説明

側面衝突検出装置、乗員拘束システム、車両

【課題】 車両の側面衝突の際の衝突態様を適正に検出するのに有効な技術を提供する。
【解決手段】 車両に搭載される乗員拘束システム100は、車両ドア10aのドアアウタパネル11とドアインナパネル12とで区画される空間13に架設されるドアビーム110に検知センサ120が取り付けられる構成であり、この検知センサ120は、円環状のコイル部121を収容する当該コイル部121と同心円状のコイルハウジング122と、コイルハウジング122とドアビームとの間に介在するセンサブラケット123を有し、センサブラケット123は、コイルハウジング122の円環状の部位に沿って接合された円環状の縁部123aと、縁部123aからコイルハウジング122を挟んで検出対象物とは反対側に離間して延在する底部123bと、縁部123aと底部123bとの間に立設する立設部123cとからなる有底部分を含む構成とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の側面衝突を検出する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両事故の際の衝突発生を検出する種々の車両衝突センサが知られている。例えば、下記特許文献1には、車両の側面衝突の際に作動するGセンサや接触センサによって、側面衝突を検出するシステムが開示されている。
ところで、車両事故の際、エアバッグモジュールなどの乗員拘束システムによって車両乗員を拘束するこの種のシステムにおいては、乗員拘束性向上を図るべく車両衝突発生を適正に検出することが可能な高度な検出技術が望まれている。
【特許文献1】特開平7−172262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、車両の側面衝突の際の衝突態様を適正に検出するのに有効な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するために、本発明が構成される。本発明は、典型的には自動車において発生した側面衝突に関する情報を検出する技術に対し適用することができるが、自動車以外の車両において発生した側面衝突に関する情報を検出する技術に対しても同様に、本発明を適用することが可能である。ここでいう「車両」には、自動車、航空機、船舶、電車、バス、トラック等の各種の車両が包含される。
【0005】
本発明にかかる側面衝突検出装置は、車両の側面衝突に関する情報を検出するシステムであって、検知センサ及び被取付け部を少なくとも備える。検知センサは、車両ドアのドアアウタパネルとドアインナパネルとで区画される空間において、金属製の検出対象物から離間して配設されるセンサとして構成される。ここでいう「検知センサ」は、単一の検知センサとして構成されてもよいし、或いは複数の検知センサを組み合わせた構成であってもよい。被取付け部は、車両ドアに対し検知センサが取り付けられる部位として構成される。この被取付け部としては、車両ドアのドアアウタパネルとドアインナパネルとで区画される空間に露出する各種の部材を用いることができ、典型的にはドアビーム或いはドアビームに類似の架設部材、ドアインナパネル自体に検知センサを取り付けることが可能である。
【0006】
特に検知センサは、円環状のコイルが検出対象物と並行して延在するコイル部と、コイル部を収容する当該コイル部と同心円状のコイルハウジングと、コイルハウジングと被取付け部との間に介在するセンサブラケットを有し、通電時にコイル部に流れる電流変化に基づいてコイル部と検出対象物との間の距離を検出する構成とされる。この場合、金属製の検出対象物は、その全部または一部が、例えば鋼、銅、アルミニウム、フェライトなどを含む、導電体ないし磁性体として構成された対向面を有する構成であるのが好ましい。また、「検出対象物と並行して延在するコイル部」という記載に関しては、検出対象物の延在面とコイル部の延在平面が平行に配設される構成や、検出対象物の延在面とコイル部の延在平面が相対的に所定の傾斜角度によって傾斜しつつ配設される構成等が広く包含される。特には、金属製の検出対象物の被検出面と、コイル部の延在平面が概ね平行となるように、検知センサを配設するのが好ましい。金属製の検出対象物の検知にコイルを用いるこのような検知センサ(「コイルセンサ」とも称呼する)は、非接触式であり、また衝撃にも強く衝撃に反応しない、環境に影響を受け難い等の特性を有することから、所望の検知精度を確保するのに有効である。
また、センサブラケットは、コイルハウジングの円環状の部位に沿って接合された円環状の縁部と、縁部からコイルハウジングを挟んで検出対象物とは反対側に離間して延在する底部と、縁部と底部との間に立設する立設部とからなる有底部分を含む構成とされる。このセンサブラケットは、縁部、底部及び立設部からなる有底部分を少なくとも備えた構成であればよく、当該有底部分に更なる別のブラケット等が取り付けられた形態も、ここでいうセンサブラケットの範疇に包含される。
【0007】
本発明にかかる側面衝突検出装置のこのような構成によれば、金属製の検出対象物に対し検知精度の高いコイルセンサにおいて、コイルハウジングの円環状の部位をセンサブラケットの縁部を介して均等に保持するとともに、その保持状態においてコイルハウジングの剛性ないし強度を維持することで、コイルセンサ本来の高い検知精度を維持することが可能となる。すなわち、円環状のコイルハウジングの剛性ないし強度をセンサブラケットを介して維持するという観点でのアプローチによって、車両の側面衝突の際の衝突態様の検出の適正化を図るという目的が達せられる。
【0008】
本発明にかかる更なる形態の側面衝突検出装置では、前記のセンサブラケットは、当該センサブラケットを補強するべく、底部の延在面からコイルハウジングの延在面と交差する方向に突出する補強用リブを有し、この補強用リブは、縁部と同心円状に形成された1または複数の同心円部を含む構成であるのが好ましい。ここでいう「同心円状」とは、円環状の縁部に対し同心円としての関係が形成されればよく、当該同心円が周方向に関し連続的に形成された円である場合のみならず、周方向に関し断続的に形成される円である場合をも包含する。このような構成によれば、センサブラケットの縁部と同心円状に形成された1または複数の同心円部を有する補強用リブによって、センサブラケット自体をより強固に補強することによって、コイルハウジングの剛性ないし強度をより高いレベルで維持することが可能となる。
【0009】
本発明にかかる更なる形態の側面衝突検出装置では、前記の補強用リブは、所定の板厚を有するとともに、コイルハウジングの延在面と交差する方向に関する同心円部の断面形状が波板状とされた構成であるのが好ましい。このような構成によれば、センサブラケットの縁部と同心円状に形成された1または複数の同心円部を有する補強用リブによって、センサブラケットを効果的に補強することが可能となるとともに、補強用リブを一定(均等或いは均一)の板厚とすることで、センサブラケットの加工が容易となる。
【0010】
本発明にかかる更なる形態の側面衝突検出装置では、前記のコイルハウジング及びセンサブラケットのうちの少なくとも一方は、コイル部から延出するハーネスを保持するハーネス保持機構を有する構成であるのが好ましい。このような構成によれば、ハーネスをビームブラケット側或いはセンサブラケット側に確実に保持することで、ハーネス保持部材を新たに用いることなく、ハーネスの弛み等を防止することが可能となる。すなわち、ハーネスをビームブラケット側或いはセンサブラケット側に確実に保持して適正に配置するという観点でのアプローチによって、車両の側面衝突の際の衝突態様の検出の適正化を図るという目的が達せられる。また、ビームブラケットやセンサブラケットに対し、本来の機能以外のハーネス保持機構を付与した合理的な構成を実現することが可能となる。
【0011】
本発明にかかる更なる形態の側面衝突検出装置では、前記の検知センサは、当該検知センサによる検出対象物の検知に障害を及ぼす障害物を回避する位置に配設された構成であるのが好ましい。なお、ここでいう「検出対象物の検知に障害を及ぼす障害物」には、車両衝突時の車両ドアの変形によって検知センサに対し物理的に干渉するおそれのある物理的障害物、例えばドアウインドウや、検知センサによる検出対象物の検知に電気的に影響を及ぼすそれのある電気的障害物、例えばスピーカー、ハーネス、アンテナ(無線送受信手段)、モータ、ソレノイド等が広く包含される。また、ここでいう「障害物の回避」に関しては、検知センサに対し物理的に干渉するおそれのある物理的障害物から当該検知センサを離間させて配置する態様、検知センサが電気的障害物から電気的影響を受けない位置或いは電気的影響が予め設定された基準値を下回る位置に、当該検知センサを配置する態様等を採用することが可能である。このような構成によれば、検知センサが物理的障害物に干渉したり、電気的障害物から電気的影響を受けるのを抑えることができ、以って検知センサの適正な作動や検知を確保することが可能となる。すなわち、検知センサが物理的障害物や電気的障害物から影響を受けるのを防止するという観点でのアプローチによって、車両の側面衝突の際の衝突態様の検出の適正化を図るという目的が達せられる。
【0012】
本発明にかかる更なる形態の側面衝突検出装置では、前記の検知センサにおいて検知された情報に基づいて、車両の側面衝突態様を判定する判定装置を更に備える構成であるのが好ましい。典型的には、この判定装置によって、発生した側面衝突が車両乗員を即座に拘束する必要性が高い衝突、或いは車両乗員を即座に拘束する必要性が低いないし必要性の無い軽微な衝突であることや、発生した側面衝突が路上ないし路側物体に関する衝突であるか、或いは路上ないし路側物体に関する衝突以外の衝突であること等が判定される。この判定装置によって判定された、車両の側面衝突態様に関する情報は、車両の側面衝突の際に車両乗員の拘束を行うべく作動するエアバッグモジュールやシートベルト装置などの乗員拘束装置の制御、車両側面衝突の報知などを行うべく表示出力や音声出力を行う報知装置の制御、またその他の制御対象の制御に適宜用いられる。このような構成によれば、検知センサにおいて検知された適正な検知情報に基づいて、車両の側面衝突態様を判定することが可能となる。
【0013】
本発明にかかる乗員拘束装置は、前記の側面衝突検出装置、乗員拘束装置及び制御装置を少なくとも備える。
乗員拘束装置は、車両の衝突の際に車両乗員を拘束するべく作動する手段として構成される。ここでいう「乗員拘束装置」には、エアバッグ装置(エアバッグモジュール)やシートベルト装置などの乗員拘束デバイスが包含される。この場合、乗員拘束装置としてエアバッグ装置を用いる場合には、エアバッグがシート、ピラー、上部ルーフレールなどに収容される形態のエアバッグ装置を採用することができる。
制御装置は、側面衝突検出装置の判定装置にて判定された情報、すなわち車両の側面衝突の際の衝突態様に基づいて、乗員拘束装置を制御する機能を少なくとも有する装置として構成される。典型的には、発生した側面衝突が車両乗員を即座に拘束する必要性が高い衝突であると判定装置が判定した場合に、エアバッグ装置やシートベルト装置に制御信号が出力される構成を採用し得る。また、設定領域の変位情報に基づいて、側面衝突発生時における衝突エネルギーを推定し、エアバッグ装置やシートベルト装置における乗員拘束態様を可変とする構成を採用することも可能である。なお、この制御装置は、当該乗員拘束装置の制御専用として構成されてもよいし、或いは車両のエンジン走行系統や電装系統を駆動制御する手段と兼用とされた構成であってもよい。このような構成の側面衝突検出装置によれば、側面衝突検出装置の判定装置にて判定された適正な情報を用いて乗員拘束装置が制御されることとなり、これによって車両乗員の拘束徹底が図られる。
【0014】
本発明にかかる車両は、エンジン走行系統、電装系統、駆動制御装置、車両ドア、センサ装置、制御信号出力装置を少なくとも備える車両とされる。エンジン走行系統は、エンジン及び車両の走行に関与する系統として構成される。電装系統は、車両に使われる電機部品に関与する系統として構成される。駆動制御装置は、エンジン走行系統及び電装系統の駆動制御を行う機能を有する装置として構成される。車両ドアは、車両側面衝突により変位する乗員乗降用のドアとして構成される。センサ装置は、車両ドアの変位に関する情報を導出する機能を有する装置として構成される。このセンサ装置が、前記の側面衝突検出装置によって構成される。制御信号出力装置は、センサ装置にて導出された情報に基づいて、制御対象に制御信号を出力する機能を有する装置として構成される。ここでいう「制御対象」には、車両の側面衝突の際に車両乗員の拘束を行うべく作動するエアバッグモジュールやシートベルト装置などの乗員拘束装置、車両側面衝突の報知などを行うべく表示出力や音声出力を行う報知装置などの制御対象が包含される。この制御信号出力装置は、制御対象の制御の専用に設けられてもよいし、エンジン走行系統及び電装系統の駆動制御を行う駆動制御装置と兼用とされてもよい。このような構成によれば、側面衝突検出装置の判定装置にて判定された適正な情報を、車両に関する種々の制御対象の制御に用いる車両が提供されることとなる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、車両ドアのドアアウタパネルとドアインナパネルとで区画される空間において、金属製の検出対象物から離間して配設されるコイル式の検知センサを備える側面衝突検出装置において、特に検知センサのコイルハウジングと被取付け部との間に介在するセンサブラケットの構成に関し、コイルハウジングの円環状の部位に沿って接合された円環状の縁部と、縁部からコイルハウジングを挟んで記検出対象物とは反対側に離間して延在する底部と、縁部と前記底部との間に立設する立設部とからなる有底部分を含む構成を採用することによって、コイルハウジングの円環状の部位をセンサブラケットの縁部を介して均等に保持するとともに、その保持状態においてコイルハウジングの剛性ないし強度を維持することができ、以って車両の側面衝突の際の衝突態様の検出の適正化を図ることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図1〜図4を参照しながら本発明における「乗員拘束システム」の一実施の形態である乗員拘束システム100について説明する。本実施の形態では、乗員拘束を行う乗員拘束システムとして、事故発生の際に乗員拘束領域への展開膨張が可能なエアバッグを用いたエアバッグモジュールを採用している。なお、図1に示す形態では、車両室内の右側の車両シート上の車両乗員(運転者)に対し使用されるエアバッグモジュールを記載しているが、本実施の形態のこの乗員拘束システムは、運転席、助手席、後部座席等に対応して設置されるエアバッグモジュールに対しても同様に適用可能である。
【0017】
本実施の形態の乗員拘束システム100が、車両乗員Cが乗車する車両10に搭載された様子が図1に模式的に示される。詳細については後述するが、本実施の形態では、乗員拘束システム100を構成する検知センサ120が、車両乗員Cが乗降する際に開閉される乗員乗降用の車両ドア10aに装着されている。
【0018】
本発明における「車両」としての車両10には、当該車両を構成する多数の車両構成部材、エンジン及び車両の走行に関与する系統であるエンジン走行系統、車両に使われる電機部品に関与する系統である電装系統、エンジン走行系統及び電装系統の駆動制御を行う駆動制御手段等を備える。特に本実施の形態では、この車両10に乗員拘束システム100が搭載されている。
【0019】
図1に示すように、この乗員拘束システム100は、車両10の側面衝突事故の際、車両10の側面衝突に関する情報に基づいて、車両乗員Cを速やかに拘束する制御を行なうシステムとして構成されており、検知センサ120、導出装置150、判定装置160及びエアバッグモジュール170を少なくとも備える。また、この乗員拘束システム100うちの検知センサ120、導出装置150及び判定装置160によって、車両10の側面衝突に関する情報を検出する側面衝突検出装置が構成される。
【0020】
検知センサ120は、詳細については後述するが、車両10の側面衝突事故の際、車両10において車両乗員Cの乗降に用いる車両ドア10a側の変位に関する情報を検知するセンサ(「変位センサ」とも称呼する)として構成されている。この検知センサ120によって検知された変位情報は、導出装置150に伝送される。なお、検知センサ120に加えて、車両側面衝突に関する情報を検出する更なる別のセンサを、車両ドア、リム、ピラー等の車体側部材に適宜搭載することも可能である。ここでいう検知センサ120が、本発明における「検知センサ」、「センサ装置」に相当する。
【0021】
導出装置150は、検知センサ120から伝送された情報に基づいて、車両ドア10aの車両内方への変位情報を導出する装置として構成されている。この導出装置150によって導出された変位情報は、判定装置160に伝送される。なお、この導出装置150による導出機能は、検知センサ120の一機能として構成されてもよいし、或いは検知センサ120とは別の機能として構成されてもよい。
【0022】
判定装置160は、導出装置150から伝送された情報に基づいて、車両10の側面衝突態様を判定するとともに、この判定に基づいてエアバッグモジュール170を制御する装置として構成されている。具体的には、この判定装置160は、CPU(演算処理装置)、入出力装置、記憶装置、駆動装置、周辺装置等を含む構成とされる。この判定装置160は、典型的には、車両10のエンジン走行系統や電装系統の制御を行なう駆動制御装置としての制御ユニット(ECU)の全部または一部として構成され得る。また、この判定装置160において、車両10の側面衝突態様を判定する手段と、エアバッグモジュール170に対し制御信号を出力する手段を、それぞれ別個の手段として構成することもできる。ここでいう判定装置160が、本発明における「判定装置」、「制御装置」、「制御信号出力装置」を構成している。
【0023】
エアバッグモジュール170は、特に図示しないものの、エアバッグ及びガス供給装置を少なくとも備える。当該エアバッグは、膨張及び収縮が可能であり、車両10の事故発生を検知したときに、ガス供給装置からのガス供給によって乗員拘束領域に展開膨張する構成とされる。これにより、車両事故の際、エアバッグモジュール170を介して車両乗員Cを拘束する制御が可能となる。このエアバッグモジュール170が、本発明における「乗員拘束装置」、「制御対象」に対応している。
【0024】
なお、この乗員拘束システム100において、判定装置160からの制御信号によって制御される乗員拘束装置は、エアバッグモジュール170に代えて或いは加えて、エアバッグモジュール170とは別の乗員拘束装置を用いることが可能である。エアバッグモジュール170とは別の乗員拘束装置としては、シートベルト装置などの乗員拘束装置の制御や、車両側面衝突の報知などを行うべく表示出力や音声出力を行う報知装置の制御などに用いることもできる。
【0025】
上記検知センサ120及びその周辺部位の構成に関しては、図2及び図3が参照される。図2には、本実施の形態の検知センサ120の基本的な構造が示されており、また図3には、図2中の検知センサ120が搭載された車両ドア10aの断面構造が模式的に示されている。
【0026】
図2に示すように、本実施の形態の検知センサ120は、コイルハウジング122内にコイルが円環状に1または複数回巻かれたコイル部121を収容するコイルセンサとして構成されている。この場合、コイル部121は金属製の検出対象物と並行して延在する構成とされ、典型的には金属製の検出対象物である金属体の被検出面と、コイル部121の延在平面が概ね平行となるように、検知センサ120を配設するのが好ましい。必要に応じては、金属体の被検出面とコイル部121の延在平面が相対的に所定の傾斜角度によって傾斜するように検知センサ120を配設してもよい。そして、交流電源装置(図示省略)の駆動によって、このコイル部121のコイルに交流電流(正弦波電流)が通電され、その周辺の金属体(導電体ないし磁性体)に交流磁場が与えられると、電磁誘導の法則によって金属体に渦電流が発生する。この渦電流によっても磁界を生じ、その磁界の一部がコイルにも錯交する。結局、コイルには、交流電源装置で流した電流による磁束に、金属体に流れた渦電流による磁束が加算され、これらの磁束によってコイル部121のコイルに誘起電圧が発生することとなる。
【0027】
検知センサ120は、このときにコイルに流れる電流の変化に基づいて、金属体との間の距離を検出することが可能となる。この場合の金属体は、コイルセンサの検出対象物であり、例えば鋼、アルミニウム、フェライトなどを含む、導電体ないし磁性体として構成される。特に、アルミニウムは導電性が高く、コイルセンサによって大きな渦電流が流れるため、アルミニウムを含む金属を用いて金属体を構成することによって、検知感度を向上させるのに有利である。また、初期状態における金属体との間の距離が例えば40mm程度である場合には、直径が80mm以上のコイル部121を採用することによって、検知感度を高めることが可能となる。金属製の検出対象物の検知にコイルを用いるこのような検知センサ(コイルセンサ)は、非接触式であり、また衝撃にも強く衝撃に反応しない、環境に影響を受け難い等の特性を有することから、所望の検知精度を確保するのに有効である。
【0028】
図3に示すように、車両ドア10aは、ドアヒンジ16を介して車両本体(「車両ボデー」ないし」「車両ボディー」とも称呼する)17に連結されており、車両の外側壁を形成するドアアウタパネル11、車両の内側壁を形成するドアインナパネル12を備える。この車両ドア10aは、車両10のAピラーとBピラーとの間に設置される前席ドアとして構成されてもよいし、或いはBピラーとCピラーとの間に設置される後席ドアとして構成されてもよい。これらドアアウタパネル11及びドアインナパネル12によって区画される空間13には、金属製のドアビーム110が設置されている。ここでいうドアアウタパネル11、ドアインナパネル12及び空間13が、それぞれ本発明における「ドアアウタパネル」、「ドアインナパネル」及び「空間」に対応している。
【0029】
ドアビーム110は、車両前後方向に長尺状に延在する筒状、棒状ないし柱状の部材であり、一端が車両前方側ブラケット14を介して車両本体17に固定される一方、他端が車両後方側ブラケット15を介して車両本体17に固定される。すなわち、このドアビーム110は、ブラケット14,15に対応する両端を固定端として、車両前後方向に関しドア前端部(車両前方側ブラケット14)とドア後端部(車両後方側ブラケット15)との間に長尺状に架設されている。
【0030】
このドアビーム110の各部位のうち、ドアインナパネル12側の対向面130に向かう所定の設定領域に、前記構成の検知センサ120が取り付けられる。なお、検知センサ120が取り付けられるこの設定領域は、ドアビーム110側に設けることができ、ドアビーム110自体に設定されてもよいし、或いはドアビーム110に止着された別の部材において設定されてもよい。或いは、ドアインナパネル12側に前記構成の検知センサ120が装着される構成を採用することもできる。この場合には、ドアビーム110自体、或いはドアビーム110に止着された別の部材に、対向面130と同様の対向面を設けるのが好ましい。ここでいう、検知センサ120が取り付けられるドアビーム110やドアインナパネル12が、本発明における「車両ドアに対し検知センサが取り付けられる被取付け部」に相当する。
【0031】
上記構成の乗員拘束システム100の作用に関しては図4が参照される。図4には、本実施の形態の乗員拘束システム100において、車両ドア10aのポールPに対する側面衝突時における断面構造が模式的に示されている。
【0032】
いま、電柱等のポールPに対し車両10が側面衝突し、図4中に示す車両ドア10aのドアアウタパネル11が側方(図4中の下方)から衝撃を受け、車両内方(図4中の上方)へと変位(「変形」ないし「移動」ともいう)する場合について考える。この場合、ドアアウタパネル11は、ポールPとの側面衝突によって、例えば図4に示すような二点鎖線位置から実線位置へと変位し、これに伴ってドアアウタパネル11を介して押圧されたドアビーム110が車両内方へと撓み動作する。ドアビーム110のこの撓み動作の際、検知センサ120はドアインナパネル12側の対向面130に近接しつつ車両内方へと変位する。これにより、検知センサ120を構成するコイル部121によって、前述のような金属体として構成されるドアインナパネル12側の対向面130との間の変位が検知される。具体的には、検知センサ120のコイル部121に流れる電流の変化に基づいて、検知センサ120と対向面130との間の移動距離(変位量)が導出装置150によって連続的に検知される。これにより、判定装置160が車両10の側面衝突態様を判定することによって、エアバッグモジュール170が作動し、乗員拘束領域に展開膨張したエアバッグを介して車両乗員Cが拘束されることとなる。
【0033】
上記検知センサ120の更なる具体的な構成に関しては、図5〜図8が参照される。ここで、図5には、本実施の形態の検知センサ120の斜視図が示され、図6には、図5中の検知センサ120を構成するコイルハウジング122の斜視図が示される。
【0034】
図5及び図6に示すように、本実施の形態の検知センサ120は、樹脂製のコイルハウジング122に対し、更に別体に構成された樹脂製のセンサブラケット123が取り付けられることによって、コイルハウジング122及びセンサブラケット123が一体状とされるように構成されている。この場合、検知センサ120は、概ねコイルハウジング122及びセンサブラケット123からなる2ピース構造とされる。なお、センサブラケット123は、コイルハウジング122と被取付け部との間に介在するブラケット部材であって、コイルハウジング122とともに検知センサ120の一構成要素とされてもよいし、或いは検知センサ120を被取付け部に取り付けるべく、検知センサ120とは別部材の構成要素として構成されてもよい。
【0035】
コイルハウジング122は、コイル部121を収容する当該コイル部121と同心円状の構成とされる。このコイルハウジング122の縁部には、車両側のハーネスコネクタを接続可能なコネクタ部122aが設けられている。このコネクタ部122aに車両側のハーネスコネクタが接続されることによって、コイル部121にて検知された情報が車両側のハーネスコネクタ及びハーネスを通じて導出装置150へと伝送される。ここでいうコイル部121及びコイルハウジング122が、それぞれ本発明における「コイル部」及び「コイルハウジング」に相当する。
【0036】
一方、センサブラケット123は、コイルハウジング122の円環状の部位に沿った円環状の縁部123aと、コイルハウジング122の延在面に対し平行状に延在する延在面を有する底部123bと、縁部123aと底部123bとの間に立設する立設部123cとからなる有底部材ないし有底筒状部材であり、縁部123aにおいてコイルハウジング122に接合された構成になっている。ここでいうセンサブラケット123、縁部123a、底部123b及び立設部123cが、それぞれ本発明における「センサブラケット」、「縁部」、「底部」及び「立設部」に相当する。
【0037】
このような構成のセンサブラケット123は、金属製の検出対象物に対し検知精度の高い検知センサ120(コイルセンサ)において、コイルハウジング122の円環状の部位を当該センサブラケット123の縁部123aを介して均等に保持するとともに、その保持状態においてコイルハウジング122の剛性ないし強度を維持することで、コイルセンサ本来の高い検知精度を維持することが可能となる。すなわち、円環状のコイルハウジング122の剛性ないし強度を、センサブラケット123を介して維持するという観点でのアプローチによって、車両10の側面衝突の際の衝突態様の検出の適正化を図るという目的が達せられる。
【0038】
また、センサブラケット123の底部123bには、一対のボルト孔124,124が設けられている。このボルト孔124,124は、ドアビーム110に溶接された金属製のビームブラケット140に対しセンサブラケット123を介してコイルハウジング122を取り付ける、すなわち検知センサ120を取り付けるのに用いられる。なお、センサブラケット123に対しビームブラケット140が取り付けられた形態のブラケットを、本発明における「センサブラケット」ということもできる。
【0039】
検知センサ120を構成するコイルハウジング122とセンサブラケット123との接合に関しては、典型的には一方の樹脂製パーツを他方の樹脂製パーツに対し回転させて同時に圧力を加えることにより、両樹脂パーツの間に摩擦熱を発生させて溶融、接合する溶着方法、いわゆるスピン溶着を用いるのが好ましい。コイルハウジング122とセンサブラケット123の最終的な接合状態における回転方向に関する相対位置は、検知センサ120の配置条件等を勘案したコネクタ部122aとボルト孔124,124との間の所望の位置関係に基づいて任意に設定されるのが好ましい。また、コイルハウジング122は、その表裏の両面にセンサブラケット123が接合可能とされており、必要に応じてセンサブラケット123の接合面を選択可能である。
【0040】
ここで、上記検知センサ120の取り付けに関しては、図7及び図8が参照される。図7は、本実施の形態の検知センサ120の取り付け状態を示す斜視図であり、図8は、本実施の形態の検知センサ120が取り付けられるビームブラケット140の斜視図である。
【0041】
図7に示すように、ビームブラケット140は、板状部材であって、その一端部141においてドアビーム110に溶接によって接合される一方、その他端部142が検知センサ120に対する被着部分を形成する。このビームブラケット140の他端部142には、センサブラケット123側の一対のボルト孔124,124と等間隔で形成された一対のボルト孔143,143が設けられている。ビームブラケット140側のこのボルト孔143,143と、センサブラケット123側のボルト孔124,124が互いに位置決めされた状態で、これらボルト孔に挿入された固定ボルト(図8中の固定ボルト144,144)によってボルト締めがなされることで、検知センサ120がビームブラケット140に対し取り付け固定されることとなる。
【0042】
図5に示す上記検知センサ120のセンサブラケット123の更なる構成に関しては、当該構成を明確化する上で便宜上図9が参照される。図9には、図5中の検知センサ120の部分断面構造及び平面構造が模式的に示される。
【0043】
図9に示すように、本実施のセンサブラケット123は、当該センサブラケット123を補強するべく、底部123bの延在面からコイルハウジング122の延在面と交差する方向に突出する補強用リブ125を有する構成とされる。この補強用リブ125は、センサブラケット123の縁部123aと同心円状に形成された同心円部125a,125bを含む構成になっている。一方の同心円部125aは、縁部123a側に凸の補強部分とされ、他方の同心円部125bは、縁部123aとは反対側に凸の補強部分とされる。この同心円部125bに、前記の一対のボルト孔124,124が設けられている。これら同心円部125a,125bは、その同心円がいずれの場合も周方向に関し連続的に形成された円として構成されている。また、補強用リブ125は、均一の板厚を有するとともに、コイルハウジングの延在面と交差する方向に関する補強用リブ125の断面形状が、同心円部125a,125bによって波板状とされている。ここでいう補強用リブ125及び同心円部125a,125bが、それぞれ本発明における「補強用リブ」及び「同心円部」に相当する。
【0044】
このような構成によれば、同心円部125a,125bを有する補強用リブ125によってセンサブラケット123自体をより強固に補強することによって、コイルハウジング122の剛性ないし強度をより高いレベルで維持するとともに、補強用リブ125を一定(均等或いは均一)の板厚とすることで、センサブラケット123の加工が容易となる。また、補強用リブ125の同心円部125bに一対のボルト孔124,124を設けることによって、補強用リブ125がセンサブラケット123の補強機能のみならず、ビームブラケット140との間に対する取り付け機能を果たすこととなり合理的である。
【0045】
なお、必要に応じては、補強用リブ125の同心円部125a,125bのうちのいずれか一方を省略した構成や、同心円部125a,125bの凹み部分が中実構造とされた構成、すなわち補強用リブ125の板厚が同心円部125a,125bにおいて他の部位よりも拡張された構成を採用することもできる。また、同心円部125a,125bは、その同心円が周方向に関し断続的に形成される円として構成されてもよい。
【0046】
上記構成では、検知センサ120とビームブラケット140との間の取り付け固定に際し、センサブラケット123側のボルト孔124,124と、ビームブラケット140側のボルト孔143,143との位置決めが可能な位置決め機能を設けるのが好ましい。当該位置決め機能を、図10〜図12を参照しつつ以下に説明する。
【0047】
(第1の位置決め機構)
図10には、本実施の形態の第1の位置決め機構が模式的に示される。この図10に示す第1の位置決め機構では、センサブラケット123の底部123bに引っ掛け部126が設けられている。この引っ掛け部126は、センサブラケット123の底部123bからコイルハウジング122とは反対側に突出し、ビームブラケット140の他端部142に設けられた開口部145に対し引っ掛けが可能な部位として構成される。このような構成においては、センサブラケット123側の引っ掛け部126をビームブラケット140側の開口部145に対し引っ掛けることによって、そのままセンサブラケット123側のボルト孔124,124と、ビームブラケット140側のボルト孔143,143との位置決めがなされるようになっている。
【0048】
(第2の位置決め機構)
図11には、本実施の形態の第2の位置決め機構が模式的に示される。この図11に示す第2の位置決め機構では、センサブラケット123の底部123bにガイドピン127が設けられている。このガイドピン127は、センサブラケット123の底部123bからコイルハウジング122とは反対側に突出し、ビームブラケット140の他端部142に設けられた溝状ないし開口状のガイド穴(パイロット穴ともいう)146に対し係合(挿設)が可能な部位として構成される。このような構成においては、センサブラケット123側のガイドピン127をビームブラケット140側のガイド穴146に対し係合させることによって、そのままセンサブラケット123側のボルト孔124,124と、ビームブラケット140側のボルト孔143,143との位置決めがなされるようになっている。
【0049】
(第3の位置決め機構)
図12には、本実施の形態の第3の位置決め機構が模式的に示される。この図12に示す第3の位置決め機構では、センサブラケット123の底部123bに係合ピン128が設けられている。この係合ピン128は、センサブラケット123の底部123bからコイルハウジング122とは反対側に突出しスリットを介して対向する一対の軸部128aと、各軸部128aの先端部分において軸部128aよりも拡径された拡径部128bを有し、各軸部128aは底部123b側を支点とした拡径部128bの撓み動作が可能な構成とされる。このような構成においては、センサブラケット123側の係合ピン128を、一対の拡径部128bを近接方向に撓ませつつ、ビームブラケット140側の係合穴147に対し挿入することによって、係合ピン128が係合穴147に対し係合する。これにより、そのままセンサブラケット123側のボルト孔124,124と、ビームブラケット140側のボルト孔143,143との位置決めがなされることとなる。
【0050】
上述のような第1〜第3の位置決め機構を採用することによって、センサブラケット123側のボルト孔124,124と、ビームブラケット140側のボルト孔143,143との位置決めを作業者が目視で行なう必要がなく、或いは作業者が検知センサ120を手で保持する必要がないため、作業性向上及び組み付けコスト低減を図ることが可能となる。
【0051】
上記検知センサ120とドアビーム110との間の取り付け固定構造に関しては、図5に示す取り付け固定構造以外の他の取り付け固定構造を採用することも可能である。当該他の取り付け固定構造を図13〜図17を参照しつつ以下に説明する。これらを図13〜図17には、いずれも図5に示す取り付け固定構造以外の他の取り付け固定構造が模式的に示されている。
【0052】
図13に示す取り付け固定構造では、図5に示すビームブラケット140にかえて、ビームブラケット240を採用している。このビームブラケット240は、第1ブラケット片241と第2ブラケット片242を用いて構成される。第1ブラケット片241は、ドアビーム110に対し溶接接合される一方、第2ブラケット片242は、ボルト締め等によって検知センサ120に取り付けられる。そして、ドアビーム110に溶接接合された第1ブラケット片241と、検知センサ120が取り付けられた第2ブラケット片242を互いに組み付けることによって、検知センサ120がドアビーム110に対し取り付け固定される。具体的には、図13及び図14に示すように、第1ブラケット片241の一端部241aに設けられた開口部243に対し、第2ブラケット片242の一端部242aに設けられた引っ掛け部244を挿入及びスライドすることによって引っ掛けて双方の一端部を位置決めするとともに、第1ブラケット片241の他端部241bと第2ブラケット片242の他端部242bを固定ボルト245によって互いにボルト締めする。
【0053】
なお、第1ブラケット片241の一端部241aと、第2ブラケット片242の一端部242aとの位置決めに関しては、図14に示すような構造にかえて、例えば図15に示すような構造を採用することもできる。図15に示す構造では、第1ブラケット片241の一端部241aに設けられた開口部245に対し、第2ブラケット片242の一端部242aに設けられた係合部246を挿入及びスライドすることによって引っ掛けて双方の一端部を位置決めすることが可能である。
【0054】
図16に示す取り付け固定構造では、図5に示すビームブラケット140にかえて、ビームブラケット340を採用している。このビームブラケット340は、第1ブラケット片341と第2ブラケット片342を用いて構成される。第1ブラケット片341は、ドアビーム110に対し溶接接合される一方、第2ブラケット片342は、ボルト締め等によって検知センサ120に取り付けられる。そして、ドアビーム110に溶接接合された第1ブラケット片341と、検知センサ120が取り付けられた第2ブラケット片342を互いに組み付けることによって、検知センサ120がドアビーム110に対し取り付け固定される。具体的には、第1ブラケット片341の一端部341aと第2ブラケット片342の一端部342aを固定ボルト343によって互いにボルト締めするとともに、第1ブラケット片341の他端部341bと第2ブラケット片342の他端部342bを固定ボルト344によって互いにボルト締めする。
【0055】
図17に示す取り付け固定構造では、図5に示すビームブラケット140にかえて、ビームブラケット440を採用している。このビームブラケット440は、第1ブラケット片441と第2ブラケット片442を用いて構成される。第1ブラケット片441と、検知センサ120がボルト締め等にて取り付けられた第2ブラケット片442とによって、ドアビーム110を外側から挟持することで、検知センサ120がドアビーム110に対し取り付け固定される。具体的には、図14に示すような構造を用いて、第1ブラケット片441の一端部441aに設けられた開口部443に対し、第2ブラケット片442の一端部442aに設けられた引っ掛け部444を挿入及びスライドすることによって引っ掛けて双方の一端部を位置決めするとともに、第1ブラケット片441の他端部441bと第2ブラケット片442の他端部442bを固定ボルト445によって互いにボルト締めする。なお、第1ブラケット片441の一端部441aと、第2ブラケット片442の一端部442aとの位置決めに関しては、図14に示すような構造にかえて、例えば図15に示すような構造を採用することもできる。
【0056】
本実施の形態では、図8に示す構造において、更にコイルハウジング122のコネクタ部122aから延出する車両側ハーネスを保持するハーネス保持機構を、ビームブラケット140或いはセンサブラケット123に設けるのが好ましい。当該ハーネス保持機構を、図18〜図21を参照しつつ以下に説明する。
【0057】
(第1のハーネス保持機構)
図18には、本実施の形態の第1のハーネス保持機構が模式的に示される。この図18に示す第1のハーネス保持機構では、係合穴148aを有する突出片148がビームブラケット140に設けられている。一方、コイルハウジング122のコネクタ部122aから延出する車両側ハーネス122bには、前述の構成の係合ピン128が設けられている。このような構成においては、車両側ハーネス122b側の係合ピン128を、一対の拡径部128bを近接方向に撓ませつつ、突出片148の係合穴148aに対し挿入することによって、係合ピン128が突出片148の係合穴148aに対し係合する。これにより、車両側ハーネス122bがビームブラケット140側に確実に保持されることとなる。
【0058】
(第2のハーネス保持機構)
図19には、本実施の形態の第2のハーネス保持機構が模式的に示される。この図19に示す第2のハーネス保持機構では、保持空間149aを有する半割れ状の延出片149がビームブラケット140に設けられている。このような構成においては、車両側ハーネス122bを直に、延出片149の保持空間149aに挿入する。これにより、車両側ハーネス122bがビームブラケット140側に確実に保持されることとなる。
【0059】
(第3のハーネス保持機構)
図20には、本実施の形態の第3のハーネス保持機構が模式的に示される。この図20に示す第3のハーネス保持機構では、係合穴131aを有する突出片131がセンサブラケット123に設けられている。一方、コイルハウジング122のコネクタ部122aから延出する車両側ハーネス122bには、前述の構成の係合ピン128が設けられている。このような構成においては、車両側ハーネス122b側の係合ピン128を、一対の拡径部128bを近接方向に撓ませつつ、突出片148の係合穴148aに対し挿入することによって、係合ピン128が突出片131の係合穴131aに対し係合する。これにより、車両側ハーネス122bがセンサブラケット123側に確実に保持されることとなる。
【0060】
(第4のハーネス保持機構)
図21には、本実施の形態の第4のハーネス保持機構が模式的に示される。この図21に示す第4のハーネス保持機構では、保持空間132aを形成する一対の延出片132,132がセンサブラケット123に設けられている。このような構成においては、車両側ハーネス122bを直に、一対の延出片132,132によって形成された保持空間132aに挿入する。これにより、車両側ハーネス122bがセンサブラケット123側に確実に保持されることとなる。
【0061】
上述のような第1〜第4のハーネス保持機構を採用することによって、車両側ハーネス122bをビームブラケット140側或いはセンサブラケット123側に確実に保持することで、ハーネス保持部材を新たに用いることなく、車両側ハーネス122bの弛み等を防止することが可能となる。また、ビームブラケット140やセンサブラケット123に対し、本来の機能以外のハーネス保持機構を付与した合理的な構成を実現することが可能となる。ここでいう第1〜第4のハーネス保持機構が、本発明における「ハーネス保持機構」に相当する。
【0062】
上記検知センサ120は、当該検知センサ120による検出対象物の検知に障害を及ぼす障害物を回避する位置に配設された構成であるのが好ましい。ここでいう「検出対象物の検知に障害を及ぼす障害物」には、車両衝突時の車両ドアの変形によって検知センサ120に対し物理的に干渉するおそれのある物理的障害物、例えばドアウインドウや、検知センサ120による検出対象物の検知に電気的に影響を及ぼすそれのある電気的障害物、例えばスピーカー、ハーネス、アンテナ(無線送受信手段)、モータ、ソレノイド等が広く包含される。当該物理的障害物や電気的障害物が、本発明における「検知センサによる検出対象物の検知に障害を及ぼす障害物」に相当する。また、ここでいう「障害物の回避」に関しては、検知センサ120に対し物理的に干渉するおそれのある物理的障害物から当該検知センサ120を離間させて配置する態様、検知センサ120が障害物から電気的影響を受けない位置或いは電気的影響が予め設定された基準値を下回る位置に、当該検知センサ120を配置する態様等を採用することが可能である。このような障害物の回避構造を図22〜図25を参照しつつ以下に説明する。
【0063】
(第1の障害物回避構造)
図22には、本実施の形態のドアビーム110に検知センサ120が取り付けられた第1の障害物回避構造を車両ドア10aの車外側からみた様子が示され、図23には、図22の部分断面図が示される。ドアビーム110にビームブラケット140を介して検知センサ120を取り付けてドアインナパネル12側の対向面130を検知する構成においては、図22及び図23に示すように、ドアビーム110よりもドアインナパネル12側にガラスウインドウ20のウインドウ可動領域21が形成されるのが一般的である。このような構成においては、車両衝突時に車両ドア10aのドアアウタパネル11がドアインナパネル12側に変形した際、ドアビーム110に取り付けられている検知センサ120がガラスウインドウ20に対し物理的に干渉することによって、検知センサ120の適正な作動や検知に支障をきたすことが想定される。
【0064】
そこで、図22及び図23に示す第1の障害物回避構造では、検知センサ120に対し物理的に干渉するおそれのある物理的障害物としてのガラスウインドウ20のウインドウ可動領域21から外れた干渉回避位置に当該検知センサ120を配置する構成を採用している。典型的には、ガラスウインドウ20のウインドウ可動領域21の車両上下方向に関する下端21aよりも下方領域或いは側方領域に検知センサ120を配置するのが好ましい。このような構成によれば、車両衝突時に車両ドア10aのドアアウタパネル11がドアインナパネル12側に変形した際、ドアビーム110に取り付けられている検知センサ120がガラスウインドウ20に対し物理的に干渉するのを回避することができ、以って検知センサ120の適正な作動や検知を確保することが可能となる。また、車両ドア10a内の空間13の各領域の中では、ウインドウ可動領域21の下端21aよりも下方領域に特にデッドスペースが形成され易いため、当該領域に検知センサ120を配設する本構成は、車両ドア10a側の設計変更が不要であり自由度が大きいため合理的である。
【0065】
(第2の障害物回避構造)
図24には、本実施の形態のドアビーム110に検知センサ120が取り付けられた第2の障害物回避構造を車両ドア10aの車室側からみた様子が示される。この図24中に示される車両ドア10aは、ドアインナパネル12側の被着部分に対しモジュールパネル22の着脱が可能とされた車両ドアとされる。この車両ドア10aでは、モジュールパネル22の脱着状態においてドア中央部分に形成される開口部23を通じて、ドアアウタパネル11及びドアインナパネル12によって区画される空間13における取り付け作業等が遂行される。また、車両ドア10aのうち開口部23よりも車両前方には、スピーカーを取り付ける開口部24が設けられている。
【0066】
第2の障害物回避構造では、このような車両ドア10aの構成において、ドアビーム110の各部位のうち、開口部23からの作業が可能な範囲であって、且つ開口部24に取り付けられる電気的障害物としてのスピーカーから検知センサ120が電気的影響を受けない位置或いは電気的影響が予め設定された基準値を下回る位置に、当該検知センサ120を配置する構成を採用している。典型的には、車両前後方向に関し車両ドア10aの中央よりも車両後方側に検知センサ120を配置するのが好ましい。このような構成によれば、検知センサ120がスピーカーからの電気的な影響を受けるのを防止或いは所定のレベルまで抑えることができ、以って検知センサ120の適正な作動や検知を確保することが可能となる。
【0067】
(第3の障害物回避構造)
図25には、本実施の形態のドアビーム110に検知センサ120が取り付けられた第3の障害物回避構造を車両ドア10aの車室側からみた様子が示される。この図25中に示される車両ドア10aは、袋状ないしボックス状に成形された車両ドアとされる。この車両ドア10aでは、車両前後方向に関し車両ドア10aの中央よりも車両後方側に形成された開口部25を通じて、ドアアウタパネル11及びドアインナパネル12によって区画される空間13における取り付け作業等が遂行される。また、車両前後方向に関し車両ドア10aの中央よりも車両前方側には、スピーカーを取り付ける開口部26が設けられている。
【0068】
第3の障害物回避構造では、このような車両ドア10aの構成において、ドアビーム110の各部位のうち、開口部25からの作業が可能な範囲であって、且つ開口部26に取り付けられる電気的障害物としてのスピーカーから検知センサ120が電気的影響を受けない位置或いは電気的影響が予め設定された基準値を下回る位置に、当該検知センサ120を配置する構成を採用している。典型的には、車両前後方向に関し車両ドア10aの中央よりも車両後方側に検知センサ120を配置するのが好ましい。このような構成によれば、検知センサ120がスピーカーからの電気的な影響を受けるのを防止或いは所定のレベルまで抑えることができ、以って検知センサ120の適正な作動や検知を確保することが可能となる。
【0069】
(他の実施の形態)
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0070】
上記実施の形態では、ドアビーム110に対し検知センサ120を取り付ける場合について記載したが、本発明では、ドアビーム110とは別の架設部材、すなわちドアビーム110とは別に車両ドア10aのドアアウタパネル11とドアインナパネル12とで区画される空間13においてドア前端部とドア後端部との間に架設される部材に対し、検知センサ120を取り付ける第1の構成や、検知センサ120をドアインナパネル12側に取り付けて、この検知センサ120によって検出対象物としてのドアビーム110或いは他の金属体を検知する第2の構成等を採用することもできる。第2の構成を採用する場合、典型的には角柱状のドアビームを用い、このドアビームの平面部分を、検知センサ120に対向する対向面(検出面)として構成するのが好ましい。
【0071】
また、上記実施の形態では、センサブラケット123の底部123bに補強用リブ125を設ける場合について記載したが、本発明では、この補強用リブ125を必要に応じて省略し、底部123bを平板状に構成することもできる。また、本実施の形態において説明した第1〜第3の位置決め機構、第1〜第4のハーネス保持機構、第1〜第3の障害物回避構造のうちの1または複数は、必要に応じて適宜省略が可能である。
【0072】
また、上記実施の形態では、検知センサ120によって検知された情報を、車両側面衝突の際に車両乗員の拘束を行うべく作動するエアバッグモジュール170の制御に用いる場合について記載したが、本発明では、検知センサ120によって検知された情報を、シートベルト装置などの乗員拘束装置の制御や、車両側面衝突の報知などを行うべく表示出力や音声出力を行う報知装置の制御などに用いることもできる。
【0073】
また、上記実施の形態では、自動車に装着される乗員拘束システムの構成について記載したが、自動車をはじめ、航空機、船舶、電車、バス、トラック等の各種の車両に装着される乗員拘束システムの構成に対し本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本実施の形態の乗員拘束システム100が、車両乗員Cが乗車する車両10に搭載された様子を模式的に示す図である。
【図2】本実施の形態の検知センサ120の基本的な構造を示す図である。
【図3】図2中の検知センサ120が搭載された車両ドア10aの断面構造が模式的に示す図である。
【図4】本実施の形態の乗員拘束システム100において、車両ドア10aのポールPに対する側面衝突時における断面構造を模式的に示す図である。
【図5】本実施の形態の検知センサ120の斜視図である。
【図6】図5中の検知センサ120を構成するコイルハウジング122の斜視図である。
【図7】本実施の形態の検知センサ120の取り付け状態を示す斜視図である。
【図8】本実施の形態の検知センサ120が取り付けられるビームブラケット140の斜視図である。
【図9】図5中の検知センサ120の部分断面構造及び平面構造を模式的に示す図である。
【図10】本実施の形態の第1の位置決め機構を模式的に示す図である。
【図11】本実施の形態の第2の位置決め機構を模式的に示す図である。
【図12】本実施の形態の第3の位置決め機構を模式的に示す図である。
【図13】図5に示す取り付け固定構造以外の他の取り付け固定構造を模式的に示す図である。
【図14】図5に示す取り付け固定構造以外の他の取り付け固定構造を模式的に示す図である。
【図15】図5に示す取り付け固定構造以外の他の取り付け固定構造を模式的に示す図である。
【図16】図5に示す取り付け固定構造以外の他の取り付け固定構造を模式的に示す図である。
【図17】図5に示す取り付け固定構造以外の他の取り付け固定構造を模式的に示す図である。
【図18】本実施の形態の第1のハーネス保持機構を模式的に示す図である。
【図19】本実施の形態の第2のハーネス保持機構を模式的に示す図である。
【図20】本実施の形態の第3のハーネス保持機構を模式的に示す図である。
【図21】本実施の形態の第4のハーネス保持機構を模式的に示す図である。
【図22】本実施の形態のドアビーム110に検知センサ120が取り付けられた第1の障害物回避構造を車両ドア10aの車外側からみた様子を示す図である。
【図23】図22の部分断面図である。
【図24】本実施の形態のドアビーム110に検知センサ120が取り付けられた第2の障害物回避構造を車両ドア10aの車室側からみた様子を示す図である。
【図25】本実施の形態のドアビーム110に検知センサ120が取り付けられた第3の障害物回避構造を車両ドア10aの車室側からみた様子を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
10…車両
10a…車両ドア
11…ドアアウタパネル
12…ドアインナパネル
13…空間
14…車両前方側ブラケット
15…車両後方側ブラケット
16…ドアヒンジ
17…車両本体
20…ガラスウインドウ
21…ウインドウ可動領域
21a…下端
22…モジュールパネル
23,24,25,26…開口部
100…乗員拘束システム
110…ドアビーム
120…検知センサ
121…コイル部
122…コイルハウジング
122a…コネクタ部
122b…車両側ハーネス
123…センサブラケット
123a…縁部
123b…底部
123c…立設部
124…ボルト孔
125…補強用リブ
125a,125b…同心円部
126…引っ掛け部
127…ガイドピン
128…係合ピン
128a…軸部
128b…拡径部
130…対向面
131…突出片
131a…係合穴
132…延出片
132a…保持空間
140,240,340,440…ビームブラケット
141…一端部
142…他端部
143…ボルト孔
144…固定ボルト
145…開口部
146…ガイド穴
147…係合穴
148…突出片
148a…係合穴
149…延出片
149a…保持空間
150…導出装置
160…判定装置
170…エアバッグモジュール
241,341,441…第1ブラケット片
241a,242a,341a,342a,441a,442a…一端部
241b,242b,341b,342b,441b,442b…他端部
242,342,442…第2ブラケット片
243,245…開口部
244…引っ掛け部
246…係合部
343,344…固定ボルト
443…開口部
444…引っ掛け部
445…固定ボルト
C…車両乗員

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の側面衝突に関する情報を検出する側面衝突検出装置であって、
車両ドアのドアアウタパネルとドアインナパネルとで区画される空間において、金属製の検出対象物から離間して配設される検知センサと、
前記車両ドアに対し前記検知センサが取り付けられる被取付け部と、
を備え、
前記検知センサは、円環状のコイルが前記検出対象物と並行して延在するコイル部と、前記コイル部を収容する当該コイル部と同心円状のコイルハウジングと、前記コイルハウジングと前記被取付け部との間に介在するセンサブラケットを有し、通電時に前記コイル部に流れる電流変化に基づいて前記コイル部と前記検出対象物との間の距離を検出する構成であり、
前記センサブラケットは、前記コイルハウジングの円環状の部位に沿って接合された円環状の縁部と、前記縁部から前記コイルハウジングを挟んで前記検出対象物とは反対側に離間して延在する底部と、前記縁部と前記底部との間に立設する立設部とからなる有底部分を含む構成であることを特徴とする側面衝突検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の側面衝突検出装置であって、
前記センサブラケットは、当該センサブラケットを補強するべく、前記底部の延在面から前記コイルハウジングの延在面と交差する方向に突出する補強用リブを有し、前記補強用リブは、前記縁部と同心円状に形成された1または複数の同心円部を含む構成であることを特徴とする側面衝突検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の側面衝突検出装置であって、
前記補強用リブは、所定の板厚を有するとともに、前記コイルハウジングの延在面と交差する方向に関する前記同心円部の断面形状が波板状とされた構成であることを特徴とする側面衝突検出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の側面衝突検出装置であって、
前記コイルハウジング及びセンサブラケットのうちの少なくとも一方は、前記コイル部から延出するハーネスを保持するハーネス保持機構を有する構成であることを特徴とする側面衝突検出装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の側面衝突検出装置であって、
前記検知センサは、当該検知センサによる前記検出対象物の検知に障害を及ぼす障害物を回避する位置に配設された構成であることを特徴とする側面衝突検出装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の側面衝突検出装置であって、
前記検知センサにおいて検知された情報に基づいて、前記車両の側面衝突態様を判定する判定装置を更に備える構成であることを特徴とする側面衝突検出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の側面衝突検出装置と、
車両の側面衝突の際、車両乗員を拘束する乗員拘束装置と、
前記側面衝突検出装置の前記判定装置にて判定された情報に基づいて、前記乗員拘束装置を制御する制御装置と、
を備える構成であることを特徴とする乗員拘束システム。
【請求項8】
エンジン走行系統と、
電装系統と、
前記エンジン走行系統及び電装系統の駆動制御を行う駆動制御装置と、
車両側面衝突により変位する乗員乗降用の車両ドアと、
前記車両ドアの変位に関する情報を検知するセンサ装置と、
前記センサ装置において検知された情報に基づいて、制御対象に制御信号を出力する制御信号出力装置と、
を備える車両であって、
前記センサ装置は、請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の側面衝突検出装置によって構成されていることを特徴とする車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−184384(P2009−184384A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23192(P2008−23192)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(306009581)タカタ株式会社 (812)
【Fターム(参考)】