説明

側溝用ブロック

【課題】種々の曲率のカーブに無条件で適用でき、しかも敷設作業が容易な側溝用ブロックを開発する。
【解決手段】側溝用ブロックの一方の端面を平面視で凸の円弧状をなす凸端面とし、他方の端面を前記凸端面に対応して、平面視で凹の円弧状をなす凹端面とする。このブロックを連結して敷設すると、円弧状の凸端面と凹端面とが連結され、連結部で隣り合うブロックに任意の角度を付けることができるから、任意の曲率のカーブ施工を容易に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に道路の排水のため、道路に沿って又は道路を横断して敷設される側溝用ブロックで、特にカーブ施工に適したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、側溝用ブロックをカーブ施工する場合、主に3つの方法があった。その第1は、下記特許文献1に示されるように、端面が軸線に対して直角でない側溝用ブロックを連結して敷設する方法である。第2は、下記特許文献1に従来技術として示されれている、屈曲した側溝用ブロックを予め製造し、これを連結して敷設する方法である。第3は、下記特許文献2に示されるように、側溝用ブロックの連結部に柔軟なパッキンを挟み込み、両側のブロックを互いに押し付けてパッキンを変形させ、両側の側溝用ブロックに角度をつけて敷設する方法である。
【特許文献1】特開平9−32094号公報
【特許文献2】特開平10−54073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記第1及び第2の方法は、端面が軸線に対して直角でない、又は屈曲した側溝用ブロックを連結して敷設するので、所定の曲率のカーブにしか適用することができず、異なる曲率のカーブを施工する場合、それにあったブロックを製造しなければならい。したがって、多種類の曲率に対応するためには非常に多くの種類のブロックが必要となり、多くの種類の型枠を必要として、きわめてコスト高となっていた。上記第3の方法は、一定の曲率のカーブに限定されるものではないが、両側のブロックを互いに押し付けてパッキンを変形させ、隣り合う側溝用ブロックに所定の角度をつけて敷設する作業が煩雑であり、さらに、大きな曲率のカーブには適さないという問題があった。
【0004】
本発明は、種々の曲率のカーブに無条件で適用でき、しかも敷設作業が容易な側溝用ブロックを開発することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(請求項1)
本発明は、一方の端面を平面視で凸の円弧状をなす凸端面とし、他方の端面を前記凸端面に対応して、平面視で凹の円弧状をなす凹端面としたことを特徴とする側溝用ブロックである。
【0006】
(請求項2)
また本発明は、前記請求項1の側溝用ブロックにおいて、ブロック側壁内面に、一方の端部にいくに従って内法寸法幅が狭くなるような斜面を形成し、前記一方の端部側壁の肉厚を他方の端部側壁の肉厚よりも厚くしたことを特徴とする側溝用ブロックである。
【0007】
(請求項3)
また本発明は、前記請求項1又は2の側溝用ブロックにおいて、一方の端部に下部が上部よりも突出する上向き段部を形成し、他方の端部に、前記上向き段部と対応し、上部が下部よりも突出する下向き段部を形成したことを特徴とする側溝用ブロックである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の側溝用ブロックは、一方の端面が円弧状をなす凸端面、他方の端面がこれに対応する円弧状の凹端面となっているので、これを連結して敷設すると、円弧状の凸端面と凹端面とが連結され、連結部で隣り合うブロックに任意の角度を付けることができるから、任意の曲率のカーブ施工を容易に行うことができる。
【0009】
ブロック側壁内面に、一方の端部にいくに従って内法寸法幅が狭くなるような斜面を形成し、前記一方の端部側壁の肉厚を他方の端部側壁の肉厚よりも厚くすると、連結部において、隣り合うブロックの側壁の接触面積が大きくなり、大きな角度を付けてブロックを連結することができ、より大きな曲率のカーブ施工に対応できるようになる。
【0010】
一方の端部に下部が上部よりも突出する上向き段部を形成し、他方の端部に、前記上向き段部と対応し、上部が下部よりも突出する下向き段部を形成すると、ブロックを連結した場合、上向き段部の上に隣のブロックの下向き段部が支持されることとなり、ブロック連結部における隣り合うブロックの不等沈下が防止され、隣り合うブロックに段違いが生じるのを防止できる。
【実施例】
【0011】
以下、実施例を表した図面に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は実施例の側溝用ブロック1の斜視図、図2は側溝用ブロック1を敷設した側溝の平面図、図3は側溝用ブロック1の連結状態を説明する横断面図、図4は側溝用ブロック1’の連結状態を説明する横断面図、図5は実施例の側溝用ブロック10の斜視図、図6は実施例の側溝用ブロック20の斜視図、図7は実施例の側溝用ブロック30の斜視図、図8は側溝用ブロック30の平面図、図9は側溝用ブロック30の連結部の側面図である。
【0012】
図1〜3に示す側溝用ブロック1は暗渠側溝を構築するためのもので、対向する左右側壁2、2の下端を底板3で、上端を天板4で連結一体化したものである。天板には水を流入させるスリットやグレーチングなどを設けることもできる。ブロック1の一方の端面は、平面視で凸の円弧をなす凸端面5となっており、他方の端面は凸端面5に対応して、平面視で凹の円弧をなす凹端面6となっている。凸端面5と凹端面6の曲率半径は同じである。図2は、複数のブロック1を敷設してカーブ施工を行った側溝である。凸端面5と凹端面6とは、自由な角度をつけて連結することができるので、任意の曲率のカーブ施工を行うことができる。
【0013】
ブロック1の内面には、一方の端部(凸端面5側の端部)にいくに従って内法寸法幅が狭くなるような斜面7を形成し、前記一方の端部側壁の肉厚を他方の端部側壁の肉厚よりも厚くなるようにしている。これにより、ブロック1の連結部(図3のA部分)において、大きな角度を付けてブロックを連結した場合でも、隣り合うブロックの側壁2の接触面積を充分大きくすることができる。図4は斜面7を有しない、側壁2の肉厚が均等なブロック1’を連結した場合である。ブロック1’の連結部(図4のA部分)において、図3と比較すると、隣り合うブロックの側壁2の接触面積が小さく、さらに大きな角度をつけてブロックを連結することができない状態である。図3において、矢印は水流の方向を示している。このように、側壁2の肉厚の厚い方を下流側に向けて敷設するのが、水流に乱流を生じず好ましい。斜面7は、図3の上流側のブロックに一点鎖線で示すように、ブロックの全長に亘って形成することもできる。
【0014】
図5の側溝用ブロック10は、いわゆる可変勾配形の側溝を構築するためのもので、対向する左右側壁11、11の上端を天板12で連結一体化したものである。天板には水を流入させるスリットやグレーチングなどを設けることもできる。ブロック10の一方の端面は、平面視で凸の円弧をなす凸端面13となっており、他方の端面は凸端面13に対応して、平面視で凹の円弧をなす凹端面14となっている。凸端面13と凹端面14の曲率半径は同じである。側壁11、11の内面に斜面15が設けられているのは前記の側溝用ブロック1と同様である。この側溝用ブロック10も、前記側溝用ブロック1と同様に、任意の曲率のカーブ施工を行うことができる。
【0015】
図6のブロック20は、いわゆるU字溝で、対向する左右側壁21、21の下端を底板22で連結一体化されたものである。通常、上部の開口は蓋(図示せず)で閉塞される。ブロック20の一方の端面は、平面視で凸の円弧をなす凸端面23となっており、他方の端面は凸端面23に対応して、平面視で凹の円弧をなす凹端面24となっている。凸端面23と凹端面24の曲率半径は同じである。側壁21、21の内面に斜面25が設けられているのは前記の側溝用ブロック1と同様である。この側溝用ブロック20も、前記側溝用ブロック1と同様に、任意の曲率のカーブ施工を行うことができる。
【0016】
図7のブロック30は、前記ブロック1と同様に暗渠側溝を構築するためのもので、対向する左右側壁31、31の下端を底板32で、上端を天板33で連結一体化したものである。天板には水を流入させるスリットやグレーチングなどを設けることもできる。一方の端部(凹端面35側の端部)に下部が上部よりも突出する上向き段部37を形成し、他方の端部(凸端面34側の端部)に、前記上向き段部37と対応し、上部が下部よりも突出する下向き段部38を形成している。上向き段部37と下向き段部38をどの高さに設けるかは任意であるが、上向き段部37と下向き段部38の高さは、同じか、製造誤差を考慮して下向き段部38を上向き段部37よりもやや高い位置(1〜2mm程度)に形成することが望ましい。ブロック30の一方の端面は、平面視で凸の円弧をなす凸端面34(上部)、34’(下部)となっており、他方の端面は凸端面34、34’に対応して、平面視で凹の円弧をなす凹端面35(上部)、35’(下部)となっている。図8に示すように、凸端面34(上部)と、34’(下部)の中心O1は共通で、凹端面35(上部)と、35’(下部)の中心O2も共通であり、凸端面34(上部)と凹端面35(上部)の半径(r)は等しく、凸端面34’(下部)と凹端面35’(下部)の半径(r’)も等しくなっている。側壁31、31の内面に斜面36が設けられているのは前記の側溝用ブロック1と同様である。この側溝用ブロック30も、前記側溝用ブロック1と同様に、任意の曲率のカーブ施工を行うことができる。図9に示すように、ブロック30を連結した場合、上向き段部37の上に隣のブロックの下向き段部38が支持されることとなり、ブロック連結部における隣り合うブロックの不等沈下が防止され、隣り合うブロックに段違いが生じるのが防止される。本実施例においては、凹端面35側に上向き段部37、凸端面34側に下向き段部38を形成したが、その逆であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例の側溝用ブロック1の斜視図である。
【図2】側溝用ブロック1を敷設した側溝の平面図である。
【図3】側溝用ブロック1の連結状態を説明する横断面図である。
【図4】ブ側溝用ロック1’の連結状態を説明する横断面図である。
【図5】実施例の側溝用ブロック10の斜視図でる。
【図6】実施例の側溝用ブロック20の斜視図である。
【図7】実施例の側溝用ブロック30の斜視図である。
【図8】側溝用ブロック30の平面図である。
【図9】側溝用ブロック30の連結部の側面図である。
【符号の説明】
【0018】
1側溝用ブロック
2 側壁
3 底板
4 天板
5 凸端面
6 凹端面
7 斜面
10 側溝用ブロック
11 側壁
12 天板
13 凸端面
14 凹端面
15 斜面
20 側溝用ブロック
21 側壁
22 底板
23 凸端面
24 凹端面
25 斜面
30 側溝用ブロック
31 側壁
32 底板
33 天板
34 凸端面
35 凹端面
36 斜面
37 上向き段部
38 下向き段部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端面を平面視で凸の円弧状をなす凸端面とし、他方の端面を前記凸端面に対応して、平面視で凹の円弧状をなす凹端面としたことを特徴とする側溝用ブロック。
【請求項2】
請求項1の側溝用ブロックにおいて、ブロック側壁内面に、一方の端部にいくに従って内法寸法幅が狭くなるような斜面を形成し、前記一方の端部側壁の肉厚を他方の端部側壁の肉厚よりも厚くしたことを特徴とする側溝用ブロック。
【請求項3】
請求項1又は2の側溝用ブロックにおいて、一方の端部に下部が上部よりも突出する上向き段部を形成し、他方の端部に、前記上向き段部と対応し、上部が下部よりも突出する下向き段部を形成したことを特徴とする側溝用ブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−38387(P2008−38387A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−211227(P2006−211227)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(398059563)株式会社トウブ (12)
【出願人】(593059429)トヨタ工機株式会社 (10)
【Fターム(参考)】