説明

像形成要素のための改良された下塗りされたポリエステル支持体

【課題】 巻取りおよび巻戻し問題のないポリエステル支持体並びに処理後に星月夜効果のない例えば写真材料の如き像形成要素を提供すること。
【解決手段】 上側にあるラテックス下塗り層、および黒色スペーシング剤を含有するゼラチン下塗り層を含んでなるポリエステルフィルムを開示する。このポリエステルフィルムは幾つかの像形成要素、例えば写真材料、(フォト)サーモグラフィー材料、およびインキジェット記録要素用の支持体として有利に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の分野】本発明は改良された下塗りされたポリエステルフィルムおよびそのようなポリエステルを支持体として有する像形成材料に関する。
【0002】
【発明の背景】ハロゲン化銀化学を基礎とした感光性材料は多くの用途、例えば黒白またはカラーの一般的なアマチュアおよび専門写真用の写真材料、動画産業用の記録および印刷材料、並びに医学診断像の記録および複写用の材料において使用される。別の特殊な材料は顕微鏡写真、非−破壊試験およびグラフィックアーツプレ−プレス用に開発されている。グラフィックアーツ再現法では、連続的な色階調を有するように見えるオリジナル像がスクリーニング法において大量のドットの集積により、カメラフィルムの場合における光学手段またはレコーダーフィルムの場合における電子手段のいずれかにより再現される。カメラおよびレコーダーフィルムとは別に、スクリーニングされた像を複製しうるいわゆるコンタクトフィルムも存在する。幾つかの写真領域では、特にグラフィックアーツプレプレスフィルム(graphic arts prepress film)では、より少ない製造費用、より高い被覆力、より鮮鋭な像、および減じられた補充割合に関する要望が常にある。これは原則的には、低いゼラチン/ハロゲン化銀比を意味する乳剤層の銀被覆率および厚さを低下させ、そしてこれも低いゼラチン被覆率を意味する補助層の厚さを低下させることにより達成することができる。しかしながら、低い銀およびゼラチン被覆率へのこの傾向は以下で説明する大きな問題をもたらしうる。
【0003】従来からグラフィックアーツ写真材料はポリエステル支持体上にコーテイングされる。写真産業において最も広く使用されるポリエステル支持体はポリエチレンテレフタレートである。寸法安定性ポリエステルフィルム支持体、すなわち二軸延伸しそして熱硬化させたポリエステルフィルムに対する例えば写真感光性乳剤層の如き親水性層の完全な付着を確実にするためには、支持体と1つもしくは複数の感光性乳剤層との間に幾つかの中間層を提供することが昔から知られている。ほとんどの場合、2つの中間層が必要である。接着剤層またはプライマー層または樹脂下塗り層またはラテックス下塗り層として知られる第一のものは、ポリエステルフィルムに対する良好な付着性を示しそして同時に一般的には例えばゼラチンの如き親水性コロイドの大部分を形成する「ゼラチン下塗り層」または「ゼラチン下層」または「ゲル下層」として知られる第二の層に対する良好な付着性質も有する。一貫性のために、我々は以上で定義した第一の中間層をラテックス下塗り層とそして第二の中間層をゼラチン下塗り層と称する。
【0004】ゼラチン下塗り層の中に、ある程度の量の艶消し剤とも称するスペーシング剤(spacing agent)を、表面にある程度の粗さを与えるために加えることが一般的である。そのようなスペーシング剤が存在しない場合には、仕上がったポリエステルの劣悪な巻取りおよび側面の劣悪な巻戻しが予測されるはずである。効果的にするためには、そのようなスペーシング剤はある種の最少平均粒子寸法、好ましくは約3μmを示さなくてはならない。しかしながら、非常に薄い乳剤層を用いる場合には、スペーシング剤粒子の頂部が乳剤層の表面を貫通するであろう。乳剤層が露呈されそして現像される場合には、各々のスペーシング粒子貫通が現像された銀の黒色濃度を局部的に妨害するであろう。透過率において光により検査する場合には、これはいわゆる「星月夜(starry night)」効果を与える。この問題は、より低いすなわちより少ないスペーシング剤を選択することにより軽減されうる。しかしながら、その場合には巻取りおよび巻戻しに伴う問題が悪化すると予期されるはずである。そこで、星月夜効果を回避するがスペーシング剤の存在による有利な性質は保有する溶液に関する要望がある。
【0005】
【発明の目的】本発明の目的は巻取りおよび巻戻し問題のないポリエステル支持体を提供することである。
【0006】本発明の別の目的は処理後に星月夜効果のない例えば写真材料の如き像形成要素を提供することである。
【0007】
【発明の要旨】上記の目的は、上側および裏側を有し、上側が記載の順序で(a)ラテックス下塗り層、(b)ゼラチン下塗り層を有するポリエステルフィルムであって、該下塗り層(a)および(b)の少なくとも1つが黒色スペーシング剤を含んでなることを特徴とするフィルムを提供することにより実現される。好ましくは黒色スペーシング剤はゼラチン下塗り層(b)の中に加えられる。
【0008】好ましい態様では、このスペーシング剤は黒色が得られるような相互比で1つもしくはそれ以上のシアン、マゼンタおよびイエロー染料の混合物が充填された疎水性重合体粒子よりなる。別の好ましい態様では、ポリエステルフィルムはその裏側に伝導性ラテックス下塗り層(c)およびゼラチン質の抗ハレーション層(d)を有する。
【0009】本発明に従うポリエステルフィルムは好ましくは幾つかの像形成システム、例えば写真材料、(フォト)サーモグラフィー材料、およびインキジェット記録材料用の支持体として役立ちうる。本発明の別の利点および態様は以下の記述から明らかになるであろう。
【0010】
【発明の詳細な記述】本発明を構成する種々の要素を次に詳細に説明する。
−黒色スペーシング剤下塗り層の1つ、最も好ましくはゼラチン下塗り層(b)が黒色スペーシング剤を含有することが本発明のエッセンスである。
【0011】最も好ましい態様では、黒色スペーシング剤はスペーシング粒子が黒色に見えるような相互比率でのシアン、マゼンタおよびイエロー疎水性染料の混合物が充填された疎水性重合体粒子またはビーズよりなる。
【0012】疎水性成分、例えば疎水性染料、白色剤、およびカラーカプラーを疎水性重合体粒子と結合させる方法は、例えば、US−P4,230,716、4,214,047、4,247,627、4,304,769およびGB1504949に記載されている。
【0013】本発明における使用に特に好ましい方法はEP483416に開示されている。少なくとも1種の疎水性化合物が充填された疎水性重合体粒子の水性分散液を製造するためのこの改良された方法は下記の段階を含んでなる:−疎水性化合物を水−非混和性有機溶媒中に溶解させ、−得られる溶液を水性媒体中に分散させ、−生ずる分散液を疎水性粒子の他の水性媒体中の分散液と混合し、−得られる混合物を撹拌して疎水性化合物を疎水性重合体粒子と結合させ、そして−水−非混和性溶媒を蒸発により除去する。
【0014】実際には、疎水性のシアン、マゼンタおよびイエロー染料の多数の組み合わせのいずれでも、それらを重合体粒子が黒色となるような適切な比率で組み合わせうる限り使用することができる。特に好ましい態様では、下記の染料の組み合わせが使用される:
【0015】
【化4】


【0016】
【化5】


【0017】
【化6】


【0018】好ましい充填可能な重合体粒子は、アクリル酸、メタクリル酸、並びにそれらの塩類およびエステル類のホモ重合体または共重合体、ポリスチレン、コポリ(アクリル酸エチル/メタクリル酸ステアリル)、コポリ(メタクリル酸/メタクリル酸メチル/メタクリル酸ステアリル)、並びに上記のUS4,614,708およびUS4,861,808に記載された重合体を包含する。
【0019】最も好ましい態様では、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)が充填可能なスペーシング剤として使用される。
−ポリエステル上にコーテイングされる層(a)〜(d)の組成ラテックス下塗り層(a)の必須成分は付着促進ラテックスである。この目的のためのラテックス重合体の好ましい種類はカルボキシル官能基を有する塩化ビニリデン−含有共重合体である。そのような重合体の例は、(1)塩化ビニリデンおよび不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸またはメタクリル酸の共重合体、(2)塩化ビニリデンおよび不飽和カルボン酸の半エステル、例えばイタコン酸のモノメチルエステルの共重合体、(3)塩化ビニリデン、イタコン酸およびアクリル酸またはメタクリル酸アルキル、例えばアクリル酸エチルまたはメタクリル酸メチルの三元共重合体、並びに(4)塩化ビニリデン、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルおよび不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸またはメタクリル酸の三元共重合体である。
【0020】最も好ましい態様では、ラテックス重合体はコ(塩化ビニリデン−アクリル酸メチル−イタコン酸:88%/10%/2%)である。この共重合体は乳化剤として0.5%のメルソラト(MERSOLAT)H(Bayer AGの商標)を用いる乳化重合により製造される。貯蔵時の良好な安定性を確実にするために追加の界面活性剤であるいわゆる後−安定剤をラテックスに加えることが必要である。4%のCiba-Geigyの商標であるウルトラフォン(ULTRAVON)Wが使用される場合に優れた貯蔵安定性が得られる。
【0021】ラテックス下塗り層のコーテイング溶液の別の好ましい成分として、コロイド状シリカを結合剤として加えることができる。好ましい化合物は平均粒子寸法25−30nmのキーゼルゾル(KIESELSOL)100F(Bayer AGの商標)である。ラテックス対シリカの量の比率は好ましくは約80/20である。
【0022】ラテックス下塗り層の乾燥厚さは好ましくは約0.1mmである。
【0023】ラテックス下塗り層は黒色スペーシング剤を含有できるが、より好ましくはこの剤は以下に記載されているゼラチン下塗り層中に加えられる。
【0024】ゼラチン下塗り層(b)はラテックス下塗り層(a)の頂部にコーテイングされる。スペーシング剤とは別に、ゼラチン下塗り層(b)は好ましくはゼラチンおよびコロイド状シリカの混合物を含有する。好ましい化合物はここでもキーゼルゾル300F(Bayer AGの商標)である。乾燥中の層の過度の収縮の発生による乾燥した層の中での割れ生成を回避するために可塑化用化合物を使用することができる。可塑剤は当該技術で既知である。低分子量化合物(例えばアセトアミド、グリセリン)並びに重合体状ラテックス(例えばポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸n−ブチル)をこの目的のために使用することができる。さらに、ゼラチン下塗り層は1種もしくはそれ以上の界面活性剤を含有することができる。有用な界面活性剤はCIBA-GEIGYからのスルホン酸アリールであるウルトラフォンTMW、HOECHSTからのノニルフェニルポリエチレン−グリコールであるアルコパル(ARKOPAL)TMN060(以前はホスタパル(HOSTAPAL)TMW)を包含する。
【0025】ゼラチン下塗り層の厚さは好ましくは0.1〜1μmの間である。
【0026】好ましい態様では、ポリエステルフィルムはその裏側に第二のラテックス下塗り層(c)をさらに有する。このラテックス下塗り層は好ましくは上側にあるラテックス下塗り層(a)と同様な組成を有する。しかしながら、特に好ましい態様では、層を帯電防止性にするためにこの層は伝導性重合体をさらに含有する。この伝導性化合物の性質を以下で詳細に説明する。
【0027】そのような化合物、一般的には重合体はイオンまたは電子伝導率を示すことができる。
【0028】しかしながら、イオン伝導性重合体を含有する帯電防止層の伝導率は、架橋結合後でも、水分依存性である。従って、電子伝導性共役重合体が開発された。イオン伝導性の代わりに電子伝導性を有する物質は水分に依存しない伝導率を有する。それらは永久的なそして再現可能な伝導率を有する帯電防止層の製造における使用に特に適する。
【0029】既知の電子伝導性重合体の多くは強く着色されるため写真材料中の使用にはあまり適していないが、ポリアレンメチリデン類の群のそれらの一部、例えばポリチオフェン類およびポリイソチアナフテン酸は少なくとも薄層中でコーテイングされる場合には、禁止的なほどには着色されずそして透明である。その結果、ポリチオフェン誘導体は本発明における使用に好ましいタイプの伝導性化合物である。
【0030】伝導性ポリチオフェン類の製造は上記の書籍に挙げられた製造文献:"Scienceand Applications of Conducting Polymers", p. 92 に記載されている。
【0031】形態学的理由のために、帯電防止層のコーテイングは可能な場合には水溶液からできるだけ少ない有機溶媒を用いることにより行うべきである。ポリアニオン類の存在下におけるポリチオフェン類の分散液である水性コーテイング組成物からの帯電防止コーテイングの製造はEP 0 440 957に記載されている。ポリアニオンの存在のために、ポリチオフェン化合物は分散液中に保たれる。
【0032】好ましくは、該ポリチオフェンは少なくとも1つのアルコキシ基、または−O(CH2CH2O)nCH3基[式中、nは1〜4である]で置換されたチオフェン核、または、最も好ましくは、2つの酸素原子上で置換された形態のアルキレン基を包含するアルキレン基で閉環されているチオフェン核を有する。
【0033】本発明に従う使用に好ましいポリチオフェン類は下記の一般式:
【0034】
【化7】


【0035】[式中、R1およびR2の各々は独立して水素またはC1-4アルキル基を表すか或いは一緒になって場合により置換されていてもよいC1-4アルキレン基またはシクロアルキレン基、好ましくはエチレン基、場合によりアルキル−置換されていてもよいメチレン基、場合によりC1-12アルキル−もしくはフェニル−置換されていてもよい1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基または1,2−シクロヘキシレン基を表す]に相当する構造単位から製造される。
【0036】最も好ましい化合物は下記の式:
【0037】
【化8】


【0038】を有するポリ(3,4−エチレンジオキシ−チオフェン)、(PEDT)である。
【0039】該ポリチオフェンおよび該ポリチオフェンを含有する水性ポリチオフェン−重合体状ポリアニオン分散液の製造は前記で引用したEP 0 440 957に記載されている。
【0040】該ポリチオフェン類を分散液中に保つために必要な適当な重合体状ポリアニオン化合物は遊離酸または中和された形態の酸性重合体により提供される。酸性重合体は好ましくは重合体状スルホン酸である。そのような重合体状酸の例はビニルスルホン酸およびスチレンスルホン酸またはそれらの混合物を含有する重合体である。
【0041】分散液の充分な安定性を確実にするためには、分散されたポリチオフェン重合体と一緒に使用されるアニオン性酸性重合体は好ましくは該重合体化合物に関して2重量%より多いアニオン基の含有量を有する。適する酸性重合体または対応する塩類は、例えば、DE−A−25 41 230、DE−A−25 41 274、DE−A−28 35 856、EP−A−14 921、EP−A−69 671、EP−A−130 115、US−P4,147,550、US−P4,388,403およびUS−P5,006,451に記載されている。
【0042】ポリチオフェン重合体対1種もしくは複数の重合体状ポリアニオン化合物の重量比は、例えば約50/50〜15/85で、広く変えることができる。
【0043】ポリチオフェン誘導体、例えばPEDTと組みわあせての使用に最も好ましい重合体状ポリアニオンはポリスチレンスルホネート(PSS)である。
【0044】伝導性ラテックス下塗り層(c)は好ましくは約0.1mmの乾燥厚さを有する。
【0045】別の好ましい態様では、ポリエステルフィルムは第二の下塗り層(c)の頂部にコーテイングされたゼラチン質の抗ハレーション層(d)をフィルムの裏側にさらに含んでなる。抗ハレーション染料とは別に、コーテイング組成物は典型的にはゼラチン、艶消し剤および界面活性剤を含有する。
【0046】抗ハレーション染料の存在は、下塗りされたポリエステルフィルムが感光性要素用の支持体として使用される場合に有利である。抗ハレーション染料は、支持体による乳剤層中への光の上方反射を減ずることにより像の鮮鋭度を改良する。可視分光領域中で吸収性である有用な染料は、US2,697,037の着色された顔料、US2,274,782のピラゾロノールオキソノール染料、US3,432,207のスチリルおよびブタジエニル染料、US2,956,879のジアリールアゾ染料、US2,527,583のメロシアニン染料、US3,486,897、US3,652,284およびUS3,718,472のメロシアニンおよびオキソノール染料、並びにUS3,976,661のエナミノヘミオキソノール染料を包含する。一部のものは電子−吸引基を有するジ−またはトリフェニルメタンタイプの赤色分光領域で吸収性である染料は、例えば、GB769749、US2,282,890、DE1038395、FR2,234,585、JP−A59−228250、US2,252,052および A. Guyot, Compt. Rend., Vol114 (1970), p.1120 に開示されている。開示された化合物の一部のものは1つもしくはそれ以上の水−溶解基を含有する。
【0047】抗ハレーション染料が通常のコーテイング条件下で非−拡散性でありそしてアルカリ性処理条件下でのみ拡散性になりおよび/または変色することは有利でありうる。そのような染料は分散液状でまたはいわゆる微結晶性固体粒子状で加えることができる。このタイプの非−拡散性または難拡散性染料は、例えば、US4,092,168、EP274723、EP276566、EP294461、EP299435、GB1563809、EP015601、US4,857,446、JP−A02−259752、JP−A02−264247、EP582753、EP587229に記載されている。
【0048】抗ハレーション染料の色は下塗りされたポリエステルフィルムがそのための支持体として機能するであろう感光性要素の分光感度分布に関連して選ばれるであろう。例えば、この感光性要素が赤色増感された写真フィルム、例えばグラフィックアーツレコーダーフィルムである場合には、次に青色抗ハレーション染料が加えられるであろう。
【0049】ゼラチン質の抗ハレーション層の乾燥厚さは好ましくは0.5〜4μmである。
−下塗りされたポリエステルフィルムの製造層(a)および(b)、並びに場合により存在する層(c)および(d)は、既知のコーテイング技術、例えば浸漬コーテイング、エアナイフコーテイング、スライドホッパーコーテイング、およびカーテンコーテイングのいずれかによりコーテイングすることができる。
【0050】全ての4つの層(a)〜(d)が存在する特に好ましい態様では、これらの層は「オンライン」で連続的方法でポリエステル自体の製造アレー中でコーテイングされる。溶融ポリエステルが押し出されそして縦方向に延伸される。次に第一のラテックス下塗り層(a)が上側に適用されそして、場合により伝導性であってもよい、第二のラテックス下塗り層(c)が裏側に適用される。次に下塗りされたポリエステルが横方向に延伸される。場合により黒色スペーシング剤を含有してもよい層(b)が上側に適用され、そして最後にゼラチン質の抗ハレーション層(d)が裏側に適用される。
−支持体として下塗りされたポリエステルを有する像形成システム(a)写真材料用の支持体本発明に従う下塗りされたポリエステルの最も重要な用途は従来のハロゲン化銀写真材料の写真材料の支持体としてである。
【0051】そのような写真材料が本発明の範囲内に属することは明らかに意図される。
【0052】この出願では、1つもしくはそれ以上のハロゲン化銀乳剤層および1つもしくはそれ以上のすり傷防止層がポリエステルのゼラチン下塗り層(b)の頂部にコーテイングされる。
【0053】本発明に従い使用されるハロゲン化銀乳剤のハライド組成は特に限定されずそして例えば塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、クロロ臭化銀、ブロモヨウ化銀、およびクロロブロモヨウ化銀から選択されるいずれの組成であってもよい。しかしながら、好ましい態様では、写真材料はグラフィックアーツ材料、最も好ましくはグラフィックアーツ記録材料であり、それは定義によるとイメージ−セッターまたはスキャナー中で電子的に貯蔵されたスクリーニングされた像、線画および本文の記録用に適する。グラフィックアーツ記録材料は好ましくは、過半数の、好ましくは50モル%〜95モル%の間の、最も好ましくは60モル%〜89モル%の間のクロリドと少量のヨージドを含有し、残りのハライドがブロミドである乳剤を使用する。
【0054】1つもしくは複数の写真乳剤は、可溶性銀塩および可溶性ハライドから、例えば P. Glafkides により "Chimie et Physique Photographique", Paul Montel,Paris (1967) に、G.F. Duffin により "Photographic Emulsion Chemistry",The Focal Press, London (1966) に、そして V.L. Zelikman et al により "Making and Coating Photographic Emulsion", The Focal Press, London (1966)に記載されている種々の方法に従い製造することができる。それらは、温度、濃度、添加順序、および添加速度の部分的にまたは完全に調節された条件下でハライドおよび銀溶液を混合することにより製造できる。ハロゲン化銀はシングル−ジェット法、ダブル−ジェット法、転換法またはこれらの種々の方法の交替法に従い沈澱させることができる。
【0055】ハロゲン化銀乳剤に種々の金属塩または錯体、例えばロジウムおよびイリジウム添加剤を混ぜることができる。
【0056】乳剤は普通の方法で、例えば透析により、フロキュレーションおよび再分散により、または限外濾過により脱塩することができる。
【0057】感光性ハロゲン化銀乳剤は、好ましくは、例えば上記の "Chimie et PhysiquePhotographique", Paul Montel, Paris (1967) に P. Glafkides により、上記の "Photographic Emulsion Chemistry", The Focal Press, London (1966) にG.F. Duffin により、上記の "Making and Coating Photographic Emulsion", The Focal Press, London (1966) に V.L. Zelikman et al により、並びに H. Frieser により編集されそして Akademische Verlagsgesellschaft (1968) により発行された "Die Grundlagen der Photographischen Prozesse mit Silberhalogeniden" に記載されているようにして化学的に増感される。該文献に記載されているように、化学的増感は少量の硫黄含有化合物、例えばチオサルフェート、チオシアナート、チオウレア類、サルファイト類、メルカプト化合物、およびローダミン類の存在下で熟成を行うことにより実施できる。乳剤は金−硫黄熟成剤、金−セレン熟成剤によりまたは還元剤、例えばGB789,823に記載されている錫化合物、アミン類、ヒドラジン誘導体、ホルムアミジン−スルフィン酸類、およびシラン化合物により増感させることもできる。化学的増感は少量のIr、Rh、Ru、Pb、Cd、Hg、Tl、Pd、Pt、またはAuを用いて行うこともできる。これらの化学的増感法の1つまたはそれらの組み合わせを使用することができる。
【0058】感光性ハロゲン化銀乳剤は、例えば F.M. Hamer により "The Cyanine Dyes and Related Compounds", 1964, John Wiley & Sons に記載されているもののような適当な染料で分光増感することができる。分光増感の目的のために使用できる染料は、シアニン染料、メロシアニン染料、複合シアニン染料、複合メロシアニン染料、ヘミシアニン染料、スチリル染料およびヘミオキソノル染料を包含する。特に価値ある染料はシアニン染料、メロシアニン染料および複合メロシアニン染料に属するものである。
【0059】本発明に従う使用のための1つもしくは複数のハロゲン化銀乳剤は、かぶりの発生を防止するか或いは写真要素の製造もしくは貯蔵中またはその写真処理中に写真特性を安定化させる化合物を含んでなることができる。多くの既知の化合物をかぶり−抑制剤または安定剤としてハロゲン化銀乳剤に加えることができる。適する例は Research Disclosure Item 36544, September 1994, Chapter VIIに開示されている。
【0060】ハロゲン化銀の他には、感光性乳剤層の別の必須成分は結合剤である。結合剤は親水性コロイド、好ましくはゼラチンである。しかしながら、ゼラチンは合成、半合成、または天然重合体により部分的にまたは全体的に代替されうる。ゼラチンの合成代替物は、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、およびそれらの誘導体、特にそれらの共重合体である。ゼラチンの天然代替物は、例えば、他の蛋白質、例えばゼイン、アルブミンおよびカゼイン、セルロース、糖類、澱粉、並びにアルギネート類である。一般的には、ゼラチンの半合成代替物は、改質された天然生成物、例えばアルキル化もしくはアシル化剤を用いるゼラチンの転化によりまたはゼラチン上への重合可能単量体のグラフト化により得られるゼラチン誘導体、並びにセルロース誘導体、例えばヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、フタロイルセルロース、および硫酸セルロース類である。
【0061】写真要素の結合剤は、特に使用される結合剤がゼラチンである場合には、適当な硬膜剤、例えばエポキシドタイプのもの、エチレンイミンタイプのもの、ビニルスルホンタイプのもの、例えば1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、クロム塩類、例えば酢酸クロムおよびクロム明礬、アルデヒド類、例えばホルムアルデヒド、グリオキサル、およびグルタルアルデヒド、N−メチロール化合物、例えばジメチロールウレアおよびメチロールジメチルヒダントイン、ジオキサン誘導体、例えば2,3−ジヒドロキシ−ジオキサン、活性ビニル化合物、例えば1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、活性ハロゲン化合物、例えば2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン、並びにムコハロゲン酸類、例えばムコ塩素酸およびムコフェノキシ塩素酸で硬膜化させることができる。これらの硬膜剤は単独でまたは組み合わせて使用することができる。結合剤は急速反応性硬膜剤、例えばUS4,063,952に開示されているようなカルバモイルピリジニウム塩類で硬膜化させることもできる。
【0062】本発明の写真材料は様々な種類の界面活性剤および潤滑剤を写真乳剤層中にまたは別の親水性コロイド層中にさらに含んでなっていてもよい。適する界面活性剤および潤滑剤は Research Disclosure Item 36544, September 1994, ChapterIX に開示されている。
【0063】本発明は、ゼラチン下塗り中に存在するスペーシング剤が乳剤層の表面を貫通するほど薄い、例えば2μmより薄い、乳剤層を有する写真材料において特に有用である。そのような薄い乳剤層を有する特に好ましい態様は下記の材料特徴を有するグラフィックアーツ記録材料である。ゼラチン下塗り層(b)の頂部にある乳剤層はわずかなヨージドを含むクロロブロミド乳剤の5g/m2だけの銀(AgNO3として表示される)、並びに約1gだけのゼラチン/m2および約15%の重合体ラテックスを含有する。第一のすり傷防止層は0.5gのゼラチン/m2および0.5gのラテックスを含有する。第二のすり傷防止層は0.5gのゼラチン/m2を含有する。シアン、マゼンタおよびイエロー染料の混合物が充填されたポリ(メタクリル酸メチル)ビーズである黒色スペーシング剤は処理後の「星月夜」効果の発生を防止する。黒色ラテックス下塗り層は伝導性であり、そしてゼラチン質の抗ハレーションは青色染料を含有する。さらなる詳細は以下の実施例に示される。
(b)(フォト)サーモグラフィー材料用の支持体感熱性要素は有機カルボン酸の実質的に非感光性である銀塩、それと熱作用関係にあるそのための還元剤および結合剤を含有する。相互の熱作用関係とは、熱現像工程中に還元剤がそれが有機カルボン酸の実質的に非感光性である銀塩の粒子に拡散可能であってその還元が起きうるような方法で存在しなければならないことを意味する。感熱性要素は熱方式により熱ヘッドを用いて露出される。
【0064】感熱性要素がさらに感光性ハロゲン化銀を触媒量で含有する場合には、サーモグラフィー記録材料は光方式で露出されるフォトサーモグラフィー材料(「乾燥銀」)になる。
【0065】有機カルボン酸の好ましい実質的に非感光性である銀塩は、脂肪族炭素連鎖が好ましくは少なくとも炭素数12の脂肪酸として知られる脂肪族カルボン酸の銀塩、例えばラウリル酸銀、パルミチン酸銀、ステアリン酸銀、ヒドロキシステアリン酸銀、オレイン酸銀およびベヘン酸銀であり、これらの銀塩は「銀石鹸」とも称される。GB−P1,439,478に記載されているような有機カルボン酸の他の銀塩、例えば安息香酸銀も同様に熱的に現像可能な銀像を形成するために使用することができる。有機カルボン酸の異なる銀塩の組み合わせを本発明で使用することもできる。
【0066】好ましい水−分散性結合剤は、スルホネート、スルフィネート、カルボキシレート、ホスフェート、第四級アンモニウム、第三級スルホニウムおよび第四級ホスホニウム基よりなる群から選択される共有結合されたイオン基を有する水−分散性のフィルム形成重合体である。さらに、好ましい水−分散性結合剤は1つもしくはそれ以上の酸基を有する共有結合された部分を有する水−分散性のフィルム形成重合体である。
【0067】上記の結合剤またはそれらの混合物はワックスまたは高温におけるレドックス反応の反応速度を改良する「熱的溶媒(thermal solvents)」もしくは「サーモ溶媒(thermosolvents)」とも称される熱溶媒(heat solvents)」と一緒に使用してもよい。
【0068】適する有機還元剤は、O、NまたはCと結合された少なくとも1つの活性水素原子を含有する有機化合物、例えば芳香族ジ−およびトリ−ヒドロキシ化合物、アミノフェノール類;メトール(METOL)TM;p−フェニレン−ジアミン類;アルコキシナフトール類、例えばUS−P3,094,41に記載されている4−メトキシ−1−ナフトール;ピラゾリジン−3−オンタイプの還元剤、例えばフェニドン(PHENIDONE)TM;ピラゾリン−5−オン類、インダン−1,3−ジオン誘導体;ヒドロキシテトロン酸類;ヒドロキシテトロンイミド類;例えばUS−P4,082,901に記載されているヒドロキシルアミン誘導体;ヒドラジン誘導体;並びにレダクトン類の場合であり、例えばUS−P3,074,809、3,080,254、3,094,417および3,887,378も参照のこと。
【0069】カテコール−タイプの還元剤、すなわち2つのヒドロキシ基(−OH)をオルト位置に有する少なくとも1つのベンゼン核を含有する還元剤、例えばカテコール、3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオン酸、1,2−ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸およびエステル類、例えば没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、タンニン酸、並びに3,4−ジヒドロキシ−安息香酸エステル類が好ましく、EP692733およびEP903625に記載されているものが特に好ましい。他の適する還元剤は立体障害フェノール類、ビスフェノール類およびスルホンアミドフェノール類である。
【0070】加熱時に実質的に非感光性である銀塩または有機カルボン酸の還元における反応相手になる還元剤の組み合わせを使用することもできる。例えば、立体障害フェノール類と例えばUS−5,464,738に開示されているようなスルホニルヒドラジド還元剤、例えばUS−P5,496,695に開示されているようなトリチルヒドラジド類およびホルミル−フェニル−ヒドラジド類、例えばUS−P5,545,505、US−P5,545,507およびUS−P5,558,983に開示されている多様な補助還元剤を含むトリチルヒドラジド類およびホルミル−フェニル−ヒドラジド類、US−P5,545,515およびUS−P5,635,339に開示されているアクリロニトリル化合物、並びにUS−P5,654,130に開示されているような2−置換されたマロノジアルデヒド化合物との組み合わせがある。
【0071】(フォト)サーモグラフィー材料はさらに調色剤、安定剤、顔料、光学明色剤および界面活性剤を含有することができる。
【0072】本発明の特定のポリエステル支持体の使用は、感(光)熱性層が多くとも2μmの薄い層である場合に特に有利である。
(c)インキジェット材料用の支持体インキジェット記録材料は支持体およびインキ−受容層を含んでなる。この後者の層は一般的には結合剤、顔料、好ましくは多孔性フィルター、並びに場合により他の成分、例えば界面活性剤、重合体ラテックス、可塑剤およびインキの染料を保持するための媒染剤を含有する。
【0073】当該技術で既知の典型的な結合剤は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、水溶性エチルヒドロキシエチルセルロース、硫酸セルロース、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミド/アクリル酸共重合体、スチレン/アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ビニルメチルエーテル/マレイン酸共重合体、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリ(ジエチレントリアミン−コ−アジピン酸)、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、第四級化されたポリイミダゾリン、改質されたポリエチレンイミンエピクロロヒドリン、エトキシル化されたポリエチレンイミン、ポリ(N,N−ジメチル−3,5−ジメチレンピペリジニウムクロリド、ポリエチレンオキシド、ポリウレタン、メラミン樹脂、ゼラチン、カラゲナン、デキストラン、アラビアゴム、カゼイン、ペクチン、アルブミン、澱粉、コラーゲン誘導体、コロジオンおよび寒天を包含する。
【0074】インキ受容層中に存在する顔料は、有機物質、例えばポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、シリコーン類、ウレア−ホルムアルデヒド縮合重合体、ポリエステル類およびポリアミド類から選択することができる。しかしながら、好ましくはそれは無機多孔性顔料、例えばシリカ、タルク、クレイ、カオリン、珪藻土、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫化亜鉛、繻子白、ベーム石および疑似−ベーム石である。
【0075】インキジェット用のインキ組成物は下記の成分を包含する:染料または顔料、水および/または有機溶媒、湿潤剤、例えばグリコール類、洗剤、濃稠化剤、重合体状結合剤、防腐剤など。
【0076】インキジェット印刷法は数種の方法で実施することができる。第一のタイプの方法では、圧力波パターンを適用することにより連続的な小滴流を発生させる。この方法は連続的インキジェット印刷として知られる。第一の態様では、小滴流を、静電的に荷電され、偏向されそして再収集された小滴と未変化のままでありそれらの方向が未偏向で持続され且つ像を形成する小滴とに分割する。或いは、荷電された偏向された流が像を形成しそして未変化の未偏向ジェットが再収集される。連続的インキジェット印刷のこの変法では、幾つかのジェット流が異なる角度で偏向されそしてその結果として像を記録する(多偏向システム(multideflection system))。
【0077】第二の方法によると、インキ小滴は「必要時に」作成することができ(「DOD」または「必要時の滴下」)、それにより印刷装置は小滴が受容器上での像形成時にのみ使用される小滴を放出し、それにより滴下充電、偏向ハードウエアおよびインキ再収集の複雑さを回避する。必要時の滴下では、インキ小滴は圧電変換器の機械的動作により発生した圧力波により(いわゆる「圧電法」)、または別個の熱刺激により(いわゆる「バブルジェット(登録商標)」法もしくは「熱ジェット」法)形成することができる。
【0078】本発明の下塗りされたポリエステルの使用は、インキ−受容層が薄い層である場合およびモノクローム黒色像を印刷しようとする場合に、例えばインキジェット印刷による医学診断像の記録の場合に、特に有利であろうことも理解されよう。
【0079】
【実施例】−黒色スペーシング剤の製造4.5gのシアン染料c1、7.5gのマゼンタ染料m1および4.5gのイエロー染料y1を一緒に165mlの酢酸エチル中に溶解させた。この溶液を1200回/分で5分間にわたり撹拌しながら390mlの水および37.5mlのノニルフェニルオキシペンタ(エチルエネオキシ)非イオン性界面活性剤であるGAFカンパニー(GAF Co.)の商標である界面活性剤アンタロックス(ANTAROX)880の10%溶液を含有する水性媒体中に分散させた。この分散液を1時間にわたり約3μmの平均粒子寸法を有する412.5gのポリ(メタクリル酸メチル)ビーズと共に撹拌した。次に酢酸エチルを蒸発させそして分散液を825gの最終重量とした。100gの分散液は2gの染料混合物および10gのビーズを含有していた。
−異なる下塗りおよび抗ハロ層を有するポリテレフタル酸エチレンの製造ポリエチレンテレフタレート(PET)製造アレー中で溶融PETを押し出しそして縦方向に延伸した。第一のコーテイング設置場所でPETに第一のラテックス下塗り層を付与した。この第一の下塗り層を乾燥しそして第二の下塗り層をフィルムの反対側に適用した。この第二の下塗り層を乾燥しそして両側がコーテイングされたフィルムベースを横方向に延伸した。その結果、二軸延伸フィルムベースは100μmの厚さを有していた。第一の下塗り層は162mg/m2の塩化ビニリデン/アクリル酸メチル/イタコン酸の三元共重合体(88%/10%/2%)、および40mg/m2のコロイド状シリカ(表面積100m2/g)を含有していた。第二の下塗り層は180mg/m2の塩化ビニリデン/アクリル酸メチル/イタコン酸の三元共重合体(88%/10%/2%)、20mg/m2のコロイド状シリカ(表面積100m2/g)、および3.15mg/m2のポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スルホン酸スチレン)複合体を含有していた。次にPETフィルムの上側にゼラチン下塗り層をコーテイングした。この層のコーテイング溶液は水、ゼラチン、キエセルゾル300F(バイエルAGの商標)、従来の界面活性剤であるウルトラフォンW(チバ−ガイギーの商標)およびアルコパルN060(ヘキストAGの商標)、並びに有機溶媒であるヘキシレングリコールおよびトリメチロールプロパンを含有していた。
【0080】本発明のサンプルでは、ゼラチン下塗り層のコーテイング組成物は製法が以上で記載されている黒色艶消し剤をさらに含有していた。最終的な層は1mg/m2の充填された黒色PMMA粒子を含有していた。
【0081】同様にして製造された比較サンプルでは、染料が充填されていないポリ(メタクリル酸メチル)スペーシング剤が存在するかまたはスペーシング剤が全く存在しなかった(表1参照)。
【0082】次にゼラチン質の抗ハレーション層をPETフィルムの裏側にある伝導性ラテックス下塗り層の頂部にコーテイングした。このゼラチン質の抗ハレーション層のコーテイング組成物は水、ゼラチン、平均粒子寸法5.9μmのポリ(メタクリル酸メチル)スペーシング粒子、界面活性剤および下記の式:
【0083】
【化9】


【0084】に従う青色染料を含有していた。
【0085】その他にコーテイング組成物はジビニルスルホン硬膜剤を含有していた。
−写真乳剤の製造塩化ナトリウムを含有するゼラチン水溶液(16.7gのゼラチン/モル銀)に、硝酸銀の水溶液、並びに臭化カリウム、塩化ナトリウム、2.3×10-7モル/モル銀のNa3RhCl6および3.0×10-7モル/モル銀のNa2IrCl6を含有するハライド水溶液を撹拌しながらダブルジェット法に従い加えた。物理的熟成を用いて0.27μmの平均粒子寸法(変動係数:19%)および64モル%のクロリド含有量を有するクロロ臭化銀を形成した。乳剤の物理的熟成後にKIを加えて結晶成長を停止させた。
【0086】その後、乳剤を従来のフロキュレーション法を用いて洗浄し、そして次に6.67g/モル銀のゼラチンを再分散させた。生じた乳剤をpH5.3に調節しそして次に3時間にわたる熟成により50℃において金/硫黄で化学的に増感させた。乳剤を8.4×10-3モル/モル銀の4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデンで安定化させ、4.0×10-4モル/モル銀の量の下記の染料D−1で分光増感させた。
【0087】
【化10】


【0088】得られた乳剤は0.21のゼラチン/銀比を有する。
−写真材料の製造乳剤層、中間層およびすり傷防止層を同時に、3−層配置を用いて、異なる下塗りされたポリテレフタル酸エチレンフィルム支持体の層(b)の頂部にコーテイングした。
【0089】乳剤層を1平方メートル当たり3.23gの銀の銀被覆率でコーテイングした。この層を次に、0.5gのゼラチン/m2および0.5gのラテックス/m2(Co[BuMA−AMPS)Na)])を含有し且つさらに安定剤を含有する中間層でオーバーコーテイングした。0.5gのゼラチン/m2、硬膜剤、コーテイング助剤およびポリ(メタクリル酸メチル)艶消し剤を含有するすり傷防止層を頂部に適用した。コーテイング後に、フィルムサンプルを乾燥した。
−露光および写真処理各サンプルをキセノンフラッシュランプ(発光時間:10-5s)により段階楔および622nmにピーク透過率を有するフィルターの両方を通して露光し、そして次に15秒間にわたり35℃において現像剤A(組成は以下参照)で現像した。その後、各サンプルを引き続き従来のチオ硫酸アンモニウムを含有する定着浴中の定着にかけ、そして最後に洗浄しそして乾燥した。処理はラピライン(Rapiline)66T3プロセッサー(Agfa-Gevaert N.V.の商標)の中で行われた。
現像剤Aの組成水 800ml炭酸カリウム 29.5g亜硫酸カリウム 34.1臭化カリウム 2.4ジエチレングリコール 14mlヒドロキノン 17ナトリウムエリトロベート 2.54−ヒドロキシメチル−4−メチル−1−フェニル 0.275−3−ピラゾリドンメチルベンゾトリアゾール 0.06容量を1リットルに調節するための水pHを10.5に調節するための水酸化ナトリウム−星月夜および最大濃度(Dmax)の評価星月夜効果を顕微鏡下で、200の倍率で、任意定性目盛りに従い評価し、結果0は最適でありそして結果5は禁止的である。Dmaxは濃度計マクベス(Macbeth)TD904を用いて測定された。銀の被覆力は下記の式:被覆力=Dmax/コーテイングされた銀被覆率(gの銀/m2
により計算された。
【0090】サンプルの得られたデータを表1に示す。
【0091】
【表1】


【0092】本発明に従うサンプルは星月夜効果に関して大きな改良を明らかに示す。黒色艶消し剤では、艶消し剤なしと同じ優れた水準の星月夜効果に達する。被覆力も、艶消し剤なしと同じ水準に、増加する。まとめると、黒色スペーシング剤の使用によりスペーシング剤なしと同じ品質に達する。艶消し剤なしでは、支持体の粗面度が低すぎるため、ポリエステルは製造装置中で高いコーテイング速度で取り扱うことができない。
【0093】本発明の好ましい態様を詳細に記載してきたが、添付されている請求項で定義された本発明の範囲から逸脱しない多くの変更を行えることは当業者に今回明らかになるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 上側および裏側を有し、上側が記載の順序で(a)ラテックス下塗り層、(b)ゼラチン下塗り層を有するポリエステルフィルムであって、該下塗り層(a)および(b)の少なくとも1つが黒色スペーシング剤(spacingagent)を含んでなることを特徴とするフィルム。
【請求項2】 該黒色スペーシング剤が黒色スペーシング剤を与えるための適切な比率でのシアン、マゼンタおよびイエロー疎水性染料の混合物が充填された疎水性重合体粒子よりなる請求項1に記載のポリエステルフィルム。
【請求項3】 染料の該混合物が下記の染料:
【化1】


【化2】


【化3】


を含んでなる請求項2に記載のポリエステルフィルム。

【公開番号】特開2002−128925(P2002−128925A)
【公開日】平成14年5月9日(2002.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−206039(P2001−206039)
【出願日】平成13年7月6日(2001.7.6)
【出願人】(593194476)アグフア−ゲヴエルト,ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (50)
【Fターム(参考)】