説明

元素検出方法及び元素検出装置

【課題】高精度の均質な測定が可能であり、尚且つ、測定が容易な元素検出方法及び元素検出装置を提供する。
【解決手段】試料から離脱した元素を検出し、元素の位置及び飛行時間を測定する元素検出装置1であって、気圧調整が可能であり、内部に試料が配置されるチャンバー10と、チャンバー内で試料と対向するように設置されており、試料から離脱した元素を検出する元素検出手段と、試料にエネルギービーム24を照射する照射手段23とを備え、元素検出手段が、エネルギービームが通過可能な孔19を有するとともに、照射手段が元素検出手段を挟んで試料の反対側に設置され、孔を通過したエネルギービームが試料に照射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の構成元素を検出する元素検出方法及び元素検出装置に関し、特に、試料への電界印加によって生じる元素の離脱現象を利用して、試料の構成元素を微細に検出することが可能な元素検出方法及び元素検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電界印加により試料から元素を離脱させ、離脱した元素の位置及び飛行時間を位置敏感型検出器(position sensitive detector)で検出することにより、当該試料の元素分布3次元的に検出する、いわゆる3次元アトムプローブ(Three Dimensional Atom Probe:以下、3DAPと略称する。)が開発されている。なお、位置敏感型検出器は、離脱元素の2次元的な位置を検出するため、2次元位置検出器とも呼ばれる。
【0003】
この3DAPは、試料表面の全構成元素を、原子レベルの空間分解能で2次元マップとして表示することができ、さらに深さ方向に拡張していくと、原子分布を3次元的に構成することができる。
【0004】
一般的な3DAPの例を図5に示す。図に示すように、3DAPでは、先端を針状に加工した構造体(針状構造体)からなる試料11が使用される。この試料11に高電界を印加し、その表面から元素を電界蒸発させる。そして、この電界蒸発により離脱した元素(離脱イオン21)の位置及び飛行時間を、上述した位置敏感型検出器13およびタイマー17で測定する。なお、元素の種類はこの飛行時間により同定される。
【0005】
しかしながら、このような試料に高電界を印加するタイプの元素測定装置では、試料を構成する元素が非導電体の場合に、精度の良い測定が出来ないという欠点がある。この欠点を補うものとして、試料に高エネルギーのビームを照射する方法が提案されている(特許文献1参照。)。特許文献1によれば、図6に示すように、検出効率を高める目的で、エキシマレーザ光を試料先端の側方から照射する。
【特許文献1】特開平5−62639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、レーザ光を試料の側方から照射する方式では、試料の裏側に(すなわち、レーザ光が照射される面と反対側の面に)レーザ光が十分に届かないため、均質な測定が出来ないという問題がある。また、レーザ光が試料中を屈折しながら透過し、余分な外乱光として作用する場合もあり、測定を難しくするという問題もあった。
【0007】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、高精度の均質な測定が可能であり、且つ、測定が容易な元素検出方法及び元素検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題について、本発明者は、高エネルギービームを、試料の正面から、すなわち位置敏感型検出器が配置されている方向から照射することにより、解決可能であることを見出し、本発明をなすに至った。
【0009】
本発明の一観点によれば、本発明の元素検出方法は、試料から電界離脱した元素を元素検出手段により検出し、当該元素の位置及び飛行時間を測定する元素検出方法であって、内部に前記試料が配置されるチャンバー内の気圧を調整するステップと、前記元素検出手段に設けられた孔を通過したエネルギービームを前記試料に照射し、前記試料から元素を離脱させるステップと、前記離脱した元素を前記元素検出手段により検出し、前記元素の位置及び飛行時間を測定するステップとを含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の観点によれば、本発明の元素検出装置は、試料から離脱した元素を検出し、前記元素の位置及び飛行時間を測定する元素検出装置であって、気圧調整が可能であり、内部に前記試料が配置されるチャンバーと、前記チャンバー内で前記試料と対向するように設置されており、前記試料から離脱した元素を検出する元素検出手段と、前記試料にエネルギービームを照射する照射手段とを備え、前記元素検出手段が、前記エネルギービームが通過可能な孔を有するとともに、前記照射手段が前記元素検出手段を挟んで前記試料の反対側に設置され、前記孔を通過したエネルギービームが前記試料に照射されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の他の観点によれば、試料から離脱した元素を検出し、前記元素の位置及び飛行時間を測定する元素測定装置であって、気圧調整が可能であり、内部に前記試料が配置されるチャンバーと、前記チャンバー内で前記試料と対向するように設置されており、前記試料から離脱した元素を検出する元素検出手段と、前記試料にエネルギービームを照射する照射手段と、前記エネルギービームが通過可能なレンズとを備え、前記レンズ及び前記照射手段が、前記元素検出手段を挟んで前記試料の反対側に、且つ、前記元素検出手段に近い方から前記レンズ,前記照射手段の順に設置され、前記レンズを通過したエネルギービームが、前記元素検出手段の外側から前記試料に向けて照射されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高エネルギービームを、試料の正面から、すなわち位置敏感型検出器が配置されている方向から照射することにより、高精度の均質な測定が可能で、測定が容易な元素検出方法及び元素検出装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態に係る詳細を、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、実施例1による元素検出装置(3DAP)の概略構成を示す模式図である。この元素検出装置1は、図に示すように、内部に試料11が配置されるチャンバー10と、試料11に所定の電界を印加するための電源12aと、試料11から離脱した元素(離脱イオン21)を検出する元素検出手段である位置敏感型検出器13と、試料11との間で高い直流バイアス電圧が印加される引出電極14とを備えている。なお、位置敏感型検出器13は、図に示すように、チャンバー10内で試料11と対向するように設置される。
【0015】
また、上記の他に、元素検出装置1は、チャンバー10内を所望の真空状態とするための真空ポンプ等を含む気圧調節部15を備えている。
【0016】
元素検出装置1には更に、試料11にエネルギービーム24を照射するための照射手段23と、照射手段23にパルス電界を印加するための電源12bと、電源12bおよび位置敏感型検出器13が接続されたタイマー17とが備えられている。
【0017】
ここでは、試料11として、被測定部材20上に形成された形態の試料を使用する。被測定部材20は、図に示すように、先端部分或いは全体が試料11であるような複数の針状構造体を備えた部材である。なお、試料11として、図5に示されるような針状構造体からなる単体の試料11を使用しても構わない。
【0018】
タイマー17は、電源12bから照射手段23へ印加するパルス電圧を起動する機能を有している。タイマー17は更に、パルス電圧の印加をトリガとして、離脱した元素(離脱イオン21)の飛行時間を測定する機能も有している。
【0019】
位置敏感型検出器13は、平面状の元素検知面を備えており、上記離脱イオン21の存在する位置を2次元マップとして表示する機能を有している。
【0020】
電源12aは、試料11と引出電極14との間に直流バイアス電圧を印加し、試料11の表面からイオンが離脱しやすくするものである。一方、電源12bは、図に示すように、照射手段23にパルス電圧を印加し、試料11の先端に向けてエネルギービーム24を照射させる。
【0021】
引出電極14は、図に示すように、前記離脱イオン24が通過可能な空洞を(例えば、中央部に)有する、いわゆる円環形状の電極であり、試料11と位置敏感型検出器13との間、試料11の近傍に位置する。
【0022】
エネルギービーム24の照射により、試料11から電界蒸発した原子は、イオンの状態で引出電極14の空洞部分を通過し、位置敏感型検出器13へ向かって飛行する。
【0023】
照射手段23は、図に示すように、位置敏感型検出器13を挟んで、試料11と反対側に設置される。位置敏感型検出器13には、中央付近にエネルギービームが通過可能な孔19が設けられており、エネルギービーム24が、この孔19を通過して試料11側に照射される。このとき、エネルギービーム24は引出電極14の空洞部分を通過するようにしてよい。
【0024】
孔19の大きさは、例えば、直径が100μm程度であればよい。なお、孔19が存在する範囲については位置敏感型検出器13における検出ができなくなるため、孔19の大きさは、エネルギービーム24が通過できる最小の孔径であることが望ましい。
【0025】
また、照射手段23は、例えばフェムトパルスの半導体励起チタンサファイヤレーザ等を有し、試料11への電界の印加に同期して、当該試料11の表面に(例えばレーザ光等の)エネルギービーム24を照射する。なお、照射手段23として電子線照射機構を使用し、試料11に電子線を照射するようにしても良い。
【0026】
このように、レーザ光等のエネルギービーム24を、試料11に対して、その正面から、すなわち位置敏感型検出器13が配置されている方向から照射することにより、試料11の先端部分の表面全体にエネルギービーム24が均一に照射される。このため、試料11先端から元素離脱が偏り無く行なわれ、高精度の均質な測定が可能となる。
【0027】
また、エネルギービーム24の入射角度の関係で、試料11内部を透過するエネルギービーム24の量が少なくなり、透過したエネルギービーム24が余分な外乱光として悪影響を与えるという問題も解消される。
【0028】
−3DAPを使用した元素検出フロー−
以下に、3DAPを使用して元素を検出する工程の例を、図を用いて説明する。ここでの説明には、図2と図3を使用する。図2は、実施例1による元素検出方法を示したフローチャートである。
【0029】
先ず、チャンバー10内において、位置敏感型検出器13の元素検知面13aと試料11の先端が対向するように、被測定部材20を設置する。この状態で、気圧調節部15の作動により、チャンバー10を所定の真空度に調節する(ステップS1)。ここでは、例えば、いわゆる超高真空状態となる2×10−8Pa程度の圧力に設定する。
【0030】
なお、この気圧調整後、電界蒸発を促進させる目的で、試料11の元素に吸着し易い(吸着率の高い)ガスをチャンバー10内に導入するようにしても良い。この試料11の元素に吸着し易いガスとしては、例えば、窒素(N)ガスが挙げられる。
【0031】
続いて、タイマー17を起動させるとともに、被測定部材20に電源12aの直流バイアス電圧に加える。そして、この状態で、電源12bに例えば5kVのパルス電圧を発生させ、照射手段23に印加する。(ステップS2)。
【0032】
このパルス電圧の印加により、照射手段23からエネルギービーム24が試料11の先端部に照射される。
【0033】
具体的には、この電界蒸発現象を利用して、試料11の表面から順に、1原子層づつ電界蒸発していく。このとき、1回のエネルギービーム24照射(すなわち1回のパルス電圧の印加)により、1原子のイオンを離脱させるのが理想的であるが、1回のパルス電圧の印加により同時に複数の原子が電界蒸発するという事態を避けるために、例えば、10回から100回程度のエネルギービーム24の印加によって、1原子の電界蒸発が生じるようにパルス電圧を調節しても良い。
【0034】
続いて、電界蒸発した離脱イオン21が位置敏感型検出器13に到達した際の位置、すなわち、位置敏感型検出器13の元素検出面13aにおける座標を測定する。なお、この位置の測定を行なうとともに、タイマー7により離脱イオン21の飛行時間を測定する(ステップS3)。
【0035】
そして、この離脱イオン21の位置及び飛行時間の測定結果を、図示しない記憶手段(不図示)に蓄積する。次に、ステップS3及びS4からなる一連の工程を繰り返し実行し(ステップS4)、試料11を構成する各層の元素のうち、分析を希望する分を全て電界蒸発させる。
【0036】
次に、蓄積した測定結果のデータを使用し、先ず、試料11の各層について2次元的なマップを作成する(ステップS5)。このとき、所定の座標について深さ方向に拡張させたマップを作成しても良い。
【0037】
このようにして得られた2次元マップのデータを、コンピュータ等の計算手段(不図示)を用いて所定の計算処理を行うことにより、試料11の原子分布を3次元的に再構成する(ステップS6)。
【実施例2】
【0038】

次に、実施例1における変形例を、図3を参照しながら説明する。図3は、実施例2による元素検出装置(3DAP)の概略構成を示す模式図である。
【0039】
本実施例は、実施例1で説明した形態について、試料11(被測定部材20)に照射されるエネルギービーム24が、照射手段23に接続された光ファイバー25の先端から出射されるようにした例である。
【0040】
光ファイバー25と照射手段23とが接続される箇所には、例えば、照射手段23からのエネルギービーム24(例えば、レーザ光)を光ファイバー25に導くための光コネクタ26が設けられる。光コネクタ26は、例えば、図示しない集光レンズを使用して、照射手段23からのエネルギービーム24を光ファイバー25の中心部(コアの部分)に集光する。
【0041】
その他の形態については、実施例1と同様であるため説明を省略する。
【0042】
このように、光ファイバー25を使用することにより、エネルギービーム24を試料11の近くまで導くことになり、自由度の高いルートで、確実にエネルギービーム24を試料11へ照射することが可能となる。
【実施例3】
【0043】

本実施例は、位置敏感型検出器13に孔19を設けずに、光を集光するレンズを使用した例である。本実施例を、図4を使用して説明する。図4は、実施例3による元素検出装置(3DAP)の概略構成を示す模式図である。
【0044】
レンズ27はエネルギービーム24が通過可能な材質からなり、図に示されるように、位置敏感型検出器13を挟んで被測定部材20の反対側に(具体的には、位置敏感型検出器13と照射手段23との間に)設置される。すなわち、位置敏感型検出器13から近い方からレンズ13,照射手段23の順に設置される。
【0045】
照射手段23とレンズ27との間には、図に示すように、例えば、複数の光ファイバー28が設けられ、この光ファイバー28により、照射手段23から出射されたエネルギービーム24がレンズ27の所定の面まで導かれる。そして、位置敏感型検出器13の外側から、被測定部材20に形成された試料11の先端部に向けてエネルギービーム24が照射される。なお、エネルギービーム24の出力が十分であれば、光ファイバー28は1本でも構わない。
【0046】
本実施例のように、光を集光するレンズ27を使用することにより、位置敏感型検出器13に孔を開けないでも済むというメリットがある。
【0047】
以上、本発明の特徴を詳述した。本発明の好ましい諸形態を付記すると、以下の通りである。
(付記1)
試料から電界離脱した元素を元素検出手段により検出し、当該元素の位置及び飛行時間を測定する元素検出方法であって、
内部に前記試料が配置されるチャンバー内の気圧を調整するステップと、
前記元素検出手段に設けられた孔を通過したエネルギービームを前記試料に照射し、前記試料から元素を離脱させるステップと、
前記離脱した元素を前記元素検出手段により検出し、前記元素の位置及び飛行時間を測定するステップとを含む
ことを特徴とする元素検出方法。
(付記2)
前記試料に前記エネルギービームを照射する前に、空洞を有する引出電極にバイアス電圧を印加するステップを更に備え、
前記エネルギービームが前記空洞内を通過して前記試料に照射される
ことを特徴とする付記1に記載の元素検出方法。
(付記3)
前記試料に照射される前記エネルギービームが光ファイバーの先端から出射される
ことを特徴とする付記1または2に記載の元素検出方法。
(付記4)
試料から離脱した元素を検出し、前記元素の位置及び飛行時間を測定する元素検出装置であって、
気圧調整が可能であり、内部に前記試料が配置されるチャンバーと、
前記チャンバー内で前記試料と対向するように設置されており、前記試料から離脱した元素を検出する元素検出手段と、
前記試料にエネルギービームを照射する照射手段とを備え、
前記元素検出手段が、前記エネルギービームが通過可能な孔を有するとともに、前記照射手段が前記元素検出手段を挟んで前記試料の反対側に設置され、前記孔を通過したエネルギービームが前記試料に照射される
ことを特徴とする元素検出装置。
(付記5)
前記試料と元素検出手段との間に配置されてバイアス電圧が印加され、前記離脱した元素が通過可能な空洞を有する引出電極を更に備える
ことを特徴とする付記4に記載の元素検出装置。
(付記6)
前記エネルギービームが、前記照射手段に接続された光ファイバーの先端から出射される。
ことを特徴とする付記6または7に記載の元素検出装置。
(付記7)
試料から離脱した元素を検出し、前記元素の位置及び飛行時間を測定する元素測定装置であって、
気圧調整が可能であり、内部に前記試料が配置されるチャンバーと、
前記チャンバー内で前記試料と対向するように設置されており、前記試料から離脱した元素を検出する元素検出手段と、
前記試料にエネルギービームを照射する照射手段と、
前記エネルギービームが通過可能なレンズとを備え、
前記レンズ及び前記照射手段が、前記元素検出手段を挟んで前記試料の反対側に、且つ、前記元素検出手段に近い方から前記レンズ,前記照射手段の順に設置され、
前記レンズを通過したエネルギービームが、前記元素検出手段の外側から前記試料に向けて照射される
ことを特徴とする元素検出装置。
(付記8)
前記レンズを通過した複数のエネルギービームが集光して、前記試料に照射される
ことを特徴とする付記7に記載の元素検出装置。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の活用例としては、例えば、ガリウム砒素(GaAs)等についての不純物濃度の組成分析が典型的であるが、その他、ハード・ディスク装置(HDD)等に使用されるGMR素子についての多層薄膜積層構造等の3次元構造解析にも利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】は、本発明の実施例1に係る元素検出装置(3DAP)の概略構成を示す模式図である。
【図2】は、本発明の実施例1に係る元素検出方法を示すフローチャートである。
【図3】は、本発明の実施例2に係る元素検出装置(3DAP)の概略構成を示す模式図である。
【図4】は、本発明の実施例3に係る元素検出装置(3DAP)の概略構成を示す模式図である。
【図5】は、従来の一般的な3DAPの例である。
【図6】は、従来のレーザ光を使用した3DAPの例である。
【符号の説明】
【0050】
1…元素検出装置
10…チャンバー
11…試料
12a、12b…電源
13…位置敏感型検出器
13a…元素検知面
14…引出電極
15…気圧調節部
17…タイマー
19…孔
20…被測定部材
21…離脱イオン
23…照射手段
24…エネルギービーム
25、28…光ファイバー
26…光コネクタ
27…レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料から電界離脱した元素を元素検出手段により検出し、当該元素の位置及び飛行時間を測定する元素検出方法であって、
内部に前記試料が配置されるチャンバー内の気圧を調整するステップと、
前記元素検出手段に設けられた孔を通過したエネルギービームを前記試料に照射し、前記試料から元素を離脱させるステップと、
前記離脱した元素を前記元素検出手段により検出し、前記元素の位置及び飛行時間を測定するステップとを含む
ことを特徴とする元素検出方法。
【請求項2】
前記試料に前記エネルギービームを照射する前に、空洞を有する引出電極にバイアス電圧を印加するステップを更に備え、
前記エネルギービームが前記空洞内を通過して前記試料に照射される
ことを特徴とする請求項1に記載の元素検出方法。
【請求項3】
前記試料に照射される前記エネルギービームが光ファイバーの先端から出射される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の元素検出方法。
【請求項4】
試料から離脱した元素を検出し、前記元素の位置及び飛行時間を測定する元素検出装置であって、
気圧調整が可能であり、内部に前記試料が配置されるチャンバーと、
前記チャンバー内で前記試料と対向するように設置されており、前記試料から離脱した元素を検出する元素検出手段と、
前記試料にエネルギービームを照射する照射手段とを備え、
前記元素検出手段が、前記エネルギービームが通過可能な孔を有するとともに、前記照射手段が前記元素検出手段を挟んで前記試料の反対側に設置され、前記孔を通過したエネルギービームが前記試料に照射される
ことを特徴とする元素検出装置。
【請求項5】
試料から離脱した元素を検出し、前記元素の位置及び飛行時間を測定する元素測定装置であって、
気圧調整が可能であり、内部に前記試料が配置されるチャンバーと、
前記チャンバー内で前記試料と対向するように設置されており、前記試料から離脱した元素を検出する元素検出手段と、
前記試料にエネルギービームを照射する照射手段と、
前記エネルギービームが通過可能なレンズとを備え、
前記レンズ及び前記照射手段が、前記元素検出手段を挟んで前記試料の反対側に、且つ、前記元素検出手段に近い方から前記レンズ,前記照射手段の順に設置され、
前記レンズを通過したエネルギービームが、前記元素検出手段の外側から前記試料に向けて照射される
ことを特徴とする元素検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−242513(P2007−242513A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−65766(P2006−65766)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】