傾斜磁場コイルユニット、MRI装置用ガントリ、及びMRI装置
【課題】径方向の厚みの低減を実現する傾斜磁場コイルユニット、MRI装置用ガントリ、及びMRI装置を提供する
【解決手段】傾斜磁場コイルユニット12は、傾斜磁場を発生するメインコイルを有する、略円筒形状を有するメインコイル層31と、メインコイル層31の外側に取り付けられる、メインコイルからの漏洩磁場を遮蔽するための磁場を発生するシールドコイルを有するシールドコイル層35と、メインコイル層31とシールドコイル層35との間に取り付けられる、メインコイル層31の中心軸を中心とする略円周状に配列される冷媒のための複数の流路53と磁性体のためのシムトレイを保持する複数のシムトレイ保持部55とを有するクーリング層33と、を具備する。
【解決手段】傾斜磁場コイルユニット12は、傾斜磁場を発生するメインコイルを有する、略円筒形状を有するメインコイル層31と、メインコイル層31の外側に取り付けられる、メインコイルからの漏洩磁場を遮蔽するための磁場を発生するシールドコイルを有するシールドコイル層35と、メインコイル層31とシールドコイル層35との間に取り付けられる、メインコイル層31の中心軸を中心とする略円周状に配列される冷媒のための複数の流路53と磁性体のためのシムトレイを保持する複数のシムトレイ保持部55とを有するクーリング層33と、を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁場の均一度を補正するためのパッシブシミング機構を有する傾斜磁場コイルユニット、MRI装置用ガントリ、及びMRI装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴診断装置(Magnetic Resonance Imaging:MRI装置)は、非常に強い静磁場を発生する略円筒状の静磁場磁石を有する。静磁場磁石によって発生される静磁場は、通常数キロガウスから10キロガウス(1テスラ)程度の強度が要求される。静磁場は強度の他に、空間的な均一性が要求される。空間的均一性は、通常数10ppm以下の均一性が必要になる。均一な磁場が求められる空間的領域は、直径50cm程度の球状領域である。
【0003】
磁場は磁性体の影響を受けて歪む。この現象を応用した静磁場の不均一性を補正する方法として、鉄片(鉄シム)等の磁性体を傾斜磁場コイルユニットの適当な位置に配置する方法がある。この方法は、パッシブシムと呼ばれる。また、パッシブシム等のように磁場の均一性を高める操作は、シミングと呼ばれる。
【0004】
静磁場磁石の内側には、傾斜磁場を発生させるための傾斜磁場コイルユニットが取り付けられる。傾斜磁場コイルユニットは、傾斜磁場を発生するメインコイルを有するメインコイル層と、メインコイルからの漏洩磁場を遮蔽するための磁場を発生するシールドコイルを有するシールドコイル層と、を有する。メインコイルからの傾斜磁場とシールドコイルからの磁場とのカップリングは、撮影領域内の磁場強度を低下させる。そのため、メインコイルとシールドコイルとを可能な限り離した方がよい。そこで、メインコイル層とシールドコイル層との間に、静磁場の不均一度補正用の鉄シムを収容するシミング層が設けられている。
【0005】
近年、MR画像の画質向上のために、傾斜磁場の強度を上昇させる要求が強まっている。傾斜磁場強度を上げるためには、傾斜磁場コイルユニットに高電流が供給される必要がある。高電流の供給の結果、メインコイルとシールドコイルとの発熱量が増加する。従って傾斜磁場コイル内部に設置された鉄シムの温度が上昇してしまう。鉄シムの温度上昇の結果、静磁場の均一性が変動してしまう。そこで、メインコイル層とシミング層との間にメインコイル冷却用の冷却管を有するメインコイル冷却層が、シールドコイル層とシミング層との間にシールドコイル冷却用の冷却チューブを有するシールドコイル冷却層が設けられる。これら冷却チューブは、傾斜磁場コイルユニットの略円筒形状に沿って螺旋状に取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
一方、患者居住性改善のために、ボア径を広げる要求が強まっている。静磁場磁石の内径を変化させずにボア径を広げるためには、傾斜磁場コイルユニットの内径を広げる必要がある。そのため、メインコイル層とシールドコイル層との間にあるメインコイル冷却層、シミング層、及びシールドコイル冷却層に十分なスペースが確保できなくなってきている。
【特許文献1】特開2006−311957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、径方向の厚みの低減を実現する傾斜磁場コイルユニット、MRI装置用ガントリ、及びMRI装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の局面に係る傾斜磁場コイルユニットは、傾斜磁場を発生するメインコイルを有する、略円筒形状を有するメインコイル層と、前記メインコイル層の外側に取り付けられる、前記メインコイルからの漏洩磁場を遮蔽するための磁場を発生するシールドコイルを有するシールドコイル層と、前記メインコイル層と前記シールドコイル層との間に取り付けられる、前記メインコイル層の中心軸を中心とする略円周状に配列される冷媒のための複数の流路と磁性体のためのシムトレイを保持する複数のシムトレイ保持部とを有するクーリング層と、を具備する。
【0009】
本発明の第2の局面に係る傾斜磁場コイルユニットは、傾斜磁場を発生する、略円筒状に配置されるメインコイルと、前記メインコイルの外側に取り付けられる、静磁場磁石から発生される静磁場を均一化するための補正磁場を発生するシールドコイルと、前記メインコイルと前記シールドコイルとの間に、前記メインコイルの中心軸を中心とした略円周形状を有する帯状領域に配列される磁性体のための複数のシムトレイと、前記帯状領域に配列される、冷媒のための複数の流路と、を具備する。
【0010】
本発明の第3の局面に係る傾斜磁場コイルユニットは、傾斜磁場を発生するメインコイルを有する、略円筒形状を有するメインコイル層と、前記メインコイル層の外側に取り付けられる、前記メインコイルの中心軸に沿って螺旋状に埋設される冷媒のための流路を有する第1クーリング層と、前記第1クーリング層の外側に取り付けられる、前記中心軸を中心とする略円周状に配列される冷媒のための複数の流路と磁性体のためのシムトレイを保持する複数のシムトレイ保持部と、を有する第2クーリング層と、前記第2クーリング層の外側に取り付けられる、前記メインコイルからの漏洩磁場を遮蔽するための磁場を発生するシールドコイルを有するシールドコイル層と、を具備する。
【0011】
本発明の第4の局面に係るMRI装置用ガントリは、静磁場を発生する、略円筒形状を有する静磁場磁石と、傾斜磁場を発生するメインコイルを有する、略円筒形状を有するメインコイル層と、前記メインコイル層の外側に取り付けられる、前記メインコイルからの漏洩磁場を遮蔽するための磁場を発生するシールドコイルを有するシールドコイル層と、前記メインコイル層と前記シールドコイル層との間に取り付けられる、前記メインコイル層の中心軸を中心とする略円周状に配列される、冷媒のための複数の流路と磁性体のためのシムトレイを保持する複数のシムトレイ保持部と、を有するクーリング層と、を具備する。
【0012】
本発明の第5の局面に係るMRI装置は、ガントリ内に載置された被検体に関する磁気共鳴画像を取得するMRI装置において、前記ガントリは、静磁場を発生する、略円筒形状を有する静磁場磁石と、傾斜磁場を発生するメインコイルを有する、略円筒形状を有するメインコイル層と、前記メインコイル層の外側に取り付けられる、前記メインコイルからの漏洩磁場を遮蔽するための磁場を発生するシールドコイルを有するシールドコイル層と、前記メインコイル層と前記シールドコイル層との間に取り付けられる、前記メインコイル層の中心軸を中心とする略円周状に配列される、冷媒のための複数の流路と磁性体のためのシムトレイを保持する複数のシムトレイ保持部と、を有するクーリング層と、を具備する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、径方向の厚みの低減を実現する傾斜磁場コイルユニット、MRI装置用ガントリ、及びMRI装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係るMRI装置1の構成を示す図である。図1に示すように、MRI装置1は、ガントリ10と計算機システム20とを有する。ガントリ10は、静磁場磁石11、ASGC(Actively Shielded Gradient Coil)タイプの傾斜磁場コイルユニット12、傾斜磁場電源13、寝台14、寝台制御部15、送信RFコイル16、送信部17、受信RFコイル18及び受信部19を有する。以下、個々の構成要素について説明する。
【0016】
静磁場磁石11は、中空の略円筒形状を有し、略円筒内部に静磁場を発生する。この略円筒形状には、円筒形状はもちろん、楕円筒形状をも含むとする。発生された磁場の、均一度が良い空間領域が撮影領域である。撮影領域における磁場は、数10ppm以下の均一度を有する。静磁場磁石11としては、例えば、永久磁石や超伝導磁石等が使用される。この静磁場磁石11の略円筒の中心軸をZ軸、鉛直方向をX軸、水平方向をY軸に規定する。
【0017】
傾斜磁場コイルユニット12は、静磁場磁石11の内側に取り付けられる。傾斜磁場コイルユニット12は、傾斜磁場電源13から電流の供給を受けて、傾斜磁場を発生する。傾斜磁場は、スライス選択用傾斜磁場、位相エンコード用傾斜磁場及びリードアウト用傾斜磁場がある。スライス選択用傾斜磁場は、任意に撮像断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場は、空間的位置に応じて磁気共鳴信号(以下、MR信号と称する)の位相をエンコードするために利用される。リードアウト用傾斜磁場は、空間的位置に応じてMR信号の周波数をエンコードするために利用される。
【0018】
また、傾斜磁場コイルユニット12は、傾斜磁場コイルユニット12を冷却するための冷媒が通過する流路を備えている。以下、冷媒は冷却水とする。しかし、冷媒として水以外の他の物質を使用してもよい。流路は、傾斜磁場コイルユニット12の筐体表面において樹脂性のホースと接続されている。
【0019】
循環装置43は、樹脂性のホースと接続されており、熱交換器と循環ポンプとを備える。循環ポンプは、冷却水を傾斜磁場コイルユニット12と熱交換器との間で循環させる。熱交換器は、傾斜磁場コイルユニット12を冷却することで暖まった冷却水を冷やす。
【0020】
寝台14の天板41には被検体Pが載置される。通常、寝台14の天板41の長手方向が静磁場磁石11の中心軸と平行になるように寝台14が設置される。寝台14の天板41は傾斜磁場コイルユニット12の空洞(ボア)内に挿入される。寝台14の天板41は寝台制御部15により駆動され、その長手方向(Z軸)および上下方向(X軸)に移動する。
【0021】
送信RFコイル16は、傾斜磁場コイルユニット12の内側に配置される。送信RFコイル16は、送信部17から高周波パルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。
【0022】
送信部17は、発振部、位相選択部、周波数変換部、振幅変調部、高周波電力増幅部などを内蔵する。発振部は、被検体P内に存在する対象原子核を励起させるために、対象原子核に固有の共鳴周波数で振動する高周波信号(RF信号)を発生する。位相選択部は、RF信号の位相を選択する。周波数変換部は、位相選択部から出力されたRF信号の周波数を変換する。振幅変調部は、周波数変換部から出力されたRF信号の振幅を例えばsinc関数に従って変調する。高周波電力増幅部は、振幅変調部から出力されたRF信号を増幅する。そしてこれら各部の動作の結果として送信部17は、ラーモア周波数に対応する高周波パルスを送信RFコイル16に送信する。
【0023】
受信RFコイル18は、傾斜磁場コイルユニット12の内側に配置される。受信RFコイル18は、送信RFコイル17から発生された高周波磁場の影響により被検体Pから放射されるMR信号を受信する。通常、受信RFコイル18は送信RFコイル16と兼用される。
【0024】
受信部19は、受信RFコイル18からの出力信号を受信する。受信部19は、受信したMR信号に増幅、検波、A/D変換等の処理を行い、デジタル信号である磁気共鳴信号データ(MR信号データ)を生成する。
【0025】
計算機システム20は、インタフェース部21、データ収集部22、再構成部23、記憶部24、表示部25、入力部26及び制御部27を有している。以下個々の構成要素について説明する。
【0026】
インタフェース部21には、傾斜磁場電源13、寝台制御部15、送信部17、受信RFコイル18及び受信部19等が接続される。インタフェース部21は、これら接続された各部と計算機システム20との間で送受信される信号の入出力を行う。
【0027】
データ収集部22は、受信部29から出力されるデジタル信号をインタフェース部21を介して収集する。
【0028】
再構成部23は、記憶部24に記憶されたMR信号データに基づいて、磁気共鳴画像データを再構成する。
【0029】
記憶部24は、MR信号データや磁気共鳴画像データを記憶する。
【0030】
表示部25は、磁気共鳴画像や各種の情報を制御部27の制御の下に表示する。表示部25としては、液晶表示器等の表示デバイスが利用可能である。
【0031】
入力部26は、操作者からの各種指令や情報入力を受け付ける。入力部26としては、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスが適宜利用可能である。
【0032】
制御部27は、MRI装置1としての動作を実現するように各構成要素を制御することで、被検体に関する磁気共鳴画像を取得する。
【0033】
図2は、図1の傾斜磁場コイルユニット12を一部切欠いて示す斜視図であり、図3Aは、傾斜磁場コイルユニット12のXY平面における断面図である。図2及び図3Aに示すように、ガントリ10は、略円筒形状の傾斜磁場コイルユニット12を有している。傾斜磁場コイルユニット12は、内側から順にメインコイル層31、クーリング層33及びシールドコイル層35からなる3層構造を有する。
【0034】
メインコイル層31は、3つのメインコイル(X―メインコイル、Y―メインコイル、Z―メインコイル)を樹脂で略円筒状にモールドしてなる。各メインコイルは、傾斜磁場電源13からの電流の供給を受けて、X、Y、Z軸それぞれに沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生する。
【0035】
シールドコイル層35は、3つのシールドコイル(X―シールドコイル、Y―シールドコイル、Z―シールドコイル)を樹脂で略円筒状にモールドしてなる。各シールドコイルは、傾斜磁場電源13からの電流の供給を受けて、メインコイル層31からの漏洩磁場を遮蔽するための磁場を発生する。
【0036】
クーリング層33は、メインコイル層31とシールドコイル層35との間に取り付けられる。クーリング層33は、メインコイル層31の中心軸を中心とした略円周形状を有する帯状領域である。クーリング層33には、流路53を構成する、例えば、直管としての複数の冷却チューブ51がZ軸を中心とする略円周状に離散的に配置される。各冷却チューブ51は、例えば、Z軸に平行に配列される。冷却チューブ51は略角筒又は略円筒形状を有する。冷却チューブ51の内部は、冷却水が流れる流路53となる。冷却チューブ51は、熱伝導率の大きい素材、例えば銅、で形成される。冷却水によって冷やされた冷却チューブ51は、クーリング層33の内側に配置される熱源としてのメインコイル及びクーリング層33の外側に取り付けられる熱源としてのシールドコイルを冷却する。
【0037】
略円周状に配列された複数の冷却チューブ51の複数の間隔には、複数のシムトレイ保持部55が設置される。複数のシムトレイ保持部55と複数の冷却チューブ51とは、例えば図3Aに示すように、同一径の略円周R1に沿って配置される。複数のシムトレイ保持部55は、典型的にはZ軸に平行に配列され、クーリング層33をZ軸方向に貫通する横孔として構成される。シムトレイ保持部55は、鉄片(以下、鉄シムと称する)を搭載するシムトレイを保持する。シムトレイは、適当な数の鉄シムを適当な位置に保持できる構造を有する。適当な数の鉄シムを適当な位置に配置させ、磁場の不均一度を補正することをパッシブシミングと称する。
【0038】
なお、図3Aに示すように、各流路53とシムトレイ59とは、同一径の円周状に配置されるとした。しかしながらこれに限定する必要はなく、例えば、図3Bに示すように、シムトレイ保持部55が配列される略円周R2と、冷却チューブ51が配列される略円周R3とが同一でなくともよい。また、図3Cに示すように、流路53は、クーリング層33内に略同心円状に複数列、例えば2列に配列されていてもよい。
【0039】
以下、クーリング層33に冷却チューブ51とシムトレイ保持部55とを実装するための具体的な手段を説明する。
【0040】
クーリング層33には、複数の貫通孔が形成される。この複数の貫通孔の各々には、2本の冷却チューブ51と1つのシムトレイ保持部55とを有するチューブモジュール57が嵌めこまれる。クーリング層33は、Z軸を中心とする略円周状に配列された複数のチューブモジュール57を略円筒状に樹脂でモールドしてなる。
【0041】
図4は、チューブモジュール57の横断面図であり、紙面に垂直な方向がZ軸である。図4に示すように、チューブモジュール57は、2つの冷却チューブ51−1、51−2と2つの固定板61、62とからなる。2本の冷却チューブ51−1、51−2は、間隔L1をおいてZ軸に沿って平行に配列される。2本の冷却チューブ51−1、51−2の上部と下部とはそれぞれ細長い短冊形状を有する固定板61、62により固定されている。チューブモジュール57は、例えば、中空の四角柱状の構造を有する。チューブモジュール57の中空の部分はシムトレイ保持部55として機能し、シムトレイ保持部55はシムトレイ59が挿入される。固定板61と固定板62とは、熱伝導性の良い素材、例えば、樹脂や樹脂材に熱伝導性のフィラーを混合した複合材等で形成される。シムトレイ保持部55は、シムトレイ59をZ方向にスライド可能に保持する。シムトレイ保持部55のY方向の長さL1は、シムトレイ59のY方向に関する幅L2よりも若干大きい。そのため、2つの冷却チューブ51は、シムトレイ59をZ方向にスライド可能にガイドするガイドレールを兼ねる。
【0042】
以下、図5を参照しながらチューブモジュール57の冷却機能について説明する。図5は、図4のA―A´断面である。図5に示す様に、2つの冷却チューブ51(図5の斜線部分)各々のZ方向に関する両端部Eには、略円筒形状を有する複数の連結チューブ63が結合される。連結チューブ63は、ロウ付け等により冷却チューブ51の端部Eに結合される。複数の連結チューブ63により、Z軸を中心とする略円周状に配列された複数の冷却チューブ51は、1本に連結される。図5に図示されていないが、1本に連結された冷却チューブ51の両端部は、樹脂製等のホースを介して循環装置43に接続されている。冷却チューブ51、連結チューブ63及び循環装置43によって冷却水の循環系が完結する。循環装置43によって、冷却水は、図5の太線の矢印に示すように、流路53を循環する。冷却水が流路53を循環することによって、冷却チューブ51は冷却される。冷却された冷却チューブ51は、電流の供給により熱せられたメインコイル及びシールドコイルを冷却する。また、冷却された冷却チューブ51は、シムトレイ59に収容される鉄シム64を冷却する。
【0043】
図6は、冷却効果を高めるための構造を有するチューブモジュール57´の横断面図である。図6に示すように、チューブモジュール57´は、冷却チューブ51によるメインコイル等に対する冷却効果を高めるための2つの冷却ひれ(以下、フィンと称する)65−1と65−2とを有する。2つのフィン65−1と65−2とは、メインコイルに近接できるように略円弧形状を有する。フィン65−1と65−2とは、熱伝導性の良い素材、例えば、樹脂や樹脂材に熱伝導性のフィラーを混合した複合材等で形成される。すなわち、フィンにより、メインコイル層と冷却用の冷却源との接触面積が増大する。フィン65−1、65−2は、例えば冷却チューブ51−1,51−2に接続された固定板62´の下端部に取り付けられる。冷却チューブ51−1,51−2,固定板62´及びフィン65−1,65−2を介して、メインコイル及びシールドコイルと冷却水との間で熱交換される。つまり、図5のチューブモジュール57に比べ、図6のチューブモジュール57´の方が、冷却効果が高い。
【0044】
以下、チューブモジュール57のパッシブシミング機能について説明する。
【0045】
図7は、シムトレイ59の斜視図である。図7に示すように、シムトレイ59は、鉄シム64を収容する為の窪み67がZ方向に沿って複数形成されている。
【0046】
図8は、図4のB―B´断面である。図8に示す様に、シムトレイ55の窪み67には、段つきのスペーサ69が取り付けられている。スペーサ69にはボルト71が固定されている。図9は鉄シム64の斜視図である。図9に示すように、鉄シム64の中央部には、スペーサ69が通過できる程度の径を有する孔74が形成されている。パッシブシミングのために鉄シム64は、この孔74にボルト71及びスペーサ69を通過させ、適当な位置の窪み67に適当な数積み重ねられる。積み重ねられた鉄シム64は、プレート72によって上部から抑えられる。積み重ねられた鉄シム64は、プレート72を介してボルト71に螺合するナット73により固定される。この様な構造をとることで、ナット73が鉄シム64よりも高い位置に来ることはなくなる。つまり、鉄シム64を収容するのに必要なスペースは、窪み67の深さやボルト71の高さに依る。従って窪み67の深さやボルト71の高さを調整することによりクーリング層33の径方向の厚さをより小さくして、鉄シム64を収容することが可能となる。なお、シムトレイ59の窪み67には、スペーサ69を取り付けず、直接ボルト71を取り付けても良い。
【0047】
図10は、図7のシムトレイ59とは異なる構造のシムトレイ59´の斜視図である。図10に示すように、シムトレイ59´は、窪みが形成されていない。この場合鉄シム64は、シムトレイ59´のトレイ面59´aの適当な場所に取り付けられたボルト71とナット73とによって固定される。
【0048】
以下、図4及び図6とは異なるチューブモジュール80の構造を説明する。図11は、チューブモジュール80の斜視図、図12はチューブモジュール80の横断面図である。チューブモジュール80は、熱伝導性の良い素材、例えば、樹脂や樹脂材に熱伝導性のフィラーを混合した複合材等で形成される。図11及び図12に示すように、チューブモジュール80には、Z軸方向に沿ってチューブモジュール80を貫通する横孔である3つの貫通孔が形成されている。3つの貫通孔は、例えば、Z軸方向に沿って平行に形成される。3つの貫通孔のうち両端の貫通孔は、冷却水が通過するための流路53−1,53−2である。3つの貫通孔のうち真ん中の貫通孔は、シムトレイ保持部55である。シムトレイ保持部55のY方向の長さ(L3)は、シムトレイ53のY方向の長さ(L2)よりも若干長い程度である。そのため、シムトレイ保持部55は、シムトレイ59をZ方向にスライド可能にガイドするガイドレールの役目も果たす。
【0049】
図12のA―A´断面図は、図5に対応する。なお、この場合、図5の斜線部分は、チューブモジュール80の一部分となる。従って、連結チューブ63は、流路53と連結チューブ63と循環装置43とが冷却水の循環系をなすように、チューブモジュール80の一部分のY方向に関する端部Eに取り付けられる。
【0050】
図12のB―B´断面図は、そのまま図8に対応する。
【0051】
かくして本実施形態によれば、径方向の厚みの低減を実現することができる。
【0052】
(変形例)
図13は、本実施形態の変形例に係る傾斜磁場コイルユニット90の一部を切り欠いて示す斜視図である。図13に示すように、傾斜磁場コイルユニット90は、内側から順にメインコイル層31、第1クーリング層91、第2クーリング層92、及びシールドコイル層35からなる4層構造を有する。
【0053】
第1クーリング層91は、メインコイル層31の外側に取り付けられる。第1クーリング層91は、Z軸に沿って螺旋状に埋設された第1冷却チューブ93を有する。第1冷却チューブ93の内部は、冷媒としての冷却水が流れる流路94となる。冷却水によって冷やされた第1冷却チューブ93は、傾斜磁場コイルユニット90の主要な熱源であるメインコイル層31のメインコイルを冷却する。螺旋形状を有する第1冷却チューブ93は、図2に示すようなZ軸に平行な直管構造を有する冷却チューブに比して、メインコイル層31との接触面積が大きいため、効率良くメインコイルを冷却することが可能となる。
【0054】
第2クーリング層92には、第1クーリング層91の外側に取り付けられる。第2クーリング層92は、直管としての複数の第2冷却チューブ95がZ軸を中心とする略円周状に配置される。第2冷却チューブ95の各々は、Z軸に平行に配列される。複数の第2冷却チューブ96の複数の間隔には、複数のシムトレイ保持部55が設置される。
【0055】
第2冷却チューブ95の内部は、冷媒としての冷却水が流れる流路96となる。冷却水によって冷やされた第2冷却チューブ95は、熱源としてのシールドコイル層35のシールドコイルを冷却する。メインコイルに比してシールドコイルは熱を発生しないので、直管構造を有する冷却チューブ95で十分に冷却することが可能である。
【0056】
具体的には、第2クーリング層92には、第2冷却チューブ95とシムトレイ保持部55とを実装するために、チューブモジュール57やチューブモジュール80が嵌めこまれる。
【0057】
なお、上記の実施形態では、各流路53、96(冷却チューブ51、95)各々はZ軸に平行であるしたが、それに限定する必要はない。例えば、図14に示すように、各流路53は、上記の実施形態に比してメインコイルやシールドコイルに対する冷却能を高めるため、Z軸に沿って波打つような形状を有していてもよい。また、各流路53は、Z軸に沿ってジグザグな形状や螺旋形状等を有していてもよい。
【0058】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態に係るMRI装置の構成図。
【図2】図1の傾斜磁場コイルユニットを一部切欠いて示した斜視図。
【図3A】図2の傾斜磁場コイルユニットのXY平面における断面図。
【図3B】図3Aとは異なる、図2の傾斜磁場コイルユニットのXY平面における断面図。
【図3C】図3Aと図3Bとは異なる、図2の傾斜磁場コイルユニットのXY平面における断面図。
【図4】本実施形態に係わるチューブモジュールの横断面図。
【図5】図4又は図12のA―A´断面図。
【図6】図4とは異なるチューブモジュールの横断面図。
【図7】図4及び図6のシムトレイの斜視図。
【図8】図4又は図12のB―B´断面図。
【図9】図4及び図8の鉄シムの斜視図。
【図10】図7のシムトレイとは異なる構造のシムトレイの斜視図。
【図11】図4及び図6とは別のチューブモジュールの斜視図。
【図12】図11のチューブモジュールの横断面図である。
【図13】本実施形態の変形例に係る傾斜磁場コイルユニットを一部切欠いて示した斜視図。
【図14】本実施形態の変形例に係るZ軸に沿って波打つような形状を有する流路を示す図。
【符号の説明】
【0060】
1…MRI装置、10…ガントリ、11…静磁場磁石、12…傾斜磁場コイルユニット、13…傾斜磁場電源、14…寝台、15…寝台制御部、16…送信RFコイル、17…送信部、18…受信RFコイル、19…受信部、20…計算機システム、21…インタフェース部、22…データ収集部、23…再構成部、24…記憶部、25…表示部、26…入力部、27…制御部、31…メインコイル層、33…クーリング層、35…シールドコイル層、41…天板、43…循環装置、51…冷却チューブ、53…流路、55…シムトレイ保持部、57…チューブモジュール、59…シムトレイ、61…固定板、62…固定板、63…連結チューブ、64…鉄シム、65…フィン、67…窪み、69…スペーサ、71…ボルト、72…プレート、73…ナット。
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁場の均一度を補正するためのパッシブシミング機構を有する傾斜磁場コイルユニット、MRI装置用ガントリ、及びMRI装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴診断装置(Magnetic Resonance Imaging:MRI装置)は、非常に強い静磁場を発生する略円筒状の静磁場磁石を有する。静磁場磁石によって発生される静磁場は、通常数キロガウスから10キロガウス(1テスラ)程度の強度が要求される。静磁場は強度の他に、空間的な均一性が要求される。空間的均一性は、通常数10ppm以下の均一性が必要になる。均一な磁場が求められる空間的領域は、直径50cm程度の球状領域である。
【0003】
磁場は磁性体の影響を受けて歪む。この現象を応用した静磁場の不均一性を補正する方法として、鉄片(鉄シム)等の磁性体を傾斜磁場コイルユニットの適当な位置に配置する方法がある。この方法は、パッシブシムと呼ばれる。また、パッシブシム等のように磁場の均一性を高める操作は、シミングと呼ばれる。
【0004】
静磁場磁石の内側には、傾斜磁場を発生させるための傾斜磁場コイルユニットが取り付けられる。傾斜磁場コイルユニットは、傾斜磁場を発生するメインコイルを有するメインコイル層と、メインコイルからの漏洩磁場を遮蔽するための磁場を発生するシールドコイルを有するシールドコイル層と、を有する。メインコイルからの傾斜磁場とシールドコイルからの磁場とのカップリングは、撮影領域内の磁場強度を低下させる。そのため、メインコイルとシールドコイルとを可能な限り離した方がよい。そこで、メインコイル層とシールドコイル層との間に、静磁場の不均一度補正用の鉄シムを収容するシミング層が設けられている。
【0005】
近年、MR画像の画質向上のために、傾斜磁場の強度を上昇させる要求が強まっている。傾斜磁場強度を上げるためには、傾斜磁場コイルユニットに高電流が供給される必要がある。高電流の供給の結果、メインコイルとシールドコイルとの発熱量が増加する。従って傾斜磁場コイル内部に設置された鉄シムの温度が上昇してしまう。鉄シムの温度上昇の結果、静磁場の均一性が変動してしまう。そこで、メインコイル層とシミング層との間にメインコイル冷却用の冷却管を有するメインコイル冷却層が、シールドコイル層とシミング層との間にシールドコイル冷却用の冷却チューブを有するシールドコイル冷却層が設けられる。これら冷却チューブは、傾斜磁場コイルユニットの略円筒形状に沿って螺旋状に取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
一方、患者居住性改善のために、ボア径を広げる要求が強まっている。静磁場磁石の内径を変化させずにボア径を広げるためには、傾斜磁場コイルユニットの内径を広げる必要がある。そのため、メインコイル層とシールドコイル層との間にあるメインコイル冷却層、シミング層、及びシールドコイル冷却層に十分なスペースが確保できなくなってきている。
【特許文献1】特開2006−311957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、径方向の厚みの低減を実現する傾斜磁場コイルユニット、MRI装置用ガントリ、及びMRI装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の局面に係る傾斜磁場コイルユニットは、傾斜磁場を発生するメインコイルを有する、略円筒形状を有するメインコイル層と、前記メインコイル層の外側に取り付けられる、前記メインコイルからの漏洩磁場を遮蔽するための磁場を発生するシールドコイルを有するシールドコイル層と、前記メインコイル層と前記シールドコイル層との間に取り付けられる、前記メインコイル層の中心軸を中心とする略円周状に配列される冷媒のための複数の流路と磁性体のためのシムトレイを保持する複数のシムトレイ保持部とを有するクーリング層と、を具備する。
【0009】
本発明の第2の局面に係る傾斜磁場コイルユニットは、傾斜磁場を発生する、略円筒状に配置されるメインコイルと、前記メインコイルの外側に取り付けられる、静磁場磁石から発生される静磁場を均一化するための補正磁場を発生するシールドコイルと、前記メインコイルと前記シールドコイルとの間に、前記メインコイルの中心軸を中心とした略円周形状を有する帯状領域に配列される磁性体のための複数のシムトレイと、前記帯状領域に配列される、冷媒のための複数の流路と、を具備する。
【0010】
本発明の第3の局面に係る傾斜磁場コイルユニットは、傾斜磁場を発生するメインコイルを有する、略円筒形状を有するメインコイル層と、前記メインコイル層の外側に取り付けられる、前記メインコイルの中心軸に沿って螺旋状に埋設される冷媒のための流路を有する第1クーリング層と、前記第1クーリング層の外側に取り付けられる、前記中心軸を中心とする略円周状に配列される冷媒のための複数の流路と磁性体のためのシムトレイを保持する複数のシムトレイ保持部と、を有する第2クーリング層と、前記第2クーリング層の外側に取り付けられる、前記メインコイルからの漏洩磁場を遮蔽するための磁場を発生するシールドコイルを有するシールドコイル層と、を具備する。
【0011】
本発明の第4の局面に係るMRI装置用ガントリは、静磁場を発生する、略円筒形状を有する静磁場磁石と、傾斜磁場を発生するメインコイルを有する、略円筒形状を有するメインコイル層と、前記メインコイル層の外側に取り付けられる、前記メインコイルからの漏洩磁場を遮蔽するための磁場を発生するシールドコイルを有するシールドコイル層と、前記メインコイル層と前記シールドコイル層との間に取り付けられる、前記メインコイル層の中心軸を中心とする略円周状に配列される、冷媒のための複数の流路と磁性体のためのシムトレイを保持する複数のシムトレイ保持部と、を有するクーリング層と、を具備する。
【0012】
本発明の第5の局面に係るMRI装置は、ガントリ内に載置された被検体に関する磁気共鳴画像を取得するMRI装置において、前記ガントリは、静磁場を発生する、略円筒形状を有する静磁場磁石と、傾斜磁場を発生するメインコイルを有する、略円筒形状を有するメインコイル層と、前記メインコイル層の外側に取り付けられる、前記メインコイルからの漏洩磁場を遮蔽するための磁場を発生するシールドコイルを有するシールドコイル層と、前記メインコイル層と前記シールドコイル層との間に取り付けられる、前記メインコイル層の中心軸を中心とする略円周状に配列される、冷媒のための複数の流路と磁性体のためのシムトレイを保持する複数のシムトレイ保持部と、を有するクーリング層と、を具備する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、径方向の厚みの低減を実現する傾斜磁場コイルユニット、MRI装置用ガントリ、及びMRI装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係るMRI装置1の構成を示す図である。図1に示すように、MRI装置1は、ガントリ10と計算機システム20とを有する。ガントリ10は、静磁場磁石11、ASGC(Actively Shielded Gradient Coil)タイプの傾斜磁場コイルユニット12、傾斜磁場電源13、寝台14、寝台制御部15、送信RFコイル16、送信部17、受信RFコイル18及び受信部19を有する。以下、個々の構成要素について説明する。
【0016】
静磁場磁石11は、中空の略円筒形状を有し、略円筒内部に静磁場を発生する。この略円筒形状には、円筒形状はもちろん、楕円筒形状をも含むとする。発生された磁場の、均一度が良い空間領域が撮影領域である。撮影領域における磁場は、数10ppm以下の均一度を有する。静磁場磁石11としては、例えば、永久磁石や超伝導磁石等が使用される。この静磁場磁石11の略円筒の中心軸をZ軸、鉛直方向をX軸、水平方向をY軸に規定する。
【0017】
傾斜磁場コイルユニット12は、静磁場磁石11の内側に取り付けられる。傾斜磁場コイルユニット12は、傾斜磁場電源13から電流の供給を受けて、傾斜磁場を発生する。傾斜磁場は、スライス選択用傾斜磁場、位相エンコード用傾斜磁場及びリードアウト用傾斜磁場がある。スライス選択用傾斜磁場は、任意に撮像断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場は、空間的位置に応じて磁気共鳴信号(以下、MR信号と称する)の位相をエンコードするために利用される。リードアウト用傾斜磁場は、空間的位置に応じてMR信号の周波数をエンコードするために利用される。
【0018】
また、傾斜磁場コイルユニット12は、傾斜磁場コイルユニット12を冷却するための冷媒が通過する流路を備えている。以下、冷媒は冷却水とする。しかし、冷媒として水以外の他の物質を使用してもよい。流路は、傾斜磁場コイルユニット12の筐体表面において樹脂性のホースと接続されている。
【0019】
循環装置43は、樹脂性のホースと接続されており、熱交換器と循環ポンプとを備える。循環ポンプは、冷却水を傾斜磁場コイルユニット12と熱交換器との間で循環させる。熱交換器は、傾斜磁場コイルユニット12を冷却することで暖まった冷却水を冷やす。
【0020】
寝台14の天板41には被検体Pが載置される。通常、寝台14の天板41の長手方向が静磁場磁石11の中心軸と平行になるように寝台14が設置される。寝台14の天板41は傾斜磁場コイルユニット12の空洞(ボア)内に挿入される。寝台14の天板41は寝台制御部15により駆動され、その長手方向(Z軸)および上下方向(X軸)に移動する。
【0021】
送信RFコイル16は、傾斜磁場コイルユニット12の内側に配置される。送信RFコイル16は、送信部17から高周波パルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。
【0022】
送信部17は、発振部、位相選択部、周波数変換部、振幅変調部、高周波電力増幅部などを内蔵する。発振部は、被検体P内に存在する対象原子核を励起させるために、対象原子核に固有の共鳴周波数で振動する高周波信号(RF信号)を発生する。位相選択部は、RF信号の位相を選択する。周波数変換部は、位相選択部から出力されたRF信号の周波数を変換する。振幅変調部は、周波数変換部から出力されたRF信号の振幅を例えばsinc関数に従って変調する。高周波電力増幅部は、振幅変調部から出力されたRF信号を増幅する。そしてこれら各部の動作の結果として送信部17は、ラーモア周波数に対応する高周波パルスを送信RFコイル16に送信する。
【0023】
受信RFコイル18は、傾斜磁場コイルユニット12の内側に配置される。受信RFコイル18は、送信RFコイル17から発生された高周波磁場の影響により被検体Pから放射されるMR信号を受信する。通常、受信RFコイル18は送信RFコイル16と兼用される。
【0024】
受信部19は、受信RFコイル18からの出力信号を受信する。受信部19は、受信したMR信号に増幅、検波、A/D変換等の処理を行い、デジタル信号である磁気共鳴信号データ(MR信号データ)を生成する。
【0025】
計算機システム20は、インタフェース部21、データ収集部22、再構成部23、記憶部24、表示部25、入力部26及び制御部27を有している。以下個々の構成要素について説明する。
【0026】
インタフェース部21には、傾斜磁場電源13、寝台制御部15、送信部17、受信RFコイル18及び受信部19等が接続される。インタフェース部21は、これら接続された各部と計算機システム20との間で送受信される信号の入出力を行う。
【0027】
データ収集部22は、受信部29から出力されるデジタル信号をインタフェース部21を介して収集する。
【0028】
再構成部23は、記憶部24に記憶されたMR信号データに基づいて、磁気共鳴画像データを再構成する。
【0029】
記憶部24は、MR信号データや磁気共鳴画像データを記憶する。
【0030】
表示部25は、磁気共鳴画像や各種の情報を制御部27の制御の下に表示する。表示部25としては、液晶表示器等の表示デバイスが利用可能である。
【0031】
入力部26は、操作者からの各種指令や情報入力を受け付ける。入力部26としては、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスが適宜利用可能である。
【0032】
制御部27は、MRI装置1としての動作を実現するように各構成要素を制御することで、被検体に関する磁気共鳴画像を取得する。
【0033】
図2は、図1の傾斜磁場コイルユニット12を一部切欠いて示す斜視図であり、図3Aは、傾斜磁場コイルユニット12のXY平面における断面図である。図2及び図3Aに示すように、ガントリ10は、略円筒形状の傾斜磁場コイルユニット12を有している。傾斜磁場コイルユニット12は、内側から順にメインコイル層31、クーリング層33及びシールドコイル層35からなる3層構造を有する。
【0034】
メインコイル層31は、3つのメインコイル(X―メインコイル、Y―メインコイル、Z―メインコイル)を樹脂で略円筒状にモールドしてなる。各メインコイルは、傾斜磁場電源13からの電流の供給を受けて、X、Y、Z軸それぞれに沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生する。
【0035】
シールドコイル層35は、3つのシールドコイル(X―シールドコイル、Y―シールドコイル、Z―シールドコイル)を樹脂で略円筒状にモールドしてなる。各シールドコイルは、傾斜磁場電源13からの電流の供給を受けて、メインコイル層31からの漏洩磁場を遮蔽するための磁場を発生する。
【0036】
クーリング層33は、メインコイル層31とシールドコイル層35との間に取り付けられる。クーリング層33は、メインコイル層31の中心軸を中心とした略円周形状を有する帯状領域である。クーリング層33には、流路53を構成する、例えば、直管としての複数の冷却チューブ51がZ軸を中心とする略円周状に離散的に配置される。各冷却チューブ51は、例えば、Z軸に平行に配列される。冷却チューブ51は略角筒又は略円筒形状を有する。冷却チューブ51の内部は、冷却水が流れる流路53となる。冷却チューブ51は、熱伝導率の大きい素材、例えば銅、で形成される。冷却水によって冷やされた冷却チューブ51は、クーリング層33の内側に配置される熱源としてのメインコイル及びクーリング層33の外側に取り付けられる熱源としてのシールドコイルを冷却する。
【0037】
略円周状に配列された複数の冷却チューブ51の複数の間隔には、複数のシムトレイ保持部55が設置される。複数のシムトレイ保持部55と複数の冷却チューブ51とは、例えば図3Aに示すように、同一径の略円周R1に沿って配置される。複数のシムトレイ保持部55は、典型的にはZ軸に平行に配列され、クーリング層33をZ軸方向に貫通する横孔として構成される。シムトレイ保持部55は、鉄片(以下、鉄シムと称する)を搭載するシムトレイを保持する。シムトレイは、適当な数の鉄シムを適当な位置に保持できる構造を有する。適当な数の鉄シムを適当な位置に配置させ、磁場の不均一度を補正することをパッシブシミングと称する。
【0038】
なお、図3Aに示すように、各流路53とシムトレイ59とは、同一径の円周状に配置されるとした。しかしながらこれに限定する必要はなく、例えば、図3Bに示すように、シムトレイ保持部55が配列される略円周R2と、冷却チューブ51が配列される略円周R3とが同一でなくともよい。また、図3Cに示すように、流路53は、クーリング層33内に略同心円状に複数列、例えば2列に配列されていてもよい。
【0039】
以下、クーリング層33に冷却チューブ51とシムトレイ保持部55とを実装するための具体的な手段を説明する。
【0040】
クーリング層33には、複数の貫通孔が形成される。この複数の貫通孔の各々には、2本の冷却チューブ51と1つのシムトレイ保持部55とを有するチューブモジュール57が嵌めこまれる。クーリング層33は、Z軸を中心とする略円周状に配列された複数のチューブモジュール57を略円筒状に樹脂でモールドしてなる。
【0041】
図4は、チューブモジュール57の横断面図であり、紙面に垂直な方向がZ軸である。図4に示すように、チューブモジュール57は、2つの冷却チューブ51−1、51−2と2つの固定板61、62とからなる。2本の冷却チューブ51−1、51−2は、間隔L1をおいてZ軸に沿って平行に配列される。2本の冷却チューブ51−1、51−2の上部と下部とはそれぞれ細長い短冊形状を有する固定板61、62により固定されている。チューブモジュール57は、例えば、中空の四角柱状の構造を有する。チューブモジュール57の中空の部分はシムトレイ保持部55として機能し、シムトレイ保持部55はシムトレイ59が挿入される。固定板61と固定板62とは、熱伝導性の良い素材、例えば、樹脂や樹脂材に熱伝導性のフィラーを混合した複合材等で形成される。シムトレイ保持部55は、シムトレイ59をZ方向にスライド可能に保持する。シムトレイ保持部55のY方向の長さL1は、シムトレイ59のY方向に関する幅L2よりも若干大きい。そのため、2つの冷却チューブ51は、シムトレイ59をZ方向にスライド可能にガイドするガイドレールを兼ねる。
【0042】
以下、図5を参照しながらチューブモジュール57の冷却機能について説明する。図5は、図4のA―A´断面である。図5に示す様に、2つの冷却チューブ51(図5の斜線部分)各々のZ方向に関する両端部Eには、略円筒形状を有する複数の連結チューブ63が結合される。連結チューブ63は、ロウ付け等により冷却チューブ51の端部Eに結合される。複数の連結チューブ63により、Z軸を中心とする略円周状に配列された複数の冷却チューブ51は、1本に連結される。図5に図示されていないが、1本に連結された冷却チューブ51の両端部は、樹脂製等のホースを介して循環装置43に接続されている。冷却チューブ51、連結チューブ63及び循環装置43によって冷却水の循環系が完結する。循環装置43によって、冷却水は、図5の太線の矢印に示すように、流路53を循環する。冷却水が流路53を循環することによって、冷却チューブ51は冷却される。冷却された冷却チューブ51は、電流の供給により熱せられたメインコイル及びシールドコイルを冷却する。また、冷却された冷却チューブ51は、シムトレイ59に収容される鉄シム64を冷却する。
【0043】
図6は、冷却効果を高めるための構造を有するチューブモジュール57´の横断面図である。図6に示すように、チューブモジュール57´は、冷却チューブ51によるメインコイル等に対する冷却効果を高めるための2つの冷却ひれ(以下、フィンと称する)65−1と65−2とを有する。2つのフィン65−1と65−2とは、メインコイルに近接できるように略円弧形状を有する。フィン65−1と65−2とは、熱伝導性の良い素材、例えば、樹脂や樹脂材に熱伝導性のフィラーを混合した複合材等で形成される。すなわち、フィンにより、メインコイル層と冷却用の冷却源との接触面積が増大する。フィン65−1、65−2は、例えば冷却チューブ51−1,51−2に接続された固定板62´の下端部に取り付けられる。冷却チューブ51−1,51−2,固定板62´及びフィン65−1,65−2を介して、メインコイル及びシールドコイルと冷却水との間で熱交換される。つまり、図5のチューブモジュール57に比べ、図6のチューブモジュール57´の方が、冷却効果が高い。
【0044】
以下、チューブモジュール57のパッシブシミング機能について説明する。
【0045】
図7は、シムトレイ59の斜視図である。図7に示すように、シムトレイ59は、鉄シム64を収容する為の窪み67がZ方向に沿って複数形成されている。
【0046】
図8は、図4のB―B´断面である。図8に示す様に、シムトレイ55の窪み67には、段つきのスペーサ69が取り付けられている。スペーサ69にはボルト71が固定されている。図9は鉄シム64の斜視図である。図9に示すように、鉄シム64の中央部には、スペーサ69が通過できる程度の径を有する孔74が形成されている。パッシブシミングのために鉄シム64は、この孔74にボルト71及びスペーサ69を通過させ、適当な位置の窪み67に適当な数積み重ねられる。積み重ねられた鉄シム64は、プレート72によって上部から抑えられる。積み重ねられた鉄シム64は、プレート72を介してボルト71に螺合するナット73により固定される。この様な構造をとることで、ナット73が鉄シム64よりも高い位置に来ることはなくなる。つまり、鉄シム64を収容するのに必要なスペースは、窪み67の深さやボルト71の高さに依る。従って窪み67の深さやボルト71の高さを調整することによりクーリング層33の径方向の厚さをより小さくして、鉄シム64を収容することが可能となる。なお、シムトレイ59の窪み67には、スペーサ69を取り付けず、直接ボルト71を取り付けても良い。
【0047】
図10は、図7のシムトレイ59とは異なる構造のシムトレイ59´の斜視図である。図10に示すように、シムトレイ59´は、窪みが形成されていない。この場合鉄シム64は、シムトレイ59´のトレイ面59´aの適当な場所に取り付けられたボルト71とナット73とによって固定される。
【0048】
以下、図4及び図6とは異なるチューブモジュール80の構造を説明する。図11は、チューブモジュール80の斜視図、図12はチューブモジュール80の横断面図である。チューブモジュール80は、熱伝導性の良い素材、例えば、樹脂や樹脂材に熱伝導性のフィラーを混合した複合材等で形成される。図11及び図12に示すように、チューブモジュール80には、Z軸方向に沿ってチューブモジュール80を貫通する横孔である3つの貫通孔が形成されている。3つの貫通孔は、例えば、Z軸方向に沿って平行に形成される。3つの貫通孔のうち両端の貫通孔は、冷却水が通過するための流路53−1,53−2である。3つの貫通孔のうち真ん中の貫通孔は、シムトレイ保持部55である。シムトレイ保持部55のY方向の長さ(L3)は、シムトレイ53のY方向の長さ(L2)よりも若干長い程度である。そのため、シムトレイ保持部55は、シムトレイ59をZ方向にスライド可能にガイドするガイドレールの役目も果たす。
【0049】
図12のA―A´断面図は、図5に対応する。なお、この場合、図5の斜線部分は、チューブモジュール80の一部分となる。従って、連結チューブ63は、流路53と連結チューブ63と循環装置43とが冷却水の循環系をなすように、チューブモジュール80の一部分のY方向に関する端部Eに取り付けられる。
【0050】
図12のB―B´断面図は、そのまま図8に対応する。
【0051】
かくして本実施形態によれば、径方向の厚みの低減を実現することができる。
【0052】
(変形例)
図13は、本実施形態の変形例に係る傾斜磁場コイルユニット90の一部を切り欠いて示す斜視図である。図13に示すように、傾斜磁場コイルユニット90は、内側から順にメインコイル層31、第1クーリング層91、第2クーリング層92、及びシールドコイル層35からなる4層構造を有する。
【0053】
第1クーリング層91は、メインコイル層31の外側に取り付けられる。第1クーリング層91は、Z軸に沿って螺旋状に埋設された第1冷却チューブ93を有する。第1冷却チューブ93の内部は、冷媒としての冷却水が流れる流路94となる。冷却水によって冷やされた第1冷却チューブ93は、傾斜磁場コイルユニット90の主要な熱源であるメインコイル層31のメインコイルを冷却する。螺旋形状を有する第1冷却チューブ93は、図2に示すようなZ軸に平行な直管構造を有する冷却チューブに比して、メインコイル層31との接触面積が大きいため、効率良くメインコイルを冷却することが可能となる。
【0054】
第2クーリング層92には、第1クーリング層91の外側に取り付けられる。第2クーリング層92は、直管としての複数の第2冷却チューブ95がZ軸を中心とする略円周状に配置される。第2冷却チューブ95の各々は、Z軸に平行に配列される。複数の第2冷却チューブ96の複数の間隔には、複数のシムトレイ保持部55が設置される。
【0055】
第2冷却チューブ95の内部は、冷媒としての冷却水が流れる流路96となる。冷却水によって冷やされた第2冷却チューブ95は、熱源としてのシールドコイル層35のシールドコイルを冷却する。メインコイルに比してシールドコイルは熱を発生しないので、直管構造を有する冷却チューブ95で十分に冷却することが可能である。
【0056】
具体的には、第2クーリング層92には、第2冷却チューブ95とシムトレイ保持部55とを実装するために、チューブモジュール57やチューブモジュール80が嵌めこまれる。
【0057】
なお、上記の実施形態では、各流路53、96(冷却チューブ51、95)各々はZ軸に平行であるしたが、それに限定する必要はない。例えば、図14に示すように、各流路53は、上記の実施形態に比してメインコイルやシールドコイルに対する冷却能を高めるため、Z軸に沿って波打つような形状を有していてもよい。また、各流路53は、Z軸に沿ってジグザグな形状や螺旋形状等を有していてもよい。
【0058】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態に係るMRI装置の構成図。
【図2】図1の傾斜磁場コイルユニットを一部切欠いて示した斜視図。
【図3A】図2の傾斜磁場コイルユニットのXY平面における断面図。
【図3B】図3Aとは異なる、図2の傾斜磁場コイルユニットのXY平面における断面図。
【図3C】図3Aと図3Bとは異なる、図2の傾斜磁場コイルユニットのXY平面における断面図。
【図4】本実施形態に係わるチューブモジュールの横断面図。
【図5】図4又は図12のA―A´断面図。
【図6】図4とは異なるチューブモジュールの横断面図。
【図7】図4及び図6のシムトレイの斜視図。
【図8】図4又は図12のB―B´断面図。
【図9】図4及び図8の鉄シムの斜視図。
【図10】図7のシムトレイとは異なる構造のシムトレイの斜視図。
【図11】図4及び図6とは別のチューブモジュールの斜視図。
【図12】図11のチューブモジュールの横断面図である。
【図13】本実施形態の変形例に係る傾斜磁場コイルユニットを一部切欠いて示した斜視図。
【図14】本実施形態の変形例に係るZ軸に沿って波打つような形状を有する流路を示す図。
【符号の説明】
【0060】
1…MRI装置、10…ガントリ、11…静磁場磁石、12…傾斜磁場コイルユニット、13…傾斜磁場電源、14…寝台、15…寝台制御部、16…送信RFコイル、17…送信部、18…受信RFコイル、19…受信部、20…計算機システム、21…インタフェース部、22…データ収集部、23…再構成部、24…記憶部、25…表示部、26…入力部、27…制御部、31…メインコイル層、33…クーリング層、35…シールドコイル層、41…天板、43…循環装置、51…冷却チューブ、53…流路、55…シムトレイ保持部、57…チューブモジュール、59…シムトレイ、61…固定板、62…固定板、63…連結チューブ、64…鉄シム、65…フィン、67…窪み、69…スペーサ、71…ボルト、72…プレート、73…ナット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜磁場を発生するメインコイルを有する、略円筒形状を有するメインコイル層と、
前記メインコイル層の外側に取り付けられる、前記メインコイルからの漏洩磁場を遮蔽するための磁場を発生するシールドコイルを有するシールドコイル層と、
前記メインコイル層と前記シールドコイル層との間に取り付けられる、前記メインコイル層の中心軸を中心とする略円周状に配列される冷媒のための複数の流路と磁性体のためのシムトレイを保持する複数のシムトレイ保持部とを有するクーリング層と、
を具備する傾斜磁場コイルユニット。
【請求項2】
前記流路と前記シムトレイ保持部とは、前記中心軸に平行に配列される、
請求項1記載の傾斜磁場コイルユニット。
【請求項3】
前記流路と前記シムトレイ保持部とは、略同一径の前記略円周状に配列される、
請求項1記載の傾斜磁場コイルユニット。
【請求項4】
前記クーリング層は、前記略円周状に嵌め込まれた複数のモジュールを有し、
前記モジュールのそれぞれは、
前記シムトレイ保持部と前記流路とを有する、
請求項1記載の傾斜磁場コイルユニット。
【請求項5】
隣り合う前記流路の端部は、前記冷媒が前記クーリング層に含まれる全ての前記流路を循環するように、前記冷媒が流れる中空部分を有する接続部で接続される、
請求項4記載の傾斜磁場コイルユニット。
【請求項6】
前記モジュールは、一列に形成された3つの貫通孔を有し、
前記流路は、前記3つの貫通孔のうち両端の貫通孔であり、
前記シムトレイ保持部は、前記3つの貫通孔のうち中央の貫通孔である、
請求項4記載の傾斜磁場コイルユニット。
【請求項7】
前記モジュールは、樹脂材で形成される、
請求項6記載の傾斜磁場コイルユニット
【請求項8】
前記モジュールは、樹脂材に熱伝導性のフィラーを混合した複合材で形成される、
請求項6記載の傾斜磁場コイルユニット。
【請求項9】
前記モジュールは、
その中空部分が前記流路である2つの冷却チューブと、
前記2つの冷却管チューブの上端部を固定する第1固定板と、
前記2つの冷却管チューブの下端部を固定する第2固定板と、
を有し、
前記シムトレイ保持部は、前記2つの冷却管チューブと前記第1固定板と前記第2固定板とによって形成される、
請求項4記載の傾斜磁場コイルユニット。
【請求項10】
前記シムトレイは、ボルトと前記ボルトに螺合するナットとを有し、
前記磁性体は、前記ボルトと前記ナットとによって固定される、
請求項1記載の傾斜磁場コイルユニット。
【請求項11】
傾斜磁場を発生する、略円筒状に配置されるメインコイルと、
前記メインコイルの外側に取り付けられる、静磁場磁石から発生される静磁場を均一化するための補正磁場を発生するシールドコイルと、
前記メインコイルと前記シールドコイルとの間に、前記メインコイルの中心軸を中心とした略円周形状を有する帯状領域に配列される磁性体のための複数のシムトレイと、
前記帯状領域に離散的に配列される、冷媒のための複数の流路と、
を具備する傾斜磁場コイルユニット。
【請求項12】
前記流路は、前記シムトレイを前記中心軸に平行にガイドする、
請求項11記載の傾斜磁場コイルユニット。
【請求項13】
前記シムトレイは、隣り合う前記流路の間に形成された空間に配置される、
請求項11記載の傾斜磁場コイルユニット。
【請求項14】
傾斜磁場を発生するメインコイルを有する、略円筒形状を有するメインコイル層と、
前記メインコイル層の外側に取り付けられる、前記メインコイルの中心軸に沿って螺旋状に埋設される冷媒のための流路を有する第1クーリング層と、
前記第1クーリング層の外側に取り付けられる、前記中心軸を中心とする略円周状に配列される冷媒のための複数の流路と磁性体のためのシムトレイを保持する複数のシムトレイ保持部と、を有する第2クーリング層と、
前記第2クーリング層の外側に取り付けられる、前記メインコイルからの漏洩磁場を遮蔽するための磁場を発生するシールドコイルを有するシールドコイル層と、
を具備する傾斜磁場コイルユニット。
【請求項15】
静磁場を発生する、略円筒形状を有する静磁場磁石と、
傾斜磁場を発生するメインコイルを有する、略円筒形状を有するメインコイル層と、
前記メインコイル層の外側に取り付けられる、前記メインコイルからの漏洩磁場を遮蔽するための磁場を発生するシールドコイルを有するシールドコイル層と、
前記メインコイル層と前記シールドコイル層との間に取り付けられる、前記メインコイル層の中心軸を中心とする略円周状に配列される、冷媒のための複数の流路と磁性体のためのシムトレイを保持する複数のシムトレイ保持部と、を有するクーリング層と、
を具備するMRI装置用ガントリ。
【請求項16】
ガントリ内に載置された被検体に関する磁気共鳴画像を取得するMRI装置において、
前記ガントリは、
静磁場を発生する、略円筒形状を有する静磁場磁石と、
傾斜磁場を発生するメインコイルを有する、略円筒形状を有するメインコイル層と、
前記メインコイル層の外側に取り付けられる、前記メインコイルからの漏洩磁場を遮蔽するための磁場を発生するシールドコイルを有するシールドコイル層と、
前記メインコイル層と前記シールドコイル層との間に取り付けられる、前記メインコイル層の中心軸を中心とする略円周状に配列される、冷媒のための複数の流路と磁性体のためのシムトレイを保持する複数のシムトレイ保持部と、を有するクーリング層と、
を具備するMRI装置。
【請求項1】
傾斜磁場を発生するメインコイルを有する、略円筒形状を有するメインコイル層と、
前記メインコイル層の外側に取り付けられる、前記メインコイルからの漏洩磁場を遮蔽するための磁場を発生するシールドコイルを有するシールドコイル層と、
前記メインコイル層と前記シールドコイル層との間に取り付けられる、前記メインコイル層の中心軸を中心とする略円周状に配列される冷媒のための複数の流路と磁性体のためのシムトレイを保持する複数のシムトレイ保持部とを有するクーリング層と、
を具備する傾斜磁場コイルユニット。
【請求項2】
前記流路と前記シムトレイ保持部とは、前記中心軸に平行に配列される、
請求項1記載の傾斜磁場コイルユニット。
【請求項3】
前記流路と前記シムトレイ保持部とは、略同一径の前記略円周状に配列される、
請求項1記載の傾斜磁場コイルユニット。
【請求項4】
前記クーリング層は、前記略円周状に嵌め込まれた複数のモジュールを有し、
前記モジュールのそれぞれは、
前記シムトレイ保持部と前記流路とを有する、
請求項1記載の傾斜磁場コイルユニット。
【請求項5】
隣り合う前記流路の端部は、前記冷媒が前記クーリング層に含まれる全ての前記流路を循環するように、前記冷媒が流れる中空部分を有する接続部で接続される、
請求項4記載の傾斜磁場コイルユニット。
【請求項6】
前記モジュールは、一列に形成された3つの貫通孔を有し、
前記流路は、前記3つの貫通孔のうち両端の貫通孔であり、
前記シムトレイ保持部は、前記3つの貫通孔のうち中央の貫通孔である、
請求項4記載の傾斜磁場コイルユニット。
【請求項7】
前記モジュールは、樹脂材で形成される、
請求項6記載の傾斜磁場コイルユニット
【請求項8】
前記モジュールは、樹脂材に熱伝導性のフィラーを混合した複合材で形成される、
請求項6記載の傾斜磁場コイルユニット。
【請求項9】
前記モジュールは、
その中空部分が前記流路である2つの冷却チューブと、
前記2つの冷却管チューブの上端部を固定する第1固定板と、
前記2つの冷却管チューブの下端部を固定する第2固定板と、
を有し、
前記シムトレイ保持部は、前記2つの冷却管チューブと前記第1固定板と前記第2固定板とによって形成される、
請求項4記載の傾斜磁場コイルユニット。
【請求項10】
前記シムトレイは、ボルトと前記ボルトに螺合するナットとを有し、
前記磁性体は、前記ボルトと前記ナットとによって固定される、
請求項1記載の傾斜磁場コイルユニット。
【請求項11】
傾斜磁場を発生する、略円筒状に配置されるメインコイルと、
前記メインコイルの外側に取り付けられる、静磁場磁石から発生される静磁場を均一化するための補正磁場を発生するシールドコイルと、
前記メインコイルと前記シールドコイルとの間に、前記メインコイルの中心軸を中心とした略円周形状を有する帯状領域に配列される磁性体のための複数のシムトレイと、
前記帯状領域に離散的に配列される、冷媒のための複数の流路と、
を具備する傾斜磁場コイルユニット。
【請求項12】
前記流路は、前記シムトレイを前記中心軸に平行にガイドする、
請求項11記載の傾斜磁場コイルユニット。
【請求項13】
前記シムトレイは、隣り合う前記流路の間に形成された空間に配置される、
請求項11記載の傾斜磁場コイルユニット。
【請求項14】
傾斜磁場を発生するメインコイルを有する、略円筒形状を有するメインコイル層と、
前記メインコイル層の外側に取り付けられる、前記メインコイルの中心軸に沿って螺旋状に埋設される冷媒のための流路を有する第1クーリング層と、
前記第1クーリング層の外側に取り付けられる、前記中心軸を中心とする略円周状に配列される冷媒のための複数の流路と磁性体のためのシムトレイを保持する複数のシムトレイ保持部と、を有する第2クーリング層と、
前記第2クーリング層の外側に取り付けられる、前記メインコイルからの漏洩磁場を遮蔽するための磁場を発生するシールドコイルを有するシールドコイル層と、
を具備する傾斜磁場コイルユニット。
【請求項15】
静磁場を発生する、略円筒形状を有する静磁場磁石と、
傾斜磁場を発生するメインコイルを有する、略円筒形状を有するメインコイル層と、
前記メインコイル層の外側に取り付けられる、前記メインコイルからの漏洩磁場を遮蔽するための磁場を発生するシールドコイルを有するシールドコイル層と、
前記メインコイル層と前記シールドコイル層との間に取り付けられる、前記メインコイル層の中心軸を中心とする略円周状に配列される、冷媒のための複数の流路と磁性体のためのシムトレイを保持する複数のシムトレイ保持部と、を有するクーリング層と、
を具備するMRI装置用ガントリ。
【請求項16】
ガントリ内に載置された被検体に関する磁気共鳴画像を取得するMRI装置において、
前記ガントリは、
静磁場を発生する、略円筒形状を有する静磁場磁石と、
傾斜磁場を発生するメインコイルを有する、略円筒形状を有するメインコイル層と、
前記メインコイル層の外側に取り付けられる、前記メインコイルからの漏洩磁場を遮蔽するための磁場を発生するシールドコイルを有するシールドコイル層と、
前記メインコイル層と前記シールドコイル層との間に取り付けられる、前記メインコイル層の中心軸を中心とする略円周状に配列される、冷媒のための複数の流路と磁性体のためのシムトレイを保持する複数のシムトレイ保持部と、を有するクーリング層と、
を具備するMRI装置。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−194449(P2008−194449A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296967(P2007−296967)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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