説明

健康食品及び健康食品の製造方法

【課題】加熱によって有効成分が失われたり、有機溶媒を用いることで製造コストが増加することを防止しながら、くまつずらに含まれる有効成分を効果的に抽出することを目的とする。
【解決手段】乾燥したくまつずらを食酢中に約1ヶ月静置し、圧搾機で搾って固形物を取除き、液体部分を製品とする。
食酢100質量部に対し、乾燥したくまつずらを2〜0.5質量部を投入する。1日摂取量の標準は30ccとし、1日1回30cc服用してもよいが、3回にわけて10ccずつ服用してもよい。また、適当に水で薄めて服用してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食酢中に乾燥したくまつずらを浸漬して得られる健康食品に関する。
【背景技術】
【0002】
くまつずら(Verbena Officinalis)は、馬鞭草ともいわれ、本州から沖縄に至る原野や道路ばたに自生する多年草で、古来薬草として用いられてきた。通経、生理痛,産後のおりもの,皮膚病や腫れ物に効果があるといわれている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
くまつずらは、皮膚老化防止剤の原料の一つとして出願されているほか(例えば、特許文献1参照。)、醸造酒に添加する保健機能を具備する原料の一つとして出願されており(例えば、特許文献2参照。)、また、くまつずらに含まれているバーベナリンは安眠誘導の効果があるとされている(例えば、特許文献3参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−179581号公報
【特許文献2】特開2002−291460号公報
【特許文献3】特開2005−154310号公報
【非特許文献1】日本の薬草,2004年8月,(株)学習研究社,P105.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
くまつずらから有効成分を抽出するには、水を加えて煎じるとか、アルコール等の有機溶媒で抽出するなどの方法がとられていた。しかし、加熱によりくまつずらに含まれる有効成分が、分解又は変質するおそれがあるほか、有機溶媒を使用すると、溶媒の回収等の設備が必要となる。そこで本願発明者は、加熱することなく、しかも有機溶媒を用いないでくまつずらから有効成分を効果的に抽出する方法を用いることで、従来全く知られていなかった膠原病や肺繊維症の症状の改善緩和に有効な、くまつずらを原料とした健康食品を開発するに至ったものである。
【0006】
膠原病とは、慢性関節リウマチ(RA),リウマチ熱(RF),結節性多発動脈炎(PN),進行性全身硬化症(PSS),多発性筋炎(PM),皮膚筋炎,混合性結合織病(MCTD),シェーグレン症候群,ベーチュット病,壊死性血管炎,全身性エリテマトーテス(SLE)などが含まれる全身の結合組織においてフィブリノイド変性を呈する病理所見に基づいて分類された疾患群である。
病論的にみると膠原病は、免疫異常の存在から広義のアレルギー性の疾患として、また、自己抗体の出現から自己免疫疾患として分類されている。現在、その発病の機構がいまだ確立されていないため、その治療法は確立されておらず、厚生労働省により難病の一つであると指定されている。
【0007】
肺繊維症は、肺内にびまん性の繊維増殖をきたし、咳,息切れ,びまん性の肺陰影,抱束性換気障害,拡散障害,低酸素血症などを示す病態をいう。この病態は間質性肺炎から移行するもので、多くは間質性肺炎が前段階となりうる。ここで間質性肺炎とは一般に肺胞領域の間質(肺胞壁や呼吸細気管支周囲の間質)を病変の主座とする疾患をいう。間質性肺炎の原因として、原因の明らかなもの一つとして、膠原病があげられているが、原因が不明のものも多い。
【0008】
膠原病や肺繊維症の予防剤や治療剤は数多く出願されているが(例えば、特許文献4,特許文献5,特許文献6,特許文献7参照。)、副作用があったり、効果が不十分なものも多い。本発明は、副作用がなく、膠原病や肺繊維症の症状の緩和に有効なくまつずらを用いた健康食品を提供することを目的とする。
【0009】
【特許文献4】特開平5−954号公報
【特許文献5】特開2003−201252号公報
【特許文献6】特開平8−268906号公報
【特許文献7】特表2001−518062号公報
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明の第1は、食酢中に乾燥したくまつずらを浸漬して得られることを特徴とする健康食品である。
ここで食酢は、酢酸濃度4〜6質量%のものを用い、殻物酢のほか、果実酢でも良く、又いわゆる黒酢等も使用できる。浸漬は室温で行い、約1ヶ月以上おいてからくまつずらを液から取出し、残った母液を製品として出荷する。
【0011】
(2)本発明の第2は、食酢100質量部に対し、乾燥したくまつずらを2〜0.5質量部浸漬して得られることを特徴とする前項(1)記載の発明である。
食酢に対し、くまつずらの量が多すぎると、くまつずら中の有効成分が十分抽出されないおそれがあり、食酢に対し、くまつずらの量が少なすぎても食酢中の有効成分の濃度が低くなりすぎて製品の効能が十分に現れなくなるおそれがあるからである。
【0012】
(3)本発明の第3は、採草したくまつずらを水洗後乾燥してから、食酢中に1ヶ月以上浸漬した後、圧搾して固形物を除去して得られる液体を健康食品とすることを特徴とする健康食品の製造方法である。
水洗いすることでくまつずらに付着した泥等を除去した後、乾燥は天日乾燥とし、加熱により、熱に不安定な成分の分解・変質を避けることとする。
食酢中の浸漬は常温で行い、少なくとも1ヶ月以上とする。1ヶ月経過後、食酢中からくまつずらを取出し、圧搾機で圧搾してくまつずらに含まれている液体を十分絞り出し、母液の食酢と一緒にして製品とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る健康食品を飲用することで、美容、健康増進の効果が得られるとともに、今迄くまつずらについて全く知られていなかった膠原病及び肺繊維症の症状の改善緩和が発現されることがわかった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
くまつずらは、主に8〜9月の開花期、全草を採取して水洗いし、天日乾燥をする。次に食酢500lに対し、乾燥したくまつずらを5kg投入する。そのまま約1ヶ月静置した後、くまつずらの入った食酢を圧搾機で搾って固形物を除き製品とする。
【0015】
本発明に係る健康食品の服用は、原液30ccを1日摂取量の標準とする。30ccを1日1回服用しても良いが、10ccずつ1日3回服用してもよい。
また、原液をそのまま服用してもよいが、適当に水で薄めて服用してもよい。
【0016】
図1は、本発明に係る健康食品の製造工程を示すフローチャートである。
くまつずらは、主に8〜9月の開花期、茎,葉及び花を含む全草を採取し、水洗いして泥を除去する。乾燥は天日乾燥した後、食酢に漬込む。
約1ヶ月静置した後、圧搾機で搾り、液体を採取し、製品とする。
【0017】
(実施例1)
膠原病である強皮症,皮膚筋炎及び多発性筋炎と診断された60代の男性患者に、本発明に係る健康食品を水で2倍に薄めたものを1日3回20ccずつ服用させた。
3ヶ月間服用の結果、疼痛がかなり緩和された。その他この健康食品を服用した結果、全く副作用は認められなかった。むしろ全身的に健康増進の効果がみられた。
【0018】
(実施例2)
肺繊維症の80才の女性患者が本発明に係る健康食品30ccを水で2倍にうすめて毎日1回ずつ服用した。
1ヶ月経過後、咳及び痰が少なくなり、症状がかなり緩和された。また、服用中副作用は全くみられなかった。
【0019】
(比較例)
乾燥したくまつずらを全草6〜10gをカップ3の水で半量になるまで煎じて1日量とし、3回に分けて食間に服用するという通常のくまつずらの服用法で膠原病の患者に服用させた。3ヶ月、服用の結果は特に目立った効果は得られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る健康食品の製造工程を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食酢中に乾燥したくまつずらを浸漬して得られることを特徴とする健康食品。
【請求項2】
食酢100質量部に対し、乾燥したくまつずら2〜0.5質量部を浸漬して得られることを特徴とする請求項1記載の健康食品。
【請求項3】
採取したくまつずらを水洗後乾燥してから食酢中に1ヶ月以上浸漬した後、圧搾して固形物を除去して得られる液体を健康食品とすることを特徴とする健康食品の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−55911(P2007−55911A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−240539(P2005−240539)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【出願人】(505263890)
【Fターム(参考)】