説明

像振れ補正装置

【課題】 本発明は、スチルカメラやビデオカメラ等で使用される像振れ補正装置に係り、特にPSDを用いて位置検出する際に問題となるノイズの影響を有効に低減できる手段を備えた像振れ補正装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 カメラの振れにより生じる像振れを補正する像振れ補正光学系と、像振れ補正光学系の位置を検出する位置検出部と、位置検出部検出の結果に基づいて像振れ補正光学系を駆動する像振れ補正駆動部と、撮影レンズを合焦位置へ駆動する合焦レンズ駆動部とを備える像振れ補正装置において、像振れ補正駆動部は、合焦レンズ駆動部の動作期間内、位置検出部の検出動作を禁止する手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチルカメラやビデオカメラ等で使用される像振れ補正装置に係り、特にPSDを用いて位置検出する際に問題となるノイズの影響を低減する方式に関する。
【背景技術】
【0002】
像振れ補正装置は、撮影時にカメラが手振れ等による振動することによって生じる像振れの補正を、撮影レンズの一部のレンズ(以下、像振れ補正光学系と称す)を光軸と直角方向に移動させることにより実現するものである。以下、従来の像振れ補正装置の概要を説明する。
図31は、像振れ補正機構を示す側面断面図である。図31において、像振れ補正光学系1は、レンズ鏡筒2内に配置される。即ち、両者は、一体のものである。
【0003】
このレンズ鏡筒2は、図32に示すように、光軸方向をZ軸とすれば、これに直交するXY面内の方向へ移動可能であって、コイル6とマグネット7とヨーク9とヨーク10とからなる電磁的アクチュエータによって駆動される。
マグネット7とコイル6とヨーク9とヨーク10とで構成される駆動用アクチュエータは、互いに直行する方向に2組配置され、X軸方向とY軸方向にそれぞれ力を発生する構造となっている。
【0004】
即ち、像振れ補正光学系1は、光像の光軸からの振れを補正すべく、レンズ鏡筒2と一体的にX軸方向とY軸方向に移動できる構造になっている。
このレンズ鏡筒2の側壁には、基端側(ヨーク9)にスリット板4が配置され、先端側にIRED(赤外発光素子)8が配置される。スリット板4には、IRED8の光線が通過する長穴(スリット)が設けられる。
【0005】
そして、固定側であるヨーク9には、PSD(位置検出素子:Position Sensitive Device)5が設けられる。PSD5は、スリット板4のスリットを通過したIRED8の光線を検出することによって、像振れ補正光学系1の移動位置を検出する。
図32は、像振れ補正光学系(レンズ鏡筒)の支持構造を断面図である。図32(a)は光軸位置にある状態を示し、図32(b)は光軸位置から移動した状態を示す。
【0006】
図32に示すように、レンズ鏡筒2は、4本の弾性体支持部材3(断面であるため、3aと3bの2つのみ示す)により片持ち支持され、基端がヨーク9に係合した状態で光軸に対して直交する方向に動くことができる。
図33は、従来の像振れ補正装置の構成ブロック図である。図33において、この像振れ補正装置は、角速度検出回路(X軸)13、角速度検出回路(Y軸)14、測距回路18、測光回路19、マイクロコンピュータユニット(以下「CPU」という)20、メインスイッチ26、半押しスイッチ27、レリーズスイッチ28、電源電池29、光学系51、位置検出素子56X、56Y、レンズ位置検出回路(X軸)57X、レンズ位置検出回路(Y軸)57Y、レンズ位置検出回路(AF)58、アクチュエータ駆動回路(X軸)59X、アクチュエータ駆動回路(Y軸)59Y、シャッター駆動回路(AF)60、アクチュエータ61X、61Y、ステッピングモータ62、DC/DCコンバータ64等を備える。
【0007】
以上の構成において、像振れ補正動作は、概略次のようにして行われる。図33において、カメラのレリーズ釦の半押しを行うと、半押しスイッチ27がオンして、DC/DCコンバータ64が起動し、CPU20をはじめ各制御回路に安定した電源を供給する。
測距回路18と測光回路19がカメラの撮影準備動作を開始すると、同時に角速度検出回路(X軸)13と角速度検出回路(Y軸)14がカメラの振れ運動を検出することを開始する。角速度検出センサは、通常コリオリ力を検出する圧電振動式角速度センサを用いる。
【0008】
CPU20は、ここで得られた角速度検出センサ(振れセンサ)の出力を時間積分してカメラの振れ角度に変換し、さらに像振れ補正光学系54の目標駆動位置情報に変換する。
次に、レリーズ釦の全押しを行うと、レリーズスイッチ28がオンし、フォーカシングレンズ55が、シャッター駆動回路60からステッピングモータ62を制御して駆動される。この動作と同時に像振れ補正光学系54による像振れ補正機構の制御も開始される。
【0009】
像振れ補正機構の制御は、半押し動作時と同じ目標駆動位置情報に応じて像振れ補正光学系を動かすために、アクチュエータ駆動回路(X軸)59X、アクチュエータ駆動回路(Y軸)59Yは、目標駆動位置情報と現在の像振れ補正光学系の位置情報との差に位相補償などを行い、アクチュエータ61X、61Yに信号を送る。
現在の像振れ補正光学系の位置検出は、レンズ位置検出回路(X軸)57X、レンズ位置検出回路(Y軸)57YとCPU20との全体で行う。位置検出素子56X、56Yには、通常PSDが用いられる。CPU20は、PSDの出力電流よって像振れ補正光学系の位置を演算により求める。
【0010】
次に、アクチュエータ駆動回路(X軸)59X、アクチュエータ駆動回路(Y軸)59Yは、アクチュエータ61X、61Yにサーボ部の信号に基づいた駆動電流を供給する。
アクチュエータ61X、61Yは、この駆動電流をもとにして、像振れ補正光学系を光軸に直交する面内で動かし、カメラの手振れによる像振れを補正制御する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、従来では、像振れ補正光学系の位置をPSDを用いて検出する場合、PSDから得られる光電流が微少電流であることから、カメラ内及びカメラ外で発生するノイズによる影響により、位置情報が正しく検出できない場合があった。
このカメラ内のノイズ源としては、電源回路にあるDC/DCコンバータのスイッチングノイズ、シャッター駆動時のステッピングモータ駆動ノイズ、フォーカシングレンズ駆動時のモータノイズ等があるが、これらのノイズは、それら装置の特性・性格によるものであり低減させることは困難である。
【0012】
従って、像振れ補正光学系の位置検出にPSDを用いる像振れ補正装置では、これらのノイズの影響をどのようにして低減するかが重要な課題となっている。
本発明は、このような従来の課題を解決すべく創作されたもので、上述したノイズの影響を有効に低減できる手段を備えた像振れ補正装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明の像振れ補正装置は次のような構成を有する。
本発明の第1の像振れ補正装置は、カメラの振れにより生じる像振れを補正する像振れ補正光学系(1)と、像振れ補正光学系(1)の位置を検出する位置検出部(2)と、位置検出部(2)の検出結果に基づいて像振れ補正光学系(1)を駆動する像振れ補正駆動部(3)aと、撮影レンズを合焦位置へ駆動する合焦レンズ駆動部(5)とを備える像振れ補正装置において、像振れ補正駆動部(3)aは、合焦レンズ駆動部(5)の動作期間内、位置検出部(2)の検出動作を禁止する手段を備える。
【0014】
本発明の第2の像振れ補正装置は、カメラの振れにより生じる像振れを補正する像振れ補正光学系と、像振れ補正光学系(1)の位置を検出する位置検出部(2)と、位置検出部(2)の検出結果に基づいて像振れ補正光学系(1)を駆動する像振れ補正駆動部(3)aと、シャッター幕の駆動を行うシャッター駆動部(6)とを備える像振れ補正装置において、像振れ補正駆動部(3)aは、シャッター駆動部(6)の動作期間内、位置検出部(2)の検出動作を禁止する手段を備える。
【0015】
本発明の第3の像振れ補正装置は、カメラの振れ量を検出する振れ検出部(7)と、カメラの振れにより生じる像振れを補正する像振れ補正光学系(1)と、像振れ補正光学系(1)の位置を検出する位置検出部(2)と、振れ検出部(7)の出力結果と位置検出部(2)の出力結果に基づいて像振れを抑えるように像振れ補正光学系(1)を駆動する像振れ補正駆動部(3)bと、各部への電源供給をスイッチング昇圧制御により行う電源回路(4)とを備える像振れ補正装置において、像振れ補正駆動部(3)bは、電源回路(4)のスイッチング位相が変化した一定期間、振れ検出部(7)及び位置検出部(2)の検出動作をそれぞれ禁止する手段を備える。
【0016】
本発明の第4の像振れ補正装置は、カメラの振れ量を検出する振れ検出部(7)と、カメラの振れにより生じる像振れを補正する像振れ補正光学系(1)と、像振れ補正光学系(1)の位置を検出する位置検出部(2)と、振れ検出部(7)の出力結果と位置検出部(2)の出力結果に基づいて像振れを抑えるように像振れ補正光学系(1)を駆動する像振れ補正駆動部(3)bと、撮影レンズを合焦位置へ駆動する合焦レンズ駆動部(5)と、各部への電源供給をスイッチング昇圧制御により行う電源回路(4)とを備える像振れ補正装置において、像振れ補正駆動部(3)bは、合焦レンズ駆動部(5)の動作期間内、振れ検出部(7)及び位置検出部(2)の検出動作をそれぞれ禁止する手段を備える。
【0017】
本発明の第5の像振れ補正装置は、カメラの振れ量を検出する振れ検出部(7)と、カメラの振れにより生じる像振れを補正する像振れ補正光学系(1)と、像振れ補正光学系(1)の位置を検出する位置検出部(2)と、振れ検出部(7)の出力結果と位置検出部(2)の出力結果に基づいて像振れを抑えるように像振れ補正光学系(1)を駆動する像振れ補正駆動部(3)bと、シャッター幕の駆動を行うシャッター駆動部(6)と、各部への電源供給をスイッチング昇圧制御により行う電源回路(4)とを備える像振れ補正装置において、像振れ補正駆動部(3)bは、シャッター駆動部(6)の動作期間内、振れ検出部(7)及び位置検出部(2)の検出動作をそれぞれ禁止する手段を備える。
【0018】
なお、好ましくは、像振れ補正駆動部(3)bは、シャッター開口中で開口駆動動作の状態変化が所定時間ない場合は、振れ検出部(7)及び位置検出部(2)の検出動作の禁止を解除する手段を備えても良い。
本発明の第6の像振れ補正装置は、カメラの振れ量を検出する振れ検出部(7)と、カメラの振れにより生じる像振れを補正する像振れ補正光学系(1)と、像振れ補正光学系(1)の位置を検出する位置検出部(2)と、振れ検出部(7)の出力結果と位置検出部(2)の出力結果に基づいて像振れを抑えるように像振れ補正光学系(1)を駆動する像振れ補正駆動部(3)bと、シャッター幕の駆動を行うシャッター駆動部(6)と、各部への電源供給をスイッチング昇圧制御により行う電源回路(4)とを備える像振れ補正装置において、像振れ補正駆動部(3)bは、シャッター露出制御の動作期間内、電源回路(4)のスイッチング動作を禁止する手段を備える。
【0019】
本発明の第7の像振れ補正装置は、カメラの振れ量を検出する振れ検出部(7)と、カメラの振れにより生じる像振れを補正する像振れ補正光学系(1)と、像振れ補正光学系(1)の位置を検出する位置検出部(2)と、振れ検出部(7)の出力結果と位置検出部(2)の出力結果に基づいて像振れを抑えるように像振れ補正光学系(1)を駆動する像
振れ補正駆動部(3)bと、シャッター幕の駆動を行うシャッター駆動部(6)と、各部への電源供給をスイッチング昇圧制御により行う電源回路(4)とを備える像振れ補正装置において、像振れ補正駆動部(3)bは、像振れ補正光学系(1)の駆動制御の動作期間内、電源回路(4)のスイッチング動作を禁止する手段を備える。
【0020】
なお、好ましくは、電源回路(4)は、バックアップ用コンデンサを備えても良い。
(作用)
次に、前記の如く構成される本発明の像振れ補正装置の作用を説明する。
本発明の第1の像振れ補正装置では、像振れ補正駆動部a、合焦レンズ駆動部の動作期間内、位置検出部の検出動作を禁止する。
【0021】
本発明の第2の像振れ補正装置では、像振れ補正駆動部bが、シャッター駆動部の動作期間内、位置検出部の検出動作を禁止する。
本発明の第3の像振れ補正装置では、像振れ補正駆動部aが、電源回路のスイッチング位相が変化した一定期間、振れ検出部及び位置検出部の検出動作をそれぞれ禁止する。
本発明の第4の像振れ補正装置では、像振れ補正駆動部bが、合焦レンズ駆動部の動作期間内、振れ検出部及び位置検出部の検出動作をそれぞれ禁止する。
【0022】
本発明の第5の像振れ補正装置では、像振れ補正駆動部bが、シャッター駆動部の動作期間内、振れ検出部及び位置検出部の検出動作をそれぞれ禁止する。その際に、好ましくは、像振れ補正駆動部bが、シャッター開口中で開口駆動動作の状態変化が所定時間ない場合は、振れ検出部及び位置検出部の検出動作の禁止を解除する。
本発明の第6の像振れ補正装置では、像振れ補正駆動部bが、シャッター露出制御の動作期間内、電源回路のスイッチング動作を禁止する。
【0023】
本発明の第7の像振れ補正装置では、像振れ補正駆動部bが、像振れ補正光学系の駆動制御の動作期間内、電源回路のスイッチング動作を禁止する。その際に、好ましくは、バックアップ用コンデンサが電源回路の代役を勤め、像振れ補正を可能にする。
以上のように、本発明では、カメラの振れ量検出や像振れ補正光学系の位置検出を実行する際に、ノイズが発生するタイミングでは動作を禁止し、ノイズの影響がないと考えられる場合に禁止を解除するので、不可避的に発生するノイズを避けることができ、ノイズの影響を効果的に低減できる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明では、カメラの振れ量検出や像振れ補正光学系の位置検出を実行する際に、ノイズが発生するタイミングでは動作を禁止し、ノイズの影響がないと考えられる場合に禁止を解除するので、不可避的に発生するノイズを避けることができ、ノイズの影響を効果的に低減できる。
従って、PSDを用いて像振れ補正光学系の位置検出を行う像振れ補正装置の補正精度の向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、請求項1乃至請求項9に記載の発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図10は、本発明の第1実施の形態の像振れ補正装置の構成ブロック図である。なお、以下の各実施の形態でも同様であるが、従来例(図33)と同一構成部分には同一符号名称を付してある。
従来例(図33)との相違点は、CPU20内にタイマー制御回路20aを儲け、このタイマー制御回路20aにDC/DCコンバータ64のスイッチング変化から所定時間をカウントさせ、カウントアップ後に像振れ補正機構の振れ検出回路と像振れ補正光学系の位置検出回路のサンプリングを行っている点である。
【0026】
即ち、CPU内20のタイマー制御回路20aから、DC/DCコンバータ64へのスイッチング信号制御信号A、シャッター駆動回路60への制御信号D、アクチュエータ駆動回路59X/Yへの制御信号C、像振れ補正光学系の位置検出回路への制御信号Dをそれぞれ出力し、以下に説明するノイズの影響を低減する各種のタイミング制御を行っている(図21参照)。
【0027】
以下、本発明の第1実施の形態の像振れ補正装置について説明する。カメラ振れの補正システムは、手振れにより生じた角速度をカメラの撮影光軸と直行する2方向(Yaw方向、Pitch方向)の成分として検出し、撮影光学系の一部のレンズ群(以下「振れ補正光学系」と称する)を検出された角速度成分に応じて上記2方向へ独立にシフトさせて光軸を変化させ、フィルム面上での手振れによる像の振れを補正するシステムである。
【0028】
カメラの振れ量を検出して、振れ補正機構を制御するまでの全体システムは、大別すると、1)カメラの振れ量を検出する振れ検出部と、2)像振れ補正光学系の移動位置を検出する位置検出部と、3)像振れ量を演算する振れ量算出部と、4)像振れ補正光学系の駆動部とで構成される。
まず、振れ検出部及び振れ量算出部について説明する。
【0029】
図11は、像振れ補正機構及び位置検出素子の配置関係図である。図11に示すように、カメラの手振れ角速度を検出する振れ検出素子13、14を互いに直交する軸に配置する。
レンズ鏡筒2内に、像振れ補正機構16を配置し、振れ補正光学系1を像ぶれ補正方向である直交する2方向に独立して移動可能とする。なお、15は、カメラ撮影を行うためのレリーズ釦である。
【0030】
次に、図12は、振れ検出回路の構成ブロック図である。図12において、この振れ検出回路は、振れ検出素子13、14と、LPフィルタ(低域通過炉波器)22と、HPフィルタ(高域通過ろ波器)23と、ゲイン部24と、基準電圧発生回路25とを備える。
振れ検出素子13、14は、振動ジャイロの回転によって発生するコリオリ力を、例えば圧電素子で電気信号として発生させる原理によって、カメラに生じた角速度を検出する角速度センサである。
【0031】
LPフィルタ22は、振れ検出素子13、14の出力から高周波ノイズを取り除くための高周波カットフィルタであり、振れ検出素子自身の共振周波数の影響を取り除くためのものである。
HPフィルタ23は、振れ検出素子13、14に乗った低周波ドリフト成分を除去するのが主な目的である。HPフィルタ23には、外部から振れ検出回路初期化信号が入力する。
【0032】
この振れ検出回路初期化信号は、振れ検出回路を初期化する目的の信号で、HPフィルタ23を構成するコンデンサの出力側端子に設けた図示しないアナログスイッチをオン、オフ制御し、振れ検出回路の出力を初期化する信号である。
このアナログスイッチの制御タイミングは、CPU20が振れ検出素子13、14の立ち上がり特性に基づいた時間を記憶したデータを用いて制御する。
【0033】
ゲイン部24は、HPフィルタ23の出力を所定利得倍してCU20へ出力する電圧増幅器で構成される。
基準電圧発生回路25は、振れ検出素子13、14及び各回路を動作させるための基準電圧を生成する回路であり、独立のDC/DCコンバータ等により電圧変動をなるべく抑
えた構成となっている。
【0034】
次に、図13は、像振れ補正機構の分解斜視図である。図13において、像振れ補正光学系の動きは、X軸方向、Y軸方向別々に設置された前記光学的位置検出素子5a、5bによりモニターする。
光学的位置検出素子には、前述したようにPSDが用いられる。PSDの検出部の全長は、後述するIRED(赤外線発光LED)とスリットの位置関係及びスリット幅と防止レンズの可動範囲から決定する。
【0035】
レンズ鏡筒2には、表面の反射率を低く抑えた材料でスリット板4a、4bが取り付けられている。X軸方向検出用スリット板4aには、Y軸方向に対し長穴のスリットが開けられている。
円環型のプリント基板17には、赤外線発光素子であるIRED8a、8bが取り付けられている。
【0036】
次に、図13を参照して像振れ補正機構の支持方法、つまりレンズ鏡筒の支持方法を説明する。レンズ鏡筒2は、導電率の高い弾性体支持部材3(3a、3b、3c、3d)で片持ち的に支持されている。
弾性体支持部材とは、ベリリウム銅、りん青銅のような銅合金以外の弾性体支持部材に金メッキ等の導電率の高い表面処理を施した物を指している。弾性体支持部材の片側は、レンズ鏡筒2に挿入され、もう一方は円環状プリント基板17に半田付けして固定してある。
【0037】
レンズ鏡筒2の周辺部には、図示してないが、駆動範囲制限部材を設けてある。この駆動範囲制限部材は、像振れ補正光学系を駆動するコイルに近い位置においてその動きを制限する構造となっている。制限部材にあたった際にモーメントを発生し難い構造となっている。このため、像振れ補正光学系を支える前述の弾性体支持部材に悪影響を及ぼす恐れがない。
【0038】
図14は、像振れ補正機構の位置検出動作の説明図である。図14において、赤外発光素子IRED8aの射出光は、レンズ鏡筒2に取り付けられたスリット板4aのスリットを通り、位置検出用の1次元PSD5aに入射する。
レンズ鏡筒2に取り付けられたスリット板4aの動き、つまり、像振れ補正光学系1のY方向への動きにより、スリットを通過したスポット光の入射位置が、1次元PSD5aの受光素子面上を移動し、PSDの公知である原理により、両極端子から流れる電流値がスポット光の入射する位置によって変化する。
【0039】
図15は、像振れ補正機構の位置演算回路の構成ブロック図である。この回路では、1次元PSDの出力電流によって、スリット板のスリットから入射するスポット光の位置を演算出力する。
PSDには、逆バイアス電圧回路65から逆バイアス電圧が供給され、スリット位置によって決まる光電流がI1、I2に分流して流れ出る。この場合、電流の取り出し電極に対しスリットが近づくと電流は増加する。この様子を図16(1次元PSD上のスリット位置と出力電流との関係図)に示してある。
【0040】
これらの光電流I1及びI2は、図15の電流−電圧変換部68で電圧に変換され、それぞれR1×I1及びR2×I2の出力電圧V1、V2となり、更に、電圧増幅回路67a、67bでそれぞれα倍のV1とV2に増幅される。
電圧増幅回路67a、67bの出力は、演算部、つまり、CPU20のA/D変換入力端子に入力し、CPU20は、図14に示す式(1)に基づいて入射位置Xを演算によっ
て求める。
【0041】
また、図15に示すように、V1とV2からV0を求める演算式により、1次元PSD上のスリットから入射する光の位置信号Xを示す電圧V0を出力することもできる。
これらの出力をマイコンのA/D変換ポートへただ入力しするだけで、Xの位置相当の出力が得られる方式もあり、複雑な演算をCPU20を用いずに処理している。
例えば、α・V1+α・V2の電圧が、基準電圧VREFの電位に対し1(V)になるように、電圧増幅回路のゲインを可変するか、またIREDの光電流を変化させるかの、いずれかの制御を用いて、α・V2−α・V1を出力する。
【0042】
スリットがI1側電極の端にあると、理論上は殆どの光電流はI1側端子に流れ、I2側の光電流は流れない。
よって、下記条件が成立し位置Xを示す電圧V0は、基準電圧VREFの電位に対し−1(V)を出力する。
α・V1+α・V2=1(V)・・・・(2)
V2=0・・・・(3)
V0={(α・V2−α・V1)/(α・V1+α・V2)}=−1(V)・・・・(4)
一方、スリットがI2側電極の端にあると、V1=0(V)となり、下記に示すように位置Xを示す電圧V0は+1(V)となる。
【0043】
α・V1+α・V2=1(V)・・・・(5)
V1=0・・・・(6)
V0={(α・V2−α・V1)/(α・V1+α・V2)}=+1(V)・・・・(7)
図17は、位置検出部(2)の入射位置と出力電圧との関係図である。図17において、横軸はPSD上に当たる光の入射位置を表し、Y軸はPSD上の入射位置Xに相当する出力電圧V0を表す。
【0044】
図14からわかるように、PSDの受光面上でのスリット光の位置と出力電圧値は比例関係にあり、演算部からの出力電圧値をモニターすることにより、スリットの位置即ち像振れ補正光学系の位置を検出することができる。
次に、角速度の積分演算結果によって振れ補正レンズの適正補正量を算出する算出部について説明する。
【0045】
図18は、像振れ補正制御部の動作タイムチャートである。このタイムチャートは、正弦波の振動がカメラに生じた場合の、振れ検出回路の出力と、像振れ補正光学系の位置検出回路の出力との関係を示している。
図18では、カメラに対し垂直方向であるY方向の波形を示し、X方向の説明は省略するが、制御は全く同一である。t0でカメラのレリーズ釦の半押し操作が行われ、半押しスイッチ27がオンすると同時にDC/DCコンバータ64の昇圧スイッチング動作が開始し、振れ検出回路の電源が立ち上がる。立ち上がり直後の振れ検出素子の出力にはノイズ成分が多く含まれ、安定するまでに時間がかかる。
【0046】
このタイミングで角速度ゼロの検出を行う場合は、不安定に乱れた出力を検出すると、基準となる角速度ゼロの検出が正確にできないため、CPU20から出力される振れ検出出力初期化制御信号により、振れ検出回路のアナログスイッチを所定時間オンし、角速度出力を強制的にゼロとし、増幅回路の出力が大きく振れることを抑えている。
振れ検出素子の電源オン後のアナログスイッチオン時間は50ms以下とし、レリーズタイムラグが長くならないようにしている。t2以降は振れの検出回路を動作させて出力
を得る。
【0047】
しかし、振れ検出部の出力は、その回路構成上、角速度の如何によらず、角速度センサ、或いは、振れ検出部の回路条件で決まる所定電圧を初期電圧とした出力となり、角速度ゼロの検出を正確に行うのは困難である。
ここでは、詳細の説明は省略するが、角速度出力波形の解析をCPU20で行い、角速度がゼロと予測したタイミングt3で、振れ検出回路のアナログスイッチを再度オンして、角速度出力がゼロとなるように補正する。
【0048】
このタイミングで出力が、角速度出力の基準電位となり、振動ジャイロの出力を増幅し、その出力をCPU20のA/D変換ポートに入力し、角速度の積分演算を行う。
これにより、振れ検出部の出力は、概略角速度がゼロのタイミングで所定電圧になるようU振幅に矯正され、像振れ補正制御の開始時点から正確な補正が可能となる。
ここで、積分演算とは、本実施の形態では、CPU20によるデジタル演算であり、算出した角速度ωを積算して、振れ角度θcを算出する。振れ角速度ωは理論上、次式(8)により振れ角度θc〔単位:°〕に変換される。
【0049】
θc=∫ωdt=Σω・・・・(8)
CPU20は、求めた振れ角度θcよって像振れ量演算を周期的に繰り返し実行し、レリーズ釦の全押し動作を待つのである。
次に、図10の構成ブロック図に示すアクチュエータ駆動回路59X、59Yの入力電圧とVCM(ボイスコイル)印加電圧について説明する。CPU20からの出力Voutと内部基準電圧Vref(=2.0V)の差に比例した電圧がVCM(ボイスコイル)に印加される。
【0050】
例えばY軸のボイスコイルの駆動電圧の場合、CPU20から駆動部への電圧が基準電圧より高い場合は像振れ補正光学系を上側に駆動する方向に電流を流し、一方基準電位より低い電圧を伝えると前者とは逆方向の電流を流すような駆動回路になっている。
駆動電圧の値とボイスコイルに流れる電流はほぼ比例関係であり、よって、像振れ補正光学系もこれに比例した駆動量を移動する。この様子を図19(像振れ補正光学系の駆動特性図)に示す。
【0051】
図19の横軸は、CPU20から駆動部に伝える電圧であり、出力はコイルモータに加わる電圧である。つまり、横軸の入力電圧が基準電位2(V)を境にして縦軸の印加電圧の極性が反転し、コイル電流へ流れる電流が反転することになる。このような機構をX軸及びY軸に独立して設けている。
次に、図18に示すt4のタイミングでレリーズ釦を深く押し込むと、レリーズスイッチ28がオンし、撮影動作に移行する。像振れ補正機構は、この時点から露光が終了するt11までの間、像振れ補正光学系の制御を行う。
【0052】
像振れ補正光学系の像振れ補正制御をするタイミングとしては、シャッターの開口中であるt6からt11までは少なくとも実施しなければならない。
この制御は、CPU20がカメラの振れ量から、フィルム面上の像振れを抑えるように像振れ補正機構の像振れ補正光学系の駆動量を求め、このCPU20の出力Voutに応じて、アクチュエータ駆動回路59X、59YがVCM(ボイスコイル)を、像振れ補正光学系が光軸と直行する平面方向にシフトするように像振れ補正駆動することにより実現される。
【0053】
t4では、同時にシャッター装置によるフォーカシングレンズ駆動及び露光動作を行う。本実施の形態では、同一のステッピングモータを使用して両者の駆動を行う場合を示し
ている。
図20は、シャッター駆動部の構成ブロック図である。ステッピングモータ駆動信号1及び2は公知の2相励磁式のモータであり、デジタル信号により制御する。この信号はCPU20から制御信号を生成し、図20に示すシャッター駆動部(モータ駆動回路)へ伝達する。
【0054】
このモータ駆動回路は、モータへ常時一定の電圧を供給する回路を構成する定電圧レギュレータ31とトランジスタ32、振れ補正MPU51からのデジタル信号によりスイッチングするモータ駆動用トランジスタ33〜40をドライブするためのモータドライブIC30、及びステッピングモータ49、50で構成される。
ステッピングモータ駆動トランジスタは2組のブリッジ回路で構成し、2相のステッピングモータに流す電流を交互に反転している。また、ステッピングモータの駆動電源に電圧レギュレータを設けている理由は、電圧を安定化することにより駆動制御を確実に制御して、フォーカシングレンズの駆動及び露出正精度を安定させることを目的としている。
【0055】
次に、ステッピングモータ駆動用信号1及び2とステッピングモータの駆動制御について説明する。
図18において、t4直前のタイミングではステッピングモータ駆動信号1とステッピングモータ駆動信号2は共に位相は、高レベル(以下単に「H」)であり、ステッピングモータは安定状態にある。
【0056】
このとき、ステッピングモータ駆動用トランジスタは33と37、35と39がオンしているので、ステッピングモータコイル49及び50はX方向に電流が流れている。
そして、t4のタイミングから順番にステッピングモータの位相が交互に変化していく。最初にステッピングモータ駆動信号1の位相が低レベル(以下単に「L」)に変化する。このときトランジスタ33と37はカットオフし、トランジスタ34と38がオンする。このときステッピングモータコイル49の電流は反転し、Yの方向に流れる。このステッピングモータの回転動作によりフォーカシング用レンズは1ステップ分の繰り出しが行われる。
【0057】
次にステッピングモータ駆動信号2の位相はHからLに変化する。このときトランジスタ35と39はカットオフし、トランジスタ36と40がオンする。このときステッピングモータコイル50の電流は反転し、Yの方向に流れる。同時にフォーカシング用レンズは1ステップ分さらに繰り出され、合計2ステップ分のレンズ繰り出しが完了する。
次に、このようにして、片側のステッピングモータの駆動電流の流れる方向が交互に変化するたびにフォーカシングレンズは1ステップずつ繰り出す。さらに、ステッピングモータ駆動信号1の位相がLからHに変化する。このときトランジスタ34と38はカットオフし、トランジスタ33と37がオンする。このときステッピングモータコイル49の電流は反転し、Xの方向に流れる。このときフォーカシング用レンズはさらに1ステップ分の繰り出を行う。
【0058】
そして、t4´のタイミングで図示しないAF用マグネットの通電をカットすることにより、フォーカシングレンズの繰り出し量がここで確定し固定する。更に、フォーカシングレンズ駆動用の図示しない駆動リングをt5まで駆動し、シャッターの露光準備処理のために、ステッピングモータの通電制御を継続するのである。
次に、t6ではシャッターの露出動作が開始する。t6からt9まではシャッター開き駆動動作であり、t10からt11までが閉じ動作である。
【0059】
更に、t12からt13までの動作は、フォーカシングレンズを初期位置へ戻すためのステッピングモータの制御動作である。ダイオード41〜48はコイルに流れる電流の急
峻な変化時に発生する逆起電力を吸収し、電圧の振れを抑えてトランジスタやモータドライバICの破壊を防いでいる。
また、ステッピングモータの位相を変化させる場合は、貫通電流によるトランジスタの破壊を防ぐため、信号の切り替え時に100マイクロ秒程度の遅延を設け、トランジスタが全てカットオフする時間を設けている。
【0060】
本実施の形態では、ステッピングモータの駆動ノイズによる影響を低減するため、位置検出回路及び振れ検出回路のサンプリングタイミングを、ステッピングモータの信号切り替え時間とずらしている。この様子を図21に示してある。
図21は、像振れ補正制御部の動作タイムチャートである。図21において、図中の禁止タイミングはt21〜t22、t24〜t25、t27〜t28である。
【0061】
即ち、t21、t24、t27のタイミングでステッピングモータへの通電信号を切り替えた後、所定時間の間ノイズ発生による影響が収まるまでは、角速度の振れ検出素子及び像振れ補正光学系の位置検出動作を禁止している。この時間は、ノイズの発生量によっても異なるが、数十マイクロ秒である。
そして、各回路出力の安定する時間が経過した時点で、CPU20は、角速度の検出及び角速度の積分演算を行い、像振れ補正光学系の駆動目的先を演算し、次に像振れ補正光学系の位置検出を行うため、PSDからの電流を電流−電圧変換し、電圧増幅された出力をA/D変換し、像振れ補正光学系の位置を求める演算を行い、この処理を所定時間間隔で繰り返す。
【0062】
また、ステッピングモータの通電が切り替わるタイミングでは、角速度検出処理、像振れ補正光学系の位置検出処理動作を禁止している。
図22は、像振れ補正光学系の位置出力波形図である。図23は、振れ検出回路の出力波形図である。この図22と図23は、このようなノイズ除去のサンプリングタイミングの制御を行わなかった場合の悪い例であり、図10のt4からt11のタイミングを抜粋した波形である。
【0063】
ステッピングモータの駆動信号が変化した直後に角速度の検出及び位置検出のサンプリングを行った場合、それぞれの出力はノイズの影響を大きく受ける。これは、モータ用のコイルに流れる電流変化により、電流誘導、電磁界が作用し、大きな電磁ノイズが発生している。
この結果、振れ補正機構による像振れの補正制御を行っても、角速度の積分及び像振れ補正光学系の位置検出は正確に行われないため、像振れ補正光学系は像振れを抑えるどころか、場合によっては像振れ補正を行わない時よりも、かえって像振れを増やすこともある得る。
【0064】
また、本実施の形態では、DC/DCコンバータ64のスイッチングタイミングに同期させて所定時間経過後に、角速度の検出と像振れ補正光学系の位置検出とを位相をずらしてサンプリングしている。
次に、図24は、本発明の第2の実施の形態の像振れ補正装置の構成ブロック図である。
【0065】
本第2実施の形態では、CPU20に禁止回路20bを設け、シャッター駆動中、フォーカシングレンズ駆動中である状態を制御信号Dにより禁止回路20bが認識し、像振れ補正光学系の像振れ補正制御を禁止し、像振れ補正光学系の位置制御を禁止直前の位置へオープン制御している。この様子を図25(像振れ補正制御部の動作タイムチャート)に示してある。
【0066】
このケースの前提条件は、DC/DCコンバータ64のスイッチングノイズの影響が少なく、ステッピングモータのスイッチングノイズの影響が大きいこととしている。
カメラの半押しからレリーズまでの制御は第1の実施の形態と同じである。レリーズ釦の全押しがなされると、フォーカシングレンズの駆動からシャッター幕の開き動作までは、ステッピングモータの通電が数ミリ秒間隔で位相が変化しているため、スイッチングノイズの発生が頻繁である。
【0067】
従って、第1の実施の形態の処置だけでは、ステッピングモータのスイッチングノイズの影響を完全には防げない場合があると考えられる。このような場合はステッピングモータ駆動中、角速度検出回路及び像振れ補正処理の動作を中断させている。
つまり、図25のt4からt9までは像振れ補正制御を中断し、t9から所定時間経過後、再び角速度検出及び像振れ補正制御を再開する。同様にt10からt13までの間もステッピングモータは動作するので、像振れ補正処理はt10で終了し、像振れ補正光学系は制御終了直前の位置へオープン制御駆動する。
【0068】
このときの露光中の像振れ補正の効果は、シャッター速度が長くなると一層効果を発揮する。これは、ステッピングモータを駆動している時間は、開き時と閉じ時共に、10ミリ秒程度であるので、全体の露出時間が100ミリ秒以上になれば、全体の露出時間における像振れ補正ができない時間的な割合が少なくなり、この方式で十分な効果が得られる。
【0069】
よってシャッター速度に基づいて、低速時は第2の実施の形態を実行し、露光時間が100ミリ秒以下の場合は、第1の実施の形態を用いても良い。
次に、図26〜図28は、本発明の第3の実施の形態の像振れ補正装置の像振れ補正動作のタイムチャートである。
図26は、前述したDC/DCコンバータ64及びモータ類のスイッチングノイズと、角速度検出と、像振れ補正光学系の位置検出との周期を同一にした場合である。
【0070】
これを達成するためには、DC/DCコンバータ64は、昇圧能力に必要な最大周波数以上に設定し、過充電時は電圧コンパレータなどにより、昇圧を停止すれば良い。
ステッピングモータの通電周期に関しては、基本的にDC/DCコンバータ64の周波数に合わせるようにシャッターの開閉時の特性を設計すれば良い。但し、全く同じ周波数が困難であれば、DC/DCコンバータ64の周波数の分周した周波数に設定する。図27は、この場合の動作タイムチャートである。
【0071】
この方式であれば、第1の実施の形態のようにステッピングモータと検出処理が重なった時にデータを無効にしないで済むので、データ収集や像振れ補正光学系の駆動周期に不均一性の生じない制御が達成でき、より正確な像振れ補正光学系の像振れ補正が可能である。
また、図28に示すように、角速度検出処理を、像振れ補正光学系の位置検出処理の周波数に対し、DC/DCコンバータ64の発振周波数とステッピングモータの通電切り替え周期よりも早く実行する構成としている。この特徴は第1の実施の形態のようにノイズ発生によるデータを無効にする頻度を下げているので、データ抜けによる不均一性が改善される。
【0072】
次に、図29は、本発明の第4の実施の形態の像振れ補正装置の構成ブロック図である。図30は、本発明の第4の実施の形態の像振れ補正装置の像振れ補正動作のタイムチャートである。
本第4実施の形態では、DC/DCコンバータ64の出力に大容量の電源バックアップ用のコンデンサ71、72を設けている。このコンデンサとしては、電気2重層コンデン
サなどが用いられる。図30は、このコンデンサの特性を利用した例を示す。
【0073】
通常、DC/DCコンバータ64は、像振れ補正制御等を実行している最中(t6〜t11)は、常時動作状態にあるが、本第4実施の形態では、ステッピングモータの駆動最中であり、かつ像振れ補正光学系の駆動制御を行うタイミングであるt6からt11の期間は、DC/DCコンバータの動作を停止し、図29のバックアップコンデンサ71、72に蓄えられた電荷により、各回路の電源供給を行う。
【0074】
つまり、DC/DCコンバータ64のスイッチングノイズの発生を、像振れ補正光学系の位置検出を行っている間は抑えることを目的としている。これにより像振れ補正制御を正確に行うことが可能である。
以上の説明から、請求項1乃至請求項9に記載の発明との対応関係は、次のようになっている。
【0075】
像振れ補正光学系(1)には、像振れ補正光学系1、54が対応する。位置検出部(2)には、IRED8、スリット板4、位置検出素子5(56X、56Y)、レンズ位置検出回路(57X、57Y)及びCPU20の全体が対応する。
像振れ補正駆動部(3)a、bには、アクチュエータ(61X、61Y)、アクチュエータ駆動回路(59X、59Y)及びタイマー回路20a、禁止回路20bを備えるCPU20の全体が対応する。
【0076】
電源回路(4)には、電池29とDC/DCコンバータ64の全体が対応する。合焦レンズ駆動部(5)には、レンズ位置検出回路58とステッピングモータ62とシャッター駆動回路60とCPU20との全体が対応する。
シャッター駆動部(6)には、アクチュエータ62とシャッター駆動回路60とCPU20との全体が対応する。振れ検出部(7)には、角速度検出回路(13、14)とCPU20の全体が対応する。
【0077】
更に、請求項9に記載のバックアップ用コンデンサには、バックアップコンデンサ71、72が対応する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明実施の形態の第1の原理ブロック図である。
【図2】本発明実施の形態の第2の原理ブロック図である。
【図3】本発明実施の形態の第3の原理ブロック図である。
【図4】本発明実施の形態の第4の原理ブロック図である。
【図5】本発明実施の形態の第5の原理ブロック図である。
【図6】本発明実施の形態の第6の原理ブロック図である。
【図7】本発明実施の形態の第7の原理ブロック図である。
【図8】本発明実施の形態の第8の原理ブロック図である。
【図9】本発明実施の形態の第9の原理ブロック図である。
【図10】本発明の第1実施の形態の像振れ補正装置の構成ブロック図である。
【図11】像振れ補正機構及び位置検出素子の配置関係図である。
【図12】振れ検出回路の構成ブロック図である。
【図13】像振れ補正機構の分解斜視図である。
【図14】像振れ補正機構の位置検出動作の説明図である。
【図15】像振れ補正機構の位置演算回路の構成ブロック図である。
【図16】1次元PSD上のスリット位置と出力電流との関係図である。
【図17】位置検出部の入射位置と出力電圧との関係図である。
【図18】像振れ補正制御部の動作タイムチャートである。
【図19】像振れ補正光学系の駆動特性図である。
【図20】シャッター駆動部の構成ブロック図である。
【図21】像振れ補正制御部の動作タイムチャートである。
【図22】像振れ補正光学系の位置出力波形図である。
【図23】振れ検出回路の出力波形図である。
【図24】本発明の第2実施の形態の像振れ補正装置の構成ブロック図である。
【図25】像振れ補正制御部の動作タイムチャートである。
【図26】本発明の第3実施の形態の像振れ補正装置の像振れ補正動作のタイムチャートである。
【図27】本発明の第3実施の形態の像振れ補正装置の像振れ補正動作のタイムチャートである。
【図28】本発明の第3実施の形態の像振れ補正装置の像振れ補正動作のタイムチャートである。
【図29】本発明の第4実施の形態の像振れ補正装置の構成ブロック図である。
【図30】本発明の第4実施の形態の像振れ補正装置の像振れ補正動作のタイムチャートである。
【図31】像振れ補正機構の側面断面図である。
【図32】像振れ補正機構の支持構造の側面断面図であり、(a)は光軸位置にある状態を示す図、(b)は光軸位置から移動した状態を示す図である。
【図33】従来の像振れ補正装置の構成ブロック図である。
【符号の説明】
【0079】
(1)像振れ補正光学系
(2)位置検出部
(3)a、b像振れ補正駆動部
(4)電源回路
(5)合焦レンズ駆動部
(6)シャッター駆動部
(7)振れ検出部
1 像振れ補正光学系
2 レンズ鏡筒
3、3a、3b 可撓性支持部材
4 スリット板
5 PSD(位置検出素子)
6 駆動用コイル
7 マグネット
8 IRED(赤外線発光素子)
9、10 ヨーク
13、14 振れ検出素子
20 CPU
20a タイマー制御回路
20b 禁止回路
30 モータドライブ
49、50 ステッピングモータコイル
64 DC/DCコンバータ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラの振れにより生じる像振れを補正する像振れ補正光学系と、
前記像振れ補正光学系の位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部検出の結果に基づいて前記像振れ補正光学系を駆動する像振れ補正駆動部と、
撮影レンズを合焦位置へ駆動する合焦レンズ駆動部とを備える像振れ補正装置において、
前記像振れ補正駆動部は、前記合焦レンズ駆動部の動作期間内、前記位置検出部の検出動作を禁止する手段を備える
ことを特徴とする像振れ補正装置。
【請求項2】
カメラの振れにより生じる像振れを補正する像振れ補正光学系と、
前記像振れ補正光学系の位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部検出の結果に基づいて前記像振れ補正光学系を駆動する像振れ補正駆動部と、
シャッター幕の駆動を行うシャッター駆動部とを備える像振れ補正装置において、
前記像振れ補正駆動部は、前記シャッター駆動部の動作期間内、前記位置検出部の検出動作を禁止する手段備える
ことを特徴とする像振れ補正装置。
【請求項3】
カメラの振れ量を検出する振れ検出部と、
カメラの振れにより生じる像振れを補正する像振れ補正光学系と、
前記像振れ補正光学系の位置を検出する位置検出部と、
前記振れ検出部の出力結果と前記位置検出部の出力結果に基づいて像振れを抑えるように前記像振れ補正光学系を駆動する像振れ補正駆動部と、
各部への電源供給をスイッチング昇圧制御により行う電源回路とを備える像振れ補正装置において、
前記像振れ補正駆動部は、前記電源回路のスイッチング位相が変化した一定期間、前記振れ検出部及び前記位置検出部の検出動作をそれぞれ禁止する手段を備える
ことを特徴とする像振れ補正装置。
【請求項4】
カメラの振れ量を検出する振れ検出部と、
カメラの振れにより生じる像振れを補正する像振れ補正光学系と、
前記像振れ補正光学系の位置を検出する位置検出部と、
前記振れ検出部の出力結果と前記位置検出部の出力結果に基づいて像振れを抑えるように前記像振れ補正光学系を駆動する像振れ補正駆動部と、
撮影レンズを合焦位置へ駆動する合焦レンズ駆動部と、
各部への電源供給をスイッチング昇圧制御により行う電源回路とを備える像振れ補正装置において、
前記像振れ補正駆動部は、前記合焦レンズ駆動部の動作期間内、前記振れ検出部及び前記位置検出部の検出動作をそれぞれ禁止する手段を備える
ことを特徴とする像振れ補正装置。
【請求項5】
カメラの振れ量を検出する振れ検出部と、
カメラの振れにより生じる像振れを補正する像振れ補正光学系と、
前記像振れ補正光学系の位置を検出する位置検出部と、
前記振れ検出部の出力結果と前記位置検出部の出力結果に基づいて像振れを抑えるように前記像振れ補正光学系を駆動する像振れ補正駆動部と、
シャッター幕の駆動を行うシャッター駆動部と、
各部への電源供給をスイッチング昇圧制御により行う電源回路とを備える像振れ補正装置において、
前記像振れ補正駆動部は、前記シャッター駆動部の動作期間内、前記振れ検出部及び前記位置検出部の検出動作をそれぞれ禁止する手段を備える
ことを特徴とする像振れ補正装置。
【請求項6】
請求項5に記載の像振れ補正装置において、
前記像振れ補正駆動部は、シャッター開口中で開口駆動動作の状態変化が所定時間ない場合は、前記検出動作の禁止を解除する手段を備える
ことを特徴とする像振れ補正装置。
【請求項7】
カメラの振れ量を検出する振れ検出部と、
カメラの振れにより生じる像振れを補正する像振れ補正光学系と、
前記像振れ補正光学系の位置を検出する位置検出部と、
前記振れ検出部の出力結果と前記位置検出部の出力結果に基づいて像振れを抑えるように前記像振れ補正光学系を駆動する像振れ補正駆動部と、
シャッター幕の駆動を行うシャッター駆動部と、
各部への電源供給をスイッチング昇圧制御により行う電源回路とを備える像振れ補正装置において、
前記像振れ補正駆動部は、前記シャッター露出制御の動作期間内、前記電源回路のスイッチング動作を禁止する手段を備える
ことを特徴とする像振れ補正装置。
【請求項8】
カメラの振れ量を検出する振れ検出部と、
カメラの振れにより生じる像振れを補正する像振れ補正光学系と、前記像振れ補正光学系の位置を検出する位置検出部と、
前記振れ検出部の出力結果と前記位置検出部の出力結果に基づいて像振れを抑えるように前記像振れ補正光学系を駆動する像振れ補正駆動部と、
シャッター幕の駆動を行うシャッター駆動部と、
各部への電源供給をスイッチング昇圧制御により行う電源回路とを備える像振れ補正装置において、
前記像振れ補正駆動部は、前記像振れ補正光学系の駆動制御の動作期間内、前記電源回路のスイッチング動作を禁止する手段を備える
ことを特徴とする像振れ補正装置。
【請求項9】
請求項8に記載の像振れ補正装置において、
前記電源回路は、バックアップ用コンデンサを備える
ことを特徴とする像振れ補正装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2006−48081(P2006−48081A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−296731(P2005−296731)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【分割の表示】特願平7−237433の分割
【原出願日】平成7年9月14日(1995.9.14)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】