路線バス、停留所、及び運行経路)に関する情報が表示される。
【0067】
音声処理ユニット350は、音声の入出力を行う機能ユニットであり、スピーカー352及びマイク354を備えている。マイク354は、例えば運行管理者と各路線バスの乗務員との音声による通信に使用される。スピーカー352は、乗務員との音声通信、及び運行管理装置300による音声案内に使用される。なお、スピーカー352及びマイク354に代えて、又は追加して、ヘッドセットが使用されてもよい。
【0068】
通信ユニット360は、外部機器とデータ通信及び音声通信を行う機能を運行管理装置300に提供する機能ユニットである。通信ユニット360は、無線LAN及び光ファイバ網により外部機器と通信可能に構成されており、無線LAN通信部364及びONU(optical network unit)368を備えている。無線LAN通信部364は、IEEE802.11規格に準拠した無線通信を行うための機能ユニットであり、無線信号の送受信を行うためのアンテナ364aを備えている。なお、無線LAN通信部364は、アクセスポイントとして動作するように設定されている。ONU368は、インターネット520の光アクセス網522(図1)に接続するための機能ユニットである。
【0069】
記憶装置380は大容量のHDDであり、記憶装置380には運行情報DB382、映像DB384、及び地図情報DB386が格納されている。運行情報DB382は、営業所30が運行管理する全てのバス路線の運行に関する情報を管理するデータベースであり、例えば各路線の経路情報(経路変更情報)、時刻表、到着・出発・通過時刻(遅延情報)、各停留所の乗車予約数、乗車率、乗降客数等のデータを蓄積している。更に、運行情報DB382には、停留所装置100のメインディスプレイ130やスピーカー152、及び車載装置200の客室ディスプレイ244や客室スピーカー256から出力するための広告データや告知データ、音声データも記録される。映像DB384は、停留所装置100のカメラユニット140、並びに車載装置200の客室カメラユニット246及び車外カメラユニット248により撮影された映像データを管理するデータベースである。
【0070】
以上に説明した停留所装置100(100’)、車載装置200(200’)、及び運行管理装置300等から構成された路線バス運行管理システム1の動作について以下に説明する。停留所装置100(100’)、車載装置200(200’)及び運行管理装置300が実行する処理を説明するフローチャートを、それぞれ図6、図11及び図18に示す。なお、以下の説明及び対応するフローチャートにおいて、「ステップ」を「S」と略記する。
【0071】
まず、停留所装置100が実行する処理について説明する。図6に示されるように、停留所装置100は、後述する周辺状況確認処理S7、運行状況案内処理S8、及び情報案内処理S9の各処理を、停留所BSを経由する全ての路線バスの運行が終了する(S10:YES)まで順次繰り返し実行する。また、停留所装置100は、所定のトリガー入力(S1〜S6)に応じて、各種の割り込み処理S100〜S600を実行する。なお、制御ユニット101がマルチタスクで動作可能な場合には、幾つかの処理を同時に実行させてもよい。
【0072】
(周辺状況確認)
停留所装置100は、周囲の状況をカメラユニット140により連続的又は断続的に撮影した映像データを記憶装置180の映像DB184に蓄積すると共に、撮影した映像データを画像分析する周辺状況確認処理S7を行う。周辺状況確認処理S7を説明するフローチャートを図10に示す。周辺状況確認処理S7においては、先ず撮影した画像から特徴点を抽出し、抽出された特徴点に基づいて画像認識を行う画像解析処理S701が行われる。次に、映像に乗車予約をした利用客が写っているか否か(すなわち予約者が停留所BSにいるか否か)が判断される(S702)。なお、後述する乗車予約受付処理S100において、乗車予約ボタンが押されたときにカメラユニット140により撮影された映像から乗車予約をした利用者の画像解析が予め行われ、予約者の像の特徴点が予約者識別情報として記憶装置180に記録されている。映像に乗車予約をした利用客が写っているか否かの判断は、映像から抽出された特徴点を予約者識別情報と比較して行われる。映像に写っていない予約者がいるときは(S702:YES)、停留所装置100はネットワーク50を介して不在予約者の人数を車載装置200及び運行管理装置300に通知し(S703)、カメラユニット140により撮影された映像データを運行管理装置300へ送信する。営業所30の運行管理者は、車載装置200から不在予約者がいることの通知を受けると、通知と共に送信された映像を確認し、映像に待ち客が写っていなければ、注意深く目視確認をするように車載装置200に警告を送信することができる。また、車載装置200は、路線バス20が停留所BSに停車又は通過する際に、乗務員席ディスプレイ242に停留所装置100から受信した乗車予約者数と共に不在予約者数を表示する。この表示及び/又は上記の警告により、乗務員は不在予約者がいる場合に乗車確認を注意深く行うことができ、乗車ミスの発生を効果的に防止することができる。また、待ち客が携帯端末40を使用してBluetooth通信又は無線LAN通信により乗車予約をした場合には、乗車予約信号に含まれるBluetoothアドレス(BD_ADDR)又はMACアドレスからの無線信号が検出されるか否かにより、予約者の不在が確認される。
【0073】
また、異常な動きをする人物や物体(例えば動物)、あるいは不審物や障害物が画像解析により検出された場合にも(S704:YES)、停留所装置100はネットワーク50を介して不審者等の存在を運行管理装置300及び車載装置200に通知し(S705)、カメラユニット140により撮影された映像データを運行管理装置300へ送信する。
【0074】
また、画像解析により火災や浸水等の異常発生が確認された場合にも(S706:YES)、停留所装置100はネットワーク50を介して異常発生を運行管理装置300及び車載装置200に通知し(S707)、カメラユニット140により撮影された映像データを運行管理装置300へ送信する。
【0075】
停留所装置100から不審者や異常発生の通知を受けると、運行管理装置300は停留所装置100から送信された映像を通知内容と共にディスプレイ342に表示する。営業所30の運行管理者はディスプレイ342に表示された通知内容と映像から停留所BS周辺の状況を正確に把握することができ、必要に応じて緊急通報や路線バス20の乗務員への指示をすることができる。また、車載装置200もネットワーク50を介して停留所装置100から映像データを取得して、通知内容と共に映像を乗務員席ディスプレイ242に表示することができる。これにより、路線バス20の乗務員は乗務員席ディスプレイ242に表示された通知内容と映像から停留所BS周辺の状況を正確に把握し、状況に応じた適切な対処(例えば停留所を通過する等)をすることが可能になる。
【0076】
(運行状況案内)
停留所装置100は、記憶装置180の運行情報DB182に蓄積された運行状況に関する情報に基づいて運行情報案内処理S8を行う。運行情報DB182に格納された運行情報は、運行管理装置300及び車載装置200からネットワーク50を介して、あるいは車載装置200から無線LANを介して、停留所装置100が受信し蓄積したものである。運行状況案内処理S8は、例えば時刻表、運行状況の詳細(例えば次の便の到着予定時刻、各停留所までの所要時間、乗車率、工事や事故による経路変更に関する情報等)をメインディスプレイ130の広告・情報表示部134へ表示することにより行われる。また、遅延や路線変更等の重要な情報は、スピーカー152により音声案内することもできる。
【0077】
(情報案内)
情報案内処理S9において、停留所装置100は、記憶装置180に記録された広告データ、告知データ及びニュースデータに基づいて、メインディスプレイ130の広告・情報表示部134に広告、告知及びニュース等の情報をそれぞれ表示する。広告データ、告知データ及びニュースデータは、路線バス20の車載装置200から無線LAN通信により停留所装置100に転送される。また、速報が必要な情報は、ネットワーク50を介して運行管理装置300から停留所装置100に直接転送される。なお、広告データやニュースデータは、それぞれ広告会社やニュース配信会社からネットワーク50を介して直接受信することもできる。また、広告や告知の内容をスピーカー152により音声案内することもできる。
【0078】
(乗車予約受付処理)
次に、本発明の実施形態に係る乗車予約受付処理について、バス停BSにおいて待ち客が市民病院行き(バス路線R1)の乗車予約を行う場合を例にして説明する。待ち客がディスプレイ112に「市民病院行き」と表示された乗車予約受付サブユニット110aの乗車予約ボタン114を押すと(S1:YES)、停留所装置100はサブユニット110aに対応するバス路線R1(市民病院行き)について乗車予約受付処理S100を開始する。また、待ち客が乗車する区間の定期券データ、回数券データ又は乗車履歴が記録された非接触型ICカードをICカードリーダ120にかざしたときにも、停留所装置100はICカードリーダに記録された乗車区間について乗車予約処理S100を開始する。更に、待ち客が携帯端末40を使用して、Bluetooth通信又は無線LAN通信により停留所装置100に乗車予約信号を送信した場合にも、停留所装置100はBluetooth通信部166又は無線LAN通信部164が受信した乗車予約信号の示す区間について乗車予約処理S100を開始する。Bluetooth通信や無線LAN通信により乗車予約を行うと、停留所に長い行列ができているときに、一旦行列の先頭にある停留所装置100まで行って乗車予約をした後で行列の最後尾まで戻る必要が無く、乗車予約を楽に行うことができる。特に歩行の不自由な利用客は、無線LAN通信やBluetooth通信を使用すると乗車予約を快適に行うことができる。
【0079】
図7は、乗車予約処理S100を説明するフローチャートである。乗車予約処理S100が開始すると、停留所装置100は先ず予約者認識処理S101を行う。予約者認識処理S101は、待ち客が乗車予約操作(乗車予約ボタン114の押下、非接触型ICカードの読取)をした際にカメラユニット140により撮影された映像データに基づいて、乗車予約者の画像認識に必要な特徴点を抽出する処理である。また、待ち客が携帯端末40を使用したBluetooth通信や無線LAN通信により乗車予約をした場合には、乗車予約信号を送信した携帯端末40のBluetoothアドレス(BD_ADDR)又は無線LANインタフェースのMACアドレスにより予約者の識別が行われる。予約者認識処理S101において抽出された特徴点やBluetoothアドレス、無線LANのMACアドレスは、上述の予約者不在確認処理S702や後述する乗車予約取消処理S200において、予約者識別情報として使用される。
【0080】
予約者が認識されると、乗車予約情報(予約受付時刻、予約路線、予約者識別情報等)が記憶装置180の運行情報DB182に記録されることにより、乗車予約が受け付けられる(S102)。また、予約内容を確認するために、予約が受け付けられた路線が予約者に対して明示される。具体的には、停留所装置100は、乗車予約を受け付けたバス路線R1に対応するサブユニット110aのランプ(ボタン114に内蔵)を点灯し、あるいはディスプレイ112の表示を強調表示(例えば太枠表示、太字表示、表示色変化等)に変更して、更にスピーカー152から「市民病院行きの乗車予約を受け付けました」と音声出力する(S103)。
【0081】
次に、停留所装置100は、運行情報DB182に記録された運行情報にアクセスして、乗車予約を受け付けた路線の運行状況を検索する(S104)。直前の区間(一つ前の停留所BS’から停留所BSまでの区間)に空席の路線バスが走行していて(S105:YES)、その路線バスの空席数(乗車定員と現在の乗車客数との差分)が停留所BSの待ち客全員が乗車するのに十分であれば(S106:YES)、ネットワーク50を介してその空席の路線バスにダイレクトに乗車予約(既に乗車予約をしている場合は予約数変更)を通知し(S107)、処理をS111に進める。路線バスに十分な空き席が無く乗車できなければ(S106:NO)、メインディスプレイ130への表示及びスピーカー152からの音声出力により、「満員のため次に到着するバスにはご乗車できません。」と通知し(S108)、処理をS111に進める。また、直前の区間を走行する空席の路線バスが無く(S105:NO)、また直前の区間を走行する満車の路線バスがあれば(S109:YES)、メインディスプレイ130への表示及びスピーカー152からの音声出力により、「次のバスは満員のため通過します。」と通知し(S110)、処理をS111に進める。また、直前の区間を走行するバスが無ければ(S105:NO、S109:NO)、処理をS111に進める。
【0082】
次いで停留所装置100は、ネットワーク50を介して運行管理装置300に乗車予約(既に乗車予約をしている場合は予約数変更)を通知した後(S111)、次に到着する乗車可能な路線バスの到着予定時刻を、メインディスプレイ130への表示及びスピーカー152からの音声出力により案内して(S112)、乗車予約処理S100を終了する。
【0083】
なお、乗車予約受付ユニット110は、ネットワーク50を介して乗車予約を受け付けることもできる。バス運行会社の本社60には、ネットワーク50(インターネット520)に接続された乗車予約受付サーバ600が設置されている(図1)。利用客が携帯端末40等を使用してネットワーク50を介して乗車予約受付サーバ600に乗車予約信号を送信すると、乗車予約受付サーバ600は受信した乗車予約信号により指定されたバス路線を運行管理する運行管理装置300に乗車予約信号を転送する。運行管理装置300は、受信した乗車予約信号(乗車する路線、停留所、便等の情報を含む)に基づいて乗車予約を受け付け、ネットワーク50を介して乗車予約受付信号を乗車予約受付サーバ600に返す。乗車予約受付サーバ600は乗車予約受付信号を携帯端末40に転送して、乗車予約が完了する。また、満員や運行中止のために乗車予約が受け付けられない場合には、乗車予約不受理信号が返される。携帯端末40と乗車予約受付サーバ600との通信は、乗車予約受付サーバ600から配信され、予め携帯端末40にインストールされた専用アプリケーションにより行われる。また、乗車予約受付サーバ600は、HTTP(hyper text transfer protocol)サーバ機能を備えており、携帯端末40にインストールされたWebブラウザを使用してネットワーク50を介して乗車予約受付サーバ600上の乗車予約受付ページ(Webページ)にアクセスし、CGI(Common Gateway Interface)により乗車予約受付サーバ600上で専用プログラムを実行させて乗車予約を行うこともできる。また、携帯端末40にBluetooth通信機能や無線LAN通信機能が実装されている場合には、利用客が停留所BSに接近して携帯端末40が停留所装置100からのBluetooth信号や無線LAN信号を検出すると、携帯端末40にインストールされた専用アプリケーション又はWebブラウザが自動的に起動して乗車予約受付サーバ600にアクセスし、直ぐに乗車予約の処理が行えるようになっている。
【0084】
また、専用アプリケーション及び/又は乗車予約受付ページ(専用プログラム)はナビゲーション機能を備えており、携帯端末40に内蔵されたGPSユニットが出力する現在地の測位データ(あるいは、携帯端末40のユーザが入力した現在地住所や現在地付近にある施設等の名称)及びユーザが入力した目的地に基づいて、最適な経路、現在地に最寄りの停留所、及び乗車可能なバスの出発予定時刻を検索して、携帯端末40のディスプレイに表示する。ユーザが乗車予約の入力操作をすると、乗車予約受付信号が携帯端末40からネットワーク50を介して乗車予約受付サーバ600に送信され、検索された路線バスの乗車予約が受け付けられる。なお、利用可能な路線バスの検索には、現在地から最寄りの停留所までの移動時間や運行状況も考慮される。また、利用者の移動が遅れた場合には、次の便への予約変更をユーザに促す画面表示と音声案内が行われ、ユーザが予約変更の入力操作を行うと、古い乗車予約を取り消す乗車予約取消信号と新たな乗車予約を行う乗車予約信号が乗車予約受付サーバ600に送信され、乗車予約の変更が受け付けられる。このように、ナビゲーション機能と乗車予約機能を複合することにより、土地勘の無い利用客も道に迷わずに最適な路線バスを利用することが可能になる。また、停留所から離れた場所から早期に乗車予約ができるため、より効率的な路線バスの運行管理が可能になる。
【0085】
(乗車予約取消処理)
路線を誤って乗車予約をした場合や、乗車を取り止める場合には、予約取消ボタン116を押すことで乗車予約を取り消すことができる。待ち客が予約取消ボタン116を押すと(S2:YES)、乗車予約取消処理S200が開始される。なお、非接触型ICカードにより乗車予約をした場合には、非接触型ICカードをもう一度ICカードリーダ120にかざすことによっても、乗車予約取消処理S200が開始される。また、携帯端末40からBluetooth通信や無線LAN通信により乗車予約をした場合には、携帯端末40がBluetooth通信や無線LAN通信により送信した予約取消信号を停留所装置100が受信することで乗車予約取消処理S200が開始される。
【0086】
図8は、乗車予約取消処理S200を説明するフローチャートである。乗車予約取消処理S200が開始すると、停留所装置100は先ず予約取消者認識処理S201を行う。予約取消者認識処理S201は、待ち客が予約取消操作(予約取消ボタン116の押下、非接触型ICカードの再読取)をした際にカメラユニット140により撮影された映像データに基づいて、乗車予約者の特徴点を抽出し、これを乗車予約情報に含まれる予約者識別情報(すなわち乗車予約受付時に取得した特徴点)と比較することで行われる。また、Bluetooth通信や無線LAN通信により予約取消信号が送信された場合には、予約取消信号と乗車予約信号に含まれるBluetoothアドレス(BD_ADDR)やMACアドレスを比較することで予約取消者の認識が行われる。すなわち、予約取消者認識処理S201により取消しの対象となる乗車予約情報が特定される。
【0087】
予約取消者が認識されると、S201において特定された乗車予約情報を記憶装置180から削除することにより、乗車予約取消が受け付けられる(S202)。そして、予約が取り消されたバス路線R1に対応するサブユニット110aのランプを消灯し、あるいはディスプレイ112の表示を通常表示に戻し、更にスピーカー152から「市民病院行きの乗車予約を取り消しました」と音声出力する(S203)。但し、同じ路線に他の予約者がいる場合は、音声出力のみで乗車予約取消の受付を知らせ、ランプの点灯やディスプレイ112の強調表示は維持される。
【0088】
次に、停留所装置100は、運行情報DB182に記録された運行情報にアクセスして、乗車予約の取消しを受け付けた路線の運行状況を検索する(S204)。停留所BSに停車予定の路線バスが直前の区間に走行している場合には(S205:YES)、ネットワーク50を介してその路線バスにダイレクトに乗車予約取消(他の乗車予約が残っている場合には予約数変更)を通知し(S206)、処理をS207に進める。停留所BSに停車予定の路線バスが直前の区間に走行していない場合には(S205:NO)、処理をS207に進める。続く処理S207において、停留所装置100は、ネットワーク50を介して運行管理装置300に乗車予約取消(他の乗車予約が残っている場合には予約数変更)を通知して、乗車予約取消処理S200を終了する。
【0089】
(運行状況更新処理)
また、停留所装置100は、運行管理装置300又は車載装置200から、ネットワーク50又は無線LANを介して運行状況に関する情報を受信すると(S3:YES)、運行情報更新処理S300を行う。具体的には、受信した運行状況に関する情報に基づいて、記憶装置180の運行情報DB182に記録された運行情報を更新する。
【0090】
(バス近接案内処理)
後述するように、車載装置200は、路線バス20が一つ前の停留所BS’を出発又は通過する際に、ネットワーク50を介して次の停留所BSの停留所装置100へダイレクトに近接情報を送信する。近接情報には、路線バス20の乗車率や、停留所BSへの停車予定(又は通過予定)の情報が含まれている。停留所装置100は、近接情報を受信すると(S4:YES)、バス近接案内処理S400を行う。バス近接案内処理S400は、近接している路線バスの停留所BSへの停車(又は通過)を待ち客に予告するものである。具体的には、近接情報に停車予定の情報が含まれている場合には、例えば「間もなく市民病院行きが到着します」という案内がメインディスプレイ130への画面表示及び音声により行われる。更に、乗車率が高く、全ての待ち客が乗車できない場合には、「混雑のためご乗車できない場合があります」という音声案内が行われる。また、満員のため停留所BSを通過する場合には、「次のバスは、満員のため、この停留所を通過します」という内容の画面表示と音声案内が行われる。このように、待ち客に不都合な情報を、合理的な説明と共に、予め待ち客に知らせることにより、例えば待ち客が路線バス20に乗車できなかった場合に受けるストレスが軽減される。また、路線バスを待つ間も、待ち客は次の路線バスへの乗車の可否を把握することができるため、不要な心配から開放される。これにより、バス運行会社が提供するサービスに対する利用客の満足度が向上する。
【0091】
(バス到着/通過処理)
後述するように、路線バス20が停留所BSに到着(又は通過)する際に、車載装置200は無線LANにより到着通知(又は通過通知)を停留所装置100に送信する。停留所装置100は、この到着通知又は通過通知を受信すると(S5:YES)、バス到着/通過処理S500を開始する。図9は、バス到着/通過処理S500を説明するフローチャートである。車載装置200から到着通知を受信した場合は(S501:YES)、路線バス20の到着をメインディスプレイ130の表示及び音声により待ち客に案内する(S502)。なお、到着通知にも乗車率情報が含まれており、乗車率が高く全ての待ち客が乗車できない場合には、「ご乗車になれない場合は、次のバスをご利用ください」という案内がメインディスプレイ130への画面表示及び音声により行われる。また、車載装置200が運行管理装置300から、停留所装置100の映像DB184に蓄積された映像データの回収、あるいは停留所装置100の記憶装置180に記録される広告データ等の更新を指示されている場合には(S503:YES)、停留所装置100は無線LANを介して車載装置200とデータ交換を行う(S504)。また、路線バス20が停留所BSを出発する際に、車載装置200は無線LANにより出発通知を送信する。出発通知には、停留所BSにおいて路線バス20に乗車した人数と降車した人数が含まれている。
【0092】
車載装置200から通過通知を受信した場合は(S501:NO)、停留所装置100は、路線バス20が満員のため停車せずに通過することをメインディスプレイ130の表示及び音声により待ち客に案内する(S506)。停留所装置100が車載装置200から出発通知を受信するか(S505:YES)、通過通知を受信すると(S506)、記憶装置180の運行情報DB182に記録された運行情報を更新する(S507)。具体的には、路線バス20の走行中の区間、乗車率、停留所BSへの到着・出発・通過時刻履歴、乗車予約情報等が更新される。
【0093】
(映像転送処理)
停留所装置100は、運行管理装置300又は車載装置200からネットワーク50を介して映像データの転送要求を受信すると(S6:YES)、映像DB184に蓄積された映像データをネットワーク50を介して転送する映像転送処理S600を行う。なお、運行管理装置300又は車載装置200からの映像データの転送要求は、転送する映像データの撮影期間(例えば2010年1月1日0:00−1:00)を指定して行われる。停留所装置100は、指定された撮影期間に該当する映像データを映像DB184から抽出して、転送する。
【0094】
次に、車載装置200が実行する処理について説明する。図11に示されるように、車載装置200は、後述する車内外状況確認処理S1007、運行状況案内処理S1008、及び情報案内処理S1009の各処理を運行が終了する(S1010:YES)まで順次繰り返し実行する。また、車載装置200は、所定のトリガー入力(S1001〜S1006)に応じて、各種の割り込み処理S1100〜S1700を実行する。なお、制御ユニット101がマルチタスクで動作可能な場合には、幾つかの処理を同時に実行させてもよい。
【0095】
(車内外状況確認)
車載装置200は、客室及び車外の状況を、それぞれ客室カメラユニット246及び車外カメラユニット248により連続的又は断続的に撮影した映像データを記憶装置280の映像DB284に蓄積すると共に、撮影した映像データを画像分析する周辺状況確認処理S1007を行う。周辺状況確認処理S1007においては、先ず撮影した画像から特徴点を抽出し、抽出された特徴点に基づいて画像認識を行う画像解析処理が行われ、画像解析結果に基づいて車内外の不審者・病人、あるいは異常事態(交通事故等)の発生を検出する。周辺状況確認処理S1007において異常等が検出されると、車載装置200はネットワーク50を介して不審者等の存在を運行管理装置300に通知する。
【0096】
(運行状況案内)
車載装置200は、記憶装置280の運行情報DB282に蓄積された運行状況に関する情報に基づいて運行情報案内処理S1008を行う。運行情報DB282に格納された運行情報は、運行管理装置300及び停留所装置100からネットワーク50又は無線LANを介して、車載装置200が受信し蓄積したものである。運行状況案内は、例えば運行状況の詳細(例えば次の便の到着予定時刻、各停留所までの所要時間、乗車率、工事や事故による経路変更に関する情報等)を、乗務員席ディスプレイ242及び/又は客室ディスプレイ244に表示することにより行われる。また、遅延や路線変更等の重要な情報は、乗務員席スピーカー252及び/又は客室スピーカー256により音声案内することもできる。
【0097】
(情報案内)
情報案内処理S1009において、車載装置200は、記憶装置280に記録された広告データ、告知データ及びニュースデータ等に基づいて、乗務員席ディスプレイ242及び/又は客室ディスプレイ244に広告、告知及びニュース等の情報をそれぞれ表示する。広告データ、告知データ及びニュースデータ等は、営業所30の運行管理装置300から無線LAN通信により車載装置200に転送される。また、速報が必要な情報は、ネットワーク50を介して転送される。なお、広告データやニュースデータは、それぞれ広告会社やニュース配信会社からネットワーク50を介して直接受信することもできる。また、広告や告知の内容を乗務員席スピーカー252及び/又は客室スピーカー256により音声案内することもできる。
【0098】
(降車予約受付処理)
乗客が降車ボタン222を押すと(S1001:YES)、降車予約受付処理S1100が開始される。図12は、降車予約受付処理S1100を説明するフローチャートである。降車予約受付処理S1100において、先ず記憶装置280の運行情報DB282に降車予約情報が記録されることにより、降車予約が受け付けられる(S1101)。次に、次の停留所BSで停車することを乗客に知らせるため、車載装置200は降車ランプを点灯し(S1102)、更に降車予定案内処理S1103を行う。降車予定案内処理S1103は、具体的には乗務員席ディスプレイ242及び客室ディスプレイ244への画面表示及び客室スピーカー256からの例えば「図書館前に停まります」という音声案内により行われる。そして、次に停車する停留所BSの停留所装置100及び運行管理装置300へ降車予定を送信して(S1104)、降車予約受付処理S1100を終了する。
【0099】
(停留所近接処理)
GPSユニット270が出力する位置情報により、次に停車又は通過する停留所BSの近接が検知されると(S1002:YES)、停留所近接処理S1200が開始される。図13は、停留所近接処理S1200を説明するフローチャートである。路線バス20が次の停留所BSに停車予定である場合(S1201:YES)、例えば「間もなく図書館前に停まります」という停留所停車予告処理S1202が客室ディスプレイ244への画面表示及び客室スピーカー256からの音声案内により行われる。また、路線バス20が次の停留所BSを通過予定である場合は(S1201:NO)、例えば「図書館前を通過します」という停留所停車予告処理S1202が客室ディスプレイ244への画面表示及び客室スピーカー256からの音声案内により行われる。
【0100】
上述の停留所停車予告処理S1202又は停留所通過予告処理S1203の後、停留所BSに到着又は停留所BSを通過する前に(S1205:NO)、停留所装置100からの乗車予約通知又は乗車予約取消通知が受信され、又は降車ボタン222が押されて、次の停留所BSでの停車/通過予定に変更が生じた場合には(S1204:YES)、処理はS1201に戻り、変更後の予定に従って再び停留所停車予告処理S1202又は停留所通過予告処理S1203が行われる。路線バス20が停留所BSに到着し又は停留所BSを通過すると(S1205:YES)、停留所近接処理S1200は終了する。
【0101】
(停留所到着・通過処理)
路線バス20が停留所BSに到着又は停留所BSを通過すると(S1003:YES)、停留所到着・通過処理S1300が開始される。図14は、停留所到着・通過処理S1300を説明するフローチャートである。路線バス20が停留所BSに停車する場合(S1301:YES)、降車ランプが消灯され(S1302)、例えば「図書館前に到着しました」という到着案内処理S1303が客室ディスプレイ244への画面表示及び客室スピーカー256からの音声案内により行われる。また、停留所BSに配布すべきデータ(広告データ等)や停留所BSから回収すべきデータ(映像データ等)があれば(S1304:YES)、無線LANにより停留所装置100とデータ交換処理S1305をする。
【0102】
停留所装置100とのデータ交換処理S1305の後、路線バス20が停留所BSを出発すると(S1306:YES)、車載装置200は次の停留所BS”の停留所装置100”及び運行管理装置300へネットワーク50を介して出発通知を送信する(S1307)。出発通知は、停留所BSを出発した時刻、停留所BSでの乗降客数、乗車率等の情報を含んでいる。また、出発通知処理S1307とともに、例えば「図書館前を出発しました。次は小学校前です。お降りの方は降車ボタンを押してください。」という出発案内が、客室ディスプレイ244への画面表示及び客室スピーカー256からの音声案内により行われる。
【0103】
路線バス20が停留所BSを通過する場合は(S1301:NO)、車載装置200は次の停留所BS”の停留所装置100”及び運行管理装置300へネットワーク50を介して通過通知を送信する(S1308)。通過通知は、停留所BSを通過した時刻、乗車率等の情報を含んでいる。また、通過通知処理S1308とともに、例えば「図書館前を通過しました。次は小学校前です。お降りの方は降車ボタンを押してください。」という通過案内が、客室ディスプレイ244への画面表示及び客室スピーカー256からの音声案内により行われる。出発通知処理S1307又は通過通知処理S1308が行われると、次に次停留所停車判断処理S1700が行われる。次停留所停車判断処理S1700は、次の停留所に停車するか否かを判断する処理である。
【0104】
(次停留所停車判断処理)
ここで、次停留所停車判断処理S1700について説明する。図15は、次停留所停車判断処理S1700を説明するフローチャートである。次停留所停車判断処理S1700においては、先ず次の停留所BSでの降車予約の有無が判断される(S1701)。降車予約がある場合には(S1701:YES)、停車確定通知が送信される(S1707)。停車確定通知は、次の停留所BSでの待ち客の有無や、同一区間を走行中の他の路線バスの停車予定に拘わらず、必ず次の停留所BSに停車することを通知する信号である。降車予約が無い場合には(S1701:NO)、次の停留所BSに待ち客(路線R1の乗車予約客)がいるか否かが判断される(S1702)。次の停留所BSに待ち客がおらず(S1702:NO)、運行が予定よりも遅れている場合には(S1706:YES)、通過予定通知が送信される(S1708)。次の停留所BSに待ち客がいる場合には(S1702:YES)、同一区間を走行中の他の路線バスのうち停車確定通知を送信したものがあるか否かが判断される(S1703)。停車確定通知を送信した他の路線バスがある場合には(S1703:YES)、その路線バスに全ての待ち客を収容できる空き席があるか否かが判断される(S1705)。なお、停車確定通知を送信した他の路線バスが複数ある場合は、空席数の合計が待ち客の数よりも多いか否かにより判断S1705が行われる。また、同一区間を走行中の他の路線バスに停車確定通知を送信したものが無い場合には(S1703:NO)、同一区間を走行中の先行する路線バス(すなわち、路線バス20よりも前を走行する他の路線バス)があるか否かが判断される。先行する他の路線バスがあれば(S1704:YES)、処理はS1705に進む。先行する他の路線バスが無い場合には(S1704:NO)、停車予定通知を送信する(S1709)。なお、停車予定通知は、次の停留所BSの待ち客の数や、同一区間を走行中の他の路線バスの停車予定の変化に応じて変更され得る停留所BSへの停車予定を通知する信号である。また、停車確定通知、停車予定通知、及び通過予定通知は、それぞれ前の停留所を出発又は通過した時刻や、乗車率(又は空席数)の情報を含んでいる。先行車両か否かの判断や、他の路線バスの空き席の有無の判断は、停車確定通知、停車予定通知、又は通過予定通知に含まれるこれらの情報に基づいて行われる。また、同一区間を走行中の路線バス間で、GPSユニット270による測位結果(現在地情報)をネットワーク50又は無線LANを介してダイレクトに交換して、先行車両か否かの判断を行うこともできる。また、停車確定通知、停車予定通知、及び通過予定通知は、それぞれ同一の区間(隣接停留所間)を走行中の他の路線バスの車載装置200、次の停留所の停留所装置100、及び運行管理装置300に、ネットワーク50を介して送信される。停車確定通知、停車予定通知、又は通過予定通知が送信されると、次停留所停車判断処理S1700は終了する。
【0105】
(運行状況更新処理)
また、車載装置200は、運行管理装置300又は停留所装置100から、ネットワーク50又は無線LANを介して運行状況に関する情報を受信すると(S1004:YES)、運行情報更新処理S1400を行う。具体的には、受信した運行状況に関する情報に基づいて、記憶装置280の運行情報DB282に記録された運行情報を更新する。また、受信した運行情報が運行管理装置300を介して転送されたものではなく、次の停留所の停留所装置100又は同一の区間(隣接停留所間)を走行中の他の路線バスの車載装置200からダイレクトに受信したものである場合には(S1401:YES)、上述の次停留所停車判断処理S1700が行われる。
【0106】
(異常運行状況通知処理)
路線バス20の乗務員は、交通事故、路上故障車両、路線沿線の火災、交通渋滞、又は路線バス20の故障等、路線バスの通常運行に支障を来し得る異常な状況の発生又は解消を確認すると、乗務員席ディスプレイ242に表示される異常運行状況確認ボタン(不図示)をタッチする。異常運行状況確認ボタンがタッチされると(S1005:YES)、異常運行状況通知処理S1500が開始される。図16は、異常運行状況通知処理S1500を説明するフローチャートである。異常運行状況通知処理S1500が開始すると、先ず乗務員席ディスプレイ242に発生(又は解消)が確認された異常事象の内容を入力する異常運行状況入力画面(不図示)が表示される。乗務員は、異常運行状況入力画面上で、発生又は解消した異常事象(交通事故、路上故障車両、沿線火災、交通渋滞、路線バス20の故障等)、発生場所、運行障害レベル(運行遅延または運行続行不能)を入力する(S1501)。なお、発生場所は、乗務員席ディスプレイ242に表示される地図画面上で指定することができる。車載装置200は、異常運行状況入力画面上で入力された情報を含む異常運行状況通知を、ネットワーク50を介して運行管理装置300に送信する(S1502)。また、車載装置200は、異常運行状況入力画面上で入力された情報を、客室ディスプレイ244への画面表示及び客室スピーカー256からの音声により乗客に案内し、異常運行状況通知処理S1500を終了する。
【0107】
(営業所データ処理)
路線バス20は、運行開始時及び運行終了時に、営業所に設けられた停車エリアに停車する。停車エリアには運行管理装置300の無線LAN通信部364のアンテナ364aが設置されており、路線バス20が停車エリアに停車中、車載装置200は運行管理装置300と無線LANによる通信を行うことができる。路線バス20が停車エリアに入り、車載装置200が運行管理装置300からの無線信号を検出すると(S1006:YES)、営業所データ処理S1600が開始される。図17は、営業所データ処理S1600を説明するフローチャートである。
【0108】
路線バス20の運行終了時には(S1601:YES)、先ず車載装置200は路線バス20の詳細な運行記録を運行管理装置300にアップロードする(S1602)。アップロードされる運行記録には、乗降履歴(ICカード読取履歴)、入金データ、GPSユニット270による測位履歴(走行経路)、速度履歴、加速度履歴、エンジン回転数履歴、燃料消費履歴、客室カメラユニット246及び車外カメラユニット248により撮影され映像DB284に記録された映像データ等が含まれる。なお、運行中にネットワーク50を介して既に運行管理装置300へ送信済みのデータ(例えば、各停留所の発着時刻、通過履歴、乗降客数、降車予約数等)も全てアップロードされる。次に、各停留所装置100から回収したデータがあれば(S1603:YES)、回収データを運行管理装置300にアップロードする(S1604)。路線バス20が引き続き次の運行を開始する場合は(S1605:YES)、処理はS1606へ進む。運行を継続しない場合は(S1605:NO)、営業所データ処理S1600を終了する。
【0109】
路線バス20の運行開始時には(S1601:NO)、運行管理装置300から最新の運行情報等(車載装置200が使用する広告データや告知データを含む)を一括してダウンロードする運行情報ダウンロードS1606が行われる。次に、車載装置200は、車載装置200を介して各停留所に配布すべき広告データ等の有無を運行管理装置300に問い合わせ、配布するデータがあれば(S1607:YES)、車載装置200は運行管理装置300から配布データをダウンロードし(S1608)、営業所データ処理S1600を終了する。また、配布するデータが無ければ(S1607:NO)、そのまま営業所データ処理S1600を終了する。
【0110】
次に、運行管理装置300が実行する処理について説明する。図18に示されるように、運行管理装置300は、後述する運行情報配信処理S2500、巡回監視処理S2600、及び外部情報収集処理S2700の各処理を運行管理が終了するまで、所定の時間間隔で順次繰り返し実行する。また、運行管理装置300は、所定のトリガー入力(S2001〜S2004)に応じて、各種の割り込み処理S2100〜S2400を実行する。なお、制御ユニット310がマルチタスクで動作可能な場合には、幾つかの処理を同時に実行させてもよい。
【0111】
(運行情報配信処理)
運行情報配信処理S2500では、運行情報DB382に記録された最新の運行情報に基づいて、運行状況に関する情報の更新データ(前回配信からの差分情報)を、ネットワーク50を介して停留所装置100及び車載装置200に送信する。また、速報を要する告知データや広告データも運行情報の更新データと共に配信される。なお、運行管理装置300が管理する路線バスや停留所の数が少ない場合には、運行情報の更新頻度が低いため、後述する運行情報更新処理S2100を実行する度に運行情報配信処理S2500を実行するようにしてもよい。本実施形態のバス運行管理システム1は、管理する停留所及びバスの数が多い大規模営業所での使用を想定したシステム例であるため、通信トラフィックを抑制するために、所定時間内に更新された運行情報をまとめた更新データを所定の時間間隔で各停留所装置及び車載装置に配信する構成が採用されている。また、説明の便宜上、図18のフローチャートは運行情報配信処理S2500が他のルーチン(巡回監視処理S2600や外部情報収集処理S2700)と同じ頻度で実行されるように記載されているが、各装置が保持する運行情報が更新されるまでのタイムラグを短くするために、他のルーチンよりも高い頻度で実行することが望ましい。
【0112】
(巡回監視処理)
巡回監視処理S2600において、運行管理装置300は、運行中の各路線バス20の車載装置200及び各停留所10の停留所装置100の映像DB184、284から、最新の映像データを一定時間長(例えば10秒間)ずつ、ネットワーク50を介して順次取得し、ディスプレイ342上に映像を切り替えながら表示する。これにより、運行管理者が運行中の全ての路線バス20及び停留所10の車内及び周囲の状況を定期的に監視することが可能になり、運行管理者は路線全体の状況を容易に把握することができる。
【0113】
(外部情報収集処理)
外部情報収集処理S2700では、運行管理装置300は、インターネット520や図示されない専用回線を介して、バスの運行管理に役立つ外部情報を、公的機関や情報提供会社のサーバから、定期的又は不定期に収集する。外部情報収集処理S2700において収集される情報には、例えば交通規制情報、気象情報、緊急地震速報等がある。これらの情報はディスプレイ342に表示されると共に、重要な情報は告知データあるいは乗務員席ディスプレイ242に表示するための業務連絡データとしてネットワーク50を介して車載装置200及び/又は停留所装置100へ送信される。
【0114】
(運行情報更新処理)
運行管理装置300は、停留所装置100や車載装置200からネットワーク50を介して運行状況に関する情報(例えば、S111の乗車予約通知、S207の乗車予約取消通知、S703の不在予約者人数通知、S1007の不審者等存在通知、S1104の降車予定通知、S1307の出発通知、S1308の通過通知、車載装置200から送信される測位結果通知等を含む)を受信すると(S2001:YES)、受信した情報に基づいて運行情報DB382を更新する(S2100)。
【0115】
(異常運行状況対応処理)
運行管理装置300は、路線バスの通常運行に支障を来し得る異常な状況の発生又は解消を路線バス20の乗務員が確認した際に車載装置200から送信される異常運行状況通知(S1502)を受信すると(S2002:YES)、異常運行状況対応処理S2200が開始される。図19は、異常運行状況対応処理S2200を説明するフローチャートである。異常運行状況対応処理S2200においては、先ず異常運行状況通知に含まれる運行障害レベル(運行遅延または運行続行不能)が確認される(S2201)。運行障害レベルが運行遅延である場合(S2201:NO)、遅延時間の計算が行われる(S2200)。遅延時間は、該当路線の現在の交通量(運行情報DBに記録された運行記録や、外部情報収集処理S2700により取得した道路交通情報等に基づいて推定される)や、過去の同様の異常状況において生じた遅延時間(運行情報DBに蓄積された過去の運行データから取得される)に基づいて、当該異常状況の影響を受け得る全ての便について停留所毎に自動計算される。また、遅延時間の計算結果は、車載装置200や停留所装置100から提供される映像情報等に基づいて、運行管理者が必要に応じて手動で修正することができる。
【0116】
処理S2202において算出された遅延時間を含む遅延情報は、関係する路線の全ての停留所の停留所装置100及び運行中の路線バスの車載装置200にネットワーク50を介して配信される(S2203)。遅延時間算出処理S2202と遅延情報配信処理S2203は、異常状況が解消されるまで継続される。車載装置200から異常状況の解消を通知する異常運行状況通知が受信されると異常状況の解消が決定される。また、運行管理者の入力操作によっても異常状況の解消が決定される。異常状況が解消されると(S2204:YES)、正常運行に復帰したこと知らせる正常運行通知が、遅延情報を配信した停留所装置100及び車載装置200に配信される(S2205)。なお、遅延情報及び正常運行通知は、運行情報の一つであり、異常事象の内容や発生場所等の情報も含んでいる。
【0117】
運行障害レベルが運行続行不能である場合(S2201:YES)、運行を中止する路線バスの便及び運行中止区間が決定される(S2206)。運行中止の内容(対象となる便、区間)は、過去の同様の異常事象による運行中止の履歴に基づいて自動的に計画され、運行管理者により決定される。運行中止の決定は、停留所装置100及び車載装置200に運行情報として配信される(S2207)。
【0118】
運行管理装置300は、次に代行バスの配車の要否及び可否を判断する(S2208)。代行バスの配車が必要かつ可能な場合には(S2208:YES)、代行バス運行ダイヤを自動作成する(S2209)。作成された代行バス運行ダイヤが運行管理者により承認されると(S2210:YES)、代行バス運行ダイヤは停留所装置100及び車載装置200に運行情報として配信され(S2211)、異常運行状況対応処理S2200は終了する。
【0119】
また、運行管理装置300は、営業所に設けられた停車エリアに路線バス20が停車し、停車エリアに設置されたアンテナ364aにより車載装置200からの無線信号を検出すると(S2003:YES)、バス入構処理S2300が行われる。バス入構処理S2300は、路線バス20が停車エリアに入構した際に車載装置200が実行する営業所データ処理S1600と連携して、車載装置200と必要なデータ交換を行う処理である。バス入構処理S2300の具体的な処理の流れは図17に示される営業所データ処理S1600と対応するため、詳しい説明は省略する。
【0120】
(ユーザ操作受付処理)
運行管理装置300は、運行管理者によるユーザ操作を随時受け付け(S2004:YES)、ユーザ操作に応じた各種の設定変更、画面表示変更、運行情報等のデータ入力、運行情報解析、システム動作停止等の処理を行う(S2400)。
【0121】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施の形態の具体的態様は、上記に説明したものに限定されず、特許請求の範囲の記載により表現された技術的思想の範囲内で任意に変更することができる。
【0122】
上記の本実施形態の説明は、説明の便宜上、それぞれ2台のバス停留所装置及び車載装置に関する説明に限定されているが、本発明の実施形態に係る路線バス運行システムを構成するバス停留所装置及び車載装置の台数は2台に限定されない。本発明の実施形態に係るバス停留所装置及び車載装置は、理想的には路線バス運行管理システム1が導入されるバス路線(及び、このバス路線と一部区間を共用する各バス路線)の全ての停留所及び路線バスに配備されるが、一部の停留所及び路線バスのみに配備されてもよい。
【0123】
上記の実施形態においては、運行管理装置は営業所に設置されているが、これは路線バスの運行を管理する拠点の一例であり、運行管理装置の設置場所は営業所に限定されない。営業所とは別の施設に設置されてもよく、複数の営業所の管轄路線の運行を集中管理する運行管理拠点に設置されてもよい。また、例えば移動可能な車両内(例えば路線バスの一つ)に運行管理装置を搭載してもよい。
【0124】
上記の実施形態においては、停留所装置100、車載装置200、及び運行管理装置300の間の通信は、移動通信と無線LAN通信の双方を使用して行われるが、移動通信のみを使用する構成にしてもよい。
【0125】
上記の実施形態においては、車載装置200は次の停留所の停留所装置又は同一区間を走行中の路線バスの車載装置に運行情報を直接送信する構成が採用されるが、同一区間に限らず近隣の区間を走行中の路線バスの車載装置あるいは幾つか先の停留所の停留所装置にも運行情報を直接送信してもよい。また、停留所装置100又は車載装置200からの通信は、全て運行管理装置300をあて先として送信され、運行管理装置300が受信したデータの内容(種類・送信元・路線バスの現在地等)に応じて決定した転送先にデータを転送するようにしてもよい。運行情報を短時間で転送できる場合には、運行管理装置300が通信を集中管理した方が処理効率が高く、少ない通信トラフィックで運行管理をすることができる。
【0126】
また、上記の実施形態は大型乗合い自動車を用いた公共交通機関の運行システムに本発明を適用したものであるが、小型乗合い自動車(乗合いタクシー)、水上バス、あるいは大規模事業所内の私的交通機関の運行システムにも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0127】
1 バス運行システム
10,10’ 停留所標識
100,100’ 停留所装置
110 乗車予約受付ユニット
114 乗車予約ボタン(路線選択ボタン)
116 予約取消ボタン
120 ICカードリーダ
126 取消ボタン
130 メインディスプレイ
132 行き先表示部
134 広告・情報表示部
140 カメラユニット
150 スピーカー
20,20’ 路線バス
200,200’ 車載装置
30 営業所
300 運行管理装置
310 PC
320 データベース
50 ネットワーク
510 移動通信網(携帯電話通信網)
512 基地局
520 インターネット
BS、BS’ 停留所
R1〜R4 バス路線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運行管理装置及び路線バスに搭載される車載装置と共にバス運行管理システムを形成し、路線バスの停留所に設置される停留所装置であって、
第1のネットワークを介して前記運行管理装置と通信する第1の停留所通信手段と、
乗車予約を受け付ける乗車予約受付手段と、
前記乗車予約を前記第1のネットワークを介して前記運行管理装置に通知する乗車予約通知手段と、を備えることを特徴とする停留所装置。
【請求項2】
前記乗車予約受付手段は、前記停留所を経由する複数の路線から乗車予約する路線を選択するための路線選択手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の停留所装置。
【請求項3】
前記乗車予約受付手段は、定期券データ、回数券データ、又は乗車履歴情報を含むプリペイドカードデータが記録されたICカードを読み取り可能なICカード読取装置を備え、前記ICカードを読み取ると前記定期券データ、前記定回数券データ、又は前記乗車履歴情報に基づいて乗車予約を受け付けることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項に記載の停留所装置。
【請求項4】
前記乗車予約の取消しを受け付ける乗車予約取消受付手段を更に備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の停留所装置。
【請求項5】
路線毎に乗車予約客数を計数する乗車予約客数計数手段を更に備え、
前記乗車予約通知手段は、前記乗車予約又は前記乗車予約の取消しが受け付けられると、受け付け後の乗車予約客数を通知する、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の停留所装置。
【請求項6】
手前の近隣区間を走行中の路線バスがあるときに、前記乗車予約又は前記乗車予約の取消しを受け付けると、前記第1のネットワークを介して該路線バスの車載装置に前記乗車予約通知を直接送信する、ことを特徴とする請求項4又は5のいずれか一項に記載の停留所装置。
【請求項7】
前記第1のネットワークは公衆移動通信網であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の停留所装置。
【請求項8】
第2のネットワークを介して無線通信するための第2の停留所通信手段を更に備える、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の停留所装置。
【請求項9】
前記第2のネットワークは無線LANであることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の停留所装置。
【請求項10】
第3のネットワークを介して無線通信するための第3の停留所通信手段を更に備える、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の停留所装置。
【請求項11】
第3のネットワークはBluetooth方式の通信ネットワークである、ことを特徴とする請求項10に記載の停留所装置。
【請求項12】
前記乗車予約受付手段は、前記第2又は第3のネットワークを介して、携帯端末による乗車予約を受け付ける、ことを特徴とする請求項8から11のいずれか一項に記載の停留所装置。
【請求項13】
前記乗車予約をした待ち客を識別する乗車予約客識別手段を更に備えることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の停留所装置。
【請求項14】
前記停留所の周囲を撮影するカメラを更に備え、
前記乗車予約客識別手段は前記カメラが取得した映像データに基づく特徴点解析により前記乗車予約をした待ち客を識別する、ことを特徴とする請求項13に記載の停留所装置。
【請求項15】
前記乗車予約客識別手段は、待ち客が携帯端末を使用して前記第2又は第3のネットワークを介して乗車予約をしたときは、該携帯端末からの無線信号に含まれる識別情報に基づいて前記待ち客を識別する、ことを特徴とする請求項8又は10を直接又は間接的に引用する請求項13又は14に記載の停留所装置。
【請求項16】
前記停留所の周囲に待機している乗車予約客を検出する予約客検出手段と、
前記予約客検出手段が乗車予約客を検出しないときに、前記運行管理装置に予約客の不在を通知する予約客不在通知手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項13から15のいずれか一項に記載の停留所装置。
【請求項17】
前記停留所の周囲を撮影するカメラと、
前記カメラが取得した映像データに基づいて前記停留所の周囲の異常を検出する停留所周囲異常検出手段と、
前記停留所の周囲の異常が検出されたときに、前記運行管理装置に異常の検出を通知する停留所周囲異常通知手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の停留所装置。
【請求項18】
前記停留所の周囲を撮影するカメラと、
前記カメラが取得した映像データを蓄積する記憶手段と、
前記運行管理装置の要求に応じて、前記カメラが取得した映像データを前記第1のネットワークを介して該運行管理装置に転送する映像転送手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載の停留所装置。
【請求項19】
運行管理装置及び停留所に設置される停留所装置と共にバス運行管理システムを形成し、路線バスに搭載される車載装置であって、
第1のネットワークを介して前記運行管理装置と通信する第1の車載通信手段と、
乗客の降車予約を受け付ける降車予約受付手段と、
前記停留所装置からの前記乗車予約通知を受け付ける乗車予約通知受付手段と、
前記降車予約及び乗車予約通知に基づいて前記停留所への停車を判断する停車判断手段と、を備えた車載装置。
【請求項20】
前記第1の通信手段は前記第1のネットワークを介して停留所装置とも通信可能であり、
停留所を出発又は通過したときに、前記第1のネットワークを介して、次の停留所の前記停留所装置へ該出発又は通過を直接通知する、ことを特徴とする請求項19に記載の車載装置。
【請求項21】
前記第1の通信手段は前記第1のネットワークを介して他の路線バスに搭載された車載装置とも通信可能であり、
前記車載装置は、同一区間を走行中の他の路線バスがある場合に、前記路線バスが停留所を出発又は通過したとき、又は前記降車予約若しくは前記乗車予約通知を受け付けたときは、前記第1の通信手段を介して、前記他の路線バスに該出発又は通過を直接通知する、ことを特徴とする請求項19又は20のいずれか一項に記載の車載装置。
【請求項22】
第2のネットワークを介して通信するための第2の車載通信手段と、
前記停留所装置からの前記第2のネットワークの無線信号の検出により、該停留所装置が設置された停留所への到着又は通過を検知する停留所検知手段と
を更に備えたことを特徴とする請求項19から21のいずれか一項に記載の車載装置。
【請求項23】
前記停留所検知手段が停留所を検知したときに、前記第1のネットワークを介して前記運行管理装置に該停留所への到着・通過を通知する到着・通過通知手段を更に備えたことを特徴とする請求項22に記載の車載装置。
【請求項24】
前記第1のネットワークは公衆移動通信網であることを特徴とする請求項19から23のいずれか一項に記載の車載装置。
【請求項25】
前記第2のネットワークは無線LANであることを特徴とする請求項19から24のいずれか一項に記載の車載装置。
【請求項26】
前記路線バスの内部及び周囲を撮影するカメラと、
前記カメラが取得した映像データに基づいて前記路線バスの内部及び周囲の異常を検出する路線バス異常検出手段と、
前記路線バスの内部又は周囲の異常が検出されたときに、前記第1のネットワークを介して、前記運行管理装置に該異常の検出を通知する路線バス異常通知手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項19から25のいずれか一項に記載の車載装置。
【請求項27】
路線バスに搭載された車載装置及び停留所に設置された停留所装置と共にバス運行管理システムを形成する運行管理装置であって、
前記第1のネットワークを介して前記停留所装置及び前記車載装置と通信する第1の通信手段と、
前記第1のネットワークを介して前記停留所装置又は前記車載装置から受信した路線バスの運行に関する情報である運行情報を、他の前記停留所装置又は前記車載装置に転送する運行情報転送手段と、を備えた運行管理装置。
【請求項28】
前記停留所装置又は前記車載装置に対して、該停留所装置又は該車載装置が撮影した映像データの送信を要求する映像データ要求手段と、
前記要求に応じて前記停留所装置又は前記車載装置が送信した映像データを取得して画面表示する表示手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項27に記載の運行管理装置。
【請求項29】
請求項1から18のいずれか一項に記載の停留所装置と、
請求項19から26のいずれか一項に記載の車載装置と、
請求項27又は28のいずれか一項に記載の運行管理装置と
を備えたバス運行管理システム。
【請求項30】
運行管理装置と、路線バスの停留所に設置される停留所装置と、路線バスに搭載される車載装置とを備えるバス運行管理システムにおいて、
前記停留所装置は、
第1のネットワークを介して前記運行管理装置と通信する第1の停留所通信手段と、
利用客の乗車予約を受け付ける乗車予約受付手段と、
前記乗車予約を前記第1のネットワークを介して前記運行管理装置に通知する乗車予約通知手段と、を備え、
前記運行管理装置は、
前記第1のネットワークを介して前記停留所装置及び前記車載装置と通信する第1の通信手段と、
前記乗車予約通知を前記車載装置に転送する乗車予約転送手段を備え、
前記車載装置は、
前記第1のネットワークを介して前記運行管理装置と通信する第1の車載通信手段と、
乗客の降車予約を受け付ける降車予約受付手段と、
前記前記乗車予約通知を受け付ける乗車予約通知受付手段と、
前記降車予約及び前記乗車予約通知に基づいて前記停留所への停車を判断する停車判断手段と、を備えたバス運行管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−227550(P2011−227550A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93921(P2010−93921)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】