説明

充放電判定装置、充放電判定方法、及び充放電判定プログラム

【課題】複数の蓄電池と制御主体が相互に接続されたシステムにおいて、安全性の確保と
蓄電池の充放電に伴う電力スループット維持を両立することができる充放電判定装置、充
放電判定方法及び充放電判定プログラムを提供する。
【解決手段】充放電指示装置の指示に基づいて蓄電池の充放電制御を行う充放電判定装置
であって、蓄電池に関する蓄電池情報を記憶する蓄電池情報記憶部と、蓄電池に充放電さ
せる充放電情報を記憶する充放電情報記憶部と、充放電指示装置からアクセス要求に関す
る通信メッセージを受信する通信部と、蓄電池情報、充放電情報、及びアクセス要求の内
容とから、充放電指示装置からのアクセスを制御する制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、充放電判定装置、充放電判定方法、及び充放電判定プログラムに
関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、蓄電池と多対1の関係で接続された制御主体が、蓄電池の充放電を一括制御す
る方法や、蓄電池と1対1の関係で接続された制御主体が、蓄電池の充放電計画を設定する
方法がある。
【0003】
出力変動が大きい自然エネルギーを電力網に組み込む場合、安定的に電力を融通しない
と停電事故に可能性があるため、蓄電池システムをバッファとして活用することが有用と
なる。蓄電池システムは規模に応じて、電力事業者の管理区域である系統側や、家庭やビ
ル等の管理区域である需要家側に設置され各々の用途のために活用される。例えば一般的
に、電力事業者の系統側の用途としては、系統の周波数や電圧などの電気の品質を維持す
るために、瞬間的な負荷変動に応じて数10秒単位で出力調整して、系統を安定させるアン
シラリーサービスと呼ばれる機能実現のために蓄電池システムが活用される。一方、家庭
やビル等の需要家側の用途としては、単価の安い夜間電力を貯蔵することで、昼間の電力
利用が集中する時間帯の融通を行うピークシフトと呼ばれる機能実現のために蓄電池シス
テムが活用される。また、蓄電池システムに対する制御主体の関係は、系統側に設置した
場合は電力事業者が、需要家側に設置した場合は家庭やビルの管理者が、というように運
用上の制限を設けることで1対1の関係とする構成に加えて、需要家側に一定のインセンテ
ィブを与える条件の下、電力事業者が需要家側に設置された蓄電池システムの充放電制御
を行うという多対多の関係とする構成が想定される。そのため、蓄電池システムに対して
複数の制御主体が存在する場合、充放電制御の競合が発生してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許6639383号
【特許文献2】特開2010-268602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蓄電池システムに対して複数の制御主体が存在する場合、充放電制御の競合が発生してし
まうため、例えば、蓄電池システムが充電制御を行っている状況で、新たな充電制御の指
令内容を適用すると、蓄電池の容量を超える充電は行えない。一方、蓄電池システムの充
放電制御を時間軸で区切って単一の制御主体にさせると、蓄電池の単位時間入出力量を最
大限有効活用することが出来ずに電力スループットが低下する。このようなことから、従
来技術では、複数の蓄電池システムと制御主体が相互に接続されたシステムにおいて、安
全性の確保と充放電に伴う電力スループット維持の両立が困難にであった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、複数の蓄電池と制御主
体が相互に接続されたシステムにおいて、安全性の確保と蓄電池の充放電に伴う電力スル
ープット維持を両立することができる充放電判定装置、充放電判定方法及び充放電判定プ
ログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の充放電判定装置は、充放電指示装置の指示に基づいて蓄電池の充放電制御を
行う充放電判定装置であって、蓄電池に関する蓄電池情報を記憶する蓄電池情報記憶部と
、蓄電池に充放電させる充放電情報を記憶する充放電情報記憶部と、充放電指示装置から
アクセス要求に関する通信メッセージを受信する通信部と、蓄電池情報、充放電情報、及
びアクセス要求の内容とから、充放電指示装置からのアクセスを制御する制御部とを備え
る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態における全体システム構成図。
【図2】本実施形態における蓄電池システム及びEVシステム構成図。
【図3】本実施形態における複数EMSによる制御構成図。
【図4】本実施形態における蓄電池システムへのアクセス制御の固有特徴図。
【図5】本実施形態における充放電判定装置の構成図。
【図6】本実施形態における充放電判定装置の蓄電池情報記憶部の構成図。
【図7】本実施形態における充放電判定装置の充放電情報記憶部の構成図。
【図8】本実施形態における充放電判定装置の充放電情報記憶部の構成図。
【図9】本実施形態における充放電指示装置の構成図。
【図10】本実施形態における充放電判定装置の蓄電池情報記憶部の構成図。
【図11】本実施形態における充放電指示装置の充放電情報記憶部の構成例。
【図12】第1の実施形態の動作シーケンス図。
【図13】第1、2の実施形態における充放電判定装置の動作フローチャート図。
【図14】第1、2、4の実施形態における充放電指示装置の動作フローチャート図。
【図15】第2の実施形態の動作シーケンス図。
【図16】第3の実施形態の動作シーケンス図。
【図17】第3の実施形態における充放電判定装置の動作フローチャート図。
【図18】第3の実施形態における充放電指示装置の動作フローチャート図。
【図19】第4の実施形態の動作シーケンス図。
【図20】第4の実施形態における充放電判定装置の動作フローチャート図。
【図21】第5の実施形態の動作シーケンス図。
【図22】第5の実施形態における充放電判定装置の動作フローチャート図。
【図23】第5の実施形態における充放電指示装置の動作フローチャート図。
【図24】本実施形態における通信メッセージの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に本実施形態におけるシステム構成を示す。図1において、電力系統網側には、発電所
(給電指令所)101、EMS(Energy Management System)111、自然エネルギー112、及び蓄電池
システム113が設置されている。また、家庭やビル等の需要家側には、スマートメータ121
、需要家側EMS122、蓄電池システム123、EV(Electric Vehicle)システム124、及び自然エ
ネルギー125が設置されている。家庭用の需要家側EMS122は、HEMS(Home Energy Manageme
nt System)と呼ばれる。
【0010】
発電所(給電指令所)101は、火力や原子力等の動力によって大容量の電力を生成、送配
電網を通じて家庭やビル、工場等の需要家側に供給する。本実施形態では発電所から需要
家に至る送配電網を総称して電力網と呼ぶものとする。自然エネルギー112は、風力や太
陽光といった自然界に存在するエネルギーを元に電力を生成、発電所と同様に送配電網を
通じて需要家側に電力を供給する。自然エネルギー112を電力系統網に設置することで、
発電所の負担を減らして効率的に運用させることが出来る。この中で蓄電池システム113
は、発電所や自然エネルギーが生成した余剰電力を貯蔵する役割を持つ。また、EMS111は
、こうした発電所101や自然エネルギー112の供給電力と、需要家側で消費する負荷電力を
含めたシステム全体の安定化を、電力網及び通信網双方を活用して制御する役目を担う。
【0011】
スマートメータ121は、需要家側の構内で消費された電力量を計測、定期的に電力事業者
の管理サーバに通知する。一般にこの管理サーバはMDMS(Metering Data Management Syst
em)と呼ばれるが、図1中では図示を省略している。前述のEMS111はMDMSと連携、需要家
側の負荷電力の総量を算出することが出来る。需要家の構内に設置された蓄電池システム
123は、電力事業者の系統網から供給された電力、あるいは構内の自然エネルギー125が生
成した電力を貯蔵する。EVシステム124は充電器を介して車載電池に電力を貯蔵する。需
要家側EMS122(HEMS)は家庭内の電力消費量を調整制御する。図1の例では需要家を一般家
庭としたが、本実施形態は家庭だけではなく、前述のように、ビルや工場においても同様
に実施出来る。この場合、家庭用のHEMSの代りに、ビルではBEMS(Building Energy Manag
ement System)、工場ではFEMS(Factory Management System)が構内の電力消費量を調整制
御する役目を担当する。
【0012】
一般的に、電力事業者の系統側の用途としては、系統の周波数や電圧などの電気の品質を
維持するために、瞬間的な負荷変動に応じて数10秒単位で出力調整して、系統を安定させ
るアンシラリーサービスと呼ばれる機能実現のために蓄電池システムが活用される。一方
、家庭やビル等の需要家側の用途としては、単価の安い夜間電力を貯蔵することで、昼間
の電力利用が集中する時間帯の融通を行うピークシフトと呼ばれる機能実現のために蓄電
池システムが活用される。また、蓄電池システムに対する制御主体の関係は、系統側に設
置した場合は電力事業者が、需要家側に設置した場合は家庭やビルの管理者が、というよ
うに運用上の制限を設けることで1対1の関係とする構成に加えて、需要家側に一定のイン
センティブを与える条件の下、電力事業者が需要家側に設置された蓄電池システムの充放
電制御を行うという多対多の関係とする構成が想定される。
【0013】
図2(a)に蓄電池システム210の構成、図2(b)にEVシステム240の構成を示す。ここで
は、蓄電池システム210は定置型用途、EVシステム240は車載用途を主に想定した例で説明
するが、本実施形態はこれに限られない。
【0014】
図2(a)の蓄電池システム210は電池(BMU: Battery Management Unit)211及び制御部(PC
S: Power Conditioning System)212で構成される。電池(BMU)211は、複数の電池セルに加
え、電池パック内部の状態を管理する内部プロセッサを備え、制御部(PCS)212からの指示
に基づいて電力の充放電制御を実施する。電池(BMU)211は制御部(PCS)212に対して、電池
の定格電圧や充放電時の最大電流値、充電率(SOC: State Of Charge)、寿命率(SOH: Stat
e Of Health)といった情報を通知する。制御部(PCS)212は、直流交流変換や電圧変動抑制
を行うが、制御部(PCS)212の機能自体は、PCSに接続した外部プロセッサ上で実現しても
よい。また、電池(BMU)211と制御部(PCS)212間の充放電制御及び情報通知についても、CA
N(Controller Area Network)を用いて実現する方法に加え、LAN等の通信媒体、更にはベ
ンダが独自定義した電気信号線を用いて実現してもよく、いずれの方法に限定されるもの
ではない。
【0015】
図2(a)の蓄電池システム210における制御部(PCS)212は、通信機能を備え、電力系統側
に設置されたEMS230と電力網/通信網220を介して通信し、電池(BMU)の充放電を制御する
。一般に電池は自然放電する特徴を備えるため、従来技術を単純に適用する場合、蓄電池
システム210の正確な状態をEMS230が把握困難な問題点がある。このため、本実施形態で
は、EMSは蓄電池システムから、通信網を介してSOCやSOH等の情報を収集することで、時
々刻々と変化する状態を適切に監視した上で、充放電制御の指示を行うことが出来る。尚
、本実施形態では、蓄電池システム内の電池に対する電力の入出力を、蓄電池への充放電
制御と略して表記する。
【0016】
図2(b)のEVシステム240は、図2(a)の蓄電池システム210と類似した構成であるが
、充電器(PCS)250が別個に存在する点が異なる。図2(b)のEVシステム240における制御
部242は、電池(BMU)241と充電器(PCS)250間の充放電制御及び情報通知の中継を行い、電
力系統網上のEMS270と通信するための通信機能は搭載しない。すなわち、図2(a)の蓄
電池システム210における制御部212の主機能が充電器250に移行する点が図2(b)のEVシ
ステム240の構成である。だが本実施形態を実現するための具体的手順は、図2(a)、(
b)双方で共通である他、EVシステム240の制御部242を蓄電池システム210の制御部212と
同様の機能にしてもよい。また、電池(BMU)241に対する充放電に係わるアルゴリズム処理
は制御部242に集約する形態、充電器250に集約する形態、構内のHEMSや電力系統網のEMS2
70に集約する形態等複数存在するが、いずれの形態を用いても本実施形態は同様の枠組み
を用いて実現することが出来ることは言うまでもない。
【0017】
図3(a)、(b)を用い、本実施形態が想定するユースケースの一例を説明する。図3
(a)は、系統側蓄電池ネットワークにおける構成例を示している。前述のように、電力
系統網側では、瞬間的な負荷変動に対応するために、蓄電池システムがアンシラリーサー
ビスと呼ばれる機能を持つことが一般的である。この場合、発電所に匹敵する大規模の蓄
電容量を確保する必要があることから、図3(a)に示すように、複数の蓄電池システム
1(313)、蓄電池システム2(314)を相互に接続して利用することが望ましい。また、蓄電
池の制御主体となるEMSについても、ある地域内で閉じる場合は1つの装置で事足りるが、
複数の地域を跨って貯蔵電力と融通しあう場合には複数のEMS1(311)、EMS2(312)を用意す
ることが望ましい。従って、電力系統側の蓄電池において、大規模なシステムを構築する
場合には、図3(a)に示すように、複数の蓄電池システム(313,314)と複数のEMS(311,31
2)が相互に接続してシステムを構成する形態が想定される。この場合、蓄電池システム(3
13,314)の制御主体は複数存在するため、充放電制御に競合状態が発生し得ることから、
電力スループットを増加することが困難となる。一方、図3(b)は、需要家側蓄電池ネ
ットワークにおける構成例を示している。前述のように、需要家側では、単価の安い夜間
電力を貯蔵することで昼間の電力利用が集中する時間帯の融通を行うために、蓄電池シス
テムがピークシフトと呼ばれる機能を持つことが一般的である。これに加えて、需要家側
に一定のインセンティブを与える条件の下、電力事業者が需要家側に設置された蓄電池シ
ステムの充放電制御を行うことが想定される。従って、需要家側蓄電池ネットワークにお
いて、図3(b)に示すように、系統側のEMS321と需要家側EMS323の双方がアクセスして
電力利用を共有する場合には、複数の蓄電池システム324、EVシステム325と複数のEMS(32
1,323)が相互に接続してシステムを構成する形態が想定される。この場合は、図3(a)
の例と同様に、蓄電池システムの制御主体が複数存在するため、充放電制御に競合状態が
発生し得ることから、電力スループットを増加することが困難となる。
【0018】
また、図4を用いて、蓄電池システム403が複数の制御主体であるEMS1(401)、EMS2(402)
から充放電制御の指示を受ける場合の構成について説明する。一般的なIT(Information T
echnology)システムにおけるDB(Data Base)サーバ上の共有資源に対するアクセス制御の
競合は、セマフォの概念を用いて解決される。だが、この概念を蓄電池システムの充放電
制御に単純に適用する場合には幾つかの課題が存在する。図4に示すように、蓄電池固有
の特性情報には、単位時間当たりの許容入出力量を示す定格充放電電力、現在の充電率(S
OC)、充電率に対応付けられた放電時間及び充電時間等がある。ここで例えば、図4の蓄電
池が定格充放電電力100W、EMS1(401)が60Wの電力放電要求、EMS2(402)が30Wの電力放電要
求という状況を考えた場合、排他的に制御を実施するセマフォの概念を適用、ある時間帯
はEMS1(401)の制御に、別の時間帯はEMS2(402)の制御にと分離すると、単位時間当たりの
電力量が最大で60Wに留まることから効率性が悪い。第一の例では、EMS1(401)とEMS2(402
)の放電制御を同時に許可することが望ましい。また別の例として、図4の蓄電池が定格充
放電電力100W、EMS1(401)が60Wの電力充電要求、EMS2(402)が50Wの電力充電要求という状
況を考えた場合、同時に充電制御を許可すると、充電池の許容入力量を超過することから
、過充電状態となって火災や爆発等の事故につながるため充電池の許容量を超えた充電す
ることができない。第二の例では、EMS1(401)とEMS2(402)の充電制御を同時に許可しない
ことが望ましい。DBサーバのアクセス制御では、ファイルを編集するか否かの選択である
が、蓄電池システムの制御では、流入する電力量を勘案する必要があることから、図4に
示すような、蓄電池の特性を元に、アクセス制御(複数同時制御を禁止/複数同時制御を許
可)の判定を行い、充放電制御(逐次命令を発行するオンデマンド運転/将来のスケジュー
ル情報によって計画的に命令を発行する計画運転)を実施することが安全性及び電力スル
ープット両立の観点で必要になる。また、通信路の安全性を確保する認証(単一の装置と
認証/複数の装置と認証)を加味することで、ネットワーク上を伝送する各々の充放電制御
指示に関する通信メッセージの秘匿や改竄防止を実現出来る。
【0019】
図5に本実施形態における充放電判定装置500、図9に充放電指示装置の構成図を示す。
充放電判定装置500は、図2(a)の蓄電池システム210における制御部(PCS)212、又は図2
(b)のEVシステム240における充電器(PCS)250に相当する。充放電指示装置900は電力系
統網や需要家構内に設置するEMS(需要家構内の場合は需要家側EMS)に相当する。本実施形
態では、充放電判定装置500は蓄電池(特に、BMUを搭載した電池部)に関する情報を充放電
指示装置900に通知する共に、充放電指示装置900からの充放電制御に関するアクセスの可
否を判定することで、複数の蓄電池システムとEMSが相互に接続されたシステムにおいて
、安全性及び電力スループット維持の両立を実現する。
【0020】
図5の充放電判定装置500は、電力供給部501、蓄電池情報記憶部502、充放電情報記憶部50
3、制御部504、生成部505、第1通信部506、取得部507、及び第2通信部508で構成される
。電力供給部501は直流交流の変換、電力の周波数監視、電圧変動検出や抑制等を行い、
充放電指示装置からの指示に基づいて電池部(BMU)に対する充放電制御を実施する。本実
施形態において、充放電制御時の電力量とは、単位ワット時間(Wh: Watt hour)で示され
る電力量の他に、単位アンペア時間(Ah: Ampere hour)で示される電流量、及び単位ボル
ト時間で示される電圧量(Vh: Volt hour)各々を用いることが可能である。一般に、電力
量は、電流量と電圧量の積によって算出出来る。蓄電池情報記憶部502は、本実施形態に
おいて、電池部(BMU)の充放電制御時に必要な情報(蓄電池情報)である、アクセス制御
情報、蓄電池特性情報、充放電制御情報、及び認証情報を記憶する。図6(a)にアクセ
ス制御情報の構成例、図6(b)に蓄電池特性情報の構成例、図6(d)に充放電制御情報
の構成例、図6(e)に認証情報の構成例を示す。アクセス制御情報は、複数の充放電指
示装置からの充放電制御指示を同時に受け付けることが可能かどうかを識別するために用
いる。図6(a)では、制御許可残数と制御許可中装置の情報が記載されている。例えば
、同時に充放電制御装置2台までの制御を許可する場合、制御許可残数の初期値は2となる
。その後、制御部504が、EMS1及びEMS2にアクセス制御の許可を判定した場合は、図6(a
)に示すように、制御許可残数は0となって、3台目以上の充放電判定装置からの制御が全
て禁止されることになる。また、蓄電池システムの運用上、複数の充放電指示装置からの
同時制御を禁止する場合は、制御許可残数の初期値は1である。これは、上述したような
、一般的なITシステムにおけるDBサーバの共有資源に対するアクセス制御セマフォの概念
と同様である。蓄電池特性情報は、充放電制御に必要な電池部(BMU)の固体に特有な情報
である。例えば図6(b)の例では、単位ワット(W:Watt)で示される定格充放電電力P、単
位ワット時間(Wh: Watt hour)で示される定格容量Q、単位百分率で示される充電率(SOC:
State Of Charge)X、SOCに対応付けられた放電可能時間α(h)及び充電可能時間β(h)が記
載されている。蓄電池の一般的な充電方式である定電流充電方式では、百分率で示される
SOCが所定の閾値に達するまで電池部(BMU)内の電池セルが入出力する電力量(電流量)が一
定状態で推移する。このことから、図6(c)に示すように、充放電判定装置500は、電池
部(BMU)からSOCの値を取得することで、蓄電池特性情報のSOCに対応付けられた充電可能
時間及び放電可能時間(グラフの横軸)、定格充放電電力(グラフの縦軸)、充放電に必要
な電力量(充放電可能時間と電力の積)を算出出来る。定電流充電では、SOCが所定の閾値
を超えた後は充電に必要な電流量が極小化する特性がある。尚、前述のように、充放電制
御時の電力量とは、単位ワット時間(Wh: Watt hour)で示される電力量の他に、単位アン
ペア時間(Ah: Ampere hour)で示される電流量、及び単位ボルト時間で示される電圧量(Vh
: Volt hour)各々を用いることが可能である。充放電制御情報は、蓄電池システムの充放
電動作状態を識別するために用いる。図6(d)では、例えば、オンデマンド運転、及び
計画運転の情報が記載されている。例えば、電力網における電力供給の瞬断を防止するた
めにリアルタイムに蓄電池システムを制御する際は、充放電制御指示に関する通信メッセ
ージを適宜送受信するオンデマンド運転で動作することが望ましい。その際には図6(d
)に示すように、充放電制御情報はオンデマンド運転が有効、計画運転が無効となる。ま
た、夜間時間帯で比較的ゆるやかな時間間隔蓄電池システムを制御する際は、充放電制御
の動作タイミングスケジュールを設定する計画運転で動作することが望ましい。その際に
は充放電制御情報はオンデマンド運転が無効、計画運転が有効となる。本実施形態におけ
る充放電判定装置500では、蓄電池システムに対する複数の充放電指示装置からの同時制
御を許可するか否かの点と共に、当該蓄電池システムがオンデマンド型の運転をしている
か計画型の運転をしているか否かの点を加味した充放電判定を行う。各々の具体的動作に
ついては後述する。図6(e)は、充放電制御指示に関する通信メッセージの送受信に先
駆け、認証処理を適用する場合の認証情報の構成例を示している。ここでは、例えば認証
可能残数、及び認証完了装置の情報が記載されている。認証可能数が100であり、既にEMS
1、EMS2が認証完了している場合に、認証可能残数が98であり、認証完了装置がEMS1、EMS
2であることが示されている。図6の構成例は、必要に応じて情報を抜粋することや、認証
に用いる通信プロトコル種別を組み込む等、構成内容を適宜変更可能であることは言うま
でもない。
【0021】
充放電情報記憶部503は、本実施形態において、蓄電池システムの充放電制御に関する
情報(充放電情報)である、充放電判定情報、EMS管理情報、及び充放電電力情報を記憶
している。図7(a)に充放電判定情報の構成例、図7(b)にEMS管理情報、図8(a)に
充放電電力情報の構成例の構成例を示す。充放電判定情報は、蓄電池の物理的な制約条件
を元に、複数の充放電指示装置からの充放電制御が同時に実施可能か否かを識別するため
に用いる。図7(a)の例では、充電時の充電要求、及び放電時の放電要求を許可、充電
時の放電要求、及び放電時の充電要求を禁止する旨が記載されている。EMS管理情報は、
充放電判定装置に接続し、充放電制御を指示する充放電指示装置(EMS)の識別子に対応す
る。図7(b)には充放電判定装置に対し充放電制御を指示するEMS1のIPアドレス、EMS2
のIPアドレスが記載されている。具体的には図7(b)の例のようにIP(Internet Protoco
l)アドレスやURL(Uniform Resource Locator)等を用いることが考えられるが特定の表記
方法に依存するものではない。充放電電力情報は、複数の充放電指示装置に対して割り当
てた電力量の許可量(現在値あるいは計画値)を管理するために用い、蓄電池システムの充
放電電力に関する情報である。図8(a)の例では、単位ワット(W: Watt)で示される定格
放電電力P及び定格充電電力P、充放電実施に伴い随時更新される放電可能時間α(h)及び
充電可能時間β(h)、許可電力量が記載されている。許可電力量は、図8(b)に示すよう
に、電力と時間の物理的な許容の範囲内で、充放電指示装置として動作するEMS1及びEMS2
からの充放電制御指示を同時に受け付ける様子を示している。このときEMS1及びEMS2の指
示は、放電時間to1が放電可能時間α(h)以下、放電電力po1(EMS1)+po2(EMS2)がP(W)以下
、充電時間ti1(EMS1)が充電可能時間β(h)以下、及び充電電力pi1(EMS1)がP(W)以下の条
件を満たしている。
【0022】
制御部504は、第1通信部506が充放電指示装置(EMS)からのアクセス要求に関する通信
メッセージを受信すると、アクセス要求の内容、蓄電池情報、及び充放電情報から充放電
指示装置(EMS)のアクセス要求に対して可否判定を行う。例えば、アクセス制御情報の制
御許可残数からアクセス要求の可否判定を行い、アクセス要求の充放電制御の内容が充放
電電力情報の条件に該当するか否かによりアクセス要求の可否判定を行う。例えば、更に
充放電判定情報に該当するか否かによりアクセス要求の可否判定を行ってもよく、更にア
クセス要求に対して充放電制御情報に該当するか否かによりアクセス要求の可否判定を行
ってもよい。アクセス要求に関する通信メッセージは、例えば、充放電制御の指示内容で
ある充放電電力及び充放電可能時間(開始時刻及び終了時刻)を含む。
【0023】
制御部504はアクセス要求を許可すると、アクセス制御情報の制御許可残数を1減少し
、制御許可中装置にアクセス要求を許可した充放電指示装置(EMS)の情報を加えるように
蓄電池情報記憶部502に記憶させる。生成部505は、制御部504の可否判定に応じてアクセ
ス要求の許可、又は拒否に関する通信メッセージを生成する。第1通信部506は生成部505
で生成したアクセス要求の許可、又は拒否に関する通信メッセージを充放電指示装置(EMS
)に送信する。
【0024】
生成部505は、充放電判定装置(蓄電池システム)からのアクセス要求、アクセス可否、
またはアクセス終了などのアクセス制御に関する通信メッセージを作成し、第1通信部50
6は充放電指示装置(EMS)と蓄電池システムとの間のアクセス要求、アクセス可否、または
充放電制御などのアクセス制御に関する通信メッセージを送受信する。
【0025】
ここで、第1通信部506は、アクセス要求を許可した充放電指示装置(EMS)から充放電制
御に関する通信メッセージを受信すると、制御部504は充放電電力情報の許可電力量に充
放電制御の内容を加えるように充放電情報記憶部503に記憶させ、電力供給部501に充放電
制御を実施するように制御する。充放電制御に関する通信メッセージは、例えば充放電制
御の指示内容である充放電電力及び充放電可能時間(開始時刻及び終了時刻)を含む。
【0026】
充放電制御が終了すると、生成部505は充放電制御が終了した旨の通信メッセージを作
成する。第1通信部506は、生成部505で生成した充放電制御が終了して旨の通信メッセー
ジを充放電指示装置(EMS)に送信する。その後、第1通信部506は、充放電指示装置(EMS)
からアクセス終了に関するメッセージを受信する。これにより、充放電指示装置(EMS)と
の一連の充放電制御の処理は終了する。
【0027】
なお、アクセス拒否に関する通信メッセージを送信した充放電指示装置(EMS)に対し、
他の充放電指示装置(EMS)からの充放電制御が終了したため、新たに充放電制御すること
が可能になった場合に、制御部504は新たにアクセス要求を許可する判定を行ってもよい
。生成部505は、この許可判定に応じてアクセス許可に関する通信メッセージを作成し、
第1通信部506はアクセス許可に関する通信メッセージを充放電指示装置(EMS)に送信して
もよい。
【0028】
更に、生成部505は、充放電判定装置500が電池部(BMU)から取得した充放電制御に必要
な電力量情報やアクセス制御に関する通信メッセージを生成し、第1通信部506は生成部5
05で生成した通信メッセージを通信網上の充放電指示装置に対して送信してもよい。第1
通信部506は、光ファイバや電話線、LAN等の有線通信媒体の他、無線通信媒体によって実
現することが出来る。しかし、本実施形態における第1通信部506は特定の通信媒体に依
存するものではない。充放電判定装置500は、充放電指示装置からの充放電制御に関する
指示を、アクセス要求における可否判定の後に受け付ける。充放電判定装置及び充放電指
示装置間の制御手順には、認証手順を適用することで更に安全性を高められる。
【0029】
ここまで、充放電指示装置(EMS)と充放電判定装置500とでアクセス要求、アクセス許可
等のアクセス制御に関する通信メッセージを送受信し、アクセス許可されてから充放電制
御を行うことを説明してきたが、アクセス制御に関する通信メッセージを送受信せずに、
充放電指示装置(EMS)からの充放電制御の指示により充放電判定装置500が充放電制御を試
みた結果(充放電制御可能/不可)から、充放電指示装置(EMS)と充放電判定装置500との
アクセス制御の可否を判定してもよい。
【0030】
取得部507は、第2通信部508を介して電池部(BMU)固有の情報である特性情報(定格容量
、充放電終始電圧、上限温度、下限温度、最大充放電電流、定格電圧等)を取得する。ま
た、電池部(BMU)動作時の変動情報である状態情報(SOC、SOH、充放電電流、充放電電圧)
を定期的に取得する。第2通信部508は電池部(BMU)の一般的なインターフェース規格であ
るCAN、あるいはLAN等の通信媒体、蓄電池システムの製造を手掛けるベンダが独自に規定
した電気信号線によって実現することが出来るが特定の媒体に依存するものではない。尚
、一般に電池セルは自然放電する特徴を持つことから、充放電判定装置500として動作す
る蓄電池システムは、充放電指示装置として動作するEMSに送信するSOCやSOH等の情報は
一度のみ送信すれば良いわけではなく、値が時々刻々と変化する状況を鑑み、リアルタイ
ムに更新することが望ましい。また、本実施形態において、充放電制御時の電力量とは、
単位ワット時間(Wh: Watt hour)で示される電力量の他に、単位アンペア時間(Ah: Ampere
hour)で示される電流量、及び単位ボルト時間で示される電圧量(Vh: Volt hour)各々を
用いることが可能である。一般に、電力量は、電流量と電圧量の積によって算出される。
【0031】
図9に本実施形態の充放電指示装置900を示す。図9の充放電指示装置900は、充放電指示
部901、蓄電池情報記憶部902、充放電情報記憶部903、制御部904、生成部905、及び通信
部906で構成される。充放電指示装置900における蓄電池情報記憶部902、充放電情報記憶
部903、制御部904は、充放電判定装置500における蓄電池情報記憶部502、充放電情報記憶
部503、制御部504と各々対になる役割を持つ。充放電指示部901は、電力事業者の系統網
や需要家側構内の電力供給量や周波数状態を監視すると共に、電力供給不足による停電防
止のために蓄電池システムに放電制御を指示することや、電力供給超過による超過電力を
後に活用するために蓄電池システムに充電制御を指示する事などの充放電指示を適宜判断
して実行する。充放電指示装置900における充放電指示部901は、図1で提示した本実施形
態を実現するアプリケーションとして重要な役割を担う。蓄電池情報記憶部902は、本実
施形態において、電池部(BMU)の充放電制御時に必要な情報(蓄電池情報)である、アク
セス制御情報、蓄電池特性情報、充放電制御情報、認証情報を記憶する。図10(a)にア
クセス制御情報の構成例、図10(b)に蓄電池特性情報の構成例、図10(d)に充放電制
御情報の構成例、図10(e)に認証情報の構成例を提示する。アクセス制御情報は、充放
電判定装置(蓄電池システム)に対する充放電制御指示の発行を許可されているかどうか
を識別するために用いる。図10(a)の例では、制御許可中の蓄電池(蓄電池システム)
の情報が記載されている。例えば、充放電判定装置として動作する蓄電池システム1にお
けるアクセス制御判定結果が許可された旨が記載されている。充放電指示装置900が複数
の充放電判定装置(蓄電池システム)の制御を行う場合は、制御許可中蓄電池の情報も複数
存在することになる。蓄電池特性情報は、充放電制御に必要な電池部(BMU)の固体に特有
な情報である。例えば図10(b)の例では、単位ワット(W:Watt)で示される定格充放電電
力P(W)、単位ワット時間(Wh: Watt hour)で示される定格容量Q(Wh)、単位百分率で示され
る充電率(SOC: State Of Charge)X(%)、SOCに対応付けられた放電可能時間α(h)及び充電
可能時間β(h)が記載されている。蓄電池の一般的な充電方式である定電流充電方式では
、百分率で示されるSOCが所定の閾値に達するまで電池部(BMU)内の電池セルが入出力する
電力量(電流量)が一定状態で推移する。このことから、図10(c)に示すように、充放電
指示装置900は、充放電判定装置(蓄電池システム)の電池部(BMU)からSOCの値を取得す
ることで、蓄電池特性情報に対応付けられた充電可能時間及び放電可能時間 (グラフの横
軸)、定格充放電電力(グラフの縦軸)、充放電に必要な電力量(充放電可能時間と電力の
積)を算出される。定電流充電では、SOCが所定の閾値を超えた後は充電に必要な電流量が
極小化する特性がある。尚、前述のように、充放電制御時の電力量とは、単位ワット時間
(Wh: Watt hour)で示される電力量の他に、単位アンペア時間(Ah: Ampere hour)で示され
る電流量、及び単位ボルト時間で示される電圧量(Vh: Volt hour)各々を用いることが可
能である。充放電制御情報は、蓄電池システムの充放電動作状態を識別するために用いる
。例えば、図10(d)では対象蓄電池、オンデマンド運転、及び計画運転の情報が記載さ
れている。例えば、電力網における電力供給の瞬断を防止するためにリアルタイムに蓄電
池システムを制御する際は、充放電制御指示に関する通信メッセージを適宜送受信するオ
ンデマンド運転で動作することが望ましい。また、夜間時間帯で比較的ゆるやかな時間間
隔で蓄電池システムを制御する際は、充放電制御の動作タイミングスケジュールを設定す
る計画運転で動作することが望ましい。その際には図10(d)に示すように、対象充電池
は蓄電池システム1、充放電制御情報はオンデマンド運転が無効、計画運転が有効となる
。図10(d)に示すように、本実施形態における充放電指示装置900では、充放電判定装
置(蓄電池システム1)がオンデマンド型の運転をしているか計画型の運転をしているか
否かの情報を取得することで、後述するアクセス制御要求に関する通信メッセージに充放
電に関する計画情報を含めるか否かの判断を行う。尚、充放電指示装置900についての各
々の具体的動作については後述する。図10(e)は、充放電制御指示に関する通信メッセ
ージの送受信に先駆け、認証処理を適用する場合の認証情報の例を示している。ここでは
、例えば認証完了蓄電池の情報が記載されている。蓄電池システム1、蓄電池システム2
が認証完了している場合に、認証完了蓄電池が蓄電池システム1、蓄電池システム2であ
ることが示されている。図10に示した充放電指示装置900における蓄電池情報記憶部902内
の構成例は、必要に応じて情報を抜粋することや、認証に用いる通信プロトコル種別を組
み込む等、構成内容を適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0032】
充放電情報記憶部903は、本実施形態において、蓄電池システムの充放電制御に関する充
放電情報である充放電電力情報、及び蓄電池管理情報を記憶する。図11(a)に充放電電
力情報の構成例、図11(c)に蓄電池管理情報の構成例を提示する。充放電電力情報は充
放電判定装置から割り当てられる充放電の電力量を示す情報であり、EMSからの許可要求
量(現在値あるいは計画値)を制御するために用いる。図11(a)の例では、単位ワット(W
: Watt)で示される定格放電電力P(W)及び定格充電電力P(W)、充放電実施に伴い随時更新
される放電可能時間α(h)及び充電可能時間β(h)、計画電力量が記載されている。計画電
力量は、図11(b)に示すように、蓄電池システム毎に固有な電力と時間の物理的な許容
の範囲内で、充放電指示装置900が計画指示する電力量の様子を示している。前述のよう
に、電力量は電力と時間の積によって算出される。蓄電池管理情報は、充放電指示装置90
0が接続する充放電判定装置(蓄電池システム)の識別子に対応する。図11(c)には充放
電指示装置900から充放電制御を指示する蓄電池システム1のIPアドレス、蓄電池システ
ム2のIPアドレスが記載されている。具体的には図11(c)の例のようにIP(Internet Pr
otocol)アドレスやURL(Uniform Resource Locator)等を用いることが考えられるが特定の
表記方法に依存するものではない。
【0033】
制御部904は、充放電指示部901からの充放電制御の指示内容及び充放電情報記憶部903
に記憶された充放電情報とから、蓄電池システム(充放電判断装置)にアクセス要求を制
御する。例えば、充放電制御の指示内容が充放電電力情報の条件に該当するか否かにより
アクセス要求するか否かを決める。具体的には、充放電電力情報にある蓄電池システムの
定格充放電電力、充放電可能時間、及び計画電力量の条件を充放電制御の指示内容である
充放電電力と充放電可能時間(開始時刻及び終了時刻)が満たす場合にはアクセス要求し
、満たさない場合にはアクセス要求をしない。
【0034】
更に、充放電制御の指示内容、充放電情報、及び蓄電池情報記憶部902に記憶された蓄
電池情報とから、蓄電池システム(充放電判断装置)にアクセス要求を制御してもよい。
例えば、更に充放電制御の内容が充放電制御情報の条件に該当するか否かによりアクセス
要求するか否かを決める。具体的には、充放電制御の内容がオンデマンド運転によるもの
であるのか、計画運転によるものであるのかで決めてもよい。また、充放電制御の指示内
容が充放電電力情報の条件に該当する蓄電池システムが複数ある場合には、蓄電池特性情
報から選定してもよい。
【0035】
生成部905は充放電指示装置(EMS)からのアクセス要求、アクセス終了、または充放電制
御などのアクセス制御に関する通信メッセージ(指示メッセージを含む)を作成し、通信
部906は充放電指示装置(EMS)と蓄電池システムとの間のアクセス要求、アクセス可否、ま
たは充放電制御などのアクセス制御に関する通信メッセージを送受信する。
【0036】
ここで、生成部905は、制御部904でアクセス要求をすると判定した場合、蓄電池システ
ムに送信するアクセス要求に関する通信メッセージを作成する。アクセス要求に関する通
信メッセージは、例えば、充放電制御の指示内容である充放電電力及び充放電可能時間(
開始時刻及び終了時刻)を含む。通信部906は、生成部905で生成したアクセス要求に関す
る通信メッセージを蓄電池システム(充放電判定装置)に送信する。通信部906は充放電
指示装置900がアクセス要求した蓄電池システムからアクセス要求の可否に関する通信メ
ッセージを受信する。受信した通信メッセージがアクセス許可の場合には、制御部904は
蓄電池情報記憶部902のアクセス制御情報に許可された蓄電池システムを記憶する。更に
制御部904は、アクセス許可された蓄電池システムへの充放電制御の内容を充放電情報記
憶部903の充放電電力情報に記憶する。生成部905は、アクセス許可された蓄電池システム
への充放電制御に関する指示メッセージを生成する。指示通信メッセージは、例えば、充
放電制御の指示内容である充放電電力及び充放電可能時間(開始時刻及び終了時刻)を含
む。通信部906は、生成部905で生成された充放電制御に関する指示メッセージをアクセス
許可された充放電システムに送信する。一方、受信した通信メッセージがアクセス拒否の
場合には、制御部904はアクセス要求した蓄電池システムからアクセス許可に関する通信
メッセージを受信するまで待機するか、充放電情報の条件を満たす別の蓄電池システムに
アクセス要求するか、或いは蓄電池システムへの充放電制御を行わない。
【0037】
通信部906が、充放電システムから充放電制御が終了した旨の通信メッセージを受信す
ると、制御部904は蓄電池システムとのアクセス終了を決定し、充放電情報記憶部902のア
クセス制御情報からアクセス終了した蓄電池システムを削除する。生成部905は、アクセ
ス終了に関する通信メッセージを生成する。通信部906は、生成部905で生成したアクセス
終了に関する通信メッセージをアクセス終了する蓄電池システムに送信する。これにより
充放電指示装置と蓄電池システム(充放電判定装置)との一連の充放電制御の処理は終了
する。
【0038】
ここまで、充放電指示装置900と蓄電池システムとでアクセス要求、アクセス許可等の
アクセス制御に関する通信メッセージを送受信し、アクセス許可されてから充放電制御を
行うことを説明してきたが、アクセス制御に関する通信メッセージを送受信せずに、充放
電指示装置(EMS)から蓄電池システムへの充放電制御の指示により蓄電池システムが充放
電制御を試みた結果(充放電制御可能/不可)から、充放電指示装置900と蓄電池システ
ムとのアクセス制御の可否を判定してもよい。
【0039】
更に、通信部906は、充放電制御に必要な電池部(BMU)などに関する通信メッセージを蓄
電池システムから通信網上を介して受信してもよい。通信部906は、光ファイバや電話線
、LAN等の有線通信媒体の他、無線通信媒体によって実現することが出来る。しかし、本
実施形態における通信部906は特定の通信媒体に依存するものではない。充放電判定装置5
00及び充放電指示装置900間の制御手順には、認証手順を適用することで更に安全性を高
められる。
【0040】
(第1の実施形態)
第1の実施形態における動作シーケンスの例を図12に示す。第1の実施形態における充
放電判定装置及び充放電指示装置の動作フローチャートを図13、図14に示す。図12では、
充放電判定装置として動作する1台の蓄電池システム、充放電指示装置として動作する2
台のEMS(EMS1、EMS2)が存在する場面を仮定しているが、各々の装置の台数は特定の数
に依存するものではない。また、図12の蓄電池システムは、充放電制御の指示を随時必要
とするオンデマンド型で動作すると共に、複数の充放電指示装置からの同時制御を許可可
能な場合であり、充放電判定装置における図6(a)のアクセス制御情報の制御許可残数
は2以上、図6(d)の充放電制御情報のオンデマンド運転は有効になっているとする。
【0041】
制御部904は、充放電指示部901からの充放電制御の指示内容が充放電情報記憶部903の
充放電電力情報の条件を満たすか否かを判定する(S1401)。本実施形態では、EMS1、EMS2
とも充放電電力情報の条件を満たすものとする。充放電電力情報の条件を満たさない場合
には認証処理(アクセス要求)を行わない。
【0042】
図12では、EMS1及びEMS2は蓄電池システムに対して、初期接続に関する認証処理を実施
する(S1301、S1402)。認証処理は、IETF (Internet Engineering Task Force)が規定する
RFC (Request For Comment) 5191や、IEEE 802.1Xによる通信認証処理を適用することが
考えられるが、本実施形態は特定の認証処理に依存するものではない。認証処理が完了す
ると、EMS1の生成部905が蓄電池の放電を行うためのアクセス要求に関する通信メッセー
ジを生成し、通信部906は生成された通信メッセージを蓄電池システムに送信する(S1403)
。蓄電池システムの第1通信部506はアクセス要求に関する通信メッセージを受信する(S1
302)。蓄電池システムの制御部504は、蓄電池情報記憶部502、充放電情報記憶部503の情
報、及びEMS1のアクセス要求に関する内容からアクセス要求の可否判定を行う。この段階
では、蓄電池システムは他のEMS2に対する充放電制御の可否判定をまだ行っていない。蓄
電池情報記憶部502に記憶されたアクセス制御情報の制御許可残数2以上であるため、EMS1
はアクセス可能であることが分かる(S1303)。更に、充放電情報記憶部503に記憶された充
放電電力情報の条件に、アクセス要求の充放電制御の内容が該当するため、制御部504はE
MS1からのアクセス要求に対しアクセス要求許可の判定を行う(S1305)。ここでは、アクセ
ス制御情報及び充放電電力情報とからアクセス要求可否を判定したが、更に充放電判定情
報(放電時の放電要求/充電時の充電要求を許可) 及び充放電制御情報(オンデマンド運
転/計画運転の有効/無効)を用いて判定してもよい。この時点で、制御部504はアクセ
ス制御情報の制御許可残数を1減らし、制御許可中装置にEMS1を割り当てるように蓄電池
情報記憶部502に記憶させる。
【0043】
その後、蓄電池システムの生成部505はアクセス許可に関する通信メッセージを生成し
、第1通信部506はEMS1に対して生成部505で生成した通信メッセージを送信する(S1306)
。アクセス要求及びアクセス許可の情報交換は、セマフォ制御の概念に相当するが、セマ
フォに相当する制御許可残数の情報は、蓄電池システムで記憶する方法の他に、通信網上
で送受信する方法が想定出来るが、いずれの方法を用いても良い。EMS1の通信部906がア
クセス許可に関する通信メッセージを受信(S1405)した後、EMS2の生成部905が充放電制御
のアクセス要求に関する通信メッセージを生成し、EMS2の通信部906は生成部905で生成し
たアクセス要求に関する通信メッセージを蓄電池システムに送信したとする(S1403)。蓄
電池システムの制御部504は蓄電池情報記憶部502及び充放電情報記憶部503の情報、及びE
MS2のアクセス要求に関する内容とから充放電に関するアクセス要求の可否判定を行う。
この段階では、蓄電池システムは既にEMS1に対する充放電の許可を行っていることから、
図12の例では、制御許可残数が1以上であるアクセス制御情報からEMS2はアクセス可能で
あることが分かる(S1303)。更に充放電電力情報(電池部(BMU)から提供可能な定格充放電
電力からEMS1の割り当て電力量を減算した条件がEMS2からのアクセス要求の内容を満たす
こと)から、蓄電池システムの制御部504はEMS2からのアクセス要求に対しアクセス要求許
可の判定を行う(S1305)。なお、ここでも更に充放電判定情報(放電時の放電要求、充電時
の充電要求を許可)または充放電制御情報(オンデマンド運転/計画運転の有効/無効)
を用いて判定してもよい。
【0044】
その後、蓄電池システムの生成部505はアクセス許可に関する通信メッセージを生成し
、第1通信部506はEMS2に対して生成部505で生成した通信メッセージを送信する(S1306)
。図12の例において、EMS1及びEMS2双方が放電制御を許可されたため、EMS1及びEMS2の生
成部905は充放電制御に関する指示メッセージを生成し、EMS1及びEMS2の通信部906は生成
した指示メッセージを蓄電池システムに送信する(S1406)。蓄電池システムの制御部504は
、EMS1及びEMS2から受信した指示メッセージから許容の範囲内で電力供給部501の充放電
制御を行う(S1307)。EMS1の充放電制御が終了すると、生成部505は充放電制御が終了した
旨の通信メッセージを生成し、第1通信部506がEMS1に充放電制御が終了した旨の通信メ
ッセージをEMS1に送信する。通信部906は充放電制御が終了した旨の通信メッセージを受
信すると、制御部904はアクセス終了を決定する。生成部905はアクセス終了に関する通信
メッセージを生成し、EMS1の通信部906は生成した通信メッセージを蓄電池システムに送
信する(S1407)。蓄電池システムの第1通信部506は、EMS1のアクセス終了に関する通信メ
ッセージを受信し(S1308)、蓄電池システムの制御部504はEMS1とのアクセスを終了すると
共に、蓄電池情報記憶部502のアクセス制御情報の制御許可残数を1増加し、制御許可中
装置はEMS2となるように記憶させる。これにより、以後、他のEMS(図示していないが例え
ばEMS3)が蓄電池システムにアクセス可能となる。
【0045】
本実施形態では、蓄電池システムがアクセス制御情報及び充放電電力情報とからアクセ
ス許可する場合で説明したが、アクセス要求に許可しない場合には蓄電池システムの生成
部505はアクセス拒否に関する通信メッセージを生成し、第1通信部506はEMSに通信メッ
セージを送信する(S1304)。EMSの通信部906はアクセス拒否に関する通信メッセージを受
信する(S1408)。
【0046】
このように、第1の実施形態に係わる充放電指示装置によれば、複数の蓄電池と制御主体
が相互に接続されたシステムにおいて、充放電に伴う電力スループット増加する効果があ
る。尚、第1の実施形態における充電指示装置の機能は、電力系統網に設置するEMSの他
、家庭構内に設置するHEMS、ビル構内に設置するBEMS、工場構内に設置するFEMS、更にス
マートメータ上で同様に実現することができる。
【0047】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、蓄電池システムが将来のスケジュール情報に基づき、計画的に充放電
制御を行う計画運転で動作する場合における、充放電指示装置及び充放電判定装置間の制
御手順に関する。第2の実施形態が想定するシステム構成は、図1にて説明した構成と同等
とする。すなわち、電力系統側又は需要家側に設置された蓄電池システムが、複数のEMS
から充放電制御に関する指示を受ける状況を対象とする。
【0048】
第2の実施形態における動作シーケンスの例を図15に示す。第2の実施形態における充
放電判定装置及び充放電指示装置の動作フローチャートを図13、図14に示す。図15の例で
は、充放電判定装置として動作する1台の蓄電池システム、充放電指示装置として動作す
る2台のEMSが存在する場面を仮定しているが、各々の装置の台数は特定の数に依存する
ものではない。また、図15の蓄電池システムは、将来のスケジュール情報に基づいた計画
的な充放電制御の指示を必要とする計画型で動作すると共に、複数の充放電制御装置から
の同時制御許可の場合であり、充放電判定装置における図6(a)のアクセス制御情報の
制御許可残数は2以上、図6(d)の充放電制御情報の計画運転は有効になっているとする
。充放電指示装置が充放電判定装置に通知する計画情報の時間間隔は、数時間単位や1日
単位、1週間単位と運用の状況に応じて自由に定めてもよい。
【0049】
制御部904は、充放電指示部901からの充放電制御の指示内容が充放電情報記憶部903の
充放電電力情報の条件を満たすか否かを判定する(S1401)。本実施形態では、EMS1、EMS2
とも充放電電力情報の条件を満たすものとする。充放電電力情報の条件を満たさない場合
には認証処理(アクセス要求)を行わない。
【0050】
図15の例において、EMS1及びEMS2は蓄電池システムに対して、初期接続に関する認証処
理を実施する(S1301、S1402)。認証処理は、IETF (Internet Engineering Task Force)が
規定するRFC (Request For Comment) 5191や、IEEE 802.1Xによる通信認証処理を適用す
ることが考えられるが、本実施形態は特定の認証処理に依存するものではない。認証処理
が完了すると、EMS1の生成部905が蓄電池の放電を行うためのアクセス要求に関する通信
メッセージを生成し、通信部906は生成部905で生成された通信メッセージを蓄電池システ
ムに送信する(S1403)。特に、EMS1は、図11(a)に示した充放電情報記憶部903の充放電
電力情報から、図11(b)に示すような、充放電電力及び充放電時間に関する情報からな
る計画電力量を含むアクセス要求に関する通信メッセージを生成して送信する。計画電力
量は、アクセス要求と合わせた通信メッセージを送信する方法の他に、別個の通信メッセ
ージを送信する方法を用いてもよい。蓄電池システムの第1通信部506がアクセス要求に
関する通信メッセージを受信する(S1302)。蓄電池システムの制御部504は、蓄電池情報記
憶部502及び充放電情報記憶部503の情報、及びEMS1のアクセス要求に関する内容とから、
充放電制御の可否判定を行う。この段階では、蓄電池システムは他のEMS2に対する充放電
制御の可否をまだ行っていない。蓄電池情報記憶部502に記憶されたアクセス制御情報の
制御許可残数2以上であり、EMS1はアクセス可能であることが分かる(S1303)。更に、充
放電情報記憶部503に記憶された充放電電力情報の条件に、アクセス要求の充放電制御の
内容が該当する(S1305)ため、制御部504はEMS1からのアクセス要求に対しアクセス要求許
可の判定を行う。この時点で、制御部504はアクセス制御情報の制御許可残数を1減らし、
制御許可中装置にEMS1を割り当てるように蓄電池情報記憶部502に記憶する。
【0051】
その後、蓄電池システムの生成部505はアクセス許可に関する通信メッセージを生成し
、第1通信部506はEMS1に対して生成部505で生成した通信メッセージを送信する(S1306)
。随時指示の送信を必要とする第1の実施形態の場合とは異なって、アクセス許可に関す
る通信メッセージは、充放電電力及び充放電時間に関する情報から成る許可電力量の情報
を含ませる方法を用いても良い。アクセス要求及びアクセス許可の情報交換は、セマフォ
制御の概念に相当するが、セマフォに相当する制御許可残数の情報は、蓄電池システムで
記憶する方法の他に、通信網上で送受信する方法が想定出来るが、いずれの方法を用いて
も良い。
【0052】
EMS1の通信部906がアクセス許可に関する通信メッセージを受信(S1405)した後、EMS2の
生成部905が充放電制御のアクセス要求に関する通信メッセージを生成し、EMS2の通信部9
06は生成部905で生成したアクセス要求に関する通信メッセージを蓄電池システムに送信
したとする(S1403)。この段階では、蓄電池システムは既にEMS1に対するアクセス要求の
許可を行っていることから、蓄電池システムの制御部504は蓄電池情報記憶部502及び充放
電情報記憶部503の情報、及びEMS2からのアクセス要求に関する情報とから充放電に関す
るアクセス要求の可否判定を行う。
【0053】
本実施形態2においては、アクセス許可要求中に計画電力量の情報を含めることが望ま
しいことから、EMS2もEMS1と同様に蓄電池システムから利用予定の計画電力量情報を含め
ることとする。図13の例では、制御許可残数が1以上であるアクセス制御情報からEMS2は
アクセス可能であることが分かる(S1303)。更に充放電電力情報(電池部(BMU)から提供可
能な定格充放電電力からEMS1の割り当て電力量を減算した条件がEMS2からのアクセス要求
の内容を満たすこと)から、蓄電池システムの制御部504はEMS2からのアクセス要求に対し
アクセス要求許可の判定を行う(S1305)。なお、ここでも更に充放電判定情報(放電時の放
電要求、充電時の充電要求を許可)または充放電制御情報(オンデマンド運転/計画運転
の有効/無効)を用いて判定してもよい。特に、充放電電力情報を用いた充放電制御のア
クセス要求の可否判定は、蓄電池システムの安全性及び電力スループットを両立させるた
めに重要な処理である。
【0054】
図13の例に示すように、蓄電池システムの放電に関する定格電力量がP(W)であるとする
。この状況で、EMS1の放電に関する計画電力量が時間to1(h)の間電力po1(W)、EMS2の放電
に関する計画電力量が時間to1(h)の間電力po2(W)とすると、利用時間帯は同一であるため
po1(W)とpo2(W)の加算結果がP(W)以下であれば双方のEMS1、EMS2に対して放電制御を同時
に許可することが可能となる。図13の例では、同様に、充電時の判定ケースが図示されて
いるが、EMS1の充電に関する計画電力量pi1が蓄電池システムの充電に関する定格電力量P
(W)以下あれば充電制御を許可することが可能となる。
【0055】
その後、蓄電池システムの生成部505はアクセス許可に関する通信メッセージを生成し
、第1通信部506はEMS2に対して生成部505で生成した通信メッセージを送信する(S1306)
。図13の例において、EMS1及びEMS2双方が同一時間帯に放電制御を許可されたため、EMS1
及びEMS2の生成部905は充放電制御に関する指示メッセージを生成し、EMS1及びEMS2の通
信部906は生成した指示メッセージを蓄電池システムに送信する(S1406)。蓄電池システム
の制御部504は、EMS1及びEMS2から受信した指示メッセージから許容の範囲内で電力供給
部501の充放電制御を行う(S1307)。図示していないが、EMS1の充放電制御が終了すると、
生成部505は充放電制御が終了した旨の通信メッセージを生成し、第1通信部506がEMS1に
充放電制御が終了した旨の通信メッセージをEMS1に送信する。通信部906は充放電制御が
終了した旨の通信メッセージを受信すると、制御部904はアクセス終了を決定する。生成
部905は放電制御が終了するとアクセス終了に関する通信メッセージを生成し、EMS1の通
信部906は生成した通信メッセージを蓄電池システムに送信する(S1407)。蓄電池システム
の第1通信部506は、EMS1のアクセス終了に関する通信メッセージを受信し(S1308)、蓄電
池システムの制御部504はEMS1とのアクセスを終了すると共に、蓄電池情報記憶部502のア
クセス制御情報の制御許可残数を1増加し、制御許可中装置はEMS2となるように記憶させ
る。これにより、以後、他のEMS(図示していないが例えばEMS3)が蓄電池システムにアク
セス可能となる。
【0056】
本実施形態では、蓄電池システムがアクセス制御情報及び充放電電力情報とからアクセ
ス許可する場合で説明したが、アクセス要求に許可しない場合には蓄電池システムの生成
部505はアクセス拒否に関する通信メッセージを生成し、第1通信部506はEMSに通信メッ
セージを送信する(S1304)。EMSの通信部906はアクセス拒否に関する通信メッセージを受
信する(S1408)。
【0057】
このように、第2の実施形態に係わる充放電指示装置によれば、将来のスケジュール情
報に基づいた計画的な充放電制御を利用する場合において、充放電に伴う電力スループッ
ト増加が可能となる効果が得られる。
【0058】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、蓄電池システムが、充放電制御指示に関する通信メッセージを適宜
送受信するオンデマンド運転で動作する場合における、充放電指示装置及び充放電判定装
置間の制御手順に関する。第3の実施形態が想定するシステム構成は、図1にて説明した構
成と同等とする。すなわち、電力系統側又は需要家側に設置された蓄電池システムが、複
数のEMSから充放電制御に関する指示を受ける状況を対象とする。
【0059】
第3の実施形態における動作シーケンスの例を図16に示す。第3の実施形態における充
放電判定装置及び充放電指示装置の動作フローチャートを図17、図18に示す。図16の例で
は、充放電判定装置として動作する1台の蓄電池システム、充放電指示装置として動作す
る2台のEMSが存在する場面を仮定しているが、各々の装置の台数は特定の数に依存するも
のではない。また、図16の蓄電池システムは、充放電制御の指示を随時必要とするオンデ
マンド型で動作すると共に、複数の充放電制御装置からの同時制御を禁止する場合であり
、充放電判定装置における図6(a)のアクセス制御情報の制御許可残数は1、図6(d)
の充放電制御情報のオンデマンド運転は有効になっているとする。
【0060】
図16の第3の実施形態の動作手順は、図12に示した第1の実施形態と同様の動作を行う
。本実施形態とは蓄電池システムが複数のEMSの同時制御を禁止することが異なる。
【0061】
制御部904は、充放電指示部901からの充放電制御の指示内容が充放電情報記憶部903の
充放電電力情報の条件を満たすか否かを判定する(S1801)。本実施形態では、EMS1、EMS2
とも充放電電力情報の条件を満たすものとする。充放電電力情報の条件を満たさない場合
には認証処理(アクセス要求)を行わない。
【0062】
図16では、EMS1及びEMS2は蓄電池システムに対して、初期接続に関する認証処理を実施
する(S1701、S1802)。認証処理は、IETF (Internet Engineering Task Force)が規定する
RFC (Request For Comment) 5191や、IEEE 802.1Xによる通信認証処理を適用することが
考えられるが、本実施形態は特定の認証処理に依存するものではない。認証処理が完了す
ると、EMS1の生成部905が蓄電池の放電を行うためのアクセス要求に関する通信メッセー
ジを生成し、通信部906は生成された通信メッセージを蓄電池システムに送信する(S1803)
。蓄電池システムの第1通信部506はアクセス要求に関する通信メッセージを受信する(S1
702)。蓄電池システムの制御部504は、蓄電池情報記憶部502、充放電情報記憶部503の情
報、及びEMS1のアクセス要求に関する内容からアクセス要求の可否判定を行う。この段階
では、蓄電池システムは他のEMS2に対する充放電制御の可否判定をまだ行っていない。蓄
電池情報記憶部502に記憶されたアクセス制御情報の制御許可残数1であるため、EMS1はア
クセス可能であることが分かる(S1703)。更に、充放電情報記憶部503に記憶された充放電
電力情報の条件に、アクセス要求の充放電制御の内容が該当するため、制御部504はEMS1
からのアクセス要求に対しアクセス要求許可の判定を行う(S1704)。ここでは、アクセス
制御情報及び充放電電力情報とからアクセス要求可否を判定したが、更に充放電判定情報
(放電時の放電要求/充電時の充電要求を許可) 及び充放電制御情報(オンデマンド運転
/計画運転の有効/無効)を用いて判定してもよい。この時点で、制御部504はアクセス
制御情報の制御許可残数を1減らし、制御許可中装置にEMS1を割り当てるように蓄電池情
報記憶部502に記憶させる。
【0063】
その後、蓄電池システムの生成部505はアクセス許可に関する通信メッセージを生成し
、第1通信部506はEMS1に対して生成部505で生成した通信メッセージを送信する(S1705)
。EMS1は充放電制御を許可されたため、EMS1の生成部905は充放電制御に関する指示メッ
セージを生成し、EMS1の通信部906は生成した指示メッセージを蓄電池システムに送信す
る(S1806)。蓄電池システムの制御部504は、EMS1から受信した指示メッセージから許容の
範囲内で電力供給部501の充放電制御を行う(S1706)。
【0064】
一方、EMS1の通信部906がアクセス許可に関する通信メッセージを受信(S1805)した後、
EMS2の生成部905が充放電制御のアクセス要求に関する通信メッセージを生成し、通信部9
06は生成部905で生成された通信メッセージを蓄電池システムに送信する(S1803)。蓄電池
システムは既にEMS1に対する充放電制御のアクセス要求の許可を行っており、蓄電池情報
記憶部502及び充放電情報記憶部503、及びEMS2からのアクセス要求に関する情報から、充
放電制御の可否判定を行う。図16の例では、蓄電池情報記憶部502のアクセス制御情報の
制御許可残数が0であるため、蓄電池システムの制御部504はEMS2に対するアクセス要求を
拒否と判定する(S1703)。その後、蓄電池システムの生成部505はアクセス拒否に関する通
信メッセージを生成し、第1通信部506は生成部505で作成した通信メッセージをEMS2に送
信する(S1709)。
【0065】
EMS2の通信部906はアクセス拒否に関する通信メッセージを受信すると(S1808)、EMS2の
制御部504は蓄電池システムからのアクセス許可に関する通信メッセージを受信するまで
待機する。EMS1からの充放電制御が終了すると、蓄電池システムの生成部505は充放電制
御が終了した旨の通信メッセージを生成し、第1通信部506は生成部505が生成した充放電
制御が終了した旨の通信メッセージをEMSに送信する。EMS1の通信部906は充放電制御が終
了した旨の通信メッセージを受信すると、制御部904はアクセス終了を決定し、生成部905
はアクセス終了に関する通信メッセージを生成する。EMS1の通信部906は生成部905が生成
した通信メッセージを蓄電池システムに送信する(S1807)。蓄電池システムの第1通信部5
06がアクセス終了に関する通信メッセージを受信(S1707)すると、制御部504は蓄電池情報
記憶部502のアクセス制御情報の制御許可残数0から1に変更、制御許可中装置のEMS1を削
除するように記憶させる。この時、制御部504は制御許可残数が1であるため、EMS2はアク
セス可能であることが分かる(S1703)。更に、充放電情報記憶部503に記憶された充放電電
力情報の条件に、アクセス要求の充放電制御の内容が該当するため、制御部504はEMS2か
らのアクセス要求に対しアクセス要求許可の判定を行う(S1704)。ここでは、アクセス制
御情報及び充放電電力情報とからアクセス要求可否を判定したが、更に充放電判定情報(
放電時の放電要求/充電時の充電要求を許可) 及び充放電制御情報(オンデマンド運転/
計画運転の有効/無効)を用いて判定してもよい。この時点で、制御部504はアクセス制
御情報の制御許可残数を1減らし、制御許可中装置にEMS2を割り当てるように蓄電池情報
記憶部502に記憶させる。
【0066】
生成部505はEMS2に対しアクセス許可に関する通信メッセージを生成し、第1通信部506
は生成部505が生成した通信メッセージをEMS2に送信する(S1705)。EMS2の通信部906がア
クセス許可に関する通信メッセージを受信(S1809)すると、EMS2は充放電制御を許可され
たため、EMS2の生成部905は充放電制御に関する指示メッセージを生成し、EMS2の通信部9
06は生成した指示メッセージを蓄電池システムに送信する(S1806)。蓄電池システムの制
御部504はEMS2から受信した指示メッセージから許容の範囲内で電力供給部501の充放電制
御を行う(S1706)。EMS2の充放電制御が終了すると、生成部505は充放電制御が終了した旨
の通信メッセージを生成し、第1通信部506は充放電制御が終了した旨の通信メッセージ
をEMS2に送信する。EMS2の通信部906は充放電制御が終了した旨の通信メッセージを受信
すると、制御部904はアクセス終了を決定し、生成部905はアクセス終了に関する通信メッ
セージを生成する。EMS2の通信部906は生成した通信メッセージを蓄電池システムに送信
する(S1807)。蓄電池システムの第1通信部506は、EMS2からのアクセス終了に関する通信
メッセージを受信(S1707)し、蓄電池システムの制御部504はEMS2とのアクセスを終了する
と共に、蓄電池情報記憶部502のアクセス制御情報の制御許可残数を1とし、制御許可中装
置がなくなるように記憶させる。これにより、以後他のEMSが蓄電池システムにアクセス
可能となる。
【0067】
本実施形態では、蓄電池システムが充放電電力情報とからアクセス許可する場合で説明
したが、充放電電力情報の条件を満たさずアクセス要求に許可しない場合には蓄電池シス
テムの生成部505はアクセス拒否に関する通信メッセージを生成し、第1通信部506はEMS
に通信メッセージを送信する(S1708)。EMSの通信部906はアクセス拒否に関する通信メッ
セージを受信する(S1808)。この場合には、この後アクセス許可に関する通信メッセージ
を受信しない(S1809)ので、蓄電池システムに充放電制御を指示しない。
【0068】
このように、本発明の第3の実施形態に係る充放電指示装置によれば、オンデマンド型
で動作する蓄電池システムに対するEMS1及びEMS2の充放電制御は完全に排他的に制御され
る場合でも充放電に伴う電力スループット増加が可能となる効果が得られる。第3の実施
形態では、アクセス許可に関する通信メッセージを受信するまで待機するようにしたが、
これに限らず別の蓄電池システムに対しアクセス要求を送信してもよい。
【0069】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、蓄電池システムが、将来のスケジュール情報に基づき、計画的に充
放電制御を行う計画運転で動作する場合における、充放電判定装置及び充放電指示装置間
の制御手順に関する。第4の実施形態が想定するシステム構成は、図1にて説明した構成と
同等とする。すなわち、電力系統側又は需要家側に設置された蓄電池システムが、複数の
EMSから充放電制御に関する指示を受ける状況を対象とする。
【0070】
第4の実施形態における動作シーケンスの例を図19に示す。第4の実施形態における充
放電判定装置及び充放電指示装置の動作フローチャートを図20、図14に示す。図19の例で
は、充放電判定装置として動作する1台の蓄電池システム、充放電指示装置として動作す
る2台のEMSが存在する場面を仮定しているが、各々の装置の台数は特定の数に依存するも
のではない。また、図19の蓄電池システムは、将来のスケジュール情報に基づき、計画的
に充放電制御を行う計画運転で動作すると共に、複数の充放電制御装置からの同時制御を
禁止する前提とする。この場合、充放電判定装置における図6(a)のアクセス制御情報
の制御許可残数は1、図6(d)の充放電制御情報の計画運転は有効になっているとする。
充放電指示装置が充放電判定装置に通知する計画情報の時間間隔は、数時間単位や1日単
位、1週間単位と運用の状況に応じて自由に定めてもよい。
【0071】
図19の第4の実施形態の動作手順は、図15に提示した第2の実施形態と同様の動作を行
う。異なる点は、蓄電池システムが複数のEMSの同時制御を禁止することである。
【0072】
制御部904は、充放電指示部901からの充放電制御の指示内容が充放電情報記憶部903の
充放電電力情報の条件を満たすか否かを判定する(S1401)。本実施形態では、EMS1、EMS2
とも充放電電力情報の条件を満たすものとする。充放電電力情報の条件を満たさない場合
には認証処理(アクセス要求)を行わない。
【0073】
図19の例において、EMS1及びEMS2は蓄電池システムに対して、初期接続に関する認証処
理を実施する(S1402、S2001)。認証処理は、IETF (Internet Engineering Task Force)が
規定するRFC (Request For Comment) 5191や、IEEE 802.1Xによる通信認証処理を適用す
ることが考えられるが、本実施形態は特定の認証処理に依存するものではない。認証処理
が完了すると、EMS1の生成部905が蓄電池の放電を行うためのアクセス要求に関する通信
メッセージを生成し、通信部906は生成部905で生成された通信メッセージを蓄電池システ
ムに送信する(S1403)。特に、EMS1は、図11(a)に示した充放電情報記憶部903の充放電
電力情報から、図11(b)に示すような、充放電電力及び充放電時間に関する情報からな
る計画電力量を含むアクセス要求に関する通信メッセージを生成して送信する。計画電力
量は、アクセス要求と合わせた通信メッセージを送信する方法の他に、別個の通信メッセ
ージを送信する方法を用いてもよい。蓄電池システムの第1通信部506がアクセス要求に
関する通信メッセージを受信すると(S2002)、蓄電池システムの制御部504は、蓄電池情報
記憶部502及び充放電情報記憶部503の情報、及びEMS1のアクセス要求に関する内容とから
、充放電制御の可否判定を行う。この段階では、蓄電池システムは他のEMS2に対する充放
電制御の可否をまだ行っていない。蓄電池情報記憶部502に記憶されたアクセス制御情報
の制御許可残数1であり、EMS1はアクセス可能であることが分かる。更に、充放電情報記
憶部503に記憶された充放電電力情報の条件に、アクセス要求の充放電制御の内容が該当
するため、制御部504はEMS1からのアクセス要求に対しアクセス要求許可の判定を行う(S2
003)。この時点で、制御部504はアクセス制御情報の制御許可残数を0、制御許可中装置に
EMS1を割り当てるように蓄電池情報記憶部502に記憶させる。
【0074】
その後、蓄電池システムの生成部505はアクセス許可に関する通信メッセージを生成し
、第1通信部506はEMS1に対して生成部505で生成した通信メッセージを送信する(S2004)
。アクセス許可に関する通信メッセージは、充放電電力及び充放電時間に関する情報から
成る許可電力量の情報を含ませる方法を用いても良い。アクセス要求及びアクセス許可の
情報交換は、セマフォ制御の概念に相当するが、セマフォに相当する制御許可残数の情報
は、蓄電池システムで記憶する方法の他に、通信網上で送受信する方法が想定出来るが、
いずれの方法を用いても良い。
【0075】
EMS1の通信部906がアクセス許可に関する通信メッセージを受信(S1405)した後、図19の
例において、充放電電力情報からEMS1が先に放電時間to1、放電電力po1で放電制御を許可
されたため、EMS1の生成部905は充放電制御に関する指示メッセージを生成し、EMS1の通
信部906は生成した指示メッセージを蓄電池システムに送信する(S1406)。蓄電池システム
の制御部504は、EMS1から受信した指示メッセージから許容の範囲内で電力供給部501の充
放電制御を行う(S2005)。図示していないが、EMS1の充放電制御が終了すると、生成部505
は充放電制御が終了した旨の通信メッセージを生成し、第1通信部506が充放電制御が終
了した旨の通信メッセージをEMS1に送信する。通信部906は充放電制御が終了した旨の通
信メッセージを受信すると、制御部904はアクセス終了を決定する。生成部905は放電制御
が終了するとアクセス終了に関する通信メッセージを生成し、EMS1の通信部906は生成し
た通信メッセージを蓄電池システムに送信する(S1407)。蓄電池システムの第1通信部506
は、EMS1のアクセス終了に関する通信メッセージを受信し(S2006)、蓄電池システムの制
御部504はEMS1とのアクセスを終了すると共に、蓄電池情報記憶部502のアクセス制御情報
の制御許可残数を1増加し、制御許可中装置はEMS2となるように記憶させる。これにより
、以後、他のEMS(例えばEMS2)が蓄電池システムにアクセス可能となる。
【0076】
一方、EMS1の通信部906がアクセス許可に関する通信メッセージを受信(S1405)した後、
EMS2の生成部905が充放電制御のアクセス要求に関する通信メッセージを生成し、EMS2の
通信部906は生成部905で生成したアクセス要求に関する通信メッセージを蓄電池システム
に送信したとする(S1403)。蓄電池システムは既にEMS1に対する充放電制御のアクセス要
求の許可を行っており、蓄電池情報記憶部502及び充放電情報記憶部503、及びEMS2からの
アクセス要求に関する情報から、充放電制御の可否判定を行う(S2003)。図19の例では、
蓄電池情報記憶部502のアクセス制御情報の制御許可残数が0であるため、蓄電池システム
の制御部504は現時点でEMS2に対するアクセス許可の通信メッセージを送信しない。本実
施形態の場合、EMS1、EMS2のアクセス要求に関する通信メッセージに、充放電制御の開始
時刻、終了時刻、及び充放電電力が含まれており、具体的に図11(b)及び図19に示すよ
うにEMS2の放電開始時刻がEMS1の充放電終了時刻以降のため、EMS1が充放電制御を開始時
刻からto1後にEMS2のアクセス許可に関する通信メッセージをEMS2に送信する(S2004)。
【0077】
EMS2の通信部906がアクセス許可に関する通信メッセージを受信(S1405)した後、図19の
例において、充放電電力情報からEMS2はEMS1が充放電制御を開始時刻からto1後に放電時
間to2、放電電力po2で放電制御を許可されたため、EMS2の生成部905は充放電制御に関す
る指示メッセージを生成し、EMS2の通信部906は生成した指示メッセージを蓄電池システ
ムに送信する(S1406)。蓄電池システムの制御部504は、EMS2から受信した指示メッセージ
から許容の範囲内で電力供給部501の充放電制御を行う(S2005)。図示していないが、EMS2
の充放電制御が終了すると、生成部505は充放電制御が終了した旨の通信メッセージを生
成し、第1通信部506は充放電制御が終了した旨の通信メッセージをEMS2に送信する。通
信部906は充放電制御が終了した旨の通信メッセージを受信すると、制御部904はアクセス
終了を決定する。生成部905は放電制御が終了するとアクセス終了に関する通信メッセー
ジを生成し、EMS2の通信部906は生成した通信メッセージを蓄電池システムに送信する(S1
407)。蓄電池システムの第1通信部506は、EMS2のアクセス終了に関する通信メッセージ
を受信し(S2006)、蓄電池システムの制御部504はEMS2とのアクセスを終了すると共に、蓄
電池情報記憶部502のアクセス制御情報の制御許可残数を1増加し、制御許可中装置はEMS2
となるように記憶させる。
【0078】
本実施形態では、蓄電池システムが充放電電力情報からアクセス許可する場合で説明し
たが、アクセス要求に許可しない場合には蓄電池システムの生成部505はアクセス拒否に
関する通信メッセージを生成し、第1通信部506はEMSに通信メッセージを送信する(S2007
)。EMSの通信部906はアクセス拒否に関する通信メッセージを受信する(S1408)。
【0079】
このように、第4の実施形態に係る充放電指示装置によれば、計画電力量の情報を用い
ることで、時間の隙間なく充放電制御のスケジュールを詰め込むことが可能となる。
【0080】
図19の例に示すように、EMS1における時間to1の放電電力po1(W)の終了後、直ちに、EMS
2における時間to2の放電電力po2(W)を開始することが出来る。計画電力量を、充放電判定
装置及び充放電指示装置間で交換しない場合と比較すると、ポーリング方式による各種通
信メッセージの送受信を削減することが出来るため効率的である。
【0081】
(第5の実施形態)
第5の実施形態では、認証処理を用いた充放電制御の可否判定に関する。第5の実施形
態における動作シーケンスの例を図21に示す。第5の実施形態における充放電判定装置及
び充放電指示装置の動作フローチャートを図22、図23に示す。図21の例では、充放電判定
装置として動作する1台の蓄電池システム、充放電指示装置として動作する2台のEMSが存
在する場面を仮定しているが、各々の装置の台数は特定の数に依存するものではない。充
放電判定装置と充放電指示装置が、前述したようなRFC 5191やIEEE802.1X等の認証手順を
実施した上で、充放電制御を行うものとする。この場合、充放電判定装置の蓄電池情報記
憶部502における、図6(a)に示すアクセス制御情報の制御許可残数の初期値を1、図6(
e)に示す認証情報の認証可能残数の初期値を1に設定すると、同時間帯における複数充
放電指示装置からの充放電制御が禁止されることから、認証処理の完了を持って、充放電
可否の判定とみなすことが出来る。
【0082】
EMSの制御部904は、充放電指示部901からの充放電制御の指示内容が充放電情報記憶部9
03の充放電電力情報の条件を満たすか否かを判定する(S2301)。本実施形態では、EMS1、E
MS2とも充放電電力情報の条件を満たすものとする。充放電電力情報の条件を満たさない
場合には認証処理を行わない。
【0083】
EMS1の通信部906は認証処理のための認証要求に関する通信メッセージを蓄電池システ
ムに送信する。認証要求に関する通信メッセージには、例えば充放電制御の内容である充
放電時間及び充放電電力の情報が含まれていてもよく、別途充放電制御の内容を含めた通
信メッセージを送信してもよい。蓄電池システムの第1通信部506が認証要求を受信する
と、蓄電池システムの制御部504は充放電情報記憶部503の充放電電力情報から、アクセス
制御情報の制御許可残数1であり、EMS1と認証処理可能であることが分かる(S2201)。更
に、充放電情報記憶部503に記憶された充放電電力情報の条件をEMS1の充放電制御の内容
が満たすため(S2202)、EMS1と蓄電池システムは認証処理を実施する(S2203、S2303)。こ
の時点で、制御部504はアクセス制御情報の制御許可残数を0、制御許可中装置にEMS1を割
り当てるように蓄電池情報記憶部502に記憶させる。認証処理は、IETF (Internet Engine
ering Task Force)が規定するRFC (Request For Comment) 5191や、IEEE 802.1Xによる通
信認証処理を適用することが考えられるが、本実施形態は特定の認証処理に依存するもの
ではない。
【0084】
EMS1の生成部905は充放電制御に関する指示メッセージを生成し、EMS1の通信部906は生
成した指示メッセージを蓄電池システムに送信する(S2305)。蓄電池システムの制御部504
は、EMS1から受信した指示メッセージから許容の範囲内で電力供給部501の充放電制御を
行う(S2205)。EMS1からの充放電制御が終了すると、EMS1と蓄電池システムは認証解除を
実施する(S2206、S2306)。蓄電池システムの制御部504はEMS1とのアクセスを終了する
と共に、蓄電池情報記憶部502のアクセス制御情報の制御許可残数を1増加し、制御許可中
装置はEMS1を削除するように記憶させる。これにより、以後、他のEMS(例えばEMS2)が蓄
電池システムと認証処理が可能となる。
【0085】
この時、蓄電池システムの制御部504は充放電情報記憶部503の充放電電力情報から、ア
クセス制御情報の制御許可残数1であり、EMS2と認証処理可能であることが分かる(S2201)
。更に、充放電情報記憶部503に記憶された充放電電力情報の条件をEMS2の充放電制御の
内容が満たすため(S2202)、EMS2と蓄電池システムは認証処理を実施する(S2203、S2303)
。この時点で、制御部504はアクセス制御情報の制御許可残数を0、制御許可中装置にEMS2
を割り当てるように蓄電池情報記憶部502に記憶させる。
【0086】
EMS2の生成部905は充放電制御に関する指示メッセージを生成し、EMS2の通信部906は生
成した指示メッセージを蓄電池システムに送信する(S2305)。蓄電池システムの制御部504
は、EMS2から受信した指示メッセージから許容の範囲内で電力供給部501の充放電制御を
行う(S2205)。EMS2からの充放電制御が終了すると、EMS2と蓄電池システムは認証解除を
実施する(S2206、S2306)。蓄電池システムの制御部504はEMS2とのアクセスを終了する
と共に、蓄電池情報記憶部502のアクセス制御情報の制御許可残数を1増加し、制御許可中
装置はEMS1を削除するように記憶させる。これにより、以後、他のEMSが蓄電池システム
と認証処理が可能となる。
【0087】
すなわち、図21の例に示すように、EMS1は蓄電池システムとの認証処理が完了した後に
、アクセス許可を認識、充放電制御を開始する。また、充放電制御が終了した後、EMS1は
蓄電池システムとの認証を解除することで、アクセス制御情報の制御許可残数を0から1に
戻す。同様に、EMS2は蓄電池システムとの認証を元に充放電制御が許可される。
【0088】
本実施形態では、蓄電池システムが充放電電力情報から認証処理を許可する場合で説明
したが、充放電電力情報の条件を満たさない場合には蓄電池システムとEMSとは認証処理
を行わない (S2204、S2304)。
【0089】
以上のように、第5の実施形態によれば、認証処理とアクセス判定処理を同一にするこ
とで、安全性及び電力スループットと共に処理量を効率化することが可能となる。
【0090】
尚、充放電指示装置における、所定基準でアクセス終了とは、蓄電池の定格充放電電力
と充放電制御の電力量の差分が所定の閾値を超える場合や、蓄電池の充電率(SOC)が所定
の閾値を超える場合に、終了と判断することを意味する。例えば、図1の場面において、
電力事業者が、ビルや家庭等の需要家側に設置された蓄電池システムを一時的に借用利用
する場合、借用前の充電率と借用後の充電率が同等であれば、需要家側にとっては通常の
状態で利用することが出来る。電力事業者の充放電指示装置が蓄電池の充電率を80%から5
0%まで利用して減らした場合は、再度50%から80%まで充電して蓄電池の充電率を戻した上
で、充放電制御の終了と判定することが望ましい。
【0091】
また、第1〜5の実施形態において、充放電判定装置と充放電指示装置間で送受信する
通信メッセージを図24に示す。図24(a)は認証に関する通信メッセージ、図24(b)は
アクセス要求に関する通信メッセージ、図24(c)はアクセス許可に関する通信メッセー
ジ、図24(d)はアクセス終了に関する通信メッセージ、図24(e)は充放電制御に関す
る通信メッセージを示している。各々の通信メッセージは、TCP/IP (Transmission Contr
ol Protocol / Internet Protocol)の通信ヘッダに加えて、認証やアクセス要求等を識別
するための識別子を備える。また、許可電力量や計画電力量等の情報は、個数、開始時刻
、終了時刻、充放電電力の情報を元に構築できる。こうした通信メッセージの構築方法と
しては、例えば、分散型電源に関する通信仕様を規定するIEC 61850-7-420国際規格等の
手順を元に構築する他、XML (eXtensible Markup Language)によるWebサービスの手順を
元に構築する方法が考えられるが、本発明の実施形態は特定のプロトコルに依存するもの
ではなく、適用場所に応じて自由に組み立てることが出来る。
【0092】
この充放電指示装置及び充放電判定装置は、例えば、汎用のコンピュータ装置を基本ハ
ードウェアとして用いることでも実現することが可能である。すなわち、充放電指示装置
及び充放電判定装置は、コンピュータ装置に搭載されたプロセッサにプログラムを実行さ
せることにより実現することが出来る。このとき、充放電指示装置及び充放電判定装置は
、上記のプログラムをコンピュータ装置にあらかじめインストールすることで実現しても
よいし、CD-ROMなどの記憶媒体に記憶して、あるいはネットワークを介して上記のプログ
ラムを配布して、このプログラムをコンピュータ装置に適宜インストールすることで実現
してもよい。また、上記のコンピュータ装置に内蔵あるいは外付けされたメモリ、ハード
ディスクもしくはCD-R、CD-RW、DVD-RAM、DVD-ROMなどの記憶媒体などを適宜利用して実
現することが出来る。
【0093】
本実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲
で構成要素を変形して具体化出来る。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要
素の適宜な組み合わせによって、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される
全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構
成要素を適宜組み合わせても良い。
【0094】
本実施形態によれば、電力網と通信網双方を活用、充放電判定装置(蓄電池システム)と
充放電指示装置(EMS)がアクセス制御に関する通信メッセージを双方で交換して充放電を
判定することで、充放電に伴う電力スループット増加を得られる効果がある。
【符号の説明】
【0095】
500 充放電判定装置
501 電力供給部
502 蓄電池情報記憶部
503 充放電情報記憶部
504 制御部
505 生成部
506 第1通信部
507 取得部
508 第2通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電指示装置の指示に基づいて蓄電池の充放電制御を行う充放電判定装置であって、
前記蓄電池に関する蓄電池情報を記憶する蓄電池情報記憶部と、
前記蓄電池に充放電させる充放電情報を記憶する充放電情報記憶部と、
前記充放電指示装置からアクセス要求に関する通信メッセージを受信する通信部と、
前記蓄電池情報、前記充放電情報、及び前記アクセス要求の内容とから、前記充放電指示
装置からのアクセスを制御する制御部と、
を備えることを特徴とする充放電判定装置。
【請求項2】
前記蓄電池情報は、充放電指示装置がアクセス可能な制御許可残数を示すアクセス制御情
報を含み、
前記制御部は、アクセス制御情報から前記充放電指示装置からのアクセスを制御すること
を特徴とする請求項1記載の充放電判定装置。
【請求項3】
前記充放電情報は、蓄電池の充放電電力に関する充放電電力情報を含み、
前記制御部は、前記アクセス要求の内容と前記充放電電力情報とから、前記充放電指示装
置からのアクセスを制御することを特徴とする請求項2記載の充放電判定装置。
【請求項4】
前記充放電情報は、充放電時の充放電可否を示す充放電判定情報を含み、
前記制御部は、前記アクセス要求の内容と前記充放電判定情報とから、前記充放電指示装
置からのアクセスを制御することを特徴とする請求項3記載の充放電判定装置。
【請求項5】
前記蓄電池情報は、蓄電池の充放電動作情報を示す充放電制御情報を含み、
前記制御部は、前記アクセス要求の内容と前記充放電制御情報とから、前記充放電指示装
置からのアクセスを制御することを特徴とする請求項4記載の充放電判定装置。
【請求項6】
前記アクセス制御情報の制御許可残数を1に限定し、
前記制御部は、前記アクセス制御情報から前記充放電指示装置からのアクセスを制御する
ことを特徴とする請求項2記載の充放電判定装置。
【請求項7】
前記蓄電池情報は、充放電指示装置の認証情報を含み、
前記制御部は、前記充放電指示装置との間で認証処理を行い、当該認証処理の完了をもっ
て前記充放電指示装置からのアクセスを制御すること特徴とする請求項6記載の充放電判
定装置。
【請求項8】
充放電指示装置の指示に基づいて蓄電池の充放電制御を行う充放電判定方法であって、
前記充放電指示装置からアクセス要求に関する通信メッセージを通信部が受信するステッ
プと、
蓄電池情報記憶部に記憶した前記蓄電池に関する蓄電池情報、充放電情報記憶部に記憶し
た前記蓄電池に充放電させる充放電情報、及び前記アクセス要求の内容とから、制御部が
前記充放電指示装置からのアクセスを制御するステップとを含む充放電判定方法。
【請求項9】
充放電指示装置の指示に基づいて蓄電池の充放電制御を行う充放電判定プログラムであっ
て、
前記充放電指示装置からアクセス要求に関する通信メッセージを通信部が受信するステッ
プと、
蓄電池情報記憶部に記憶した前記蓄電池に関する蓄電池情報、充放電情報記憶部に記憶し
た前記蓄電池に充放電させる充放電情報、及び前記アクセス要求の内容とから、制御部が
前記充放電指示装置からのアクセスを制御するステップとをコンピュータに実行させるた
めの充放電判定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−81267(P2013−81267A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218674(P2011−218674)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】