説明

健康飲料及び経口用抗腫瘍剤

【課題】ヒアルロン酸とペプタイドを有するヒアルロン酸吸収用食品は、優れた抗腫瘍効果を発揮する。本発明は、そのようなヒアルロン酸吸収用食品に存する抗腫瘍効果をさらに強化するべくなされたものであり、その目的は健康維持機能に優れた健康飲料を提供し、併せて優れた抗腫瘍作用を発揮する経口用抗腫瘍剤を提供することにある。
【解決手段】リキュール等の飲用のアルコール水溶液に、ヒアルロン酸とペプタイドを混合してなる健康飲料を提供する。なお、前記ペプタイドは蛋白質を加水分解して体内吸収性を高めた物質として把握される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の健康を維持するための健康飲料及び抗腫瘍作用を発揮する経口用抗腫瘍剤に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、先に蛋白質分解酵素で酵素分解してペプタイド(peptide)状にした蛋白質とヒアルロン酸を有するヒアルロン酸吸収用食品を開発し、現在実施している(特許文献1参照)。
また、ヒアルロン酸の体内吸収に関しては、上記特許文献1以外にも特許文献2,3などに示されている。
【特許文献1】特許第2787254号公報
【特許文献2】特開2000−102362号公報
【特許文献3】特開2002−356432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のヒアルロン酸吸収用食品は、これまでの研究により優れた抗腫瘍効果を発揮することが判明している。本発明は、ヒアルロン酸吸収用食品に存する抗腫瘍効果をさらに強化するべくなされたものであり、その目的は健康維持機能に優れた健康飲料を提供し、併せて優れた抗腫瘍作用を発揮する経口用抗腫瘍剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載したように、飲用のアルコール水溶液に、ヒアルロン酸とペプタイドを混合してなる健康飲料を提供する。なお、前記ペプタイドは蛋白質を加水分解して体内吸収性を高めた物質として把握される。
また、請求項2に記載したように、前記ヒアルロン酸とペプタイドが、鳥の鶏冠を低分子化して抽出したものである請求項1記載の健康飲料を提供する。
また、請求項3に記載したように、前記飲用のアルコール水溶液がリキュールである請求項1又は2記載の健康飲料を提供する。
また、請求項4に記載したように、請求項1乃至3の何れか一つに記載の健康飲料構成々分を有効成分とする経口用抗腫瘍剤を提供する。
【発明の効果】
【0005】
本発明の健康飲料又は経口用抗腫瘍剤によれば、ヒアルロン酸を体内の組織細胞に効果的に供給しつつ、ヒアルロン酸とペプタイドの二物質を含有する健康食品に存する抗腫瘍効果を上回る抗腫瘍効果が得られる。従って日常的に経口摂取することにより悪性腫瘍(癌)の進行を防ぐか或いは改善させ得る効果がある。
【0006】
なお、ヒアルロン酸とペプタイドの起源は特段の限定を要しないが、好ましくは鳥の鶏冠を低分子化して抽出するのがよい。鳥の鶏冠には豊富なヒアルロン酸と適度な蛋白質が含まれており、これを低分子化することでヒアルロン酸とペプタイドの理想的な組合せが簡単に得られるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明の健康飲料又は経口用抗腫瘍剤の具体的な製造方法について説明する。
【0008】
先ず、ヒアルロン酸とペプタイドの混合物の製造方法を、鳥の鶏冠を原料とする場合について次のA〜Dの工程順に説明する。
A.鳥の鶏冠は通常冷凍されているため先ずこれを解凍する。そして、解凍した鶏冠を0.1%の塩素を溶かした精製水でよく洗浄する。次に、洗浄した鶏冠をミンチ機によってミンチにする。
B.ミンチを反応釜に入れ、ここに濃度1〜2%程度の苛性ソーダを加えて15時間程度放置する。これによってミンチが十分ふやける。
C.ふやけたミンチに塩酸を加えてPH7〜8に戻し、蛋白質分解酵素たるプロテアーゼを0.5%加え、約2.5時間程度酵素分解(加水分解)した後、50メッシュのスクリーンで一次濾過をし、さらに、目詰まり防止のために濾過助剤としてセライトを1%加えて10ミクロンの濾紙で二次濾過をする。
D.前記濾過した濾液に活性炭を0.5%加えてよく撹拌する。この活性炭によって脱臭・脱色された濾液をさらに1ミクロンの濾紙で濾過して活性炭を取り除き、フリーズドライで乾燥させて粉末状に粉砕する。
【0009】
上記工程を経て作られた粉末は、鳥の鶏冠を低分子化して抽出したものであり、鶏冠中に含まれる蛋白質が低分子化したペプタイドと、数万以下の分子量に低分子化したヒアルロン酸とを含んでいる。
なお、ヒアルロン酸とペプタイドの起源となる原料は、鳥の鶏冠以外に動物の眼球や大動脈等の内臓などでもよい。また、ヒアルロン酸とペプタイドは互いに異なる原料から製造したものであってもよい。また、加水分解の手段も特に限定する必要はなく、蛋白質分解酵素による酵素分解以外にもアルカリ加水分解などでもよい。
【0010】
次に、上記のヒアルロン酸とペプタイドとを含んだ粉末を飲用のアルコール水溶液に混合する。アルコール水溶液は、例えば酒税法上の酒類等、飲用を目的とするものなら何でもよいが、継続的に経口摂取することを考慮し、例えば濃度15%程度のエタノール水溶液がよく、実用的にはリキュール類が好適である。
この飲用のアルコール水溶液5mlに対し、約1000mgの割合で前記粉末を加えて撹拌すれば、健康飲料又は経口用抗腫瘍剤ができる。
また、以上のようにして製造した健康飲料又は経口用抗腫瘍剤にビタミン等他の成分を加えるようにしてもよい。
【0011】
以上の健康飲料又は経口用抗腫瘍剤は、通常のアルコール飲料と同じように飲用してもよいが、食前酒として毎日少量(7ml〜15ml程度)ずつ継続的に摂取するのが効果的である。
【実施例1】
【0012】
[抗腫瘍実験]
本発明の健康飲料(又は経口用抗腫瘍剤)の抗腫瘍効果を確認するため、以下のような実験を行った。なお、ヒアルロン酸とペプタイドの抽出方法は上記のとおりである(こうして製造した粉末を本実験において鶏冠抽出物という。)。
・実験動物:ICRマウス 雄性(日本エスエルシー株式会社)
・癌 細 胞:サルコーマ(Sarcoma)180癌(大日本住友製薬株式会社)
・試 料:ローデント ラボ ダイエット(日本エスエルシー株式会社)
上記雄性ICRマウスを5週令で購入し、1週間予備飼育後、固形腫瘍細胞サルコーマ180(2×106cells/head)を右下腹部皮下に移植した。そして、移植後2週間、腫瘍が根付くのを待ってから下記(1)〜(4)に群分けをし、各項に記載した検液をゾンデを使って一日に一回経口投与した。投与量は体重1kg当たり5mlの割合である。投与開始から2、3日に1回定期的に腫瘍面積、体重、食餌量を測定した。腫瘍面積はノギスにより長径と短径を計測し、その積で求めた。投与開始から28日目に腫瘍を摘出し、腫瘍重量を計測した。
(1) 対照群
生理食塩水
(2) アルコール群
15%エタノール水溶液
(3) 鶏冠抽出物群
5mlの生理食塩水に1000mgの割合で鶏冠抽出物を混合したもの
(4) 本発明品群
5mlの15%エタノール水溶液に鶏冠抽出物1000mgの割合で混合したもの
【0013】
以上の実験結果を図1,図2に示す。この実験結果から明らかなように本発明の健康飲料(又は経口用抗腫瘍剤)は、飲用のアルコール水溶液の摂取と、鶏冠抽出物の摂取で得られる抗腫瘍効果が相乗的に作用して、より大きな抗腫瘍効果を発揮する。
また、本発明の健康飲料(又は経口用抗腫瘍剤)は、腫瘍に直接投与することなく抗腫瘍効果を発揮していることから、免疫力が増加して抗腫瘍効果を引き出していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実験結果を示すグラフである。
【図2】実験結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲用のアルコール水溶液に、ヒアルロン酸とペプタイドを混合してなることを特徴とする健康飲料。
【請求項2】
前記ヒアルロン酸とペプタイドは、鳥の鶏冠を低分子化して抽出したものであることを特徴とする請求項1記載の健康飲料。
【請求項3】
前記飲用のアルコール水溶液はリキュールであることを特徴とする請求項1又は2記載の健康飲料。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一つに記載の健康飲料構成々分を有効成分とする経口用抗腫瘍剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−46039(P2010−46039A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215143(P2008−215143)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(391056871)アダプトゲン製薬株式会社 (4)
【Fターム(参考)】