説明

充填機及び充填監視方法

【課題】プレッシャローラの状態を監視することができ、包材、ストリップテープ等の内周面に損傷が受けたり、貼り付いた樹脂が包材内に落下して流動性食品の品質が低下することがないようにする。
【解決手段】搬送される包材11の縦シール部分の合せ面より内方において、回転自在に配設された第1の回転体と、包材11を挟んで、第1の回転体と対向させて、回転自在に配設された第2の回転体と、第1、第2の回転体の少なくとも一方の回転に伴って、回転検出信号を発生させる回転検出信号発生部と、回転検出信号を読み込み、第1、第2の回転体の少なくとも一方の回転異常を検出する監視処理手段とを有する。回転検出信号に基づいて第1、第2の回転体の少なくとも一方の回転異常が検出されるので、包材11、ストリップテープ等の内周面に損傷を与えたり、貼り付いた樹脂が包材11内に落下して流動性食品の品質を低下させたりすることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填機及び充填監視方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、食品、例えば、茶、ジュース、スープ、アルコール類等の流動性を有する食品、すなわち、流動性食品を収容する包装容器を製造する場合、ウェブ状、板状等の包材が使用され、該包材の所定の箇所がヒートシール、超音波シール等の手法によってシールされることにより、包装容器が形成されるようになっている。例えば、ウェブ状の包材を使用する場合、充填(てん)機において、前記包材をチューブ状にし、包材の内側からストリップテープを押し当てて縦シール装置によって縦方向にシールした後、チューブ状の包材の中に液体食品を充填しながら、所定の間隔で横シール装置によって横方向にシールして切断し、枕(まくら)状の原型容器を形成し、該原型容器を更に所定の形状に成形して包装容器を完成させるようにしている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ところで、前記従来の充填機においては、チューブ状の包材の搬送方向における縦シール装置より下流側において、縦方向にシールされた直後の包材の内側に、縦シール部分を押さえるプレッシャローラが回転自在に配設され、前記包材の外側に、前記プレッシャローラと対向させて、プレッシャローラによる押圧力を受けるカウンタローラが回転自在に配設されるようになっている。したがって、包材が搬送されるのに伴って、前記プレッシャローラ及びカウンタローラが包材及びストリップテープを挟んだ状態で回転させられ、縦シール部分の合せ面及びストリップテープの貼着面を密着させるようになっている。
【特許文献1】特開2001−18909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の充填機においては、縦シール装置によって包材、ストリップテープ等が加熱されるので、包材、ストリップテープ等の最内層を構成する樹脂、例えば、ポリエチレン樹脂等がプレッシャローラの外周面に貼り付くことがある。その場合、プレッシャローラに抵抗が加わって、該プレッシャローラの回転速度が低くなり、包材、ストリップテープ等の内周面が損傷を受けたり、貼り付いた樹脂が包材内に落下して、流動性食品の品質が低下してしまうことがある。
【0005】
本発明は、前記従来の充填機の問題点を解決して、プレッシャローラの状態を監視することができ、包材、ストリップテープ等の内周面が損傷を受けたり、貼り付いた樹脂が包材内に落下して流動性食品の品質が低下することがない充填機及び充填監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明の充填機においては、搬送される包材の縦シール部分の合せ面より内方において、回転自在に配設された第1の回転体と、前記包材を挟んで、前記第1の回転体と対向させて、回転自在に配設された第2の回転体と、前記第1、第2の回転体の少なくとも一方の回転に伴って、回転検出信号を発生させる回転検出信号発生部と、前記回転検出信号を読み込み、第1、第2の回転体の少なくとも一方の回転異常を検出する監視処理手段とを有する。
【0007】
本発明の他の充填機においては、さらに、前記第1の回転体は、永久磁石を備えたプレッシャローラである。そして、前記第2の回転体はカウンタローラである。また、前記回転検出信号発生部は、永久磁石の移動に伴って回転検出信号を発生させる。
【0008】
本発明の充填監視方法においては、包材を搬送し、包材の縦シール部分の合せ面より内方において、包材の搬送に伴って第1の回転体を回転させ、包材の搬送に伴って、前記包材を挟んで、前記第1の回転体と対向させて配設された第2の回転体を回転させ、前記第1、第2の回転体の少なくとも一方の回転に伴って発生させられる回転検出信号を読み込み、第1、第2の回転体の少なくとも一方の回転異常を検出する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、充填機においては、搬送される包材の縦シール部分の合せ面より内方において、回転自在に配設された第1の回転体と、前記包材を挟んで、前記第1の回転体と対向させて、回転自在に配設された第2の回転体と、前記第1、第2の回転体の少なくとも一方の回転に伴って、回転検出信号を発生させる回転検出信号発生部と、前記回転検出信号を読み込み、第1、第2の回転体の少なくとも一方の回転異常を検出する監視処理手段とを有する。
【0010】
この場合、第1、第2の回転体の少なくとも一方の回転に伴って発生させられた回転検出信号に基づいて、第1、第2の回転体の少なくとも一方の回転異常が検出されるので、包材、ストリップテープ等の内周面が損傷を受けたり、貼り付いた樹脂が包材内に落下して流動性食品の品質が低下することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図2は本発明の実施の形態における充填機の概念図である。
【0013】
図に示されるように、ウェブ状の包材11は、リール31の状態でカセット32に収容され、該カセット32を介して充填機の図示されない送出部にセットされる。前記包材11は、紙基材、及び該紙基材の両面に樹脂としてのポリエチレン樹脂のフィルムが被覆された可撓性の積層体から成り、必要に応じて紙基材とフィルムとの間にアルミニウム箔、ガスバリヤ性樹脂等から成るバリヤ層が形成され、包装容器33の表面に相当する部分にあらかじめ外装用の印刷が施される。
【0014】
前記送出部から繰り出された包材11は、搬送手段としての図示されない送り装置によって間欠的に搬送され、ベンディングローラr1、ダンパローラr2等を経て、ストリップテープ貼着装置40に送られ、該ストリップテープ貼着装置40によって包材11の一方の縁部に沿ってストリップテープ34が貼着される。続いて、包材11は、ベンディングローラr3、r4を経て用紙テンショナ35に送られた後、ベンディングローラr5に送られる。その間に、包材11は、パンチ装置36によって穴開加工が施されてパンチ穴が形成され、インナテープ貼着装置37によってインナテープ38が貼着されて前記パンチ穴が内側からシールされ、プルタブ貼着装置41 によってプルタブ42が貼着されてパンチ穴が外側からシールされる。
【0015】
続いて、包材11は、用紙テンショナ43及びベンディングローラr6、r7を経て殺菌槽61に送られ、該殺菌槽61において過酸化水素等の殺菌液によって殺菌される。なお、62は殺菌槽61の底部トレイである。
【0016】
その後、包材11は、カレンダローラr8を介してエアナイフ45に送られ、該エアナイフ45によって乾燥させられた後、ベンディングローラr9、クリースローラr10及びベンディングローラr11を介してアッパ成形リング48に送られる。そして、前記包材11は、アッパ成形リング48、可動成形リング49、分割成形リング50及びロワ成形リング51によって徐々に変形させられてチューブ状の形状にされ、その間に、包材11は縦シール装置55によって縦方向にシールされ、充填パイプ52を介して供給された流動性食品が包材11内に充填される。
【0017】
そして、前記流動性食品が充填された前記包材11は、包材11の搬送方向における縦シール装置55より下流側に配設された押圧案内装置64に送られる。該押圧案内装置64は、搬送される包材11の縦シール部分の合せ面側に配設された第1の回転体としての図示されないプレッシャローラ、及び包材11を挟んで前記プレッシャローラと対向させて配設された第2の回転体としてのカウンタローラ66を備え、包材11の搬送に伴って、縦シール部分の合せ面及びストリップテープ34の貼着面を密着させるようになっている。
【0018】
続いて、包材11は、チューブ支持ローラr12によって案内され、シール・切断部p1に送られ、該シール・切断部p1において、図示されないシール・切断装置によって挟まれ、所定の間隔ごとに横方向にシールされ、切断されて枕状の原型容器23が形成される。そして、該原型容器23は、最終成形搬送装置58によって搬送されるとともに、所定の形状に成形され、一定量の流動性食品を収容する包装容器33が完成する。
【0019】
次に、前記押圧案内装置64について詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明の実施の形態における押圧案内装置の監視方法を示す概念図、図3は本発明の実施の形態におけるプレッシャローラの取付状態を示す図、図4は本発明の実施の形態における押圧案内装置の概略図である。
【0021】
図において、11は包材、52は支持部材として機能する充填パイプ、65は縦方向にシールされた直後の包材11の縦シール部分の合せ面側において、支持機構部68によって支持され、縦シール部分を押さえる第1の回転体としてのプレッシャローラである。前記支持機構部68は、充填パイプ52の所定の箇所に取り付けられたブラケット69、該ブラケット69から下方に延在させて配設された付勢部材としてテンションロッド71、該テンションロッド71の中間部分において充填パイプ52に取り付けられ、テンションロッド71を支持する支持部材72、前記テンションロッド71の先端(図4において下端)に取り付けられ、プレッシャローラ65を矢印A方向に回転自在に支持する回転支持部73等を備え、前記テンションロッド71は、所定の付勢力で包材11を径方向外方に向けて押す。
【0022】
また、66は前記包材11を挟んで、前記プレッシャローラ65と対向させて配設され、プレッシャローラ65による押圧力を受ける第2の回転体としてのカウンタローラであり、該カウンタローラ66は、支持部75によって充填機のフレームに対して矢印B方向に回転自在に支持される。
【0023】
したがって、包材11が矢印C方向に搬送されるのに伴って、前記プレッシャローラ65及びカウンタローラ66が包材11及びストリップテープ34(図2)を挟んだ状態で回転させられ、縦シール部分の合せ面及びストリップテープ34の貼着面を密着させる。
【0024】
ところで、縦シール装置55によって包材11がシールされる際に、包材11、ストリップテープ34等が加熱されるので、包材11、ストリップテープ34等の最内層を構成するポリエチレン樹脂等の樹脂がプレッシャローラ65の外周面に貼り付くことがあり、その場合、プレッシャローラ65に抵抗が加わり、該プレッシャローラ65の回転速度が低くなる。
【0025】
そして、その状態を放置しておくと、包材11、ストリップテープ34等の内周面が損傷を受けたり、貼り付いた樹脂が包材11内に落下して流動性食品の品質が低下してしまうことがある。
【0026】
そこで、前記プレッシャローラ65内の外周面の近傍、又は外周面に臨ませて、円周方向の複数箇所に永久磁石81が、N極及びS極を交互に外側に向けて配設される。また、前記カウンタローラ66を中空体で形成し、カウンタローラ66内の包材11と対向する側の所定の箇所に、前記プレッシャローラ65と近接させて、検出部としての、かつ、回転検出信号発生部としての磁気センサ72を配設し、前記充填機のフレームに固定する。前記磁気センサ72は、例えば、ホール素子等によって形成される。そして、前記プレッシャローラ65が回転させられるのに伴って、磁気センサ72と対向する箇所に各永久磁石81のN極及びS極が移動し、前記磁気センサ72は、周期的に変化する回転検出信号を発生させて出力し、制御部73に送る。
【0027】
ところで、プレッシャローラ65に抵抗が加わらず、プレッシャローラ65が正常に回転させられている場合には、包材11が搬送されるのに伴って、包材11の搬送速度とプレッシャローラ65の周速度とは等しく、前記回転検出信号は、一定の周期でピーク値を発生させる。これに対して、プレッシャローラ65に抵抗が加わり、プレッシャローラ65が正常に回転させられなくなると、包材11が搬送されるのに伴って、包材11の搬送速度とプレッシャローラ65の周速度とは等しくならず、前記ピーク値が発生する周期が変動する。
【0028】
そこで、前記制御部73の監視処理手段は、監視処理を行い、プレッシャローラ65が正常に回転させられているときの回転検出信号を基準信号として記録装置74に記録し、その後、所定のタイミングで回転検出信号を読み込み、該回転検出信号と基準信号とを比較して、プレッシャローラ65が正常に回転させられているかどうかを判断する。
【0029】
そして、該プレッシャローラ65が正常に回転させられていない場合、前記監視処理手段は、プレッシャローラ65の回転異常を検出し、制御部73の報知処理手段は、報知処理を行い、アラーム信号を発生させて警報装置75に送り、操作者に異常の発生を報知する。
【0030】
本実施の形態においては、プレッシャローラ65に永久磁石81が配設され、磁気センサ72はプレッシャローラ65が回転し、永久磁石81が移動するのに伴って回転検出信号を発生させるようになっているが、カウンタローラ66に永久磁石を配設し、所定の位置に磁気センサを配設し、カウンタローラ66が回転し、永久磁石が移動するのに伴って磁気センサによって回転検出信号を発生させるようにすることができる。さらに、プレッシャローラ65及びカウンタローラ66の両方に永久磁石を配設することもできる。
【0031】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態における押圧案内装置の監視方法を示す概念図である。
【図2】本発明の実施の形態における充填機の概念図である。
【図3】は本発明の実施の形態におけるプレッシャローラの取付状態を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態における押圧案内装置の概略図である。
【符号の説明】
【0033】
11 包材
65 プレッシャローラ
66 カウンタローラ
72 磁気センサ
73 制御部
81 永久磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)搬送される包材の縦シール部分の合せ面より内方において、回転自在に配設された第1の回転体と、
(b)前記包材を挟んで、前記第1の回転体と対向させて、回転自在に配設された第2の回転体と、
(c)前記第1、第2の回転体の少なくとも一方の回転に伴って、回転検出信号を発生させる回転検出信号発生部と、
(d)前記回転検出信号を読み込み、第1、第2の回転体の少なくとも一方の回転異常を検出する監視処理手段とを有することを特徴とする充填機。
【請求項2】
(a)前記第1の回転体は、永久磁石を備えたプレッシャローラであり、
(b)前記第2の回転体はカウンタローラであり、
(c)前記回転検出信号発生部は、永久磁石の移動に伴って回転検出信号を発生させる請求項1に記載の充填機。
【請求項3】
(a)包材を搬送し、
(b)該包材の縦シール部分の合せ面より内方において、包材の搬送に伴って第1の回転体を回転させ、
(c)前記包材の搬送に伴って、包材を挟んで、前記第1の回転体と対向させて配設された第2の回転体を回転させ、
(d)前記第1、第2の回転体の少なくとも一方の回転に伴って発生させられる回転検出信号を読み込み、第1、第2の回転体の少なくとも一方の回転異常を検出することを特徴とする充填監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−168814(P2006−168814A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−366750(P2004−366750)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】