説明

優れた引張特性およびダーツ特性を備える光分解性フィルム

フィルム構造は、エチレン/一酸化炭素(ECO)共重合体およびオレフィンポリマー、とりわけエチレンポリマー、例えばLDPEを含むポリマーブレンドから製造され、光分解を示すだけでなく、所望の引張特性およびダーツ特性を示す。一実施形態において、フィルム構造は、ECO共重合体が少なくとも40重量パーセントを占め、該構造の残りはLDPE、LLDPEおよびHDPEの少なくとも1つを含む単層である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光分解性フィルムに関する。一態様において、本発明はエチレンおよび一酸化炭素(ECO共重合体)由来の単位を有する共重合体を含む光分解性フィルムに関する一方、他の態様において、本発明はECO共重合体を含む産業用、消費者用および食品包装用フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン/一酸化炭素共重合体は遅くとも1940年代には公知であり、それらの光分解に対する感受性は遅くとも1960年代には知られていた。産業用および消費者用包装フィルムの製造におけるECO共重合体の使用は遅くとも1970年代には報告されており、例えば米国特許第3,676,401号、同第3,929,727号および同第4,714,741号ならびに英国特許第1448062号である。しかしながら、光分解の環境に優しい特性にもかかわらず、これらの共重合体は、望ましい機械特性、特に引張抵抗および穿刺抵抗に満たないため、産業用および消費者用の包装応用に期待されるほど受け入れられなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第3,676,401号明細書
【特許文献2】米国特許第3,929,727号明細書
【特許文献3】米国特許第4,714,741号明細書
【特許文献4】英国特許第1448062号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態において、本発明はエチレン/一酸化炭素(ECO)共重合体およびオレフィンポリマー、特にECO共重合体以外のエチレンポリマーを含むフィルム構造である。一実施形態において、ECO共重合体は、フィルム構造の少なくとも40、好ましくは少なくとも60から85重量パーセント(重量%)を占め、該構造の残りは少なくとも1つのオレフィンポリマー、好ましくはECO共重合体以外のエチレンポリマーを含む。好ましいオレフィンポリマーは、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)および高密度ポリエチレン(HDPE)を含むがこれらに限定されない。フィルム構造は、単層がECO共重合体も他のオレフィンポリマーも含む単層フィルム、または(A)層の少なくとも1つがECO共重合体を含み、かつ(B)他の層の少なくとも1つが(1)ECO共重合体以外のオレフィンポリマーを含み、(2)ECO共重合体を含まない多層フィルムのいずれかであり得る。一実施形態において、本発明のフィルム構造は、収縮フィルム、積層フィルム、ライナーフィルム、買い物袋(consumer bag)、農業用フィルム、製袋充填およびバッグインボックス構造などの食品包装フィルム、ならびに丈夫な輸送袋(HDSS)の1つである。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】加速QUVテスターでUV光に300時間暴露後、様々な発明フィルムおよび比較フィルムの伸び率を報告する線グラフである。
【0006】
【図2】棒形式を除いて、図1に報告される同一の情報を報告するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
定義
反する言及がない限り、文脈から暗黙に、または当分野の慣習により、全ての部および百分率は重量に基づき、全ての試験方法は本開示の出願日現在認められているものである。合衆国特許実務のため、言及する任意の特許、特許出願または刊行物の内容は、とりわけ合成技術の開示、製品および加工の設計、ポリマー、触媒、定義(本開示で具体的に規定されるいずれの定義とも矛盾しない程度に)、ならびに当分野の常識に関して、全体として参照により組み込まれる(またはその等価な合衆国版がこのように参照により組み込まれる)。
【0008】
本開示の数値範囲は概算であるため、他に示さない限り、範囲外の値を含み得る。数値範囲は、任意の下値と任意の上値との間に少なくとも2単位の間隔があるという条件で、上値および下値からのあらゆる値ならびに両値を1単位きざみで含む。一例として、組成特性、物理特性または他の特性、例えば分子量、重量百分率などが100から1,000までならば、全ての個々の値、例えば100、101、102等、および部分範囲、例えば100から144、155から170、197から200等は明確に列挙することを意図する。1未満の値を含む範囲または1より大きい小数(例えば、1.1、1.5等)を含む範囲については、1単位は適宜0.0001、0.001、0.01または0.1であるとみなされる。10未満の1桁の数を含む範囲(例えば、1から5)については、1単位は通常0.1とみなされる。これらは具体的に意図されるものの例にすぎず、列挙される最低値と最高値間の数値の可能なあらゆる組み合わせが本開示に明確に記載されているとみなすべきである。とりわけ、ECO共重合体における一酸化炭素由来の単位量、フィルム構造におけるECO共重合体の量、ならびに本発明のフィルム構造の様々な引張特性および穿刺特性について、数値範囲が本開示内に規定される。
【0009】
「組成物」および同等の用語は2以上の成分の混合物またはブレンドを意味する。
【0010】
「ポリマーブレンド」および同等の用語は2以上のポリマーのブレンドを意味する。係るブレンドは混和性であってもなくてもよい。係るブレンドは分相であってもなくてもよい。係るブレンドは、透過型電子顕微鏡、光散乱、x線散乱、および当分野で知られる任意の他の方法から測定された1以上のドメイン配置を含んでも含まなくてもよい。
【0011】
「ポリマー」および同等の用語は、同種または異なる種類の単量体の反応(即ち重合)により調製される高分子化合物を意味する。「ポリマー」はホモポリマーまたは共重合体を含む。
【0012】
「共重合体」は、少なくとも2つの異なる単量体の重合により調製されるポリマーを意味する。この総称は通常用いられる共重合体を含み、2つの異なる単量体から調製されるポリマー、および3以上の異なる単量体から調製されるポリマー、例えばターポリマー、テトラポリマーなどを指す。
【0013】
「オレフィンポリマー」、「オレフィン系ポリマー」および同等の用語は、(ポリマーの総重量に基づき)50重量パーセント以上の重合オレフィン単量体を含むポリマーを意味する。オレフィン単量体は2以上の異なるオレフィン単量体を含み得る。
【0014】
「エチレンポリマー」、「エチレン系ポリマー」および同等の用語は、(ポリマーの総重量に基づき)50重量パーセント以上の重合エチレン単量体を含むポリマーを意味する。
【0015】
ECO共重合体
本発明の実施で使用されるECO共重合体は、典型的には10分当たり0.1から12、より典型的には0.25から6、さらにより典型的には0.25から1.5グラム(g/10分)のメルトインデックス(I、ASTM D1238(190℃/2.16kg));典型的には立方センチメートル当たり0.91から0.95、より典型的には0.92から0.94、さらにより典型的には0.922から0.935グラム(g/cc)の密度(ASTM D792);および赤外線分光法により測定され、典型的には共重合体の0.1から18、より典型的には0.5から10、さらにより典型的には1から3重量パーセントの一酸化炭素含量を有する。本発明の実施に有用な1つのECOポリマーは、ダウケミカルカンパニー(Dow Chemical Company)から購入できる。これは、1重量%の一酸化炭素含量、0.52g/10分のメルトインデックス(MIまたはI)、および0.93g/ccの密度を有するLDPE共重合体である。ECO共重合体の一酸化炭素含量は、従来の任意の技術、例えばフーリエ変換赤外分光により測定できる。
【0016】
オレフィンポリマー
本発明の実施に使用できるオレフィンポリマーが広範囲のオレフィン、例えばエチレン、プロピレン、ブテン等に基づくポリマーを含むが、本発明の使用に好ましいオレフィンポリマーはエチレンポリマーである。これらのエチレンポリマーは、ホモポリマーおよび共重合体、ランダム共重合体およびブロック共重合体、ならびに官能化ポリマー(例えばエチレンビニルアセテート、エチレンエチルアクリレート等)および非官能化ポリマーを含む。エチレン共重合体は、エラストマー、フレキソマー(flexomer)、プラストマーを含む。エチレンポリマーは、少なくとも50、好ましくは少なくとも60、より好ましくは少なくとも80重量%のエチレン由来単位を含む。他のエチレン共重合体単位は通常1以上のα−オレフィンに由来する。本発明の目的上、ECO共重合体はオレフィンポリマーの定義に含まれない。
【0017】
α−オレフィンは、直鎖、分枝または環状のC3−20α−オレフィンであることが好ましい。C3−20a−オレフィンの例としては、プロペン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、および1−オクタデセンが挙げられる。α−オレフィンは、環状構造、例えばシクロヘキサンまたはシクロペンタンも含み、3−シクロヘキシル−1−プロペン(アリルシクロヘキサン)およびビニルシクロヘキサンなどのα−オレフィンを生じ得る。伝統的な意味のα−オレフィンではないが、本発明の目的上、ある種の環状オレフィン、例えばノルボルネンおよび関連オレフィン、具体的には5−エチリデン−2−ノルボルネンはα−オレフィンであり、上記のα−オレフィンの一部または全ての代わりに用いられ得る。同様に、スチレンおよびその関連オレフィン(例えば、α−メチルスチレン等)は、本発明の目的上、α−オレフィンである。例示的なエチレン共重合体は、エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン、エチレン/1−ヘキセン、エチレン/1−オクテン、エチレン/スチレン等の共重合体を含む。例示的なエチレン・ターポリマーは、エチレン/プロピレン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/ブテン、エチレン/ブテン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/ジエン単量体(EPDM)およびエチレン/ブテン/スチレンの共重合体を含む。
【0018】
本発明の実施に有用なエチレンポリマーの例としては、高密度ポリエチレン(HDPE);中密度ポリエチレン(MDPE);低密度ポリエチレン(LDPE);超低密度ポリエチレン(VLDPE);均一に分枝した直鎖エチレン/α−オレフィン共重合体(例えば、三井石油化学会社(Mitsui Petrochemicals Company Limited)によるタフマー(TAFMER)(登録商標)およびDEX−プラストマー(Plastomers)によるイグザクト(EXACT)(登録商標));均一に分枝し、実質的に直鎖のエチレン/α−オレフィンポリマー(例えば、ダウケミカルカンパニー(Dow Chemical Company)から購入可能なアフィニティー(AFFINITY)(登録商標)ポリオレフィンプラストマーおよびエンゲージ(ENGAGE)(登録商標)ポリオレフィンエラストマー);ならびにエチレンブロック共重合体(同様に、ダウケミカルカンパニーから入手可能なインフューズ(INFUSE)(登録商標)が挙げられる。実質的に直鎖エチレン共重合体は米国特許第5,272,236号、同第5,278,272号および同第5,986,028号により詳しく記載され、エチレンブロック共重合体は米国特許第7,579,408号、同第7,355,089号、同第7,524,911号、同第7,514,517号、同第7,582,716号および同第7,504,347号により詳しく記載されている。
【0019】
本発明の実施に用いる特に興味深いオレフィン共重合体は、LDPE、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)およびHDPEである。これらのエチレン共重合体は、ダウレックス(DOWLEX)(商標)、アタネ(ATTANE)(商標)およびフレキソマー(FLEXOMER)(商標)などの商標でダウケミカルカンパニー;ペトロセン(PETROTHENE)などの商標でイクイスター/リオンデルバセル(Equistar/LyondellBasell);ノバポール(NOVAPOL)およびスクレイル(SCLAIR)などのノバ化学会社(Nova Chemical Company);ならびにエクシード(EXCEED)、イグザクト(EXACT)およびエナブル(ENABLE)などの商標でエクソンモービル化学会社(ExxonMobil Chemical Company)を含む幾つかの異なる源から市販されている。
【0020】
フィルム構造(Film Structures)
本発明の有用なフィルム構造またはフィルム品は、キャスト、ブロー、カレンダーおよび押出被覆(多層フィルム、温室フィルム、透明収縮フィルムを含む収縮フィルム、積層フィルム、二軸延伸フィルム、押出被覆、ライナー、透明ライナー、オーバーラップフィルムおよび農業フィルムを含むがこれらに限定されない)を含む。単層フィルムおよび多層フィルムは米国特許第5,685,128号に記載されるフィルム構造および製造方法に従って製造され得る。
【0021】
フィルム構造が単層であるならば、ECO共重合体およびオレフィン共重合体、例えばLDPEは、相互および任意の添加剤と、任意の簡便な様式でブレンドし、例えば各成分を乾式ブレンドし、続いてフィルムを製造するために使用される押出機で直接に溶融混し、または個別の押出機で予め溶融混合し、任意のフィルム製造方法を用いてフィルム、例えばブローフィルム、キャストフィルムに製造する。ECO共重合体は、ECO/オレフィンポリマーブレンドの少なくとも40、50、60、70、80または90重量%を占め、オレフィン共重合体は該ブレンドの少なくとも1、10、20、30または40重量%を占める。特に興味深いのは、単層フィルム構造、または少なくとも1つのフィルム層が60−85重量%のECO共重合体と0.5−2重量%のCO含量ならびに40−15重量%のLDPE、LLDPEおよびHDPEの少なくとも1つとを含む組成物から製造される多層フィルム構造である。一実施形態において、フィルム構造は、40から90、好ましくは60から85重量%のECO共重合体および60から10、好ましくは40から15重量%のLDPE、LLDPEまたはHDPE、好ましくはLLDPEを含むポリマーブレンドから製造される。
【0022】
フィルム構造が多層であるならば、ECO共重合体は、該構造の1以上の層全て(100%)を占めるが、通常全層ではなく、またはECO共重合体/オレフィンポリマーブレンドの一部として構造の1以上の層に存在し得る(各々の層に含む)。層の1以上がECO共重合体を含まないフィルム構造において、該層はECO共重合体を含む少なくとも1層と界面接触する構造内に通常配置される。
【0023】
本発明のフィルムは、多数の有用性を有し、包装フィルム、例えば薄包装、同梱ボトル入り飲料水包装;透明フィルム、例えばキャンディー袋、パン袋、窓付き封筒フィルム;食品および特殊包装フィルム、例えば野菜袋、肉の包装、チーズの包装等;パウチ、例えばミルクパウチ、ワインなどのバッグインボックス、およびダウ(Dow)、デュポン(DuPont)およびエクソン(Exxon)により教示される技術などの他の縦型製袋充填技術を含む。収縮フィルムは特に本発明の範囲内にあり、これらは様々な技術、例えば2重気泡フィルム、テンターフレーム技術、二軸延伸技術を用いて製造できる。本発明のフィルムは弾性でもあってもよい。
【0024】
有用なフィルム構造は、ECO共重合体、LDPE、LLDPEおよびHDPEの少なくとも1つのエチレン共重合体、ならびにECO共重合体およびエチレン共重合体以外の少なくとも1つの他の天然または合成のポリマーを含むポリマーブレンドからも適切に調製される。好ましい他のポリマーは、熱可塑性物質、例えばスチレン−ブタジエン・ブロック共重合体、ポリスチレン(耐衝撃ポリスチレンを含む)、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレンアクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリエステル、セルロース等を含むがこれらに限定されない。存在する場合、これらの他のポリマーは、ポリマーブレンドの通常50重量%未満、より典型的には40重量%未満、およびさらにより典型的には20重量%未満を占める。
【0025】
ECO共重合体およびオレフィンポリマーのブレンドは、単独でまたは上記の1以上の他のポリマーと組み合わせて、好みでまたは必要ならば、様々な添加剤、例えば抗酸化剤、紫外線吸収剤、防曇剤、帯電防止剤、核化剤、潤滑剤、難燃剤、ブロッキング防止剤、着色剤、無機または有機の充填剤などとブレンドしてもよい。これらの添加剤は、使用する場合、既知の様式および既知の量で使用され、マスターバッチの一部としての添加およびフィルム構造の総重量に基づき通常0.01から10重量%以上の量(しかしながら、充填剤はより多くの量で使用してもよい)を含むがこれらに限定されない。
【0026】
上記のように、本発明のフィルム構造は、従来の製造技術により、例えば簡略な気泡押出、二軸延伸方法(例えば、テンターフレーム法または2重気泡法)、簡略なキャスト/シート押出、共押出、積層などにより製造されてもよい。従来の簡便な気泡押出法(熱インフレーションフィルム法としても知られる)は、例えば、The Encyclopedia of Chemical Technology, Kirk-Othmer, Third Edition, John Wiley&Sons,New York,1981,Vol16,pp.416-417 and Vol.18,pp.191-192に記載されている。米国特許第3,456,044号の「2重気泡」法に記載の方法、ならびに米国特許第4,352,849号、同第4,820,557号、同第4,837,084号、同第4,865,902号、同第4,927,708号、同第4,952,451号、同第4,963,419号および同第5,059,481号に記載の方法などの二軸延伸フィルム製造法も本発明のフィルム構造を製造するために用いることができる。二軸延伸フィルム構造は、テンターフレーム技術、例えば延伸ポリプロピレンに用いられる技術によっても製造できる。
【0027】
多層構造の厚さは通常1から4ミル(全厚さ)である。多層フィルム構造は通常2から7層を含むが、層の最適な総数制限は経済および実用性により課される。単層フィルムについては、厚さは通常0.4から4ミル、好ましくは0.8から2.5ミルである。
【0028】
本発明のフィルム構造は、包装構造、例えば製袋充填構造およびバッグインボックス構造に製造できる。製袋充填構造およびバッグインボックス構造に関して、係る操作の1つは、Packaging Foods With Plastics by Wilmer A. Jenkins and James P.Harrington(1991),pp.78-83に記載されている。包装は、縦型または横型の製袋充填により多層包装ロールストックからも形成できる(「Packaging Machinery Operations:No.8,Form-Fill-Sealing,A Self-Instructional Course」by C.G.Davis,Packaging Machinery Manufacturers Institute(April1982);The Wiley Encyclopedia of Packaging Technology by M. Bakker(Editor),John Wiley&Sons(1986),pp.334,364-369;and Packaging:An Introduction by S.Sacharow and A.L.Brody,Harcourt Brace Javanovich Publications,Inc.(1987),pp.322-326に記載される包装および熱製袋充填(thermoform-fill-seal packaging)を参照)。縦型製袋充填機を用いてパウチを製造する方法は一般に米国特許第4,503,102号および同第4,521,437号に記載されている。ECO共重合体を含む1以上の層を含むフィルム構造は、飲料水、ワイン、香辛料および同様な食品の包装によく適している。
【0029】
押出被覆は多層包装材を製造するためのさらなる他の技術である。キャストフィルムと同様に、押出被覆は平金敷技術である。フィルムは、単層フィルムまたは共押出フィルムのいずれかの形態の基質上に押出被覆または積層され得る。フィルム構造は、射出成形、ブロー成形または熱成形されたトレイの蓋ストック(lid stock)にも形成され得る。
【0030】
本発明の一実施形態において、フィルム構造は収縮フィルムである。熱に曝されると、収縮フィルムは、収縮し、または再度引っ張られるとフィルム内に収縮張力を生じるであろう。この熱反応は一般に包装品が熱風または熱水収縮トンネルを通過する場合に活性化される。一般に、この工程はフィルムを製品周囲に収縮させ、製品の輪郭と一致する隙間ない透明な包装を生じると同時に、製品をゴミや汚染から保護する。
【0031】
熱収縮フィルムには2つの主な種類があり、熱ブロー収縮フィルムおよび延伸収縮フィルムである。熱ブロー収縮フィルムは簡便な熱ブロー気泡フィルム方法により製造され、逆に、延伸収縮フィルムは、2重気泡、テープ気泡、封入気泡またはテンターフレームとして知られる複雑な二軸延伸方法により製造される。非晶質および半結晶の両ポリマーは複雑な二軸延伸法を用いて延伸収縮フィルムに製造できる。非晶質ポリマーについては、延伸はポリマーのガラス転移温度直上の温度で実施される。半結晶ポリマーについては、延伸はポリマーのピーク融点未満の温度で実施される。
【0032】
収縮フィルムならびにそれらの製造および使用は、米国特許第6,306,969号、同第5,972,444号、同第5,852,152号、および同第5,707,751号ならびに欧州特許第1532203号および同第1529633号により詳しく記載されている。
【0033】
本発明を下記の実施例を通してより詳細に説明する。他に言及がない限り、全ての部および百分率は重量である。
【0034】
具体的な実施形態
物理特性
試験方法
密度測定用の試料は、ASTM D1928に従って用意される。測定は、ASTM D792、方法Bを用いて試料加圧の1時間以内になされる。
【0035】
メルトインデックスまたはIは、ASTM D1238、190℃/2.16kgの条件に従って測定する。
【0036】
落錘衝撃強度(ダーツA):ASTM D1709。
【0037】
45°光沢:ASTM D2457。
【0038】
全体(全面)、表面および内部の曇り:内部曇りおよび全面曇りについて測定する試料は、サンプリングし、ASTM D1003に従って用意する。内部曇りは鉱油を用いてフィルム両面で屈折率整合により得られる。ヘイズガードプラス(Hazegard Plus)(BYK−Gardner USA;コロンビア、MD)を試験に使用する。表面曇りは、以下の方程式に示される通り、全面曇りと内部曇り間の差異として決定される。表面曇りはフィルムの表面粗度に関連する傾向があり、表面粗度が増加するにつれ、表面曇りは増加する。
曇り=内部曇り+表面曇り (方程式)
【0039】
穿刺(puncture)はシンテック・テストワークス・ソフトウェア3.10版を備えたインストロン(Instron)モデル4201で測定する。試料の大きさは6”x6”であり、平均穿刺値を決定するために4回測定を行う。フィルムはフィルム製造後40時間およびASTM規制実験室で少なくとも24時間調整する。12.56”平方の丸い試料ホルダーを備える100lbロードセルを使用する。穿刺プローブは7.5”最大走行長さを有する1/2”直径の研磨ステンレス鋼ボールである。標点距離はなく、プローブは接触していないが、可能な限り試料の近くにあるからである。用いるクロスヘッド速度は10”/分である。厚さは試料の中心で測定する。フィルムの厚さ、クロスヘッドが動く距離、および最大負荷は、ソフトウェアにより穿刺を決定するために用いる。穿刺プローブは各試料の後に「キムワイプ」を用いて洗浄する。
【0040】
2%割線係数−MD(縦方向)およびCD(横方向):ASTM D882。
【0041】
MDおよびCDのエルメンドルフ引裂強度:ASTM D1922。
【0042】
MDおよびCDの引張強度:ASTM D882。
【0043】
MDおよびCDの極限伸:ASTM D822。
【0044】
MDおよびCDの降伏歪:ASTM D822。
【0045】
MDおよびCD の降伏強度:ASTM D822。
【0046】
MDおよびCDの収縮張力は、Y.Jin,T.Hermel-Davidock,T.Karjala,M.Demirors,J.Wang,E.Leyva,and D.Allen,「Shrink Force Measurement of Low Shrink Force Films」,SPE ANTEC Proceedings,p.1264(2008)に記載される方法に従って測定する。
【0047】
加工材料および条件
本発明の2例および2つの比較例の4例が報告される。同一のブロー・フィルム・ラインを用いて本発明のフィルムおよび比較フィルムの両方を作り出す。実施例1のフィルムは、エチレンおよび一酸化炭素からなる85重量%のエチレン共重合体(LDPE)(0.52g/10分のMIまたはI、0.930g/ccの密度および1重量%のCO含量)ならびに15重量%のELITE5111G(0.85g/10分のI、0.9255g/ccの密度、CO含有せず)を含み、共にダウケミカルカンパニー(Dow Chemical Company)から入手できる。比較実施例1のフィルム(CE−1)は、85重量%LDPE535E(0.60g/10分のMI、0.928g/ccの密度、CO含有せず、同様にダウケミカルカンパニー(Dow Chemical Company)から入手できる)および15重量%ELITE5111Gを含む。実施例2のフィルムは、60重量%のCOを含有する実施例1のLDPEおよび40重量%のELITE5111Gを含む。比較実施例2のフィルム(CE−2)は、60重量%のLDPE535Eおよび40重量%のELITE5111Gを含む。メルトインデックスは、ASTMD1238(190℃/2.16kg)に従って測定し、密度はASTM D792に従って測定する。
【0048】
実施例1および2ならびにCE−1および2のブローフィルムは、LLDPE型スクリューを備えた6”ダイで製造する。内部気泡冷却は用いない。各ポリマーのペレットは適切な割合で互いに物理的にブレンドし、ペレットの物理的ブレンドは次いでペレットホッパーを通って押出機に供給される。ブローフィルムを製造するために用いる一般的なブロー・フィルム・パラメータは表1で報告する。報告温度は、ペレットホッパー近くで始まり、ポリマーが移動しダイを通るにつれポリマーに追随する(溶融温度)。各フィルムのブローアップ比(BUR)は表1に示し、各フィルムは2.5ミルの厚さに製造される。フィルムの特性は表2に示す。
【表1】


【表2】

【0049】
結果
表2で報告する結果は、ECO共重合体を含まないフィルムと比較して、ECO共重合体を含むフィルムの他の機械特性を著しく妥協することなく、幾つかの機械特性に有意な改善を示す。ECO共重合体を含むフィルムは、(周知であるように)ECO共重合体を含まない点を除いて、あらゆる点で似ているフィルムより早く光分解する上に、ECO共重合体を含むこれらのフィルムは収縮および靱性に重要なダーツAの強化も示す。これらのフィルムは、牛眼状の外観、または例えば、「取っ手」(この取っ手により、収縮包装された水ボトルなどが持ち運びできる)である開放端部もしくは開放域の外観に重要な光沢(実施例2対CE−2)および降伏歪MD(実施例2対CE−2)、ならびに収縮に重要なMD収縮張力の強化も示す。さらに、本発明のフィルムは、より高い密度により低い係数(実施例1対CE−1の2%割線係数CD)、CDおよびMDエルメンドルフ引裂の強化、ならびにより高いCDおよびMDの最大引張および極限伸びを示す。
【0050】
光分解
表2に報告したフィルム物理特性の測定について記載したものと同一の材料およびフィルム製造手順を用いて、5フィルム(それぞれ2.5ミルの厚さ)は、ASTM D5208−01に従って、Q−labのQUVテスター、モデルQUV/seで300時間UV光に曝す。試料は、窓が2.5インチ×3.75インチであるように3インチ×4.5インチ片に切断する。2つの試料が継続時間ごとに各窓から切断される。合計6反復で継続時間ごとに1試料当たり3つの窓を使用する。テスターで毎24時間、50℃で20時間の光および40℃で4時間の闇がある。QUVテスターの300時間は250光時と等価である(これは環境保護庁による分解の指定である)。
【0051】
各試料は伸び率についてASTM D3826に従って測定する。QUVテスターで300時間後に5%未満の伸びを有する試料は、分解とみなす。
【0052】
QUVおよび伸び率試験の結果は、図1および図2に報告する。少なくとも60重量%のCO含有LDPEを含む試料のみがQUVテスターで300時間後に分解される。
【0053】
本発明は先の具体的な実施形態を通して若干詳細に記載したが、この詳細は説明が主目的である。下記の特許請求の範囲に記載する本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多数の変形および修飾が当業者によってなされ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーブレンドから製造されるフィルム構造であって、前記ブレンドが(i)40から90重量%のエチレン/一酸化炭素(ECO)共重合体、および(ii)60から10重量%のLDPE、LLDPEおよびHDPEの少なくとも1つのエチレン共重合体を含むフィルム構造。
【請求項2】
ECO共重合体が0.1から18重量%の一酸化炭素を含む、請求項1に記載のフィルム構造。
【請求項3】
ポリマーブレンドが(i)60から85重量%のECO共重合体、および(ii)40から15重量%のLDPE、LLDPEおよびHDPEの少なくとも1つのエチレン共重合体を含む、請求項1に記載のフィルム構造。
【請求項4】
エチレン共重合体がLLDPEである、請求項3に記載のフィルム構造。
【請求項5】
単層フィルムとしての請求項2に記載のフィルム構造。
【請求項6】
層の少なくとも1層がECO共重合体を含む多層フィルムとしての請求項2に記載のフィルム構造。
【請求項7】
少なくとも1つのフィルム層が100重量%ECO共重合体である、請求項6に記載のフィルム構造。
【請求項8】
収縮フィルム、積層フィルム、ライナーフィルム、買い物袋、農業用フィルム、食品包装フィルム、または丈夫な輸送袋の形態の請求項2に記載のフィルム構造。
【請求項9】
少なくとも15cNのMD収縮張力を有する、請求項1から8のいずれかに記載のフィルム構造。
【請求項10】
ASTM D1709により測定される少なくとも150gの落錘衝撃強度(ダーツA)を有する、請求項1から8のいずれかに記載のフィルム構造。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−513695(P2013−513695A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543188(P2012−543188)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/059167
【国際公開番号】WO2011/071843
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】