説明

健康補助食品

【課題】 抽出効率がよく優れた抗コレステロール作用、血液清澄作用、抗癌作用、抗ウィルス作用等の薬理効果を有するフコイダン原料を用いると共に、呈味性が良好となる健康補助食品を提供することを目的とする。
【解決手段】 (a)紅藻類キリンサイ属及び/又はいぎす属に属する海藻から得られるフコイダン抽出物と、(b)黒糖と、(c)植物油、食用酸及びカルシウム分の少なくとも1種以上とを含有してなることを特徴とする健康補助食品。
健康補助食品が、粉末状、タブレット状、錠剤状、顆粒状、カプセル状、ステック状、ペースト状、ゲル状、液状である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康維持と病気予防に役立つ、健康補助食品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、天然物から抽出された健康食品は数多く知られている。近年、オキナワモズク等の海藻類から抽出されたフコイダンは、優れた抗コレステロール作用、血液清澄作用、血糖値降下作用、癌細胞のアトポーシス(自ら消滅)誘導作用、抗ウィルス作用等の薬理効果を有することが知られ、海藻からフコイダンを抽出する技術、フコイダン関連商品の開発が盛んに行われている。
【0003】
例えば、褐藻から分離精製したフコイダンを食品に添加することを特徴とする食味改良方法(例えば、特許文献1参照)、ガゴメ昆布またはマ昆布由来のフコイダンを含有する食品又は飲料であって、アルギン酸及びフコイダンの重量の合計値に対するフコイダンの重量の比が43%以上のフコイダン含有抽出物もしくは純化されたフコイダンを含有する菓子類、アルコール飲料、嗜好飲料などの食品又は飲料(例えば、特許文献2参照)、ワカメ芽下部より抽出分画したフコイダン画分を1〜90%と残部がオキナワフトモズクより抽出分画したフコイダン画分からなる混合物にアガリスク粉末を配合した高血糖を抑制し、血糖を低く保つ効果を持つフコイダン系健康食品(特許文献3参照)などが知られている。
これらの食品に用いられるフコイダンは、一般に褐藻、ガゴメ昆布、マ昆布、オキナワフトモズクから抽出されるものであるが、その含有量は海藻の種類、海藻の部位により変動するものであるが、通常乾燥重量の約4%程度含有されているものである。
【0004】
しかしながら、上記褐藻、ガゴメ昆布、マ昆布、オキナワフトモズクから抽出されるフコイダンは乾燥重量の約4%程度と少なく、抽出効率が低い点に課題がある。また、フコイダンを含有した食品は、呈味性に課題があるものである。
【特許文献1】特開平10−165114号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】国際公開WO97/047208号公報(請求の範囲、実施例等)
【特許文献3】特開2004−24054号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題及び現状等に鑑み、これを解消しようとするものであり、抽出効率がよく優れた抗コレステロール作用、血液清澄作用、抗癌作用、抗ウィルス作用等の薬理効果を有するフコイダン原料を用いると共に、呈味性が良好となる健康補助食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記従来の課題等を解決するために、鋭意検討した結果、特定の海藻から得られるフコイダン抽出物と、健康食品成分と少なくとも含有することにより、上記目的の健康補助食品が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0007】
すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)に存する。
(1) (a)紅藻類キリンサイ属及び/又はいぎす属に属する海藻から得られるフコイダン抽出物と、(b)黒糖と、(c)植物油、有機酸及びカルシウム分の少なくとも1種以上とを含有してなることを特徴とする健康補助食品。
(2) 健康補助食品全量に対して、フコイダン抽出物が0.1〜10重量%、黒糖が1〜20重量%含有される上記(1)記載の健康補助食品。
(3) 健康補助食品が、粉末状、タブレット状、錠剤状、顆粒状、カプセル状、ステック状、ペースト状、ゲル状、液状である上記(1)又は(2)記載の健康補助食品。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、抽出効率に優れた人体に有用なフコイダン原料を用いると共に、人体に有用な黒糖と、植物油、有機酸及びカルシウム分の少なくとも1種以上とを含有するので、低コストで、呈味性が良好となると共に、健康に寄与する健康補助食品が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の健康補助食品は、(a)紅藻類キリンサイ属及び/又はいぎす属に属する海藻から得られるフコイダン抽出物と、(b)黒糖と、(c)植物油、食用酸及びカルシウム分の少なくとも1種以上とを含有してなることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に用いる(a)成分のフコイダン抽出物は、紅藻類キリンサイ属及び/又はいぎす属に属する海藻から得られるに限定されるものである。
従来の褐藻、ガゴメ昆布、マ昆布、オキナワフトモズクから抽出されるフコイダンの含有量は、海藻の種類、海藻の部位により変動するものであるが、通常乾燥重量の約4%程度含有されおり、低い抽出量の点で課題をあるものである。これに対して、本発明における紅藻類キリンサイ属及び/又はいぎす属に属する海藻に属する「いぎす海藻」から得られるものは、財団法人日本食品分析センターに依頼の分析結果によれば、下記表1及び表2に示す試験結果を得た。
【0011】
【表1】

【表2】

【0012】
上記表1及び2の結果から明らかなように、いぎす海藻には、フコイダンの構成糖であるキシロース1.0g/100g、ガラクトース22.7g/100g、合計23.7g〔27.3重量%、従来の海藻類(4重量%)の6倍〕含まれており、また、各種アミノ酸類も上記表2のとおり各種含まれるものであった。
本発明では、紅藻類キリンサイ属及び/又はいぎす属に属する海藻は、フコイダンの含有量が多く、かつ、各種アミノ酸を各量含有するものであり、従来の褐藻類、オキナワモズク等から得られるフコイダンより特段の抽出量及び有用成分が含まれるものを使用するため、低コスト、更なる効果の発現性の点から優れたフコイダン原料種を使用するものである。
【0013】
原料となるいぎす属の海藻としては、例えば、けいいぎす、はりいぎす、いねいぎすなどを用いることができ、また、紅藻類キリンサイ属の海藻としては、例えば、とげきりんさい(学名 Eucheuma J−Aarandh)、きりんさい(学名 Eucheuma Denticufatum Collins et Hervey)などを用いることができる。用いるこれらの海藻は、運搬等の便宜、採取時期と使用時期のずれを調整する点から、水等で洗浄後、天日乾燥させたものの使用が好ましい。
これらの紅藻類キリンサイ属及び/又はいぎす属に属する海藻からフコイダンの抽出法は、特に限定されずに、通常の方法によりより抽出することができる。例えば、酸又はアルカリ水溶液による抽出法、熱水又は冷水による抽出法等によることができる。酸抽出法は、原料を酢酸又は塩酸等の酸水溶液に懸濁することにより抽出を行い、懸濁液から沈殿を除いて上清を得、必要に応じて上清について塩析、濾過及び/又は透析等の精製操作を行い、更に必要に応じて凍結乾燥などの操作を行ってフコイダンを得る方法である。また、熱水抽出法は、原料を熱水に懸濁することにより抽出を行い、懸濁液から沈殿を除いて上清を得、必要に応じて上清について塩析、濾過及び/又は透析等の精製操作を行い、更に必要に応じて凍結乾燥などの操作を行ってフコイダンなどを得る方法である。
【0014】
本発明に用いる(b)成分の黒糖は、さとうきびや甜菜などの搾汁を煮詰めて得られる、搾汁の濃縮物である。ショ糖部分を精製した上白糖等とは違い、ショ糖以外の成分、いわゆる糖蜜を含有した含蜜糖である。また、上白糖を製造する際に生じる副産物である糖蜜のものであってもよい。これらの黒糖は、特に糖蜜を含有するものは、ビタミンB1やB2、ストレス軽減効果を有するマグネシウム、血圧降下作用を有するカリウム等のミネラル分が約5〜20重量%含むものである。
【0015】
本発明に用いる(c)成分の植物油は、栄養付与、乳化等のために含有するものであり、例えば、大豆レシチン、オーリブ油、ごま油、大豆油などを挙げることができる。
また、有機酸は、栄養付与、更なる保存性向上、pH調製などのために用いるものであり、好ましくは、食用の有機酸、例えば、クエン酸、醸造酢、黒酢、リンゴ酸、米酢、酒石酸などを挙げることができる。
更に、カルシウム分は、体内にカルシウムを供給する目的で含有せしめるものであり、卵殻カルシウム、サンゴカルシウム、真珠末などを挙げることができる。
【0016】
本発明の健康補助食品は、(a)成分のフコイダン抽出物と、(b)成分の黒糖と、(c)成分の植物油、有機酸及びカルシウム分の少なくとも1種以上とを含有するものであり、好ましくは、呈味性、栄養補給などの点から、健康補助食品全量に対して、(a)成分のフコイダン抽出物を0.1〜10重量%、(b)成分の黒糖を1〜20重量%含有せしめることが好ましく、更に、(c)成分の植物油を1〜5重量%、有機酸を0.1〜5重量%、及びカルシウム分を0.1〜5重量%含有せしめることが望ましく、更に好ましくは、(a)成分のフコイダン抽出物を3〜7重量%、黒糖を3〜10重量%含有せしめることが望ましい。
(a)成分のフコイダン抽出物が0.1重量%未満、(b)成分の黒糖が1重量%未満であると、本発明の効果を発揮することができず、一方、(a)成分のフコイダン抽出物が10重量%超過、(b)成分の黒糖が20重量%超過であると、呈味性を損なうことがある。
更に、本発明の降下を損なわない範囲で、上記各成分の他、更に、食物繊維、ビタミン類、香料、糖類等の通常の食品に配合される成分や漢方成分等を適宜含有することができる。
【0017】
本発明の健康補助食品の形態は、特に限定されないが、例えば、上記(a)〜(c)成分を常法により、粉末状、タブレット状、錠剤状、顆粒状、カプセル状、ステック状、ペースト状、ゲル状、液状の形態とすることができる。
【0018】
このように構成される本発明の健康補助食品は、抽出効率に優れた人体に有用な紅藻類キリンサイ属及び/又はいぎす属に属する海藻から得られるフコイダン抽出物を含有すると共に、人体に有用な黒糖と、植物油、有機酸及びカルシウム分の少なくとも1種以上とを含有するので、低コストで、呈味性が良好となると共に、健康に寄与する健康補助食品が得られるものとなる。
【実施例】
【0019】
次に、実施例より本発明を更に詳細に説明するが、下記実施例等に限定されるものではない。
【0020】
(フコイダン抽出物の抽出方法)
乾燥はりいぎす20重量部に水100重量部を加え95℃で撹拌しつつ60分間加熱してフコイダンを溶出させた。次いで、遠心分離機を用いて、不溶分を除去した後、限外濾過膜を用いて分子量6000以下の低分子画分を除去した。次いで、pH調整剤(水酸化ナトリウム)を加えてpH6に調整した後、フコイダン含有濃縮液を噴霧乾燥してフコイダン抽出物を得た。
【0021】
(実施例1)
上記イギスフコイダン抽出物7重量%と、黒糖(黒砂糖)6重量%、大豆レシチン(植物油)2重量部、クエン酸0.2重量%、残部精製水を混合して、ゼリー状物(100g)を調製した。
【0022】
(実施例2)
上記イギスフコイダン抽出物5重量%と、黒糖(黒砂糖)7重量%、大豆レシチン(植物油)1重量%、クエン酸0.1重量%と、サンゴカルシウム1重量%、難消化性デキストリン(パインファイバー、食物繊維)10重量%、残部増量剤を混合して、常法により、粉末化して、粉末状物(100g)を調製した。
【0023】
(実施例3)
上記イギスフコイダン抽出物7重量%と、黒糖(黒砂糖)7重量%、大豆レシチン(植物油)1重量%、クエン酸0.1重量%と、サンゴカルシウム2重量%と、難消化性デキストリン(パインファイバー、食物繊維)10重量%、残部増量剤を混合して、常法により、造粒して、顆粒状物(100g)を調製した。
【0024】
(実施例4)
上記イギスフコイダン抽出物7重量%と、黒糖7重量%、黒酢3重量%と、緑茶エキス5重量%、残部精製水とを混合して、常法により、液状物(ドリンク剤100g)を調製した。
【0025】
得られた各健康補助食品(実施例1のゼリー状物、実施例4の液状物)20gについて、パネラー5人又は10人により、下記評価方法により、呈味性、健康向上効果について評価した。
【0026】
(呈味性の評価方法)
実施例1、4の各健康補助食品と、対照として実施例1、4の各健康補助食品におい黒糖に代え、上白糖を各含有量としてものについて、パネラー5人により飲食してもらい、下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:対照に較べ呈味性が良好
○:対照に較べ呈味性がやや良好
△:対照に較べ呈味性がほとんど同じ
×:対照に較べ呈味性が劣る
【0027】
(健康向上効果の評価方法)
実施例1、4の各健康補助食品の何れか一方を1日3回(朝、昼、晩)食後に、3カ月間に飲食した場合と、全く飲食しない場合とで、パネラー10人(高脂血症の人5人、血糖値が高い人5人)で下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:対照に較べ健康向上効果(高脂血症の人の通常値が20%以上低下、血糖値の人の通常値が20%以上低下)がある
○:対照に較べ健康向上効果(高脂血症の人の通常値が10%以上低下、血糖値の人の通常値が10%以上低下)がややある
×:対照に較べ健康工場効果(高脂血症の人の通常値と殆んど変化なし、血糖値の人の通常値が殆んど変化なし)がほとんど変化なし
【0028】
上記各評価方法を行ったところ、呈味性については、パネラー5人とも◎であり、健康向上効果については、飲食前と3ヵ月後の血液検査で、高脂血症の人5人が通常値より20%以上低下しており、また、血糖値が高めの5人も通常値より20%以上低下していることが判明した。
【0029】
以上の結果などを総合すると、本発明の健康補助食品は、抽出効率に優れた人体に有用なフコイダン原料を用いると共に、人体に有用な黒糖と、植物油、有機酸及びカルシウム分の少なくとも1種以上とを含有するので、低コストで、呈味性が良好となると共に、健康に寄与する健康補助食品が得られるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)紅藻類キリンサイ属及び/又はいぎす属に属する海藻から得られるフコイダン抽出物と、(b)黒糖と、(c)植物油、有機酸及びカルシウム分の少なくとも1種以上とを含有してなることを特徴とする健康補助食品。
【請求項2】
健康補助食品全量に対して、フコイダン抽出物が0.1〜10重量%、黒糖が1〜20重量%含有される請求項1記載の健康補助食品。
【請求項3】
健康補助食品が、粉末状、タブレット状、錠剤状、顆粒状、カプセル状、ステック状、ペースト状、ゲル状、液状である請求項1又は2記載の健康補助食品。

【公開番号】特開2006−342083(P2006−342083A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−168208(P2005−168208)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(592256689)石水化学株式会社 (3)
【Fターム(参考)】