説明

充填物の打設方法及び打設装置

【課題】モルタルやコンクリート等の充填物の打設の際に充填物の充填を簡単な構成で確実に管理可能な充填物の打設方法及び打設装置を提供する。
【解決手段】充填物M及び水をそれぞれ検知する複数個の充填物検知センサ11〜14をトレミー管20の軸方向に離れるように取付け、トレミー管20の充填物吐出口20aに最も近い充填物検知センサ11が充填空間S内に打設された充填物Mを常に検知するように充填物Mの打設を行い、充填物Mを打設する間に充填物検知センサ11〜14により充填空間S内における充填物Mの打設高さを計測することで所定量の充填物Mが充填されたことを検知した後に、トレミー管20を上方に上昇させて充填物Mの打設を続け、トレミー管20の高さ位置をリアルタイムに計測し、複数個の充填物検知センサ11〜14の内で充填物を検知した位置とトレミー管20の高さ位置とに基づいて充填物打設高さを計測して充填物Mの打設を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モルタルやコンクリート等の充填物の打設の際に充填物の充填を管理する充填物の打設方法及び打設装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の遮水鋼管矢板を連結する遮水鋼管矢板継手内にモルタルを打設する際に、モルタルの充填管理として継手内空断面積と継手管長さから継手内体積を算出し、この体積値を目安にしてモルタルの充填量に基づいて管理していた。
【0003】
特許文献1は、水中コンクリート打設用のトレミー管の先端部に複数の温度センサを取り付け、水中に打設したコンクリート温度を検知し、そのコンクリート温度と水温との温度差に基づいてトレミー管の先端とコンクリートとの位置関係を求めることを開示する。
【0004】
特許文献2は、トレミー管の下端近傍に、打設した固化処理土の表面位置を検出するセンサを装備することで、打設した固化処理土表面位置とトレミー管の下端との位置関係を検知し、また、トレミー管の下端に打設している固化処理土の側方への流れを検出するセンサを装備することで、トレミー管の下端が打設した固化処理土の表面から内部にまで挿入されているか否かを検知し、更に、トレミー管内の下方に固化処理土の流下を制御する流路開閉用バルブを装備すると共にトレミー管の重量を計測する荷重計を装備することで固化処理土のトレミー管内への供給量が適切であるか否かを知ることができることを開示する。
【0005】
特許文献3は、光ファイバー温度センサを管理場所からトレミー管の先端部まで延ばして配置し、光ファイバー温度センサにより、対象部位内の泥水とコンクリートとの温度差により、それらの境界部位を検知し、この境界部位に基づいてトレミー管の深さを調整しながらコンクリートの打設を行うことを開示する。
【特許文献1】特公平04−28853号公報
【特許文献2】特開2001−355236号公報
【特許文献3】特開平09−59982号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
遮水鋼管矢板を水中(海中)に設置する場合には、その継手内で水中にモルタルを打設することになり、水に起因するモルタルの分離防止のためモルタルの確実な充填を管理することが重要である。
【0007】
特許文献1,3は、水中に打設したコンクリート温度と水温との温度差に基づいてトレミー管の先端とコンクリートとの位置関係を検知するが、センサにより得られる情報がコンクリート温度と水温であるので、上記位置関係を直接的に求めるものではない。
【0008】
また、コンクリート温度はコンクリートの硬化発熱による影響を受けるが、コンクリート温度と水温との温度差は条件によって変化する可能性がある。
【0009】
特許文献2は、固化処理土の表面位置を検出するセンサ、固化処理土の側方への流れを検出するセンサ、及びトレミー管の重量を計測する荷重計を用いるため、複数種類のセンサが必要となり、システム及び管理が複雑化してしまう。
【0010】
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、モルタルやコンクリート等の充填物の打設の際に充填物の確実な充填を簡単な構成で確実に管理可能な充填物の打設方法及び打設装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本実施形態の充填物の打設方法は、トレミー管を通して充填物を水中で充填空間内に打設する打設方法であって、充填物及び水をそれぞれ検知する充填物検知センサを複数個前記トレミー管にその軸方向に離れるように取り付け、前記複数個の充填物検知センサの内で前記トレミー管の充填物吐出口に最も近い充填物検知センサが前記充填空間内に打設された充填物を常に検知するように前記充填物の打設を行い、前記充填物を打設する間に前記充填物検知センサにより前記充填空間内における充填物の打設高さを計測することで所定量の充填物が充填されたことを検知した後に、前記トレミー管を前記充填空間内で鉛直方向上方に上昇させて前記充填物の打設を続け、前記トレミー管の高さ位置をリアルタイムに計測し、前記複数個の充填物検知センサの内で充填物を検知した充填物検知センサの位置と前記計測されたトレミー管の高さ位置とに基づいて前記充填物打設高さを計測して前記充填物の打設を行うことを特徴とする。
【0012】
この充填物の打設方法によれば、コンクリートやモルタル等の充填物の打設の際に充填物検知センサが充填物や水に接触して充填物・水を直接検知し、トレミー管の充填物吐出口に最も近い充填物検知センサが充填空間内に打設された充填物を常に検知することでトレミー管の充填物吐出口が打設された充填物内にあることを確認することができるので、充填物に分離や空隙等が生じないような充填物の確実な充填を簡単な構成で確実に管理することができる。
【0013】
また、充填物検知センサにより充填空間内における充填物の打設高さを計測することで所定量の充填物が充填されたことを検知した後に、トレミー管を充填空間内で鉛直方向上方に上昇させて充填物の打設を続けることにより、充填物に分離や空隙等が生じないような充填物の確実な充填を実現できる。
【0014】
また、複数個の充填物検知センサの内で充填物を検知した充填物検知センサの位置とトータルステーション等によりリアルタイムに計測されたトレミー管の高さ位置とに基づいて充填物打設高さを計測することで、充填物打設高さを管理しながら充填物の打設を行うことができる。トレミー管の高さ位置を計測することで、トレミー管を上昇させたときに、充填物検知センサの充填空間内における相対位置を検知できる。
【0015】
上記充填物の打設方法において前記複数個の充填物検知センサの内で前記トレミー管の充填物吐出口から最も離れた充填物検知センサが水を常に検知するように前記充填物の打設を行うことが好ましい。トレミー管の充填物吐出口から最も離れた充填物検知センサが水を常に検知することでトレミー管の充填物吐出口が打設された充填物内にあることを確認することができる。なお、打設の最終段階では、充填物吐出口から最も離れた充填物検知センサが空気を検知し、充填物吐出口に最も近い充填物検知センサが充填物を検知する場合がある。
【0016】
また、前記トレミー管を前記充填空間内で鉛直方向上方に上昇させたとき、前記複数個の充填物検知センサが上部から順に水を検知することを確認することで、トレミー管の上昇中の充填品質チェックを行うことが好ましい。トレミー管を上昇させたとき最も上側の充填物検知センサから順に水を検知するが、かかる順番を逸して水を検知した場合は打設した充填物中に水が含まれている可能性が高く、かかる不具合を迅速に検知できるので、手直しをスムーズに実施できる。
【0017】
また、前記トレミー管を前記充填空間内で鉛直方向上方に上昇させたとき、前記複数個の充填物検知センサが充填物と水とを含むものを検知しないことを確認することで、トレミー管の上昇中の充填品質チェックを行うことが好ましい。トレミー管を上昇させたときいずれかの充填物検知センサが充填物と水とを含むものを検知した場合は打設した充填物中に水が含まれている可能性が高く、かかる不具合を迅速に検知できるので、手直しをスムーズに実施できる。
【0018】
また、前記充填物を打設する間に前記トレミー管を通した前記充填物の吐出量を計測し、前記計測した充填物打設高さを前記充填物の吐出量と比較することで前記充填物の前記充填空間外への漏洩を検知することにより、前記充填物の前記充填空間外への漏洩を検知することが好ましい。
【0019】
本実施形態の充填物の打設装置は、充填物を充填空間内に充填物吐出口から吐出するトレミー管と、前記トレミー管の軸方向に離れるように前記トレミー管に取り付けられた、充填物及び水をそれぞれ検知する複数個の充填物検知センサと、前記トレミー管の高さ位置をリアルタイムに計測する計測手段と、前記複数個の充填物検知センサの内で充填物を検知した充填物検知センサの位置と前記計測されたトレミー管の高さ位置とに基づいて前記充填空間内における充填物の打設高さを計測する手段と、前記トレミー管を鉛直方向上方に上昇させる手段と、を備え、前記充填空間内における前記計測された充填物の打設高さに基づいて所定量の充填物が充填されたことを検知した後に前記トレミー管を上昇させて前記充填物の打設を行うことを特徴とする。
【0020】
この充填物の打設装置によれば、上述の打設方法を実施することができるとともに、コンクリートやモルタル等の充填物の打設の際に充填物検知センサが充填物や水に接触して充填物・水を直接検知し、充填物検知センサの検知結果に基づいて充填空間内における充填物の打設高さを計測することができる。この充填物の打設高さの計測により所定量の充填物が充填されたことを検知した後に、トレミー管を充填空間内で鉛直方向上方に上昇させることにより、トレミー管の充填物吐出口が常に打設された充填物内にあるようにできるので、充填物に分離や空隙等が生じないような充填物の確実な充填を実現することができ、充填物の充填を簡単な構成で確実に管理しながら充填物の打設を行うことができる。
【0021】
また、前記複数個の充填物検知センサの内で充填物を検知した充填物検知センサの位置と前記計測されたトレミー管の高さ位置とに基づいて前記充填物の打設高さを計測することにより、充填物検知センサの充填空間内における相対位置を検知し、充填物打設高さを計測でき、充填物打設高さを管理しながら充填物の打設を行うことができる。
【0022】
上記充填物の打設装置において前記トレミー管を通した前記充填物の吐出量を計測する流量計と、前記充填物検知センサにより前記充填空間内における充填物打設高さを計測し、前記計測した充填物打設高を前記充填物の吐出量と比較することで前記充填物の前記充填空間外への漏洩を検知する手段と、を備えることが好ましい。
【0023】
また、前記充填物吐出口に最も近い充填物検知センサが前記充填空間内に打設された充填物を検知しないとき、前記トレミー管の充填物吐出口から最も離れた充填物検知センサが水を検知しないとき、前記複数個の充填物検知センサが充填物と水とを含むものを検知したとき、及び前記充填物の前記充填空間外への漏洩を検知したときの内のいずれかが生じたときに警告を発する警告手段を備えることが好ましい。
【0024】
なお、複数個の充填物検知センサは、トレミー管に例えば10cm〜100cmの範囲内の所定間隔で取り付けることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の充填物の打設方法及び打設装置によれば、モルタルやコンクリート等の充填物の打設の際に充填物の確実な充填を簡単な構成で確実に管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。図1は本実施の形態によるモルタル打設装置の全体を概略的に示す図である。図2は図1のモルタル打設装置によりモルタルを打設する遮水鋼管矢板の継手部を概略的に示す上面図である。図3は図2の遮水鋼管矢板の継手部の空間内にトレミー管を挿入し設置した状態を示す模式図である。図4は図3のトレミー管に取り付けるモルタル検知センサの例を示す斜視図である。
【0027】
図1に示すように、モルタル打設装置10は、地面Gから地盤に打設された遮水鋼管矢板1,2の継手部Tの空間S内に挿入される鋼管からなるトレミー管(注入管)20と、所定比率で投入されたセメント、砂、水等のモルタル用材料を混合するモルタルミキサ21と、モルタルミキサ21からのモルタルをトレミー管20に送るモルタルポンプ22と、モルタルポンプ22によりトレミー管20に送られるモルタルの流量を計測する流量計23と、モルタルミキサ21及びモルタルポンプ22等のための発電機24と、モルタルミキサ21へ供給する水を貯蔵する水タンク25と、を備える。
【0028】
トレミー管20は、クレーン30によりワイヤ30aで吊り上げられて継手部Tの空間S内に挿入され所定位置に設置されるとともに、モルタルの打設の間に所定量だけ引き上げられる。
【0029】
図1のモルタル打設装置10は、さらに、トレミー管20の外面にその軸方向(図の上下方向)に所定間隔で取り付けられた複数個のモルタル検知センサ11,12,13,14と、モルタル検知センサ11〜14及び流量計23からの計測データを所定の時間間隔で取り込んで記録しプリントするデータロガ16と、データロガ16からの計測データが入力し所定のプログラムにより所定の演算や画面表示等を行うパーソナルコンピュータ(以下、「PC」と略す。)17と、トレミー管20の上端に取り付けられた光波反射シートや光波反射プリズムからなるターゲット15と、ターゲット15をトレミー管20から離れた位置で自動追尾してトレミー管20の高さ位置をリアルタイムで計測するトータルステーション(電子式測距測角儀)19と、PC17がモルタルの充填に関して異常を検知したとき周囲の作業者に警告を発し注意を促すための回転式表示灯31と、を備える。
【0030】
トータルステーション19はトレミー管20の高さ位置をリアルタイムに計測し、そのトレミー管高さ位置の計測データを、トータルステーション19に接続された無線通信機19aからPC17に接続された無線通信機18に無線で伝送し、PC17内に取り込むことができるようになっている。
【0031】
PC17は上記各計測データや各計測データに基づいて所定のプログラムにより実行された演算結果をそのモニタ画面上に表示し、高品質なモルタル充填が可能なようにモルタルの打設状況及び充填品質をリアルタイムに把握できるようになっている。
【0032】
モルタル検知センサ11〜14は、図4のように、小型の矩方体状の筐体Bから一対の電極部D1,D2が突き出ており、また、図1のデータロガ16まで延びる電気ケーブルCが接続されている。図4のモルタル検知センサ11〜14は、印加電圧方式を採用した構成であり、例えば、株式会社東京測器研究所から販売されている商品名「コンクリート充填感知センサKZA-1A/-1B」を用いることができ、コンクリートやモルタル、水、空気を検知することができる。
【0033】
図3のように、上述のようなモルタル検知センサ11〜14をトレミー管20に所定間隔で取り付けるが、最も下側に位置する最下位のモルタル検知センサ11は、トレミー管20のモルタルの吐出口20aの近傍に取り付ける。
【0034】
例えば、図3のように、モルタルの打設中に最も上側に位置する最上位のモルタル検知センサ14が海水(またはブリーディング水)Wまたは空気を検知し、その直ぐ下に位置するモルタル検知センサ13がモルタルMを検知したときは、継手部Tの空間S内のモルタルの打設高さ(図5のモルタルMの上面M1の位置)がモルタル検知センサ13と14との間であることを検知できる。
【0035】
また、モルタル検知センサ11〜14の取り付け個数、取り付け間隔(空間S内における取り付け高さ)は、モルタル充填量に応じ、適宜選定することが好ましい。取り付け間隔が密なほど、時間遅れが少ない状態でモルタル充填量(モルタルの打設高さ)を計測できるので、連続した充填量の計測が必要な場合は、取り付け間隔を密にしてモルタル検知センサを多数取り付けることが好ましい。
【0036】
また、モルタル検知センサ11〜14のトレミー管20の円周方向における取り付け位置は、軸方向の同一延長線上でもよいし、任意の角度だけ異なる軸方向の法線上でもよい。断面積の比較的小さな継手部におけるモルタル充填品質をチェックする場合は同一法線上に取り付ければよいが、断面積の比較的大きな継手部におけるモルタル充填品質をチェックする場合は、異なる法線上にモルタル検知センサを取り付けることで、面レベルで充填品質をチェックできる。なお、継手部が大断面であったり、継手部の形状が複雑な場合は、トレミー管の半径方向に張り出しアームを取り付け、このアームにモルタル検知センサを取り付ければ、いかなる形状の継手部にも適用できる。
【0037】
トレミー管20を上昇させると、モルタル検知センサ11〜14の継手部Tの空間S内における相対位置が変わるので、トータルステーション19でトレミー管20の高さ位置をリアルタイムに計測することでモルタル検知センサ11〜14の空間S内における相対位置を検知する。トレミー管20を上昇させた場合、計測したトレミー管20の高さ位置に基づいて上述のようにしてモルタル検知センサ11〜14により空間S内のモルタルの打設高さを検知することができる。
【0038】
図1のトータルステーション19でトレミー管20の高さ位置をリアルタイムで計測するために、光波反射プリズムや光波反射シートからなるターゲット15をトレミー管20の所定位置に取り付けるが、この場合、トレミー管20が小径で曲率が小さい場合は光波の反射が減衰するので、所定の大きさの補助金具をトレミー管20に取り付け、この補助金具の周囲に光波反射プリズム・光波反射シートを取り付けることが好ましい。また、トータルステーション以外の方式であってもよく、例えば、ワイヤーの繰り出し量、ワイヤドラムの回転数、ワイヤシーブ軸受けの回転数などによる公知の手段でトレミー管20の高さ位置を計測するようにしてもよい。
【0039】
図1の流量計23によりトレミー管20の吐出口20aからのモルタルの吐出量を連続的にリアルタイムで計測することができるが、継手部Tの空間Sの容積が既知であるので、流量計23で計測したモルタルの吐出量をトータルステーション19及びモルタル検知センサ11〜14で計測した打設高さと比較することでモルタルの継手部Tから外への漏れの有無を確認できる。
【0040】
PC17は、各種の計側データに基づいてモルタルの充填正常・充填異常の情報を記録し出力し、そのモニタ画面に表示する。また、モルタル充填時にモルタルの充填異常(どこかで漏えいしている、モルタルが水中で分離したり空隙を生じている)を検知したとき、複数の作業員が認識できるように回転式表示灯31を駆動する。
【0041】
例えば、トレミー管20の吐出口20aの近傍に配置されるモルタル検知センサ11は、モルタルの打設中、常にモルタルを検知する位置にあるが、PC17がモルタル検知センサ11によるモルタル検知の状態をリアルタイムに連続的に記録し監視し、モルタルを検知しないとき、モルタルの充填異常と判断し、モニタ画面に表示し、回転式表示灯31を駆動する。
【0042】
図2のように、海岸近くの領域に遮水鋼管矢板を多数本設置する場合、遮水鋼管矢板1と2の間には、漏洩防止ゴム付きのPT型の継手部Tが設けられ、継手部T内の空間Sはモルタルで充填される。すなわち、図1,図3のように、遮水鋼管矢板の継手部Tの空間Sは、図2の遮水鋼管矢板1,2とともに縦方向に延びており、空間S内には海水Wが侵入するため、モルタルの打設の際には空間S内で海水によるモルタルの分離・空隙の発生を防止しモルタルを切れ目なく連続して確実に充填させることで遮水鋼管矢板の継手部Tの遮水性能を確保することが必要である。
【0043】
次に、上述の図2の遮水鋼管矢板間の継手部Tの遮水性能を確保するためのモルタルの打設工程について図5〜図7を参照して説明する。
【0044】
図5は、本実施の形態のモルタルの各打設工程(a)〜(d)におけるモルタル打設高さ及び図1のトレミー管20の継手部Tの空間S内の相対位置を示す模式図である。図6は本実施の形態のモルタルの打設工程の各ステップS01〜S11を説明するためのフローチャートである。図7は、図5,図6のモルタル打設中におけるモルタルの充填量の時間的変化の例を概略的に示す図(a)及びモルタルの充填に対応したモルタルの打設高さ(破線で示す)とトレミー管の先端高さ(実線で示す)の各時間的変化の例を概略的に示す図(b)である。
【0045】
図1のモルタル打設装置10を用いて図1,図2の遮水鋼管矢板1,2間の継手部Tの空間S内に次のようにしてモルタルを打設し充填する。
【0046】
すなわち、複数個の図4のモルタル検知センサ11〜14を外周面に所定間隔で取り付けたトレミー管20をクレーン30で吊り上げてから継手部Tの空間S内に下降させて設置する(S01)。
【0047】
なお、最下位のモルタル検知センサ11はトレミー管20の吐出口20aの近傍に配置する。また、継手部Tの空間Sには図5(a)のように所定の水位で海水Wが侵入している。
【0048】
次に、モルタルポンプ22によりトレミー管20を通してモルタルを空間Sに送り、モルタルの充填を開始する(S02)。図5(a)のように、モルタルMが充填されると、トレミー管20の最下位のモルタル検知センサ11がモルタルMを検知する(S03)。
【0049】
なお、ステップS02でモルタルの空間Sの底部への打設を始めるが、モルタル充填開始前に予め所定量のモルタルMを空間Sの底部に打設しておいてもよい。また、図5(a)においてモルタルMの上面M1の位置は、最下位のモルタル検知センサ11とその直ぐ上のモルタル検知センサ12との間であり、上部に位置するモルタル検知センサ12〜14は未だモルタルを検知していない状態である。
【0050】
上述のように、最下位のモルタル検知センサ11によるモルタルMの検知を図1のデータロガ16のプリントやPC17の画面上で確認することで、モルタル検知センサ11近傍のトレミー管20の吐出口20aがモルタルM内に入っている状態であると判断することができ、かかる状態を確認しながらモルタルの充填を行うことができる。これにより、海水Wによりモルタルが分離したり空隙を生じて充填されてしまうことを防止できる。
【0051】
次に、空間S内でのモルタルの充填を続ける(S04)。そして、空間S内でモルタルの充填が進むにつれてモルタルMの上面M1の位置(モルタル打設高さ)が上昇し、最下位から2番目のモルタル検知センサ12がモルタルMを検知し、図5(b)のように、次に、その直ぐ上のモルタル検知センサ13がモルタルMを検知するまでモルタルの充填を続け、モルタル検知センサ13がモルタルMを検知すると(S05)、モルタル検知センサ11〜14で検知した空間S内のモルタルの打設高さが所定高さに達した否かを判断し(S06)、未だ達していない場合は、クレーン30によりトレミー管20を図5(c)のように上方に引き上げる(S07)。
【0052】
上述のように、モルタルMの上面M1の位置が上昇し、モルタル検知センサ13がモルタルMを検知することで、モルタルの打設高さがモルタル検知センサ13とほぼ同じ高さであることを検知し、次に、トレミー管20を所定量上昇させることで、トレミー管20の引き上げのタイミング管理が容易になる。
【0053】
また、上述のトレミー管20の引き上げ中に、モルタルの充填品質のチェックとして、モルタル検知センサ13,12がこの順で海水Wを検知したか否かを確認する(S08)。もし、上記順番を逸して海水Wを検知した場合は、モルタル中に海水が含まれている可能性が高いので、PC17により回転式表示灯31を駆動し、異常検知を周囲の作業者に警告し(S09)、手直しを行う(S10)。これにより、手直しをスムーズに実施できる。
【0054】
次に、最下位の直ぐ上のモルタル検知センサ12が海水(またはブリーディング水)Wを検知すると(S11)、トレミー管20の引き上げを停止する(S12)。
【0055】
上述のように、モルタル検知センサ12が海水を検知した後にトレミー管20の引き上げを停止することで、図5(c)のようにトレミー管20の吐出口20aは常にモルタル中にあり、しかも、毎回、同じ所定量だけ引き上げることができるので、モルタル充填の管理及びトレミー管20の引き上げ量の管理が容易となる。
【0056】
次に、モルタル検知センサ11〜14で検知した空間S内のモルタルの打設高さが所定高さに達した否かを判断し(S13)、未だ達していない場合は、上述のステップS04に戻り、図5(d)のようにモルタルを充填する。このように、モルタルの打設高さが所定高さに達するまで上述と同様の管理を行いながらモルタルの充填を続ける。
【0057】
なお、上述の打設工程の間、トータルステーション19でトレミー管20の高さ位置をリアルタイムに計測しているので、トレミー管20を上昇させてモルタル検知センサ11〜14の空間S内における相対位置が変わっても、モルタル検知センサ11〜14により空間S内のモルタルの打設高さを正確に検知できる。
【0058】
以上のように、本実施の形態のモルタルの打設方法によれば、複数個のモルタル検知センサ11〜14を取り付けたトレミー管20を通してモルタルを継手部Tの空間S内に打設する間、トレミー管20の吐出口20aの近傍に設置したモルタル検知センサ11が常にモルタル中にあるように打設を管理することで、モルタルの吐出口20aが海水に触れることがない。このようにして打設されるモルタルが海水に触れないので、空間S内で海水によるモルタルの分離・空隙の発生を防止でき、モルタルを切れ目なく連続して確実に充填させることができ、充填品質に優れるモルタルを打設できる。
【0059】
また、モルタルの打設の間にモルタルが継手部Tの空間S内に充填される量は、例えば、図7(a)のように時間的に変化し増大するが、このモルタルの充填量の増大変化に対応してモルタルの打設高さ(図5のモルタルMの上面M1の位置)が図7(b)の破線のように時間的に変化し増えていくが、かかるモルタルの打設高さをモルタル検知センサ11〜14により計測することで、所定量のモルタルが充填されたことを検知した後、図7(b)のようにトレミー管20を所定量引き上げることにより、トレミー管20の吐出口20aが常に打設されたモルタルM内にあるように管理でき、継手部Tの空間S内に確実にモルタルを充填でき、しかもモルタルに分離や空隙等が生じないように充填品質をチェックすることができる。
【0060】
なお、上述のモルタルの打設工程において、最上位のモルタル検知センサ14がモルタル打設中に常に海水中にあるように打設を管理するようにしてもよい。最上位のモルタル検知センサ14が海水中の値を常にモニタリングすることで、モルタル充填時にモルタルが分離した状態を検知でき、手直しをスムーズに実施できる。また、モルタルの打設高さが空間Sの上端付近になると、最上位のモルタル検知センサ14が空気中に出たことを検知するので、すみやかに打設終了の準備に入ることができる。
【0061】
次に、打設されたモルタルが継手部Tの外部へ漏洩することの検知工程について図8のフローチャートを参照して説明する。図8は本実施の形態における打設されたモルタルの外部漏洩の検知工程を説明するためのフローチャートである。
【0062】
継手部Tの空間Sにモルタルを上述のように打設し充填している間(S21)、流量計23でトレミー管20からのモルタルの吐出量を計測し(S22)、この計測した吐出量を空間S内のモルタルの打設高さXに換算し(S23)、データロガ16,PC17で記録しプリントしPC17のモニタ画面に表示する。換算打設高さXは、次の計算式からPC17が算出する。X=計測した吐出量/継手部Tの空間Sの断面積
【0063】
一方、モルタルの打設高さY(例えば、図5(b)に示すモルタルMの上面M1の位置)をモルタル検知センサ11〜14で計測し(S24)、その計測した打設高さYのデータをPC17で記録し、PC17のモニタ画面に表示する。
【0064】
そして、PC17は、所定のプログラムにより、流量計23で計測したモルタルの吐出量から換算した打設高さXと、モルタル検知センサ11〜14で計測した打設高さYとを比較する(S25)。
【0065】
PC17は、その比較の結果、換算打設高さXが計測打設高さYよりも大きい(計測打設高さYが換算打設高さXよりも低い)場合は、モルタルの継手部Tの外部への漏洩と判断し、回転式表示灯31を駆動し、異常検知を周囲の作業者に警告し(S26)、手直しを行う(S27)。また、PC17のモニタ画面にも警告表示をする。
【0066】
以上のようにして、モルタルの打設中に継手部Tから外部へのモルタルの漏洩の有無を確認でき、漏洩が確認されると、直ちに手直しを行うことができ、手直しをスムースに実施できる。
【0067】
なお、モルタルの打設高さの計測は、上述のように、モルタル検知センサ11〜14による計測データに基づいて行うことから、モルタル検知センサはその間隔を密にするように多数個配置することが好ましく、モルタルの打設高さの計測データの精度が高くなる。
【実施例】
【0068】
次に、本発明について実施例により更に具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
【0069】
〈実施例1〉
実施例1は、図9の試験装置を用いてモルタル充填試験を行い、モルタル検知センサによるモルタルの検知性を確かめたものである。図9の試験装置は、内径155mm、長さ4mの透明の硬質塩化ビニールパイプ内に注入管(トレミー管)を吊り下げ、注入管の外周面にその先端(モルタルの吐出口)から50cm上側に離れた位置にモルタル検知センサNo.1を取り付け、さらに50cmずつ順に上側に離れた位置にモルタル検知センサNo2,No.3,No.4を取り付けたものである。モルタル検知センサとして株式会社東京測器研究所の商品名「コンクリート充填感知センサKZA-1A」を用い、その出力電圧をデータロガで記録した。試験に先立ってモルタル検知センサNo.1〜No.4をモルタル中及び海水中に入れてキャリブレーションを行ったところ、センサ出力値は、モルタル中で1.7〜1.8V、海水中で0〜1.7V、または、2.0V以上であった。
【0070】
パイプ内に海水を入れた状態でモルタルポンプにより注入管を通してモルタルをパイプ内に充填しながらモルタル検知センサNo.1〜No.4の各出力電圧を記録した。その結果を図10(a)、(b)に示す。図からモルタル充填が始まると、モルタル検知センサNo.1〜No.3は、その出力電圧が高く(2V以上)ほぼ一定であり海水を検知し、その後、出力電圧が急激に低下し(1.74V)、モルタルを検知したことが分かる。すなわち、計測結果(1)でモルタル検知センサNo.1がモルタル注入高さ0.5mでモルタルを検知し、次に、注入高さが上昇し、計測結果(2)でNo.2が注入高さ1mでモルタルを検知し、更に、注入高さが上昇し、計測結果(3)でNo.3が注入高さ1.5mでモルタルを検知した。そして、モルタル検知センサNo.3がモルタルを検知した後、注入管を引き上げて、モルタル検知センサNo.1を大気中まで上昇させると、モルタル検知センサNo.3,No.2,No.1の出力電圧がこの順で急激に低下し、大気中にあることを検知したことが分かる。なお、モルタル検知センサNo.4はモルタル充填の間、常に大気中であったので、その出力電圧はほぼ0Vであった。
【0071】
上述のように、本実施例によれば、注入管に取り付けたモルタル検知センサが海水、モルタル及び大気を検知することができ、モルタルを海水中で打設したとき、モルタル検知センサによるモルタルの検知でモルタルの打設高さを測定できることが分かった。
【0072】
〈実施例2〉
実施例2は、実施例1と同様の図9の試験装置を用い、パイプ内に注入管(トレミー管)を吊り下げ、注入管先端を試験管底面から5cmあげた状態で、注入管の高さを一定にしてモルタル充填を行い、モルタル検知センサがモルタルを感知した時点(充填高2m)で、注入管を上げて、引き続き、充填を行った。注入管の上昇によるNO.4センサがモルタル面より出たことも、センサ計測値から検知することができた。
【0073】
また、本発明者等の更なる試験・検討によれば、上記実施例で用いたモルタル検知センサにより、モルタルのみ、海水のみ、海水とモルタルを含んだもの、をそれぞれ識別でき検知可能であることがわかった。すなわち、モルタル検知センサからの出力電圧は、モルタルのみのとき、1.7〜1.8Vであり、海水のみのとき、1.7V以下、または、2.0V以上であり、海水とモルタルを含んだもののとき、1.8〜2.0Vであった。海水とモルタルを含んだもののうち、不良モルタルは1.8Vに近い値であるが、海水とモルタルが混合して濁ったものは2Vに近い値であった。以上の結果から、モルタルのみ、海水のみ、海水とモルタルを含んだもの、をそれぞれ識別可能であり、海水とモルタルを含んだ不良モルタルを検知することができる。
【0074】
したがって、上述の図6において、トレミー管20の引き上げ中に、モルタルの充填品質のチェックとして、モルタル検知センサ13,12がこの順で海水Wを検知したか否かを確認する際に(S08)、海水とモルタルを含んだものを検知したか否かについても確認し、海水とモルタルを含んだものを検知した場合にも、PC17により回転式表示灯31を駆動し、異常検知を周囲の作業者に警告し(S09)、手直しを行う(S10)。
【0075】
以上のように本発明を実施するための最良の形態及びについて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、遮水鋼管矢板の継手部の形状は、図2に示すような形状に限定されず、他の形状であってもよいことはもちろんである。
【0076】
また、本発明の充填物の打設方法・装置は、遮水鋼管矢板の継手部へのモルタルの打設に限定されず、他の用途の型枠にモルタルやコンクリートを打設する場合にも適用できる。
【0077】
また、モルタル検知センサとして、印加電圧方式のものを用いたが、本発明ではこれに限定されず、他の方式によるものであってもよく、例えば、光透過センサや超音波センサを用いることができる。
【0078】
また、本実施の形態では、トレミー管を上昇させるときに充填物の不良を検出するようにしたが、これに限定されず、トレミー管による充填中に充填物の不良を検出することで充填物の品質管理を行うようにしてもよい。すなわち、モルタルの充填中に、例えば、図3,図5(b)のモルタル検知センサ13がモルタルを検知したが、その下方に位置するモルタル検知センサ11及び/又は12が海水または海水とモルタルを含んだものを検知したときに、充填物の不良を検出できる。
【0079】
また、図6のステップS07でトレミー管20を上昇させるタイミングはモルタル検知センサ13がモルタルMを検知しているときとしたが、モルタル検知センサ13によるモルタルMの検知に加えてモルタル検知センサ14が海水とモルタルを含んだものを検知していないことを確認してからトレミー管20を上昇させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本実施の形態によるモルタル打設装置の全体を概略的に示す図である。
【図2】図1のモルタル打設装置によりモルタルを打設する遮水鋼管矢板の継手部を概略的に示す上面図である。
【図3】図2の遮水鋼管矢板の継手部の空間内にトレミー管を挿入し設置した状態を示す模式図である。
【図4】図3のトレミー管に取り付けるモルタル検知センサの例を示す斜視図である。
【図5】本実施の形態のモルタルの各打設工程(a)〜(d)におけるモルタル打設高さ及び図1のトレミー管20の継手部Tの空間S内の相対位置を示す模式図である。
【図6】本実施の形態のモルタルの打設工程の各ステップS01〜S11を説明するためのフローチャートである。
【図7】図5,図6のモルタル打設中におけるモルタルの充填量の時間的変化の例を概略的に示す図(a)及びモルタルの充填に対応したモルタルの打設高さ(破線で示す)とトレミー管の先端高さ(実線で示す)の各時間的変化の例を概略的に示す図(b)である。
【図8】本実施の形態における打設されたモルタルの外部漏洩の検知工程を説明するためのフローチャートである。
【図9】本実施例で用いたモルタル充填の試験装置の概略を示す図である。
【図10】実施例1における各計測条件を示す図(a)及び各モルタル検知センサの出力電圧の時間変化を示すグラフ(b)である。
【符号の説明】
【0081】
1,2 遮水鋼管矢板
S 空間(充填空間)
T 継手部
10 モルタル打設装置
11〜14 モルタル検知センサ
17 パーソナルコンピュータ、PC
19 トータルステーション(計測手段)
20 トレミー管
20a トレミー管のモルタルの吐出口
23 流量計
31 回転式表示灯
M モルタル
M1 モルタルの上面
W 海水
X 換算打設高さ
Y 計測打設高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレミー管を通して充填物を水中で充填空間内に打設する打設方法であって、
充填物及び水をそれぞれ検知する充填物検知センサを複数個前記トレミー管にその軸方向に離れるように取り付け、
前記複数個の充填物検知センサの内で前記トレミー管の充填物吐出口に最も近い充填物検知センサが前記充填空間内に打設された充填物を常に検知するように前記充填物の打設を行い、
前記充填物を打設する間に前記充填物検知センサにより前記充填空間内における充填物の打設高さを計測することで所定量の充填物が充填されたことを検知した後に、前記トレミー管を前記充填空間内で鉛直方向上方に上昇させて前記充填物の打設を続け、
前記トレミー管の高さ位置をリアルタイムに計測し、
前記複数個の充填物検知センサの内で充填物を検知した充填物検知センサの位置と前記計測されたトレミー管の高さ位置とに基づいて前記充填物の打設高さを計測して前記充填物の打設を行うことを特徴とする充填物の打設方法。
【請求項2】
前記複数個の充填物検知センサの内で前記トレミー管の充填物吐出口から最も離れた充填物検知センサが水を常に検知するように前記充填物の打設を行う請求項1に記載の充填物の打設方法。
【請求項3】
前記トレミー管を前記充填空間内で鉛直方向上方に上昇させたとき、前記複数個の充填物検知センサが上部から順に水を検知することを確認する請求項1または2に記載の充填物の打設方法。
【請求項4】
前記トレミー管を前記充填空間内で鉛直方向上方に上昇させたとき、前記複数個の充填物検知センサが充填物と水とを含むものを検知しないことを確認する請求項1または2に記載の充填物の打設方法。
【請求項5】
前記充填物を打設する間に前記トレミー管を通した前記充填物の吐出量を計測し、
前記計測した充填物打設高さを前記充填物の吐出量と比較することで前記充填物の前記充填空間外への漏洩を検知する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の充填物の打設方法。
【請求項6】
充填物を充填空間内に充填物吐出口から吐出するトレミー管と、
前記トレミー管の軸方向に離れるように前記トレミー管に取り付けられた、充填物及び水をそれぞれ検知する複数個の充填物検知センサと、
前記トレミー管の高さ位置をリアルタイムに計測する計測手段と、
前記複数個の充填物検知センサの内で充填物を検知した充填物検知センサの位置と前記計測されたトレミー管の高さ位置とに基づいて前記充填空間内における充填物の打設高さを計測する手段と、
前記トレミー管を鉛直方向上方に上昇させる手段と、を備え、
前記充填空間内における前記計測された充填物の打設高さに基づいて所定量の充填物が充填されたことを検知した後に前記トレミー管を上昇させて前記充填物の打設を行うことを特徴とする充填物の打設装置。
【請求項7】
前記トレミー管を通した前記充填物の吐出量を計測する流量計と、
前記計測した充填物打設高さを前記充填物の吐出量と比較することで前記充填物の前記充填空間外への漏洩を検知する手段と、を備える請求項6に記載の充填物の打設装置。
【請求項8】
前記充填物吐出口に最も近い充填物検知センサが前記充填空間内に打設された充填物を検知しないとき、前記トレミー管の充填物吐出口から最も離れた充填物検知センサが水を検知しないとき、前記複数個の充填物検知センサが充填物と水とを含むものを検知したとき、または、前記充填物の前記充填空間外への漏洩を検知したとき、警告を発する警告手段を備える請求項6または7に記載の充填物の打設装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−84365(P2010−84365A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252884(P2008−252884)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000217686)電源開発株式会社 (207)
【出願人】(000166627)五洋建設株式会社 (364)
【出願人】(000182030)若築建設株式会社 (39)
【Fターム(参考)】