説明

充てん機中の塊流の温度制御

【課題】ソーセージの製造用の充てん機において、塊流が数個の部分を通過する充てん機内の塊流の温度制御のための方法及び充てん機を提供する。
【解決手段】充てん材料の温度を測定するため、注入ホッパー1上部、搬送メカニズム3内、充てん管4内など、充てん機の数個の部分に温度センサー7a〜を設ける。また、測定された温度に応じて、充てん材料の温度を制御する、加熱/冷却装置8a〜を、注入ホッパーの周囲、搬送メカニズム内、充てん管の中、など好ましくは2個以上設ける。そして、温度センサー7a〜の測定温度に応じて、加熱/冷却装置8a〜によって、魁材を所定の温度に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1及び14の導入部に記載した方法及び充てん機に関係する。
【背景技術】
【0002】
ソーセージの外被にペースト材料を充てんするこの種の充てん機はすでに知られている。特定の種類の充てん材料、例えば、ソーセージ原料などの処理中には、充てん材料の温度が全処理チェーンにおいて所定の温度を下回ったり、超えたりしないように確実にすることが求められる。充てん材料が所定の温度を下回ったり、超えたりすると、材料をさらに処理することができない。このため、現在のところ塊流の温度を取得しているが、所定の限度に達すると、作業員が処理に能動的に手動で介入しなければならない。ホッパーが加熱した状態であるとき、充てん材料がそこにある限り介入が行われることになる。充てん材料はもはや処理できないので、製造を中断し充てん材料を機械から取り除く必要さえあり得る。けれども、機械から充てん材料を排出するには、あるいは機械を清浄にするには、高い経費がかかり、それに対応してコストも増加する。したがって、既知の充てん機は予測的な対応を必要とする。その結果、作業員にはより高い集中が要求される。
【発明の開示】
【0003】
これに基づいて、本発明の目的は、温度に敏感なタイプの充てん材料をも経費を最小に抑えて処理することである。
【0004】
本発明によれば、この目的は請求項1及び請求項14の特徴によって達成される。
【0005】
塊材の温度が充てん機を構成する数個の部分において測定されることにより、塊流の温度を機械内の全滞留期間においてモニターし、制御し、最適化することができる。温度測定については数個の部分にアクセスするのは難しいので、温度を間接的に測定してもよい。この場合、塊材がそこを流れて通り抜ける構成要素の温度が測定される。したがって、製造中に充てん材料が受ける温度の影響を効果的に補正することができる。これは、充てん機から放散された熱、特に搬送メカニズムにおいて起こる塊材の内部摩擦、あるいは室温による温度影響といった温度の影響に対しても容易に対処可能であることを意味する。作業員が前もって予想して対応する必要はもはやなく、さらに処理にもはや介入しなくてもすむので、作業員の負担を大幅に軽減する。処理の信頼性が向上され、さらにダウンタイムの縮小により、より高い機械能力が得られる。
【0006】
本発明による処理では、吸引取り込み部、注入ホッパー、搬送メカニズム、及び充てん管を通過し、充てん管から排出される充てん材料の流れである塊流を所定の温度に制御することができる。また一方では、本発明の方法は、共押し出し塊流に対しても同様に利用可能である。
【0007】
有利な態様では、少なくとも注入ホッパーの部分または吸引取り込み部の部分で、及び搬送メカニズム内またはその後段で温度が測定される。吸引取り込み部はここでは、例えば、吸引管またはさらに、例えば、床取り付けホッパーなどの前段の容器を意味する。したがって、充てん機に塊材が入るときには温度制御はすでに首尾よく開始しているようにできる。温度をさらに搬送メカニズム内またはその後段で追加的に測定する場合は、内部摩擦の結果としての温度の影響も確実に取得して、うまく補正することができる。搬送メカニズムの後段は、例えば、搬送メカニズムの出口から続く部分にある、例えば、肉ミンチ機(例えば、取り付け型の肉挽き機)または充てん管などの部分を意味する。
【0008】
本発明によれば、所定の部分における温度を取得するだけでなく、適切な加熱/冷却装置を使用して、充てん機の一つまたは数個の部分における温度を所定の値に制御することができる。したがって、塊流の目標温度を大きな変動を伴わずに理想的に維持することができる。このようにして、処理の信頼性がさらに向上される。具体的には、ホッパー内またはそこでの塊材の温度、及び/または搬送メカニズムでの塊材の温度、及び/または肉ミンチ機での塊材の温度、及び/または充てん管での塊材の温度、及び/または吸引取り込み部内またはそこでの塊材の温度を加熱/冷却装置を活用して制御可能である。
【0009】
特にペースト状の塊材の準備中に、充てん機に送り込まれる前に塊材の温度を充てん機内で測定された温度に応じて設定することも可能である。したがって、塊材または充てん材料は充てん機に到着する前にしかるべく適した温度を呈することができるので、充てん機の加熱/冷却装置は温度を適切な目標値に制御し得る。これは、充てん機に直接設ける加熱/冷却装置の最大電力を引き下げ、サイズを小型化できるという利点をもつ。
【0010】
本発明によれば、個々の部分における温度制御は共通の加熱/冷却回路を通じてまたは少なくとも二つの別個の加熱/冷却回路を通じて発生し得る。共通の加熱/冷却回路はより簡易な構成をもつ。一方、別個の加熱/冷却回路、すなわち、異なる部分ごとに個別に設けた加熱/冷却回路は、各部分における塊材温度のさらに精度の高い制御を促進する。したがって、例えば、搬送メカニズム内にある塊材は、そこでは塊材がより大きな内部摩擦を受け、機械からより多くの放散熱を吸収するが、例えば充てん管やホッパー内にある場合よりも冷却の度合いを強めることができる。
【0011】
温度制御は、予想または測定された塊流の速度に応じて予測的に発生することが可能であり、この場合、加熱/冷却装置から出る冷却または加熱力が流速に応じて制御される。ここで、流速は測定されてもまたは入力されてもよい。これは、処理の開始時にすでに塊材の十分な温度制御を確実にするために、例えば、処理の始まりで流速が高いときは、加熱/冷却装置の加熱力または冷却力が低流速のときよりも高く初期設定されることを意味する。同様に、温度制御は、予想または測定された塊材の圧力に応じて予測的に発生することが可能であり、この場合、加熱/冷却装置から生じる冷却力または加熱力が塊材の圧力に応じて制御される。塊材の圧力は、搬送メカニズム内で生じる塊材の圧力である。塊材の圧力が高いときは、塊材の圧力が低いときよりも生産物はより大幅に加熱するが、これは加熱/冷却装置の適切な制御によって補正され得る。同様に、温度制御は、予想または測定された充てん機の消費電力量に応じて予測的に発生することが可能であり、この場合、加熱/冷却装置から生じる冷却力または加熱力が予想または測定された消費電力量に応じて制御される。
【0012】
本発明による方法を用いて、共押し出し装置がさらに備えられる場合、温度制御の対象となる塊流は共押し出し塊流であり、例えば、共押し出しホッパーなどの共押し出し塊材取り込みの部分における、及び/または共押し出し搬送メカニズムの部分における、及び/または共押し出しヘッドの部分における温度が測定される。塊材の温度は次に、これらの部分の少なくとも一つにおいて、加熱/冷却装置を用いて制御可能である。したがって、共押し出し塊材の塊流も、前述したように確実に処理することができる。
【0013】
本発明は、時間と位置に関して温度を記録することを促進する。このようなログは処理の信頼性を高め、さらに適切に規定された温度が維持されていることの確認を容易にする。
【0014】
本発明による充てん機は、充てん機の各部分に配置される数個の温度センサーと、塊材を加熱または冷却するための加熱/冷却装置と、測定した温度に応じて塊材の温度を制御する制御装置とを具備する。選択的に、温度を予想される温度に応じて制御することもできる。この場合、加熱/冷却装置は、注入ホッパー上に、及び/または搬送メカニズムに、及び/または充てん管に、及び/または吸引取り込み部に少なくとも部分的に配置することができる。充てん機が取り付け型の肉挽き機または肉ミンチ機をさらに具備する場合、加熱/冷却装置はここにも少なくとも部分的に配置することができる。これにより、各部分における温度が制御可能になる。有利な態様では、温度センサーが、注入ホッパーの部分または吸引取り込み部の部分に、及び搬送メカニズム内またはその後段に少なくとも配置される。数個の部分で加熱または冷却を行う充てん機の加熱/冷却装置は、これらの部分に対して共通の冷却または加熱回路を有することができる。加熱/冷却装置は、別個の冷却または加熱回路をそれぞれもつ数個の独立したユニットを有することもできる。
【0015】
好適な実施形態によれば、装置は共押し出し塊材取り込み、搬送メカニズム、及び共押し出しヘッドなどの数個の部分をもつ共押し出し装置を具備し、温度センサーが共押し出し装置の数個の部分に配置される。したがって、共押し出し塊流も、前述したように所定の温度に正確に制御することが可能であり、この場合、共押し出し装置の各部分における様々な影響を考慮に入れることができる。加熱/冷却装置は、共押し出し装置の少なくとも一つの部分に配置することもできる。
【0016】
さらに、本発明による充てん機は、好ましくは、測定した温度を時間と位置に関して記録するための装置を具備する。
【0017】
さらに、本発明によれば、ある一つのまたは複数の部分で測定される温度を別の一つのまたは複数の部分における温度制御にも含めることができる。したがって、様々な部分における様々な温度影響を考慮に入れる、予測的な温度制御が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図面を参照して、本発明を以下にさらに詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明による充てん機100の一実施形態を示す。充てん機100は、 例えば、負圧を発生させることができる真空ホッパーなどの注入ホッパー1を具備する。さらに、充てん機100は吸入管2を備え、これを通じて、ペースト状の塊材―以下では充てん材料とも言う―を注入ホッパー1へ送り込むことができる。吸入管2は、充てん材料の吸引取り込み部の一部である。前段の床取り付けホッパー16も吸引取り込み部に含まれ得る。さらに、充てん機は、円錐形状をした注入ホッパー1の下端に配置される搬送メカニズム3も備える。よく知られた方式では、この種の搬送メカニズム3は、例えば、ベーン・ポンプまたはスクリュー・コンベヤを備え、これが充てん材料を注入ホッパー1から充てん管4の方向へ押し出し、それにより充てん材料が充てん管4を通じてソーセージ外被に押し込まれる。
【0020】
本発明による充てん機 100は、したがって、数個の部分、すなわち、前に説明した吸引取り込み部2、注入ホッパー1、搬送メカニズム3及び搬送メカニズム3の後に配置された、例えば、充てん管4などの部分を有する。
【0021】
図2に示した実施形態は、図1に示した実施形態と同等のものであるが、ただし肉ミンチ機5が搬送メカニズムの出口に配置されており、明瞭さのために吸引取り込み部は図から省かれている。
【0022】
本発明によれば、温度センサー7が、充てん機100の数個の部分にそれぞれ備えられる。図1では、例えば、温度センサー7aが注入ホッパー1の上部に配置され、さらに搬送メカニズム3内の充てん材料の温度を測定する温度センサー7bがあり、充てん管4内の充てん材料の温度をここで測定する温度センサー 7cもある。
【0023】
図1及び2でわかるように、代替的にまたは追加的に、注入ホッパー1の吸引取り込み部2、例えば、吸入管2において、または床取り付けホッパー16において適当な温度センサー7e、7hによって温度を測定することもできる。図示しないが、肉ミンチ機5においても温度を測定してもよい。
【0024】
さらに、本発明による充てん機は、充てん材料の温度を所定の目標値または目標値範囲に閉ループ制御することを可能にする、加熱/冷却装置8を備える。加熱/冷却装置8は、充てん機100の数個の部分に配置される。図1に示した実施形態では、加熱/冷却装置の一部8aが 、注入ホッパー1の周囲、すなわち、その外壁の周りに配置される。加熱/冷却装置の一部8bは、搬送メカニズム3内の充てん材料を冷却するように配置される。さらに加熱/冷却装置の一部8cが、充てん管4中の充てん材料を加熱または冷却できるように充てん管4上に配置される。さらに、加熱/冷却装置8dが、吸引取り込み部、すなわち吸引管及び/または床取り付けホッパー16の周囲に配置される。好ましくは、加熱/冷却装置8は少なくとも2個の部分に備えられる。
【0025】
加熱/冷却装置8は、例えば、連続流熱交換器などの 熱交換器として形成され、また対応する加熱または冷却セット11を備える。
【0026】
図2に示すように、充てん機100が肉ミンチ機5を有する場合、前記ミンチ機も対応する加熱/冷却装置8iを有することができる。
【0027】
充てん機100はさらに、温度センサー7によって測定された温度に応じて充てん材料の温度を制御する閉ループ制御装置6を有する機械制御部12を具備する。さらに、本発明による充てん機は、測定された温度を時間と位置に関して連続的に記録するための装置10を具備する。記録化ためのこの種の装置は、記憶媒体及び/または測定ログをプリントアウトするための適当なプリンタを有することができる。図1に示した実施形態では、加熱/冷却装置8は、部分8a、8b、8cにおいて充てん材料を加熱または冷却し、これらの部分に対して共通の冷却回路または加熱回路が備えられる。つまり、これらの部分は予め決められた共通の温度に加熱または冷却される。
【0028】
しかし、加熱/冷却装置が、より精度の高い適応を促進する、互いに別個の冷却または加熱回路をそれぞれ備える数個の相互に依存しないユニット8a、b、cを有することも可能である。
【0029】
構造上の事情により、吸引取り込み部の領域にある加熱/冷却装置8dは、領域8a、b、cから離れている。
【0030】
さらに、本発明による充てん機は、充てん材料の圧力測定用のセンサー9並びに充てん機の電力消費量を測定するための装置15を有することができる。
【0031】
製造中に、充てん材料は様々な温度の影響を受ける。こうした影響は、充てん機からの放散熱、充てん材料の内部摩擦及び室温による温度影響があり得る。一方、例えば、ソーセージ原料などの特定の種類の充てん材料の処理中には、全処理チェーンにおいて充てん材料の温度が所定の温度を超えないように注意する必要がある。同じくソーセージ外被に充てんされるチーズの処理中には、充てん材料温度が、例えば、所定の温度より下がってはならない。これを確実にするために、本発明による方法に従うと、充てん機100の数個の部分にある温度センサー7によって温度が測定される。閉ループ制御装置6では、しかるべき取得された温度は次に、処理対象の製品に応じて前もって入力された対応する目標値と比較される。測定された温度に応じて、すなわち、目標値とセンサー検出値の比較に応じて、次に充てん材料の温度が、加熱/冷却装置8によって所定の温度に制御される。充てん材料温度が数個の部分で測定されて、さらに充てん材料の自動的な加熱または冷却が数個の部分で発生することにより、塊流の温度を大きな変動を伴わずに理想的な方法で維持することができる。充てん機内の一体的な閉ループ制御回路により、充てん機内の全滞留期間中の塊流の温度をモニターし、制御し、最適化することができる。したがって、温度に敏感なタイプの充てん材料でも確実に処理することができる。
【0032】
特にペースト状の塊材の処理中に、充てん機に送り込まれる前に充てん材料の温度を充てん機100において測定された温度に応じて設定することも可能である。これは、ホッパー1に送り込まれる時点で充てん材料はすでに所定の予め設定された適切な温度になっているので、加熱/冷却装置が大きな変動を伴わずに充てん材料を所定の目標温度範囲に迅速に加熱または冷却することができるという利点をもつ。これを実現するために、閉ループ制御装置6は、例えば、充てん機に送り込まれる前に充てん材料を加熱または冷却する加熱/冷却装置に接続され得る。また一方、充てん機に送り込まれる前に充てん材料がなっているはずの温度または温度範囲を図示されない表示部に表示することも可能である。
【0033】
本発明によれば、所定のパラメータに応じて温度制御を予測的に実現することも可能であり、この場合、加熱/冷却装置8またはその加熱/冷却セット11の冷却または加熱力がこれらのパラメータに応じて制御される。つまり、加熱/冷却装置の冷却または加熱力が、例えば、搬送メカニズム3内の圧力測定装置9によって測定され得る充てん材料の圧力に応じて制御可能である。充てん材料の圧力が高いときは、内部摩擦により充てん材料が相当加熱することが予想されるので、例えば、加熱/冷却装置8の冷却力を比較的高くする必要がある。また一方、予想される充てん材料の圧力を適切な入力ユニットを介して入力することもできる。加熱/冷却装置8の冷却力または加熱力は、流速に応じて制御することも可能であり、この場合も同様に流速を入力または測定可能である。例えば、高流速のときには、低流速の場合よりも冷却を強めなければならないから、処理の開始時にすでに冷却力または加熱力を適切な値に制御することができる。温度制御は、予測されたまたはセンサー15によって測定された充てん機の電力消費量に応じて予測的に実現することもできる。この場合、加熱/冷却装置8の冷却または加熱力が、予測または測定された電力消費量に応じて閉ループ制御される。機械の電力がより高いときは、充てん材料はより大幅に加熱するため、例えば、冷却力を高くする必要がある。
【0034】
本発明によれば、ある部分または複数の部分で測定される温度を他の部分における温度制御のために含めることができる。
【0035】
図3は、本発明による方法のための可能な機能ブロック図を示す。図3からわかるように、測定された温度値、ここでは例として3個の温度値が閉ループ制御装置6に送られる。測定された温度は対応する目標値Sと比較される。先に説明したように、流速及び/または充てん材料圧力及び/または機械電力をさらなる制御パラメータとして含めることができる。閉ループ制御装置6が、次に、加熱/冷却装置8またはその加熱/冷却セット11を制御する。冷却または加熱装置8が、次に、充てん材料を適切な目標値または目標値範囲に冷却または加熱する。これを実現するために、例えば、熱交換器媒体の温度、流速等が調整可能とされる。図3には、充てん機100の各部分に対応する加熱/冷却装置8用の共通の加熱/冷却回路がある。
【0036】
図4に示すように、また一方では、各部分に対応する加熱/冷却装置の各ユニット8a、b、c、d用に別個の加熱/冷却回路を使用することもできる。このようにした場合には、充てん材料の温度はより高い精度で調整可能となり、この場合、充てん材料がより大きな温度の影響を受ける部分では、それに対応して加熱または冷却を強めたり弱めたりすることができる。だから、不必要に大きな温度変動を防ぐことができる。個々の加熱/冷却回路による充てん材料温度の閉ループ制御は、ここではいずれの場合にも、少なくとも一つの測定された温度に応じて実現される。
【0037】
なお、数個の、ここでは3個の互いに独立した閉ループ制御回路をそれぞれの部分における充てん材料温度を制御するために使用することができる。このようにした場合には、それぞれの制御部はそれぞれ独自の目標値をとる。これに伴い、加熱/冷却装置8の対応するユニットは、同様に、別々に制御可能である。
【0038】
さらにまた、数個のユニット8a、8b、8cが、図3で説明したように、共通の加熱/冷却回路をもち、一方、例えば8dなどの一つまたは数個の他のユニットは、図4で説明したように、別個の加熱/冷却回路をもつようにしてもよい。
【0039】
図5は、本発明によるさらに別の可能な実施形態を示す。図5からわかるように、充てん機はいわゆる共押し出し装置21をも有する。この種の共押し出し装置は、充てん管4から排出されたペースト状の塊材の回りにペースト状の塊材を排出するために使用される。このように、例えば、ソーセージ外被を充てん材料にかぶせることができ、または第二のペースト状の塊材、すなわち、第二の充てん材料を充てん管4から排出された内側の充てん材料にかぶせることができる。この種の共押し出し装置は、よく知られた方式では、ペースト状の塊材―以下では共押し出し塊材と称する―を供給するための装置を具備する。ここで、装置18は 注入ホッパーとして形成される。さらに、共押し出し装置21は、例えば 、ベーン・ポンプまたはギア・ポンプの形態の搬送メカニズム19を備える。最後に、共押し出し装置21 は、共押し出し塊材を排出するための共押し出しヘッド17を備える。図1及び図2に関連して説明した塊流とまさに同じく、この共押し出し塊流は、外部温度、充てん機からの放散熱、充てん材料の内部摩擦等の同様のパラメータによって影響を受ける。このため、充てん機は、数個の部分、すなわち、注入ホッパー、搬送メカニズム及び共押し出しヘッドのうち少なくとも二つにおいて、一つまたは数個のこの塊流の温度センサー7f、7g、7hをもここでは有する。また、共押し出し装置21は、それぞれの部分のうちの少なくとも一つにおいて適切な加熱/冷却装置8f、8g、8hをも有する。第一の塊流に関連して述べたように、充てん機は、これらの部分において別個の対応する加熱/冷却回路8f、8g、8hをそれぞれもつ別個の加熱/冷却装置を有してもよいし、または数個の部分に対して一つの加熱/冷却回路を有してもよい。その他の点は、共押し出し塊材の塊流に関係するこの実施形態は、充てん管4を通じて排出される塊材に関連して説明された実施形態と同様である。これは、具体的には、図3及び4に示した閉ループ制御方法、並びに充てん機の予想または測定された電力消費量または搬送メカニズム19内で測定された塊材圧力または共押し出し塊材の予想流速に応じた予測的な温度制御に関する。
【0040】
図5に示した実施形態では、第一の塊流の温度と共押し出し塊流の温度は、互いに分離して制御され、それぞれ適切な目標温度に制御される。しかし、二つの異なる塊流の制御を相互に依存するように行うことも可能である。
【0041】
本発明によれば、全充てん処理中に作業員の手動での介入を必要とせずに、適切な温度限度を維持できることを確実にすることができる。したがって、処理の信頼性を大幅に向上させることができる。ダウンタイムの縮小により、ひいては機械能力を向上させることができる。作業員の負担を軽減し、継続的な記録化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による充てん機の一実施形態を概略的に示す。
【図2】本発明のさらに別の実施形態を概略的に示す。
【図3】本発明による方法の一実施形態の機能ブロック図を概略的に示す。
【図4】本発明による方法のさらに別の実施形態の機能ブロック図を概略的に示す。
【図5】本発明によるさらに別の実施形態を概略的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充てん機(100)を構成する数個の部分を塊流が通過する場合の、ソーセージの製造用の前記充てん機(100)内の少なくとも一つの塊流の温度制御のための方法であり、
前記充てん機(100)の数個の部分における塊材の温度または塊材が流れて通り抜ける構成要素の温度を測定し、測定された温度に応じて、前記塊材の温度を加熱/冷却装置(8)によって所定の温度に制御することを特徴とする方法。
【請求項2】
注入ホッパー(1)の部分または吸引取り込み部(2、16)の部分で、及び搬送メカニズム(3)内またはその後段で少なくとも温度を測定することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記搬送メカニズム (3)の後段に配置される肉ミンチ機(5)内またはその後段で温度が測定されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
充てん機(100)の一つまたは数個の部分における塊材の温度を所定の温度に制御することを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記ホッパー(1)内またはそこでの前記塊材の温度、及び/または前記搬送メカニズム(3)上の前記塊材の温度、 及び/または前記肉ミンチ機(5)での前記塊材の温度、及び/または充てん管(4)での前記塊材の温度、及び/または前記吸引取り込み部(2、16)内またはそこでの塊材の温度を加熱/冷却装置(8)を活用して制御可能であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
特にペースト状の前記塊材の準備中に、前記充てん機に送り込まれる前に前記塊材の温度を前記充てん機(100)内で測定された温度に応じて設定することを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
個々の部分における温度制御は共通の加熱/冷却回路を通じてまたは少なくとも二つの別個の加熱/冷却回路を通じて発生し得ることを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の方法。
【請求項8】
温度制御は、予想または測定された塊流の速度に応じて予測的に発生し、前記加熱/冷却装置(8)から生じる冷却力または加熱力が流速に応じて制御されることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
温度制御は、予想または測定された塊材の圧力に応じて予測的に発生し、前記加熱/冷却装置から生じる冷却力または加熱力が塊材の圧力に応じて制御されることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
温度制御は、予想または測定された充てん機の消費電力量に応じて予測的に発生し、加熱/冷却装置から生じる冷却力または加熱力が予想または測定された消費電力量に応じて制御されることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記塊流は共押し出し塊流であり、共押し出し塊材取り込み(18)の部分における、及び/または共押し出し搬送メカニズム(19)の部分における、及び/または共押し出しヘッド(17)の部分における温度が測定されることを特徴とする、請求項1、請求項4、請求項7から請求項10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記共押し出し塊材取り込み(18)での塊材の温度、及び/または前記共押し出し搬送メカニズム(19)での前記塊材の温度、及び/または前記共押し出しヘッド(17)での前記塊材の温度が前記加熱/冷却装置(8e)を介して制御されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
測定された温度は、時間と位置に関して記録されることを特徴とする、請求項1から請求項12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
吸引取り込み部(2、16)、注入ホッパー (1)、搬送メカニズム(3)、及び充てん管(4)を含む数個の適切な部分を通過する、少なくとも一つのペースト状の塊材からソーセージを製造するための充てん機(100)であり、
充てん機(100)の各部分に配置される一つまたは数個の温度センサー(7)と、
塊材を加熱または冷却するための加熱/冷却装置(8)と、
測定した温度に応じて塊材の温度を制御する制御装置(6)と
を特徴とする充てん機。
【請求項15】
前記加熱/冷却装置(8)は、前記注入ホッパー(1)にまたはその中に、及び/または前記搬送メカニズム(3)に、及び/または充てん管(4)に、及び/または前記吸引取り込み部(2、16)に少なくとも部分的に配置されることを特徴とする、請求項14に記載の充てん機。
【請求項16】
前記充てん機(100)は肉ミンチ機(5)をさらに具備し、前記加熱/冷却装置は肉ミンチ機の周囲に少なくとも部分的に配置されることを特徴とする、請求項14または請求項15に記載の充てん機。
【請求項17】
前記温度センサー(7)が、前記注入ホッパー(1)の部分または前記吸引取り込み部(2、16)の部分に、及び前記搬送メカニズム(3)内またはその後段に少なくとも配置されることを特徴とする、請求項14から請求項16のいずれかに記載の充てん機。
【請求項18】
前記加熱/冷却装置(8)は、一つまたは数個の部分で前記充てん機(100)を加熱または冷却し、これらの部分に対して共通の冷却または加熱回路を有することを特徴とする、請求項14から請求項17のいずれかに記載の充てん機。
【請求項19】
前記加熱/冷却装置(8)は、別個の冷却または加熱回路をそれぞれもつ数個の独立したユニット(8a、8b、8c)を有することを特徴とする、請求項14から請求項18のいずれかに記載の充てん機。
【請求項20】
前記装置は、共押し出し塊材取り込み(18)、搬送メカニズム(19)、及び共押し出しヘッド(17)などの数個の部分からなる共押し出し装置(21)をさらに具備し、温度センサー(7f、7g、7h)が共押し出し装置(21)の数個の部分に配置されることを特徴とする、請求項14、請求項18または請求項19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
前記加熱/冷却装置(8)は、前記共押し出し塊材取り込み(18)に、及び/または前記共押し出し搬送メカニズム(19)に、及び/または前記共押し出しヘッド(17)に配置されることを特徴とする、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記充てん機は、測定された温度を時間と位置に関して連続的に記録するための装置(10)を具備することを特徴とする、請求項14から請求項21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
温度は、前記充てん機(100)のある一つのまたは複数の部分で測定されて、別の一つのまたは複数の部分における温度制御に含まれることを特徴とする、請求項1から請求項13のいずれかに記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−295451(P2008−295451A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−138521(P2008−138521)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(503209940)アルベルト ハントマン マシネンファブリク ゲーエムベーハー ウント ツェーオー.カーゲー (18)
【Fターム(参考)】