説明

充放電制御回路及びバッテリ装置

【課題】バッテリの充電不足をより防止できる充放電制御回路及びバッテリ装置を提供する。
【解決手段】充放電制御回路10の大量生産時の製造ばらつきにより、ある充放電制御回路の過充電検出電圧がセルバランス(CB)時期検出電圧よりも低くなっても、CB時期の検出が各バッテリの充電の停止よりも先に行われる。つまり、CB制御の後、各バッテリの充電が停止する。よって、各バッテリの充電不足をより防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリの充放電を制御する充放電制御回路及びバッテリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、様々な携帯型電子機器が普及している。
【0003】
携帯型電子機器は、携帯型電子機器に電源電圧を供給するバッテリ装置を有し、バッテリ装置はバッテリ及びバッテリの充放電を制御する充放電制御回路を備える。
【0004】
充放電制御回路では、バッテリが充電され、バッテリの電池電圧が高くなり、電池電圧が過充電検出電圧よりも高くなると、バッテリの過充電状態が検出される。その後、充電停止の制御が行われる。バッテリが充電され、バッテリの電池電圧が高くなり、電池電圧がセルバランス(CB)時期検出電圧よりも高くなると、バッテリのCB時期が検出される。その後、CB制御が行われる。すると、充電時に一のバッテリの電池電圧が高くなって過充電状態になって他のバッテリが充電不足になることが、緩和される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−088878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、充放電制御回路の大量生産時の製造ばらつきにより、ある充放電制御回路の過充電検出電圧がCB時期検出電圧よりも低くなってしまうことがある。すると、各バッテリの充電の停止がCB時期の検出よりも先に行われてしまう。つまり、各バッテリの電池電圧がそれぞれ異なったまま、各バッテリの充電が停止してしまう。
【0006】
よって、CB制御を確実に行い、各バッテリの充電不足をより防止できる充放電制御回路及びバッテリ装置が求められている。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、バッテリの充電不足をより防止できる充放電制御回路及びバッテリ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、バッテリの充放電を制御する充放電制御回路において、前記バッテリの過充電状態を検出する過充電検出回路と、前記バッテリの充電速度を遅く制御するセルバランス制御を行うセルバランス時期を検出するセルバランス時期検出回路と、前記セルバランス時期が検出されている時に前記バッテリの過充電状態が検出されると、前記バッテリの充電が停止するように、前記バッテリの充電経路に設けられる充電停止用スイッチをオフに制御する制御回路と、を備えることを特徴とする充放電制御回路を提供する。
【0009】
また、本発明は、上記課題を解決するため、複数のバッテリ、及び、複数の前記バッテリの充放電をそれぞれ制御する複数の充放電制御回路を備えるバッテリ装置において、前記バッテリの過充電状態を検出する過充電検出回路と、セルバランス制御用スイッチをオンさせて前記バッテリを放電させることによって前記バッテリの充電速度を遅く制御するセルバランス制御を行うセルバランス時期を検出するセルバランス時期検出回路と、前記セルバランス時期が検出されている時に前記バッテリの過充電状態が検出されると、充電停止用スイッチがオフして前記バッテリの充電が停止するように、前記充電停止用スイッチをオフに制御する制御回路と、を有する複数の前記充放電制御回路と、さらに、複数の前記バッテリと、前記バッテリに並列接続する複数の前記セルバランス制御用スイッチと、前記バッテリの充電経路に設けられる前記充電停止用スイッチと、を備えることを特徴とするバッテリ装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、充放電制御回路の大量生産時の製造ばらつきにより、ある充放電制御回路の過充電検出電圧がセルバランス時期検出電圧よりも低くなっても、セルバランス時期の検出が各バッテリの充電の停止よりも先に行われる。つまり、セルバランス制御の後、各バッテリの充電が停止する。よって、各バッテリの充電不足をより防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
まず、バッテリ装置の構成について説明する。図1は、バッテリ装置を示すブロック図である。
【0013】
バッテリ装置は、充放電制御回路10、NMOSトランジスタ(セルバランス(CB)制御用スイッチ)11、抵抗12及びバッテリ13を備える。バッテリ装置は、充放電制御回路20、NMOSトランジスタ(CB制御用スイッチ)21、抵抗22及びバッテリ23を備える。バッテリ装置は、充放電制御回路30、NMOSトランジスタ(CB制御用スイッチ)31、抵抗32、バッテリ33及び容量34を備える。バッテリ装置は、PNPバイポーラトランジスタ40、PNPバイポーラトランジスタ50、NMOSトランジスタ(充電停止用スイッチ)60、NMOSトランジスタ(放電停止用スイッチ)70、抵抗80及び抵抗90を備える。また、バッテリ装置は、端子EB+及び端子EB−を備える。
【0014】
NMOSトランジスタ60及びNMOSトランジスタ70は、バッテリ13の負極端子と端子EB−との間に順番に設けられる。つまり、NMOSトランジスタ60及びNMOSトランジスタ70は、バッテリ33とバッテリ23とバッテリ13との充放電経路に設けられる。バッテリ33とバッテリ23とバッテリ13とは、端子EB+と端子EB−との間に順番に設けられる。充電時に、端子EB+と端子EB−との間に充電器(図示せず)が接続される。放電時に、端子EB+と端子EB−との間に負荷(図示せず)が接続される。
【0015】
充放電制御回路10は、電源端子VDDをバッテリ13の正極端子に接続され、接地端子VSSをバッテリ13の負極端子に接続され、制御端子CCBをNMOSトランジスタ11のゲートに接続され、制御端子COを充放電制御回路20の制御端子CCOに接続され、制御端子DOを充放電制御回路20の制御端子CDOに接続される。また、充放電制御回路10は、制御端子CCO及び制御端子CDOをバッテリ13の負極端子に設けられる。充放電制御回路20は、電源端子VDDをバッテリ23の正極端子に接続され、接地端子VSSをバッテリ23の負極端子に接続され、制御端子CCBをNMOSトランジスタ21のゲートに接続され、制御端子COを充放電制御回路30の制御端子CCOに接続され、制御端子DOを充放電制御回路30の制御端子CDOに接続される。充放電制御回路30は、電源端子VDDをバッテリ33の正極端子に接続され、接地端子VSSをバッテリ33の負極端子に接続され、制御端子CCBをNMOSトランジスタ31のゲートに接続され、制御端子COをPNPバイポーラトランジスタ40のベースに設けられ、制御端子DOをPNPバイポーラトランジスタ50のベースに設けられる。また、充放電制御回路30は、制御端子CTをバッテリ33の負極端子に容量34を介して接続される。
【0016】
NMOSトランジスタ11は、ソースをバッテリ13の負極端子に接続され、ドレインをバッテリ13の正極端子に抵抗12を介して接続される。つまり、NMOSトランジスタ11は、バッテリ13に並列接続する。NMOSトランジスタ21は、ソースをバッテリ23の負極端子に接続され、ドレインをバッテリ23の正極端子に抵抗22を介して接続される。つまり、NMOSトランジスタ21は、バッテリ23に並列接続する。NMOSトランジスタ31は、ソースをバッテリ33の負極端子に接続され、ドレインをバッテリ33の正極端子に抵抗32を介して接続される。つまり、NMOSトランジスタ31は、バッテリ33に並列接続する。
【0017】
PNPバイポーラトランジスタ40は、エミッタを端子EB+に接続され、コレクタをNMOSトランジスタ60のゲートに接続され、さらに、コレクタを端子EB−に抵抗80を介して接続される。PNPバイポーラトランジスタ50は、エミッタを端子EB+に接続され、コレクタをNMOSトランジスタ70のゲートに接続され、さらに、コレクタをバッテリ13の負極端子に抵抗90を介して接続される。
【0018】
次に、充放電制御回路10の構成について説明する。図2は、充放電制御回路を示すブロック図である。
【0019】
充放電制御回路10は、分圧回路101a〜103a、基準電圧回路101b〜103b、過充電検出コンパレータ101、CB時期検出コンパレータ102、過放電検出コンパレータ103、AND回路104、OR回路105〜106及び論理回路107を備える。また、充放電制御回路10は、制御端子DO、制御端子CO、制御端子CCB、制御端子CDO、制御端子CCO、制御端子CT、電源端子VDD及び接地端子VSSを備える。
【0020】
ここで、分圧回路101aと基準電圧回路101bと過充電検出コンパレータ101とは、過充電検出回路を構成する。分圧回路102aと基準電圧回路102bとCB時期検出コンパレータ102とは、CB時期検出回路を構成する。分圧回路103aと基準電圧回路103bと過放電検出コンパレータ103とは、過放電検出回路を構成する。AND回路104とOR回路105〜106と論理回路107とは、制御回路を構成する。
【0021】
過充電検出回路は、バッテリ13の過充電状態を検出する。CB時期検出回路は、NMOSトランジスタ11をオンさせてバッテリ13を放電させることによってバッテリ13の充電速度を遅く制御するCB制御を行うCB時期を検出する。過放電検出回路は、バッテリ13の過放電状態を検出する。制御回路は、CB時期が検出されている時にバッテリ13の過充電状態が検出されると、NMOSトランジスタ60がオフしてバッテリ13の充電が停止するように、NMOSトランジスタ60をオフに制御する。
【0022】
分圧回路101a〜103aは、電源端子VDDと接地端子VSSとの間に設けられる。基準電圧回路101bは、過充電検出コンパレータ101の反転入力端子と接地端子VSSとの間に設けられる。基準電圧回路102bは、CB時期検出コンパレータ102の反転入力端子と接地端子VSSとの間に設けられる。基準電圧回路103bは、過放電検出コンパレータ103の非反転入力端子と接地端子VSSとの間に設けられる。過充電検出コンパレータ101は、非反転入力端子を分圧回路101aの出力端子に接続され、出力端子をAND回路104の第一入力端子に接続される。CB時期検出コンパレータ102は、非反転入力端子を分圧回路102aの出力端子に接続され、出力端子をAND回路104の第二入力端子及び論理回路107の第二入力端子に接続される。過放電検出コンパレータ103は、反転入力端子を分圧回路103aの出力端子に接続され、出力端子をOR回路106の第一入力端子に接続される。AND回路104は、出力端子をOR回路105の第一入力端子に接続される。OR回路105は、第二入力端子を制御端子CCOに接続され、出力端子を論理回路107の第一入力端子に接続される。OR回路106は、第二入力端子を制御端子CDOに接続され、出力端子を論理回路107の第三入力端子に接続される。論理回路107は、第四入力端子を制御端子CTに接続され、第一出力端子を制御端子COに接続され、第二出力端子を制御端子CCBに接続され、第三出力端子を制御端子DOに接続される。
【0023】
次に、バッテリ装置の動作について説明する。
【0024】
<バッテリ13の過充電検出における動作>CB制御が行われていて、バッテリ13が過充電状態になり、遅延時間ΔTCが経過すると、充放電制御回路10の制御端子COの電圧はハイになる。すると、充放電制御回路20の制御端子COの電圧もハイになり、充放電制御回路30の制御端子COの電圧もハイになる。すると、PNPバイポーラトランジスタ40がオフし、NMOSトランジスタ60のゲート電圧Vg60が抵抗80によってプルダウンされてローになり、NMOSトランジスタ60がオフする。よって、NMOSトランジスタ60の寄生ダイオードによって放電電流は流れるが、充電電流は流れなくなる。つまり、充電停止の制御が行われる。
【0025】
<バッテリ13のCB時期検出における動作>バッテリ13がCB時期になると、充放電制御回路10の制御端子CCBの電圧はハイになる。すると、NMOSトランジスタ11がオンする。よって、バッテリ13は、抵抗12及びNMOSトランジスタ11を介して放電する。つまり、CB制御が行われる。すると、充電時にバッテリ13の電池電圧V13が高くなって過充電状態になって他のバッテリが充電不足になることが、緩和される。
【0026】
<バッテリ13の過放電検出における動作>バッテリ13が過放電状態になり、遅延時間が経過すると、充放電制御回路10の制御端子DOの電圧はハイになる。すると、充放電制御回路20の制御端子DOの電圧もハイになり、充放電制御回路30の制御端子DOの電圧もハイになる。すると、PNPバイポーラトランジスタ50がオフし、NMOSトランジスタ70のゲート電圧が抵抗90によってプルダウンされてローになり、NMOSトランジスタ70がオフする。よって、NMOSトランジスタ70の寄生ダイオードによって充電電流は流れるが、放電電流は流れなくなる。つまり、放電停止の制御が行われる。
【0027】
次に、充放電制御回路10の動作について説明する。
【0028】
<バッテリ13の過充電検出における動作>バッテリ13が充電され、電源端子VDDの電圧が高くなる。これに従い、分圧回路101aの出力電圧も高くなって基準電圧回路101bの基準電圧よりも高くなると(電池電圧V13が過充電検出電圧よりも高くなると)、過充電検出コンパレータ101の出力電圧はハイになり、バッテリ13の過充電状態が検出される。この時、CB時期検出コンパレータ102の出力電圧がハイであり、CB制御が行われている場合のみ、AND回路104の出力電圧がハイになり、OR回路105の出力電圧もハイになる。容量34及び論理回路107による遅延時間ΔTCが経過すると、制御端子COの電圧もハイになる。つまり、CB制御が行われている場合のみ、制御端子COの電圧はハイになる。
【0029】
また、制御端子CCOの出力電圧がハイになると、他のバッテリでバッテリの過充電状態が検出されている。この時、CB時期検出コンパレータ102の出力電圧がハイであり、CB制御が行われている場合のみ、AND回路104の出力電圧がハイになり、OR回路105の出力電圧もハイになる。容量34及び論理回路107による遅延時間ΔTCが経過すると、制御端子COの電圧もハイになる。つまり、CB制御が行われている場合のみ、制御端子COの電圧はハイになる。
【0030】
<バッテリ13のCB時期検出における動作>ここで、CB時期検出電圧は、過充電検出電圧よりも低くなっている。
【0031】
バッテリ13が充電され、電源端子VDDの電圧が高くなる。これに従い、分圧回路102aの出力電圧も高くなって基準電圧回路102bの基準電圧よりも高くなると(電池電圧V13がCB時期検出電圧よりも高くなると)、CB時期検出コンパレータ102の出力電圧はハイになり、バッテリ13のCB時期が検出される。論理回路107により、制御端子CCBの電圧もハイになる。
【0032】
<バッテリ13の過放電検出における動作>ここで、過放電検出電圧は、CB時期検出電圧よりも低くなっている。
【0033】
バッテリ13が放電し、電源端子VDDの電圧が低くなる。これに従い、分圧回路103aの出力電圧も低くなって基準電圧回路103bの基準電圧よりも低くなると(電池電圧V13が過放電検出電圧よりも低くなると)、過放電検出コンパレータ103の出力電圧はハイになり、バッテリ13の過放電状態が検出される。すると、OR回路106の出力電圧もハイになる。容量34及び論理回路107による遅延時間が経過すると、制御端子DOの電圧もハイになる。
【0034】
また、制御端子CDOの出力電圧がハイになると、他のバッテリでバッテリの過放電状態が検出されている。すると、OR回路106の出力電圧もハイになる。容量34及び論理回路107による遅延時間が経過すると、制御端子DOの電圧もハイになる。
【0035】
次に、バッテリ13とバッテリ23とバッテリ33との過充電検出電圧が等しく、バッテリ13とバッテリ23とバッテリ33とのCB時期検出電圧が等しく、前者の電圧が後者の電圧よりも高い場合のバッテリ装置の動作について説明する。図3は、時間に対する各バッテリの電圧を示すタイムチャートである。
【0036】
<時間T0>充電器(図示せず)が端子EB+と端子EB−との間に接続され、充電器がバッテリ13とバッテリ23とバッテリ33とを充電し始める。よって、電池電圧V13と電池電圧V23と電池電圧V33とが高くなる。
【0037】
<時間T1>電池電圧V23がバッテリ23のCB時期検出電圧以上になり、電圧Vcb20がハイになり、NMOSトランジスタ21がオンし、バッテリ23は抵抗22及びNMOSトランジスタ21を介して放電する。つまり、バッテリ23の充電速度が遅くなる。
【0038】
<時間T2>上記と同様に、バッテリ13の充電速度が遅くなる。
【0039】
<時間T3>上記と同様に、バッテリ33の充電速度が遅くなる。
【0040】
<時間T4>電池電圧V23がバッテリ23の過充電検出電圧以上になる。
【0041】
<時間T5>遅延時間ΔTCが、時間T4から時間T5までに経過する。充放電制御回路20の制御端子COの電圧がハイになり、充放電制御回路30の制御端子COの電圧もハイになる。すると、PNPバイポーラトランジスタ40がオフし、NMOSトランジスタ60のゲート電圧Vg60がローになり、NMOSトランジスタ60がオフする。よって、バッテリ13は抵抗12及びNMOSトランジスタ11を介して放電し、バッテリ23は抵抗22及びNMOSトランジスタ21を介して放電し、バッテリ33は抵抗32及びNMOSトランジスタ31を介して放電していて、NMOSトランジスタ60の寄生ダイオードによって放電電流は流れるが、充電電流は流れなくなるので、電池電圧V13と電池電圧V23と電池電圧V33とは低くなる。
【0042】
<時間T6>電池電圧V33がバッテリ33のCB時期検出解除電圧未満になり、電圧Vcb30がローになり、NMOSトランジスタ31がオフし、バッテリ33は抵抗32及びNMOSトランジスタ31を介して放電しなくなる。よって、電池電圧V33は、バッテリ33のCB時期検出解除電圧で一定になる。
【0043】
<時間T7>上記と同様に、電池電圧V13は、バッテリ13のCB時期検出解除電圧で一定になる。
【0044】
<時間T8>上記と同様に、電池電圧V23は、バッテリ23のCB時期検出解除電圧で一定になる。
【0045】
次に、バッテリ13とバッテリ33との過充電検出電圧がバッテリ23のCB時期検出電圧と等しく、バッテリ13とバッテリ33とのCB時期検出電圧がバッテリ23の過充電検出電圧と等しく、前者の電圧が後者の電圧よりも高い場合のバッテリ装置の動作について説明する。図4は、時間に対する各バッテリの電圧を示すタイムチャートである。
【0046】
<時間T0>充電器(図示せず)が端子EB+と端子EB−との間に接続され、充電器がバッテリ13とバッテリ23とバッテリ33とを充電し始める。よって、電池電圧V13と電池電圧V23と電池電圧V33とが高くなる。
【0047】
<時間T1>電池電圧V23がバッテリ23の過充電検出電圧以上になる。しかし、CB制御が行われていないので、充電停止の制御は行われない。
【0048】
<時間T2>電池電圧V13がバッテリ13のCB時期検出電圧以上になり、電圧Vcb10がハイになり、NMOSトランジスタ11がオンし、バッテリ13は抵抗12及びNMOSトランジスタ11を介して放電する。つまり、バッテリ13の充電速度が遅くなる。
【0049】
<時間T3>上記と同様に、バッテリ23の充電速度が遅くなる。なお、この時、電池電圧V23がバッテリ23の過充電検出電圧以上になったとみなされる。
【0050】
<時間T4>上記と同様に、バッテリ33の充電速度が遅くなる。
【0051】
<時間T5>遅延時間ΔTCが、時間T4から時間T5までに経過する。充放電制御回路20の制御端子COの電圧がハイになり、充放電制御回路30の制御端子COの電圧もハイになる。すると、PNPバイポーラトランジスタ40がオフし、NMOSトランジスタ60のゲート電圧Vg60がローになり、NMOSトランジスタ60がオフする。よって、バッテリ13は抵抗12及びNMOSトランジスタ11を介して放電し、バッテリ23は抵抗22及びNMOSトランジスタ21を介して放電し、バッテリ33は抵抗32及びNMOSトランジスタ31を介して放電していて、NMOSトランジスタ60の寄生ダイオードによって放電電流は流れるが、充電電流は流れなくなるので、電池電圧V13と電池電圧V23と電池電圧V33とは低くなる。
【0052】
<時間T6>電池電圧V33がバッテリ33のCB時期検出解除電圧未満になり、電圧Vcb30がローになり、NMOSトランジスタ31がオフし、バッテリ33は抵抗32及びNMOSトランジスタ31を介して放電しなくなる。よって、電池電圧V33は、バッテリ33のCB時期検出解除電圧で一定になる。
【0053】
<時間T7>上記と同様に、電池電圧V13は、バッテリ13のCB時期検出解除電圧で一定になる。
【0054】
<時間T8>上記と同様に、電池電圧V23は、バッテリ23のCB時期検出解除電圧で一定になる。
【0055】
このようにすると、充放電制御回路10の大量生産時の製造ばらつきにより、ある充放電制御回路の過充電検出電圧がCB時期検出電圧よりも低くなっても、CB時期の検出が各バッテリの充電の停止よりも先に行われる。つまり、CB制御の後、各バッテリの充電が停止する。よって、各バッテリの充電不足をより防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】バッテリ装置を示すブロック図である。
【図2】充放電制御回路を示すブロック図である。
【図3】時間に対する各バッテリの電圧を示すタイムチャートである。
【図4】時間に対する各バッテリの電圧を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0057】
10……充放電制御回路 101……過充電検出コンパレータ
102……CB時期検出コンパレータ 103……過放電検出コンパレータ
104……AND回路 105〜106……OR回路
107……論理回路 DO、CO、CCB、CDO、CCO、CT……制御端子
VDD……電源端子 VSS……接地端子
101a〜103a……分圧回路 101b〜103b……基準電圧回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの充放電を制御する充放電制御回路において、
前記バッテリの過充電状態を検出する過充電検出回路と、
前記バッテリの充電速度を遅く制御するセルバランス制御を行うセルバランス時期を検出するセルバランス時期検出回路と、
前記セルバランス時期が検出されている時に前記バッテリの過充電状態が検出されると、前記バッテリの充電が停止するように、前記バッテリの充電経路に設けられる充電停止用スイッチをオフに制御する制御回路と、
を備えることを特徴とする充放電制御回路。
【請求項2】
複数のバッテリ、及び、複数の前記バッテリの充放電をそれぞれ制御する複数の充放電制御回路を備えるバッテリ装置において、
前記バッテリの過充電状態を検出する過充電検出回路と、
セルバランス制御用スイッチをオンさせて前記バッテリを放電させることによって前記バッテリの充電速度を遅く制御するセルバランス制御を行うセルバランス時期を検出するセルバランス時期検出回路と、
前記セルバランス時期が検出されている時に前記バッテリの過充電状態が検出されると、充電停止用スイッチがオフして前記バッテリの充電が停止するように、前記充電停止用スイッチをオフに制御する制御回路と、を有する複数の前記充放電制御回路と、
さらに、
複数の前記バッテリと、
前記バッテリに並列接続する複数の前記セルバランス制御用スイッチと、
前記バッテリの充電経路に設けられる前記充電停止用スイッチと、
を備えることを特徴とするバッテリ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−254008(P2009−254008A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−94885(P2008−94885)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】