説明

偽造防止用形成体

【課題】可視画像が形成されたホログラム等の基材に、複数の不可視画像が形成された偽造防止用形成体を提供する。
【解決手段】回折格子等によって可視画像が形成されたホログラム上に、微細な多孔群を形成し、多孔群を任意に配置することで複数の不可視画像が形成され、複数の不可視画像のうちの一つは、光を透過させた状態で目視することができ、さらに、光を透過させた状態で基材に判別具を重ねて目視することで、他の不可視画像が目視される偽造防止用形成体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラムを紙等の基材に貼付した印刷媒体に関する。特に、本発明は、銀行券、パスポート、ブランドプロテクション等の貴重性の高い媒体に利用され、偽造防止や真偽判別が必要な媒体に適用できる。
【背景技術】
【0002】
磁気カード等のカード媒体や銀行券、諸証券等の紙媒体の表面にホログラムを貼付し、偽造防止のためのセキュリティ機能を高める方法としては、公知になっている。しかし、コピー機やパソコン等の電子機器の急激な精度向上に伴い、単純なホログラムでは、偽造防止として十分な機能を得られていない状況にある。そこで、ホログラムを構成する金属層又は金属蒸着層に、非金属領域を設けて透明層又は透明部分を形成することは、以下の先行発明のとおり開示されている。
【0003】
例えば、ホログラムのマスキング印刷層を洗い流すことで、所望のパターン(ダイヤ・ハート・クローバ・スペード等)の金属反射層を設けて、意匠性の自由度が増し、細かいパターン、複雑なパターンが形成する技術を開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、特許文献1以外のホログラムの金属蒸着層を除去する方法としては、例えば、金属蒸着層をYAGもしくはCO2等のレーザビームで照射により非接触にて溶解し、固定情報として印字パターンとする技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、金属蒸着型熱転写用ホログラムシートにレーザを部分的に照射し、照射部分の金属蒸着層をスリット状又はメッシュ状に蒸発させる技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
さらに、ホログラムに印刷デザイン形成部と、ホログラムの金属蒸着膜をレーザ加工又はエッチング処理により透かしデザイン形成部を設ける技術が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
【0007】
また、本発明の出願人らは、ホログラム形成層の一表面上に形成された回折格子の表面上には、潜像画像領域と潜像背景領域から成るホログラム画像領域を有し、潜像画像領域には、光透過性部材から成る第1の線幅の潜像画像線と、潜像画像線の背景に形成された光反射性部材から成る第1の光反射領域とを有し、潜像背景領域には、光透過性部材から成る第2の線幅の潜像背景線と、潜像背景線の背景に形成された光反射性部材から成る第2の光反射領域とを有し、潜像画像線と潜像背景線の線幅は、異なることを特徴とするホログラムシートを既に出願している。
【0008】
これにより、本発明のホログラムシート及びホログラム形成層を接着剤で貼付した印刷基材のホログラム画像領域は、反射状態で目視した場合、光反射性部材から成る潜像画像領域及び潜像背景領域の光反射領域により、回折光や反射光でホログラム効果が目視できるが、ホログラム画像領域の光透過性部材で形成した潜像画像線及び潜像背景線は目視できない。一方、ホログラム画像領域を透過状態で目視した場合は、ホログラム効果は目視できないが、ホログラム画像領域の光透過性部材で形成した潜像画像領域における複数の潜像画像線と潜像背景領域における複数の潜像背景線との透過光量の差異や透過光の方向性の差異等により、潜像画像領域が文字、マーク、図柄として目視できるといった効果を有する技術が開示されている(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−286194号公報
【特許文献2】特開平10−333574号公報
【特許文献3】特開2003−150027号公報
【特許文献4】特開2005−14492号公報
【特許文献5】特開2007−240785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の発明では、ホログラムの金属蒸着層内に非金属領域を設けて、所望のパターン(ダイヤ・ハート・クローバ・スペードが開示されている)を形成することから、デザインを作成する上では、任意のパターンが自由に形成できるという利点がある。しかし、偽造防止に関するセキュリティ面から見ると、ホログラムによる金属蒸着層内に非金属領域で形成する所望のパターンは、単純な図柄で、かつ、パターン図柄全体を金属蒸着層の有無で形成していることから、複写、複製した場合に模造されやすいため、セキュリティ面では課題があった。そのため、金属蒸着層内に非金属領域を、より効果的な構成にして、偽造抵抗力を高めることが望まれていた。
【0011】
また、特許文献2の発明では、ホログラムの金属蒸着層をYAGもしくはCO2等のレーザビームで照射により非接触にて溶解し、固定情報として印字パターンを形成する。具体的な印字パターンとしては、管理番号や文字等が開示されており、目視できる程度の大きさの固定情報を記録することで、本発明の目的や利用としては達成されている。しかし、固定情報を微細な構造体(例えば、微細な線状や点状の集合体)にした場合、線や点は微小であるため、レーザビームの出力のバラツキが生じ、レーザ出力が減少した場合、線や点として形成されず、逆に、レーザ出力が増えた場合、設定幅の線や点よりも大きくなる可能性があることから、微細体を形成するのは不向きである。したがって、レーザビームで固定情報を加工する場合、レーザビームの出力のバラツキに対する影響を受けにくい文字等が好適であり、固定情報を微細な構造とした場合には課題があった。
【0012】
また、特許文献3の発明では、ホログラムシートの金属層蒸着層にレーザを部分的に照射し、照射部分の金属蒸着層をスリット状又はメッシュ状に蒸発させるが、ホログラム形成層は残存させ、擬似的な透明又は半透明なホログラムシートを形成するものである。そのため、コスト面で多種少量生産に好適であるが、大量生産品では、レーザビームの出力のバラツキが影響し、その結果、金属蒸着層に対してレーザ加工した加工精度(金属蒸着層を除去する精度)もあばれを生じることから、常に同一の加工精度、加工品質が求められる場合は不適であった。一方、精密な加工が可能なレーザビームを有する装置は、レーザによる加熱を制御する機能やスペースが必要となり、装置自体が大きくなることと、装置の価格が高くなり、低コストでは実現できない。
【0013】
また、ホログラムの金属蒸着層をレーザ加工により蒸発させ、スリット状又はメッシュ状として、透かして見たときに、あたかも透明(又は半透明)に見えることで擬似透明ホログラムとして機能させている。このスリット状又はメッシュ状とする目的は、レーザ加工により金属蒸着層に対して、除去部分と非除去部分を繰り返して形成することにより、肉眼で見た場合、ホログラムに透明(又は半透明)の濃淡を与えるものである。しかし、偽造防止に関するセキュリティ面では、ホログラムの真偽判別する場合、「透明(又は半透明)である」「透明(又は半透明)でない」という濃度を基準とするため、判定する者の個人差により基準が異なり、客観的な判断ができないため、真偽判別手段としては向いていないという課題があり、誰にでも客観的に判断できる真偽判別手段が望まれていた。
【0014】
一方、ホログラムの金属蒸着層をレーザ加工により除去した場合に透かして見える情報としては、具体的には文字や数字が開示されているが、文字の大きさに具体的な記載がないため、透かしても見えるが、透かさなくても反射状態で文字や数字が目視できてしまうという欠点があり、セキュリティ面の潜像効果としては、より反射状態で目視した時に情報が見えない構成が望まれていた。
【0015】
また、特許文献4の発明では、ホログラムに印刷デザイン形成部と、ホログラムの金属蒸着膜をレーザ加工又はエッチング処理により透かしデザイン形成部を設けているが、具体的に開示されている透かしデザイン形成部は、文字や数字であり、文字の大きさに具体的な記載がなく、透かしても見えるが、一方で、透かさなくても反射状態で文字や数字が目視できてしまうため、セキュリティ面の潜像効果としては、より反射状態で情報が見えない構成が望まれていた。
【0016】
また、特許文献5の発明では、ホログラム画像領域を透過状態で目視した場合は、ホログラム効果は目視できないが、ホログラム画像領域の光透過性部材で形成した潜像画像領域における複数の潜像画像線と潜像背景領域における複数の潜像背景線との透過光量の差異や透過光の方向性の差異等により、潜像画像領域が文字、マーク又は図柄として目視できることで本発明の目的や利用としては一部達成されている。しかし、更なる偽造防止効果を求める上で、目視以外でも真偽判別できる機能が備わっていることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の偽造防止用形成体は、光透過性基材上に光反射性部材が積層されるか、又は光反射性インキが塗布された基材に、複数の孔群によって構成された少なくとも1つの不可視画像を備えた偽造防止用形成体であって、孔群は、第1の方向に沿って第1の距離をもって一対となって配置された第1の開孔領域及び第2の開孔領域を有するunitが、規則的に一定ピッチで複数隣接して配置され、複数隣接して配置されたunitにおける第1の開孔領域は、第2の距離をもって配置され、第1の開孔領域及び第2の開孔領域は、オン、オフの関係にあり、かつ、開孔領域の面積率が同一として形成され、第1の開孔領域を開孔、すなわちオンとして形成することで、第1の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の一方が形成され、第2の開孔領域を開孔、すなわちオンとして形成することで、第1の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成されたことを特徴としている。
【0018】
また、本発明の偽造防止用形成体の基材は、少なくとも1つの可視画像が形成されたことを特徴としている。
【0019】
また、本発明の偽造防止用形成体の第1の開孔領域及び第2の開孔領域は、光の透過光量を高めるために第1の方向と直行する方向にそって最長の直径を有する長円、最長の辺を有する長方形又は最長の対角線を有する多角形の形状で形成されたことを特徴としている。
【0020】
また、本発明の偽造防止用形成体のunitは、第1の開孔領域及び第2の開孔領域が存在しない位置に、第3の開孔領域を有し、第3の開孔領域によって、第2の不可視画像が形成されたことを特徴としている。
【0021】
また、本発明の偽造防止用形成体の複数隣接して配置されたunitのうち、オンとして配置された第1の開孔領域及び第2の開孔領域が第1の距離で配置された場合、いずれか一方の孔を開孔せず、複数隣接して配置されたunitのうち、オフとして配置された第1の開孔領域及び第2の開孔領域が第2の距離よりも長い距離で配置された場合に、所定の領域における光の透過光量を緩和するために、第1の開孔領域及び第2の開孔領域における半分又は略半分の開孔面積を有する第4の開孔領域を、第2の距離よりも長い距離をもって配置された第1の開孔領域及び第2の開孔領域の中心に配置されたことを特徴としている。
【0022】
また、本発明の偽造防止用形成体のunitは、更に第1の方向に直行する第2の方向に沿って第1の距離をもって一対となって配置された第5の開孔領域及び第6の開孔領域を有し、複数隣接して配置されたunitにおける第5の開孔領域は、第2の距離をもって配置され、第5の開孔領域及び第6の開孔領域は、オン、オフの関係にあり、かつ、開孔領域の面積率が同一として形成され、第5の開孔領域をオン、すなわち開孔することで、第3の不可視画像のネガ画像又はポジ画像が形成され、第6の開孔領域をオン、すなわち開孔することで、第3の不可視画像のネガ画像又はポジ画像が形成されたことを特徴としている。
【0023】
また、本発明の偽造防止用形成体の第5の開孔領域及び第6の開孔領域は、光の透過光量を高めるために第2の方向と直行する方向に沿って最長の直径を有する長円、最長の辺を有する長方形又は最長の対角線を有する多角形の形状で形成されたことを特徴としている。
【0024】
また、本発明の偽造防止用形成体の複数隣接して配置されたunitのうち、オンとして配置された第5の孔及び第6の孔が第1の距離をもって配置された場合、いずれか一方の孔を開孔せず、複数隣接して配置されたunitのうち、オフとして配置された第5の開孔領域及び第6の開孔領域が第2の距離よりも長い距離で配置された場合に、所定の領域における光の透過光量を緩和するために、第5の開孔領域及び第6の開孔領域における半分又は略半分の開孔面積を有する第7の開孔領域を、第2の距離よりも長い距離をもって配置された第5の開孔領域及び第6の開孔領域の中心に配置されたことを特徴としている。
【0025】
また、本発明の偽造防止用形成体の第1の開孔領域、第2の開孔領域、第3の開孔領域、第4の開孔領域、第5の開孔領域、第6の開孔領域及び第7の開孔領域は、それぞれ円形の形状又はそれぞれ多角形の形状を有することを特徴としている。
【0026】
また、本発明の偽造防止用形成体のunit同士の所定のピッチは、1mm以下であることを特徴としている。
【0027】
また、本発明の偽造防止用形成体のunit内における第1の開孔領域、第2の開孔領域、第3の開孔領域、第4の開孔領域、第5の開孔領域、第6の開孔領域及び第7の開孔領域のうち、開孔される領域の一部が結合して開孔されたことを特徴としている。
【0028】
また、本発明の偽造防止用形成体の可視画像は、微細な凹凸によって形成された回折格子又は回折格子パターンによって形成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0029】
本発明のホログラムは、反射状態で目視した場合、光反射性部材により回折光や反射光でホログラム画像領域のホログラム効果を目視することができるが、ホログラム画像領域に形成された透過不可視画像領域は目視することができない。一方、ホログラム画像領域を透過状態で目視した場合は、ホログラム効果は目視できないが、ホログラム画像領域の透過不可視画像領域に形成された第1の不可視画像画線部と第1の不可視背景画線部との透過光量の差異により、透過不可視画像領域が文字、マーク、図柄として目視することができる。
【0030】
さらに、ホログラム画像領域を透過状態で目視した状態において、基材のホログラム領域にレンチキュラーレンズ又は万線シートが重ね合わされることによって、少なくとも2種類以上の不可視画像が可視画像となって現れる。すなわち、透過光量の差異によって文字、マーク又は図柄が現出する透過不可視画像領域において、レンチキュラーレンズ又は万線シートが重ね合わされることにより、さらに複数の画像が出現する効果を奏している。したがって、反射状態ではホログラム効果、透過状態では第1の不可視画像が可視化し、さらに、レンチキュラーレンズ又は万線シートを重ね合わせることによって第2の不可視画像と第3の不可視画像とが可視化するという複数の効果を有している。
【0031】
これにより、本発明は、目視の反射光にて確認できる第1の真偽判別効果と、目視の透過光にて確認できる第2の真偽判別効果と、目視の透過光と簡易的な判別道具にて確認できる第3の真偽判別効果を備えている。したがって、本発明のホログラムは、複写、複製に対して、異なる3種類の真偽判別効果を有することから、3重のセキュリティが付与されている。なお、本発明のホログラムは、紙、フィルム又はカード等の基材に貼り付けても同様な効果を得られ、銀行券や有価証券には好適である。ただし、基材は、光を一定以上透過する素材、材料でなければならない。
【0032】
また、ホログラム画像領域の光反射性部材としては、例えば、アルミニウム等の光沢性が高い金属材で形成されるため、複写、複製に対する抵抗力が高い。その理由としては、カラーコピー機やスキャナ等の機器は、強い透過光を被複写物や被複製物に当てて入力画像を得るため、光反射性が高いアルミニウムは、透過光の反射率が高いことから、正確に再現することが難しい。加えて、本発明では、ホログラム画像領域に光透過性部材(例えば、透明の熱可塑性樹脂)に形成された透過不可視画像領域における第1の不可視画像画線部及び第1の不可視背景画線部は微細な孔であるため、それぞれの孔を偽造品において等しく複製することは極めて困難である。
【0033】
また、本発明のホログラムは、基材に貼付しても、透過状態による不可視画像効果が得られる。例えば、紙等の基材自体に孔をあけて、透過状態で不可視画像を目視できる技術も開示されているが、この技術では、紙等の基材自体に孔をあけるため、孔をあけた領域の耐久性や強度が低下してしまうことは避けられないが、本発明のホログラムを基材に直接貼り付けた場合は、基材自体の耐久性は低下せず、ATMや券売機等の搬送に対しても悪影響を及ぼさない。
【0034】
また、本発明のホログラムを貼付した基材は、利用者が反射光で目視した場合に透過不可視画像領域の存在を容易に意識されることはない。利用者が透過光で目視した場合にのみ、透過不可視画像領域に備わった第1の不可視画像が意識できるようになるが、透過不可視画像領域においてさらに第2の不可視画像及び第3の不可視画像が備わっていることが意識されることはない。すなわち、第2の不可視画像及び第3の不可視画像は、判別具を持っていない限り確認することができないという、より段階的にセキュリティ対策を備えることを可能にできるメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】光透過性基材1に貼付された箔状のホログラム3を「反射状態」で目視した説明図である。
【図2】ホログラム3のホログラム画像領域4において、観察角度によって複数の図柄とその色変化が確認できる状態の正面図である。
【図3】ホログラム3を貼付した光透過性基材1の表面に向けて光源5から照射した「反射状態」でX方向の所定の視角から目視した説明図である。
【図4】ホログラム3を貼付した光透過性基材1の表面に向けて光源5から照射した「反射状態」でY方向の所定の視角から目視した説明図である。
【図5】ホログラム3を貼付した光透過性基材1の表面から「透過状態」で目視した正面図である。
【図6】ホログラム3を貼付した光透過性基材1の裏面から光源5にて照射され、光透過性基材1の表面から目視した説明図である。
【図7】ホログラム3が貼付された光透過性基材1において光源5は基材の裏面から照射し、かつ、判別具であるレンチキュラーレンズ2をホログラム3が貼付された面に重ね合わせる状態が示された説明図である。
【図8】ホログラム3が貼付された光透過性基材1に判別具であるレンチキュラーレンズ2が重なった状態の断面図及び目視することができる画像の一例を示す説明図である。
【図9】ホログラム3が貼付された光透過性基材1に判別具であるレンチキュラーレンズ2が重なった状態の断面図及び目視することができる画像の一例を示す説明図である。
【図10】光透過性基材1に貼付されたホログラム3における透過不可視画像領域6の基本構成要素が拡大して示された模式図である。
【図11】透過不可視画像領域6は微細な複数のunit3a〜3hがマトリックス状に組み合わされて構成された状態が示された説明図である。
【図12】図11で示された各unit3a〜3hを光透過性基材1上にマトリックス状に隙間なく、連続的に、かつ、規則的に配置された状態が示された説明図である。
【図13】判別具であるレンチキュラーレンズ2の各レンズの中心線9が、図11における線L1に一致するように、レンチキュラーレンズ2を光透過性基材1上のホログラム3に重ね合わせた状態が示された説明図である。
【図14】判別具であるレンチキュラーレンズ2の各レンズの中心線9が、図11における線L3に一致するように、レンチキュラーレンズ2を光透過性基材1上のホログラム3に重ね合わせた状態が示された説明図である。
【図15】不可視画像を構成する各孔の形状が示された図である。
【図16】光透過性基材1に貼付されたホログラム3における透過不可視画像領域6の基本構成要素が拡大して示された模式図である。
【図17】透過不可視画像領域6は微細な複数のunit3a〜3hがマトリックス状に組み合わされて構成された状態が示された説明図である。
【図18】図16で示された各unit3a〜3hを光透過性基材1上にマトリックス状に隙間なく、連続的に、かつ、規則的に配置された状態が示された説明図である。
【図19】判別具であるレンチキュラーレンズ2の各レンズの中心線9が、図16における線L1に一致するように、レンチキュラーレンズ2を光透過性基材1上のホログラム3に重ね合わせた状態が示された説明図である。
【図20】判別具であるレンチキュラーレンズ2の各レンズの中心線9が、図16における線L3に一致するように、レンチキュラーレンズ2を光透過性基材1上のホログラム3に重ね合わせた状態が示された説明図である。
【図21】肉眼視では濃度が不均衡になるのを緩和するための、孔の削除並びに追加を実行するアルゴリズムを示したフローチャートである。
【図22】肉眼視では濃度が不均衡になるのを緩和するための、孔の削除並びに追加を実行するアルゴリズムを示したフローチャートである。
【図23】図21及び図22のアルゴリズムに従って、unit[h,v]の孔A´[h,v]並びに孔B´[h,v]が削除された状態が示された図である。
【図24】図21及び図22のアルゴリズムに従って、孔A、孔A´、孔B又は孔B´の半分又は略半分の空間面積を有する孔a、孔b及び孔Eが追加された状態が示された図である。
【図25】図21及び図22のアルゴリズムに従って、透過不可視画像領域6全域において、肉眼視での濃度の不均衡が緩和された状態が示された説明図である。
【図26】図25(a)及び図25(b)の透過不可視画像領域6が重畳されることによって、第2の不可視画像及び第3の不可視画像を同一面上に施した状態が示された説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の実施形態について図面を用いて説明する。しかしながら、本発明は以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな形態が実施可能である。
【0037】
まず、本発明で記載される「ホログラム効果」とは、例えば、図1に示された光透過性基材1に貼付された箔状のホログラム3を「反射状態」で目視したときに、ホログラム3に備えられたホログラム形成層において回折格子の回折光や反射光により、図柄の色彩が虹色に変化したり、画像が他の画像と切り替わるような効果をいうものである。ホログラム形成層には、回折格子又は回折格子パターンとなる微細な凹凸が形成され、この凹凸表面にアルミニウム等の光沢性が高い光反射性部材を蒸着等で密着させることで作製でき、広く一般に周知された技術である。具体的なホログラム効果としては、日本やユーロ等の銀行券に貼付されているホログラムのように、見る角度で複数の図柄や色彩が変化する等の効果をいう。また、ホログラム効果は、銀行券のホログラムで見られる効果には限らず、公知のカード、商品券、証明書に貼付されたホログラムの効果でも構わない。
【0038】
ホログラム3の製造段階におけるホログラムシート基材は、透明プラスチックが望ましく、例えば、PET等の公知の樹脂を使用すれば良い。光反射性部材には、アルミニウム、銅、ニッケル又は錫等があるが、高輝度で経済性に有利なアルミニウムが好適であり、真空蒸着やスパッタリングを利用して形成すれば良い。また、光反射性部材にアルミニウムを使用した場合、100〜2000Åの厚みが望ましい。一方、ホログラム形成層の回折格子の構成としては、公知のレリーフ型ホログラム、レインボー型ホログラム等の公知である微細な凹凸パターンを形成したホログラムを使用すれば良く、特に制約されるものではない。
【0039】
(ホログラム効果)
上記ホログラム3において、本発明による独自の効果が得られる構成について説明する。すなわち、図3に示されたように、ホログラム3を貼付した光透過性基材1の表面(光透過性基材1に対してホログラム3を貼付した面)に向けて光源5から照射した「反射状態」で目視した場合は、回折格子による回折光により、観察する角度によって様々な色と形が個々に遷移し出現するホログラム効果が目視できる。具体的には、図2に示されたように、ホログラム3のホログラム画像領域4において、観察角度によって複数の図柄(1)(2)(3)(4)が出現し、さらに図柄の色変化が確認できる。例えば、図3では、X方向の所定の視角[X1]で観察すると「NPB」の図柄(1)、X方向の所定の視角[X2]で観察すると「星」の図柄(2)、そして、X方向の所定の視角[X3]で観察すると、[X1]から目視した場合の色彩と異なる「NPB」の図柄(1)が現れる。一方、図4では、Y方向の所定の視角[Y1]で観察すると「2009」の図柄(3)、Y方向の所定の視角[Y2]で観察すると「篭目模様」の図柄(4)、そして、Y方向の所定の視角[Y3]で観察すると[Y1]から目視した場合の色彩と異なる「2009」の図柄(3)が現れるホログラム効果を示している。なお、観察角度により出現するホログラム画像の回数やホログラム画像の画像変化(切替、移動、膨張又は収縮等)の方法には、特段の制約はなく、ホログラム効果が一つのパターンでも問題はない。
【0040】
(透過不可視画像効果)
図5は、ホログラム3を貼付した光透過性基材1の表面から「透過状態」で目視した場合が示されたものである。図6に示されたように、光透過性基材1の裏面から光源5を照射することにより、光透過性基材1の表面の視角[T1]から観察すると、図5で示された図柄(5)のようになる。このとき、ホログラム画像領域4は目視できないが、ホログラム3上に有する微細な多孔群によって構成された透過不可視画像領域6が光透過性基材1を通して光を透過する。さらに、透過不可視画像領域6の第1の不可視画像画線部7aと第1の不可視背景画線部7bとの透過光量の差異によって、第1の不可視画像として備わっていた、例えば、「桜」の模様が透過状態の可視画像として目視できる。すなわち、ホログラム画像領域4と、透過不可視画像領域6とは、ホログラム3上に重畳しているものである。
【0041】
なお、光透過性基材1は光を一定以上透過する材料や材質で構成する必要がある。また、透過不可視画像領域6の第1の不可視画像画線部7aと第1の不可視背景画線部7bとの透過光量の差異が生ずるための要素として、孔と称する微細な多孔群の空間面積に違いのあることが作用し、第1の不可視画像画線部7aと第1の不可視背景画線部7bとが区別されるものである。この多孔群については後述にて詳細に説明する。さらに、透過状態で目視する場合、光源5を表面(ホログラム3側)にし、裏面から目視しても、同様な第1の不可視画像の現出効果が得られる。透過不可視画像領域6に備わる第1の不可視画像とされる画像情報としては、文字、数字、図柄又はマーク等を適宜選択すれば良い。一方で、ホログラム画像領域4に光透過性部材から成る第1の不可視画像画線部7aと第1の不可視背景画線部7bは微細な孔で構成され、反射状態では目視できないため、ホログラム効果を目視する時に、第1の不可視画像画線部7aと第1の不可視背景画線部7bでホログラム効果を阻害することはない。
【0042】
(判別具による不可視画像の現出効果)
本発明では、図7に示されるように、ホログラム3が貼付された光透過性基材1において光源5は基材の裏面から照射し、かつ、判別具であるレンチキュラーレンズ2をホログラム3が貼付された面に重ね合わせることにより、第2、第3の不可視画像を容易に可視画像として発現させて真偽判別することができるものである。レンチキュラーレンズ2は、透明性を有する素材であり、光透過性基材1から透過された光を充分に透過するものである。
【0043】
そして、光透過性基材1上に判別具であるレンチキュラーレンズ2を所定の角度(これを0度とする)をもって重ね合わせると、図5で示された、例えば、図柄(6)の「A」の文字ような第2の不可視画像8aが可視画像となって発現する。また、光透過性基材1上に判別具であるレンチキュラーレンズ2を所定の角度に対して90度を成す角度をもって重ね合わせると、図5で示された、例えば、図柄(7)の「B」の文字ような第3の不可視画像8bが可視画像となって発現する。なお、第2の不可視画像8a及び第3の不可視画像8bは、文字、数字、図柄又はマーク等適宜選択すれば良い。
【0044】
図8は、ホログラム3が貼付された光透過性基材1に判別具であるレンチキュラーレンズ2が重なった状態の断面図で、観察者から見てレンチキュラーレンズ2の中心線が0度の状態が示されたものである。光透過性基材1の表面の視角[T2]から観察すると、レンチキュラーレンズ2と光透過性基材1とが重なる相対的な位置によって、図5で示された図柄(6)がネガ状又はポジ状のどちらかに見える。一方、図9は、ホログラム3が貼付された光透過性基材1に判別具であるレンチキュラーレンズ2が重なった状態の断面図で、観察者から見てレンチキュラーレンズ2の中心線が90度の状態が示されたものである。光透過性基材1の表面の視角[T3]から観察すると、レンチキュラーレンズ2と光透過性基材1とが重なる相対的な位置によって、図5で示された図柄(7)がネガ状又はポジ状のどちらかに見える。このように、レンチキュラーレンズ2と光透過性基材1との間の相対的な位置によって生ずるものであり、本発明の効果の範囲内である。
【0045】
(透過不可視画像の構成)
次に、透過不可視画像領域6の構成について詳細に説明する。図10は、光透過性基材1に貼付されたホログラム3における透過不可視画像領域6の基本構成要素、すなわち、unitを模式的に拡大して示したものである。unitにおける縦横の寸法は、例えば、420μmというように1mm以下の大きさであり、図7の拡大部分で示されたレンチキュラーレンズ2の中心線のピッチと一致している。ホログラム3における透過不可視画像領域6の基本構成要素は、孔A、孔A´、孔B、孔B´及び孔Cから成る微細な空間部を形成する領域を有し、孔A、孔A´、孔B、孔B´及び孔Cは、同一の直径で同一の空間面積を有し、所定の位置関係をもって配置されている。図10に示されたように、孔Aと孔A´とは、第1の方向に沿って第1の距離、すなわち、線L1と線L2の距離をもって対を成しており、相互にオン、オフの関係にある。このような孔Aと孔A´とが存在することで通常の可視条件下では視認されず、孔A又は孔A´のいずれか一方が塞がることによって、孔Aのみにより第2の不可視画像(ネガ又はポジ)、孔A´のみにより第2の不可視画像(ポジ又はネガ)がそれぞれ形成されている。同様に、図10で示された、孔Bと孔B´とは、第2の方向に沿って第1の距離、すなわち、線L3と線L4の距離をもって対を成してオン、オフの関係にある。孔B又は孔B´のいずれか一方が塞がることによって、孔Bのみにより第3の不可視画像(ネガ又はポジ)、孔B´のみにより第3の不可視画像(ポジ又はネガ)がそれぞれ形成されている。また、各孔の最小孔寸法Pは、unitにおける辺寸法の25%程度の長さが適当である。本例では、105μmと設定した。
【0046】
一方、図10に示された孔Cは、図5で示された透過不可視画像領域6の第1の不可視画像画線部7aと第1の不可視背景画線部7bとを区別するための構成要素であり、孔Cの有無によって透過不可視画像領域6の第1の不可視画像画線部7aと第1の不可視背景画線部7bとの透過光量の差を設け、「桜」の模様等が任意の図形又は文字から成る模様を表すことを可能にしている。
【0047】
(判別具による不可視画像の構成)
この透過不可視画像領域6について、更に詳細に説明する。透過不可視画像領域6は、図11に示されたような微細な複数のunit3a〜3hがマトリックス状に組み合わされて構成されるものである。透過不可視画像領域6における第1の不可視画像画線部7aを構成するものはunit3a、3b、3c及び3dの4つであり、第1の不可視背景画線部7bを構成するものは、unit3e、3f、3g及び3hの4つである。
【0048】
unit3aは、図10で示された孔Aと孔Bとを備え、孔Aは、線L1の位置ではオン、線L2の位置ではオフの役割を成し、孔Bは、線L3の位置ではオン、線L4の位置ではオフの役割を成している。unit3bは、図10で示された孔Aと孔B´とを備え、孔Aは、線L1の位置ではオン、線L2の位置ではオフの役割を成し、孔B´は、線L3の位置ではオフ、線L4の位置ではオンの役割を成している。unit3cは、図10で示された孔A´と孔Bとを備え、孔A´は、線L1の位置ではオフ、線L2の位置ではオンの役割を成し、孔Bは、線L3の位置ではオン、線L4の位置ではオフの役割を成している。unit3dは、図10で示された孔A´と孔B´とを備え、孔A´は、線L1の位置ではオフ、線L2の位置ではオンの役割を成し、孔B´は、線L3の位置ではオフ、線L4の位置ではオンの役割を成している。
【0049】
unit3eは、図10で示された孔Aと孔Bと孔Cとを備え、孔Aは、線L1の位置ではオン、線L2の位置ではオフの役割を成し、孔Bは、線L3の位置ではオン、線L4の位置ではオフの役割を成している。unit3fは、図10で示された孔Aと孔B´と孔Cとを備え、孔Aは、線L1の位置ではオン、線L2の位置ではオフの役割を成し、孔B´は、線L3の位置ではオフ、線L4の位置ではオンの役割を成している。unit3gは、図10で示された孔A´と孔Bと孔Cとを備え、孔A´は、線L1の位置ではオフ、線L2の位置ではオンの役割を成し、孔Bは、線L3の位置ではオン、線L4の位置ではオフの役割を成している。unit3hは、図10で示された孔A´と孔B´と孔Cとを備え、孔A´は、線L1の位置ではオフ、線L2の位置ではオンの役割を成し、孔B´は、線L3の位置ではオフ、線L4の位置ではオンの役割を成している。
【0050】
図12は、図11で示された各unit3a〜3hを光透過性基材1上にマトリックス状に隙間なく、連続的に、かつ、規則的に配置された状態が示されたものである。この図12は、光透過性基材1に貼付されたホログラム3の透過不可視画像領域6を構成するマトリックス状に配置された複数の孔において、第2の不可視画像を構成する孔A及び孔A´と、第3の不可視画像を構成する孔B及び孔B´と、第1の不可視画像を構成する孔Cとのそれぞれの構成が解るように簡易的に示した模式図である。なお、図12(a)と図12(b)は、同じ基材であって、第2の不可視画像及び第3の不可視画像とそれぞれの位置構成が解るように太実線で簡易的に示した模式図であり、図12(a)は、第2の不可視画像「A」の位置を表し、図12(b)は、第3の不可視画像「B」の位置を表したものである。
【0051】
つまり、図6で示されたように、判別具であるレンチキュラーレンズ2を重ねていない状態では、第1の不可視画像のみが透過光によって視認されるが、第2の不可視画像及び第3の不可視画像は視認されない。一方、図8又は図9で示されたように、レンチキュラーレンズ2をホログラム3上の所定の位置に重ね合わせると、それまで視認されていた第1の不可視画像が全く確認できなくなり、逆に、第2の不可視画像又は第3の不可視画像のそれぞれが可視画像となって視認されるようになる。このような本実施の形態1による基材における画像のスイッチ効果の原理について、以下に説明する。
【0052】
図7又は図8に示されたように、ホログラム3を透過光で正面から目視で観察した状態を図13に示す。図13(a)は、光源5からの照射によってホログラム3に備わっている透過不可視画像領域6に対して、判別具であるレンチキュラーレンズ2の各レンズの中心線9が、図11における線L1に一致するように、レンチキュラーレンズ2を光透過性基材1上のホログラム3に重ね合わせた状態が示されたものである。レンチキュラーレンズ2の中心線9が図13(a)に示された位置にある場合、中心線9上に位置するのは孔Aと、孔B及びB´となっている。レンチキュラーレンズの特性によって、中心線9に位置する孔A、B及びB´が膨張して見えるため、目視では図13(b)に示されたような透過光による可視画像が発現する。ここで、孔B及びB´は、オン、オフの関係にあり、かつ、面積が同一であるため、これらにより形成される画像は視認されない。このため、孔Aにより形成される第2の不可視画像「A」のみが視認される。また、レンチキュラーレンズ2の中心線9が図11における線L2に一致した位置にあるときは、孔A´が膨張して見える。これにより、第2の不可視画像「A」がネガポジのいずれかの状態で可視画像となって発現する。
【0053】
次に、図7又は図9に示されたように、ホログラム3を透過光で正面から目視で観察した状態を図14に示す。図14(a)は、透過光にて観察したホログラム3に対して、判別具であるレンチキュラーレンズ2の各レンズの中心線9が、図11における線L3に一致するように、レンチキュラーレンズ2を光透過性基材1上のホログラム3に重ね合わせた状態が示されたものである。レンチキュラーレンズ2の中心線9が図14(a)に示された位置にある場合、中心線9上に位置するのは孔B、A及びA´となっている。レンチキュラーレンズの特性によって、中心線9に位置する孔B、A及びA´が膨張して見えるため、目視では図14(b)に示されたような透過光による可視画像が発現する。ここで、孔A及びA´は、オン、オフの関係にあり、かつ、面積が同一であるため、これらにより形成される画像は視認されない。このため、孔Bにより形成される第3の不可視画像「B」のみが視認される。また、レンチキュラーレンズ2の中心線9が図11における線L4に一致した位置にあるときは、孔B´が膨張して見える。これにより、第3の不可視画像「B」がネガポジのいずれかの状態で可視画像となって発現する。
【0054】
本発明では、判別具としてレンチキュラーレンズを用いているが、光を透過できる素材であれば何ら限定するものではなく、例えば、判別具を万線フィルタとした場合であっても同様の効果を確認することができる。また、レンチキュラーレンズでの観察時において、孔A、A´、B、B´及びCは、ほとんど視認されないため、第2の不可視画像及び第3の不可視画像が可視画像として発現したときの視認性を阻害することはない。
【0055】
また、発明を実施するための形態におけるホログラム3上の孔A、A´、B、B´及びCは、角丸四角形を有している。しかし、このような形状には限定されず、図15に示される、円形(a)、四角形(b)、六角形(c)、楕円形(d)、長方形(e)又は菱形(f)等、色々な形状を用いることが可能である。この場合、各孔A、A´、B、B´及びCがそれぞれ異なっていても良い。孔Aと孔A´とが対を成してオン、オフの関係にあり、かつ、空間面積が同一であって第2の不可視画像を構成し、孔Bと孔B´とが対を成してオン、オフの関係にあり、かつ、空間面積が同一であって第3の不可視画像を構成し、さらに孔Cが第1の不可視画像として、本発明で示された観察条件で視認されるものであれば、孔の形状は何ら限定するものではない。
【0056】
さらに、発明を実施するための形態おける光透過性基材1は、紙の他、透明性を有するプラスチックカード、プラスチックフイルム、ガラス、不織布又は布等を利用しても、同様な効果が得られる。なお、便宜上、第1の不可視画像画線部7a及び第1の不可視背景画線部7bを拡大して示しており、実際の構成は微細であり図示する大きさでは構成されていない。また、第1の不可視画像画線部7a及び第1の不可視背景画線部7bは、前述のとおり反射状態で見えないことが望ましいが、不可視画像線又は不可視画像背景線の一部が、反射状態で若干見える構成であっても、透過不可視画像領域6から成る情報が認識できず(又は気づかず)、かつ、ホログラム効果の視認性を著しく阻害しなければ、本発明の技術的思想の範囲内である。
【0057】
(1)実施の形態1
次に、本発明における不可視画像をより鮮明に発現できる孔の構成について詳細に説明する。図16は、光透過性基材1に貼付されたホログラム3における透過不可視画像領域6の基本構成要素、すなわち、unitが模式的に拡大して示されたものである。unitにおける縦横の寸法は、例えば、420μmというように1mm以下の大きさであり、図7の拡大部分で示されたレンチキュラーレンズ2の中心線のピッチと一致している。ホログラム3における透過不可視画像領域6の基本構成要素は、孔A、孔A´、孔B、孔B´及び孔Cから成る微細な空間部があり、所定の位置関係をもって配置されている。また、孔Aと孔A´とは横長の形状を成し、孔Bと孔B´とは縦長の形状を成している。これは、第2の不可視画像、第3の不可視画像が判別具によって可視化した際により鮮明に見えるようにしているものであるが、詳細は後述にて説明する。
【0058】
また、図16(a)に示されたように、孔Aと孔A´とは、第1の方向に沿って第1の距離、すなわち、線L1と線L2の距離をもって対を成しており、相互にオン、オフの関係にある。そして、孔Aと孔A´とは、空間面積が同一である。このような孔Aと孔A´とが存在することで通常の可視条件下では視認されず、孔A又は孔A´のいずれか一方が塞がることによって、孔Aのみにより第2の不可視画像(ネガ又はポジ)、孔A´のみにより第2の不可視画像(ポジ又はネガ)がそれぞれ形成されている。同様に、図16(b)で示された、孔Bと孔B´とは、第2の方向に沿って第1の距離、すなわち、線L3と線L4の距離をもって対を成してオン、オフの関係にあり、かつ、空間面積が同一である。孔B又は孔B´のいずれか一方が塞がることによって、孔Bのみにより第3の不可視画像(ネガ又はポジ)、孔B´のみにより第3の不可視画像(ポジ又はネガ)がそれぞれ形成されている。また、各孔の最小孔寸法Pは、unitにおける縦横の寸法の25%程度の長さが適当である。本例では、105μmと設定した。さらに、孔Aと孔A´、又は孔Bと孔B´との間隔Jは任意であるが、望ましくはunitの寸法の25%程度の105μmとしている。これらの数値は、本実施の形態1において、ホログラム3に空間部を設ける際に加工し易いための設計値であって、本発明の効果が得られる範囲であれば必ずしもこの通りではない。
【0059】
一方、図16(c)に示された孔Cは、図5で示された透過不可視画像領域6の第1の不可視画像画線部7aと第1の不可視背景画線部7bとを区別するための構成要素であり、孔Cの有無によって透過不可視画像領域6の第1の不可視画像画線部7aと第1の不可視背景画線部7bとの透過光量の差を設け、「桜」の模様等が任意の図形又は文字から成る模様を表すことを可能にしている。また、孔Cの縦横孔寸法hは、unitの寸法の半分を限度とし、本発明の効果が得られる範囲であれば大きさ形状を何ら制限するものではない。
【0060】
(判別具による不可視画像の構成)
この透過不可視画像領域6について、更に詳細に説明する。透過不可視画像領域6は、図17に示されたような微細な複数のunit3a〜3hがマトリックス状に組み合わされて構成されるものである。透過不可視画像領域6における第1の不可視画像画線部7aを構成するものはunit3a、3b、3c及び3dの4つであり、第1の不可視背景画線部7bを構成するものはunit3e、3f、3g及び3hの4つである。このとき、孔A、孔A´、孔B、孔B´及び孔Cの一部が結合し、個々のunit3a〜3hごとに一つの孔として一体化している。これにより、光透過度が増し、第2の不可視画像及び第3の不可視画像が、判別具によって可視化した際により鮮明にさせることができるものである。
【0061】
unit3aは、図16(a)で示された孔Aと図16(b)で示された孔Bとを備え、孔Aは、線L1の位置ではオン、線L2の位置ではオフの役割を成し、孔Bは、線L3の位置ではオン、線L4の位置ではオフの役割を成している。unit3bは、図16(a)で示された孔Aと図16(b)で示された孔B´とを備え、孔Aは、線L1の位置ではオン、線L2の位置ではオフの役割を成し、孔B´は、線L3の位置ではオフ、線L4の位置ではオンの役割を成している。unit3cは、図16(a)で示された孔A´と図10(b)で示された孔Bとを備え、孔A´は、線L1の位置ではオフ、線L2の位置ではオンの役割を成し、孔Bは、線L3の位置ではオン、線L4の位置ではオフの役割を成している。unit3dは、図16(a)で示された孔A´と図16(b)で示された孔B´とを備え、孔A´は、線L1の位置ではオフ、線L2の位置ではオンの役割を成し、孔B´は、線L3の位置ではオフ、線L4の位置ではオンの役割を成している。
【0062】
unit3eは、図16(a)で示された孔Aと図16(b)で示された孔Bと図16(c)で示された孔Cとを備え、孔Aは、線L1の位置ではオン、線L2の位置ではオフの役割を成し、孔Bは、線L3の位置ではオン、線L4の位置ではオフの役割を成している。unit3fは、図16(a)で示された孔Aと図16(b)で示された孔B´と図10(c)で示された孔Cとを備え、孔Aは、線L1の位置ではオン、線L2の位置ではオフの役割を成し、孔B´は、線L3の位置ではオフ、線L4の位置ではオンの役割を成している。unit3gは、図16(a)で示された孔A´と図16(b)で示された孔Bと図16(c)で示された孔Cとを備え、孔A´は、線L1の位置ではオフ、線L2の位置ではオンの役割を成し、孔Bは、線L3の位置ではオン、線L4の位置ではオフの役割を成している。unit3hは、図16(a)で示された孔A´と図16(b)で示された孔B´と図16(c)で示された孔Cとを備え、孔A´は、線L1の位置ではオフ、線L2の位置ではオンの役割を成し、孔B´は、線L3の位置ではオフ、線L4の位置ではオンの役割を成している。
【0063】
図18は、図17で示された各unit3a〜3hを光透過性基材1上にマトリックス状に隙間なく、連続的に、かつ、規則的に配置された状態が示されたものである。この図18は、光透過性基材1に貼付されたホログラム3の透過不可視画像領域6を構成するマトリックス状に配置された複数の孔において、第2の不可視画像を構成する孔A及び孔A´と、第3の不可視画像を構成する孔B及び孔B´と、第1の不可視画像を構成する孔Cとのそれぞれの構成が解るように簡易的に示した模式図である。なお、図18(a)と図18(b)は、同じ基材であって、第2の不可視画像及び第3の不可視画像とそれぞれの位置構成が解るように太実線で簡易的に示した模式図であり、図18(a)は第2の不可視画像「A」の位置を表し、図18(b)は第3の不可視画像「B」の位置を表したものである。
【0064】
つまり、図6で示されたように、判別具であるレンチキュラーレンズ2を重ねていない状態では、第1の不可視画像のみが透過光によって視認されるが、第2の不可視画像及び第3の不可視画像は視認されない。一方、図8又は図9で示されたように、レンチキュラーレンズ2をホログラム3上の所定の位置に重ね合わせると、それまで視認されていた第1の不可視画像がまったく確認できなくなり、逆に、第2の不可視画像又は第3の不可視画像のそれぞれが可視画像となって視認されるようになる。このような本実施の形態1による基材における画像のスイッチ効果の原理について、以下に説明する。
【0065】
図7又は図8に示されたように、ホログラム3を透過光で正面から目視で観察した状態を図19に示す。図19(a)は、光源5からの照射によってホログラム3に備わっている透過不可視画像領域6に対して、判別具であるレンチキュラーレンズ2の各レンズの中心線9が、図17における線L1に一致するように、レンチキュラーレンズ2を光透過性基材1上のホログラム3に重ね合わせた状態が示されたものである。レンチキュラーレンズ2の中心線9が図19(a)に示された位置にある場合、中心線9上に位置するのは孔Aと、孔B及びB´となっている。レンチキュラーレンズの特性によって、中心線9に位置する孔A、B及びB´が膨張して見えるため、目視では、図19(b)に示されたような透過光による可視画像が発現する。ここで、孔B及びB´は、オン、オフの関係にあり、かつ、面積が同一であるため、これらにより形成される画像は視認されない。このため、孔Aにより形成される第2の不可視画像「A」のみが視認される。また、レンチキュラーレンズ2の中心線9が図17における線L2に一致した位置にあるときは、孔A´が膨張して見える。これにより、第2の不可視画像「A」がネガポジのいずれかの状態で可視画像となって発現する。
【0066】
次に、図7又は図9に示されたように、ホログラム3を透過光で正面から目視で観察した状態を図20に示す。図20(a)は、透過光にて観察したホログラム3に対して、判別具であるレンチキュラーレンズ2の各レンズの中心線9が、図17における線L3に一致するように、レンチキュラーレンズ2を光透過性基材1上のホログラム3に重ね合わせた状態が示されたものである。レンチキュラーレンズ2の中心線9が図20(a)に示された位置にある場合、中心線9上に位置するのは孔B、A及びA´となっている。レンチキュラーレンズの特性によって、中心線9に位置する孔B、A及びA´が膨張して見えるため、目視では、図20(b)に示されたような透過光による可視画像が発現する。ここで、孔A及びA´は、オン、オフの関係にあり、かつ、面積が同一であるため、これらにより形成される画像は視認されない。このため、孔Bにより形成される第3の不可視画像「B」のみが視認される。また、レンチキュラーレンズ2の中心線9が図17における線L4に一致した位置にあるときは、孔B´が膨張して見える。これにより、第3の不可視画像「B」がネガポジのいずれかの状態で可視画像となって発現する。
【0067】
(2)実施の形態2
図12又は図18で示された透過不可視画像領域6の状態でも、肉眼視において不可視画像を施している状態になっているが、マトリクス状に配置されたunitの関係によって、施された孔が隣接した場合又は孔と孔との間隔が第2の距離以上となった場合に、部分的に光の透過光量が少なく(暗く)見えたり、また、部分的に光の透過光量が多く(明るく)見えたりして、肉眼視では濃度が不均衡となって見えることもある。
【0068】
この濃度の不均衡に見えるのを緩和するため、図21に示されたアルゴリズムによって最小単位であるunit[h,v]ごとに、孔の削除並びに追加を実行するものである。なお、[v]はunitを縦上から数えたステップ数で、[h]はunitを横左から数えたステップ数である。まず、処理f1にて、マトリクス状に配置した列ごとのunit[h,v]において順次孔A[h,v]及び孔A´[h,v]の検知が行われる。なお、孔A[h,v]及び孔A´[h,v]を検知する方法は、例えば、印刷模様3がビットマップ形式の2値画像の場合、処理すべきunit内において、一般的にラベリングと呼ばれる処理によって、孔A[h,v]又は孔A´[h,v]を識別して削除しても良い。
【0069】
次に、処理f2にて、unit[h,v]に孔A´[h,v]を有し、かつ、unit[h,v+1]に孔A[h,v+1]を有する条件に一致したとき、処理f3にて、unit[h,v]における本来配置される位置である孔A´[h,v]の削除が行われる。すなわち、図23(a)に示されるように、unit[h,v]、unit[h,v+1]、unit[h,v+2]の配置の際、unit[h,v]の孔A´[h,v]とunit[h,v+1]の孔A[h,v]が隣接している場合、図23(b)に示されるように、unit[h,v]の孔A´[h,v]が削除される。また、処理f2の条件に一致しない場合は処理4に移行する。また、部分的に孔A´が削除されることによって、孔Aの総面積に対し孔A´の総面積が少ない状態となる。
【0070】
次に、図21に示される処理f4にて、unit[h,v]に孔A[h,v]を有し、かつ、unit[h,v+1]に孔A´[h,v]を有する条件に一致したとき、処理f5にて、unit[h,v]における孔A´とunit[h,v+1]における孔Aが配置される中心の位置に孔a[h,v]の追加を行う。すなわち、図24(b)に示されるうに、unit[h,v]の孔A´とunit[h,v+1]の孔Aが本来配置される中間の位置に、孔A又は孔A´の半分又は略半分の空間面積を有する孔aが追加される。これにより、unit[h,v]とunit[h,v+1]間における肉眼視での濃度の不均衡が緩和される。
【0071】
次に、図21に示される処理f6にて、unit[h,v]に孔A´[h,v]を有し、unit[h,v+1]に孔がなく、かつ、unit[h,v+2]に孔A[h,v]を有する条件に一致したとき、処理f7にて、unit[h,v+1]における孔E[h,v+1]の追加を行う。すなわち、図24(c)に示されるように、unit[h,v+1]における孔A及び孔A´が配置される中心の位置に、孔A又は孔A´の半分又は略半分の空間面積を有する孔Eが追加される。これにより、unit[h,v]とunit[h,v+2]間における肉眼視での濃度の不均衡が緩和される。
【0072】
次に、図21に示される処理f8にて、unit[h,v]に孔A´[h,v]を有し、unit[h,v+1]に孔がなく、かつ、unit[h,v+2]に孔A´[h,v]を有する条件に一致したとき、処理f9にて、unit[h,v+1]における孔E[h,v+1]及びunit[h,v+1]の孔A´とunit[h,v+2]の孔Aが配置される中心の位置に、孔a[h,v+1]の追加を行う。すなわち、図24(d)に示されるように、unit[h,v+1]における孔A及び孔A´が配置される中心の位置に、孔A又は孔A´の半分又は略半分の空間面積を有する孔Eが追加され、unit[h,v+1]の孔A´とunit[h,v+2]の孔Aが配置される中心の位置に、孔aが追加される。これにより、unit[h,v]とunit[h,v+2]間における肉眼視での濃度の不均衡が緩和される。これにより、図25(a)に示されたような、第2の不可視画像の肉眼視での濃度の不均衡が緩和されることによって、透過不可視画像領域における第2の不可視画像を完全に不可視にすることを可能にしている。
【0073】
一方、図22に示されたアルゴリズムによって最小単位であるunit[h,v]ごとに、孔の削除並びに追加を実行される。まず、処理f11にて、マトリクス状に配置した列ごとのunit[h,v]において順次孔B[h,v]及び孔B´[h,v]の検知が行われる。なお、孔B[h,v]及び孔B´[h,v]を検知する方法は、例えば、印刷模様3がビットマップ形式の2値画像の場合、処理すべきunit内において、一般的にラベリングと呼ばれる処理によって、孔B[h,v]又は孔B´[h,v]を識別して削除しても良い。
【0074】
次に、処理f12にて、unit[h,v]に孔B´[h,v]を有し、かつ、unit[h+1,v]に孔B[h+1,v]を有する条件に一致したとき、処理f13にて、unit[h,v]における本来配置される位置である孔B´[h,v]の削除が行われる。すなわち、図23(c)に示されるように、unit[h,v]、unit[h+1,v]、unit[h+2,v]の配置の際、unit[h,v]の孔B´[h,v]とunit[h+1,v]の孔B[h,v]が隣接している場合、図23(d)に示されるように、unit[h,v]の孔B´[h,v]が削除される。また、処理f2の条件に一致しない場合は処理14に移行する。また、部分的に孔B´が削除されることによって、孔Bの総面積に対し孔B´の総面積が少ない状態となる。
【0075】
次に、図22に示される処理f14にて、unit[h,v]に孔B[h,v]を有し、かつ、unit[h+1,v]に孔B´[h+1,v]を有する条件に一致したとき、処理f15にて、unit[h,v]における孔b[h,v]の追加を行う。すなわち、図24(f)に示されるように、unit[h,v]における孔B´とunit[h+1,v]における孔Bの中間に、孔B又は孔B´の半分又は略半分の空間面積を有する孔bが追加される。これにより、unit[h,v]とunit[h+1,v]間における肉眼視での濃度の不均衡が緩和される。
【0076】
次に、図22に示される処理f16にて、unit[h,v]に孔B´[h,v]を有し、unit[h+1,v]に孔がなく、かつ、unit[h+2,v]に孔B[h+2,v]を有する条件に一致したとき、処理f17にて、unit[h+1,v]における孔E[h+1,v]の追加を行う。すなわち、図24(g)に示されるように、unit[h+1,v]における孔B及び孔B´が配置される中心の位置に、孔B又は孔B´の半分又は略半分の空間面積を有する孔Eが追加される。これにより、unit[h,v]とunit[h+2,v]間における肉眼視での濃度の不均衡が緩和される。
【0077】
次に、図22に示される処理f18にて、unit[h,v]に孔B´[h,v]を有し、unit[h+1,v]に孔がなく、かつ、unit[h+2,v]に孔B´[h+2,v]を有する条件に一致したとき、処理f19にて、unit[h+1,v]における孔E[h+1,v]及び孔b[h+1,v]の追加を行う。すなわち、図24(h)に示されるように、unit[h+1,v]における孔B及び孔B´が配置される中心の位置に、孔B又は孔B´の半分又は略半分の空間面積を有する孔Eが追加され、unit[h+1,v]の孔B´及びunit[h+2,v]の孔Bが配置される中心の位置に、孔B又は孔B´の半分又は略半分の空間面積を有する孔bが追加される。これにより、unit[h,v]とunit[h+2,v]間における肉眼視での濃度の不均衡が緩和される。これにより、図25(b)に示されたような、第3の不可視画像の肉眼視での濃度の不均衡が緩和されることによって、透過不可視画像領域における第3の不可視画像を完全に不可視にすることを可能にしている。
【0078】
さらに、図26に示されたように、図25(a)及び図25(b)で示された孔の配置をもって、透過不可視画像領域の同一面に重畳することにより、線L1及び線L1と、線L3及び線L4とのそれぞれの方向に一致するようにレンチキュラーレンズ3を重ね合わせることによって、線L1及び線L1では第2の不可視画像が視認され、線L2及び線L4では、第3の不可視画像が視認される。また、本発明では、図26に示されるような2種類の不可視画像を施されたもので説明しているが、図25(a)又は図25(b)の状態、すなわち、レンチキュラーレンズ3によって1種類の不可視画像が発現するものであっても良い。
【符号の説明】
【0079】
1 基材
2 レンチキュラーレンズ
3 ホログラム
3a〜3h unit
4 ホログラム画像領域
5 光源
6 透過不可視画像領域
7a 第1の不可視画像画線部
7b 第1の不可視背景画線部
8a 第2の不可視画像
8b 第3の不可視画像
9 中心線
[X1] 視角
[X2] 視角
[X3] 視角
[T1] 視角
[T2] 視角
[T3] 視角
A、A´ 孔
B、B´ 孔
C 孔
J 孔の間隔
L1 線
L2 線
L3 線
L4 線
h 縦横孔寸法
P 最小孔寸法
S 寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性基材上に光反射性部材が積層されるか、又は光反射性インキが塗布された基材に、複数の孔群によって構成された少なくとも1つの不可視画像を備えた偽造防止用形成体であって、
前記孔群は、第1の方向に沿って第1の距離をもって一対となって配置された第1の開孔領域及び第2の開孔領域を有するunitが、規則的に一定ピッチで複数隣接して配置され、
前記複数隣接して配置されたunitにおける前記第1の開孔領域は、第2の距離をもって配置され、
前記第1の開孔領域及び前記第2の開孔領域は、オン、オフの関係にあり、かつ、開孔領域の面積率が同一として形成され、
前記第1の開孔領域を開孔、すなわちオンとして形成することで、第1の不可視画像のネガ画像又はポジ画像のいずれか一方が形成され、
前記第2の開孔領域を開孔、すなわちオンとして形成することで、第1の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成されたことを特徴とする偽造防止用形成体。
【請求項2】
前記基材は、少なくとも1つの可視画像が形成されたことを特徴とする請求項1記載の偽造防止用形成体。
【請求項3】
前記第1の開孔領域及び前記第2の開孔領域は、光の透過光量を高めるために前記第1の方向と直行する方向にそって最長の直径を有する長円、最長の辺を有する長方形又は最長の対角線を有する多角形の形状で形成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の偽造防止用形成体。
【請求項4】
前記unitは、前記第1の開孔領域及び前記第2の開孔領域が存在しない位置に、第3の開孔領域を有し、
前記第3の開孔領域によって、第2の不可視画像が形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の偽造防止用形成体。
【請求項5】
前記複数隣接して配置されたunitのうち、オンとして配置された前記第1の開孔領域及び前記第2の開孔領域が前記第1の距離で配置された場合、いずれか一方の孔を開孔せず、
前記複数隣接して配置されたunitのうち、オフとして配置された前記第1の開孔領域及び前記第2の開孔領域が前記第2の距離よりも長い距離で配置された場合に、所定の領域における光の透過光量を緩和するために、前記第1の開孔領域及び前記第2の開孔領域における半分又は略半分の開孔面積を有する第4の開孔領域を、前記第2の距離よりも長い距離をもって配置された前記第1の開孔領域及び前記第2の開孔領域の中心に配置されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の偽造防止用形成体。
【請求項6】
前記unitは、更に前記第1の方向に直行する第2の方向に沿って前記第1の距離をもって一対となって配置された第5の開孔領域及び第6の開孔領域を有し、
前記複数隣接して配置されたunitにおける前記第5の開孔領域は、前記第2の距離をもって配置され、
前記第5の開孔領域及び前記第6の開孔領域は、オン、オフの関係にあり、かつ、開孔領域の面積率が同一として形成され、
前記第5の開孔領域をオン、すなわち開孔することで、第3の不可視画像のネガ画像又はポジ画像のいずれか一方が形成され
前記第6の開孔領域をオン、すなわち開孔することで、第3の不可視画像のネガ画像又はポジ画像の他方が形成されたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の偽造防止用形成体。
【請求項7】
前記第5の開孔領域及び前記第6の開孔領域は、光の透過光量を高めるために前記第2の方向と直行する方向に沿って最長の直径を有する長円、最長の辺を有する長方形又は最長の対角線を有する多角形の形状で形成されたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の偽造防止用形成体。
【請求項8】
前記複数隣接して配置されたunitのうち、オンとして配置された前記第5の孔及び前記第6の孔が前記第1の距離をもって配置された場合、いずれか一方の孔を開孔せず、
前記複数隣接して配置されたunitのうち、オフとして配置された前記第5の開孔領域及び前記第6の開孔領域が前記第2の距離よりも長い距離で配置された場合に、所定の領域における光の透過光量を緩和するために、前記第5の開孔領域及び前記第6の開孔領域における半分又は略半分の開孔面積を有する第7の開孔領域を、前記第2の距離よりも長い距離をもって配置された前記第5の開孔領域及び前記第6の開孔領域の中心に配置されたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の偽造防止用形成体。
【請求項9】
前記第1の開孔領域、前記第2の開孔領域、前記第3の開孔領域、前記第4の開孔領域、前記第5の開孔領域、前記第6の開孔領域及び前記第7の開孔領域は、それぞれ円形の形状又はそれぞれ多角形の形状を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の偽造防止用形成体。
【請求項10】
前記unit同士の所定のピッチは、1mm以下であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載の偽造防止用形成体。
【請求項11】
前記unit内における前記第1の開孔領域、前記第2の開孔領域、前記第3の開孔領域、前記第4の開孔領域、前記第5の開孔領域、前記第6の開孔領域及び前記第7の開孔領域のうち、開孔される領域の一部が結合して開孔されたことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の偽造防止用形成体。
【請求項12】
前記可視画像は、微細な凹凸によって形成された回折格子又は回折格子パターンによって形成されたことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項記載の偽造防止用形成体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−158573(P2011−158573A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18382(P2010−18382)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】