説明

健康ペットフードの製造法及び製品

【課題】果肉付栗渋皮などの栗から抽出される濃縮エキスの残渣、霊芝、椎茸、などのきのこ類から抽出される濃縮エキスの残渣、ケールから抽出される青汁飲料の残渣、これらの残渣を捨てることなくその中に含まれている食物繊維、生薬成分を効率的に再利用できないで廃棄される点である。
【解決手段】果肉付き栗渋皮などの栗、霊芝、椎茸などのきのこ類、ケール及び魚粉とチーズからペットフードを作る製造法の工程において、栗の渋皮、葉、花、根などに含まれる生薬成分を抽出した濃縮エキスの残渣と、霊芝や椎茸などのきのこ類から抽出した濃縮エキスの残渣を魚粉、ケールから抽出した青汁飲料の残渣を乾燥して攪拌機に入れて混ぜ合わせ、更にチーズを加えて攪拌機で混ぜながら乾燥原料に粘着性を持たせた混合原料を動物の飼料として適宜な大きさに粒状加工して冷風乾燥させる製造法により健康によいペットフード製品を作る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果肉付き栗渋皮、葉、花、根などの栗(以下「栗」という。)から抽出された濃縮エキスの残渣と霊芝、椎茸などのきのこ類(以下「きのこ類」という。)から抽出された濃縮エキスの残渣を再利用するための技術であって、残渣に含有している生薬成分を原料として使用した動物の健康に良いペットフードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在ペットフード業界で製品化されたペットフードは実用に供されている。しかし、漢方生薬として使用されている栗及びきのこ類の濃縮エキスの残渣やその残渣を乾燥して粉砕した粉末を混合させたペット専用のフードの開発には至っていない。
飼い主にとっては、家族同然とも言える家畜やペットを飼育する家庭ではこれら動物の運動不足や肥満などに起因して生じる動物の健康に関する問題は、一面では日常的に与えられる飼料の成分に関する問題として捉えることができる。この問題は、動物の飼料として作られるペットフードに含有される栄養成分の組成を改良することによって解決することが必要になっている。

【0003】
しかし、動物にも運動の必要性がある中で、特に都会において飼われている動物達には与えられた広々とした運動空間が少ない。このために、運動不足や運動不足により発生したストレスが健康障害の要因となる。動物が日常与えられた飼料より生活のための必要カロリーを摂取することは容易である。動物の日常生活上の必要最低限のカロリーを超えて、余分な飼料量が過剰に投与されている余り、動物の摂取する栄養成分がアンバランスとなって健康障害の原因となっているといえる。従来の飼料には栄養バランスの上から必要である微量要素を含む飼料がなかったり、動物が必要以上に与えられた飼料により食欲を満たした結果としての肥満という二次的な障害を来たす欠点が多少なりともあった。
【0004】
家庭で飼われている動物に飼料を投与する用途において、ペットフードのこの欠点は動物の健康に関して大きな障害である。具体的には、不必要な余分なカロリーを有する飼料を投与したり、買い与えられて投与される栄養素だけでは、繊維を多く含む食品、若しくはビタミン、ミネラル、鉄分、カルシウムなどの微量要素が欠けたり、あるいは、その反面には過剰な投与によって必要な栄養素が欠落したりするなどの問題があった。このような状況に中で、運動不足や肥満によるストレスが要因となる抵抗力の衰退が始まりとなって様々な病気を引き起こしやすくなっている。そのような事情が我々人間と同様な胃潰瘍、糖尿病などで体調を壊す動物が年々増加している一因となっている。
【0005】
この改善策として、動物の体重の計量を毎日行い、余分なエネルギーを与えず、摂生と運動によって消化して体脂肪を減量させる方法がある。しかしながら動物たちにとってこの方法を十分に実施させることが必要ではあるが、たとえ、それができたとしても、運動時間や場所の制約を伴うことも事実である。
このような状況下に置かれている家畜やペットに対して、動物の飼料の中に含まれる栄養素として、無視できない植物繊維、若しくはビタミン、ミネラル、鉄分、カルシウムなどの微量要素を確保する必要がある。人の病気を治療若しくは予防するために漢方薬として使用されてきた栗と霊芝、椎茸などのきのこ類に含有する生薬成分を抽出して混合した健康に良い飼料を作ることにより、動物には飼料として必要最小限の分量を与えて余分なエネルギーの元になる分量を与えず、消化排泄しやすくして、体脂肪を減量可能にして肥満を予防し、抵抗力の低下による虚弱体質に対する体力増強と耐性菌に効果がある健康飼料を提供する。耐性菌には効果がなくなる抗生物質による弊害を起こさせない。

【特許文献1】特開2004−236594号公報
【特許文献2】特開2004−194514号公報
【特許文献3】特開2004−166682号公報
【特許文献4】特開2002−060344号公報
【特許文献5】特開2001−112436号公報
【特許文献6】特開平07−031381号公報
【特許文献7】特開平05−292917公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、栗ときのこ類、それぞれの原材料から抽出する濃縮エキスの製造工程で排出する食物繊維並びに微量要素である生薬成分を含有している濃縮エキスの残渣をペットフードとして有効に再利用できないで廃棄している点である。栗のなかでも特に栗果肉付渋皮に生薬成分として含まれているものは、タンニン、フラボノイド、ポリフェノール、ルテイン類が知られている。中でもタンニンは乾燥や加熱に比較的安全で、それを摂取することにより健康の維持や薬理効果を得ることができる。多糖類や活性成分である微量要素は、栗の渋皮のほかにも栗樹皮、葉、花、根などにも含まれている。栗のほか霊芝、椎茸のきのこ類にも多く含まれる。特に霊芝、椎茸、きのこ類にも多く含まれる漢方成分はベータグルカンである。霊芝の一種の赤霊芝のベータグルカン含有量は、アガリスクやマイタケなどに比べて、極めて多いといわれており、癌細胞や、細菌、ウイルスへの高い防衛機能を期待できる。霊芝などのきのこ類も栗渋皮同様製粉し飼料に混ぜて日常的に動物に摂取させるようにすることにより、食物繊維や微量要素として含有される生薬成分を摂取することができる。本発明の製造法は、食物繊維と微量要素を含む残渣をペットフードの製造法の工程において使用し、これらの生薬成分を含有させてなるペットフードの製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、栗果肉、樹皮、葉、花、根、などの栗から抽出する濃縮エキスと霊芝その他のきのこ類から抽出する濃縮エキスの製造工程で排出される食物繊維や微量要素を含む残渣をケールから青汁飲料を抽出した残渣と、魚粉とチーズを混合してペットフードをつくることを最も主要な特徴とする。栗の渋皮、葉、花、根などに含まれる栗特有の生薬成分を抽出可能とするため、一次乾燥した栗の原料を破砕機で破砕したチップを攪拌機に移し酵母を混合して攪拌したチップを容器に移し、一定時間発酵させながら熟成させて、二次乾燥した熟成原料を水を入れた水槽に搬入し、押さえ蓋をして水分を十分に含ませた熟成原料と水を真空加熱釜に入れて、一定量の水分を取り除き、遠心脱水機又は浸透膜で固形物と液体に分離し濃縮エキスを作る製造工程で原料の栗の残渣を排出する。霊芝や椎茸などのきのこ類を日光に当て又は温風乾燥機で水分を取り除いて乾燥させた原料を細かく砕き、水を入れた容器に移し落とし蓋をして一定時間水槽に浸漬し十分な水分を吸収した原料を真空圧力釜へ搬入し過熱真空にしながら水分を吸引し、一定量に達したら過熱を中止し真空引きを続けながら水分を吸出し濃縮エキスを作る製造工程で原料のきのこ類の残渣を排出する。ケールから絞って青汁飲料を抽出する製造工程ではケールの残渣を排出する。これらの残渣と魚粉を乾燥して、攪拌機に入れて混合し、チーズを加えて再度攪拌機で混ぜながら乾燥原料に粘りを持たせて粒状に加工する製造工程を経て、製品を製造する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のペットフードの製造法は、栗果肉、樹皮、葉、花、根、などの栗から抽出する濃縮エキスの製造工程で排出された残渣、及び霊芝や椎茸などのきのこ類から抽出する濃縮エキスの製造工程を通して排出する濃縮エキスの残渣を、ケールから抽出される青汁飲料の残渣と魚粉を混合乾燥し、更に乾燥工程で乾燥し混合してこれらの残渣を練り合わせる繋ぎとしてチーズを加えて攪拌機で練り合わせこれらの原料に粘りを持たせて粒状に加工し、冷風乾燥してできるので、安価な原料の残渣の利用により健康に良いペットフードが効率的に量産できるという利点がある。またその製品は、栗やきのこ類から抽出された濃縮エキスの残渣に含まれた食物繊維並びに微量要素を含有している。この製法発明は生薬成分を含む安価な健康ペットフードの製品を量産して提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
栗、きのこ類、からそれぞれに抽出エキスを製造する工程で排出する残渣を利用して青汁飲料の残渣と魚粉を混合してチーズを繋として練り合わせて健康に良いペットフードを作り、残渣に含まれた食物繊維並びに微量要素としての生薬成分を動物に与えるという目的を、ペットフードとして必要な食物繊維並びに生薬成分による健康増進作用を損なわずに実現した。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明製品の1実施例の製造工程の説明図であって、1は、 栗の果肉付き渋皮、樹皮、葉、花、根など栗から抽出した濃縮エキスの残渣、霊芝や椎茸などのきのこ類から抽出した濃縮エキスの残渣、ケールから抽出した青汁飲料の残渣、魚粉、チーズなどの原料、 2は、 これらの原料のうち栗から抽出した濃縮エキスの残渣、きのこ類から抽出した濃縮エキスの残渣、ケールから抽出した青汁飲料の残渣、魚粉を混合して乾燥する工程、 3は、 乾燥したこれらの残渣及び魚粉を攪拌機に入れ攪拌する工程、 4は、 よく攪拌した原料に繋ぎのチーズを加えて更に攪拌機でよく攪拌して混ぜ合わせ、混合した乾燥原料に粘着性を持たせる工程、 5は、 ペットの飼料として適宜な大きさに加減して粒状にする加工工程、 6は、 冷風乾燥する工程である。また、本発明製品はこの実施例における製造法のすべての加工工程を経て製品となって提供することができるようになるものである。
【0011】
栗の渋皮、葉、花、根などに含まれる生薬成分を抽出可能とするため、一次乾燥した栗の原料を破砕機で破砕したチップを攪拌機に移し酵母を混合して攪拌したチップを容器に移し、一定時間発酵させながら熟成させた後、二次乾燥した熟成原料を水を入れた水槽に搬入し、押さえ蓋をして水分を十分に含ませた熟成原料と水を真空加熱釜に入れて、一定量の水分を取り除き、遠心脱水機又は浸透膜で固形物と液体に分離し濃縮エキスを作る製造工程で栗の残渣が排出される。
【0012】
又、霊芝や椎茸などのきのこ類を日光に当て又は温風乾燥機で水分を取り除いて乾燥させた原料を細かく砕き、水を入れた容器に移し落とし蓋をして一定時間水槽に浸漬し十分な水分を吸収した原料を真空圧力釜へ搬入し過熱真空にしながら水分を吸引し、一定量に達したら過熱を中止し真空引きを続けながら水分を吸出し濃縮エキスを作る製造工程できのこ類の残渣が排出される。
【0013】
ケールを搾ってケールから青汁飲料を抽出する製造工程でケールの残渣が排出される。これらの残渣にはそれぞれの原料に含まれた生薬成分と多量の食物繊維が含まれているので健康によいペットフードとして、再利用が可能である。
【0014】
一般にペットフードの製造工程は、数種の乾燥した原料を混合して繋ぎを加えて粘着性を持たせて適宜な大きさで球状などに加工したものを乾燥する工程を経て製品とする。前記の如く濃縮エキスを抽出する工程で排出される栗、きのこ類、ケールそれぞれの残渣と魚粉及びチーズを混合して残渣に含まれている食物繊維並びに微量要素である生薬成分を含むペットフードを作ることが本発明の目的である。
【0015】
栗の渋皮、葉、花、根などに含まれる栗の生薬成分を抽出する場合や霊芝や椎茸などのきのこ類からきのこ類の生薬成分を抽出する場合、またケールから青汁飲料を抽出する場合には、一定量の水分を取り除き遠心脱水機又は浸透膜を使用したり、真空圧力釜で生薬水分を含んでいる濃縮エキスを作る。このような濃縮エキスの製造工程で排出される残渣は利用されずに、廃棄されるのが実情であるが本発明の実施例の場合にはそれらの残渣を捨てることなく活用しようとするものである。
【0016】
このような濃縮エキスの製造工程で排出する残渣をペットフードの原料に採用したので、残渣に含まれている多量の食物繊維だけが持つ体内老廃物の排泄作用に優れた特性を活かした製品を作ることができる。生薬成分を含む残渣をペットフードの原料に混合して、残渣の持つ特性を動物の健康増進に利用できる。すなわち、食物繊維と共に微量要素を原料の混合段階で含ませてペットフード製品を作ることにより、さらに、栗果実の栗果肉、樹皮、葉、花、根、から生薬成分の抽出すると共に、霊芝や椎茸などのきのこ類から生薬成分の抽出を容易に促進可能にし、原料を廃棄することなく効率的に再利用可能になる。
【0017】
図1に表示した本発明の製造工程の実施例は、栗果肉、樹皮、葉、花、根、などの栗を原料とする抽出エキスの製造工程で排出された残渣及び霊芝や椎茸などのきのこ類から濃縮エキスの抽出工程を通して製造する濃縮エキスの残渣を、ケールから抽出される青汁飲料の残渣と魚粉を乾燥し、更に乾燥工程で乾燥したものを混合してこれらの残渣を練り合わせる繋ぎとしてチーズを加えて粒状に加工して乾燥して製品とする製造法であるので、この製造法により作られる製品は食物繊維と生薬成分を多量に含み、毎日飼料として与えることによってペットの健康増進におおいに役立つものである。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明の製造法は、栗から抽出する濃縮エキスの残渣、霊芝や椎茸などのきのこ類から抽出する濃縮エキスの残渣、ケールから抽出する青汁飲料の残渣を混合してあるので、栗やきのこ類から濃縮エキスを抽出製造することにより青汁と混合して人の健康に良い青汁飲料の製品を提供する用途にも適用することができる。残渣の活用により、濃縮エキスの残渣をペットフードの製造工程で混合することによって健康に良いペットフードを提供することが可能になる。したがって、両濃縮エキスの製造と健康に良いペットフードを量産できるという産業上の両面で利用効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の健康ペットフードの製造工程を示した説明図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0020】
1 原料栗果肉付渋皮、霊芝、椎茸、魚粉、ケール、チーズ
2 栗果肉付渋皮、霊芝、椎茸、魚粉、ケール、の乾燥工程
3 攪拌工程一(栗果肉付渋皮、霊芝、椎茸、魚粉、ケール、の乾燥原料を攪拌機で混合する。)
4 攪拌工程二(前記の乾燥原料にチーズを加えて攪拌機で混合する。)
5 粒状加工工程
6 冷風乾燥工程



【特許請求の範囲】
【請求項1】
果肉付き栗渋皮、葉、花、根などの栗から濃縮エキスを抽出した残渣と、霊芝、椎茸、などのきのこ類から濃縮エキスを抽出した残渣と、ケールから青汁飲料を抽出した残渣と、魚粉と、チーズを原料にしてペットフードを作る製造法の工程において、栗の渋皮、葉、花、根などに含まれる生薬成分を抽出した濃縮エキスの残渣と、霊芝や椎茸などのきのこ類の少なくとも1種から抽出した濃縮エキスの残渣とを、魚粉と、ケールから抽出した青汁飲料の残渣を乾燥して攪拌機に入れて混ぜ合わせた乾燥原料に、更にチーズを加えて攪拌機で混ぜながら乾燥原料に粘着性を持たせた混合原料をペットフードとして粒状加工して冷風乾燥させ製品を作ることを特徴とする健康ペットフードの製造法。

【請求項2】
果肉付き栗渋皮、葉、花、根などの栗から濃縮エキスを抽出した残渣と、霊芝、椎茸、などのきのこ類から濃縮エキスを抽出した残渣と、ケールから青汁飲料を抽出した残渣と、魚粉と、チーズを原料にしてペットフードを作る製造法の工程において、栗の渋皮、葉、花、根などに含まれる生薬成分を抽出した濃縮エキスの残渣と、霊芝や椎茸などのきのこ類のいずれか1種から抽出した濃縮エキスの残渣とを、魚粉と、ケールから抽出した青汁飲料の残渣を乾燥して攪拌機に入れて混ぜ合わせた乾燥原料に、更にチーズを加えて攪拌機で混ぜながら乾燥原料に粘着性を持たせた混合原料をペットフードとして粒状加工して冷風乾燥させることを特徴とする健康ペットフードの製造法により作られる製品。


【図1】
image rotate


【公開番号】特開2006−122014(P2006−122014A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−317402(P2004−317402)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(395023440)
【出願人】(500549294)
【Fターム(参考)】