説明

健康チェック用発色型噴霧用試薬を充填した噴霧器およびそれを用いた健康チェック方法

【課題】人または動物の排泄物中に含有される特定成分を簡便に検出し得る器具およびこれを用いた人または動物の健康チェック方法を提供する。
【解決手段】人または動物の排泄物中に含有される特定成分を検出する健康チェック用発色型噴霧用試薬を充填した噴霧器およびこれを用いて、トイレットペーパー、ペットシート、トイレ砂、排泄箇所、人間または動物用トイレ容器表面、人間または動物用トイレ容器内、人間または動物用おむつに対して、(1) 健康チェック用発色型噴霧用試薬を直接噴霧することによりあるいは(2) 健康チェック用発色型噴霧用試薬を噴霧することにより作成したシール状材料を貼り付けることにより人または動物の健康チェック行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康チェック用発色型噴霧用試薬を充填した噴霧器およびそれを用いた健康チェック方法に関する。さらに詳しくは、人または動物の排泄物を検査対象とする健康チェック用発色型噴霧用試薬を充填した噴霧器およびそれを用いた健康チェック方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化が進む現代社会では、在宅での健康管理が極めて重要であり、特に非侵襲で簡便に健康診断が出来る、簡易尿糖計や尿試験紙の需要が高まっている。しかしながら、尿糖計の取り扱いや保守は、特に高齢者の方には煩雑である。また尿試験紙を用いた検査では、採尿の手間や検査時に手を汚してしまうなどのわずらわしさが伴う。
【0003】
一方、核家族化や高齢化が進む現代社会では、家庭における犬や猫に代表されるペットの存在価値は非常に高く、飼い主にとっては自分自身の健康状態のみならずペットの健康状態は極めて重大な関心事である。さらに近年では、糖尿病に代表される生活習慣病は人間だけの病気ではなく、肥満等が原因となりペットでも罹病率の増加が懸念されている。
【0004】
言葉による自己主張のできないペットの健康状態は、各家庭でペットの尿や血液の検査を行い管理することができれば理想的であるが、従来は一般の家庭でペットから採尿や採血およびそれらの検査を行うことは非常に困難であった。
【0005】
このため、家庭ではペットの健康管理ができない場合が多く、ペットの病気の発見は遅れる傾向があり、健康状態が悪化してから動物病院等で診察および治療を受けることが多かった。その結果、病状が悪化してからの処置となり、場合によっては手遅れとなってしまうこともあった。さらに、ペットに関する医療保険も近年では普及してきているものの、なお医療費の負担がかなり大きくなってしまっていた。このようなことから、ペットの病気の早期発見につながる健康状態の管理を家庭で簡便に行いたいという要望が、ペットの飼い主に高まっているのが現状である。
【0006】
以上の要望に対し、特に尿による健康管理を一般家庭で簡便に行う方法として、動物の尿に含まれる特定成分と呈色反応し、色調が変化する発色試薬を、いわゆるペット用トイレ砂等の尿吸収剤に含浸させ、ペットが排尿すると同時に該試薬が発色することを利用して尿中の成分を検出して健康管理を行う方法が提案されている。
【特許文献1】特許1,512,480号公報
【特許文献2】特許2,727,474号公報
【特許文献3】特開平04−114066号公報
【特許文献4】特許2,896,021号公報
【特許文献5】特開平10−229767号公報
【特許文献6】特開平10−257832号公報
【特許文献7】特開平11−295306号公報
【特許文献8】特許3,352,425号公報
【特許文献9】特開2003−279565号公報
【0007】
しかるに、これらの方法は、その操作自体は簡便であるものの、主に室内飼いのペットに使用されるトイレ砂やトイレシートに関するものであり、室内飼いのペットには有効だが、屋外で飼われているペットへの使用は難しいという問題がある。また特定のトイレ砂やトイレシート、おむつを使用する必要があり、飼い主やペットにとって使い勝手の良いトイレ砂やトイレシート、おむつではない場合もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、人または動物の排泄物中に含有される特定成分を簡便に検出し得る器具およびこれを用いた人または動物の健康チェック方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる本発明の目的は、人または動物の排泄物中に含有される特定成分を検出する健康チェック用発色型噴霧用試薬を充填した噴霧器およびこれを用いて、トイレットペーパー、ペットシート、トイレ砂、排泄箇所、人間または動物用トイレ容器表面、人間または動物用トイレ容器内、人間または動物用おむつに対して、(1) 健康チェック用発色型噴霧用試薬を直接噴霧することによりあるいは(2) 健康チェック用発色型噴霧用試薬を噴霧することにより作成したシール状材料を貼り付けることにより人または動物の健康チェック行うことによって達成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る人または動物の健康チェック用発色型噴霧用噴霧器は、人または動物の排泄物中に含まれる特定の成分を、噴霧器に充填される試薬を噴霧する方法により容易に検出することが可能であるため、室内のみならず屋外においても簡便に使用することができ、人のみならず屋外で飼育されているペットの健康管理にも有効に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
人または動物の排泄物中に含有される特定成分としては、健康チェックが可能な成分であれば足り、疾病などの結果、尿に反映される成分、例えば水素イオン、亜硝酸塩、グルコース、アスコルビン酸、タンパク質、尿素、尿酸、尿素窒素、クレアチニン、血液(潜血)、ケトン体、ビリルビン、ウロビリノーゲン、胆汁酸などが挙げられる。
【0012】
健康チェック用発色型噴霧用試薬としては、人および動物の排泄物中に含まれる前記特定成分を色調の変化により検出する試薬であり、(1)特定成分と反応して発色する発色剤の他、尿中の特定成分を検出できる試薬であれば特に限定されず、(2)特定成分と反応することにより、発色剤と反応して発色する識別可能物質を生成する酵素および識別可能物質と反応して発色する発色剤、あるいは(3)発色剤と反応して発色する識別可能物質で標識された、特定成分を認識する抗体および識別可能物質と反応して発色する発色剤など2種以上の試薬の混合物などが用いられる。
【0013】
水素イオン濃度を検出し、尿の酸性度あるいはアルカリ度を検査する場合にあっては、pH指示薬を主成分とするものが挙げられる。pH指示薬の例としては、チモールブルー、フェノールフタレイン、クレゾールレッド、フェノールレッド、ニュートラルレッド、ブロモチモールブルー、ブロモクレゾールパープル、ブロモフェノールレッド、p-ニトロフェノール、メチルレッド、ブロモクレゾールグリーン、テトラブロモフェノールブルー、クロロフェノールレッド、メチルオレンジ、エチルオレンジ、ブロモフェノールブルー、ブリリアントイエロー、コンゴーレッドブロモクレゾールブルーなどの指示薬が挙げられる。これらの指示薬は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。上記の指示薬を組み合わせて使用する例としては、メチルオレンジとブロモクレゾールグリーンの混合指示薬、メチルレッドとブロモチモールブルーの混合指示薬、ブロモクレゾールパープルとブロモチモールブルーの混合指示薬などが挙げられる。
【0014】
グルコースの検出を行う場合にあっては、例えばグルコースオキシダーゼおよびペルオキシダーゼの酵素群に還元型色素であるオルト-ジアニシジンやオルト-トリジン、2,2′-アジノ-ジ-(3-エチルベンズチオリゾン)-6-スルホン酸塩〔ABTS〕、2,7-ジアミノフルオレン二塩酸塩、N-(3-スルホプロピル)-3,3′,5,5′-テトラメチルベンチジンナトリウムなどを組み合わせたものが用いられる。グルコースからは、グルコースオキシダーゼの作用によりグルコン酸と過酸化水素が生成され、さらにペルオキシダーゼの作用により還元型色素が反応し酸化型色素が生成され、これを比色定量または半定量することにより、健康チェックを行うことができる。
【0015】
アスコルビン酸の検出を行う場合にあっては、例えばTillmans試薬を主成分とするものが挙げられる。2,6-ジクロロフェノールインドフェノールなどの酸化型のTillmans試薬が還元型のアスコルビン酸と反応することで還元型色素が生成され、これを比色定量または半定量することにより、健康チェックを行うことができる。また、尿糖、潜血、ビリルビンまたは亜硝酸塩などの他の検査項目における、アスコルビン酸の存在による偽陰性を予知することも可能である。
【0016】
亜硝酸塩の検出を行う場合にあっては、例えばグリース試薬を主成分とするものが挙げられる。通常、尿中には硝酸塩が存在するが、尿中に大量の細菌が存在すると、細菌に含まれる酵素の働きにより硝酸塩は還元されて亜硝酸塩となる。この亜硝酸塩を亜硝酸塩アルサニル酸やスルファミンなどのグリース試薬と反応させることで、ピンク色のアゾ色素が形成される。これを比色定量または半定量することにより、尿中に大腸菌や赤痢菌、サルモネラ菌、ブドウ球菌などの細菌が含まれているかどうかを判定することができる。
【0017】
タンパク質の検出を行う場合にあっては、タンパク誤差法によりタンパク質の有無を識別する指示薬を主成分とするものが挙げられ、この指示薬の例としては、例えばテトラブロモブルーやテトラブロモチモールブルー、テトラブロモフェノールブルー等が挙げられる。テトラブロモブルーは、検体中にタンパク質が存在すると複合体を形成し、酸性色である黄色から塩基性色である青色に色調が変化する。
【0018】
また、タンパク質の検出を行う他の方法として、抗体を用いるものが挙げられ、この例としては妊娠検査薬が挙げられる。ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)は、妊娠時に尿中に認められられるが、この検出には青色ラテックス結合抗hCG抗体が用いられる。青色ラテックス結合抗hCG抗体は、hCGが尿中に存在すると抗原抗体反応により凝集し、青く呈色する。
【0019】
尿素の定量又は半定量をする場合にあっては、例えばpH5〜9の間を測ることができるpH指示薬およびウレアーゼとpH指示薬との混合物が挙げられる。すなわち、pH指示薬のみを用いて尿のpHを測定した後、尿にpH指示薬とウレアーゼとの混合物を作用させることにより、ウレアーゼと尿素との反応により生じる識別可能物質であるアンモニアが、尿中尿素量に比例して発生してくることから、尿のみのpHより高い値となり、尿素が多くなればなる程、そのpHは大きくなるため、両者のpH値の差を発色差により判別し、生成されたアンモニア量、即ち尿素量を知ることができる。
【0020】
尿酸の検出を行う場合にあっては、例えばウリカーゼとペルオキシダーゼとの酵素群に還元型色素であるオルト-ジアニシジンやオルト-トリジン、ABTS、2,7-ジアミノフルオレン二塩酸塩、N-(3-スルホプロピル)-3,3′,5,5′-テトラメチルベンチジンナトリウムなどを組み合わせたものが用いられる。尿素からは、ウリカーゼの作用により過酸化水素が生成し、さらにペルオキシダーゼの作用により還元型色素が反応して酸化型色素が生成され、これを比色定量または半定量することにより、健康チェックを行うことができる。
【0021】
尿素窒素の検出を行う場合にあっては、例えばウレアーゼとフェノールとを組み合わせたものが用いられる。尿素窒素からはウレアーゼの作用によりアンモニアが生じ、これとオルト-クレゾールやブロムクレゾールグリーンなどのフェノール類が反応して生成されるインドフェノール青を比色定量または半定量することにより、健康チェックを行うことができる。
【0022】
クレアチニンの検出を行う場合にあっては、例えばクレアチニナーゼ、クレアチナーゼ、ザルコシンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼの酵素群に還元型色素であるオルト-ジアニシジン、オルト-トリジン、ABTS、2,7-ジアミノフルオレン二塩酸塩、N-(3-スルホプロピル)-3,3′,5,5′-テトラメチルベンチジンナトリウムなどを組み合わせたものが用いられる。クレアチニンからは、クレアチニナーゼの作用によりクレアチンが生成する。これにクレアチナーゼが作用してザルコシンとなり、さらにザルコシンオキシダーゼの作用によりグリシンと過酸化水素が生成する。さらにまた、ペルオキシダーゼの作用により還元型色素が反応して酸化型色素が生成され、これを比色定量または半定量することにより、主に腎疾患の有無を確認することができる。
【0023】
潜血の検出を行う場合にあっては、還元型色素、有機過酸化物などを主成分とするものが挙げられる。還元型色素の例としてはオルト-トリジンやベンジジンなどが挙げられ、有機過酸化物の例としては、クメンヒドロペルオキシドなどが挙げられる。尿中に潜血が存在すると、この潜血が上記したクメンヒドロペルオキシド等と化合して発生期の酸素を発生し、この酸素は直ちにオルト-トリジンやベンジジンなどに反応してこの色素を発色させる。
【0024】
ケトン体の検出を行う場合にあっては、例えば塩化ニッケルとニトロプルシュドナトリウムの組み合わせなどが挙げられる。この組み合わせにおいては、検体中のアセト酢酸存在下で、色相が淡黄色から赤紫色に変化する。
【0025】
ビリルビンの検出を行う場合にあっては、例えばジアゾニウム塩を主成分とするものが挙げられる。ビス-2,4-ジクロロベンゼンジアゾニウム塩化物、2,4-ジクロロベンゼンジアゾニウムテトラフッ素ホウ酸塩、p-ベンゼンジアゾニウムスルホン酸などのジアゾニウム塩を酸性条件下でビリルビンと反応させることにより生成されるアゾ化合物を比色定量または半定量することにより、主に肝胆道系疾患の有無を確認することができる。
【0026】
ウロビリノーゲンの検出を行う場合にあっては、例えばジアゾニウム塩を主成分とするものが挙げられる。4-メトキシベンゼンジアゾニウムテトラフッ素ホウ酸塩、3,4-メチレンジオキシベンゼンジアゾニウムテトラフッ素ホウ酸塩、3,3′-ジメトキシ-4,4′-ジアゾビフェニルテトラフッ素ホウ酸塩などのジアゾニウム塩を酸性条件下でウロビリノーゲンと反応させることにより生成されるアゾ化合物を比色定量または半定量することにより、主に肝胆道系疾患の有無を確認することができる。
【0027】
これらの健康チェック用発色型噴霧用試薬は、噴霧器中に液状、固形状また粉末状、好ましくは固形状また粉末状で充填される。液状の試薬については、そのまま噴霧することが可能であるが、固形状または粉末状のものは、使用直前に水、アルコール、緩衝作用を有する溶液などこれらの試薬を溶解可能な溶媒中に溶解させて用いられる。固形状または粉末状の試薬については、使用直前に溶解させて用いることにより、液状では不安定な試薬についても、その安定性を向上させることができる。いずれの場合においても、試薬噴霧後の乾燥速度の向上を目的として、好ましくはエタノールなどのアルコール類が添加して用いられる。
【0028】
また、これらの試薬に加えて、さらに乾燥剤、脱臭剤、抗菌剤、保存剤、安定剤および防腐剤の少なくとも一種が必要に応じて添加される。
【0029】
乾燥剤としては、噴霧器に充填される試薬が固形状または粉末状の場合に、試薬の吸湿による変質を防止するために用いられ、シリカゲル、生石灰、塩化カルシウム、シリカアルミナゲル、アルミナ、硫酸、五酸化リン、水酸化ナトリウム、酸化バリウム、炭酸カリウム、脱水硫酸銅、金属ナトリウムなどが例として挙げられる。
【0030】
脱臭剤としては、シリカゲル、ゼオライト、活性炭、フラーレン、セラミックス等が挙げられる。抗菌剤としては、メチレンブルー、酸化チタン、リン酸チタニウム、カテキンなどが挙げられる。保存剤、安定剤または防腐剤としては、ソルビン酸類、セルロース類、増粘多糖類、増粘安定剤、アルギン酸類、安息香酸類、フェノール類などが挙げられる。
【0031】
以上の各試薬は、噴霧器に充填されて用いられる。各試薬は、同一容器内に充填されているか、または別々の容器内に充填され、噴霧時に混合されるか、一部の試薬を噴霧後に発色剤を含む溶液を噴霧するなどの手順により使用される。各試薬を別々の容器内に充填しておき、噴霧時に混合した場合には、発色剤と酵素など長時間混合しておくと一部の反応が進行してしまうことにより、検出感度が低下してしまうといった不具合を防止することができる。また、一部の試薬を噴霧後に発色剤を含む溶液を噴霧した場合には、識別可能物質を充分に生成させた後、発色剤を用いることにより、呈色が鮮やかになるとともに、発色剤による呈色の時間経過による退色を防ぐといった効果を奏する。
【0032】
噴霧器としては、試薬を噴霧できるものであれば特に限定されず、霧吹きのように空気圧を利用したものや、ガスを充填したものなどが挙げられ、その容器材料は特に限定されないが、アルミニウム、プラスチック、スチール、ガラス、紙などが用いられる。さらに、各試薬の安定性を考慮した遮光性の容器が好ましい。
【0033】
噴霧器本体には、表示されている色見本を用い、排泄物中の特定成分と反応した発色剤の色調変化を示す色見本が表示されていることが好ましい。これを用いることで、特定成分の含有量あるいは含有の有無を判別することが可能となる。
【0034】
人または動物の健康チェックの方法としては、トイレットペーパー、ペットシート、トイレ砂、排泄箇所、人間または動物用トイレ容器表面、人間または動物用トイレ容器内、人間または動物用おむつに対して、(1) 健康チェック用発色型噴霧用試薬を直接噴霧することによりあるいは(2) 噴霧器によって健康チェック用発色型噴霧用試薬を噴霧することにより作成したシール状材料を貼り付けることにより行われる。また、噴霧またはシール状材料の貼り付けは、排尿後の排尿箇所あるいは予め排尿場所に行われる。
【実施例】
【0035】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0036】
実施例1
グルコースオキシダーゼ(Sigma社製品)58ユニット、ペルオキシダーゼ(和光純薬製品)44ユニットおよびオルト-トリジン(和光純薬製品)2mgを超純水20mlに溶解させた溶液を噴霧器中に入れ、500mg/dlの濃度でリン酸緩衝液(pH 6.0)中にグルコースを溶解させた溶液をティッシュペーパーに染み込ませた検査対象に噴霧したところ、約10秒後に青色を呈した。これにより、尿中のグルコース(尿糖)の検出が可能であることが示された。
【0037】
実施例2
実施例1において、検査対象として500mg/dlの濃度でリン酸緩衝液(pH 6.0)中にグルコースを溶解させた溶液をティッシュペーパーに染み込ませたものを、さらに室温で1時間乾燥させたものを用いたところ、噴霧後約10秒後に青色を呈した。これにより、例えばペット用トイレの排尿箇所などで乾燥状態となっている尿についても、尿中のグルコース(尿糖)の検出が可能であることが示された。
【0038】
比較例
実施例1において、検査対象としてグルコースを含まないリン酸緩衝液(pH 6.0)をティッシュペーパーに染み込ませたものを用いたところ、着色は全く確認されなかった。これにより、各実施例で示された青色の呈色が、グルコースを検出したことによるものであることが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人または動物の排泄物中に含有される特定成分を検出する健康チェック用発色型噴霧用試薬を充填した噴霧器。
【請求項2】
特定成分が、水素イオン、亜硝酸塩、グルコース、アスコルビン酸、タンパク質、尿素、尿酸、尿素窒素、クレアチニン、血液(潜血)、ケトン体、ビリルビンまたはウロビリノーゲンである請求項1記載の健康チェック用発色型噴霧用試薬を充填した噴霧器。
【請求項3】
乾燥剤、脱臭剤、抗菌剤、保存剤、安定剤および防腐剤の少なくとも一種がさらに添加された請求項1または2記載の健康チェック用発色型噴霧用試薬を充填した噴霧器。
【請求項4】
液状、固形状または粉末状である請求項1、2または3記載の健康チェック用発色型噴霧用試薬を充填した噴霧器。
【請求項5】
アルコール類に溶解されて用いられる請求項4記載の健康チェック用発色型噴霧用試薬を充填した噴霧器。
【請求項6】
発色剤の色見本が噴霧器本体に表示されている請求項1乃至5のいずれかに記載の健康チェック用発色型噴霧用試薬を充填した噴霧器。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の噴霧器により、トイレットペーパー、ペットシート、トイレ砂、排泄箇所、人間または動物用トイレ容器表面、人間または動物用トイレ容器内、人間または動物用おむつに対して、(1) 健康チェック用発色型噴霧用試薬を直接噴霧することによりあるいは(2) 健康チェック用発色型噴霧用試薬を噴霧することにより作成したシール状材料を貼り付けることにより行われることを特徴とする人または動物の健康チェック方法。
【請求項8】
排泄前または排泄後に噴霧あるいはシール状材料の貼り付けが行われる請求項7記載の人または動物の健康チェック方法。

【公開番号】特開2006−234475(P2006−234475A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−47088(P2005−47088)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】