説明

健康指標測定方法、及び測定装置

【課題】両足立ち状態での微妙な足裏での荷重変化が、閉眼片足立ち時間と強い相関を持っていることに着目して、一般家庭に普及している重量計と同様の機構を利用して、閉眼片足立ちに代わる健康指標の測定方法、及び測定装置を提供すること。
【解決手段】本発明の健康指標測定方法では、重量計の踏台にかかる荷重の変動を検出し、所定時間内における前記荷重の変動の特性値を演算し、前記演算した特性値に基づいて、被測定者の健康指標を測定する。前記荷重の変動の特性値は、前記所定時間内の荷重の平均値グラフと、荷重の変動グラフとに囲まれた領域の面積に対応した値とする。家庭用の電子式体重計と同様の機構を利用して、ソフトウエア処理によって上記機能を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉眼片足立ち時間等の測定によって判定される健康年齢等の健康指標を測定する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、被測定者の閉眼片足立ち時間等の身体機能の特性値を測定した場合に、その特性値の分布を統計的なデータと比較して、その被測定者の特性値に対応する統計データ上の年齢を、当該被測定者の健康年齢等と称して健康指標とすることが注目されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上述したような従来の健康指標を求めるためには、閉眼片足立ち時間等の身体機能の測定が必要である。
閉眼片足立ち時間の測定は、測定中に大きくバランスを崩して倒れてしまう危険性があるという問題や、補助する人が必要になるという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、両足立ち状態での微妙な足裏での荷重変化が閉眼片足立ち時間と強い相関を持っていることに着目して、一般家庭に普及している重量計を利用して、閉眼片足立ちに代わる健康指標の測定方法、及び測定装置の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる健康指標測定方法の請求項1では、
重量計の踏台にかかる荷重の変動を検出し、
所定時間内における前記荷重の変動の特性値を演算し、
前記演算した特性値に基づいて、被測定者の健康指標を測定する。
請求項2では、
前記荷重の変動の特性値は、
前記所定時間内の荷重の平均値グラフと、荷重の変動グラフとに囲まれた領域の面積に対応した値とした。
請求項3の健康指標測定装置では、
踏台にかかる荷重の変動を検出して出力する荷重センサを備えた荷重計測手段と、
所定時間内における前記荷重センサから出力される荷重の変動に基づいて前記荷重の変動の特性値を演算する変動量演算手段と
を備えている。
請求項4では、
前記変動量演算手段は、
前記所定時間内の荷重の平均値グラフと、荷重の変動グラフとに囲まれた領域の面積に対応した値を特性値として出力する。
請求項5では、
前記変動量演算手段にて得られた前記特性値に基づいて、被測定者の健康指標を出力する出力手段を備えている。
請求項6では、
荷重センサは、荷重、および荷重の変動の両方を検出することを特徴としている。
請求項7では、
荷重計測手段は、複数の荷重センサを備えていることを特徴としている。
請求項8では、
複数の荷重センサを、少なくとも2つに分離させた。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる健康指標測定方法の請求項1では、重量計の踏台にかかる荷重の変動の特性値に基づいて、被測定者の健康指標を測定するので、閉眼片足立ち測定をしなくても、健康指標を得ることができる。
従って、安全且つ手軽に健康指標を測定することができる。
請求項2では、前記荷重の変動の特性値は、前記所定時間内の荷重の平均値グラフと、荷重の変動グラフとに囲まれた領域の面積に対応した値としたので、信頼性の高い特性値を得ることができる。
請求項3の健康指標測定装置では、踏台にかかる荷重の変動をリアルタイムで検出して出力する荷重センサを備えた荷重計測手段と、所定時間内における前記荷重センサから出力される荷重の変動に基づいて前記荷重の変動の特性値を演算する変動量演算手段とを備えているので、従来の電子式重量計のハードウエアを利用して、ソフトウエアだけで以上の効果の得られる健康指標測定方法を実現することができる。
請求項4では、前記変動量演算手段は、前記所定時間内の荷重の平均値グラフと、荷重の変動グラフとに囲まれた領域の面積に対応した値を特性値として出力するので、計算が簡単にできる。
請求項5では、前記変動量演算手段にて得られた前記特性値に基づいて、被測定者の健康指標を出力するので、簡単且つ手軽に健康指標を得ることができる。
請求項6では、荷重センサは、荷重、および荷重の変動の両方を検出するので、部品点数が節約でき、低コストにできる。
請求項7では、荷重計測手段は、複数の荷重センサを備えているので、バランスの変動方向を把握することもでき、より詳細な健康指標を得ることができる。
請求項8では、複数の荷重センサを、少なくとも2つに分離させたので、より多様な計測が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明にかかる健康指標測定方法を、その実施に用いる測定装置(重量計)を示した図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の健康指標測定方法方法に用いる重量計の斜視図である。
図1において、1は重量計である。
【0008】
図2は前記重量計1の構成図であり、図中、2は踏台部、21は荷重伝達部、3はセンサー部、31は体重信号入力回路、4は制御部、5は出力部、6はスイッチ群、7は電源部である。
前記制御部4は、CPU41、A/D変換回路42、及びメモリー43を備えている。そして、前記体重信号入力回路31から出力される体重信号は、前記A/D変換回路42によってデジタル信号に変換されて、前記CPU41に入力される。
【0009】
前記電源部7は、電池71、電源回路72、回路電源制御部73、及び表示部電源制御部74を備えている。前記電源回路72は、前記電池71から供給される電力を回路電源制御部73を介して前記スイッチ群6へ供給し、表示部電源制御部74を介して前記出力部5へ供給する。
【0010】
前記出力部5は液晶表示ユニット51とブザー52を含んでいる。
【0011】
以上の構成の重量計1のメモリ43には、本発明の健康指標測定方法を実現するためのプログラムが書き込まれており、前記CPUは前記プログラムを実行することによって、被測定者の健康指標を測定して表示するように構成されている。
前記プログラムには次のような機能が含まれている。
(1)進行制御機能
(2)入力制御機能
(3)重量・面積計測機能
(4)相関機能
(5)表示制御機能
(6)ブザー制御機能
【0012】
(1)前記進行制御機能は、上記各機能を順次制御して、健康指標を測定して表示するように制御する機能である。
前記進行制御機能では、図3に示したように、ステップS1で測定をスタートして、ステップS2で荷重の測定を開始し入、ステップS3で荷重の安定したことを単位時間当たりの変化量等に基づいて確認し、ステップS4で荷重値のサンプリングを開始する。ステップS5では予め設定されたN秒後に前記サンプリングを終了する。ステップS6では、前記サンプリングした荷重値の平均値を算出する。ステップS7では重量・面積計測機能を実現し、サンプリングした荷重値と前記平均値とを比較演算して、荷重の変動の面積を計測する。ステップS8では相関機能を実現し、計測結果に基づいて所定の相関特性を参照して健康年齢等の健康指標を出力し、ステップS9では表示制御機能を実現し、出力された健康指標を表示出力するのである。
【0013】
(2)前記入力制御機能は、測定スタート後に、被測定者の性別、年齢等の個人データの入力を促して、その入力を受け付ける機能である。この入力が終わった後、踏台に乗ることを促すように表示する。同時にブザー制御機能によって所定の音で合図を出す。
(3)ステップS7で実現されている重量・面積計測機能は、被測定者が踏台に乗ったことを検知して、荷重の単位時間当たりの変化量が所定の値以下に落ち着いたときに荷重が安定したこと確認し、その後、予め設定された所定の測定時間の間の荷重をサンプリングして各サンプル値を一旦メモリに保存する。そして、保存された荷重の各難プル値の平均値を算出する。その後、図4に示したように、前記平均値もしくはほぼ中央値を所定の基準値として、その基準値と各サンプル値との差(絶対値もしくは2乗値)を各サンプル値毎に計測して、全サンプルの合計を積算して、荷重の変動と所定の基準値とで囲まれる部分の面積に相当する値を算出して特性値として出力するものである。また、前記荷重の平均値を重量(体重)として出力する。
(4)ステップS8で実現されている相関機能は、前記面積計測機能によって計測された特性値を、性別、年齢等に応じて予め設定された相関関数に当てはめて、健康年齢値を出力する。前記相関関数は、関数形式に限定されるものではなく、判定基準テーブル等の形態をとる場合もある。
(5)ステップS9で実現されている表示制御機能は、前記相関機能によって得られた健康年齢値を、数値表示するか、数値に対応した長さのバーとしてレベル表示するか、その他のグラフィック表示するかに応じて、適した制御を行う。
(6)前記ブザー制御機能は、種々の操作を促す音を発したり、測定の進行タイミングを指示する音を発したり、操作エラーに応じた音を発したりする。
【0014】
このようにして、被測定者の健康年齢を測定して表示するのである。
従って、転倒する危険性のある閉眼片足立ち時間の測定をしなくても、家庭の重量計と同様の装置を使用して、手軽に健康年齢を測定することが可能である。
本願の上記機能は、必要とするハードウエアは、従来の電子式重量計どほぼ同じであり、異なるのは、上記制御を行うプログラムを組み込むことだけである。
【実施例1】
【0015】
実施例1では、荷重センサを複数個用いた。これによって、3次元的な変動の解析も可能であるので、3次元的な健康特性値を求めることもできる。
例えば2つの荷重センサを左右用にそれぞれ用いた場合には、図5に示したように、左右2組の計測部3A、3B(踏台部、荷重伝達部、センサー回路、体重信号入力回路)およびそれぞれのA/D変換回路42A、42Bを備え、CPUの2つの入力ポートから入力するように構成した。
また、この場合の計測の流は図6に示した通り、計測部1における計測を開始してCPUへ入力するまでの処理と、計測部2における計測を開始してCPUに入力するまでの処理を個別に行い、以降の演算処理、データ格納処理、演算結果表示処理は纏めて行うとよい。
このように左右の荷重センサを用いると、身体の揺れが左右のどちらに大きいか、または身体の重心はどこにあるか、左右への揺れが生じているか等のより詳細な健康指標を得ることができる。
さらに、3つ以上のセンサを用いれば、前後方向への揺れも把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明にかかる健康指標測定方法に用いる重量計(測定装置)の実施の形態の斜視図である。
【図2】本発明にかかる健康指標測定方法に用いる重量計(測定装置)の実施の形態の構成を示した構成図である。
【図3】本発明における処理手順のフローチャートである。
【図4】本発明における荷重の変動と面積の測定を説明するグラフである。
【図5】実施例1の構成図である。
【図6】実施例1のフローチャートである。
【符号の説明】
【0017】
1 重量計
2 踏台部
3 センサー部
4 制御部
5 出力部
6 スイッチ群
7 電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量計の踏台にかかる荷重の変動を検出し、
所定時間内における前記荷重の変動の特性値を演算し、
前記演算した特性値に基づいて、被測定者の健康指標を測定することを特徴とする健康指標測定方法。
【請求項2】
前記荷重の変動の特性値は、
前記所定時間内の荷重の平均値グラフと、荷重の変動グラフとに囲まれた領域の面積に対応した値としたことを特徴とする請求項1に記載の健康指標測定方法。
【請求項3】
踏台にかかる荷重の変動を検出して出力する荷重センサを備えた荷重計測手段と、
所定時間内における前記荷重センサから出力される荷重の変動に基づいて前記荷重の変動の特性値を演算する変動量演算手段と
を備えていることを特徴とする健康指標測定装置。
【請求項4】
前記変動量演算手段は、
前記所定時間内の荷重の平均値グラフと、荷重の変動グラフとに囲まれた領域の面積に対応した値を特性値として出力することを特徴とする請求項3に記載の健康指標測定装置。
【請求項5】
前記変動量演算手段にて得られた前記特性値に基づいて、被測定者の健康指標を出力する出力手段を備えたことを特徴とする請求項3、4の何れか1項に記載の健康指標測定装置。
【請求項6】
荷重センサは、荷重、および荷重の変動の両方を検出することを特徴とする請求項3,4,5の何れかに記載の健康指標測定装置。
【請求項7】
荷重計測手段は、複数の荷重センサを備えていることを特徴とする請求項3,4,5,6の何れかに記載の健康指標測定装置。
【請求項8】
複数の荷重センサを、少なくとも2つに分離させたことを特徴とする請求項7に記載の健康指標測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−51158(P2006−51158A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−234495(P2004−234495)
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【出願人】(591207976)株式会社ミサキ (2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】