偽造判定システム、偽造判定方法、偽造判定プログラム及び偽造判定装置
【課題】通信の暗号化が必要のない、簡易な偽造判定システムを提供する。
【解決手段】モアレ縞を発生する対象物がセットされ、モアレ縞を読み出す端末と、ネットワークを介して接続され、読み出したモアレ縞に基づき対象物の真贋を判定するサーバとを備える偽造判定システムであって、端末は、モアレ縞を撮像する画像撮像部と、判定に使用する位置指定に基づき指定された部分画像の画像データを抽出し、識別コードを生成しサーバに送信する第1のコード化部を有し、サーバは、判定に使用する位置をランダムに指定する位置指定部と、登録された対象物のモアレ縞の画像データから指定する候補位置の画像データを抽出し、識別コードを生成し、記憶部に格納する第2のコード化部と、第2のコード化部が生成する複数の識別コードが、端末から送られる識別コードと一致するかを確認し、一致するものがあれば本物と判定し、なければ偽物と判定する偽造判定部を有する。
【解決手段】モアレ縞を発生する対象物がセットされ、モアレ縞を読み出す端末と、ネットワークを介して接続され、読み出したモアレ縞に基づき対象物の真贋を判定するサーバとを備える偽造判定システムであって、端末は、モアレ縞を撮像する画像撮像部と、判定に使用する位置指定に基づき指定された部分画像の画像データを抽出し、識別コードを生成しサーバに送信する第1のコード化部を有し、サーバは、判定に使用する位置をランダムに指定する位置指定部と、登録された対象物のモアレ縞の画像データから指定する候補位置の画像データを抽出し、識別コードを生成し、記憶部に格納する第2のコード化部と、第2のコード化部が生成する複数の識別コードが、端末から送られる識別コードと一致するかを確認し、一致するものがあれば本物と判定し、なければ偽物と判定する偽造判定部を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物(例えば、クレジットカード、キャッシュカード、パスポート、回数券、プリペイドカード、入場券等)が偽造されたものかどうか、その真贋を判定する方法、装置、システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クレジットカード、キャッシュカード、パスポート、高速道路の回数券、野球場への入場券、株券、宝石の鑑定書、紙幣、プリペイドカード、有名アーティストのコンサートチケット等が偽造されることによる被害が多発している。関係団体は、対象物にICチップを搭載したり、立体ホログラムを付したり、紫外線により浮かび上がる模様を印刷したり、特殊な文字を埋め込む等の偽造防止措置を施すものの、いずれも決め手に欠けるのが現状である。
【0003】
そのような状況の中、モアレ縞を生じさせるモアレタグなる物が提案され(特許文献1参照)、現状の偽造防止措置に替わる、あるいは補う技術として大きく期待されている。モアレ縞とは、例えば、2枚の網戸を重ねて外を見たときや、レースのカーテンの重なりを通して外を見たときに、地図の等高線のように生じる模様のことであり、2つとして同じモアレ縞が形成されることはない。特許文献1によれば、例えば、2つの網目部材を金型内に層状に配置した状態で、溶融した合成樹脂を充填することによって、低コストでモアレタグを製造することができる。
【0004】
また、特許文献1によれば、モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物の偽造判定方法として、対象物に生じるモアレ縞をイメージセンサにより読み取り、イメージセンサからの読取信号に対し画像処理部が二値化処理を施し、得られた二値データをコード化処理部が暗号方式によるデータ圧縮(コード化)を行い、識別データを求める。そして、コード化処理部が識別データを判断処理部に送信し、判断処理部がデータベースにある登録済み識別データと一致するかどうかによって、真贋を判定する方法が記載される。
【特許文献1】特開2003−29636号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術における偽造判定方法においては、二値データをコード化処理部が暗号方式によるデータ圧縮を行い、識別データを求めている。そのため、万が一、暗号方式が解読された場合、第三者に識別データが割り出される恐れがある。
【0006】
また、実際の運用においては、店頭に設置される端末に、従来技術におけるイメージセンサ、画像処理部、コード化処理部を配し、登録センタに配置され、端末にネットワークを介して接続されるセンタ側サーバに、従来技術における判断処理部、データベースを配することで、複数の店頭端末をセンタ側サーバが統括する形態が考えられる。その場合、ネットワークにおける通信が盗聴され、識別データが漏洩することを防止するため、店頭端末とセンタ側サーバの通信を暗号化する必要が生じ、店頭に設置される端末の装備を単純化することができない。さらにいえば、万が一、この通信における暗号化も破られてしまえば、やはり第三者に識別データが割り出される恐れがある。
【0007】
モアレ縞は、複製、つまり同一のモアレ縞を生じるランダムパターン部材を作成することが困難である性質を持つ。しかし、従来技術では、モアレ縞を複製せずとも、モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物の偽造判定において、識別データが割り出され偽物を本物と誤判定してしまう恐れがあった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物の偽造判定方法であって、暗号化技術を必要としない、従来技術より簡易な偽造判定システムを提供することにある。合わせて、その偽造判定システムにおいて実行される方法、偽造判定プログラム、偽造判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、本発明の第一の側面として、モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物がセットされ、該対象物が持つ前記モアレ縞を読み出す端末と、前記端末にネットワークを介して接続され、前記端末が読み出したモアレ縞に基づき前記対象物の真贋を判定するサーバとを備える偽造判定システムであって、前記端末は、光学部材と前記光学部材で受ける光を電気信号に変換する画像素子とを含み、前記対象物が持つモアレ縞を撮像する画像撮像部と、前記サーバから送られる、判定に使用する部分の位置に基づき、前記撮像されたモアレ縞のうち、前記入力された位置に対応する部分画像の画像データを抽出し、前記部分画像の画像データに基づき識別コードを生成して前記サーバに送信する第1のコード化部とを有し、前記サーバは、前記判定に使用する部分の位置をランダムに指定し前記端末に送信する位置指定部と、登録された対象物が持つモアレ縞の全体画像の画像データからそれぞれ、前記位置指定部が指定する可能性のある候補位置に対応する部分画像の画像データを抽出し、該抽出された各画像データに基づき識別コードをそれぞれ生成し、記憶部に予め格納する第2のコード化部と、前記第2のコード化部が生成する複数の識別コードの中に、前記ランダムに指定された位置に対応する識別コードが、前記端末から送られる前記識別コードと一致するものがあるかを確認し、一致するものがあれば前記対象物を本物と判定し、一致するものがなければ偽物と判定する偽造判定部とを有することを特徴とする偽造判定システムを提供することにより達成される。
【0010】
上記発明の側面においてより好ましい実施例によれば、前記対象物は、更に、該対象物を特定する識別番号が格納された第2の記憶部を有するクレジットカードであって、前記サーバの記憶部には、前記識別番号と前記第2のコード化部が生成する複数の識別コードとが対応付けられて格納されており、前記端末は、更に、前記第2の記憶部に格納された前記識別番号を読み出して前記サーバに送信する読み出し部を有し、前記偽造判定部は、前記第2のコード化部が生成する複数の識別コードから、前記端末から送られる前記識別番号と前記ランダムに指定された位置とに基づき識別コードを特定し、前記特定された識別コードと、前記端末より入力される前記識別コードとが一致するかを確認して、判定を行う。
【0011】
また、上記目的は、第二の側面として、モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物の真贋を判定する偽造判定方法であって、登録された対象物が持つモアレ縞の全体画像の画像データからそれぞれ、判定に使用する部分の位置として指定される可能性のある候補位置に対応する部分画像の画像データが抽出され、該抽出された各画像データに基づき識別コードがそれぞれ生成され、予め記憶される記憶ステップと、前記対象物が持つモアレ縞が撮像され、前記撮像されたモアレ縞のうち、判定に使用する部分の位置がランダムに指定されるステップと、前記ランダムに指定された位置に対応する前記モアレ縞の部分画像の画像データが抽出され、前記抽出された画像データに基づき識別コードが生成されるコード化ステップと、前記記憶ステップにおいて生成される複数の識別コードの中に、前記コード化ステップにおいて生成される識別コードと一致するものがあるかが確認され、一致するものがあれば前記対象物が本物と判定され、一致するものがなければ偽物と判定される判定ステップとを有することを特徴とする偽造判定方法を提供することにより達成される。
【0012】
また、上記目的は、第三の側面として、モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物の真贋を判定するコンピュータであって、登録された対象物が持つモアレ縞の全体画像の画像データからそれぞれ抽出される、判定に使用する部分の位置として指定される可能性のある候補位置に対応する部分画像の画像データに基づき生成される複数の識別コードが、予め格納される記憶部を有するコンピュータに、前記判定に使用する部分の位置をランダムに指定させる位置指定機能と、前記対象物のモアレ縞のうち、前記ランダムに指定された位置に対応する部分画像の画像データに基づき生成された識別コードが入力されると、前記記憶部に格納される複数の識別コードの中に、該入力された識別コードと一致するものがあるかを確認させ、一致するものがあれば前記対象物を本物と判定させ、一致するものがなければ偽物と判定させる偽造判定機能とを実現させるためのプログラムを提供することにより達成される。
【0013】
また、上記目的は、第四の側面として、モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物がセットされ、該対象物の真贋を判定する偽造判定装置であって、登録された対象物が持つモアレ縞の全体画像が画像データとして予め複数格納される記憶部と、光学部材と前記光学部材で受ける光を電気信号に変換する画像素子とを含み、前記セットされた対象物が持つモアレ縞の全体画像を撮像する全体画像撮像部と、前記全体画像撮像部が撮像する全体画像に対応する電気信号を画像データに変換する画像処理部と、前記撮像される全体画像のうち、判定に使用する部分の位置をランダムに指定する位置指定部と、前記位置指定部により指定された位置に対応する部分画像の画像データを抽出し、前記記憶部に格納された複数の全体画像の画像データの中に、前記位置指定部により指定された位置の画像データが、前記抽出された部分画像の画像データに一致するものがあるかを確認し、一致するものがあれば前記対象物を本物と判定し、一致するものがなければ偽物と判定する偽造判定部とを有することを特徴とする偽造判定装置を提供することにより達成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複製が困難なモアレ縞の一部を用い、偽造判定に使用する部分をランダムに変更するため、暗号化処理を行うことなく偽造判定を行うことを可能にする。こうして、暗号化が省略されることにより、従来より簡易な偽造判定を行うことを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面に従って説明する。しかしながら、本発明の技術的範囲はかかる実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物にまで及ぶものである。
【0016】
図1は、第1の実施形態における偽造判定システムを説明する図である。本実施形態においては、モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物としてクレジットカードを用いるものとする。
【0017】
偽造判定システムは、店頭等に設置され、判定対象のクレジットカードが持つモアレ縞を読み取る複数の端末10と、端末10が読み取るモアレ縞から生成される識別コードに基づき判定対象のクレジットカードが偽造されたものかを判定するサーバ51とから構成される。端末10とサーバ51はネットワーク52を介して接続され、互いに偽造判定に使用する情報を送受信する。
【0018】
図2は、第1の実施形態における端末10の一例を示す外観図である。端末10は、判定対象となるクレジットカードが挿入される挿入口12を持ち、挿入されたクレジットカードに備えられるモアレ縞に基づき偽造判定に使用する識別コードを生成し、サーバ51に送信する。サーバ51から判定結果を受信すると、液晶ディスプレイ等の表示部11に表示する。
【0019】
クレジットカード1は、IC(Integrated Circuit)チップ3や、磁気ストライプ4を含んでおり、ICチップ3や、磁気ストライプ4には、カード発行時に登録されるカード識別番号、有効期限、所有者氏名等の情報が格納されている。また、カード識別番号5は、カード表面にエンボス加工等により凹凸表示されている。
【0020】
領域2は、本実施形態において偽造判定に使用されるモアレ縞を生じさせるランダムパターン部材が配置される箇所である。例えば、クレジットカードをくり抜いてできる穴に、網目状のランダムパターン部材を層状配置し、溶融した合成樹脂を充填することにより、モアレ縞が形成される。また、クレジットカードの表面に、網目状のランダムパターン部材を層状配置し、付着させても、モアレ縞が形成される。ランダムパターン部材は、金属、合成樹脂、繊維、和紙等さまざまなものから作り出すことができる。
【0021】
図3Aは、対象物が持つモアレ縞の一例を示す図である。図3Aは、同心円状の線と、縦線を重ねて描いたものである。図3Aの図形を印刷した用紙を少し離して見てみると、円の中心から左右方向に木目のような紋様が現れており、これがモアレ縞である。実際には、同心円状の線を1つのランダムパターン部材として、縦線を1つのランダムパターン部材として、両者を離間して層状配置する。すると、同心円の間隔や、縦線の間隔、ランダムパターン部材同士の間隔や、重ね方(空間配置)を変えることにより、2つとないモアレ縞が生じるため、モアレ縞の複製は非常に困難になる。
【0022】
図3Bには、ランダムパターン部材によってモアレ縞が生じる態様が描かれている。図3Bは、図2におけるクレジットカード1のPQ方向の断面図を示している。図3Bにおいて、クレジットカード1には図2における領域2に対応する箇所にモアレチップ75が埋め込まれている。図3Bにおけるモアレチップ75は、クレジットカードをくり抜いてできる穴に、網目状のランダムパターン部材73、74を離間して層状配置し、溶融した合成樹脂を充填することにより生成されるものである。
【0023】
図3Cには、ランダムパターン部材によってモアレ縞が生じる別の態様が描かれている。図3Cも、図3B同様、図2におけるクレジットカード1のPQ方向の断面図を示している。図3Cにおいて、クレジットカード1には図2における領域2に対応する箇所にモアレシール76が付着されている。図3Cにおけるモアレシール76は、クレジットカードの表面に、網目状のランダムパターン部材73、74を層状配置し、互いに付着することにより生成されるものである。
【0024】
なお、モアレシールを使用する場合、そこに生じるモアレ縞を読み取るために、アルミ箔等の反射部材77がクレジットカード表面に設けられる。モアレ縞を読み取る方法については図14にて後述する。
【0025】
第1の実施形態は、この複製困難なモアレ縞を利用し、カード発行時に予め、カード識別番号と共に、クレジットカード毎にそれぞれ異なるモアレ縞の全体画像の画像データを記憶しておく。そして、クレジットカードが持つモアレ縞を撮像し、その画像データに基づき生成される識別コードを使用して偽造判定を行うものである。更に、第1の実施形態では、各クレジットカードのモアレ縞の全体画像を撮像するものの、その一部である部分画像から生成される識別コードを判定に使用することによってセキュリティを高めるものである。
【0026】
図4Aは、図柄と組み合わせて使用するモアレ縞の例を示す図である。図4Aは、図3Aに示したモアレ縞と、4種類の図柄パターンとを組み合わせて用いる例を示す。4種類の図柄パターンは、上から、馬の絵、数字、バーコード、指紋を表す。使用する図柄は、馬の他にも、好きなキャラクタを使用してよい。数字の変わりに文字を使用することも可能であり、図4Aでは、1箇所に数字が配置されるだけだが、文字を図柄部材78にちりばめてもよい。
【0027】
この図柄パターンは、図柄部材78としてランダムパターン部材と共に領域2に層状配置される。図柄部材78には、プラスチック等光を透過する部材を使用すればよい。
【0028】
図4Bは、モアレチップにおける図柄部材78の配置例を説明する図である。図柄部材78は、図4Bに示されるように、モアレチップに含まれるランダムパターン部材74の下方に層状配置される。
【0029】
図4Cは、モアレシールにおける図柄部材78の配置例を説明する図である。図柄部材78は、図4Cに示されるように、クレジットカード表面の反射部材78の上方に配置される。
【0030】
図4Aに示すように、ランダムパターン部材により生じるモアレ縞と、図柄部材に描かれる図柄とを組み合わせることによって、目視による図柄の有無により偽造かどうかを見分けることもできるため、より本実施形態の効果を高めることができる。なお、バーコードや指紋を使用する場合には、ランダムパターン部材としては、斜めの網状部材を使用し、図柄に含まれる線と交差するように(つまり、平行にならないように)する方が好ましい。
【0031】
図5は、第1の実施形態における偽造判定システムの動作を説明するフローチャートである。第1の実施形態においては、予め、サーバ51の記憶部に、正規に発行されたクレジットカードの識別番号と、そのカードが持つモアレ縞から生成される識別コードとが、判定に使用される部分の位置として指定される可能性のある候補位置毎に対応付けられて格納される(S1)。
これは、クレジットカード発行会社が、クレジットカードを発行し、利用者に送付する前の登録作業の一環として行う。ステップS1において使用されるモアレ縞は、図3に示されるようにモアレ縞単独でも、図4に示されるようにモアレ縞と図柄を組み合わせたものでもどちらでも本実施形態の実施が可能である。
【0032】
そして、利用者が店頭での支払いにクレジットカードを利用する場合、この店頭端末10にクレジットカード1が挿入され、カード識別番号が読み出される(S2)。カード識別番号の読み出しは、端末10がICチップリーダや磁気ストライプリーダを有していれば、それぞれICチップや磁気ストライプに格納された情報を読み出すことで行われる。また、エンボス加工された識別番号5を撮像し、パターン認識による画像処理を行ってカード識別番号を読み出してもよい。
【0033】
読み出された識別番号は、端末10からネットワーク52を介してサーバ51に送信され、サーバ51は受信した識別番号が、ステップS1で記憶部に格納された識別番号と一致するかを確認し、正規に発行されたクレジットカードかを判定する(S3)。サーバ51は、一致する識別番号があれば(S3Yes)、正規に発行されたクレジットカードと判定し、一致する識別番号がなければ、偽物と判定する(S9)。
【0034】
ステップS3で正規に発行されたクレジットカードと判定すると、サーバ51は、モアレ縞のどの部分を判定に使用するか、その位置を指定し、端末10に送信する(S4)。そして、端末10は、判定に使用する部分の位置を受信すると、挿入されたクレジットカードが持つモアレ縞から、指定された部分の画像データを抽出する(S5)。ステップS5は、最初にモアレ縞の全体画像を撮像し、その後部分画像の画像データを抽出しても、最初から判定に使用する部分の部分画像を撮像し、その部分画像データを抽出してもよい。
【0035】
続いて、ステップS5で得られた部分画像の画像データが、予め記憶部に格納される際(S1)と同様にしてコード化され、端末10は、挿入されたクレジットカードが持つモアレ縞から生成された識別コードをサーバ51に送信する(S6)。
【0036】
サーバ51は、受信した識別コードと、記憶部に格納される識別コードとを比較する(S7)。ステップS7においては、サーバ51は、カード識別番号と、ステップS4で指定された位置とに基づき、記憶部に格納された識別コードを特定する。この特定された識別コードとステップS6で送信された識別コードとを比較する。
【0037】
両者が一致すれば(S7Yes)、サーバ51は、端末10に挿入されたクレジットカードは本物と判定し(S8)、一致しなければ(S7No)、サーバ51は、偽物と判定する(S9)。
ステップS8又はステップS9により判定結果が明らかとなれば、サーバ51はその判定結果を端末10に通知し、端末10は、表示部11に判定結果を表示する。
【0038】
図6〜図12は、上記ステップS1及びステップS4〜S6における位置指定の方法、識別コードの生成法について説明する図である。本実施形態では、モアレ縞の画像データのうち、判定に使用する部分を指定するため、画像データに座標を導入し、座標を指定することで位置指定を行う。
【0039】
図6は、所定画素おきに目盛りを配置して座標を導入する場合の位置指定の例である。例えば、全体画像55がM行N列のMNピクセルであるとすれば、左下位置を原点(0、0)として、右方向にN/8ピクセルごとに目盛りを打ち、上方向にM/8ピクセルごとに目盛りを打つことで、xy座標を導入することができる。こうすれば、座標を指定することによって、判定に使用する部分の画像データを切り取ることができる。
【0040】
図6においては、y=mという位置指定が行われることで、該当する1行分の部分画像の画像データが抽出される。例えば、画像データが2値化処理されたデータであれば、1行分(Nビット)のデータが抽出される。この抽出された部分画像の画像データは、更に、データ圧縮のためコード化(符号化)され、コード化された識別コードが判定に使用される。この符号化に使用するアルゴリズムは、端末10とサーバ51で同じくしておけば何を使用してもよい。なお本実施形態の偽造判定システムは、後述するように、この符号化に使用されるアルゴリズムが第三者に知られても、セキュリティレベルを高水準に保つことができる特徴がある。
【0041】
図7は、所定数の画素をまとめたブロックに対し座標を導入する場合の位置指定の例である。図7の場合、全体画像55の画像データが、8行8列の64ピクセル毎に符号化されて格納されている。そこで、全体画像55の左下のブロックを原点(0、0)とし、右方向にずれると第1成分に1を加算し、上方向にずれると第2成分に1を加算すれば、ブロックの位置を特定するxy座標を導入することができる。
【0042】
図7においては、y=mという位置指定が行われることで、該当する1行分のブロックに対応する部分画像の画像データが抽出される。この抽出された部分画像の画像データは、更に、データ圧縮のためコード化(符号化)され、コード化された識別コードが判定に使用される。図6同様、この符号化に使用するアルゴリズムは、端末10とサーバ51で同じくしておけば何を使用してもよい。
【0043】
図8は、その他の位置指定の例を示す図である。モアレ縞の全体画像55の左下を原点とし、水平方向にx軸、垂直方向にy軸を導入した場合の、k1<x<k2(k1、k2は実数)によって指定される部分を示すものである。これは、x>k1かつx<k2という2つの条件(位置指定)を組み合わせて領域を指定する例である。
【0044】
このように、2つ以上の位置指定を組み合わせてもよい。白く覆われた切れ目から見える部分が、判定に使用される部分であり、この部分の画像データを用いて識別コードが生成され判定が行われることになる。
【0045】
図9は、その他の位置指定の例を示す図である。モアレ縞の全体画像55の左下を原点とし、水平方向にx軸、垂直方向にy軸を導入した場合の、m1<y≦m2(m1、m2は実数)によって指定される部分を示すものである。これは、y>m1かつ{y<m2またはy=m2}という条件(位置指定)を組み合わせて領域を指定する例である。白く覆われた切れ目から見える部分が、判定に使用される部分であり、この部分の画像データを用いて識別コードが生成され判定が行われることになる。
【0046】
図10は、その他の位置指定の例を示す図である。モアレ縞の全体画像55の左下を原点とし、水平方向にx軸、垂直方向にy軸を導入した場合の、y=xによって指定される部分を示すものである。白く覆われた切れ目から見える部分が、判定に使用される部分であり、この部分の画像データを用いて識別コードが生成され判定が行われることになる
以上図8〜10において、直線(1次関数)によって位置指定する例を示したが、より一般化し、位置指定は、xy平面における任意の次元の関数f(x、y)により行うことが可能である。例えば、3次関数による位置指定を行うことができる。
【0047】
図11は、3次関数による位置指定の例を示す図である。モアレ縞の全体画像55の左下を原点とし、水平方向にx軸、垂直方向にy軸を導入した場合の、f(x、y)<0によって指定される部分を示すものである。ここでは、f(x、y)=−ax^3+bx^2+cx+dなる3次関数(aは正の実数、b、c、dは実数)の場合を示している。白く覆われた部分以外の領域が、判定に使用される部分であり、この部分の画像データを用いて識別コードが生成され判定が行われることになる。
【0048】
また、円や楕円、双曲線による位置指定を行うことも可能である。
【0049】
図12は、楕円関数による位置指定の例を示す図である。モアレ縞の全体画像55の左下を原点とし、水平方向にx軸、垂直方向にy軸を導入した場合の、f(x、y)≧0(つまり、f(x、y)>0かつf(x、y)=0)によって指定される部分を示すものである。ここでは、f(x、y)=a(x−α)^2+b(y−β)^2なる楕円関数(a、b、α、βはゼロ以外の実数)の場合を示している。白く覆われた部分以外の領域が、判定に使用される部分であり、この部分の画像データを用いて識別コードが生成され判定が行われることになる。
【0050】
図13は、第1の実施形態における偽造判定システムの構成ブロック図である。端末10とサーバ51がネットワーク52を介して接続される場合を説明する。
【0051】
第1の実施形態における端末10は、レンズによる像が結像されるCCD(Charge Coupled Devices)センサ31と、CCDセンサ31からの電気信号を画像フォーマットに変換する画像処理部32の他、制御部33を備える。端末10の制御部33は、判定に使用する部分のモアレ縞の画像データから識別コードを生成するコード化部331を含む。
【0052】
サーバ51は、制御部41、記憶部42を備え、サーバ51の記憶部42には、予め、クレジットカードの発行時に登録されるカード識別番号と、クレジットカードに生じるモアレ縞に基づき生成される識別コードが、判定に使用される部分の位置として指定される可能性のある候補位置毎に対応付けられる登録データ表421と、モアレ縞の全体画像のうち、判定に使用する部分の位置をランダムに指定するのに使用される位置指定表422が格納される。サーバ51の制御部41は、モアレ縞の画像データから生成される識別コードに基づき端末10に挿入されたクレジットカードの真贋を判定する偽造判定部411、登録された対象物が持つモアレ縞から識別コードを生成し、予め記憶部42に格納するコード化部412、判定に使用する部分の位置をランダムに指定する位置指定部413を含む。
【0053】
制御部33、制御部41は、それぞれ図示省略されたCPUを有している。そして、制御部33、制御部41に含まれる機能ブロック(コード化部331、偽造判定部411、コード化部412、位置指定部413)は、端末10において図示省略された記憶部、そして記憶部42に格納される制御部プログラムを実行することにより、プログラムとして実現される。
【0054】
図14は、CCDイメージセンサ31における読み取り方法を説明する図である。図14は、図2におけるクレジットカード1のPQ方向の断面図を示している。図14Aにおいて、クレジットカード1には図2における領域2に対応する箇所にモアレチップ75(図3B、図4B参照)が埋め込まれている。モアレチップ75の下部には光源71が配置され、光源からの光がモアレチップ75を通過して、カメラユニット79に含まれるレンズ72に入射し、CCDイメージセンサ31で結像することで、モアレチップ75に生じるモアレ縞を読み取ることができる。
【0055】
図14Bにおいて、クレジットカード1には図2における領域2に対応する箇所にモアレシール76(図3C、図4C参照)が付着されている。モアレシール76の上方に光源71が配置され、光源からの光が、モアレシール76とクレジットカード表面との付着面に設けられる反射部材77(例えばアルミ箔)により反射され、カメラユニット79に含まれるレンズ72に入射し、CCDイメージセンサ31で結像することで、モアレシール76に生じるモアレ縞を読み取ることができる。
【0056】
図15は、記憶部42に格納される登録データ表421のデータ構成例を示す図である。登録データ表は、「カード識別番号」「指定位置番号」「識別コード」というデータ項目を含む。
【0057】
「カード識別番号」は、クレジットカードを識別するための管理番号であって、ここでは、16桁の数字である。図15においては、見易さのために、4桁ずつ区切って描いている。
【0058】
「指定位置番号」は、位置指定部413がランダムに指定する位置を識別する番号であって、後述する(図16の)位置指定表422によって、1つの指定位置番号により判定に使用する部分の位置が特定されることになる。「識別コード」は、クレジットカードに生じるモアレ縞のうち、「位置指定番号」により特定される部分画像の画像データから生成される情報コードである。
【0059】
識別コードは、各クレジットカードに対し、同じ位置を指定したとき重複しないようにコード化される。すなわち、指定位置番号が1のとき、図15でいうカード識別番号が「1000 0000 0000 0123」と、「1000 0000 0000 1123」に対応する識別コード(それぞれ「101010」、「101110」)は重複しない。図15の識別コードは6桁であるが、桁数は識別性に影響がなければ何桁でも構わない。登録データ表421を参照すれば、登録された(正規の)クレジットカードのカード識別番号とそのクレジットカードが持つモアレ縞から生成される識別コードを、判定に使用する位置毎に得ることができる。
【0060】
図16は、位置指定部413が判定に使用する部分の位置を指定する際に使用する位置指定表422のデータ構成例を示す図である。位置指定表は、「番号」「位置」というデータ項目を含む。
【0061】
「位置指定番号」は、各データエントリを識別するための番号である。位置指定部413は、乱数を発生させ、発生した乱数に一致する「位置指定番号」のデータエントリの「位置」を指定することによって、判定に使用する部分の位置をランダムに指定することができる。乱数に対応するエントリを特定するためにこの「位置指定番号」を使用することができる。
【0062】
「位置」は、モアレ縞の全体画像に座標軸を導入し、その座標によって、判定に使用する部分の位置を特定するための情報である。図16においては、座標軸として直交するx軸、y軸を導入したときの関数として「位置」が表されている。一般化すると、任意の次元の関数であるf(x、y)=0により線が指定され、f(x、y)により領域が指定される。
【0063】
座標系の導入の方法は、一例として図6や図7に示した通りである。図16には、「位置」として、y軸に平行な線(「番号」が1のデータエントリ)、x軸に平行な線(「番号」が2のデータエントリ)、1次関数(「番号」が3のデータエントリ)、2次関数(「番号」が4のデータエントリ)が指定される。また、2次関数の下側領域(「番号」が5のデータエントリ)、円の内部領域(「番号」が6のデータエントリ)、楕円の外部領域(「番号」が7のデータエントリ)なども指定されている。
【0064】
図13に戻り、各部の機能をデータの流れに沿って説明する。第1の実施形態において、CCDイメージセンサ31は、まず全体画像撮像部として、端末10に挿入されたクレジットカード1に生じるモアレ縞の全体画像(つまり、領域2を真上から見た様子)を撮像すると共に、読み出し部としてエンボス加工されたカード識別番号5を撮像し、両者を画像処理部32に出力する(M1)。画像処理部32は、パターン認識処理を行い、挿入されたクレジットカード1に記載されたカード識別番号を抽出し、偽造判定部411に与える(M2)。
【0065】
偽造判定部411は、与えられたカード識別番号が登録データ表421に格納されているかを確認する。格納されていない場合、偽造判定部411は、偽物と判定し、端末10に判定結果を送信する(M6)。格納されている場合、偽造判定部411は、判定に使用する部分を指定するため位置指定部413を起動する(M2)。
【0066】
位置指定部413は、位置指定表422を参照して、判定に使用する部分の位置を指定して端末10の画像処理部32に送信すると共にその位置指定番号を偽造判定部411に出力する(M3)。画像処理部32は、ステップM1で撮像されたモアレ縞の全体画像の画像データのうち、受信した指定部分位置に該当する部分を抽出してコード化部331に出力する(M4)。
【0067】
コード化部331は、画像処理部32より入力される部分画像の画像データをコード化して、識別コードとしてサーバ51の偽造判定部411に送信する(M5)。コード化のアルゴリズムは、図6や図7において説明したように、端末10とサーバ51で同じくしておけば何を使用してもよい。
【0068】
一方、サーバ51では、ステップM3で位置指定部413より指定位置番号が入力されると、偽造判定部411が、ステップM2で与えられるカード識別番号をキーとして記憶部42の登録データ表421を参照し、更に、指定位置番号により該当する識別コードを特定する。そして、偽造判定部411は、ステップM5で端末10のコード化部331より入力される識別コードと、記憶部42を参照して特定された識別コードとを比較し、一致すればクレジットカードは本物、一致しなければ偽物と判定し、判定結果を端末10に送信する(M6)。
【0069】
以上に説明した流れを各部の動作に分解し、チャートにしたものが次図である。簡単に触れておく。
【0070】
図17は、第1の実施形態における偽造判定システムの動作を詳細に説明するフローチャートである。まず、予め、サーバ51のコード化部412が、記憶部42に、正規に発行されたクレジットカードの識別番号と、そのカードが持つモアレ縞から生成される識別コードとを、判定に使用される部分の位置として指定される可能性のある候補位置毎に対応付けて、登録でータ表として格納する(S100)。
【0071】
そして、CCDイメージセンサ31により端末10に挿入されたクレジットカード1に生じるモアレ縞の全体画像とエンボス加工されたカード識別番号5が撮像され、画像素子が感知する光が電気信号に変換され画像処理部32に入力される(S102)。画像処理部32は、パターン認識処理を行い、挿入されたクレジットカード1に記載されたカード識別番号を読み出し、偽造判定部411に送信する(S104)。
【0072】
偽造判定部411は、与えられたカード識別番号が登録データ表421に格納されているかを確認する(S106)。格納されていない場合(S106No)、偽造判定部411は、偽物と判定し、端末10に判定結果を送信する(S120)。格納されている場合(S106Yes)、偽造判定部411は、判定に使用する部分を指定するため位置指定部413を起動するための信号を出力する。
【0073】
位置指定部413は、位置指定表422を参照して、判定に使用する部分の位置を指定して端末10の画像処理部32に送信すると共にその指定位置番号を偽造判定部411に出力する(S108)。画像処理部32は、ステップS102で撮像されたモアレ縞の全体画像の画像データのうち、受信した指定部分位置に該当する部分を抽出してコード化部331に出力する(S110)。コード化部331は、画像処理部32より入力される部分画像の画像データをコード化して、識別コードとしてサーバ51の偽造判定部411に送信する(S112)。
【0074】
一方、サーバ51では、ステップS104で与えられるカード識別番号をキーとして記憶部42の登録データ表421を参照し、更に、ステップS108で与えられる指定位置番号により該当する識別コードを特定する(S114)。そして、偽造判定部411は、ステップS112で端末10のコード化部331より入力される識別コードと、ステップS114で特定された識別コードとを比較し、一致すれば(S116Yes)クレジットカードは本物と判定する(S118)。一致しなければ(S116No)偽物と判定し(S120)、判定結果を端末10に送信する。
【0075】
以上に説明した第1の実施形態によれば、端末10は偽造判定を行わず、端末10が読み取ったモアレ縞に基づき生成される識別コードをサーバ51に送信し、偽造判定結果をサーバ51から受信することになる。ネットワーク52を介して送信するのは、モアレ縞のうち、判定に使用する部分の画像データに基づく識別コードであるため、ネットワークの盗聴や端末の盗難といった情報漏洩のリスクに対抗することができる。
【0076】
なぜなら、店頭に設置される端末10と、サーバ51間の通信が盗聴されたとしても、そこから得られる情報(カード識別番号、指定部分位置、部分画像データに基づき生成される識別コード)だけでは、偽造判定を突破することはできないからである。識別コードだけでは、モアレ縞の全体画像データが得られないことと、位置指定部411が指定する、判定に使用する部分はランダムに毎回変化するため、仮に、第3者が不正に全体画像データを得たとしても、次にどの部分が判定に使用されるかは不明なことが、暗号化を不要にすることに寄与している。
【0077】
こうして、サーバ51、端末10双方において、暗号化が省略されることにより、従来より簡易な偽造判定を行うことを可能にすると共に、サーバ、端末双方の設備を単純化、小型化、軽量化、汎用化することができる。
【0078】
続いて第1の実施形態の変形例を説明する。第1の実施形態においては、予め記憶部42に対象物が持つモアレ縞から生成される識別コードが、判定に使用される部分の位置として指定される可能性のある候補位置毎に格納されていたが、第1の変形例ではコード化部412が判定の都度、識別コードを生成する。
【0079】
図18は、第1の変形例における偽造判定システムの動作を説明するフローチャートである。第1の実施形態と同様の動作をするステップには、同じステップ番号を振り、説明は省略するものとする。
【0080】
まず、サーバ51の記憶部に、正規に発行されたクレジットカードの識別番号と、そのカードが持つモアレ縞の全体画像の画像データを対応付けて格納しておく(S21)。ここでは、カード識別番号に対応付けられるのは、識別コードではなく、全体画像の画像データになる。
【0081】
そして、利用者が店頭での支払いにクレジットカードを利用する場合、この店頭端末10にクレジットカード1が挿入され、カード識別番号が読み出される(S2)。読み出された識別番号は、端末10からネットワーク52を介してサーバ51に送信され、サーバ51は受信した識別番号が、ステップS1で記憶部に格納された識別番号と一致するかを確認し、正規に発行されたクレジットカードかを判定する(S3)。サーバ51は、一致する識別番号があれば(S3Yes)、正規に発行されたクレジットカードと判定し、一致する識別番号がなければ、偽物と判定する(S9)。
【0082】
ステップS3で正規に発行されたクレジットカードと判定すると、サーバ51は、モアレ縞のどの部分を判定に使用するか、その位置を指定し、端末10に送信する(S4)。そして、端末10は、判定に使用する部分の位置を受信すると、挿入されたクレジットカードが持つモアレ縞から、指定された部分の画像データを抽出する(S5)。
【0083】
そして、サーバ51も同様に、記憶部を参照して、ステップS3で受信した識別番号に対応するモアレ縞の全体画像を特定し、特定された全体画像の画像データから、自らが指定した部分の画像データを抽出する(S22)。第1の実施形態と異なり、識別データを生成するための部分画像データがここで抽出される。
【0084】
続いて、ステップS5、ステップS22で得られた部分画像の画像データが共にコード化される(S23)。端末10は、挿入されたクレジットカードが持つモアレ縞から生成された識別コードをサーバ51に送信し、サーバ51は、受信した識別コードと、自ら記憶部を参照して生成した識別コードとを比較する(S7)。
【0085】
両者が一致すれば(S7Yes)、サーバ51は、端末10に挿入されたクレジットカードは本物と判定し(S8)、一致しなければ(S7No)、サーバ51は、偽物と判定する(S9)。
ステップS8又はステップS9により判定結果が明らかとなれば、サーバ51はその判定結果を端末10に通知し、端末10は、表示部11に判定結果を表示する。
【0086】
図19は、第1の変形例における偽造判定システムの構成ブロック図である。端末10とサーバ51がネットワーク52を介して接続される場合を説明する。第1の変形例における偽造判定システムの構成は、データの形式と流れが一部異なる以外は、第1の実施形態と同じである。
【0087】
以下、その違いとなるデータに注目して説明する。そこで、まず、第1の実施形態とデータ形式が異なる登録データ表について説明する。
【0088】
図20は、第1の変形例における記憶部42に格納される登録データ表421のデータ構成例を示す図である。登録データ表は、「カード識別番号」「画像データファイル」というデータ項目を含む。
【0089】
「カード識別番号」は、クレジットカードを識別するための管理番号であって、ここでは、16桁の数字である。図20においては、見易さのために、4桁ずつ区切って描いている。
【0090】
「画像データファイル」は、「カード識別番号」によって特定されるクレジットカードが持つモアレ縞の全体画像を記憶した画像データの記憶部42における格納先を示すパスである。図20では、ファイル名のみが描かれるが、ディレクトリ名が含まれていてよい。本発明は、画像データのファイル形式には捉われないが、図20は、JPEG(Joint Photographic Experts Group)形式の画像データが格納されることを示す。画像フォーマットとしては、他に、RAWイメージフォーマット、TIFF(Tag Image File Format)、GIF(Graphic Interchange Format)、BMP(Bit MaP)等があり、そのいずれを用いてもよい。
【0091】
登録データ表421を参照すれば、登録された(正規の)クレジットカードのカード識別番号とそのクレジットカードが持つモアレ縞の全体画像(の画像データ)を得ることができる。特に、カード識別番号をキーとして参照すれば、対応するクレジットカードが持つモアレ縞の全体画像データにすばやくアクセスできる。
【0092】
図19に戻り、各部の機能をデータの流れに沿って説明する。第1の変形例において、CCDイメージセンサ31は、まず全体画像撮像部として、端末10に挿入されたクレジットカード1に生じるモアレ縞の全体画像(つまり、領域2を真上から見た様子)を撮像すると共に、読み出し部としてエンボス加工されたカード識別番号5を撮像し、両者を画像処理部32に出力する(M11)。画像処理部32は、パターン認識処理を行い、挿入されたクレジットカード1に記載されたカード識別番号を抽出し、偽造判定部411に与える(M12)。
【0093】
偽造判定部411は、与えられたカード識別番号が登録データ表421に格納されているかを確認する。格納されていない場合、偽造判定部411は、偽物と判定し、端末10に判定結果を送信する(M17)。格納されている場合、偽造判定部411は、判定に使用する部分を指定するため位置指定部413を起動する(M12)。
【0094】
位置指定部413は、位置指定表422を参照して、判定に使用する部分の位置を指定して端末10の画像処理部32に送信すると共にコード化処理部412に出力する(M13)。画像処理部32は、ステップM11で撮像されたモアレ縞の全体画像の画像データのうち、受信した指定部分位置に該当する部分を抽出してコード化部331に出力する(M14)。
【0095】
コード化部331は、画像処理部32より入力される部分画像の画像データをコード化して、識別コードとしてサーバ51の偽造判定部411に送信する(M15)。コード化のアルゴリズムは、図6等において説明したように、端末10とサーバ51で同じくしておけば何を使用してもよい。
【0096】
一方、サーバ51では、ステップM13で位置指定部413より指定部分位置が入力されると、コード化部412が、ステップM12で与えられるカード識別番号をキーとして記憶部42の登録データ表421(図20)を参照し、端末10に挿入されたクレジットカード1の全体画像の画像データを特定する。そして、特定された画像データから、位置指定部413より入力された指定部分位置に対応する部分画像の画像データを抽出し、端末10のコード化部331と同様に、識別コードを生成し、偽造判定部411に出力する(M16)。
【0097】
偽造判定部411は、ステップM15で端末10のコード化部331より入力される識別コードと、ステップM16でサーバ51のコード化部412より入力される識別コードとを比較し、一致すればクレジットカードは本物、一致しなければ偽物と判定し、判定結果を端末10に送信する(M17)。
【0098】
図21は、第1の変形例における偽造判定システムの動作を詳細に説明するフローチャートである。まず、CCDイメージセンサ31により端末10に挿入されたクレジットカード1に生じるモアレ縞の全体画像とエンボス加工されたカード識別番号5が撮像され、画像素子が感知する光が電気信号に変換され画像処理部32に入力される(S102)。画像処理部32は、パターン認識処理を行い、挿入されたクレジットカード1に記載されたカード識別番号を読み出し、偽造判定部411に送信する(S104)。
【0099】
偽造判定部411は、与えられたカード識別番号が登録データ表421に格納されているかを確認する(S106)。格納されていない場合(S106No)、偽造判定部411は、偽物と判定し、端末10に判定結果を送信する(S120)。格納されている場合(S106Yes)、偽造判定部411は、判定に使用する部分を指定するため位置指定部413を起動するための信号を出力する。
【0100】
位置指定部413は、位置指定表422を参照して、判定に使用する部分の位置を指定して端末10の画像処理部32に送信すると共にコード化処理部412に出力する(S108)。画像処理部32は、ステップS102で撮像されたモアレ縞の全体画像の画像データのうち、受信した指定部分位置に該当する部分を抽出してコード化部331に出力する(S110)。コード化部331は、画像処理部32より入力される部分画像の画像データをコード化して、識別コードとしてサーバ51の偽造判定部411に送信する(S112)。
【0101】
一方、サーバ51では、ステップS108で位置指定部413より指定部分位置が入力されると、コード化部412が、ステップS104で与えられるカード識別番号をキーとして記憶部42の登録データ表421を参照し、端末10に挿入されたクレジットカード1の全体画像の画像データを特定する。そして、特定された画像データから、位置指定部413より入力された指定部分位置に対応する部分画像の画像データを抽出し、端末10のコード化部331と同様に、識別コードを生成し、偽造判定部411に出力する(S111)。
【0102】
偽造判定部411は、ステップS112で端末10のコード化部331より入力される識別コードと、ステップS111でサーバ51のコード化部412より入力される識別コードとを比較し、一致すれば(S116Yes)クレジットカードは本物と判定する(S118)。一致しなければ(S116No)偽物と判定し(S120)、判定結果を端末10に送信する。
【0103】
以上に説明した第1の変形例においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0104】
次に、第1の実施形態の第2の変形例を説明する。第1の変形例においては、端末10に挿入されたクレジットカードが持つモアレ縞の全体画像を撮像し、そこから部分画像を抽出したが、第2の変形例は、クレジットカードのモアレ縞のうち、判定に使用する部分だけを撮像することにより、第1の変形例よりもセキュリティを高めるものである。
【0105】
図22は、第2の変形例における偽造判定システムの構成ブロック図である。本変形例においては、CCDイメージセンサ31が、クレジットカードが持つモアレ縞の部分画像を撮像するための部分画像撮像部として機能する点が第1の変形例(図19)と異なる。このため、撮像前に位置指定部413より撮像部分の位置が指定される。また、本変形例の偽造判定装置10においては、カメラユニットを移動して撮像箇所を変えることができるよう構成されている。
【0106】
構成上の違いは以上であり、以下本変形例における各部の機能をデータの流れに沿って説明する。まず、CCDイメージセンサ31は、読み出し部としてエンボス加工されたカード識別番号5を撮像し、両者を画像処理部32に出力する(M21)。画像処理部32は、パターン認識処理を行い、挿入されたクレジットカード1に記載されたカード識別番号を抽出し、偽造判定部411に与える(M22)。
【0107】
偽造判定部411は、与えられたカード識別番号が登録データ表421に格納されているかを確認する。格納されていない場合、偽造判定部411は、偽物と判定し、端末10に判定結果を送信する(M29)。格納されている場合、偽造判定部411は、判定に使用する部分を指定するため位置指定部413を起動する(M22)。
【0108】
位置指定部413は、位置指定表422を参照して、判定に使用する部分の位置を指定して端末10に送信すると共にコード化処理部412に出力する(M23)。サーバ51より指定部分位置を受信すると、端末10の制御部33は、受信した指定部分位置に対応する部分をレンズが捉えるよう、レンズや画像素子を含むカメラユニットを移動する信号を出力する(M24)。
【0109】
CCDイメージセンサ31は、部分画像撮像部として、挿入されたクレジットカード1に生じるモアレ縞のうち、受信した指定部分位置の画像を撮像し、画像処理部32に出力する(M25)。画像処理部32は、CCDイメージセンサ31が撮像するモアレ縞の部分画像の画像データをコード化部331に出力する(M26)。
【0110】
コード化部331は、画像処理部32より入力される部分画像の画像データをコード化して、識別コードとしてサーバ51の偽造判定部411に送信する(M27)。コード化のアルゴリズムは、図6等において説明したように、端末10とサーバ51で同じくしておけば何を使用してもよい。
【0111】
一方、サーバ51では、ステップM23で位置指定部413より指定部分位置が入力されると、コード化部412が、ステップM22で与えられるカード識別番号をキーとして記憶部42の登録データ表421を参照し、端末10に挿入されたクレジットカード1の全体画像の画像データを特定する。そして、特定された画像データから、位置指定部413より入力された指定部分位置に対応する部分画像の画像データを抽出し、端末10のコード化部331と同様に、識別コードを生成し、偽造判定部411に出力する(M28)。
【0112】
偽造判定部411は、ステップM27で端末10のコード化部331より入力される識別コードと、ステップM28でサーバ51のコード化部412より入力される識別コードとを比較し、一致すればクレジットカードは本物、一致しなければ偽物と判定し、判定結果を端末10に送信する(M29)。
【0113】
以上に説明した流れをチャートにしたものが次図である。簡単に触れておく。
【0114】
図23は、第2の変形例における偽造判定システムの動作を詳細に説明するフローチャートである。まず、CCDイメージセンサ31によりエンボス加工されたカード識別番号5が撮像され、画像素子が感知する光が電気信号に変換され画像処理部32に入力される。画像処理部32は、パターン認識処理を行い、挿入されたクレジットカード1に記載されたカード識別番号を読み出し、偽造判定部411に送信する(S104)。
【0115】
偽造判定部411は、与えられたカード識別番号が登録データ表421に格納されているかを確認する(S106)。格納されていない場合(S106No)、偽造判定部411は、偽物と判定し、端末10に判定結果を送信する(S120)。格納されている場合(S106Yes)、偽造判定部411は、判定に使用する部分を指定するため位置指定部413を起動するための信号を出力する。
【0116】
位置指定部413は、位置指定表422を参照して、判定に使用する部分の位置を指定して端末10の画像処理部32に送信すると共にコード化処理部412に出力する(S108)。
サーバ51より指定部分位置を受信すると、端末10の制御部33は、受信した指定部分位置に対応する部分をレンズが捉えるよう、レンズや画像素子を含むカメラユニットを移動する信号を出力する。
【0117】
そして、CCDイメージセンサ31により、挿入されたクレジットカード1に生じるモアレ縞のうち、受信した指定部分位置の画像が撮像され、画像素子が感知する光が電気信号に変換され画像処理部32に入力される(S109)。画像処理部32は、CCDイメージセンサ31が撮像するモアレ縞の部分画像の画像データをコード化部331に出力する(S110)。コード化部331は、画像処理部32より入力される部分画像の画像データをコード化して、識別コードとしてサーバ51の偽造判定部411に送信する(S112)。以降サーバでの処理は、第1の変形例(図21)と同じであり省略する。
【0118】
以上第2の変形例においても、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、端末10で撮像されるのはモアレ縞の部分画像であることから、仮に端末10が盗難されてもモアレ縞の全体画像の画像データが漏洩せず、セキュリティが高められる。
【0119】
以上に述べた第1の実施形態及びその変形例においては、端末10に含まれるCCDイメージセンサ31及び画像処理部32をモジュール化することにより、既存のキャッシュディスペンサや、クレジットカード利用時の決済端末に偽造判定機能を組み込んでもよい。また、図1に示されるように、デスクトップPC、ノートブックPC、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)等の情報処理装置53に上記モジュールを外付けユニット54として接続し、本実施形態の端末10として機能させることも可能である。
【0120】
また、カード識別番号を読み出す読み出し部としてCCDイメージセンサ31を用いて、クレジットカード表面のエンボス加工文字を読み取ることを説明したが、偽造判定装置10が磁気ストライプリーダやICチップリーダを有していれば、それらを用いて、データとして(ICチップや磁気ストライプに)格納されているカード識別番号を読み出して制御部41に与えてもよい。また、CCDイメージセンサ31は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等他の画像素子でもよい。また、制御部41に含まれる機能ブロック(偽造判定部411、位置指定部413)は、ハードウェアとして実現してもよい。
【0121】
更に、サーバ51の記憶部42に、各端末に含まれるレンズの少なくとも球面収差又は倍率を格納しておき、位置指定部413が指定部分位置を画像処理部32に送信するとき、球面収差又は倍率も送信し、画像処理部413がそれに従って部分画像の画像データを補正してその後の処理を行ってもよい。
【0122】
第1の実施形態は、主にクレジットカードやキャッシュカード、パスポートなど、扱う情報が高度であり、高いセキュリティが要求され、更に、登録データ表に格納されるデータエントリ数が膨大なものに適用が見込まれる。しかし、映画館の入場チケットや、コンサートの入場チケット等であれば、必要な情報は、高々ツアー名や会場名、日時、映画のタイトル名、映画館の場所といった割と低度なものであり、データエントリ数もそれほど多くない。
【0123】
後者のような対象物に対しては、第1の実施形態のようなネットワークを介する大規模な構成とするのではなく、ローカルで単体の偽造判定装置として偽造判定を行うことも可能である。この場合、ネットワークを介したデータ送受信がなく、装置単体でデータの授受が閉じているため、コード化の必要がない。この偽造判定装置について第2の実施形態で説明する。
【0124】
図24は、第2の実施形態における偽造判定装置の構成ブロック図である。ここでは、対象物としてコンサートチケットが使用される場合を説明する。
【0125】
コンサートチケットにも、図2に示されるクレジットカード同様、領域2にモアレ縞を生じさせるランダムパターン部材が配置されているものとする。また、エンボス加工ではないものの、所定位置にチケットを識別するシリアル番号が印字されており、画像処理によってシリアル番号を読み出すことができるようになっている。
【0126】
また、第2の実施形態における偽造判定装置100は、図示省略された、チケットを挿入する挿入口を備え、レンズによる像が結像されるCCD(Charge Coupled Devices)センサ31と、CCDセンサ31からの電気信号を画像フォーマットに変換する画像処理部32の他、制御部41、記憶部42から構成される。
【0127】
記憶部42には、予め、コンサートチケットの発行時に登録されるシリアル番号と、コンサートチケットに生じるモアレ縞の全体画像の画像データが対応付けられる登録データ表421と、モアレ縞の全体画像のうち、判定に使用する部分の位置をランダムに指定するのに使用される位置指定表422が格納される。制御部41は、判定に使用する部分の位置をランダムに指定する位置指定部413と、モアレ縞の画像データに基づき偽造判定装置10に挿入されたチケットの真贋を判定する偽造判定部411を含む。制御部41は、図示省略されたCPUを有しており、制御部41に含まれる機能ブロック(偽造判定部411、位置指定部413)は、記憶部42に格納される制御部プログラムを実行することにより、プログラムとして実現される。
【0128】
第2の実施形態において、CCDイメージセンサ31は、まず全体画像撮像部として、挿入されたチケットに生じるモアレ縞の全体画像(つまり、領域2を真上から見た様子)を撮像し、画像処理部32に出力する(M31)。画像処理部32は、CCDイメージセンサ31が撮像するモアレ縞の全体画像の画像データを位置指定部413に出力する(M32)。
【0129】
位置指定部413は、位置指定表422を参照して、判定に使用する部分の位置を指定して偽造判定部411に出力すると共に、画像処理部32から入力された全体画像の画像データのうち、該当する部分を抽出して同じく偽造判定部411に出力する(M33)。偽造判定部411は、登録データ表421から全体画像の画像データを読み出し、位置指定部413から入力された指定位置に対応する部分の画像データが、位置指定部413により抽出された部分の画像データと一致するものがあるかを確認する。一致するものが登録データ表421に格納されていれば、挿入されたチケットは本物と判定され、一致するものが登録データ表421に格納されていなければ、挿入されたチケットは偽物と判定され、偽造判定部411は、判定結果を図示省略された表示部に表示するためのデータを出力する。
【0130】
なお、偽造判定部411が登録データ表421に格納された全体画像の画像データを1つずつ読み出して比較するのでは件数が膨大な場合処理に時間を要するため、次のようにして処理を高速化してもよい。CCDイメージセンサ31は、ここではシリアル番号を読み出す読み出し部として、モアレ縞の撮像とは別に、所定位置に印字されるシリアル番号を撮像して画像処理部32に出力する。画像処理部32は、パターン認識処理を行い、チケットを特定するシリアル番号を抽出し、制御部41に与える。
【0131】
制御部41では、偽造判定部411が判定処理を行う際、与えられたシリアル番号をキーとして登録データ表421を検索し、対応する全体画像の画像データと、上記ステップM23にて位置指定部413により抽出された部分の画像データと一致するかを判定する。こうすると、一度の判定で、挿入されたチケットの偽造判定を行うことができる。
【0132】
ここでは、読み出し部としてCCDイメージセンサ31を用いて、所定位置に印字されたシリアル番号を読み取ることを説明したが、偽造判定装置100が磁気ストライプリーダやICチップリーダを有しており、シリアル番号がチケットに設けられた磁気ストライプやICチップにデータとして格納されているならば、それらを用いて、データとして格納されているシリアル番号を読み出して制御部41に与えてもよい。また、図24のCCDイメージセンサは、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等他の画像素子でもよい。また、制御部41に含まれる機能ブロック(偽造判定部411、位置指定部413)は、ハードウェアとして実現してもよい。
【0133】
記憶部42に格納される登録データ表421や位置指定表422のデータ構成は、第1の実子形態と同じである。以上に説明した構成やデータを基に、偽造判定装置100の動作を説明する。
【0134】
図25は、第2の実施形態における偽造判定装置の動作を説明するフローチャートである。まず、CCDイメージセンサ31により偽造判定装置100に挿入されたチケットが持つモアレ縞の全体画像が撮像され、画像素子が感知する光が電気信号に変換され画像処理部32に入力される(S31)。画像処理部32は、それを画像フォーマットに変換し、画像データとして位置指定部413に出力する(S33)。
【0135】
位置指定部413は、位置指定表422を参照し、判定に使用する部分の位置をランダムに指定し、指定部分位置をステップS33で出力された全体画像の画像データと共に偽造判定部411に出力する(S35)。例えば、位置指定部413は、乱数を発生し、その乱数に一致する「番号」のデータエントリの「位置」を上記部分位置として指定すればよい。
【0136】
偽造判定部413は、入力された全体画像の画像データから、指定部分位置の部分画像の画像データを抽出する(S37)。ステップS37におけるデータの抽出法は、第1の実施形態におけるステップS110と同じようにすればよい。
【0137】
次に、偽造判定部413は、登録データ表421に格納された全体画像の画像データそれぞれに対し、ステップS37と同様にして、位置指定部413より入力される指定部分位置に対応する部分画像の画像データを抽出する。そして、偽造判定部411は、ステップS37で抽出された部分画像の画像データと、登録データ表421から抽出される部分画像の画像データとを比較し、一致するものがあるかを確認する(S39)。
【0138】
一致するものがあれば(S39Yes)、偽造判定部411は、偽造判定装置100に挿入されたチケットを本物と判定する(S41)。一致するものがなければ(S39No)、偽物と判定する(S41)。本物、偽物の判定が完了すると、偽造判定部411は、判定結果を出力し、処理を終了する。
【0139】
なお、図25には図示していないが、読み出し部31が読み出すシリアル番号を利用して、上記ステップS39において、登録データ表421に格納された画像データのうち、読み出されたシリアル番号に対応する画像データを判定対象とすることで処理を高速化することもできる。
【0140】
以上に説明した第2の実施形態によれば、複製が困難なモアレ縞の部分画像データを偽造判定に使用することにより、コード化処理を行う必要がない。また、データの授受は偽造判定装置内で閉じており、特に暗号化処理を行う必要もない。こうして、コード化、暗号化が省略されることにより、従来より簡易な(計算量の少ない)偽造判定を行うことを可能にする。もちろん、コード化を行ってもよい。その場合でも、暗号化の必要はなく、従来より簡易な偽造判定を行うことを可能にすることに変わりはない。更に、CCDイメージセンサが読み取り可能な状態で、偽造判定装置にモアレ縞を与えることができなければ、偽造されたコンサートチケットによって偽造判定装置を突破することはできず、モアレ縞が持つ複製の困難性を活用できる。
【0141】
続いて、第2の実施形態の変形例を説明する。第2の実施形態においては、挿入されたチケットが持つモアレ縞の全体画像を撮像し、そこから部分画像を抽出したが、第2の実施形態の変形例は、各チケットのモアレ縞のうち、判定に使用する部分だけを撮像することにより、第2の実施形態よりもセキュリティを高めるものである。
【0142】
図26は、第2の実施形態の変形例における偽造判定装置の構成ブロック図である。以下、第2の実施形態における偽造判定装置100(図24)との違いについてだけ説明する。
【0143】
本変形例においては、CCDイメージセンサ31が、チケットが持つモアレ縞の部分画像を撮像するための部分画像撮像部として機能する点が異なる。このため、撮像前に位置指定部413より撮像部分の位置が指定される。また、本変形例の偽造判定装置100においては、カメラユニットを移動して撮像箇所を変えることができるよう構成されている。
【0144】
まず、CCDイメージセンサ31により偽造判定装置100へのコンサートチケットの挿入が検知されると、対象物のセット通知が位置指定部413に入力される(M41)。位置指定部413は、位置指定表422を参照し、判定に使用する部分の位置をランダムに指定し、レンズが該当部分を捉えるよう、レンズや画像素子を含むカメラユニットを移動する信号を出力すると共に、指定部分位置を偽造判定部411に出力する(M42)。
【0145】
CCDイメージセンサ31は、部分画像撮像部として、挿入されたチケットに生じるモアレ縞のうち、位置指定部413により指定された部分の画像を撮像し、画像処理部32に出力する(M43)。画像処理部32は、CCDイメージセンサ31が撮像するモアレ縞の部分画像の画像データを偽造判定部411に出力する(M44)。
【0146】
偽造判定部411は、登録データ表421から全体画像の画像データを読み出し、位置指定部413から入力された指定位置に対応する部分の画像データが、入力された部分画像の画像データと一致するものがあるかを確認する。一致するものが登録データ表421に格納されていれば、挿入されたチケットは本物と判定され、一致するものが登録データ表421に格納されていなければ、挿入されたチケットは偽物と判定され、偽造判定部411は、判定結果を図示省略された表示部に表示するためのデータを出力する。
【0147】
なお、第2の実施形態同様、カード識別番号を使用して処理を高速化してもよい。また、チケットが偽造判定装置100に挿入されたかどうかを検知するには、別のセンサ(例えば赤外センサ)を有していれば、それを用いてもよい。
【0148】
図27は、第2の実施形態の変形例における偽造判定装置の動作を説明するフローチャートである。まず、CCDイメージセンサ31により偽造判定装置100へのチケットの挿入が検知されると、対象物のセット通知が位置指定部413に入力され、位置指定部413は、位置指定表422を参照し、判定に使用する部分の位置をランダムに指定し、レンズが該当部分を捉えるよう、レンズや画像素子を含むカメラユニットを移動する信号を出力すると共に、指定部分位置を偽造判定部411に出力する(S35)。第2の実施形態におけるステップS35(図25参照)と同じく、位置指定部413は、乱数を発生し、ランダムに位置を指定すれば済む。
【0149】
CCDイメージセンサ31により、挿入されたチケットに生じるモアレ縞のうち、位置指定部413により指定された部分の画像が撮像され、画像素子が感知する光が電気信号に変換され画像処理部32に入力される(S36)。画像処理部32は、それを画像フォーマットに変換し、画像データとして偽造判定部411に出力する(S38)。
【0150】
偽造判定部411は、登録データ表421に格納された全体画像の画像データそれぞれに対し、第2の実施形態のステップS37(図25参照)と同様にして、ステップS35で位置指定部413より入力される指定部分位置に対応する部分画像の画像データを抽出する。そして、偽造判定部411は、ステップS38で画像処理部32より入力された部分画像の画像データと、登録データ表421から抽出される部分画像の画像データとを比較し、一致するものがあるかを確認する(S39)。
【0151】
一致するものがあれば(S39Yes)、偽造判定部411は、偽造判定装置10に挿入されたチケットを本物と判定する(S41)。一致するものがなければ(S39No)、偽物と判定する(S43)。本物、偽物の判定が完了すると、偽造判定部411は、判定結果を出力し、処理を終了する。
【0152】
なお、図27には図示していないが、読み出し部31が読み出すシリアル番号を利用して、上記ステップS39において、登録データ表421に格納された画像データのうち、読み出されたシリアル番号に対応する画像データを判定対象とすることで処理を高速化することもできる。
【0153】
第2の実施形態では、何らかの方法で直接的にモアレ縞の全体画像の画像データが制御部33に入力される場合、誤った偽造判定(偽物を本物と判定すること)が行われる可能性があるものの、本変形例によれば、制御部33に入力される画像データが、位置指定部413が指定する部分以外のデータを含んでいる場合や、逆に、位置指定部413が指定する部分のデータを含んでいない場合に、偽物と判定することができるので、よりセキュリティを高めることができる。また、撮像する部分の位置はランダムに変更するものの、撮像する部分の形状を固定するようにすれば(例えば、毎回ランダムに位置を変えながら30ピクセル四方の部分画像を撮像する等)、数万画素分の全体画像を撮像するための画像素子やレンズを用意する必要がなくなり、偽造判定装置を単純化することが可能になる。
【0154】
また、第2の実施形態およびその変形例においては、コード化を省略したが、識別コードによる偽造判定を行いたければ、制御部41にコード化部を設け、挿入されたチケットの部分画像に基づき第1の実施形態同様識別コードをその都度生成することもできるし、予め、生成された識別コードを登録データ表に格納することもできる。
【0155】
なお、本明細書においては、対象物の一例としてクレジットカードやコンサートチケットを取り上げたが、各実施形態において述べていない対象物に適用することが可能である。モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物としては、例えば、キャッシュカード、パスポート、回数券、プリペイドカード、入場券、株券、宝石の鑑定書、紙幣、有名アーティストのコンサートチケット等さまざまな物がある。
【0156】
以上まとめると付記のようになる。
【0157】
(付記1)
モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物がセットされ、該対象物が持つ前記モアレ縞を読み出す端末と、前記端末にネットワークを介して接続され、前記端末が読み出したモアレ縞に基づき前記対象物の真贋を判定するサーバとを備える偽造判定システムであって、
前記端末は、
光学部材と前記光学部材で受ける光を電気信号に変換する画像素子とを含み、前記対象物が持つモアレ縞を撮像する画像撮像部と、
前記サーバから送られる、判定に使用する部分の位置に基づき、前記撮像されたモアレ縞のうち、前記入力された位置に対応する部分画像の画像データを抽出し、前記部分画像の画像データに基づき識別コードを生成して前記サーバに送信する第1のコード化部とを有し、
前記サーバは、
前記判定に使用する部分の位置をランダムに指定し前記端末に送信する位置指定部と、
登録された対象物が持つモアレ縞の全体画像の画像データからそれぞれ、前記位置指定部が指定する可能性のある候補位置に対応する部分画像の画像データを抽出し、該抽出された各画像データに基づき識別コードをそれぞれ生成し、記憶部に予め格納する第2のコード化部と、
前記第2のコード化部が生成する複数の識別コードの中に、前記ランダムに指定された位置に対応する識別コードが、前記端末から送られる前記識別コードと一致するものがあるかを確認し、一致するものがあれば前記対象物を本物と判定し、一致するものがなければ偽物と判定する偽造判定部とを有することを特徴とする偽造判定システム。
【0158】
(付記2)
付記1において、
前記対象物は、更に、該対象物を特定する識別番号が格納された第2の記憶部を有するクレジットカードであって、
前記サーバの記憶部には、前記識別番号と前記第2のコード化部が生成する複数の識別コードとが対応付けられて格納されており、
前記端末は、更に、前記第2の記憶部に格納された前記識別番号を読み出して前記サーバに送信する読み出し部を有し、
前記偽造判定部は、前記第2のコード化部が生成する複数の識別コードから、前記端末から送られる前記識別番号と前記ランダムに指定された位置とに基づき識別コードを特定し、前記特定された識別コードと、前記端末より入力される前記識別コードとが一致するかを確認して、判定を行うことを特徴とする偽造判定システム。
【0159】
(付記3)
付記1又は2において、
前記位置指定部は、前記モアレ縞の全体画像にxy座標軸を導入してできる2次元平面における任意の次元の関数f(x、y)を生成し、前記生成される関数f(x、y)に基づき決定される境界線、つまり{(x、y)|f(x、y)=0}又は領域、つまり{(x、y)|f(x、y)<0}あるいは{(x、y)|f(x、y)>0}を前記判定に使用する部分の位置として指定することを特徴とする偽造判定システム。
【0160】
(付記4)
付記1又は2において、
前記偽造判定部は、前記判定に使用する部分を複数組み合わせて厳密な判定を行うことを特徴とする偽造判定システム。
【0161】
(付記5)
付記1又は2において、
前記サーバの記憶部には、少なくとも前記光学部材の球面収差又は倍率が予め格納されており、
前記第2のコード化部は、前記球面収差又は倍率に基づき、前記部分画像の画像データを補正することを特徴とする偽造判定システム。
【0162】
(付記6)
付記1又は2において、
前記対象物には、更に、少なくとも絵、文字、数字、バーコード、紋様のいずれかの図柄が描かれる図柄部材が、前記ランダムパターン部材と層状に配置されることを特徴とする偽造判定システム。
【0163】
(付記7)
モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物の真贋を判定する偽造判定方法であって、
登録された対象物が持つモアレ縞の全体画像の画像データからそれぞれ、判定に使用する部分の位置として指定される可能性のある候補位置に対応する部分画像の画像データが抽出され、該抽出された各画像データに基づき識別コードがそれぞれ生成され、予め記憶される記憶ステップと、
前記対象物が持つモアレ縞が撮像され、前記撮像されたモアレ縞のうち、判定に使用する部分の位置がランダムに指定されるステップと、
前記ランダムに指定された位置に対応する前記モアレ縞の部分画像の画像データが抽出され、前記抽出された画像データに基づき識別コードが生成されるコード化ステップと、
前記記憶ステップにおいて生成される複数の識別コードの中に、前記コード化ステップにおいて生成される識別コードと一致するものがあるかが確認され、一致するものがあれば前記対象物が本物と判定され、一致するものがなければ偽物と判定される判定ステップとを有することを特徴とする偽造判定方法。
【0164】
(付記8)
付記7において、
前記対象物は、該対象物を特定する識別番号が格納された記憶部を有するクレジットカードであって、
前記記憶ステップにおいて生成される識別コードには、それぞれ、前記識別番号が対応付けられており、更に、
前記記憶部に格納された前記識別番号が読み出される読み出しステップを有し、
前記判定ステップにおいて、前記記憶ステップにおいて生成される複数の識別コードから、前記読み出しステップにおいて読み出された前記識別番号と前記ランダムに指定された位置とに基づき識別コードが特定され、前記特定された識別コードと、前記コード化ステップにおいて生成される識別コードとが一致するかが確認され、判定が行われることを特徴とする偽造判定方法。
【0165】
(付記9)
付記7又は8において、
前記判定に使用する部分の位置として、前記モアレ縞の全体画像にxy座標軸を導入してできる2次元平面における任意の次元の関数f(x、y)に基づき決定される境界線、つまり{(x、y)|f(x、y)=0}又は領域、つまり{(x、y)|f(x、y)<0}あるいは{(x、y)|f(x、y)>0}が指定されることを特徴とする偽造判定方法。
【0166】
(付記10)
付記7又は8において、
前記判定に使用する部分を複数組み合わせて厳密な判定が行われることを特徴とする偽造判定方法。
【0167】
(付記11)
付記7又は8において、更に、
前記撮像に使用される光学部材に関し、少なくとも球面収差又は倍率が予め記憶されるステップを有し、
前記球面収差又は倍率に基づき、前記部分画像の画像データが補正され判定が行われることを特徴とする偽造判定方法。
【0168】
(付記12)
付記7又は8において、
前記対象物には、更に、少なくとも絵、文字、数字、バーコード、紋様のいずれかの図柄が描かれる図柄部材が、前記ランダムパターン部材と層状に配置されることを特徴とする偽造判定方法。
【0169】
(付記13)
モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物の真贋を判定するコンピュータであって、登録された対象物が持つモアレ縞の全体画像の画像データからそれぞれ抽出される、判定に使用する部分の位置として指定される可能性のある候補位置に対応する部分画像の画像データに基づき生成される複数の識別コードが、予め格納される記憶部を有するコンピュータに、
前記判定に使用する部分の位置をランダムに指定させる位置指定機能と、
前記対象物のモアレ縞のうち、前記ランダムに指定された位置に対応する部分画像の画像データに基づき生成された識別コードが入力されると、前記記憶部に格納される複数の識別コードの中に、該入力された識別コードと一致するものがあるかを確認させ、一致するものがあれば前記対象物を本物と判定させ、一致するものがなければ偽物と判定させる偽造判定機能とを実現させるためのプログラム。
【0170】
(付記14)
付記13において、
前記対象物は、更に、該対象物を特定する識別番号が格納された第2の記憶部を有するクレジットカードであって、
前記コンピュータの記憶部には、前記識別番号と前記複数の識別コードとが対応付けられて格納されており、
前記偽造判定機能は、前記記憶部に格納される複数の識別コードから、前記第2の記憶部から読み出された前記対象物の前記識別番号と前記ランダムに指定された位置とに基づき識別コードを特定し、前記特定された識別コードと、前記入力された識別コードとが一致するかを確認して、判定を行うことを特徴とするプログラム。
【0171】
(付記15)
付記13又は14において、
前記位置指定機能は、前記モアレ縞の全体画像にxy座標軸を導入してできる2次元平面における任意の次元の関数f(x、y)が生成され、前記生成される関数f(x、y)に基づき決定される境界線、つまり{(x、y)|f(x、y)=0}又は領域、つまり{(x、y)|f(x、y)<0}あるいは{(x、y)|f(x、y)>0}を前記判定に使用する部分の位置として指定することを特徴とするプログラム。
【0172】
(付記16)
付記13又は14において、
前記偽造判定機能は、前記判定に使用する部分を複数組み合わせて厳密な判定を行うことを特徴とするプログラム。
【0173】
(付記17)
付記13又は14において、
前記コンピュータの記憶部には、少なくとも前記光学部材の球面収差又は倍率が予め格納されており、
前記球面収差又は倍率に基づき、前記部分画像の画像データが補正され判定が行われることを特徴とするプログラム。
【0174】
(付記18)
付記13又は14において、
前記対象物には、更に、少なくとも絵、文字、数字、バーコード、紋様のいずれかの図柄が描かれる図柄部材が、前記ランダムパターン部材と層状に配置されることを特徴とするプログラム。
【0175】
(付記19)
モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物がセットされ、該対象物の真贋を判定する偽造判定装置であって、
登録された対象物が持つモアレ縞の全体画像が画像データとして予め複数格納される記憶部と、
光学部材と前記光学部材で受ける光を電気信号に変換する画像素子とを含み、前記セットされた対象物が持つモアレ縞の全体画像を撮像する全体画像撮像部と、
前記全体画像撮像部が撮像する全体画像に対応する電気信号を画像データに変換する画像処理部と、
前記撮像される全体画像のうち、判定に使用する部分の位置をランダムに指定する位置指定部と、
前記位置指定部により指定された位置に対応する部分画像の画像データを抽出し、前記記憶部に格納された複数の全体画像の画像データの中に、前記位置指定部により指定された位置の画像データが、前記抽出された部分画像の画像データに一致するものがあるかを確認し、一致するものがあれば前記対象物を本物と判定し、一致するものがなければ偽物と判定する偽造判定部とを有することを特徴とする偽造判定装置。
【0176】
(付記20)
モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物がセットされ、該対象物の真贋を判定する偽造判定装置であって、
登録された対象物が持つモアレ縞の全体画像がデータとして予め複数格納される記憶部と、
前記全体画像のうち、判定に使用する部分の位置をランダムに指定する位置指定部と、
光学部材と前記光学部材で受ける光を電気信号に変換する画像素子とを含み、前記対象物が持つモアレ縞のうち、前記位置指定部により指定された位置に対応する部分画像を撮像する部分画像撮像部と、
前記部分画像撮像部が撮像する部分画像に対応する電気信号を画像データに変換する画像処理部と、
前記記憶部に格納された複数の全体画像の画像データの中に、前記位置指定部により指定された位置の画像データが、前記部分画像撮像部により撮像された部分画像の画像データに一致するものがあるかを確認し、一致するものがあれば前記対象物を本物と判定し、一致するものがなければ偽物と判定する偽造判定部とを有することを特徴とする偽造判定装置。
【0177】
(付記21)
付記19又は20において、
前記位置指定部は、前記全体画像にxy座標軸を導入してできる2次元平面における任意の次元の関数f(x、y)を生成し、前記生成される関数f(x、y)に基づき決定される境界線、つまり{(x、y)|f(x、y)=0}又は領域、つまり{(x、y)|f(x、y)<0}あるいは{(x、y)|f(x、y)>0}を前記判定に使用する部分の位置として指定することを特徴とする偽造判定装置。
【0178】
(付記22)
付記19又は20において、
前記偽造判定部は、前記判定に使用する部分を複数組み合わせて厳密な判定を行うことを特徴とする偽造判定装置。
【0179】
(付記23)
付記19又は20において、
前記記憶部には、少なくとも前記光学部材の球面収差又は倍率が予め格納されており、
前記偽造判定部は、前記球面収差又は倍率に基づき、前記部分画像の画像データを補正して判定を行うことを特徴とする偽造判定装置。
【0180】
(付記24)
付記19又は20において、
前記対象物には、更に、少なくとも絵、文字、数字、バーコード、紋様のいずれかの図柄が描かれる図柄部材が、前記ランダムパターン部材と層状に配置されることを特徴とする偽造判定装置。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】第1の実施形態における偽造判定システムを説明する図である。
【図2】第1の実施形態における端末の一例を示す外観図である。
【図3】Aは、対象物が持つモアレ縞の一例を示す図であり、Bは、モアレチップを示す図、Cはモアレシールを示す図である。
【図4】Aは、図柄と組み合わせて使用するモアレ縞の例を示す図であり、Bは、モアレチップを示す図、Cはモアレシールを示す図である。
【図5】第1の実施形態における偽造判定システムの動作を説明するフローチャートである。
【図6】所定画素おきに目盛りを配置して座標を導入する場合の位置指定の例である。
【図7】所定数の画素をまとめたブロックに対し座標を導入する場合の位置指定の例である。
【図8】その他の位置指定の例を示す図である。
【図9】その他の位置指定の例を示す図である。
【図10】その他の位置指定の例を示す図である。
【図11】3次関数による位置指定の例を示す図である。
【図12】楕円関数による位置指定の例を示す図である。
【図13】第1の実施形態における偽造判定システムの構成ブロック図である。
【図14】CCDイメージセンサにおける読み取り方法を説明する図である。
【図15】登録データ表のデータ構成例を示す図である。
【図16】位置指定表のデータ構成例を示す図である。
【図17】第1の実施形態における偽造判定システムの動作を詳細に説明するフローチャートである。
【図18】第1の変形例における偽造判定システムの動作を説明するフローチャートである。
【図19】第1の変形例における偽造判定システムの構成ブロック図である。
【図20】第1の変形例における登録データ表のデータ構成例を示す図である。
【図21】第1の変形例における偽造判定システムの動作を詳細に説明するフローチャートである。
【図22】第2の変形例における偽造判定システムの構成ブロック図である。
【図23】第2の変形例における偽造判定システムの動作を詳細に説明するフローチャートである。
【図24】第2の実施形態における偽造判定装置の構成ブロック図である。
【図25】第2の実施形態における偽造判定装置の動作を説明するフローチャートである。
【図26】第2の実施形態の変形例における偽造判定装置の構成ブロック図である。
【図27】第2の実施形態の変形例における偽造判定装置の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0182】
1 クレジットカード、2 モアレ縞領域、3 ICチップ、4 磁気ストライプ、5 エンボス加工文字、10 端末、11 表示部、12 挿入口、31 CCDイメージセンサ、32 画像処理部、33 制御部、41 制御部、42 記憶部、71 光源、72 レンズ、73、74 ランダムパターン部材、75 モアレチップ、76 モアレシール、77 反射部材、78 図柄部材、79 カメラユニット、51 サーバ、52 ネットワーク、53 情報処理装置、54 外付けユニット、100 偽造判定装置、331 コード化部、411 偽造判定部、412 コード化部、413 位置指定部、421 登録データ表、422 位置指定表
【技術分野】
【0001】
本発明は、モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物(例えば、クレジットカード、キャッシュカード、パスポート、回数券、プリペイドカード、入場券等)が偽造されたものかどうか、その真贋を判定する方法、装置、システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クレジットカード、キャッシュカード、パスポート、高速道路の回数券、野球場への入場券、株券、宝石の鑑定書、紙幣、プリペイドカード、有名アーティストのコンサートチケット等が偽造されることによる被害が多発している。関係団体は、対象物にICチップを搭載したり、立体ホログラムを付したり、紫外線により浮かび上がる模様を印刷したり、特殊な文字を埋め込む等の偽造防止措置を施すものの、いずれも決め手に欠けるのが現状である。
【0003】
そのような状況の中、モアレ縞を生じさせるモアレタグなる物が提案され(特許文献1参照)、現状の偽造防止措置に替わる、あるいは補う技術として大きく期待されている。モアレ縞とは、例えば、2枚の網戸を重ねて外を見たときや、レースのカーテンの重なりを通して外を見たときに、地図の等高線のように生じる模様のことであり、2つとして同じモアレ縞が形成されることはない。特許文献1によれば、例えば、2つの網目部材を金型内に層状に配置した状態で、溶融した合成樹脂を充填することによって、低コストでモアレタグを製造することができる。
【0004】
また、特許文献1によれば、モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物の偽造判定方法として、対象物に生じるモアレ縞をイメージセンサにより読み取り、イメージセンサからの読取信号に対し画像処理部が二値化処理を施し、得られた二値データをコード化処理部が暗号方式によるデータ圧縮(コード化)を行い、識別データを求める。そして、コード化処理部が識別データを判断処理部に送信し、判断処理部がデータベースにある登録済み識別データと一致するかどうかによって、真贋を判定する方法が記載される。
【特許文献1】特開2003−29636号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術における偽造判定方法においては、二値データをコード化処理部が暗号方式によるデータ圧縮を行い、識別データを求めている。そのため、万が一、暗号方式が解読された場合、第三者に識別データが割り出される恐れがある。
【0006】
また、実際の運用においては、店頭に設置される端末に、従来技術におけるイメージセンサ、画像処理部、コード化処理部を配し、登録センタに配置され、端末にネットワークを介して接続されるセンタ側サーバに、従来技術における判断処理部、データベースを配することで、複数の店頭端末をセンタ側サーバが統括する形態が考えられる。その場合、ネットワークにおける通信が盗聴され、識別データが漏洩することを防止するため、店頭端末とセンタ側サーバの通信を暗号化する必要が生じ、店頭に設置される端末の装備を単純化することができない。さらにいえば、万が一、この通信における暗号化も破られてしまえば、やはり第三者に識別データが割り出される恐れがある。
【0007】
モアレ縞は、複製、つまり同一のモアレ縞を生じるランダムパターン部材を作成することが困難である性質を持つ。しかし、従来技術では、モアレ縞を複製せずとも、モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物の偽造判定において、識別データが割り出され偽物を本物と誤判定してしまう恐れがあった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物の偽造判定方法であって、暗号化技術を必要としない、従来技術より簡易な偽造判定システムを提供することにある。合わせて、その偽造判定システムにおいて実行される方法、偽造判定プログラム、偽造判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、本発明の第一の側面として、モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物がセットされ、該対象物が持つ前記モアレ縞を読み出す端末と、前記端末にネットワークを介して接続され、前記端末が読み出したモアレ縞に基づき前記対象物の真贋を判定するサーバとを備える偽造判定システムであって、前記端末は、光学部材と前記光学部材で受ける光を電気信号に変換する画像素子とを含み、前記対象物が持つモアレ縞を撮像する画像撮像部と、前記サーバから送られる、判定に使用する部分の位置に基づき、前記撮像されたモアレ縞のうち、前記入力された位置に対応する部分画像の画像データを抽出し、前記部分画像の画像データに基づき識別コードを生成して前記サーバに送信する第1のコード化部とを有し、前記サーバは、前記判定に使用する部分の位置をランダムに指定し前記端末に送信する位置指定部と、登録された対象物が持つモアレ縞の全体画像の画像データからそれぞれ、前記位置指定部が指定する可能性のある候補位置に対応する部分画像の画像データを抽出し、該抽出された各画像データに基づき識別コードをそれぞれ生成し、記憶部に予め格納する第2のコード化部と、前記第2のコード化部が生成する複数の識別コードの中に、前記ランダムに指定された位置に対応する識別コードが、前記端末から送られる前記識別コードと一致するものがあるかを確認し、一致するものがあれば前記対象物を本物と判定し、一致するものがなければ偽物と判定する偽造判定部とを有することを特徴とする偽造判定システムを提供することにより達成される。
【0010】
上記発明の側面においてより好ましい実施例によれば、前記対象物は、更に、該対象物を特定する識別番号が格納された第2の記憶部を有するクレジットカードであって、前記サーバの記憶部には、前記識別番号と前記第2のコード化部が生成する複数の識別コードとが対応付けられて格納されており、前記端末は、更に、前記第2の記憶部に格納された前記識別番号を読み出して前記サーバに送信する読み出し部を有し、前記偽造判定部は、前記第2のコード化部が生成する複数の識別コードから、前記端末から送られる前記識別番号と前記ランダムに指定された位置とに基づき識別コードを特定し、前記特定された識別コードと、前記端末より入力される前記識別コードとが一致するかを確認して、判定を行う。
【0011】
また、上記目的は、第二の側面として、モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物の真贋を判定する偽造判定方法であって、登録された対象物が持つモアレ縞の全体画像の画像データからそれぞれ、判定に使用する部分の位置として指定される可能性のある候補位置に対応する部分画像の画像データが抽出され、該抽出された各画像データに基づき識別コードがそれぞれ生成され、予め記憶される記憶ステップと、前記対象物が持つモアレ縞が撮像され、前記撮像されたモアレ縞のうち、判定に使用する部分の位置がランダムに指定されるステップと、前記ランダムに指定された位置に対応する前記モアレ縞の部分画像の画像データが抽出され、前記抽出された画像データに基づき識別コードが生成されるコード化ステップと、前記記憶ステップにおいて生成される複数の識別コードの中に、前記コード化ステップにおいて生成される識別コードと一致するものがあるかが確認され、一致するものがあれば前記対象物が本物と判定され、一致するものがなければ偽物と判定される判定ステップとを有することを特徴とする偽造判定方法を提供することにより達成される。
【0012】
また、上記目的は、第三の側面として、モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物の真贋を判定するコンピュータであって、登録された対象物が持つモアレ縞の全体画像の画像データからそれぞれ抽出される、判定に使用する部分の位置として指定される可能性のある候補位置に対応する部分画像の画像データに基づき生成される複数の識別コードが、予め格納される記憶部を有するコンピュータに、前記判定に使用する部分の位置をランダムに指定させる位置指定機能と、前記対象物のモアレ縞のうち、前記ランダムに指定された位置に対応する部分画像の画像データに基づき生成された識別コードが入力されると、前記記憶部に格納される複数の識別コードの中に、該入力された識別コードと一致するものがあるかを確認させ、一致するものがあれば前記対象物を本物と判定させ、一致するものがなければ偽物と判定させる偽造判定機能とを実現させるためのプログラムを提供することにより達成される。
【0013】
また、上記目的は、第四の側面として、モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物がセットされ、該対象物の真贋を判定する偽造判定装置であって、登録された対象物が持つモアレ縞の全体画像が画像データとして予め複数格納される記憶部と、光学部材と前記光学部材で受ける光を電気信号に変換する画像素子とを含み、前記セットされた対象物が持つモアレ縞の全体画像を撮像する全体画像撮像部と、前記全体画像撮像部が撮像する全体画像に対応する電気信号を画像データに変換する画像処理部と、前記撮像される全体画像のうち、判定に使用する部分の位置をランダムに指定する位置指定部と、前記位置指定部により指定された位置に対応する部分画像の画像データを抽出し、前記記憶部に格納された複数の全体画像の画像データの中に、前記位置指定部により指定された位置の画像データが、前記抽出された部分画像の画像データに一致するものがあるかを確認し、一致するものがあれば前記対象物を本物と判定し、一致するものがなければ偽物と判定する偽造判定部とを有することを特徴とする偽造判定装置を提供することにより達成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複製が困難なモアレ縞の一部を用い、偽造判定に使用する部分をランダムに変更するため、暗号化処理を行うことなく偽造判定を行うことを可能にする。こうして、暗号化が省略されることにより、従来より簡易な偽造判定を行うことを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面に従って説明する。しかしながら、本発明の技術的範囲はかかる実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物にまで及ぶものである。
【0016】
図1は、第1の実施形態における偽造判定システムを説明する図である。本実施形態においては、モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物としてクレジットカードを用いるものとする。
【0017】
偽造判定システムは、店頭等に設置され、判定対象のクレジットカードが持つモアレ縞を読み取る複数の端末10と、端末10が読み取るモアレ縞から生成される識別コードに基づき判定対象のクレジットカードが偽造されたものかを判定するサーバ51とから構成される。端末10とサーバ51はネットワーク52を介して接続され、互いに偽造判定に使用する情報を送受信する。
【0018】
図2は、第1の実施形態における端末10の一例を示す外観図である。端末10は、判定対象となるクレジットカードが挿入される挿入口12を持ち、挿入されたクレジットカードに備えられるモアレ縞に基づき偽造判定に使用する識別コードを生成し、サーバ51に送信する。サーバ51から判定結果を受信すると、液晶ディスプレイ等の表示部11に表示する。
【0019】
クレジットカード1は、IC(Integrated Circuit)チップ3や、磁気ストライプ4を含んでおり、ICチップ3や、磁気ストライプ4には、カード発行時に登録されるカード識別番号、有効期限、所有者氏名等の情報が格納されている。また、カード識別番号5は、カード表面にエンボス加工等により凹凸表示されている。
【0020】
領域2は、本実施形態において偽造判定に使用されるモアレ縞を生じさせるランダムパターン部材が配置される箇所である。例えば、クレジットカードをくり抜いてできる穴に、網目状のランダムパターン部材を層状配置し、溶融した合成樹脂を充填することにより、モアレ縞が形成される。また、クレジットカードの表面に、網目状のランダムパターン部材を層状配置し、付着させても、モアレ縞が形成される。ランダムパターン部材は、金属、合成樹脂、繊維、和紙等さまざまなものから作り出すことができる。
【0021】
図3Aは、対象物が持つモアレ縞の一例を示す図である。図3Aは、同心円状の線と、縦線を重ねて描いたものである。図3Aの図形を印刷した用紙を少し離して見てみると、円の中心から左右方向に木目のような紋様が現れており、これがモアレ縞である。実際には、同心円状の線を1つのランダムパターン部材として、縦線を1つのランダムパターン部材として、両者を離間して層状配置する。すると、同心円の間隔や、縦線の間隔、ランダムパターン部材同士の間隔や、重ね方(空間配置)を変えることにより、2つとないモアレ縞が生じるため、モアレ縞の複製は非常に困難になる。
【0022】
図3Bには、ランダムパターン部材によってモアレ縞が生じる態様が描かれている。図3Bは、図2におけるクレジットカード1のPQ方向の断面図を示している。図3Bにおいて、クレジットカード1には図2における領域2に対応する箇所にモアレチップ75が埋め込まれている。図3Bにおけるモアレチップ75は、クレジットカードをくり抜いてできる穴に、網目状のランダムパターン部材73、74を離間して層状配置し、溶融した合成樹脂を充填することにより生成されるものである。
【0023】
図3Cには、ランダムパターン部材によってモアレ縞が生じる別の態様が描かれている。図3Cも、図3B同様、図2におけるクレジットカード1のPQ方向の断面図を示している。図3Cにおいて、クレジットカード1には図2における領域2に対応する箇所にモアレシール76が付着されている。図3Cにおけるモアレシール76は、クレジットカードの表面に、網目状のランダムパターン部材73、74を層状配置し、互いに付着することにより生成されるものである。
【0024】
なお、モアレシールを使用する場合、そこに生じるモアレ縞を読み取るために、アルミ箔等の反射部材77がクレジットカード表面に設けられる。モアレ縞を読み取る方法については図14にて後述する。
【0025】
第1の実施形態は、この複製困難なモアレ縞を利用し、カード発行時に予め、カード識別番号と共に、クレジットカード毎にそれぞれ異なるモアレ縞の全体画像の画像データを記憶しておく。そして、クレジットカードが持つモアレ縞を撮像し、その画像データに基づき生成される識別コードを使用して偽造判定を行うものである。更に、第1の実施形態では、各クレジットカードのモアレ縞の全体画像を撮像するものの、その一部である部分画像から生成される識別コードを判定に使用することによってセキュリティを高めるものである。
【0026】
図4Aは、図柄と組み合わせて使用するモアレ縞の例を示す図である。図4Aは、図3Aに示したモアレ縞と、4種類の図柄パターンとを組み合わせて用いる例を示す。4種類の図柄パターンは、上から、馬の絵、数字、バーコード、指紋を表す。使用する図柄は、馬の他にも、好きなキャラクタを使用してよい。数字の変わりに文字を使用することも可能であり、図4Aでは、1箇所に数字が配置されるだけだが、文字を図柄部材78にちりばめてもよい。
【0027】
この図柄パターンは、図柄部材78としてランダムパターン部材と共に領域2に層状配置される。図柄部材78には、プラスチック等光を透過する部材を使用すればよい。
【0028】
図4Bは、モアレチップにおける図柄部材78の配置例を説明する図である。図柄部材78は、図4Bに示されるように、モアレチップに含まれるランダムパターン部材74の下方に層状配置される。
【0029】
図4Cは、モアレシールにおける図柄部材78の配置例を説明する図である。図柄部材78は、図4Cに示されるように、クレジットカード表面の反射部材78の上方に配置される。
【0030】
図4Aに示すように、ランダムパターン部材により生じるモアレ縞と、図柄部材に描かれる図柄とを組み合わせることによって、目視による図柄の有無により偽造かどうかを見分けることもできるため、より本実施形態の効果を高めることができる。なお、バーコードや指紋を使用する場合には、ランダムパターン部材としては、斜めの網状部材を使用し、図柄に含まれる線と交差するように(つまり、平行にならないように)する方が好ましい。
【0031】
図5は、第1の実施形態における偽造判定システムの動作を説明するフローチャートである。第1の実施形態においては、予め、サーバ51の記憶部に、正規に発行されたクレジットカードの識別番号と、そのカードが持つモアレ縞から生成される識別コードとが、判定に使用される部分の位置として指定される可能性のある候補位置毎に対応付けられて格納される(S1)。
これは、クレジットカード発行会社が、クレジットカードを発行し、利用者に送付する前の登録作業の一環として行う。ステップS1において使用されるモアレ縞は、図3に示されるようにモアレ縞単独でも、図4に示されるようにモアレ縞と図柄を組み合わせたものでもどちらでも本実施形態の実施が可能である。
【0032】
そして、利用者が店頭での支払いにクレジットカードを利用する場合、この店頭端末10にクレジットカード1が挿入され、カード識別番号が読み出される(S2)。カード識別番号の読み出しは、端末10がICチップリーダや磁気ストライプリーダを有していれば、それぞれICチップや磁気ストライプに格納された情報を読み出すことで行われる。また、エンボス加工された識別番号5を撮像し、パターン認識による画像処理を行ってカード識別番号を読み出してもよい。
【0033】
読み出された識別番号は、端末10からネットワーク52を介してサーバ51に送信され、サーバ51は受信した識別番号が、ステップS1で記憶部に格納された識別番号と一致するかを確認し、正規に発行されたクレジットカードかを判定する(S3)。サーバ51は、一致する識別番号があれば(S3Yes)、正規に発行されたクレジットカードと判定し、一致する識別番号がなければ、偽物と判定する(S9)。
【0034】
ステップS3で正規に発行されたクレジットカードと判定すると、サーバ51は、モアレ縞のどの部分を判定に使用するか、その位置を指定し、端末10に送信する(S4)。そして、端末10は、判定に使用する部分の位置を受信すると、挿入されたクレジットカードが持つモアレ縞から、指定された部分の画像データを抽出する(S5)。ステップS5は、最初にモアレ縞の全体画像を撮像し、その後部分画像の画像データを抽出しても、最初から判定に使用する部分の部分画像を撮像し、その部分画像データを抽出してもよい。
【0035】
続いて、ステップS5で得られた部分画像の画像データが、予め記憶部に格納される際(S1)と同様にしてコード化され、端末10は、挿入されたクレジットカードが持つモアレ縞から生成された識別コードをサーバ51に送信する(S6)。
【0036】
サーバ51は、受信した識別コードと、記憶部に格納される識別コードとを比較する(S7)。ステップS7においては、サーバ51は、カード識別番号と、ステップS4で指定された位置とに基づき、記憶部に格納された識別コードを特定する。この特定された識別コードとステップS6で送信された識別コードとを比較する。
【0037】
両者が一致すれば(S7Yes)、サーバ51は、端末10に挿入されたクレジットカードは本物と判定し(S8)、一致しなければ(S7No)、サーバ51は、偽物と判定する(S9)。
ステップS8又はステップS9により判定結果が明らかとなれば、サーバ51はその判定結果を端末10に通知し、端末10は、表示部11に判定結果を表示する。
【0038】
図6〜図12は、上記ステップS1及びステップS4〜S6における位置指定の方法、識別コードの生成法について説明する図である。本実施形態では、モアレ縞の画像データのうち、判定に使用する部分を指定するため、画像データに座標を導入し、座標を指定することで位置指定を行う。
【0039】
図6は、所定画素おきに目盛りを配置して座標を導入する場合の位置指定の例である。例えば、全体画像55がM行N列のMNピクセルであるとすれば、左下位置を原点(0、0)として、右方向にN/8ピクセルごとに目盛りを打ち、上方向にM/8ピクセルごとに目盛りを打つことで、xy座標を導入することができる。こうすれば、座標を指定することによって、判定に使用する部分の画像データを切り取ることができる。
【0040】
図6においては、y=mという位置指定が行われることで、該当する1行分の部分画像の画像データが抽出される。例えば、画像データが2値化処理されたデータであれば、1行分(Nビット)のデータが抽出される。この抽出された部分画像の画像データは、更に、データ圧縮のためコード化(符号化)され、コード化された識別コードが判定に使用される。この符号化に使用するアルゴリズムは、端末10とサーバ51で同じくしておけば何を使用してもよい。なお本実施形態の偽造判定システムは、後述するように、この符号化に使用されるアルゴリズムが第三者に知られても、セキュリティレベルを高水準に保つことができる特徴がある。
【0041】
図7は、所定数の画素をまとめたブロックに対し座標を導入する場合の位置指定の例である。図7の場合、全体画像55の画像データが、8行8列の64ピクセル毎に符号化されて格納されている。そこで、全体画像55の左下のブロックを原点(0、0)とし、右方向にずれると第1成分に1を加算し、上方向にずれると第2成分に1を加算すれば、ブロックの位置を特定するxy座標を導入することができる。
【0042】
図7においては、y=mという位置指定が行われることで、該当する1行分のブロックに対応する部分画像の画像データが抽出される。この抽出された部分画像の画像データは、更に、データ圧縮のためコード化(符号化)され、コード化された識別コードが判定に使用される。図6同様、この符号化に使用するアルゴリズムは、端末10とサーバ51で同じくしておけば何を使用してもよい。
【0043】
図8は、その他の位置指定の例を示す図である。モアレ縞の全体画像55の左下を原点とし、水平方向にx軸、垂直方向にy軸を導入した場合の、k1<x<k2(k1、k2は実数)によって指定される部分を示すものである。これは、x>k1かつx<k2という2つの条件(位置指定)を組み合わせて領域を指定する例である。
【0044】
このように、2つ以上の位置指定を組み合わせてもよい。白く覆われた切れ目から見える部分が、判定に使用される部分であり、この部分の画像データを用いて識別コードが生成され判定が行われることになる。
【0045】
図9は、その他の位置指定の例を示す図である。モアレ縞の全体画像55の左下を原点とし、水平方向にx軸、垂直方向にy軸を導入した場合の、m1<y≦m2(m1、m2は実数)によって指定される部分を示すものである。これは、y>m1かつ{y<m2またはy=m2}という条件(位置指定)を組み合わせて領域を指定する例である。白く覆われた切れ目から見える部分が、判定に使用される部分であり、この部分の画像データを用いて識別コードが生成され判定が行われることになる。
【0046】
図10は、その他の位置指定の例を示す図である。モアレ縞の全体画像55の左下を原点とし、水平方向にx軸、垂直方向にy軸を導入した場合の、y=xによって指定される部分を示すものである。白く覆われた切れ目から見える部分が、判定に使用される部分であり、この部分の画像データを用いて識別コードが生成され判定が行われることになる
以上図8〜10において、直線(1次関数)によって位置指定する例を示したが、より一般化し、位置指定は、xy平面における任意の次元の関数f(x、y)により行うことが可能である。例えば、3次関数による位置指定を行うことができる。
【0047】
図11は、3次関数による位置指定の例を示す図である。モアレ縞の全体画像55の左下を原点とし、水平方向にx軸、垂直方向にy軸を導入した場合の、f(x、y)<0によって指定される部分を示すものである。ここでは、f(x、y)=−ax^3+bx^2+cx+dなる3次関数(aは正の実数、b、c、dは実数)の場合を示している。白く覆われた部分以外の領域が、判定に使用される部分であり、この部分の画像データを用いて識別コードが生成され判定が行われることになる。
【0048】
また、円や楕円、双曲線による位置指定を行うことも可能である。
【0049】
図12は、楕円関数による位置指定の例を示す図である。モアレ縞の全体画像55の左下を原点とし、水平方向にx軸、垂直方向にy軸を導入した場合の、f(x、y)≧0(つまり、f(x、y)>0かつf(x、y)=0)によって指定される部分を示すものである。ここでは、f(x、y)=a(x−α)^2+b(y−β)^2なる楕円関数(a、b、α、βはゼロ以外の実数)の場合を示している。白く覆われた部分以外の領域が、判定に使用される部分であり、この部分の画像データを用いて識別コードが生成され判定が行われることになる。
【0050】
図13は、第1の実施形態における偽造判定システムの構成ブロック図である。端末10とサーバ51がネットワーク52を介して接続される場合を説明する。
【0051】
第1の実施形態における端末10は、レンズによる像が結像されるCCD(Charge Coupled Devices)センサ31と、CCDセンサ31からの電気信号を画像フォーマットに変換する画像処理部32の他、制御部33を備える。端末10の制御部33は、判定に使用する部分のモアレ縞の画像データから識別コードを生成するコード化部331を含む。
【0052】
サーバ51は、制御部41、記憶部42を備え、サーバ51の記憶部42には、予め、クレジットカードの発行時に登録されるカード識別番号と、クレジットカードに生じるモアレ縞に基づき生成される識別コードが、判定に使用される部分の位置として指定される可能性のある候補位置毎に対応付けられる登録データ表421と、モアレ縞の全体画像のうち、判定に使用する部分の位置をランダムに指定するのに使用される位置指定表422が格納される。サーバ51の制御部41は、モアレ縞の画像データから生成される識別コードに基づき端末10に挿入されたクレジットカードの真贋を判定する偽造判定部411、登録された対象物が持つモアレ縞から識別コードを生成し、予め記憶部42に格納するコード化部412、判定に使用する部分の位置をランダムに指定する位置指定部413を含む。
【0053】
制御部33、制御部41は、それぞれ図示省略されたCPUを有している。そして、制御部33、制御部41に含まれる機能ブロック(コード化部331、偽造判定部411、コード化部412、位置指定部413)は、端末10において図示省略された記憶部、そして記憶部42に格納される制御部プログラムを実行することにより、プログラムとして実現される。
【0054】
図14は、CCDイメージセンサ31における読み取り方法を説明する図である。図14は、図2におけるクレジットカード1のPQ方向の断面図を示している。図14Aにおいて、クレジットカード1には図2における領域2に対応する箇所にモアレチップ75(図3B、図4B参照)が埋め込まれている。モアレチップ75の下部には光源71が配置され、光源からの光がモアレチップ75を通過して、カメラユニット79に含まれるレンズ72に入射し、CCDイメージセンサ31で結像することで、モアレチップ75に生じるモアレ縞を読み取ることができる。
【0055】
図14Bにおいて、クレジットカード1には図2における領域2に対応する箇所にモアレシール76(図3C、図4C参照)が付着されている。モアレシール76の上方に光源71が配置され、光源からの光が、モアレシール76とクレジットカード表面との付着面に設けられる反射部材77(例えばアルミ箔)により反射され、カメラユニット79に含まれるレンズ72に入射し、CCDイメージセンサ31で結像することで、モアレシール76に生じるモアレ縞を読み取ることができる。
【0056】
図15は、記憶部42に格納される登録データ表421のデータ構成例を示す図である。登録データ表は、「カード識別番号」「指定位置番号」「識別コード」というデータ項目を含む。
【0057】
「カード識別番号」は、クレジットカードを識別するための管理番号であって、ここでは、16桁の数字である。図15においては、見易さのために、4桁ずつ区切って描いている。
【0058】
「指定位置番号」は、位置指定部413がランダムに指定する位置を識別する番号であって、後述する(図16の)位置指定表422によって、1つの指定位置番号により判定に使用する部分の位置が特定されることになる。「識別コード」は、クレジットカードに生じるモアレ縞のうち、「位置指定番号」により特定される部分画像の画像データから生成される情報コードである。
【0059】
識別コードは、各クレジットカードに対し、同じ位置を指定したとき重複しないようにコード化される。すなわち、指定位置番号が1のとき、図15でいうカード識別番号が「1000 0000 0000 0123」と、「1000 0000 0000 1123」に対応する識別コード(それぞれ「101010」、「101110」)は重複しない。図15の識別コードは6桁であるが、桁数は識別性に影響がなければ何桁でも構わない。登録データ表421を参照すれば、登録された(正規の)クレジットカードのカード識別番号とそのクレジットカードが持つモアレ縞から生成される識別コードを、判定に使用する位置毎に得ることができる。
【0060】
図16は、位置指定部413が判定に使用する部分の位置を指定する際に使用する位置指定表422のデータ構成例を示す図である。位置指定表は、「番号」「位置」というデータ項目を含む。
【0061】
「位置指定番号」は、各データエントリを識別するための番号である。位置指定部413は、乱数を発生させ、発生した乱数に一致する「位置指定番号」のデータエントリの「位置」を指定することによって、判定に使用する部分の位置をランダムに指定することができる。乱数に対応するエントリを特定するためにこの「位置指定番号」を使用することができる。
【0062】
「位置」は、モアレ縞の全体画像に座標軸を導入し、その座標によって、判定に使用する部分の位置を特定するための情報である。図16においては、座標軸として直交するx軸、y軸を導入したときの関数として「位置」が表されている。一般化すると、任意の次元の関数であるf(x、y)=0により線が指定され、f(x、y)により領域が指定される。
【0063】
座標系の導入の方法は、一例として図6や図7に示した通りである。図16には、「位置」として、y軸に平行な線(「番号」が1のデータエントリ)、x軸に平行な線(「番号」が2のデータエントリ)、1次関数(「番号」が3のデータエントリ)、2次関数(「番号」が4のデータエントリ)が指定される。また、2次関数の下側領域(「番号」が5のデータエントリ)、円の内部領域(「番号」が6のデータエントリ)、楕円の外部領域(「番号」が7のデータエントリ)なども指定されている。
【0064】
図13に戻り、各部の機能をデータの流れに沿って説明する。第1の実施形態において、CCDイメージセンサ31は、まず全体画像撮像部として、端末10に挿入されたクレジットカード1に生じるモアレ縞の全体画像(つまり、領域2を真上から見た様子)を撮像すると共に、読み出し部としてエンボス加工されたカード識別番号5を撮像し、両者を画像処理部32に出力する(M1)。画像処理部32は、パターン認識処理を行い、挿入されたクレジットカード1に記載されたカード識別番号を抽出し、偽造判定部411に与える(M2)。
【0065】
偽造判定部411は、与えられたカード識別番号が登録データ表421に格納されているかを確認する。格納されていない場合、偽造判定部411は、偽物と判定し、端末10に判定結果を送信する(M6)。格納されている場合、偽造判定部411は、判定に使用する部分を指定するため位置指定部413を起動する(M2)。
【0066】
位置指定部413は、位置指定表422を参照して、判定に使用する部分の位置を指定して端末10の画像処理部32に送信すると共にその位置指定番号を偽造判定部411に出力する(M3)。画像処理部32は、ステップM1で撮像されたモアレ縞の全体画像の画像データのうち、受信した指定部分位置に該当する部分を抽出してコード化部331に出力する(M4)。
【0067】
コード化部331は、画像処理部32より入力される部分画像の画像データをコード化して、識別コードとしてサーバ51の偽造判定部411に送信する(M5)。コード化のアルゴリズムは、図6や図7において説明したように、端末10とサーバ51で同じくしておけば何を使用してもよい。
【0068】
一方、サーバ51では、ステップM3で位置指定部413より指定位置番号が入力されると、偽造判定部411が、ステップM2で与えられるカード識別番号をキーとして記憶部42の登録データ表421を参照し、更に、指定位置番号により該当する識別コードを特定する。そして、偽造判定部411は、ステップM5で端末10のコード化部331より入力される識別コードと、記憶部42を参照して特定された識別コードとを比較し、一致すればクレジットカードは本物、一致しなければ偽物と判定し、判定結果を端末10に送信する(M6)。
【0069】
以上に説明した流れを各部の動作に分解し、チャートにしたものが次図である。簡単に触れておく。
【0070】
図17は、第1の実施形態における偽造判定システムの動作を詳細に説明するフローチャートである。まず、予め、サーバ51のコード化部412が、記憶部42に、正規に発行されたクレジットカードの識別番号と、そのカードが持つモアレ縞から生成される識別コードとを、判定に使用される部分の位置として指定される可能性のある候補位置毎に対応付けて、登録でータ表として格納する(S100)。
【0071】
そして、CCDイメージセンサ31により端末10に挿入されたクレジットカード1に生じるモアレ縞の全体画像とエンボス加工されたカード識別番号5が撮像され、画像素子が感知する光が電気信号に変換され画像処理部32に入力される(S102)。画像処理部32は、パターン認識処理を行い、挿入されたクレジットカード1に記載されたカード識別番号を読み出し、偽造判定部411に送信する(S104)。
【0072】
偽造判定部411は、与えられたカード識別番号が登録データ表421に格納されているかを確認する(S106)。格納されていない場合(S106No)、偽造判定部411は、偽物と判定し、端末10に判定結果を送信する(S120)。格納されている場合(S106Yes)、偽造判定部411は、判定に使用する部分を指定するため位置指定部413を起動するための信号を出力する。
【0073】
位置指定部413は、位置指定表422を参照して、判定に使用する部分の位置を指定して端末10の画像処理部32に送信すると共にその指定位置番号を偽造判定部411に出力する(S108)。画像処理部32は、ステップS102で撮像されたモアレ縞の全体画像の画像データのうち、受信した指定部分位置に該当する部分を抽出してコード化部331に出力する(S110)。コード化部331は、画像処理部32より入力される部分画像の画像データをコード化して、識別コードとしてサーバ51の偽造判定部411に送信する(S112)。
【0074】
一方、サーバ51では、ステップS104で与えられるカード識別番号をキーとして記憶部42の登録データ表421を参照し、更に、ステップS108で与えられる指定位置番号により該当する識別コードを特定する(S114)。そして、偽造判定部411は、ステップS112で端末10のコード化部331より入力される識別コードと、ステップS114で特定された識別コードとを比較し、一致すれば(S116Yes)クレジットカードは本物と判定する(S118)。一致しなければ(S116No)偽物と判定し(S120)、判定結果を端末10に送信する。
【0075】
以上に説明した第1の実施形態によれば、端末10は偽造判定を行わず、端末10が読み取ったモアレ縞に基づき生成される識別コードをサーバ51に送信し、偽造判定結果をサーバ51から受信することになる。ネットワーク52を介して送信するのは、モアレ縞のうち、判定に使用する部分の画像データに基づく識別コードであるため、ネットワークの盗聴や端末の盗難といった情報漏洩のリスクに対抗することができる。
【0076】
なぜなら、店頭に設置される端末10と、サーバ51間の通信が盗聴されたとしても、そこから得られる情報(カード識別番号、指定部分位置、部分画像データに基づき生成される識別コード)だけでは、偽造判定を突破することはできないからである。識別コードだけでは、モアレ縞の全体画像データが得られないことと、位置指定部411が指定する、判定に使用する部分はランダムに毎回変化するため、仮に、第3者が不正に全体画像データを得たとしても、次にどの部分が判定に使用されるかは不明なことが、暗号化を不要にすることに寄与している。
【0077】
こうして、サーバ51、端末10双方において、暗号化が省略されることにより、従来より簡易な偽造判定を行うことを可能にすると共に、サーバ、端末双方の設備を単純化、小型化、軽量化、汎用化することができる。
【0078】
続いて第1の実施形態の変形例を説明する。第1の実施形態においては、予め記憶部42に対象物が持つモアレ縞から生成される識別コードが、判定に使用される部分の位置として指定される可能性のある候補位置毎に格納されていたが、第1の変形例ではコード化部412が判定の都度、識別コードを生成する。
【0079】
図18は、第1の変形例における偽造判定システムの動作を説明するフローチャートである。第1の実施形態と同様の動作をするステップには、同じステップ番号を振り、説明は省略するものとする。
【0080】
まず、サーバ51の記憶部に、正規に発行されたクレジットカードの識別番号と、そのカードが持つモアレ縞の全体画像の画像データを対応付けて格納しておく(S21)。ここでは、カード識別番号に対応付けられるのは、識別コードではなく、全体画像の画像データになる。
【0081】
そして、利用者が店頭での支払いにクレジットカードを利用する場合、この店頭端末10にクレジットカード1が挿入され、カード識別番号が読み出される(S2)。読み出された識別番号は、端末10からネットワーク52を介してサーバ51に送信され、サーバ51は受信した識別番号が、ステップS1で記憶部に格納された識別番号と一致するかを確認し、正規に発行されたクレジットカードかを判定する(S3)。サーバ51は、一致する識別番号があれば(S3Yes)、正規に発行されたクレジットカードと判定し、一致する識別番号がなければ、偽物と判定する(S9)。
【0082】
ステップS3で正規に発行されたクレジットカードと判定すると、サーバ51は、モアレ縞のどの部分を判定に使用するか、その位置を指定し、端末10に送信する(S4)。そして、端末10は、判定に使用する部分の位置を受信すると、挿入されたクレジットカードが持つモアレ縞から、指定された部分の画像データを抽出する(S5)。
【0083】
そして、サーバ51も同様に、記憶部を参照して、ステップS3で受信した識別番号に対応するモアレ縞の全体画像を特定し、特定された全体画像の画像データから、自らが指定した部分の画像データを抽出する(S22)。第1の実施形態と異なり、識別データを生成するための部分画像データがここで抽出される。
【0084】
続いて、ステップS5、ステップS22で得られた部分画像の画像データが共にコード化される(S23)。端末10は、挿入されたクレジットカードが持つモアレ縞から生成された識別コードをサーバ51に送信し、サーバ51は、受信した識別コードと、自ら記憶部を参照して生成した識別コードとを比較する(S7)。
【0085】
両者が一致すれば(S7Yes)、サーバ51は、端末10に挿入されたクレジットカードは本物と判定し(S8)、一致しなければ(S7No)、サーバ51は、偽物と判定する(S9)。
ステップS8又はステップS9により判定結果が明らかとなれば、サーバ51はその判定結果を端末10に通知し、端末10は、表示部11に判定結果を表示する。
【0086】
図19は、第1の変形例における偽造判定システムの構成ブロック図である。端末10とサーバ51がネットワーク52を介して接続される場合を説明する。第1の変形例における偽造判定システムの構成は、データの形式と流れが一部異なる以外は、第1の実施形態と同じである。
【0087】
以下、その違いとなるデータに注目して説明する。そこで、まず、第1の実施形態とデータ形式が異なる登録データ表について説明する。
【0088】
図20は、第1の変形例における記憶部42に格納される登録データ表421のデータ構成例を示す図である。登録データ表は、「カード識別番号」「画像データファイル」というデータ項目を含む。
【0089】
「カード識別番号」は、クレジットカードを識別するための管理番号であって、ここでは、16桁の数字である。図20においては、見易さのために、4桁ずつ区切って描いている。
【0090】
「画像データファイル」は、「カード識別番号」によって特定されるクレジットカードが持つモアレ縞の全体画像を記憶した画像データの記憶部42における格納先を示すパスである。図20では、ファイル名のみが描かれるが、ディレクトリ名が含まれていてよい。本発明は、画像データのファイル形式には捉われないが、図20は、JPEG(Joint Photographic Experts Group)形式の画像データが格納されることを示す。画像フォーマットとしては、他に、RAWイメージフォーマット、TIFF(Tag Image File Format)、GIF(Graphic Interchange Format)、BMP(Bit MaP)等があり、そのいずれを用いてもよい。
【0091】
登録データ表421を参照すれば、登録された(正規の)クレジットカードのカード識別番号とそのクレジットカードが持つモアレ縞の全体画像(の画像データ)を得ることができる。特に、カード識別番号をキーとして参照すれば、対応するクレジットカードが持つモアレ縞の全体画像データにすばやくアクセスできる。
【0092】
図19に戻り、各部の機能をデータの流れに沿って説明する。第1の変形例において、CCDイメージセンサ31は、まず全体画像撮像部として、端末10に挿入されたクレジットカード1に生じるモアレ縞の全体画像(つまり、領域2を真上から見た様子)を撮像すると共に、読み出し部としてエンボス加工されたカード識別番号5を撮像し、両者を画像処理部32に出力する(M11)。画像処理部32は、パターン認識処理を行い、挿入されたクレジットカード1に記載されたカード識別番号を抽出し、偽造判定部411に与える(M12)。
【0093】
偽造判定部411は、与えられたカード識別番号が登録データ表421に格納されているかを確認する。格納されていない場合、偽造判定部411は、偽物と判定し、端末10に判定結果を送信する(M17)。格納されている場合、偽造判定部411は、判定に使用する部分を指定するため位置指定部413を起動する(M12)。
【0094】
位置指定部413は、位置指定表422を参照して、判定に使用する部分の位置を指定して端末10の画像処理部32に送信すると共にコード化処理部412に出力する(M13)。画像処理部32は、ステップM11で撮像されたモアレ縞の全体画像の画像データのうち、受信した指定部分位置に該当する部分を抽出してコード化部331に出力する(M14)。
【0095】
コード化部331は、画像処理部32より入力される部分画像の画像データをコード化して、識別コードとしてサーバ51の偽造判定部411に送信する(M15)。コード化のアルゴリズムは、図6等において説明したように、端末10とサーバ51で同じくしておけば何を使用してもよい。
【0096】
一方、サーバ51では、ステップM13で位置指定部413より指定部分位置が入力されると、コード化部412が、ステップM12で与えられるカード識別番号をキーとして記憶部42の登録データ表421(図20)を参照し、端末10に挿入されたクレジットカード1の全体画像の画像データを特定する。そして、特定された画像データから、位置指定部413より入力された指定部分位置に対応する部分画像の画像データを抽出し、端末10のコード化部331と同様に、識別コードを生成し、偽造判定部411に出力する(M16)。
【0097】
偽造判定部411は、ステップM15で端末10のコード化部331より入力される識別コードと、ステップM16でサーバ51のコード化部412より入力される識別コードとを比較し、一致すればクレジットカードは本物、一致しなければ偽物と判定し、判定結果を端末10に送信する(M17)。
【0098】
図21は、第1の変形例における偽造判定システムの動作を詳細に説明するフローチャートである。まず、CCDイメージセンサ31により端末10に挿入されたクレジットカード1に生じるモアレ縞の全体画像とエンボス加工されたカード識別番号5が撮像され、画像素子が感知する光が電気信号に変換され画像処理部32に入力される(S102)。画像処理部32は、パターン認識処理を行い、挿入されたクレジットカード1に記載されたカード識別番号を読み出し、偽造判定部411に送信する(S104)。
【0099】
偽造判定部411は、与えられたカード識別番号が登録データ表421に格納されているかを確認する(S106)。格納されていない場合(S106No)、偽造判定部411は、偽物と判定し、端末10に判定結果を送信する(S120)。格納されている場合(S106Yes)、偽造判定部411は、判定に使用する部分を指定するため位置指定部413を起動するための信号を出力する。
【0100】
位置指定部413は、位置指定表422を参照して、判定に使用する部分の位置を指定して端末10の画像処理部32に送信すると共にコード化処理部412に出力する(S108)。画像処理部32は、ステップS102で撮像されたモアレ縞の全体画像の画像データのうち、受信した指定部分位置に該当する部分を抽出してコード化部331に出力する(S110)。コード化部331は、画像処理部32より入力される部分画像の画像データをコード化して、識別コードとしてサーバ51の偽造判定部411に送信する(S112)。
【0101】
一方、サーバ51では、ステップS108で位置指定部413より指定部分位置が入力されると、コード化部412が、ステップS104で与えられるカード識別番号をキーとして記憶部42の登録データ表421を参照し、端末10に挿入されたクレジットカード1の全体画像の画像データを特定する。そして、特定された画像データから、位置指定部413より入力された指定部分位置に対応する部分画像の画像データを抽出し、端末10のコード化部331と同様に、識別コードを生成し、偽造判定部411に出力する(S111)。
【0102】
偽造判定部411は、ステップS112で端末10のコード化部331より入力される識別コードと、ステップS111でサーバ51のコード化部412より入力される識別コードとを比較し、一致すれば(S116Yes)クレジットカードは本物と判定する(S118)。一致しなければ(S116No)偽物と判定し(S120)、判定結果を端末10に送信する。
【0103】
以上に説明した第1の変形例においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0104】
次に、第1の実施形態の第2の変形例を説明する。第1の変形例においては、端末10に挿入されたクレジットカードが持つモアレ縞の全体画像を撮像し、そこから部分画像を抽出したが、第2の変形例は、クレジットカードのモアレ縞のうち、判定に使用する部分だけを撮像することにより、第1の変形例よりもセキュリティを高めるものである。
【0105】
図22は、第2の変形例における偽造判定システムの構成ブロック図である。本変形例においては、CCDイメージセンサ31が、クレジットカードが持つモアレ縞の部分画像を撮像するための部分画像撮像部として機能する点が第1の変形例(図19)と異なる。このため、撮像前に位置指定部413より撮像部分の位置が指定される。また、本変形例の偽造判定装置10においては、カメラユニットを移動して撮像箇所を変えることができるよう構成されている。
【0106】
構成上の違いは以上であり、以下本変形例における各部の機能をデータの流れに沿って説明する。まず、CCDイメージセンサ31は、読み出し部としてエンボス加工されたカード識別番号5を撮像し、両者を画像処理部32に出力する(M21)。画像処理部32は、パターン認識処理を行い、挿入されたクレジットカード1に記載されたカード識別番号を抽出し、偽造判定部411に与える(M22)。
【0107】
偽造判定部411は、与えられたカード識別番号が登録データ表421に格納されているかを確認する。格納されていない場合、偽造判定部411は、偽物と判定し、端末10に判定結果を送信する(M29)。格納されている場合、偽造判定部411は、判定に使用する部分を指定するため位置指定部413を起動する(M22)。
【0108】
位置指定部413は、位置指定表422を参照して、判定に使用する部分の位置を指定して端末10に送信すると共にコード化処理部412に出力する(M23)。サーバ51より指定部分位置を受信すると、端末10の制御部33は、受信した指定部分位置に対応する部分をレンズが捉えるよう、レンズや画像素子を含むカメラユニットを移動する信号を出力する(M24)。
【0109】
CCDイメージセンサ31は、部分画像撮像部として、挿入されたクレジットカード1に生じるモアレ縞のうち、受信した指定部分位置の画像を撮像し、画像処理部32に出力する(M25)。画像処理部32は、CCDイメージセンサ31が撮像するモアレ縞の部分画像の画像データをコード化部331に出力する(M26)。
【0110】
コード化部331は、画像処理部32より入力される部分画像の画像データをコード化して、識別コードとしてサーバ51の偽造判定部411に送信する(M27)。コード化のアルゴリズムは、図6等において説明したように、端末10とサーバ51で同じくしておけば何を使用してもよい。
【0111】
一方、サーバ51では、ステップM23で位置指定部413より指定部分位置が入力されると、コード化部412が、ステップM22で与えられるカード識別番号をキーとして記憶部42の登録データ表421を参照し、端末10に挿入されたクレジットカード1の全体画像の画像データを特定する。そして、特定された画像データから、位置指定部413より入力された指定部分位置に対応する部分画像の画像データを抽出し、端末10のコード化部331と同様に、識別コードを生成し、偽造判定部411に出力する(M28)。
【0112】
偽造判定部411は、ステップM27で端末10のコード化部331より入力される識別コードと、ステップM28でサーバ51のコード化部412より入力される識別コードとを比較し、一致すればクレジットカードは本物、一致しなければ偽物と判定し、判定結果を端末10に送信する(M29)。
【0113】
以上に説明した流れをチャートにしたものが次図である。簡単に触れておく。
【0114】
図23は、第2の変形例における偽造判定システムの動作を詳細に説明するフローチャートである。まず、CCDイメージセンサ31によりエンボス加工されたカード識別番号5が撮像され、画像素子が感知する光が電気信号に変換され画像処理部32に入力される。画像処理部32は、パターン認識処理を行い、挿入されたクレジットカード1に記載されたカード識別番号を読み出し、偽造判定部411に送信する(S104)。
【0115】
偽造判定部411は、与えられたカード識別番号が登録データ表421に格納されているかを確認する(S106)。格納されていない場合(S106No)、偽造判定部411は、偽物と判定し、端末10に判定結果を送信する(S120)。格納されている場合(S106Yes)、偽造判定部411は、判定に使用する部分を指定するため位置指定部413を起動するための信号を出力する。
【0116】
位置指定部413は、位置指定表422を参照して、判定に使用する部分の位置を指定して端末10の画像処理部32に送信すると共にコード化処理部412に出力する(S108)。
サーバ51より指定部分位置を受信すると、端末10の制御部33は、受信した指定部分位置に対応する部分をレンズが捉えるよう、レンズや画像素子を含むカメラユニットを移動する信号を出力する。
【0117】
そして、CCDイメージセンサ31により、挿入されたクレジットカード1に生じるモアレ縞のうち、受信した指定部分位置の画像が撮像され、画像素子が感知する光が電気信号に変換され画像処理部32に入力される(S109)。画像処理部32は、CCDイメージセンサ31が撮像するモアレ縞の部分画像の画像データをコード化部331に出力する(S110)。コード化部331は、画像処理部32より入力される部分画像の画像データをコード化して、識別コードとしてサーバ51の偽造判定部411に送信する(S112)。以降サーバでの処理は、第1の変形例(図21)と同じであり省略する。
【0118】
以上第2の変形例においても、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、端末10で撮像されるのはモアレ縞の部分画像であることから、仮に端末10が盗難されてもモアレ縞の全体画像の画像データが漏洩せず、セキュリティが高められる。
【0119】
以上に述べた第1の実施形態及びその変形例においては、端末10に含まれるCCDイメージセンサ31及び画像処理部32をモジュール化することにより、既存のキャッシュディスペンサや、クレジットカード利用時の決済端末に偽造判定機能を組み込んでもよい。また、図1に示されるように、デスクトップPC、ノートブックPC、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)等の情報処理装置53に上記モジュールを外付けユニット54として接続し、本実施形態の端末10として機能させることも可能である。
【0120】
また、カード識別番号を読み出す読み出し部としてCCDイメージセンサ31を用いて、クレジットカード表面のエンボス加工文字を読み取ることを説明したが、偽造判定装置10が磁気ストライプリーダやICチップリーダを有していれば、それらを用いて、データとして(ICチップや磁気ストライプに)格納されているカード識別番号を読み出して制御部41に与えてもよい。また、CCDイメージセンサ31は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等他の画像素子でもよい。また、制御部41に含まれる機能ブロック(偽造判定部411、位置指定部413)は、ハードウェアとして実現してもよい。
【0121】
更に、サーバ51の記憶部42に、各端末に含まれるレンズの少なくとも球面収差又は倍率を格納しておき、位置指定部413が指定部分位置を画像処理部32に送信するとき、球面収差又は倍率も送信し、画像処理部413がそれに従って部分画像の画像データを補正してその後の処理を行ってもよい。
【0122】
第1の実施形態は、主にクレジットカードやキャッシュカード、パスポートなど、扱う情報が高度であり、高いセキュリティが要求され、更に、登録データ表に格納されるデータエントリ数が膨大なものに適用が見込まれる。しかし、映画館の入場チケットや、コンサートの入場チケット等であれば、必要な情報は、高々ツアー名や会場名、日時、映画のタイトル名、映画館の場所といった割と低度なものであり、データエントリ数もそれほど多くない。
【0123】
後者のような対象物に対しては、第1の実施形態のようなネットワークを介する大規模な構成とするのではなく、ローカルで単体の偽造判定装置として偽造判定を行うことも可能である。この場合、ネットワークを介したデータ送受信がなく、装置単体でデータの授受が閉じているため、コード化の必要がない。この偽造判定装置について第2の実施形態で説明する。
【0124】
図24は、第2の実施形態における偽造判定装置の構成ブロック図である。ここでは、対象物としてコンサートチケットが使用される場合を説明する。
【0125】
コンサートチケットにも、図2に示されるクレジットカード同様、領域2にモアレ縞を生じさせるランダムパターン部材が配置されているものとする。また、エンボス加工ではないものの、所定位置にチケットを識別するシリアル番号が印字されており、画像処理によってシリアル番号を読み出すことができるようになっている。
【0126】
また、第2の実施形態における偽造判定装置100は、図示省略された、チケットを挿入する挿入口を備え、レンズによる像が結像されるCCD(Charge Coupled Devices)センサ31と、CCDセンサ31からの電気信号を画像フォーマットに変換する画像処理部32の他、制御部41、記憶部42から構成される。
【0127】
記憶部42には、予め、コンサートチケットの発行時に登録されるシリアル番号と、コンサートチケットに生じるモアレ縞の全体画像の画像データが対応付けられる登録データ表421と、モアレ縞の全体画像のうち、判定に使用する部分の位置をランダムに指定するのに使用される位置指定表422が格納される。制御部41は、判定に使用する部分の位置をランダムに指定する位置指定部413と、モアレ縞の画像データに基づき偽造判定装置10に挿入されたチケットの真贋を判定する偽造判定部411を含む。制御部41は、図示省略されたCPUを有しており、制御部41に含まれる機能ブロック(偽造判定部411、位置指定部413)は、記憶部42に格納される制御部プログラムを実行することにより、プログラムとして実現される。
【0128】
第2の実施形態において、CCDイメージセンサ31は、まず全体画像撮像部として、挿入されたチケットに生じるモアレ縞の全体画像(つまり、領域2を真上から見た様子)を撮像し、画像処理部32に出力する(M31)。画像処理部32は、CCDイメージセンサ31が撮像するモアレ縞の全体画像の画像データを位置指定部413に出力する(M32)。
【0129】
位置指定部413は、位置指定表422を参照して、判定に使用する部分の位置を指定して偽造判定部411に出力すると共に、画像処理部32から入力された全体画像の画像データのうち、該当する部分を抽出して同じく偽造判定部411に出力する(M33)。偽造判定部411は、登録データ表421から全体画像の画像データを読み出し、位置指定部413から入力された指定位置に対応する部分の画像データが、位置指定部413により抽出された部分の画像データと一致するものがあるかを確認する。一致するものが登録データ表421に格納されていれば、挿入されたチケットは本物と判定され、一致するものが登録データ表421に格納されていなければ、挿入されたチケットは偽物と判定され、偽造判定部411は、判定結果を図示省略された表示部に表示するためのデータを出力する。
【0130】
なお、偽造判定部411が登録データ表421に格納された全体画像の画像データを1つずつ読み出して比較するのでは件数が膨大な場合処理に時間を要するため、次のようにして処理を高速化してもよい。CCDイメージセンサ31は、ここではシリアル番号を読み出す読み出し部として、モアレ縞の撮像とは別に、所定位置に印字されるシリアル番号を撮像して画像処理部32に出力する。画像処理部32は、パターン認識処理を行い、チケットを特定するシリアル番号を抽出し、制御部41に与える。
【0131】
制御部41では、偽造判定部411が判定処理を行う際、与えられたシリアル番号をキーとして登録データ表421を検索し、対応する全体画像の画像データと、上記ステップM23にて位置指定部413により抽出された部分の画像データと一致するかを判定する。こうすると、一度の判定で、挿入されたチケットの偽造判定を行うことができる。
【0132】
ここでは、読み出し部としてCCDイメージセンサ31を用いて、所定位置に印字されたシリアル番号を読み取ることを説明したが、偽造判定装置100が磁気ストライプリーダやICチップリーダを有しており、シリアル番号がチケットに設けられた磁気ストライプやICチップにデータとして格納されているならば、それらを用いて、データとして格納されているシリアル番号を読み出して制御部41に与えてもよい。また、図24のCCDイメージセンサは、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等他の画像素子でもよい。また、制御部41に含まれる機能ブロック(偽造判定部411、位置指定部413)は、ハードウェアとして実現してもよい。
【0133】
記憶部42に格納される登録データ表421や位置指定表422のデータ構成は、第1の実子形態と同じである。以上に説明した構成やデータを基に、偽造判定装置100の動作を説明する。
【0134】
図25は、第2の実施形態における偽造判定装置の動作を説明するフローチャートである。まず、CCDイメージセンサ31により偽造判定装置100に挿入されたチケットが持つモアレ縞の全体画像が撮像され、画像素子が感知する光が電気信号に変換され画像処理部32に入力される(S31)。画像処理部32は、それを画像フォーマットに変換し、画像データとして位置指定部413に出力する(S33)。
【0135】
位置指定部413は、位置指定表422を参照し、判定に使用する部分の位置をランダムに指定し、指定部分位置をステップS33で出力された全体画像の画像データと共に偽造判定部411に出力する(S35)。例えば、位置指定部413は、乱数を発生し、その乱数に一致する「番号」のデータエントリの「位置」を上記部分位置として指定すればよい。
【0136】
偽造判定部413は、入力された全体画像の画像データから、指定部分位置の部分画像の画像データを抽出する(S37)。ステップS37におけるデータの抽出法は、第1の実施形態におけるステップS110と同じようにすればよい。
【0137】
次に、偽造判定部413は、登録データ表421に格納された全体画像の画像データそれぞれに対し、ステップS37と同様にして、位置指定部413より入力される指定部分位置に対応する部分画像の画像データを抽出する。そして、偽造判定部411は、ステップS37で抽出された部分画像の画像データと、登録データ表421から抽出される部分画像の画像データとを比較し、一致するものがあるかを確認する(S39)。
【0138】
一致するものがあれば(S39Yes)、偽造判定部411は、偽造判定装置100に挿入されたチケットを本物と判定する(S41)。一致するものがなければ(S39No)、偽物と判定する(S41)。本物、偽物の判定が完了すると、偽造判定部411は、判定結果を出力し、処理を終了する。
【0139】
なお、図25には図示していないが、読み出し部31が読み出すシリアル番号を利用して、上記ステップS39において、登録データ表421に格納された画像データのうち、読み出されたシリアル番号に対応する画像データを判定対象とすることで処理を高速化することもできる。
【0140】
以上に説明した第2の実施形態によれば、複製が困難なモアレ縞の部分画像データを偽造判定に使用することにより、コード化処理を行う必要がない。また、データの授受は偽造判定装置内で閉じており、特に暗号化処理を行う必要もない。こうして、コード化、暗号化が省略されることにより、従来より簡易な(計算量の少ない)偽造判定を行うことを可能にする。もちろん、コード化を行ってもよい。その場合でも、暗号化の必要はなく、従来より簡易な偽造判定を行うことを可能にすることに変わりはない。更に、CCDイメージセンサが読み取り可能な状態で、偽造判定装置にモアレ縞を与えることができなければ、偽造されたコンサートチケットによって偽造判定装置を突破することはできず、モアレ縞が持つ複製の困難性を活用できる。
【0141】
続いて、第2の実施形態の変形例を説明する。第2の実施形態においては、挿入されたチケットが持つモアレ縞の全体画像を撮像し、そこから部分画像を抽出したが、第2の実施形態の変形例は、各チケットのモアレ縞のうち、判定に使用する部分だけを撮像することにより、第2の実施形態よりもセキュリティを高めるものである。
【0142】
図26は、第2の実施形態の変形例における偽造判定装置の構成ブロック図である。以下、第2の実施形態における偽造判定装置100(図24)との違いについてだけ説明する。
【0143】
本変形例においては、CCDイメージセンサ31が、チケットが持つモアレ縞の部分画像を撮像するための部分画像撮像部として機能する点が異なる。このため、撮像前に位置指定部413より撮像部分の位置が指定される。また、本変形例の偽造判定装置100においては、カメラユニットを移動して撮像箇所を変えることができるよう構成されている。
【0144】
まず、CCDイメージセンサ31により偽造判定装置100へのコンサートチケットの挿入が検知されると、対象物のセット通知が位置指定部413に入力される(M41)。位置指定部413は、位置指定表422を参照し、判定に使用する部分の位置をランダムに指定し、レンズが該当部分を捉えるよう、レンズや画像素子を含むカメラユニットを移動する信号を出力すると共に、指定部分位置を偽造判定部411に出力する(M42)。
【0145】
CCDイメージセンサ31は、部分画像撮像部として、挿入されたチケットに生じるモアレ縞のうち、位置指定部413により指定された部分の画像を撮像し、画像処理部32に出力する(M43)。画像処理部32は、CCDイメージセンサ31が撮像するモアレ縞の部分画像の画像データを偽造判定部411に出力する(M44)。
【0146】
偽造判定部411は、登録データ表421から全体画像の画像データを読み出し、位置指定部413から入力された指定位置に対応する部分の画像データが、入力された部分画像の画像データと一致するものがあるかを確認する。一致するものが登録データ表421に格納されていれば、挿入されたチケットは本物と判定され、一致するものが登録データ表421に格納されていなければ、挿入されたチケットは偽物と判定され、偽造判定部411は、判定結果を図示省略された表示部に表示するためのデータを出力する。
【0147】
なお、第2の実施形態同様、カード識別番号を使用して処理を高速化してもよい。また、チケットが偽造判定装置100に挿入されたかどうかを検知するには、別のセンサ(例えば赤外センサ)を有していれば、それを用いてもよい。
【0148】
図27は、第2の実施形態の変形例における偽造判定装置の動作を説明するフローチャートである。まず、CCDイメージセンサ31により偽造判定装置100へのチケットの挿入が検知されると、対象物のセット通知が位置指定部413に入力され、位置指定部413は、位置指定表422を参照し、判定に使用する部分の位置をランダムに指定し、レンズが該当部分を捉えるよう、レンズや画像素子を含むカメラユニットを移動する信号を出力すると共に、指定部分位置を偽造判定部411に出力する(S35)。第2の実施形態におけるステップS35(図25参照)と同じく、位置指定部413は、乱数を発生し、ランダムに位置を指定すれば済む。
【0149】
CCDイメージセンサ31により、挿入されたチケットに生じるモアレ縞のうち、位置指定部413により指定された部分の画像が撮像され、画像素子が感知する光が電気信号に変換され画像処理部32に入力される(S36)。画像処理部32は、それを画像フォーマットに変換し、画像データとして偽造判定部411に出力する(S38)。
【0150】
偽造判定部411は、登録データ表421に格納された全体画像の画像データそれぞれに対し、第2の実施形態のステップS37(図25参照)と同様にして、ステップS35で位置指定部413より入力される指定部分位置に対応する部分画像の画像データを抽出する。そして、偽造判定部411は、ステップS38で画像処理部32より入力された部分画像の画像データと、登録データ表421から抽出される部分画像の画像データとを比較し、一致するものがあるかを確認する(S39)。
【0151】
一致するものがあれば(S39Yes)、偽造判定部411は、偽造判定装置10に挿入されたチケットを本物と判定する(S41)。一致するものがなければ(S39No)、偽物と判定する(S43)。本物、偽物の判定が完了すると、偽造判定部411は、判定結果を出力し、処理を終了する。
【0152】
なお、図27には図示していないが、読み出し部31が読み出すシリアル番号を利用して、上記ステップS39において、登録データ表421に格納された画像データのうち、読み出されたシリアル番号に対応する画像データを判定対象とすることで処理を高速化することもできる。
【0153】
第2の実施形態では、何らかの方法で直接的にモアレ縞の全体画像の画像データが制御部33に入力される場合、誤った偽造判定(偽物を本物と判定すること)が行われる可能性があるものの、本変形例によれば、制御部33に入力される画像データが、位置指定部413が指定する部分以外のデータを含んでいる場合や、逆に、位置指定部413が指定する部分のデータを含んでいない場合に、偽物と判定することができるので、よりセキュリティを高めることができる。また、撮像する部分の位置はランダムに変更するものの、撮像する部分の形状を固定するようにすれば(例えば、毎回ランダムに位置を変えながら30ピクセル四方の部分画像を撮像する等)、数万画素分の全体画像を撮像するための画像素子やレンズを用意する必要がなくなり、偽造判定装置を単純化することが可能になる。
【0154】
また、第2の実施形態およびその変形例においては、コード化を省略したが、識別コードによる偽造判定を行いたければ、制御部41にコード化部を設け、挿入されたチケットの部分画像に基づき第1の実施形態同様識別コードをその都度生成することもできるし、予め、生成された識別コードを登録データ表に格納することもできる。
【0155】
なお、本明細書においては、対象物の一例としてクレジットカードやコンサートチケットを取り上げたが、各実施形態において述べていない対象物に適用することが可能である。モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物としては、例えば、キャッシュカード、パスポート、回数券、プリペイドカード、入場券、株券、宝石の鑑定書、紙幣、有名アーティストのコンサートチケット等さまざまな物がある。
【0156】
以上まとめると付記のようになる。
【0157】
(付記1)
モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物がセットされ、該対象物が持つ前記モアレ縞を読み出す端末と、前記端末にネットワークを介して接続され、前記端末が読み出したモアレ縞に基づき前記対象物の真贋を判定するサーバとを備える偽造判定システムであって、
前記端末は、
光学部材と前記光学部材で受ける光を電気信号に変換する画像素子とを含み、前記対象物が持つモアレ縞を撮像する画像撮像部と、
前記サーバから送られる、判定に使用する部分の位置に基づき、前記撮像されたモアレ縞のうち、前記入力された位置に対応する部分画像の画像データを抽出し、前記部分画像の画像データに基づき識別コードを生成して前記サーバに送信する第1のコード化部とを有し、
前記サーバは、
前記判定に使用する部分の位置をランダムに指定し前記端末に送信する位置指定部と、
登録された対象物が持つモアレ縞の全体画像の画像データからそれぞれ、前記位置指定部が指定する可能性のある候補位置に対応する部分画像の画像データを抽出し、該抽出された各画像データに基づき識別コードをそれぞれ生成し、記憶部に予め格納する第2のコード化部と、
前記第2のコード化部が生成する複数の識別コードの中に、前記ランダムに指定された位置に対応する識別コードが、前記端末から送られる前記識別コードと一致するものがあるかを確認し、一致するものがあれば前記対象物を本物と判定し、一致するものがなければ偽物と判定する偽造判定部とを有することを特徴とする偽造判定システム。
【0158】
(付記2)
付記1において、
前記対象物は、更に、該対象物を特定する識別番号が格納された第2の記憶部を有するクレジットカードであって、
前記サーバの記憶部には、前記識別番号と前記第2のコード化部が生成する複数の識別コードとが対応付けられて格納されており、
前記端末は、更に、前記第2の記憶部に格納された前記識別番号を読み出して前記サーバに送信する読み出し部を有し、
前記偽造判定部は、前記第2のコード化部が生成する複数の識別コードから、前記端末から送られる前記識別番号と前記ランダムに指定された位置とに基づき識別コードを特定し、前記特定された識別コードと、前記端末より入力される前記識別コードとが一致するかを確認して、判定を行うことを特徴とする偽造判定システム。
【0159】
(付記3)
付記1又は2において、
前記位置指定部は、前記モアレ縞の全体画像にxy座標軸を導入してできる2次元平面における任意の次元の関数f(x、y)を生成し、前記生成される関数f(x、y)に基づき決定される境界線、つまり{(x、y)|f(x、y)=0}又は領域、つまり{(x、y)|f(x、y)<0}あるいは{(x、y)|f(x、y)>0}を前記判定に使用する部分の位置として指定することを特徴とする偽造判定システム。
【0160】
(付記4)
付記1又は2において、
前記偽造判定部は、前記判定に使用する部分を複数組み合わせて厳密な判定を行うことを特徴とする偽造判定システム。
【0161】
(付記5)
付記1又は2において、
前記サーバの記憶部には、少なくとも前記光学部材の球面収差又は倍率が予め格納されており、
前記第2のコード化部は、前記球面収差又は倍率に基づき、前記部分画像の画像データを補正することを特徴とする偽造判定システム。
【0162】
(付記6)
付記1又は2において、
前記対象物には、更に、少なくとも絵、文字、数字、バーコード、紋様のいずれかの図柄が描かれる図柄部材が、前記ランダムパターン部材と層状に配置されることを特徴とする偽造判定システム。
【0163】
(付記7)
モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物の真贋を判定する偽造判定方法であって、
登録された対象物が持つモアレ縞の全体画像の画像データからそれぞれ、判定に使用する部分の位置として指定される可能性のある候補位置に対応する部分画像の画像データが抽出され、該抽出された各画像データに基づき識別コードがそれぞれ生成され、予め記憶される記憶ステップと、
前記対象物が持つモアレ縞が撮像され、前記撮像されたモアレ縞のうち、判定に使用する部分の位置がランダムに指定されるステップと、
前記ランダムに指定された位置に対応する前記モアレ縞の部分画像の画像データが抽出され、前記抽出された画像データに基づき識別コードが生成されるコード化ステップと、
前記記憶ステップにおいて生成される複数の識別コードの中に、前記コード化ステップにおいて生成される識別コードと一致するものがあるかが確認され、一致するものがあれば前記対象物が本物と判定され、一致するものがなければ偽物と判定される判定ステップとを有することを特徴とする偽造判定方法。
【0164】
(付記8)
付記7において、
前記対象物は、該対象物を特定する識別番号が格納された記憶部を有するクレジットカードであって、
前記記憶ステップにおいて生成される識別コードには、それぞれ、前記識別番号が対応付けられており、更に、
前記記憶部に格納された前記識別番号が読み出される読み出しステップを有し、
前記判定ステップにおいて、前記記憶ステップにおいて生成される複数の識別コードから、前記読み出しステップにおいて読み出された前記識別番号と前記ランダムに指定された位置とに基づき識別コードが特定され、前記特定された識別コードと、前記コード化ステップにおいて生成される識別コードとが一致するかが確認され、判定が行われることを特徴とする偽造判定方法。
【0165】
(付記9)
付記7又は8において、
前記判定に使用する部分の位置として、前記モアレ縞の全体画像にxy座標軸を導入してできる2次元平面における任意の次元の関数f(x、y)に基づき決定される境界線、つまり{(x、y)|f(x、y)=0}又は領域、つまり{(x、y)|f(x、y)<0}あるいは{(x、y)|f(x、y)>0}が指定されることを特徴とする偽造判定方法。
【0166】
(付記10)
付記7又は8において、
前記判定に使用する部分を複数組み合わせて厳密な判定が行われることを特徴とする偽造判定方法。
【0167】
(付記11)
付記7又は8において、更に、
前記撮像に使用される光学部材に関し、少なくとも球面収差又は倍率が予め記憶されるステップを有し、
前記球面収差又は倍率に基づき、前記部分画像の画像データが補正され判定が行われることを特徴とする偽造判定方法。
【0168】
(付記12)
付記7又は8において、
前記対象物には、更に、少なくとも絵、文字、数字、バーコード、紋様のいずれかの図柄が描かれる図柄部材が、前記ランダムパターン部材と層状に配置されることを特徴とする偽造判定方法。
【0169】
(付記13)
モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物の真贋を判定するコンピュータであって、登録された対象物が持つモアレ縞の全体画像の画像データからそれぞれ抽出される、判定に使用する部分の位置として指定される可能性のある候補位置に対応する部分画像の画像データに基づき生成される複数の識別コードが、予め格納される記憶部を有するコンピュータに、
前記判定に使用する部分の位置をランダムに指定させる位置指定機能と、
前記対象物のモアレ縞のうち、前記ランダムに指定された位置に対応する部分画像の画像データに基づき生成された識別コードが入力されると、前記記憶部に格納される複数の識別コードの中に、該入力された識別コードと一致するものがあるかを確認させ、一致するものがあれば前記対象物を本物と判定させ、一致するものがなければ偽物と判定させる偽造判定機能とを実現させるためのプログラム。
【0170】
(付記14)
付記13において、
前記対象物は、更に、該対象物を特定する識別番号が格納された第2の記憶部を有するクレジットカードであって、
前記コンピュータの記憶部には、前記識別番号と前記複数の識別コードとが対応付けられて格納されており、
前記偽造判定機能は、前記記憶部に格納される複数の識別コードから、前記第2の記憶部から読み出された前記対象物の前記識別番号と前記ランダムに指定された位置とに基づき識別コードを特定し、前記特定された識別コードと、前記入力された識別コードとが一致するかを確認して、判定を行うことを特徴とするプログラム。
【0171】
(付記15)
付記13又は14において、
前記位置指定機能は、前記モアレ縞の全体画像にxy座標軸を導入してできる2次元平面における任意の次元の関数f(x、y)が生成され、前記生成される関数f(x、y)に基づき決定される境界線、つまり{(x、y)|f(x、y)=0}又は領域、つまり{(x、y)|f(x、y)<0}あるいは{(x、y)|f(x、y)>0}を前記判定に使用する部分の位置として指定することを特徴とするプログラム。
【0172】
(付記16)
付記13又は14において、
前記偽造判定機能は、前記判定に使用する部分を複数組み合わせて厳密な判定を行うことを特徴とするプログラム。
【0173】
(付記17)
付記13又は14において、
前記コンピュータの記憶部には、少なくとも前記光学部材の球面収差又は倍率が予め格納されており、
前記球面収差又は倍率に基づき、前記部分画像の画像データが補正され判定が行われることを特徴とするプログラム。
【0174】
(付記18)
付記13又は14において、
前記対象物には、更に、少なくとも絵、文字、数字、バーコード、紋様のいずれかの図柄が描かれる図柄部材が、前記ランダムパターン部材と層状に配置されることを特徴とするプログラム。
【0175】
(付記19)
モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物がセットされ、該対象物の真贋を判定する偽造判定装置であって、
登録された対象物が持つモアレ縞の全体画像が画像データとして予め複数格納される記憶部と、
光学部材と前記光学部材で受ける光を電気信号に変換する画像素子とを含み、前記セットされた対象物が持つモアレ縞の全体画像を撮像する全体画像撮像部と、
前記全体画像撮像部が撮像する全体画像に対応する電気信号を画像データに変換する画像処理部と、
前記撮像される全体画像のうち、判定に使用する部分の位置をランダムに指定する位置指定部と、
前記位置指定部により指定された位置に対応する部分画像の画像データを抽出し、前記記憶部に格納された複数の全体画像の画像データの中に、前記位置指定部により指定された位置の画像データが、前記抽出された部分画像の画像データに一致するものがあるかを確認し、一致するものがあれば前記対象物を本物と判定し、一致するものがなければ偽物と判定する偽造判定部とを有することを特徴とする偽造判定装置。
【0176】
(付記20)
モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物がセットされ、該対象物の真贋を判定する偽造判定装置であって、
登録された対象物が持つモアレ縞の全体画像がデータとして予め複数格納される記憶部と、
前記全体画像のうち、判定に使用する部分の位置をランダムに指定する位置指定部と、
光学部材と前記光学部材で受ける光を電気信号に変換する画像素子とを含み、前記対象物が持つモアレ縞のうち、前記位置指定部により指定された位置に対応する部分画像を撮像する部分画像撮像部と、
前記部分画像撮像部が撮像する部分画像に対応する電気信号を画像データに変換する画像処理部と、
前記記憶部に格納された複数の全体画像の画像データの中に、前記位置指定部により指定された位置の画像データが、前記部分画像撮像部により撮像された部分画像の画像データに一致するものがあるかを確認し、一致するものがあれば前記対象物を本物と判定し、一致するものがなければ偽物と判定する偽造判定部とを有することを特徴とする偽造判定装置。
【0177】
(付記21)
付記19又は20において、
前記位置指定部は、前記全体画像にxy座標軸を導入してできる2次元平面における任意の次元の関数f(x、y)を生成し、前記生成される関数f(x、y)に基づき決定される境界線、つまり{(x、y)|f(x、y)=0}又は領域、つまり{(x、y)|f(x、y)<0}あるいは{(x、y)|f(x、y)>0}を前記判定に使用する部分の位置として指定することを特徴とする偽造判定装置。
【0178】
(付記22)
付記19又は20において、
前記偽造判定部は、前記判定に使用する部分を複数組み合わせて厳密な判定を行うことを特徴とする偽造判定装置。
【0179】
(付記23)
付記19又は20において、
前記記憶部には、少なくとも前記光学部材の球面収差又は倍率が予め格納されており、
前記偽造判定部は、前記球面収差又は倍率に基づき、前記部分画像の画像データを補正して判定を行うことを特徴とする偽造判定装置。
【0180】
(付記24)
付記19又は20において、
前記対象物には、更に、少なくとも絵、文字、数字、バーコード、紋様のいずれかの図柄が描かれる図柄部材が、前記ランダムパターン部材と層状に配置されることを特徴とする偽造判定装置。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】第1の実施形態における偽造判定システムを説明する図である。
【図2】第1の実施形態における端末の一例を示す外観図である。
【図3】Aは、対象物が持つモアレ縞の一例を示す図であり、Bは、モアレチップを示す図、Cはモアレシールを示す図である。
【図4】Aは、図柄と組み合わせて使用するモアレ縞の例を示す図であり、Bは、モアレチップを示す図、Cはモアレシールを示す図である。
【図5】第1の実施形態における偽造判定システムの動作を説明するフローチャートである。
【図6】所定画素おきに目盛りを配置して座標を導入する場合の位置指定の例である。
【図7】所定数の画素をまとめたブロックに対し座標を導入する場合の位置指定の例である。
【図8】その他の位置指定の例を示す図である。
【図9】その他の位置指定の例を示す図である。
【図10】その他の位置指定の例を示す図である。
【図11】3次関数による位置指定の例を示す図である。
【図12】楕円関数による位置指定の例を示す図である。
【図13】第1の実施形態における偽造判定システムの構成ブロック図である。
【図14】CCDイメージセンサにおける読み取り方法を説明する図である。
【図15】登録データ表のデータ構成例を示す図である。
【図16】位置指定表のデータ構成例を示す図である。
【図17】第1の実施形態における偽造判定システムの動作を詳細に説明するフローチャートである。
【図18】第1の変形例における偽造判定システムの動作を説明するフローチャートである。
【図19】第1の変形例における偽造判定システムの構成ブロック図である。
【図20】第1の変形例における登録データ表のデータ構成例を示す図である。
【図21】第1の変形例における偽造判定システムの動作を詳細に説明するフローチャートである。
【図22】第2の変形例における偽造判定システムの構成ブロック図である。
【図23】第2の変形例における偽造判定システムの動作を詳細に説明するフローチャートである。
【図24】第2の実施形態における偽造判定装置の構成ブロック図である。
【図25】第2の実施形態における偽造判定装置の動作を説明するフローチャートである。
【図26】第2の実施形態の変形例における偽造判定装置の構成ブロック図である。
【図27】第2の実施形態の変形例における偽造判定装置の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0182】
1 クレジットカード、2 モアレ縞領域、3 ICチップ、4 磁気ストライプ、5 エンボス加工文字、10 端末、11 表示部、12 挿入口、31 CCDイメージセンサ、32 画像処理部、33 制御部、41 制御部、42 記憶部、71 光源、72 レンズ、73、74 ランダムパターン部材、75 モアレチップ、76 モアレシール、77 反射部材、78 図柄部材、79 カメラユニット、51 サーバ、52 ネットワーク、53 情報処理装置、54 外付けユニット、100 偽造判定装置、331 コード化部、411 偽造判定部、412 コード化部、413 位置指定部、421 登録データ表、422 位置指定表
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物がセットされ、該対象物が持つ前記モアレ縞を読み出す端末と、前記端末にネットワークを介して接続され、前記端末が読み出したモアレ縞に基づき前記対象物の真贋を判定するサーバとを備える偽造判定システムであって、
前記端末は、
光学部材と前記光学部材で受ける光を電気信号に変換する画像素子とを含み、前記対象物が持つモアレ縞を撮像する画像撮像部と、
前記サーバから送られる、判定に使用する部分の位置に基づき、前記撮像されたモアレ縞のうち、前記入力された位置に対応する部分画像の画像データを抽出し、前記部分画像の画像データに基づき識別コードを生成して前記サーバに送信する第1のコード化部とを有し、
前記サーバは、
前記判定に使用する部分の位置をランダムに指定し前記端末に送信する位置指定部と、
登録された対象物が持つモアレ縞の全体画像の画像データからそれぞれ、前記位置指定部が指定する可能性のある候補位置に対応する部分画像の画像データを抽出し、該抽出された各画像データに基づき識別コードをそれぞれ生成し、記憶部に予め格納する第2のコード化部と、
前記第2のコード化部が生成する複数の識別コードの中に、前記ランダムに指定された位置に対応する識別コードが、前記端末から送られる前記識別コードと一致するものがあるかを確認し、一致するものがあれば前記対象物を本物と判定し、一致するものがなければ偽物と判定する偽造判定部とを有することを特徴とする偽造判定システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記対象物は、更に、該対象物を特定する識別番号が格納された第2の記憶部を有するクレジットカードであって、
前記サーバの記憶部には、前記識別番号と前記第2のコード化部が生成する複数の識別コードとが対応付けられて格納されており、
前記端末は、更に、前記第2の記憶部に格納された前記識別番号を読み出して前記サーバに送信する読み出し部を有し、
前記偽造判定部は、前記第2のコード化部が生成する複数の識別コードから、前記端末から送られる前記識別番号と前記ランダムに指定された位置とに基づき識別コードを特定し、前記特定された識別コードと、前記端末より入力される前記識別コードとが一致するかを確認して、判定を行うことを特徴とする偽造判定システム。
【請求項3】
モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物の真贋を判定する偽造判定方法であって、
登録された対象物が持つモアレ縞の全体画像の画像データからそれぞれ、判定に使用する部分の位置として指定される可能性のある候補位置に対応する部分画像の画像データが抽出され、該抽出された各画像データに基づき識別コードがそれぞれ生成され、予め記憶される記憶ステップと、
前記対象物が持つモアレ縞が撮像され、前記撮像されたモアレ縞のうち、判定に使用する部分の位置がランダムに指定されるステップと、
前記ランダムに指定された位置に対応する前記モアレ縞の部分画像の画像データが抽出され、前記抽出された画像データに基づき識別コードが生成されるコード化ステップと、
前記記憶ステップにおいて生成される複数の識別コードの中に、前記コード化ステップにおいて生成される識別コードと一致するものがあるかが確認され、一致するものがあれば前記対象物が本物と判定され、一致するものがなければ偽物と判定される判定ステップとを有することを特徴とする偽造判定方法。
【請求項4】
モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物の真贋を判定するコンピュータであって、登録された対象物が持つモアレ縞の全体画像の画像データからそれぞれ抽出される、判定に使用する部分の位置として指定される可能性のある候補位置に対応する部分画像の画像データに基づき生成される複数の識別コードが、予め格納される記憶部を有するコンピュータに、
前記判定に使用する部分の位置をランダムに指定させる位置指定機能と、
前記対象物のモアレ縞のうち、前記ランダムに指定された位置に対応する部分画像の画像データに基づき生成された識別コードが入力されると、前記記憶部に格納される複数の識別コードの中に、該入力された識別コードと一致するものがあるかを確認させ、一致するものがあれば前記対象物を本物と判定させ、一致するものがなければ偽物と判定させる偽造判定機能とを実現させるためのプログラム。
【請求項5】
モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物がセットされ、該対象物の真贋を判定する偽造判定装置であって、
登録された対象物が持つモアレ縞の全体画像が画像データとして予め複数格納される記憶部と、
光学部材と前記光学部材で受ける光を電気信号に変換する画像素子とを含み、前記セットされた対象物が持つモアレ縞の全体画像を撮像する全体画像撮像部と、
前記全体画像撮像部が撮像する全体画像に対応する電気信号を画像データに変換する画像処理部と、
前記撮像される全体画像のうち、判定に使用する部分の位置をランダムに指定する位置指定部と、
前記位置指定部により指定された位置に対応する部分画像の画像データを抽出し、前記記憶部に格納された複数の全体画像の画像データの中に、前記位置指定部により指定された位置の画像データが、前記抽出された部分画像の画像データに一致するものがあるかを確認し、一致するものがあれば前記対象物を本物と判定し、一致するものがなければ偽物と判定する偽造判定部とを有することを特徴とする偽造判定装置。
【請求項1】
モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物がセットされ、該対象物が持つ前記モアレ縞を読み出す端末と、前記端末にネットワークを介して接続され、前記端末が読み出したモアレ縞に基づき前記対象物の真贋を判定するサーバとを備える偽造判定システムであって、
前記端末は、
光学部材と前記光学部材で受ける光を電気信号に変換する画像素子とを含み、前記対象物が持つモアレ縞を撮像する画像撮像部と、
前記サーバから送られる、判定に使用する部分の位置に基づき、前記撮像されたモアレ縞のうち、前記入力された位置に対応する部分画像の画像データを抽出し、前記部分画像の画像データに基づき識別コードを生成して前記サーバに送信する第1のコード化部とを有し、
前記サーバは、
前記判定に使用する部分の位置をランダムに指定し前記端末に送信する位置指定部と、
登録された対象物が持つモアレ縞の全体画像の画像データからそれぞれ、前記位置指定部が指定する可能性のある候補位置に対応する部分画像の画像データを抽出し、該抽出された各画像データに基づき識別コードをそれぞれ生成し、記憶部に予め格納する第2のコード化部と、
前記第2のコード化部が生成する複数の識別コードの中に、前記ランダムに指定された位置に対応する識別コードが、前記端末から送られる前記識別コードと一致するものがあるかを確認し、一致するものがあれば前記対象物を本物と判定し、一致するものがなければ偽物と判定する偽造判定部とを有することを特徴とする偽造判定システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記対象物は、更に、該対象物を特定する識別番号が格納された第2の記憶部を有するクレジットカードであって、
前記サーバの記憶部には、前記識別番号と前記第2のコード化部が生成する複数の識別コードとが対応付けられて格納されており、
前記端末は、更に、前記第2の記憶部に格納された前記識別番号を読み出して前記サーバに送信する読み出し部を有し、
前記偽造判定部は、前記第2のコード化部が生成する複数の識別コードから、前記端末から送られる前記識別番号と前記ランダムに指定された位置とに基づき識別コードを特定し、前記特定された識別コードと、前記端末より入力される前記識別コードとが一致するかを確認して、判定を行うことを特徴とする偽造判定システム。
【請求項3】
モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物の真贋を判定する偽造判定方法であって、
登録された対象物が持つモアレ縞の全体画像の画像データからそれぞれ、判定に使用する部分の位置として指定される可能性のある候補位置に対応する部分画像の画像データが抽出され、該抽出された各画像データに基づき識別コードがそれぞれ生成され、予め記憶される記憶ステップと、
前記対象物が持つモアレ縞が撮像され、前記撮像されたモアレ縞のうち、判定に使用する部分の位置がランダムに指定されるステップと、
前記ランダムに指定された位置に対応する前記モアレ縞の部分画像の画像データが抽出され、前記抽出された画像データに基づき識別コードが生成されるコード化ステップと、
前記記憶ステップにおいて生成される複数の識別コードの中に、前記コード化ステップにおいて生成される識別コードと一致するものがあるかが確認され、一致するものがあれば前記対象物が本物と判定され、一致するものがなければ偽物と判定される判定ステップとを有することを特徴とする偽造判定方法。
【請求項4】
モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物の真贋を判定するコンピュータであって、登録された対象物が持つモアレ縞の全体画像の画像データからそれぞれ抽出される、判定に使用する部分の位置として指定される可能性のある候補位置に対応する部分画像の画像データに基づき生成される複数の識別コードが、予め格納される記憶部を有するコンピュータに、
前記判定に使用する部分の位置をランダムに指定させる位置指定機能と、
前記対象物のモアレ縞のうち、前記ランダムに指定された位置に対応する部分画像の画像データに基づき生成された識別コードが入力されると、前記記憶部に格納される複数の識別コードの中に、該入力された識別コードと一致するものがあるかを確認させ、一致するものがあれば前記対象物を本物と判定させ、一致するものがなければ偽物と判定させる偽造判定機能とを実現させるためのプログラム。
【請求項5】
モアレ縞を生じさせるランダムパターン部材を有する対象物がセットされ、該対象物の真贋を判定する偽造判定装置であって、
登録された対象物が持つモアレ縞の全体画像が画像データとして予め複数格納される記憶部と、
光学部材と前記光学部材で受ける光を電気信号に変換する画像素子とを含み、前記セットされた対象物が持つモアレ縞の全体画像を撮像する全体画像撮像部と、
前記全体画像撮像部が撮像する全体画像に対応する電気信号を画像データに変換する画像処理部と、
前記撮像される全体画像のうち、判定に使用する部分の位置をランダムに指定する位置指定部と、
前記位置指定部により指定された位置に対応する部分画像の画像データを抽出し、前記記憶部に格納された複数の全体画像の画像データの中に、前記位置指定部により指定された位置の画像データが、前記抽出された部分画像の画像データに一致するものがあるかを確認し、一致するものがあれば前記対象物を本物と判定し、一致するものがなければ偽物と判定する偽造判定部とを有することを特徴とする偽造判定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2006−113821(P2006−113821A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−300699(P2004−300699)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(504384136)
【出願人】(501281674)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(504384136)
【出願人】(501281674)
【Fターム(参考)】
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