説明

充填装置、充填装置の製造方法、および充填方法

タンク(7)と、支持体(8)と、食品を流通させる第1流路(10)であって、前記タンク(7)と接続しているとともに前記容器(2)の内部へ接続可能である第1流路(10)と、充填バルブ(11)と、流体を流通させる第2流路の少なくとも一部を充填バルブ(11)の空洞部(68)と共に画定する少なくとも2つの導管(21、22、23、24)を有する分配部(12)とを備える、充填可能な食品を容器(2)に充填するための充填装置(1)が開示される。分配部(12)は、第1および第2制御バルブ(25、26、27、28)を有し、容器(2)の性質および充填可能な食品の性質の少なくともいずれかのパラメータに基づいて、充填装置(1)の作動中に第1位置で開放されたままにされるか、充填装置(1)の作動中の少なくとも一部の期間に開放状態と閉鎖状態との間で移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば果汁、お茶、ビールまたは栄養ドリンクのような充填可能な食品を容器に充填するための充填装置に関する。さらに本発明は、充填可能な食品を容器に充填するための複数の充填装置に関する。最後に、本発明は、充填装置の製造方法および充填装置を用いて容器を充填する充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空の容器に、充填可能な食品を充填する充填ステーションを備える充填装置が知られている。充填ステーションは概ね、回転軸を中心に回転する回転台と、充填可能な食品を含むタンクと、タンクと流体接続されるとともに回転台の回転軸に対して径方向外側の位置で回転台に支持される複数の充填バルブとを備える。
【0003】
より詳細に説明すると、回転台に容器のための複数の支持部材が取り付けられている。複数の支持部材は、容器の口部が各充填バルブの下に配置するものであり、容器を弓状の経路に沿って回転軸を中心に各バルブと一体的に動かすために設けられている。
【0004】
各充填バルブは、回転台に取り付けられる固定本体部と、回転台の回転軸と平行する方向に沿って固定本体部から、あるいは固定本体部に向かってスライドすることによって容器に向かって、あるいは容器から離れるように移動する充填ヘッドとを備える。特に、各バルブの充填ヘッドは、食品が容器の口部に向かって流れることができる開放位置と、食品が容器の口部に向かって流れることが防止される閉鎖位置との間をスライドする。
【0005】
充填ステーションでは、容器に対して充填可能な食品が充填される以外にも複数の追加作業が行われる。これらの追加作業は、容器および充填可能な食品の性質に応じて異なる。例えば、炭酸を含む充填可能な食品が充填されるプラスチック容器の場合、少なくとも充填の開始前に炭酸ガスを用いて容器内の圧力を上昇させ、充填完了後に周囲環境の値へ下げられる。
【0006】
加えて、ビールが充填されるガラス容器の場合、圧力上昇前に容器内を真空にし、ビールの酸化を防ぐために容器内の酸素を除去する。さらに、容器内に含まれる空気が充填時に容器から確実に除去されるようにすることが必要である。充填ステーションはさらに、上述の追加作業を行うよう適合されるとともに各充填バルブに対応する複数の分配部を備える。より詳細には、分配部は1つまたは複数の制御バルブを備え、これが容器内からの、または容器へ向かう流体の流れを制御する。
【0007】
制御バルブの数および種類は、実施されるべき追加作業の性質に応じて異なる。つまり、充填される容器の種類および充填可能な食品の種類に応じて異なる。例えば、炭酸を含む充填可能な食品が充填されるプラスチック容器の場合、分配部は、少なくとも容器の充填の開始前に容器の内部に向かって炭酸ガスが流れることを可能にし、充填の完了後には容器の内部に向かって炭酸ガスが流れることを防止する第1制御バルブと、容器内に含まれる空気が充填中に抜けることを可能にする第2制御バルブと、容器の充填後に食品の上方に存在する空気が容器の内部から抜けることを可能にする第3制御バルブとを備える。
【0008】
ビールが充填されるガラス容器の場合、分配部はさらに、炭酸ガスによる容器の加圧前に酸素を除去するための第4制御バルブを備える。したがって、充填装置の製造者は、各種類の容器および充填可能な食品用に特有の種類の充填バルブおよび分配部を有する充填装置を製造することが必要とされる。これにより多数の機械部品の管理に伴いコストが追加的に発生してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上述の欠点を容易に、かつ低コストで解消することができる充填装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、請求項1に記載の充填装置が提供される。また、本発明によれば、請求項14に記載の複数の充填装置と、請求項15に記載の充填装置の製造方法と、請求項16に記載の容器の充填方法も提供される。本発明をより明確に理解するために、以下に非限定的な例として好適な実施形態を添付の図面と共に開示する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る充填装置の正面図であり、明確にするためにいくつかの部品が取り除かれている。
【図2】図1の充填装置の構成部品の正面図である。
【図3】明確にするために部品が取り除かれた状態の、図1および図2の充填装置の分配部の平面III−IIIに沿った断面図である。
【図4】図3の分配部の平面IV−IVに沿った断面の拡大図である。
【図5】図3および図4の分配部の正面図である。
【図6】図3および図4の分配部の背面図である。
【図7】図3から図6のいくつかの分配部の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1、図2、図7で、符号1は、充填可能な食品を容器2(図2にのみ図示)に充填するためのステーションに適用された充填装置を示している。より詳細には、充填ステーションには、空の容器2が供給されて充填可能な食品が充填される。充填可能な食品の非限定的な例としては、果汁、お茶、ビールまたは栄養ドリンクが挙げられる。図示される実施形態では、各容器2はガラス製であり、充填装置1により容器2を充填することと、その後に食品を容器2から注ぐこととを可能にする口部3と、口部3に対向する底壁部4と、口部3に隣接して配置され、上部で口部3により規制される首部分6とを備える。
【0013】
容器2は、あるいは、プラスチック製であることができ、その場合は首部分の基部および口部3の下に配置されるリングを備える。充填ステーションは、充填可能な食品を含むタンク7と、垂直軸Aを中心に回転する回転台により画定されるとともに複数の突出する支持部材9、例えば、各容器2用のアーム(1つのみが図2に示される)を支持する支持体8とを備える。また、充填ステーションは、各容器2に充填可能な食品を充填するよう適合され、それぞれが閉鎖位置と開放位置との間で移動可能である複数の充填バルブ11(1つのみが図1および図2に示される)と、充填可能な食品が流れることができる導管67および空洞部68が充填バルブ11内に設けられ、タンク7から延伸し各容器2の内部と選択的に流体接続可能な複数の第1流路10(1つのみの流路10および1つの充填バルブ11が図1および図2に示されている)とを備える。
【0014】
より具体的には、各充填バルブ11は、閉鎖位置で、充填可能な食品が各流路10に沿って流れることを防止避する。開放位置では、各充填バルブ11は、充填可能な食品が各流路10に沿って各容器2の内部に向かって流れることを可能にする。各支持部材9は特に、軸Aに対して平行な各レール14に沿って上昇位置と下降位置との間を摺動可能である本体15aと、容器2の底壁部4と協働する保持部品を有する付属部15bとを備える。特に、各付属部15bは、軸Aの反対側の各本体15aから突出する。各支持部材9の付属部15bの保持部品は、各容器2を充填バルブ11の下の直立位置で維持する。その際、容器2の充填は重力により行われる。
【0015】
好適な実施形態では、付属部15bは無菌環境に収納され、これにより各容器2は無菌環境で充填される。充填ステーションはさらに、各充填バルブ11に対応するとともに各容器2に対して複数の追加作業を実施するよう適合される複数の分配部12を備える。分配部12により実施される追加作業の性質は、容器2の種類および容器2に充填される充填可能な食品の種類に応じて異なる。
【0016】
図示される実施形態では、充填装置1がガラス容器2にビールを充填するために、分配部12は各容器2に以下の追加作業を実施する:
― ビールの酸化を回避するために、充填前に容器2内に真空状態を作る
― 少なくとも充填前に容器2内に存在する圧力値をタンク7内の圧力値へ上昇させるために、容器2の内部へ炭酸ガスの流れを供給する
― 充填の際に各容器2から空気を排出する
― 充填の完了後に各容器2の内部の圧力を環境圧に低下させる
【0017】
簡単にするために以下の説明では、単一の充填バルブ11および単一の分配部12について説明する。
分配部12は(図3)は、ハウジング20と、容器2の内部と充填バルブ11を通じて流体接続可能である複数の(図示される実施形態では4つの)導管21、22、23、24であって、充填ヘッド11内に配置される上述の空洞部68と共に少なくとも部分的に複数の第2流路を画定する導管21、22、23、24と、流体が各導管21、22、23、24に沿って流れることができる開放位置と流体が各導管21、22、23、24に沿って流れることが防止される閉鎖位置との間で移動可能である複数の制御バルブ25、26、27、28と、各制御バルブ25、26、27、28を制御するための複数のアクチュエータ16、17、18、19(図4に概略的に示される)と、充填バルブ11を開放および閉鎖位置の間で移動させる少なくとも1つのアクチュエータ13(図4に概略的に示される)とを備える。
【0018】
特に、流路10は、タンク7から延伸するとともに、支持体8を画定する回転台内に部分的に配置されるとともに分配部12内に部分的に配置される導管67と、充填バルブ11内に配置される空洞部68とを備える。少なくとも1つの制御バルブ25、26、27、28は、好ましくは、容器2の種類および充填可能な食品の種類の少なくともいずれかのパラメータに基づいて、充填装置1の作動中に閉鎖位置に維持されたままとするか、あるいは充填装置1の作動中の少なくとも一部の期間に開放位置と閉鎖位置の間で移動する。
【0019】
つまり、容器2および充填可能な食品の性質に応じて、容器2および充填可能な食品の種類により求められる追加作業を実施するために必要である制御バルブ25、26、27、28のみが実際に作動される。残りの制御バルブ25、26、27、28がある場合は、これは待機状態にとどまる。このようにすることで、分配部12はあらゆる種類の容器2および充填可能な食品に適しており、充填バルブ11のみが特定の種類の容器2および充填可能な食品に特有のものとなっている。したがって、同一の分配部12を有し、充填可能な食品または容器2特有の異なる充填バルブ11を有する複数の充填装置1を得ることが可能である。
【0020】
より詳細には、分配部12は、支持体8を画定する回転台に直接的に接続され、充填バルブ11に取り外し可能に接続される。分配部12は、好ましくは、回転台と、関連する充填バルブ11との間で径方向に挿入される。アクチュエータ13、16、17、18、19は、電子式または空気圧式のいずれかである。ハウジング20は、上述の導管21、22、23、24と、各導管21、22、23、24に沿って挿入される制御バルブ25、26、27、28が係合する複数の台座29とを備える第1平行六面体30と、上方に位置するとともに本体30とハウジングアクチュエータ13、16、17、18、19と接続する第2平行六面体31とを備える。
【0021】
特に、本体30は、軸Aに対して傾斜しており、導管67が係合し、空洞部68と流体接続する貫通孔35を画定する。本体30は、相互に平行であるとともに軸Aと平行である1組の壁部32、33と、壁部32、33の間に挿入されるとともにこれらに対して垂直である1組の上部および底部の壁部34a、34bとを備える。壁部34aは、壁部34bの上方に位置し、第2本体31の底壁部36と取り外し可能に接続されている。壁部32は、充填バルブ11の側で本体30の境界をなし、壁部33は支持体8に取り外し可能に接続される。
【0022】
導管21、22は、導管23、24の上方に位置する。導管21は、容器2の充填前に容器2の内部への炭酸ガスの注入を可能にし、導管22は容器の充填の際に容器2内に含まれる空気が容器2から抜けることを可能にする。導管23は、炭酸ガスによる加圧前に容器2の内部の真空の発生を可能にし、導管24は、充填後に容器2の減圧を可能にする。特に、各導管21、22、23、24は、壁部33と、軸Aに対して径方向の直線部分43とにより画定される穴40から延伸するL字型部分42を備える。
【0023】
導管21、22の部分43は、軸Bに対して径方向に延伸し、壁部32により画定される各穴41aにて終端する。導管23、24の部分43は、壁部32により画定される共通の穴41bで合流する。導管21、22の穴40は、炭酸ガスが充填されているタンク(不図示)と流体接続される。導管23の穴40は真空ポンプと流体接続され、導管24の穴40は外部環境と流体接続される。導管23、24の部分43が合流する共通穴41bは、空洞部68と流体接続される。
【0024】
台座29は各部分42、43の間に挿入され、部分43と連通する管状の主要部分44と、部分42に向かって細くなり部分42と接続される切頭円錐端部45とを備える。各制御バルブ25、26、27、28は、台座29の部分44に固定される中空体46aと、軸Bと平行な中空体46aに対して移動可能であるシャッタ部46bとを備える。
【0025】
より具体的には、各バルブ25、26、27、28のシャッタ部46bは、コイルばね48により中空体46aと弾性的に接続されるとともに中空体46aに囲まれる主要部分47と、台座29と共に空洞部50を画定する第1軸方向端部49と、ベローズ52により中空体46aに接続されるとともに上記第1軸方向端部49と対向する第2軸方向端部51とを備える。
【0026】
各制御バルブ25、26、27、28の端部51は、切頭円錐形であり、各導管21、22、23、24の部分42に向かって細くなる。各制御バルブ25、26、27、28の空洞部50は、各アクチュエータ16、17、18、19と流体接続される。制御バルブ25、26、27、28の空洞部50内の圧力が各アクチュエータ16、17、18、19により上昇されると、各シャッタ46bが、その軸方向端部51が各端部45と密閉的に協働するまで端部45に向かって移動する。
【0027】
このようにして、制御バルブ25、26はそれぞれの閉鎖位置に達し、その際導管21、22の穴40、41aは流体が流れないようになっている。制御バルブ25、26の閉鎖位置では、炭酸ガスおよび空気はそれぞれ導管21、22に沿って流れることが防止される。同様に、制御バルブ27、28は、導管23、24の穴40、41bに流体が流れないようにされている閉鎖位置にそれぞれ達する。制御バルブ27、28の閉鎖位置では、酸素および空気が導管23、24に沿って流れることが防止される。制御バルブ25、26、27、28の空洞部50内の圧力が下がると、各シャッタ46bは端部45から離れ、これにより各端部51が各端部45から外れる。
【0028】
こうして、制御バルブ25、26は、穴40、41aが流体接続されるそれぞれの開放位置に達する。制御バルブ25、26の開放位置では、炭酸ガスおよび空気はそれぞれ導管21、22に沿って流れることができる。同様に、制御バルブ27、28は、導管23、24の穴40、41bに流体が流れないようになっており、酸素または空気が導管23、24に沿って流れることができるそれぞれの開放位置に達する。
【0029】
さらに、分配部12は、壁部34aにより画定される各穴39aから壁部32により画定される各穴39bへ延伸する1組のL字型の導管38(図4)を備える。導管38には、各アクチュエータ13により圧力がかかった流体が供給される。最後に、分配部12は、壁部33により画定される台座98内に収容される圧力センサ37を備える。台座98は、L字型の導管により、制御バルブ27の台座29と流体接続される(図6)。
【0030】
こうして、制御バルブ27が開放位置にある際に、圧力センサ37が導管23の部分43内、したがって充填バルブ11の空洞部68内に存在する圧力を検知する。
【0031】
充填バルブ11は、軸Aに対して平行である軸Bに沿って延伸する中空ハウジング55と、ハウジング55により画定される円筒形空洞部の内部で軸Bに沿って、および支持部材9により支持される容器2からおよび容器2に向かって摺動できるシャッタ70と、容器2の首部分6と結合されるよう適合されるとともにハウジング55の下方に配置され、軸Bと平行にレール90上を摺動できるセンタリング部材85とを備える(図2)。
【0032】
ハウジング55は、平行六面体の本体56と、部分的に本体56内に嵌められている上部フランジ57と、下方フランジ58とを備える。本体56は、六面体30の壁部32と取り外し可能に接続され、軸B、Cと平行である壁部54と、壁部54と対向する壁部59とにより規定される(図4)。壁部54は、導管21、22の穴41aと流体接続されるとともに対面する1組の貫通孔60と、導管38の穴39bと接続される1組の貫通孔61と、本体30の穴35と流体接続するとともに対面する貫通孔62と、穴41bと流体接続されるとともに対面する止まり穴63とを備える。
【0033】
本体56は、フランジ64と、フランジ66と、フランジ64と66との間で軸Bに沿って軸方向に挿入される管状部材65とを収容する。特に、フランジ64、66および部材65は、本体56に対して固定されている。フランジ64は、上方フランジ57と部材65との間で軸Bに沿って配置される。フランジ57、64と、上記フランジ57、64の間に配置されるハウジング55の部分とは、穴60、41aを介して各導管21、22の部分43と流体接続される空洞部69の境界をなしている。
【0034】
下方フランジ58は、フランジ66の側にはフランジ64と反対側で細くなる切頭円錐形部分77と、フランジ66の反対側には円筒形部分78とを備える貫通孔76を画定する。部分77は、軸Bに対して傾斜している導管95を介して穴63と流体接続される。シャッタ70は、ステム71と、軸Bに沿って部材65に対して摺動可能であるとともにフランジ66、64の間に軸方向に配置されるフランジ72とを備える。
【0035】
ステム71は、本体56から突起する上端部73と、フランジ57、64、72、66、58の貫通孔に摺動可能に係合する主要部分74と、端部73に対向する下端部75とを備える。端部75の半径は、ステム71の他の部分の半径よりも大きい。端部75は、下方フランジ58に向かって細くなり、穴76の部分78に対応する切頭円錐形状を有する。フランジ72は、ステム71の部分74に接続され、フランジ64、66の間に軸方向に配置される。フランジ72は、コイルばね79を介してフランジ66に弾性接続される。フランジ72、64、およびフランジ72、64の間に軸方向に挿入されるハウジング55の部分は、穴61、39bを介して導管38と流体接続される別の空洞部80の境界をなしている。
【0036】
こうして、アクチュエータ13が導管38内の圧力を上昇させると、フランジ72およびステム71は下方フランジ58に向かって摺動し、これによりばね79が圧縮される。したがって、充填バルブ11は閉鎖位置に達し、シャッタ70の端部75は、穴76の部分78の境界をなす下方フランジ58の面に対して密閉的に当接する。これとは異なり、アクチュエータ13が導管38内の圧力を下げると、フランジ72およびステム71はフランジ57に向かって摺動し、これによりばね79は延伸する。
【0037】
こうして、シャッタ70の端部75は、穴76の部分78から外れ、これにより充填バルブ11は開放位置に達する。フランジ66、58、およびフランジ66、58の間に挿入されるハウジング55の部分は、空洞部68の境界をなしている。空洞部68は、穴62と導管67とを介して、タンク7と流体接続される。こうして、充填バルブ11が閉鎖位置にある際に、タンク7内に含まれる充填可能な食品は、穴76を流れることなく空洞部68を満たすことになる。
【0038】
また、充填バルブ11が開放位置にある際は、充填可能な食品はタンク7から導管67、空洞部68、穴76を通り、容器2の口部3へ向かって流れる。センタリング部材85内に収容される端部84を有し、容器2の充填中に容器2内の注入可能食品の高さ位置を検知するために設けられるプローブ83が、ステム71に同軸に収容される。ステム71およびプローブ83は、空洞部69と流体接続されるとともにセンタリング部材85内に収容される端部82を有する導管81を画定する。
【0039】
センタリング部材85は、導管81の端部82により係合される上方管状部分86と、容器2の首部6により係合されるよう適合される穴88を画定する下方管状部分87とを備える。さらに、コイルばね89が部分86の肩部に固定され、軸Bと同軸に穴88に向かって突出する。充填装置1の製造時には、充填装置1により処理される容器2の種類および充填可能な食品の種類に応じて、まず充填バルブ11が選択される。続いて、充填バルブ11が各分配部12に取り外し可能に接続される。
【0040】
最後に、分配部12が、支持体8を画定する回転台に直接取り付けられる。こうして、同一の分配部12と、充填される容器2の種類および処理される充填可能な食品の種類に特有の充填バルブ11とを有する複数の充填装置1を得ることが可能である。
【0041】
充填装置1の作動は、1つの分配部12と対応する充填バルブ11とに限定されて開示されており、図2に示される状態では、充填バルブ11は閉鎖位置にあり、制御バルブ25、26、27、28はそれぞれ閉鎖位置にある。また、充填装置1の作動は、ガラス容器2にビールを充填するために必要である充填および追加作業に関して開示されている。支持部材9は、下降した位置にあり、付属部15bは容器2を下降させた位置で維持しており、そこでは口部3はセンタリング部材85の外にある(図2)。
【0042】
続いて、首部6が穴88に入り、センタリング部材85の管状部分87と結合するよう支持部材9が上昇される。センタリング部材85は、下方フランジ58に当接し、ばね89が圧縮されるまで、レール90上を摺動する。その上昇の結果、センタリング部材85は下方フランジ58と協働し、導管81の端部82は容器2の内部に収容される。この段階では、充填可能な食品の酸化を回避するために、容器2の内部で真空状態が作られる。
【0043】
容器2内に真空を作るため、アクチュエータ18が制御バルブ27を開放位置に配置する。特に、容器2の内部に含まれる空気が、導管95、穴63、41b、導管23に沿って流れる。制御バルブ27が開放位置にある際、圧力センサ37が空洞部69内に存在する圧力を検知する。こうして、圧力センサ37により、充填バルブ11の下にある容器2が破損しているか否かを決定することが可能になる(容器が破損している場合、内部に真空は作り得ない)。容器2の内部に真空が作られると、アクチュエータ18は制御バルブ27を閉鎖位置に配置し、アクチュエータ16、17は、制御バルブ25、26をそれぞれの開放位置に配置するのが好ましい。
【0044】
このようにすることで、容器2の内部の圧力がタンク7内の圧力と等しくなるまで、炭酸ガスが導管21、22と、穴41a、60と、導管81とに沿って容器2に向かって流れる。容器2の加圧が完了すると、アクチュエータ16、17は制御バルブ25、26をそれぞれの閉鎖位置に配置する。その後、アクチュエータ13は、導管38内の圧力と、穴39b、61を介して空洞部80内の圧力とを下げる。したがって、ばね79は延伸し、ステム71の端部75は穴76の部分77から離れるように移動し、充填バルブ11は開放位置に達する。この段階で、容器2には充填可能な食品が充填される。
【0045】
容器2の充填の際、アクチュエータ16、17は、制御バルブ25、26をそれぞれの開放位置に移動させる。このようにすることで、容器2内に含まれる空気は、導管81と、空洞部69と、穴60、41aと、導管21、22とに沿って炭酸ガスタンクへ向かって流れることができ、これにより容器2内の圧力は外部の圧力に戻る。容器2の充填が完了すると、制御バルブ25、26および充填バルブ11は、各アクチュエータ16、17および13によりそれぞれの閉鎖位置に移動する。
【0046】
アクチュエータ19は、制御バルブ28を開放位置に配置する。このようにすることで、容器2の内部で充填可能な食品の上方にある空気は、導管95と、穴41b、63と、導管24とに沿って外部環境へ向かって流れる。したがって、容器2内の空気圧は、外部環境の圧力と等しくなる。この段階で、容器2には充填可能な食品が充填され、充填ステーションより下流の別のステーションへ運搬される。
【0047】
充填装置1が異なる種類の容器2に異なる種類の充填可能な食品を充填するために使用される場合、充填装置1の作動の間中1つまたは複数の制御バルブ25、26、27、28がそれぞれの閉鎖位置に保持される。それぞれ閉鎖位置に保持される制御バルブ25、26、27、28は、容器2および充填可能な食品の種類によって選択される。例えば、炭酸を含む充填可能な食品が充填されるプラスチック容器2の場合、容器2の炭酸ガスによる加圧前に容器2内に真空を作ることは不要である。
【0048】
したがって、充填装置1の作動の間中、アクチュエータ18は制御バルブ27を閉鎖位置に配置する。充填装置1、複数の充填装置1、その製造方法および本発明に係る容器の充填方法の特徴を分析すれば、これにより得られる長所は明確である。特に、充填装置1により処理される容器2および充填可能な食品の種類に関係なく、充填装置1には同じ種類の分配部12が設けられる。実際には、充填装置1により処理される容器2および充填可能な食品の種類に応じて、いくつか追加作業が必要となる。
【0049】
したがって、充填装置1の作業の間中、実施されるべき必要な作業に対応する分配部12の制御バルブ25、26、27、28はそれぞれの開放位置と閉鎖位置との間で移動し、不要な作業に対応する制御バルブ25、26、27、28はそれぞれの閉鎖位置で保持される。つまり、閉鎖位置と開放位置との間で移動する分配装置12の制御バルブ25、26、27、28は、容器2の種類および充填可能な食品の種類に基づいて選択される。
【0050】
これにより、多様な種類の容器2および充填可能な食品用に同じ種類の分配装置12を使用することが可能であり、充填バルブ11だけが容器2の種類および充填可能な食品の種類に基づいて選択される。こうして、充填装置の製造者は、処理されるあらゆる種類の容器2および充填可能な食品に適した2種類のアイテム、すなわち支持体8と分配部12と、処理される容器2の種類および充填可能な食品の種類に応じて特有のアイテムを1つだけ、すなわち充填バルブ11とを有する充填装置1とを製造することができる。
【0051】
したがって、同じ分配部12と異なる充填バルブ11とを有する複数の充填装置1を設けることが可能である。したがって、充填装置の製造者にとっては管理すべきアイテム数が低減するため、本明細書の導入部分に記載した解決策に関して製造および調達コストが低減する。
【0052】
さらに、分配部12が支持体8と各充填バルブ11との間に挿入されるため、導管21、22、23、24および38は完全に充填装置1の内部で延伸できるため、特に短く、かさばらない。最後に、充填装置1、複数の充填装置、その製造方法および充填装置1を用いた容器2の充填方法に関して、請求項の保護範囲から逸脱しない修正および変形を行うことが可能であるのは明らかである。特に、アクチュエータ13、16、17、18、19は、本体30内に収容されることができる。さらに、導管22の穴40は、外部環境と流体接続されることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填可能な食品を容器(2)に充填するための充填装置(1)であって、
前記食品を充填可能なタンク(7)と、
支持体(8)と、
前記充填可能な食品を流通させる第1流路(10)であって、前記タンク(7)と接続されているとともに前記容器(2)の内部へ選択的に流体接続可能な第1流路(10)と、
前記充填可能な食品が前記第1流路(10)に沿って流通することを防止する閉鎖位置と、前記充填可能な食品が前記第1流路(10)に沿って流通することを可能にする開放位置との間で移動可能な、少なくとも1つの充填バルブ(11)と、
前記充填可能な食品とは異なる流体を流通させる第2流路の少なくとも一部を充填バルブ(11)の空洞部(68)と共に画定する少なくとも1つの導管(21、22、23、24)を有する少なくとも1つの分配部(12)と、を備え、
前記分配部(12)が、前記流体が前記第2流路に沿って前記容器(2)の内部へ向かって流れることを防止する第1位置と前記流体が前記第2流路に沿って流通可能な第2位置との間でそれぞれ移動可能な第1および第2制御バルブ(25、26、27、28)をさらに有し、
前記第1および第2制御バルブ(25、26、27、28)の少なくとも1つが、前記容器(2)の種類および前記充填可能な食品の種類の少なくともいずれかのパラメータに基づいて、前記充填装置(1)の作動中に前記第1位置に維持されたままとするか、あるいは前記充填装置(1)の作動中の少なくとも一部の期間に前記第1位置と前記第2位置の間で移動することを特徴とする充填装置。
【請求項2】
前記第1および第2制御バルブ(25、26、27、28)のそれぞれを前記第1位置および第2位置の間で移動させるための少なくとも2つの第1アクチュエータ(16、17、18、19)を備えることを特徴とする請求項1に記載の充填装置。
【請求項3】
前記分配部(12)が、前記第1アクチュエータ(16、17、18、19)を収容することを特徴とする請求項2に記載の充填装置。
【請求項4】
前記分配部(12)が、前記充填バルブ(11)を前記開放位置および前記閉鎖位置の間で移動させるための第2アクチュエータ(13)を収容することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の充填装置。
【請求項5】
前記分配部(12)が、前記第1および第2制御バルブ(25、26、27、28)を収容する第1本体(30)を備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の充填装置。
【請求項6】
前記分配部(12)が、前記第1アクチュエータ(16、17、18、19)と前記第2アクチュエータ(13)とを収容する第2本体(31)を備えることを特徴とする請求項5に記載の充填装置。
【請求項7】
前記第1アクチュエータ(16、17、18、19)および前記第2アクチュエータ(13)が、前記第1本体(30)の内部に収容されることを特徴とする、請求項5に記載の充填装置。
【請求項8】
前記充填バルブ(11)が前記第1本体(30)に接続される第3本体(56)を備え、
前記第3本体(56)が前記空洞部(68)を有し、
前記第1流路(10)が、前記タンク(7)に接続される導管(67)を有し、
前記導管(67)が、前記第1本体(30)により画定される穴(35)と前記空洞部(68)を連結することを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の充填装置。
【請求項9】
前記分配部(12)が、前記支持体(8)に直接接続されるとともに前記充填バルブ(11)に取り外し可能に接続されることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の充填装置。
【請求項10】
前記支持体(8)が軸(A)を中心に回転する回転台であり、
前記分配部(12)が前記支持体(8)と前記充填バルブ(11)との間に径方向に挿入されていることを特徴とする請求項9に記載の充填装置。
【請求項11】
前記分配部(12)が前記空洞部(68)内の圧力を感知する圧力センサ(37)を有することを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか一項に記載の充填装置。
【請求項12】
前記圧力センサ(37)が、前記空洞部(68)の内部に流体接続可能であることを特徴とする請求項11に記載の充填装置。
【請求項13】
充填可能な食品を容器(2)に充填するための複数の充填装置(1)であって、
各充填装置(1)が、
前記食品を充填可能なタンク(7)と、
支持体(8)と、
前記充填可能な食品を流通させる第1流路(10)であって、前記タンク(7)と接続されているとともに前記容器(2)の内部へ選択的に流体接続可能である第1流路(10)と、
前記充填可能な食品が前記第1流路(10)に沿って流通することを防止する閉鎖位置と、前記充填可能な食品が前記第1流路(10)に沿って流通することを可能にする開放位置との間で移動可能な少なくとも1つの充填バルブ(11)と、
前記充填可能な食品とは異なる流体を流通させる第2流路の少なくとも一部を充填バルブ(11)の空洞部(68)と共に画定する少なくとも1つの導管(21、22、23、24)を有する少なくとも1つの分配部(12)と、を備え、
前記分配部(12)が、前記流体が前記第2流路に沿って前記容器(2)の内部へ向かって流れることを防止する第1位置と前記流体が前記第2流路に沿って前記容器(2)の内部へ向かって流れることが可能な第2位置との間で移動可能な少なくとも2つの制御バルブ(25、26、27、28)をさらに有し、
前記第1および第2制御バルブ(25、26、27、28)の少なくとも1つが、前記容器(2)の種類および前記充填可能な食品の種類の少なくともいずれかのパラメータに基づいて、前記充填装置(1)の作動中に前記第1位置に維持されたままとするか、あるいは前記充填装置(1)の作動中の少なくとも一部の期間に前記第1位置および前記第2位置の間で移動することを特徴とする充填装置。
【請求項14】
充填可能な食品を容器(2)に充填するための充填装置(1)であって、
前記食品を充填可能なタンク(7)と、
支持体(8)と、
前記充填可能な食品を流通させる第1流路(10)であって、前記タンク(7)と接続されているとともに前記容器(2)の内部へ選択的に流体接続可能な第1流路(10)と、
前記充填可能な食品が前記第1流路(10)に沿って流通することを防止する閉鎖位置と、前記充填可能な食品が前記第1流路(10)に沿って流通することを可能にする開放位置との間で移動可能な少なくとも1つの充填バルブ(11)と、
前記充填可能な食品とは異なる流体を流通させる第2流路の少なくとも一部を充填バルブ(11)の空洞部(68)と共に画定する少なくとも1つの導管(21、22、23、24)を有する少なくとも1つの分配部(12)と、を備え、
前記分配部(12)が、前記流体が前記第2流路に沿って前記容器(2)の内部へ向かって流れることを防止する第1位置と前記流体が前記第2流路に沿って流通可能な第2位置との間で移動可能な少なくとも1つの制御バルブ(25、26、27、28)をさらに有し、
前記分配部(12)が、前記支持体(8)と前記充填バルブ(11)との間に挿入されていることを特徴とする充填装置。
【請求項15】
充填可能な食品を容器(2)に充填するための充填装置(1)の製造方法であって、
前記充填装置(1)が、
食品を充填可能なタンク(7)と、
支持体(8)と、
前記充填可能な食品を流通させる第1流路(10)であって、前記タンク(7)と接続されているとともに前記容器(2)の内部へ選択的に流体接続可能な第1流路(10)と、
前記充填可能な食品が前記第1流路(10)に沿って流通することを防止する閉鎖位置と、前記充填可能な食品が前記第1流路(10)に沿って流通することを可能にする開放位置との間で移動可能な少なくとも1つの充填バルブ(11)と、
前記充填可能な食品とは異なる流体を流通させるとともに、前記容器(2)の内部と選択的に流体接続可能な第2流路の少なくとも一部を充填バルブ(11)の空洞部(68)と共に画定する少なくとも1つの導管(21、22、23、24)を有する少なくとも1つの分配部(12)と、を備え、
前記容器(2)の種類および前記充填可能な食品の種類の少なくとも1つのパラメータに基づいて前記充填バルブ(11)を選択するステップと、
前記充填バルブ(11)を前記分配部(12)に取り外し可能に接続するステップと、
前記分配部(12)を前記支持体(8)に直接的に接続するステップと、
を備えることを特徴とする製造方法。
【請求項16】
充填装置(1)を用いて充填可能な食品を容器(2)に充填する充填方法であって、
前記充填装置(1)が、
食品を充填可能なタンク(7)と、
支持体(8)と、
前記充填可能な食品を流通させる第1流路(10)であって、前記タンク(7)と接続されているとともに前記容器(2)の内部へ選択的に流体接続可能な第1流体路(10)と、
前記充填可能な食品が前記第1流路(10)に沿って流通することを防止する閉鎖位置と、前記充填可能な食品が前記第1流路(10)に沿って流通することを可能にする開放位置との間で移動可能な少なくとも1つの充填バルブ(11)と、
前記充填可能な食品とは異なる流体を流通させる少なくとも2つの第2流路の少なくとも一部を充填バルブ(11)の空洞部(68)と共に画定する少なくとも2つの導管(21、22、23、24)を有する少なくとも1つの分配部(12)と、を備え、
前記分配部(12)が、前記流体が前記第2流路に沿って前記容器(2)の内部へ向かって流れることを防止する第1位置と前記流体が前記第2流路に沿って前記容器(2)の内部へ向かって流れることを可能とした第2位置との間で移動可能な第1および第2制御バルブ(25、26、27、28)をさらに有し、
前記第1および第2制御バルブ(25、26、27、28)の少なくとも1つが、前記容器(2)の種類および前記充填可能な食品の種類の少なくともいずれかのパラメータに基づいて、前記充填装置(1)の作動中に、前記第1状態に維持されたままとするか、あるいは前記充填装置(1)の作動中の少なくとも一部の期間に前記第1位置および前記第2位置の間で移動するステップを備えることを特徴とする充填方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2012−528765(P2012−528765A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513740(P2012−513740)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【国際出願番号】PCT/IT2009/000243
【国際公開番号】WO2010/140173
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(511268708)
【Fターム(参考)】