充電システム
【課題】充電する時間帯を制限せず、頻繁に充電を行ったとしても、電力料金を低減することが可能である充電システムを提供する。
【解決手段】充電システムは、電力会社から供給される系統電力を消費して充電され、充電した電力を放電により供給する蓄電部と、系統電力と蓄電部から供給される電力とを消費してバッテリを充電する充電部と、を備える。電力会社は、各単位時間に供給した電力量の最大値が大きくなるほど高くなる電力料金を設定する。そして、充電部により行われる少なくとも1回の充電が、2個の単位時間に及んで行われ、当該2個の単位時間以外の少なくとも1個の単位時間で、蓄電部が充電部に電力を供給する。
【解決手段】充電システムは、電力会社から供給される系統電力を消費して充電され、充電した電力を放電により供給する蓄電部と、系統電力と蓄電部から供給される電力とを消費してバッテリを充電する充電部と、を備える。電力会社は、各単位時間に供給した電力量の最大値が大きくなるほど高くなる電力料金を設定する。そして、充電部により行われる少なくとも1回の充電が、2個の単位時間に及んで行われ、当該2個の単位時間以外の少なくとも1個の単位時間で、蓄電部が充電部に電力を供給する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両に備えられるバッテリなどを充電する充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、蓄電池の大容量化が進み、電動自動車や電動バイクなどの電動車両(Electric Vehicle)の駆動用や、家庭や店舗、ビルなどで消費される電力の貯蔵用などでの利用が検討され、今後広く普及することが見込まれている。また、二酸化炭素排出量の削減などの観点から、電動車両が広く普及することが望まれている。
【0003】
電動車両の普及には、電動車両の駆動用の蓄電池(以下、バッテリとする)を充電する充電システムの普及が不可欠である。特に、家庭以外で電動車両のバッテリを充電する充電システムの普及が不可欠である。これについて、コンビニエンスストアなどの店舗等に充電システムを備えさせる構想が提案されている。
【0004】
店舗等に充電システムを備える場合、照明や空調装置、冷蔵庫などの各種機器で消費する電力の他に、充電システムで消費する電力をも店舗等が供給する必要がある。充電システムで消費される電力は、店舗等が各種機器で消費する電力と同程度の(例えば、電力のオーダーが略等しい)大きさとなり得る。すると、店舗等が電力会社から購入する電力量が大きくなることで電力料金が増大することが問題となり、当該問題は充電システムの普及を妨げる要因になり得る。
【0005】
そこで、例えば特許文献1では、電力単価の安い時間帯や電力需要が少ない時間帯を優先的に利用して蓄電池を充電することで、電力料金を低減する充電システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−67418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1で提案されている充電システムでは、深夜や早朝などの不便かつ限られた時間帯に充電しなければ、電力料金を低減することができない。しかしながら、電動車両の使用者(以下、単にユーザとする)が、深夜や早朝のような不便な時間帯に店舗等を訪れて充電することは、少ないと考えられる。また反対に、ユーザにとって便利な日中などの時間帯には、多数の電動車両が店舗等を訪れるため、頻繁に充電を行うことが必要になると考えられる。したがって、上記の充電システムでは、電力料金を低減することが困難になる。
【0008】
そこで本発明は、充電する時間帯を制限せず、頻繁に充電を行ったとしても、電力料金を低減することが可能である充電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明における充電システムは、バッテリを充電する充電システムであって、電力会社から供給される系統電力を消費して充電され、充電した電力を放電により供給する蓄電部と、系統電力と前記蓄電部から供給される電力とを消費して前記バッテリを充電する充電部と、を備え、前記電力会社が、各単位時間に供給した電力量の最大値が大きくなるほど高くなる電力料金を設定するものであり、前記充電部により行われる少なくとも1回の充電が、2個の単位時間に及んで行われ、当該2個の単位時間以外の少なくとも1個の単位時間で、前記蓄電部が前記充電部に電力を供給することを特徴とする。
【0010】
また、上記構成の充電システムにおいて、前記電力会社が設定する電力料金に、固定性の基本料金と、従量制の使用料金とが含まれ、単位時間に供給した電力量の最大値が大きくなるほど、前記基本料金が高くなることとしても構わない。
【0011】
また、上記構成の充電システムにおいて、前記充電部の1回の充電が行われる2個の単位時間の少なくとも一方で、前記蓄電部の充電が行われることとしても構わない。
【0012】
このように構成すると、蓄電部の充電を行うタイミングを確保することが可能になる。そのため、蓄電部の残容量が少ないことで、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減することが困難になる事態が生じることを、抑制することが可能になる。
【0013】
また、上記構成の充電システムにおいて、前記充電部が、それぞれが単位時間以下の時間となるn(nは2以上の整数)回の充電を、n+1個の単位時間に行う場合、前記充電部による1回の充電が、2個の単位時間に及んで行われるとともに、他のn−1回の充電が、当該2個の単位時間以外のn−1個の単位時間のそれぞれで行われることとしても構わない。
【0014】
このように構成すると、充電部による1回の充電に対する単位時間が2個よりも少なく、2個の単位時間に及ぶ充電部の充電を複数回行うことが困難になる場合でも、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減することが可能になる。
【0015】
また、上記構成の充電システムにおいて、前記充電部の1回の充電が行われる2個の単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量が、他の単位時間に消費される系統電力の電力量を超えないこととしても構わない。
【0016】
このように構成すると、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を効果的に低減することが可能になる。
【0017】
また、上記構成の充電システムにおいて、前記充電部の1回の充電が行われる2個の単位時間で、当該充電の前後に前記蓄電部の充電が1回ずつ行われることとしても構わない。
【0018】
このように構成すると、充電部による充電と蓄電部の充電との重複が抑制されるため、消費される系統電力の最大値を低減することが可能になる。
【0019】
また、上記構成の充電システムにおいて、前記充電部の1回の充電が行われる2個の単位時間で、前記蓄電部の充電が1回行われることとしても構わない。
【0020】
このように構成すると、蓄電部の充電が、充電部による充電によって分断されることが抑制されるため、蓄電部の充電を一度で連続的に行うことが可能になる。
【0021】
また、上記構成の充電システムにおいて、前記充電部の少なくとも1回の充電の中間の時刻と、2個の単位時間の境界の時刻と、が略等しくなることとしても構わない。
【0022】
このように構成すると、2個の単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を、効果的に低減することが可能となる。
【0023】
また、上記構成の充電システムにおいて、前記充電部により複数回の充電が行われる場合、それぞれの充電が行われる単位時間が、それぞれ異なることとしても構わない。
【0024】
このように構成すると、充電部の複数回の充電により消費される系統電力の電力量が、ある単位時間で重複することが抑制される。そのため、単位時間に消費される系統電力の電力量が増大することを、抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の構成とすると、1回の充電部の充電で消費される系統電力の電力量が、2個の単位時間に分配される。また、他の単位時間では、蓄電部の放電により供給される電力を消費して、充電部が充電を行う。そのため、頻繁に充電部が充電を行う必要がある場合であっても、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減することが可能となる。したがって、電力料金を低減することが可能となる。
【0026】
本発明の意義ないし効果は、以下に示す実施の形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも本発明の実施の形態の一つであって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以下の実施の形態に記載されたものに制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】は、本発明の実施の一形態である充電システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】は、系統電力の電力料金の算出方法の概要を示すグラフである。
【図3】は、バッテリ充電を行うタイミングを好ましくない方法で制御した場合に消費される電力の一例を示すグラフである。
【図4】は、図3に示すようにバッテリ充電を行うタイミングを制御した場合における、各単位時間に消費される系統電力の電力量を示すグラフである。
【図5】は、バッテリ充電を行うタイミングを好ましい方法で制御した場合に消費される電力の一例を示すグラフである。
【図6】は、図5に示すようにバッテリ充電を行うタイミングを制御した場合における、各単位時間に消費される系統電力の電力量を示すグラフである。
【図7】は、バッテリ充電及び蓄電部放電を行うタイミングを好ましい方法で制御した場合に消費される電力の一例を示すグラフである。
【図8】は、図7に示すようにバッテリ充電及び蓄電部放電を行うタイミングを制御した場合における、各単位時間に消費される系統電力の電力量を示すグラフである。
【図9】は、充電スケジュールの第1具体例を示すグラフである。
【図10】は、充電スケジュールの第2具体例を示すグラフである。
【図11】は、充電スケジュールの第3具体例を示すグラフである。
【図12】は、蓄電部充電の実行例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施の一形態である充電システムについて、以下図面を参照して説明する。まず、本発明の実施の一形態である充電システムの構成及び動作の一例について、図面を参照して説明する。
【0029】
<充電システム>
図1は、本発明の実施の一形態である充電システムの構成例を示すブロック図である。なお、図中の各ブロックを接続する実線の矢印は電力のやり取りを示し、破線の矢印は情報のやり取りを示している。
【0030】
図1に示す充電システム1は、供給される電力を消費することで電動車両Cに備えられるバッテリBに電力を供給して充電する充電部11と、供給される電力を充電するとともに放電により電力を供給する蓄電部12と、ユーザの指示が入力される入力部13と、ユーザに報知を行う報知部14と、入力部13からユーザの指示が入力されるとともに充電部11及び蓄電部12の動作を制御する制御部15と、を備える。なお、以下では、充電部11による電動車両CのバッテリBの充電をバッテリ充電と表現し、蓄電部12の充電を蓄電部充電と表現することで、これらを区別する。また、蓄電部12の放電を、蓄電部放電と表現する。
【0031】
充電システム1には、電力会社から供給される電力(以下、系統電力とする)が供給される。系統電力は、充電システム1を備える店舗等の各種機器(例えば、照明や空調装置、冷蔵庫など。以下、負荷部Rとする)にも供給され、消費される。
【0032】
充電部11は、系統電力や、蓄電部12の蓄電部放電により供給される電力を適宜変換して(例えば、交流電力を直流電力に変換したり、電動車両CのバッテリBに供給する直流電力の電圧値などを調整したりして)、バッテリ充電を行う。
【0033】
蓄電部12は、供給される系統電力を必要に応じて変換して(例えば、交流電力を直流電力に変換したり、直流電力の電圧値などを調整したりして)、蓄電部充電を行う。また、蓄電部充電で消費した(蓄電部12に蓄えた)電力を蓄電部放電することで、充電部11に電力を供給する。なお、蓄電部放電により供給される電力が、負荷部Rに供給されるように構成しても構わない。
【0034】
入力部13は、ユーザに操作されたり、ユーザの所有物(例えば、携帯端末など)から送信される指示内容を受信したりすることで、ユーザの指示が入力される。また、入力部13は、入力されたユーザの指示を制御部15に伝える。ユーザの指示として、例えば、バッテリ充電を開始する指示や、バッテリ充電を予約する指示、バッテリ充電を停止する指示などがある。
【0035】
報知部14は、例えば、表示装置やスピーカなどを備えて画像や音声を出力したり、送信装置を備えてユーザの所有物(例えば、事前に充電システム1に登録された携帯端末など)に情報を送信したりすることで、ユーザに報知を行う。報知部がユーザに報知する内容として、例えば、予約されたバッテリ充電を行うタイミングや、バッテリ充電の開始や終了、停止などがある。
【0036】
制御部15は、充電部11によるバッテリ充電や、蓄電部12の蓄電部充電及び蓄電部放電を制御する。また、制御部15は、バッテリ充電を予約する旨の指示が入力部12に入力されたことを確認すると、当該指示に基づいて充電スケジュールを作成する。そして、報知部14を制御して、ユーザに充電スケジュールの一部または全部を報知する。
【0037】
また、制御部15は、バッテリ充電を行う時間帯を制限することなく、店舗等にかかる電力料金を低減することを可能とする充電スケジュールを作成する。そして、作成した充電スケジュールに沿って、充電部11や蓄電部12の動作を制御する。なお、充電スケジュール(即ち、充電部11がバッテリ充電を行うタイミングや、蓄電部12が蓄電部充電及び蓄電部放電を行うタイミングの制御方法)の詳細については、後述する。
【0038】
充電スケジュールには、バッテリ充電の開始時刻や終了時刻が含まれ得る。また、蓄電部充電及び蓄電部放電を行う時刻も含まれ得る。ユーザは、報知部14により充電スケジュールを報知されることで、少なくともバッテリ充電の開始時刻を認識する。そして、例えば電動車両Cと充電部11とが当該開始時刻までに接続されれば、当該開始時刻からバッテリ充電が開始される。
【0039】
以上のように構成すると、例えば、バッテリ充電をするべくユーザが店舗等に出向いたときに、他のユーザが先にバッテリ充電を行っていることで迅速にバッテリ充電を行うことができない状況(充電待ち)が発生することを、抑制することが可能となる。
【0040】
また、充電システム1は、充電待ちの発生を抑制するとともに、電力料金を低減することができるため、ユーザ側にも店舗等の側にも好ましいものとなる。そのため、充電システム1の普及を見込むことができる。そして、充電システム1を普及させることで、電動車両の普及の促進、ひいては二酸化炭素排出量の削減を図ることが可能となる。
【0041】
なお、図1に示す充電システムの構成は一例に過ぎず、他の構成としても構わない。例えば、充電部11や蓄電部12、負荷部Rなどに電力を供給可能な他の電力源(例えば、太陽電池など)を備える構成としても構わない。
【0042】
また、充電部11が、バッテリ充電を行う1台の電動車両Cにのみ接続可能としても構わないし、複数の電動車両Cに接続可能としても構わない。また、充電部11を複数の電動車両Cに接続可能な構成とする場合、制御部15が充電部11を制御することで、充電部11に接続されたそれぞれの電動車両CのバッテリBに対して、順次バッテリ充電を行う構成としても構わない。
【0043】
<電力料金の算出方法>
次に、系統電力の電力料金の算出方法の一例について、図面を参照して説明する。図2は、系統電力の電力料金の算出方法の概要を示すグラフである。なお、図2に示すグラフは、12時0分〜12時30分、12時30分〜13時0分、13時0分〜13時30分及び13時30分〜14時0分のそれぞれの単位時間(毎時0分〜30分及び30分〜0分のそれぞれの30分間)において、充電システム1を備える店舗等の全体で消費された系統電力の電力量を、グラフの高さとして示したものである。
【0044】
系統電力の電力料金には、例えば、固定性の基本料金と、従量制の使用料金とが含まれる。一般的に電力会社は、効率良く発電する(発電する電力を平準化する)などの理由から、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値が大きくなるほど、基本料金が高くなるように設定している。
【0045】
図2に示す例では、13時0分〜13時30分の単位時間に消費される電力量WPが、他の単位時間に消費される電力量よりも大きいため、最大値となる。そのため、13時0分〜13時30分の単位時間に消費される電力量WPに基づいて、基本料金が設定されることになる。なお、図2では説明の簡略化のため、4個の単位時間のみを示しているが、一般的な電力会社では、もっと多数の単位時間(例えば、1年分)の中から電力量の最大値を求めることとしている。
【0046】
<充電スケジュール>
上述のように、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減することで、電力料金(特に、基本料金。以下同じ。)を低減することができる。以下、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減するための充電スケジュール(制御部15によるバッテリ充電を行うタイミングの制御方法)について、図面を参照して説明する。まず、比較のために、図3及び図4を参照して、バッテリ充電を行うタイミングの好ましくない制御方法について説明する。
【0047】
図3は、バッテリ充電を行うタイミングを好ましくない方法で制御した場合に消費される電力の一例を示すグラフである。また図4は、図3に示すようにバッテリ充電を行うタイミングを制御した場合における、各単位時間に消費される系統電力の電力量を示すグラフである。図3及び図4のいずれも、図2に示す時間(12時〜14時)と同じ時間について示すものである。また、図3では、バッテリ充電で消費される系統電力の大きさを白塗の領域の高さで示し、負荷部Rで消費される(以下、負荷部消費と表現する)系統電力の大きさを、灰色塗の領域の高さで示している。
【0048】
また、以下では説明の簡略化のため、図3に示すように、負荷部消費の大きさが、時刻に関係なく一定であることとする。そのため、図4に示すように、各単位時間における負荷部消費の電力量WRも一定となる。また、図3に示すように、バッテリ充電で消費される(電動車両CのバッテリBに充電される)電力の大きさも、時刻に関係なく一定であることとする。さらに、図3に示すように、1回のバッテリ充電にかかる時間(電動車両Cの1台当たりの充電時間)が、単位時間(30分)以下の時間(20分)であり、毎回同じ時間になることとする。
【0049】
図3に示す例では、12時0分〜12時20分の時間と、13時5分〜13時25分の時間とにおいて、充電部11によるバッテリ充電が行われることとしている。いずれの時間も、単位時間(12時0分〜12時30分、13時0分〜13時30分)内に全て収まっている。
【0050】
図3に示すようにバッテリ充電を行うと、1回のバッテリ充電で消費される電力量の全てが、1個の単位時間に充電部11で消費される系統電力の電力量になる。特に、単位時間以下の時間でバッテリ充電を行う急速充電では、消費する電力が大きくなる。そのため、1個の単位時間に消費される系統電力の電力量が、大きくなり得る。したがって、図4に示すように、バッテリ充電が行われた単位時間(12時0分〜12時30分、13時0分〜13時30分)に消費された系統電力の電力量WPUが、比較的大きくなる。
【0051】
この場合、最低でもバッテリ充電が行われた単位時間(12時0分〜12時30分、13時0分〜13時30分)の電力量WPUに基づいて、電力料金(基本料金)が設定される。したがって、電力料金が増大し得る。
【0052】
これに対して、図5及び図6を参照して、バッテリ充電を行うタイミングの好ましい制御方法について説明する。
【0053】
図5は、バッテリ充電を行うタイミングを好ましい方法で制御した場合に消費される電力の一例を示すグラフであり、好ましくない制御方法について示した図3に相当するものである。図6は、図5に示すようにバッテリ充電を行うタイミングを制御した場合における、各単位時間に消費される系統電力の電力量を示すグラフであり、好ましくない制御方法について示した図4に相当するものである。なお、図5において、バッテリ充電が行われるタイミングが図3に示すタイミングと異なること以外は、図3と同様である。そのため、以下図5について、図3と同様となる部分については説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0054】
図5に示す例では、12時20分〜12時40分の時間と、13時25分〜13時45分の時間と、のそれぞれでバッテリ充電が行われることとしている。いずれのバッテリ充電が行われる時間も、それぞれ異なる(重複しない)単位時間(12時0分〜12時30分及び12時30分〜13時0分、13時0分〜13時30分及び13時30分〜14時0分)に及ぶ(またがる)ものとしている。
【0055】
以上のように構成すると、単位時間以下の時間でバッテリ充電を行うために消費する電力が大きくなりやすい場合(例えば、急速充電を行う場合)でも、1回のバッテリ充電で消費される系統電力の電力量を、2個の単位時間に分配することが可能となる。そのため、図6に示すように、各単位時間に消費される系統電力の電力量WP1〜WP3を、比較的小さくすることが可能となる。例えば、図4に示す電力量WPUよりも小さくすることが可能となる。したがって、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を抑制することが可能となり、電力料金を低減することが可能となる。
【0056】
さらに、バッテリ充電を行う時間を僅かに変更するだけで済むため、バッテリ充電を行う時間帯を深夜や早朝などに制限する必要がない。したがって、バッテリ充電を行う時間帯を制限することなく、容易に電力料金を低減することが可能となる。
【0057】
また、充電部11が複数のバッテリ充電を行う場合に、それぞれのバッテリ充電が行われるタイミングが、それぞれ異なる単位時間に及ぶものとしている。そのため、複数のバッテリ充電で消費される系統電力の電力量が、重複した単位時間に分配されることで、当該単位時間に消費される系統電力の電力量が増大することを抑制することが可能となる。
【0058】
ところで、図5に示す12時20分〜12時40分の時間で行われるバッテリ充電は、その中間の時刻(12時30分)と、2個の単位時間の境界の時刻(12時30分)と、が略等しくなるようにしている。このように構成すると、1回のバッテリ充電で消費する系統電力の電力量を、容易に2個の単位時間に略等しく分配することが可能となる。そのため、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を、効果的に抑制することが可能となる(以下、このようにバッテリ充電が行われる時間を、「基準時間」とする)。
【0059】
しかしながら、諸般の事情(例えば、ユーザの都合によるバッテリ充電の開始時刻の変更など)により、基準時間(上述の例では毎時20分〜40分(または毎時50分〜10分でも良い))に必ずバッテリ充電が行われるように制御することは困難である。また、バッテリ充電を行う時間を必要以上に限定すると、効率良くバッテリ充電を行うことが困難になる。
【0060】
そこで以下では、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を効果的に抑制しつつも、バッテリ充電を行う時間の変動を許容することができる充電スケジュール(制御部15による、バッテリ充電及び蓄電部放電を行うタイミングの制御方法)を、図7及び図8を参照して説明する。
【0061】
図7は、バッテリ充電及び蓄電部放電を行うタイミングを好ましい方法で制御した場合に消費される電力の一例を示すグラフであり、上述の好ましい方法について示した図5に相当するものである。図8は、図7に示すようにバッテリ充電及び蓄電部放電を行うタイミングを制御した場合における、各単位時間に消費される系統電力の電力量を示すグラフであり、上述の好ましい方法について示した図6に相当するものである。なお、図7において、バッテリ充電を行うタイミングが図5に示す時間と異なることや、蓄電部放電により供給される電力をバッテリ充電に利用すること以外は、図5と同様である。そのため、以下図7について、図5と同様となる部分については説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。なお、図7では、蓄電部放電により供給されてバッテリ充電で消費される電力の大きさを、黒塗の領域の高さで示している。
【0062】
図7に示す例では、12時15分〜12時35分の時間と、13時5分〜13時25分の時間と、のそれぞれでバッテリ充電が行われることとしている。ただし、12時15分〜12時20分の時間と、13時5分〜13時15分の時間とのそれぞれにおいて、系統電力だけでなく蓄電部放電により供給される電力をも用いて、バッテリ充電を行う。
【0063】
以上のように構成すると、各単位時間において、バッテリ充電により消費される系統電力の電力量に上限(本例では、1回のバッテリ充電で消費される系統電力の電力量の半分)が設けられることとなる。そのため、図8に示すように、各単位時間に消費される系統電力の電力量WP1,WP2,WRを、比較的小さくすることが可能となる。例えば、図6に示す電力量WP1以下にすることが可能となる。したがって、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を効果的に抑制することが可能となり、電力料金をさらに低減することが可能となる。
【0064】
また、蓄電部放電により供給可能な電力量に対応した時間だけ、バッテリ充電を行う時間の変動を許容することが可能となる。例えば、蓄電部放電により供給可能な電力量が、バッテリ充電で消費される電力量の1/4に相当するものであれば、バッテリ充電を行う時間を基準時間から1/4(上述の例では5分)だけ変動させることが可能となる。
【0065】
したがって、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を効果的に抑制しつつも、バッテリ充電を行う時間の変動を許容することが可能となる。具体的に例えば、ユーザがバッテリ充電を行う時間を予約した時間から変動させたとしても、その変動された時間にバッテリ充電を行いつつ、電力料金を効果的に低減することが可能となる。
【0066】
また、図7及び図8に示す制御方法において、バッテリ充電で消費される電力量の1/2以上に相当する電力量を蓄電部放電により供給可能な場合、例えば図7の13時5分〜13時25分の時間のバッテリ充電に示すように、任意の時間にバッテリ充電を行うことが可能となる。
【0067】
なお、図7において、バッテリ充電開始後の所定の時間に、蓄電部放電を行って電力を供給することとしたが、バッテリ充電終了前の所定の時間に、蓄電部放電を行って電力を供給しても構わない。特に、バッテリ充電を行う時間を、基準時間の前方に変動させる場合は、図7に示すようにバッテリ充電開始後の所定の時間に蓄電部放電を行い、基準時間の後方に変動させる場合は、バッテリ充電終了前の所定の時間に蓄電部放電を行っても構わない。
【0068】
また、図7において、系統電力を消費するバッテリ充電と、蓄電部放電により供給される電力を消費するバッテリ充電と、を別々に行うこととしたが、同時に行う場合が含まれても構わない。具体的に例えば、図7の12時15分〜12時35分のバッテリ充電において、蓄電部放電により12時15分〜12時20分に電力を供給する代わりに、その1/3の電力を12時15分〜12時30分に分散して供給しても構わない。
【0069】
このように構成すると、蓄電部放電により供給する電力を小さくすることが可能となる。そのため、蓄電部12が大きな電力を急激に放電(または、充電)することを抑制し、蓄電部12の負担を軽減することが可能となる。また、このような構成としても、上述のように、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を、効果的に抑制することが可能である。
【0070】
また、バッテリ充電を行う時間を、基準時間の前方に変動させる場合、後方の単位時間(図8の例では、12時30分〜13時0分、13時30分〜14時0分)では、充電部11で消費される系統電力の電力量が小さくなり得る。そのため、この単位時間において、系統電力により蓄電部充電を行っても構わない。同様に、バッテリ充電を行う時間を、基準時間の後方に変動させる場合、前方の単位時間において、系統電力により蓄電部充電を行っても構わない。
【0071】
また、図5及び図7に示す時間は、電力会社が設置する電力計等に付随する時計で測定されるものであり、実際の時間に対してずれが生じる場合もある。当該ずれにより、例えば単位時間が、実際の時間で毎時10分〜40分及び40分〜10分になっていると、好ましい。この場合、基準時間の開始時刻を毎時0分(または30分でも良い)にすることが可能になる。そのため、ユーザにとってキリが良く覚えやすい時刻を、バッテリ充電の開始時刻とすることが可能となる。
【0072】
また、説明の簡略化のため、バッテリ充電で消費される電力の大きさを時刻によらず一定としたが、一定でなくても構わない。この場合、1回のバッテリ充電で消費される系統電力の電力量を2個の単位時間に略等しく分配するために、バッテリ充電の中間の時刻を、2個の単位時間の境界となる時刻とずらして設定しても構わない。また、このような場合でも、制御部15による充電部11の制御の簡略化のため、バッテリ充電の中間の時刻と、2個の単位時間の境界の時刻と、が略等しくなるように設定しても構わない。
【0073】
<充電スケジュールの具体例>
充電スケジュールの各具体例について、以下図面を参照して説明する。なお、以下において説明する充電スケジュールの各具体例は、図7及び図8に示したような、蓄電部放電を利用する(バッテリ充電を行うタイミングだけでなく、蓄電部放電を行うタイミングをも制御する)ものである。さらに、以下説明する充電スケジュールの各具体例は、バッテリ充電及び蓄電部放電を行うタイミングだけでなく、蓄電部充電を行うタイミングをも制御するものである。
【0074】
また、以下に示す充電スケジュールの各具体例は、充電システム1が、頻繁にバッテリ充電を行う必要がある場合を想定している。具体的には、1回のバッテリ充電に対する単位時間が2個よりも少なく、2個の単位時間に及ぶバッテリ充電(例えば、図5及び図7参照)を複数回行うことが困難になる場合を想定している。
【0075】
[第1具体例]
最初に、充電スケジュールの第1具体例について、図9を参照して説明する。図9は充電スケジュールの第1具体例を示すグラフである。図9の上段のグラフは、バッテリ充電、蓄電部放電及び蓄電部充電を行うタイミングを好ましくない方法で制御した場合に消費される電力の一例を示すグラフであり、図3に相当するものである。図9の中段のグラフは、バッテリ充電、蓄電部放電及び蓄電部充電を行うタイミングを好ましい方法で制御する場合に消費される電力の一例を示すグラフである。図9の下段のグラフは、中段のグラフに示すようにバッテリ充電、蓄電部放電及び蓄電部充電を行うタイミングを制御する場合における、蓄電部12に充電されている電力量(残容量)を示すグラフである。
【0076】
図9の上段及び中段のグラフでは、図3、図5及び図7と同様に、バッテリ充電で消費される系統電力の大きさを白塗の領域の高さで示し、負荷部消費で消費される系統電力の大きさを灰色塗の領域の高さで示し、蓄電部放電により供給される電力の大きさを黒塗の領域の高さで示している。さらに、蓄電部充電で消費される系統電力の大きさを、格子状のハッチングを付した領域の高さで示している。また、代表的ないくつかの領域の内部に、単位時間当たりに消費される系統電力の電力量や、単位時間当たりに蓄電部放電によって供給されて消費される電力量を、表示する。
【0077】
本具体例では、図9の上段及び中段のグラフに示すように、各単位時間において負荷部消費で15kWhの電力量の系統電力が消費され、1回のバッテリ充電で20kWh(一般的な電動車両CのバッテリBが充電可能な電力量(容量)の80%に相当)の電力量が消費される場合を想定している。また、4回(4台の電動車両C)のバッテリ充電を、5個の単位時間(12時0分〜14時30分、14時30分〜17時0分)内に行い、1回のバッテリ充電が30分である場合を想定している。また、本具体例の充電スケジュールの開始時(12時0分)に、蓄電部12が十分な残容量(11kWh)を有している場合を想定している。
【0078】
図9の上段のグラフに示すように、図3と同様にそれぞれのバッテリ充電をそれぞれの単位時間内に行うと、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値(本具体例では、15+20=35kWh)が大きくなり得る。例えば、1年分の基本料金が、当該最大値の1時間換算値(35×2)×1月分の基本料金の単価(1600)×1年分(12)で求められるものと仮定すると、およそ134万円となる。
【0079】
そこで、本具体例では、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減するべく、図9中段及び下段のグラフに示すように、制御部15が充電部11及び蓄電部12を制御する。
【0080】
本具体例では、4回のバッテリ充電のうち1回を、上述のように2個の単位時間に及んで行われるようにする(図5参照)。例えば、4回のうち最後(または、最初)となるバッテリ充電が行われる時間を、2個の単位時間(13時30分〜14時30分、16時0分〜17時0分)に及んで行われるようにする。例えばこのとき、当該バッテリ充電の中間の時刻(14時0分、16時30分)と、2個の単位時間の境界の時刻(14時0分、16時30分)と、が略等しくなるようにする。これにより、当該2個の単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量の最大値を、効果的に低減することが可能となる。
【0081】
一方、上記以外の3回のバッテリ充電は、上記の2個の単位時間(13時30分〜14時30分、16時0分〜17時0分)以外の3個の単位時間(12時0分〜13時30分、14時30分〜16時0分)のそれぞれで行う。ただし、当該単位時間のそれぞれで、蓄電部放電を行う。これにより、当該単位時間のそれぞれで、例えば蓄電部12の残容量の1/3と略等しい電力量(放電効率85%で11÷3×0.85≒3.1kWh)が供給され、当該単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量の最大値を、低減することが可能となる。なお、本具体例では、当該単位時間に消費される系統電力の電力量(15+20−3.1=31.9kWh)が、最大値となる。
【0082】
さらに、本具体例では、1回のバッテリ充電が行われる2個の単位時間(13時30分〜14時30分、16時0分〜17時0分)のそれぞれで、蓄電部充電を行う。このとき、当該2個の単位時間のそれぞれにおいて、蓄電部充電で消費される系統電力の電力量(充電効率85%で蓄電部放電前の残容量11kWhを得る場合、11÷0.85÷2≒6.5kWh)を、当該2個の単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量が他の単位時間に消費される系統電力の電力量(31.9kWh)を超えない程度に小さくすると、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を効果的に低減することができるため、好ましい。
【0083】
また、1回のバッテリ充電が行われる2個の単位時間(13時30分〜14時30分、16時0分〜17時0分)のそれぞれにおいて蓄電部充電で消費される系統電力の電力量(6.5kWh)は、他の単位時間で蓄電部放電により十分な電力量(3.1kWh)を供給可能な程度に大きいと、好ましい。なお、例えば4回のバッテリ充電が行われる5回の単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量の差が小さくなるように、蓄電部充電及び蓄電部放電する電力量を設定したり、当該電力量を充電及び放電可能な容量を有する蓄電部12を選定したりしても構わない。
【0084】
以上のように構成すると、1回のバッテリ充電で消費される系統電力の電力量が、2個の単位時間に分配される。また、他の単位時間では、蓄電部放電により供給される電力を消費するバッテリ充電が行われる。そのため、頻繁にバッテリ充電を行う必要がある場合であっても、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減することが可能となる。したがって、電力料金を低減することが可能となる。例えば、上述の式によって基本料金が算出される場合、1年分の基本料金を、およそ122万円まで低減することができる。
【0085】
また、蓄電部充電を行うタイミングを確保することが可能になる。そのため、蓄電部12の残容量が少ないことで、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減することが困難になる事態が生じることを、抑制することが可能になる。
【0086】
[第2具体例]
次に、充電スケジュールの第2具体例について、図10を参照して説明する。図10は充電スケジュールの第2具体例を示すグラフである。なお、図10の上段、中段及び下段のそれぞれのグラフは、第1具体例について示した図9の上段、中段及び下段のそれぞれのグラフに相当するものである。そのため、図10のそれぞれのグラフの説明については、図9の説明を参酌するものとして、省略する。
【0087】
本具体例では、第1具体例と同様に、各単位時間において負荷部消費で15kWhの電力量の系統電力が消費され、1回のバッテリ充電で20kWhの電力量が消費される場合を想定している。また、1回のバッテリ充電が30分であり、充電スケジュールの開始時(12時0分)に、蓄電部12が十分な残容量(9kWh)を有している場合を想定している。ただし、本具体例では、3回(3台の電動車両C)のバッテリ充電を、4個の単位時間(12時0分〜14時0分、14時0分〜16時0分)内に行う場合を想定している。
【0088】
図10の上段のグラフに示すように、図3と同様にそれぞれのバッテリ充電をそれぞれの単位時間内に行うと、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値(本具体例では、15+20=35kWh)が大きくなり得る。例えば、第1具体例において説明したように、1年分の基本料金がおよそ134万円となる。
【0089】
そこで、本具体例では、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減するべく、図10中段及び下段のグラフに示すように、制御部15が充電部11及び蓄電部12を制御する。
【0090】
本具体例では、3回のバッテリ充電のうち1回を、上述のように2個の単位時間に及んで行われるようにする(図5参照)。例えば、3回のうち最後(または、最初)となるバッテリ充電が行われる時間を、2個の単位時間(13時0分〜14時0分、15時0分〜16時0分)に及んで行われるようにする。例えばこのとき、当該バッテリ充電の中間の時刻(13時30分、15時30分)と、2個の単位時間の境界の時刻(13時30分、15時30分)と、が略等しくなるようにする。これにより、当該2個の単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量の最大値を、効果的に低減することが可能となる。
【0091】
一方、上記以外の2回のバッテリ充電は、上記の2個の単位時間(13時0分〜14時0分、15時0分〜16時0分)以外の2個の単位時間(12時0分〜13時0分、14時0分〜15時0分)のそれぞれで行う。ただし、当該単位時間のそれぞれで、蓄電部放電を行う。これにより、当該単位時間のそれぞれで、例えば蓄電部12の残容量の1/2と略等しい電力量(放電効率85%で9÷2×0.85≒3.8kWh)が供給され、当該単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量の最大値を、低減することが可能となる。なお、本具体例では、当該単位時間に消費される系統電力の電力量(15+20−3.8=31.2kWh)が、最大値となる。
【0092】
さらに、本具体例では、1回のバッテリ充電が行われる2個の単位時間(13時0分〜14時0分、15時0分〜16時0分)のそれぞれで、蓄電部充電を行う。このとき、当該2個の単位時間のそれぞれにおいて、蓄電部充電で消費される系統電力の電力量(充電効率85%で蓄電部放電前の残容量9kWhを得る場合、9÷0.85÷2≒5.3kWh)を、当該2個の単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量が他の単位時間に消費される系統電力の電力量(31.2kWh)を超えない程度に小さくすると、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を効果的に低減することができるため、好ましい。
【0093】
また、1回のバッテリ充電が行われる2個の単位時間(13時0分〜14時0分、15時0分〜16時0分)のそれぞれにおいて蓄電部充電で消費される系統電力の電力量(5.3kWh)は、他の単位時間で蓄電部放電により十分な電力量(3.8kWh)を供給可能な程度に大きいと、好ましい。なお、例えば3回のバッテリ充電が行われる4回の単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量の差が小さくなるように、蓄電部充電及び蓄電部放電する電力量を設定したり、当該電力量を充電及び放電可能な容量を有する蓄電部12を選定したりしても構わない。
【0094】
以上のように構成すると、1回のバッテリ充電で消費される系統電力の電力量が、2個の単位時間に分配される。また、他の単位時間では、蓄電部放電により供給される電力を消費するバッテリ充電が行われる。そのため、頻繁にバッテリ充電を行う必要がある場合であっても、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減することが可能となる。したがって、電力料金を低減することが可能となる。例えば、上述の式によって基本料金が算出される場合、1年分の基本料金を、およそ120万円まで低減することができる。
【0095】
また、蓄電部充電を行うタイミングを確保することが可能になる。そのため、蓄電部12の残容量が少ないことで、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減することが困難になる事態が生じることを、抑制することが可能になる。
【0096】
また、本具体例は、第1具体例と比較して、一定時間に行い得るバッテリ充電の回数は減少するが、電力料金をより大きく低減することが可能となる。また、本具体例は、蓄電部12の容量が、第1具体例よりも小さいもので済むため、充電システム1の構成の簡略化や低コスト化を図ることが可能になる。
【0097】
[第3具体例]
次に、充電スケジュールの第3具体例について、図11を参照して説明する。図11は充電スケジュールの第3具体例を示すグラフである。なお、図11の上段、中段及び下段のそれぞれのグラフは、第1具体例について示した図9の上段、中段及び下段のそれぞれのグラフに相当するものである。そのため、図11のそれぞれのグラフの説明については、図9の説明を参酌するものとして、省略する。
【0098】
本具体例では、第1具体例と同様に、各単位時間において負荷部消費で15kWhの電力量の系統電力が消費され、1回のバッテリ充電で20kWhの電力量が消費される場合を想定している。また、1回のバッテリ充電が30分であり、充電スケジュールの開始時(12時0分)に、蓄電部12が十分な残容量(6kWh)を有している場合を想定している。ただし、本具体例では、2回(2台の電動車両C)のバッテリ充電を、3個の単位時間(12時0分〜13時30分、13時30分〜15時0分、15時0分〜16時30分)内に行う場合を想定している。
【0099】
図11の上段のグラフに示すように、図3と同様にそれぞれのバッテリ充電をそれぞれの単位時間内に行うと、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値(本具体例では、15+20=35kWh)が大きくなり得る。例えば、第1具体例において説明したように、1年分の基本料金がおよそ134万円となる。
【0100】
そこで、本具体例では、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減するべく、図11中段及び下段のグラフに示すように、制御部15が充電部11及び蓄電部12を制御する。
【0101】
本具体例では、2回のバッテリ充電のうち1回を、上述のように2個の単位時間に及んで行われるようにする(図5参照)。例えば、2回のうちいずれかのバッテリ充電が行われる時間を、2個の単位時間(12時30分〜13時30分、14時0分〜15時0分、15時30〜16時30分)に及んで行われるようにする。例えばこのとき、当該バッテリ充電の中間の時刻(13時0分、14時30分、16時0分)と、2個の単位時間の境界の時刻(13時0分、14時30分、16時0分)と、が略等しくなるようにする。これにより、当該2個の単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量の最大値を、効果的に低減することが可能となる。
【0102】
一方、上記以外の1回のバッテリ充電は、上記の2個の単位時間(12時30分〜13時30分、14時0分〜15時0分、15時30〜16時30分)以外の1個の単位時間(12時0分〜12時30分、13時30分〜14時0分、15時0分〜15時30分)で行う。ただし、当該単位時間で、蓄電部放電を行う。これにより、当該単位時間で、例えば蓄電部12の残容量と略等しい電力量(放電効率85%で6×0.85≒5.1kWh)が供給され、当該単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量の最大値を、低減することが可能となる。なお、本具体例では、当該単位時間に消費される系統電力の電力量(15+20−5.1=29.9kWh)が、最大値となる。
【0103】
さらに、本具体例では、1回のバッテリ充電が行われる2個の単位時間(12時30分〜13時30分、14時0分〜15時0分、15時30分〜16時30分)のそれぞれで、蓄電部充電を行う。このとき、当該2個の単位時間のそれぞれにおいて、蓄電部充電で消費される系統電力の電力量(充電効率85%で蓄電部放電前の残容量6kWhを得る場合、6÷0.85÷2≒3.5kWh)を、当該2個の単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量が他の単位時間に消費される系統電力の電力量(29.9kWh)を超えない程度に小さくすると、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を効果的に低減することができるため、好ましい。
【0104】
また、1回のバッテリ充電が行われる2個の単位時間(12時30分〜13時30分、14時0分〜15時0分、15時30分〜16時30分)のそれぞれにおいて蓄電部充電で消費される系統電力の電力量(3.5kWh)は、他の単位時間で蓄電部放電により十分な電力量(5.1kWh)を供給可能な程度に大きいと、好ましい。なお、例えば2回のバッテリ充電が行われる3回の単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量の差が小さくなるように、蓄電部充電及び蓄電部放電する電力量を設定したり、当該電力量を充電及び放電可能な容量を有する蓄電部12を選定したりしても構わない。
【0105】
以上のように構成すると、1回のバッテリ充電で消費される系統電力の電力量が、2個の単位時間に分配される。また、他の単位時間では、蓄電部放電により供給される電力を消費するバッテリ充電が行われる。そのため、頻繁にバッテリ充電を行う必要がある場合であっても、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減することが可能となる。したがって、電力料金を低減することが可能となる。例えば、上述の式によって基本料金が算出される場合、1年分の基本料金を、およそ115万円まで低減することができる。
【0106】
また、蓄電部充電を行うタイミングを確保することが可能になる。そのため、蓄電部12の残容量が少ないことで、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減することが困難になる事態が生じることを、抑制することが可能になる。
【0107】
また、本具体例は、第1及び第2具体例と比較して、一定時間に行い得るバッテリ充電の回数は減少するが、電力料金をより大きく低減することが可能となる。また、本具体例は、蓄電部12の容量が、第1及び第2具体例よりも小さいもので済むため、充電システム1の構成の簡略化や低コスト化を図ることが可能になる。
【0108】
なお、上述の第1〜第3具体例の充電スケジュールを、「n回のバッテリ充電をn+1個の単位時間に行う」ものとして解釈し、制御部15が、第1〜第3具体例(n=4〜2)と同様にn≧5の充電スケジュールを作成しても構わない。ただし、nは2以上の整数とする。また、制御部15が、「n回のバッテリ充電をn+1個の単位時間に行う」ことを、1つのセットとして把握しても構わない。例えば、制御部15が、入力部13を介してユーザから入力されるバッテリ充電の予約を、いくつかのセットの組み合わせとして把握し、セット毎に対応する制御方法(例えば、図9〜図11参照)を組み合わせた充電スケジュールを作成しても構わない。
【0109】
また、蓄電部充電は、1回のバッテリ充電が行われる2個の単位時間中であれば、どのように行っても構わない。この蓄電部充電の実行例について、図12を参照して説明する。図12は、蓄電部充電の実行例を示すグラフである。また、図12は、図9の中段のグラフに相当するものである。そのため、図12のグラフの説明については、図9の中段のグラフの説明を参酌するものとして、省略する。
【0110】
図12(a)は、図9〜図11のそれぞれの中段のグラフに示したものと同様である。具体的には、2個の単位時間中であり、当該2個の単位時間に及んで行われる1回のバッテリ充電の前後に、1回ずつ蓄電部充電を行うものである。
【0111】
これに対して図12(b)は、バッテリ充電の有無にかかわらず、蓄電部充電を1回行うものである。また、本例の蓄電部充電は、2個の単位時間に及ぶように行われるものである。
【0112】
図12(a),(b)のいずれであっても、それぞれの単位時間に消費される系統電力の電力量は等しくなる。ただし、図12(a)の蓄電部充電では、バッテリ充電及び蓄電部充電の重複が抑制されるため、消費される系統電力の最大値を低減することが可能になる。一方、図12(b)では、蓄電部充電がバッテリ充電によって分断されることが抑制されるため、蓄電部充電を一度で連続的に行うことが可能になる。
【0113】
また、蓄電部充電が、1回のバッテリ充電が行われる2個の単位時間の両方で行われる場合について例示したが、いずれか一方で行っても構わない。ただし、単位時間に消費される系統電力の電力量を低減する観点から、バッテリ充電と同様に、2個の単位時間に及んで行うこととすると、好ましい。
【0114】
<変形例>
なお、蓄電部放電によって供給される電力が、バッテリ充電として消費されることに代えて(または、加えて)、負荷部消費として消費されても構わない。
【0115】
本発明の実施形態における充電システム1について、制御部15などの一部または全部の動作を、マイコンなどの制御装置が行うこととしても構わない。さらに、このような制御装置によって実現される機能の全部または一部をプログラムとして記述し、該プログラムをプログラム実行装置(例えばコンピュータ)上で実行することによって、その機能の全部または一部を実現するようにしても構わない。
【0116】
また、上述した場合に限らず、図1に示す充電システム1は、ハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実現可能である。また、ソフトウェアを用いて充電システムの一部を構成する場合、ソフトウェアによって実現される部位についてのブロックは、その部位の機能ブロックを表すこととする。
【0117】
以上、本発明における実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、電動車両に備えられるバッテリなどを充電する充電システムに利用可能である。特に、消費する電力が大きく単位時間以下の時間で充電を行う急速充電を行い得る充電システムに適用すると、好適である。
【符号の説明】
【0119】
1 充電システム
11 充電部
12 蓄電部
13 入力部
14 報知部
15 制御部
B バッテリ
C 電動車両
R 負荷部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両に備えられるバッテリなどを充電する充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、蓄電池の大容量化が進み、電動自動車や電動バイクなどの電動車両(Electric Vehicle)の駆動用や、家庭や店舗、ビルなどで消費される電力の貯蔵用などでの利用が検討され、今後広く普及することが見込まれている。また、二酸化炭素排出量の削減などの観点から、電動車両が広く普及することが望まれている。
【0003】
電動車両の普及には、電動車両の駆動用の蓄電池(以下、バッテリとする)を充電する充電システムの普及が不可欠である。特に、家庭以外で電動車両のバッテリを充電する充電システムの普及が不可欠である。これについて、コンビニエンスストアなどの店舗等に充電システムを備えさせる構想が提案されている。
【0004】
店舗等に充電システムを備える場合、照明や空調装置、冷蔵庫などの各種機器で消費する電力の他に、充電システムで消費する電力をも店舗等が供給する必要がある。充電システムで消費される電力は、店舗等が各種機器で消費する電力と同程度の(例えば、電力のオーダーが略等しい)大きさとなり得る。すると、店舗等が電力会社から購入する電力量が大きくなることで電力料金が増大することが問題となり、当該問題は充電システムの普及を妨げる要因になり得る。
【0005】
そこで、例えば特許文献1では、電力単価の安い時間帯や電力需要が少ない時間帯を優先的に利用して蓄電池を充電することで、電力料金を低減する充電システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−67418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1で提案されている充電システムでは、深夜や早朝などの不便かつ限られた時間帯に充電しなければ、電力料金を低減することができない。しかしながら、電動車両の使用者(以下、単にユーザとする)が、深夜や早朝のような不便な時間帯に店舗等を訪れて充電することは、少ないと考えられる。また反対に、ユーザにとって便利な日中などの時間帯には、多数の電動車両が店舗等を訪れるため、頻繁に充電を行うことが必要になると考えられる。したがって、上記の充電システムでは、電力料金を低減することが困難になる。
【0008】
そこで本発明は、充電する時間帯を制限せず、頻繁に充電を行ったとしても、電力料金を低減することが可能である充電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明における充電システムは、バッテリを充電する充電システムであって、電力会社から供給される系統電力を消費して充電され、充電した電力を放電により供給する蓄電部と、系統電力と前記蓄電部から供給される電力とを消費して前記バッテリを充電する充電部と、を備え、前記電力会社が、各単位時間に供給した電力量の最大値が大きくなるほど高くなる電力料金を設定するものであり、前記充電部により行われる少なくとも1回の充電が、2個の単位時間に及んで行われ、当該2個の単位時間以外の少なくとも1個の単位時間で、前記蓄電部が前記充電部に電力を供給することを特徴とする。
【0010】
また、上記構成の充電システムにおいて、前記電力会社が設定する電力料金に、固定性の基本料金と、従量制の使用料金とが含まれ、単位時間に供給した電力量の最大値が大きくなるほど、前記基本料金が高くなることとしても構わない。
【0011】
また、上記構成の充電システムにおいて、前記充電部の1回の充電が行われる2個の単位時間の少なくとも一方で、前記蓄電部の充電が行われることとしても構わない。
【0012】
このように構成すると、蓄電部の充電を行うタイミングを確保することが可能になる。そのため、蓄電部の残容量が少ないことで、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減することが困難になる事態が生じることを、抑制することが可能になる。
【0013】
また、上記構成の充電システムにおいて、前記充電部が、それぞれが単位時間以下の時間となるn(nは2以上の整数)回の充電を、n+1個の単位時間に行う場合、前記充電部による1回の充電が、2個の単位時間に及んで行われるとともに、他のn−1回の充電が、当該2個の単位時間以外のn−1個の単位時間のそれぞれで行われることとしても構わない。
【0014】
このように構成すると、充電部による1回の充電に対する単位時間が2個よりも少なく、2個の単位時間に及ぶ充電部の充電を複数回行うことが困難になる場合でも、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減することが可能になる。
【0015】
また、上記構成の充電システムにおいて、前記充電部の1回の充電が行われる2個の単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量が、他の単位時間に消費される系統電力の電力量を超えないこととしても構わない。
【0016】
このように構成すると、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を効果的に低減することが可能になる。
【0017】
また、上記構成の充電システムにおいて、前記充電部の1回の充電が行われる2個の単位時間で、当該充電の前後に前記蓄電部の充電が1回ずつ行われることとしても構わない。
【0018】
このように構成すると、充電部による充電と蓄電部の充電との重複が抑制されるため、消費される系統電力の最大値を低減することが可能になる。
【0019】
また、上記構成の充電システムにおいて、前記充電部の1回の充電が行われる2個の単位時間で、前記蓄電部の充電が1回行われることとしても構わない。
【0020】
このように構成すると、蓄電部の充電が、充電部による充電によって分断されることが抑制されるため、蓄電部の充電を一度で連続的に行うことが可能になる。
【0021】
また、上記構成の充電システムにおいて、前記充電部の少なくとも1回の充電の中間の時刻と、2個の単位時間の境界の時刻と、が略等しくなることとしても構わない。
【0022】
このように構成すると、2個の単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を、効果的に低減することが可能となる。
【0023】
また、上記構成の充電システムにおいて、前記充電部により複数回の充電が行われる場合、それぞれの充電が行われる単位時間が、それぞれ異なることとしても構わない。
【0024】
このように構成すると、充電部の複数回の充電により消費される系統電力の電力量が、ある単位時間で重複することが抑制される。そのため、単位時間に消費される系統電力の電力量が増大することを、抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の構成とすると、1回の充電部の充電で消費される系統電力の電力量が、2個の単位時間に分配される。また、他の単位時間では、蓄電部の放電により供給される電力を消費して、充電部が充電を行う。そのため、頻繁に充電部が充電を行う必要がある場合であっても、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減することが可能となる。したがって、電力料金を低減することが可能となる。
【0026】
本発明の意義ないし効果は、以下に示す実施の形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも本発明の実施の形態の一つであって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以下の実施の形態に記載されたものに制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】は、本発明の実施の一形態である充電システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】は、系統電力の電力料金の算出方法の概要を示すグラフである。
【図3】は、バッテリ充電を行うタイミングを好ましくない方法で制御した場合に消費される電力の一例を示すグラフである。
【図4】は、図3に示すようにバッテリ充電を行うタイミングを制御した場合における、各単位時間に消費される系統電力の電力量を示すグラフである。
【図5】は、バッテリ充電を行うタイミングを好ましい方法で制御した場合に消費される電力の一例を示すグラフである。
【図6】は、図5に示すようにバッテリ充電を行うタイミングを制御した場合における、各単位時間に消費される系統電力の電力量を示すグラフである。
【図7】は、バッテリ充電及び蓄電部放電を行うタイミングを好ましい方法で制御した場合に消費される電力の一例を示すグラフである。
【図8】は、図7に示すようにバッテリ充電及び蓄電部放電を行うタイミングを制御した場合における、各単位時間に消費される系統電力の電力量を示すグラフである。
【図9】は、充電スケジュールの第1具体例を示すグラフである。
【図10】は、充電スケジュールの第2具体例を示すグラフである。
【図11】は、充電スケジュールの第3具体例を示すグラフである。
【図12】は、蓄電部充電の実行例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施の一形態である充電システムについて、以下図面を参照して説明する。まず、本発明の実施の一形態である充電システムの構成及び動作の一例について、図面を参照して説明する。
【0029】
<充電システム>
図1は、本発明の実施の一形態である充電システムの構成例を示すブロック図である。なお、図中の各ブロックを接続する実線の矢印は電力のやり取りを示し、破線の矢印は情報のやり取りを示している。
【0030】
図1に示す充電システム1は、供給される電力を消費することで電動車両Cに備えられるバッテリBに電力を供給して充電する充電部11と、供給される電力を充電するとともに放電により電力を供給する蓄電部12と、ユーザの指示が入力される入力部13と、ユーザに報知を行う報知部14と、入力部13からユーザの指示が入力されるとともに充電部11及び蓄電部12の動作を制御する制御部15と、を備える。なお、以下では、充電部11による電動車両CのバッテリBの充電をバッテリ充電と表現し、蓄電部12の充電を蓄電部充電と表現することで、これらを区別する。また、蓄電部12の放電を、蓄電部放電と表現する。
【0031】
充電システム1には、電力会社から供給される電力(以下、系統電力とする)が供給される。系統電力は、充電システム1を備える店舗等の各種機器(例えば、照明や空調装置、冷蔵庫など。以下、負荷部Rとする)にも供給され、消費される。
【0032】
充電部11は、系統電力や、蓄電部12の蓄電部放電により供給される電力を適宜変換して(例えば、交流電力を直流電力に変換したり、電動車両CのバッテリBに供給する直流電力の電圧値などを調整したりして)、バッテリ充電を行う。
【0033】
蓄電部12は、供給される系統電力を必要に応じて変換して(例えば、交流電力を直流電力に変換したり、直流電力の電圧値などを調整したりして)、蓄電部充電を行う。また、蓄電部充電で消費した(蓄電部12に蓄えた)電力を蓄電部放電することで、充電部11に電力を供給する。なお、蓄電部放電により供給される電力が、負荷部Rに供給されるように構成しても構わない。
【0034】
入力部13は、ユーザに操作されたり、ユーザの所有物(例えば、携帯端末など)から送信される指示内容を受信したりすることで、ユーザの指示が入力される。また、入力部13は、入力されたユーザの指示を制御部15に伝える。ユーザの指示として、例えば、バッテリ充電を開始する指示や、バッテリ充電を予約する指示、バッテリ充電を停止する指示などがある。
【0035】
報知部14は、例えば、表示装置やスピーカなどを備えて画像や音声を出力したり、送信装置を備えてユーザの所有物(例えば、事前に充電システム1に登録された携帯端末など)に情報を送信したりすることで、ユーザに報知を行う。報知部がユーザに報知する内容として、例えば、予約されたバッテリ充電を行うタイミングや、バッテリ充電の開始や終了、停止などがある。
【0036】
制御部15は、充電部11によるバッテリ充電や、蓄電部12の蓄電部充電及び蓄電部放電を制御する。また、制御部15は、バッテリ充電を予約する旨の指示が入力部12に入力されたことを確認すると、当該指示に基づいて充電スケジュールを作成する。そして、報知部14を制御して、ユーザに充電スケジュールの一部または全部を報知する。
【0037】
また、制御部15は、バッテリ充電を行う時間帯を制限することなく、店舗等にかかる電力料金を低減することを可能とする充電スケジュールを作成する。そして、作成した充電スケジュールに沿って、充電部11や蓄電部12の動作を制御する。なお、充電スケジュール(即ち、充電部11がバッテリ充電を行うタイミングや、蓄電部12が蓄電部充電及び蓄電部放電を行うタイミングの制御方法)の詳細については、後述する。
【0038】
充電スケジュールには、バッテリ充電の開始時刻や終了時刻が含まれ得る。また、蓄電部充電及び蓄電部放電を行う時刻も含まれ得る。ユーザは、報知部14により充電スケジュールを報知されることで、少なくともバッテリ充電の開始時刻を認識する。そして、例えば電動車両Cと充電部11とが当該開始時刻までに接続されれば、当該開始時刻からバッテリ充電が開始される。
【0039】
以上のように構成すると、例えば、バッテリ充電をするべくユーザが店舗等に出向いたときに、他のユーザが先にバッテリ充電を行っていることで迅速にバッテリ充電を行うことができない状況(充電待ち)が発生することを、抑制することが可能となる。
【0040】
また、充電システム1は、充電待ちの発生を抑制するとともに、電力料金を低減することができるため、ユーザ側にも店舗等の側にも好ましいものとなる。そのため、充電システム1の普及を見込むことができる。そして、充電システム1を普及させることで、電動車両の普及の促進、ひいては二酸化炭素排出量の削減を図ることが可能となる。
【0041】
なお、図1に示す充電システムの構成は一例に過ぎず、他の構成としても構わない。例えば、充電部11や蓄電部12、負荷部Rなどに電力を供給可能な他の電力源(例えば、太陽電池など)を備える構成としても構わない。
【0042】
また、充電部11が、バッテリ充電を行う1台の電動車両Cにのみ接続可能としても構わないし、複数の電動車両Cに接続可能としても構わない。また、充電部11を複数の電動車両Cに接続可能な構成とする場合、制御部15が充電部11を制御することで、充電部11に接続されたそれぞれの電動車両CのバッテリBに対して、順次バッテリ充電を行う構成としても構わない。
【0043】
<電力料金の算出方法>
次に、系統電力の電力料金の算出方法の一例について、図面を参照して説明する。図2は、系統電力の電力料金の算出方法の概要を示すグラフである。なお、図2に示すグラフは、12時0分〜12時30分、12時30分〜13時0分、13時0分〜13時30分及び13時30分〜14時0分のそれぞれの単位時間(毎時0分〜30分及び30分〜0分のそれぞれの30分間)において、充電システム1を備える店舗等の全体で消費された系統電力の電力量を、グラフの高さとして示したものである。
【0044】
系統電力の電力料金には、例えば、固定性の基本料金と、従量制の使用料金とが含まれる。一般的に電力会社は、効率良く発電する(発電する電力を平準化する)などの理由から、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値が大きくなるほど、基本料金が高くなるように設定している。
【0045】
図2に示す例では、13時0分〜13時30分の単位時間に消費される電力量WPが、他の単位時間に消費される電力量よりも大きいため、最大値となる。そのため、13時0分〜13時30分の単位時間に消費される電力量WPに基づいて、基本料金が設定されることになる。なお、図2では説明の簡略化のため、4個の単位時間のみを示しているが、一般的な電力会社では、もっと多数の単位時間(例えば、1年分)の中から電力量の最大値を求めることとしている。
【0046】
<充電スケジュール>
上述のように、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減することで、電力料金(特に、基本料金。以下同じ。)を低減することができる。以下、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減するための充電スケジュール(制御部15によるバッテリ充電を行うタイミングの制御方法)について、図面を参照して説明する。まず、比較のために、図3及び図4を参照して、バッテリ充電を行うタイミングの好ましくない制御方法について説明する。
【0047】
図3は、バッテリ充電を行うタイミングを好ましくない方法で制御した場合に消費される電力の一例を示すグラフである。また図4は、図3に示すようにバッテリ充電を行うタイミングを制御した場合における、各単位時間に消費される系統電力の電力量を示すグラフである。図3及び図4のいずれも、図2に示す時間(12時〜14時)と同じ時間について示すものである。また、図3では、バッテリ充電で消費される系統電力の大きさを白塗の領域の高さで示し、負荷部Rで消費される(以下、負荷部消費と表現する)系統電力の大きさを、灰色塗の領域の高さで示している。
【0048】
また、以下では説明の簡略化のため、図3に示すように、負荷部消費の大きさが、時刻に関係なく一定であることとする。そのため、図4に示すように、各単位時間における負荷部消費の電力量WRも一定となる。また、図3に示すように、バッテリ充電で消費される(電動車両CのバッテリBに充電される)電力の大きさも、時刻に関係なく一定であることとする。さらに、図3に示すように、1回のバッテリ充電にかかる時間(電動車両Cの1台当たりの充電時間)が、単位時間(30分)以下の時間(20分)であり、毎回同じ時間になることとする。
【0049】
図3に示す例では、12時0分〜12時20分の時間と、13時5分〜13時25分の時間とにおいて、充電部11によるバッテリ充電が行われることとしている。いずれの時間も、単位時間(12時0分〜12時30分、13時0分〜13時30分)内に全て収まっている。
【0050】
図3に示すようにバッテリ充電を行うと、1回のバッテリ充電で消費される電力量の全てが、1個の単位時間に充電部11で消費される系統電力の電力量になる。特に、単位時間以下の時間でバッテリ充電を行う急速充電では、消費する電力が大きくなる。そのため、1個の単位時間に消費される系統電力の電力量が、大きくなり得る。したがって、図4に示すように、バッテリ充電が行われた単位時間(12時0分〜12時30分、13時0分〜13時30分)に消費された系統電力の電力量WPUが、比較的大きくなる。
【0051】
この場合、最低でもバッテリ充電が行われた単位時間(12時0分〜12時30分、13時0分〜13時30分)の電力量WPUに基づいて、電力料金(基本料金)が設定される。したがって、電力料金が増大し得る。
【0052】
これに対して、図5及び図6を参照して、バッテリ充電を行うタイミングの好ましい制御方法について説明する。
【0053】
図5は、バッテリ充電を行うタイミングを好ましい方法で制御した場合に消費される電力の一例を示すグラフであり、好ましくない制御方法について示した図3に相当するものである。図6は、図5に示すようにバッテリ充電を行うタイミングを制御した場合における、各単位時間に消費される系統電力の電力量を示すグラフであり、好ましくない制御方法について示した図4に相当するものである。なお、図5において、バッテリ充電が行われるタイミングが図3に示すタイミングと異なること以外は、図3と同様である。そのため、以下図5について、図3と同様となる部分については説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0054】
図5に示す例では、12時20分〜12時40分の時間と、13時25分〜13時45分の時間と、のそれぞれでバッテリ充電が行われることとしている。いずれのバッテリ充電が行われる時間も、それぞれ異なる(重複しない)単位時間(12時0分〜12時30分及び12時30分〜13時0分、13時0分〜13時30分及び13時30分〜14時0分)に及ぶ(またがる)ものとしている。
【0055】
以上のように構成すると、単位時間以下の時間でバッテリ充電を行うために消費する電力が大きくなりやすい場合(例えば、急速充電を行う場合)でも、1回のバッテリ充電で消費される系統電力の電力量を、2個の単位時間に分配することが可能となる。そのため、図6に示すように、各単位時間に消費される系統電力の電力量WP1〜WP3を、比較的小さくすることが可能となる。例えば、図4に示す電力量WPUよりも小さくすることが可能となる。したがって、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を抑制することが可能となり、電力料金を低減することが可能となる。
【0056】
さらに、バッテリ充電を行う時間を僅かに変更するだけで済むため、バッテリ充電を行う時間帯を深夜や早朝などに制限する必要がない。したがって、バッテリ充電を行う時間帯を制限することなく、容易に電力料金を低減することが可能となる。
【0057】
また、充電部11が複数のバッテリ充電を行う場合に、それぞれのバッテリ充電が行われるタイミングが、それぞれ異なる単位時間に及ぶものとしている。そのため、複数のバッテリ充電で消費される系統電力の電力量が、重複した単位時間に分配されることで、当該単位時間に消費される系統電力の電力量が増大することを抑制することが可能となる。
【0058】
ところで、図5に示す12時20分〜12時40分の時間で行われるバッテリ充電は、その中間の時刻(12時30分)と、2個の単位時間の境界の時刻(12時30分)と、が略等しくなるようにしている。このように構成すると、1回のバッテリ充電で消費する系統電力の電力量を、容易に2個の単位時間に略等しく分配することが可能となる。そのため、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を、効果的に抑制することが可能となる(以下、このようにバッテリ充電が行われる時間を、「基準時間」とする)。
【0059】
しかしながら、諸般の事情(例えば、ユーザの都合によるバッテリ充電の開始時刻の変更など)により、基準時間(上述の例では毎時20分〜40分(または毎時50分〜10分でも良い))に必ずバッテリ充電が行われるように制御することは困難である。また、バッテリ充電を行う時間を必要以上に限定すると、効率良くバッテリ充電を行うことが困難になる。
【0060】
そこで以下では、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を効果的に抑制しつつも、バッテリ充電を行う時間の変動を許容することができる充電スケジュール(制御部15による、バッテリ充電及び蓄電部放電を行うタイミングの制御方法)を、図7及び図8を参照して説明する。
【0061】
図7は、バッテリ充電及び蓄電部放電を行うタイミングを好ましい方法で制御した場合に消費される電力の一例を示すグラフであり、上述の好ましい方法について示した図5に相当するものである。図8は、図7に示すようにバッテリ充電及び蓄電部放電を行うタイミングを制御した場合における、各単位時間に消費される系統電力の電力量を示すグラフであり、上述の好ましい方法について示した図6に相当するものである。なお、図7において、バッテリ充電を行うタイミングが図5に示す時間と異なることや、蓄電部放電により供給される電力をバッテリ充電に利用すること以外は、図5と同様である。そのため、以下図7について、図5と同様となる部分については説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。なお、図7では、蓄電部放電により供給されてバッテリ充電で消費される電力の大きさを、黒塗の領域の高さで示している。
【0062】
図7に示す例では、12時15分〜12時35分の時間と、13時5分〜13時25分の時間と、のそれぞれでバッテリ充電が行われることとしている。ただし、12時15分〜12時20分の時間と、13時5分〜13時15分の時間とのそれぞれにおいて、系統電力だけでなく蓄電部放電により供給される電力をも用いて、バッテリ充電を行う。
【0063】
以上のように構成すると、各単位時間において、バッテリ充電により消費される系統電力の電力量に上限(本例では、1回のバッテリ充電で消費される系統電力の電力量の半分)が設けられることとなる。そのため、図8に示すように、各単位時間に消費される系統電力の電力量WP1,WP2,WRを、比較的小さくすることが可能となる。例えば、図6に示す電力量WP1以下にすることが可能となる。したがって、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を効果的に抑制することが可能となり、電力料金をさらに低減することが可能となる。
【0064】
また、蓄電部放電により供給可能な電力量に対応した時間だけ、バッテリ充電を行う時間の変動を許容することが可能となる。例えば、蓄電部放電により供給可能な電力量が、バッテリ充電で消費される電力量の1/4に相当するものであれば、バッテリ充電を行う時間を基準時間から1/4(上述の例では5分)だけ変動させることが可能となる。
【0065】
したがって、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を効果的に抑制しつつも、バッテリ充電を行う時間の変動を許容することが可能となる。具体的に例えば、ユーザがバッテリ充電を行う時間を予約した時間から変動させたとしても、その変動された時間にバッテリ充電を行いつつ、電力料金を効果的に低減することが可能となる。
【0066】
また、図7及び図8に示す制御方法において、バッテリ充電で消費される電力量の1/2以上に相当する電力量を蓄電部放電により供給可能な場合、例えば図7の13時5分〜13時25分の時間のバッテリ充電に示すように、任意の時間にバッテリ充電を行うことが可能となる。
【0067】
なお、図7において、バッテリ充電開始後の所定の時間に、蓄電部放電を行って電力を供給することとしたが、バッテリ充電終了前の所定の時間に、蓄電部放電を行って電力を供給しても構わない。特に、バッテリ充電を行う時間を、基準時間の前方に変動させる場合は、図7に示すようにバッテリ充電開始後の所定の時間に蓄電部放電を行い、基準時間の後方に変動させる場合は、バッテリ充電終了前の所定の時間に蓄電部放電を行っても構わない。
【0068】
また、図7において、系統電力を消費するバッテリ充電と、蓄電部放電により供給される電力を消費するバッテリ充電と、を別々に行うこととしたが、同時に行う場合が含まれても構わない。具体的に例えば、図7の12時15分〜12時35分のバッテリ充電において、蓄電部放電により12時15分〜12時20分に電力を供給する代わりに、その1/3の電力を12時15分〜12時30分に分散して供給しても構わない。
【0069】
このように構成すると、蓄電部放電により供給する電力を小さくすることが可能となる。そのため、蓄電部12が大きな電力を急激に放電(または、充電)することを抑制し、蓄電部12の負担を軽減することが可能となる。また、このような構成としても、上述のように、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を、効果的に抑制することが可能である。
【0070】
また、バッテリ充電を行う時間を、基準時間の前方に変動させる場合、後方の単位時間(図8の例では、12時30分〜13時0分、13時30分〜14時0分)では、充電部11で消費される系統電力の電力量が小さくなり得る。そのため、この単位時間において、系統電力により蓄電部充電を行っても構わない。同様に、バッテリ充電を行う時間を、基準時間の後方に変動させる場合、前方の単位時間において、系統電力により蓄電部充電を行っても構わない。
【0071】
また、図5及び図7に示す時間は、電力会社が設置する電力計等に付随する時計で測定されるものであり、実際の時間に対してずれが生じる場合もある。当該ずれにより、例えば単位時間が、実際の時間で毎時10分〜40分及び40分〜10分になっていると、好ましい。この場合、基準時間の開始時刻を毎時0分(または30分でも良い)にすることが可能になる。そのため、ユーザにとってキリが良く覚えやすい時刻を、バッテリ充電の開始時刻とすることが可能となる。
【0072】
また、説明の簡略化のため、バッテリ充電で消費される電力の大きさを時刻によらず一定としたが、一定でなくても構わない。この場合、1回のバッテリ充電で消費される系統電力の電力量を2個の単位時間に略等しく分配するために、バッテリ充電の中間の時刻を、2個の単位時間の境界となる時刻とずらして設定しても構わない。また、このような場合でも、制御部15による充電部11の制御の簡略化のため、バッテリ充電の中間の時刻と、2個の単位時間の境界の時刻と、が略等しくなるように設定しても構わない。
【0073】
<充電スケジュールの具体例>
充電スケジュールの各具体例について、以下図面を参照して説明する。なお、以下において説明する充電スケジュールの各具体例は、図7及び図8に示したような、蓄電部放電を利用する(バッテリ充電を行うタイミングだけでなく、蓄電部放電を行うタイミングをも制御する)ものである。さらに、以下説明する充電スケジュールの各具体例は、バッテリ充電及び蓄電部放電を行うタイミングだけでなく、蓄電部充電を行うタイミングをも制御するものである。
【0074】
また、以下に示す充電スケジュールの各具体例は、充電システム1が、頻繁にバッテリ充電を行う必要がある場合を想定している。具体的には、1回のバッテリ充電に対する単位時間が2個よりも少なく、2個の単位時間に及ぶバッテリ充電(例えば、図5及び図7参照)を複数回行うことが困難になる場合を想定している。
【0075】
[第1具体例]
最初に、充電スケジュールの第1具体例について、図9を参照して説明する。図9は充電スケジュールの第1具体例を示すグラフである。図9の上段のグラフは、バッテリ充電、蓄電部放電及び蓄電部充電を行うタイミングを好ましくない方法で制御した場合に消費される電力の一例を示すグラフであり、図3に相当するものである。図9の中段のグラフは、バッテリ充電、蓄電部放電及び蓄電部充電を行うタイミングを好ましい方法で制御する場合に消費される電力の一例を示すグラフである。図9の下段のグラフは、中段のグラフに示すようにバッテリ充電、蓄電部放電及び蓄電部充電を行うタイミングを制御する場合における、蓄電部12に充電されている電力量(残容量)を示すグラフである。
【0076】
図9の上段及び中段のグラフでは、図3、図5及び図7と同様に、バッテリ充電で消費される系統電力の大きさを白塗の領域の高さで示し、負荷部消費で消費される系統電力の大きさを灰色塗の領域の高さで示し、蓄電部放電により供給される電力の大きさを黒塗の領域の高さで示している。さらに、蓄電部充電で消費される系統電力の大きさを、格子状のハッチングを付した領域の高さで示している。また、代表的ないくつかの領域の内部に、単位時間当たりに消費される系統電力の電力量や、単位時間当たりに蓄電部放電によって供給されて消費される電力量を、表示する。
【0077】
本具体例では、図9の上段及び中段のグラフに示すように、各単位時間において負荷部消費で15kWhの電力量の系統電力が消費され、1回のバッテリ充電で20kWh(一般的な電動車両CのバッテリBが充電可能な電力量(容量)の80%に相当)の電力量が消費される場合を想定している。また、4回(4台の電動車両C)のバッテリ充電を、5個の単位時間(12時0分〜14時30分、14時30分〜17時0分)内に行い、1回のバッテリ充電が30分である場合を想定している。また、本具体例の充電スケジュールの開始時(12時0分)に、蓄電部12が十分な残容量(11kWh)を有している場合を想定している。
【0078】
図9の上段のグラフに示すように、図3と同様にそれぞれのバッテリ充電をそれぞれの単位時間内に行うと、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値(本具体例では、15+20=35kWh)が大きくなり得る。例えば、1年分の基本料金が、当該最大値の1時間換算値(35×2)×1月分の基本料金の単価(1600)×1年分(12)で求められるものと仮定すると、およそ134万円となる。
【0079】
そこで、本具体例では、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減するべく、図9中段及び下段のグラフに示すように、制御部15が充電部11及び蓄電部12を制御する。
【0080】
本具体例では、4回のバッテリ充電のうち1回を、上述のように2個の単位時間に及んで行われるようにする(図5参照)。例えば、4回のうち最後(または、最初)となるバッテリ充電が行われる時間を、2個の単位時間(13時30分〜14時30分、16時0分〜17時0分)に及んで行われるようにする。例えばこのとき、当該バッテリ充電の中間の時刻(14時0分、16時30分)と、2個の単位時間の境界の時刻(14時0分、16時30分)と、が略等しくなるようにする。これにより、当該2個の単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量の最大値を、効果的に低減することが可能となる。
【0081】
一方、上記以外の3回のバッテリ充電は、上記の2個の単位時間(13時30分〜14時30分、16時0分〜17時0分)以外の3個の単位時間(12時0分〜13時30分、14時30分〜16時0分)のそれぞれで行う。ただし、当該単位時間のそれぞれで、蓄電部放電を行う。これにより、当該単位時間のそれぞれで、例えば蓄電部12の残容量の1/3と略等しい電力量(放電効率85%で11÷3×0.85≒3.1kWh)が供給され、当該単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量の最大値を、低減することが可能となる。なお、本具体例では、当該単位時間に消費される系統電力の電力量(15+20−3.1=31.9kWh)が、最大値となる。
【0082】
さらに、本具体例では、1回のバッテリ充電が行われる2個の単位時間(13時30分〜14時30分、16時0分〜17時0分)のそれぞれで、蓄電部充電を行う。このとき、当該2個の単位時間のそれぞれにおいて、蓄電部充電で消費される系統電力の電力量(充電効率85%で蓄電部放電前の残容量11kWhを得る場合、11÷0.85÷2≒6.5kWh)を、当該2個の単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量が他の単位時間に消費される系統電力の電力量(31.9kWh)を超えない程度に小さくすると、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を効果的に低減することができるため、好ましい。
【0083】
また、1回のバッテリ充電が行われる2個の単位時間(13時30分〜14時30分、16時0分〜17時0分)のそれぞれにおいて蓄電部充電で消費される系統電力の電力量(6.5kWh)は、他の単位時間で蓄電部放電により十分な電力量(3.1kWh)を供給可能な程度に大きいと、好ましい。なお、例えば4回のバッテリ充電が行われる5回の単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量の差が小さくなるように、蓄電部充電及び蓄電部放電する電力量を設定したり、当該電力量を充電及び放電可能な容量を有する蓄電部12を選定したりしても構わない。
【0084】
以上のように構成すると、1回のバッテリ充電で消費される系統電力の電力量が、2個の単位時間に分配される。また、他の単位時間では、蓄電部放電により供給される電力を消費するバッテリ充電が行われる。そのため、頻繁にバッテリ充電を行う必要がある場合であっても、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減することが可能となる。したがって、電力料金を低減することが可能となる。例えば、上述の式によって基本料金が算出される場合、1年分の基本料金を、およそ122万円まで低減することができる。
【0085】
また、蓄電部充電を行うタイミングを確保することが可能になる。そのため、蓄電部12の残容量が少ないことで、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減することが困難になる事態が生じることを、抑制することが可能になる。
【0086】
[第2具体例]
次に、充電スケジュールの第2具体例について、図10を参照して説明する。図10は充電スケジュールの第2具体例を示すグラフである。なお、図10の上段、中段及び下段のそれぞれのグラフは、第1具体例について示した図9の上段、中段及び下段のそれぞれのグラフに相当するものである。そのため、図10のそれぞれのグラフの説明については、図9の説明を参酌するものとして、省略する。
【0087】
本具体例では、第1具体例と同様に、各単位時間において負荷部消費で15kWhの電力量の系統電力が消費され、1回のバッテリ充電で20kWhの電力量が消費される場合を想定している。また、1回のバッテリ充電が30分であり、充電スケジュールの開始時(12時0分)に、蓄電部12が十分な残容量(9kWh)を有している場合を想定している。ただし、本具体例では、3回(3台の電動車両C)のバッテリ充電を、4個の単位時間(12時0分〜14時0分、14時0分〜16時0分)内に行う場合を想定している。
【0088】
図10の上段のグラフに示すように、図3と同様にそれぞれのバッテリ充電をそれぞれの単位時間内に行うと、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値(本具体例では、15+20=35kWh)が大きくなり得る。例えば、第1具体例において説明したように、1年分の基本料金がおよそ134万円となる。
【0089】
そこで、本具体例では、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減するべく、図10中段及び下段のグラフに示すように、制御部15が充電部11及び蓄電部12を制御する。
【0090】
本具体例では、3回のバッテリ充電のうち1回を、上述のように2個の単位時間に及んで行われるようにする(図5参照)。例えば、3回のうち最後(または、最初)となるバッテリ充電が行われる時間を、2個の単位時間(13時0分〜14時0分、15時0分〜16時0分)に及んで行われるようにする。例えばこのとき、当該バッテリ充電の中間の時刻(13時30分、15時30分)と、2個の単位時間の境界の時刻(13時30分、15時30分)と、が略等しくなるようにする。これにより、当該2個の単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量の最大値を、効果的に低減することが可能となる。
【0091】
一方、上記以外の2回のバッテリ充電は、上記の2個の単位時間(13時0分〜14時0分、15時0分〜16時0分)以外の2個の単位時間(12時0分〜13時0分、14時0分〜15時0分)のそれぞれで行う。ただし、当該単位時間のそれぞれで、蓄電部放電を行う。これにより、当該単位時間のそれぞれで、例えば蓄電部12の残容量の1/2と略等しい電力量(放電効率85%で9÷2×0.85≒3.8kWh)が供給され、当該単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量の最大値を、低減することが可能となる。なお、本具体例では、当該単位時間に消費される系統電力の電力量(15+20−3.8=31.2kWh)が、最大値となる。
【0092】
さらに、本具体例では、1回のバッテリ充電が行われる2個の単位時間(13時0分〜14時0分、15時0分〜16時0分)のそれぞれで、蓄電部充電を行う。このとき、当該2個の単位時間のそれぞれにおいて、蓄電部充電で消費される系統電力の電力量(充電効率85%で蓄電部放電前の残容量9kWhを得る場合、9÷0.85÷2≒5.3kWh)を、当該2個の単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量が他の単位時間に消費される系統電力の電力量(31.2kWh)を超えない程度に小さくすると、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を効果的に低減することができるため、好ましい。
【0093】
また、1回のバッテリ充電が行われる2個の単位時間(13時0分〜14時0分、15時0分〜16時0分)のそれぞれにおいて蓄電部充電で消費される系統電力の電力量(5.3kWh)は、他の単位時間で蓄電部放電により十分な電力量(3.8kWh)を供給可能な程度に大きいと、好ましい。なお、例えば3回のバッテリ充電が行われる4回の単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量の差が小さくなるように、蓄電部充電及び蓄電部放電する電力量を設定したり、当該電力量を充電及び放電可能な容量を有する蓄電部12を選定したりしても構わない。
【0094】
以上のように構成すると、1回のバッテリ充電で消費される系統電力の電力量が、2個の単位時間に分配される。また、他の単位時間では、蓄電部放電により供給される電力を消費するバッテリ充電が行われる。そのため、頻繁にバッテリ充電を行う必要がある場合であっても、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減することが可能となる。したがって、電力料金を低減することが可能となる。例えば、上述の式によって基本料金が算出される場合、1年分の基本料金を、およそ120万円まで低減することができる。
【0095】
また、蓄電部充電を行うタイミングを確保することが可能になる。そのため、蓄電部12の残容量が少ないことで、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減することが困難になる事態が生じることを、抑制することが可能になる。
【0096】
また、本具体例は、第1具体例と比較して、一定時間に行い得るバッテリ充電の回数は減少するが、電力料金をより大きく低減することが可能となる。また、本具体例は、蓄電部12の容量が、第1具体例よりも小さいもので済むため、充電システム1の構成の簡略化や低コスト化を図ることが可能になる。
【0097】
[第3具体例]
次に、充電スケジュールの第3具体例について、図11を参照して説明する。図11は充電スケジュールの第3具体例を示すグラフである。なお、図11の上段、中段及び下段のそれぞれのグラフは、第1具体例について示した図9の上段、中段及び下段のそれぞれのグラフに相当するものである。そのため、図11のそれぞれのグラフの説明については、図9の説明を参酌するものとして、省略する。
【0098】
本具体例では、第1具体例と同様に、各単位時間において負荷部消費で15kWhの電力量の系統電力が消費され、1回のバッテリ充電で20kWhの電力量が消費される場合を想定している。また、1回のバッテリ充電が30分であり、充電スケジュールの開始時(12時0分)に、蓄電部12が十分な残容量(6kWh)を有している場合を想定している。ただし、本具体例では、2回(2台の電動車両C)のバッテリ充電を、3個の単位時間(12時0分〜13時30分、13時30分〜15時0分、15時0分〜16時30分)内に行う場合を想定している。
【0099】
図11の上段のグラフに示すように、図3と同様にそれぞれのバッテリ充電をそれぞれの単位時間内に行うと、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値(本具体例では、15+20=35kWh)が大きくなり得る。例えば、第1具体例において説明したように、1年分の基本料金がおよそ134万円となる。
【0100】
そこで、本具体例では、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減するべく、図11中段及び下段のグラフに示すように、制御部15が充電部11及び蓄電部12を制御する。
【0101】
本具体例では、2回のバッテリ充電のうち1回を、上述のように2個の単位時間に及んで行われるようにする(図5参照)。例えば、2回のうちいずれかのバッテリ充電が行われる時間を、2個の単位時間(12時30分〜13時30分、14時0分〜15時0分、15時30〜16時30分)に及んで行われるようにする。例えばこのとき、当該バッテリ充電の中間の時刻(13時0分、14時30分、16時0分)と、2個の単位時間の境界の時刻(13時0分、14時30分、16時0分)と、が略等しくなるようにする。これにより、当該2個の単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量の最大値を、効果的に低減することが可能となる。
【0102】
一方、上記以外の1回のバッテリ充電は、上記の2個の単位時間(12時30分〜13時30分、14時0分〜15時0分、15時30〜16時30分)以外の1個の単位時間(12時0分〜12時30分、13時30分〜14時0分、15時0分〜15時30分)で行う。ただし、当該単位時間で、蓄電部放電を行う。これにより、当該単位時間で、例えば蓄電部12の残容量と略等しい電力量(放電効率85%で6×0.85≒5.1kWh)が供給され、当該単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量の最大値を、低減することが可能となる。なお、本具体例では、当該単位時間に消費される系統電力の電力量(15+20−5.1=29.9kWh)が、最大値となる。
【0103】
さらに、本具体例では、1回のバッテリ充電が行われる2個の単位時間(12時30分〜13時30分、14時0分〜15時0分、15時30分〜16時30分)のそれぞれで、蓄電部充電を行う。このとき、当該2個の単位時間のそれぞれにおいて、蓄電部充電で消費される系統電力の電力量(充電効率85%で蓄電部放電前の残容量6kWhを得る場合、6÷0.85÷2≒3.5kWh)を、当該2個の単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量が他の単位時間に消費される系統電力の電力量(29.9kWh)を超えない程度に小さくすると、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を効果的に低減することができるため、好ましい。
【0104】
また、1回のバッテリ充電が行われる2個の単位時間(12時30分〜13時30分、14時0分〜15時0分、15時30分〜16時30分)のそれぞれにおいて蓄電部充電で消費される系統電力の電力量(3.5kWh)は、他の単位時間で蓄電部放電により十分な電力量(5.1kWh)を供給可能な程度に大きいと、好ましい。なお、例えば2回のバッテリ充電が行われる3回の単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量の差が小さくなるように、蓄電部充電及び蓄電部放電する電力量を設定したり、当該電力量を充電及び放電可能な容量を有する蓄電部12を選定したりしても構わない。
【0105】
以上のように構成すると、1回のバッテリ充電で消費される系統電力の電力量が、2個の単位時間に分配される。また、他の単位時間では、蓄電部放電により供給される電力を消費するバッテリ充電が行われる。そのため、頻繁にバッテリ充電を行う必要がある場合であっても、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減することが可能となる。したがって、電力料金を低減することが可能となる。例えば、上述の式によって基本料金が算出される場合、1年分の基本料金を、およそ115万円まで低減することができる。
【0106】
また、蓄電部充電を行うタイミングを確保することが可能になる。そのため、蓄電部12の残容量が少ないことで、単位時間に消費される系統電力の電力量の最大値を低減することが困難になる事態が生じることを、抑制することが可能になる。
【0107】
また、本具体例は、第1及び第2具体例と比較して、一定時間に行い得るバッテリ充電の回数は減少するが、電力料金をより大きく低減することが可能となる。また、本具体例は、蓄電部12の容量が、第1及び第2具体例よりも小さいもので済むため、充電システム1の構成の簡略化や低コスト化を図ることが可能になる。
【0108】
なお、上述の第1〜第3具体例の充電スケジュールを、「n回のバッテリ充電をn+1個の単位時間に行う」ものとして解釈し、制御部15が、第1〜第3具体例(n=4〜2)と同様にn≧5の充電スケジュールを作成しても構わない。ただし、nは2以上の整数とする。また、制御部15が、「n回のバッテリ充電をn+1個の単位時間に行う」ことを、1つのセットとして把握しても構わない。例えば、制御部15が、入力部13を介してユーザから入力されるバッテリ充電の予約を、いくつかのセットの組み合わせとして把握し、セット毎に対応する制御方法(例えば、図9〜図11参照)を組み合わせた充電スケジュールを作成しても構わない。
【0109】
また、蓄電部充電は、1回のバッテリ充電が行われる2個の単位時間中であれば、どのように行っても構わない。この蓄電部充電の実行例について、図12を参照して説明する。図12は、蓄電部充電の実行例を示すグラフである。また、図12は、図9の中段のグラフに相当するものである。そのため、図12のグラフの説明については、図9の中段のグラフの説明を参酌するものとして、省略する。
【0110】
図12(a)は、図9〜図11のそれぞれの中段のグラフに示したものと同様である。具体的には、2個の単位時間中であり、当該2個の単位時間に及んで行われる1回のバッテリ充電の前後に、1回ずつ蓄電部充電を行うものである。
【0111】
これに対して図12(b)は、バッテリ充電の有無にかかわらず、蓄電部充電を1回行うものである。また、本例の蓄電部充電は、2個の単位時間に及ぶように行われるものである。
【0112】
図12(a),(b)のいずれであっても、それぞれの単位時間に消費される系統電力の電力量は等しくなる。ただし、図12(a)の蓄電部充電では、バッテリ充電及び蓄電部充電の重複が抑制されるため、消費される系統電力の最大値を低減することが可能になる。一方、図12(b)では、蓄電部充電がバッテリ充電によって分断されることが抑制されるため、蓄電部充電を一度で連続的に行うことが可能になる。
【0113】
また、蓄電部充電が、1回のバッテリ充電が行われる2個の単位時間の両方で行われる場合について例示したが、いずれか一方で行っても構わない。ただし、単位時間に消費される系統電力の電力量を低減する観点から、バッテリ充電と同様に、2個の単位時間に及んで行うこととすると、好ましい。
【0114】
<変形例>
なお、蓄電部放電によって供給される電力が、バッテリ充電として消費されることに代えて(または、加えて)、負荷部消費として消費されても構わない。
【0115】
本発明の実施形態における充電システム1について、制御部15などの一部または全部の動作を、マイコンなどの制御装置が行うこととしても構わない。さらに、このような制御装置によって実現される機能の全部または一部をプログラムとして記述し、該プログラムをプログラム実行装置(例えばコンピュータ)上で実行することによって、その機能の全部または一部を実現するようにしても構わない。
【0116】
また、上述した場合に限らず、図1に示す充電システム1は、ハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実現可能である。また、ソフトウェアを用いて充電システムの一部を構成する場合、ソフトウェアによって実現される部位についてのブロックは、その部位の機能ブロックを表すこととする。
【0117】
以上、本発明における実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、電動車両に備えられるバッテリなどを充電する充電システムに利用可能である。特に、消費する電力が大きく単位時間以下の時間で充電を行う急速充電を行い得る充電システムに適用すると、好適である。
【符号の説明】
【0119】
1 充電システム
11 充電部
12 蓄電部
13 入力部
14 報知部
15 制御部
B バッテリ
C 電動車両
R 負荷部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを充電する充電システムであって、
電力会社から供給される系統電力を消費して充電され、充電した電力を放電により供給する蓄電部と、
系統電力と前記蓄電部から供給される電力とを消費して前記バッテリを充電する充電部と、を備え、
前記電力会社が、各単位時間に供給した電力量の最大値が大きくなるほど高くなる電力料金を設定するものであり、
前記充電部により行われる少なくとも1回の充電が、2個の単位時間に及んで行われ、
当該2個の単位時間以外の少なくとも1個の単位時間で、前記蓄電部が前記充電部に電力を供給することを特徴とする充電システム。
【請求項2】
前記充電部の1回の充電が行われる2個の単位時間の少なくとも一方で、前記蓄電部の充電が行われることを特徴とする請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記充電部が、それぞれが単位時間以下の時間となるn(nは2以上の整数)回の充電を、n+1個の単位時間に行う場合、
前記充電部による1回の充電が、2個の単位時間に及んで行われるとともに、他のn−1回の充電が、当該2個の単位時間以外のn−1個の単位時間のそれぞれで行われることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記充電部の1回の充電が行われる2個の単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量が、他の単位時間に消費される系統電力の電力量を超えないことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の充電システム。
【請求項5】
前記充電部の1回の充電が行われる2個の単位時間で、当該充電の前後に前記蓄電部の充電が1回ずつ行われることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の充電システム。
【請求項6】
前記充電部の1回の充電が行われる2個の単位時間で、前記蓄電部の充電が1回行われることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の充電システム。
【請求項1】
バッテリを充電する充電システムであって、
電力会社から供給される系統電力を消費して充電され、充電した電力を放電により供給する蓄電部と、
系統電力と前記蓄電部から供給される電力とを消費して前記バッテリを充電する充電部と、を備え、
前記電力会社が、各単位時間に供給した電力量の最大値が大きくなるほど高くなる電力料金を設定するものであり、
前記充電部により行われる少なくとも1回の充電が、2個の単位時間に及んで行われ、
当該2個の単位時間以外の少なくとも1個の単位時間で、前記蓄電部が前記充電部に電力を供給することを特徴とする充電システム。
【請求項2】
前記充電部の1回の充電が行われる2個の単位時間の少なくとも一方で、前記蓄電部の充電が行われることを特徴とする請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記充電部が、それぞれが単位時間以下の時間となるn(nは2以上の整数)回の充電を、n+1個の単位時間に行う場合、
前記充電部による1回の充電が、2個の単位時間に及んで行われるとともに、他のn−1回の充電が、当該2個の単位時間以外のn−1個の単位時間のそれぞれで行われることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記充電部の1回の充電が行われる2個の単位時間のそれぞれで消費される系統電力の電力量が、他の単位時間に消費される系統電力の電力量を超えないことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の充電システム。
【請求項5】
前記充電部の1回の充電が行われる2個の単位時間で、当該充電の前後に前記蓄電部の充電が1回ずつ行われることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の充電システム。
【請求項6】
前記充電部の1回の充電が行われる2個の単位時間で、前記蓄電部の充電が1回行われることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の充電システム。
【図1】
【図2】
【図4】
【図6】
【図8】
【図3】
【図5】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図4】
【図6】
【図8】
【図3】
【図5】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−44822(P2012−44822A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185822(P2010−185822)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]