説明

側溝用ブロック

【課題】蓋部材のガタつきやズレ動きが少なく、且つ、優れた集水機能を有する側溝用ブロックを提供する。
【解決手段】U字状の排水流路11を有し、対向する側壁21,22の内面21a,22aにそれぞれ長手方向に沿って突設された蓋受け部23,24を有する本体部材20と、上面開口部30内に嵌め込まれる蓋部材40と、からなる側溝用ブロック10において、蓋部材40を本体部材20の上面開口部30内に嵌め込んだとき蓋部材40と蓋受け部23,24とが対向する領域に形成された凹凸嵌合構造(凸部41と凹部25など)と、本体部材20の側壁21,22の上面21b,22bの排水流路11側に形成された湾状開口部13などと、湾状開口部13などと連通した状態で側壁21,22の内面21a,22a及び蓋受け部23,24に形成された通水溝15などと、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装道路の側方部分に沿って設けられる側溝を構築するために使用される側溝用ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
側溝用ブロックに関しては、従来、多種多様の構造、機能を有するものが開発されているが、本願発明に関連するものとして、蓋部材のずれ動きやがたつき音の発生を防止する機能を有するもの(例えば、特許文献1,2参照。)あるいは側溝上面における集水効率の向上を図るもの(例えば、特許文献3参照。)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−215794号公報
【特許文献2】特開2000−265534号公報
【特許文献3】特開2005−90142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の「コンクリート製側溝」及び特許文献2記載の「蓋板を備えたコンクリートブロック」は、側溝の上面を閉塞する蓋体のガタつきやズレ動きを抑制することができる点においては優れているが、道路面に降った雨水を側溝内に集めて排水する集水機能が不十分である。
【0005】
一方、特許文献3記載の「側溝用ブロック」は切欠きを有する蓋部分の集水機能は良好であるが、暗渠部の上面(上壁の上面)部分の集水機能が不十分である。また、蓋のガタつきが発生する可能性もある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、蓋部材のガタつきやズレ動きが少なく、且つ、優れた集水機能を有する側溝用ブロックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の側溝用ブロックは、垂直断面がU字状の排水流路を有し、対向する側壁内面にそれぞれ長手方向に沿って突設された棚状の蓋受け部を有する本体部材と、前記本体部材の上面開口部を閉塞するため前記蓋受け部に載置された状態で前記上面開口部内に嵌め込まれる蓋部材と、からなる側溝用ブロックにおいて、
前記蓋部材を前記本体部材の上面開口部内に嵌め込んだとき前記蓋部材と前記蓋受け部とが対向する領域の前記蓋部材及び前記蓋受け部に形成された凹凸嵌合構造と、
前記本体部材の側壁上面の前記排水流路側に形成された湾状開口部と、前記湾状開口部に流入する雨水を前記排水流路内へ導入するため前記湾状開口部と連通した状態で前記側壁内面及び前記蓋受け部に形成された通水溝と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
ここで、凹凸嵌合構造とは、蓋部材に形成された凸部(若しくは凹部)と、蓋受け部に形成された凹部(若しくは凸部)と、を互いに嵌合させたとき、凹凸方向と交差する方向に動かないように互い拘束された状態に係止される構造をいう。
【0009】
このような構成とすれば、蓋部材を本体部材の上面開口部内に嵌め込んだとき、前記凹凸嵌合構造によって蓋部材が蓋受け部に拘束された状態となるため、蓋部材のガタつきやズレ動きを防止することができる。また、蓋部材の上面などに降った雨水は、本体部材の側壁上面の湾状開口部に流入した後、通水溝に沿って速やかに流下し、排水流路内へ流れ込むため、優れた集水機能を発揮する。
【0010】
ここで、前記凹凸嵌合構造を構成する凹部を、前記蓋受け部の前記通水溝を含む領域に設けることが望ましい。このような構成とすれば、通水孔に流れ込んだ雨水の一部が凹部を経由して排水流路内へ流下することも可能となるので、集水機能の向上に有効である。
【0011】
また、前記側溝本体の側壁外面に開口し、前記通水溝に連通する集水孔を設けることが望ましい。このような構成とすれば、側溝本体の側壁外面と密着した状態で形成される道路舗装部分(透水性舗装)に浸透した雨水を、前記集水孔を経由して前記通水溝へ流入させ排水流路へ流し込むことが可能となるので、集水機能がさらに向上する。
【0012】
一方、前記集水孔に着脱可能なフィルタ若しくは閉塞部材を取り付けることもできる。このような構成とすれば、集水孔にフィルタを取り付けることにより、集水孔を通過する雨水中に含まれる土砂などの固形物が排水流路へ流れ込むのを防止することができ、また、前記集水孔に閉塞部材を取り付けることにより、集水孔の集水機能を停止することができるので、側溝の設置現場に適した施工を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、蓋部材のガタつきやズレ動きが少なく、且つ、優れた集水機能を有する側溝用ブロックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態である側溝用ブロックを示す斜視図である。
【図2】図1に示す側溝用ブロックの一部省略分解斜視図である。
【図3】図1に示す側溝用ブロックの一部省略分解斜視図である。
【図4】図1に示す側溝用ブロックを構成する蓋部材を裏返し状態で示す斜視図である。
【図5】図2の一部拡大図である。
【図6】図3の一部拡大図である
【図7】図1に示す側溝用ブロックの施工状態を示す垂直断面図である。
【図8】図1に示す側溝用ブロックの他の施工状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜図4に示すように、本発明の実施形態である側溝用ブロック10は、垂直断面がU字状の排水流路を有し、対向する左右の側壁21,22の内面21a,22aにそれぞれ長手方向に沿って突設された左右一対の棚状の蓋受け部23,24を有する本体部材20と、本体部材20の上面開口部30を閉塞するため蓋受け部23,24に載置された状態で上面開口部30内に嵌め込まれる複数の蓋部材40と、からなる。
【0016】
蓋部材40を本体部材20の上面開口部30内に嵌め込んだとき、蓋部材40と蓋受け部23,24とが対向する領域の蓋部材40及び蓋受け部23,24に、凹凸嵌合構造として、蓋部材40下面の一対の凸部41と、蓋受け部23,24上面の複数の凹部25,26とが設けられている。凸部41は、蓋部材40下面の両側縁に沿って、その長手方向40Lの中央部分に突設されている。複数の凹部25,26は、蓋受け部23,24上面に、それぞれの長手方向に沿って蓋部材40の配置間隔と同じ間隔に設けられている。
【0017】
蓋部材40を本体部材20の上面開口部30内に嵌め込んだとき、蓋部材40の凸部41がそれぞれ蓋受け部23,24の凹部25,26に隙間なく嵌入するように、凸部41の長手方向のサイズは、蓋受け部23,24の凹部25,26の長手方向のサイズより、僅かに小さく設定されている。蓋部材40の長手方向に離れた端面の片方には、蓋部材40の厚さ方向に連続する切り欠き溝42が形成されている。本体部材20の側壁21,22の長手方向に離れた端面には、それぞれピン状の連結部材(図示せず)を嵌入させるためのピン穴12が設けられている。
【0018】
また、本体部材20の側壁21,22の上面21b,22bの排水流路11側の一部にはそれぞれ複数の湾状開口部13,14が設けられるとともに、湾状開口部13,14に流入する雨水を排水流路11内へ導入するため湾状開口部13,14と連通した状態で側壁21,22の内面21a,22a及び蓋受け部23,24に通水溝15,16が設けられている。前記凹凸嵌合構造を構成する蓋受け部23,24の凹部25,26の長手方向のサイズはそれぞれ通水溝15,16の溝幅(本体部材20の長手方向20Lの溝幅)より大であるため、通水溝15,16は凹部25,26に含まれた領域に位置する。
【0019】
また、図5,図6に示すように、側溝本体20の片方の側壁22の外面22cに開口し、複数の通水溝16にそれぞれ連通する集水孔28が設けられている。複数の集水孔28の側壁22の外面22c位置には、それぞれフィルタ31が着脱可能に取り付けられている。フィルタ31は、複数のスリット31sが開設された平板材で形成されている。
【0020】
図1,図7に示すように、側溝用ブロック10においては、複数の蓋部材40を本体部材20の上面開口部30(図2参照)内に嵌め込んだとき、本体部材20の蓋受け部23,24の凹部25,26に蓋部材40の凸部41が嵌入して形成される凹凸嵌合構造によって蓋部材40が蓋受け部23,24に拘束された状態となるため、蓋部材40のガタつきやズレ動きを防止することができる。
【0021】
図1に示す側溝用ブロック10を施工した場合、蓋部材40の上面などに降った雨水は、蓋部材40端面の切り欠き溝42を通過して排水流路11内に流れ込むだけでなく、図5〜図7に示すように、本体部材20の側壁21,22の上面21b,22bの湾状開口部13,14に流入した後、通水溝15,16に沿って速やかに流下し、排水流路11内へ流れ込むため、優れた集水機能を発揮する。
【0022】
また、図5,図6に示すように、蓋受け部23,24の凹部25,26は、それぞれ蓋受け部23,24の通水溝15,16を含む領域に設けられているため、通水孔15,16に流れ込んだ雨水の一部は凹部25,26を経由して排水流路11内へ流下することも可能であり、集水機能の向上に有効である。
【0023】
一方、図2,図5,図6に示すように、側溝本体20の側壁22の外面22cに開口し、複数の通水溝16に連通する集水孔28が設けられているため、図7に示すように、側溝本体20の側壁22の外面22cと密着した状態で形成される透水性舗装35に浸透した雨水を、集水孔28を経由して通水溝16へ流入させ、速やかに排水流路11へ流し込むことができ、優れた集水機能を発揮する。また、集水孔28にはフィルタ31が取り付けられているため、集水孔28に流れ込む雨水中に含まれる土砂などの固形物が排水流路11へ流れ込むのを防止することができる。
【0024】
フィルタ31は集水孔28に着脱可能であるため、図8に示すように、フィルタ31の代わりに、平板状の閉塞部材32を集水孔28に取り付けることにより、集水孔28の集水機能を停止することもできるので、設置現場に適した施工を行うことができる。
【0025】
なお、図1〜図8に示す側溝用ブロック10は本発明の一例を示すものであり、本発明の側溝用ブロックは、前述した側溝用ブロック10に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の側溝用ブロックは、一般道路、自動車道あるいは歩道などの側溝を構築するための建設資材として、広く利用することができる。
【符号の説明】
【0027】
10 側溝用ブロック
11 排水流路
12 ピン穴
13,14 湾状開口部
15,16 通水溝
20 本体部材
21,22 側壁
21a,22a 内面
21b,22b 上面
22c 外面
23,24 蓋受け部
25,26 凹部
30 上面開口部
31 フィルタ
31s スリット
32 閉塞部材
40 蓋部材
41 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直断面がU字状の排水流路を有し、対向する側壁内面にそれぞれ長手方向に沿って突設された棚状の蓋受け部を有する本体部材と、前記本体部材の上面開口部を閉塞するため前記蓋受け部に載置された状態で前記上面開口部内に嵌め込まれる蓋部材と、からなる側溝用ブロックにおいて、
前記蓋部材を前記本体部材の上面開口部内に嵌め込んだとき前記蓋部材と前記蓋受け部とが対向する領域の前記蓋部材及び前記蓋受け部に形成された凹凸嵌合構造と、
前記本体部材の側壁上面の前記排水流路側に形成された湾状開口部と、前記湾状開口部に流入する雨水を前記排水流路内へ導入するため前記湾状開口部と連通した状態で前記側壁内面及び前記蓋受け部に形成された通水溝と、を備えたことを特徴とする側溝用ブロック。
【請求項2】
前記凹凸嵌合構造を構成する凹部を、前記蓋受け部の前記通水溝を含む領域に設けた請求項1記載の側溝用ブロック。
【請求項3】
前記側溝本体の側壁外面に開口し、前記通水溝に連通する集水孔を設けた請求項1または2記載の側溝用ブロック。
【請求項4】
前記集水孔に着脱可能なフィルタ若しくは閉塞部材を取り付けた請求項1〜3のいずれかに記載の側溝用ブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−36195(P2013−36195A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171773(P2011−171773)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【特許番号】特許第5094999号(P5094999)
【特許公報発行日】平成24年12月12日(2012.12.12)
【出願人】(511192001)有限会社山本工業 (1)
【Fターム(参考)】