説明

健康管理システム

【課題】異常があった場合には緊急に措置対応が可能な健康管理システムを提供すること。
【解決手段】通行人20の重さを検知する重さ検知器27と、通行人の高さを検知する高さ検知器と、通行人の顔面を撮像するカメラ26と、重さ検知器により通過する通行人の体重を測定する体重測定部と、高さ検知器により通行人の身長を測定する身長測定部と、カメラにより撮像した撮像顔面から通行人の体温を測定する体温測定部と、体重測定部において測定された体重、身長測定部において測定された身長、体温測定部において測定された体温を、正常時の所定値と比較し異常であることを検知する異常検知部と、備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、健康管理を支援する健康管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者が体重計を用いて測定した体重データやウォーキングマシンにより測定したデータを自動的にデータベースに送り、利用者が見たい時にその健康データを見ることができる健康管理システムは知られている。
【0003】
また、携帯端末に心拍数、心電図などの測定を行う電極を有し測定したデータを管理センタに送り、管理センタではそれらの生体情報を所定の基準値と比較して、その結果を携帯端末に送る健康管理支援システムも知られている。
【0004】
健康管理の重要性に気づきそのために健康管理の基礎データを常に把握しておくことが必要であることを理解していても、そのために病院など医療施設に行くなどの必要があり、そのような時間がない人が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−109064号公報
【特許文献2】特開2004−255029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、忙しい人であっても、医療施設に行くなどせずに、常時自己の健康状態を知ることができ、異常があった場合には緊急の措置対応が可能な健康管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によれば、通行人が通過する通路の一部に設けられ、その重さを検知する重さ検知器と、前記通路に設けられ光が遮られる高さを検知する高さ検知器と、前記通路を通る前記通行人に対向して設けられ前記通行人の顔面を撮像するカメラと、前記重さ検知器により前記通過する通行人の体重を測定する体重測定部と、前記高さ検知器により前記通過する通行人の身長を測定する身長測定部と、前記カメラにより撮像した撮像顔面から前記通行人の体温を測定する体温測定部と、前記体重測定部において測定された体重、前記身長測定部において測定された身長、前記体温測定部において測定された体温を、正常時の所定値と比較し異常であることを検知する異常検知部と、前記体重測定部において測定された体重、前記身長測定部において測定された身長、前記体温測定部において測定された体温及び前記異常検知部により異常が検知された場合にその旨を前記通行人にメールにより通知するメール送信部と、を備える健康管理システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施形態の全体システムを示す図である。
【図2】一実施形態における自動改札装置において身長等を測定するための構成を示す斜視図である。
【図3】一実施形態の自動改札装置の電気的構成例を示す図である。
【図4】一実施形態のシステムにおける健康情報通知サーバの構成例を示す図である。
【図5】一実施形態のシステムの動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について図面を用いて説明する。この健康管理システム10は、ネットワーク11に接続された健康管理サーバ12と、同じくこのネットワーク11に接続され、各駅に設置され、通行人の健康情報データを収集する自動改札装置13a,13bと、同じくネットワーク11に接続され通行人の携帯電話14にメールを送信する健康情報通知サーバ15とを有する。
【0010】
健康管理サーバ12内には、自動改札装置13a,13b(以下まとめて述べるときには13とする)を通った通行人の健康情報データを記憶する健康情報データベース(DB)16が設けられている。
【0011】
図1では自動改札装置は2台しか示されていないが、通常はもっと多くの自動改札装置が設置される。一般的には各駅に少なくとも1台設置されており、大きい駅では、10台を超える自動改札装置が設けられる。各駅に設けられる自動改札装置13から生ずる健康管理データは、通常、LAN11a等により駅毎に集められ、まとめて中央の健康管理サーバ12に送られると共にメールを作成送信するために、健康情報通知サーバ15に送られる。
【0012】
自動改札装置13により測定される通行人の健康管理データは、身長、体重、体温、その他の生体情報である。
【0013】
身長の測定方法を、自動改札装置13の斜視図を示す図2を用いて説明する。その間を通行人20が通る通路21の自動改札装置13の側板22a,22bの内側面上部、例えば側板22a内側に内側上方に光を放射する光源23a1,23a2,23a3,23a4,23a5が横一列に設けられている。
【0014】
この側板22aに対向する側板22bの内側には同様の構成で同様の位置に光源(図示せず)が設けられ、これらの光源から発した光は通路20の上方の交点241,242,243,244,245で交差する。
【0015】
これらの交点241,242,243,244,245は順次、高さが低くなるようになっており、これらの交点で両方の放射光が交差したか検知されるようになっている。通行人20の身長より高い交点は検知されるが、低い交点は検知されない。通行人の移動により光線の遮断がなされることにより通行人の身長が検知される。
【0016】
また、改札の入り口の高い位置にはカメラ26が設置されており、このカメラにより通行人20の顔面を撮像し、顔面温度ひいては体温が検知できるようになっている。通行人20が、通路21を通るとき、通路21の底部に設けられた重さ検知器27により、通行人20の体重が検知される。更に通行人20は、自己の身長、体重、体温以外の生体情報を測定する生体情報検知機器28を常時携帯している。
【0017】
通行人20の身長、体重の測定、体温の検出、生体情報の受信については次に説明する。
【0018】
この実施形態の自動改札装置13における通行人の生体情報を測定する電気的構成例を、図3に示す。図3に示していないが、自動改札装置1は、改札装置本来の機能を当然有している。
【0019】
自動改札装置13は、図2において説明したカメラ26と、このカメラにより撮像した顔面から体温を測定する体温測定部31と、例えば上述のように光の交点から身長を検知し測定する身長測定部32と、例えば圧力センサにより構成される重さ検知器27と、この重さ検知器27により検知された体重を測定値として出力する体重測定部33と、生体情報検知機器28から送信された通行人20のその他の生体情報を受信し、測定する生体情報測定部34とを有する。
【0020】
体温測定部31、身長測定部32、体重測定部33及び生体情報測定部34により測定された通行人20の体温、身長、体重及びその他の生体情報は、健康管理サーバ12の健康情報DB16に送られ各通行人のIDの下に記憶される共に、健康情報通知サーバ15に送られる。
【0021】
健康情報通知サーバ15の一構成例を図4に示す。この健康情報通知サーバ15は、体温測定部31、身長測定部32、体重測定部33及び生体情報測定部34から送られてきた各生体情報を、予め記憶されている標準値と比較し異常を検知する異常検知部41と、異常検知部41により比較検知された値が正常である場合に、その出力を受けて、メールの予め決められているテンプレートにこれら値が正常であることを入力する健康情報作成部42と、異常検知部41で検知された生体情報をテンプレートメールにそれらの値が異常であることを入力する異常情報作成部43と、健康情報作成部42及び異常情報作成部43により入力されたメールにアドレスを付けて携帯電話14に送信するメール送信部44と、を有する。
【0022】
通行人20の正常値が健康情報DB16に記憶されているならば、平均的な通行人の標準値でなく、この通行人IDにより健康情報DB16に記憶されているデータを検索し、通行人20の正常値と比較して異常値かどうか検知することも可能である。このように通行人20の正常値と比較した方が、異常値かどうかを精度よく検知することが可能である。
【0023】
体温測定部31、身長測定部32、体重測定部33及び生体情報測定部34から得られた生体情報の値が全て正常値ならば、メール送信部44からは通行人20の携帯電話14のアドレスに送られる。一方、生体情報の値に1つでも異常値が含まれていたならば、通行人20の携帯電話14のアドレスの他に、予め入力されている、通行人20のかかりつけの医者のアドレスに送られる。生体情報の値が、緊急に入院などが必要なほど重度の異常を示す場合には、通行人20のアドレスの他に入院する緊急措置対応が可能な病院のアドレスにメールが送られる。かかりつけの医者のアドレスおよび緊急対応病院のアドレスは携帯電話のアドレスでなく、通常の電子メールのアドレスであってもよいし、携帯電話のアドレスおよび電子メールのアドレスであってもよい。
【0024】
なお、通常、身長や体重などにより生体情報の異常が検知されることは少なく、カメラで撮像された顔面から検知された体温や、生体情報検知機器28で検知されたデータから異常が検知されることが多い。したがって、一般的には、測定値の異常の検知は、体温測定部31から得られた測定体温や生体情報測定部34で得られた測定値について異常値かどうか検知すればよい。
【0025】
次に、この実施形態の動作を図5に示すフローチャートに基づいて説明する。ステップS501で自動改札装置13に通行人20が入ってきたか否かを検知する。通行人20が自動改札装置13に入ってこない限り、通行人20が入ってくるか否かを検知し続ける。通行人20が自動改札装置13に入ってきたことが検知されると、ステップS502で重さ検知部27により、通行人20の体重が検知され、体重測定部33でその体重が測定される。
【0026】
次のステップS503では、通行人20の身長が、例えば図2に説明した方法により検知され、身長測定部32で測定される。ステップS504では、カメラ26で、通行人20の顔面を撮像し、その体温を検知する。
【0027】
ステップS505では、通行人20が保持する生体情報検知機器28にて生体情報を検知し、自動改札装置13の生体情報測定部34に送信される。通行人20の体温、身長、体重、その他の生体情報は各々、自動改札装置13の体温測定部31、身長測定部32、体重測定部33、生体情報測定部34にて測定され、健康情報DB16に記憶されると共に、ステップS506で健康情報通知サーバ14に送られる。この健康情報通知サーバ14の異常検知部41は、ステップS507で自動改札装置13から送られてきた測定値を通行人の正常値と比較し、異常な値があるかどうか検知する。
【0028】
ステップS508では、通行人20の携帯電話14をアドレスとするメールを作成する。このメールは異常値検知部41においてテンプレートを用いて作成され、上記測定値が自動的に入力される。ステップS509で異常検知部41において緊急措置を要する異常値があるかどうか検知され、そのような緊急対応異常値が検知されたならば、ステップS510に移る。
【0029】
上記のように作成されたメールに緊急措置対応可能な病院のメールアドレスが追加され、ステップS513でメール送信部44からメールが通行人20と緊急措置対応可能な病院に送信される。
【0030】
次にステップS511で、通行人20の測定値に異常値があるかあるかどうか検知される。異常値がある場合には、ステップS512に移り、通行人20の携帯メールアドレスのほか、かかりつけ医師の電子メールアドレスも追加されて測定値のデータに異常値がある旨の記載と共に、ステップS513でメール送信部44から送信される。
【0031】
通行人20に測定値に緊急を要する異常値も、異常値もなかった場合には、通行人20の携帯メールアドレス宛に、生体情報が正常である旨の記載と測定値が記入されたメールが送信される(ステップS513)。
【0032】
このようにして通行人20の生体情報が検知され測定されて異常値かどうか判定されて少なくとも通行人20には送られる。測定値が異常値の場合にはかかりつけの医師にも送られ、緊急を要する異常値の場合には、緊急対応可能な病院にも上記メールが送信される。
【0033】
前記実施形態では、カメラ26、重さ検知器27、体温測定部31、身長測定部32、体重測定部33、及び生体測定部34が自動改札装置13に内蔵されている場合について説明した。しかし、本発明では、自動改札装置13に内蔵されている必要は必ずしも必要でなく、別体になっていてもかまわない。
【0034】
上記実施形態では、通行人が生体情報検知機器及び携帯電話を有する場合について説明した。しかし、生体情報検知機器の機能をソフトウェアとして有する携帯電話を用いてもよいし、逆に携帯電話機能を有する生体情報検知機器を用いてもよい。また両者の機能を有するスマートフォン等携帯端末を用いてもよい。
【0035】
上記実施形態では、生体情報検知機器は、身長、体重、体温など以外の生体情報の測定を行ったが、これらの生体情報を含めて測定するようにしてもよい。
【0036】
上記実施形態では、本発明を電車の自動改札装置の入口の改札口に適用した場合について説明した。しかし、自動改札装置の出口の改札口に適用することも可能である。さらに本発明は自動改札装置に限られず、空港の検疫施設の通過口や健康ランドやフィットネスクラブの入退場ゲート、マラソン等のスポーツ大会での通過口など、健康管理システムに適用することが可能である。
【0037】
上記実施形態では、通行人の異常値を検知した場合、当該通行人のかかりつけの医師や緊急対応可能な病人にメールを送る例について説明した。しかし、少なくとも当該通行人にメールを送付すればよく、かかりつけの医師や緊急対応可能な病院への連絡は必ずしも必要ではない。
【0038】
前記メール送信部は、通行人の生体情報に異常値が生じなくてもメールを送信するばあいについて説明した。しかし、カメラで撮像した顔面から検知され測定された体温が異常値であった場合にのみ、当該通行人にメールを送信するようにしてもよい。
【0039】
上記実施形態では、通行人が生体情報検知機器を携帯している場合について説明した。しかし、本発明では生体情報検知機器の携帯は必ずしも必要でなく、少なくともカメラで通行人を撮像しその体温を測定して異常を検知すればよい。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態を説明したがこれらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
10・・・・・健康管理システム、
11・・・・・ネットワーク
11a・・・・LAN、
12・・・・・健康管理サーバ、
13、13a,13b・・・・自動改札装置、
14・・・・・携帯電話、
15・・・・・健康情報通知サーバ、
21・・・・・通路、
22a,22b・・・・側板、
26・・・・・カメラ、
27・・・・・重さ検知器、
28・・・・・生体情報検知機器、
31・・・・・体温測定部、
32・・・・・身長測定部、
33・・・・・体重測定部、
34・・・・・生体情報測定部、
41・・・・・異常検知部、
42・・・・・健康情報作成部、
43・・・・・異常情報作成部、
44・・・・・メール送信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通行人が通過する通路の一部に設けられ、その重さを検知する重さ検知器と、
前記通路に設けられ光が遮られる高さを検知する高さ検知器と、
前記通路を通る前記通行人に対向して設けられ前記通行人の顔面を撮像するカメラと、
前記重さ検知器により前記通過する通行人の体重を測定する体重測定部と、
前記高さ検知器により前記通過する通行人の身長を測定する身長測定部と、
前記カメラにより撮像した撮像顔面から前記通行人の体温を測定する体温測定部と、
前記体重測定部において測定された体重、前記身長測定部において測定された身長、前記体温測定部において測定された体温を、正常時の所定値と比較し異常であることを検知する異常検知部と、
前記体重測定部において測定された体重、前記身長測定部において測定された身長、前記体温測定部において測定された体温及び前記異常検知部により異常が検知された場合にその旨を前記通行人にメールにより通知するメール送信部と、
を備える健康管理システム。
【請求項2】
前記通行人が携帯する生体情報検知機器から送信される生体情報を受信する生体情報測定部を更に備え、前記異常検知部は、この生体情報の異常が検知されたときにも、前記メール送信部により前記通行人に前記生体情報が異常である旨をメールにより送信する健康管理システム。
【請求項3】
前記メール送信部は、前記異常検知部により異常が検知されたときにはかかりつけの医師にもメールを送信し、前記異常検知部により緊急の措置を要する異常が検知されたとき、緊急対応可能な病院にもメールを送信する請求項2記載の健康管理システム。
【請求項4】
前記メール送信部は、前記通行人の携帯する携帯電話にメールを送信する請求項1乃至3いずれか一記載の健康管理システム。
【請求項5】
前記携帯電話は、前記生体情報検知機器と一体に構成されている請求項4記載の健康管理システム。
【請求項6】
前記体重測定部により測定された体重、前記身長測定部により測定された身長、前記体温測定部により測定された体温及び前記生体情報測定部により測定された生体情報を記憶する健康情報データベースを更に備え、前記異常検知部は前記健康状態データベースに記憶される前記通行人の正常時の値と前記測定値を比較する請求1乃至5のいずれか一記載の健康管理システム。
【請求項7】
前記メール送信部は、ネットワークにより前記体重測定部、前記身長測定部、前記体温測定部と接続されている請求項1乃至6のいずれか一記載の健康管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−46668(P2013−46668A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186025(P2011−186025)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】