説明

傾き検知方法および傾き検知装置、この方法および装置に用いる金型、この方法および装置を用いたパターン形成装置

【課題】 精度の高い傾き検知方法および傾き検知装置、この方法および装置に用いる金型、この方法および装置を用いた傾き調整方法を提供すること。
【解決手段】 加工対象物200の加工面200aと、加工面200aに所定のパターンを形成する金型100のパターン面100aとの相対的な傾きを検知する傾き検知方法であって、総てが同一直線状に並ばないパターン面上の3以上の点と対向する静電容量型変位計80を加工面200aを基準とする所定位置にそれぞれ配置し、金型100と各静電容量型変位計80とを近接させ、各静電容量型変位計によって金型との距離を測定し、加工面に対するパターン面の傾きを検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、傾き検知方法および傾き検知装置、この方法および装置に用いる金型、この方法および装置を用いたパターン形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、LSI(大規模集積回路)に代表される微細回路パターンを半導体基板(以下、単に基板と称する)上に形成するには、フォトリソグラフィーと呼ばれる技術が一般に用いられている。この方法は、ステッパと称される露光装置を用い、レチクル(マスク)上に描かれた回路パターンを、縮小光学系を通して基板上のレジスト表面に投影露光し、その露光を基板全域にわたって繰り返すことで、基板上に所定の微細回路パターンを形成するものである。
【0003】
この方法により形成される基板の集積度を高めるには、回路パターンの線幅を狭めていく必要があり、現在主流の線幅130nmから、今後100nm以下の線幅に移行することが予想されている。
【0004】
これに対応するには、投影露光に使用する光源の波長を短くする必要があり、現状でも、各露光装置メーカでは紫外(UV)光、遠紫外(DUV)光、極紫外光(EUV)光等、短波長の光を光源とした露光装置の開発を進めている。
【0005】
しかし、紫外レーザ光源等の短波長の光を光源として用いると、露光装置の投影光学系を構成するレンズやミラー、光源等に、わずかな温度変化や外部振動によって歪みや光源ノイズが生じる。このため、露光装置には、精度の高い温度管理や除振構造が要求され、その結果、この様な一連の機器によって構成される縮小投影式の露光装置は、装置価格が非常に高価となる(例えば数十億円)傾向にある。また、露光装置自体も大掛かりなものとなるため、設置スペースや消費電力が増大する傾向にある。
【0006】
この様な装置の大型化やプロセスコストの高騰に鑑み、超微細なパターンを基板上に形成する別の手法として、ナノインプリンティングプロセス技術が開発されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0007】
このプロセスは、形成したいパターンが表面に作り込まれた金型を用いて、基板等の加工対象物上に設けられたレジスト材のガラス転移点を超える温度に基板を熱し、その状態で金型を加工対象物面に押し付けて型のパターンを転写する方法である。この方法では、高価なレーザ光源や光学系を必要とせず、加熱用ヒータとプレス装置とを基本とした簡易な構成であるにもかかわらず、金型に作り込まれたパターンをそのまま精度よく転写することが可能となっており、すでにこの方法によって約20nmの線幅を持つ細線が形成された報告がある(例えば、非特許文献2参照。)。
【0008】
このようなナノインプリンティングプロセス技術を用いることで、回折格子、フォトニック結晶、導波路、等の光デバイス、マクロチャネル、リアクター等の流体デバイスのような、各種のマイクロチップ、マイクロデバイスの製作も可能な状況が実現しつつある。
【0009】
ここでナノインプリンティングプロセス技術に用いるパターン形成装置10の構成について、図1および図2を用いて簡単に説明する。パターン形成装置10は、加工対象物200に転写するための所定のパターンが形成されている型100と、加工対象物200を保持するための対象物保持手段20と、型100を保持するための型保持手段40と、型100を加工対象物200に押圧するための押圧手段50と、で主に構成される。
【0010】
加工対象物200としては種々のものが用いられ、例えばポリカーボネート、ポリイミド等の樹脂の他、ガラス、シリコン、ガリウム砒素、サファイア、酸化マグネシウム等の材料など、成形素材がそのまま基板形状をなしているものを用いることができる。また、シリコンやガラス等からなる基板本体の表面に、樹脂、フォトレジスト、配線パターンを形成するためのアルミ、金、銀等の金属薄膜の被覆層等が形成されたものを用いることもできる。更に、加工対象物200は、基板以外の形状であっても勿論良い。
【0011】
型100は、その下面に、所定のパターンを形成するための凹凸が形成されたパターン面100aを有している。この凹凸は、型100をニッケル等の金属やセラミックス、ガラス状カーボン等の炭素素材などで形成し、そのパターン面100aに精密機械加工を施すことで形成することができる。また、型100の原盤となるシリコン基板等にエッチング等の半導体微細加工技術によって所定のパターンを形成した後、このシリコン基板等の表面にニッケルメッキ法(電気鋳造(エレクトロフォーミング)法)等によって金属メッキを施し、この金属メッキ層を剥離して、凹凸を有した型100を形成することもできる。もちろん型100は、微細パターンが形成できるものであれば材質やその製造法が特に限定されるものではない。この凹凸の幅は、用いられる加工対象物200の種類にもよるが、100μm以下、好ましくは10μm以下、更に好ましくは100nm以下、更に好ましくは10nm以下に形成される。
【0012】
対象物保持手段20は、加工対象物200を略水平状態で保持するものであり、上面に保持面21aを有した保持ステージ21を備えている。この保持ステージ21には、保持面21aに多数のバキューム孔が形成されており、このバキューム孔に図示しない負圧源から負圧を作用させることで、保持面21a上に、加工対象物200を吸着保持できる構成となっている。
【0013】
型保持手段40は、型100を保持するための型保持部41を一端に有すると共に、型100を加熱する型加熱手段、例えばヒータが内蔵されている。
【0014】
押圧手段50は、型保持手段40を介して型保持手段40に保持された型100のパターン面100aを加工対象物200の表面に押圧するものである。
【0015】
このようなパターン形成装置10による100μm以下の微細加工においては、金型と加工対象物との傾き調整は非常に重要である。なぜなら、金型が加工対象物に対して傾いていると、均一な力で金型を加工対象物に押し付けても、傾きによって金型が片当たりを生じ、加工対象物の表面に金型の形状が正確に転写されないからである。光学素子や流体素子などのように、素子の深さ方向の加工精度が素子の性能を左右する場合、特にこの傾きによる成形精度の劣化は致命的になる。
【0016】
従来、この傾きを検知する方法としては、ピエゾ素子を用いて金型を加工対象物に押圧した時の圧力差から傾きを検知するものがある。また、傾きを検知することなく、金型保持手段に多自由度リンク機構を設けて、押し付け時に自動的に金型を加工対象物に対して平行にする方法がある。更に、金型自体を自由に変形する薄板で構成し、それを静水圧で押し付け、加工対象物の形状に沿って均一な押圧力を発生させるものもある。
【0017】
【非特許文献1】G. M. Whitesides, J. C. Love、「ナノ構造を作る新技術」、"日経サイエンス"、日本経済新聞社、平成13年(2001年)12月1日、31巻、12号、p.30−41
【非特許文献2】C. M. Sotomayor, et. al.、"Nanoimprint lithography: an alternative nanofabrication approach"、「Materials Science & Engineering C」、Elsevier Science、平成14年(2002年)、989巻、p.1−9
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながらピエゾ素子を用いるものは、金型を加工対象物等に押圧しなければ傾きを検知できないという問題があった。また、多自由度リンク機構を用いるものや静水圧を利用するものは、金型を加工対象物に押圧する瞬間に片当たりを生じるという問題があった。
【0019】
そこで本発明は、金型に荷重をかけることなく、成形する前に簡単に傾きを検知する傾き検知方法および傾き検知装置を提供することを目的とする。また、この方法および装置に用いる金型、この方法および装置を用いた調整方法および調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために、本発明の第1の傾き検知方法は、加工対象物の加工面と、前記加工面に所定のパターンを形成する金型のパターン面との相対的な傾きを検知する傾き検知方法であって、総てが同一直線状に並ばない前記パターン面上の3以上の点と対向する静電容量型変位計を、前記加工面を基準とする所定位置にそれぞれ配置し、前記金型と前記各静電容量型変位計とを近接させ、前記各静電容量型変位計によって前記金型との距離を測定し、前記加工面に対する前記パターン面の傾きを検知することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の第1の傾き検知方法の別の方法は、加工対象物の加工面と、前記加工面に所定のパターンを形成する金型のパターン面との相対的な傾きを検知する傾き検知方法であって、前記加工面と平行な面内で総てが同一直線上に並ばない3以上の静電容量型変位計を前記加工面を基準とする所定位置にそれぞれ配置し、前記金型と前記各静電容量型変位計とを近接させ、前記各静電容量型変位計によって前記金型との距離を測定し、前記加工面に対する前記パターン面の傾きを検知することを特徴とする。この場合、前記各静電容量型変位計を同一円周上の中心から等しい角度にそれぞれ配置するか、または、3個の前記静電容量型変位計を直角三角形の頂点の位置にそれぞれ配置する方が好ましい。
【0022】
また、前記静電容量型変位計と対向する位置に周辺よりも隆起した凸状の電極部を有する金型を用いる方が好ましい。
【0023】
また、本発明の第1の傾き調整方法は、第1の傾き検知方法を用いて型の傾きを検知し、その傾きが0となるように前記金型の傾きを調整することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の第1の傾き検知装置は、加工対象物の加工面と、前記加工面に所定のパターンを形成する金型のパターン面との相対的な傾きを検知する傾き検知装置であって、前記加工面を基準とし、前記パターン面上で総てが同一直線上に並ばない3以上の点と対向する所定位置にそれぞれ配置された3以上の静電容量型変位計と、前記各静電容量型変位計が検出した前記パターン面と前記各静電容量型変位計との距離から、前記加工面に対する前記パターン面の傾きを計算する演算手段と、を具備することを特徴とする。この場合、前記静電容量型変位計は、前記加工面と平行な検知用基板上に配置されている方が好ましい。また、前記検知用基板は、前記各静電容量型変位計が前記検知用基板の中心から同心円周上の等しい角度にそれぞれ配置されてなるか、または、直角三角形の頂点の位置にそれぞれ配置されてなる方が好ましい。また、前記検知用基板は、半導体および絶縁体の少なくともいずれかによって形成されている方が好ましく、更に、前記静電容量型変位計は、前記金型と平行に設けられる電極と、前記金型と前記電極との間の静電容量を検出する静電容量検出器と、前記検知用基板に形成された金属薄膜からなり前記電極と静電容量検出器を接続する電気配線と、からなる方が好ましい。
【0025】
また、本発明の第1のパターン形成装置は、加工対象物の加工面に転写するための所定のパターンが形成されているパターン面を有する型と、前記加工対象物を保持するための対象物保持手段と、前記型を保持する型保持手段と、前記型保持手段を介して前記型を加工対象物に押圧する押圧手段と、前記パターン面と前記加工対象物の加工面との相対的な傾きを調整する傾き調整手段と、本発明の第1の傾き検知装置が検知した傾きに基づいて前記傾き調整手段の変位を制御する制御手段と、を具備することを特徴とする。
【0026】
また、本発明の第1の傾き検知装置に用いられる金型は、前記各静電容量型変位計と対向する前記パターン面上の位置に、凸状の測定部が形成されていることを特徴とする。
【0027】
本発明の第2の傾き検知方法は、加工対象物の加工面と、前記加工面に所定のパターンを形成する型のパターン面との相対的な傾きを検知する傾き検知方法であって、総てが同一直線状に並ばない前記パターン面上の3以上の点と対向するエアマイクロメータを、前記加工面を基準とする所定位置にそれぞれ配置し、前記型と前記各エアマイクロメータとを近接させ、前記各エアマイクロメータによって前記型との距離を測定し、前記加工面に対する前記パターン面の傾きを検知することを特徴とする。
【0028】
また、本発明の第2の傾き検知方法の別の方法は、加工対象物の加工面と、前記加工面に所定のパターンを形成する型のパターン面との相対的な傾きを検知する傾き検知方法であって、総てが同一直線状に並ばない前記パターン面上の3以上の点に圧縮気体を噴出するエアマイクロメータを前記加工面と平行な面内で前記加工面を基準とする所定位置にそれぞれ配置し、前記型と前記各エアマイクロメータとを近接させ、前記各エアマイクロメータによって前記型との距離を測定し、前記加工面に対する前記パターン面の傾きを検知することを特徴とする。この場合、前記各エアマイクロメータを同一円周上の中心から等しい角度にそれぞれ配置するか、または、3個の前記エアマイクロメータを直角三角形の頂点の位置にそれぞれ配置する方が好ましい。
【0029】
また、本発明の第2の傾き調整方法は、第2の傾き検知方法を用いて型の傾きを検知し、その傾きが0となるように前記金型の傾きを調整することを特徴とする。
また、本発明の第2の傾き検知装置は、加工対象物の加工面と、前記加工面に所定のパターンを形成する金型のパターン面との相対的な傾きを検知する傾き検知装置であって、前記加工面を基準とし、前記パターン面上で総てが同一直線上に並ばない3以上の点と対向する所定位置にそれぞれ配置された3以上のエアマイクロメータと、前記エアマイクロメータが検出した前記パターン面と前記各エアマイクロメータとの距離から、前記加工面に対する前記パターン面の傾きを計算する演算手段と、を具備することを特徴とする。この場合、前記エアマイクロメータは、前記加工面と平行な検知用基板上に配置されている方が好ましい。また、前記検知用基板は、前記各エアマイクロメータが前記検知用基板の中心から同心円周上の等しい角度にそれぞれ配置されてなるか、または、直角三角形の頂点の位置にそれぞれ配置されてなる方が好ましい。
【0030】
また、本発明の第2のパターン形成装置は、加工対象物の加工面に転写するための所定のパターンが形成されているパターン面を有する型と、前記加工対象物を保持するための対象物保持手段と、前記型を保持する型保持手段と、前記型保持手段を介して前記型を加工対象物に押圧する押圧手段と、前記パターン面と前記加工対象物の加工面との相対的な傾きを調整する傾き調整手段と、本発明の第2の傾き検知装置が検知した傾きに基づいて、加工面とパターン面との相対的な傾きが0となるように前記傾き調整手段を制御する制御手段と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
請求項1,7,15,20記載の発明によれば、静電容量型変位計又はエアマイクロメータによって非常に微小な距離を測定することができ、加工面とパターン面の微小な傾きを正確に検知することができる。
【0032】
請求項2,16記載の発明によれば、加工面と平行な面内で総てが同一直線上に並ばない3以上の静電容量型変位計又はエアマイクロメータを、加工面を基準とする所定位置にそれぞれ配置するので、総ての静電容量型変位計又はエアマイクロメータとパターン面の距離が等しくなったときを傾き0であると容易に判断することができる。
【0033】
請求項3,9,17,22記載の発明によれば、各静電容量型変位計又は各エアマイクロメータを同一円周上の中心から等しい角度にそれぞれ配置するので、より正確に傾きを検知することができる。
【0034】
請求項4,10,18,23記載の発明によれば、3個の静電容量型変位計又はエアマイクロメータを直角三角形の頂点の位置にそれぞれ配置するので、傾きを互いに相手の傾きに干渉しない2方向の傾きに分解して検知することができる。したがって、傾きを調整する際に容易にその傾き情報を利用できる。
【0035】
請求項5記載の発明によれば、静電容量型変位計と対向する位置に周辺よりも隆起した凸状の電極部を有する金型を用いるので、静電容量が金型のパターンに影響されずに正確な距離を測定することができる。したがって、より正確に傾きを検知することができる。
【0036】
請求項6,13,19,24記載の発明によれば、静電容量型変位計又はエアマイクロメータを用いて型の傾き検知し、その傾きが0となるように金型又は型の傾きを調整するので、確実にパターン面と加工面とを平行にすることができ、加工面に正確にパターン面のパターンを転写することができる。
【0037】
請求項8,21記載の発明によれば、静電容量型変位計又はエアマイクロメータは、加工面と平行な検知用基板上に配置されているので、検知用基板を用いて、加工面とパターン面との傾きを容易に検知することができる。
【0038】
請求項11記載の発明によれば、検知用基板は、半導体および絶縁体の少なくともいずれかによって形成されているので、金型と静電容量型変位計との間の静電容量が、検知用基板の材料によって影響を受けるのを防止することができる。したがって、正確に傾きを検知することができる。
【0039】
請求項12記載の発明によれば、各静電容量型変位計は、検知用基板に形成された金属薄膜によって電極と静電容量検出器とが接続されているので検知用基板の取り扱いを容易にすることができる。
【0040】
請求項14記載の発明によれば、パターン面に、凸状の測定部が形成されている金型を用いるので、静電容量が金型のパターンによって影響を受けるのを防止することができる。したがって、正確な傾きを検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
第1実施例
本発明の第1の傾き検知方法および検知装置は、金型100の同一直線上にない3以上の点と加工面200aとの距離を静電容量型変位計80により検出し、計算により金型100のパターン面100aと加工対象物200の加工面200aとの平行度を検知するものである。
【0042】
傾き検知装置は、金型100との距離を測定する複数の静電容量型変位計80と、各静電容量型変位計80が検出したパターン面100aと各静電容量型変位計80との距離から、前記加工面200aに対する前記パターン面100aの傾きを計算する演算手段300と、で主に構成される。
【0043】
静電容量型変位計80は、2枚の並行平板の間の静電容量の変化によって2極間の距離を測定するもので、片方の平板を金型100、もう一方の平板を静電容量型変位計80の電極81として測定する。より詳しく述べると、静電容量Cと電圧V、電流Qとの間には、
【0044】
Q=CV
【0045】
の関係があり、また、静電容量Cと誘電率ε、センサの面積S、センサと金型100との距離dとの間には、
【0046】
C=εS/d
【0047】
の関係があることから、
【0048】
d=εSV/Q
【0049】
の関係式が成り立つ。したがって、電圧を一定にして電流の変化を検出するか、電流を一定にして電圧の変化を検出することにより、センサと金型100との間の距離を測定することができる。
【0050】
この静電容量型変位計80は、加工対象物200が対象物保持手段20に保持された際の加工面200aの位置を基準とする所定位置、例えば対象物保持手段20に保持可能に形成される検知用基板85の所定位置に配置される。この場合、パターン面100aと加工面200aとの傾きの計算を容易にするため、各静電容量型変位計80は、検知用基板85が対象物保持手段20に保持される際に、加工面200aと平行になるように配置される。
【0051】
また、静電容量型変位計80で傾きを検知するためには、少なくともパターン面100a上の同一直線上にない3点と加工面200aとの距離を測定する必要がある。したがって、静電容量型変位計80は、少なくとも3以上が用いられ、その総てが同一直線状に並ばないように配置される。なお、静電容量型変位計80を移動するための移動手段を用いて、パターン面100a上の同一直線上にない3点以上を測定可能にすれば、静電容量型変位計80の数を1又は2個とすることも可能である。移動手段としては、例えば対象物保持手段20を直交する2方向(以下、X方向およびY方向という)に移動するX方向移動手段およびY方向移動手段や、対象物保持手段20を回転する回転手段を用いればよい。
【0052】
静電容量型変位計80の電極81を配置する位置としては、上述したように、同一直線上に並ばないように配置すればよいが、図3に示すように、加工面200aと平行な面内で、同一円周上の中心から等しい角度にそれぞれ配置すれば、正確に傾きを検知することができる点で好ましい。また、図4に示すように、加工面200aと平行な面内で3個の静電容量型変位計80を直角三角形の頂点の位置にそれぞれ配置すれば、傾きを互いに直交する2方向例えばX方向およびY方向に分解して検知することができる点で好ましい。
【0053】
なお、上記説明では、複数の静電容量型変位計80を加工面200aと平行になるように配置する場合について説明したが、加工面200aを基準とする所定位置が正確に把握できる場合には、各静電容量型変位計80の位置は加工面200aと平行である必要はなく、ばらばらであっても構わない。
【0054】
検知用基板85の材料としては、金型100と静電容量型変位計80との間の静電容量が、検知用基板85の材料によって影響を受けるのを防止するため、シリコン等の半導体や、ガラス等の絶縁体、あるいはこれらの両方によって形成されている方が好ましい。
【0055】
また、各電極81は、それぞれ金型100と電気的に接続されている静電容量検出器82に電気配線83によって接続されており、これにより各電極81と金型100との間の静電容量が検出される。この場合、電気配線83は、検知用基板85に形成された金属薄膜によって形成する方が好ましい。
【0056】
なお、静電容量型変位計80は、加工面200aを基準とする所定位置に配置できるものであれば必ずしも検知用基板85に設ける必要はなく、例えば、対象物保持手段20に形成することも可能である。
【0057】
また、静電容量検出器82は、演算手段300に電気的に接続されている。演算手段300は、例えばCPU等を用いることができ、加工面200aを基準とする静電容量型変位計80の位置および静電容量型変位計80が測定したパターン面100aと静電容量型変位計80の距離とから、加工面200aとパターン面100aとの傾きを計算する。この場合、傾きは、加工面200aとパターン面100aとの角度θを計算してもよいし、互いに加工面200a上で直交する2方向、例えばX方向とY方向の所定位置におけるX方向およびY方向と直交するZ方向の誤差dを計算してもよい(図5参照)。これにより、高精度に加工面200aとパターン面100aとの傾きを検知することができる。
【0058】
また、金型100は、静電容量型変位計80の電極81と対向するパターン面100a側の表面の位置に、電極81と同形の凸状の測定部が形成されている方が好ましい。これにより、静電容量が金型100のパターンに影響されることがなく正確な距離を測定できる。
【0059】
次に、傾き検知方法について説明する。
まず、総てが同一直線状に並ばないパターン面100a上の3点と対向する静電容量型変位計80を加工面200aを基準とする所定位置に配置する。例えば検知用基板85の所定位置に3個の静電容量型変位計80を同一直線上に並ばないように配置し、これを対象物保持手段20に保持すればよい。この際、検知用基板85の表面は、対象物保持手段20に加工対象物200を保持した時の加工面200aと平行になるように保持する。
【0060】
静電容量型変位計80は、同一直線上に並ばなければどのように配置してもよいが、加工面200aと平行な面内で、同一円周上の中心から等しい角度にそれぞれ配置すれば、正確に傾きを検知することができる点で好ましい。また、加工面200aと平行な面内で3個の静電容量型変位計80を直角三角形の頂点の位置にそれぞれ配置すれば、傾きを互いに直交する2方向例えばX方向およびY方向に分解して検知することができる点で好ましい。
【0061】
次に、パターン形成装置の押圧手段50を作動させて、金型100を検知用基板85の表面に接近させ、3個の静電容量型変位計80により、各電極81とパターン面100aとの距離を測定する。
【0062】
そして、加工面200aを基準とする静電容量型変位計80の位置および静電容量型変位計80が測定した各電極81とパターン面100aとの距離から、加工面200aとパターン面100aとの傾きを計算する。この場合、傾きは、加工面200aとパターン面100aとの角度θを計算してもよいし、互いに加工面200a上で直交する2方向、例えばX方向とY方向の所定位置におけるX方向およびY方向と直交するZ方向の誤差(図5参照)を計算してもよい。これにより、高精度に加工面200aとパターン面100aとの傾きを検知することができる。
【0063】
第2実施例
本発明の第2の傾き検知方法および検知装置は、型100の同一直線上にない3以上の点と加工面200aとの距離をエアマイクロメータ90を用いて検出し、計算により型100のパターン面100aと加工対象物200の加工面200aとの平行度を検知するものである。
【0064】
傾き検知装置は、型100との距離を測定する複数のエアマイクロメータ90と、各エアマイクロメータ90が検出したパターン面100aと各エアマイクロメータ90との距離から、加工面200aに対するパターン面100aの傾きを計算する演算手段と、で主に構成される。
【0065】
エアマイクロメータ90は、近接させた対象物に空気噴出口91から圧縮空気を噴出し、空気噴出口91の空気の背圧や流量を検出することで空気噴出口91と対象物との距離を測定するものである。したがって、距離を測定する対象物が、第1実施例のような金属の型100(金型)に限られず種々の材料で形成された型100に用いることができるという利点がある。なお、エアマイクロメータ90が噴出する気体は空気に限られず、アルゴンガス等種々の気体を用いることができる。
【0066】
このエアマイクロメータ90は、加工対象物200の加工面200aを基準とする所定位置、例えば対象物保持手段20に保持可能に形成される検知用基板95の所定位置に配置される。この場合、各エアマイクロメータ90は、パターン面100aと加工面200aとの傾きの計算を容易にするため、検知用基板95が対象物保持手段20に保持される際に、加工面200aと平行になるように配置される。また、空気噴出口91は、例えば検知用基板95内に形成された流路92(図6参照)を介して、空気供給手段や圧力計又は流量計(図示せず)と接続されている。これにより、空気噴出口91と型100との距離を測定することができる。
【0067】
また、エアマイクロメータ90で傾きを検知するためには、少なくともパターン面100a上の同一直線上にない3点と加工面200aとの距離を測定する必要がある。したがって、エアマイクロメータ90は、少なくとも3以上が用いられ、その総てが同一直線状に並ばないように配置される。なお、エアマイクロメータ90を移動するための移動手段を用いて、パターン面100a上の同一直線上にない3点以上を測定可能にすれば、エアマイクロメータ90の数を1又は2個とすることも可能である。移動手段としては、例えば対象物保持手段20を直交する2方向(以下、X方向およびY方向という)に移動するX方向移動手段およびY方向移動手段や、対象物保持手段20を回転する回転手段を用いればよい。
【0068】
エアマイクロメータ90を配置する位置としては、上述したように、同一直線上に並ばないように配置すればよいが、加工面200aと平行な面内で、同一円周上の中心から等しい角度にそれぞれ配置すれば、正確に傾きを検知することができる点で好ましい。また、加工面200aと平行な面内で3個のエアマイクロメータ90を直角三角形の頂点の位置にそれぞれ配置すれば、傾きを互いに直交する2方向例えばX方向およびY方向に分解して検知することができる点で好ましい。
【0069】
なお、上記説明では、複数のエアマイクロメータ90を加工面200aと平行になるように配置する場合について説明したが、加工面200aを基準とする所定位置が正確に把握できる場合には、各エアマイクロメータ90の位置は加工面200aと平行である必要はなく、ばらばらであっても構わない。
【0070】
なお、エアマイクロメータ90は、加工面200aを基準とする所定位置に配置できるものであれば必ずしも検知用基板95に設ける必要はなく、例えば、対象物保持手段20に形成することも可能である。
【0071】
演算手段は、例えばCPUを用いることができ、加工面200aを基準とするエアマイクロメータ90の位置およびエアマイクロメータ90が測定したパターン面100aとエアマイクロメータ90の空気噴出口91との距離から、加工面200aとパターン面100aとの傾きを計算する。この場合、傾きは、加工面200aとパターン面100aとの角度θを計算してもよいし、互いに加工面200a上で直交する2方向、例えばX方向とY方向の所定位置におけるX方向およびY方向と直交するZ方向の誤差d(図5参照)を計算してもよい。これにより、高精度に加工面200aとパターン面100aとの傾きを検知することができる。
【0072】
次に、傾き検知方法について説明する。
まず、総てが同一直線状に並ばないパターン面100a上の3点と対向するエアマイクロメータ90の空気噴出口91を加工面200aを基準とする所定位置に配置する。例えば検知用基板95の所定位置に3個のエアマイクロメータ90の空気噴出口91を同一直線上に並ばないように配置し、これを対象物保持手段20に保持すればよい。この際、検知用基板95の表面は、対象物保持手段20に加工対象物200を保持した時の加工面200aと平行になるように保持する。
【0073】
エアマイクロメータ90の空気噴出口91は、同一直線上に並ばなければどのように配置してもよいが、加工面200aと平行な面内で、同一円周上の中心から等しい角度にそれぞれ配置すれば、正確に傾きを検知することができる点で好ましい。また、加工面200aと平行な面内で3個のエアマイクロメータ90を直角三角形の頂点の位置にそれぞれ配置すれば、傾きを互いに直交する2方向例えばX方向およびY方向に分解して検知することができる点で好ましい。
【0074】
次に、パターン形成装置の押圧手段50を作動させて、型100を検知用基板95の表面に接近させ、3個のエアマイクロメータ90により、各噴出口とパターン面100aとの距離を測定する。
【0075】
そして、加工面200aを基準とするエアマイクロメータ90の空気噴出口91の位置およびエアマイクロメータ90が測定した各空気噴出口91とパターン面100aとの距離から、加工面200aとパターン面100aとの傾きを計算する。この場合、傾きは、加工面200aとパターン面100aとの角度θを計算してもよいし、互いに加工面200a上で直交する2方向、例えばX方向とY方向の所定位置におけるX方向およびY方向と直交するZ方向の誤差(図5参照)を計算してもよい。これにより、高精度に加工面200aとパターン面100aとの傾きを検知することができる。
【0076】
第3実施例
次に、第1実施例、第2実施例で検知した傾きの情報に基づいて、この傾きを調整する方法およびパターン形成装置について説明する。
【0077】
加工面200aとパターン面100aとを平行に調整するには、第1実施例又は第2実施例で検知した加工面200aとパターン面100aの傾きの情報に基づいて型100の傾きを調整し、加工面200aとパターン面100aとの角度を0とするか、あるいは互いに加工面200a上で直交する2方向、例えばX方向とY方向の所定位置におけるX方向およびY方向と直交するZ方向の誤差を0とすればよい。
【0078】
例えば、図1,2に示すように、加工対象物200に転写するための所定のパターンが形成されているパターン面100aを有する型100と、加工対象物200を保持するための対象物保持手段20と、型100を保持するための型保持手段40と、型保持手段40を介して型100を加工対象物200に押圧する押圧手段50と、パターン面100aと加工面200aの相対的な傾きを調整する傾き調整手段60と、を具備するパターン形成装置の場合について説明する。ここで、パターン調整手段60は、例えば図7に示すように、型保持手段40に設けられたパターン面100aの中心を中心点とする凸球面46と、押圧手段50に設けられた凸球面46と当接する凸球面46と同径の凹球面55と、凸球面46を凹球面55に対して自由な方向に変位させるための傾き調整具61と、で構成される。また、傾き調整具61は、図8に示すように、互いに対向するX方向に型保持手段40の凸球面近傍側面を押圧する第1のマイクロゲージ61a(第1の調整具)および第2のマイクロゲージ61b(第2の調整具)と、第1のマイクロゲージ61aおよび第2のマイクロゲージ61bの押圧方向(X方向)と直交する方向(Y方向)であって、互いに対向する方向に型保持手段40の凸球面近傍側面を押圧する第3のマイクロゲージ61c(第3の調整具)および第4のマイクロゲージ61d(第4の調整具)と、で構成される。
【0079】
まず、検知した傾き情報からX方向における型100と加工対象物200とのZ方向に対する誤差である傾き調整幅aを計算して求める。次に、この調整幅aから第1又は第2のマイクロゲージが型保持手段40の側面を押圧して調整する幅aを計算して求める。例えば、調整幅aがパターン面100a上であってパターン面100aの中心からr離れた場所で計算されたものである場合には、
【0080】
=a・R/r
【0081】
として計算すればよい。なお、式中、Rは型100のパターン面100aの中心点から凸球面46までの距離(凸球面46の半径)を表す。Y方向の傾き調整幅bもY方向における型100と加工対象物200との傾き調整幅bから同様に計算すればよい。
【0082】
そして、この調整幅a、bに基づいて第1〜第4のマイクロゲージを調整し、凸球面46と凹球面55とを相対的に変位させることにより型100のパターン面100aと加工対象物200との傾きを正確に調整することができる。
【0083】
また、演算手段の傾きの情報を元に傾き調整手段60を制御してパターン面100aと加工面200aとの傾きを自動で0にするCPU等の制御手段を設けても良い。
【0084】
なお、傾き調整手段60は、型100(金型)と加工対象物200との相対的な傾きを調整することができるものであれば種々のものを用いることができる。
【0085】
また、パターン形成装置についても種々のものを用いることができ、実施例に限られないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】パターン形成装置を示す概略正面図である。
【図2】図1のI−I線矢印方向を見た断面側面図である。
【図3】本発明の第1実施例の検知装置を示す平面図である。
【図4】本発明の第1実施例の別の検知装置を示す平面図である。
【図5】本発明の傾き検知方法を示す説明図である。
【図6】本発明の第2実施例の検知装置を示す平面図である。
【図7】本発明の傾き調整手段を示す概略正面図である。
【図8】図7のII−II線矢印方向を見た断面図である。
【符号の説明】
【0087】
20 対象物保持手段
40 型保持手段
50 押圧手段
60 傾き調整手段
80 静電容量型変位計
81 電極
85 検知用基板
90 エアマイクロメータ
95 検知用基板
100 型(金型)
100a パターン面
200 基板(加工対象物)
200a 加工面
300 演算手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物保持手段に保持される加工対象物の加工面と、前記加工面に所定のパターンを形成する金型のパターン面との相対的な傾きを検知する傾き検知方法であって、
総てが同一直線状に並ばない前記パターン面上の3以上の点と対向する静電容量型変位計を前記加工面の位置を基準とする所定位置にそれぞれ配置し、
前記金型と前記各静電容量型変位計とを近接させ、
前記各静電容量型変位計によって前記金型との距離を測定し、前記加工面に対する前記パターン面の傾きを検知することを特徴とする傾き検知方法。
【請求項2】
対象物保持手段に保持される加工対象物の加工面と、前記加工面に所定のパターンを形成する金型のパターン面との相対的な傾きを検知する傾き検知方法であって、
前記加工面と平行な面内で総てが同一直線上に並ばない3以上の静電容量型変位計を前記加工面の位置を基準とする所定位置にそれぞれ配置し、
前記金型と前記各静電容量型変位計とを近接させ、
前記各静電容量型変位計によって前記金型との距離を測定し、前記加工面に対する前記パターン面の傾きを検知することを特徴とする傾き検知方法。
【請求項3】
前記各静電容量型変位計を同一円周上の中心から等しい角度にそれぞれ配置することを特徴とする請求項2記載の傾き検知方法。
【請求項4】
3個の前記静電容量型変位計を直角三角形の頂点の位置にそれぞれ配置することを特徴とする請求項2記載の傾き検知方法。
【請求項5】
前記静電容量型変位計と対向する位置に周辺よりも隆起した凸状の電極部を有する金型を用いることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の傾き検知方法。
【請求項6】
対象物保持手段に保持される加工対象物の加工面と、前記加工面に所定のパターンを形成する金型のパターン面との相対的な傾きを調整する傾き調整方法であって、
請求項1ないし5のいずれかに記載の傾き検知方法を用いて金型の傾きを検知し、その傾きが0となるように前記金型の傾きを調整することを特徴とする傾き調整方法。
【請求項7】
対象物保持手段に保持される加工対象物の加工面と、前記加工面に所定のパターンを形成する金型のパターン面との相対的な傾きを検知する傾き検知装置であって、
前記加工面の位置を基準とし、前記パターン面上で総てが同一直線上に並ばない3以上の点と対向する所定位置にそれぞれ配置された3以上の静電容量型変位計と、
前記各静電容量型変位計が検出した前記パターン面と前記各静電容量型変位計との距離から、前記加工面に対する前記パターン面の傾きを計算する演算手段と、
を具備することを特徴とする傾き検知装置。
【請求項8】
前記静電容量型変位計は、前記対象物保持手段に保持される検知用基板上に配置されていることを特徴とする請求項7記載の傾き検知装置。
【請求項9】
前記検知用基板は、前記各静電容量型変位計が前記検知用基板の中心から同心円周上の等しい角度にそれぞれ配置されてなることを特徴とする請求項8記載の傾き検知装置。
【請求項10】
前記検知用基板は、前記各静電容量型変位計が直角三角形の頂点の位置にそれぞれ配置されてなることを特徴とする請求項8記載の傾き検知装置。
【請求項11】
前記検知用基板は、半導体および絶縁体の少なくともいずれかによって形成されていることを特徴とする請求項8ないし10のいずれかに記載の傾き検知装置。
【請求項12】
前記静電容量型変位計は、前記金型と平行に設けられる電極と、前記金型と前記電極との間の静電容量を検出する静電容量検出器と、前記検知用基板に形成された金属薄膜からなり前記電極と静電容量検出器を接続する電気配線と、からなることを特徴とする請求項11記載の傾き検知装置。
【請求項13】
加工対象物の加工面に転写するための所定のパターンが形成されているパターン面を有する型と、
前記加工対象物を保持するための対象物保持手段と、
前記型を保持する型保持手段と、
前記型保持手段を介して前記型を加工対象物に押圧する押圧手段と、
前記パターン面と前記加工対象物の加工面との相対的な傾きを調整する傾き調整手段と、
請求項7ないし12のいずれかに記載の傾き検知装置が検知した傾きに基づいて、加工面とパターン面との相対的な傾きが0となるように前記傾き調整手段を制御する制御手段とを具備することを特徴とするパターン形成装置。
【請求項14】
加工対象物の加工面に所定のパターンを形成するパターン面を有する金型であって、
前記加工面の位置を基準とし、前記パターン面側の総てが同一直線上に並ばない3以上の点と対向する所定位置にそれぞれ配置された3以上の静電容量型変位計を有する傾き検知装置の前記各静電容量型変位計と対向する前記パターン面上の位置に、凸状の測定部が形成されていることを特徴とする金型。
【請求項15】
対象物保持手段に保持される加工対象物の加工面と、前記加工面に所定のパターンを形成する型のパターン面との相対的な傾きを検知する傾き検知方法であって、
総てが同一直線状に並ばない前記パターン面上の3以上の点と対向するエアマイクロメータを前記加工面の位置を基準とする所定位置にそれぞれ配置し、
前記型と前記各エアマイクロメータとを近接させ、
前記各エアマイクロメータによって前記型との距離を測定し、前記加工面に対する前記パターン面の傾きを検知することを特徴とする傾き検知方法。
【請求項16】
対象物保持手段に保持される加工対象物の加工面と、前記加工面に所定のパターンを形成する型のパターン面との相対的な傾きを検知する傾き検知方法であって、
総てが同一直線状に並ばない前記パターン面上の3以上の点に圧縮気体を噴出するエアマイクロメータを前記加工面と平行な面内で前記加工面の位置を基準とする所定位置にそれぞれ配置し、
前記型と前記各エアマイクロメータとを近接させ、
前記各エアマイクロメータによって前記型との距離を測定し、前記加工面に対する前記パターン面の傾きを検知することを特徴とする傾き検知方法。
【請求項17】
前記各エアマイクロメータを同一円周上の中心から等しい角度にそれぞれ配置することを特徴とする請求項16記載の傾き検知方法。
【請求項18】
3個の前記エアマイクロメータを直角三角形の頂点の位置にそれぞれ配置することを特徴とする請求項16記載の傾き検知方法。
【請求項19】
対象物保持手段に保持される加工対象物の加工面と、前記加工面に所定のパターンを形成する型のパターン面との相対的な傾きを調整する傾き調整方法であって、
請求項15ないし18のいずれかに記載の傾き検知方法を用いて型の傾きを検知し、その傾きが0となるように前記型の傾きを調整することを特徴とする傾き調整方法。
【請求項20】
対象物保持手段に保持される加工対象物の加工面と、前記加工面に所定のパターンを形成する型のパターン面との相対的な傾きを検知する傾き検知装置であって、
前記加工面の位置を基準とし、前記パターン面上で総てが同一直線上に並ばない3以上の点と対向する所定位置にそれぞれ配置された3以上のエアマイクロメータと、
前記エアマイクロメータが検出した前記パターン面と前記各エアマイクロメータとの距離から、前記加工面に対する前記パターン面の傾きを計算する演算手段と、
を具備することを特徴とする傾き検知装置。
【請求項21】
前記エアマイクロメータは、前記対象物保持手段に保持される検知用基板上に配置されていることを特徴とする請求項20記載の傾き検知装置。
【請求項22】
前記検知用基板は、前記各エアマイクロメータが前記検知用基板の中心から同心円周上の等しい角度にそれぞれ配置されてなることを特徴とする請求項20又は21記載の傾き検知装置。
【請求項23】
前記検知用基板は、前記各エアマイクロメータが直角三角形の頂点の位置にそれぞれ配置されてなることを特徴とする請求項20又は21記載の傾き検知装置。
【請求項24】
加工対象物の加工面に転写するための所定のパターンが形成されているパターン面を有する型と、
前記加工対象物を保持するための対象物保持手段と、
前記型を保持する型保持手段と、
前記型保持手段を介して前記型を加工対象物に押圧する押圧手段と、
前記パターン面と前記加工対象物の加工面との相対的な傾きを調整する傾き調整手段と、
請求項20ないし23のいずれかに記載の傾き検知装置が検知した傾きに基づいて、加工面とパターン面との相対的な傾きが0となるように前記傾き調整手段を制御する制御手段とを具備することを特徴とするパターン形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−98192(P2006−98192A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−283985(P2004−283985)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(504097823)SCIVAX株式会社 (31)
【出願人】(000234166)伯東株式会社 (135)
【出願人】(591189812)エンジニアリングシステム株式会社 (15)
【Fターム(参考)】